説明

感放射線性組成物、硬化膜及びこの形成方法

【課題】高い塗布性及びパターニング性を有し、得られた硬化物が透明性及び密着性に加え、高屈折率を備え、かつ、ポジ型の感放射線特性を有することができるポリシロキサン系の感放射線性組成物、この組成物から形成されたパターニングされた硬化膜及びこれらの形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、[A]シロキサンポリマー、[B]金属酸化物粒子、及び[C]感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基発生剤を含有し、上記[B]金属酸化物粒子が、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属の酸化物粒子である感放射線性組成物である。当該感放射線性組成物は、分散剤をさらに含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性組成物、この組成物から形成される硬化膜、及びこの硬化膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子等は、その製造工程中に、溶剤、酸又はアルカリ溶液等による浸漬処理が行なわれる。また、このような液晶表示素子は、スパッタリングにより配線電極層を形成する際に、素子表面が局部的に高温に曝される。従って、このような溶剤等による浸漬処理や高温処理によって液晶表示素子が劣化あるいは損傷することを防止するために、これらの処理に対して耐性を有する保護膜を素子の表面に設けることが行なわれている。また液晶表示素子等には、一般に層状に配置される配線の間を絶縁するための層間絶縁膜や、二枚の基板間の間隔(セルギャップ)を一定に保つためのスペーサーが設けられている。
【0003】
このような保護膜、層間絶縁膜及びスペーサー等(以下、保護膜等とも言う。)の材料としては、必要とするパターン形状を得るための工程数が少なく、しかも十分な平坦性を有するものが好ましいことから、感放射線性組成物が幅広く使用されている。この保護膜等の材料は、当該保護膜等を形成すべき基板又は下層、さらに各層等の上に形成される層に対して硬化した際の密着性が高いものであること、透明性を有するものであること、塗布性、パターニング性が優れていること等の性能が要求される。これらの諸特性を満たす保護膜等を形成するための材料としては、アクリル系樹脂が主に使用されている。これに対し、アクリル系樹脂よりも耐熱性及び透明性に優れたポリシロキサン系材料を感放射線性組成物の成分として用いる試みがなされている(特開2000−1648号公報、特開2006−178436号公報参照)。しかし、ポリシロキサン系材料は、屈折率がアクリル系樹脂よりも低いため、例えばITO(インジウムスズ酸化物)透明導電膜パターンなどの他の層の表面に塗布した際、屈折率差が大きくなるためITOパターンが見えやすくなってしまい、液晶表示画面の視認性が低下するという不都合が存在する。
【0004】
また、このような感放射線性組成物は、このような感放射線性組成物は、例えば層間絶縁膜におけるコンタクトホール形成の優位性の観点等から、ポジ型感放射線性硬化性組成物が好適に使用されている。しかし、ポリシロキサン系材料におけるポジ型感放射線性組成物としては、パターニング性の高さから感放射線性酸発生剤として、キノンジアジド化合物を用いた組成物が一般的に用いられているが、このキノンジアジド化合物の使用がコスト高の要因となっている。
【0005】
また、半導体封止用材料、半導体アンダーフィル用材料、半導体保護膜用材料、半導体層間絶縁膜用材料、回路基材用材料、平坦化材料、回路基板保護用材料、エッチングレジスト用材料、めっきレジスト用材料、又は液晶封止用材料としても、耐熱性、密着性及び電気絶縁性等に優れた硬化膜を短時間で得ることができる感放射線性組成物はない(米国特許第5385955号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−1648号公報
【特許文献2】特開2006−178436号公報
【特許文献3】米国特許第5385955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、従来の保護膜等を形成する材料に必要とされるパターニング性を有し、得られた硬化物が透明性及び密着性に加えて高屈折率を備え、かつ、ポジ型の感放射線特性を備えることができるポリシロキサン系の感放射線性組成物、その組成物から形成された硬化物、及びこれらの形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、半導体封止用材料、半導体アンダーフィル用材料、半導体保護膜用材料、半導体層間絶縁膜用材料、回路基材用材料、平坦化材料、回路基板保護用材料、エッチングレジスト用材料、めっきレジスト用材料、又は液晶封止用材料等として使用することで、耐熱性、密着性及び電気絶縁性等に優れた硬化膜を短時間で得ることができる感放射線性組成物を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A]シロキサンポリマー、
[B]金属酸化物粒子、及び
[C]感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基発生剤
を含有し、
上記[B]金属酸化物粒子は、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属の酸化物粒子である感放射線性組成物である。
【0010】
当該感放射線性組成物は、上記各成分を含有することで、高いパターニング性を有し、得られた硬化物が高い透明性及び密着性を備えることができる。特に、当該感放射線性組成物によれば、[B]成分として上記種類の金属酸化物粒子を含有することで、得られる硬化物の屈折率が向上する。また、当該感放射線性組成物は、[B]成分の金属酸化物粒子として上記酸化物粒子を用いることでパターニング性が高いポジ型の感放射線特性を発揮することができる。
【0011】
[A]シロキサンポリマーが、下記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物であるとよい。
(R−Si−(OR4−n (1)
(式(1)中、Rは、各々独立に、水素又は炭素数1〜20の非加水分解性の有機基である。Rは、各々独立に、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基又は炭素数6〜15のアリール基である。nは0〜3の整数である。)
【0012】
[A]シロキサンポリマーが、上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物であることで、当該感放射線性組成物は、高い塗布性、放射線感度及びパターニング性を有し、得られた硬化物がさらに高い透明性及び密着性を備えることができる。
【0013】
当該感放射線性組成物は、[D]分散剤をさらに含有するとよい。当該感放射線性組成物は、[D]分散剤を含有することで、[B]成分の金属酸化物粒子を均一に分散させることができ、塗布性がさらに高まり、得られる硬化膜の密着性がよりに高まるとともに、屈折率が均一化される。
【0014】
[D]分散剤が、下記式(2)、式(3)若しくは式(4)で表される化合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又は脂肪酸アルカノールアミドであることが好ましい。
【0015】
【化1】

(式(2)中、Rは、各々独立に、C2q+1−CHO−(CHCHO)−CHCHO−である。pは8〜10、qは12〜16、xは1〜3の整数である。)
【0016】
【化2】

(式(3)中、r及びsは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められたポリスチレン換算数平均分子量が、10,000〜40,000となるように選択される数である。)
【0017】
【化3】

(式(4)中、t及びuは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められたポリスチレン換算数平均分子量が1,000〜30,000となるように選択される数である。)
【0018】
当該感放射線性組成物によれば、[D]成分の分散剤が上記化合物であることで、ポジ型の感放射線特性を有するさらに高いパターニング性を発揮することができる。
【0019】
本発明の感放射線組成物は、パターニングされた硬化膜を形成するために好適に用いられ、これらの硬化膜の形成方法は、
(1)感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線を照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程
を含んでいる。
【0020】
当該方法においては、優れたパターニング性を有する上記感放射線性組成物を用い、感放射線性を利用した露光・現像によってパターンを形成することによって、容易に微細かつ精巧なパターンを有する各硬化膜を形成することができる。
【0021】
従って、本発明の感放射線性組成物から形成されるパターニングされた硬化膜は、高い透明性、密着性に加えて、高屈折性を備えているため、液晶表示画面の視認性を高めることができ、液晶表示素子等の材料として好適に用いることができる。また、本発明の感放射線性組成物から形成されるパターニングされた硬化膜は、高い透明性、密着性、高屈折率性を備えているため、半導体用の保護膜や層間絶縁膜、LED用のレンズ等の材料としても好適に用いられる。
【0022】
さらに、本発明の感放射線性組成物を、半導体封止用材料、半導体アンダーフィル用材料、回路基材用材料、平坦化材料、回路基板保護用材料、エッチングレジスト用材料、めっきレジスト用材料、又は液晶封止用材料等として使用することで、耐熱性、密着性及び電気絶縁性等に優れた硬化膜を短時間で得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明の感放射線性組成物は、上記[A]〜[C]成分を含んでいることで、高いパターニング性を有するとともに、当該組成物から得られる硬化物は高い透明性、密着性に加え、高屈折性を備えている。更には、本発明の感放射線性組成物は[D]成分の分散剤を含有させることで、塗布性及びポジ型の感放射線特性をさらに高めることができる。従って、本発明の感放射線性組成物から形成されるパターニングされた硬化膜は、高い透明性、密着性に加え、高屈折性を備えているため、液晶表示素子用の各硬化膜、半導体用の各硬化膜、LED用のレンズ等の各材料等として好適に用いることができる。
【0024】
さらに、本発明の感放射線性組成物を、半導体封止用材料、半導体アンダーフィル用材料、回路基材用材料、平坦化材料、回路基板保護用材料、エッチングレジスト用材料、めっきレジスト用材料、液晶封止用材料等として使用することで、耐熱性、密着性、及び電気絶縁性等に優れた硬化膜を短時間で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の感放射線性組成物は、[A]シロキサンポリマー、[B]金属酸化物粒子、[C]感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基発生剤を含み、必要に応じて[D]分散剤及びその他の任意成分を含有する。
【0026】
[A]成分:シロキサンポリマー
[A]成分のシロキサンポリマーは、シロキサン結合を有する化合物のポリマーである限りは特に限定されるものではない。この[A]成分は、加水分解縮合し、硬化物を形成する。
【0027】
[A]成分のシロキサンポリマーとしては、上記式(1)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物であることが好ましい。
【0028】
本願における加水分解性シラン化合物とは、通常、無触媒、過剰の水の共存下、室温(約25℃)〜約100℃の温度範囲内で加熱することにより、加水分解してシラノール基を生成することができる基、又は、シロキサン縮合物を形成することができる「加水分解性の基」を有する化合物を指す。また、「非加水分解性の基」とは、そのような加水分解条件下で、加水分解又は縮合を起こさず、安定に存在する基を指す。
【0029】
上記式(1)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解反応においては、一部の加水分解性基が未加水分解の状態で残っていてもよい。また、ここで言う「加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物」は、加水分解されたシラン化合物の一部のシラノール基同士が反応・縮合した加水分解縮合物を意味する。
【0030】
上記Rで表される炭素数が1〜20である非加水分解性の有機基としては、炭素数1〜20の無置換、もしくはビニル基、(メタ)アクリロイル基又はエポキシ基で1個以上置換されたアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基等が挙げられる。これらは、直鎖状、分岐状、又は環状であってよく、同一分子内に複数のRが存在するときはこれらの組み合わせであってもよい。また、Rは、ヘテロ原子を有する構造単位を含んでいてもよい。そのような構造単位としては、例えばエーテル、エステル、スルフィド等が挙げられる。
【0031】
上記Rで表される基としては、加水分解の容易性の観点から、水素又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、水素、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
【0032】
また、添え字nは0〜3の整数であるが、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは0又は1であり、最も好ましくは1である。nが0〜2の整数である場合には、加水分解・縮合反応の進行がより容易となり、その結果、[A]成分の硬化反応の速度がさらに大きくなり、ひいては当該組成物の現像後の加熱工程における耐メルトフロー性を向上させることができる。
【0033】
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物としては、4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物、1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物、2個の非加水分解性基と2個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物、3個の非加水分解性基と1個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物、又はそれらの混合物を挙げることができる。
【0034】
このような上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の具体例としては、
4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン等;
1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−i−プロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等;
2個の非加水分解性基と2個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等;
3個の非加水分解性基と1個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、トリブチルメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリブチルエトキシシラン等をそれぞれ挙げることができる。
【0035】
これらの上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物のうち、4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物(n=0)、及び1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物(n=1)が好ましく、1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物(n=1)が特に好ましい。この好ましい加水分解性シラン化合物の具体例としては、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。このような加水分解性シラン化合物は、一種単独で使用しても、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解・縮合させる条件は、上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の少なくとも一部を加水分解して、加水分解性基をシラノール基に変換し、縮合反応を起こさせるものである限り、特に限定されるものではないが、一例として以下のように実施することができる。
【0037】
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合に用いられる水は、逆浸透膜処理、イオン交換処理、蒸留等の方法により精製された水を使用することが好ましい。このような精製水を用いることによって、副反応を抑制し、加水分解の反応性を向上させることができる。水の使用量は、上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解性基(−OR)の合計量1モルに対して、好ましくは0.1〜3モル、より好ましくは0.3〜2モル、さらに好ましくは0.5〜1.5モルの量である。このような量の水を用いることによって、加水分解・縮合の反応速度を最適化することができる。
【0038】
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合に使用することができる溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピオン酸エステル類が挙げられる。これらの溶剤の中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又は3−メトキシプロピオン酸メチルが、特に好ましい。
【0039】
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合反応は、好ましくは酸触媒(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸、酸性イオン交換樹脂、各種ルイス酸)、塩基触媒(例えば、アンモニア、1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類、ピリジンなどの含窒素化合物;塩基性イオン交換樹脂;水酸化ナトリウムなどの水酸化物;炭酸カリウムなどの炭酸塩;酢酸ナトリウムなどのカルボン酸塩;各種ルイス塩基)、又は、アルコキシド(例えば、ジルコニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド)等の触媒の存在下で行われる。例えば、アルミニウムアルコキシドとしては、テトラ−i−プロポキシアルミニウムを用いることができる。触媒の使用量としては、加水分解・縮合反応の促進の観点から、加水分解性シラン化合物のモノマー1モルに対して、好ましくは10−6モル以上0.2モル以下であり、より好ましくは0.00001以上0.1モル以下である。
【0040】
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合における反応温度及び反応時間は、適宜に設定される。例えば、下記の条件が採用できる。反応温度は、好ましくは40〜200℃、より好ましくは50〜150℃である。反応時間は、好ましくは30分〜24時間、より好ましくは1〜12時間である。このような反応温度及び反応時間とすることによって、加水分解・縮合反応を最も効率的に行うことができる。この加水分解・縮合においては、反応系内に加水分解性シラン化合物、水及び触媒を一度に添加して反応を一段階で行ってもよく、あるいは、加水分解性シラン化合物、水及び触媒を、数回に分けて反応系内に添加することによって、加水分解及び縮合反応を多段階で行ってもよい。なお、加水分解・縮合反応の後には、脱水剤を加え、次いでエバポレーションにかけることによって、水及び生成したアルコールを反応系から除去することができる。
【0041】
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物の分子量は、移動相にテトラヒドロフランを使用したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、ポリスチレン換算の数平均分子量として測定することができる。そして、加水分解縮合物の数平均分子量は、通常500〜10000の範囲内の値とするのが好ましく、1000〜5000の範囲内の値とするのがさらに好ましい。加水分解縮合物の数平均分子量の値を500以上とすることによって、ポジ型感放射線性組成物の塗膜の成膜性を改善することができる。一方、加水分解縮合物の数平均分子量の値を10000以下とすることによって、感放射線性組成物の感放射線性の低下を防止することができる。
【0042】
[B]成分:金属酸化物粒子
[B]成分の金属酸化物粒子は、本発明の組成物中に含有されることで、得られる硬化物の屈折率を向上させることができる。
【0043】
[B]成分の金属酸化物粒子としては、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属の酸化物粒子であり、この中でもジルコニウム、チタニウム又は亜鉛の酸化物粒子が好ましく、ジルコニウム又はチタニウムの酸化物粒子が特に好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、この金属酸化物粒子としては、上記金属の複合酸化物粒子であってもよい。この複合酸化物粒子としては例えば、ATO(antimoy−tin oxide)、ITO(indium−tin oxide)、IZO(indium−zinc oxide)等が挙げられる。これらの金属酸化物粒子としては、市販のもの、例えば、シーアイ化成(株) ナノテック等を使用することができる。
【0044】
[B]成分の金属酸化物粒子として上記種類の粒子を用いることで、当該感放射線性組成物は、高いパターニング性を有するポジ型の感放射線性特性を発揮することができる。上記種類の金属酸化物粒子を用いることで、ポジ型の感放射線特性を有する理由は定かではないが、例えば、紫外線等の放射線の照射によって上記の金属酸化物粒子の表面が光触媒的に作用し、金属酸化物粒子を覆う[A]成分のシロキサンポリマー等が分解を起こし組成物が溶融するためなどが考えられる。
【0045】
また、上記の好ましい酸化物粒子(ジルコニウム、チタニウム、及び亜鉛)を用いた際にポジ型のパターニング性がさらに高まる理由としては定かではないが、これらの金属酸化物の光触媒能の高さが影響すると考えられる。また、特に好ましい金属として、ジルコニウムやチタニウムを用いた場合は、さらに高い屈折率を得ることができ、また、ポジ型のパターニング性を高めることができる。ジルコニウムやチタニウムを用いることで更に屈折率が高まる理由としては定かではないが、電気陰性度の低さから、粒子内の分極が高く、その結果、屈折率が向上することなどが考えられる。従って、[B]成分の金属酸化物粒子としては、電気陰性度1.7以下の金属の酸化物粒子が好ましく、電気陰性度1.6以下の金属の酸化物粒子が特に好ましい。なお、この電気陰性度はポーリングの値を用いることとする。
【0046】
当該金属酸化物粒子の形状は、特に限定されず、球状でも不定形のものでもよく、中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。また、動的光散乱法で求めた当該金属酸化物粒子の数平均粒子径は5nm以上200nm以下が好ましく、5nm以上100nm以下がさらに好ましく、10nm以上80nm以下が特に好ましい。当該金属酸化物粒子の数平均粒子径が5nm未満であると、硬化膜の硬度が低下するおそれがあり、200nmを超えると硬化膜のヘイズが高くなるおそれがある。
【0047】
当該金属酸化物粒子の配合量としては、特に限定されないが、[A]成分のシロキサンポリマー100質量部に対して、0.1質量部位上50質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下が特に好ましい。金属酸化物粒子の配合量が0.1質量部以下であると、得られる硬化物の屈折率向上性が高くない。逆に、金属酸化物粒子の配合量が100質量部を超えると塗布性が低下し、また、得られる硬化膜のヘイズが高くなるおそれがある。
【0048】
当該金属酸化物粒子の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、10m/g以上1000m/g以下が好ましく、100m/g以上500m/g以下がさらに好ましい。当該金属酸化物粒子の比表面積が上記範囲であることで、上記光触媒的な作用が効果的に発現し、さらに高い所望の感放射線特性が発揮される。
【0049】
[C]成分:感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基発生剤
[C]成分の感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基発生剤は、放射線を照射することにより、[A]成分のシロキサンポリマーを縮合・硬化反応させる際の触媒として作用する酸性活性物質又は塩基性活性物質を放出することができる化合物と定義される。なお、[C]成分を分解し、酸性活性物質のカチオン又は塩基性活性物質のアニオンを発生するために照射する放射線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等を挙げることができる。これらの放射線の中でも、一定のエネルギーレベルを有し、大きな硬化速度を達成可能であり、しかも照射装置が比較的安価かつ小型であることから、紫外線を使用することが好ましい。
【0050】
なお、当該感放射線性組成物によれば、[B]成分の金属酸化物粒子として上記のものを用いることで、[C]成分の感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基発生剤として特定のものを用いることなく、ポジ型の高いパターニング性を発揮することができる。特に、通常、ポジ型のポリシロキサン型感放射線性組成物としては、酸発生剤として、キノンジアジド化合物が多用されるが、当該感放射線性組成物によれば、上述のように[B]成分の金属酸化物粒子として所定のものを用いることで、[C]成分の感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基発生剤を特定のものを用いることなく、ポジ型の高いパターニング性を発揮させることができる。
【0051】
[C]成分の感放射線性酸発生剤としては、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩等のオニウム塩、スルホンイミド化合物が挙げられる。なお、キノンジアジド化合物も放射線によりカルボン酸を発生する感放射線性酸発生剤である。しかし、発生する酸が酸性度の低いカルボン酸であり、縮合・硬化反応させる際の触媒としては十分ではない。従って、[C]成分の感放射線性酸発生剤としては、キノンジアジド化合物以外であることが好ましい。
【0052】
ジフェニルヨードニウム塩の例としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホン酸等が挙げられる。
【0053】
トリフェニルスルホニウム塩の例としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホン酸、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムブチルトリス(2、6−ジフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0054】
スルホニウム塩の例としては、アルキルスルホニウム塩、ベンジルスルホニウム塩、ジベンジルスルホニウム塩、置換ベンジルスルホニウム塩等を挙げることができる。
【0055】
これらのスルホニウム塩としては、
アルキルスルホニウム塩として、例えば4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−4−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−3−クロロ−4−アセトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等;
ベンジルスルホニウム塩として、例えばベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−2−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等;
ジベンジルスルホニウム塩として、例えばジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルジベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−メトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジベンジル−3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等;
置換ベンジルスルホニウム塩として、例えばp−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−ニトロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、p−ニトロベンジル−3−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3,5−ジクロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、o−クロロベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等をそれぞれ挙げることができる。
【0056】
ベンゾチアゾニウム塩の例としては、3−ベンジルベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、3−ベンジルベンゾチアゾニウムテトラフルオロボレート、3−(p−メトキシベンジル)ベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジル−2−メチルチオベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジル−5−クロロベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
【0057】
テトラヒドロチオフェニウム塩の例としては、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム−1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム−2−(5−t−ブトキシカルボニルオキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム−2−(6−t−ブトキシカルボニルオキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4,7−ジブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート等が挙げられる。
【0058】
スルホンイミド化合物の例としては、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド(商品名「SI−105」(みどり化学(株)製))、N−(カンファスルホニルオキシ)スクシンイミド(商品名「SI−106」(みどり化学(株)製))、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド(商品名「SI−101」(みどり化学(株)製))、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド(商品名「PI−105」(みどり化学(株)製))、N−(カンファスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(フェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(商品名「NDI−100」(みどり化学(株)製))、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(商品名「NDI−101」(みどり化学(株)製))、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(商品名「NDI−105」(みどり化学(株)製))、N−(ノナフルオロブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(商品名「NDI−109」(みどり化学(株)製))、N−(カンファスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(商品名「NDI−106」(みどり化学(株)製))、N−(カンファスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(商品名「NAI−105」(みどり化学(株)製))、N−(カンファスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(商品名「NAI−106」(みどり化学(株)製))、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(商品名「NAI−101」(みどり化学(株)製))、N−(フェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(商品名「NAI−100」(みどり化学(株)製))、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ペンタフルオロエチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ヘプタフルオロプロピルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(商品名「NAI−109」(みどり化学(株)製))、N−(エチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(プロピルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ブチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(商品名「NAI−1004」(みどり化学(株)製))、N−(ペンチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ヘキシルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ヘプチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(オクチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ノニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミドなどが挙げられる。
【0059】
これらの感放射線性酸発生剤の中でも、感放射線性組成物の放射線感度及び得られる硬化物の密着性の向上の観点から、トリフェニルスルホニウム塩、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、スルホンイミド化合物が好ましく用いられる。この中でも特に、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホン酸、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4,7−ジブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミドが好ましく用いられる。
【0060】
感放射線性塩基発生剤の例としては、コバルトなど遷移金属錯体、オルトニトロベンジルカルバメート類、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート類、アシルオキシイミノ類などを挙げることができる。
【0061】
遷移金属錯体の例としては、ブロモペンタアンモニアコバルト過塩素酸塩、ブロモペンタメチルアミンコバルト過塩素酸塩、ブロモペンタプロピルアミンコバルト過塩素酸塩、ヘキサアンモニアコバルト過塩素酸塩、ヘキサメチルアミンコバルト過塩素酸塩、ヘキサプロピルアミンコバルト過塩素酸塩などが挙げられる。
【0062】
オルトニトロベンジルカルバメート類の例としては、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジンなどが挙げられる。
【0063】
α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート類の例としては、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジンなどが挙げられる。
【0064】
アシルオキシイミノ類の例としては、プロピオニルアセトフェノンオキシム、プロピオニルベンゾフェノンオキシム、プロピオニルアセトンオキシム、ブチリルアセトフェノンオキシム、ブチリルベンゾフェノンオキシム、ブチリルアセトンオキシム、アジポイルアセトフェノンオキシム、アジポイルベンゾフェノンオキシム、アジポイルアセトンオキシム、アクロイルアセトフェノンオキシム、アクロイルベンゾフェノンオキシム、アクロイルアセトンオキシムなどが挙げられる。
【0065】
感放射線性塩基発生剤のその他の例としては、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、O−カルバモイルヒドロキシアミド、O−カルバモイルヒドロキシアミド等があげられる。
【0066】
[C]成分の感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基発生剤は、酸又は塩基のいずれかが使用され、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。[C]成分の使用量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上20質量部以下、更に好ましくは1質量部以上10質量部以下である。[C]成分の使用量を0.1質量部以上20質量部以下とすることによって、放射線感度、及び形成される硬化物の密着性のバランスが良い、優れた感放射線性組成物を得ることができ、また、塗膜の形成工程において析出物の発生を防止し、塗膜形成を容易にすることが可能となる。
【0067】
[D]成分:分散剤
本発明の感放射線性組成物には、[A]〜[C]成分に加え、[D]分散剤を含有させることが好ましい。当該感放射線性組成物は、[D]分散剤をさらに含有することにより均一に[B]金属酸化物粒子を分散させ、塗布性を高めることができ、得られる硬化膜の密着性を高め、屈折率を偏り無く一様に高めることができる。
【0068】
[D]成分の分散剤としては、ノニオン系分散剤、カチオン系分散剤、アニオン系分散剤等を挙げることができるが、ポジ型の感放射線特性及びパターニング性の向上の観点からは、ノニオン系分散剤が好ましい。当該感放射線性組成物が[D]成分の分散剤としてノニオン系分散剤を用いることで、ポジ型の感放射線特性及びパターニング性が向上する理由は定かではないが、例えば以下のことが考えられる。ノニオン系分散剤は、分極している共有結合部分を備える。[B]成分の金属酸化物粒子は、ノニオン系分散剤の分極している共有結合部分が、放射線及び金属酸化物の光触媒的作用によって切れやすいため、放射線の照射の際にポジ型として組成物の露光部分が溶融し、高いパターニング性を示すと考えられる。
【0069】
このノニオン系分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、エチレンジアミンPO−EO縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又は脂肪酸アルカノールアミドであることが好ましい。
【0070】
ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルとしては、上記式(2)で表されるものが好ましい。上記式(2)で表される分散剤の市販品としては、楠本化成(株)製PLAAD ED151等が挙げられる。当該ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルによれば、金属酸化物粒子の均一分散性をさらに向上させることができる。
【0071】
高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩としては、上記式(3)で表されるものが好ましい。上記式(3)で表される分散剤の市販品としては、楠本化成(株)製PLAAD ED211等が挙げられる。当該高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩によっても金属酸化物粒子の均一分散性をさらに向上させることができる。
【0072】
エチレンジアミンPO−EO縮合物としては上記式(4)で表されるものが好ましい。上記式(4)で表される分散剤の市販品としては、旭電化工業(株)製アデカプルロニックTR−701、TR−702、TR−704等が挙げられる。当該エチレンジアミンPO−EO縮合物によっても、金属酸化物粒子の均一分散性をさらに向上させることができる。
【0073】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、下記式(5)で表されるものが好ましい。
【0074】
【化4】

(式(5)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基である。vは10〜300の整数である。)Rとしては、炭素数1〜12にアルキル基が特に好ましい。上記式(5)で表される分散剤の市販品としては、アデカ(株)製アデカトールTN/SO/UAシリーズ等が挙げられる。
【0075】
ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルとしては、下記式(6)で表されるものが好ましい。
【0076】
【化5】

(式(6)中、Rは炭素数1〜12のアルキル基である。wは10〜300の整数である。)上記式(6)で表される分散剤の市販品としては、アデカ(株)製アデカトールSP/PCシリーズ等が挙げられる。
【0077】
アルキルグルコシドとしては、下記式(7)で表されるものが好ましい。
【0078】
【化6】

(式(7)中、R、R、R、R及びR10は、各々独立して、水素又は炭素数1〜12のアルキル基である。)
【0079】
ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては下記式(8)で表されるものが好ましい。
【0080】
【化7】

(式(8)中、R11は、炭素数1〜20のアルキル基である。R12は、水素又は炭素数2〜13のアシル基である。yは10〜300の整数である。)R11としては、炭素数1〜12のアルキル基が特に好ましい。上記式(8)で表される分散剤の市販品としては、アデカ(株)製アデカエストールOEGシリーズ、アデカエストールTLシリーズ等が挙げられる。
【0081】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、下記式(9)で表されるものが好ましい。
【0082】
【化8】

(式(9)中、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は各々独立して、水素又は炭素数2〜13のアシル基である。)
【0083】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、下記式(10)で表されるものが好ましい。
【0084】
【化9】

(式(10)中、R21は、−(CHCHO)−Hで表される基である。zは、10〜300の整数である。)上記式(10)で表される分散剤の市販品としては、アデカ(株)製アデカエストールSシリーズ等が挙げられる。
【0085】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、下記式(11)で表されるものが好ましい。
【0086】
【化10】

(式(11)中、R22、R23、R24は、各々独立して、水素又は−(CHCHO)−Hで表される基である。kは、10〜300の整数である。)
【0087】
脂肪酸アルカノールアミドとしては、下記式(12)で表されるものが好ましい。
【0088】
【化11】

(式(12)中、R25は、炭素数1〜20のアルキル基である。)R25としては、炭素数1〜12のアルキル基が特に好ましい。上記式(12)で表される分散剤の市販品としては、アデカ(株)製アデカソールシリーズ等が挙げられる。
【0089】
[D]成分の分散剤の配合量としては、特に限定されないが、[B]成分の金属酸化物粒子100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下が好ましく、10質量部以上60質量部以下がさらに好ましい。[D]成分の分散剤の配合量が0.1質量部より小さいと、金属粒子の分散性が低下することによる組成物の塗布性が低下するとともに、パターニング性が低下するおそれがある。逆にこの配合量が100質量部を超えると、ポジ型の感放射線特性が低下するおそれがある。また、分散剤の配合が多すぎることによって、得られる硬化物の密着性が低下するおそれがある。
【0090】
その他の任意成分
本発明の感放射線性組成物は、上記の[A]〜[D]成分に加え、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、さらにその他の任意成分として[E]分散媒、[F]界面活性剤等を含有することができる。
【0091】
[E]成分:分散媒
[E]成分の分散媒は、[B]成分の金属酸化物粒子を均一に分散可能であれば、特に限定されない。[E]成分の分散媒は、[C]成分のノニオン系分散剤を効果的に機能させ、[B]成分の金属酸化物粒子を均一に分散させることができ、分散媒の種類によっては、その他の[A]成分等の溶媒としても機能する。
【0092】
分散媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類を用いることができる。中でも、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。分散媒は一種又は二種以上を混合して用いることができる。
【0093】
[E]成分の分散媒の配合量としては、用途に応じて適宜設定できるが、[B]成分の金属酸化物粒子100質量部に対して、100質量部以上100,000質量部以下が好ましく、200質量部以上10,000質量部以下が特に好ましい。
【0094】
[F]成分:界面活性剤
[F]成分の界面活性剤は、感放射線性組成物の塗布性の改善、塗布ムラの低減、放射線照射部の現像性を改良するために添加することができる。なお、この[F]成分の界面活性剤には、[C]成分のノニオン系分散剤は含まれないものとする。好ましい界面活性剤の例としては、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
【0095】
フッ素系界面活性剤としては、例えば1,1,2,2−テトラフルオロオクチル(1,1,2,2−テトラフルオロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル等のフルオロエーテル類;パーフルオロドデシルスルホン酸ナトリウム;1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフルオロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロデカン等のフルオロアルカン類;フルオロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム類;フルオロアルキルオキシエチレンエーテル類;フルオロアルキルアンモニウムヨージド類;フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル類;パーフルオロアルキルポリオキシエタノール類;パーフルオロアルキルアルコキシレート類;フッ素系アルキルエステル類等を挙げることができる。
【0096】
これらのフッ素系界面活性剤の市販品としては、エフトップEF301、303、352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、172、173(大日本インキ(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC−101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、FTX−218((株)ネオス製)等を挙げることができる。
【0097】
シリコーン系界面活性剤の例としては、市販されている商品名で、SH200−100cs、SH28PA、SH30PA、ST89PA、SH190、SH 8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0098】
[F]界面活性剤を使用する場合の量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上5質量部以下である。[F]界面活性剤の使用量を0.01質量部以上10質量部以下とすることによって、感放射線性組成物の塗布性を最適化することができる。
【0099】
感放射線性組成物
本発明の感放射線性組成物は、上記の[A]成分のシロキサンポリマー、[B]成分の金属酸化物粒子、[C]成分の感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基発生剤、さらに必要に応じて、[D]成分の分散剤、その他の任意成分を所定の割合で混合することで、調製される。通常、当該感放射線性組成物は、[B]成分の金属酸化物粒子と[D]成分の分散剤と、[E]成分の分散媒とを所定の割合で混合し、分散液とした上で、この分散液と、[A]成分のシロキサンポリマー、[C]成分の感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基発生剤、さらに必要に応じて任意成分を混合することで、分散液状態の感放射線性組成物を調製することができる。
【0100】
なお、上記分散液を調整する際の分散は、ペイントシェーカ、SCミル、アニュラー型ミル、ピン型ミル等を用いて通常周速5〜15m/sで、粒径の低下が観察されなくなるまで継続することによって行われるとよい。この継続時間としては、通常数時間である。また、この分散の際に、ガラスビーズ等の分散ビーズを用いることが好ましい。このビーズ径は特に限定されないが、好ましくは0.05〜0.5mm、より好ましくは0.08〜0.5mm、特に好ましくは0.08〜0.2mmである。
【0101】
硬化膜(液晶表示素子用の保護膜、層間絶縁膜若しくはスペーサー、半導体用の保護膜若しくは層間絶縁膜、又はLED用レンズ材等)の形成
次に、上記の感放射線性組成物を用いて、基板上にパターニングされた透明な硬化膜(液晶表示素子用の保護膜、層間絶縁膜若しくはスペーサー、半導体用の保護膜若しくは層間絶縁膜、又はLED用レンズ材等)を形成する方法について説明する。当該方法は、以下の工程を含む。
【0102】
(1)本発明の感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線を照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程
【0103】
(1)感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程
上記工程(1)において、基板上に本発明の感放射線性組成物を塗布した後、好ましくは塗布面を加熱(プレベーク)することにより溶剤を除去して、塗膜を形成する。使用できる基板の例としては、ガラス、石英、シリコン、樹脂等を挙げることができる。樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、環状オレフィンの開環重合体及びその水素添加物等を挙げることができる。
【0104】
組成物分散液の塗布方法としては、特に限定されず、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の方法を採用することができる。これらの塗布方法の中でも、特にスピンコート法又はスリットダイ塗布法が好ましい。プレベークの条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、好ましくは70〜120℃で1〜10分間程度とすることができる。
【0105】
(2)塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程
上記工程(2)では、形成された塗膜の少なくとも一部に露光する。この場合、塗膜の一部に露光する際には、通常、所定のパターンを有するフォトマスクを介して露光する。露光に使用される放射線としては、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用できる。これらの放射線の中でも、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。
【0106】
当該工程における露光量は、放射線の波長365nmにおける強度を、照度計(OAI model356、OAI Optical Associates Inc.製)により測定した値として、好ましくは100〜10,000J/m、より好ましくは500〜6,000J/mである。
【0107】
(3)現像工程
上記工程(3)では、露光後の塗膜を現像することにより、不要な部分(ポジ型の場合は、放射線の照射部分。ネガ型の場合は、放射線の非照射部分。)を除去して、所定のパターンを形成する。現像工程に使用される現像液としては、アルカリ(塩基性化合物)の水溶液が好ましい。アルカリの例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
【0108】
また、このようなアルカリ水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。アルカリ水溶液におけるアルカリの濃度は、適当な現像性を得る観点から、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下とすることができる。現像方法としては、例えば液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法を利用することができる。現像時間は、感放射線性組成物の組成によって異なるが、好ましくは10〜180秒間程度である。このような現像処理に続いて例えば流水洗浄を30〜90秒間行った後、例えば圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、所望のパターンを形成することができる。
【0109】
(4)加熱工程
上記工程(4)では、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用い、パターニングされた薄膜を比較的高温で加熱することによって、上記[A]成分の縮合反応を促進し、確実に硬化物を得ることができる。当該工程における加熱温度は、例えば120〜250℃である。加熱時間は、加熱機器の種類により異なるが、例えば、ホットプレート上で加熱工程を行う場合には5〜30分間、オーブン中で加熱工程を行う場合には30〜90分間とすることができる。2回以上の加熱工程を行うステップベーク法等を用いることもできる。このようにして、目的とする硬化物に対応するパターン状薄膜を基板の表面上に形成することができる。
【0110】
硬化膜(液晶表示素子用の保護膜、層間絶縁膜若しくはスペーサー、半導体用の保護膜若しくは層間絶縁膜、又はLED用レンズ材等)
このように形成された硬化膜は、透明性が高く、また、高い屈折率を有している。本発明の組成物から得られる硬化膜の屈折率としては、各成分の配合比等によって異なるが、1.5以上、さらには1.6以上の高い値を有している。
【0111】
また、このようにパターニング形成された硬化膜は、液晶表示素子用の保護膜、層間絶縁膜若しくはスペーサー、半導体用の保護膜若しくは層間絶縁膜、LED用レンズ材等として好適に用いられる。これらの硬化膜の膜厚としては、好ましくは0.1〜8μm、より好ましくは0.1〜6μm、さらに好ましくは0.1〜4μmである。本発明の感放射線性組成物から形成されたこれらの硬化膜は、下記の実施例からも明らかにされるように透明性及び密着性を備え、かつ高屈折率を有している。
【0112】
また、本発明の感放射線性組成物は、上記のパターニング形成された硬化膜の用途に限らず、例えば、半導体封止用材料、半導体アンダーフィル用材料、回路基材用材料、平坦化材料、回路基板保護用材料、エッチングレジスト用材料、めっきレジスト用材料、又は液晶封止用材料等として使用することができる。これらの硬化膜は、本発明の感放射線性組成物から形成されることで、短時間で得ることができ、また、耐熱性、密着性及び電気絶縁性等に優れている。
【実施例】
【0113】
以下に合成例、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0114】
以下の合成例から得られた加水分解縮合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、下記の仕様によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
【0115】
装置:GPC−101(昭和電工(株)製)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803及びGPC−KF−804(昭和電工(株)製)を結合したもの
移動相:テトラヒドロフラン
【0116】
[合成例1]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル144質量部を仕込み続いて、メチルトリメトキシシラン(MTMS)13質量部、及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)5質量部、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)6質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、イオン交換水7質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、3時間保持した。次いで脱水剤としてオルト蟻酸メチル25質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水及び加水分解縮合で発生したアルコールを除去した。以上により、シロキサンポリマー(A−1)を得た。得られた加水分解縮合体の数平均分子量(Mn)は2,500であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
【0117】
[合成例2]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル144質量部を仕込み続いて、メチルトリメトキシシラン(MTMS)13質量部、及びテトラメトキシシラン(TMOS)11質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、イオン交換水7質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、3時間保持した。次いで脱水剤としてオルト蟻酸メチル25質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水及び加水分解縮合で発生したアルコールを除去した。以上によりシロキサンポリマー(A−2)を得た。得られた加水分解縮合体の数平均分子量(Mn)は2,500であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
【0118】
感放射線性組成物の調製
[実施例1]
[D]成分の分散剤として(D−1)ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル3質量部、[E]成分の分散媒としてメチルエチルケトン90質量部を混合し、ホモジナイザーで撹拌しながら[B]成分の金属酸化物粒子として(B−1)ジルコニウム酸化物粒子(ZrO粒子)7質量部を約10分間にわたって徐々に加えた。粒子添加後約15分撹拌した。得られたスラリーをSCミルを用いて分散し、分散液を得た。
【0119】
[A]成分として合成例で得られたシロキサンポリマーを含む溶液(シロキサンポリマー100質量部(固形分)に相当する量)に、上記分散液100質量部、[C]成分として(C−1)光酸発生剤6質量部、[F]成分として、シリコン系界面活性剤であるSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部加え、感放射線性組成物を調製した。
【0120】
[実施例2〜18及び比較例1〜4]
[A]〜[F]成分の種類及び量を表1及び表2に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にして感放射線性組成物を調製した。なお、表1及び表2中の成分は以下の通りである。
【0121】
(C−1)光酸発生剤:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート
(C−2)光塩基発生剤:2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート
(D−1)ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル:上記式(2)において、p=約9、q=約13、x=約3の化合物
(D−2)アミドアミン塩:上記式(3)において、数平均分子量40,000の高分子ポリカルボン酸のアミドアミン塩(楠本化成(株)製 PLAAD ED211)
(D−3)エチレンジアミンPO−EO縮合物:上記式(4)のエチレンジアミンPO−EO縮合物(旭電化工業(株)製 アデカプルロニックTR−702)
(D−4)ポリオキシエチレンアルキルエーテル:上記式(5)においてRがメチル基、v=約200の化合物
(D−5)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル:上記式(6)において、Rがメチル基、n=約200の化合物
(D−6)アルキルグルコシド:上記式(7)において、R、R、R、R及びR10がn−ブチル基である化合物
(D−7)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル:上記式(8)において、R11がエチル基、R12がアセチル基、y=約200である化合物
(D−8)ショ糖脂肪酸エステル:上記式(9)において、R13〜R20がエチル基である化合物
(D−9)ソルビタン脂肪酸エステル:上記式(10)において、z=約100である化合物
(D−10)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル:上記式(11)においてR22がHで、R23及びR24がk=約100の基である化合物
(D−11)脂肪酸アルカノールアミド:上記式(12)においてR25がヘキシル基である化合物
【0122】
物性評価
上記のように調製した感放射線性組成物を使用し、以下のように当該組成物、硬化膜としての各種の特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0123】
〔感放射性樹脂組成物の塗布性の評価〕
シリコン基板上に、調製した組成物溶液を、スピンナーを用いて塗布した後、ホットプレート上で100℃にて2分間プレベークして塗膜を形成し、シリコン基板上からの膜厚が4μmの膜を形成した。
【0124】
膜表面をナトリウムランプにて照らし、目視にて塗布膜面を確認した。筋状ムラ、モヤムラ(雲状のムラ)がはっきりと確認できた場合は×、僅かに確認できた場合は△、殆ど確認できなかった場合は○と表記する。
【0125】
〔感放射線性組成物のパターニング性の評価〕
上記にて得られた塗膜に対し、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い、6.0μmのライン・アンド・スペース(1対1)のパターンを有するマスクを介して露光時間を変化させて露光を行った後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃、80秒間、液盛り法で現像した。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、乾燥させてシリコン基板上にパターンを形成した。パターンを形成後、露光部分がパターン形成されていれば、ネガ型であり、未露光部分がパターン形成されていれば、ポジ型と判断できる。また、パターンが極めて明瞭に形成された場合を◎、明瞭なものを○、やや不明瞭なものを△、不明瞭なものを×としてパターニング性を評価した。なお、表中、パターンが不明瞭なものについてポジ型かネガ型か判断できないものについては、「−」で示した。
【0126】
〔硬化膜の光線透過率(透明性)の評価〕
上記「パターニング性の評価」においてシリコン基板の代わりにガラス基板(「コーニング7059」(コーニング社製))を用いたこと以外は同様にして、ガラス基板上に塗膜を形成した。その後、クリーンオーブン内にて220℃で1時間加熱することにより硬化膜を得た。この硬化膜が形成されたガラス基板の光線透過率を、分光光度計「150−20型ダブルビーム」((株)日立製作所製)を用いて400〜800nmの範囲の波長で測定した。最低光線透過率が92%以上の時、光線透過率は良好であると言える。なお光線透過率の評価においては、形成する膜のパターニングは不要のため、現像工程を省略し、塗膜形成工程、放射線照射工程及び加熱工程のみ行い評価に供した。
【0127】
〔硬化膜の屈折率の評価〕
アッベ屈折計を用いて、上記「硬化膜の光線透過率(透明性)の評価」の方法によって得られた硬化膜の25℃、633nmの光線における屈折率を測定した。
【0128】
〔硬化膜のITO(インジウムスズ酸化物)基板への密着性の評価〕
ITO付基板を用いた以外は、「光線透過率の評価」と同様に硬化膜を形成し、プレッシャークッカー試験(120℃、湿度100%、4時間)を行った。その後、JIS K−5400−1990の8.5.3付着性碁盤目テープ法を行い、碁盤目100個中で残った碁盤目の数を求め、保護膜のITO密着性を評価した。碁盤目100個中で残った碁盤目の数が80個以下の場合ITO密着性は不良と言える。
【0129】
【表1】

【0130】
【表2】

【0131】
表1及び表2の結果から明らかなように、[A]〜[C]成分を含む実施例1〜18の感放射線性組成物はパターニング性に優れ、ポジ型の感放射線特性を示し、また、得られた硬化膜は高い屈折率及び密着性を有していた。特に、[D]成分としてノニオン系分散剤を含む実施例1〜17の組成物は、極めて高いパターニング性を有し、塗布性にも優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の感放射線性組成物は、上述のように、高い塗布性及びパターニング性を有し、得られた硬化物は高い透明性及び密着性に加え、高い屈折率を備えている。従って、本発明の感放射線性組成物は、液晶表示素子用の保護膜、層間絶縁膜若しくはスペーサー、半導体用の保護膜若しくは層間絶縁膜、LED用レンズ材等として使用することができる。また、本発明の感放射線性組成物は、さらには、半導体封止用材料、半導体アンダーフィル用材料、回路基材用材料、平坦化材料、回路基板保護用材料、エッチングレジスト用材料、めっきレジスト用材料、液晶封止用材料等として使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A]シロキサンポリマー、
[B]金属酸化物粒子、及び
[C]感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基発生剤
を含有し、
上記[B]金属酸化物粒子が、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属の酸化物粒子である感放射線性組成物。
【請求項2】
[A]シロキサンポリマーが、下記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物である請求項1に記載の感放射線性組成物。
(R−Si−(OR4−n (1)
(式(1)中、Rは、各々独立に、水素又は炭素数1〜20の非加水分解性の有機基である。Rは、各々独立に、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基又は炭素数6〜15のアリール基である。nは0〜3の整数である。)
【請求項3】
[D]分散剤をさらに含有する請求項1又は請求項2に記載の感放射線性組成物。
【請求項4】
[D]分散剤が、下記式(2)、式(3)若しくは式(4)で表される化合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又は脂肪酸アルカノールアミドである請求項1、請求項2又は請求項3に記載の感放射線性化合物。
【化1】

(式(2)中、Rは、各々独立に、C2q+1−CHO−(CHCHO)−CHCHO−である。pは8〜10、qは12〜16、xは1〜3の整数である。)
【化2】

(式(3)中、r及びsは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められたポリスチレン換算数平均分子量が、10,000〜40,000となるように選択される数である。)
【化3】

(式(4)中、t及びuは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められたポリスチレン換算数平均分子量が1,000〜30,000となるように選択される数である。)
【請求項5】
硬化膜を形成するために用いられる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
【請求項6】
(1)請求項5に記載の感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線を照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程
を含む硬化膜の形成方法。
【請求項7】
請求項5に記載の感放射線性組成物から形成された硬化膜。

【公開番号】特開2011−128469(P2011−128469A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288504(P2009−288504)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】