説明

感光性樹脂組成物及び液晶パネル

【課題】経時安定性に優れ、経時によっても塗布膜厚の変化が生じにくい感光性樹脂組成物、及びその感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有する液晶パネルを提供する。
【解決手段】本発明に係る感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)、及び溶剤(S)を含有する。このうち、アルカリ可溶性樹脂(A)は、不飽和カルボン酸(a1)と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)とを少なくとも重合させた共重合体(A1)を含む。また、溶剤(S)は、(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤を含み、溶剤(S)に占める(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤の割合が56質量%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及び液晶パネルに関し、さらに詳しくは、液晶パネルの2枚の基板間に設けられるスペーサを形成するのに好適な感光性樹脂組成物、及びその感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有する液晶パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の液晶パネルにおいては、液晶材料を2枚のガラス基板等の透明な基板でサンドイッチする構造を採るため、液晶材料を充填できるように、2枚の基板間にスペーサを形成することが必要である。
【0003】
従来、スペーサを形成するには、基板の全面にスペーサとなるビーズ粒子を散布する方法が採られていたが、画素表示部分にもビーズが付着し、画像のコントラストや表示画質が低下するという問題があった。そこで近年では、このスペーサを感光性樹脂組成物により形成する方法が種々提案されている(特許文献1〜4等を参照)。この方法は、感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、所定のマスクを介して露光した後、現像して、ドット状等のスペーサを形成するものであり、画素表示部分以外の所定の部分にのみスペーサを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−184841号公報
【特許文献2】特開2006−308961号公報
【特許文献3】特開2010−237465号公報
【特許文献4】特開2010−256848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液晶パネルにおける2枚の基板間の距離はスペーサによって決まるため、スペーサとしては、安定した高さ管理が重要となる。しかし、従来、スペーサの形成に用いられてきた感光性樹脂組成物は、経時安定性が悪く、経時によって増粘する結果、塗布膜厚が増大してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、経時安定性に優れ、経時によっても塗布膜厚の変化が生じにくい感光性樹脂組成物、及びその感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有する液晶パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、感光性樹脂組成物中のアルカリ可溶性樹脂として特定の共重合体を用いるとともに、溶剤を特定の組成にすることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0008】
本発明の第一の態様は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)、及び溶剤(S)を含有する感光性樹脂組成物であって、上記アルカリ可溶性樹脂(A)は、不飽和カルボン酸(a1)と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)とを少なくとも重合させた共重合体(A1)を含み、上記溶剤(S)は、(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤を含み、上記溶剤(S)に占める上記(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤の割合が56質量%以上である感光性樹脂組成物である。
【0009】
本発明の第二の態様は、本発明に係る感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有する液晶パネルである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、経時安定性に優れ、経時によっても塗布膜厚の変化が生じにくい感光性樹脂組成物、及びその感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有する液晶パネルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
≪感光性樹脂組成物≫
本発明に係る感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)、及び溶剤(S)を少なくとも含有している。以下、本発明に係る感光性樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
【0012】
<アルカリ可溶性樹脂(A)>
アルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
【0013】
本発明に係る感光性樹脂組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(A)は、不飽和カルボン酸(a1)と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)とを少なくとも重合させた共重合体(A1)を含む。アルカリ可溶性樹脂(A)としてこのような共重合体(A1)を含めることにより、感光性樹脂組成物の経時安定性を向上させることができる。
【0014】
不飽和カルボン酸(a1)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸(a1)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0015】
脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)としては、脂環式エポキシ基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式エポキシ基を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。これらの脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
具体的に、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)としては、例えば下記式(a2−1)〜(a2−16)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度なものするためには、下記式(a2−1)〜(a2−6)で表される化合物が好ましく、下記式(a2−1)〜(a2−4)で表される化合物がより好ましい。
【0017】
【化1】

【0018】
【化2】

【0019】
【化3】

【0020】
上記式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R13は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。R12としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R13としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH−Ph−CH−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
【0021】
共重合体(A1)は、上記不飽和カルボン酸(a1)及び上記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)とともに、エポキシ基を有さない脂環式基含有不飽和化合物(a3)を重合させたものであってもよい。
脂環式基含有不飽和化合物(a3)としては、脂環式基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。これらの脂環式基含有不飽和化合物(a3)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】
具体的に、脂環式基含有不飽和化合物(a3)としては、例えば下記式(a3−1)〜(a3−7)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度なものするためには、下記式(a3−3)〜(a3−8)で表される化合物が好ましく、下記式(a3−3),(a3−4)で表される化合物がより好ましい。
【0023】
【化4】

【0024】
【化5】

【0025】
上記式中、R21は水素原子又はメチル基を示し、R22は単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R23は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R22としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R23としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
【0026】
また、共重合体(A1)は、上記不飽和カルボン酸(a1)及び上記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)、さらには上記脂環式基含有不飽和化合物(a3)とともに、脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物(a4)を重合させたものであってもよい。
エポキシ基含有不飽和化合物(a4)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、及び6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有不飽和化合物(a4)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0027】
また、共重合体(A1)は、上記以外の他の化合物をさらに重合させたものであってもよい。このような他の化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
【0029】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0030】
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
【0031】
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
【0032】
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
【0033】
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
【0034】
共重合体(A1)に占める上記不飽和カルボン酸(a1)由来の構成単位の割合は、1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
また、共重合体(A1)に占める上記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)由来の構成単位の割合と上記エポキシ基含有不飽和化合物(a4)由来の構成単位の割合との合計は、71質量%以上であることが好ましく、71〜95質量%であることがより好ましく、75〜90質量%であることがさらに好ましい。特に、共重合体(A1)に占める上記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)由来の構成単位の割合が単独で71質量%以上であることが好ましく、71〜80質量%であることがより好ましい。上記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)由来の構成単位の割合を上記の範囲にすることにより、感光性樹脂組成物の経時安定性をより向上させることができる。
また、共重合体(A1)に占める上記脂環式基含有不飽和化合物(a3)由来の構成単位の割合は、1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
【0035】
共重合体(A1)の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のスチレン換算による測定値。本明細書において同じ。)は、2000〜200000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0036】
共重合体(A1)が上記不飽和カルボン酸(a1)、上記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)、上記エポキシ基含有不飽和化合物(a4)以外の化合物を重合させたものである場合、共重合体(A1)は公知のラジカル重合法により製造することができる。すなわち、各化合物、並びに公知のラジカル重合開始剤を重合溶媒に溶解した後、加熱撹拌することにより製造することができる。
【0037】
一方、共重合体(A1)が上記不飽和カルボン酸(a1)、上記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)、上記エポキシ基含有不飽和化合物(a4)以外の化合物を重合させたものではない場合、通常のラジカル重合法では不飽和カルボン酸(a1)のカルボキシル基と上記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)又は上記エポキシ基含有不飽和化合物(a4)のエポキシ基とが反応し、ゲル化してしまうことがある。
そこで、このような場合には、まず、不飽和カルボン酸と特定の反応性化合物とを反応させて反応混合物を得て(反応工程)、次いで、この反応混合物と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物やエポキシ基含有不飽和化合物とを共重合させる(重合工程)ことにより共重合体(A1)を製造する。必要に応じて最後に精製・洗浄を行ってもよい(精製工程)。
【0038】
まず、反応工程では、不飽和カルボン酸と、下記式(1)〜(3)で表される化合物(反応性化合物)から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、フラスコ等の適当な反応容器に仕込み、加熱撹拌することにより、反応混合物を得る。
【0039】
【化6】

(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を示す。)
【0040】
【化7】

(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0041】
【化8】

(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0042】
上記式(1)で表される化合物としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジプロポキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエトキシメタン、ジプロポキシメタン、ジブトキシメタン、1,1−ジメトキシプロパン、1,1−ジエトキシプロパン、1,1−ジプロポキシプロパン、1,1−ジブトキシプロパン、2,2−ジメトキシプロパン、2,2−ジエトキシプロパン、2,2−ジプロポキシプロパン、2,2−ジブトキシプロパン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル等が挙げられる。
【0043】
上記式(2)で表される化合物としては、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、2,5−ジエトキシテトラヒドロフラン、2,5−ジプロポキシテトラヒドロフラン、2,5−ジブトキシテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0044】
上記式(3)で表される化合物としては、3,4−ジメトキシトルエン、3,4−ジエトキシトルエン、3,4−ジプロポキシトルエン、3,4−ジブトキシトルエン、1,2−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシベンゼン、1,2−ジプロポキシベンゼン、1,2−ジブトキシベンゼン等が挙げられる。
【0045】
これらの反応性化合物の中でも、不飽和カルボン酸との反応性の点から、ジエトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、1,1−ジエトキシプロパン、及び2,2−ジエトキシプロパンが好ましく、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテルがより好ましい。これらの反応性化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
不飽和カルボン酸と反応性化合物とのモル比は特に限定されないが、1:0.5〜1:3が好ましく、1:0.8〜1:2がより好ましい。また、反応温度は60〜150℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。反応時間は10分間〜10時間が好ましく、30分間〜5時間がより好ましい。
【0047】
次いで、重合工程では、反応工程で得られた反応混合物と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物やエポキシ基含有不飽和化合物とを公知のラジカル重合開始剤とともに重合溶媒に溶解した後、加熱撹拌することにより、共重合体を得る。
【0048】
最後に、精製工程では、例えば貧溶媒等を用いて洗浄することにより残物を取り除く。
【0049】
なお、アルカリ可溶性樹脂(A)としては、共重合体(A1)以外に、従来公知の他のアルカリ可溶性樹脂を含んでいてもよい。ただし、アルカリ可溶性樹脂(A)に占める共重合体(A1)の割合は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して40〜85質量%であることが好ましく、45〜75質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0050】
<光重合性モノマー(B)>
本発明に係る感光性樹脂組成物に含有される光重合性モノマー(B)としては、エチレン性不飽和基を有するモノマーを好ましく用いることができる。このエチレン性不飽和基を有するモノマーには、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
【0051】
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0052】
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0053】
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの中でも、感光性樹脂組成物の基板への密着性や感光性樹脂組成物の硬化強度を高める点から、3官能以上の多官能モノマーが好ましく、6官能以上の多官能モノマーがより好ましい。
【0054】
光重合性モノマー(B)の含有量は、上記アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して1〜300質量部であることが好ましく、2〜200質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0055】
<光重合開始剤(C)>
本発明に係る感光性樹脂組成物に含有される光重合開始剤(C)としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
【0056】
光重合開始剤(C)としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。これらの光重合開始剤(C)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0057】
光重合開始剤(C)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
【0058】
また、この光重合開始剤(C)に、光開始助剤を組み合わせてもよい。光開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン等が挙げられる。これらの光開始助剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0059】
<溶剤(S)>
本発明に係る感光性樹脂組成物に含有される溶剤(S)は、(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤を含む。溶剤(S)としてこのような(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤を含めることにより、感光性樹脂組成物の経時安定性を向上させることができる。
【0060】
(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、感光性樹脂組成物の経時安定性を向上させる点から、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルが好ましい。これらの(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。塗布特性の点では、2種組み合わせて用いることが好ましい。またジプロピレングリコールジアルキルエーテル系溶剤の組み合わせは、さらにアルカリ可溶性樹脂(A)の安定性も向上するため好ましい。
【0061】
溶剤(S)は、(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤以外の他の溶剤を含んでいてもよい。このような他の溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート系溶剤;テトラヒドロフラン等の他のエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン系溶剤;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル系溶剤;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;等が挙げられる。これらの中でも、水に対する溶解性の低い溶剤であるという点で、特に、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート系溶剤が好ましい。また、塗布特性の点で、3−メトキシブチルアセテート等のアルコキシアルキルアセテート系溶剤が好ましい。これらの溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0062】
溶剤(S)に占める上記(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤の割合は、56質量%以上であり、60〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましい。
また、溶剤(S)成分の含有量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。感光性樹脂組成物の固形分濃度は5〜70質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。
【0063】
<その他の成分>
本発明に係る感光性樹脂組成物には、必要に応じて、界面活性剤、密着性向上剤、熱重合禁止剤、消泡剤等の添加剤を含有させることができる。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられ、密着性向上剤としては、従来公知のシランカップリング剤が挙げられ、熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられ、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。
【0064】
<感光性樹脂組成物の調製方法>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記各成分を3本ロールミル、ボールミル、サンドミル等の撹拌機で混合(分散・混練)し、必要に応じて5μmメンブランフィルタ等のフィルタで濾過して調製することができる。
【0065】
≪液晶パネル≫
本発明に係る液晶パネルは、感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有するものである。スペーサ以外の点は、通常の液晶パネルと同様であるため、以下ではスペーサの形成方法についてのみ説明する。
【0066】
まず、スペーサが形成されるべき基板上に、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて本発明に係る感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて溶媒を除去することにより、塗布膜を形成する。
【0067】
次いで、ネガ型のマスクを介して、塗布膜に紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射し、部分的に露光する。露光には、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯等の紫外線を発する光源を用いることができる。露光量は感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば50〜600mJ/cm程度が好ましい。
【0068】
次いで、露光後の塗布膜を現像液で現像することにより、スペーサを形成する。現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
【0069】
そして、現像後のスペーサにポストベークを施して加熱硬化する。ポストベークの温度は150〜250℃が好ましい。
【0070】
上記のとおり、本発明に係る感光性樹脂組成物は経時安定性に優れており、経時によっても塗布膜厚の変化が生じにくい。したがって、本発明に係る感光性樹脂組成物を用いることにより、高さの揃ったスペーサを形成することができる。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0072】
<感光性樹脂組成物の調製>
[実施例1]
下記の各成分を混合し、溶剤に溶解して、固形分濃度35質量%の感光性樹脂組成物を調製した。
【0073】
・アルカリ可溶性樹脂(A)
メタクリル酸/トリシクロデシルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート=12/13/37.5/37.5(質量比)の共重合体(質量平均分子量12000)・・・100質量部
・光重合性モノマー(B)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート・・・67質量部
・光重合開始剤(C)
2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペシャルティケミカルズ社製「IRGACURE 907」)・・・3.0質量部
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャルティケミカルズ社製「IRGACURE 369」)・・・10.0質量部
・溶剤(S)
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
【0074】
[実施例2〜12、比較例1〜6]
共重合体のモノマー組成及び溶剤組成を下記表1のように変更したほかは、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を調製した。表1中の各モノマーの欄の数値は、共重合体を構成するモノマーの質量比を表す。また、溶剤の欄の数値は、各溶剤の質量比を表す。なお、実施例2〜12、比較例1〜6で用いた共重合体の質量平均分子量は、いずれも12000である。
【0075】
<評価>
[経時安定性評価]
6インチのガラス基板(ダウ・コーニング社製、1737ガラス)上に、上記実施例及び比較例で調製した感光性樹脂組成物を塗布した後、100℃で2分間乾燥して、塗布膜を得た。この塗布膜の膜厚を初期膜厚とする。
また、上記各実施例及び比較例で調製した感光性樹脂組成物を40℃で5日間保管した後、上記と同様にして塗布膜を得た。この塗布膜の膜厚を経時膜厚とする。
そして、初期膜厚に対する経時膜厚の膜厚変動(%)を求め、経時安定性の指標とした。結果を下記表1に示す。なお、比較例1〜3の感光性樹脂組成物は、40℃で5日間保管することによってゲル化したため、塗布膜を得ることができなかった。
【0076】
【表1】

MAA:メタクリル酸
TCDMA:トリシクロデシルメタクリレート
M100:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート
VCMX:1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン
GMA:グリシジルメタクリレート
PM:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MEDG:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
MPPDG:ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル
DMM:ジプロピレングリコールジメチルエーテル
MBA:3−メトキシブチルアセテート
【0077】
表1の比較例1,4〜6から分かるように、不飽和カルボン酸と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物とを少なくとも重合させた共重合体を用いた場合であっても、溶剤に占める(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤の割合が56質量%未満である場合には、感光性樹脂組成物の経時安定性が悪いものになってしまう。
また、比較例2,3から分かるように、溶剤に占める(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤の割合が56質量%以上である場合であっても、不飽和カルボン酸と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物とを少なくとも重合させた共重合体を用いていない場合には、感光性樹脂組成物の経時安定性が悪いものになってしまう。
【0078】
これに対して、不飽和カルボン酸と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物とを少なくとも重合させた共重合体を用いるとともに、(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤を56質量%以上含む溶剤を用いた実施例1〜12の感光性樹脂組成物は、比較例1〜6の感光性樹脂組成物と比較して経時安定性に優れている。特に、共重合体に占める脂環式エポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位の割合を71質量%以上とし、溶剤に占める(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤の割合を80質量%以上とした実施例4,5,7〜12の感光性樹脂組成物は、膜厚変動が1%未満であり、経時安定性に極めて優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)、及び溶剤(S)を含有する感光性樹脂組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂(A)は、不飽和カルボン酸(a1)と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)とを少なくとも重合させた共重合体(A1)を含み、
前記溶剤(S)は、(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤を含み、前記溶剤(S)に占める前記(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤の割合が56質量%以上である感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記共重合体(A1)に占める前記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)由来の構成単位の割合が71質量%以上である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記共重合体(A1)が、前記不飽和カルボン酸(a1)及び前記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物(a2)とともに、エポキシ基を有さない脂環式基含有不飽和化合物(a3)を重合させた共重合体である請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記溶剤(S)が、さらに、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート系溶剤を含む請求項1から3のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
液晶パネルのスペーサの形成に用いられる請求項1から4のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有する液晶パネル。

【公開番号】特開2012−212118(P2012−212118A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−49027(P2012−49027)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】