説明

成形嵌合装置および位置決め方法

【課題】リング状部材をキャビティに対してずれなく位置決めできる、成形嵌合装置および位置決め方法を提供する。
【解決手段】成形嵌合装置10は、キャビティ58と同軸上に設けられる上パンチ22と、バックヨーク204を保持するための保持ユニット74とを備える。保持ユニット74は、水平方向に移動可能な移動部材84と、移動部材84に設けられ移動部材84と共に移動可能な一対のクランパ114とを含む。一対のクランパ114は移動部材84の貫通孔94と同軸上にバックヨーク204を保持する。貫通孔94に上パンチ22が進入し貫通孔94がキャビティ58と同軸上に位置するように移動部材84が移動することによって、一対のクランパ114に保持されるバックヨーク204がキャビティ58と同軸上に位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、成形嵌合装置および位置決め方法に関し、より特定的には、成形体をリング状部材に嵌合させる成形嵌合装置およびそれにおけるリング状部材の位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、成形体の一例であるリング状ボンド磁石をリング状部材の一例であるバックヨークの内周面に接着剤を用いて接着し、ヨーク一体型ボンド磁石を製造することが知られている。しかし、接着剤を用いてヨーク一体型ボンド磁石を製造する場合、プレス作業と接着作業とを別々に行う必要があるので、生産性が悪く、製造コストが上昇してしまうという問題があった。また、リング状ボンド磁石とバックヨークとの間に接着剤を均一に塗布することは困難であるので、リング状ボンド磁石とバックヨークとを同軸上に配置することが困難であった。このために接着剤を用いたヨーク一体型ボンド磁石をハードディスクドライブのスピンドルモータに用いると、データの読み取りミスや回転時の騒音等、ハードディスクドライブの性能を低下させるおそれがあった。また、接着剤に含まれる成分が揮発し、ヨーク一体型ボンド磁石が用いられる機器に悪影響を与えるおそれがあった。
【0003】
このような理由から接着剤を用いることなく成形体とリング状部材とを一体的に設ける技術が種々提案されている。その一例として、たとえば特許文献1には、キャビティ内に成形体用の粉末とリング状部材用の粉末とを順次装填しプレスすることによって、キャビティ内で成形体とリング状部材とを一体的に設ける技術が開示されている。しかし、特許文献1の技術では、キャビティから取り出す際に生じる応力の開放(スプリングバック)やその後の熱硬化処理等のために、一体的に設けられた成形体とリング状部材との寸法が変化してしまうという問題があった。つまり、製品の最終的な寸法精度が悪いという問題があった。また、リング状部材の材質として熱硬化性樹脂等を用いる必要があるので、リング状部材の材質が限定され、必要な強度を確保できないおそれがあった。
【0004】
また、他の例として、特許文献2には、常温で成形体の外径よりも小さな内径を有するリング状部材を加熱・膨張させ、これに成形体を嵌合させる技術が開示されている。しかし、特許文献2の技術では、リング状部材を加熱する作業が必要であり、生産性が悪いという問題があった。また、加熱されたリング状部材に成形体を嵌合させるので、リング状部材の熱が成形体に伝達され、成形体の特性が変化してしまうおそれがあった。
【0005】
そこで、本願出願人は特許文献3において、キャビティ内の粉末をプレスする際にパンチが挿通するように金型上にリング状部材を配置し、キャビティから成形体を取り出す際のスプリングバックを利用して成形体をリング状部材に嵌合させる技術を提案している。この技術によれば、上述のような問題がなく、成形体をリング状部材に嵌合できる。
【特許文献1】特開平7−169633
【特許文献2】特開2002−223539
【特許文献3】国際公開WO2006/001304
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スプリングバックによって成形体をリング状部材に嵌合させる場合、キャビティの外径とリング状部材の内径との寸法差(クリアランス)は、スプリングバックによる成形体の膨張率を考慮して数10μm程度に設定される。このために、リング状部材をキャビティに対して高精度に位置決めすることが要求され、リング状部材がキャビティに対してわずかにずれてもプレスの際にリング状部材にパンチが接触しリング状部材にかじりが生じる等のおそれがあった。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、リング状部材をキャビティに対してずれなく位置決めできる、成形嵌合装置および位置決め方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の成形嵌合装置は、成形体を成形し成形体をリング状部材に嵌合させる成形嵌合装置であって、キャビティが形成される金型、金型の上方でキャビティと同軸上に設けられキャビティ内に充填された粉末をプレスして成形体を得るためのパンチ、およびリング状部材を保持する保持手段を備え、保持手段は、パンチが挿通される貫通孔を有しパンチが貫通孔に進入することによって貫通孔がキャビティと同軸上に位置するように移動する移動部材と、移動部材と共に移動可能に移動部材に設けられ金型上で貫通孔と同軸上にリング状部材を保持するためのクランプ機構とを含む。
【0009】
請求項2に記載の成形嵌合装置は、請求項1に記載の成形嵌合装置において、クランプ機構は、リング状部材の外周面を挟持する一対のクランパを含み、一対のクランパはそれぞれ、リング状部材の外周面に圧接する圧接部と、リング状部材の内側に臨まされないようにリング状部材の上端面に接する突起部とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の成形嵌合装置は、請求項1または2に記載の成形嵌合装置において、貫通孔を通過するようにリング状部材を落下させ保持手段にリング状部材を供給する供給手段、およびパンチが貫通孔を挿通可能なプレス位置あるいは供給手段によってリング状部材が供給される供給位置に保持手段を配置するために保持手段を移動させる移動手段をさらに含み、保持手段は、供給位置で供給手段からのリング状部材を受け止めかつプレス位置でリング状部材を金型上に落下させるためのシャッタ機構をさらに含むことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の成形嵌合装置は、請求項3に記載の成形嵌合装置において、シャッタ機構は、貫通孔の下端開口部よりも下側でリング状部材を保持することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の成形嵌合装置は、請求項3に記載の成形嵌合装置において、シャッタ機構は、リング状部材の外周面を挟持することによって貫通孔と同軸上にリング状部材を保持する一対のシャッタを含むことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の成形嵌合装置は、請求項3から5のいずれかに記載の成形嵌合装置において、保持手段は、クランプ機構とシャッタ機構とを同期して動作させるためのロータリカムをさらに含むことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の成形嵌合装置は、請求項6に記載の成形嵌合装置において、パンチを下降させる力を利用してロータリカムを回転させる駆動手段をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の成形嵌合装置は、請求項7に記載の成形嵌合装置において、保持手段は、クランプ機構によってリング状部材を保持した状態でロータリカムの回転を規制するためのラッチ機構をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の成形嵌合装置は、請求項3から8のいずれかに記載の成形嵌合装置において、供給手段は、リング状部材が装填されるマガジンを含み、マガジンは、リング状部材の内径よりもわずかに小さな外径を有しリング状部材を挿通する棒状部材を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の成形嵌合装置は、請求項9に記載の成形嵌合装置において、マガジンは、棒状部材と同軸上に配置され棒状部材が挿通されるリング状部材の外周面を覆う筒状部材をさらに含むことを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の位置決め方法は、金型のキャビティと同軸上に設けられるパンチでキャビティに充填された粉末をプレスすることによって成形体を得、成形体をリング状部材に嵌合させる成形嵌合装置における、リング状部材の位置決め方法であって、粉末をプレスする際に移動部材に設けられる貫通孔にパンチを進入させることによって移動部材を移動させ、移動部材に設けられるクランプ機構によって貫通孔と同軸上に保持されるリング状部材をキャビティと同軸上に位置決めする。
【0019】
請求項1に記載の成形嵌合装置では、粉末をプレスする際に移動部材の貫通孔にパンチが進入することによって、貫通孔がキャビティと同軸上に位置するように移動部材が移動する。これに伴って、移動部材と共に移動するクランプ機構によって貫通孔と同軸上に保持されるリング状部材が、キャビティと同軸上に位置決めされる。このように、リング状部材をキャビティに対してずれなく位置決めできるので、リング状部材にかじりが生じることを防止できる。請求項11に記載の位置決め方法についても同様である。
【0020】
請求項2に記載の成形嵌合装置では、一対のクランパがそれぞれ、圧接部でリング状部材の外周面に圧接し、突起部でリング状部材の上端面に接する。これによって、キャビティ内の成形体を下方からリング状部材に嵌合させる際にリング状部材が上方にずれることを防止でき、成形体をリング状部材に適正に嵌合できる。
【0021】
請求項3に記載の成形嵌合装置では、シャッタ機構が、供給手段によって供給位置で落下させて供給されるリング状部材を受け止めかつプレス位置でリング状部材を金型上に落下させる。これによって、金型上で引きずることなくリング状部材を金型上に配置でき、リング状部材がキャビティに嵌まり込むことを防止できる。
【0022】
請求項4に記載の成形嵌合装置では、シャッタ機構が貫通孔の下端開口部よりも下側でリング状部材を保持する。このようにリング状部材を金型に近い位置で保持することによって、リング状部材を適正な姿勢で落下させ金型上に供給することができ、リング状部材がキャビティに嵌まり込んでしまうことを防止できる。また、金型に近い位置から傾きなくリング状部材を落下させることによって、リング状部材の跳ね上がりを抑制でき、クランプ機構によって迅速にリング状部材を保持できる。これによって、装置における一連の動作のサイクルタイムを短縮でき、生産性を向上できる。
【0023】
請求項5に記載の成形嵌合装置では、シャッタ機構の一対のシャッタが、リング状部材の外周面を挟持し、移動部材の貫通孔ひいてはキャビティと同軸上にリング状部材を保持する。これによって、リング状部材をキャビティに対してずれなく落下させることができ、より確実にリング状部材をキャビティに対してずれなく位置決めできる。また、一対のシャッタによってリング状部材の外周面を挟持することによって、リング状部材の底面を支持する場合に比べて、姿勢を悪化させることなくリング状部材を落下させることができる。
【0024】
請求項6に記載の成形嵌合装置では、ロータリカムを回転させることによってクランプ機構とシャッタ機構とを同期して動作させるので、クランプ機構を動作させる機構とシャッタ機構を動作させる機構とを別に設ける必要がなく、簡素に構成できる。
【0025】
請求項7に記載の成形嵌合装置では、パンチを下降させる力を利用して駆動手段がロータリカムを回転させるので、クランプ機構とシャッタ機構とを動作させるための動力源を別に準備する必要がなく、より簡素に構成できる。また、ロータリカムがパンチの下降に伴って回転し、クランプ機構とシャッタ機構とを動作させるので、一連の動作を迅速に行うことができる。したがって、サイクルタイムを短縮でき、生産性を向上できる。また、従来の成形のみを行う成形装置と比較して、同等のサイクルタイムで成形体の成形および成形体とリング状部材との嵌合を行うことができ、生産性を低下させることがない。
【0026】
請求項8に記載の成形嵌合装置では、ラッチ機構がロータリカムの回転を規制することによってクランプ機構がリング状部材を保持した状態を維持でき、規制を解除することによってリング状部材を所望のタイミングで解放できる。
【0027】
請求項9に記載の成形嵌合装置では、供給手段のマガジンにおいてリング状部材の内径よりもわずかに小さな外径を有する棒状部材がリング状部材を挿通し、棒状部材から滑り落とすようにリング状部材が保持手段に供給される。これによって、リング状部材を安定した姿勢で落下させ保持手段のシャッタ機構に供給できる。
【0028】
請求項10に記載の成形嵌合装置では、マガジンの筒状部材を移動部材の貫通孔に進入させることによって、貫通孔がマガジンに装填されたリング状部材と同軸上に位置するように、移動部材を移動させることができる。これによって、リング状部材を貫通孔に対してずれなく落下させることができ、リング状部材を適正な姿勢で保持手段のシャッタ機構に供給できる。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、リング状部材をキャビティに対してずれなく位置決めできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。
図1を参照して、この発明の一実施形態の成形嵌合装置10は、ダイフロート方式のプレス装置であって、図2に示すような円環状のヨーク一体型ボンド磁石200を作製するために用いられる。ヨーク一体型ボンド磁石200は、成形嵌合装置10において、成形体の一例であるリング状(ここでは円環状)ボンド磁石202をリング状部材の一例である円環状のバックヨーク204にスプリングバックを利用して嵌合させることによって作製される。バックヨーク204としては、内径がキャビティ58(後述)の外径よりも数10μm(たとえば約30μm)程度大きなものが用いられる。
【0031】
図1に示すように、成形嵌合装置10は、ダイリティーナ12を含む。ダイリティーナ12にはダイ・コア一体型の金型14が挿入され、金型14は金型押え金16によってダイリティーナ12に固定される。ダイリティーナ12の上面には上パンチガイドポスト18が立設され、上パンチガイドポスト18によって上パンチプレート20が上下方向(矢印Z方向)に案内される。
【0032】
上パンチプレート20の底面には、上パンチ22を保持するための上パンチ座金24と上パンチ押え金26とが設けられる。上パンチ22は、略円筒状に形成され、大径部と小径部とを上下に並べて構成される。上パンチ22は、上パンチ押え金26によって上パンチ座金24に押え付けられ、上パンチ座金24に固定される。
【0033】
また、上パンチプレート20には、保持ユニット74(後述)を動作させるための2つの押圧機構28が設けられる。押圧機構28は、上パンチプレート20に挿通される棒状部材30、上パンチプレート20の上面に設けられ棒状部材30を矢印Z方向に移動可能に保持する保持部材32、棒状部材30の下端部に設けられる押圧部材34、および上パンチプレート20と押圧部材34との間に配置され棒状部材30が挿通されるばね36を含む。
【0034】
さらに、上パンチプレート20の上面にはプレス上部ラム38が接続される。プレス上部ラム38が上パンチプレート20を矢印Z方向に移動させることによって、上パンチ22を金型14のキャビティ58(後述)に対して進退させることができ、キャビティ58に充填された粉末をプレスしてリング状ボンド磁石202を得ることができる。また、2つの押圧機構28を矢印Z方向に移動させることができ、保持ユニット74を動作させることができる。
【0035】
図3および図4に示すように、金型14は、略円筒状に形成されるダイ40と、ダイ40の底面に固定されるダイ下部プレート42と、ダイ下部プレート42上に固定されるコア44とを含む。ダイ40は横断面円形状の孔46と孔46よりも径が大きくかつ孔46に連通する空洞部48とを有し、コア44は孔46および空洞部48内に配置される。金型14において、コア44の上端面とダイ40の上面とは略面一となる。
【0036】
また、ダイ40の下方には、下パンチホルダ50が配置される。下パンチホルダ50のシャフト部50aは、ダイ下部プレート42およびコア44の下部に形成される貫通孔を挿通し、ダイ40の空洞部48内に臨まされる。シャフト部50aの上端面には、下パンチ座金52、下パンチ54および下パンチ押え金56が順次配置される。略円筒状に形成される下パンチ54は、下パンチ押え金56によって下パンチ座金52に押え付けられ、下パンチ座金52上に固定される。
【0037】
図4に示すように、このような金型14では、下パンチ54の上部が孔46内に臨まされることによって、ダイ40とコア44と下パンチ54とによってリング状(ここでは円環状)のキャビティ58が形成される。
【0038】
図1に戻って、下パンチホルダ50は、下パンチホルダ座金60上に配置され、下パンチホルダ押え金62によって下パンチホルダ座金60に押え付けられ、下パンチホルダ60上に固定される。下パンチホルダ座金60は、図示しない脚部によって支持されるベースプレート64上に固定される。ひいては下パンチ54が固定される。
【0039】
また、ダイリティーナ12の底面は、ベースプレート64を挿通するポール66を介して下部連結基台68に接続され、下部連結基台68はプレス下部ラム70に接続される。プレス下部ラム70によってダイリティーナ12を矢印Z方向に移動させることができ、ダイフローティングが可能となる。
【0040】
また、ダイリティーナ12の上面には、矢印Z方向に直交する方向(矢印X方向)に延びるレール72が設けられる。レール72は矢印Z方向および矢印X方向に直交する方向(矢印Y方向)に2つ並べて設けられ、2つのレール72の間にはバックヨーク204を保持するための保持ユニット74が設けられる(図5参照)。
【0041】
さらに、ダイリティーナ12の上面には、保持ユニット74にバックヨーク204を供給するための供給ユニット76と、保持ユニット74を矢印X方向に移動させるための移動ユニット78とが設けられる。供給ユニット76は、金型14と移動ユニット78との間に配置され、バックヨーク204を落下させ保持ユニット74に供給する。つまり、バックヨーク204を保持ユニット74に落下供給する。
【0042】
保持ユニット74は、移動ユニット78によって矢印X方向に移動され、上パンチ22が貫通孔94(後述)を挿通可能なプレス位置あるいは供給ユニット76からのバックヨーク204が貫通孔94を通過可能な供給位置に配置される。図1においては、プレス位置に配置された保持ユニット74が実線で示され、供給位置に配置された保持ユニット74が一点鎖線で示されている。
【0043】
ここで、図5〜図11を参照して、保持ユニット74について詳しく説明する。
図5に示すように、保持手段である保持ユニット74は、四角形の枠状に形成され2つのレール72によって矢印X方向に移動可能に保持される外フレーム80、四角形の枠状に形成され間隙を有して外フレーム80内に配置される内フレーム82、および略四角形状の板状に形成され間隙を有して内フレーム82内に配置される移動部材84を含む。
【0044】
図6に示すように、内フレーム82は、複数(ここでは4つ)のスライドベアリング86を介して外フレーム80内に取り付けられる。スライドベアリング86は、外フレーム80の内周面に固定されるスライダ86aと内フレーム82の底面に固定されるスライダ86bとを含み、内フレーム82を外フレーム80内で矢印X方向に移動可能に配置する。移動部材84は、複数(ここでは4つ)のスライドベアリング88を介して内フレーム82内に取り付けられる。スライドベアリング88は、内フレーム82の底面に固定されるスライダ88aと移動部材84の底面に固定されるスライダ88bとを含み、移動部材84を内フレーム82内で矢印Y方向に移動可能に配置する。このように内フレーム82が外フレーム80内に取り付けられかつ移動部材84が内フレーム82内に取り付けられることによって、移動部材84が矢印X方向および矢印Y方向に移動可能となる。つまり、移動部材84を水平方向に移動可能に配置できる。
【0045】
図7および図8に示すように、移動部材84の中央部には矢印Z方向に延びる円筒部90が設けられる。また、移動部材84には、それぞれ矢印Z方向に貫通しかつ矢印X方向に延びる2つのガイド孔92aが円筒部90を挟んで矢印X方向に並ぶように形成され、それぞれ矢印Z方向に貫通しかつ矢印Y方向に延びて内フレーム82に及ぶ2つのガイド孔92bが円筒部90を挟んで矢印Y方向に並ぶように形成される。
【0046】
円筒部90は、保持ユニット74がプレス位置にあるとき上パンチ22が挿通可能でありかつ保持ユニット74が供給位置にあるときバックヨーク204が通過可能な貫通孔94を有する。貫通孔94は、横断面円形状に形成され、大径部と小径部とを上下に並べて構成される。貫通孔94の大径部には、上端開口部近傍で内周面に沿って複数(ここでは6つ)のガイドローラ96が設けられる。
【0047】
また、円筒部90の外周面には、ベアリング98を介してロータリカム100が回転可能に設けられる。図5に示すように、ロータリカム100には、反時計回り方向かつ周縁部側に延びるガイド孔102aが移動部材84のガイド孔92aに対応して2つ形成され、反時計回り方向かつ中心側に延びるガイド孔102bが移動部材84のガイド孔92bに対応して2つ形成される。
【0048】
また、図6に示すように、移動部材84の底面には、供給位置で供給ユニット76(図1参照)からのバックヨーク204を受け止めかつプレス位置でバックヨーク204をダイ40(図1参照)上に落下させるためのシャッタ機構104と、ダイ40上でバックヨーク204を保持するためのクランプ機構106とが設けられる。
【0049】
シャッタ機構104は、一対のシャッタ108とスライドベアリング110とを含む。一対のシャッタ108は、それぞれ2つのスライドベアリング110を介して移動部材84の底面に取り付けられ、貫通孔94の下端開口部を挟むように矢印X方向に対向配置される。一対のシャッタ108の対向面側にはそれぞれ、バックヨーク204の下端面を支持するための支持部108aが設けられる。スライドベアリング110は、移動部材84の底面に固定されるスライダ110aとシャッタ108の上面に固定されるスライダ110bとを含み、シャッタ110を矢印X方向に移動可能に配置する。
【0050】
また、一対のシャッタ108の上面にはそれぞれ、移動部材84のガイド孔92aを挿通する棒状部材112aが立設される。棒状部材112aの上端部近傍にはベアリング113aが回転可能に設けられ、ベアリング113aはロータリカム100のガイド孔102aに嵌入する。これによって、一対のシャッタ108とロータリカム100とが連結され、ロータリカム100の回転に伴って一対のシャッタ108を矢印X方向かつ互いに近づく方向あるいは矢印X方向かつ互いに離れる方向に移動させることができる。つまり、ロータリカム100の回転に伴って、シャッタ機構104の一対のシャッタ108を矢印X方向に開閉させることができる。
【0051】
クランプ機構106は、一対のクランパ114とスライドベアリング116とを含む。一対のクランパ114は、それぞれ2つのスライドベアリング116を介して移動部材84の底面に取り付けられ、貫通孔94の下端開口部を挟むように矢印Y方向に対向配置される。一対のクランパ114の対向面側にはそれぞれバックヨーク204の外周面に圧接する圧接部114aが設けられ、圧接部114aにはバックヨーク204の内側に臨まされないようにバックヨーク204の上端面に接する突起部114bが設けられる。スライドベアリング116は、移動部材84の底面に固定されるスライダ116aとクランパ114の側面に固定されるスライダ116bとを含み、クランパ114を矢印Y方向に移動可能に配置する。
【0052】
また、一対のクランパ114の上面にはそれぞれ、移動部材84のガイド孔92bを挿通する棒状部材112bが立設される。棒状部材112bの上端部近傍にはベアリング113bが回転可能に設けられ、ベアリング113bはロータリカム100のガイド孔102bに嵌入する。これによって、一対のクランパ114とロータリカム100とが連結され、ロータリカム100の回転に伴って一対のクランパ114を矢印Y方向かつ互いに近づく方向あるいは矢印Y方向かつ互いに離れる方向に移動させることができる。つまり、ロータリカム100の回転に伴って、クランプ機構106の一対のクランパ114を矢印Y方向に開閉させることができる。
【0053】
また、図9に示すように、保持ユニット74には、ロータリカム100を回転させるための駆動機構118が設けられる。駆動機構118は、移動部材84の上面に固定されるベースプレート120、ベースプレート120上に立設されるガイドポスト122、ガイドポスト122の上端部に固定されるカバープレート124、ベースプレート120とカバープレート124との間に配置されガイドポスト122によって矢印Z方向に案内される移動プレート126、移動プレート126を挿通する回転軸128、回転軸128に設けられロータリカム100に係合するギア130、およびベースプレート120と移動プレート126との間に配置されガイドポスト122が挿通されるばね132を含む。
【0054】
回転軸128は、移動プレート126のねじ孔126aに挿通され、外周面に形成される図示しないねじ山でねじ孔126aの内周面に形成される図示しないねじ山に係合する。移動プレート126は、ばね132によって支持され、上面に形成される2つの被押圧部材126bがそれぞれ押圧機構28の押圧部材34に押圧されることによって矢印Z方向下側に移動する。これに伴って、回転軸128およびギア130が回転し、ロータリカム100を所定角度で回転させる。この実施形態では、2つの押圧機構28と駆動機構118とによって駆動手段が構成される。
【0055】
ちなみに、押圧機構28では、上パンチプレート20の下降に伴ってばね36が収縮し押圧部材34を矢印Z方向下側に付勢することによって、被押圧部材126bを押圧する。通常、キャビティ58内の粉末は数10tの圧力でプレスされるが、そのような大きな圧力を被押圧部材126bに直接的に加えると駆動機構118が壊れてしまうおそれがある。したがって、押圧機構28には、駆動機構118を壊すことがない程度に押圧部材34を付勢するばねがばね36として用いられる。
【0056】
このような駆動機構118が押圧機構28による押圧でロータリカム100を回転させることによって、シャッタ機構104の一対のシャッタ108とクランプ機構106の一対のクランパ114とが同期して動作する。具体的には、プレス位置に配置された保持ユニット74において、図5に示す状態から図10に示す状態にロータリカム100を時計回りに回転させることによって、一対のシャッタ108が開くと共に一対のクランパ114が閉じる。これによって、一対のシャッタ108からダイ40(図1参照)上にバックヨーク204を落下供給でき、ダイ40上で一対のクランパ114によってバックヨーク204を保持できる。
【0057】
図11からわかるように、一対のクランパ114は、貫通孔94の中心とバックヨーク204(一点鎖線で示す)の中心とが矢印Z方向に一致するようにバックヨーク204を保持する。つまり、一対のクランパ114はバックヨーク204を貫通孔94と同軸上に保持する。
【0058】
さらに、図5に示すように、移動部材84の上面隅部には、ロータリカム100の回転を規制するラッチ機構134が設けられる。ラッチ機構134は、円弧状に曲がる角柱状に形成されロータリカム100の上面に固定されるガイド136、移動部材84の上面隅部に立設される配置台138、配置台138の上面に回動可能に設けられるレバー140、および配置台138とレバー140とを連結するばね142を含む。レバー140の一方端部にはローラ140aが設けられ、ばね142はローラ140aがガイド136の側面に圧接するようにレバー140を付勢する。
【0059】
このようなラッチ機構134では、図5に示す状態からロータリカム100が時計回りに回転することによって、ガイド136が移動し、レバー140のローラ140aがガイド136の側面を転がる。そして、図10に示すように、ロータリカム100が所定角度回転することによってローラ140aがガイド136の角部に引っ掛かる。駆動機構118では押圧機構28による押圧が解除されるとばね132によって付勢される移動プレート126が矢印Z方向上側に移動しようとする。つまり、駆動機構118は、押圧の解除によってロータリカム100を図10に示す状態から図5に示す状態に復元しようとする。しかし、レバー140のローラ140aがガイド136に引っ掛かることによってロータリカム100の回転を規制できる。つまり、ラッチ機構134によってプレス後に一対のクランパ114がバックヨーク204ひいてはヨーク一体型ボンド磁石200を保持した状態を維持でき、ヨーク一体型ボンド磁石200を所望のタイミング(位置)で解放できる。この実施形態では、ダイリティーナ12上にレバー140の他方端部を押圧するための押圧部材143が設けられ、供給位置でヨーク一体型ボンド磁石200が解放される(図1参照)。供給位置で解放されたヨーク一体型ボンド磁石200は、図示しないシュータによって成形嵌合装置10の外部に排出される。
【0060】
図1に戻って、供給手段である供給ユニット76は、本体144と、本体144によって保持され複数のバックヨーク204が矢印Z方向に装填されるマガジン146と、マガジン146に装填される下から1番目のバックヨーク204の底面を支持する一対のシャッタ148と、下から2番目のバックヨーク204の外周面を挟持する一対のクランパ150とを含む。
【0061】
マガジン146は、バックヨーク204の内径よりもわずかに小さな外径を有し複数のバックヨーク204を挿通する棒状部材152と、上パンチ22と略同径の外径を有する円筒状に形成され棒状部材152が挿通されるバックヨーク204の外周面を覆うように棒状部材152と同軸上に配置される筒状部材154とを含む。マガジン146は、本体144内に設けられる図示しない駆動機構によって矢印Z方向に移動可能に設けられる移動アーム155a,155bによって保持される。移動アーム155aは棒状部材152の外周面かつ上端部近傍を挟持し、移動アーム155bは筒状部材154の外周面かつ中央部近傍を挟持する。
【0062】
このような供給ユニット76では、一対のクランパ150によって下から2番目のバックヨーク204を挟持した状態で一対のシャッタ148が開かれる。これによって、下から1番目のバックヨーク204が、棒状部材152と筒状部材154との間を滑り落ち、保持ユニット74に落下供給される。
【0063】
また、移動手段である移動ユニット78は、クランク156、クランク156を回転させるモータ158、およびクランク156と保持ユニット74とを連結するシャフト160を含む。移動ユニット78では、クランク156を回転させることによって、シャフト160を矢印X方向の一方(図1では右側)に引っ張り、保持ユニット74をプレス位置から供給位置に移動させる。また、クランク156を回転させることによって、シャフト160を矢印X方向の他方(図1では左側)に押し出し、保持ユニット74を供給位置からプレス位置に移動させる。
【0064】
ついで、このような成形嵌合装置10の主要動作について説明する。
まず、保持ユニット74が供給位置に配置された状態で、供給ユニット76の本体144内に設けられる駆動機構がマガジン146を矢印Z方向下側に移動させる。これによって、筒状部材154が貫通孔94の大径部に進入し、筒状部材154の外周面にガイドローラ96が接する。これに伴って、貫通孔94がマガジン146に装填されたバックヨーク204と同軸上に位置するように、移動部材84が移動する。そして、図12に示すように、マガジン146の下から1番目のバックヨーク204が一対のシャッタ108の支持部108a上に落下供給される。このとき、金型14のキャビティ58内には、図示しないフィーダーボックスによってリング状ボンド磁石202の材料であるボンド磁石用粉末が充填される。
【0065】
つづいて、マガジン146を矢印Z方向上側に移動させた後に保持ユニット74をプレス位置に移動させ、上パンチ22および押圧機構28の押圧部材34を下降させる。これによって、移動プレート126が押圧部材34によって矢印Z方向下側に押圧され、ロータリカム100が回転し、ダイ40上にバックヨーク204が落下供給される。その後、上パンチ22の小径部が貫通孔94の大径部に進入する。
【0066】
そして、図13に示すように、押圧部材34の下降が進み、ロータリカム100の回転が進むことによって一対のクランパ114によってバックヨーク204が保持される。また、上パンチ22の下降が進み、上パンチ22の大径部が貫通孔94の大径部に進入することによって、ガイドローラ96が上パンチ22の外周面に接する。これによって、貫通孔94がキャビティ58と同軸上に位置するように移動部材84が移動し、一対のクランパ114に保持されるバックヨーク204が上パンチ22およびキャビティ58と同軸上に位置決めされる。その後、図14に示すように、上パンチ22がバックヨーク204を挿通し、上パンチ22と下パンチ54とによってキャビティ58内の粉末がプレスされ、キャビティ58内でリング状ボンド磁石202が成形される。
【0067】
つづいて、ダイリティーナ12を矢印Z方向下側に移動させることによって、図15に示すように、上パンチ22と下パンチ54とに挟まれるリング状ボンド磁石202がキャビティ58内から露出し、下方に移動するバックヨーク204にスプリングバックによって嵌合される。
【0068】
その後、上パンチ22とダイリティーナ12とを矢印Z方向上側に移動させ、保持ユニット74を供給位置に移動させる。保持ユニット74の供給位置への移動に伴ってラッチ機構134のレバー140が押圧部材143によって押圧され、ばね142による付勢に逆らってレバー140が回転し、ロータリカム100が反時計回りに回転する。これによって、供給位置で、一対のクランパ144が開き、ヨーク一体型ボンド磁石200が解放されシュータによって排出される。また、一対のシャッタ108が閉じてバックヨーク204を受け取り可能になる。
【0069】
このような成形嵌合装置10によれば、粉末をプレスする際に移動部材84の貫通孔94に上パンチ22が進入することによって、貫通孔94がキャビティ58と同軸上に位置するように移動部材84が移動する。これに伴って、移動部材84と共に移動する一対のクランパ114によって貫通孔94と同軸上に保持されるバックヨーク204が、キャビティ58と同軸上に位置決めされる。したがって、キャビティ58の外径とバックヨーク204の内径との寸法差(クリアランス)が数10μm程度であっても、バックヨーク204をキャビティ58に対して高精度にずれなく位置決めできる。これによって、バックヨーク204のかじり等を防止できる。
【0070】
一対のクランパ114がそれぞれ、突起部114bでバックヨーク204の上端面に接することによって、リング状ボンド磁石202をバックヨーク204に嵌合させる際にバックヨーク204が上方にずれることを防止でき、リング状ボンド磁石202をバックヨーク204に適正に嵌合できる。
【0071】
シャッタ機構104の一対のシャッタ108が、供給位置で落下供給されるバックヨーク204を支持部108aで受け止めかつプレス位置でバックヨーク204をダイ40上に落下させる。これによって、ダイ40上で引きずることなくバックヨーク204をダイ40上に配置でき、バックヨーク204がキャビティ58に嵌まり込むことを防止できる。
【0072】
一対のシャッタ108が貫通孔94の下端開口部よりも下側でバックヨーク204を保持する。このようにリング状部材をダイ40に近い位置で保持することによって、バックヨーク204をダイ40上に適正な姿勢で落下させることができ、バックヨーク204がキャビティ58に嵌まり込んでしまうことを防止できる。また、ダイ40に対して低い位置からバックヨーク204を傾きなく落下させることによって、バックヨーク204の跳ね上がりを抑制できる。これによって、一対のクランパ114が迅速にリング状部材を保持でき、一連の動作のサイクルタイムを短縮でき、生産性を向上できる。
【0073】
ロータリカム100を回転させることによってクランプ機構106とシャッタ機構104とを同期して動作させるので、クランプ機構106を動作させる機構とシャッタ機構104を動作させる機構とを別に設ける必要がなく、簡素に構成できる。また、ロータリカム100が上パンチ22の下降に伴って回転し、クランプ機構106とシャッタ機構104とを動作させるので、バックヨーク204の落下供給とバックヨーク204の保持とを迅速に行うことができる。したがって、より一層、サイクルタイムを短縮でき、生産性を向上できる。また、従来の成形のみを行う成形装置と比較して、同等のサイクルタイムでリング状ボンド磁石202の成形およびリング状ボンド磁石202とバックヨーク204との嵌合を行うことができ、生産性を低下させることがない。
【0074】
駆動機構118が押圧機構28の押圧によってロータリカム100を回転させるので、クランプ機構106とシャッタ機構104とを動作させるための動力源を別に準備する必要がなく、より簡素に構成できる。
【0075】
マガジン146において、バックヨーク204を棒状部材152から滑り落とすことによって、バックヨーク204を安定した姿勢で落下させることができ、バックヨーク204を適正な姿勢で保持ユニット74のシャッタ機構104に供給できる。
【0076】
マガジン146の筒状部材154を貫通孔94に進入させることによって、貫通孔94がマガジン146に装填されたバックヨーク204と同軸上に位置するように、移動部材84を移動させることができる。これによって、バックヨーク204を貫通孔94に対してずれなく落下させることができ、バックヨーク204を適正な姿勢で保持ユニット74のシャッタ機構104に供給できる。
【0077】
なお、シャッタ機構に用いられるシャッタは上述のシャッタ108に限定されない。たとえば図16に示す保持ユニット74aのように、それぞれ2本のアーム109を有する一対のシャッタ108aによってバックヨーク204(一点鎖線で示す)の外周面を挟持し、バックヨーク204を貫通孔94と同軸上に保持するようにしてもよい。このような一対のシャッタ108aを含むシャッタ機構104aによれば、バックヨーク204をキャビティ58に対してずれなく落下供給でき、より確実にバックヨーク204をキャビティ58に対してずれなく位置決めできる。また、一対のシャッタ108aによってバックヨーク204の外周面を挟持することによって、バックヨーク204の底面を支持する場合に比べて、姿勢を悪化させることなくバックヨーク204を落下させることができる。
【0078】
また、保持ユニット74,74aの各構成要素は押しねじ等を用いてその位置を微調整可能であることが好ましい。保持ユニット74の各構成要素の位置を微調整可能にすることによって保持ユニット74,74aの組み立て精度を向上させることができる。ひいては、バックヨーク204をより高精度に位置決めできる。
【0079】
また、上述の実施形態では、成形体としてリング状ボンド磁石202を得る場合について説明したが、成形体の形状はこれに限定されない。たとえば、成形体を円板状に形成するようにしてもよい。また、成形体を横断面多角形状に形成するようにしてもよい。この場合リング状部材は成形体の外形に対応する形状のものが用いられる。
【0080】
さらに上述の実施形態では、ダイフローティング方式の成形嵌合装置10について説明したが、この発明はこれに限定されない。たとえば、上パンチと下パンチとを上下方向に移動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の一実施形態を示す図解図である。
【図2】ヨーク一体型ボンド磁石の一例を示す斜視図解図である
【図3】金型を縦方向に切断したときの斜視図解図である。
【図4】金型を示す断面図解図である。
【図5】保持ユニットを示す平面図解図である。
【図6】保持ユニットを示す底面図解図である。
【図7】保持ユニットのA1−A1(図5)断面図解図である。
【図8】保持ユニットのA2−A2(図5)断面図解図である。
【図9】保持ユニットの側面図解図である。
【図10】一対のクランパが閉じた状態の保持ユニットを示す平面図解図である。
【図11】一対のクランパが閉じた状態の保持ユニットを示す底面図解図である。
【図12】供給ユニットによる保持ユニットへのバックヨークの供給態様を示す図解図である。
【図13】バックヨークの位置決め態様を示す図解図である。
【図14】キャビティ内に充填された粉末のプレス態様を示す図解図である。
【図15】バックヨークへのリング状ボンド磁石の嵌合態様を示す図解図である。
【図16】他の例のシャッタが用いられる保持ユニットを示す底面図解図である。
【符号の説明】
【0082】
10 成形嵌合装置
22 上パンチ
28 押圧機構
30,112a,112b,152 棒状部材
74,74a 保持ユニット
76 供給ユニット
78 移動ユニット
84 移動部材
86,88,110,116 スライドベアリング
94 貫通孔
100 ロータリカム
104,104a シャッタ機構
106 クランプ機構
108,108a シャッタ
114 クランパ
114a 圧接部
114b 突起部
118 駆動機構
134 ラッチ機構
146 マガジン
154 筒状部材
202 リング状ボンド磁石
204 バックヨーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形体を成形し前記成形体をリング状部材に嵌合させる成形嵌合装置であって、
キャビティが形成される金型、
前記金型の上方で前記キャビティと同軸上に設けられ前記キャビティ内に充填された粉末をプレスして前記成形体を得るためのパンチ、および
前記リング状部材を保持する保持手段を備え、
前記保持手段は、前記パンチが挿通される貫通孔を有し前記パンチが前記貫通孔に進入することによって前記貫通孔が前記キャビティと同軸上に位置するように移動する移動部材と、前記移動部材と共に移動可能に前記移動部材に設けられ前記金型上で前記貫通孔と同軸上に前記リング状部材を保持するためのクランプ機構とを含む、成形嵌合装置。
【請求項2】
前記クランプ機構は、前記リング状部材の外周面を挟持する一対のクランパを含み、
前記一対のクランパはそれぞれ、前記リング状部材の外周面に圧接する圧接部と、前記リング状部材の内側に臨まされないように前記リング状部材の上端面に接する突起部とを有する、請求項1に記載の成形嵌合装置。
【請求項3】
前記貫通孔を通過するように前記リング状部材を落下させ前記保持手段に前記リング状部材を供給する供給手段、および
前記パンチが前記貫通孔を挿通可能なプレス位置あるいは前記供給手段によって前記リング状部材が供給される供給位置に前記保持手段を配置するために前記保持手段を移動させる移動手段をさらに含み、
前記保持手段は、前記供給位置で前記供給手段からの前記リング状部材を受け止めかつ前記プレス位置で前記リング状部材を前記金型上に落下させるためのシャッタ機構をさらに含む、請求項1または2に記載の成形嵌合装置。
【請求項4】
前記シャッタ機構は、前記貫通孔の下端開口部よりも下側で前記リング状部材を保持する、請求項3に記載の成形嵌合装置。
【請求項5】
前記シャッタ機構は、前記リング状部材の外周面を挟持することによって前記貫通孔と同軸上に前記リング状部材を保持する一対のシャッタを含む、請求項3に記載の成形嵌合装置。
【請求項6】
前記保持手段は、前記クランプ機構と前記シャッタ機構とを同期して動作させるためのロータリカムをさらに含む、請求項3から5のいずれかに記載の成形嵌合装置。
【請求項7】
前記パンチを下降させる力を利用して前記ロータリカムを回転させる駆動手段をさらに含む、請求項6に記載の成形嵌合装置。
【請求項8】
前記保持手段は、前記クランプ機構によって前記リング状部材を保持した状態で前記ロータリカムの回転を規制するためのラッチ機構をさらに含む、請求項7に記載の成形嵌合装置。
【請求項9】
前記供給手段は、前記リング状部材が装填されるマガジンを含み、
前記マガジンは、前記リング状部材の内径よりもわずかに小さな外径を有し前記リング状部材を挿通する棒状部材を含む、請求項3から8のいずれかに記載の成形嵌合装置。
【請求項10】
前記マガジンは、前記棒状部材と同軸上に配置され前記棒状部材が挿通される前記リング状部材の外周面を覆う筒状部材をさらに含む、請求項9に記載の成形嵌合装置。
【請求項11】
金型のキャビティと同軸上に設けられるパンチで前記キャビティに充填された粉末をプレスすることによって成形体を得、前記成形体をリング状部材に嵌合させる成形嵌合装置における、前記リング状部材の位置決め方法であって、
前記粉末をプレスする際に移動部材に設けられる貫通孔に前記パンチを進入させることによって前記移動部材を移動させ、前記移動部材に設けられるクランプ機構によって前記貫通孔と同軸上に保持される前記リング状部材を前記キャビティと同軸上に位置決めする、位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−211262(P2007−211262A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29358(P2006−29358)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】