手動変速機
【課題】複数の「HV走行変速段」及び「EV走行変速段」を備えた手動変速機にて、HV走行時及びEV走行時で電動機の回転速度を安定して適切な範囲内に調整すること。
【解決手段】この手動変速機は、クラッチC/Tを介して内燃機関E/Gから動力が入力される入力軸Aiと、駆動輪に動力を伝達する出力軸Aoと、電動機M/Gの出力軸Amとを備える。この変速機は、動力伝達系統がAi−Ao間で確立されない(ニュートラルとは異なる)EV走行用の変速段(EV)と、動力伝達系統がAi−Ao間で確立されるHV走行用の複数の変速段(2速〜5速)とを有する。「EV」選択時、Aoに設けられたEV走行専用の固定ギヤ(Gev)とAmとが動力伝達可能に接続される。「2速」〜「5速」選択時、Aoに設けられた特定の変速段用の遊転ギヤ(G2o)とAmとが動力伝達可能に接続される。
【解決手段】この手動変速機は、クラッチC/Tを介して内燃機関E/Gから動力が入力される入力軸Aiと、駆動輪に動力を伝達する出力軸Aoと、電動機M/Gの出力軸Amとを備える。この変速機は、動力伝達系統がAi−Ao間で確立されない(ニュートラルとは異なる)EV走行用の変速段(EV)と、動力伝達系統がAi−Ao間で確立されるHV走行用の複数の変速段(2速〜5速)とを有する。「EV」選択時、Aoに設けられたEV走行専用の固定ギヤ(Gev)とAmとが動力伝達可能に接続される。「2速」〜「5速」選択時、Aoに設けられた特定の変速段用の遊転ギヤ(G2o)とAmとが動力伝達可能に接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源として内燃機関と電動機とを備えた車両に適用される手動変速機に関し、特に、内燃機関の出力軸と手動変速機の入力軸との間に摩擦クラッチが介装された車両に適用されるものに係わる。
【背景技術】
【0002】
従来より、動力源としてエンジンと電動機とを備えた所謂ハイブリッド車両が広く知られている(例えば、特許文献1を参照)。ハイブリット車両では、電動機の出力軸が、内燃機関の出力軸、変速機の入力軸、及び変速機の出力軸の何れかに接続される構成が採用され得る。以下、内燃機関の出力軸の駆動トルクを「内燃機関駆動トルク」と呼び、電動機の出力軸の駆動トルクを「電動機駆動トルク」と呼ぶ。
【0003】
近年、手動変速機と摩擦クラッチとを備えたハイブリッド車両(以下、「HV−MT車」と呼ぶ)に適用される動力伝達制御装置が開発されてきている。ここにいう「手動変速機」とは、運転者により操作されるシフトレバーのシフト位置に応じて変速段が選択されるトルクコンバータを備えない変速機(所謂、マニュアルトランスミッション、MT)である。また、ここにいう「摩擦クラッチ」とは、内燃機関の出力軸と手動変速機の入力軸との間に介装されて、運転者により操作されるクラッチペダルの操作量に応じて摩擦プレートの接合状態が変化するクラッチである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−224710号公報
【発明の概要】
【0005】
ハイブリッド車両では、内燃機関駆動トルクと電動機駆動トルクの両方を利用して車両が走行する状態(以下、「HV走行」と呼ぶ)が実現され得る。近年、このHV走行に加えて、内燃機関を停止状態(内燃機関の出力軸の回転が停止した状態)に維持しながら電動機駆動トルクのみを利用して車両が走行する状態(以下、「EV走行」と呼ぶ)が実現できるハイブリッド車両が開発されてきている。
【0006】
HV−MT車において、運転者がクラッチペダルを操作しない状態(即ち、クラッチが接合された状態)においてEV走行を実現するためには、変速機の入力軸が回転しない状態を維持しながら変速機の出力軸が電動機駆動トルクにより駆動される必要がある。このためには、電動機の出力軸が変速機の出力軸に接続されることに加え、変速機が「変速機の入力軸と変速機の出力軸との間で動力伝達系統が確立されない状態」に維持される必要がある。
【0007】
以下、「(クラッチを介して)内燃機関から動力が入力される入力軸」と「電動機から動力が入力される(即ち、電動機の出力軸が動力伝達可能に常時接続された)出力軸」とを備えた手動変速機を想定する。この手動変速機では、入力軸・出力軸間での動力伝達系統の確立の有無にかかわらず、電動機駆動トルクを手動変速機の出力軸(従って、駆動輪)に任意に伝達することができる。
【0008】
従って、この手動変速機を利用してHV走行に加えて上記のEV走行を実現するためには、手動変速機の変速段として、HV走行用の「変速機の入力軸・出力軸間で動力伝達系統が確立される変速段」(以下、「HV走行用変速段」と呼ぶ)に加えて、EV走行用の「変速機の入力軸・出力軸間で動力伝達系統が確立されない変速段」(ニュートラルとは異なる変速段。以下、「EV走行変速段」と呼ぶ)が設けられる必要がある。
【0009】
即ち、この手動変速機では、シフトレバーをシフトパターン上において複数のHV走行用変速段に対応するそれぞれのHV走行シフト完了位置に移動することにより、入力軸・出力軸間で、「減速比」が対応するHV走行用変速段に対応するそれぞれの値に設定される動力伝達系統が確立され、シフトレバーをシフトパターン上においてEV走行用変速段に対応するEV走行シフト完了位置(ニュートラル位置とは異なる)に移動することにより、入力軸・出力軸間で動力伝達系統が確立されない。
【0010】
ところで、本出願人は、この種のHV−MT車用の手動変速機を既に提案している(例えば、特願2011−92124号を参照)。この出願では、電動機の出力軸と変速機の出力軸とが共通の1本の軸で兼用された手動変速機が開示されている。この構成によれば、電動機の出力軸と変速機の出力軸とを個別に設ける必要がないので、変速機全体をコンパクト化し易くなる。
【0011】
この出願に開示された構成では、電動機の出力軸が変速機の出力軸と一体で常時回転する。換言すれば、変速機の出力軸の回転速度(従って、車速)に対する電動機の出力軸の回転速度の割合(以下、「電動機変速比」と呼ぶ)を変更することができない。従って、HV走行時とEV走行時とで電動機変速比を異ならせることができない。
【0012】
一般に、EV走行は、車両発進時等の比較的低速走行時に主として使用されることが多い。一方、HV走行は、高速側の変速段が使用される比較的高速走行時においても使用される。即ち、HV走行時の車速域とEV走行時の車速域とは異なる。従って、HV走行時及びEV走行時で電動機の回転速度を安定して適切な範囲内に調整する観点からは、HV走行時とEV走行時とで電動機変速比を異ならせる必要がある。
【0013】
本発明の目的は、複数の「HV走行変速段」と「EV走行変速段」とを備えた手動変速機であって、HV走行時及びEV走行時で電動機の回転速度を安定して適切な範囲内に調整し易いものを提供することにある。
【0014】
本発明に係る手動変速機の特徴は、前記電動機の出力軸と前記変速機の出力軸との間の接続状態を変更する接続切替機構を備えたことにある。この接続切替機構は、「変速機の出力軸に相対回転不能に設けられたEV走行用固定ギヤと電動機の出力軸とが動力伝達可能に接続された第1接続状態」と、「複数のHV走行用変速段の遊転ギヤのうち変速機の出力軸に設けられた特定の遊転ギヤと電動機の出力軸とが動力伝達可能に接続された第2接続状態」と、を選択的に実現するように構成される。
【0015】
上記構成によれば、シフト操作部材の位置がEV走行シフト完了位置にある場合には「第1接続状態」が実現され得、シフト操作部材の位置が複数のHV走行シフト完了位置のうちの何れかにある場合には「第2接続状態」が実現され得る。即ち、EV走行時とHV走行時とで電動機変速比を異ならせることができる。
【0016】
加えて、複数のHV走行用変速段のうち選択される変速段がより高速側であるほど、同じ(或る)車速に対する変速機の入力軸の回転速度が小さくなる。変速機の出力軸に設けられた「特定の遊転ギヤ」(例えば、2速の遊転ギヤ)は、変速機の入力軸と一体で回転する対応する固定ギヤ(例えば、2速の固定ギヤ)と常時歯合している。これらのことから、第2接続状態では、複数のHV走行用変速段のうち選択される変速段がより高速側であるほど、同じ(或る)車速に対する「特定の遊転ギヤ」の回転速度(従って、電動機の回転速度)が小さくなる。このことは、低速側の変速段が選択される比較的低速走行時から高速側の変速段が選択される比較的高速走行時までに亘って電動機の回転速度の変動範囲が小さくなることを意味する。この結果、電動機の回転速度を安定して適切な範囲内に調整し易くなる。
【0017】
また、上記本発明に係る手動変速機では、前記第1、第2接続状態に加えて、「変速機の出力軸と電動機の出力軸とが動力伝達可能に接続されない非接続状態」を選択的に実現するように構成されることが好適である。これによれば、シフト操作部材の位置が複数のHV走行シフト完了位置のうちの何れかにある場合、「第2接続状態」と「非接続状態」とが選択的に実現され得る。「非接続状態」では、内燃機関駆動トルクのみを利用して車両が走行する状態(以下、「EG走行」と呼ぶ)が実現される。
【0018】
以上より、シフト操作部材の位置が複数のHV走行シフト完了位置のうちの何れかにある場合、「第2接続状態」選択時ではHV走行が実現され、「非接続状態」選択時ではEG走行が実現され得る。「第2接続状態」と「非接続状態」との選択は、車両の走行状態(車速、アクセル開度等)の検出結果に基づいてアクチュエータの駆動力等を利用して実行されてもよいし、シフト操作部材以外の運転者により操作される切替部材の操作に基づいて前記切替部材の操作力、アクチュエータの駆動力等を利用して実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るHV−MT車用の動力伝達制御装置のN位置が選択された状態における概略構成図である。
【図2】N位置が選択された状態におけるS&Sシャフト及び複数のフォークシャフトの位置関係を示した模式図である。
【図3】「スリーブ及びフォークシャフト」とS&Sシャフトとの係合状態を示した模式図である。
【図4】シフトパターンの詳細を示した図である。
【図5】EV位置が選択された状態における図1に対応する図である。
【図6】EV位置が選択された状態における図2に対応する図である。
【図7】2速位置(HV走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図8】2速位置が選択された状態における図2に対応する図である。
【図9】2速位置(EG走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図10】3速位置(HV走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図11】3速位置が選択された状態における図2に対応する図である。
【図12】3速位置(EG走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図13】4速位置(HV走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図14】4速位置が選択された状態における図2に対応する図である。
【図15】4速位置(EG走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図16】5速位置(HV走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図17】5速位置が選択された状態における図2に対応する図である。
【図18】5速位置(EG走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図19】本発明の実施形態の変形例に係る動力伝達制御装置の図1に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る手動変速機を含む車両の動力伝達制御装置(以下、「本装置」と呼ぶ)について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本装置は、「動力源としてエンジンE/GとモータジェネレータM/Gとを備え、且つ、トルクコンバータを備えない手動変速機M/Tと、摩擦クラッチC/Tとを備えた車両」、即ち、上記「HV−MT車」に適用される。この「HV−MT車」は、前輪駆動車であっても、後輪駆動車であっても、4輪駆動車であってもよい。
【0021】
(全体構成)
先ず、本装置の全体構成について説明する。エンジンE/Gは、周知の内燃機関であり、例えば、ガソリンを燃料として使用するガソリンエンジン、軽油を燃料として使用するディーゼルエンジンである。
【0022】
手動変速機M/Tは、運転者により操作されるシフトレバーSLのシフト位置に応じて変速段が選択されるトルクコンバータを備えない変速機(所謂、マニュアルトランスミッション)である。M/Tは、E/Gの出力軸Aeから動力が入力される入力軸Aiと、車両の駆動輪へ動力を出力する出力軸Aoと、M/Gから動力が入力されるMG軸Amと、を備える。入力軸Ai、出力軸Ao、及びMG軸Amは互いに平行に配置されている。M/Tの構成の詳細は後述する。
【0023】
摩擦クラッチC/Tは、E/Gの出力軸AeとM/Tの入力軸Aiとの間に介装されている。C/Tは、運転者により操作されるクラッチペダルCPの操作量(踏み込み量)に応じて摩擦プレートの接合状態(より具体的には、Aeと一体回転するフライホイールに対する、Aiと一体回転する摩擦プレートの軸方向位置)が変化する周知のクラッチである。
【0024】
C/Tの接合状態(摩擦プレートの軸方向位置)は、クラッチペダルCPとC/T(摩擦プレート)とを機械的に連結するリンク機構等を利用してCPの操作量に応じて機械的に調整されてもよいし、CPの操作量を検出するセンサ(後述するセンサP1)の検出結果に基づいて作動するアクチュエータの駆動力を利用して電気的に(所謂バイ・ワイヤ方式で)調整されてもよい。
【0025】
モータジェネレータM/Gは、周知の構成(例えば、交流同期モータ)の1つを有していて、例えば、ロータ(図示せず)が出力軸Aoと一体回転するようになっている。即ち、M/Gの出力軸とM/Tの出力軸Aoとの間では動力伝達系統が常時確立されている。以下、E/Gの出力軸Aeの駆動トルクを「EGトルク」と呼び、M/Gの出力軸(出力軸Ao)の駆動トルクを「MGトルク」と呼ぶ。
【0026】
また、本装置は、クラッチペダルCPの操作量(踏み込み量、クラッチストローク等)を検出するクラッチ操作量センサP1と、ブレーキペダルBPの操作量(踏力、操作の有無等)を検出するブレーキ操作量センサP2と、アクセルペダルAPの操作量(アクセル開度)を検出するアクセル操作量センサP3と、シフトレバーSLの位置を検出するシフト位置センサP4と、を備えている。
【0027】
更に、本装置は、電子制御ユニットECUを備えている。ECUは、上述のセンサP1〜P4、並びにその他のセンサ等からの情報等に基づいて、E/Gの燃料噴射量(スロットル弁の開度)を制御することでEGトルクを制御するとともに、インバータ(図示せず)を制御することでMGトルクを制御する。
【0028】
(M/Tの構成)
以下、M/Tの構成の詳細について図1〜図4を参照しながら説明する。図1及び図4に示すシフトレバーSLのシフトパターンから理解できるように、本例では、選択される変速段(シフト完了位置)として、前進用の5つの変速段(EV、2速〜5速)、及び後進用の1つの変速段(R)が設けられている。以下、後進用の変速段(R)についての説明は省略する。「EV」は上述したEV走行用変速段であり、「2速」〜「5速」はそれぞれ上述したHV走行用変速段である。以下、説明の便宜上、「N位置」、「第1セレクト位置」、「第2セレクト位置」を含むセレクト操作が可能な範囲を総称して「ニュートラル範囲」と呼ぶ。
【0029】
M/Tは、スリーブS1、S2、S3、及びSmを備える。S1、S2、及びS3はそれぞれ、出力軸Aoと一体回転する対応するハブに相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に嵌合された、「2速」用のスリーブ、「3速−4速」用のスリーブ、及び「5速」用のスリーブである。Smは、MG軸Amと一体回転するハブに相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に嵌合された、MG軸Amの接続状態の切り替え用のスリーブである。
【0030】
図2及び図3に示すように、スリーブS1、S2、及びS3はそれぞれ、フォークシャフトFS1、FS2、及びFS3と(フォークを介して)一体に連結されている。FS1、FS2、及びFS3(従って、S1、S2、及びS3)はそれぞれ、シフトレバーSLの操作と連動するS&Sシャフトに設けられたインナレバーIL(図2、図3を参照)によって軸方向(図2では上下方向、図1及び図3では左右方向)に駆動される。
【0031】
図2及び図3では、S&Sシャフトとして、シフトレバーSLのシフト操作(図1、図4では上下方向の操作)によって軸方向に平行移動し且つシフトレバーSLのセレクト操作(図1、図4では左右方向の操作)によって軸中心に回動する「セレクト回転型」が示されているが、SLのシフト操作によって軸中心に回動し且つSLのセレクト操作によって軸方向に平行移動する「シフト回転型」が使用されてもよい。
【0032】
図3に示すように、FS1、FS2、及びFS3にはそれぞれ、シフトヘッドH1、H2、及びH3が一体に設けられている。SLの位置がシフト操作(車両前後方向の操作)によって「ニュートラル範囲」から車両前方側及び後方側の何れの方向に移動しても、即ち、インナレバーILの軸方向位置(図3における左右方向の位置)が、SLの「ニュートラル範囲」に対応する基準位置から何れの方向に移動しても、ILがH1、H2、及びH3のうち選択された何れか一つを軸方向に押圧することによって、FS1、FS2、及びFS3(従って、S1、S2、及びS3)のうち選択された何れか一つが「中立位置」から移動する。これにより、後述するように、対応する変速段が実現される。
【0033】
<MG軸の接続状態の切り替え>
以下、先ず、図1を参照しながら、MG軸の接続状態の切り替えについて説明する。MG軸の接続状態の切り替えは、スリーブSmを駆動してSmの軸方向位置を変更することによってなされる。MG軸Amには、第1遊転ギヤGm1と、第2遊転ギヤGm2とが設けられている。第1遊転ギヤGm1は、出力軸Aoに設けられた固定ギヤGevと常時歯合する。第2遊転ギヤGm2は、出力軸Aoに設けられた2速用の遊転ギヤG2o(「特定の遊転ギヤ」に対応)と常時歯合する。
【0034】
図1に示すように、スリーブSmが中立位置にある場合、Smは、遊転ギヤGm1、Gm2の何れとも係合しない。即ち、MG軸Amと出力軸Aoとの間では動力伝達系統が実現されない。以下、この状態を「非接続状態」と呼ぶ。
【0035】
スリーブSmが中立位置から図1の右方向に駆動されて第1接続位置(後述する図5等を参照)に移動すると、Smが遊転ギヤGm1と係合し、Gm1がMG軸Amに対して相対回転不能に固定される。即ち、MG軸Amは、出力軸Aoに設けられた固定ギヤGevと動力伝達可能に接続される。以下、この状態を「第1接続状態」と呼ぶ。
【0036】
スリーブSmが中立位置から図1の左方向に駆動されて第2接続位置(後述する図7等を参照)に移動すると、Smが遊転ギヤGm2と係合し、Gm2がMG軸Amに対して相対回転不能に固定される。即ち、MG軸Amは、出力軸Aoに設けられた遊転ギヤG2oと動力伝達可能に接続される。以下、この状態を「第2接続状態」と呼ぶ。
【0037】
以上のように、スリーブSmの位置に応じて、非接続状態、第1接続状態、及び第2接続状態が選択的に実現される。スリーブSmを軸方向に駆動するための駆動力としては、ECUにより制御されるアクチュエータACT(図1を参照)の駆動力、並びに、シフトレバーSL以外の運転者によって操作される切替部材(図示せず)の操作力が用いられ得る。
【0038】
スリーブSmの位置の選択(従って、MG軸の接続状態の選択)は、運転者による前記切替部材の操作に基づいて行われ得る。この場合、スリーブSmを駆動するための駆動力として、アクチュエータACTの駆動力、並びに、運転者による前記切替部材の操作力が用いられ得る。また、Smの位置の選択は、車両の走行状態(車速、アクセル開度等)の検出結果に基づいて行われ得る。この場合、スリーブSmを駆動するための駆動力として、アクチュエータACTの駆動力が用いられ得る。
【0039】
<変速段の切り替え>
以下、図1、2、5〜18を参照しながら、各変速段について順に説明していく。なお、以下、SLが或る変速段のシフト完了位置にあることを、その変速段が「選択された」と表現することもある。
【0040】
<N>
図1、2に示すように、シフトレバーSLが「N位置」(より正確には、ニュートラル領域)にある状態では、スリーブS1、S2、及びS3の全てが「中立位置」にある。この状態では、S1、S2、及びS3はそれぞれ、対応する何れの遊転ギヤとも係合していない。即ち、入力軸Aiと出力軸Aoとの間では動力伝達系統が確立されない。
【0041】
加えて、スリーブSmが「中立位置」に制御される。従って、MG軸Amと出力軸Aoとの間でも動力伝達系統が確立されない。MGトルクは「ゼロ」に維持される。以上、SLが「N位置」(より正確には、ニュートラル領域)にある状態では、EGトルク及びMGトルクは共に駆動輪に伝達されない。
【0042】
<EV>
図5、6に示すように、シフトレバーSLが「N位置」から(第1セレクト位置を経由して)「EVのシフト完了位置」に移動すると、S&SシャフトのILがFS1に連結されたヘッドH1の「EV側係合部」を「EV」方向(図6では上方向)に駆動することによって、FS1(従って、S1)のみが(図6では上方向、図5では右方向)に駆動される。この結果、スリーブS1が「EV位置」に移動する。スリーブS2、S3はそれぞれ「中立位置」にある。S1が「EV位置」に移動しても、S1と係合する遊転ギヤが存在しない。従って、入力軸Aiと出力軸Aoとの間では動力伝達系統が確立されない。
【0043】
一方、この場合、Smは「第1接続位置」に制御される(図5を参照)。従って、図5に太い実線で示すように、MG軸Amと出力軸Aoとの間で「Gm1及びGev」を介して確立された動力伝達系統を利用して、前進方向のMGトルクが駆動輪に伝達される。即ち、「EV」が選択された場合、E/Gを停止状態(E/Gの出力軸Aeの回転が停止した状態)に維持しながらMGトルクのみを利用して車両が走行する状態(即ち、上記「EV走行」)が実現される。即ち、この車両では、「EV」を選択することにより、EV走行による前方発進が可能である。MGトルクは、アクセル開度等に応じた大きさの前進方向の値に調整される。
【0044】
なお、「R」が選択された場合も、「EV」が選択された場合と同様、Smを「第1接続位置」に制御することによってEV走行が実現され得る。即ち、「R」を選択することにより、EV走行による後方発進が可能となる。なお、「N位置」(ニュートラル領域)と「EV位置」(及び、「R位置」)との識別は、例えば、シフト位置センサP4の検出結果、並びに、S&Sシャフトの位置を検出するセンサの検出結果等に基づいて達成され得る。
【0045】
<2速>
図7、8に示すように、シフトレバーSLが「N位置」から(第1セレクト位置を経由して)「2速のシフト完了位置」に移動すると、S&SシャフトのILがFS1に連結されたヘッドH1の「2速側係合部」を「2速」方向(図8では下方向)に駆動することによって、FS1(従って、S1)のみが(図8では下方向、図7では左方向)に駆動される。この結果、スリーブS1が「2速位置」に移動する。スリーブS2、S3はそれぞれ「中立位置」にある。
【0046】
この状態では、S1は、遊転ギヤG2oと係合し、遊転ギヤG2oを出力軸Aoに対して相対回転不能に固定している。また、遊転ギヤG2oは、入力軸Aiに固定された固定ギヤG2iと常時噛合している。この結果、図7に太い実線で示すように、入力軸Aiと出力軸Aoとの間で「G2i及びG2o」を介して「2速」に対応するEGトルク用の動力伝達系統が確立される。
【0047】
また、図7では、Smは「第2接続位置」に制御されている。従って、図7に太い実線で示すように、MG軸Amと出力軸Aoとの間で「Gm2及びG2o」を介してMGトルク用の動力伝達系統が確立される。以上、図7に示す状態では、クラッチC/Tを介して伝達されるEGトルクと、MGトルクとの両方を利用して車両が走行する状態(即ち、上記「HV走行」)が実現される。即ち、「2速」のHV走行が可能となる。
【0048】
一方、図9に示すように、「2速」が選択された場合において、Smは「中立位置」にも制御され得る。この場合、MG軸Amと出力軸Aoとの間で動力伝達系統が確立されない。従って、図9に示す状態では、クラッチC/Tを介して伝達されるEGトルクのみを利用して車両が走行する状態(即ち、上記「EG走行」)が実現される。即ち、「2速」のEG走行が可能となる。
【0049】
<3速〜5速>
以下、図10〜図18に示すように、シフトレバーSLが「3速」、「4速」又は「5速」にある場合も、「2速」の場合と同様、Smが「第2接続位置」にある場合には「HV走行」が実現され、Smが「中立位置」にある場合には「EG走行」が可能となる。
【0050】
具体的には、「3速」、「4速」、「5速」ではそれぞれ、入力軸Aiと出力軸Aoとの間で、「G3i及びG3o」、「G4i及びG4o」、「G5i及びG5o」を介して、「3速」、「4速」、「5速」に対応するEGトルク用の動力伝達系統が確立される。また、Smが「第2接続位置」にある場合、「3速」、「4速」、「5速」ではそれぞれ、MG軸Amと出力軸Aoとの間で、「Gm2、G2o、G2i、Ai、G3i、G3o」、「Gm2、G2o、G2i、Ai、G4i、G4o」、「Gm2、G2o、G2i、Ai、G5i、G5o」を介して、MGトルク用の動力伝達系統が確立される。
【0051】
以上、本例では、「EV」(及び「R」)がEV走行用の変速段であり、「2速」〜「5速」はHV走行用の変速段である。EGトルクの伝達系統について、「Aoの回転速度に対するAiの回転速度の割合」を「MT減速比」と呼ぶものとすると、「2速」から「5速」に向けてMT減速比(GNoの歯数/GNiの歯数)(N:2〜5)が次第に小さくなっていく。
【0052】
なお、上記の例では、スリーブS1〜S3の軸方向位置は、シフトレバーSLとスリーブS1〜S3とを機械的に連結するリンク機構(S&Sシャフトとフォークシャフト)等を利用してシフトレバーSLのシフト位置に応じて機械的に調整されている。これに対し、スリーブS1〜S3の軸方向位置が、シフト位置センサP4の検出結果に基づいて作動するアクチュエータの駆動力を利用して電気的に(所謂バイ・ワイヤ方式で)調整されてもよい。
【0053】
(E/Gの制御)
本装置によるE/Gの制御は、大略的に以下のようになされる。車両が停止しているとき、或いは、「N」又は「EV」(又は「R」)が選択されているとき、E/Gが停止状態(燃料噴射がなされない状態)に維持される。E/Gの停止状態において、HV走行用の変速段(「2速」〜「5速」の何れか)が選択されたことに基づいて、E/Gが始動される(燃料噴射が開始される)。E/Gの稼働中(燃料噴射がなされている間)では、アクセル開度等に基づいてEGトルクが制御される。E/Gの稼働中において、「N」又は「EV」(又は「R」)が選択されたこと、或いは、車両が停止したことに基づいて、E/Gが再び停止状態に維持される。
【0054】
(M/Gの制御)
本装置によるM/Gの制御は、大略的に以下のようになされる。車両が停止しているとき、或いは、「N」が選択されているとき、M/Gが停止状態(MGトルク=0)に維持される。「EV」(又は「R」)が選択されたことに基づいて(スリーブSmは「第1接続位置」に制御される)、MGトルクが、アクセル開度及びクラッチストローク等に基づいてEV走行用の値に調整される(EV走行用MGトルク制御)。他方、HV走行用の変速段(「2速」〜「5速」の何れか)が選択されたことに基づいて、スリーブSmが「第2接続位置」にある場合において、MGトルクが、アクセル開度及びクラッチストローク等に基づいてHV走行用の値に調整される(HV走行用MGトルク制御)。EV走行用MGトルク制御とHV走行用MGトルク制御とでは、調整されるMGトルクの大きさが異なる。そして、「N」が選択されたこと、或いは、車両が停止したことに基づいて、M/Gが再び停止状態に維持される。
【0055】
(作用・効果)
本発明の実施形態に係る手動変速機では、EV走行用の変速段(「EV」)が選択された場合には「第1接続状態」が実現されて、「Gm1及びGev」を介してMG軸Amと出力軸Aoとの間で動力伝達系統が確立される。一方、HV走行用の変速段(「2速」〜「5速」の何れか)が選択された場合には「第2接続状態」が実現されて、「Gm2及びG2o」(又は「Gm2及びG2oを含むギヤ列」)を介してMG軸Amと出力軸Aoとの間で動力伝達系統が確立される。即ち、EV走行時とHV走行時とで「Aoの回転速度に対するAmの回転速度の割合」(MG減速比)を異ならせることができる。従って、車速域が異なるHV走行時及びEV走行時の両方においてM/Gの回転速度を安定して適切な範囲内に調整することができる。
【0056】
また、スリーブSmが「第2接続位置」にある場合(即ち、「第2接続状態」)においては、HV走行用の変速段(「2速」〜「5速」)のうち選択される変速段がより高速側であるほど、同じ(或る)車速に対する「特定の遊転ギヤ」(本例では、遊転ギヤG2o)の回転速度(従って、M/Gの回転速度)が小さくなる。これは、選択される変速段がより高速側であるほど、同じ(或る)車速に対する変速機の入力軸Aiの回転速度が小さくなること、並びに、「特定の遊転ギヤ」(本例では、遊転ギヤG2o)が変速機の入力軸Aiと一体で回転する固定ギヤ(本例では、固定ギヤG2i)と常時歯合していること、に基づく。
【0057】
この結果、低速側の変速段が選択される場合には車速に対するM/Gの回転速度の割合が相対的に大きくなり、高速側の変速段が選択される場合には車速に対するM/Gの回転速度の割合が相対的に小さくなる。このことは、低速側の変速段が選択される比較的低速走行時から高速側の変速段が選択される比較的高速走行時までに亘ってM/Gの回転速度の変動範囲が小さくなることを意味する。上記実施形態では、この観点からも、M/Gの回転速度を安定して適切な範囲内に調整し易くなる。
【0058】
また、遊転ギヤGm2と歯合するギヤがHV走行用の変速段(「2速」〜「5速」の何れか)の遊転ギヤ(本例では、「2速」の遊転ギヤG2o)であることによって、変速機全体がコンパクト化され得る。即ち、EV走行時とHV走行時とでMG減速比を異ならせるためには、Gm2と歯合するギヤが出力軸Aoに設けられた(Gev以外の)HV走行専用の第2の固定ギヤであってもよい。この場合、出力軸Aoにおいて、G2o及びGevに加えて、このHV走行専用の第2の固定ギヤを更に設ける必要がある。これに対し、上記実施形態では、このHV走行専用の第2の固定ギヤを設ける必要がないので、この点において変速機全体をコンパクト化できる。
【0059】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、スリーブS1〜S3が共に出力軸Aoに設けられているが、スリーブS1〜S3のうちの一部(前記「特定の遊転ギヤ」と係合するスリーブを含む)が出力軸Aoに残りが入力軸Aiに設けられていてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、HV走行用の変速段(「2速」〜「5速」)の何れかが選択される場合において、スリーブSmの位置は、「第2接続位置」(HV走行に対応)及び「中立位置」(EG走行に対応)の何れかに制御されるが、HV走行用の変速段(「2速」〜「5速」)の何れかが選択される場合において、スリーブSmの位置が「第1接続位置」(HV走行に対応)に制御されてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、MG軸Amに設けられた遊転ギヤGm2が「2速」の遊転ギヤG2oと歯合しているが、図19に示すように、遊転ギヤGm2が「5速」の遊転ギヤG5oと歯合してもよい。或いは、遊転ギヤGm2が「3速」又は「4速」の遊転ギヤG3o又はG4oと歯合してもよい。
【符号の説明】
【0062】
M/T…変速機、E/G…エンジン、C/T…クラッチ、M/G…モータジェネレータ、Ae…エンジンの出力軸、Ai…変速機の入力軸、Ao…変速機の出力軸、Am…MG軸、CP…クラッチペダル、AP…アクセルペダル、BP…ブレーキペダル、P1…クラッチ操作量センサ、P3…アクセル操作量センサ、P4…シフト位置センサ、ECU…電子制御ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源として内燃機関と電動機とを備えた車両に適用される手動変速機に関し、特に、内燃機関の出力軸と手動変速機の入力軸との間に摩擦クラッチが介装された車両に適用されるものに係わる。
【背景技術】
【0002】
従来より、動力源としてエンジンと電動機とを備えた所謂ハイブリッド車両が広く知られている(例えば、特許文献1を参照)。ハイブリット車両では、電動機の出力軸が、内燃機関の出力軸、変速機の入力軸、及び変速機の出力軸の何れかに接続される構成が採用され得る。以下、内燃機関の出力軸の駆動トルクを「内燃機関駆動トルク」と呼び、電動機の出力軸の駆動トルクを「電動機駆動トルク」と呼ぶ。
【0003】
近年、手動変速機と摩擦クラッチとを備えたハイブリッド車両(以下、「HV−MT車」と呼ぶ)に適用される動力伝達制御装置が開発されてきている。ここにいう「手動変速機」とは、運転者により操作されるシフトレバーのシフト位置に応じて変速段が選択されるトルクコンバータを備えない変速機(所謂、マニュアルトランスミッション、MT)である。また、ここにいう「摩擦クラッチ」とは、内燃機関の出力軸と手動変速機の入力軸との間に介装されて、運転者により操作されるクラッチペダルの操作量に応じて摩擦プレートの接合状態が変化するクラッチである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−224710号公報
【発明の概要】
【0005】
ハイブリッド車両では、内燃機関駆動トルクと電動機駆動トルクの両方を利用して車両が走行する状態(以下、「HV走行」と呼ぶ)が実現され得る。近年、このHV走行に加えて、内燃機関を停止状態(内燃機関の出力軸の回転が停止した状態)に維持しながら電動機駆動トルクのみを利用して車両が走行する状態(以下、「EV走行」と呼ぶ)が実現できるハイブリッド車両が開発されてきている。
【0006】
HV−MT車において、運転者がクラッチペダルを操作しない状態(即ち、クラッチが接合された状態)においてEV走行を実現するためには、変速機の入力軸が回転しない状態を維持しながら変速機の出力軸が電動機駆動トルクにより駆動される必要がある。このためには、電動機の出力軸が変速機の出力軸に接続されることに加え、変速機が「変速機の入力軸と変速機の出力軸との間で動力伝達系統が確立されない状態」に維持される必要がある。
【0007】
以下、「(クラッチを介して)内燃機関から動力が入力される入力軸」と「電動機から動力が入力される(即ち、電動機の出力軸が動力伝達可能に常時接続された)出力軸」とを備えた手動変速機を想定する。この手動変速機では、入力軸・出力軸間での動力伝達系統の確立の有無にかかわらず、電動機駆動トルクを手動変速機の出力軸(従って、駆動輪)に任意に伝達することができる。
【0008】
従って、この手動変速機を利用してHV走行に加えて上記のEV走行を実現するためには、手動変速機の変速段として、HV走行用の「変速機の入力軸・出力軸間で動力伝達系統が確立される変速段」(以下、「HV走行用変速段」と呼ぶ)に加えて、EV走行用の「変速機の入力軸・出力軸間で動力伝達系統が確立されない変速段」(ニュートラルとは異なる変速段。以下、「EV走行変速段」と呼ぶ)が設けられる必要がある。
【0009】
即ち、この手動変速機では、シフトレバーをシフトパターン上において複数のHV走行用変速段に対応するそれぞれのHV走行シフト完了位置に移動することにより、入力軸・出力軸間で、「減速比」が対応するHV走行用変速段に対応するそれぞれの値に設定される動力伝達系統が確立され、シフトレバーをシフトパターン上においてEV走行用変速段に対応するEV走行シフト完了位置(ニュートラル位置とは異なる)に移動することにより、入力軸・出力軸間で動力伝達系統が確立されない。
【0010】
ところで、本出願人は、この種のHV−MT車用の手動変速機を既に提案している(例えば、特願2011−92124号を参照)。この出願では、電動機の出力軸と変速機の出力軸とが共通の1本の軸で兼用された手動変速機が開示されている。この構成によれば、電動機の出力軸と変速機の出力軸とを個別に設ける必要がないので、変速機全体をコンパクト化し易くなる。
【0011】
この出願に開示された構成では、電動機の出力軸が変速機の出力軸と一体で常時回転する。換言すれば、変速機の出力軸の回転速度(従って、車速)に対する電動機の出力軸の回転速度の割合(以下、「電動機変速比」と呼ぶ)を変更することができない。従って、HV走行時とEV走行時とで電動機変速比を異ならせることができない。
【0012】
一般に、EV走行は、車両発進時等の比較的低速走行時に主として使用されることが多い。一方、HV走行は、高速側の変速段が使用される比較的高速走行時においても使用される。即ち、HV走行時の車速域とEV走行時の車速域とは異なる。従って、HV走行時及びEV走行時で電動機の回転速度を安定して適切な範囲内に調整する観点からは、HV走行時とEV走行時とで電動機変速比を異ならせる必要がある。
【0013】
本発明の目的は、複数の「HV走行変速段」と「EV走行変速段」とを備えた手動変速機であって、HV走行時及びEV走行時で電動機の回転速度を安定して適切な範囲内に調整し易いものを提供することにある。
【0014】
本発明に係る手動変速機の特徴は、前記電動機の出力軸と前記変速機の出力軸との間の接続状態を変更する接続切替機構を備えたことにある。この接続切替機構は、「変速機の出力軸に相対回転不能に設けられたEV走行用固定ギヤと電動機の出力軸とが動力伝達可能に接続された第1接続状態」と、「複数のHV走行用変速段の遊転ギヤのうち変速機の出力軸に設けられた特定の遊転ギヤと電動機の出力軸とが動力伝達可能に接続された第2接続状態」と、を選択的に実現するように構成される。
【0015】
上記構成によれば、シフト操作部材の位置がEV走行シフト完了位置にある場合には「第1接続状態」が実現され得、シフト操作部材の位置が複数のHV走行シフト完了位置のうちの何れかにある場合には「第2接続状態」が実現され得る。即ち、EV走行時とHV走行時とで電動機変速比を異ならせることができる。
【0016】
加えて、複数のHV走行用変速段のうち選択される変速段がより高速側であるほど、同じ(或る)車速に対する変速機の入力軸の回転速度が小さくなる。変速機の出力軸に設けられた「特定の遊転ギヤ」(例えば、2速の遊転ギヤ)は、変速機の入力軸と一体で回転する対応する固定ギヤ(例えば、2速の固定ギヤ)と常時歯合している。これらのことから、第2接続状態では、複数のHV走行用変速段のうち選択される変速段がより高速側であるほど、同じ(或る)車速に対する「特定の遊転ギヤ」の回転速度(従って、電動機の回転速度)が小さくなる。このことは、低速側の変速段が選択される比較的低速走行時から高速側の変速段が選択される比較的高速走行時までに亘って電動機の回転速度の変動範囲が小さくなることを意味する。この結果、電動機の回転速度を安定して適切な範囲内に調整し易くなる。
【0017】
また、上記本発明に係る手動変速機では、前記第1、第2接続状態に加えて、「変速機の出力軸と電動機の出力軸とが動力伝達可能に接続されない非接続状態」を選択的に実現するように構成されることが好適である。これによれば、シフト操作部材の位置が複数のHV走行シフト完了位置のうちの何れかにある場合、「第2接続状態」と「非接続状態」とが選択的に実現され得る。「非接続状態」では、内燃機関駆動トルクのみを利用して車両が走行する状態(以下、「EG走行」と呼ぶ)が実現される。
【0018】
以上より、シフト操作部材の位置が複数のHV走行シフト完了位置のうちの何れかにある場合、「第2接続状態」選択時ではHV走行が実現され、「非接続状態」選択時ではEG走行が実現され得る。「第2接続状態」と「非接続状態」との選択は、車両の走行状態(車速、アクセル開度等)の検出結果に基づいてアクチュエータの駆動力等を利用して実行されてもよいし、シフト操作部材以外の運転者により操作される切替部材の操作に基づいて前記切替部材の操作力、アクチュエータの駆動力等を利用して実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るHV−MT車用の動力伝達制御装置のN位置が選択された状態における概略構成図である。
【図2】N位置が選択された状態におけるS&Sシャフト及び複数のフォークシャフトの位置関係を示した模式図である。
【図3】「スリーブ及びフォークシャフト」とS&Sシャフトとの係合状態を示した模式図である。
【図4】シフトパターンの詳細を示した図である。
【図5】EV位置が選択された状態における図1に対応する図である。
【図6】EV位置が選択された状態における図2に対応する図である。
【図7】2速位置(HV走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図8】2速位置が選択された状態における図2に対応する図である。
【図9】2速位置(EG走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図10】3速位置(HV走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図11】3速位置が選択された状態における図2に対応する図である。
【図12】3速位置(EG走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図13】4速位置(HV走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図14】4速位置が選択された状態における図2に対応する図である。
【図15】4速位置(EG走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図16】5速位置(HV走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図17】5速位置が選択された状態における図2に対応する図である。
【図18】5速位置(EG走行)が選択された状態における図1に対応する図である。
【図19】本発明の実施形態の変形例に係る動力伝達制御装置の図1に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る手動変速機を含む車両の動力伝達制御装置(以下、「本装置」と呼ぶ)について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本装置は、「動力源としてエンジンE/GとモータジェネレータM/Gとを備え、且つ、トルクコンバータを備えない手動変速機M/Tと、摩擦クラッチC/Tとを備えた車両」、即ち、上記「HV−MT車」に適用される。この「HV−MT車」は、前輪駆動車であっても、後輪駆動車であっても、4輪駆動車であってもよい。
【0021】
(全体構成)
先ず、本装置の全体構成について説明する。エンジンE/Gは、周知の内燃機関であり、例えば、ガソリンを燃料として使用するガソリンエンジン、軽油を燃料として使用するディーゼルエンジンである。
【0022】
手動変速機M/Tは、運転者により操作されるシフトレバーSLのシフト位置に応じて変速段が選択されるトルクコンバータを備えない変速機(所謂、マニュアルトランスミッション)である。M/Tは、E/Gの出力軸Aeから動力が入力される入力軸Aiと、車両の駆動輪へ動力を出力する出力軸Aoと、M/Gから動力が入力されるMG軸Amと、を備える。入力軸Ai、出力軸Ao、及びMG軸Amは互いに平行に配置されている。M/Tの構成の詳細は後述する。
【0023】
摩擦クラッチC/Tは、E/Gの出力軸AeとM/Tの入力軸Aiとの間に介装されている。C/Tは、運転者により操作されるクラッチペダルCPの操作量(踏み込み量)に応じて摩擦プレートの接合状態(より具体的には、Aeと一体回転するフライホイールに対する、Aiと一体回転する摩擦プレートの軸方向位置)が変化する周知のクラッチである。
【0024】
C/Tの接合状態(摩擦プレートの軸方向位置)は、クラッチペダルCPとC/T(摩擦プレート)とを機械的に連結するリンク機構等を利用してCPの操作量に応じて機械的に調整されてもよいし、CPの操作量を検出するセンサ(後述するセンサP1)の検出結果に基づいて作動するアクチュエータの駆動力を利用して電気的に(所謂バイ・ワイヤ方式で)調整されてもよい。
【0025】
モータジェネレータM/Gは、周知の構成(例えば、交流同期モータ)の1つを有していて、例えば、ロータ(図示せず)が出力軸Aoと一体回転するようになっている。即ち、M/Gの出力軸とM/Tの出力軸Aoとの間では動力伝達系統が常時確立されている。以下、E/Gの出力軸Aeの駆動トルクを「EGトルク」と呼び、M/Gの出力軸(出力軸Ao)の駆動トルクを「MGトルク」と呼ぶ。
【0026】
また、本装置は、クラッチペダルCPの操作量(踏み込み量、クラッチストローク等)を検出するクラッチ操作量センサP1と、ブレーキペダルBPの操作量(踏力、操作の有無等)を検出するブレーキ操作量センサP2と、アクセルペダルAPの操作量(アクセル開度)を検出するアクセル操作量センサP3と、シフトレバーSLの位置を検出するシフト位置センサP4と、を備えている。
【0027】
更に、本装置は、電子制御ユニットECUを備えている。ECUは、上述のセンサP1〜P4、並びにその他のセンサ等からの情報等に基づいて、E/Gの燃料噴射量(スロットル弁の開度)を制御することでEGトルクを制御するとともに、インバータ(図示せず)を制御することでMGトルクを制御する。
【0028】
(M/Tの構成)
以下、M/Tの構成の詳細について図1〜図4を参照しながら説明する。図1及び図4に示すシフトレバーSLのシフトパターンから理解できるように、本例では、選択される変速段(シフト完了位置)として、前進用の5つの変速段(EV、2速〜5速)、及び後進用の1つの変速段(R)が設けられている。以下、後進用の変速段(R)についての説明は省略する。「EV」は上述したEV走行用変速段であり、「2速」〜「5速」はそれぞれ上述したHV走行用変速段である。以下、説明の便宜上、「N位置」、「第1セレクト位置」、「第2セレクト位置」を含むセレクト操作が可能な範囲を総称して「ニュートラル範囲」と呼ぶ。
【0029】
M/Tは、スリーブS1、S2、S3、及びSmを備える。S1、S2、及びS3はそれぞれ、出力軸Aoと一体回転する対応するハブに相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に嵌合された、「2速」用のスリーブ、「3速−4速」用のスリーブ、及び「5速」用のスリーブである。Smは、MG軸Amと一体回転するハブに相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に嵌合された、MG軸Amの接続状態の切り替え用のスリーブである。
【0030】
図2及び図3に示すように、スリーブS1、S2、及びS3はそれぞれ、フォークシャフトFS1、FS2、及びFS3と(フォークを介して)一体に連結されている。FS1、FS2、及びFS3(従って、S1、S2、及びS3)はそれぞれ、シフトレバーSLの操作と連動するS&Sシャフトに設けられたインナレバーIL(図2、図3を参照)によって軸方向(図2では上下方向、図1及び図3では左右方向)に駆動される。
【0031】
図2及び図3では、S&Sシャフトとして、シフトレバーSLのシフト操作(図1、図4では上下方向の操作)によって軸方向に平行移動し且つシフトレバーSLのセレクト操作(図1、図4では左右方向の操作)によって軸中心に回動する「セレクト回転型」が示されているが、SLのシフト操作によって軸中心に回動し且つSLのセレクト操作によって軸方向に平行移動する「シフト回転型」が使用されてもよい。
【0032】
図3に示すように、FS1、FS2、及びFS3にはそれぞれ、シフトヘッドH1、H2、及びH3が一体に設けられている。SLの位置がシフト操作(車両前後方向の操作)によって「ニュートラル範囲」から車両前方側及び後方側の何れの方向に移動しても、即ち、インナレバーILの軸方向位置(図3における左右方向の位置)が、SLの「ニュートラル範囲」に対応する基準位置から何れの方向に移動しても、ILがH1、H2、及びH3のうち選択された何れか一つを軸方向に押圧することによって、FS1、FS2、及びFS3(従って、S1、S2、及びS3)のうち選択された何れか一つが「中立位置」から移動する。これにより、後述するように、対応する変速段が実現される。
【0033】
<MG軸の接続状態の切り替え>
以下、先ず、図1を参照しながら、MG軸の接続状態の切り替えについて説明する。MG軸の接続状態の切り替えは、スリーブSmを駆動してSmの軸方向位置を変更することによってなされる。MG軸Amには、第1遊転ギヤGm1と、第2遊転ギヤGm2とが設けられている。第1遊転ギヤGm1は、出力軸Aoに設けられた固定ギヤGevと常時歯合する。第2遊転ギヤGm2は、出力軸Aoに設けられた2速用の遊転ギヤG2o(「特定の遊転ギヤ」に対応)と常時歯合する。
【0034】
図1に示すように、スリーブSmが中立位置にある場合、Smは、遊転ギヤGm1、Gm2の何れとも係合しない。即ち、MG軸Amと出力軸Aoとの間では動力伝達系統が実現されない。以下、この状態を「非接続状態」と呼ぶ。
【0035】
スリーブSmが中立位置から図1の右方向に駆動されて第1接続位置(後述する図5等を参照)に移動すると、Smが遊転ギヤGm1と係合し、Gm1がMG軸Amに対して相対回転不能に固定される。即ち、MG軸Amは、出力軸Aoに設けられた固定ギヤGevと動力伝達可能に接続される。以下、この状態を「第1接続状態」と呼ぶ。
【0036】
スリーブSmが中立位置から図1の左方向に駆動されて第2接続位置(後述する図7等を参照)に移動すると、Smが遊転ギヤGm2と係合し、Gm2がMG軸Amに対して相対回転不能に固定される。即ち、MG軸Amは、出力軸Aoに設けられた遊転ギヤG2oと動力伝達可能に接続される。以下、この状態を「第2接続状態」と呼ぶ。
【0037】
以上のように、スリーブSmの位置に応じて、非接続状態、第1接続状態、及び第2接続状態が選択的に実現される。スリーブSmを軸方向に駆動するための駆動力としては、ECUにより制御されるアクチュエータACT(図1を参照)の駆動力、並びに、シフトレバーSL以外の運転者によって操作される切替部材(図示せず)の操作力が用いられ得る。
【0038】
スリーブSmの位置の選択(従って、MG軸の接続状態の選択)は、運転者による前記切替部材の操作に基づいて行われ得る。この場合、スリーブSmを駆動するための駆動力として、アクチュエータACTの駆動力、並びに、運転者による前記切替部材の操作力が用いられ得る。また、Smの位置の選択は、車両の走行状態(車速、アクセル開度等)の検出結果に基づいて行われ得る。この場合、スリーブSmを駆動するための駆動力として、アクチュエータACTの駆動力が用いられ得る。
【0039】
<変速段の切り替え>
以下、図1、2、5〜18を参照しながら、各変速段について順に説明していく。なお、以下、SLが或る変速段のシフト完了位置にあることを、その変速段が「選択された」と表現することもある。
【0040】
<N>
図1、2に示すように、シフトレバーSLが「N位置」(より正確には、ニュートラル領域)にある状態では、スリーブS1、S2、及びS3の全てが「中立位置」にある。この状態では、S1、S2、及びS3はそれぞれ、対応する何れの遊転ギヤとも係合していない。即ち、入力軸Aiと出力軸Aoとの間では動力伝達系統が確立されない。
【0041】
加えて、スリーブSmが「中立位置」に制御される。従って、MG軸Amと出力軸Aoとの間でも動力伝達系統が確立されない。MGトルクは「ゼロ」に維持される。以上、SLが「N位置」(より正確には、ニュートラル領域)にある状態では、EGトルク及びMGトルクは共に駆動輪に伝達されない。
【0042】
<EV>
図5、6に示すように、シフトレバーSLが「N位置」から(第1セレクト位置を経由して)「EVのシフト完了位置」に移動すると、S&SシャフトのILがFS1に連結されたヘッドH1の「EV側係合部」を「EV」方向(図6では上方向)に駆動することによって、FS1(従って、S1)のみが(図6では上方向、図5では右方向)に駆動される。この結果、スリーブS1が「EV位置」に移動する。スリーブS2、S3はそれぞれ「中立位置」にある。S1が「EV位置」に移動しても、S1と係合する遊転ギヤが存在しない。従って、入力軸Aiと出力軸Aoとの間では動力伝達系統が確立されない。
【0043】
一方、この場合、Smは「第1接続位置」に制御される(図5を参照)。従って、図5に太い実線で示すように、MG軸Amと出力軸Aoとの間で「Gm1及びGev」を介して確立された動力伝達系統を利用して、前進方向のMGトルクが駆動輪に伝達される。即ち、「EV」が選択された場合、E/Gを停止状態(E/Gの出力軸Aeの回転が停止した状態)に維持しながらMGトルクのみを利用して車両が走行する状態(即ち、上記「EV走行」)が実現される。即ち、この車両では、「EV」を選択することにより、EV走行による前方発進が可能である。MGトルクは、アクセル開度等に応じた大きさの前進方向の値に調整される。
【0044】
なお、「R」が選択された場合も、「EV」が選択された場合と同様、Smを「第1接続位置」に制御することによってEV走行が実現され得る。即ち、「R」を選択することにより、EV走行による後方発進が可能となる。なお、「N位置」(ニュートラル領域)と「EV位置」(及び、「R位置」)との識別は、例えば、シフト位置センサP4の検出結果、並びに、S&Sシャフトの位置を検出するセンサの検出結果等に基づいて達成され得る。
【0045】
<2速>
図7、8に示すように、シフトレバーSLが「N位置」から(第1セレクト位置を経由して)「2速のシフト完了位置」に移動すると、S&SシャフトのILがFS1に連結されたヘッドH1の「2速側係合部」を「2速」方向(図8では下方向)に駆動することによって、FS1(従って、S1)のみが(図8では下方向、図7では左方向)に駆動される。この結果、スリーブS1が「2速位置」に移動する。スリーブS2、S3はそれぞれ「中立位置」にある。
【0046】
この状態では、S1は、遊転ギヤG2oと係合し、遊転ギヤG2oを出力軸Aoに対して相対回転不能に固定している。また、遊転ギヤG2oは、入力軸Aiに固定された固定ギヤG2iと常時噛合している。この結果、図7に太い実線で示すように、入力軸Aiと出力軸Aoとの間で「G2i及びG2o」を介して「2速」に対応するEGトルク用の動力伝達系統が確立される。
【0047】
また、図7では、Smは「第2接続位置」に制御されている。従って、図7に太い実線で示すように、MG軸Amと出力軸Aoとの間で「Gm2及びG2o」を介してMGトルク用の動力伝達系統が確立される。以上、図7に示す状態では、クラッチC/Tを介して伝達されるEGトルクと、MGトルクとの両方を利用して車両が走行する状態(即ち、上記「HV走行」)が実現される。即ち、「2速」のHV走行が可能となる。
【0048】
一方、図9に示すように、「2速」が選択された場合において、Smは「中立位置」にも制御され得る。この場合、MG軸Amと出力軸Aoとの間で動力伝達系統が確立されない。従って、図9に示す状態では、クラッチC/Tを介して伝達されるEGトルクのみを利用して車両が走行する状態(即ち、上記「EG走行」)が実現される。即ち、「2速」のEG走行が可能となる。
【0049】
<3速〜5速>
以下、図10〜図18に示すように、シフトレバーSLが「3速」、「4速」又は「5速」にある場合も、「2速」の場合と同様、Smが「第2接続位置」にある場合には「HV走行」が実現され、Smが「中立位置」にある場合には「EG走行」が可能となる。
【0050】
具体的には、「3速」、「4速」、「5速」ではそれぞれ、入力軸Aiと出力軸Aoとの間で、「G3i及びG3o」、「G4i及びG4o」、「G5i及びG5o」を介して、「3速」、「4速」、「5速」に対応するEGトルク用の動力伝達系統が確立される。また、Smが「第2接続位置」にある場合、「3速」、「4速」、「5速」ではそれぞれ、MG軸Amと出力軸Aoとの間で、「Gm2、G2o、G2i、Ai、G3i、G3o」、「Gm2、G2o、G2i、Ai、G4i、G4o」、「Gm2、G2o、G2i、Ai、G5i、G5o」を介して、MGトルク用の動力伝達系統が確立される。
【0051】
以上、本例では、「EV」(及び「R」)がEV走行用の変速段であり、「2速」〜「5速」はHV走行用の変速段である。EGトルクの伝達系統について、「Aoの回転速度に対するAiの回転速度の割合」を「MT減速比」と呼ぶものとすると、「2速」から「5速」に向けてMT減速比(GNoの歯数/GNiの歯数)(N:2〜5)が次第に小さくなっていく。
【0052】
なお、上記の例では、スリーブS1〜S3の軸方向位置は、シフトレバーSLとスリーブS1〜S3とを機械的に連結するリンク機構(S&Sシャフトとフォークシャフト)等を利用してシフトレバーSLのシフト位置に応じて機械的に調整されている。これに対し、スリーブS1〜S3の軸方向位置が、シフト位置センサP4の検出結果に基づいて作動するアクチュエータの駆動力を利用して電気的に(所謂バイ・ワイヤ方式で)調整されてもよい。
【0053】
(E/Gの制御)
本装置によるE/Gの制御は、大略的に以下のようになされる。車両が停止しているとき、或いは、「N」又は「EV」(又は「R」)が選択されているとき、E/Gが停止状態(燃料噴射がなされない状態)に維持される。E/Gの停止状態において、HV走行用の変速段(「2速」〜「5速」の何れか)が選択されたことに基づいて、E/Gが始動される(燃料噴射が開始される)。E/Gの稼働中(燃料噴射がなされている間)では、アクセル開度等に基づいてEGトルクが制御される。E/Gの稼働中において、「N」又は「EV」(又は「R」)が選択されたこと、或いは、車両が停止したことに基づいて、E/Gが再び停止状態に維持される。
【0054】
(M/Gの制御)
本装置によるM/Gの制御は、大略的に以下のようになされる。車両が停止しているとき、或いは、「N」が選択されているとき、M/Gが停止状態(MGトルク=0)に維持される。「EV」(又は「R」)が選択されたことに基づいて(スリーブSmは「第1接続位置」に制御される)、MGトルクが、アクセル開度及びクラッチストローク等に基づいてEV走行用の値に調整される(EV走行用MGトルク制御)。他方、HV走行用の変速段(「2速」〜「5速」の何れか)が選択されたことに基づいて、スリーブSmが「第2接続位置」にある場合において、MGトルクが、アクセル開度及びクラッチストローク等に基づいてHV走行用の値に調整される(HV走行用MGトルク制御)。EV走行用MGトルク制御とHV走行用MGトルク制御とでは、調整されるMGトルクの大きさが異なる。そして、「N」が選択されたこと、或いは、車両が停止したことに基づいて、M/Gが再び停止状態に維持される。
【0055】
(作用・効果)
本発明の実施形態に係る手動変速機では、EV走行用の変速段(「EV」)が選択された場合には「第1接続状態」が実現されて、「Gm1及びGev」を介してMG軸Amと出力軸Aoとの間で動力伝達系統が確立される。一方、HV走行用の変速段(「2速」〜「5速」の何れか)が選択された場合には「第2接続状態」が実現されて、「Gm2及びG2o」(又は「Gm2及びG2oを含むギヤ列」)を介してMG軸Amと出力軸Aoとの間で動力伝達系統が確立される。即ち、EV走行時とHV走行時とで「Aoの回転速度に対するAmの回転速度の割合」(MG減速比)を異ならせることができる。従って、車速域が異なるHV走行時及びEV走行時の両方においてM/Gの回転速度を安定して適切な範囲内に調整することができる。
【0056】
また、スリーブSmが「第2接続位置」にある場合(即ち、「第2接続状態」)においては、HV走行用の変速段(「2速」〜「5速」)のうち選択される変速段がより高速側であるほど、同じ(或る)車速に対する「特定の遊転ギヤ」(本例では、遊転ギヤG2o)の回転速度(従って、M/Gの回転速度)が小さくなる。これは、選択される変速段がより高速側であるほど、同じ(或る)車速に対する変速機の入力軸Aiの回転速度が小さくなること、並びに、「特定の遊転ギヤ」(本例では、遊転ギヤG2o)が変速機の入力軸Aiと一体で回転する固定ギヤ(本例では、固定ギヤG2i)と常時歯合していること、に基づく。
【0057】
この結果、低速側の変速段が選択される場合には車速に対するM/Gの回転速度の割合が相対的に大きくなり、高速側の変速段が選択される場合には車速に対するM/Gの回転速度の割合が相対的に小さくなる。このことは、低速側の変速段が選択される比較的低速走行時から高速側の変速段が選択される比較的高速走行時までに亘ってM/Gの回転速度の変動範囲が小さくなることを意味する。上記実施形態では、この観点からも、M/Gの回転速度を安定して適切な範囲内に調整し易くなる。
【0058】
また、遊転ギヤGm2と歯合するギヤがHV走行用の変速段(「2速」〜「5速」の何れか)の遊転ギヤ(本例では、「2速」の遊転ギヤG2o)であることによって、変速機全体がコンパクト化され得る。即ち、EV走行時とHV走行時とでMG減速比を異ならせるためには、Gm2と歯合するギヤが出力軸Aoに設けられた(Gev以外の)HV走行専用の第2の固定ギヤであってもよい。この場合、出力軸Aoにおいて、G2o及びGevに加えて、このHV走行専用の第2の固定ギヤを更に設ける必要がある。これに対し、上記実施形態では、このHV走行専用の第2の固定ギヤを設ける必要がないので、この点において変速機全体をコンパクト化できる。
【0059】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、スリーブS1〜S3が共に出力軸Aoに設けられているが、スリーブS1〜S3のうちの一部(前記「特定の遊転ギヤ」と係合するスリーブを含む)が出力軸Aoに残りが入力軸Aiに設けられていてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、HV走行用の変速段(「2速」〜「5速」)の何れかが選択される場合において、スリーブSmの位置は、「第2接続位置」(HV走行に対応)及び「中立位置」(EG走行に対応)の何れかに制御されるが、HV走行用の変速段(「2速」〜「5速」)の何れかが選択される場合において、スリーブSmの位置が「第1接続位置」(HV走行に対応)に制御されてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、MG軸Amに設けられた遊転ギヤGm2が「2速」の遊転ギヤG2oと歯合しているが、図19に示すように、遊転ギヤGm2が「5速」の遊転ギヤG5oと歯合してもよい。或いは、遊転ギヤGm2が「3速」又は「4速」の遊転ギヤG3o又はG4oと歯合してもよい。
【符号の説明】
【0062】
M/T…変速機、E/G…エンジン、C/T…クラッチ、M/G…モータジェネレータ、Ae…エンジンの出力軸、Ai…変速機の入力軸、Ao…変速機の出力軸、Am…MG軸、CP…クラッチペダル、AP…アクセルペダル、BP…ブレーキペダル、P1…クラッチ操作量センサ、P3…アクセル操作量センサ、P4…シフト位置センサ、ECU…電子制御ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源として内燃機関(E/G)と電動機(M/G)とを備えた車両に適用される、トルクコンバータを備えない手動変速機(M/T)であって、
前記内燃機関から動力が入力される入力軸(Ai)と、
前記電動機から動力が入力されるとともに前記車両の駆動輪へ動力を出力する出力軸(Ao)と、
運転者により操作されるシフト操作部材(SL)をシフトパターン上において前記内燃機関及び前記電動機の両方の駆動力を利用し得る状態で走行するための複数のハイブリッド走行用変速段(2速〜5速)に対応するそれぞれのハイブリッド走行シフト完了位置に移動することによって、前記入力軸と前記出力軸との間で、前記出力軸の回転速度に対する前記入力軸の回転速度の割合である変速機減速比が対応するハイブリッド走行用変速段に対応するそれぞれの値に設定される動力伝達系統を確立し、前記シフト操作部材を前記シフトパターン上において前記内燃機関及び前記電動機の駆動力のうち前記電動機の駆動力のみを利用して走行するための電動機走行用変速段(EV)に対応する電動機走行シフト完了位置に移動することによって、前記入力軸と前記出力軸との間で動力伝達系統を確立しない変速機変速機構(M1)と、
前記電動機の出力軸(Am)と前記変速機の出力軸(Ao)との間の接続状態を変更する接続切替機構(M2)と、
を備え、
前記変速機変速機構(M1)は、
それぞれが前記変速機の入力軸(Ai)又は前記出力軸(Ao)に相対回転不能に設けられた複数の固定ギヤであってそれぞれが前記複数のハイブリッド走行用変速段のそれぞれに対応する複数の固定ギヤ(G2i、G3i、G4i、G5i)と、
それぞれが前記入力軸又は前記出力軸に相対回転可能に設けられた複数の遊転ギヤであってそれぞれが前記複数のハイブリッド走行用変速段のそれぞれに対応するとともに対応するハイブリッド走行用変速段の前記固定ギヤと常時歯合する複数の遊転ギヤ(G2o、G3o、G4o、G5o)と、
それぞれが前記入力軸及び前記出力軸のうち対応する軸に相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に設けられた複数のスリーブであってそれぞれが前記複数の遊転ギヤのうち対応する遊転ギヤを前記対応する軸に対して相対回転不能に固定するために前記対応する遊転ギヤと係合可能な複数のスリーブ(S1、S2、S3)と、
前記シフト操作部材の操作に応じて前記複数のスリーブのうち対応するスリーブを軸方向に移動して前記複数の遊転ギヤのうち対応する遊転ギヤを前記対応する軸に対して相対回転不能に固定することによって、前記複数のハイブリッド走行用変速段のうち対応する変速段を実現するスリーブ駆動機構(FS1、FS2、FS3、S&Sシャフト)と、
を備え、
前記接続切替機構(M2)は、
前記変速機の出力軸(Ao)に相対回転不能に設けられた前記複数の固定ギヤ以外の電動機走行用固定ギヤ(Gev)と前記電動機の出力軸(Am)とが動力伝達可能に接続された第1接続状態と、前記複数の遊転ギヤのうち前記変速機の出力軸に設けられた特定の遊転ギヤ(G2o、G5o)と前記電動機の出力軸(Am)とが動力伝達可能に接続された第2接続状態と、を選択的に実現するように構成された、手動変速機。
【請求項2】
請求項1に記載の手動変速機において、
前記接続切替機構は、
前記シフト操作部材の位置が前記電動機走行シフト完了位置にある場合には前記第1接続状態を実現し、前記シフト操作部材の位置が前記複数のハイブリッド走行シフト完了位置のうちの何れかにある場合には前記第2接続状態を実現するように構成された、手動変速機。
【請求項3】
請求項2に記載の手動変速機において、
前記接続切替機構は、
前記第1、第2接続状態に加えて、前記変速機の出力軸(Ao)と前記電動機の出力軸(Am)とが動力伝達可能に接続されない非接続状態を選択的に実現するように構成され、
前記シフト操作部材の位置が前記複数のハイブリッド走行シフト完了位置のうちの何れかにある場合、前記第2接続状態と前記非接続状態とを選択的に実現するように構成された、手動変速機。
【請求項4】
請求項3に記載の手動変速機において、
前記接続切替機構は、
前記電動機の出力軸(Am)に相対回転可能に設けられた前記複数の遊転ギヤ以外の第1遊転ギヤであって前記電動機走行用固定ギヤ(Gev)と常時歯合する第1遊転ギヤ(Gm1)と、
前記電動機の出力軸(Am)に相対回転可能に設けられた前記複数の遊転ギヤ以外の第2遊転ギヤであって前記特定の遊転ギヤ(G2o、G5o)と常時歯合する第2遊転ギヤ(Gm2)と、
前記電動機の出力軸(Am)に相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に設けられた前記複数のスリーブ以外の切替用スリーブであって前記第1、第2遊転ギヤを前記電動機の出力軸に対して選択的に相対回転不能に固定するために前記第1、第2遊転ギヤと選択的に係合可能な切替スリーブ(Sm)と、
を備え、
前記切替スリーブが第1軸方向位置にあるときは、前記切替スリーブが前記第1遊転ギヤと係合して前記第1接続状態を実現し、
前記切替スリーブが第2軸方向位置にあるときは、前記切替スリーブが前記第2遊転ギヤと係合して前記第2接続状態を実現し、
前記切替スリーブが第3軸方向位置にあるときは、前記切替スリーブが前記第1、第2遊転ギヤの何れにも係合せずに前記非接続状態を実現するように構成された、手動変速機。
【請求項1】
動力源として内燃機関(E/G)と電動機(M/G)とを備えた車両に適用される、トルクコンバータを備えない手動変速機(M/T)であって、
前記内燃機関から動力が入力される入力軸(Ai)と、
前記電動機から動力が入力されるとともに前記車両の駆動輪へ動力を出力する出力軸(Ao)と、
運転者により操作されるシフト操作部材(SL)をシフトパターン上において前記内燃機関及び前記電動機の両方の駆動力を利用し得る状態で走行するための複数のハイブリッド走行用変速段(2速〜5速)に対応するそれぞれのハイブリッド走行シフト完了位置に移動することによって、前記入力軸と前記出力軸との間で、前記出力軸の回転速度に対する前記入力軸の回転速度の割合である変速機減速比が対応するハイブリッド走行用変速段に対応するそれぞれの値に設定される動力伝達系統を確立し、前記シフト操作部材を前記シフトパターン上において前記内燃機関及び前記電動機の駆動力のうち前記電動機の駆動力のみを利用して走行するための電動機走行用変速段(EV)に対応する電動機走行シフト完了位置に移動することによって、前記入力軸と前記出力軸との間で動力伝達系統を確立しない変速機変速機構(M1)と、
前記電動機の出力軸(Am)と前記変速機の出力軸(Ao)との間の接続状態を変更する接続切替機構(M2)と、
を備え、
前記変速機変速機構(M1)は、
それぞれが前記変速機の入力軸(Ai)又は前記出力軸(Ao)に相対回転不能に設けられた複数の固定ギヤであってそれぞれが前記複数のハイブリッド走行用変速段のそれぞれに対応する複数の固定ギヤ(G2i、G3i、G4i、G5i)と、
それぞれが前記入力軸又は前記出力軸に相対回転可能に設けられた複数の遊転ギヤであってそれぞれが前記複数のハイブリッド走行用変速段のそれぞれに対応するとともに対応するハイブリッド走行用変速段の前記固定ギヤと常時歯合する複数の遊転ギヤ(G2o、G3o、G4o、G5o)と、
それぞれが前記入力軸及び前記出力軸のうち対応する軸に相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に設けられた複数のスリーブであってそれぞれが前記複数の遊転ギヤのうち対応する遊転ギヤを前記対応する軸に対して相対回転不能に固定するために前記対応する遊転ギヤと係合可能な複数のスリーブ(S1、S2、S3)と、
前記シフト操作部材の操作に応じて前記複数のスリーブのうち対応するスリーブを軸方向に移動して前記複数の遊転ギヤのうち対応する遊転ギヤを前記対応する軸に対して相対回転不能に固定することによって、前記複数のハイブリッド走行用変速段のうち対応する変速段を実現するスリーブ駆動機構(FS1、FS2、FS3、S&Sシャフト)と、
を備え、
前記接続切替機構(M2)は、
前記変速機の出力軸(Ao)に相対回転不能に設けられた前記複数の固定ギヤ以外の電動機走行用固定ギヤ(Gev)と前記電動機の出力軸(Am)とが動力伝達可能に接続された第1接続状態と、前記複数の遊転ギヤのうち前記変速機の出力軸に設けられた特定の遊転ギヤ(G2o、G5o)と前記電動機の出力軸(Am)とが動力伝達可能に接続された第2接続状態と、を選択的に実現するように構成された、手動変速機。
【請求項2】
請求項1に記載の手動変速機において、
前記接続切替機構は、
前記シフト操作部材の位置が前記電動機走行シフト完了位置にある場合には前記第1接続状態を実現し、前記シフト操作部材の位置が前記複数のハイブリッド走行シフト完了位置のうちの何れかにある場合には前記第2接続状態を実現するように構成された、手動変速機。
【請求項3】
請求項2に記載の手動変速機において、
前記接続切替機構は、
前記第1、第2接続状態に加えて、前記変速機の出力軸(Ao)と前記電動機の出力軸(Am)とが動力伝達可能に接続されない非接続状態を選択的に実現するように構成され、
前記シフト操作部材の位置が前記複数のハイブリッド走行シフト完了位置のうちの何れかにある場合、前記第2接続状態と前記非接続状態とを選択的に実現するように構成された、手動変速機。
【請求項4】
請求項3に記載の手動変速機において、
前記接続切替機構は、
前記電動機の出力軸(Am)に相対回転可能に設けられた前記複数の遊転ギヤ以外の第1遊転ギヤであって前記電動機走行用固定ギヤ(Gev)と常時歯合する第1遊転ギヤ(Gm1)と、
前記電動機の出力軸(Am)に相対回転可能に設けられた前記複数の遊転ギヤ以外の第2遊転ギヤであって前記特定の遊転ギヤ(G2o、G5o)と常時歯合する第2遊転ギヤ(Gm2)と、
前記電動機の出力軸(Am)に相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に設けられた前記複数のスリーブ以外の切替用スリーブであって前記第1、第2遊転ギヤを前記電動機の出力軸に対して選択的に相対回転不能に固定するために前記第1、第2遊転ギヤと選択的に係合可能な切替スリーブ(Sm)と、
を備え、
前記切替スリーブが第1軸方向位置にあるときは、前記切替スリーブが前記第1遊転ギヤと係合して前記第1接続状態を実現し、
前記切替スリーブが第2軸方向位置にあるときは、前記切替スリーブが前記第2遊転ギヤと係合して前記第2接続状態を実現し、
前記切替スリーブが第3軸方向位置にあるときは、前記切替スリーブが前記第1、第2遊転ギヤの何れにも係合せずに前記非接続状態を実現するように構成された、手動変速機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−23000(P2013−23000A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157689(P2011−157689)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【Fターム(参考)】
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