説明

成形形態の前形成EMI/RFI遮蔽組成物

【課題】電気伝導性の予備成形組成物を提供すること
【解決手段】成形形態にある、硫黄含有ポリマーを含み電気伝導性の予備成形組成物、およびアパーチャをシールするための、成形形態にある予備成形組成物の使用が開示される。この予備成形組成物は、EMI/RFI遮蔽効果を有するアパーチャをシールするために使用され得る。この硫黄含有ポリマーは、ベース組成物の全重量の10重量%〜50重量%の範囲の量で存在する。この硫黄含有ポリマーは、ポリスルフィドポリマー、末端メルカプト化ポリマーならびにポリスルフィドポリマーおよび末端メルカプト化ポリマーの組合せから選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本開示は、成形態の前形成組成物および開口部を密閉するための前形成組成物の使用に関する。本開示は、さらに、EMI/RFI遮蔽効果を示すのに適応した形態の前形成組成物、および開口部を密閉するためのこのような前形成組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(導入)
電磁干渉は、一時的なものを含む電気供給源または電子供給源からの望ましくない誘導された電気的乱れまたは放射された電気的乱れとして規定され得、これは、他の電気装置または電子装置の操作に干渉し得る。このような乱れは、電磁スペクトル全体で頻繁に起こり得る。高周波干渉(「RFI」)は、しばしば、電磁干渉(「EMI」)と交換可能に使用されるが、RFIは、より適切には、通常10キロヘルツ(KHz)〜100ギガヘルツ(GHz)の間で規定される電磁スペクトルの高周波部分をいう。
【0003】
電子装置は、代表的に、ハウジングで囲われる。ハウジングは、内部電子機器を外部環境から保護するための物理障壁として働くだけでなく、EMI/RFI放射を遮蔽するのに役立ち得る。EMI/RFIエネルギーを吸収および/または反射する能力を有する囲いは、供給源装置内のEMI/RFIエネルギーを制限すること、ならびに他のEMI/RFI供給源から供給装置または他の外部装置を絶縁することに使用し得る。内部構成要素へのアクセス能力を維持するために、囲いは、開放可能な接続または除去可能なアクセス(例えば、ドア、ハッチ、パネル、またはカバー)で提供され得る。代表的に、アクセスの間にギャップが存在し、アクセスに関連した対応する連結表面は、放射エネルギーが放出され得る開放を存在させることにより電磁遮蔽の効力を減少させる。このようなギャップはまた、ハウジングの表面に伝導性およびグラウンド伝導性に不連続性が存在し、いくつかの場合において、スロットアンテナとして機能することによりEMI/RFI放射の二次供給源を生じ得る。
【0004】
ハウジングの連結表面と除去可能アクセスとの間のギャップを充填するために、ガスケットおよび他のシールが使用されて、その構造を横切る電気的連続性を維持し得、および周囲の分解物(例えば、粒子、湿気、および腐食性の物質)を排除し得る。このようなシールは、1つまたは両方の連結表面に結合され得るか、または機械的に取り付けられ得、ならびに適用された圧力下で、表面の不規則性に適応することにより連続した伝導経路を確立するように機能し得る。
【0005】
EMI/RFI遮蔽ガスケットを製造するための従来のプロセスは、押し出し、鋳型成形、および、打ち抜き成形を包含する。鋳型成形は、未硬化のシーラントまたは熱可塑性樹脂材料を特定の型に圧力成形または射出成形し、次いで、これを最終形状に加工する工程を包含する。打ち抜き形成は、ダイを用いて特定の型に切断または打ち抜かれて硬化された重合材料から、ガスケットを形成する工程を包含する。その場形成(form−in−place)(「FIP」)プロセスもまた、EMI/RFI遮蔽ガスケットを形成するために使用され、ここで、FIPプロセスとは、表面に対して流体状態の粘性の、硬化可能な、電導性組成物のビーズの適用を含み、続いてこのプロセスは、熱、大気中の湿気、または紫外線照射の適用により、その場で硬化され、電導性のEMI/RFI遮蔽ガスケットを形成する。
【0006】
電導率およびEMI/RFI遮蔽効果は、重合マトリクス内に伝導性材料を組み込むことにより、重合ガスケットに与えられ得る。伝導性要素としては、例えば、金属、メッキ化粒子、織物構造、網目構造、繊維、およびそれらの組み合わせが挙げられ得る。金属は、例えば、フィラメント、粒子、薄片、または球状の形態であり得る。金属の例としては、銅、ニッケル、銀、アルミニウム、スズおよび鋼が挙げられる。EMI/RFI遮蔽効果を重合組成物に与えるのに使用され得る他の伝導性金属としては、炭素もしくはグラファイトを含む伝導性粒子、または繊維が挙げられる。伝導性ポリマー(例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレン、およびポリアセチレンが使用され得る。
【0007】
連続した導電率およびEMI/RFI遮蔽効果の提供に加えて、特定の適用においては、環境(例えば、航空輸送機関および宇宙輸送機関)にさらされた表面に対するガスケットおよびシールは、金属表面の腐食を誘導しないことが望ましい。異なる金属および/または伝導性複合材料が、電解質の存在下で供給される場合、ガルバニ電位は、異なる伝導体間の界面に確立される。界面シールが、環境、特に厳しい環境条件(例えば、塩水噴霧または高濃度のSOを含有する塩水噴霧)にさらされる場合、最不活性でない伝導性表面の腐食が起こり得る。腐食は、シールのEMI/RFI遮蔽効果の低下を誘導し得る。ガルバニ電位以外の機構、例えば、間隙腐食はまた、囲いの電気的および機械的完全性に欠陥を生じ得る。
【0008】
ポリスルフィドポリマーは、当該分野で公知である。ポリスルフィドポリマーの製造は、FettesおよびJorzak(Industrial Engineering Chemistry,1950年11月,2,217−2,223頁)により特徴付けられている。航空宇宙適用のためのシーラントの製造においてポリスルフィドポリマーの商業利用は、公知であり、商業的に使用されている。例えば、ポリスルフィドシーラントは、高抗張力、高い引き裂き強さ、熱抵抗、および高紫外線に対する抵抗性に起因して、航空機体をシールするのに使用されている。ポリスルフィドシーラントは、燃料に対する抵抗性および燃料を曝露する際の接着に起因して、航空燃料タンクをシールするのに使用されている。
【0009】
ポリスルフィドシーラントは、一般に、填隙ガンを使用する押し出しにより、表面に適用される。このようなプロセスは、機体に取り付けられた耐久パネルに有効であり得る。しかし、アクセスドアまたはパネルに関連するような機体中および/機体上のアパーチャをシールするためのシーラントを押し出す工程は、有意な量のさらなる作用力を必要とし得る。未硬化のシーラントを押し出すために、開放してアクセスドアの内部境界がマスクされ、アクセスドアの外部境界が、開放したアクセスドアのマスクされた領域に対してシーラントを押し出す前に、閉じたアクセスドアをシーリングするのを回避するために、離型剤で被覆される。このアクセスドアは、その場で押し出され、締め付けられて、超過の未硬化のシーラントをアクセスドア周囲に押し付ける。次いで、このシーラントは硬化されて、超過量のシーラントは取り去られる。このプロセスは、時間集約的であり、有意な作業を、多くのアクセスドアを備えた修理中の機体に加え得る。ある機体は、周期的にアクセスおよび再シールされるべき感受性の電気装置または付属品を覆うのに使用される100と同じかまたはそれ以上のアクセスドアを有し得る。
【0010】
従って、アクセスドア(例えば、航空輸送機関または宇宙輸送機関の機体におけるアクセスドア)をシールするための方法であって、この方法はマスクを必要とせず、取り去りを減少し、そして/または、アクセスドアをシールするための従来の押し出し方法のように労力がかからず時間集約的でない方法を提供することが望ましい。
EMI/RFI遮蔽効果を示す導電性シーラントは、市販されている。例えば、PRC−DeSoto International,Inc.(Glendale,CA)は、航空適用および宇宙適用のために特に開発されたいくつかのクラスBの電導性シーラントを製造している。例えば、PR−2200 Class B導電性シーラントは、MMS327(Boeing St.Louis Military Material Specification)試験方法の必要条件を満たす導電性ポリチオエーテルシーラントである。これら2つの部分の、ニッケル充填シーラントは、ポリチオエーテルポリマー、PERMAPOL P−3.1を含み、アルミニウム合金上または異なる金属間で使用される場合、腐食性でない。しかし、市販のシーラント(例えば、PR−2200製品により例示されるシーラント)は、予備成形組成物としては提供されない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】FettesおよびJorzak(Industrial Engineering Chemistry,1950年11月,2,217−2,223頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、マスクを必要とせず、取り去りを減少し、そして/またはアクセスドアをシールするための従来の押し出し方法のように労力がかからず時間集約的でない航空適用および宇宙適用において遭遇する環境において、有効なEMI/RFI遮蔽を提供し、伝導性表面に対する腐食を最小限にするためにアクセスドアをシールするための方法が提供されるのがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(要旨)
本開示の実施形態に従って、少なくとも1つの硫黄含有ポリマー、および少なくとも1つの電導性充填剤を含有するベース;および硬化剤組成物組成物を含む成形形態の予備成形組成物が提供され、ここでこの予備成形組成物は、EMI/RFI照射を遮蔽可能である。
【0014】
本開示の実施形態に従って、少なくとも1つの硫黄含有ポリマー、および少なくとも1つの導電性充填剤を含有する成形形態の予備成形組成物を、アパーチャに関連する表面に適用し、そして予備形成組成物を硬化して、アパーチャをシールしてEMI/RFI遮蔽効果を提供する方法が、開示される。
【発明の効果】
【0015】
本開示のさらなる実施形態が、以下の記載に示されるか、または本開示の実施形態の実施により習得され得る。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(種々の実施形態の記載)
本開示の特定の実施形態において、アパーチャ(例えば、航空機の機体中または機体上の細長いアパーチャ)をシールするのに適切な成形形態の予備成形組成物は、少なくとも1つの硫黄含有ポリマーおよび少なくとも1つの導電性充填剤を含有する。用語「予備成形」とは、容易な包装、貯蔵および/または適用のための特定の形状に調製され得る組成物をいう。予備成形される組成物は、意図的または輸送および/もしくは操作の結果としてどちらかで、任意の形状へと再成形され得る。用語「成形形態」とは、予備成形組成物の厚さが、実質的に、側面の寸法未満である(テープ形態、シート形態、および切断形態またはガスケット形態を含む)であるような構成をいう。「成形形態」は、例えば、巻物、コイルまたは細長い片として保存され得る細い形状、片、またはバンドを意味するテープの形態で存在し得る。「成形形態」はまた、シールされるアパーチャの寸法へと打ち抜かれ得る。
【0017】
用語「シーラント」、「シールすること」、または「シール」とは、本明細書中で使用される場合、大気条件(例えば、湿気および温度)、に抵抗する能力を有し、および少なくとも部分的に物質(例えば、水、燃料、ならびに他の気体およびガス)の伝達をブロックする能力を有する組成物をいう。シーラントは、しばしば接着特性を有するが、これは
、シーラントのブロック特性を有さない単なる接着剤ではない。用語「細長いアパーチャ」とは、本明細書中で使用される場合、その長さが、幅の少なくとも3倍である開口部をいう。
【0018】
本開示の予備成形シーラント組成物は、導電性性ベース組成物および硬化剤組成物を混合することにより調製され得る。ベース組成物および硬化剤組成物は、別個に調製され得、混合されてシーラント組成物を形成して、そして特定の形状に予備成形される。伝導性ベース組成物は、例えば、少なくとも1つの硫黄含有ポリマー、少なくとも1つの可塑剤、少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つの防腐剤、少なくとも1つの非導電性充填剤、少なくとも1つの導電性充填剤、および少なくとも1つの接着促進剤を含有し得る。硬化剤組成物は、例えば、少なくとも1つの硬化剤、少なくとも1つの可塑剤、少なくとも1つの非導電性充填剤、および少なくとも1つの硬化促進剤を含有し得る。特定の実施形態において、5〜20重量部の硬化剤組成物が、100重量部のベース組成物と混合され、そして、特定の実施形態において、8〜16重量部の硬化剤組成物が、100重量部のベース組成物と混合されて、電気伝導性のシーラント組成物を形成する。
【0019】
特定の実施形態において、2つの成分の硬化可能な組成物は、単一の成分の硬化可能な組成物よりも好ましい。これは、2つの成分の組成物は、適用のために最適のレオロジーを提供し、そして、得られた硬化組成物において所望の物理学的特性および化学的特性を示すためである。本明細書中で使用される場合、二つの成分は、ベース組成物および硬化剤組成物と称される。特定の実施形態において、ベース組成物は、ポリスルフィドポリマー、ポリチオエーテルポリマー、酸化剤、添加剤、充填剤、可塑剤、有機溶媒、接着促進剤、防腐剤、およびそれらの組み合わせを含有し得る。特定の実施形態において、加工剤組成物は、硬化剤、硬化促進剤、硬化抑制剤、可塑剤、添加剤、充填剤、およびそれらの組み合わせを含有し得る。
【0020】
特定の実施形態において、本開示の実施に有用な硫黄含有ポリマーとしては、複数のスルフィド基(すなわち、−S−)を、ポリマー骨格中および/または重合鎖上の末端位置もしくはペンダントの位置中に含有する、ポリスルフィドポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、米国特許第2,466,963号に記載され、この開示されたポリマーは、複数の−S−S−連結をポリマー骨格中に有する。他の有用なポリスルフィドポリマーは、ポリスルフィド連結が、ポリチオエーテル連結(すなわち、−[−CH−CH−S−CH−CH−]−)で置換されるべきものであり、ここで、nは米国特許第4,366,307号に記載されるとおりの8〜200の範囲の整数であり得る。このポリスルフィドポリマーは、非反応性基(例えば、アルキル)で終わり得るが、特定の実施形態において、ポリスルフィドポリマーは、末端位置またはペンダントの位置に反応性基を含有する。代表的な反応性基は、チオール、ヒドロキシル、アミノ、およびビニルである。このようなポリスルフィドポリマーは、前述の米国特許第2,466,963号、米国特許第4,366,307号、および米国特許第6,372,849号に記載され、これらの各々は、本明細書中で参考として援用される。このようなポリスルフィドポリマーは、ポリスルフィドポリマーの反応性基と反応する硬化剤で硬化され得る。
【0021】
本開示の硫黄含有ポリマーは、ポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される場合、1モルあたり500〜8,000グラム、そして特定の実施形態では、1モルあたり1,000〜5,000グラムの範囲の数平均分子量を有し得る。反応性官能基を含有する硫黄含有ポリマーに対しては、その硫黄含有ポリマーは、2.05〜3.0の範囲の、そして特定の実施形態では2.1〜2.6の範囲の平均官能性を有し得る。特定の平均官能性は、反応性成分の適切な選択により達成され得る。硫黄含有ポリマーの例としては、PRC−DeSoto International,Inc.から、PERMAPOL、特定すれば、PERMAPOL P−3.1、またはPERMAPOL P−3の商品名で入手可能なもの、およびAkros Chemicalsから入手可能なもの(例えば、THIOPLAST G4)が挙げられる。
【0022】
硫黄含有ポリマーは、上記伝導性ベース組成物中に、その伝導性ベース組成物の全重量の10重量%〜40重量%の範囲の量で存在し得、そして特定の実施形態では、硫黄含有ポリマーは、20重量%〜30重量%の範囲にわたり得る。硫黄含有ポリマーがポリスルフィドポリマーおよびポリチオエーテルポリマーの組合わせを含む特定の実施形態では、ポリスルフィドポリマーおよびポリチオエーテルポリマーの量は、同様であり得る。例えば、ベース組成物中におけるポリスルフィドポリマーおよびポリチオエーテルポリマーの量は、各々、その伝導性ベース組成物の全重量の10重量%〜15重量%であり得る。
【0023】
本開示の予備成形組成物は、少なくとも1つの硫黄含有ポリマーを硬化させるための少なくとも1つの硬化剤を含む。用語「硬化剤」とは、その硫黄含有ポリマーの硬化またはゲル化を促進するために硫黄含有ポリマーに添加され得る任意の物質をいう。硬化剤はまた、促進剤、触媒または硬化ペーストとしても公知である。特定の実施形態では、その硬化剤は、10℃〜80℃の範囲の温度で反応性である。用語「反応性」とは、化学反応の能力があることを意味し、そして反応体の部分反応から完全反応までの任意のレベルの反応を含む。特定の実施形態では、硬化剤は、それが硫黄含有ポリマーの架橋またはゲル化を提供する場合に、反応性である。
【0024】
特定の実施形態では、予備成形組成物は、その硫黄含有ポリマーの末端メルカプタン基を酸化してジスルフィド結合を形成し得る酸化剤を含有する少なくとも1つの硬化剤を含む。有用な酸化剤としては、例えば、二酸化鉛、二酸化マンガン、二酸化カルシウム、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過酸化カルシウム、過酸化亜鉛、および二クロム酸塩が挙げられる。硬化剤組成物中の硬化剤の量は、その硬化剤組成物の全重量の25重量%〜75重量%の範囲にわたり得る。ステアリン酸ナトリウムのような添加剤はまた、この促進剤の安定性を改善するために含有され得る。例えば、硬化剤組成物は、その硬化剤組成物の全重量基準で0.1重量%〜1.5重量%の範囲の量の硬化促進剤を含み得る。
【0025】
特定の実施形態では、本開示の予備成形組成物は、上記硫黄含有ポリマーに結合された官能基と反応性である少なくとも1つの反応性官能基を含有する、少なくとも1つの硬化剤を含み得る。上記硫黄含有ポリマーに結合された官能基と反応性である少なくとも1つの反応性官能基を含有する有用な硬化剤としては、末端ビニル化ポリマーを硬化させるためのポリチオール(例えば、ポリチオエーテル);末端チオール化ポリマー、末端ヒドロキシル化ポリマー、および末端アミノ化ポリマーを硬化させるためのポリイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ならびにそれらの混合物およびそれらのイソシアヌル酸誘導体);ならびに末端アミン化ポリマーおよび末端チオール化ポリマーを硬化させるためのポリエポキシドが挙げられる。ポリエポキシドの例としては、ヒダントインジエポキシド、ビスフェノール−Aエポキシド、ビスフェノール−Fエポキシド、ノボラック型エポキシド、脂肪族ポリエポキシドならびにエポキシド化不飽和樹脂、およびエポキシド化フェノール樹脂が挙げられる。用語「ポリエポキシド」とは、1つよりも多い1,2−エポキシ当量を有する物質をいい、そしてモノマー、オリゴマー、およびポリマーを含む。
【0026】
予備成形シーラント組成物は、硬化速度を改変するための少なくとも1つの化合物を含み得る。例えば、硬化促進剤(例えば、ジペンタメチレン/チウラム/ポリスルフィド混合物が、シーラント組成物中に含有されて硬化速度を促進し得、そして/または少なくとも1つの硬化遅延剤(例えば、ステアリン酸)が添加され硬化速度を遅延させ得、それにより付与の間のシーラント組成物の可使時間を延ばし得る。特定の実施形態では、硬化剤組成物は、硬化剤組成物の全重量基準で1重量%〜7重量%の範囲の促進剤、および/または0.1重量%〜1重量%の範囲の量の硬化遅延剤を含み得る。シーラント組成物の硬化特性を制御するために、少なくとも部分的に水分をそのシーラント組成物から除去し得る少なくとも1つの物質(例えば、モレキュラーシーブ粉末)を含有することもまた、有用であり得る。特定の実施形態では、硬化剤組成物は、上記硬化剤組成物の全重量基準で、0.1重量%〜1.5重量%の範囲の量の、少なくとも部分的に水分を除去し得る物質を含み得る。
【0027】
特定の実施形態では、本開示の予備成形組成物は、充填剤を含み得る。本明細書中で使用される場合、「充填剤」とは、この予備成形組成物中の非反応性成分をいい、これは、例えば電気伝導性、密度、粘度、機械的強度、EMI/RFI遮蔽効果などのような所望の特性を提供する。
【0028】
電気的に非伝導性の充填剤の例としては、炭酸カルシウム、マイカ、ポリアミド、ヒュームドシリカ、モレキュラーシーブズ粉末、微小球(マイクロスフェア)、二酸化チタン、白墨、アルカリブラック(alkaline black)、セルロース、硫化亜鉛、重晶石、アルカリ土類酸化物、アルカリ土類水酸化物などが挙げられるが、これらに限定されない。充填剤はまた、高バンドギャップ物質(例えば、硫化亜鉛、および無機バリウム化合物)を含む。特定の実施形態では、電気伝導性ベース組成物は、上記ベース組成物の全重量基準で、2重量%〜10重量%の範囲の量の電気的に非伝導性の充填剤を含み得、特定の実施形態では、3重量%〜7重量%の範囲であり得る。特定の実施形態では、硬化剤組成物は、その硬化剤組成物の全重量基準で、6重量%未満の範囲の量の電気的に非伝導性の充填剤を含み得、特定の実施形態では、0.5重量%〜4重量%の範囲の量の電気的に非伝導性の充填剤を含み得る。
【0029】
電気伝導性およびEMI/RFI遮蔽効果をポリマー組成物に賦与するために使用される充填剤は、当該分野で周知である。電気伝導性充填剤の例としては、電気伝導性の貴金属ベースの充填剤(例えば、純粋な銀);貴金属メッキされた貴金属(例えば、銀メッキされた金);貴金属メッキされた非貴金属(例えば、銀メッキされた銅、銀メッキされたニッケル、銀メッキされたアルミニウム(例えば、銀メッキされたアルミニウム核粒子)、白金メッキされた銅粒子);貴金属メッキされたガラス、貴金属メッキされたプラスチック、または貴金属メッキされたセラミック(例えば、銀メッキされたガラス微小球、貴金属メッキされたアルミニウム微小球または貴金属メッキされたプラスチック微小球);貴金属メッキされたマイカ;および他のそのような貴金属伝導性充填剤が挙げられる。非貴金属ベースの材料がまた使用され得、そしてそれは、例えば、非貴金属メッキされた非貴金属(例えば、銅メッキされた鉄粒子、またはニッケルメッキされた銅);非貴金属(例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト);非貴金属メッキされた非金属(例えば、ニッケルメッキされたグラファイト)および非金属材料(例えば、カーボンブラックおよびグラファイト)が挙げられる。電気伝導性充填剤の組合せもまた、所望の伝導性、EMI/RFI遮蔽効果、硬度、および特定の付与のために適切な他の特性を満たすために使用され得る。
【0030】
本開示の予備成形組成物で使用される電気伝導性充填剤の形状および大きさは、上記硬化された予備成形組成物にEMI/RFI遮蔽効果を賦与するために任意の適切な形状および大きさであり得る。例えば、充填剤は、電気伝導性充填剤の製造において一般に使用される任意の形状(球状、薄片状、小板状、粒子状、粉末状、不規則状、繊維状などを含む)であり得る。本開示の特定の予備成形シーラント組成物では、ベース組成物は、Niコーティングされたグラファイトを、粒子、粉末または薄片として含み得る。特定の実施形態では、ベース組成物中のNiコーティングされたグラファイトの量は、ベース組成物の全重量基準で、40重量%〜80重量%の範囲にわたり得、そして特定の実施形態では、50重量%〜70重量%の範囲にわたり得る。特定の実施形態では、電気伝導性充填剤は、Ni繊維を含み得る。Ni繊維は、10μm〜50μmの範囲の直径を有し得、そして250μm〜750μmの範囲の長さを有し得る。ベース組成物は、例えば、このベース組成物の全重量基準で2重量%〜10重量%の範囲の量のNi繊維を含み得、そして特定の実施形態では、4重量%〜8重量%の範囲の量のNi繊維を含み得る。
【0031】
炭素繊維、特にグラファイト化炭素繊維がまた、本開示の予備成形組成物に電気伝導性を賦与するために使用され得る。気相熱分解法により形成され、かつ熱処理によりグラファイト化された炭素繊維(それは、0.1ミクロン〜数ミクロンの範囲の繊維直径を有する中空または中実である)は、高電気伝導度を有する。米国特許第6,184,280号に開示されるように、0.1ミクロン未満〜数十ナノメートルの外径を有する炭素ミクロ繊維、カーボンナノチューブ、または炭素フィブリルが、電気伝導性充填剤として使用され得る。本開示の伝導性予備成形組成物のために適切なグラファイト化炭素繊維の例としては、PANEX 30MF(Zoltek Companies,Inc.,St.Louis,Mo.)(0.00055Ω−cmの電気抵抗を有する0.921ミクロン直径の円形繊維)が挙げられる。
【0032】
電気伝導性充填剤の平均粒径は、ポリマーベースの組成物に電気伝導性を賦与するに有用な範囲内であり得る。例えば、特定の実施形態では、1つ以上の充填剤の粒径は、0.25ミクロン〜250ミクロンの範囲にわたり得、特定の実施形態では、0.25ミクロン〜75ミクロンの範囲にわたり得、そして特定の実施形態では、0.25ミクロン〜60ミクロンの範囲にわたり得る。特定の実施形態では、本開示の予備成形組成物は、Ketjen Black EC−600JD(Akzo Nobel,Inc.,Chicago,IL)(1000〜11500mg/gのヨウ素吸収(J0/84−5試験法)、および480〜510cm/100gmの孔隙量(DBP吸収、KTM81−3504)により特徴付けられる、電気伝導性カーボンブラック)を含み得る。特定の実施形態では、電気伝導性カーボンブラック充填剤は、Black Pearls 2000(Cabot Corporation,Boston,MA)である。
【0033】
特定の実施形態では、電気伝導性ポリマーが使用され、本開示の予備成形組成物の電気伝導性を賦与または改善し得る。芳香族基に組込まれた硫黄原子または二重結合に隣接した硫黄原子(例えば、ポリフェニレンスルフィド、およびポリチオフェンにおけるような硫黄原子)を有するポリマーは、電気伝導性であることが公知である。他の電気伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、およびポリアセチレンが挙げられる。特定の実施形態では、ベース組成物を形成する硫黄含有ポリマーは、ポリスルフィドおよび/またはポリチオエーテルであり得る。したがって、その硫黄含有ポリマーは、芳香族硫黄基および共役二重結合に隣接した硫黄原子(例えば、ビニルシクロヘキセン−ジメルカプトジオキサオクタン基)を含み得、本開示の予備成形組成物の電気伝導度を増強し得る。
【0034】
本開示の予備成形シーラント組成物は、1つより多い電気伝導性の充填剤を含み得、そしてこの1つより多い電気伝導性の充填剤は、同一の物質であってもまたは異なる物質であってもよく、そして/あるいは同一の形状であってもまたは異なる形状であってもよい。例えば、予備成形シーラント組成物は、粉末、粒子、または薄片の形態にある、電気伝導性のNi繊維、および電気伝導性のNiコーティングされたグラファイトを含み得る。電気伝導性充填剤の量および型は、硬化したときに0.50Ω/未満のシート抵抗(4点抵抗)、そして特定の実施形態では、0.15Ω/未満のシート抵抗を示す予備成形シーラント組成物を製造するように選択され得る。充填剤の量および型はまた、本開示の予備成形シーラント組成物を用いてシールされたアパーチャに対して、1MHz〜18GHzの周波数範囲にわたって有効なEMI/RFI遮蔽を提供するように選択され得る。
【0035】
本開示の異種金属表面および導電性組成物の電気化学的腐食は、上記組成物に腐食防止剤を添加することにより、ならびに/または適切な導電性充填材を選択することにより、最小限、もしくは防止され得る。特定の実施形態において、腐食防止剤としては、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カルシウム、クロム酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせが挙げられる。米国特許第5,284,888号および同第5,270,364号は、アルミニウム表面および鋼表面の腐食を防止するための芳香族トリアゾールの使用を開示する。特定の実施形態において、Znのような犠牲酸素スカベンジャーが、腐食防止剤として使用され得る。特定の実施形態において、腐食防止剤は、導電性予備成形組成物の合計重量の10重量%未満を構成し得る。特定の実施形態において、腐食防止剤は、導電性予備成形組成物の合計重量の2重量%〜8重量%の範囲の量を構成し得る。異種金属表面間の腐食もまた、予備成形組成物を構成する導電性充填材の種類、量、および特性の選択によって、最小限、または防止され得る。
【0036】
特定の実施形態において、本開示の予備成形組成物は、可塑剤(例えば、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、水素化テルフェニル、部分水素化テルフェニルなど)を含有する。予備成形組成物は、1種以上の可塑剤を含有し得る。ベース組成物中の可塑剤の量は、そのベース組成物の合計量に基づいて0.1重量%〜5重量%の範囲であり得、そして特定の実施形態において、0.5重量%〜3重量%の範囲であり得る。硬化剤組成物中の可塑剤の量は、その硬化剤組成物の合計量の20重量%〜60重量%の範囲であり得、そして特定の実施形態において、30重量%〜40重量%の範囲であり得る。
【0037】
特定の実施形態において、予備成形組成物は、ケトンまたはアルコール(例えば、メチルエチルケトン、およびイソプロピルアルコールもしくはこれらの組み合わせ)のような有機溶媒をさらに含む。
【0038】
特定の実施形態において、本開示の予備成形組成物は、接着促進剤(例えば、フェノール樹脂、シラン接着促進剤、およびこれらの組み合わせ)を含む。接着促進剤は、基材への予備成形シーラント組成物のポリマー成分の接着、ならびにシーラント組成物中非導電性および導電性充填材への予備成形シーラント組成物のポリマー成分の接着を容易にし得る。特定の実施形態において、導電性ベース組成物は、0.15重量%〜1.5重量%のフェノール接着促進剤、0.05重量%〜0.2重量%のメルカプト−シラン接着促進剤、および0.05重量%〜0.2重量%のエポキシ−シラン接着促進剤を含有し得る。ベース組成物中の接着促進剤の合計量は、そのベース組成物の合計量に基づいて0.5重量%〜7重量%の範囲であり得る。
【0039】
特定の実施形態において、ベース組成物は、少なくとも1種の硫黄含有ポリマー、添加剤、および/または充填材を、二重遊星(planetary)ミキサー中、減圧下でバッチ混合することによって調製され得る。他の適切な混合装置としては、ニーダーエクストルーダー、シグマミキサー、またはダブル「A」アームミキサーが挙げられる。例えば、ベース組成物は、少なくとも1種の硫黄含有ポリマー、可塑剤、およびフェノール接着促進剤を混合することにより調製され得る。混合物が完全にブレンドされた後、さらなる構成成分が別々に添加され得、そして高せん断粉砕ブレード(例えば、Cowlessブレード)を使用して混ぜ込まれるまで混合され得る。ベース組成物に添加され得るさらなる構成成分の例としては、腐食防止剤、非導電性充填材、導電性繊維、導電性フレーク、およびシラン接着促進剤が挙げられる。次いで、上記混合物は、さらに15〜20分間、27インチ水銀以上の減圧下で混合され、取り込まれた空気および/もしくは気体を減少または取り除き得る。次いで、上記ベース組成物は、高圧ピストンラムを使用してミキサーから押出され得る。
【0040】
硬化剤組成物は、硬化剤、添加剤、および充填材をバッチ混合することにより調製され得る。特定の実施形態において、可塑剤(例えば、部分水素化テルフェニル)および反応促進剤(accelerant)(例えば、ジペンタメチレン/チウラム/ポリスルフィド混合物)の全体の75%が、単一シャフトアンカーミキサー中で混合される。次いで、モレキュラーシーブ粉末が添加され、そして2〜3分間混合される。次いで、二酸化マンガンの全体の50%が、混ぜ込まれるまで混合される。次いで、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、および残りの可塑剤が、混ぜ込まれるまで混合され、続いて残りの50%の二酸化マンガンが、混ぜ込まれるまで混合される。次いで、ヒュームドシリカが混ぜ込まれるまで混合される。上記混合物が高粘度になりすぎる場合、界面活性剤が湿潤を増大させるために添加され得る。次いで、上記硬化剤組成物は2〜3分間混合され、3ロールペイントミルを通過して粉砕を達成し、そして単一シャフトアンカーミキサーに戻され、そしてさらに5〜10分間混合される。次いで、上記硬化剤組成物は、ピストンラムを使用してミキサーから取り除かれ得、保存容器中に配置され、そしてベース組成物と組み合わせる前に少なくとも5日間熟成させる。
【0041】
ベース組成物および硬化剤組成物は一緒に混合され、予備成形シーラント組成物を形成する。ベース組成物および硬化剤組成物は、動力学的混合ヘッドを取り付けたメーター混合装置を使用して、所望の比で組み合わせられ得る。メーター混合装置の圧力は、ベース組成物および硬化剤組成物を動力学的混合ヘッドおよび押出し型に通す。特定の実施形態において、予備成形組成物は、層状形態(例えば、テープまたはシート)に押出される。シート形態の予備成形組成物は、密封されるアパーチャの寸法で規定されるような任意の所望の形状に切り出され得る。特定の実施形態において、成形形態は、コイル状であり得、リリースペーパーがパッケージング目的用の各リングを分離している。上記成形形態は、この成形形態をドライアイスの床に配置し、ドライアイスの別の層をこの成形形態上に配置することにより、冷却され得る。上記成形形態は、上記ベース組成物および硬化剤組成物を混合した直後に冷却され得る。上記成形形態は、ドライアイスに5〜15分間曝露され続け得、次いで、−40℃以下の保存温度に配置され得る。用語「冷却される」とは、予備成形組成物の硬化を遅延および/または停止させるように予備成形組成物の温度を低下させることをいう。特定の実施形態において、成形形態の予備成形組成物は、−40℃未満に冷却される。
【0042】
アパーチャを密封するために、予備成形組成物の温度は、このアパーチャと結合する1つ以上の表面への適用の前に4℃〜32℃(40°F〜90°F)の範囲にある使用温度に上昇される。これは、上記予備成形組成物が適用の前に10分間未満で使用温度に到達するように行われる。
【0043】
特定の実施形態において、成形形態の予備成形組成物は、取り外し可能なアクセスパネルと航空機体のオープニング周辺に隣接する表面との間のアパーチャを密封するために使用され得る。上記表面が洗浄溶媒(例えば、DESOCLEAN(PRC−DeSoto International,Inc.)で洗浄された後に、接着促進剤がアクセスパネルオープニングの周辺に最初にはけで塗られる。次いで、上記アクセスパネルの表面は洗浄され、そして予備成形組成物の適用の前に離型剤でコーティングされる。成形形態の予備成形組成物は、上記アクセスパネルオープニング周辺に隣接する表面、上記アクセスパネルの周辺に隣接する表面、またはその両方に手動で適用される。次いで、上記アクセスパネルは、オープニングに隣接する表面に対して配置され、そしてしっかりと締め付けられて、過剰な予備成形組成物を上記アクセスパネルの縁周囲にはみ出させる。過剰の予備成形組成物は、例えば、平らな表面を使用して容易に取り除かれる。過剰の予備成形組成物は、硬化前、または上記予備成形組成物が硬化した後(好ましくは予備成形組成物が硬化した後)のいずれかに取り除かれ得る。
【0044】
本開示の予備成形組成物の適用から得られたシールの完全性、耐湿性、および燃料耐性は、規格MMS 327中で確認された試験を行うことにより評価され得る。受容可能なシールは隙間がなく、そして湿度および航空機燃料に対して耐性である。
【0045】
本明細書中および添付の特許請求の範囲中で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、明白かつ明快に1つの対象に限定されない限り、複数の対象を包含する。従って、例えば、「充填材(a filler)」への言及は、1種以上の充填剤を包含する。また、本明細書中で使用される場合、用語「ポリマー」とは、ポリマー、オリゴマー、ホモポリマー、およびコポリマーをいうことが注意される。
【0046】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的で、他で特に示されない限り、本明細書および特許請求の範囲中で使用される、成分の量、または他の材料の百分率もしくは割合、反応条件などを表す数値の全ては、用語「約」により全ての場合で修飾されると理解されるべきである。従って、反対に示されない限り、以下の本明細書中および添付の特許請求の範囲中に示される数値パラメーターは、本開示により得られると考えられる所望の特性に依存して変動し得る近似値である。
【0047】
本開示の実施形態は、以下の実施例を参照してさらに定義され得、実施例は、本開示の組成物の調製、および本開示の組成物を使用するための方法を詳細に記載する。材料および方法の両方の変更は、本開示の範囲を逸脱することなく実施され得ることが、当業者に明らかである。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
実施例1は、EMI/RFI遮蔽効果を示す成形形態の導電性予備成形組成物を示す。以下の材料を、表Iに従う割合で混合し、導電性ベース組成物を得た:PRC−DeSoto International,Inc.からのPERMAPOL P 3.1ポリチオエーテルポリマー、Akcros Chemicals (New Brunswick,NJ)からのTHIOPLAST G4ポリスルフィドポリマー、PRC−DeSoto International,Inc.からのフェノール樹脂接着促進剤、およびSolutia,Inc.(St.Louis,Missouri)からのHB−40修飾ポリフェニル可塑剤。高せん断粉砕ブレード(Cowlessブレード)を使用して、以下の材料を個々に添加し、そして混ぜ込まれるまでブレンドした:クロム酸カルシウム腐食防止剤(Wayne Pigment Corp.,Milwaukee,WI)、疎水性ヒュームドシリカ(Aerosil/Degussa,Diamond Bar
CAからのR202)、Ni繊維(30μm直径、500μm長;Intramicron,Birmingham,ALから)、Niコーティングされたグラファイト(I)(60% Niコーティングされたグラファイト;Novamet,Wyckoff,NJから)、Niコーティングされたグラファイト(II)(60% Niコーティングされたグラファイト;Sulzer Metco/Ambeon,Switzerlandから)、メルカプトシラン接着促進剤(Silane A189;GE Specialty Materials,Wilton,CN)、およびエポキシシラン接着促進剤(Silane A187;GE Specialty Materials,Wilton,CN)。
【0049】
(表I:導電性ベース組成物)
【0050】
【表1】

別々に、以下の材料を表2に従う量で混合し、硬化剤組成物を形成した:EaglePicher(Phoenix,AZ)からの二酸化マンガン,Witco Chemicalsからの、部分水素化テルフェニル、ステアリン酸、ヒュームドシリカ、ステアリン酸ナトリウム、硬化剤から過剰の湿度を取り除くためのモレキュラーシーブ粉末、およびAkrochem Corporation(Akron,OH)からの、硬化を加速するためのジペンタメチレン/チウラム/ポリスルフィド混合物。この硬化剤組成物を、ベース組成物と組み合わせる前に少なくとも5日間固化(set)または熟成させた。
【0051】
(表II:硬化剤組成物)
【0052】
【表2】

表Iに従う導電性ベース組成物の100重量部と、表IIの硬化剤組成物の10重量部とを組み合わせて、導電性予備成形組成物を調製した。混合および脱気を終えた後、このように形成された導電性予備成形組成物をテープ形態に押出し、そして−40℃に冷却した。
【0053】
航空機アクセスパネルの周辺に隣接する表面を、規格MMS−423に従う低VOCエポキシプライマーで最初にコーティングし、そして硬化した。この表面を洗浄し、次いでPRC−DeSoto International,Inc.からの接着促進剤PR−148またはPR−184でコーティングした。上記アクセスパネルを、AMS−T−9046と適合するチタン合金から作製した。上記冷却した導電性予備成形組成物を、使用温度4℃〜32℃(40°F〜90°F)に平衡化した後、テープ形態の導電性予備成形組成物を、上記アクセスパネルの周辺に隣接する表面に手動で適用した。このアクセスパネルを、アクセスオープニングを覆うように配置してしっかりと締め付け、アクセスパネルの縁の周りに過剰の導電性予備成形組成物をはみ出させ、アパーチャを充填した。過剰の導電性予備成形組成物を容易に取り除いた。4℃〜32℃(40°F〜90°F)の温度で3〜4時間後、隙間のないシールの、水分への耐性および航空機燃料の耐性を得た。
【0054】
硬化されたシーラントは、0.50Ω/未満のシート耐性(4点プローブ)を示した。アルミニウム試験固定物(fixture)と炭素/エポキシの蓋との間のアパーチャに対するシールは、無響室内で試験された場合1MHz〜200MHzの遮蔽効果を示した。同様に、密封されたアパーチャもまた、撹拌モードチャンバ内で試験された場合に0.1GHz〜18GHzの遮蔽効果を示した。
【0055】
本開示の他の実施形態は、本明細書および本明細書中に開示される実施の考察から当業者に明らかである。本明細書および実施例は例示としてのみ考慮され、本開示の真の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲により示されていることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願発明の好ましい実施形態によれば、以下の組成物および方法などが提供される。
(1)成形形態にある予備成形組成物であって、該組成物は、以下:
少なくとも1つの硫黄含有ポリマーおよび少なくとも1つの電気伝導性充填剤を含む、ベース組成物;ならびに
硬化剤組成物、を含み、ここで該予備成形組成物が、EMI/RFI照射を遮蔽し得る、予備成形組成物。
(2)前記予備成形組成物が、5重量部〜20重量部の前記硬化剤組成物、および100重量部の前記ベース組成物を含む、上記項1に記載の予備成形組成物。
(3)前記少なくとも1つの硫黄含有ポリマーが、前記ベース組成物の全重量の10重量%〜50重量%の範囲の量で存在する、上記項1に記載の予備成形組成物。
(4)前記少なくとも1つの硫黄含有ポリマーが、ポリスルフィドポリマー、末端メルカプト化ポリマー、ならびにポリスルフィドポリマーおよび末端メルカプト化ポリマーの組合せから選択される、上記項1に記載の予備成形組成物。
(5)前記少なくとも1つの電気伝導性充填剤が、前記ベース組成物の全重量の40重量%〜80重量%の範囲の量で存在する、上記項1に記載の予備成形組成物。
(6)前記少なくとも1つの電気伝導性充填剤が、Ni繊維、およびNiコーティングされたグラファイトを含む、上記項1に記載の予備成形組成物。
(7)前記Ni繊維が、前記ベース組成物の全重量の4重量%〜8重量%の範囲の量で存在し、そして前記Niコーティングされたグラファイトが、前記ベース組成物の全重量の50重量%〜70重量%の範囲の量で存在する、上記項6に記載の予備成形組成物。
(8)少なくとも1つの腐食阻害剤をさらに含む、上記項1に記載の予備成形組成物。
(9)前記少なくとも1つの腐食阻害剤が、電気化学的腐食を阻害する、上記項8に記載の予備成形組成物。
(10)前記少なくとも1つの腐食阻害剤が、クロム酸カルシウムを含む、上記項8に記載の予備成形組成物。
(11)前記少なくとも1つの腐食阻害剤が、前記ベース組成物の全重量の3重量%〜7重量%の範囲の量で存在する、上記項8に記載の予備成形組成物。
(12)少なくとも1つの接着促進剤をさらに含む、上記項1に記載の予備成形組成物。
(13)前記少なくとも1つの接着促進剤が、フェノール性接着促進剤、メルカプトシラン接着促進剤、およびエポキシシラン接着促進剤を含む、上記項12に記載の予備成形組成物。
(14)前記少なくとも1つの接着促進剤が、前記ベース組成物の全重量の1重量%〜6重量%の範囲の量で存在する、上記項12に記載の予備成形組成物。
(15)前記予備成形組成物が、10℃〜30℃の範囲の温度で硬化可能である、上記項1に記載の予備成形組成物。
(16)前記予備成形組成物が、付与の前に冷却される、上記項1に記載の予備成形組成物。
(17)前記硬化された予備成形組成物が、0.50Ω/未満の表面抵抗を示す、上記項1に記載の予備成形組成物。
(18)前記硬化剤組成物が、二酸化マンガン硬化剤を含む、上記項1に記載の予備成形組成物。
(19)前記二酸化マンガンが、前記硬化剤組成物中に、該硬化剤組成物の全重量の25重量%〜75重量%の範囲の量で存在する、上記項18に記載の予備成形組成物。
(20)アパーチャをシールしてEMI/RFI遮蔽効果を提供する方法であって、該方法は、少なくとも1つの硫黄含有ポリマー、および少なくとも1つの電気伝導性充填剤を含む、成形形態にある予備成形組成物を、アパーチャを伴なう表面に付与する工程を包含し、該アパーチャをシールしてEMI/RFI遮蔽効果を提供する、方法。
(21)前記予備成形組成物が、上記項1に記載の予備成形組成物を含む、上記項20に記載の方法。
(22)前記表面が、取り外し可能なパネルの表面である、上記項20に記載の方法。
(23)前記表面が、開口部に隣接する表面である、上記項20に記載の方法。
(24)前記アパーチャが、航空機または宇宙船上にある、上記項20に記載の方法。
(25)前記予備成形組成物の付与の前に、接着促進剤を、前記アパーチャを伴なう少なくとも1つの表面に付与する工程をさらに包含する、上記項20に記載の方法。
(26)前記予備成形組成物の付与の前に、離型剤を、前記アパーチャを伴なう少なくとも1つの表面に付与する工程をさらに包含する、上記項20に記載の方法。
(27)前記シールされたアパーチャが、1MHz〜18GHzの遮蔽効果を示す、上記項20に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された組成物および方法

【公開番号】特開2009−102665(P2009−102665A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33303(P2009−33303)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【分割の表示】特願2006−501266(P2006−501266)の分割
【原出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【出願人】(505282916)ピーアールシー−ディーイー ソト インターナショナル, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】