説明

成膜装置及び半導体装置の製造方法

【課題】膜中に混入する水分や水素の量を少なくすることができる成膜装置を提供する。
【解決手段】上面に半導体基板1を載置するステージ12と、ステージ12上に載置された半導体基板1の周辺部を押さえる押さえ治具30と、押さえ治具30に設けられ、半導体基板1の周辺部上に不活性ガスを供給するガス供給口34aとを具備する。ステージ12及び押さえ治具30を収容するチャンバーと、チャンバーの内側に位置し、ステージの上面とスパッタリングターゲットの間に位置する空間を囲むように配置されたシールド部材とを更に具備してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置及び半導体装置の製造方法に関する。特に本発明は、膜中に混入する水分や水素の量を少なくすることができる成膜装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の成膜装置の構造を示す断面図である。この成膜装置は、スパッタリング装置であり、シリコン基板101に形成された絶縁膜(図示せず)上にAl合金膜を成膜する装置である。チャンバー110内には、シリコン基板101を載置するステージ112が設けられている。ステージ112には、シリコン基板101を加熱するためにヒーター(図示せず)が埋め込まれている。ステージ112上のシリコン基板101は、クランプリング130によって周辺部がステージ112に向けて押さえられている。
【0003】
ステージ112の上方では、Al合金ターゲット118bが、電極118aの表面に固定されている。電極118aは、チャンバー110の上部パーツ118に固定されているが、電極118aと上部パーツ118の間は、図示しない構造により絶縁されている。なお、上部パーツ118の電極118aの上方には、スパッタリングの質を上げるために、マグネット120が設けられている。
【0004】
ステージ112上面とAl合金ターゲット118bの間の空間110aは、シールド治具114によって外側の空間110bから仕切られている。シールド治具114は、ステージ112側の縁114aが上方に向けて折れ曲がっており、この縁114aがクランプリング130の底面に設けられた溝130aに入り込んでいる。なお、チャンバー110には、配管124及びクライオポンプ122それぞれが接続されている。これにより、空間110bにはArが供給され、また空間110bの排気が行われる。
【0005】
ステージ112は上下に移動可能であり、成膜装置が動作しないときは下方に位置する。この状態では、クランプリング130は、溝30aにシールド治具114の縁114aが当接することにより、シールド治具114によって支持される。成膜装置が動作してスパッタリングを行うとき、ステージ112は上方に移動する。このとき、ステージ112は、シリコン基板101の周辺部をクランプリング130に押し付け、その状態でクランプリング130を上方に押し上げる。これにより、クランプリング130とシールド治具114の縁114aの間には隙間が生じ、この隙間を介して空間110bから空間110aに、スパッタリングガスであるArが供給される。
【0006】
そして、空間110aの中でArプラズマが発生すると、Al合金ターゲット118bはスパッタリングされ、ステージ112上面のシリコン基板101の絶縁膜上にはAl合金膜が形成される。空間110aはシールド治具114によって仕切られているため、チャンバー110の内壁にはAl合金が付着しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スパッタリングを行うと、プラズマからの輻射熱やスパッタ粒子の運動エネルギーが熱エネルギーに変わること等により、チャンバー内部の部材(例えば上述したシールド治具114)の温度が上昇する。これにより、チャンバー内部の部材に吸着していた水素や水分が放出され、成膜される膜に混入する。水素や水分が膜に混入すると、膜の質が低下する。例えば成膜される膜が配線となる場合、配線の寿命が低下する。このため、脱ガスした水素や水分が成膜される膜に混入しないようにする必要がある。
【0008】
また、近年、半導体装置の微細化が進んでおり、これに伴って、コンタクトホールやビアホールなど膜に形成される凹凸も微細化している。凹凸が微細化すると、この凹凸上に形成される膜は、凹部内に埋め込まれにくくなるため、膜質が低下する。例えば配線を形成する場合、凹部近辺で配線が細線化して高抵抗になり、断線しやすくなる。このため、この凹凸上に形成される膜は、埋め込み性をよくする必要がある。
【0009】
膜の埋め込み性をよくする方法として、成膜時の半導体基板の温度を上げる方法がある。しかし、半導体基板の温度を上げると、その周囲に位置する部材(例えば上述したシールド治具114)の温度も上昇し、この部材に吸着していた水素や水分が脱ガスする。このため、上記した問題が顕著になる。
【0010】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、膜中に混入する水分や水素の量を少なくすることができる成膜装置及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る成膜装置は、チャンバーと、
前記チャンバー内に位置し、上面に半導体基板を載置するステージと、
前記ステージ上に載置された前記半導体基板の周辺部を押さえる押さえ治具と、
前記押さえ治具に設けられ、前記半導体基板の周辺部上に不活性ガスを供給するガス供給口とを具備する。
【0012】
この成膜装置によれば、半導体基板の周縁部上には不活性ガスが供給される。この不活性ガスにより、水素や水分が半導体基板に到達するのを抑制できる。従って、従来と比べて、半導体基板に成膜される膜に水素や水分が混入するのを抑制できる。
【0013】
成膜装置はスパッタリング装置であり、ステージと対向する位置に、スパッタリングターゲットを有していてもよい。
【0014】
この場合、チャンバーの内側に位置し、ステージの上面とスパッタリングターゲットの間に位置する空間を囲むように配置されたシールド部材とを更に具備してもよい。シールド部材から水素や水分が脱ガスしても、この水素や水分は、従来と比べて成膜される膜に混入しにくくなる。
【0015】
チャンバーに設けられた排気機構と、シールド部材の内側と外側を繋ぐ通気路と、を具備してもよい。この場合、通岐路は、半導体基板の上方に位置する。従って、不活性ガスは半導体基板上から上方に向かって流れ、水素や水分は、更に半導体基板には到達しにくくなる。なお、通気路は、スパッタリングターゲットとシールド部材の間に形成されているのが好ましい。
【0016】
ガス供給口は、スパッタリングガスとしての不活性ガスを供給してもよい。スパッタリングターゲットは、例えばAl合金ターゲットであるが、他のターゲットであってもよい。ガス供給口は、半導体基板の周辺部に沿って複数設けられているのが好ましい。
【0017】
ステージ及び押さえ治具は、成膜時にはフローティング電位である場合、チャンバーと押さえ治具の間に引き回され、チャンバーの外部からガス供給口に不活性ガスを供給する配管と、チャンバーと配管を絶縁する絶縁部材とを具備してもよい。この場合、配管、押さえ治具及びステージを、フローティング電位に維持することができる。
【0018】
ステージが、成膜時に押さえ治具を押し上げつつ上に移動する場合、チャンバーと押さえ治具の間に引き回され、チャンバーの外部からガス供給口に不活性ガスを供給する配管と、配管の上下に延伸する部分に設けられた伸縮可能配管とを具備するのが好ましい。この場合、押さえ治具が押し上げられても、伸縮可能配管が伸張するため、配管本体には負荷が加わらない。
【0019】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に、成膜装置を用いてAl合金膜を形成する工程と、
を具備し、
前記成膜装置は、
上面に前記半導体基板を載置するステージと、
前記ステージ上に載置された前記半導体基板の周辺部を押さえる押さえ治具と、
前記押さえ治具に設けられ、前記半導体基板の周辺部上に不活性ガスを供給するガス供給口とを具備する。
【0020】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、半導体基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、
前記半導体基板の周辺部上に不活性ガスを供給しつつ、前記絶縁膜上にAl合金膜を形成する工程とを具備する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る成膜装置を説明する為の断面図である。この成膜装置はスパッタリングにより、シリコン基板1に形成された絶縁膜(図示せず)上に、Al合金膜を成膜する装置である。チャンバー10内には、シリコン基板1を載置するステージ12が設けられている。ステージ12には、シリコン基板1を加熱するためにヒーター(図示せず)が埋め込まれている。ステージ12上のシリコン基板1は、クランプリング30によって周辺部が上から押さえられている。クランプリング30の中央部には開口部30bが設けられており、この開口部30bからシリコン基板1が露出している。
【0022】
ステージ12の上方では、Al合金ターゲット18bが、電極18aの表面に固定されている。電極18aは、チャンバー10の上部パーツ18に固定されているが、電極18aと上部パーツ18の間は、図示しない構造により絶縁されている。なお、上部パーツ18には、スパッタリングの質を上げるために、Al合金ターゲット18bの上方に位置するマグネット20が設けられている。
【0023】
ステージ12上面とAl合金ターゲット18bの間の空間10aは、シールド治具14によって外側の空間10bから仕切られている。シールド治具14は、円筒の底面を風刺した形状をしている。シールド治具14の上端側の縁14aは略水平に折れ曲がっており、この縁14aがチャンバー10本体の上面部16の上に載置されている。このような構造により、シールド治具14はチャンバー10によって支持されている。
【0024】
シールド治具14の底面には、中央部に位置する開口部14dが形成されており、この開口部14dを介して、ステージ12上に載置されたシリコン基板1が、空間10a内に露出している。また、シールド治具14の開口部14dを形成する縁14bは、上方に向けて折れ曲がっており、この縁14bがクランプリング30の底面に設けられた溝30aに入り込んでいる。
【0025】
なお、シールド治具14の表面は、表面積を大きくするためにブラスト加工されている。このため、シールド治具14はスパッタリングされたAl合金の粒子を大量に捕捉することができるが、同時に水素や水分も多く吸着している。
【0026】
ステージ12は、チャンバー10から絶縁されており、その電位はフローティング状態である。また、ステージ12は上下に移動可能であり、成膜装置が動作しないときは下方に位置している。この状態(図示せず)では、クランプリング30は、溝30aにシールド治具14の縁14bが当接し、シールド治具14によって支持される。成膜装置が動作してスパッタリングを行うとき、ステージ12は上方に移動する(図1に相当)。このとき、ステージ12は、シリコン基板1の周辺部をクランプリング30に押し付け、その状態で更に上昇することにより、クランプリング30を上方に押し上げる。これにより、クランプリング30はシールド治具14から乖離し、ステージ12と同電位すなわちフローティング状態になる。
【0027】
空間10bの中では、配管40が引き回されている。配管40の一端は、シールド治具14の底面に設けられた貫通孔14cを挿通し、クランプリング30に接続している。配管40の他端は、チャンバー10に形成された接続口を介して、チャンバー10外部の配管24に接続されている。配管24からは、スパッタリングガスとしてのArが供給されるが、このArは、配管40及びクランプリング30内部の流路(図1では図示せず)を経由して、シリコン基板1の周辺部の上方に供給される。
【0028】
なお、配管40とチャンバー10の接続口の間には、絶縁部材42が設けられている。これにより、配管40の電位は、クランプリング30と同電位になる。
【0029】
また、配管40は、クランプリング30側の端部から一定長さほど下方に延伸しているが、この下方に延伸している部分には、ベローズ状の伸縮可能配管40aが設けられている。これにより、クランプリング30がステージ12によって上方に押し上げられても、伸縮可能配管40aが伸張するため、配管40には負荷が加わらない。なお、ステージ12が下方に下がったとき、伸縮可能配管40aはクランプリング30の重さによって縮む。
【0030】
また、チャンバー10の上面部16のうち、シールド治具14の縁14aと重なっていない部分には、上下に貫通する通気口16aが形成されている。空間10aと空間10bは、シールド治具14とAl合金ターゲット18bの間の隙間、及び通気口16aを経由することにより繋がっている。
【0031】
チャンバー10には、クライオポンプ22が接続されており、空間10bの排気が行われる。このため、空間10aの内部は、Al合金ターゲット18bとシールド治具14の隙間及び通気口16aを通って、空間10bに排気される。このため、クランプリング30から供給されたArは、シリコン基板1の周辺部から上方に移動しやすくなる。
【0032】
そして、空間10aの中でプラズマが発生すると、Al合金ターゲット18bはスパッタリングされ、ステージ12上面のシリコン基板1の絶縁膜上にAl合金膜が形成される。このとき、空間10aはシールド治具14によって仕切られているため、チャンバー10の内壁にはAl合金が付着しない。
【0033】
また、スパッタリングを行うと、シールド治具14も加熱され、シールド治具14に吸着していた水素や水分が放出される。しかし、Arがシリコン基板1の周辺部から上方に向けて流れるため、水素や水分はシリコン基板1に向けて移動しにくくなる。このため、成膜されるAl合金膜に水素や水分が混入することを抑制できる。この抑制効果は、成膜時のシリコン基板1の温度が従来と比べて高くなり、シールド治具14から放出される水素や水分が増加した場合でも得られる。従って、成膜されるAl合金膜の埋め込み性をよくすることができる。
【0034】
図2は、クランプリング30の底面図である。図3は、図2のA−A断面図であり、図4は、図2のB−B断面図である。なお、図3及び図4では、説明のために、ステージ12、シリコン基板1、及び配管40も図示している。
【0035】
図2及び図3に示すように、クランプリング30の底面には、配管40の一端を接続するための接続口32aが設けられており、開口部30bの側壁34には供給口34aが設けられている。接続口32aと供給口34aは、クランプリング30の内部に形成された流路32(図2では図示せず)で接続されている。このように、配管40から接続口32aに供給されたArは、流路32を経由して、供給口34aからシリコン基板1の周辺部の上方に供給される。
【0036】
なお、図2に示すように、供給口34aは、シリコン基板1の周辺部に沿うように、クランプリング30の内周部の側壁34に、複数かつ略一定間隔ごとに設けられている。また、図3及び図4に示すように、流路32には、クランプリング30本体と同心の環状路32bが設けられており、この環状路32bを介して、複数の供給口34aにArが供給される。そして、それぞれの供給口34aからは、シリコン基板1の上方にArが供給される。従って、Al合金膜の全面が水素や水分に汚染されるのを抑制できる。
【0037】
以上、本発明の第1の実施形態によれば、クランプリング30の開口部30bの側璧34に供給口34aを設け、この供給口34aから不活性ガスであるArを供給している。このため、シリコン基板1に形成されるAl合金膜に、シールド治具14等から放出された水素や水分が混入することを抑制できる。また、ステージ12の温度を上げて、シールド治具14から放出される水素や水分が増加しても、Al合金膜に混入する水素や水分の量を抑制することができる。従って、形成されるAl合金膜の膜質を上げることができる。
【0038】
また、側壁34の全周にわたって複数の供給口34aを設け、更にスパッタリングが行われる空間10aの上部に通気口16aを設けたため、上記した効果は大きくなる。
【0039】
なお、上記実施形態において、通気口16aを設けることは必須ではない。通気口16aを設けない場合、空間10aと空間10bとは、ステージ12がクランプリング30を押し上げたときに形成される、シールド治具14とクランプリング30の隙間で繋がる。
【0040】
図5は、第2の実施形態に係る成膜装置の構成を説明する為の断面図である。本実施形態は、配管40の引き回し方、及びクランプリング30の接続口32aの数が複数である点を除いて、第1の実施形態と同一である。以下、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0041】
本実施形態において、クランプリング30には複数の接続口32aが設けられている。配管40は複数に分岐した後、別々の接続口32aに接続している。なお、伸縮可能配管40aは、分岐後の配管40それぞれに設けられている。
【0042】
本実施形態においても、第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。また、クランプリング30内に形成された環状路32b(図3及び図4に図示)には、複数の接続口32aからArが供給される。このため、環状路32bの内部における圧力のばらつきは少なくなり、複数の供給口34aそれぞれから放出されるArの量のばらつきは、少なくなる。
【0043】
図6の各図は、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図である。本実施形態では、層間絶縁膜上にAl合金配線が形成されるが、このAl合金配線を形成するときに、第1又は第2の実施形態で示した成膜装置が用いられる。
【0044】
まず、図6(A)に示すように、シリコン基板1に素子分離膜2を形成し、素子領域を互いに分離する。素子分離膜2は、例えばトレンチアイソレーション法によりシリコン基板1に埋め込まれるが、LOCOS法により形成されてもよい。
【0045】
次いで、シリコン基板1を熱酸化する。これにより、素子領域に位置するシリコン基板1の表面には、ゲート酸化膜3が形成される。次いで、ゲート酸化膜3上を含む全面上にポリシリコン膜を形成し、このポリシリコン膜をパターニングする。これにより、ゲート酸化膜3上にはゲート電極4が形成される。次いで、ゲート電極4及び素子分離膜2をマスクとして、シリコン基板1に不純物イオンを注入する。これにより、素子領域に位置するシリコン基板1には低濃度不純物領域6a,6bが形成される。
【0046】
次いで、ゲート電極4上を含む全面上に、酸化シリコン膜を形成し、この酸化シリコン膜をエッチバックする。これにより、ゲート電極4の側壁はサイドウォール5で覆われる。次いで、ゲート電極4、サイドウォール5、及び素子分離膜2をマスクとして、シリコン基板1に不純物イオンを注入する。これにより、素子領域に位置するシリコン基板1には、ドレイン及びソースとなる不純物領域7a,7bが形成される。このようにして、シリコン基板1にはトランジスタが形成される。
【0047】
次いで、トランジスタ上を含む全面上に、酸化シリコンを主成分とする層間絶縁膜8を、例えばCVD法により形成する。次いで、層間絶縁膜8上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現像する。これにより、層間絶縁膜8上にはレジストパターンが形成される。次いで、このレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜8をエッチングする。これにより、層間絶縁膜8には、ゲート電極4上に位置する接続孔8a、及び不純物領域7a,7bそれぞれ上に位置する接続孔(図示せず)が形成される。その後、レジストパターンを除去する。
【0048】
次いで、上記した接続孔それぞれの中及び層間絶縁膜8上に、Ti膜及びTiN膜をこの順に積層したバリア膜(図示せず)を形成する。
【0049】
次いで、図6(B)に示すように、第1又は第2の実施形態で示した成膜装置を用いて、上記した接続孔それぞれの中、及び層間絶縁膜8上に、バリア膜上に位置するAl合金膜9を形成する。第1又は第2の実施形態で説明したように、Al合金膜9を、従来と比べて高温で成膜することができるため、接続孔に対するAl合金膜9の埋め込み性はよくなる。従って、接続孔が小さくても、Al合金膜9は接続孔内に十分に埋め込まれる。また、Al合金膜9は、高温で成膜されても、混入している水素や水分が少なく、膜質は低下しない。
【0050】
次いで、図6(C)に示すように、Al合金膜9上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現像する。これにより、Al合金膜9上にはレジストパターンが形成される。次いで、このレジストパターンをマスクとしてAl合金膜9及びバリア膜をエッチングする。これにより、層間絶縁膜8上には、Al合金配線9a,9b,9cが形成される。Al合金配線9aは一部が接続孔8a内に埋め込まれることにより、ゲート電極4に接続している。Al合金配線9b,9cそれぞれは、一部が不純物領域7a,7bそれぞれ上に位置する接続孔に埋め込まれることにより、不純物領域7a,7bに接続している。その後、レジストパターンを除去する。
【0051】
本実施形態によれば、Al合金膜9を成膜するときのシリコン基板1の温度を、従来と比べて高くしても、Al合金膜9に混入する水素や水分は増加しにくい。このため、Al合金膜9を従来と比べて高温で成膜することができる。従って、接続孔を小さくしても、Al合金膜9は接続孔内に十分に埋め込まれるため、半導体装置を微細化することができる。
【0052】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば第1及び第2の実施形態において、Al合金ターゲット18bの代わりに他のターゲットを用いることにより、他の膜を成膜する装置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1の実施形態に係る成膜装置を説明する為の断面図。
【図2】クランプリング30の底面図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】図2のB−B断面図
【図5】第2の実施形態に係る成膜装置を説明する為の断面図。
【図6】(A)は第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図、(B)は(A)の次の工程を説明する為の断面図、(C)は(B)の次の工程を説明する為の断面図。
【図7】従来の成膜装置の構造を示す断面図。
【符号の説明】
【0054】
1,101…シリコン基板、2…素子分離膜、3…ゲート酸化膜、4…ゲート電極、5…サイドウォール、6a,6b…低濃度不純物領域、7a,7b…不純物領域、8…層間絶縁膜、8a…接続孔、9…Al合金膜、9a,9b,9c…Al合金配線、10,110…チャンバー、10a,10b,110a,110b…空間、12,112…ステージ、14,114…シールド治具、14a,14b,114a…縁、14c…貫通孔、14d…開口部、16…上面部、16a…通気口、18,118…上部パーツ、18a,118a…電極、18b,118b…Al合金ターゲット、20,120…マグネット、22,122…クライオポンプ、24,124…配管、30,130…クランプリング、30a…溝、30b…開口部、32…流路、32a…接続口、32b…環状路、34…側壁、34a…供給口、40…配管、40a…伸縮可能配管、42…絶縁部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバーと、
前記チャンバーの内側に位置し、上面に半導体基板を載置するステージと、
前記ステージ上に載置された前記半導体基板の周辺部を押さえる押さえ治具と、
前記押さえ治具に設けられ、前記半導体基板の周辺部上に不活性ガスを供給するガス供給口と、
を具備する成膜装置。
【請求項2】
前記成膜装置はスパッタリング装置であり、
前記ステージと対向する位置に、スパッタリングターゲットを有する請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記チャンバーの内側に位置し、前記ステージの上面と前記スパッタリングターゲットの間に位置する空間を囲むように配置されたシールド部材と、
を更に具備する請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記チャンバーに設けられた排気機構と、
前記シールド部材の内側と外側を繋ぐ通気路と、
を具備する請求項3に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記通気路は、前記スパッタリングターゲットと前記シールド部材の間に形成されている請求項4に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記ガス供給口は、スパッタリングガスとしての不活性ガスを供給する請求項2〜5のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記スパッタリングターゲットはAl合金ターゲットである請求項2〜6のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記ガス供給口は、前記半導体基板の周辺部に沿って複数設けられている請求項1〜7のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項9】
前記ステージ及び前記押さえ治具は、成膜時にはフローティング電位であり、
前記チャンバーと前記押さえ治具の間に引き回され、前記チャンバーの外部から前記ガス供給口に不活性ガスを供給する配管と、
前記チャンバーと前記配管を絶縁する絶縁部材と、
を具備する請求項1〜8のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項10】
前記ステージは、成膜時に、前記押さえ治具を押し上げつつ上に移動し、
前記チャンバーと前記押さえ治具の間に引き回され、前記チャンバーの外部から前記ガス供給口に不活性ガスを供給する配管と、
前記配管の上下に延伸する部分に設けられた伸縮可能配管と、
を具備する請求項1〜8のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項11】
半導体基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に、成膜装置を用いてAl合金膜を形成する工程と、
を具備し、
前記成膜装置は、
上面に前記半導体基板を載置するステージと、
前記ステージ上に載置された前記半導体基板の周辺部を押さえる押さえ治具と、
前記押さえ治具に設けられ、前記半導体基板の周辺部上に不活性ガスを供給するガス供給口と、
を具備する半導体装置の製造方法。
【請求項12】
半導体基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、
前記半導体基板の周辺部上に不活性ガスを供給しつつ、前記絶縁膜上にAl合金膜を形成する工程と、
を具備する半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−152357(P2006−152357A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343426(P2004−343426)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】