説明

成分分析装置

【課題】成分の分析のために測定対象の量が目減りすることを抑制することのできる成分分析装置を提供する。
【解決手段】成分分析装置1は、被測定部分32に照射した近赤外光の拡散反射光により血液中のグルコース濃度を測定する測定部20を備えている。被測定部分32は血液の流路を形成するチューブ30に設けられる。また、照射部24Aから受光部25Aまでの光ファイバー間距離LFは、「0.2mm」以上かつ「1mm」以下に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象としての赤血球を含む液体に対して近赤外光を照射する機能および照射した近赤外光を受光する機能を有する測定部とを備える成分分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記成分分析装置として、例えば特許文献1の装置が知られている。この装置においては、体外に採取された血液の一部を酵素と反応させることにより、血液中のグルコース濃度を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−13072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の成分分析装置は、血液を酵素と反応させるため、測定に用いた血液は変性する。このため、測定に用いた血液の分、採取した血液の量が目減りする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、成分の分析のために測定対象の量が目減りすることを抑制することのできる成分分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
・本発明の成分分析装置は、測定対象としての赤血球を含む液体に対して近赤外光を照射する照射部および照射した近赤外光を受光する受光部を有する測定部とを備える成分分析装置において、前記近赤外光の照射部から受光部までの距離が「0.2mm」以上かつ「1mm」以下であること、前記照射部は、前記測定対象の流路として形成される容器の特定の部分としての被測定部分に対して前記近赤外光を照射すること、ならびに、前記受光部は、前記近赤外光の拡散反射光を受光することを特徴としている。
【0006】
・この成分分析装置においては、前記容器には、前記被測定部分における前記測定対象の流れを整流する整流機構が設けられていることが好ましい。
・この成分分析装置においては、前記整流機構として、前記容器において前記被測定部分よりも上流側の代表長さよりも前記被測定部分の代表長さが大きくなる部分が設けられていることが好ましい。
【0007】
・この成分分析装置においては、前記測定対象を流動させる流動装置が設けられていること、ならびに、流動している前記測定対象に前記近赤外光を照射することが好ましい。
・この成分分析装置においては、前記被測定部分の代表長さが「0.4mm」以上であることが好ましい。
【0008】
・この成分分析装置においては、前記近赤外光の波長が1300nm〜2500nmの範囲に含まれることが好ましい。
・この成分分析装置においては、前記被測定部分において前記照射部と前記受光部との間に対応する部分に遮光部分が設けられていることが好ましい。
【0009】
・この成分分析装置においては、前記照射部および前記受光部の少なくとも一方が前記容器の内部の空間に設けられていることが好ましい。
・この成分分析装置においては、前記被測定部分を洗浄する洗浄機構が設けられていることが好ましい。
【0010】
・この成分分析装置においては、前記容器のうちの前記被測定部分を交換することができることが好ましい。
・この成分分析装置においては、前記流路が第1流路および第2流路に分岐していること、前記被測定部分として、前記第1流路に設けられる第1被測定部分と、前記第2流路に設けられる第2被測定部分とが設けられていること、前記第1流路は、前記第1被測定部分よりも上流側において閉塞および開放することができること、ならびに、前記第2流路は、前記第2被測定部分よりも上流側において閉塞および開放することができることが好ましい。
【0011】
・この成分分析装置においては、前記被測定部分の前記測定対象の流速を測定する流速測定部が設けられていることが好ましい。
・この成分分析装置においては、前記被測定部分の上流にフィルターが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、成分の分析のために測定対象の量が目減りすることを抑制することのできる成分分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態の成分分析装置について、その全体構成を示す構成図。
【図2】同実施形態の成分分析装置について、光ファイバーの構造を示す正面図。
【図3】同実施形態の成分分析装置について、被測定部分の断面構造を示す断面図。
【図4】本発明の第2実施形態の成分分析装置について、(a)はチューブの一部の断面構造を示す断面図、(b)はチューブの一部の側面構造を示す正面図。
【図5】本発明の第3実施形態の成分分析装置について、チューブの一部の断面構造を示す断面図。
【図6】本発明の第4実施形態の成分分析装置について、チューブの一部の断面構造を示す断面図。
【図7】本発明の第5実施形態の成分分析装置について、(a)は交換部分が取り付けられているときのチューブの断面構造を示す断面図、(b)は交換部分が取り外されたときのチューブの断面構造を示す断面図。
【図8】本発明の第6実施形態の成分分析装置について、チューブの一部の断面構造を示す断面図。
【図9】本発明の第7実施形態の成分分析装置について、チューブの一部の断面構造を示す断面図。
【図10】本発明の第8実施形態の成分分析装置について、その一部の構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
本実施形態の成分分析装置1では、体外に採取した血液を体内に戻す血液環流の機能と、血液中のグルコース濃度を測定する機能とを備える成分分析装置として本発明を具体化した一例を示している。
【0015】
図1に示されるように、成分分析装置1は、近赤外光を照射する機能および近赤外光を受光する機能を備える測定部20と、測定対象としての血液を内包するチューブ30と、チューブ30内の血液を流動させるポンプ14とを備えている。また、各種の制御を行う制御部11と、測定結果を表示する表示部12と、測定のためにユーザーにより操作される操作部13とを備えている。チューブ30としては、近赤外光の透過性の高い可撓性のプラスチックから成形されるものが用いられている。なお、ポンプ14は「流動装置」に相当する。また、チューブ30は「容器」に相当する。
【0016】
制御部11は、操作部13の操作に基づいて各種の処理を実行する。その一例として以下のものが挙げられる。
・ポンプ14を駆動してチューブ30内の血液を環流させる処理。
・測定部20が受光した近赤外光に基づいてグルコース濃度を算出する処理。
【0017】
測定部20は、近赤外光を発生させるハロゲン光源21と、血液中を通過した拡散反射光を分光する分光部22と、分光部22において分光された近赤外光に基づいて受光信号を生成する受光素子22Aとを備えている。
【0018】
また、測定部20には、近赤外光を伝達するための発光ファイバー24および受光ファイバー25が設けられている。発光ファイバー24は、ハロゲン光源21から発生した近赤外光を伝達する。受光ファイバー25は、拡散反射光を分光部22に伝達する。なお、発光ファイバー24のハロゲン光源21側とは反対側の端部が血液に対して近赤外光を照射する照射部24Aとして構成される。また、受光ファイバー25の分光部22とは反対側の端部が血液中を通過した近赤外光を受光する受光部25Aとして構成される。
【0019】
発光ファイバー24および受光ファイバー25としては、例えば、クラッド径が「0.2mm」、コア径が「0.175mm」、および開口数が「0.2」の石英製の光ファイバーを用いることができる。
【0020】
発光ファイバー24および受光ファイバー25は、照射部24A側および受光部25A側の端部において束ねられているとともに、他方の端部において分岐する2分岐光ファイバーバンドル23として形成されている。
【0021】
ハロゲン光源21から発生する近赤外光には、1300nmから2500nmまでの波長の光が含まれる。血液の分析のための演算に用いる光の波長の範囲は、測定対象および目的に応じて1300nmから2500nmまでの範囲から任意の範囲を選択することができる。
【0022】
図2を参照して、光ファイバーバンドル23の構造について説明する。
光ファイバーバンドル23の照射部24A側および受光部25A側の端面においては、1つの受光部25Aの周囲に複数の照射部24Aが同心円上に配置されている。受光部25Aのクラッドの外周面と1つの照射部24Aのクラッドの外周面との距離(以下、「ファイバー間距離LF」)は、「0.2mm」以上かつ「1mm」以下の範囲で設定される。例えば、「0.65mm」に設定されている。
【0023】
図3を参照して、チューブ30の構造について説明する。
チューブ30は、その両端部がそれぞれ人体の腕の血管にそれぞれ接続されて用いられる(図1参照)。チューブ30の中間部分には、照射部24Aおよび受光部25Aが配置される被測定部分32が設けられている。
【0024】
チューブ30の被測定部分32よりも上流側には血液の流動を整える整流部分33が設けられている。整流部分33は、その上流側の端部から下流側の端部にむかうにつれてチューブ30の内径LTが滑らかに大きくなる。なお、整流部分33が「整流機構」として機能する。なお、内径LTが「代表長さ」に相当する。
【0025】
また、チューブ30において被測定部分32よりも下流側には、内径LTを小さくする絞り部分34が設けられている。絞り部分34は、その上流側の端部から下流側の端部にむかうにつれて内径LTが滑らかに小さくなる。
【0026】
このように、チューブ30は、被測定部分32よりも上流側および被測定部分32の下流側の内径LT(以下、「周辺内径LTL」)よりも被測定部分32の内径LT(以下、「測定内径LTS」)が大きい。なお、内径LTは、「0.4mm」以上かつ「20mm」以下の間に設定される。例えば、測定内径LTSは「2mm」に設定される。また、周辺内径LTLは、「1mm」に設定される。
【0027】
測定内径LTSを「0.4mm」以上に設定する理由について説明する。
照射部24Aから照射された近赤外光は、バナナシェイプと呼ばれる光分布で拡散反射し、受光部25Aに到達する。1400nm〜1900nmの波長の近赤外光が血液に照射されたときの平均光路長は約「1mm」、平均的な到達深さは約「0.5mm」であることが実験により推定された。このため、測定内径LTSを「0.4mm」以上、好ましくは「1mm」以上にすることにより、チューブ30の受光部25Aと対向する部分に達する近赤外光の量を少なくすることができる。また、流量が一定の条件下では、測定内径LTSが大きくなるにつれて、血液の流速分布が小さくなる。このため、測定内径LTSを「1mm」以上にすることにより、流速を安定させることができる。
【0028】
整流部分33による整流作用について説明する。
液体の流速は流路の断面積に反比例する。また、レイノルズ数は流速に比例する。したがって、同一のチューブ30内においては、流路の断面積が大きくなるほど、レイノルズ数は低下する。このため、チューブ30の内径LTを大きくすることにより、被測定部分32における血液の流れが層流化される。これにより、被測定部分32内において、血液成分の分布の偏りがより低減される。
【0029】
測定部20とチューブ30との関係について説明する。
光ファイバーバンドル23の端部23Aの端面23B、照射部24Aの照射面24B、および受光部25Aの受光面25Bは、測定部20による測定動作が実行されるとき、チューブ30の被測定部分32の外周面30Aに接触している。
【0030】
図1を参照して、測定部20の測定動作について説明する。
ハロゲン光源21は、操作部13の電源ボタンが押されたことに基づいて近赤外光を発光する。ハロゲン光源21から発生した近赤外光は、照射部24A、チューブ30の壁部、血液、およびチューブ30の壁部、および受光部25Aを通過して分光部22に到達する。分光部22は、入力された近赤外光を分光した受光素子22Aに出力する。受光素子22Aは、分光部22から入力された分光に応じた信号(以下、「受光信号SA」)を制御部11に送信する。
【0031】
制御部11により実行される測定動作について説明する。なお、測定動作の前の準備動作として、ユーザーはチューブ30の両端部をそれぞれ血管に接続する。
制御部11は、ユーザーにより操作部13の電源ボタンが操作されることにより、電源がオフからオンに変更される。
【0032】
これにより、制御部11はポンプ14を駆動し、血液の環流を開始する。また、ハロゲン光源21を点灯し、点灯から所定時間が経過した後、すなわちハロゲン光源21の点灯状態が安定した後に以下の測定動作を開始する。
【0033】
制御部11は、得られた受光信号SAに基づいて、血液中のグルコース濃度を定量する。具体的には、次の順にグルコース濃度を定量するための演算を行なう。
(A)波長毎の受光信号SAの光強度を算出する。
(B)上記(A)の演算により得られた値の常用対数を吸光度として算出する。
(C)波長毎に得られる吸光度を用いて吸光度スペクトルを生成する。
(D)生成した吸光度スペクトルに基づいてグルコース濃度を演算する。
【0034】
なお、測定は所定周期毎に複数回行われ、各周期におけるグルコース濃度の平均値が最終的なグルコース濃度として表示部12に順次表示される。そして、ユーザーにより操作部13の電源ボタンが操作されることにより電源がオンからオフに変更される。これにより、ポンプ14の駆動が停止するとともにハロゲン光源21が消灯する。
【0035】
(実施形態の効果)
本実施形態の成分分析装置1によれば以下の効果が得られる。
(1)成分分析装置1は、チューブ30の被測定部分32に照射される近赤外光により血液中のグルコース濃度を分析している。この構成によれば、酵素、化学薬品、紫外光、または放射線等を用いる方法と比較して血液に対する影響の小さい近赤外光を用いているため、グルコース濃度の分析のために血液を分取する必要がない。これにより、成分の分析のために体外に採取された血液の量が目減りすることを抑制することができる。
【0036】
(2)赤血球は近赤外光に対する透過性が低い。このため、拡散透過光を用いて血液中のグルコース濃度を分析する場合、測定内径LTSを小さくする必要がある。被測定部分の内径LTが小さい場合、赤血球等の大きな血球成分によりチューブが閉塞してしまうおそれがある。
【0037】
成分分析装置1は、拡散反射光を用いて血液中のグルコース濃度を分析している。この構成によれば、拡散透過光を用いるときと比較して測定内径LTSを大きくすることができるため、チューブ30が閉塞してしまうことを抑制することができる。
【0038】
(3)ファイバー間距離LFが大きいほど血液の成分の偏りによる影響を低減することができる。一方、照射部24Aと受光部25Aとのファイバー間距離LFが大きいほど、受光部25Aが受光する光強度が小さくなる。
【0039】
成分分析装置1は、ファイバー間距離LFが「0.2mm」以上かつ「1mm以下」に設定されている。この構成によれば、同距離LFが「0.2mm」未満のときと比較して、血液の成分の偏りによって測定精度が低下することを抑制することができる。また、ファイバー間距離LFが「1mm」よりも大きい場合と比較して、受光部25Aが受光する光強度を大きくすることができるため、光強度が小さいことに起因して測定精度が低下することを抑制することができる。特に、血液中のグルコースなどの低濃度の成分を測定する場合、高濃度の成分を測定する場合と比較して測定精度が低くなる。ファイバー間距離LFを「1mm」以下にすることにより、低濃度の成分を高い測定精度で測定することができる。
【0040】
(4)チューブ30には、被測定部分32における血液の流動を整える整流部分33が設けられている。
この構成によれば、被測定部分32における血液の流れが層流化するため、吸光度スペクトルのばらつきが小さくなる。なお、層流化させることにより吸光度スペクトルのばらつきが小さくなる理由として、以下のものが考えられる。すなわち、近赤外光を散乱性の高い赤血球が扁平な円盤形状であるため、層流化により赤血球が一定方向に向かうようになる。これにより、近赤外光の散乱状態のばらつきが抑制され、吸光度スペクトルのばらつきも小さくなる。特に、血液中のグルコースなどの低濃度の成分を測定する場合、近赤外光の散乱状態のばらつきによる測定精度への影響が大きい。このため、近赤外光のばらつきを抑制することにより、低濃度の成分の測定精度を向上することができる。
【0041】
(5)チューブ30には、被測定部分32よりも上流側の周辺内径LTLよりも被測定部分32の測定内径LTSを滑らかに大きくする整流部分33が設けられている。この構成によれば、被測定部分32のうちの上流側に整流フィルター等を設けて血液を整流する構成と比較して、被測定部分32において血球成分等の閉塞が生じにくい。
【0042】
例えば、拡散透過光を用いて血液中のグルコース濃度を分析する仮想の成分分析装置においては、周辺内径が拡散透過光に適した内径よりも大きいとき、測定内径を周辺内径よりも小さくする必要がある。このため、圧力損失が大きくなってしまう。
【0043】
成分分析装置1は、拡散反射光を用い、かつチューブ30の測定内径LTSを周辺内径LTLよりも大きくしている。これにより、仮想の成分分析装置と比較して圧力損失が増加することを抑制することができる。
【0044】
(6)成分分析装置1は、ポンプ14により流動している血液に近赤外光を照射する。この構成によれば、チューブ30内で静止している血液に近赤外光を照射する構成と比較して、血球成分の偏りが小さくなる。
【0045】
(7)成分分析装置1は、チューブ30の内径LTを「0.4mm」以上に設定している。この構成によれば、赤血球(直径7〜8μm)および白血球(直径6〜30μm)のような大きな血球成分を滑らかに流動させることができる。また、これら血球成分により被測定部分32が閉塞すること、および血球およびタンパク質等の物質がチューブ30の壁面に付着することを抑制することができる。
【0046】
また、1400nm〜1900nmの波長の近赤外光が血液に照射されたときの平均的な到達深さは約「0.5mm」であるため、測定内径LTSが「0.4mm」未満の構成と比較して、チューブ30の受光部25Aと対向する部分に達する近赤外光の量、およびこの部分から反射して受光部25Aに達する近赤外光を少なくすることができる。また、流量一定の条件下では、測定内径LTSが大きくなるにつれて血液の流速分布が小さくなる。このため、測定内径LTSを「1mm」以上にすることにより、安定した流速で測定を行うことができる。
【0047】
(8)成分分析装置1は、1300nm〜2500nmの波長の近赤外光を測定に用いている。この構成によれば、1300nm未満の波長の近赤外光、および2500nmよりも大きい波長の近赤外光を用いるときと比較して、血液中のグルコース濃度の測定精度を向上させることができる。
【0048】
(9)1つの照射部および1つの受光部を備える仮想の測定部においては、血液の流れ方法に対する照射部および受光部の配置が異なると、血液中のグルコース濃度の測定結果が異なるものになるおそれがある。
【0049】
成分分析装置1は、1つの受光部25Aを中心として複数の照射部24Aが円状に配置されている。この構成によれば、各照射部24Aから照射された近赤外光は各照射部24Aの中心に配置される受光部25Aにより受光される。このため、血液の流れ方法に対する照射部24Aおよび受光部25Aの配置が異なることに起因して血液中のグルコース濃度の測定精度が低下することを抑制することができる。
【0050】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態の被測定部分32に遮光部分を設けている。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0051】
図4を参照して、被測定部分32の構造について説明する。
図4(a)に示されるように、チューブ30の被測定部分32の照射面24Bおよび受光面25Bの間と対応する部分には、遮光部分36が嵌めこまれている。遮光部分36は、被測定部分32の他の部分を構成するプラスチックと比較して近赤外光の透過性の低いプラスチックにより構成されている。また、図4(b)に示されるように、遮光部分36は、光ファイバーバンドル23の端面23Bにおける照射面24Bおよび受光面25Bの間の形状と対応するドーナツ形状を形成している。
【0052】
(実施形態の効果)
本実施形態の成分分析装置1によれば、第1実施形態の(1)〜(9)の効果に加えて以下の効果が得られる。
【0053】
(10)チューブ30には、被測定部分32の照射部24Aと受光部25Aとの間に対応する部分に遮光部分36が設けられている。この構成によれば、照射部24Aから照射した近赤外光がチューブ30の壁部を通過して受光部25Aにより検出されることを抑制することができる。また、チューブ30を透過する外乱光の影響を低減することができる。また、被測定部分32の外周面30Aに光ファイバーバンドル23の端面23Bを接触させるときに、遮光部分36を目印とすることができる。
【0054】
(第3実施形態)
本実施形態の成分分析装置1では、第1実施形態の被測定部分32に光ファイバーバンドル23の端部23Aを挿入するための孔を設けている。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0055】
図5を参照して、被測定部分32の構造について説明する。
チューブ30の被測定部分32には、光ファイバーバンドル23の端部23Aの外径と対応する挿入孔37が形成されている。光ファイバーバンドル23の端部23Aは、この挿入孔37に血液の漏れが生じないように嵌めこまれている。このため、光ファイバーバンドル23の端面23Bおよび照射面24Bおよび受光面25Bは、チューブ30の内部に配置されるとともに、測定時に血液と接触する。
【0056】
(実施形態の効果)
本実施形態の成分分析装置1によれば、第1実施形態の(1)〜(9)の効果に加えて以下の効果が得られる。
【0057】
(11)照射面24Bおよび受光面25Bがチューブ30の外周面30Aに接触しているとき、照射面24Bから照射された近赤外光はチューブ30の壁部を通過して受光面25Bに達してしまう。この近赤外光は、血液の成分を反映していないため、測定精度を低下させる。また、チューブ30の近赤外光に対する透過性が測定結果に影響を及ぼしてしまう。
【0058】
成分分析装置1は、照射面24Bおよび受光面25Bをチューブ30の内部に設けて、血液と接触させている。この構成によれば、血液中を通過せずにチューブ30の壁部を通過して受光面25Bに受光される近赤外光を少なくすることができる。また、チューブ30の近赤外光に対する透過性のばらつきにより測定精度が低下することを抑制することができる。
【0059】
(第4実施形態)
本実施形態の成分分析装置1では、第1実施形態の被測定部分32を洗浄する洗浄機構を設けている。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0060】
図6を参照して、洗浄機構40の構造について説明する。
洗浄機構40は、被測定部分32を閉鎖および開放する上流側閉鎖弁41および下流側閉鎖弁42と、被測定部分32の内部に洗浄液を注入するための注入チューブ43と、被測定部分32の内部から洗浄液を排出するための排出チューブ45とを備えている。上流側閉鎖弁41は、被測定部分32の上流において被測定部分32を閉鎖および開放する。下流側閉鎖弁42は、被測定部分32の下流において被測定部分32を閉鎖および開放する。
【0061】
上流側閉鎖弁41は、チューブ30の上流部分31のうちの整流部分33付近に設けられている。また、整流部分33と上流側閉鎖弁41との間には、注入チューブ43が接続されている。注入チューブ43には、注入チューブ43を閉鎖および開放する注入閉鎖弁44が設けられている。
【0062】
下流側閉鎖弁42は、チューブ30の下流部分35のうちの絞り部分34付近に設けられている。また、絞り部分34と下流側閉鎖弁42との間には、排出チューブ45が接続されている。排出チューブ45には、排出チューブ45を閉鎖および開放する排出閉鎖弁46が設けられている。
【0063】
洗浄機構40を用いた被測定部分32の洗浄手順について説明する。
(作業1)上流側閉鎖弁41および下流側閉鎖弁42を閉鎖する。
(作業2)注入閉鎖弁44および排出閉鎖弁46を開放する。
(作業3)注入チューブ43からチューブ30内に滅菌水を噴射し、排出チューブ45からチューブ30内の滅菌水を排出する。
(作業4)(作業3)を複数回繰り返す。
(作業5)注入閉鎖弁44および排出閉鎖弁46を閉鎖する。
(作業6)上流側閉鎖弁41および下流側閉鎖弁42を開放する。
【0064】
(実施形態の効果)
本実施形態の成分分析装置1によれば、第1実施形態の(1)〜(9)の効果に加えて以下の効果が得られる。
【0065】
(12)成分分析装置1には、被測定部分32に洗浄液を注入する注入チューブ43および洗浄液を排出する排出チューブ45により構成される洗浄機構40が設けられている。この構成によれば、注入チューブ43および排出チューブ45を用いて被測定部分32に洗浄液を通すことにより被測定部分32を洗浄することができる。このため、被測定部分32の壁面に血球およびタンパク質等が付着したことにより測定結果が異常なものとなったとき、被測定部分32を洗浄することにより被測定部分32の壁面に血球およびタンパク質等を除去することができる。
【0066】
(第5実施形態)
本実施形態の成分分析装置1では、第1実施形態のチューブ30の被測定部分32を交換可能なチューブ50に変更している。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0067】
図7を参照して、チューブ50の構造について説明する。
図7(a)に示されるように、チューブ50は、上流部分51と、交換部分52と、下流部分56とを備えている。交換部分52は、被測定部分53と、整流部分54と、絞り部分55とを備えている。
【0068】
図7(b)に示されるように、上流部分51の下流側の端部にはチューブ50とは別の材料から形成される接続部51Aが設けられている。下流部分56の上流側の端部にはチューブ50とは別の材料から形成される接続部56Aが設けられている。交換部分52の両側の端部にはチューブ50とは別の材料から形成される接続部52Aが設けられている。接続部51Aおよび接続部56Aには雄ねじが形成されている。接続部52Aには雌ねじが形成されている。接続部51Aの雌ねじおよび接続部52Aの雄ねじと、接続部56Aの雌ねじおよび接続部52Aの雄ねじとを外すことにより、交換部分52と予備の交換部分52とを交換することができる。
【0069】
(実施形態の効果)
本実施形態の成分分析装置1によれば、第1実施形態の(1)〜(9)の効果に加えて以下の効果が得られる。
【0070】
(13)チューブ50は、交換部分52を交換することができる。この構成によれば、被測定部分32の壁面に血球およびタンパク質等が付着したことにより測定結果が異常なものとなったとき、交換部分52を予備の交換部分52に交換することができる。
【0071】
(第6実施形態)
本実施形態の成分分析装置1では、第1実施形態のチューブ30を被測定部分32で2系統に分岐するチューブ60に変更している。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0072】
図8を参照して、チューブ60の構造について説明する。
チューブ60には、上流部分61と、下流部分63と、これらの間に設けられる第1流路部分65および第2流路部分66とが設けられている。また、第1流路部分65および第2流路部分66に分岐する分岐部分62と、分岐部分62よりも下流側において第1流路部分65および第2流路部分66を合流する合流部分64とが設けられている。
【0073】
分岐部分62には、上流部分61を第1流路部分65および第2流路部分66の一方に対して接続し、かつ第1流路部分65および第2流路部分66の他方に対して閉鎖する上流側切替弁62Aが設けられている。
【0074】
合流部分64には、下流部分63を第1流路部分65および第2流路部分66の一方に対して接続し、かつ第1流路部分65および第2流路部分66の他方に対して閉鎖する下流側切替弁64Aが設けられている。
【0075】
第1流路部分65は、第1流路部分65の中間部分に設けられる第1被測定部分65Aと、第1被測定部分65Aよりも分岐部分62側に設けられる第1整流部分65Bと、第1被測定部分65Aよりも合流部分64側に設けられる第1絞り部分65Cとを備えている。
【0076】
第2流路部分66は、第2流路部分66の中間部分に設けられる第2被測定部分66Aと、第2被測定部分66Aよりも分岐部分62側に設けられる第2整流部分66Bと、第2被測定部分66Aよりも合流部分64側に設けられる第2絞り部分66Cとを備えている。
【0077】
第1被測定部分65Aを用いてグルコース濃度を測定するとき、上流側切替弁62Aにより上流部分61を第1流路部分65に対して接続し、かつ第2流路部分66に対して閉鎖する。また、下流側切替弁64Aにより、第1流路部分65に対して接続し、かつ第2流路部分66に対して閉鎖する。また、光ファイバーバンドル23の端面23Bを第1被測定部分65Aの外周面60Aに接触させる。
【0078】
第2被測定部分66Aを用いてグルコース濃度を測定するとき、上流側切替弁62Aにより上流部分61を第1流路部分65に対して閉鎖し、かつ第2流路部分66に対して接続する。また、下流側切替弁64Aにより、第1流路部分65に対して閉鎖し、かつ第2流路部分66に対して接続する。また、光ファイバーバンドル23の端面23Bを第2被測定部分66Aの外周面60Aに接触させる。
【0079】
(実施形態の効果)
本実施形態の成分分析装置1によれば、第1実施形態の(1)〜(9)の効果に加えて以下の効果が得られる。
【0080】
(14)チューブ60は、分岐部分62において第1流路部分65および第2流路部分66に分岐している。そして、第1流路部分65に第1被測定部分65Aが設けられ、第2流路部分66に第2被測定部分66Aが設けられている。この構成によれば、使用している被測定部分65Aおよび被測定部分66Aの一方の壁面に血球およびタンパク質等が付着して測定結果が異常なものとなったとき、被測定部分65Aおよび被測定部分66Aの他方の被測定部分を使用することができる。
【0081】
また、グルコース濃度の測定中において測定結果が異常なものとなったとき、使用していない方の流路部分65,66に切り替えることができる。このため、血液の流れを止めずに使用していない方の被測定部分65A,66Aにより測定を継続することができる。
【0082】
(第7実施形態)
本実施形態の成分分析装置1では、第1実施形態の被測定部分32の上流側の端部にフィルターを設けている。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0083】
図9を参照して、被測定部分32の構造について説明する。
チューブ30の被測定部分32の上流側の端部には、フィルター71が設けられる。なお、フィルター71としては、白血球(直径30μm)よりも大きい孔径(例えば、100μm)を備えるものが設けられる。
【0084】
(実施形態の効果)
本実施形態の成分分析装置1によれば、第1実施形態の(1)〜(9)の効果に加えて以下の効果が得られる。
【0085】
(15)チューブ30には、被測定部分32の上流に白血球よりも大きな物質を除去するためのフィルター71が設けられている。この構成によれば、白血球よりも大きな物質および複数の白血球および赤血球のかたまりによって被測定部分32が閉塞することを抑制することができる。また、白血球よりも大きな物質および複数の白血球のかたまりにより測定精度が低下することを抑制することができる。
【0086】
(第8実施形態)
本実施形態の成分分析装置1では、第1実施形態の成分分析装置1に流速測定部を設けている。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0087】
図10を参照して、成分分析装置1の構造について説明する。
成分分析装置1には、チューブ30内を流れる血液の流速を測定するための流速測定部15が設けられている。流速測定部15としては、レーザードップラー流速計が採用される。流速測定部15は、被測定部分32の血液の流速に応じた信号を制御部11に送信する。制御部11は、流速測定部15からの信号に基づいて流速を算出する。制御部11は、血液の流速がグルコース濃度の測定に適した所定の範囲内になるようにポンプ14の駆動速度を制御する。
【0088】
(実施形態の効果)
本実施形態の成分分析装置によれば、第1実施形態の(1)〜(9)の効果に加えて以下の効果が得られる。
【0089】
(16)成分分析装置1は、被測定部分32の血液の流速を測定する流速測定部15を備えている。この構成によれば、血液の流速がグルコース濃度の測定に適さないものになることを抑制することができる。
【0090】
(その他の実施形態)
本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0091】
・第3実施形態(図5)では、光ファイバーバンドル23の端部23Aを被測定部分32の内部に挿入したが、光ファイバーバンドル23から受光ファイバー25または発光ファイバー24のみを延伸し、この部分のみを被測定部分32の内部に挿入することもできる。
【0092】
・第5実施形態(図7)では、接続部51A,56Aの雌ねじおよび接続部52Aの雄ねじにより交換部分52を交換する構成にしたが、交換部分52を交換することのできる他の構成を採用することもできる。例えば、接続部51A,56Aおよび接続部52Aの一方に接続部51A,56Aおよび接続部52Aの他方をはめ込むことにより交換部分52を交換する構成を採用することもできる。
【0093】
・第6実施形態(図8)では、合流部分64において第1流路部分65および第2流路部分66を合流させたが、合流部分64を省略することもできる。この場合、第1流路部分65および第2流路部分66はこれよりも下流においてそれぞれ血管の別の位置に接続される。
【0094】
・第6実施形態(図8)の第1流路部分65および第2流路部分66に、上記第4実施形態(図6)の洗浄機構40を設けることもできる。また、第1流路部分65および第2流路部分66を上記第5実施形態(図7)の交換部分52として設けることもできる。
【0095】
・第8実施形態(図10)では、流速測定部15としてレーザードップラー流速計を採用したが、超音波流速計またはピトー管を採用することもできる。
・第8実施形態(図10)では、測定された血液の流速に基づいてポンプ14の駆動速度を制御したが、ポンプ14の駆動速度の制御に代えてまたは加えて、流速に基づいてグルコース濃度を補正する補正処理を行うこともできる。
【0096】
・第1、第2、および第4〜第8実施形態では、光ファイバーバンドル23の端面23Bを被測定部分32,53,65A,66Aの外周面30Aに接触させたが、光ファイバーバンドル23の端面23Bを被測定部分32,53,65A,66Aの壁部に埋め込むこともできる。
【0097】
・第1〜第8実施形態では、チューブ30,50,60の内径LTを大きくする整流部分33,54,65B,66Bを設けているが、以下の整流部分を採用することもできる。すなわち、整流部分として、チューブ30,50,60において被測定部分32,53,65A,66A付近かつ被測定部分32,53,65A,66Aよりも上流側に整流フィルターを設けることもできる。なお、この整流フィルターをハニカム構造とすることもできる。また、フィルターの孔径としては、白血球を通過させることのできる孔径(例えば、40μm)を採用することができる。
【0098】
・第1〜第8実施形態では、測定内径LTSおよび周辺内径LTLを「0.4mm」以上、かつ「20mm」以下としたが、測定内径LTSおよび周辺内径LTLの少なくとも一方の内径LTを「0.4mm」未満にすることもできる。また、測定内径LTSおよび周辺内径LTLの少なくとも一方の内径LTを「20mm」よりも大きくすることもできる。
【0099】
・上記第1〜第8実施形態(図2)では、整流部分33,54,65B,66Bを採用したが、整流部分33,54,65B,66Bを省略することもできる。
・第1〜第8実施形態(図1)では、ポンプ14を駆動しているときに血液中のグルコース濃度を測定したが、ポンプ14を停止しているときに血液中のグルコース濃度を測定することもできる。この場合、ポンプ14の停止後において血液の流動が停止するまでの期間において測定を行うこともできる。また、血液の流動が停止している状態で測定を行うこともできる。
【0100】
・第1〜第8実施形態(図1)では、流動装置としてポンプ14を採用したが、被測定部分32,53,65A,66Aにおいて血液を流動することのできる装置であればいずれの流動装置を採用することもできる。
【0101】
・第1〜第8実施形態(図1)では、近赤外光の透過性の高い可撓性のプラスチックにより形成されたチューブ30,50,60を採用したが、近赤外光を透過する他の材料を用いることもできる。例えば、アクリルガラス等の樹脂、またはガラスに変更することもできる。また、被測定部分32以外の部分については、近赤外光の透過性の低い材料に変更することもできる。
【0102】
・第1〜第8実施形態(図1)では、断面が円形のチューブ30,50,60を採用したが、断面が多角形のチューブを採用することもできる。
・第1〜第8実施形態(図2)では、1つの受光ファイバー25を中心として複数の発光ファイバー24を円状に配置したが、1つの発光ファイバー24を中心として複数の受光ファイバー25を円状に配置することもできる。なお、この構成においても第1実施形態の(9)の効果を得ることができる。
【0103】
・第1〜第8実施形態(図2)では、複数の発光ファイバー24を設けたが、発光ファイバー24を1つのみ設けることもできる。
・第1〜第8実施形態(図2)では、1つの受光ファイバー25を設けたが、受光ファイバー25を複数設けることもできる。
【0104】
・第1〜第8実施形態(図2)では、発光ファイバー24および受光ファイバー25を光ファイバーバンドル23により束ねたが、発光ファイバー24および受光ファイバー25を束ねずに各別の光ケーブルとして構成することもできる。
【0105】
・第1〜第8実施形態(図1)では、ハロゲン光源を用いたが、LED光源を用いることもできる。また、レーザー光源を用いることもできる。
・第1〜第8実施形態(図1)では、近赤外光として1300nm〜2500nmの波長の近赤外光を用いたが、1300nm未満を含む波長範囲の中から任意の範囲を設定することもできる。また、2500nmよりも大きい近赤外光の波長を含む波長範囲の中から任意の範囲を設定することもできる。
【0106】
・第1〜第8実施形態(図1)において、被測定部分32,53,65A,66Aよりも下流にグルコース濃度の測定結果に基づいてインスリンを注入する注入部を設け、人工膵臓とすることもできる。また、インスリン以外の物質を注入することもできる。また、被測定部分32,53,65A,66Aよりも上流側および下流側の少なくとも一方でインスリン以外の物質を注入または血液中の物質を除去することもできる。
【0107】
・第1〜第8実施形態(図1)では、血液中のグルコース濃度を測定したが、グルコース濃度以外の血液の成分を測定することもできる。例えば、赤血球数、白血球数、血小板数、タンパク質濃度、尿素等の低分子化合物濃度、または二酸化炭素濃度等を測定することができる。また、赤血球数、白血球数、または血小板の形状を測定することもできる。
【0108】
・第1〜第8実施形態(図1)では、チューブ30,50,60の下流部分35,56,63の下流側の端部を血管と接続したが、下流部分35,56,63の下流側の端部を容器に接続し、体外に採取した血液をこの容器に移すこともできる。
【0109】
・第1〜第8実施形態(図1)では、チューブ30,50,60の上流部分31,51,61の上流側の端部を血管と接続したが、体外に採取した血液を保存した容器に接続することもできる。
【0110】
・第1〜第8実施形態(図1)では、血液を測定対象としたが、赤血球を含む液体を測定対象とすることもできる。例えば、赤血球に保存液を添加した赤血球製剤のグルコース濃度を測定することもできる。
【符号の説明】
【0111】
1…成分分析装置、14…ポンプ(流動装置)、15…流速測定部、20…測定部、24A…照射部、25A…受光部、30,50,60…チューブ(容器)、32,53,65A,66A…被測定部分、36…遮光部分、40…洗浄機構、71…フィルター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象としての赤血球を含む液体に対して近赤外光を照射する照射部および照射した近赤外光を受光する受光部を有する測定部とを備える成分分析装置において、
前記近赤外光の照射部から受光部までの距離が「0.2mm」以上かつ「1mm」以下であること、
前記照射部は、前記測定対象の流路として形成される容器の特定の部分としての被測定部分に対して前記近赤外光を照射すること、
ならびに、前記受光部は、前記近赤外光の拡散反射光を受光すること
を特徴とする成分分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の成分分析装置において、
前記容器には、前記被測定部分における前記測定対象の流れを整流する整流機構が設けられていること
を特徴とする成分分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の成分分析装置において、
前記整流機構として、前記容器において前記被測定部分よりも上流側の代表長さよりも前記被測定部分の代表長さが大きくなる部分が設けられていること
を特徴とする成分分析装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の成分分析装置において、
前記測定対象を流動させる流動装置が設けられていること、
ならびに、流動している前記測定対象に前記近赤外光を照射すること
を特徴とする成分分析装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の成分分析装置において、
前記被測定部分の代表長さが「0.4mm」以上であること
を特徴とする成分分析装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の成分分析装置において、
前記近赤外光の波長が1300nm〜2500nmの範囲に含まれること
を特徴とする成分分析装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の成分分析装置において、
前記被測定部分において前記照射部と前記受光部との間に対応する部分に遮光部分が設けられていること
を特徴とする成分分析装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の成分分析装置において、
前記照射部および前記受光部の少なくとも一方が前記容器の内部の空間に設けられていること
を特徴とする成分分析装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の成分分析装置において、
前記被測定部分を洗浄する洗浄機構が設けられていること
を特徴とする成分分析装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の成分分析装置において、
前記容器のうちの前記被測定部分を交換することができること
を特徴とする成分分析装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の成分分析装置において、
前記流路が第1流路および第2流路に分岐していること、
前記被測定部分として、前記第1流路に設けられる第1被測定部分と、前記第2流路に設けられる第2被測定部分とが設けられていること、
前記第1流路は、前記第1被測定部分よりも上流側において閉塞および開放することができること、
ならびに、前記第2流路は、前記第2被測定部分よりも上流側において閉塞および開放することができること
を特徴とする成分分析装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の成分分析装置において、
前記被測定部分の前記測定対象の流速を測定する流速測定部が設けられていること
を特徴とする成分分析装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の成分分析装置において、
前記被測定部分の上流にフィルターが設けられていること
を特徴とする成分分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−48834(P2013−48834A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189752(P2011−189752)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】