説明

成型加工後の樹脂密着性および耐食性に優れたキャップ成型用アルミニウム板

【課題】加工後の塗膜密着性、耐食性に優れた、顔料を多く含む塗膜を設けたアルミニウム製キャップの提供。
【解決手段】化成型下地処理皮膜が、Cr付着量が1mg/m以上30mg/m以下かつ表面C量が50mg/m以下であるリン酸クロメートであり、その上に重量平均分子量500につき1個以上のカルボキシル基を含有し、かつ重量平均分子量が1000以上100万以下であるアクリル酸化合物の重合体を5mg/m以上5000mg/m以下の付着量にて設けた下地上に乾燥重量に対し5mass%以上の顔料を含有する塗膜を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも片面に、顔料を含有する樹脂塗料を塗装したアルミニウム板に関し、特にプレス成形などの成形加工後において樹脂密着性および耐食性に優れたキャップ成型用アルミニウム板に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム板またはアルミニウム合金板(以下、アルミニウム板と呼称する)は、軽量で適度な機械的特性を有し、かつ美感、成形加工性、耐食性等に優れた特徴を有しているため、各種容器類、構造材、機械部品等に広く使われている。
【0003】
上記用途のアルミニウム板は、耐食性・耐溶出性のさらなる向上、外観の向上およびキズつき防止等のため、その表面に樹脂塗料の塗装および樹脂フィルムのラミネート加工が施されることが多い。このときアルミニウム板には、樹脂密着性ならびに耐食性を向上させるため、既存技術に基づいた下地処理(例えばリン酸クロメート、クロム酸クロメートおよびリン酸ジルコニウム等の化成型下地処理)が施されるのが一般的である。アルミニウム製キャップの場合、材料のアルミニウム板に下地処理および樹脂被覆を施してから成型加工する、いわゆるプレコート材料が多く用いられている。
【0004】
キャップ成型用プレコートアルミニウム合金板に対しては、成型加工しても樹脂の剥離が生じないための樹脂密着性や、腐食雰囲気に侵されない耐食性、ならびに高度な成型に耐えうる加工性が要求される。こうした要求に対し、特に塗膜密着性向上の立場から、広範な分野においてさまざまな提案がなされている。特に下地処理方法においては、従来技術に基づく化成型下地処理に加え、その上に密着性を向上させる有機物を設けた後、それらの上に樹脂を設ける方法が提案されている。例えば特許文献1は、アルミニウム板にリン酸クロメート処理を施した後、特定のフェノール重合体を含む溶液中で処理するか、またはアルミニウム板にリン酸クロメート処理を施し、次いでシラン処理を施して表面処理アルミニウム板を作成し、これに熱可塑性樹脂を被覆して樹脂被覆アルミニウム板とし、絞りしごき加工を施してコンデンサー外装用容器に成形する方法を提案している。また特許文献2は、アルミニウム製缶材料において、少なくともアルミニウム基体の容器内面側の表面に無機物を主体とする表面処理層、その上に水性フェノール樹脂を主体とする有機表面処理層、及び更にその上にポリエステル系樹脂被覆層の多層構造を有することを特徴とするアルミニウム製缶材料を提供している。
【特許文献1】特開2001−303273号公報
【特許文献2】特開2001−121648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような従来技術には、以下のような問題があった。
すなわち、ボトル缶を始めとする再密閉可能な容器に用いられるアルミニウム製キャップは、深絞り成型、スクリュー成型、更にはピルファープルーフ化に伴うミシン目加工など、特許文献1の対象であるコンデンサーケースや、特許文献2の対象であるアルミニウム缶と比べ、非常に厳しい加工を受ける。加えて、外観・意匠上の要求から、樹脂塗膜に顔料(酸化チタン粒子または/およびシリカ粒子であることが多い)を添加する場合もあり、塗膜密着性に不利な状況になっている。特に、顔料の添加量が塗膜の乾燥重量に対し5mass%以上になると、その傾向が強まる。さらに近年は、ボトル缶がホット飲料に採用されるようになったため、キャップの樹脂塗膜に耐レトルト性をも要求されるようになった。
【0006】
こうした条件に対し、特許文献1および2のような技術では、厳しい加工を受けた後の樹脂密着性が不足するため、レトルト後の塗膜剥離のような問題が発生していた。加えて、厳しい加工により塗膜および下地がダメージを受けるため、飲料等に対する耐食性も低下する場合が多かった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、5mass%以上の顔料を含有した塗料に対する加工後塗膜密着性および耐食性を高めるためには、アルミニウム板の表面に対し、表面に付着したC量が50mg/m以下であるリン酸クロメート皮膜をCr付着量1mg/m以上30mg/m以下にて設けた後、その上に重量平均分子量500につき1個以上のカルボキシル基を含有し、かつ重量平均分子量が1000以上100万以下であるアクリル樹脂を、5mg/m以上2000mg/m以下の付着量にて設け、さらにそれらの上に、上記の顔料を含有した塗料を塗布・焼付することが極めて有効であることを見出した。
【0008】
すなわち請求項1の発明は、 表面に化成型下地処理を施し、その上に乾燥重量に対し5mass%以上の顔料を含有する塗膜を設けるキャップ成型用アルミニウム板の下地処理において、化成型下地処理皮膜が、Cr付着量が1mg/m以上30mg/m以下かつ表面C量が50mg/m以下であるリン酸クロメートであり、その上に重量平均分子量500につき1個以上のカルボキシル基を含有しかつ重量平均分子量が1000以上100万以下であるアクリル樹脂を5mg/m以上5000mg/m以下の付着量にて設けることを特徴とする、成型加工後の樹脂密着性および耐食性に優れたキャップ成型用アルミニウム板である。
【0009】
また請求項2の発明は、浴中に含まれる全炭素量が0.5mass%以下であるリン酸クロメート処理浴ならびに洗浄水により形成された、Cr付着量が1mg/m以上30mg/m以下のリン酸クロメート皮膜の上に、重量平均分子量500につき1個以上のカルボキシル基を含有かつ重量平均分子量が1000以上100万以下である水性または溶剤性のアクリル樹脂溶液を、乾燥重量にて5mg/m以上5000mg/m以下となるよう塗布し、30℃以上300℃以下の雰囲気にて1秒以上600秒以下乾燥させることを特徴とする成型加工後の樹脂密着性および耐食性に優れたキャップ成型用アルミニウム板の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に従って作られたキャップ成型用アルミニウム板は、顔料および染料を含有する塗膜に対し高い密着性および優れた成型加工性を有し、かつ優れた耐食性を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の詳細を順に説明する。
本発明の要諦は、リン酸クロメート皮膜の上に、特別な条件を満たすアクリル樹脂(アクリル酸化合物の重合体)を設けることにより、顔料を多量に含有した塗料を設けたキャップ成型用アルミニウム板の塗膜密着性および耐食性を向上させることである。
【0012】
発明者は、TEM(透過型電子顕微鏡)により塗装板の断面観察を行い、アルミニウム板と塗膜の界面を精査した結果、乾燥重量に対し5mass%以上の顔料を含む塗膜がアルミニウム板表面に塗布された場合、顔料の粒子がリン酸クロメート皮膜に直接接触していることを確認した。なお多くの場合、キャップ用塗料における顔料とは、酸化チタン粒子または/およびシリカ粒子を指す。これらの物質は、リン酸クロメート皮膜との相互作用をほとんど持たないため、塗膜の密着性に全く寄与しない。そればかりか、リン酸クロメート皮膜と塗膜樹脂成分との接触面積を横取りする形になるため、むしろ塗膜密着性を減少させる方向に作用することが判明した。これに対し発明者らは、限られた接触面積を最大限に活用する手段として、リン酸クロメート皮膜と塗膜との間に有機高分子化合物の中間層を設けることを発明した。すなわち、塗膜の樹脂成分と中間層物質の分子とを熱振動等により絡み合わせて一種の溶融接着層を形成させ、結果としてリン酸クロメート皮膜と塗膜樹脂成分との接触面積を増大させるとともに、中間層物質の極性基、具体的にはカルボキシル基とリン酸クロメート皮膜中のリン酸基とを強固に結合させることにより、塗膜密着性および耐食性を向上させることを発明したものである。
【0013】
リン酸クロメート皮膜は、Cr付着量にして1mg/m以上30mg/m以下とする必要がある。Cr付着量が1mg/mを下回ると、密着性向上に寄与するリン酸基が不足するため、加工時の塗膜密着性が不足する。Cr付着量が30mg/mを超えると、強い加工が加わった場合にリン酸クロメート皮膜の割れが発生するため、密着性および耐食性が極端に低下する。
【0014】
さらに、上記リン酸クロメート皮膜の表面に付着した、主として有機物に由来するC(炭素)も、Cr付着量とともに規制する必要がある。Cの付着量が50mg/mを超えると、後述するアクリル樹脂の濡れ性を阻害し、ピンホール等の塗布欠陥を誘発し耐食性を低下させるとともに、カルボキシル基とリン酸基の結合を弱め、塗膜密着性をも低下させる。
本発明において、リン酸クロメート皮膜と塗膜との中間に設ける物質としては、重量平均分子量500につき1個以上のカルボキシル基を含有するアクリル樹脂が最も適している。これは、アクリル樹脂に含まれるカルボキシル基が、リン酸クロメート皮膜のリン酸基と強固に結びつくとともに、樹脂の骨格部が塗膜の樹脂成分と溶融接着層形成効果を発揮するため、リン酸クロメート皮膜と塗膜の双方に強力に作用するためである。この他、アクリル樹脂は一般的に、屈折率が高く無色であることや、内分泌かく乱性物質(いわゆる環境ホルモン)であることが指摘されるビスフェノールAを含有しないこと等、食品包装用途として好ましい性質を備えていることも、好ましい性質として挙げる事ができる。
【0015】
また、本発明に用いるアクリル樹脂の分子量は、重量平均分子量にして1000以上100万以下のものでなければならない。これは、重量平均分子量が1000を下回ると、樹脂自体の水溶性が高まり、レトルト処理等におけるアクリル樹脂層の溶出が懸念されるためであり、100万を上回ると、粘度が増大することによる塗装ムラ等が生じやすいためである。
【0016】
加えて、本発明においてアクリル樹脂を設ける量は、5mg/m以上5000mg/m以下であることが必須である。これは、アクリル樹脂の量が5mg/mを下回ると、上述の熱振動等による接触面積増大効果が不足し、塗膜密着性が確保できないためである。また5000mg/mを上回ると、アクリル樹脂層の残留応力が大きくなり、強い加工を行った際にアクリル樹脂層の凝集破壊を招くためである。
【0017】
以上の要件を満たす限りにおいて、本発明におけるアクリル樹脂には、公知のものがそのまま適用できる。具体的には、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリヒドロキシアクリル酸、ポリヒドロキシアクリル酸エステルおよびそれらの共重合体などが好適である。加えて、アンモニア、アミン類あるいはアルカリ金属水酸化物等でpH調整した樹脂も、同様に好適に用いることができる。さらに、メラミン系化合物およびユリア系化合物を架橋剤として添加した樹脂も、同様に好適に用いることができる。
【0018】
このようにして得られたキャップ成型用アルミニウム板は、乾燥重量に対し5mass%以上の顔料を含む塗膜との加工密着性に優れると同時に、耐食性をも発揮する。この場合において顔料とは、多くの場合において酸化チタン粒子または/およびシリカ粒子であり、その発色効果ならびに下地色隠蔽効果を発揮するためには、5mass%以上の配合量とすることがほとんど必須である。また、塗膜の本体をなす樹脂には、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂および塩化ビニル系樹脂等、一般的に塗料に用いられる樹脂をそのまま用いることができる。また、顔料を含む塗料は、水溶性であっても溶剤性であってもよい。さらに本発明は、顔料を含む塗膜とアルミニウムの加工密着性を向上させるものであるから、顔料を含む塗膜の上に色彩付与を目的として各種インキ層を設けてもよく、さらにトップコートとして各種仕上げクリアー塗膜を設けてもよい。
【0019】
ところで、請求項1の要件を満たす下地処理層を設ける手段として、例えば、浴中に含まれる全炭素量が0.5mass%以下であるリン酸クロメート処理浴ならびに洗浄水により形成された、Cr付着量が1mg/m以上30mg/m以下のリン酸クロメート皮膜に対し、適当な濃度に調製した水性または溶剤性のアクリル樹脂溶液を乾燥重量5mg/m以上5000mg/m以下となるように塗布し乾燥させる方法を挙げる事ができる。この場合において、アクリル樹脂溶液を塗布した後の乾燥温度が30℃を下回ると、水または溶剤の揮発速度が遅いため、生産性に悪影響を及ぼし、また乾燥温度が300℃を上回ると、温度維持のためのエネルギーが無駄になるため、いずれも好ましくない。乾燥時間が1秒を下回る条件設定では、水または溶剤の揮発が十分に行われず、また600秒を上回ると生産性に悪影響を及ぼし、いずれも好ましくない。なお、アクリル樹脂溶液の塗布方法については特に制限はなく、板を溶液に浸漬した後ロールで絞る方法や、コーターロールにより板に塗りつける方法、およびスプレーにより板に吹き付ける方法等を用いることができる。中でも、アクリル樹脂の付着量が5mg/m以上5000mg/m以下となるように制御するためには、コーターロールを用いた方法が特に好ましい。なお、アクリル樹脂の付着量を測定するためには、付着量の狙い値が約500mg/m以下の場合は反射赤外吸収スペクトル測定法、それ以上の場合は重量法を用いることができる。
【実施例1】
【0020】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
アルミニウム合金材料として、板厚0.25mmのJIS5151−H39合金板を使用した。またアルカリ脱脂浴として、市販のアルカリ脱脂剤「EC−370(日本ペイント)」を使用した。使用条件は、濃度1.0%、スプレー圧1.5kgf/cm、浴の温度は65℃である。アルカリ脱脂後、ただちに水洗し、板表面のアルカリ脱脂剤を十分に除去したあと、表1に示す条件にてリン酸クロメート処理を行った。
【0021】
アクリル樹脂は、水溶性アクリル樹脂1(重量平均分子量20000、カルボキシル基含有量=3.5個/500重量平均分子量)、水溶性アクリル樹脂2(重量平均分子量800、カルボキシル基含有量=2.8個/500重量平均分子量)、溶剤性アクリル樹脂1(重量平均分子量50000、カルボキシル基含有量=1.3個/500重量平均分子量)、溶剤性アクリル樹脂2(重量平均分子量65000、カルボキシル基含有量=0個/500重量平均分子量)および溶剤性アクリル樹脂3(重量平均分子量1500000、カルボキシル基含有量=2.6個/500重量平均分子量)を用いた。アルミ板への塗布はロールコーターにより実施し、所定の雰囲気温度および風速10m/秒に設定した乾燥炉に、所定の時間投入した。
【0022】
アクリル樹脂塗布条件は、表1に示したとおりである。
また、以上のように作成したサンプルの分析結果を、表2に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
このようにして得られたサンプルに対し、以下の上塗りを実施した。
(顔料を含む塗料の塗布)
サンプル両面に対し、市販のキャップ用溶剤型塗料「ホワイトコーチング」(6.3mass%酸化チタン顔料を含有するポリエステル系樹脂,塗膜量13g/m狙い,焼付温度=190℃,焼付時間=600秒)を両面に塗布し、塗装サンプルとした。
【0026】
このようにして得られたサンプルに対し、以下の評価を実施した。
(加工後の樹脂密着性評価)
上記の塗装サンプルの両面に、市販のシリコン系潤滑剤を50mg/mずつ塗布し、キャップ成型機により絞り成型加工(キャップ径=38mm、キャップ高さ=18mm)を行った後、ミシン目加工・スクリュー加工の順に行った。得られたキャップに対し、ミシン目部、キャップ下端およびビード部の塗膜剥離状態を、レトルト後(125℃×30分)にて目視観察した。ミシン目部、キャップ下端およびビード部の全長に対する剥離発生部位の長さを%単位で記録し、全てにおいて10%以下のものを合格とした。
(加工後の耐食性評価)
樹脂密着性評価で得られたキャップを、70℃に加温したモデルジュース試験水溶液(クエン酸一水和物1.0%+塩化ナトリウム0.5%)に72時間浸漬し、ミシン目部、キャップ下端およびビード部における腐食の度合いを目視にて判定した。
【0027】
【表3】

【0028】
表3から明らかなように、実施例1〜10は、本発明要件を満たし、強加工を行ったときの酸化チタン顔料含有塗料に対する密着性および耐食性が高いため、キャップ成型後のレトルト後密着性およびモデルジュース試験とも良好な結果を示した。
【0029】
一方、比較例1〜9は、本発明の要件を満たしていないため、強加工を行った場合における酸化チタン含有塗料に対する密着性および耐食性が低く、レトルト後の塗膜剥離およびモデルジュース浸漬後の腐食が目立つ結果となった。具体的には、比較例1はCr付着量が低いため、アクリル樹脂とリン酸クロメートの相互作用が弱く、塗膜密着性が低い。比較例2はCr付着量が高いため、強加工に伴うリン酸クロメート層の割れが生じ、塗膜密着性および耐食性が低下している。比較例3はリン酸クロメート表面のC量が多いため、アクリル樹脂とリン酸クロメートの相互作用が弱く、塗膜密着性が低い。比較例4および7は、アクリル樹脂が存在しないか若しくはカルボキシル基が存在しないため、リン酸クロメート皮膜との相互作用が起こらず、塗膜密着性が低い。比較例5は、アクリル樹脂の塗布量が少ないため、十分な塗膜密着性が発揮されない。比較例6は、アクリル樹脂が多すぎるため、アクリル樹脂層の凝集破壊が発生し、塗膜密着性が低下する。比較例8はアクリル樹脂の重合平均分子量が低いため、レトルトにより溶出し、塗膜密着性が低下している。比較例9はアクリル樹脂の重合平均分子量が高いため、塗布の不均一さに起因する塗膜密着性低下が生じている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に化成型下地処理を施し、その上に乾燥重量に対し5mass%以上の顔料を含有する塗膜を設けるキャップ成型用アルミニウム板の下地処理において、化成型下地処理皮膜が、Cr付着量が1mg/m以上30mg/m以下かつ表面C量が50mg/m以下であるリン酸クロメートであり、その上に重量平均分子量500につき1個以上のカルボキシル基を含有しかつ重量平均分子量が1000以上100万以下であるアクリル樹脂を5mg/m以上5000mg/m以下の付着量にて設けることを特徴とする、成型加工後の樹脂密着性および耐食性に優れたキャップ成型用アルミニウム板。
【請求項2】
浴中に含まれる全炭素量が0.5mass%以下であるリン酸クロメート処理浴ならびに洗浄水により形成された、Cr付着量が1mg/m以上30mg/m以下のリン酸クロメート皮膜の上に、重量平均分子量500につき1個以上のカルボキシル基を含有かつ重量平均分子量が1000以上100万以下である水性または溶剤性のアクリル樹脂溶液を、乾燥重量にて5mg/m以上5000mg/m以下となるよう塗布し、30℃以上300℃以下の雰囲気にて1秒以上600秒以下乾燥させることを特徴とする成型加工後の樹脂密着性および耐食性に優れたキャップ成型用アルミニウム板の製造方法。

【公開番号】特開2008−126515(P2008−126515A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313680(P2006−313680)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000107538)古河スカイ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】