説明

成形物検査装置および成形物検査方法

【課題】成形物がどのような形態であっても、常に一定の精度で正確に不良部分の検査をすることができる成形物検査装置および成形物検査方法を提供すること。
【解決手段】透光性を有する材料により作られており開口部と連通した中空領域を有している成形物14を検査するための成形物検査装置10であり、照明光を発生する照明部30,32,34と、照明光を成形物14の開口部26から中空領域27に導く成形物挿入部40と、成形物挿入部40が挿入された成形物14を通過した照明光を受光する受光部50,51,53と、受光部50,51,53で受光した照明光から成形物14に存在する不良部分を画像情報として検出する検出部60を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性を有する材料により作られており開口部を有している成形物、たとえば哺乳びんに取り付ける人工乳首や、ガラスびんなどの各種びん体等のような成形物を検査するための成形物検査装置および成形物検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透光性を有する材料により作られており開口部を有している成形物として、たとえば人工乳首(以下乳首という)を例に挙げると、この乳首はゴム材料、たとえばイソプレンゴムやシリコーンゴム等により作られている。
この種の乳首はゴム材料により成形された後に、乳首に異物が混入していないか等の各種不良を確認するため等に、作業者が目視検査によりこの不良部分の検査を行っている。
このため、例えば透光性容器の検査装置では、容器Bの側方に照明装置2を設け、他方にCCDカメラ3と画像処理装置4を設けることで異物を検査し、検査精度を高めるために照明装置2と容器B間に拡散フィルター5を設けている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−202299号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、作業者が目視により乳首の不良部分の検査を行う場合には次のような問題がある。すなわち、作業者の体調や、検査する時間あるいは検査の周囲の環境等により乳首に存在する不良部分の検査精度に変動があることが知られている。
一方、照明や画像処理装置等を使用した検査装置では、容器における凹凸があった場合に光が影響を受けてしまい、検出における異物等の識別が困難であり、そのため、特許文献1では、拡散フィルターを使用することで精度を高めているが、成形物によって様々な形状や表面形態等とされているため、透過光が成形物の影響を受けてしまい、検査精度に影響を及ぼす恐れがあるだけでなく、一方向からしか検査をできなかった。
そこで本発明は上記課題を解消し、成形物がどのような形態であっても、常に一定の精度で正確に不良部分の検査をすることができる成形物検査装置および成形物検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、透光性を有する材料により作られており開口部と連通した中空領域を有している成形物を検査するための成形物検査装置であり、照明光を発生する照明部と、前記成形物の前記開口部から前記中空領域に挿入され、前記照明部の前記照明光を導く成形物挿入部と、前記成形物挿入部に保持された前記成形物を通過した前記照明光を受光する受光部と、前記受光部で受光した前記照明光から前記成形物に存在する不良部分を画像情報として検出する検出部と、を備えることを特徴とする成形物検査装置である。
請求項1では、照明部で発生させた照明光を開口部から挿入した成形物挿入部によって中空領域内に導くようになっている。そして受光部は、成形物挿入部に挿入された成形物を通過した照明光を受光し、検出部は、受光部で受光した照明光から成形物に存在する不良部分を画像情報として検出するようになっている。
これにより、成形物の形態に係らず、成形物内に存在する異物混入や穴等の不良部分を画像情報として確実に常に一定の精度で人手を介さずに検出することができ、また、いずれの方向、角度からでも検査を行うことができる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、成形物挿入部は、成形物を移動させるための保持部とされていることを特徴とする成形物検査装置である。
請求項2では、成形物が検査装置内で移送されるにあたって、成形物挿入部が成形物を保持して移動させることができる保持部とされており、成形物挿入部が成形物と結合しながら移動するため、確実に検出しつつ、検査を効率的に行うことができる。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の構成において、成形物挿入部は、成形物の中空領域に類似した形状とされていることを特徴とする成形物検査装置である。
請求項3では、成形物の中空領域における形状と成形物挿入部の形状が類似した形状とされることで、成形物の形態に伴う影響を光に与えることなく、検査精度を高められる。
【0008】
請求項4の発明は、透光性を有する材料により作られており開口部と連通した中空領域を有している成形物を検査するための成形物検査方法であり、成形物挿入部が挿入された、前記成形物の前記中空領域に照明部からの照明光を導く照明光照射ステップと、成形物挿入部が挿入された前記成形物を通過した前記照明光を受光部により受光する受光ステップと、検出部において前記受光部で受光した前記照明光から前記成形物に存在する不良部分を画像情報として検出する検出ステップと、を含むことを特徴とする成形物検査方法である。
請求項4の検査方法によれば、請求項1と同様に、確実な検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、成形物がどのような形態であっても、常に一定の精度で正確に不良部分の検査をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0011】
図1は、本発明の成形物検査装置の好ましい実施の形態を示す平面図である。図1に示す成形物検査装置10は、検査する対象としての成形物であるたとえば図2に示す乳首(人工乳首)14の不良部分を非接触式に且つ光学式で検査するための装置である。図2に示す乳首14は、たとえばイソプレンゴムやシリコーンゴム等により成形されていて、透光性もしくは透明性を有する材料により作られている。この乳首14は哺乳びん16の開口部17に対してキャップ18を用いて着脱可能に取り付けることができるものである。乳首14の形状は、図3に示すようにリング状の座部20、胴部22、頭部24を有している。座部20は、図2に示すキャップ18を用いて哺乳びん16の開口部17に対して取り付けられる。頭部24の頂点には穴24Aが形成されている。頭部24の外径は胴部22に比べて小さくなっている。胴部22の外径は座部20の外径に比べて小さい。乳首14の下側には、開口部26を有しており、中空領域27が形成されて、穴24Aに通じている。
【0012】
図1に戻ると、図1に示す成形物検査装置10は、概略的には照明部30,32,34、成形物挿入部としての複数の成形物保持部40、受光部としての胴部カメラ50、受光部としての座部カメラ51、そして受光部としての頭部カメラ53、そして検出部60、割り出しテーブル64、乳首の搬入部66、良品搬出部68および不良品搬出部70を有している。割り出しテーブル(インデックステーブル)64、胴部カメラ50、座部カメラ51、頭部カメラ53、照明部30,32,34は、収容ボックス72の中に収容されている。収容ボックス72は、これらの構成要素に対して外部の光が影響しないようにするために外部の光を遮るための箱である。
【0013】
割り出しテーブル64は円形状のテーブルであり、等間隔角度をおいて例えば合計8つの成形物保持部40が円周方向に沿って配置されている。割り出しテーブル64のギア65は、モータMのギア74に対してたとえばチェーン76により連結されている。モータMが作動することにより、割り出しテーブル64は、R方向に沿って45度毎に、8つのポジションP1からP8までの位置で順次インデックスでき乳首14の移動手段になっている。このポジションP1〜P8について説明する。ポジションP1はワーク取付位置を示しており、ポジションP2は胴部検査ポジションであり、ポジションP3は座部検査ポジションを示しており、ポジションP4は頭部検査ポジションを示している。ポジションP5は良品ワーク取出しポジションを示している。ポジションP6は、不良品ワーク取出しポジションを示している。ポジションP7は、治具としての成形物保持部40をクリーニングするためのポジションである。ポジションP8は、待機ポジションである。乳首14はワークとも呼んでいる。
搬入部66、良品搬出部68および不良品搬出部70は、たとえばエンドレス型のコンベアを用いることができ、図示しない乳首14の製造及び包装工程に連接されている。
【0014】
図4は、図1に示す胴部検査ポジションP2の詳細な構造例を示しており、図5は、図1に示す座部検査ポジションP3の詳細構造例を示しており、図6は、頭部検査ポジションP4の詳細構造例を示している。
まず図4に示す胴部検査ポジションP2について説明する。割り出しテーブル64には、成形物保持部40が中心軸CLを中心として回転可能に取り付けられている。つまり、成形物検査装置10では、成形物10を中心軸CLを中心として回転させることができる構成とされることで、様々な角度から検査を行うことができるよう構成されている。成形物保持部40は、光を均一に分散して通すことができるたとえばプラスチック材料、たとえばポリアミドやポリカーボネート等の表面形態を調整する等によって作られている。
【0015】
この乳首14の中空領域27内に挿入される成形物保持部40は、乳首14の頭部24、胴部22および座部20に対応し、類似した形状とされており、略円錐形状であって、胴部22に対応した下側が通常の円錐形状よりも拡径されている。なお、成形物保持部40を乳首14の中空領域と略同形状としてもよい。この成形物保持部40の突出部41の外周面に対して乳首14を挿入するようになっている。この突出部41の中心には、光を導くための光案内部43が中心軸CLに沿って形成されている。成形物保持部40は、台座40Bに対して固定されている。この台座40Bは、割り出しテーブル64に対してベアリング40Cにより中心軸CLを中心として回転可能である。台座40Bは、ギア40Dを有しており、このギア40Dは、割り出しテーブル64側のギア40Eとかみ合っている。従って、割り出しテーブル64が、図1において中心軸CLを中心としてR方向に回転する際に、ギア40Eとギア40Dを介して、台座40Bとともに成形物保持部40が中心軸CLを中心として回転できる。
【0016】
台座40Bの中央部には大きな開口部である光案内部43Bが設けられている。この光案内部43Bの下部には、照明部30が配置されている。この照明部30は胴部検査ポジションP2に位置決めされたものであり、照明部30は、たとえば光ファイバ80を備えている。この光ファイバ80は、図1に示すように照明光源100からの光を図4に示す光案内部43B、光案内部43を通じて、光透過性の成形物保持部40を介して、乳首14に対して均一な光で内側から照射できるようになっている。なお、照明部30を、成形物挿入部である成形物保持部40内に配置し、光案内部43,43Bを介さずに成形物挿入部を照らすよう構成してもよい。
【0017】
図4に示すように成形物保持部40の側方には、受光部としての胴部カメラ50が配置されている。この胴部カメラ50は、検出部60のコンピュータ60Cに接続されている。胴部カメラ50で受光した乳首14からの照明光は、コンピュータ60Cに送られる。コンピュータ60Cは、この受光した照明光から、乳首14に存在する不要部分を画像情報として、ディスプレイ60Dに表示できる。コンピュータ60Cにはキーボード60Kが接続されている。
【0018】
次に、図5に示す座部検査ポジションP3における構造について説明する。割り出しテーブル64には、図4の場合と同様にして成形物保持部40が台座40Bに対して固定されており、図4の場合とほぼ同じ構造であるので、同じ符号を記してその説明を用いる。
【0019】
図4と異なり、図5においては、座部カメラ51が、中心軸CLに沿って上方に沿って成形物保持部40の上方に位置している。座部カメラ51は、コンピュータ60Cに対して乳首14側から取り込んだ照明光を情報として取り込むことができる。なお、座部カメラ51のピントを調整することで、座部20ではなく、乳首14の穴24Aが設けられた成形物の頂面や、成形物がびん体等においては底面等の、側面からでは確認できない面における透過光を取り込むことができる。
【0020】
次に、図6を参照して、頭部検査ポジションP4について説明する。割り出しテーブル64には、図4と図5の場合と同様にして成形物保持部40が台座40Bに取り付けられており、図4と図5に示すものとほぼ構成が同様であり、その説明を用いることにする。
【0021】
成形物保持部40の斜め上方には、頭部カメラ53が設けられている。この頭部カメラ53は、支柱53Aにより支持されている。頭部カメラ53は、中心軸CLに対して角度θ分傾いており、頭部カメラ53は乳首14の頭部24を中心としてその頭部24を通過した照明光を受光できるようになっている。同様にして図5の座部カメラ51は、乳首14の座部20を通った光を受光できるようになっている。図4の胴部カメラ50は、主に乳首14の胴部22を通った照明光を受光できるようになっている。
【0022】
図7(A)は、図4に示す胴部検査ポジションP2において、ディスプレイ60Dに表示された照明光から得られる画像情報Gを示しており、図7(B)は乳首14の胴部22に存在する不良部分NG1の例を示している。
【0023】
図4に示す胴部カメラ50は、図7(B)に示す乳首14の胴部22の範囲H1を通る照明光を検知できるようなたとえばラインセンサを用いることができる。
【0024】
図4に示すラインセンサカメラは、たとえば次のような構成のものである。ラインセンサカメラは、乳首14が図4における中心軸CLを中心として回転する際に、乳首14からの照射光を捉えて、図7に示すディスプレイ60Dに画像表示するようになっている。図4に示すラインセンサ形態の胴部カメラ50は、CCD(電荷結合素子)イメージセンサ素子を有している。
図5に示す上方から撮影できる異物を検知するための座部カメラ51や、図6に示す角度がついた部位を撮影できる異物を検知するための頭部カメラ53についても、図4に示す側部からの胴部カメラ50と同様の構成とされて、図7に示すような画像を撮影することができる。
【0025】
次に、図8は、図1の搬入部66と良品搬出部68および割り出しテーブル64等を示している。搬入部66で運ばれてくる乳首14は、移載機66Aによって保持されて、ワーク取付ポジションP1に位置している成形物保持部40に対して移載するようになっている。また良品搬出部68は、移載機68Aを有しており、この移載機68Aは、良品ワーク取出しポジションP5に位置している良品の乳首14を保持して良品搬出部68のコンベア68Cに移すことができる。
【0026】
また、割り出しテーブル64の不良品ワーク取り外しポジションP6の乳首14は、良品ワークポジションP5と同様に、不良品搬出部70のコンベアに移すことができる。
この後、成形物保持部40は治具クリーニングポジションP7に移動し、図示しない清掃具に当接させた状態で、回転させられることで、検査中に異物等が成形物保持部40に付着した場合でも異物が除去されて、ワーク取付位置P1に戻ることとなる。
【0027】
次に、上述した成形物検査装置10を用いて成形物である乳首14の良品不良品検査について説明する。
図1において、搬入部66から検査しようとする乳首14が搬送されてくると、この乳首14がワーク取付ポジションP1の成形物保持部40に取り付けられる。このようにワーク取付ポジションP1にインデックスされてくる成形物保持部40には、順次検査しようとする乳首14が装着される。
【0028】
割り出しテーブル64が45度ずつR方向に沿って回転してインデックスされると、検査しようとする乳首14が胴部検査ポジションP2、座部検査ポジションP3および頭部検査ポジションP4に順次インデックスされていく。
まず検査しようとする乳首14が胴部検査ポジションP2に位置決めされると、図4に示すように照明部30の光ファイバ80から、光案内部43B、光案内部43を通じて成形物保持部40に光が照射される。この光は、成形物保持部40を透過して乳首14の内面側から照射される。照射された光は乳首14の座部20、胴部22、および頭部24を通じて外側に通り抜ける。図4の胴部検査ポジションP2では、胴部22を通った照明光が胴部カメラ50により受光される。
【0029】
図7に示すように乳首14の胴部22に不良部分NG1が存在していたとすると、この不良部分NG1は、H1範囲に入っているので、胴部カメラ50はこの不良部分NG1を画像情報として得ることができる。たとえば図7(A)に示すようにディスプレイ60Dでは、画像情報G1において、不良部分NG1をその他の画像情報G1の部分に比べてたとえば黒色で表示することができる。ディスプレイ60Dの画面の水平方向L1は、図4における中心軸CL方向であり、ディスプレイ60DのL2方向は、図4における中心軸CLを中心として、乳首14の全周方向である。図4において、胴部検査ポジションP2では、成形物保持部40と乳首14は、図4の中心軸CLを中心としてギア40E,ギア40を介してたとえば90度あるいは360度回転される。これによって図7(A)に示すような画像情報G1を得ることもできる。
【0030】
次に、図1の割り出しテーブル64がさらに45度インデックスされると、すでに胴部を検査した乳首14とその成形物保持部40は、座部検査ポジションP3にインデックスされる。この座部検査ポジションP3においては、図5に示すように座部カメラ51が乳首14の座部20を通った照明光を直接受光する。これによってコンピュータ60Cはディスプレイ60Dに対して図7と同様に、座部20における画像情報を表示し、異物の存在に関する画像情報を取り込むことができる。なお、座部20の検出の場合は、成形物保持部40を回転させずに使用してもよい。
【0031】
次に、図1の割り出しテーブル64がさらに45度インデックスされると、すでに胴部と座部が検査済みの乳首14と成形物保持部40が頭部検査ポジションP4にインデックスされる。図6に示すように頭部検査ポジションP4では、照明部34の光ファイバ80が光案内部43B、光案内部43を通じて成形物保持部40を透過し乳首14を内側から照明している。これによって頭部カメラ53は頭部24からの照明光を受光し、図7と同様に、頭部24における画像情報を表示し、異物の存在に関する画像情報を取り込むことができる。
【0032】
図7における画像情報G1で表示する不良部分NG1は、その他の部分の領域に対して黒色で表示しているが、画像情報における他の部分に対して白色や、網掛け等、注意を喚起できるよう選択的に表示してもよい。
【0033】
いずれにしても不良部分とその他の乳首の部分とは、いわゆる2値化することで、不良部分NG1を、画像情報G1の他の部分に比べて明確に表示することができる。また、不良部分NG1を、他の部分に比べて明確に表示するために、図1のキーボード60Kを用いて、その画像情報G1を2値化するための閾値を作業者が適宜設定することができる。
また、検出部60では、ディスプレイ60Dに表示するだけではなく、コンピュータ60Cに、あらかじめ不良部分の大きさ等を2値化して、不良を判断する閾値を設定しておくことで、各受光部50,51,53で撮影した画像情報をコンピュータ60C内で取り込み、閾値を超えたかをコンピュータ60Cが判断する。そして、良品と判断した場合には、良品ワーク取り外しポジションP5を作動させて乳首14を良品搬出部68に送り、不良と判断した場合には、不良品ワーク取り外しポジションP6を作動させて乳首14を不良品搬出部70に送る。
【0034】
上述したように図1の胴部検査ポジションP2、座部検査ポジションP3および頭部検査ポジションP4のいずれにおいても、図9に示すように照明光照射ステップST1、受光ステップST2および検出ステップST3を行うのである。すなわち照明光照射ステップST1では、成形物挿入部である成形物保持部40に保持された乳首14の開口部に照射部からの照射光を導く。そして受光ステップST2では、成形物保持部40に保持された乳首14を通過した照明光をカメラにより受光する。
そして検出ステップST3では、検出部60において受光部であるカメラで受光した照明光から乳首に存在する不良部分を画像情報として検出するのである。
【0035】
上述した成形物検査装置および成形物検査方法を用いることにより、次のようなメリットがある。
これにより、照明部からの照明光を、成形物挿入部である成形物保持部に保持された成形物の開口部から、中空領域に導いた後に、その導いた照明光を、成形物を通過させて受光部で受光させるようになっている。このことから、成形物内に存在する異物混入や穴等の不良部分を画像情報として確実に常に一定の精度で人手を介さずに検出することができる。このように、全ての検査工程を自動化でき、成形物に対して、均等な光を付与しつつ、透過光を受光して異物等を検知できるため、成形物の形状等の影響を受けることなく、確実に均質な検査を行うことができる。
しかも、一つの光源であっても、各カメラの設置角度や、成形物を回転等によって動かすことで、成形物の形状に応じて、全ての面から検出することができる。
【0036】
ところで本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上述した実施の形態では、成形物の一例として、透光性を有する材料により作られており開口部を有している人工乳首を例に挙げている。しかしこれに限らず比較的複雑な形状を有する成形物であっても、開口部や中空領域を有している他の種類の成形品であっても勿論構わない。
つまり、成形物がびん体等の場合は、上方から成形物挿入部を挿入し、成形物を透過した光を、側面や底面から撮影することによって検知してもよく、また、成形物の側方から成形物挿入部を挿入するよう構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の成形物検査装置の好ましい実施の形態を示す平面図。
【図2】乳首が装着されている哺乳びんを示す図。
【図3】乳首の形状例を示す図。
【図4】図1における胴部検査ポジションの構造例を示す図。
【図5】図1の座部検査ポジションの構造例を示す図。
【図6】図1の頭部検査ポジションの構造例を示す図。
【図7】図4の胴部検査ポジションにおける乳首が不良部分を有している場合の画像情報例を示す図。
【図8】搬入部と良品搬出部等を示す図。
【図9】成形物検査方法例を示す図。
【符号の説明】
【0038】
10・・・成形物検査装置、14・・・乳首(成形物)、20・・・乳首の座部、22・・・乳首の胴部、24・・・乳首の頭部、26・・・開口部、30,32,34・・・照明部、40・・・成形物保持部(成形物挿入部)、50・・・胴部カメラ(受光部)、51・・・座部カメラ(受光部)、53・・・頭部カメラ(受光部)、60・・・検出部、64・・・割り出しテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する材料により作られており開口部と連通した中空領域を有している成形物を検査するための成形物検査装置であり、
照明光を発生する照明部と、
前記成形物の前記開口部から前記中空領域に挿入され、前記照明部の前記照明光を導く成形物挿入部と、
前記成形物挿入部に保持された前記成形物を通過した前記照明光を受光する受光部と、
前記受光部で受光した前記照明光から前記成形物に存在する不良部分を画像情報として検出する検出部と、を備えることを特徴とする成形物検査装置。
【請求項2】
前記成形物挿入部は、前記成形物を移動させるための保持部とされていることを特徴とする請求項1に記載の成形物検査装置。
【請求項3】
前記成形物挿入部は、前記成形物の前記中空領域に対応した形状とされていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の成形物検査装置。
【請求項4】
透光性を有する材料により作られており開口部と連通した中空領域を有している成形物を検査するための成形物検査方法であり、
成形物挿入部が挿入された、前記成形物の前記中空領域に照明部からの照明光を導く照明光照射ステップと、
成形物挿入部が挿入された前記成形物を通過した前記照明光を受光部により受光する受光ステップと、
検出部において前記受光部で受光した前記照明光から前記成形物に存在する不良部分を画像情報として検出する検出ステップと、を含むことを特徴とする成形物検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−145424(P2006−145424A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337502(P2004−337502)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000112288)ピジョン株式会社 (144)
【Fターム(参考)】