説明

感染予防治療剤、抗エンドトキシン剤、ワクチンアジュバント剤および成長促進剤

【課題】ヒト又は動物において安全かつ有効である、感染予防治療剤、抗エンドトキシン剤、ワクチンアジュバント剤および成長促進剤の提供。
【解決手段】甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体としてのイオン交換樹脂を充填したカラムでの親和力の差を利用したカラムクロマトグラフィー処理により分離して得られる画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分である治療剤及びこれらを含食品および飼料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト又は動物のための感染予防治療剤、抗エンドトキシン剤、ワクチンアジュバント剤及び成長促進剤に関する。
本発明はまた、ヒト又は動物の感染を予防治療する食品又は飼料に関する。
本発明はまた、ヒト又は動物のエンドトキシンによる疾患を予防治療する食品又は飼料に関する。
本発明はまた、ヒト又は動物のワクチンに関するアジュバント作用を有する食品又は飼料に関する。
本発明はまた、ヒト又は動物の成長を促進する食品又は飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、免疫学の進歩により、ヒト及び動物の種々の疾患あるいは感染症の多くは、免疫機能の低下乃至は免疫機能の不全が原因と考えられるようになっている。
【0003】
例えばヒトの場合、気管支喘息、アレルギー疾患、関節リウマチ、自己免疫疾患、栄養障害、外科手術、高齢化、癌、臓器移植、妊娠等により多くの場合免疫機能が低下乃至は不全になり、呼吸器感染症、敗血症、尿路感染症等の感染症を併発する。従来、このような疾患や感染症に関しては各種抗生物質が投与されている。しかしながら、抗生物質は継続的に投与すると、耐性菌の発生により特定の抗生物質の効力が減弱して、最近クローズアップされている院内感染の問題も起きている。このようなことから抗生物質のみに依存するのではなく、その使用量を減らし、免疫機能そのものを高めることにより感染の予防治療を行う薬品もしくは食品の開発が望まれている。
【0004】
一方、畜水産業界においては、家畜、家禽又は養殖魚を効率よく飼育するために、大規模飼育、過密飼育が行われているが、このような飼育形態が原因となるストレスや、幼若期における免疫不全により各種感染症が多発するという問題がある。その対策として病気の治療、予防のための抗生物質の大量投与が採用されている。しかし、抗生物質の大量投与を行うと、今度は抗生物質の残留や耐性菌の増加、耐性菌による病気の発生により、より多くのまたは別の種類の抗生物質を投与する必要が出てきている。
【0005】
また、これまでに知られている感染予防治療剤は、一般に単一成分もしくは類似構造を持つ複数の成分を有効成分とし、その成分を抽出、濃縮もしくは合成することにより剤を得る。従って、その長期摂取あるいは多量摂取による副作用の心配があった。
【0006】
従来、免疫賦活作用を有し、感染を防御する物質がいくつか探索されている。納豆菌、ビフィズス菌、クロストリジウムの一部の細菌についても免疫賦活作用があることが知られている。また、卵白(特開平3−251573号公報)、卵白、菌及びニンニクの2種以上の組み合わせ(特表平8−509211号公報)、刺梨、ヨモギ及びキャベツより選ばれる1種又は2種以上の組み合わせ(特開平6−116158号公報)、甘草成分(特開平9−143085号公報)の免疫賦活作用または感染防御作用が報告されている。
【0007】
バガスは、椎茸、霊芝、フクロタケ、エノキダケ、マッシュルーム等のキノコの培地として用いることができることが知られている。また、担子菌の抽出物を有効成分とした抗ウイルス剤(特開平2−286623号公報、特開平4−66536号公報)、バガス及び米糠を含有する培地に椎茸菌を培養して得られた培養物の水性抽出物から分画精製した抗ウイルス物質(特開平5−4929号公報)が報告されている。
【0008】
バガスを培地として担子菌を培養し、担子菌類が生産した多糖及びサイトカイニン系活性物質を有効成分とする抗ウイルス剤が知られている(特開昭55−157517号公報)。ところが後に同じ発明者が、バガスに酵素を作用させて又はバガスを煮沸して抽出した多糖及び水溶性リグニンの両者を必須の有効成分とする抗動物ウイルス剤を特許出願した(特開昭57−106624号公報)。しかし、酵素を作用させて抽出して得た分子量10,000〜50,000の多糖及び分子量50,000〜100,000の水溶性リグニンを有効成分とする剤についての実施例のデータは、上記特開昭55−157517号公報のデータと同じである。バガスから煮沸抽出で得た成分についての抗ウイルス実験のデータは記載されていない(なお、後の無効審判の過程で、煮沸抽出についての抽象的記述がすべて削除された)。従って、特開昭57−106624号公報の内容は、特開昭55−157517号公報の内容と実質的に同じであり、それ以上の知見を与えるものではない。このように、従来より椎茸、霊芝などの担子菌類を含むキノコには様々な生理活性があることが知られており、健康食品素材として一般的に用いられている。バガスを培地として培養したこれらのキノコの抽出物のうち、抗ウイルス効果を有することが知られているものがあるが、このような抽出のために担子菌の菌糸体あるいはキノコ、あるいはそれらが生成する酵素が必須である。
【0009】
さて、上記の通り感染症、特に細菌による感染症が発生すると、一般的に抗生物質が投与される。このような場合、特に感染した細菌数が一定数以上に増加した段階で抗生物質を投与すると、細菌が一気に死滅することにより、細菌の内部に存在するエンドトキシンが宿主内に移動し、ショック症状(エンドトキシンショック)を起こす場合がある。また、抗生物質によるエンドトキシンの急激な血中への移行以外の場合でも、細菌又はそのエンドトキシンが血中を循環し敗血症や敗血症性ショックを引き起こす場合がある。このようなエンドトキシンによる疾患を予防又は治療するために、これまでいくつかの抗エンドトキシン剤が報告されている。
【0010】
抗エンドトキシン剤又はエンドトキシンによる疾患の治療法として、抗体を使用する方法(特表昭61−500355号公報、特表平4−506447号公報、特開平2−104534号公報、特開平2−134329号公報、特開平6−62844号公報、特表平6−501931号公報など)があり、またトロンビン阻害剤であるヒルジンを利用する方法(特開平6−165691号公報)、変性C反応性蛋白を利用する方法(特表平7−501545号公報)、1,4−チアジン誘導体を使用する方法(特開昭63−301876号公報)、ヘテロ環状誘導体を使用する方法(特開平3−240779号公報)、タウリンを有効成分とする抗内毒素剤(特開平10−158158号公報)、新規化合物を使用する方法(特開平5−194470号公報)などが報告されている。
【0011】
近年、ワクチンの添加物として免疫アジュバントが、ワクチンの抗原性増強に重要な役割を果たすものと注目されている。特に不活化ワクチンの場合には、効果の発現が不安定であるため、アジュバントの投与が不可欠なものとなっている。
【0012】
現在、ヒトや動物の臨床の場で用いられているアジュバントは、ごま油、菜種油などの植物油、フロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント等の鉱物オイル、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム等、いずれもワクチンと共に局所で使用されるものである。
【0013】
従来、ワクチンアジュバント剤について、いくつかの研究がなされている。通常、アジュバント剤はワクチンと混合し、注射または経口により投与されるが、より安全で自然なアジュバント効果を期待するため、天然物起源の経口アジュバントに関するいくつかの報告がなされている。
【0014】
経口アジュバント剤としては、小青竜湯を有効成分とするインフルエンザウイルスワクチンに対するアジュバント剤(特開平7−173069号公報)、NaFを有効成分とする鳥類用経口アジュバント(特開平10−59869号公報)、突然変異エンテロトキシンを有効成分とする経口アジュバント(特表平10−505059号公報)などが報告されている。また、植物由来のアジュバント剤としては、植物起源の脂肪油を含む特定の脂質エマルジョン系、精製無毒化エンドトキシンおよびトレハロースジミコレートからなる多糖類ワクチン用アジュバント剤(特開昭63−22029号公報)、合成疎水性リポ多糖および植物起源の界面形成成分を含有するアジュバント組成物(特開平05−255117号公報)、アロエから抽出したアセマンナンをアジュバントとして含有するワクチン(特表平7−506565号公報)などが報告されている。
【0015】
また、無毒化毒素(変異型コレラトキシン、変異型易熱性毒素)やサイトカインIL-12)を応用する研究も進められている(実験医学、17、p199、1999)。
【0016】
また、畜水産業においては、家畜、魚介類およびエビを短期間に成長させ出荷できるようにすること、及び通常は体が小さく虚弱なため出荷できる状態まで成長しないと考えられる虚弱な家畜及び魚介類を成長させ、生産効率を上げることが望まれている。このような生産効率の改善を目的として、飼料効率を上げて成長させること、飼料の嗜好性を向上させ本来家畜・魚介類等があまり好まないが安価である飼料を有効な飼料として用いるようにすること、及び通常は育たないであろうと考えられる体が小さいことから虚弱である家畜・魚介類等を出荷できるまで成長させること等を目的とした研究が多数なされている。
【0017】
従来、家畜の体重を増加させる方法として、大豆、トチュウ、ウコギ、動物胆を含有する動物飼料添加剤(特開平7−313070号公報)、ビール酵母とエタノールの混合物を用いる方法(特開昭48−61266号公報)、抗生物質のマルチオマイシンを用いる方法(特開昭52−54013号公報)、チタン錯体を用いる方法(特開昭58−76050号公報)、グロブリン含有物を使用する方法(特開昭61−132143号公報)、カルバゼートを用いる方法(特開昭61−145156号公報)が報告されている。家畜の成長を促進させる方法として、β−フェネタノールアミン類を用いる方法(特開昭59−155343号公報)、上皮細胞成長因子を用いる方法(特開昭62−240625号公報)、モルホリン誘導体を用いる方法(特開平1−6262号公報)、ホルスコリンを用いる方法(特開平1−320956号公報)が報告されている。飼料要求率を減少させることにより家畜の体重増加効率を向上させる方法として、果実酢を用いる方法(特開昭48−103364号公報)、ブタプロラクチンを用いる方法(特開平1−230531号公報)、溶菌酵素生成物とプロテアーゼを用いる方法(特開平2−207756号公報)が報告されている。家畜飼料の嗜好性を向上させることにより体重を増加させる方法として、ヘキサノール又はヘキサナールを用いる方法(特開平7−313067号公報)が報告されている。また、下痢などの疾病を減少させることにより成長及び体重増加を効率化する方法として、フラクトオリゴ糖を用いる方法(特開昭60−34134号公報)、イヌロオリゴ糖を用いる方法(特開昭61−40754号公報)、ガラクトシル二糖を使用する方法(特開平4−360652号公報)、特定のβ−1,3−グルカンを主鎖とする多糖を使用する方法(特開平7−50999号公報)、また夾膜を除去した菌体を有効成分とする体重増加及び免疫増強剤(特開平2−11519号公報)、スベリヒユを含有する飼料により免疫を増強させかつ体重を増加させる方法(特開平6−141784号公報)が報告されている。
【0018】
感染予防治療効果、抗エンドトキシン効果、ワクチンアジュバント効果はどれも免疫に関連しているが、これらの作用機構は異なり、感染予防治療剤が必ずしも抗エンドトキシン剤あるいはワクチンアジュバント剤になりうるわけではない。感染予防治療効果は感染症を引き起こすウイルスや細菌に対する効果であり、細菌の産生するエンドトキシンに対する効果とは異なるものである。また、高い感染予防治療効果を有するものは、ワクチンの抗体価を上げる場合もあるが、ワクチンと共存する場合に弱毒化ワクチンを攻撃し、ワクチンの効果をなくしてしまう場合もある。また、抗エンドトキシン効果とワクチンアジュバント効果は対象も作用機構も異なる効果である。従って、従来これらの効果を併せ持つ天然素材は報告されていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来報告されてきた天然の感染予防治療剤および抗エンドトキシン剤は、効力を示すには高濃度の経口投与が必要であったり、効力を発揮する添加量を食品や飼料に加えるとそれ自体の味、におい、風味が強く、食品や飼料の味やにおいに影響を与えたり、価格が上がるなどの理由で使用範囲が限られていた。従って、広範囲の食品や飼料に添加可能な味やにおいを有し、わずかな投与量で感染症の予防治療効果を示す、安価な天然素材が望まれている。従来報告されてきた天然の感染予防治療剤及び抗エンドトキシン剤は、ある特定成分を有効成分とするものが多く、その長期摂取あるいは多量摂取による副作用の心配があった。このようなことから、わずかな投与量で感染症の予防治療効果を示す天然素材の中でも、複数の有効成分を含む、より天然に近いものが望まれている。
【0020】
また、従来報告されてきたワクチンワクチンアジュバント剤としては、化合物アジュバント、無機アジュバント、生物的アジュバントなどがあり、これらは、精製された化合物、無機物、あるいは細菌の生産するエンテロトキシンやエンドトキシンなどを無毒化したものであった。従来用いられているアジュバントは、効果の発現が不安定であり、IgEを産生すると言う副作用が発現する場合もあった。しかし最近は、天然のより安全性の高いアジュバントを望まれるようになり、また経口投与により効果が発揮されるものが特に望まれている。
【0021】
また、従来報告されてきた成長促進剤には化学物質を用いたもの、植物体又はその抽出物を用いたもの、酵母などの微生物を用いたもの、植物脱脂大豆などの廃棄物を用いたもの、酵素その他のタンパク質や細胞中に含まれる生理活性を持つ物質など様々なものがあったが、安価で簡便に得られる天然素材の成長促進剤はほとんど存在しなかった。
【0022】
本発明は、ヒト又は動物において安全かつ有効な、感染予防治療剤、エンドトキシンショックに対する予防治療剤(抗エンドトキシン剤)、ワクチンアジュバント剤、および成長促進剤を提供することを目的とする。
【0023】
本発明はまた、このような感染予防治療剤、抗エンドトキシン剤、ワクチンアジュバント剤あるいは成長促進剤を含む食品または飼料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者らは、上記の問題点に鑑み、ヒトあるいは動物に安全な、また低コストで製造できる感染予防治療効果、抗エンドトキシン効果、ワクチンアジュバント効果、あるいは成長促進効果を有する食品について鋭意検討を重ねてきたが、古来食品として使用されている甘蔗を処理して得られるエキスが、細菌あるいはウィルス等に対する感染予防治療効果、抗エンドトキシン効果、ワクチンアジュバント効果、及び成長促進効果を発揮することを見出し、本発明を完成した。
【0025】
すなわち本発明は、甘蔗由来のエキスを有効成分とする感染予防治療剤、抗エンドトキシン剤、ワクチンアジュバント剤、及び成長促進剤である。
【0026】
本発明は特に、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分を有効成分とする感染予防治療剤、抗エンドトキシン剤、ワクチンアジュバント剤、及び成長促進剤である。
【0027】
あるいは、本発明は、甘蔗由来のバガスを原料とし、水、親水性溶媒、またはこれらの混合液を用いて抽出して得られるエキスを有効成分とする感染予防治療剤、抗エンドトキシン剤、ワクチンアジュバント剤、及び成長促進剤である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、甘蔗由来のエキスをヒト又は動物に例えば経口的に与えることにより、ヒト又は動物に対する細菌及びウイルス等による感染を予防治療することができ、またエンドトキシンによる疾患も予防することができる。また、甘蔗由来のエキスは、ヒト又は動物に例えば経口的に与えることにより、ワクチンアジュバントとして作用し、また成長を促進することができる。しかも、甘蔗由来のエキスは植物由来であり、古来より、ヒトが黒糖などの含蜜糖として食してきた天然物であるため、ヒト及び動物の健康を害することなく安全で、しかも低コストである。また、天然物であるにもかかわらずその感染予防治効果、抗エンドトキシン効果、ワクチンアジュバント効果、および成長促進効果は高く、少量で作用するため、産業上非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】製造例1で行ったカラムクロマトグラフィーにおける溶出パターンを示す図。
【図2】製造例2で行ったカラムクロマトグラフィーにおける溶出パターンを示す図。
【図3】製造例6で行ったイオン交換樹脂を用いた分離により得た画分の吸光度、電気伝導度及び糖濃度を示すグラフ。
【図4】試験例4における製造例3のエキスのゲル濾過の溶出パターンを示すグラフ。
【図5】試験例4における製造例5のエキスのゲル濾過の溶出パターンを示すグラフ。
【図6】試験例4における分子量マーカーのゲル濾過の溶出パターンを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書において、「感染予防治療剤」とは、細菌あるいはウイルスなどに対する感染を予防あるいは治療する効果を有するものである。そのような効果とは、具体的には、免疫調節効果による感染予防効果、その他の機構による感染を予防又は治療する効果を包含する。
【0031】
また本明細書において、「抗エンドトキシン効果」とは、エンドトキシンによる疾患を予防治療する効果を包含し、エンドトキシンショックや敗血症による死亡を減少させる効果、及び歯周病細菌のエンドトキシンによる口腔疾患をも包含する。さらに、ラジカルスカベンジャーとしての効果や炎症性サイトカインの抑制効果も期待できる。
【0032】
本明細書において、「ワクチンアジュバント作用」または「ワクチンアジュバント効果」とは、抗原の作用を高める効果で、免疫応答を増強する免疫促進効果である。具体的には、ワクチンを投与する前あるいは後の特定の期間に投与することにより、ワクチンの抗体価を上昇させ、ワクチンの投与効果を高める効果である。
【0033】
また本明細書において、「成長促進効果」とは、幼齢期のヒト又は動物の成長を促進する効果、及びやせたヒト又は動物の体重を増加させる効果を包含する。なお、本明細書においては、成長促進効果と体重増加促進効果とは特に区別せず、同義としている。
【0034】
本発明において、動物とはヒト以外の脊椎動物を意味し、哺乳類、鳥類および魚類を含む。例えばウシ、ブタ、ウマ等の家畜、ニワトリ、ウズラ等の家禽、ハマチ、タイ、ヒラメ、フグ、カンパチ、アユ、ウナギ、マス、コイ、金魚等の魚類、イヌ、ネコ等のコンパニオン・アニマルが挙げられる。
【0035】
本発明において、甘蔗由来のエキスとは、甘蔗を原料として得られたエキスである。
【0036】
1の実施態様においては、甘蔗由来のエキスは、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料(以下で、単に原料ということがある)を固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理して得られる画分である。さらに好ましくは、原料を、固定担体としての合成吸着剤を充填されたカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタノールおよびこれらの混合物から選ばれる溶媒で溶出することによって得られる画分、あるいは原料を、固定担体としてのイオン交換樹脂が充填されたカラムでの親和力の差を利用したカラムクロマトフラフィー処理により分離して得られる画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分である。波長420nmの光を吸収する画分を電気透析処理に付して塩分を低減、好ましくは塩分を除去することが好ましい。
【0037】
従来、甘蔗由来の原料、中間製品及び製品の色価の評価は、波長420nmの光の吸光度により行われている。この吸光度は、サンプルのpHにより若干影響されるので、通常、pHを中性付近に調整してから吸光度を測定している。本発明において、吸光度は、サンプルのpHを6〜8の範囲に調整した後に測定されるものとする。実施例にあるように、得られた画分の凍結乾燥粉末0.25gを0.5mMリン酸バッファー(pH7.5)で溶解して全量を100mlにし、1cmセルを用いて波長420nmでの吸光度を測定したとき、吸光度が0.8以上の画分に本発明の高い効果が認められる。しかし、波長420nmの吸光度は甘蔗由来の色素の量を示す値であって有効成分自体の量を示す値であるかどうかは不明であること、また原料となる甘蔗の産地や種類により甘蔗自体に含まれる色素の絶対量が異なることから、異なる甘蔗に由来する種々のエキスの間で効果と吸光度が必ずしも比例関係にあるわけではない。1つの原料から得られる複数の画分の吸光度を測定し、相対的に吸光度が高い画分が本発明の画分である。
【0038】
固定担体として合成吸着剤をカラムに充填してカラムクロマトグラフィーを行う場合は、本発明の効果の有効成分の合成吸着剤に対する親和性が非常に強いため、原料をカラムに通液したとき有効成分が合成吸着剤に吸着される。その後、溶媒で溶出を行うと、合成吸着剤に吸着された成分が脱着され溶出される。一方、固定担体としてイオン交換樹脂を用いた場合には、本発明の効果の有効成分と樹脂との親和性は吸着ほど強いわけではない。有効成分とその他の成分のイオン交換樹脂に対する親和性の強さに差がある。原料をカラムに供給し、その後溶離液として水を流すことにより、有効成分とその他の成分の溶出速度の違いに基づいて両者を分離することができる。
【0039】
あるいは、別の実施態様においては、甘蔗由来のエキスは、甘蔗由来のバガスを水、親水性溶媒、およびこれらの混合液より選ばれた溶液で抽出することにより得られるエキスであり、更に好ましくは、甘蔗から糖汁を圧搾した残渣であるバガスを、水、親水性溶媒、及びこれらの混合物から選ばれる溶媒で抽出することにより得られるエキスである。
【0040】
ここで、本発明における甘蔗汁は、甘蔗(サトウキビ)を圧搾して得られる圧搾汁、甘蔗を水で浸出して得られる浸出汁、または原糖製造工場における石灰処理した清浄汁、濃縮汁を包含する。
【0041】
本発明における甘蔗の溶媒抽出液とは、甘蔗を汎用の有機溶媒で抽出した抽出液を濃縮、乾固後、水に再溶解した抽出液等を意味する。直上の有機溶媒としては、例えばメタノールやエタノールなどのアルコール類が挙げられ、これらを単独でも組み合わせて使用しても良い。さらに、これらの溶媒と水を組み合わせて使用しても良い。
【0042】
本発明における甘蔗由来の糖蜜とは、結晶化工程で得られた砂糖結晶と母液の混合物を遠心分離にかけ、砂糖結晶と分離して得られる振蜜を意味し、例えば、原糖製造工場における1番蜜、2番蜜、製糖廃蜜、および精製糖製造工場における洗糖蜜、1〜7番蜜、精糖廃蜜等が挙げられる。また、これらの糖蜜を原料としてアルコール発酵を行った分離液のように、糖蜜を脱糖処理したものも同様に用いることができる。
【0043】
また本発明において、バガスとは典型的には原糖工場における製糖過程で排出されるバガスをいう。なおここでいう原糖工場における製糖過程で排出されるバガスには、最終圧搾機を出た最終バガスだけではなく、第1圧搾機を含む以降の圧搾機に食い込まれた細裂甘蔗をも含む。好ましくは、原糖工場において圧搾工程により糖汁を圧搾した後に排出されるバガスを用いる。圧搾工程より排出されるバガスは、甘蔗の種類、収穫時期等により、その含まれる水分、糖分、及びその組成比が異なるが、本発明においては、これらのバガスを任意に用いうる。また、原糖工場と同様に、例えば、黒糖工場において排出される甘蔗圧搾後に残るバガスを使用しても良い。あるいは、実験室レベルの小規模な実施では、甘蔗から糖液を圧搾した後のバガスを用いてもよい。
【0044】
このような甘蔗由来のエキスは、より具体的にはたとえば次のようにして得ることができる。
【0045】
まず、カラムクロマトグラフィー処理により得る方法について述べる。
【0046】
甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液又は甘蔗由来の糖蜜(以下、単に原料ということがある)を、固定担体を充填したカラムに通液する。上記原料は、そのまま、又は水で任意の濃度に調整して、用いることができる。なお異物除去のために、カラムで処理する前に、原料をろ過することが望ましい。ろ過の手法は特に限定されず、食品工業で広く使用されているスクリーンろ過、ケイソウ土ろ過、精密ろ過、限外ろ過等の手段を好ましく使用できる。
【0047】
固定担体としては、合成吸着剤及びイオン交換樹脂が好ましい。
【0048】
まず、固体担体として合成吸着剤を用いる方法の好ましい態様は、以下の通りである。合成吸着剤としては、好ましくは有機系樹脂を用いることができ、例えば、芳香族系樹脂、アクリル酸系メタクリル樹脂、アクリロニトリル脂肪族系樹脂等が使用できる。さらに好ましくは芳香族系樹脂であり、特に無置換基型の芳香族系樹脂が使用できる。合成吸着剤として、例えばスチレン−ジビニルベンゼン系樹脂の芳香族系樹脂などが使用でき、芳香族系樹脂としては、例えば疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、無置換基型の芳香族系樹脂、無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂等の多孔性樹脂が使用できる。より好ましくは無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂が使用できる。そのような合成吸着剤は市販されており、例えばダイヤイオン(商標)HP−10、HP−20、HP−21、HP−30、HP−40、HP−50(以上、無置換基型の芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);SP−825、SP−800、SP−850、SP−875、SP−70、SP−700(以上、無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);SP−900(芳香族系樹脂、商品名、三菱化学株式会社製);アンバーライト(商標)として、XAD−2、XAD−4、XAD−16、XAD−2000(以上、芳香族系樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);ダイヤイオン(商標)SP−205、SP−206、SP−207(以上、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);HP−2MG、EX−0021(以上、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);アンバーライト(商標)系として、XAD−7、XAD−8(以上、アクリル酸系エステル樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);ダイヤイオン(商標)HP1MG、HP2MG(以上、アクリル酸系メタクリル樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);セファデックス(商標)系としてLH20、LH60(以上、架橋デキストランの誘導体、いずれも商品名、アマシャム ファルマシア バイオテク株式会社製)などが挙げられる。中でも、SP−850が特に好ましい。
【0049】
固定担体の量は、カラムの大きさ、溶媒の種類、固定担体の種類などによって変化する。原料の固形分に対して、0.01〜5倍湿潤体積量が好ましい。
【0050】
原料を上記カラムに通すことにより、原料中の本発明の効果を有する成分は固定担体に吸着され、蔗糖、グルコース、フラクトースおよび無機塩類の大部分がそのまま流出する。
【0051】
固定担体に吸着された成分を、溶媒により溶出する。ここで、本発明の効果を有する成分を効率よく溶出するには、その前に残留する蔗糖、グルコース、フラクトースおよび無機塩類を水洗により充分に洗い流すことが好ましい。これにより、吸着されている目的の効果を有する成分をより効率よく回収することができる。溶出溶媒は、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物から選ばれる。溶出溶媒は水とアルコールの混合溶媒、特にエタノール−水混合溶媒が好ましく、更に、室温において効率よく目的の効果を有する成分を溶出できるので、50/50〜60/40(体積/体積)エタノール−水混合溶媒が好ましい。更に、カラム温度を上げることにより、エタノール−水混合溶媒のエタノール混合比を減らすことができ、目的とする本発明の効果を有する成分を溶出することができる。この場合、カラム内は常圧もしくは加圧された状態である。このように、本発明の効果を有する成分は、前記溶媒で溶出される画分に存在する。溶出速度はカラムの大きさ、溶媒の種類、固定担体の種類等によって変化するので特に限定されないが、SV=0.1〜10hr−1が好ましい。なお、SV(Space Velocity、空間速度)は、1時間あたり樹脂容積の何倍量の液体を通液するかという単位である。
【0052】
前記本発明の効果を有する成分は、好ましくは次のようにして得ることができ、しかし下記に限定されない。すなわち、原料の固形分に対して0.01〜5倍湿潤体積量の無置換基型の芳香族系樹脂を充填したカラムに、カラム温度60〜97℃にて原料を通液した後、カラム内を水洗し、次いでカラムに吸着されている成分を、カラム温度20〜40℃にて50/50〜60/40(体積/体積)エタノール−水混合溶媒で溶出させ、溶出開始時点から集めた溶出液の量が前記樹脂の4倍湿潤体積量以内に溶出する画分を回収する。
【0053】
一方、固定担体としてイオン交換樹脂を用いる方法の好ましい態様は、以下の通りである。
【0054】
イオン交換樹脂は、イオン交換の性質の観点から、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とに分類されるが、本発明では好ましくは陽イオン交換樹脂が使用できる。さらに好ましくは強酸性型、ナトリウムイオン型またはカリウムイオン型の陽イオン交換樹脂が使用できる。またイオン交換樹脂は、樹脂の形態の観点からは、ゲル型樹脂と、ポーラス型、マイクロポーラス型、ハイポーラス型などの多孔性樹脂とに分類されるが、本発明では好ましくはゲル型のイオン交換樹脂が使用できる。さらに好ましくは、強酸性型、ナトリウムイオン型またはカリウムイオン型であるゲル型の陽イオン交換樹脂が使用できる。そのようなイオン交換樹脂は市販されており、例えばダイヤイオン(商標)系としてSK1B、SK104、SK110、SK112、SK116(いずれも商品名、三菱化学株式会社)、UBK530、UBK550(クロマト分離用、いずれも商品名、三菱化学株式会社)、アンバーライト(商標)系として、アンバーライトIR120B、IR120BN、IR124、XT1006、IR118、アンバーリスト31、クロマトグラフ用アンバーライトCG120、CG6000(いずれも商品名、オルガノ株式会社)、ダウエックス(商標)系として、HCR−S、HCR−W2、HGR−W2、モノスフィアー650C、マラソンC600、50W×2、50W×4、50W×8(いずれも商品名、ダウ・ケミカル日本株式会社)、ムロマック50WX(商品名、室町化学工業株式会社)、ピュロライト(商標)系として、C−100E、C−100、C−100×10、C−120E、PCR433、PCR563K、PCR822、PCR833、PCR866、PCR883、PCR892、PCR945(いずれも商品名、エイエムピー・アイオネクス株式会社)等が挙げられる。中でも、UBKシリーズが特に好ましい。
【0055】
固定担体の量は、カラムの大きさ、固定担体の種類などによって変化する。原料の固形分に対して、好ましくは2〜10,000倍、より好ましくは5〜500倍湿潤体積量である。
【0056】
原料を上記カラムに通し、次に溶離液として水を用いてクロマトグラフィ処理し、得た多数の画分のうち波長420nmの光を吸収する画分を分取して目的とするエキスを得ることができる。以下において、この方法をイオンクロマト分離と言うことがある。
【0057】
通液条件は、原料の組成および固定担体の種類などによって変化する。溶離液として脱気処理した水を用い、単塔式回分分離法の場合、流速はSV=0.3〜1.0hr−1、サンプルの供与量は樹脂の1〜20%、温度は40〜70℃が好ましい。この分離法により得た画分の夫々について、波光420nmでの吸収、電気伝導度(塩分の量の尺度)、蔗糖、ブドウ糖及び果糖の濃度を分析し、時系列的にグラフに表すと、波長420nmでの光吸収のピーク、電気伝導度のピーク、蔗糖および還元糖のピークの順にピークが現れる。後記の図3における画分3〜14に相当する画分を、波長420nmの光を吸収する画分として分取する。特に画分3〜8が好ましい。画分3〜8を包含する非蔗糖画分全体(画分1〜9と画分18〜30をあわせたもの)は、有効成分の濃度はより低いが、同様にこれを本発明のエキスとして使用することができる。擬似移動床式連続分離法の場合、原料液供給量、溶離液流量、各画分抜き出し流量を原料の組成、固定担体の種類、樹脂量に合わせて設定するため、一般的な通液条件を示すことができない。
【0058】
原糖工場において2番蜜を原料として擬似移動床式連続分離法により得られる本画分の組成は、原料の種類およびイオン交換樹脂の分離能により変化するが、固形分当たりの蔗糖が6%以下、非糖分が90%以上、見掛純糖率が10%である。見掛純糖率は、固形分(ブリックス:Bx.)当たりの糖度(検糖計で測定した純蔗糖規定量に対する直接旋光度)の百分率である。
【0059】
また、単塔式回分分離法により得られる本画分は、2番蜜を原料として得られた画分の場合、固形分(凍結乾燥乾燥固形分)当たりのポリフェノール量が約5%、電気伝導度塩分が約44.7%、糖分は約5%である。
【0060】
本発明の効果の有効成分である物質は、波長420nmの吸収のピーク部分の画分に多く含まれることは明らかであるが、有効成分自体が420nmの吸収をもつかどうかは現在のところ明らかではない。
【0061】
さらに、上記波長420nmで吸収を示す画分あるいは非蔗糖画分に電気透析処理を行って、含有される塩分を減少または除去することができる。イオン交換樹脂を用いたカラムクロマトグラフィーにより得られる本画分は、塩濃度が高く、乾燥固形分あたりの硫酸灰分で約40%である。そのため、塩の味が強く、非常にしょっぱい味がするため、食品の味に影響を及ぼす。また、ヒトにおいては塩の取り過ぎは健康に害を及ぼすため、ヒトが摂取するためには塩類の濃度を低減させる必要がある。動物においてもヒトと同様に健康に影響を及ぼすため摂取できる塩類の濃度に限界がある。特に家畜においては、各種の塩類の摂取量が定められており、配合飼料などはそれに合わせた塩濃度に調整されている。従って、家畜に甘蔗由来のエキスを摂取させようとする場合には、低い塩濃度である方が使用しやすい。このようなことから、得られる画分の塩濃度を低減させることが好ましい。
【0062】
電気透析による脱塩処理では陽イオンについてはナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどが、イオンの種類に関わらず、ほぼ均等に脱塩される。陰イオンについては塩素イオンおよび硫酸イオンのうち塩素イオンが選択的に脱塩され、硫酸イオンはあまり脱塩されないことが知られている。陰イオンの除去率と同等の割合で陽イオンが除去される。
【0063】
次に、バガスを抽出することにより甘蔗由来のエキスを得る方法について述べる。
【0064】
バガスを、水、親水性溶媒、これらの混合物からなる群より選択される溶媒で抽出することによって、バガス抽出物が得られる。親水性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等の低級アルコール類、アセトンなどのケトン類、酢酸メチルや酢酸エチル等の酢酸エステル類等を用いることができる。親水性溶媒としてはエタノールが好ましい。抽出のための好ましい溶媒は、60/40体積比以下の比で、より好ましくは50/50体積比以下の比エタノールを含むエタノール−水混合溶媒である。抽出温度は、効率よく抽出するためには、50〜100℃が好ましい。また、抽出時間は、バガスの原料、種類、状態などによっても異なってくるが、通常1〜3時間である。また抽出方法は、一般的な汎用性のある方法が使用でき、例えばバガスと抽出溶媒を共に容器に入れて抽出する方法、抽出溶媒を循環させて抽出する方法、連続式に抽出する方法、例えば、デスメット式抽出機、ルルギ式抽出機等を任意に使用することができる。バガスから抽出したエキスは糖含量が多いので、バガスエキスを上記と同様のカラムクロマトグラフィー処理に付すことにより糖を除去してもよい。
【0065】
上記の様に甘蔗から種々の方法で得られたエキスを、慣用の手段(減圧下での溶媒除去、凍結乾燥など)により濃縮して、本発明の効果を有する成分を得ることができる。このようにして得られた本発明の効果を有する成分は、固形分20%以上に濃縮した液状又は粉末状で保存することができる。保存は、特に液状の場合、冷蔵保存が好ましい。
【0066】
後述の試験例4で示されるように、本発明の甘蔗由来のエキスは、単一ではなく複数の本発明における有効成分を含み、その製造方法によりエキス中に濃縮される有効成分の組成は異なっている。
【0067】
これまでに知られているような感染予防治療剤は、一般に単一成分もしくは類似の複数成分を有効成分とするため、その長期摂取あるいは多量摂取による副作用の心配があった。しかし、本発明の甘蔗由来のエキスは分子量的にかなり広範囲の多数成分を含むため、より自然な感染予防治療剤であると言える。
【0068】
本発明の甘蔗由来のエキスは、マウスを用いた甘蔗由来のエキスの経口投与による動物実験の結果、細菌、ウイルスに対する感染予防治療効果を示した(後述の実施例1〜4)。よって本発明における甘蔗由来のエキスは免疫の機能を調節することにより感染防御作用を示すことと考えられる。
【0069】
従って本発明は、ヒトあるいは動物などの免疫機能を調節することにより、各種の免疫機能低下乃至は不全による疾患の予防、治療のために使用できる。または、各種感染症に対する予防、治療のために使用できる。
【0070】
このような疾患は特に限定されるものではないが、例えばヒトの場合、関節リウマチ、糸球体腎炎、溶血性貧血、気管支喘息、ベーチェット病、橋本病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、全身性進行性硬化症または一部の腫瘍等の自己免疫疾患、全身、呼吸器、尿路、腸管、腹腔内、粘膜、皮膚、髄腔または循環器における感染症、栄養障害児、加齢、抗癌剤投与時または外科的侵襲時等における各種感染症をあげることができる。動物の場合、例えば、ブタの下痢、流行性肺炎、伝染性胃腸炎等、ニワトリの肺炎、マレック病、ウシの下痢、肺炎、乳房炎、ネコ免疫不全症候群及び白血病などを挙げることができる。さらに、本発明の適用される養殖魚の感染症も特定されないが、例えば、連鎖球菌、類結節症等の細菌感染症、ウイルス感染症等広範である。
【0071】
感染症の例として、細菌性疾患としては、ヒトのサルモネラ症(Sa1mone11a enteritidis、S.dub1in等)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、腸チフス(Salmonella typhi)、病原性大腸菌感染症(Escherichia coli)、結核(Mycobacterium tuberculosis)、細菌性赤痢(Shigella dysenteriae、S. flexneri等)、百日咳(Bordetella pertussis)、ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、ハンセン氏病(Mycobacterium leprae)、ペスト(Yersinia pestis)等が、ウシの乳房炎(Staphylococcus aureus、Klebsiella pneumoniae、Streptcoccus agalactiae、Actinomyces pyogenes等)、ブルセラ病(Brucella abortus)、カンピロバクター症(Campylobacter fetus)、炭疸(Bacillus anthracis)、ヨーネ病(Mycobacterium avium)、ウシ伝染性角結膜炎(Moraxella bovis)、輸送熱(Pasteurella multocida および Pasteurella haemolytica)、趾間腐燗(Fusobacterium necrophorum)等が、ウマの鼻疸(Bordetella mallei)、ウマ伝染性子宮炎(Taylorella equigenitalis)、回帰熱(Borrelia theileri)等が、ブタの萎縮性鼻炎(Bordetella bronchiseptica)、豚丹毒(Erysipelothrix rhusiopathiae)、グレーサー病(Haemophilus parasuis)等が、ニワトリのひな白痢(Salmonella pullorum)、家禽コレラ(Pasteurella multocida)、伝染性コリーザ(Haemophilus paragallinarum)、非定型抗酸菌症(Mycobacterium avium)等が、イヌのレプトスピラ病(Leptospira canicola)、破傷風(Clostridium tetani)等が、魚類の連鎖球菌症(Enterococcus seriolicida)、類結節症(Pasteurella piscicida)、ビブリオ病(Vivrio anguillarum)、パラコロ病(Edwardsiella tarda)、冷水病(Flavobacterium psychrophilus)、レッドマウス病(Yersinia ruckeri)、尾ぐされ病(Aeromonas hydrophila)、ノカルジア症(Nocardia asteroides, Nocardia seriolae)等があげられる。ウイルス性疾患としては、ヒトのインフルエンザ(Human influenzavirus)、帯状庖疹(Human herpesvirus 3)、免疫不全症侯群(Human immunodeficiency syndrome virus)、灰白性随炎(Polio virus)、風疹(Rubella virus)、麻疹(Measles virus)、痘瘡(Variola virus)、日本脳炎(Japanese encephalitis virus)、流行性耳下腺炎(Mumps virus)、エボラ出血熱(Ebola virus)、デング熱(Dengue virus)、マールブルグ病(Marburg virus)、リンパ球性脈絡髄膜炎(Lymphocytic choriomeningitis virus)、成人T細胞白血病(Human T-lymphotrophic virus)、黄熱(Yellow fever virus)等が、ウシのウシ伝染性鼻気管炎(Bovine herpesvirus 1)、ウシ口蹄疫(Foot-and-mouth disease virus)、ウシ流行熱(Bovine ephemeral fever virus)、牛痘(Cowpox virus)、アカバネ病(Akabane virus)、イバラキ病(Ibaraki virus)、ブルータング(Bluetongue virus)、輸送熱(Bovine parainfluenza virus)、リフトバレー熱(Rift Valley fever virus)等が、ウマのウマ伝染性貧血(Equine infectious anemia virus)、ウマ動脈炎(Equine arteritis virus)、ボルナ病(Borna virus)、ウマ鼻肺炎(Equid herpesvirus 4)、東部ウマ脳炎(Eastern equine encephalitis virus)等が、ブタのブタ伝染性胃腸炎(Porcine transmissible gastroenteritis virus)、生殖器呼吸器症侯群(Porcine reproductive and respiratory syndrome virus)、オーエスキー病(Pseudorabies virus)、豚コレラ(Hog cholera virus)、ブタ水胞病(Swine vesicular disease virus)、ブタ封入体鼻炎(Suid herpesvirus 2)等が、ニワトリの伝染性ファブリキウス嚢病(Infectious bursal disease virus)、ニューカッスル病(Newcastle disease virus)、鶏痘(Fowlpox virus)、マレック病(Marek's disease virus)、伝染性喉頭気管炎(Infectious laryngotracheitis virus)、ニワトリ伝染性気管支炎(Avian infectious bronchitis virus)等が、イヌの狂犬病(Rabies virus)、ジステンパー(Canine distemper virus)、伝染性肝炎(Canine adenovirus 1)、パルボウイルス感染症(Canine parvovirus)等が、ネコのネコ白血病(Feline leukemia virus)、ネコ免疫不全症侯群(Feline immnodeficiency virus)、ネコ伝染性腹膜炎(Feline infectious peritonitis virus)、汎白血球減少症(Feline panleukopenia virus)等が、魚類のイリドウイルス感染症(Flouder virus)、伝染性造血器壊死症(Infectious haemotopoietic necrosis virus)、伝染性膵臓壌死症(Infectious pancreatic necrosis virus)、フグ口白症(未同定)等が挙げられる。真菌性疾患としては、ヒトのコクシジオイデス症(Coccidioides immitis)、ヒストプラズマ症(Histoplasma capsulatum)等が、ウシの乳房炎(Candida tropicalis)、流産(Aspergillus fumigatus)、皮膚糸状菌症(Trichophyton verrucosum)、ムコール症(Mucor rasemosus)等が、ウマの喉嚢真菌症(Aspergillus nidulans)、伝染性リンパ節炎(Histoplasma farciminosum)、ウマ白癬菌症(Trichophyton equinum)等が、ニワトリのそ嚢炎(Candida albicans)、アスペルギルス肺炎(Aspergillus fumigatus)等が、イヌのブラストミセス症(Blastomyces dermatitidis)、皮膚糸状菌症(Microsporum canis)、リンパ節炎(Histoplasma capsulatum)、マラセチア症(Malassezia pachydermatis)等が、魚類の水カビ病(Saprolegnia parasitica)、内臓真菌症(Saprolegnia diclina)、真菌性肉芽腫症(Aphanomyces piscicida)、ピチュウム症(Pythium gracile)、鼓脹症(Candida sake)等が挙げられる。また、マイコプラズマによる感染症として、ウシの牛肺疫(Mycoplasma mycoides)、マイコプラズマ性乳房炎(Mycoplasma bovis)等が、羊の伝染性無乳症(Mycoplasma agalactiae)等が、ブタのブタ流行性肺炎(Mycoplasma hyopneumoniae)等が、ニワトリの慢性上部気道炎(Mycoplasma gallisepticum)等が挙げられる。リケッチアによる感染症として、ヒトの発疹チフス(Rickettsia prowazekii)、Q熱(Coxiella burnetii)、ネコ引っ掻き病(Bartonella henselae)等が、ウシの出血熱(Ehrlichia ondiri)等が、ウマのポトマック熱(Ehrlichia risticii)等が、イヌのイヌエールリキア病(Ehrlichia canis)等が挙げられる。クラミジアによる感染症として、ヒトのオウム病(Chlamidia psittaci)等が、ウシの流行性ウシ流産(Chlamydia psittaci)、散発性ウシ脳脊髄炎(Chlamydia pecorum)等が、羊の伝染性漿膜炎(Chlamydia pecorum)、クラミジア多発性関節炎(Chlamydia pecorum)等が、ネコのクラミジア肺炎(Chlamydia psittaci)等が挙げられる。
【0072】
実験動物の静脈にエンドトキシンを直接投与し、その1日前及び6時間後の2回、甘蔗由来のエキスを経口投与するというエンドトキシンモデルで、本発明の甘蔗由来のエキスは、有意な生存率の上昇を示した。従って、甘蔗由来のエキスそのものまたはその代謝産物が、血中に存在するエンドトキシンに直接作用して分解、凝集、その他の状態の変化を起こさせ中和する、エンドトキシンによる補体の過剰な活性化を抑制する、ラジカルスカベンジャーとして作用する、炎症性サイトカインを抑制する、またはその他の何らかの機構によってエンドトキシンの効力を低減させるなど、何らかの方法で抗エンドトキシン効果を発現すると考えられる。従って本発明の甘蔗由来のエキスはエンドトキシンが原因となる疾患の予防治療のために使用できる。このような疾患は特に限定されるものではないが、例えば、エンドトキシンが細菌からヒトの血中に放出され、発熱、悪寒、嘔吐、意識障害などの重篤な全身症状が見られる敗血症やエンドトキシンショック、歯周病細菌のエンドトキシンによる口腔疾患等が挙げられる。また、このようなエンドトキシンを有する細菌として、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス、緑膿菌、エンテロバクターなどのグラム陰性細菌が挙げられる。
【0073】
また、本発明の甘蔗由来のエキスは、実施例で説明するようにワクチンアジュバント作用及び成長促進作用を有する。
【0074】
本発明に係る感染予防治療剤、抗エンドトキシン剤及び成長促進剤の投与時期は、特に限定されない。本発明に係るワクチンアジュバント剤の投与時期は、ワクチンの投与日前、投与と同日、投与日後のいずれでもよく特に限定されない。通常はワクチン投与日および/または投与日後である。さらに、ワクチン投与日前に投与することによって、より確実な効果を期待することができる。投与回数は1回以上であればよく、ワクチン投与日前に1日〜1週間程度、特にワクチン投与後には1〜2週間程度、連続または間欠投与することが好ましく、さらに、引き続き1〜6ヵ月連投しても差し支えない。
【0075】
本発明の感染予防治療剤、抗エンドトキシン剤、ワクチンアジュバント剤、および成長促進剤の投与量は、甘蔗由来のエキスの精製度、形態、対象とする動物の種類、健康状態、成長の度合い等によって異なるので特に限定されないが、例えば後述の製造例1乃至7で得た甘蔗由来のエキス粉末の場合には、体重1kg当たり1日に1〜1000mg、好ましくは50〜1000mgである。
【0076】
本発明に係る甘蔗由来のエキスの投与形態は特に限定されないが、例えば経口的、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、直腸内、舌下、経皮、点眼などの方法で投与することにより、感染予防治療効果、抗エンドトキシン効果、ワクチンアジュバント作用、及び成長促進効果を発揮する。
【0077】
本発明に係る甘蔗由来のエキスを投与する際のエキスの形状は特に限定されず、液状または粉末形状のエキスをそのまま投与してもよく、また通常用いられる製剤用担体によって、公知の方法により固形剤とすることも液剤とすることもでき、また、製剤化の有無にかかわらず食品、飼料、飲水等に混合することもできる。
【0078】
経口用固形製剤を調製する場合には、エキスに賦形剤、結合剤、粘結剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、抗酸化剤、溶解補助剤などを加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、穎粒剤、散剤、カプセル剤などとする。
【0079】
上記賦形剤としては、例えばデンプン、コーンスターチ、デキストリン、小麦粉、小麦ミドリング、ふすま、米ぬか、米ぬか油かす、大豆かす、大豆粉、大豆油かす、きな粉、ブドウ糖、乳糖、白糖、マルトース、植物油、動物油、硬化油、高級飽和脂肪酸、その他の脂肪酸、酵母、マンニトール、結晶セルロース、二酸化珪秦、無水珪素、珪酸カルシウム、珪酸、リン酸一水素カルシウム、第ニリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸第二水素カルシウムなどが用いられる。
【0080】
結合剤としては、例えばポリビニルピロリドン、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、プロピレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウムなどが用いられる。
【0081】
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸などが用いられる。
【0082】
着色剤、着香料としては医薬品、食品、飼料に添加することが許可されているものであればよく、特に限定されない。
【0083】
抗酸化剤としては、例えばアスコルビン酸、α一トコフェロール、エトキシキン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられ、医薬品や食品、飼料に添加することが許可されているものであればよい。また、錠剤、顆粒剤は必要に応じてコーティングすることは差し支えない。
【0084】
注射製剤を製造する場合には、必要に応じて主薬にpH調整剤、緩衝剤、懸濁化剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、抗酸化剤、保存剤などを添加し、常法により製造することができる。この際必要に応じ、凍結乾燥剤とすることも可能である。この注射剤は静脈内、皮下、筋肉内等に投与することができる。
【0085】
懸濁化剤としては例えば、メチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどを挙げることができる。
【0086】
溶解補助剤としては、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどが用いられる。
【0087】
保存剤としては、例えばパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸などが用いられる。
【0088】
本発明はまた、前記した感染予防治療剤、抗エンドトキシン剤、ワクチンアジュバント剤及び成長促進剤を含む食品および飼料を提供する。食品および飼料は固体でも液体でもよい。食品としては、たとえば菓子類、清涼飲料、機能性調味料、健康食品等が挙げられる。飼料としては、たとえばドッグフード、キャットフードなどのペット用飼料、家畜用飼料、養殖魚介類用飼料等が挙げられる。
【0089】
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に解説する。実施例で使用する物質の投与量に関する記載、例えば「10mg/kg」または「10mg/kg体重」は、体重1kg当たり10mgを投与したという意味である。
【0090】
製造例1
原糖製造工場の製造工程にて得られた甘蔗の圧搾汁(固形分18.8%)650リットルを、ジュースヒーターで80℃に加温し、管型限外ろ過(MH−25型、有効膜面積2m×3本、分画分子量10万、ダイセル化学工業株式会社製)でろ過処理して、約600リットルの処理液を得た。
【0091】
合成吸着剤SP−850(商品名、三菱化学株式会社)15リットルを、ウォータージャケット付きのカラム(カラムサイズ:内径17.0cm、高さ100cm)に充填し、これに前記の圧搾汁ろ過処理液を、流速30リットル/時間(SV=2hr−1)の速度で通液した。なお、圧搾汁ろ過処理液通液中は、ウォータージャケットには、65℃の水を常に循環させた。次に、45リットルのイオン交換水を、流速30リットル/時間(SV=2hr−1)でカラムに通液して洗浄した。イオン交換水で洗浄後、カラムから溶出した画分について糖類の検出を行ったところ、ハンドレフブリックス(Bx)計(アタゴ株式会社製、N−1E型)において、Bxが約0になっているのを確認した。その後、溶出溶媒として55%エタノール−水混合溶媒(エタノール/水=55/45(体積/体積))を流速30リットル/時間(SV=2hr−1)にてカラムに通液して、合成吸着剤に吸着した成分を溶出させた。なお、溶出溶媒通過中は、ウォータージャケットには、25℃の水を常に循環させた。カラム溶出液は5リットルずつ分取した。溶出パターンを図1に示す(1:圧搾汁ろ過処理液の通液開始時点、2:イオン交換水での洗浄開始時点、3:55%エタノール−水混合溶媒での溶出開始時点)。図において黒丸は、各画分の420nmの光の吸光度を示し、白角は各画分の糖度を示す。55%エタノール−水混合溶媒でカラムから溶出した画分(図1においてAの部分)を、濃縮機にて約20倍程度に減圧濃縮した後、1晩凍結乾燥して、茶色の粉末(甘蔗由来のエキス)460gを得た。
【0092】
製造例2
原糖製造工場の製造工程にて得られた清浄汁(固形分11.7%)600リットルをそのまま限外ろ過処理せずに使用した以外は製造例1と同様にして、カラム処理を行った。このときの溶出パターンを図2に示す(1:圧搾汁ろ過処理液の通液開始時点、2:イオン交換水での洗浄開始時点、3:55%エタノール−水混合溶媒での溶出開始時点)。図2において、Bの画分を分取し、減圧濃縮した後、1晩凍結乾燥して、225gの茶褐色の粉末(甘蔗由来のエキス)を得た。
【0093】
製造例3
原料糖製造工場で得られた乾燥バガス1kgをナイロンネット製の袋に入れ、袋ごとタンクに入れ、80℃の水を25リットル添加し、1時間攪拌抽出した。得られた抽出液をコットンフィルターで濾過し、異物を除去した。濾液を遠心式薄膜濃縮機で減圧濃縮した後、1晩凍結乾燥して、26.31gの茶褐色の粉末(甘蔗由来のエキス)を得た。
【0094】
製造例4
原料糖製造工場で得られた乾燥バガス350gをナイロンネット製の袋に入れ、50/50体積比のエタノール/水の5250mlを添加し、室温で2時間攪拌抽出した。得られた抽出液をアドバンテック東洋株式会社No.2濾紙で濾過し、異物を濾過した。濾液をエバポレーターで減圧濃縮した後、一晩凍結乾燥して、6.72gの茶褐色の粉末(甘蔗由来のエキス)を得た。
【0095】
製造例5 (イオン交換樹脂を用いた擬似移動床式カラムクロマトグラフィーによる分離)
原糖工場において、結晶缶にて2回蔗糖結晶を回収し、遠心分離により結晶を除いた振蜜である2番蜜を原料として、陽イオン交換樹脂を充填した分離塔を用いた擬似移動床式連続分離法により、イオン交換カラムクロマト分離を行った。
【0096】
原料の調製からイオン交換クロマト分離までの工程は連続的に行われるため、各工程の液の固形分濃度や組成は時間と共に若干変動するが、以下の濃度や組成は定常運転における測定値である。
【0097】
2番蜜はブリックス(Bx.)が約85であった。この濃度はカラムクロマト処理を行うには高いため、ブリックス約50に希釈した。これに、消石灰、炭酸ソーダを添加し不純物を凝集させ、珪藻土濾過を行った。得られた濾液は、ブリックス47.3、糖度(Pol.)23.6、純糖率(Purity)49.9、還元糖分2.5%であった。濾液をイオン交換クロマトグラフィーの原料として用いた。
【0098】
陽イオン交換樹脂としてUBK530(三菱化学株式会社)を用いた擬似移動床式連続分離法によるイオン交換クロマトグラフィーを行った。樹脂を充填した分離塔は8分割されており、1塔当たりの樹脂量は6.5mである。原料液と溶離液(水)の供給、および蔗糖画分と非蔗糖画分の抜き出し位置を一定時間毎に切り替えることにより、連続的に供給、抜き出しを行った。定常時の既定値は、供給流量3m/時間、溶離水流量13.5m/時間、非蔗糖画分抜き出し流量12.13m/時間、蔗糖画分抜き出し流量4.37m/時間、切り替え時間267秒であった。このクロマトグラフィー処理により、蔗糖画分と非蔗糖画分が分離された。これらは夫々、後述の図3における画分10〜17、及び画分1〜9と画分18〜30とを合わせたものに相当する。蔗糖画分は蔗糖が固形分当たり約87%(HPLC分析による)でブリックスは約35であり、この画分は清浄汁と混合して本工程に戻され、再び蔗糖を回収する操作を行った。また、得られた非糖画分は、蔗糖分が約0.3%(HPLC分析による)でブリックスが約8であった。この非糖画分を濃縮缶により濃縮し、ブリックス40.0、糖度(Pol.)2.3、純糖率(Purity)5.8、還元糖分5.4%とした。この非蔗糖画分を、後の試験に用いるため一晩、凍結乾燥処理に付した。得られた凍結乾燥粉末0.25gを0.5mMリン酸バッファー(pH7.5)で100ml溶液にし、波長420nmでの吸光度を測定した。吸光度は、1.11であった。
【0099】
製造例6 (イオン交換樹脂を用いた単塔式回分分離による2番蜜の分画)
原糖工場で得られた2番蜜処理液を原料として、単塔式回分分離法によるイオン交換カラムクロマトグラフィー処理を行った。
【0100】
原料として使用した2番蜜処理液は、2番蜜を希釈後、炭酸ソーダによる清浄処理、珪藻土濾過を行ったものである。この原料液の分析値は、ブリックス47.4、糖度(Pol.)23.2、純糖率(Purity)48.9、還元糖分3.2%であった。
【0101】
この原料を用いて、FPLCシステム(ファルマシア株式会社製)を用いた単塔式回分分離法によるイオン交換クロマトグラフィーによる分画分離を行った。
【0102】
カラムにゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂UBK530、ナトリウムイオン型(商品名、三菱化学株式会社)500mlを充填した。カラムは内径26mm、高さ1000mmで、フローアダプター付きであった。通液条件は、溶出液として脱気した蒸留水を用い、流速SV=0.5hr−1(4.17ml/分)、温度60℃で行った。
【0103】
約25mlの原料をカラムに供与した。分画条件は、原料供与30分後から溶出液の回収を開始し、試験管1本当たり3.6分間回収し(約15ml/本)、全部で30本回収した。
【0104】
得られた30画分についての波長420nmの吸光度、電気伝導度、及び糖濃度を測定し、図3に示した。ここで、吸光度測定のために、0.5mMリン酸バッファー(pH7.5)2mlに各画分0.1mlを加えて試料とした。電気伝導度測定のために、各画分を蒸留水で0.5%に希釈して試料とした。糖濃度はHPLCにより測定された。
【0105】
各ピークと抗ウイルス活性の関係を調べるため、波長420nmの吸光ピーク部分を4つに、また蔗糖のピーク部分を3つに、蔗糖のピーク以降を1つにまとめた。すなわち、画分3および4を合わせてサンプル1に、画分5および6を合わせてサンプル2に、画分7および8を合わせてサンプル3に、画分9および10を合わせてサンプル4に、画分11および12を合わせてサンプル5に、画分13および14を合わせてサンプル6に、画分15および16を合わせてサンプル7に、画分17から30を合わせてサンプル8とした。画分1および2は溶出される成分がほとんどないため、廃棄した。各サンプルを1晩凍結乾燥して、粉末とした。得られた凍結乾燥粉末0.25gを0.5mMリン酸バッファー(pH7.5)に溶解して、100mlとし、波長420nmでの吸光度を測定し、下記表に示した。サンプル8の吸光度は0.86と比較的高かったが、これはテーリングした成分を集めたものだからである。他のサンプルは2画分ずつを一緒にしたものであるのに対し、サンプル8は14画分を合わせたものである。従って、420nmの吸光度は高いが、この画分だけを本効果の画分として回収するのは効率が悪い。表中の伝導度灰分は、電気伝導度と既知の硫酸灰分の関係の検量線から係数を求め、算出したものである。
【0106】
各サンプルの分析結果を以下の表1に示した。表において、凍結乾燥固形分の分配比率は、全サンプルの固形分重量の合計に対する各サンプルの固形分重量の比(%)である。伝導度灰分及び各糖の含量は、各サンプルの固形分重量に対する比である。
糖分含量から、サンプル1〜3が非糖分画分に相当し、サンプル4〜8が糖分画分に相当する事が判る。
【0107】
【表1】

【0108】
製造例7 (イオンクロマト分離によるエキスを電気透析により脱塩した)
イオン交換膜としてカチオン交換膜セレミオンCMV(商品名、旭硝子株式会社製)およびアニオン交換膜セレミオンAMV(商品名、旭硝子株式会社製)を備えた電気透析槽(CH−0型、旭硝子株式会社製)用いて、製造例5で得た甘蔗由来のエキス(濃縮された液体)を電気透析に付して、脱塩を行った。
【0109】
濃縮液として100g/リットルの塩化ナトリウム溶液10リットル、電極液として50g/リットルの硫酸ナトリウム溶液4.0リットルを用いた。原料として10.7リットルのイオンクロマト分離液を使用した。
【0110】
運転条件は、次の通りであった。即ち、電圧を3.0Vの定電圧に設定した。電流ははじめ8.15Aであるが、脱塩が進むにつれて下がっていった。運転開始から5時間経過したときに電流は1.6Aとなり、このとき濃縮液8リットルを抜き取り、水8リットルを添加して希釈した。その後運転を再開し合計7時間脱塩処理を行い、このときの電流は0.6Aであった。脱塩の経過を確認するため、脱塩液の塩素イオン濃度、硫酸イオン濃度を経時的に測定した。電気透析による脱塩処理では、陰イオンと陽イオンが同じ割合で除去される。陽イオンに関しては、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどが、イオンの種類に関わらずほぼ均等に脱塩されるが、陰イオンについては塩素イオンと硫酸イオンの除去率が異なっている。そこで、本実施例では代表して陰イオンである塩素イオンと硫酸イオンの乾燥固形分あたりの含量をHPLCで測定し、除去率を測定した。開始時の脱塩されるエキスの塩素イオン含量は5.45重量%、硫酸イオン含量は7.41重量%、乾燥固形分あたりの硫酸塩分は43.0重量%であった。脱塩終了時の塩素イオン含量は0.03重量%(除去率99.4%)、硫酸イオン含量は6.61重量%(除去率10.8%)、乾燥固形分あたりの硫酸塩分は34.7重量%(除去率19.3%)であった。
【0111】
電気透析の結果、硫酸イオンはあまり除去されないが、塩素イオンはほとんど除去された。得たエキスを1晩凍結乾燥して、粉末にした。得られた粉末0.25gを0.5mMリン酸バッファー(pH7.5)に溶解し100mlとし、波長420nmでの吸光度を測定した。吸光度は、1.26であった。
【0112】
試験例1 甘蔗由来のエキスの急性毒性試験
製造例1で得られたエキス粉末を使用して、ラットを用いた単回経口投与毒性試験を行った。Sprauge-Dawley系SPFラット(Crj:CD(SD))の雌雄各16匹を5週令で入手し、約1週間検疫・馴化飼育した後、健康な動物を選び、6週令で試験に供した。投与時の体重範囲は雄で157〜171g、雌で123〜133gであった。
【0113】
飼育条件は、動物は温度23±3℃、相対湿度50±2%、換気回数1時間10〜15回、照明1日12時間の飼育室で固形飼料(CRF−1(商品名)、オリエンタル酵母株式会社)及び飲料水を自由に摂取させて飼育した。
【0114】
投与前一晩(約16時間)絶食させたラットに、一定の投与容量10ml/kg体重にて、所定濃度の甘蔗由来のエキス粉末を1回強制経口投与した。対照群の動物には滅菌蒸留水のみを同様に投与した。なお、絶食後の再給餌は投与6時間後に実施した。
【0115】
投与量は、200mg/kg及び1000mg/kgの2用量とし、これに対照群を加えて計3群を使用した。1群の動物数は雌雄共に5匹とした。
結果を以下の表2に示す。
【0116】
【表2】

【0117】
投与後14日間が経過した後、雌雄とも最大量の1000mg/kgでも、ラットの死亡は認められなかったので、致死量は1000mg/kgを上回るものと推定される。
【0118】
飼育中いずれのラットにおいても異常は認められず、さらに各被検液投与群の雌雄の体重は、対照群とほぼ同等の推移を示し、観察期間中の体重増加も対照群とほぼ同等であった。また、いずれのラットにおいても、解剖学的検査の結果、体外表、頭部、胸部及び腹部の器官・組織に異常は見られなかった。
【0119】
以上の結果から、製造例1で得られたエキス粉末をラットに単回経口投与毒性試験を行ったときの毒性は極めて弱いものと考えられる。
【0120】
試験例2 甘蔗由来のエキスの大腸菌に対する抗菌活性
製造例1〜4で得られたエキス粉末をそれぞれ用いて、大腸菌(Escherichia coli)6種に対する最小発育阻止濃度(MIC μg/ml)を、日本化学療法学会法に準拠して調べた。エキスを滅菌蒸留水で溶解・希釈し、100μg/ml、300μg/ml、1000μg/ml、3000μg/ml、10000μg/mlの5段階で測定した。その結果、大腸菌6種に対するMICはすべて10000μg/mlであり、強い抗菌活性は認められなかった。結果を以下の表3に示す。
【0121】
【表3】

【0122】
また、他の数種の菌株(細菌、酵母、真菌)に関して同様の試験を行った結果、細菌(Pseudomonas aureofaciens)、酵母(Saccharomyces cerevisiae、Hansenula anomala等)、真菌(Chaetomium globsum)については、MICが1000μg/mlであり、大腸菌に対するよりも高い抗菌作用が認められた。
【0123】
試験例3 甘蔗由来のエキスのウイルス増殖抑制試験
製造例1および2で得られた甘蔗由来のエキス粉末をそれぞれ用いて、コクサッキーウイルス(Coxsackie virus type B6 Schmitt株)及びヘルペスウイルス(Herpes simplex virus type 1 HF株)の増殖抑制能を調べた。
【0124】
まずエキスのヒト胎児肺由来細胞(HEL−R66細胞)に対する細胞毒性を調べた。甘蔗由来のエキスを滅菌蒸留水に溶解し、最終濃度が125〜2000μg/mlになるように調製し、培養細胞にかけた。4日間培養し、細胞変性の有無を検鏡して判断した。その結果、表4に示すように、1000μg/mlまでの濃度では、細胞に対する毒性は認められなかった。
【0125】
次に、細胞に100PFUのウイルスを接種し、ウイルスの吸着後これを除去した。細胞の維持培地に甘蔗由来のエキスが最終濃度125〜1000μg/mlになるように添加し、ウイルスが吸着した細胞を4日間培養した。培養後、ウイルス増殖の有無を検鏡して判定した。その結果、表5及び表6に示すように、甘蔗由来のエキスは、コクサッキーウイルスに対する増殖抑制効果はもたないが、ヘルペスウイルスに対し、500〜1000μg/mlの作用濃度で増殖抑制能をもつことが明らかになった。
【0126】
【表4】

【0127】
【表5】

【0128】
【表6】

【0129】
実施例1
Slc:ICRマウス雄5週令(体重約30g)を一群10匹で供試し、菌攻撃1日前に、前記製造例1〜4で調製したエキスをそれぞれ滅菌蒸留水で溶解または懸濁したものを、100mg/kg又は500mg/kgになるように強制経口投与した。一方、対照区にも、同容量の滅菌蒸留水を経口投与した。菌攻撃は、ヒト由来大腸菌(E.coli)の希釈菌液の1MLDの菌量0.2ml(4.0×10CFU/マウス)を、マウスの皮下に接種し、4日後の生存率を求めた。判定はχ検定により検定し、その結果を表7に示した。
【0130】
【表7】

【0131】
甘蔗由来のエキスを投与後大腸菌を接種した群では、明らかに生存率が上昇しており、また投与量依存的に生存数が上昇した。すなわち、甘蔗由来のエキスには、感染防御効果が認められた。
【0132】
実施例2
1)供試したエキス
製造例1〜4で調製した甘蔗由来のエキス粉末の他に、以下の処理エキスを調製した。まず、製造例2で調製したエキスを滅菌水に懸濁し、分画分子量1000のセルロースエステル製の透析チューブ(Spectra/Por(商標) CE (Cellulose Ester) Membrum MWCO:1000、スペクトラム社製)に入れ、滅菌水に対して透析を行った。得られた透析膜の内液を分子量1000以上の画分、外液を分子量1000以下の画分としてそれぞれ濃縮、乾固し試験に用いた。
2)抗ウイルス試験
Slc:ICRマウス雄5週令(体重約30g)を一群10匹で供試し、ウイルス攻撃直後、1日後、2日後の計3回(又は1日3回×3日間連続投与の計9回)のタイミングで、製造例1〜4のエキス、及び製造例2の処理エキス(分子量1000以下の画分及び分子量1000以上の画分)を、それぞれ滅菌蒸留水で溶解または懸濁したものを、表7に示す量で強制経口投与または筋肉内投与した。一方、対照区にも同容量の滅菌蒸留水を経口投与した。ウイルス攻撃は、ブタ由来オーエスキーウイルスの希釈ウイルス液の1MLD(133PFU/mouse)のウイルス量0.2mlをマウスの皮下に接種し、7日後の生存率を求めた。判定はχ検定により検定し、その結果を表8に示した。
【0133】
【表8】

【0134】
甘蔗由来のエキスを投与した群では明らかに生存率が上昇しており、また投与量依存的に生存数が上昇した。すなわち、甘蔗由来のエキスにはウイルス感染防御効果が認められた。また、製造例2の処理エキスでは、分子量1000以下の画分の方が分子量1000以上の画分より効果が高かった。また、筋肉内投与により有意な生存率が認められたことから、本発明の甘蔗由来のエキスは筋肉内投与によっても効果を示すことがわかる。
【0135】
実施例3 (非糖分の摂取による大腸菌感染防御試験)
1)供試したエキス
製造例5で調製したイオンクロマト分離によるエキスの粉末、および製造例7で調製したイオンクロマト分離によるエキスの脱塩物の粉末を用いた。
2)大腸菌感染防御試験
Slc:ICRマウス雄5週令(体重約30g)を一群10匹で供試し、菌攻撃1日前に、上記エキス粉末をそれぞれ滅菌蒸留水で溶解または懸濁したものを表9に示す量で強制経口投与した。一方、対照区にも、同容量の滅菌蒸留水を経口投与した。菌攻撃のために、ヒト由来大腸菌(E.coli)の希釈菌液の1MLDの菌量0.2ml(4.0×10CFU/マウス)を、マウスの皮下に接種し、4日後の生存率を求めた。判定はχ検定により検定し、その結果を表9に示した。
その結果、甘蔗由来のエキスを投与した群では明らかに生存率が上昇しており、また投与量依存的に生存数が上昇した。また、脱塩の影響はあらわれなかった。
【0136】
【表9】

【0137】
実施例4 (非糖分の摂取による抗ウイルス試験)
1)供試したエキス
製造例5で調製したイオンクロマト分離によるエキス粉末、製造例6で調製したサンプル1〜8の粉末、および製造例7で調製したイオンクロマト分離によるエキスの脱塩物の粉末の合計10種類の甘蔗由来のエキスを試験に用いた。
2)抗ウイルス試験
Slc:ICRマウス雄5週令(体重約30g)を一群10匹で供試し、ウイルス攻撃直後、1日後、2日後の計3回のタイミングで、上記エキス粉末をそれぞれ滅菌蒸留水で溶解または懸濁したものを、表10に示す量で強制経口投与した。一方、対照区にも同容量の滅菌蒸留水を強制経口投与した。ウイルス攻撃のために、ブタ由来オーエスキーウイルスの希釈ウイルス液の1MLD(133PFU/mouse)のウイルス量0.2mlをマウスの皮下に接種した。7日後の生存率を求めた。判定はχ検定により検定し、その結果を表10に示した。
試験の結果、甘蔗由来のエキスを投与した群では明らかに生存率が上昇しており、また投与量依存的に生存数が上昇した。
非糖分含量が高い、製造例5のエキス、製造例6のエキスのサンプル1〜3、製造例7のエキスは、特に高い生存率を示した。従って、糖は本活性成分ではないと考えられる。
【0138】
【表10】

【0139】
試験例4 (イオンクロマト分離によるエキス液およびバガス抽出エキスのセファデックスG−25による分子量による分画および抗ウイルス効果)
製造例3(バガスの熱水抽出エキス)及び製造例5(イオンクロマト分離によるエキス液)で得られたエキスを使用して、分子量による分画のため、ゲル濾過クロマトグラフィーを行った。
ゲル濾過に使用するエキスに沈殿物などが含まれていると目詰まりの原因となるため、前処理を行った。製造例3のエキスをブリックス17.5〜17.8に蒸留水で希釈し、遠心分離(600×g、15分間)により不溶物を除去した。上清を定性濾紙No.2(アドバンテック東洋株式会社)もしくはガラス繊維濾紙GA55(アドバンテック東洋株式会社)で吸引ろ過し、濾液をゲル濾過クロマトグラフィー用サンプルとした。製造例5のエキスをブリックス18.7〜22.2に蒸留水で希釈し、ガラス繊維濾紙GA55(アドバンテック東洋株式会社)で濾過した濾液をゲル濾過クロマトグラフィー用サンプルとした。
ゲル濾過クロマトグラフィー用担体として、Sephadex G−25 Superfine(商品名、アマシャム ファルマシア バイオテク株式会社)315mlを、カラム(カラムサイズ:内径26mm、高さ630mm)に充填し、クロマト装置としてFPLCシステム(ファルマシア株式会社)を使用した。
通液条件は、脱気した35%エタノール(エタノール/水=35/65(体積/体積))を通液溶媒とし、流速SV=0.25hr−1(1.32ml/分)、室温であった。サンプル供給量は、製造例3のエキスを用いた場合、前処理として定量濾紙を用いたサンプルは6ml、ガラス繊維濾紙を用いた場合は17mlとした。また、製造例5のエキスを用いたときは6mlとした。クロマトグラフィー処理は、チャートの再現性を確認するため、同一条件で5回以上繰り返して行った。分画は、原料供給開始から約80分後から回収を開始し、15分ごとに1本分取した。製造例3および5のエキスは、それぞれ20画分に分画された。カラムクロマトグラフィーの溶出パターンを図4と図5に示した。また、同一条件で分子量マーカーをクロマトグラフィー処理した際の溶出パターンを図6に示した。
得られた20画分を分子量10000以上のサンプル1(画分1〜4)、電気伝導度のピークの手前までのサンプル2(画分5〜11)、塩類を多く含むサンプル3(画分12から20)の3つのサンプルとした。
これらのサンプル1〜3を凍結乾燥粉末とした。分析値を表11に示す。凍結乾燥固形分の分配比率、及び各糖分の含量の定義は表1におけると同じである。各粉末を用いて、実施例4と同様な方法で抗ウイルス試験を行った。結果を表12に示す。
試験の結果、サンプル1〜3の間に有意な差は認められなかった。このことから、イオンクロマト分離によるエキスおよびバガスの熱水抽出エキスには抗ウイルス活性を示す物質が複数存在し、分子量の広い範囲に分布することがわかった。
【0140】
【表11】

【0141】
【表12】

【0142】
実施例5 (ワクチンアジュバント効果評価試験)
1)供試したエキス
製造例1のエキス粉末(カラムクロマトグラフィー法により得られたエキス)、製造例3のエキス粉末(バガス抽出物)、製造例5のエキス粉末(イオンクロマト分離によるエキス)、および製造例7のエキス粉末(イオンクロマト分離によるエキス脱塩処理物)を用いた。
2)ワクチンアジュバント効果評価試験
各群10匹のSlc:ICRマウス(雄、5週令、体重約30g)を使用し、甘蔗由来の各種エキスの投与によるワクチンアジュバント効果を検討した。
製造例1、3、5または7のエキス投与区では、市販のブタオーエスキーウイルスワクチン(AWV)を生理食塩液で約20倍に希釈し、0.2mlをマウスに筋肉内投与した。同日(ワクチン投与後)から各エキス粉末500mg(非糖分)/kgを0.5mlの滅菌水に溶解し、1日1回、6日間、経口投与した。ワクチン投与日の14日後に、ブタ由来オーエスキーウイルス希釈液0.2ml(生理食塩液で希釈、1MLD相当)を皮下接種して攻撃し、その7日後の生存率を求めた。
また、製造例3のエキスに関しては、100mg(非糖分)/kgのエキス粉末を0.5mlの滅菌水に溶解し、ワクチンと混合して筋肉内に単回投与する群も設定した。
ワクチン無投与区では、ワクチンの代わりに生理食塩液0.2ml、エキスの代わりに滅菌水0.5mlをそれぞれ投与した。また、エキス無投与区では、エキスの代わりに滅菌水0.5mlを投与した。
アジュバント効果の有無の判定は、エキス無投与(ワクチン単独投与)区の生存率とのχ検定により行った。結果を表13に示した。
ワクチン無投与区とエキス無投与(ワクチン単独投与)区との間には明らかに差が認められなかった。また、甘蔗由来のエキスとワクチンを混合して筋肉内投与した場合は、生存率に有意差が認められなかった。これらに対し、甘蔗由来のエキスを経口投与したエキス投与区では、生存率の有意な上昇が認められ、ワクチンのアジュバント効果があることが示された。
【0143】
【表13】

【0144】
実施例6
1)供試したエキス
製造例1〜4で調製した甘蔗由来のエキス粉末の他に、実施例2と同様な方法で処理した製造例2の処理エキス粉末(分子量1000以下の画分及び分子量1000以上の画分)を試験に用いた。
2)抗エンドトキシン効果確認試験
Slc:ICRマウス雄5週令(体重約30g)を一群10匹で供試し、エンドトキシン(リポポリサッカライド、以下「LPS」とする)攻撃、1日前および6時間後の計2回のタイミングで、製造例1〜4のエキス及び製造例2の処理エキス(分子量1000以下の画分及び分子量1000以上の画分)を滅菌蒸留水で溶解・懸濁後、100mg/kgの割合で、強制経口投与した。一方、対照区にも同容量の滅菌蒸留水を経口投与した。エンドトキシン攻撃は、大腸菌由来のLPSの最小致死量0.2mlを、マウスの尾静脈に接種し、4日後の生存率を求めた。判定はχ検定により検定し、その結果を表14に示した。
【0145】
【表14】

【0146】
甘蔗由来のエキスを投与した群では明らかに生存率が上昇していることから、本発明のエキスは抗エンドトキシン効果を示すことが考えられる。また、製造例2の処理エキスでは低分子量画分の方が高分子量画分より効果が高かった。
【0147】
実施例7 (抗エンドトキシン効果評価試験)
1)供試したエキス
製造例5のエキス粉末(イオンクロマト分離によるエキス)および製造例7のエキス粉末(イオンクロマト分離によるエキスの脱塩物)を用いた。
2)抗エンドトキシン効果評価試験
Slc:ICRマウス雄5週令(体重約30g)を一群10匹で供試し、エンドトキシン(LPS)攻撃、1日前および6時間後の計2回のタイミングで、エキスを蒸留水で溶解・懸濁後、100mg/kgの割合で、強制経口投与した。一方、対照区にも同容量の滅菌蒸留水を強制経口投与した。エンドトキシン攻撃は、大腸菌由来のLPSの最小致死量0.2mlを、マウスの尾静脈に接種し、4日後の生存率を求めた。判定はχ検定により行い、結果を表15に示した。
【0148】
【表15】

【0149】
実施例8
Slc:ICRマウス雄3週令(体重約12g)を一群5匹で供試した。一区はMF標準飼料対照区、2〜5区は製造例1〜4で調製したエキス0.1%添加MF標準飼料区で、28日間飼育した。終了時に体重測定を行い、併せて採血・血漿の生化学的検査も実施した。体重増加の結果を表16に、血漿の生化学的検査の結果を表17に示す。
表中の増体重は、試験期間中に増加した体重の量を示し、増体率は試験開始時の体重1gに対して増加した体重の量を示している。増体率比は対照区の増体率を100%としたときの増体率を示している。
【0150】
【表16】

【0151】
【表17】

【0152】
試験の結果、甘蔗由来のエキスを使用した群では明らかに体重が増加しており、成長促進活性が認められた。また、生化学的検査の結果、異常は認められなかった。
【0153】
実施例9 (製造例3、5および7のエキス粉末を用いた成長促進効果)
Slc:ICRマウス雄3週令(体重約12g)を一群5匹で供試した。糖分は有効成分ではないと考え、非糖分の投与量を一定とした。対照区にはMF標準飼料を与え、エキス投与区には製造例3のエキス(バガス抽出物)、製造例5のエキス(イオンクロマト分離によるエキス)、または製造例7のエキス(イオンクロマト分離によるエキスの脱塩物)をそれぞれ非糖分で0.1%添加したMF標準飼料を自由摂取させ、28日間飼育した。終了時に体重測定を行い、併せて採血・血漿の生化学的検査も実施した。体重増加の結果を表18に、血漿の生化学的検査の結果を表19に示す。
表中の増体重は、試験期間中に増加した体重の量を示し、増体率は試験開始時の体重1gに対して増加した体重の量を示している。増体率比は対照区の増体率を100%としたときの増体率を示している。
【0154】
【表18】

【0155】
【表19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘蔗由来のエキスを有効成分とする感染予防治療剤。
【請求項2】
甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分である請求項1記載の感染予防治療剤。
【請求項3】
甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体としての合成吸着剤を充填したカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物から選ばれる溶媒で溶出することにより得られる画分である請求項2記載の感染予防治療剤。
【請求項4】
甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体としてのイオン交換樹脂を充填したカラムでの親和力の差を利用したカラムクロマトグラフィー処理により分離して得られる画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分である請求項2記載の感染予防治療剤。
【請求項5】
イオン交換樹脂が陽イオン交換樹脂である請求項4記載の感染予防治療剤。
【請求項6】
陽イオン交換樹脂が強酸性陽イオン交換樹脂である請求項5記載の感染予防治療剤。
【請求項7】
強酸性陽イオン交換樹脂がナトリウムイオン型もしくはカリウムイオン型である請求項6記載の感染予防治療剤。
【請求項8】
イオン交換樹脂がゲル型である請求項4〜7のいずれか一項記載の感染予防治療剤。
【請求項9】
カラムクロマトグラフィー処理が擬似移動床式連続分離法で行われる請求項4〜8のいずれか一項記載の感染予防治療剤。
【請求項10】
波長420nmの光を吸収する画分を更に電気透析処理に付して塩分を低減したところの、請求項4〜9のいずれか一項記載の感染予防治療剤。
【請求項11】
甘蔗由来のエキスが、バガスを水、親水性溶剤、またはこれらの混合物で抽出して得られるものである請求項1記載の感染予防治療剤。
【請求項12】
親水性溶媒がエタノールである請求項11記載の感染予防治療剤。
【請求項13】
抽出のための親水性溶媒が、60/40体積比以下の比でエタノールを含むエタノール−水混合溶媒である請求項11記載の感染予防治療剤。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項記載の感染予防治療剤を含む食品。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項記載の感染予防治療剤を含む飼料。
【請求項16】
甘蔗由来のエキスを有効成分とするワクチンワクチンアジュバント剤。
【請求項17】
甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分である請求項16記載のワクチンワクチンアジュバント剤。
【請求項18】
甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体としての合成吸着剤を充填したカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物から選ばれる溶媒で溶出することにより得られる画分である請求項17記載のワクチンワクチンアジュバント剤。
【請求項19】
甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体としてのイオン交換樹脂を充填したカラムでの親和力の差を利用したカラムクロマトグラフィー処理により分離して得られる画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分である請求項17記載のワクチンワクチンアジュバント剤。
【請求項20】
イオン交換樹脂が陽イオン交換樹脂である請求項19記載のワクチンワクチンアジュバント剤。
【請求項21】
陽イオン交換樹脂が強酸性陽イオン交換樹脂である請求項20記載のワクチンワクチンアジュバント剤。
【請求項22】
強酸性陽イオン交換樹脂がナトリウムイオン型もしくはカリウムイオン型である請求項21記載のワクチンワクチンアジュバント剤。
【請求項23】
イオン交換樹脂がゲル型である請求項19〜22のいずれか一項記載のワクチンワクチンアジュバント剤。
【請求項24】
カラムクロマトグラフィー処理が擬似移動床式連続分離法で行われる請求項19〜23のいずれか一項記載のワクチンワクチンアジュバント剤。
【請求項25】
波長420nmの光を吸収する画分を更に電気透析処理に付して塩分を低減したところの、請求項19〜24のいずれか一項記載のワクチンワクチンアジュバント剤。
【請求項26】
甘蔗由来のエキスが、バガスを水、親水性溶剤、またはこれらの混合物で抽出して得られるものである請求項16記載のワクチンワクチンアジュバント剤。
【請求項27】
抽出時の親水性溶剤がエタノールである請求項26記載のワクチンワクチンアジュバント剤。
【請求項28】
抽出のための溶媒が、60/40体積比以下の比でエタノールを含むエタノール−水混合溶媒である請求項26記載のワクチンワクチンアジュバント剤。
【請求項29】
請求項16〜28のいずれか一項記載のワクチンワクチンアジュバント剤を含む食品。
【請求項30】
請求項16〜28のいずれか一項記載のワクチンワクチンアジュバント剤を含む飼料。
【請求項31】
甘蔗由来のエキスを有効成分とする抗エンドトキシン剤。
【請求項32】
甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分である請求項31記載の抗エンドトキシン剤。
【請求項33】
甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体としての合成吸着剤を充填したカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物から選ばれる溶媒で溶出することにより得られる画分である請求項32記載の抗エンドトキシン剤。
【請求項34】
甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体としてのイオン交換樹脂を充填したカラムでの親和力の差を利用したカラムクロマトグラフィー処理により分離して得られる画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分である請求項32記載の抗エンドトキシン剤。
【請求項35】
イオン交換樹脂が陽イオン交換樹脂である請求項34記載の抗エンドトキシン剤。
【請求項36】
陽イオン交換樹脂が強酸性陽イオン交換樹脂である請求項35記載の抗エンドトキシン剤。
【請求項37】
強酸性陽イオン交換樹脂がナトリウムイオン型もしくはカリウムイオン型である請求項36記載の抗エンドトキシン剤。
【請求項38】
イオン交換樹脂がゲル型である請求項34〜37のいずれか一項記載の抗エンドトキシン剤。
【請求項39】
カラムクロマトグラフィー処理が擬似移動床式連続分離法で行われる請求項34〜38のいずれか一項記載の抗エンドトキシン剤。
【請求項40】
波長420nmの光を強く吸収する画分を更に電気透析処理に付して塩分を低減したところの、請求項34〜39のいずれか一項記載の抗エンドトキシン剤。
【請求項41】
甘蔗由来のエキスが、バガスを水、親水性溶剤、またはこれらの混合物で抽出して得られるものである請求項31記載の抗エンドトキシン剤。
【請求項42】
親水性溶剤がエタノールである請求項41記載の抗エンドトキシン剤。
【請求項43】
抽出のための溶媒が、60/40体積比以下の比でエタノールを含むエタノール−水混溶媒である請求項41記載の抗エンドトキシン剤。
【請求項44】
請求項31〜43のいずれか一項記載の抗エンドトキシン剤を含む食品。
【請求項45】
請求項31〜43のいずれか一項記載の抗エンドトキシン剤を含む飼料。
【請求項46】
甘蔗由来のエキスを有効成分とする成長促進剤。
【請求項47】
甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分である請求項46記載の成長促進剤。
【請求項48】
甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体としての合成吸着剤を充填したカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物から選ばれる溶媒で溶出することにより得られる画分である請求項47記載の成長促進剤。
【請求項49】
甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体としてのイオン交換樹脂を充填したカラムでの親和力の差を利用したカラムクロマトグラフィー処理により分離して得られる画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分である請求項47記載の成長促進剤。
【請求項50】
イオン交換樹脂が陽イオン交換樹脂である請求項49記載の成長促進剤。
【請求項51】
陽イオン交換樹脂が強酸性陽イオン交換樹脂である請求項50記載の成長促進剤。
【請求項52】
強酸性陽イオン交換樹脂がナトリウムイオン型もしくはカリウムイオン型である請求項51記載の成長促進剤。
【請求項53】
イオン交換樹脂がゲル型である請求項49〜52のいずれか一項記載の成長促進剤。
【請求項54】
カラムクロマトグラフィー処理が擬似移動床式連続分離法で行われる請求項49〜53のいずれか一項記載の成長促進剤。
【請求項55】
波長420nmの光を吸収する画分を更に電気透析処理に付して塩分を低減したところの、請求項49〜54のいずれか一項記載の成長促進剤。
【請求項56】
甘蔗由来のエキスが、バガスを水、親水性溶剤、またはこれらの混合物で抽出して得られるものである請求項46〜55のいずれか一項記載の成長促進剤。
【請求項57】
親水性溶剤がエタノールである請求項56記載の成長促進剤。
【請求項58】
抽出のための溶媒が、60/40体積比以下の比でエタノールを含むエタノール−水混溶媒である請求項56記載の成長促進剤。
【請求項59】
請求項46〜58のいずれか一項記載の成長促進剤を含む食品。
【請求項60】
請求項46〜58のいずれか一項記載の成長促進剤を含む飼料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−214481(P2012−214481A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−131814(P2012−131814)
【出願日】平成24年6月11日(2012.6.11)
【分割の表示】特願平11−287740の分割
【原出願日】平成11年10月8日(1999.10.8)
【出願人】(501190941)三井製糖株式会社 (52)
【Fターム(参考)】