説明

扁平な送付物を個別化する方法および装置

順次連続する複数の加速段(1,2)では、各加速段(2)における引き出し手段の定格引き出し速度は、その時々に搬送方向において前方に位置している加速段(1)の引き出し手段の定格引き出し速度よりも高い。各加速段(1,2)では、引き出し手段の面に配置されたセンサT1(5)によって、1つまたは複数の引き出し手段に接している送付物(3)の速度が測定される。各加速段の入口領域において、引き出し手段の面に配置されたセンサT1によって測定された、引き出し手段に接している送付物の速度が、この加速段の引き出し手段の定格速度から、定められた僅かな値しか差を有していないと(すなわち送付物がこの加速段によって実質的に滑りなく引き受けられると)、これに対して搬送方向において前方に位置する加速段の引き出し手段の速度が低減される。これによって重なっている送付物が引き留められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の順次連続する、引き出し手段を有する加速段によって、扁平な送付物を個別化する方法および装置に関しており、ここでこの引き出し手段は、引き出し面において片面で送付物に作用する。
【0002】
仕分け装置の性能は、入口領域におけるその個別化装置のスループットおよびクオリティ(二重引き出し率および損傷率)によって大きく左右される。
【0003】
ここでスループットは、個別化される送付物の識別(後縁の検出)および次の送付物の加速度の識別によって制限される。個別化された送付物と後続する送付物の間の速度の段差(Geschwindigkeitssprung)が高ければ高いほど、次の送付物の加速がより長く続く。従って送付物間の隙間がより大きくなってしまう。
【0004】
これまで、搬送手段、機械的な拘束エレメントを介した個別化および個別化領域における送付物の識別は、ライトバリアによって実現されてきた。このセンサは送付物の前縁および後縁のみを識別することができ、送付物が既に個別化されている場合には、測定信号によって、個別化の制御に影響を与える(DE19801309C1,DE3424397A1)。
【0005】
US5429347A号から、唯一の加速段によって扁平な送付物を個別化するための方法および装置が公知である。この加速段は、引き出し手段を有している。この引き出し手段は送付物の片面に作用する。タコメータを駆動するロールとして構成され、引き出し手段の面に配置されているセンサによって、引き出し手段に接している送付物の速度が測定される。制御部によって、測定された速度特性から、この送付物の後縁が検出され、引き出し手段の駆動部が相応に駆動制御される。
【0006】
一段式個別化の他に、多段式個別化も知られている。多段式個別化では、後続する加速段における引き出し手段の定格引き出し速度が、前方に位置している加速段内のそれよりも高い(DE10212024A1)。
【0007】
本発明の課題は、重なっている送付物をよりよく引き留める(zurueckgehalten)ことができる、扁平な送付物を個別化するための方法および装置を提供することである。
【0008】
本発明では、上述の課題は請求項1および7に記載された特徴部分の構成によって解決される。
【0009】
加速段が複数に順次連続している場合には、各加速段における引き出し手段の定格引き出し速度は、そのときに搬送方向において前方に位置している加速段の引き出し手段の定格引き出し速度よりも高くなる。
【0010】
各加速段の入口領域においては、引き出し手段の面に配置されたセンサT1によって、1つまたは複数の引き出し手段に接している送付物の速度が測定される。
【0011】
当時点の加速段の入口領域において、引き出し手段の面に配置されているセンサにT1によって測定された、引き出し手段に接している送付物の速度が、この加速段の引き出し手段の定格速度から、設定された僅かな値だけ差を有している場合、すなわち送付物がこの加速度段によってほぼ滑りなしで引き受けられた場合、これに対して搬送方向において前方に位置している加速段の引き出し手段の速度は低減される。これによって重なっている送付物が引き留められる。
【0012】
本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。センサT1は有利には加速段と加速段の間に配置されている。
【0013】
引き出し過程時に付加的に一緒に引き出された、重なっている送付物の速度も求めるために、有利には付加的に、そのときに搬送方向において後続する加速段の領域内に、引き出し手段の方を向いていない面に配置されたセンサT2によって、この面からスキャン可能な送付物の速度が求められる。
【0014】
摩耗現象が原因で引き出し手段がいつ新たにされなければならないのかを確認するために、有利には、引き出し手段の速度と、この引き出し手段によって駆動される送付物の速度がスリップを求めるために相互に比較され、差が定められた境界値を超えている場合にはサービス信号が生成される。
【0015】
有利には、前方に位置している加速段における速度は0まで低減される。
【0016】
特に有利には、付加的に、搬送方向において後続する各加速段の領域において、送付物の速度がセンサT2によって測定される。このセンサは引き出し手段の方を向いていない面に配置される。このようにして測定された送付物の速度が、その時々に前方に位置している加速段における引き出し手段の減速後に、後続する加速段の定格速度から定められた僅かな値だけ差を有している場合、その時その時に前方に位置している加速段の引き出し手段の速度が再び、自身の定格速度まで上げられる。後続する加速段のセンサT2によって検出された送付物前縁が、vからvへの測定された速度段差として登録されると、その時その時に前方に位置している加速段の引き出し手段の速度は値0に変えられる。2つの隣接する加速段の間のセンサT1によって測定された送付物速度が近似的にvでこの速度から値0まで降下すると、そのときに前方に位置している加速段の引き出し手段が定格引き出し速度まで加速される。当時点の加速段の始めと、割り当てられたセンサT2、ひいては後続する送付物の前縁の停止点との間の間隔は、当時点の加速段の定格速度と、前方に位置している加速段の定格速度の間の差に依存して次のように選択される。すなわち、2つの隣接する送付物が、当時点の加速段の終端部で相互に定められた間隔を有しているように選択される。このような流れによって、送付物の差が大きい場合でも、個別化される送付物の間の隙間が小さくなる。
【0017】
次に本発明を実施例において図面に基づいて説明する。
【0018】
図1には、2つの速度センサを有している個別化装置の2つの加速段の概略的な平面図が示されている。
【0019】
第1の加速段1による、図示されていない送付物積層体からの、図1に相応する送付物3、4の引き出し時には、引き出し手段(例えば負圧チャンバサポートを伴う循環する引き出しベルト)に接している、送付物積層体の最も前方の送付物3のみが引き出されるのではなく、さらに2つの別の送付物4がともに引き出される。
【0020】
この第1の段は、事前個別化のための段でもあり、送付物3、4が重ねられる。少なくとも、最も前方の送付物3は、定格速度vA1で次の加速段2まで搬送される。並びに、この最も前方の送付物はそこで引き出し手段によって検出され、さらなる搬送はより高い速度vA2で行われる。2つの加速段1,2の間には、引き出し手段に接している送付物の速度を検出するセンサTI5が配置されている。これはここでは、送付物表面上を走行し、タコメータを駆動するロールによって実現されている。回転数に相当する、タコメータの出力信号は測定信号として、加速段の駆動部を制御する装置に伝送される。2つの加速段1、2の間の隙間が非常に小さい場合、または隙間が存在しない場合には、このセンサT15は、そのときの後続する加速段2の入口領域において、引き出しベルトの間に配置される。当時点の送付物3が、前方に位置している加速段1を離れると、その速度はセンサT15によって監視される。後続する加速段2の引き出し手段の速度と、送付物3の速度の間の差が定められた小さいほうの限界値よりも小さい場合には、後続する加速段2の引き出し手段による送付物の実質的に滑りのない引き渡しが仮定される。この時点から、前方に位置している加速段1の引き出し手段の速度が低減され(最大で値0まで)、引き出し手段は引き留めエレメントとして作用し、後続する送付物の搬送が阻止される、または少なくとも困難にされる。搬送方向において後続する加速段2の領域内では、引き出し手段の方を向いていない面にさらなるセンサT26が配置されている。これは、この面からスキャン可能な送付物3、4の速度を測定する。送付物3が近似的に速度VA2で、2つの加速段1、2の間の移行部を通過する間、センサT26によって測定される速度VT2が監視される。VA2とVT2の間の速度差が所定の小さいほうの限界値よりも大きい場合、ここから、前縁を有する後続の送付物4が、まだセンサT26に存在せず、前方に位置している加速段1の引き出し手段が、低減された速度からその定格速度まで加速されることが推測される。これによって後続する送付物は定格速度でセンサT26まで搬送される。センサT26が後続する送付物4の前縁を識別すると(これは、センサが、前方に位置している加速段1の引き出し手段の定格速度VA1への速度段差を登録することによって行われる)、前方に位置している加速手段1の引き出し手段が止められ、再び引き留めエレメントとして作用する。
【0021】
後続の送付物4の前縁が非常に離れて後ろに位置している場合、以下の条件が満たされている。
・引き出し手段間の移行部において隙間が形成されている。
・第1の送付物は、後縁でセンサT15を離れた。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】2つの速度センサを有する個別化装置の2つの加速段の概略的な平面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次連続する、引き出し手段を有している複数の加速段(1,2)によって、扁平な送付物を個別化する方法であって、
前記引き出し手段は引き出し面において片面で送付物面に作用し、
各加速段(2)における引き出し手段の定格引き出し速度は、その時々に搬送方向において前方に位置している加速段(1)の引き出し手段の定格引き出し速度よりも高く、
当時点の加速段(1,2)の入口領域において、前記引き出し手段の面に配置されたセンサT1(5)によって、前記引き出し手段に接している送付物(3)の速度が測定され、
当時点の加速段(2)の入口領域において、前記引き出し手段の面に配置されたセンサT1(5)によって測定された、前記引き出し手段に接している送付物(3)の速度が、当該加速段(2)の引き出し手段の定格速度から、定められた僅かな値だけ差を有していると、これに対して搬送方向において前方に位置する加速段(1)の引き出し手段の速度が低減される、
ことを特徴とする、扁平な送付物を個別化する方法。
【請求項2】
前記センサT1(5)は前記加速段(1,2)の間に配置されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
付加的に、搬送方向において後続する各加速段(2)の領域に、前記引き出し手段の方を向いていない面に配置されたセンサT2(6)によって、当該面からスキャン可能な送付物(3,4)の速度が測定される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記引き出し手段の速度および当該引き出し手段によって駆動される送付物(3)の速度はスリップを求めるために相互に比較され、差が設定された境界値を上回っている場合にはサービス信号が生成される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記加速段(1,2)の間で、前記引き出し手段の面に配置されたセンサT1(5)によって測定された、前記引き出し手段に接している送付物(3)の速度が、その時々に搬送方向において後続する加速段(2)の引き出し手段の定格速度から、定められた僅かな値だけ差を有している場合、これに対して搬送方向において前方に位置する加速段(1)の引き出し手段の速度が低減され、
その時々で搬送方向において後続する加速段(2)の領域において送付物(3,4)の速度が、引き出し手段の方を向いていない面に配置されたセンサT2(6)によって測定され、このようにして測定された送付物の速度が、その時々に前方に位置している加速段(1)における引き出し手段の減速後に、設定された僅かな値だけ、前記後続する加速段の定格速度から差を有している場合に、前方に位置している各加速段(1)の引き出し手段の速度が再び、自身の定格速度まで上げられ、当該後続する加速段(2)のセンサT2(6)によって検出された送付物前縁が、vA1への測定された速度段差として登録されると、前方に位置している各加速段(1)の引き出し手段の速度が値0に変えられ、
2つの隣接する加速段(1,2)の間のセンサT1(5)によって測定された送付物速度が実質的にvA2で前記速度から値0まで降下すると、前方に位置している各加速段(1)の引き出し手段が定格速度まで加速され、
当時点の加速段(2)の始めと、割り当てられたセンサT2(6)、ひいては後続する送付物(4)の前縁の停止点との間の間隔は、当時点の加速段(2)の定格速度と、前方に位置している加速段(1)の定格速度の間の差に依存して、2つの隣接する送付物(3,4)が、当時点の加速段(2)の端部で、相互に定められた間隔を有するように選択される、請求項3記載の方法。
【請求項6】
加速段(1,2)の間に、引き出し手段の面に配置されたセンサT1(5)によって測定された、前記引き出し手段に接している送付物(3)の速度が、搬送方向において後続する各加速段(2)の引き出し手段の定格速度から、定められた僅かな値だけ差を有していると、これに対して搬送方向において前方に位置する加速段(1)の引き出し手段の速度が0まで低減される、請求項1または5記載の方法。
【請求項7】
順次連続する、引き出し手段を有している複数の加速段(1,2)によって、扁平な送付物を個別化する装置であって、
前記引き出し手段は引き出し面において片面で送付物面に作用し、
各加速段(2)における前記引き出し手段の定格引き出し速度は、その時々に搬送方向において前方に位置している加速段(1)の引き出し手段の定格引き出し速度よりも高く、
当時点の加速段(1,2)の入口領域において、前記引き出し手段の面に、センサT1(5)が、前記引き出し手段に接している送付物(3)の速度を測定するために配置されており、
制御部が設けられており、当時点の加速段(2)の入口領域において、前記引き出し手段の面に配置されたセンサT1(5)によって測定された、前記引き出し手段に接している送付物(3)の速度が、当該加速段(2)の引き出し手段の定格速度から、定められた僅かな値だけ差を有していると、これに対して搬送方向において前方に位置する加速段(1)の引き出し手段の速度が低減されるように前記制御部が構成されている、
ことを特徴とする、扁平な送付物を個別化する方法。
【請求項8】
前記センサT1(5)は、前記加速段(1,2)の間に配置されている、請求項7記載の装置。
【請求項9】
付加的に、搬送方向において後続する各加速段(2)の領域において、前記引き出し手段の方を向いていない面にセンサT2(6)が配置されており、当該センサは、当該面からスキャン可能な送付物(3,4)の速度を測定する、請求項7記載の装置。
【請求項10】
送付物速度を測定する前記センサT1,2(5,6)は、送付物表面を走行する、場所的に固定の、タコメータを駆動するローラまたは帯として構成されており、
前記タコメータの回転数または生成された電圧は、送付物速度に対する尺度として用いられる、請求項7記載の装置。
【請求項11】
引き出し手段として制御されて駆動される引き出しバンドに、設定された摩擦係数が設けられている、請求項7記載の装置。
【請求項12】
前記引き出し手段は、送付物を引き出しバンドに引き寄せるために、駆動制御可能な負圧チャンバを有している、請求項11記載の装置。

【図1】
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【公表番号】特表2007−512199(P2007−512199A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540324(P2006−540324)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013090
【国際公開番号】WO2005/061354
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】