説明

手作業はんだ付け工程の時間管理装置

【課題】手作業はんだ付け処理において、適正な作業時間の管理を行い、品質の高いはんだ付け作業を行えるようにすること。
【解決手段】プリント配線板2の共通部位aに接続する信号端子12及びはんだごて3のこて先3tに接続するアース端子13を備えた信号源11と、こて先3tのはんだ付け対象部位cへの接触・離脱を検出する信号電流検出部14と、こて先3tの接触を検出している時間を計測して接触時間信号を出力する第1の時間測定部15と、こて先3tの最後のはんだ付け対象部位からの離脱の検出時点から所定時間の経過後に凝固完了信号を出力する第2の時間測定部16と、接触時間がはんだ付け基準時間と比較して許容範囲内である場合にGO信号を、許容範囲外である場合にNG信号を出力する時間判定部19と、NG信号又は凝固完了信号を受けると、各々その旨を報知する報知部20とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手作業はんだ付け作業工程におけるはんだ付け時間を適正範囲に維持し、かつ得られたはんだ付け箇所の品質維持を図って生産性の向上を図る手作業はんだ付け工程の時間管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子・電気機器類の半導体要素を含むプリント配線板の製造にあたっては各種回路素子類の接続端子(ピン)等をプリント配線板の所定部位に差し込み、浸漬はんだ付け装置による自動はんだ付け作業が広く行われている。この場合、従来は鉛と錫の合金である、いわゆる鉛含有はんだが広く使用され、自動はんだ付け工程もそれを前提として運用されていた。しかし、このような鉛含有はんだの主要な成分である鉛は、人体に有害であり、製造工程はもとより機器類の使用後の廃棄に伴う自然環境に対する悪影響も懸念されるため、世界的に禁止ないし大幅な使用制限が行われる傾向にある。
【0003】
そのため、近年鉛フリーはんだ(無鉛はんだともいう)を使用しなければならない事態が増大している。鉛フリーはんだとしては、錫−銀−銅(Sn・Ag・Cu)系、錫−亜鉛−ビスマス(Sn・Zn・Bi)系、錫−銅(Sn・Cu)系、錫−銀−インジウム−ビスマス(Sn・Ag・In・Bi)系等が知られている。このような鉛フリーはんだは、いずれにしても、従来の鉛含有はんだに比して溶融温度が20〜40℃程度高くなることが知られており、はんだ付けに際して、装着される電子回路構成部品類やプリント配線板自体に過熱による熱破壊ないし熱劣化が生じる可能性が増大し、問題視されている。
【0004】
通常、電気・電子機器類のプリント配線板製造工程では、浸漬はんだ付けが広く採用されている。従来の鉛含有はんだの場合は、溶融温度が比較的低かったため、リフロー式自動はんだ装置によって所定時間内に十分なはんだ付けが行われていた。このような全自動はんだ付け装置における所要作業時間は、自動はんだ付けライン全体の処理速度によって決定される。従ってはんだ付け処理時間は自動はんだ付けラインの処理速度設定により、最適状態に調節することが可能であった。
【0005】
しかしながら、近年使用が義務付けられている鉛フリーはんだは、前記のように溶融温度が高くなっているため、溶融はんだ噴流部の温度も従来のそれより20〜40℃程度高温状態にしなければならない。従って、プリント配線板並びに装着された半導体等の回路部品類がより高温状態に置かれることになる。その一方で、半導体を含む回路部品類の高機能化に伴い、許容温度ないし制限温度が低くなる傾向にある。そのため、熱に対する耐性の大きい部品類についてはリフロー設備等により自動はんだ付けを行い、特に過熱に対して厳しい制限を受けるような電気・電子部品類に関しては、回路素子類に加わる総熱量を可能な限り低減し、熱損傷を回避するために手作業によるはんだ付け作業が求められる。
【0006】
しかしながら、このような手作業によるはんだ付け工程では、作業者の技量や感覚の差などにより作業時間にムラが生じがちであり、作業全体を通じての適正範囲のはんだ付け時間達成の妨げとなっている。また、無用に作業効率の向上に走ると、溶融はんだの凝固以前に被はんだ付け対象に外力が加わり易くなり、はんだ表面に皺やクラックが生ずる、いわゆるコールドジョイントとよばれる不具合が発生しがちであって、高品質で高い生産性を実現したいとする要請に反する事態を招く虞がある。
【0007】
はんだ付け工程を含む一連の作業における所定範囲のはんだ付け時間達成を指向する先行技術として特許文献1がある。この文献は、はんだの濡れ性を高く保持するための手段を簡素化して、予備加熱工程の簡素化とはんだ付け時間の短縮化を図った電子部品実装方法及び電子部品実装装置を開示している。この文献の装置は、大規模な自動はんだ付け装置の工程改善を指向するものであって、手作業はんだ付け工程におけるはんだ付け時間管理を含む時間管理には適用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−199846
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、自動はんだ付け処理が困難であるため手作業はんだ付け処理が必要となる部位に対するはんだ付け工程のはんだ付け時間が適正範囲となるように管理し、加えて適正なはんだ凝固時間を管理してはんだ付け処理箇所における不良の発生を防止することができる、手作業はんだ付け工程における時間管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、
交流及び/又は直流の信号の発生源である信号源であって、被はんだ付け対象であるプリント配線板の単一ないし複数箇所に接続される第1の端子及びはんだごての先端部に接続される第2の端子を備えた信号源と、
該信号源の第2の端子に接続されたはんだごてのこて先がはんだ付け対象部位に接触する間に電流が流れ又は流れている電流が増大するのを検出し、こて先の接触及び離脱を検出するこて先接触検出手段と、
該こて先接触検出手段がこて先の接触を検出している時間を計測して接触時間信号を出力する時間測定手段と、
前記時間測定手段の出力した接触時間信号による接触時間と予め設定したはんだ付け基準時間とを比較してその差が許容範囲内である場合にGO信号を、許容範囲外である場合にNG信号をそれぞれ出力する時間判定手段と、
該時間判定手段のNG信号を受けた場合にはんだ付け基準時間に対する許容範囲外となった旨を報知する出力手段と、
を備えた手作業はんだ付け工程の時間管理装置である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の手作業はんだ付け工程の時間管理装置におおいて、
前記出力手段に、前記時間判定手段の出力するGO信号及びNG信号を外部出力する機能を付加したものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の手作業はんだ付け工程の時間管理装置において、
前記時間測定手段に、予め設定した、被はんだ付け対象であるプリント配線板の最終はんだ付け部位のはんだ付け作業の終了を確認し得る測定開始条件を検出した時点から時間計測を開始し、該検出した時点から予め設定した時間の経過時にはんだの凝固完了を伝える凝固完了信号を出力する第2の時間測定手段を付加し、
前記出力手段に、該第2の時間測定手段の出力する凝固完了信号を受けて当該はんだ付け対象部位のはんだの凝固に要する時間が経過した旨を報知する機能を付加したものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の手作業はんだ付け工程の時間管理装置において、
前記測定開始条件を、前記こて先接触検出手段が被はんだ付け対象の最後のはんだ付け対象部位からのこて先の離脱を検出した時点であること又ははんだ付け作業を終了してはんだごてを所定のこて台に戻したことを検出した時点であることとしたものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の手作業はんだ付け工程の時間管理装置において、
前記出力手段を、前記時間判定手段のNG信号を受けて出力する報知出力及び前記第2の時間測定手段の凝固完了信号を受けて出力する報知出力の発生手段として、それぞれ音色の異なる可聴出力手段、光色の異なる可視表示手段、文字ないし記号によるディスプレイ表示手段、合成音声ないし録音音声を音源とする音声報知手段のいずれか又はこれらの任意組合せによる手段を備えたものに構成したものである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1、2、3又は4に記載の手作業はんだ付け工程の時間管理装置において、
前記時間測定手段に、被はんだ付け対象のはんだ付け対象部位へのこて先の接触回数を計数する接触回数計数手段、該接触回数計数手段の計数結果出力を該被はんだ付け対象のはんだ付け対象部位の数である設定数と比較して一致しているか否かを判定し、一致している場合はGO信号を、一致していない場合はNG信号を出力する作業数判定手段、及びはんだ付け作業の終了を検出し、そのときのみ、該作業数判定手段に接触回数計数手段からの接触回数計数結果を入力可能にするか、又はそのときのみ、該作業数判定手段の出力を出力可能にするように機能する作業終了検出手段を付加し、
前記出力手段に、NG信号、GO信号を区別して報知できるように構成したものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明の手作業はんだ付け工程における時間管理装置によれば、作業者のはんだごてのこて先がはんだ付け箇所に接触すると、その接触がこて先接触検出手段によって検出され、その検出信号が発せられた時点から前記時間測定手段が時間計測を開始し、こて先の離脱が検出され、その信号が発せられた時点で計測が終了し、該時間測定手段から接触時間信号が出力される。この接触時間信号が時間判定手段に入力され、こて先の接触時間とはんだ付け基準時間とが比較され、その差が許容範囲内である場合にはGO信号が、許容範囲外である場合にはNG信号がそれぞれ出力される。NG信号が出力された場合は、これが前記出力手段から報知されることになる。作業者は、これによってはんだ付け基準時間から許容範囲を越えて外れた作業をした場合は、それが認識できることになるため、適正な作業への誘導作用が働き、はんだ付け基準時間を守った合理的な作業の実現が可能になり、高い生産性を維持しながら品質の良いはんだ接合が得られることになる。
【0017】
請求項2に記載の発明の手作業はんだ付け工程の時間管理装置によれば、前記時間判定手段の出力するGO信号及びNG信号を外部のコンピュータ等へ出力し、これらのデータを蓄積し、統計的な処理その他の処理を行って、より適切な作業時間管理に資することも可能となる。
【0018】
請求項3に記載の発明の手作業はんだ付け工程の時間管理装置によれば、予め設定した、被はんだ付け対象であるプリント配線板の最終はんだ付け部位のはんだ付け作業の終了を確認し得る測定開始条件が検出されると、その時点から、前記第2の時間測定手段が時間計測を開始し、予め設定された時間の経過によりはんだが凝固した旨の凝固完了信号が出力され、これが前記出力手段によって報知される。そのため、はんだ付け作業者は、はんだ付け作業を終了した後、この凝固完了信号が出力された旨の報知が行われるまではんだ付け対象を固定状態に保持することにより、そのはんだ接合部の品質を高く維持することができる。即ち、はんだの凝固前に動かしてその表面に皺やクラックを生じさせるような問題を回避することができる。またこのように適正な時点で凝固完了信号を出力し、これを作業者に報知することにより、不具合発生を過度に恐れるあまり発生する可能性のある無駄な待機時間を排除し、速やかに次段階作業に移行することが可能となり、作業効率を向上させることもできる。
【0019】
請求項4に記載の発明の手作業はんだ付け工程の時間管理装置によれば、例えば、前記測定開始条件として、こて先接触検出手段が被はんだ付け対象の最後のはんだ付け対象部位からのこて先の離脱を検出した時点を採用した場合は、作業者のはんだごてのこて先がはんだ付け箇所から離脱したことが前記こて先接触検出手段によって検出され、更にそれが被はんだ付け対象の最後のはんだ付け対象部位からの離脱であることが確認された場合には、その検出信号が発せられた時点から、前記第2の時間測定手段が時間計測を開始することになり、予め設定された時間の経過によりはんだが凝固した旨の凝固完了信号が出力され、これが前記出力手段によって報知される。
【0020】
また前記測定開始条件として、はんだ付け作業を終了してはんだごてを所定のこて台に戻したことを検出した時点を採用した場合は、こて台に配した検出手段により、はんだごてが該こて台に戻されたことが検出されると、その検出信号が発せられた時点から、前記第2の時間測定手段が時間計測を開始し、予め設定された時間の経過によりはんだが凝固した旨の凝固完了信号が出力され、これが前記出力手段によって報知されることになる。
【0021】
請求項4に記載の発明の手作業はんだ付け工程の時間管理装置によれば、以上のように作用するものであるが、いずれにしても、前記第2の時間測定手段による時間計測の測定開始条件が、最終はんだ付け部位のはんだ付け作業の終了を確実に確認し得ると共に、条件成立がその時点そのものを示すか又は極めて近接する時点を示すものであるため、正確な時間測定の起点を示すものとなり得るものである。またその条件の成立を比較的簡易に検出可能なものである利点もある。
【0022】
請求項5に記載の発明の手作業はんだ付け工程の時間管理装置によれば、前記時間判定手段のNG信号の報知及び前記第2の時間測定手段の凝固完了信号の報知について、適切な報知出力の発生手段を選択することにより、作業者にそれぞれの区別がし易く、誤りなく作業ができるようにすることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明の手作業はんだ付け工程の時間管理装置によれば、接触回数計数手段から出力される計数結果出力が、作業数判定手段で被はんだ付け対象のはんだ付け対象部位の数である設定数と一致するか否かが判定され、一致している場合はGO信号を、一致していない場合はNG信号を出力することになっている。
作業数判定手段は、作業終了検出手段が作業終了を検出した場合には、そのときのみ、接触回数計数手段からの接触回数計数結果を入力可能としているか、又はそのときのみ、出力を可能にするようになっているため、いずれにしても、作業者がはんだ付け作業を終了させた時点で、当該の被はんだ付け対象のはんだ付け対象部位の数のはんだ付け作業数が行われたか否かの信号が出力されることになる。
それ故、作業者は、はんだ付け作業を終了した時点で、出力手段からの報知出力により当該の被はんだ付け対象のはんだ付け対象部位の全てのはんだ付け作業を間違いなく終了させたか否かが認識できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の手作業はんだ付け工程における時間管理装置を示すブロック図。
【図2】実施例2の手作業はんだ付け工程における時間管理装置を示すブロック図。
【図3】実施例1、2の手作業はんだ付け工程における時間管理装置を使用する際の測定状態を示す模式構成例。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、発明を実施するための形態を、添付図を参照しつつ実施例の手作業はんだ付け工程の時間管理装置に基づいて説明する。
【0026】
<実施例1>
図1は、実施例1の時間管理装置1と、プリント配線板2及びはんだごて3とからなる各構成要素、並びにはんだ付け対象間の相互関連を図示したブロック図である。この時間管理装置1は、交流及び直流信号を発生する信号源11を備えており、該信号源11は、信号端子(第1の端子)12を介して処理対象であるプリント配線板2の共通部位aと接続させ得、かつ他の端子であるアース端子(第2の端子)13及びこれに接続した導線Lを介してはんだごて3のこて先3tと、それぞれ接続可能に構成されている。
【0027】
この実施例1の信号源11は、交流信号源11A及び直流信号源11Dの双方を備えている。このように信号源11に、交流信号源11A及び直流信号源11Dの双方を備えるものとしたのは、プリント配線板2の回路構成が一様ではないため、幅広く対応可能にする趣旨である。即ち、回路構成が抵抗及びインダクタンス等の導通形の回路要素で構成されている場合は、直流信号源11Dのみで足りるが、回路中の静電容量Cにより直流が遮断されている場合は交流信号源11Aが必要となる。なお、交流信号源11Aの周波数fは、はんだ付け対象となるプリント配線板2の構成要素、特に介在する静電容量の値によって左右される。交流信号源11Aは周波数を対象のプリント配線板2の条件に応じて自由に変更可能なものとする。
【0028】
この実施例1では、以上のように、信号源11として、交流信号源11Aと直流信号源11Dの双方を備えたものを採用したが、いずれか一方のみを備えたものでも採用可能である。ただし、その場合は、先の説明から理解されるように、はんだ付け対象が限定されざるを得ないことになる。
【0029】
プリント配線板2は、共通部位aから回路要素bを介してはんだ付け対象部位cまでが閉回路を形成しているものとする。従って、時間管理装置1の信号端子12及びアース13の間の外部には、はんだごて3のこて先3tがはんだ付け対象部位cに接触している時点で、プリント配線板2の共通部位a−回路要素b−はんだ付け対象部位cからはんだごて3のこて先3t−導線Lを経由する外部閉回路が形成される。
【0030】
なお、前記導線Lに代えて、接地付きの3ピン電源プラグを使用し、電源の接地極を利用することもできる。
アース端子13に接続された導線Lの他端は、前記のように、はんだごて3のこて先3tと電気的に接続される。従って、はんだごて3のこて先3tの先端部がプリント配線板2のはんだ付け対象部位cに接触している間はこの間が導通状態となり、はんだ付け作業が終了してこて先3tがはんだ付け対象部位cから離脱する際に前記信号源11から供給される信号電流iがこの間では遮断されることになる(信号電流iは完全には遮断されないこともある。その場合は、常時少量の信号電流iが流れることになり、こて先3tのはんだ付け対象部位cへの接触・離脱は、信号電流iの増減をもたらす)。
【0031】
なお、図1中には、以上のプリント配線板2の共通部位aを1箇所として図示しているが、はんだ付け対象部位cの状況に応じて複数箇所をそれして接続することも当然可能である。
【0032】
この実施例1の時間管理装置1の内部には、図1に示すように、信号源11から信号端子12等を通じて外部に流出する信号電流iを電流ピックアップ部14Pを介して検出する信号電流検出部(こて先接触検出手段)14、及びこの信号電流検出部14において信号電流iの検出開始から検出終了又は信号電流iの増加の検出開始から検出終了までの時間を測定する第1の時間測定部(時間測定手段)15が設けられている。
【0033】
なお、この実施例1では、前記信号電流検出部14は、信号電流iの検出開始から検出終了又は信号電流iの増加の検出開始から検出終了までの間は、持続する所定電圧レベルの検出信号を出力するように構成する。検出信号の立ち上がりが検出開始を示し、立ち下がりが検出終了を示すと云うことができる。なおまた、この実施例1の信号電流検出部14としてはオフセットの小さい増幅器が適している。
【0034】
また前記第1の時間測定部15は、前記信号電流検出部14の検出信号を受け入れて処理する、閾値を有する増幅器及び検波器と、これらによって処理された信号の持続時間をその間に出力される所定周波数のパルスを計数して計測する、所定周波数のパルス信号を生成する発振器及びその出力パルス数を計数するカウンタとで構成することができる。この第1の時間測定部15では、前記信号電流検出部14の検出信号の持続時間、即ち、はんだごて3のこて先3tのはんだ付け対象部位cへの接触時間の長さに比例するパルスの計測数が出力される。この計測数は、前記発振器の周波数によって異なるが、例えば、1秒が1000パルスに対応するように設定する。なお、この第1の時間測定部15の出力するパルスの計測数が、はんだごて3のこて先3tがはんだ付け対象部位cに接触している時間を計測して出力する接触時間信号である訳である。
【0035】
またこの実施例1の時間管理装置1の内部には、図1に示すように、前記第1の時間測定部15の出力する接触時間信号であるパルスの計測数を入力して処理する時間判定部(時間判定手段)19が配してある。この時間判定部19は、はんだ付け基準時間であるパルス数を保持する記憶部と、このはんだ付け基準時間であるパルス数と入力された接触時間であるパルスの計測数とを比較する比較部と、評価部とで構成されている。比較部は、はんだ付け基準時間であるパルス数から入力された接触時間信号であるパルスの計測数を減算する機能を備えた構成要素で、評価部は、比較部から出力される数の絶対値が所定値を越えたか否かで、許容範囲内か否かの評価を行う機能を備えた構成要素であり、該所定値は予め設定しておくものとする。評価部は、該所定値の記憶手段を備えた構成要素でもある。例えば、該所定値を1000パルスとし、これを該記憶手段に保持させておくことができる。この場合は、比較部の出力値が1000パルスを越えると、評価部で許容範囲外と評価され、この構成要素を備えた時間判定部19からはNG信号が出力されることになる。比較部の出力値が1000パルス以下であれば、評価部で許容範囲内と評価され、この構成要素を備えた時間判定部19からはGO信号が出力されることになる。
【0036】
前記のように、前記発振器の周波数を1秒が1000パルスに対応するように設定しておくとすると、前記はんだ付け基準時間であるパルス数を保持する記憶部に4000パルス(4秒間相当)を保持させておけば、4秒がはんだ付け基準時間と云うことになり、前記評価部の記憶手段に前記所定値として、前記のように、1000パルスを保持させておけば、はんだ付け作業時間の基準時間は4秒であり、±1秒以内の誤差であれば、GO信号が出力され、±1秒を越えると、NG信号が出力されることになる。即ち、はんだ付け作業時間としては、3〜5秒間が許容されることになる。
なお前記第1の時間測定部15は、前記時間判定部19からGO信号又はNG信号が出力されるとリセットされる。また該時間判定部19もこれに引き続いてリセットされる。
【0037】
該時間判定部19には、図1に示すように、その出力側に報知部(出力手段)20が接続してある。該報知部20は、同図に示すように、LED表示器20a及びブザー20b並びに信号識別・駆動部20cで構成されるものである。信号識別・駆動部20cは、該時間判定部19の出力信号のGO信号とNG信号、後述する第2の時間測定部(第2の時間測定手段)16の出力信号、並びに後述する作業数判定部(作業数判定手段)23のGO信号とNG信号の全てを識別し、それぞれ異なる態様で、LED表示器20a及びブザー20bを発光又は発音駆動するものである。
【0038】
例えば、報知部20に入力した信号が、信号識別・駆動部20cで、時間判定部19のGO信号であると識別された場合は、LED表示器20aの所定時間の継続発光のみを行うものとし、NG信号であると識別された場合は、LED表示器20aを所定時間、短い時間間隔で断続的に発光させ、同時にブザー20bを所定時間、短い時間間隔で断続的に発音駆動するものとする。後述する第2の時間測定部16の出力信号であると識別された場合は、ブザー20bのみを所定時間継続的に発音駆動するようにする。また後述する作業数判定部23のGO信号であると識別された場合は、LED表示器20aの所定時間の継続発光をさせ、同時にブザー20bの所定時間の継続的な発音駆動をし、作業数判定部23のNG信号であると識別された場合は、LED表示器20aを所定時間、長い時間間隔で断続的に発光させ、同時にブザー20bを所定時間、長い時間間隔で断続的に発音駆動するものとする。勿論、これ以外の種々の態様で動作させることも自由である。
【0039】
報知部20は、こうして、該時間判定部19のNG信号を受けた場合に、作業者に、はんだ付け基準時間に対する許容範囲を越えた旨を報知し、許容範囲内である旨のGO信号を受けた場合は、作業者にその旨報知し、更に前記第2の時間測定部16の出力する凝固完了信号を受けて当該はんだ付け対象部位cのはんだの凝固時間が経過した旨を報知する。また後記作業数判定部23の被はんだ付け対象のはんだ付け対象部位cの数と一致するはんだ付け作業を行ったことを確認した旨のGO信号を受けた場合は、作業者にどこも脱落させることなくはんだ付け作業を行った旨の報知を行い、はんだ付け対象部位cの数より多くの又は少ないはんだ付け作業を行った旨のNG信号を受けた場合は、作業者に、はんだ付け対象部位cのいずれかを脱落させたか、無用な位置のはんだ付け作業を行ってしまったかのいずれかである旨を報知する。
【0040】
この時間管理装置1の内部には、図1に示すように、更に前記第2の時間測定部16が配してある。この第2の時間測定部16は、前記信号電流検出部14がはんだごて3のこて先3tのはんだ付け対象部位cからの離脱を検出した旨の信号を出力した時点で時間計測を開始し、予め設定した時間の経過時に凝固完了信号を出力するように構成したものである。前記信号電流検出部14は、前記したように、この実施例1では、はんだごて3のこて先3tがはんだ付け対象部位cに接触している間、一定電圧の出力を継続するように構成してあるものである。それ故、その出力電圧の立ち下がりで、はんだごて3のこて先3tのはんだ付け対象部位cからの離脱を知ることができる。第2の時間測定部16は、この立ち下がりの時点で時間計測を開始し、予め設定した時間の経過時に凝固完了信号を出力する訳である。もっとも、第2の時間測定部16の出力は、後述するように、この実施例1では、作業者がはんだごて3をこて台に載せたことを検出した旨の信号が出力された場合に限り報知部20に出力される。勿論、これに代えて、例えば、はんだ付け作業回数がはんだ付け対象部位cの数に達した旨の信号がある場合に限り報知部20に出力されるようにしても良いのは云うまでもない。
【0041】
図1に示すように、第2の時間測定部16の出力部と報知部20の入力部との間にAND回路21を挿入し、これによって出力を制御することとする。即ち、前記信号電流検出部14から出力される出力信号の立ち下がりは、一つのプリント配線板2毎にはんだ付け対象部位cの数だけあり、第2の時間測定部16へは、この立ち下がりを検出した旨の信号の入力がその数だけ順次あるが、該第2の時間測定部16では、その入力毎に所定時間の計測が行われ、その結果、その入力毎に所定時間の経過後に、凝固完了信号が出力されることになる。しかしこの出力は、全てが、被はんだ付け対象であるプリント配線板2の最後のはんだ付け対象部位cのそれである訳ではないので、前記AND回路21で一定の場合にのみ、即ち、作業者がはんだごて3をこて台に載せたことを検出した旨の信号が出力された場合に限り、出力するように制御するものである。
【0042】
前記AND回路21には、図1に示すように、その入力部の一方に前記第2の時間測定部16の出力部を接続し、他方の入力部には、一つのプリント配線板2毎にはんだごて3のこて台への載置を検出するこて載置検出器22の出力部を接続し、はんだ付け作業が完了してはんだごて3がこて台に載置された旨の信号の入力のある場合にのみ、該第2の時間測定部16の出力信号が該AND回路21を通過するようにしたものである。該こて載置検出器22は、この実施例1では、こて台のこて先挿入部にこて先3tが挿入されるとONになるスイッチを配して構成したものである。なお、こて載置検出器22は時間管理装置1の一部ではあるが、実際には装置外に配してある。図1中、時間管理装置1の中に配してあるように描かれているのは作図上の便宜である。図2中でも同様である。
【0043】
該第2の時間測定部16は、詳細には、前記信号電流検出部14の検出信号を受け入れてその立ち下がりを検出する検出部と、管理者が設定するパルス数(凝固時間に対応するパルス数)を保持する記憶部と、所定周波数の発振器と、該発振器の発振する所定周波数のパルスを前記検出部が立ち下がりを検出した時点で計数開始するカウンタと、該カウンタの出力を前記記憶部の保持している設定パルス数と比較し、一致した時点で凝固完了信号を出力する比較部とで構成したものである。勿論、同様の機能を有する他の構成を採用することも自由である。
【0044】
前記記憶部が保持する設定パルス数は、はんだの凝固時間として適当な時間の経過と一致する時間に対応するそれとする。例えば、はんだの凝固時間として1秒が適当である場合は、それに対応するパルス数とする。発振器の発振周波数によって異なったものとなるが、1000パルスが1秒に対応するとすれば、そのように設定するものとする。
【0045】
前記のように、第2の時間測定部16からは、プリント配線板2のはんだ付け対象部位cのはんだ付け作業が終了した時点から所定時間経過後毎に凝固完了信号が出力されるが、その凝固完了信号は、前記のように、AND回路21を介して報知部20に入力されるようになっているので、該AND回路21の他の入力部に、こて載置検出器22からの、はんだ付け作業が終了してこて台にはんだごて3が載置された旨の信号の入力があって初めて報知部20に入力されることになる。
【0046】
該凝固完了信号が該報知部20に入力されると、前記のように、その信号識別・駆動部20cで、第2の時間測定部16の出力信号である凝固完了信号であると識別され、前記のように、ブザー20bの所定時間の継続的な発音駆動が生じることになる。こうして、作業者は、はんだの凝固のために、はんだ付け対象部位cを固定状態にしておくべき、最短時間の経過を正確に知ることができる。
【0047】
この時間管理装置1の内部には、図1に示すように、更に、前記作業数判定部24及び関係の構成要素が配してある。具体的には、接触回数計数部(接触回数計数手段)23、該作業数判定部24、AND回路25及び作業終了検出手段であり、一つのプリント配線板2毎にはんだ付け作業数を確認して、はんだ付け対象部位cの全てのはんだ付け作業を確実に行ったか、不足はないか、無用な作業をしていないかを確認するものである。なお、該作業終了検出手段は、この実施例1では、前記こて載置検出器22をそれとして兼用する。
【0048】
前記接触回数計数部23は、被はんだ付け対象であるプリント配線板2のはんだ付け対象部位cへのこて先の接触回数を計数する手段である。この接触回数計数部23は、詳細には、前記信号電流検出部14の検出信号を受け入れてその立ち下がりを検出し、その検出毎にワンパルスを出力する検出部と、その出力パルスを計数し、その合計値を出力するカウンタとで構成したものである。該カウンタの出力がこの接触回数計数部23の出力となる。なお、該カウンタは、前記AND回路25で出力が生じる毎にリセットされるようになっている。
【0049】
前記作業数判定部24は、該接触回数計数部23の計数結果出力を被はんだ付け対象のはんだ付け対象部位cの数である設定数と比較して一致しているか否かを判定し、一致している場合はGO信号を、一致していない場合はNG信号を出力する手段である。具体的には、該接触回数計数部23の計数結果出力を被はんだ付け対象のはんだ付け対象部位cの数である設定数と比較する比較部と、該設定数を保持する記憶部とで構成したものである。該設定数は管理者が被はんだ付け対象であるプリント配線板2のはんだ付け対象部位cの数を確認し、これを該記憶部に記憶保持させておくものとする。
【0050】
前記AND回路25は、該作業数判定部24の出力と前記こて載置検出器22の出力が揃った場合に出力を生じる手段であり、より具体的には、前記こて載置検出器22がこて台へのはんだごて3の載置を検出し、その旨の信号を出力した場合に、AND回路25は、一方の入力部でその旨の信号を受け取っている間に、他の入力部で該作業数判定部24の判定結果出力であるGO信号又はNg信号が受け取ると、その時点の該作業数判定部24の出力のみを通過させ、それらのみを出力させることになるものである。AND回路25は、そのように作用するものであり、それ故、図1に示すように、その一方の入力部には、作業数判定部24の出力部を接続し、他の入力部には前記こて載置検出器22の出力部を接続してある。該AND回路25の出力部は前記報知部20の入力部に接続してある。該報知部20では、信号識別・駆動部20cで信号の種別が識別され、LED表示器20a及びブザー20bを適切な報知動作を行うべく駆動する。
【0051】
従って前記接触回数計数部23は、前記信号電流検出部14の立ち下がりの信号を受け取る毎に、はんだごて3のこて先3tが一箇所のはんだ付け対象部位cのはんだ付け作業を完了させてその部位から離脱したことを検出し、その回数を計数し、その計数結果を出力する。前記作業数判定部24では、該接触回数計数部23の計数結果出力を受け取って、その計数値を記憶手段が保持している設定数、即ち、当該の被はんだ付け対象であるプリント配線板2のはんだ付け対象部位cの数と比較し、一致していれば、GO信号を、一致していなければ、NG信号を出力する。前記AND回路25は、一方の入力部で該作業数判定部24からの以上のGO信号又はNG信号を受け取るが、他方の入力部に前記こて載置検出器22からの、こて台にはんだごて3が戻って載置されたことが検出された旨の信号を受け取らない限り、該作業数判定部24のその出力を遮断し、前記こて載置検出器22からのこて台にはんだごて3が載置されたことが検出された旨の信号が入力され、そのその入力が継続する間に入力された該作業数判定部24の出力信号を出力する。
【0052】
該AND回路25の出力は、前記のように、報知部20に入力され、該報知部20では、信号識別・駆動部20cで信号の種別が識別され、LED表示器20a及びブザー20bを適切な報知動作を行うべく駆動する。具体的には、AND回路25の出力が、作業数判定部24のGO信号である場合には、LED表示器20aに所定時間の継続発光をさせ、同時にブザー20bに所定時間の継続的な発音駆動をさせる。作業数判定部24のNG信号である場合には、LED表示器20aに所定時間の長い時間間隔での断続的発光をさせ、同時にブザー20bに所定時間の長い時間間隔での断続的な発音駆動をさせる。
【0053】
こうして作業者は、各々の被はんだ付け対象であるプリント配線板2のはんだ付け作業を終了した時点で、報知部20のLED表示器20a及びブザー20bの動作により当該のプリント配線板2のはんだ付け対象部位cの全てのはんだ付け作業を間違いなく終了させたか否かが確認できるようになっている。
【0054】
従ってこの実施例1の時間管理装置1によれば、前記し、かつ図3に示すように、その信号端子12をはんだ付け処理対象であるプリント配線板2の共通部位aに接続し、アース端子をはんだごて3のこて先3tに導線Lを介して接続し、こて台にこて載置検出器22をセットすると共に、その出力を時間管理装置1本体に接続し、更に前記時間判定部19の記憶部に適切なはんだ付け基準時間であるパルス数及び許容範囲を示すパルス数を設定保持させ、また第2の時間測定部16の記憶部にはんだの最短凝固時間に対応するパルス数を設定保持させ、加えて作業数判定部24の記憶部に被はんだ付け対象であるプリント配線板2のはんだ付け対象部位cの数を記憶保持させた上で、作業を開始する。
【0055】
作業者がはんだごて3のこて先3tを、図3に示すように、取付部品wのはんだ付け対象部位c2に接触させると、前記のように、はんだごて3のこて先3tを介して、信号電流iが流れ始め、またはそれが増加し、これが信号電流検出部14で検出され、その検出を継続する時間が前記第1の時間測定部15で計測される。作業者が、はんだ付けが終了してこて先3tを前記取付部品wのはんだ付け対象部位c2から離脱させると、信号電流検出部14の検出信号が立ち下がり、第1の時間測定部15に於ける計測が終了して接触時間信号であるパルスの計測数が出力されることになる。
【0056】
該接触時間信号は時間判定部19に入力され、その比較部で接触時間信号であるパルスの計測数とはんだ付け基準時間である設定パルス数とが比較され、設定されている許容範囲、例えば、前記したように、それが1000パルス以下であれば、評価部で許容範囲内であるとして時間判定部19からGO信号が出力され、1000パルスを越えていれば、評価部で許容範囲外であると評価され、時間判定部19からNG信号が出力されることになる。
【0057】
これらのGO信号又はNG信号は、前記報知部20に入力され、信号識別・駆動部20cでいずれであるか識別され、LED表示器20a、ブザー20bからそれぞれ前記した対応する報知動作が行われ、作業者は、自らの行ったはんだ付け作業がどのように評価されたかが直ちに理解できる。
【0058】
他方、前記信号電流検出部14の出力する信号電流検出部14の検出信号が立ち下がると、第2の時間測定部16では、その検出部がこれを検出し、前記したように、カウンタが発振器の出力するパルス数の計数を開始し、その出力計数値が、比較部で順次記憶部が保持する設定パルス数と比較され、その出力計数値が設定パルス数と一致するに至ると、その時点で、凝固完了信号が出力されることになる。
【0059】
該凝固完了信号は、前記のように、AND回路21の一方の入力部に入力し、他方の入力部にも信号が入力し、二つの入力部に信号が揃うと、該AND回路21の出力部に出力信号が生じ、これが前記報知部20に入力することになる。該AND回路21の他の入力部には、この実施例1では、こて載置検出器22の出力部が接続してあり、該こて載置検出器22では、作業者が一枚のプリント配線板2のはんだ付け作業を完了させてはんだごて3をこて台に載置したことが検出され、その旨の信号が入力されると、これが入力されている間に前記一方の入力部に入力している凝固完了信号が該AND回路21から出力されることになる。要するに、はんだごて3がこて台に戻されたことが検出されたことにより、最後のはんだ付け対象部位cのはんだ付け作業が終わったことが確認された訳であり、このとき出力されている凝固完了信号は、最後のはんだ付け作業によるはんだの凝固完了を意味するものである。
【0060】
そしてこのように該凝固完了信号が該報知部20に入力されると、前記のように、その信号識別・駆動部20cで、いずれの信号であるかが識別され、前記のように、ブザー20bの所定時間の継続的な発音駆動が生じ、作業者は、はんだの凝固のために、はんだ付け対象部位cを固定状態にしておくべき、最短時間の経過を正確に知ることができる。
【0061】
更に前記接触回数計数部23では、前記信号電流検出部14の立ち下がりの信号を受け取る毎に、はんだごて3のこて先3tが一箇所のはんだ付け対象部位cから離脱したことを検出し、その回数を計数して計数結果を出力し、前記作業数判定部24では、その計数結果出力を受け取って、これを記憶手段が保持している設定数(当該の被はんだ付け対象であるプリント配線板2のはんだ付け対象部位cの数)と比較し、一致していれば、GO信号を、一致していなければ、NG信号を出力する。前記AND回路25では、一方の入力部で該作業数判定部24からの以上のGO信号又はNG信号を継続的に受け取り、それが、他方の入力部に前記こて載置検出器22からの、こて台にはんだごて3が戻って載置されたことが検出された旨の信号を受け取っている間のものである場合に限り、出力する。
【0062】
該AND回路25の出力は、前記のように、報知部20に入力され、該報知部20では、信号識別・駆動部20cで信号の種別が識別され、LED表示器20a及びブザー20bを適切な報知動作を行うべく駆動する。AND回路25の出力が、作業数判定部24のGO信号である場合には、LED表示器20aに所定時間の継続発光をさせ、同時にブザー20bに所定時間の継続的な発音駆動をさせる。作業数判定部24のNG信号である場合には、LED表示器20aに所定時間の長い時間間隔での断続的発光をさせ、同時にブザー20bに所定時間の長い時間間隔での断続的な発音駆動をさせる。
【0063】
こうして作業者は、各々の被はんだ付け対象であるプリント配線板2のはんだ付け作業を終了した時点で、報知部20のLED表示器20a及びブザー20bの動作により当該のプリント配線板2のはんだ付け対象部位cの全てのはんだ付け作業を間違いなく終了させたか否かが確認できる。
【0064】
<実施例2>
実施例2の手作業はんだ付け工程における時間管理装置は、図2に示すように、実施例1のそれと殆ど同様であり、報知部20にデータ送出部17を並設した点が異なるのみである。従ってその点に関してのみ説明する。
【0065】
該データ送出部17は、図2に示すように、該報知部20に入力される信号を、信号識別・駆動部20cの直前で分岐して受け取り、それらを所定の電圧レベルその他の調整又は変換を行い、一定のデータ形式する手段であり、その信号をコネクタ18の各接点を構成する電極に適切に配分するものである。
【0066】
従って、前記時間判定部19の出力するGO信号、NG信号、第2の時間測定部の出力する凝固完了信号及び作業数判定部24の出力するGO信号並びにNG信号を前記一定のデータ形式で前記コネクタ18を介して外部装置に出力することができる。該コネクタ18を介して図示していない外部のコンピュータに接続した場合は、該コンピュータに於いて、所定の処理プログラムに従って表示、記録、伝送、集計等に利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 時間管理装置
2 プリント配線板
3 はんだごて
3t こて先
11 信号源
11A 交流信号源
11D 直流信号源
12 信号端子(第1の端子)
13 アース端子(第2の端子)
14 信号電流検出部(こて先接触検出手段)
14p 電流ピックアップ部
15 第1の時間測定部(時間測定手段)
16 第2の時間測定部(第2の時間測定手段)
17 データ送出部
18 コネクタ
19 時間判定部
20 報知部(出力手段)
20a LED表示器
20b ブザー
21 第2の時間測定部の出力を制御するAND回路
22 こて載置検出器
23 接触回数計数部(接触回数計数手段)
24 作業数判定部(作業数判定手段)
25 作業数判定部の出力を制御するAND回路
a 共通部位
b 回路要素
c はんだ付け対象部位
L 導線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流及び/又は直流の信号の発生源である信号源であって、被はんだ付け対象であるプリント配線板の単一ないし複数箇所に接続される第1の端子及びはんだごての先端部に接続される第2の端子を備えた信号源と、
該信号源の第2の端子に接続されたはんだごてのこて先がはんだ付け対象部位に接触する間に電流が流れ又は流れている電流が増大するのを検出し、こて先の接触及び離脱を検出するこて先接触検出手段と、
該こて先接触検出手段がこて先の接触を検出している時間を計測して接触時間信号を出力する時間測定手段と、
前記時間測定手段の出力した接触時間信号による接触時間と予め設定したはんだ付け基準時間とを比較してその差が許容範囲内である場合にGO信号を、許容範囲外である場合にNG信号をそれぞれ出力する時間判定手段と、
該時間判定手段のNG信号を受けた場合にはんだ付け基準時間に対する許容範囲外となった旨を報知する出力手段と、
を備えた手作業はんだ付け工程の時間管理装置。
【請求項2】
前記出力手段に、前記時間判定手段の出力するGO信号及びNG信号を外部出力する機能を付加した、請求項1に記載の手作業はんだ付け工程の時間管理装置。
【請求項3】
前記時間測定手段に、予め設定した、被はんだ付け対象であるプリント配線板の最終はんだ付け部位のはんだ付け作業の終了を確認し得る測定開始条件を検出した時点から時間計測を開始し、該検出した時点から予め設定した時間の経過時にはんだの凝固完了を伝える凝固完了信号を出力する第2の時間測定手段を付加し、
前記出力手段に、該第2の時間測定手段の出力する凝固完了信号を受けて当該はんだ付け対象部位のはんだの凝固に要する時間が経過した旨を報知する機能を付加した、請求項1に記載の手作業はんだ付け工程の時間管理装置。
【請求項4】
前記測定開始条件を、前記こて先接触検出手段が被はんだ付け対象の最後のはんだ付け対象部位からのこて先の離脱を検出した時点であること又ははんだ付け作業を終了してはんだごてを所定のこて台に戻したことを検出した時点であることとした請求項3に記載の手作業はんだ付け工程の時間管理装置。
【請求項5】
前記出力手段を、前記時間判定手段のNG信号を受けて出力する報知出力及び前記第2の時間測定手段の凝固完了信号を受けて出力する報知出力の発生手段として、それぞれ音色の異なる可聴出力手段、光色の異なる可視表示手段、文字ないし記号によるディスプレイ表示手段、合成音声ないし録音音声を音源とする音声報知手段のいずれか又はこれらの任意組合せによる手段を備えたものに構成した、請求項3又は4に記載の手作業はんだ付け工程の時間管理装置。
【請求項6】
前記時間測定手段に、被はんだ付け対象のはんだ付け対象部位へのこて先の接触回数を計数する接触回数計数手段、該接触回数計数手段の計数結果出力を該被はんだ付け対象のはんだ付け対象部位の数である設定数と比較して一致しているか否かを判定し、一致している場合はGO信号を、一致していない場合はNG信号を出力する作業数判定手段、及びはんだ付け作業の終了を検出し、そのときのみ、該作業数判定手段に接触回数計数手段からの接触回数計数結果を入力可能にするか、又はそのときのみ、該作業数判定手段の出力を出力可能にするように機能する作業終了検出手段を付加し、
前記出力手段に、NG信号、GO信号を区別して報知できるように構成した請求項1、2、3又は4に記載の手作業はんだ付け工程の時間管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−182907(P2010−182907A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25622(P2009−25622)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(592013233)日本ボンコート株式会社 (3)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】