説明

成形用硬化性組成物の製造方法、及びそれから得られる架橋ゴム

【課題】硬化性組成物の粘着性を低減し、硬化性組成物の作成作業、成形作業性を改善した硬化性組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する重合体(A)と、(A)成分中のアルケニル基の総量に対し0.3〜0.7当量の総ヒドロシリル基量となる、1分子中に少なくとも2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物(B)と、及びヒドロシリル化触媒(C)とを含有する組成物を反応させる第一の工程と、第一の工程により得られた組成物に、(A)成分中のアルケニル基の総量に対し0.3〜3当量の総ヒドロシリル基量となる、1分子中に少なくとも2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物(B)を添加する第二の工程と、を有することを特徴とする硬化性組成物の製造方法により、取り扱い性状が改善された硬化性組成物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着性を有する重合体をベースとした硬化性組成物から、成形、特にプレス成形、押出成形、トランスファー成形、射出成形のいずれかの成形方法に適用可能な成形用硬化性組成物を得る製造方法、及びその組成物を成形することにより得られる架橋ゴムに関する。更に詳しくは、粘着性を有する重合体をベースとした硬化性組成物の架橋成分の一部を含有させ、反応させることにより部分架橋体を含む組成物を得る第一の工程と、第一の工程で得られる組成物に架橋成分を追加する第二の工程により、成形、特にプレス成形、押出成形、トランスファー成形、射出成形のいずれかの成形方法に適用可能な成形用硬化性組成物を得る製造方法、及びその組成物を成形することにより得られる架橋ゴムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の粘着性重合体をベースとした硬化性組成物は、(A)〜(C)成分、さらに必要に応じて使用する各種添加剤や、充填剤をプラネタリーミキサーや2軸ディスパなどの回転式ミキサーや、ニーダー、バンパリーミキサー、ロールなどの装置を使用し、混合することにより得られる(特許文献1)。しかしながら、粘着性を有した重合体をベースとしているため、混合工程で装置壁面攪拌羽根に付着し、更新されない層ができるため、定期的に付着した層を定期的に掻き落す作業が必須であった。また、混合して得られた硬化性組成物を払い出す際に、粘着性をもっているために作業性が悪く、且つ払い出した後の装置の掃除にも長時間の作業時間を要していた。この硬化性組成物を成形加工する際にも粘着性のために取り扱いが難しく、離型紙などで挟んでハンドリングを行っているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−342262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本発明は、硬化性組成物の粘着性を低減し、硬化性組成物の作製作業、成形作業性を改善した硬化性組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記の課題を解決するため鋭意検討した結果、以下のことを見出し、本発明を完成させた。
・粘着性を有する重合体(A)と、ヒドロシリル基を有する化合物(B)と、ヒドロシリル化触媒(C)との混合物を作成する方法として、これまでは単純に(A)成分、(B)成分、(C)成分を混合していた。しかしながら組成物は粘着性が高く混練装置内に付着するため、払い出し等に長時間を要していた。
・組成物の粘着性を改善する方法として鋭意検討した結果、(A)成分に(B)成分の一部を加え反応させることによって、組成物の粘着性が著しく低下することが分かった。(A)成分が部分架橋したために、組成物の粘着性が低下したものと考えられる。混練装置内に付着する組成物の量は減少し、払い出し等に要する作業時間を短縮することができた。
・このようにして得た組成物を用いて成形を行なっても、得られる硬化物の物性に違いはなかった。
(1).
1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する重合体(A)と、(A)成分中のアルケニル基の総量に対し0.3〜0.7当量の総ヒドロシリル基量となる、1分子中に少なくとも2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物(B)と、及びヒドロシリル化触媒(C)とを含有する組成物を反応させる第一の工程と、第一の工程により得られた組成物に、(A)成分中のアルケニル基の総量に対し0.3〜3当量の総ヒドロシリル基量となる、1分子中に少なくとも2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物(B)を添加する、第二の工程と、を有することを特徴とする硬化性組成物の製造方法、
(2).
第一の工程における反応を、組成物を混合しながら行うことを特徴とする(1)記載の硬化性組成物の製造方法、
(3).
第二の工程における(B)成分の添加が、A成分とB成分が反応しない条件、あるいは反応が進行したとしても第二の工程において硬化物が得られない条件で、(B)成分を添加することを特徴とする(1)または(2)のいずれか1項記載の硬化性組成物の製造方法、
(4).
第一の工程における反応を、硬化性組成物を加熱することによって行なうことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の硬化性組成物の製造方法、
(5).
第二の工程の(B)成分添加時の硬化性組成物の温度が、第一の工程の反応温度よりも低いことを特徴とする(4)に記載の硬化性組成物の製造方法、
(6).
第一の工程における反応温度が、80℃以上であることを特徴とする(4)または(5)のいずれか1項に記載の硬化性組成物の製造方法、
(7).
第二の工程における添加時の硬化性組成物の温度が、60℃以下であることを特徴とする(4)〜(6)のいずれか1項に記載の硬化性組成物の製造方法、
(8).
1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する重合体(A)のGPCによって測定した数平均分子量が3,000〜50,000である(1)〜(7)のいずれか1項に記載の硬化性組成物の製造方法、
(9).
1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する重合体(A)が、(a−1)ポリイソブチレン系重合体、(a−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(a−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、から選ばれる少なくとも1種である(1)〜(8)のいずれか1項に記載の硬化性組成物の製造方法、
(10).
前記(B)成分が、オルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載の硬化性組成物の製造方法、
(11).
(1)〜(10)のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる硬化性組成物が、成形用硬化性組成物であることを特徴とする成形用硬化性組成物の製造方法、
(12).
(1)〜(11)のいずれか1項に記載の製造方法から得られる硬化性組成物を成形することにより得られる架橋ゴム、
(13).
(1)〜(11)のいずれか1項に記載の製造方法から得られる硬化性組成物を、プレス成形、押出成形、トランスファー成形、射出成形のいずれかの成形方法により得られる架橋ゴム、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の硬化性組成物は、粘着性が低減されるので、作業性が改善され効率よく製造できる。また、粘着性が低減されることによって、混合装置内に付着する硬化性組成物量が減り収率が向上する。また、取り扱いも容易となり、プレス成形、射出成形、トランスファ成形などの加工性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(A)成分は、1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する、重合体である。重合体の主鎖骨格は特に限定されないが、飽和炭化水素系重合体(a−1)、ポリオキシアルキレン系重合体(a−2)、もしくはポリ(メタ)アクリル系重合体(a−3)からなる重合体であることが好ましい。それらの成分は1種だけを用いても、2種以上を併用して用いても構わない。
【0008】
本発明における(a−1)成分は、上記ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基が、飽和炭化水素系重合体の主鎖末端あるいは側鎖にあってもよいし、また両方にあってもよい。とくに、アルケニル基が主鎖末端にあるときは、最終的に形成される硬化物に含まれる飽和炭化水素系重合体成分の有効網目鎖長が多くなるため、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られやすくなるなどの点から好ましい。
【0009】
(a−1)の数平均分子量は1,000〜50,000のであることが好ましく、より好ましくは3,000〜50,000である。数平均分子量が1,000未満のものでは、得られる架橋ゴムの弾性率が高くなり、逆に数平均分子量が50,000を超えると高粘度となり組成物の取り扱いが著しく低下する傾向にある。
【0010】
(a−1)成分の飽和炭化水素系重合体の骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数2〜6のオレフィン系化合物を主成分として重合させる、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させたり、上記オレフィン系化合物とジエン系化合物とを共重合させたりした後水素添加する、などの方法により得ることができるが、末端に官能基を導入しやすい、分子量を制御しやすい、末端官能基の数を多くすることができるなどの点から、イソブチレン系重合体、水添ポリブタジエン系重合体あるいは水添ポリイソプレン系重合体であるのが好ましい。
【0011】
前記イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよく、イソブチレンと共重合性を有する単量体単位をイソブチレン系重合体中の好ましくは50重量%以下、更に好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下の範囲で含有してもよい。
【0012】
このような単量体成分としては、例えば炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエ−テル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類等が挙げられる。このような共重合体成分の具体例としては、例えば1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、メチルビニルエ−テル、エチルビニルエ−テル、イソブチルビニルエ−テル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−ヘキセニルオキシスチレン、p−アリロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、β−ピネン、インデン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、
等が挙げられる。特に好ましくは、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されたものである。
【0013】
前記水添ポリブタジエン系重合体や他の飽和炭化水素系重合体においても、上記イソブチレン系重合体の場合と同様に、主成分となる単量体単位の他に、他の単量体単位を含有させてもよい。
【0014】
また、本発明中(a−1)成分として用いる飽和炭化水素系重合体には、本発明の目的が達成される範囲でブタジエン、イソプレン、1,13−テトラデカジエン、1,9−デカジエン、1,7−オクタジエン、1,5−ヘキサジエンのようなポリエン化合物のごとき重合後2重結合の残るような単量体単位を少量、好ましくは10重量%以下の範囲で含有させてもよい。
【0015】
本発明の(a−1)成分の製造方法としては、特開平3−152164号、特開平7−304969号公報に開示されているような水酸基などの官能基を有する重合体に不飽和基を有する化合物を反応させ重合体に不飽和基を導入する方法が上げられる。またハロゲン原子を有する重合体に不飽和基を導入するのにアルケニルフェニルエーテルとフリーデルクラフツ反応を行う方法、ルイス酸存在下アリルトリメチルシランなどと置換反応を行う方法、種々のフェノール類とフリーデルクラフツ反応を行い水酸基を導入した上でさらに前記のアルケニル基導入方法を併用する方法などが上げられる。さらに米国特許第4316973号、特開昭63−105005号公報、特開平4−288309号公報に開示されているような単量体の重合時に不飽和基を導入する方法も可能である。
【0016】
アルケニル基は、重合体(a−1)1分子中に平均1個を超える量、好ましくは平均5個以下存在するのがよい。さらに好ましくは1.2個以上3個以下である。
重合体(a−1)1分子中に含まれるアルケニル基の数が平均1個以下になると、硬化性が不充分になるほか、得られる網目構造が不完全なものとなり、良好な成形体が得られない。また、1分子中に含まれるアルケニル基が多くなると網目構造があまりに密となるため、得られる成形体は硬く脆くなり好ましくない。特に、5個以上になるとその傾向は顕著となる。
【0017】
本発明の(a−2)成分である、1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する数平均分子量が3,000 〜50,000ポリオキシアルキレン系重合体としては、特に制限はなく、公知のものがあげられる。具体的には、重合体の主鎖骨格が、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するものがあげられる。
一般式(1):
−R−O− (1)
(式中、Rは2価のアルキレン基)
一般式(1)中に記載のRとしては、2価のアルキレン基ならば特に限定されず、このなかでも炭素数1〜14のアルキレン基が好ましく、2〜4の、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基がより好ましい。一般式(1)記載の繰り返し単位としては、特に限定されず、たとえば、−CHO −、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CHCH (C)O−、−CHC(CHO−、−CHCHCHCHO−等が挙げられる。
【0018】
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなるものでも、複数の繰り返し単位を組み合わせたものでもよい。このなかでも、入手が容易なこと、作業性に優れることなどから、主な繰り返し単位として−CHCH(CH)O−からなる重合体が好ましい。また、重合体の主鎖骨格中にはオキシアルキレン単位以外の繰り返し単位が含まれていてもよい。この場合、重合体中に含まれるオキシアルキレン単位の総和の割合は、80重量%以上、特には90重量%以上が好ましい。
【0019】
(a−2)成分の重合体の主鎖骨格は、直鎖状の重合体でも分岐を有する重合体でもよく、また、その混合物でもよい。この中でも良好な弾性を得るため、直鎖状の重合体を50重量%以上含有することが好ましい。
【0020】
(a−2)成分の重合体の数平均分子量は3,000 〜50,000であることが好ましく、より好ましくは、5,000〜30,000である。数平均分子量が3,000未満のものでは、得られる架橋ゴムの弾性率が高くなり、逆に数平均分子量が50,000を超えると高粘度となり組成物の取り扱いが著しく低下する傾向にある。数平均分子量は、各種の方法で測定可能であるが、通常、ポリオキシアルキレン系重合体の末端基分析からの換算や、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法で測定される。
【0021】
(a−2)成分中のアルケニル基としては、特に限定されず、公知のものがあげられる。このなかでも、下記の一般式(2)で示されるアルケニル基が好ましい。一般式(2):
C =C(R )− (2)
(式中、Rは水素又はメチル基である。)
アルケニル基のポリオキシアルキレン系重合体への結合様式としては特に限定されず、たとえば、アルケニル基の直接結合、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、ウレア結合等が挙げられる。
【0022】
(a−2)成分の重合体としては、一般式(3):
{HC =C(R)−R−O}−R (3)
(式中、Rは水素又はメチル基である。Rは炭素数1 〜20の2価の炭化水素基であり、その中には、1個以上のエーテル基が含まれていてもよい。Rはポリオキシアルキレン系重合体の開始剤残基である。aは正の整数である。)で示される重合体が挙げられる。一般式(3)中に記載のRは、特に限定されず、たとえば、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHCHCH−,−CHCHOCHCH −、または−CHCHOCHCHCH−などがあげられる。このなかでも、合成が容易なことなどから、−CH −が好ましい。
【0023】
前記以外の、(a−2)成分の重合体としては一般式(4):
{HC=C(R)−R−OC(=O)}−R (4)
(式中、R ,R ,R及びa は一般式(3)の表記と同じ)で示されるエステル結合を有する重合体が挙げられる。
【0024】
また、一般式(5):
{HC =C(R)}−R (5)
(式中、R、R 及びa は、一般式(3)、(4)の表記と同じ)で示される重合体も挙げられる。さらに、次の一般式(6):
{HC =C(R)−R−OC(=O)O }−R (6)
(式中、R、R、R及びaは一般式(3)、(4)、(5)の表記と同じ)で示されるカーボネート結合を有する重合体も挙げられる。
【0025】
ポリオキシアルキレン系重合体(a−2)の重合方法としては、特に限定されず、たとえば、特開昭50−13496号等に開示されているオキシアルキレンの通常の重合法(苛性アルカリを用いるアニオン重合法)、特開昭50−149797号等に開示されている前記アニオン重合法によって得られた重合体を原料とした鎖延長反応方法による重合法、特開平7−179597号等に開示されているセシウム金属触媒を用いる重合法、特開昭61−197631号、特開昭61−215622号、特開昭61−215623号、特開昭61−218632号に開示されているポルフィリン/アルミ錯体触媒を用いる重合法、特公昭46−27250号及び特公昭59−15336号等に開示されている複合金属シアン化物錯体触媒を用いる重合法、特開平10−273512号等に開示されているポリフォスファゼン塩からなる触媒を用いる重合法等があげられる。
【0026】
このなかでも、実用性が高いこと、触媒の入手が容易であること、重合体が安定して得られることなどから、複合金属シアン化物錯体触媒を用いる重合方法が好ましい。複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法としては、特に限定されず公知の方法があげられ、たとえば、米国特許第3,278,457号、同3,278,459号、同5,891,818号、同5,767,323号、同5,767,323号、同5,536,883号、同5,482,908号、同5,158,922号、同4,472,560号、同6,063,897号、同5,891,818号、同5,627,122号、同5,482,908号、同5,470,813号、同5,158,922号等に開示されている製造方法が好ましい。
【0027】
ポリオキシアルキレン系重合体にアルケニル基を導入する方法としては、特に限定されず公知の方法があげられ、たとえば、アリルグリシジルエーテルのようなアルケニル基を有する化合物とオキシアルキレン化合物との共重合による方法があげられる。また、アルケニル基を主鎖あるいは側鎖に導入する方法としては、特に限定されず、たとえば、主鎖あるいは側鎖に水酸基、アルコキシド基等の官能基を有するオキシアルキレン重合体に、これらの官能基に対して反応性を有する官能基及びアルケニル基を有する有機化合物を反応させる方法があげられる。なお、アルケニル基が重合体の主鎖末端に存在する重合体を含む硬化性組成物は、得られる硬化物が、大きな有効網目鎖長を有し、機械的特性に優れることから好ましい。
【0028】
水酸基、アルコキシド基等の官能基に対して反応性を有する官能基及びアルケニル基を有する有機化合物としては、特に限定されず、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、アクリル酸クロライド若しくはアクリル酸ブロマイド等の炭素数3〜20の不飽和脂肪酸の酸ハライド、酸無水物、アリルクロロホルメート、アリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1 −ブテニル(クロロメチル)エーテル,1 −ヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0029】
(a−2)成分である重合体の1分子中に存在するアルケニル基の数としては、1個を超え5個以下が好ましい。重合体(A)1分子中に存在するアルケニル基の数が1個以下になると、硬化性組成物の硬化が不充分になる傾向があり、得られる硬化物は、網目構造が不完全なものとなり、良好な成形体が得られない傾向がある。また、重合体(a−2)1分子中に存在するアルケニル基が多くなると、得られる硬化物の網目構造があまりに密となるため、成形体は硬く脆くなる傾向がある。特に、5個以上になるとその傾向は顕著となる。
【0030】
本発明の(a−3)成分である、1分子中に少なくとも平均1個を超えるアルケニル基を有する、主鎖が(メタ)アクリル系モノマーを主として重合して製造される数平均分子量が1,000〜50,000のポリ(メタ)アクリル系重合体としては、その主鎖が、(メタ)アクリル系モノマーを主として重合して製造されるものである。ここで「主として」とは、主鎖を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上が上記モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。
【0031】
なかでも、生成物の物性等から、(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましく、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーがより好ましく、アクリル酸エステルモノマーがさらに好ましい。特に好ましいアクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−メトキシブチルである。
【0032】
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40重量%以上含まれていることが好ましい。
【0033】
本発明におけるポリ(メタ)アクリル系重合体(a−3)の分子量分布、即ち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、よりさらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。分子量分布が大きすぎると同一架橋点間分子量における粘度が増大し、取り扱いが困難になる傾向にある。本発明でのGPC測定は、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
【0034】
本発明におけるポリ(メタ)アクリル系重合体(a−3)の数平均分子量は1,000〜50,000のであることが好ましく、より好ましくは3,000〜50,000である。数平均分子量が1,000未満のものでは、得られる架橋ゴムの弾性率が高くなり、逆に数平均分子量が50,000を超えると高粘度となり組成物の取り扱いが著しく低下する傾向にある。
【0035】
本発明におけるポリ(メタ)アクリル系重合体(a−3)は、種々の重合法により得ることができ、特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性等の点からラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも制御ラジカル重合がより好ましい。この制御ラジカル重合法は「連鎖移動剤法」と「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。得られるポリ(メタ)アクリル系重合体(a−3)の分子量、分子量分布の制御が容易であるリビングラジカル重合がさらに好ましく、原料の入手性、重合体末端への官能基導入の容易さから原子移動ラジカル重合が特に好ましい。上記ラジカル重合、制御ラジカル重合、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法、原子移動ラジカル重合は公知の重合法ではあるが、これら各重合法については、たとえば、特開2005−232419公報や、特開2006−291073公報などの記載を参照できる。
【0036】
本発明におけるポリ(メタ)アクリル系重合体(a−3)の好ましい合成法の一つである、原子移動ラジカル重合について以下に簡単に説明する。
【0037】
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられることが好ましい。具体的には特開2005−232419公報 段落[0040]〜 [0064]記載の化合物が挙げられる。
【0038】
1分子内に1個を超えるアルケニル基を有するビニル系重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、下記の化合物等が挙げられる。
【0039】
【化1】

【0040】
【化2】

【0041】
原子移動ラジカル重合において用いられる(メタ)アクリル酸系モノマーとしては特に制約はなく、上述した例示した(メタ)アクリル酸系モノマーをすべて好適に用いることができる。
【0042】
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体であり、より好ましくは0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルを中心金属とする遷移金属錯体、特に好ましくは銅の錯体が挙げられる。銅の錯体を形成するために使用される1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル若しくはその誘導体、1,10−フェナントロリン若しくはその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。
【0043】
重合反応は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種類としては特に限定されず、特開2005−232419公報 段落[0067]記載の溶剤が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体COを媒体とする系においても重合を行うことができる。
【0044】
重合温度は、限定はされないが、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。
【0045】
(a−3)成分中のアルケニル基としては、特に限定はされないが、一般式(7)で表されるものであることが好ましい。
C=C(R)− (7)
(式中、Rは水素又は炭素数1〜20の有機基を示す。)
【0046】
上記Rの炭素数1〜20の有機基としては、特に限定されないが、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく挙げられ、具体的には以下のような基が例示される。
−(CH−CH、−CH(CH)−(CH−CH、−CH(CHCH)−(CH−CH、−CH(CHCH、−C(CH−(CH−CH、−C(CH)(CHCH)−(CH−CH、−C、−C(CH)、−C(CH、−(CH−C、−(CH−C(CH)、−(CH−C(CH(nは0以上の整数で、各基の合計炭素数は20以下)
本発明の架橋反応となるヒドロシリル化反応の活性の点から、Rとしては水素又はメチル基がより好ましい。
【0047】
ポリ(メタ)アクリル系重合体(a−3)のアルケニル基は、特に限定はされないが、その炭素−炭素二重結合と共役するカルボニル基、アルケニル基、芳香族環により活性化されていないことが好ましい。
【0048】
アルケニル基とポリ(メタ)アクリル系重合体の主鎖との結合形式は、特に限定されないが、炭素−炭素結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、アミド結合、ウレタン結合等を介して結合されていることが好ましい。
【0049】
ポリ(メタ)アクリル系重合体(a−3)は、1分子中に1個を超えるアルケニル基を有するものであり、硬化物の機械物性の点から、ポリ(メタ)アクリル系重合体1分子当たり平均して1.2個〜3.0個有するものが好ましい。特に限定するわけではないが、具体的には、ポリ(メタ)アクリル系重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数をH−NMR分析により求めた平均値が1.2個〜3.0個であることが好ましく、1.5個〜2.5個であることがより好ましい。
【0050】
本発明の硬化性組成物から得られる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、アルケニル基の少なくとも1個は分子鎖(主鎖)の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全てのアルケニル基を分子鎖末端に有するものである。
【0051】
上記1個を超えるアルケニル基を分子末端に有するポリ(メタ)アクリル系重合は、特公平3−14068号公報、特公平4−55444号公報、特開平6−211922号公報等に開示されている方法により製造できる。しかしながら、これらの方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重合法であるので、得られる重合体は、アルケニル基を比較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、分子量分布(Mw/Mn)の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低いポリ(メタ)アクリル系重合であって、高い割合で分子鎖末端にアルケニル基を有するポリ(メタ)アクリル系重合を得るためには、上記「リビングラジカル重合法」を用いることが好ましい。
【0052】
得られたポリ(メタ)アクリル系重合へのアルケニル基の導入方法としては、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2005−232419公報 段落[0074]〜[0099]記載の方法が挙げられる。これらの方法の中でも制御がより容易である点から、ジエン化合物添加法が好ましい。水酸基を分子中に少なくとも1個含有するポリ(メタ)アクリル系重合から得る場合は、制御がより容易である点から重合の終期にアルケニルアルコールを反応させる方法、重合体の反応末端に安定化カルバニオンを反応させる方法により得られる、水酸基を分子中に少なくとも1個含有するポリ(メタ)アクリル系重合体を用いることが好ましい。
【0053】
ここでは、好ましい導入方法の一つである、ジエン化合物添加法について以下に簡単に説明する。ジエン化合物添加法は、(メタ)アクリル系モノマーのリビングラジカル重合により得られるポリ(メタ)アクリル系重合に、重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物(以下、「ジエン化合物」という。)を反応させる。
【0054】
ジエン化合物が有するアルケニル基としては、末端アルケニル基[CH=C(R)−R’;Rは水素又は炭素数1〜20の有機基、R’は炭素数1〜20の一価または二価の有機基であり、RとR’は互いに結合して環状構造を有していてもよい。]又は内部アルケニル基[R’−C(R)=C(R)−R’;Rは水素又は炭素数1〜20の有機基、R’は炭素数1〜20の一価または二価の有機基であり、二つのR若しくは二つのR’は互いに同一であってもよく異なっていてもよい。二つのRと二つのR’のうちいずれか二つが互いに結合して環状構造を有していてもよい。]のいずれでもよいが、末端アルケニル基がより好ましい。Rは水素又は炭素数1〜20の有機基であるが、炭素数1〜20の有機基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましい。これらの中でもRとしては水素又はメチル基が特に好ましい。R’の炭素数1〜20の一価または二価の有機基としては、炭素数1〜20の一価または二価のアルキル基、炭素数6〜20の一価または二価のアリール基、炭素数7〜20の一価または二価のアラルキル基が好ましい。これらの中でもR’としてはメチレン基、エチレン基、イソプロピレン基が特に好ましい。ジエン化合物の少なくとも2つのアルケニル基は互いに同一又は異なっていてもよく、ジエン化合物のアルケニル基のうち、少なくとも2つのアルケニル基は共役していてもよい。
【0055】
ジエン化合物の具体例としては例えば、イソプレン、ピペリレン、ブタジエン、ミルセン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン等が挙げられるが、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが好ましい。
【0056】
(メタ)アクリル系モノマーのリビングラジカル重合を行い、得られた重合体を重合系より単離した後、単離した重合体とジエン化合物をラジカル反応させることにより、目的とする末端にアルケニル基を有するポリ(メタ)アクリル系重合を得ることも可能であるが、重合反応の終期あるいは所定の(メタ)アクリル系モノマーの反応終了後にジエン化合物を重合反応系中に添加する方法が簡便であるのでより好ましい。
【0057】
ジエン化合物の添加量は、2つのアルケニル基の反応性に大きな差があるジエン化合物を使用する場合、重合体成長末端に対して当量又は小過剰量程度であればよく、2つのアルケニル基の反応性が等しい又はあまり差がないジエン化合物を使用する場合、重合体生長末端に対して過剰量であることが好ましく、具体的には1.5倍以上が好ましく、さらに好ましくは3倍以上、特に好ましくは5倍以上である。
【0058】
本発明の硬化性組成物に使用されるポリ(メタ)アクリル系重合体(a−3)としては、上述した製法の中でも、下記方法により得られるものが特に好適である。
【0059】
第1の方法としては、
(1a)(メタ)アクリル系モノマーを原子移動ラジカル重合法により重合することにより、下記一般式(8)
−C(R)(R)(X) (8)
(式中、R及びRは(メタ)アクリル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基を示す。Xは塩素、臭素又はヨウ素を示す。)
で示す末端構造を有するポリ(メタ)アクリル系重合体を製造し、
(2a)前記重合体の末端ハロゲンを、アルケニル基を有する置換基に変換する、
方法が挙げられる。
【0060】
第2の方法としては、
(1b)(メタ)アクリル系モノマーをリビングラジカル重合法により重合することにより、ポリ(メタ)アクリル系重合体を製造し、
(2b)前記重合体を、重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物と反応させる、
方法が挙げられる。
【0061】
本発明における(B)成分である1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物としては、ヒドロシリル基を有するものであれば特に限定されず、このなかでも原材料の入手が容易なこと、(A)成分への相溶性が良好なことなどから、有機基で変性されたオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
【0062】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、公知の鎖状または環状オルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができ、(A)成分との相溶性の観点からは、芳香族環含有鎖状または環状オルガノハイドロジェンシロキサンが好適である。具体的には、特開2006−291073号公報 段落[0088]〜[0093]記載のヒドロシリル基含有化合物が挙げられる。
【0063】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては特に限定されず、たとえば、下記の構造式等で示される鎖状又は環状の化合物があげられる。
【0064】
【化3】

【0065】
(式中、2<b+c≦40、2<b≦20、0<c≦38である。Rは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基である。なお、Rは炭化水素基中に1個以上のフェニル基を有していてもよい。)、
【0066】
【化4】

【0067】
(式中、0≦d+e≦40、0≦d≦20、0<e≦38である。Rは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基である。なお、Rは炭化水素基中に1個以上のフェニル基を有してもよい。)、又は、
【0068】
【化5】

【0069】
(式中、3≦f+g≦20、2<f≦20、0<g≦18である。Rは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基である。なお、Rは炭化水素基中に1個以上のフェニル基を含有してもよい。)。
【0070】
(A)成分及び(C)成分との相溶性、又は、分散安定性および硬化速度が比較的良好な(B)成分としては、とくに限定されず、たとえば、下記の構造式で示される化合物があげられる。
【0071】
【化6】

【0072】
(式中、2<k+l≦20、2<k≦19、0<l≦18であり、Rは炭素数8以上の炭化水素基である。)
【0073】
好ましい(B)成分の化合物の具体的例としては、(A)成分との相溶性確保と、ヒドロシリル基量の調整を目的に、メチルハイドロジェンポリシロキサンを、α−オレフィン、スチレン、α−メチルスチレン、アリルアルキルエーテル、アリルアルキルエステル、アリルフェニルエーテル、アリルフェニルエステル等により変性した化合物があげられ、一例として、以下の構造式で示される化合物があげられる。
【0074】
【化7】

【0075】
(式中、2<p+q≦20、2<p≦19、0<q≦18である。)
【0076】
また、分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物でヒドロシリル基の一部が置換された鎖状または環状オルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することもできる。具体的には、過剰量の上記ヒドロシリル基含有化合物に対し、後述するヒドロシリル化触媒の存在下、分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物をゆっくり滴下することにより得られる変性ヒドロシリル基含有化合物をヒドロシリル基含有化合物(B)として使用できる。分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物としては、脂肪族炭化水素系化合物、エーテル系化合物、エステル系化合物、カーボネート系化合物、イソシアヌレート系化合物や芳香族炭化水素系化合物等が挙げられ、具体的には特開2006−291073号公報 段落[0094]記載の化合物を使用できる。このような変性ヒドロシリル基含有化合物のうち、原料の入手容易性、過剰に用いたヒドロシリル基含有化合物の除去のしやすさ、さらには(A)への相溶性を考慮して、下記のものが好ましく挙げられる。
【0077】
【化8】

【0078】
本発明の硬化性組成物における(B)成分の総配合量としては特に限定されないが、硬化性の面から、(A)成分中のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基と(B)成分中のSiH(ヒドロシリル)基のモル比((B)/(A))が3.7〜0.6の範囲にあることが好ましく、2.5〜3.5であることが特に好ましい。モル比が5より大きいと、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が多く残るので、クラック、ボイドが発生し、均一で強度のある硬化物が得られにくくなる傾向があり、0.6より小さいと、硬化が不十分で強度の小さい硬化物が得られ易くなる傾向がある。
【0079】
本発明の(C)成分であるヒドロシリル化触媒としては、特に限定されず、公知のものがあげられ、たとえば塩化白金酸、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi) 、Pt〔(MeViSiO)};白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh、Pt(PBu };白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)、Pt〔P(OBu) (式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、x、y、zは整数を表す)、Pt(acac)(ただし、acacは、アセチルアセトナトを表す)、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号に開示されている白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号に開示されている白金アルコラート触媒等も挙げられる。
【0080】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh 、RhCl、Rh/Al 、RuCl 、IrCl 、FeCl 、AlCl、PdCl・2HO、NiCl 、TiCl 等が挙げられる。
【0081】
これらの触媒は単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。前記の触媒のなかでも、触媒活性が高いことなどから塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)等が好ましい。
【0082】
触媒(C)の使用量としては、特に制限はないが、(A)成分中のアルケニル基1molに対して10−8〜10−1molが好ましく、10−6〜10−2molがより好ましい。10−8mol未満の量を使用した硬化性組成物は、硬化速度が遅く、また硬化が不安定となる傾向がある。逆に10−1molを越える量を使用した硬化性組成物は、ポットライフの確保が困難となる傾向がある。
【0083】
また、本発明の(A)〜(C)成分を含む硬化性組成物には、必要に応じて保存安定性改良剤を添加することができる。保存安定性改良剤とは、硬化性組成物の貯蔵中の硬化、劣化等物性の低下を防止する働きを担う。保存安定性改良剤としては、本発明の(B)成分の保存安定剤として知られている公知の安定剤であって所期の目的を達成するものであれば特に限定されず、たとえば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等があげられる。具体的には、2−ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、2−(4−モルフォジニルジチオ)ベンゾチアゾール、3−メチル−1−ブテン−3−オール、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコール、3−メチル−1−ブチル−3−オール、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン等が挙げられる。
【0084】
また、本発明の(A)〜(C)成分を含む硬化性組成物には、必要に応じて、各種充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤、溶剤、シリコン化合物を適宜添加してもよい。
【0085】
本発明の硬化性組成物を混合する方法としては、特に限定されず、たとえば、(A)〜(C)成分さらに必要に応じて使用する各種添加剤や充填剤をプラネタリーミキサーや2軸ディスパなどの回転式ミキサーや、ニーダー、バンパリーミキサー、ロールなどの装置を使用し、混合する方法が挙げられる。硬化性組成物の粘度が高く高剪断力が必要な場合は、作業性も加味してニーダーが好適である。
【0086】
(A)成分、及び(A)成分中のアルケニル基の総量に対し0.3〜0.7当量の総ヒドロシリル基量となる、1分子中に少なくとも2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物(B)、及びヒドロシリル化触媒(C)を含有する組成物をニーダーなどの混合装置で混合しながら加熱反応させることにより部分架橋体を含む組成物が得られる。加熱温度は、60〜140℃、より好ましくは80〜130℃である。混合しながら加熱反応させることにより(A)成分中に部分架橋体が比較的均一に分散した状態の組成物が得られる。部分架橋体が分散した組成物は、粘度が上昇し、粘着性が低減されるために、装置の壁面や、混練ブレードに組成物が付着しない性状に改善される(第一の工程)。
【0087】
第一の工程で使用するヒドロシリル基を有する化合物(B)の当量は0.3〜0.7当量であるが、より好ましくは0.3〜0.6当量である。0.3当量未満の場合には、粘着性の低減が十分でなく性状改善が十分でないため好ましくない。また当量が0.7当量を超える場合には補強材などの分散性が悪化し、好ましくない。
【0088】
加熱時間としては15〜120分が好ましく、より好ましくは20〜120分である。15分未満の場合には、粘着性の低減が十分でなく性状改善が十分でないため好ましくない。また120分を超える場合には、製造コストが増大し、組成物の機械強度も低下することが懸念されるので好ましくない。
【0089】
第一の工程により得られた組成物に(A)成分中のアルケニル基の総量に対し0.3〜3当量の総ヒドロシリル基量となる、1分子中に少なくとも2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物(B)を添加し、混合する第二の工程により、成形用の硬化性組成物が得られる。第二の工程における(B)成分の混合では、(A)成分と(B)成分との反応を進行させない、あるいは最終得られる組成物の成形性に支障がない程度に反応の進行を制御する必要がある。その手段として、第一の工程で得られた組成物の温度を80℃以下に、より好ましくは60℃以下に制御する方法が良い。このため、混練設備には、ジャケットを設けて冷却水通水によりで強制的に冷却可能な機能があるのが好ましい。
【0090】
第一の工程、第二の工程から得られた硬化性組成物は、第一の工程で部分架橋体を含んでいるので粘着性が低減し、取り扱い性状が改善されているので、払出し作業が容易であり、第二の工程により、成形して架橋ゴムとなる組成物となる。
【0091】
また、本発明の硬化性組成物からポリイソブチレン系、ポリオキシアルキレン系、あるいはポリ(メタ)アクリル系架橋ゴムを得る方法としては、特に限定されず、一般的に使用されている加熱硬化型の液状ゴムと同様の方法をとることができる。例えばプレス成形、射出成形、トランスファー成形、押出成形などにより、ゴム成形体を得る方法を適用できる。
【実施例】
【0092】
次に実施例により本発明の硬化性組成物、及びその架橋ゴムを具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0093】
(製造例1)
特開平8−127683号公報、製造例1に記載された方法に準じ、(A)成分である分子量約16,000、アリル基数2.0のアリル基末端ポリイソブチレン(a−1)を得た。
【0094】
(製造例2)
(−Si−O−)で示される繰り返し単位を平均して7.5個もつメチルハイドロジェンシリコーンに白金触媒存在下全ヒドロシリル基量の0.25当量の平均炭素数13のαオレフィンを添加し、1分子中に平均5.8個のヒドロシリル基を有する化合物(B−1)を得た。この化合物のSi−H基含有量は6mmol/gであった。
【0095】
(実施例1)
製造例1で得たポリイソブチレン系重合体(a−1)100部(450g)に充填剤の焼成クレー(白石カルシウム株式会社製アイスキャップK)100部、酸化防止剤として酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカル社製 イルガノックス1010)を3部、加圧ニーダー(株式会社モリヤマ製 DS−1型)に投入し混練した。次に製造例2で得たヒドロシリル基含有化合物(B−1)を(A)成分中のアルケニル基の総量に対し0.5当量、触媒として白金ビニルシロキサン(3%白金キシレン溶液)を、0.038部、遅延剤としてアセチレンアルコール(日信化学工業社製 サーフィノール61)を0.037部添加し、120℃に加温して30分間混合しながら反応させた。
【0096】
次に充填剤の焼成クレー100部を添加、混練し、50℃に冷却後、製造例2で得たヒドロシリル基含有化合物(B−1)を(a−1)成分中のアルケニル基の総量に対し2.2当量、触媒として白金ビニルシロキサン(3%白金キシレン溶液)を、0.04部、遅延剤としてアセチレンアルコール(日信化学工業社製 サーフィノール61)を0.12部添加し、混合、脱泡させ、部分架橋体を含有する硬化性組成物1286g(収率95%)を得た。部分架橋反応後の組成物の粘着性が低減し、混練装置の壁面や、ブレードに硬化性組成物の付着はほとんどみられなく、作成した硬化性組成物の取り出し作業、取り出し後の混練槽内の掃除も容易であった。約15分で硬化性組成物の取り出し作業、取り出し後の混練槽内の掃除を行なうことができた。
【0097】
第二の工程で製造した硬化性組成物の粘着性を次のように評価した。硬化性組成物を100gとり、SUS304板(50mmx50mmx5mm)に均一に塗り広げた。もう一枚のSUS304板(50mmx50mmx5mm)を硬化性組成物の上にのせ、2枚のSUS304板で硬化性組成物を挟み、その上に1キログラムの重りを10分間乗せた。10分後に重りをはずし、上のSUS304板を剥がした。上のSUS304板には、硬化性組成物がほとんど付着していなかった。付着していた硬化性組成物は1gであった。
【0098】
さらに第二の工程で製造した硬化性組成物を厚さ2mmのスペーサと2枚の鏡面仕上げしたプレス板を使用し、180℃、3分間の加熱プレス成形により2mm厚の硬化物シートを得た。得られたシートをさらに180℃熱風乾燥機にて4時間加熱処理した。このプレス成形作業においても、粘着性の低減のため、作業が容易であった。得られた硬化物シートから、JIS 2(2/3)号型ダンベル試験片を打ち抜き、JIS K 6251記載の引張試験に基づき、30%モジュラス、伸び、引張強度を測定した。その結果、30%モジュラスは、3.2MPa、伸びは80%、引張強度は、7.2MPaであり、機械特性の低下はみられなかった。
【0099】
(実施例2)
製造例1で得たポリイソブチレン系重合体(a−1)100部(450g)に充填剤の焼成クレー(白石カルシウム株式会社製アイスキャップK)100部、酸化防止剤として酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカル社製 イルガノックス1010)を3部、加圧ニーダー(株式会社モリヤマ製 DS−1型)に投入し混練した。次に製造例2で得たヒドロシリル基含有化合物(B−1)を(A)成分中のアルケニル基の総量に対し0.35当量、触媒として白金ビニルシロキサン(3%白金キシレン溶液)を、0.038部、遅延剤としてアセチレンアルコール(日信化学工業社製 サーフィノール61)を0.037部添加し、120℃に加温して30分間混合しながら反応させた。
【0100】
次に充填剤の焼成クレー100部を添加、混練し、50℃に冷却後、製造例2で得たヒドロシリル基含有化合物(B−1)を(a−1)成分中のアルケニル基の総量に対し2.35当量、触媒として白金ビニルシロキサン(3%白金キシレン溶液)を、0.04部、遅延剤としてアセチレンアルコール(日信化学工業社製 サーフィノール61)を0.12部添加し、混合、脱泡させ、部分架橋体を含有する硬化性組成物1245g(収率92%)を得た。部分架橋反応後の組成物の粘着性が低減し、混練装置の壁面や、ブレードに硬化性組成物の付着はほとんどみられなく、作成した硬化性組成物の取り出し作業、取り出し後の混練槽内の掃除も容易であった。約15分で硬化性組成物の取り出し作業、取り出し後の混練槽内の掃除を行なうことができた。
【0101】
第二の工程で製造した硬化性組成物の粘着性を次のように評価した。硬化性組成物を100gとり、SUS304板(50mmx50mmx5mm)に均一に塗り広げた。もう一枚のSUS304板(50mmx50mmx5mm)を硬化性組成物の上にのせ、2枚のSUS304板で硬化性組成物を挟み、その上に1キログラムの重りを10分間乗せた。10分後に重りをはずし、上のSUS304板を剥がした。上のSUS304板には、硬化性組成物がほとんど付着していなかった。付着していた硬化性組成物は1.2gであった。
【0102】
さらに第二の工程で製造した硬化性組成物を厚さ2mmのスペーサと2枚の鏡面仕上げしたプレス板を使用し、180℃、3分間の加熱プレス成形により2mm厚の硬化物シートを得た。得られたシートをさらに180℃熱風乾燥機にて4時間加熱処理した。このプレス成形作業においても、粘着性の低減のため、作業が容易であった。得られた硬化物シートから、JIS 2(2/3)号型ダンベル試験片を打ち抜き、JIS K 6251記載の引張試験に基づき、30%モジュラス、伸び、引張強度を測定した。その結果、30%モジュラスは、3.2MPa、伸びは80%、引張強度は、7.2MPaであり、機械特性の低下はみられなかった。
【0103】
(比較例1)
製造例1で得たポリイソブチレン系重合体(a−1)100部450gに充填剤の焼成クレー200部、酸化防止剤として酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカル社製 イルガノックス1010)を3部を加圧ニーダー(株式会社モリヤマ製 DS−1型)に投入し混練した。冷却後、製造例2で得たヒドロシリル基含有化合物(B−1)を(a−1)成分中のアルケニル基の総量に対し2.7当量、触媒として白金ビニルシロキサン(3%白金キシレン溶液)を、0.06部、遅延剤としてアセチレンアルコール(日信化学工業社製 サーフィノール61)を0.28部添加し、混合、脱泡させ、硬化性組成物(1083g)収率80%を得た。混練時に、混練装置の壁面や、ブレードに組成物が付着し、更新されない層ができ、定期的に掻き落し作業が必須であった。作成した硬化性組成物の取り出し作業、取り出し後の混練槽内の掃除も硬化性組成物の粘着性のために、作業性が悪く、約40分という長時間を要した。
【0104】
硬化性組成物の粘着性を次のように評価した。硬化性組成物を100gとり、SUS304板(50mmx50mmx5mm)に均一に塗り広げた。もう一枚のSUS304板(50mmx50mmx5mm)を硬化性組成物の上にのせ、2枚のSUS304板で硬化性組成物を挟み、その上に1キログラムの重りを10分間乗せた。10分後に重りをはずし、上のSUS304板を剥がした。上のSUS304板には、硬化性組成物が付着していた。付着していた硬化性組成物は15gであった。
【0105】
第二の工程で製造した硬化性組成物を厚さ2mmのスペーサと2枚の鏡面仕上げしたプレス板を使用し、180℃、3分間の加熱プレス成形により2mm厚の硬化物シートを得た。得られたシートをさらに180℃熱風乾燥機にて4時間加熱処理した。このプレス成形作業においても、粘着性の低減のため、作業が容易であった。得られた硬化物シートから、JIS 2(2/3)号型ダンベル試験片を打ち抜き、JIS K 6251記載の引張試験に基づき、30%モジュラス、伸び、引張強度を測定した。その結果、30%モジュラスは、3.1MPa、伸びは80%、引張強度は、7.2MPaであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する重合体(A)と、(A)成分中のアルケニル基の総量に対し0.3〜0.7当量の総ヒドロシリル基量となる、1分子中に少なくとも2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物(B)と、及びヒドロシリル化触媒(C)とを含有する組成物を反応させる第一の工程と、第一の工程により得られた組成物に、(A)成分中のアルケニル基の総量に対し0.3〜3当量の総ヒドロシリル基量となる、1分子中に少なくとも2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物(B)を添加する第二の工程と、を有することを特徴とする硬化性組成物の製造方法。
【請求項2】
第一の工程における反応を、組成物を混合しながら行うことを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物の製造方法。
【請求項3】
第二の工程における(B)成分の添加が、A成分とB成分が反応しない条件、あるいは反応が進行したとしても第二の工程において硬化物が得られない条件で、(B)成分を添加することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載の硬化性組成物の製造方法。
【請求項4】
第一の工程における反応を、硬化性組成物を加熱することによって行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物の製造方法。
【請求項5】
第二の工程の(B)成分添加時の硬化性組成物の温度が、第一の工程の反応温度よりも低いことを特徴とする請求項4に記載の硬化性組成物の製造方法。
【請求項6】
第一の工程における反応温度が、80℃以上であることを特徴とする請求項4または5のいずれか1項に記載の硬化性組成物の製造方法。
【請求項7】
第二の工程における添加時の硬化性組成物の温度が、60℃以下であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物の製造方法。
【請求項8】
1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する重合体(A)のGPCによって測定した数平均分子量が3,000〜50,000である請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物の製造方法。
【請求項9】
1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する重合体(A)が、(a−1)ポリイソブチレン系重合体、(a−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(a−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性組成物の製造方法。
【請求項10】
前記(B)成分が、オルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる硬化性組成物が、成形用硬化性組成物であることを特徴とする成形用硬化性組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法から得られる硬化性組成物を成形することにより得られる架橋ゴム。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法から得られる硬化性組成物を、プレス成形、押出成形、トランスファー成形、射出成形のいずれかの成形方法により得られる架橋ゴム。


【公開番号】特開2010−260961(P2010−260961A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112960(P2009−112960)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】