手撒き薬剤供給装置、薬剤の手撒き方法、及び、薬剤分包装置
【課題】一度に複数の処方データについて薬剤を手撒きでき、しかも種々の要望に応じて適切に手撒きできるようにする。
【解決手段】処方データを受信する受信手段7と、トレイ5の各枡4に収容する薬剤の割当条件を記憶する記憶手段8と、受信手段7に順次受信される処方データ12に基づいて、記憶手段8に記憶させた割当条件に従って、トレイ5の各枡4に手撒きする薬剤の位置を決定する位置決定手段10と、位置決定手段10によって決定された手撒き位置を表示する表示手段9とを備えた構成とする。
【解決手段】処方データを受信する受信手段7と、トレイ5の各枡4に収容する薬剤の割当条件を記憶する記憶手段8と、受信手段7に順次受信される処方データ12に基づいて、記憶手段8に記憶させた割当条件に従って、トレイ5の各枡4に手撒きする薬剤の位置を決定する位置決定手段10と、位置決定手段10によって決定された手撒き位置を表示する表示手段9とを備えた構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手撒き薬剤供給装置、薬剤の手撒き方法、及び、薬剤分包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬剤分包装置には、自動供給できない薬剤(主に錠剤)について、予め分包順に手撒きにより準備しておき、適宜、包装装置へと供給できるようにした手撒き薬剤供給装置を備えたものがある。この手撒き薬剤供給装置は、トレイ内に形成される格子状に仕切られた複数の枡に、手撒き薬剤をそれぞれ収容し、順次、各枡の底板を開放することにより手撒き薬剤を供給するように構成されている。
【0003】
従来、前記手撒き薬剤供給装置では、1つのトレイには、1処方分の薬剤を手撒きし、次の処方は、前記トレイからの手撒き薬剤の供給が終了してから再度手撒きするようにしている(例えば、特許文献1から4参照)。
【0004】
【特許文献1】特公平6−37202号公報
【特許文献2】特許第2866543号公報
【特許文献3】特開2004−203433号公報
【特許文献4】特開2006−151399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の手撒き薬剤供給装置では、1処方毎にトレイに薬剤を手撒きし直さなければならず、作業回数が増え、煩雑である。また、手撒きする場合も、使用先である病院の違いによっても種々の要望があり、それら全てに柔軟に対応することは不可能である。
【0006】
そこで、本発明は、一度に複数の処方データについて薬剤を手撒きでき、しかも種々の要望に応じて適切に手撒きできる手撒き薬剤供給装置、薬剤の手撒き方法、及び、薬剤分包装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
トレイ内に形成される複数の枡に収容した薬剤を順次供給するようにした手撒き薬剤供給装置であって、
処方データを受信する受信手段と、
前記トレイの各枡に収容する薬剤の割当条件を記憶する記憶手段と、
前記受信手段に順次受信される処方データに基づいて、前記記憶手段に記憶させた割当条件に従って、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定する位置決定手段と、
前記位置決定手段によって決定された手撒き位置を表示する表示手段と、
を備えたものである。
【0008】
この構成により、順次、受信する処方データを、予め設定した割当条件に従って、トレイの各枡のどの位置に収容すればよいのかを表示させることができる。つまり、複数の処方データに基づいて1つのトレイに薬剤を手撒きしておくことができる上、予め設定した割当条件に従って自動的に手撒き位置を決定し、手撒きすればよい枡の位置を表示手段に表示させることができる。
【0009】
前記記憶手段に記憶させる割当条件には、前記トレイに割り当てることのできる最大分包数を超えないことを条件とする最大分包数割当を含み、
前記位置決定手段は、少なくとも、前記受信手段で受信する各処方データの包数を順次カウントし、前記記憶手段に記憶した最大分包数割当に基づいて、カウントした包数の累積値が前記最大分包数を超えない最大値とし、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定するのが好ましい。
【0010】
前記記憶手段に記憶させる割当条件には、さらに、
病棟単位割当、処方数割当、受信時間割当、強制割当のうちの少なくともいずれか1つを含み、
前記位置決定手段は、前記最大分包数割当を含む、前記いずれか2以上の割当条件のうち、いずれか1つを満足することにより前記トレイに割り当てる処方データを決定するのが好ましい。
【0011】
さらに、前記トレイの各枡に収容する薬剤の手撒きパターンを選択するための手撒きパターン選択手段を備えるのが好ましい。
【0012】
前記手撒きパターンは、各枡からの薬剤の供給順に連続して手撒きする連続セット、及び、処方が変更されることにより少なくとも1枡空けて次の手撒きをする枡空けセットのうち、少なくともいずれか1つを含むようにするのが好ましい。
【0013】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、
トレイ内に形成される複数の枡に収容した薬剤を順次供給して包装するようにした薬剤分包装置であって、
処方データを受信する受信手段と、
前記トレイの各枡に収容する薬剤の割当条件を記憶する記憶手段と、
前記受信手段に順次受信される処方データに基づいて、前記記憶手段に記憶させた割当条件に従って、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定する位置決定手段と、
前記位置決定手段によって決定された手撒き位置を表示する表示手段と、
を備えた構成としたものである。
【0014】
前記受信手段に受信された処方データに含まれる手撒き薬剤に関するデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された手撒き薬剤に関するデータに基づいて、前記トレイのいずれの枡に手撒きするのかを示す手撒き指示書を印刷する印刷手段と、
をさらに備えた構成とするのが好ましい。
【0015】
この構成により、トレイに割り当てる手撒きする薬剤に関するデータが全て揃う前に、手撒き指示書の印刷内容に基づいて、トレイの該当する枡に薬剤を手撒きすることができる。したがって、先に手撒きした薬剤から分包を開始させることができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【0016】
前記表示手段には、前記抽出手段によって手撒き薬剤に関するデータが抽出されることにより手撒き処理を開始してよい旨の表示を行うのが好ましい。
【0017】
この構成により、作業者は表示手段での表示内容を確認してから、手撒き処理を開始することができ、適切な時期に手撒き処理を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、順次、受信する処方データを、割当条件に従って1つのトレイでの手撒き位置を決定することができるので、従来に比べて手撒き作業を簡略化することができる。しかも、割当条件に従って種々の要望に応じた手撒き位置を特定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る手撒き薬剤供給装置1を備えた薬剤分包装置2を示す。この手撒き薬剤供給装置1は、自動的に供給できない半錠、特殊薬剤等を手撒き(DTA:Detachable Tablet Adapter)でセットしておき、包装紙に自動包装するために使用する。
【0021】
手撒き薬剤供給装置1は、トレイ支持台3に、格子状に複数の枡4を形成し、各枡4に手撒き薬剤を収容したトレイ5を載置し、図示しないトレイ搬送装置によりトレイ5を水平方向にスライド移動させ、順次、各枡4の底板6を開放することにより、各枡4内の手撒き薬剤を供給するようにしたものである。前記トレイ5は、63枡(6行×11列、3枡分は閉鎖)で構成されているが、実際には最大包数は63に設定され、3包分は使用しない。また、前記トレイ5の底面側には階段状の内縁を備えた開口部を有するベースプレートが設けられている。これにより、トレイ5を水平移動させると、底板6が列毎に一方から他方に向かって順次開放する。
【0022】
また、手撒き薬剤供給装置1は、受信装置7、記憶装置8、表示装置9、及び、中央処理装置(CPU10)を備える。但し、これらの装置は、手撒き薬剤供給装置1の専用としてではなく、薬剤分包装置用として別途設けたコンピュータ(PC)を共用する構成とするのが好ましい。
【0023】
受信装置7は、LAN(Local Area Network)を介してホストコンピュータ100等から出力された処方データ12を受信する。
【0024】
記憶装置8には、各種マスタファイル等のデータベース11や受信した処方データ12のほか、制御プログラム13が記憶されている。
【0025】
表示装置9には、LCD(Liquid Crystal Display)等が使用でき、必要に応じてタッチパネルで構成することも可能である。ここでは、表示装置9は、タッチパネルで構成されている。タッチパネルは、メッセージ領域14、ボタン領域15、状態表示領域16、及び、機能領域17を備える。
【0026】
メッセージ領域14には、薬剤分包装置2の状態やエラーメッセージ等が表示される。例えば、分包が可能な状態であれば、「待機中です。分包できます。」と表示される。
【0027】
ボタン領域15には、薬剤分包装置2の状態に応じて、そのときに必要とされる操作を行うための操作ボタンが、最大6個表示される。例えば、待機中である場合、「スタート」、「DTA開閉」ボタン等が表示される。
【0028】
状態表示領域16には、分包中の薬剤に関する処方データ12の内容や、薬剤分包装置2の状態が表示される。具体的には、包数(現在分包中処方の残分包数)、患者ID(分包データの患者ID)、患者名(分包データの患者名)、引換券番号(分包データの引換券番号)、分数、日数(分包データの分数、日数)、連続・反復(分包データの分包順序)、錠剤内訳(分包データの錠剤内訳)、紙残量(分包紙の残量を5段階で表示する)、DTA予約数(現在のDTA予約数)、温度(ヒーターローラーの温度)、通信(PC、薬剤分包装置2間の通信状態)が表示される。
【0029】
機能領域17には、処方内容や各種操作を行うための指示内容が表示される。例えば、図5に示すように、前記メッセージ領域14に表示した内容に関する具体的な処理内容のほか、処方データ12に含まれる薬剤名、処方量等からなるセット待ち画面が表示される。セット待ち画面で、機能領域17がタッチ操作されると、図6に示す薬品一覧画面が表示される。薬品一覧画面では、半錠で手撒きすべき薬剤の横には、半錠を示す絵図17aが示される。これにより、どの薬剤を半錠として手撒きするのかが一目で分かり便利である。また、薬品一覧画面では、通常の手撒きパターンとは相違する薬剤について、「i」マーク17bを表示することによりユーザに注意を促すようにしている。例えば、隔週に服用しなければならない薬剤であれば、トレイ5の各枡4に順番に手撒きするのではなく、間隔を空けた変則的な撒き方となる。このため、ユーザに注意を促すことにより、手撒き位置を間違わないようにしている。また、薬品一覧画面で、手撒きしようとする薬品名をタッチ操作すると、図7に示すように、トレイ5の平面図からなる撒き方詳細画面が表示される。撒き方詳細画面では、前記薬品一覧画面でタッチ操作された薬品について、どの枡4に何錠手撒きすればよいのかが、(1、2又は1/2(半)、1/4錠等)数字で表示される。
【0030】
CPU10は、後述するように、処方データ12に基づいてデータベース11を参照し、制御プログラム13を実行する。
【0031】
次に、前記手撒き薬剤供給装置1の動作について説明する。
【0032】
まず、トレイ5に手撒きする錠剤に関する処方データ12を順次受信する(ステップS1)。そして、受信した各処方データ12から、1つのトレイ5に割り当てる処方データ12を決定する(ステップS2)。割り当てる処方データ12の決定方法は、割当条件に基づいて行う。
【0033】
具体的に、「最大分包数割当」、「病棟単位割当」、「処方数割当」、「受信時間割当」、「強制割当」からなる割当条件のうち、いずれかの条件を満足した時点で、1つのトレイ5への割当を終了し、次のトレイ5に移行する。
【0034】
「最大分包数割当」では、受信する各処方データ12の包数を順次カウントし、その累積値がトレイ5に形成された全ての枡数を超えない最大値となるように、1つのトレイ5に処方データ12を割り当てる。累積値が枡4の最大値を超えた処方データ12については、次のトレイ5での手撒きとする。
【0035】
「病棟単位割当」では、順次受信する処方データ12に含まれる病棟に関するデータが同一であるか否かに基づいて、病棟が変更されたと判断した時点で、それまでの処方データ12を1まとめにして1つのトレイ5に割り当てる。
【0036】
「処方数割当」では、受信する処方データ12が、予め設定した処方数に到達するまで1つのトレイ5に割り当てる。
【0037】
「受信時間割当」では、処方データ12を受信する場合、その受信間隔が予め設定した指定時間を超えた場合、それまでに受信した処方データ12を1つのトレイ5に割り当てる。
【0038】
「強制割当」では、締めボタンが操作されることにより、割当途中であっても、1つのトレイ5への割当を中止し、次のトレイ5へと移行する。
【0039】
例えば、処方データ12として、A処方(手撒き薬剤を含むものが21包)、B処方(手撒き薬剤を含むものが21包)、C処方(手撒き薬剤を含むものが7包)、D処方(手撒き薬剤を含むものが7包)、E処方(手撒き薬剤を含むものが7包)の順で受信する場合、E処方を受信した時点で、最大値の63包となるので、A〜E処方を1トレイ分の手撒きとする。但し、A〜D処方がM病棟、E処方がN病棟に割り当てられていれば、1トレイへの割当が最大分包数に到達していなくても、A〜D処方のみを1トレイ分の手撒きとし、E処方は次のトレイ5での手撒きとする。また、1トレイへの処方数が3に設定されていれば、A〜C処方のみを1トレイ分の手撒きとし、D処方以降は他のトレイ5での手撒きとする。さらに、B処方の受信からC処方の受信までの間隔が設定時間を超えた場合、A、B処方のみを1トレイ分の手撒きとし、C処方以降を他のトレイ5への手撒きとする。さらにまた、A処方の手撒き中に締めボタンが操作されれば、A処方のみを1トレイ分の手撒きとする。
【0040】
なお、前記割当条件は5つ全て設定する必要がなく、ユーザが任意に選択できるようにすることも可能である。例えば、病棟が1つしかない病院であれば、病棟割当は不要となる。
【0041】
続いて、前記いずれかの割当条件を満足することにより、1つのトレイ5に割り当てる処方データ12が決定されれば、そのトレイ5への薬剤の手撒きパターンについて決定する(ステップS3)。
【0042】
手撒きパターンとしては、例えば、「連続セット」、「枡空けセット」、「改列セット」等が挙げられる。この場合、予めいずれかを設定しておくことにより、表示装置9には、トレイ5の枡4に対応するように格子状の枠を表示し、各手撒きパターンに応じて各処方を識別可能に表示するのが好ましい。例えば、A処方が3包であれば、A1、A2、A3を、順次、包装順に各枠内に表示させる。これにより、どの枡4にどの薬剤を手撒きすればよいのかが一目で分かる。
【0043】
「連続セット」は、トレイ5の各枡4に開放順の1番目から順に連続して手撒きする場合に設定される。「連続セット」では、処方データ12が変更されても、枡4を空けることなく連続して手撒きできる。これにより、1つのトレイ5にできるだけ多くの薬剤を手撒きすることが可能となる。
【0044】
「枡空けセット」では、各処方データ12では、トレイ5の各枡4に開放順序に従って連続して手撒きするが、処方データ12が変更されることにより、少なくとも1枡(ここでは1枡)を空けて次の手撒きを行うように設定される。これにより、1つのトレイ5にできるだけ多くの薬剤を手撒きしつつ、各処方データ間で誤って手撒きすることをも防止することが可能となる。
【0045】
「改列セット」では、「枡空けセット」と同様に、処方データ各処方データ12では、トレイ5の各枡4に開放順序に従って連続して手撒きする。但し、処方データ12が変更されることにより、改列して次の列から手撒きを行うように設定される。これにより、各処方データを確実に分類することができ、「枡空けセット」に比べて、より一層、手撒きミスを防止することが可能となる。
【0046】
ところで、前記割当条件は、手撒きパターンが「連続セット」であることを前提として1トレイ分に割り当てる処方データ12が決定されている。このため、「枡空けセット」又は「改列セット」が設定されれば、その手撒きパターンに従って割当条件を満足するように、1トレイに割り当てる処方データ12の修正が必要となる。例えば、前述のように、A〜E処方の場合、「枡空けセット」であれば、E処方を割り当てることができなくなるので、E処方は次のトレイ5とする必要がある。
【0047】
以上のようにして、各トレイ5への処方データ12の割当と、手撒きパターンとが決定されれば、手撒き薬剤の指示書(手撒き指示書、DTA指示書)を出力する(ステップS4)。
【0048】
すなわち、表示装置9に、図5に示すDTAセット待ち画面を表示させる。DTAセット待ち画面には、手撒きする薬剤名等が表示されるので、ユーザは該当する薬剤をトレイ5に手撒きすればよい。薬剤名の右隣に表示される英数字が、6回ある1日の服用時期のうち、いずれの時期にどれだけ服用すればよいのかを示している。したがって、この英数字に従って手撒きすることもできるが、DTAセット待ち画面を直接操作することにより、図6に示す薬品一覧画面を表示させるようにしてもよい。この薬品一覧画面では、半錠については、薬剤名の隣に半錠を示す画像17aを表示することにより一目で判別することができ、間違えて手撒きすることを防止可能となる。この場合、処方内容が特殊なもの(例えば、1日置きの処方や、朝3、昼2、夕1等のように、服用時期で服用数が変更されるもの等)については、*、※等の識別可能な記号等を表示させておいてもよい(図6の例では、「i」マーク17bを表示)。
【0049】
また、実際にどの枡4にどの薬剤を手撒きするのかは、薬品一覧画面に表示された薬剤名を選択すればよい。撒き方詳細画像には、トレイ5の各枡4に対応する枠線と、手撒きの対象となる薬剤名とが表示される。枠線には、前述のようにして決定された割当条件及び手撒きパターンに従って、手撒き順に手撒きする薬剤の数量が数字で表示される。したがって、ユーザはその指示に従ってトレイ5に手撒きすればよく、効率良く、かつ、間違いなく手撒きすることが可能である。したがって、慣れていない薬剤師であっても確実に対応することができる。特に、服用時期の不規則な薬剤には非常に有効である。
【0050】
選択した薬剤の手撒きが完了すれば、撒き方詳細画像に表示された「戻る」ボタンを操作すると、図7に示すDTAセット待ち画面に復帰し、手撒きの完了した薬剤の左側に「済」の文字を表示させる。ユーザは、順次、薬剤名を選択し、全てについて「済」が表示されるまで、前記処理を繰り返せばよい。
【0051】
1トレイへの手撒き作業が完了すれば、後は処方データ12に従って自動的に各枡4から手撒き薬剤を払い出し、包装装置にて1包分ずつ包装する(ステップS5)。
【0052】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内に於いて種々の変更等が可能である。
【0053】
前記実施形態では、画面にトレイ5の各枡4に対応する画像を表示させるだけとしたが、手撒きする薬品及び該当枡4を音声により報知するようにしてもよい(例えば、「1番目から3番目の枡に、錠剤Aを1錠ずつ撒いて下さい。」と音声出力させればよい。)。
【0054】
前記実施形態では、まず、各トレイ5への処方データ12の割当を決定した後、手撒きパターンを決定するようにしたが、この処理は逆に行うようにしてもよい。すなわち、手撒きパターンを決定した後、各トレイ5への処方データ12の割当を決定するようにすれば、前述のような修正処理は不要となる。
【0055】
前記実施形態では、DTAセット待ち画面を直接操作することにより、薬品一覧画面に切り替えるようにしたが、図8に示すように、別途、撒き方詳細ボタン15aを設け、このボタン15aを操作することにより切り替えるようにしてもよい。さらに、薬品一覧画面では、半錠のみならず、1錠についても画像を表示するようにしてもよい。さらにまた、図10に示す撒き方詳細画面で、ある薬剤について手撒き作業が完了し、完了ボタン17cが操作されることにより、図9に示す薬品一覧画面に復帰させ、その薬剤の左隣に「済」のマークを表示させるようにしてもよい。
【0056】
前記実施形態では、トレイ5の手撒き位置の特定を表示装置9での表示のみで行うようにしたが、トレイ5の各枡4にLEDを設け、各枡4の手撒き領域を特定できるようにしてもよい。この場合、複数色のLEDを設け、これらLEDの色彩を、画面に薬品名と共に薬品の種類別に表示させた色彩にそれぞれ対応させ、どの薬品がどの枡に対応するのかを識別可能とするのが好ましい。作業者は、画面上で薬品名と共に表示された色彩と、トレイの枡に対応して点灯させたLEDの色彩とから、薬品をどの枡に手撒きすればよいのかが一目で分かるので、手撒き作業を効率的に行うことが可能となる。
【0057】
また、トレイ5の各枡4にLEDを設ける代わりに、図11に示すように、有線(無線でもよい。)で通信可能とした手撒き専用装置18を設けるようにしてもよい。この場合、手撒き専用装置18の表示画面には、前述の画面に表示させたものと同様な内容を表示させるだけでなく、トレイ5の各枡4に対応する格子状の画像19を表示させる。そして、表示させた画像19の格子状に区画された各領域に対応して、薬品の種類別で異なる色彩からなる表示部20を表示させることにより、前記同様、薬品をどの枡4に収容すればよいのかが一目で分かるようにする。これにより、手撒き専用装置18をトレイ5の近傍に配置し、画面に表示された画像19とトレイ5の各枡4との対応関係をより正確に捉えることが可能となる。また、手撒き専用装置18には、トレイ5の各枡4に対応する格子状となる開口を形成し、トレイ5をセットした状態で、各開口に各枡4が位置するように構成するのが好ましい。これによれば、手撒き専用装置18に従来と同様なトレイ5をセットするだけで、薬品を収容すべき枡4を直接識別可能とすることができ、作業性を大幅に向上させるだけでなく、収容ミスを防止することが可能となる。
【0058】
前記実施形態では、トレイ5の各枡4に適切に薬剤が収容されたか否かは目視により確認するようにしているが、カメラ等で、上方からトレイ5の全体を撮影し、各枡4内に収容されている薬剤を確認するようにしてもよい。この場合、枡毎に適切な数量が収容されているか否かを判断し、その結果を表示装置9に表示させるのが好ましい。また、薬品が異なる箇所に収容されれば、ブザー等により警告するのが好ましい。さらに、各枡4に開閉式のシャッターを設け、薬品を収容すべき枡のみのシャッターを開放し、それ以外の枡のシャッターは閉鎖するようにするようにしてもよい。シャッターを設けるようにすれば、薬品を収容する枡4を誤ることがなく、確実に所定の枡4に収容することが可能となる。
【0059】
また、前記実施形態では、手撒きパターンを画面に表示させるだけとしたが、手撒き処方が検出された際に、適宜、ジャーナルプリンタによりDTA指示書を印刷するようにしてもよい。
【0060】
この場合、薬剤分包装置2は、図12に示すように、ジャーナルプリンタ21を備えた構成とすればよい。この薬剤分包装置2では、手撒き薬剤供給装置1のトレイ5が装置本体19に対して引出可能に設けられている。各枡4に薬剤を手撒きする際にのみトレイ5を引き出し、薬剤を包装する際には装置本体19内に収納して使用する。トレイ5の下方側が包装ユニット22である。また、ジャーナルプリンタ18の上方側には、バーコードリーダー23が設けられ、薬瓶や薬剤の包装箱のバーコードを読み込んで、記憶したデータベースを参照して、薬剤を特定することが可能となっている。また、バーコードリーダー23の上方側にはディスプレイ24が配置されている。
【0061】
前記ジャーナルプリンタ21により印刷されるDTA指示書の印刷形態としては、図13(a)に示すように、日時、病棟名、患者情報(患者ID、患者名、病室)、EntryNo.(トレイエントリーナンバー)、処方情報が含まれる。EntryNo.は、薬剤供給装置の識別番号(1台であれば、「1」のみ)と、薬剤を払い出すトレイの識別番号とで構成されている。処方情報には、薬品毎に手撒きするトレイ5の枡番号、薬品名、規格量(薬品1つ当たりの重量)、1回分のDTA薬品量(手撒き薬品の量)、総DTA薬品量、DTA枡番号が含まれ、必要に応じて、薬品毎に、薬品メーカーのコード番号や、HIS薬品コード等を含めるようにしてもよい。
【0062】
ところで、DTA指示書を印刷する場合、図14に示すように、ホストコンピュータ100からのデータを受信する、別途設けたコンピュータ(PC)で、複数のデータを取り纏めた後(取り纏め処理:ステップS1)、EntryNo.を薬剤分包装置2に送信するようにしている(送信処理:ステップS2)。
【0063】
取り纏め処理では、図15に示すように、送信バッファを初期化してから(ステップS11)、処方データを読み込み(ステップS12)、送信バッファに1包分単位でデータを追加する(ステップS13)。例えば、処方データに「朝」、「昼」、「夕」食後の3日分が含まれている場合、9包分のデータが追加されることになる。このようにして送信バッファにデータが追加されれば、DTA処方すなわち手撒きすべき薬品を含む処方があるいか否かを判断する(ステップS14)。DTA処方が含まれていれば、ジャーナルプリンタによりDTA指示書の印刷を開始した後(ステップS15)、DTA処方が含まれていなければ、DTA指示書の印刷を開始することなく、取り纏め条件を満足するか否かを判断する(ステップS16)。ここに、取り纏め条件を満足する場合とは、前記同様、「最大分包数割当」、「病棟単位割当」、「処方数割当」、「受信時間割当」、「強制割当」からなる割当条件のうち、いずれかの条件を満足する場合が該当する。取り纏め条件を満足しなければ、ステップS12に戻って前記処理を繰り返す。そして、取り纏め条件を満足すれば、送信バッファ内のデータをビットマップ(BMP)化することにより、薬剤供給装置での包装紙への印刷に備える(ステップS17)。
【0064】
送信処理では、図16に示すように、別途設けたPCに未処理データがあるか否かを判断する(ステップS21)。そして、未処理データがあれば、薬剤分包装置2へと1包分のデータを送信する(ステップS22)。その後、未処理データがなくなれば、送信処理を終了する。
【0065】
このように、処方データにDTA処方が含まれていれば、その都度、ジャーナルプリンタによりDTA指示書を印刷するようにしているので、作業者は、印刷内容を見れば、即座に手撒き処理を開始することができる。この場合、薬剤分包装置2の表示装置9に送信されたEntryNo.に基づいて、手撒き処理が可能になった旨の予告通知を表示させるのが好ましい。この表示は、ジャーナルプリンタで印刷を行う毎に行ってもよいし、同一EntryNo.を纏めて表示するようにしてもよい。但し、ジャーナルプリンタによる印刷を行う毎に表示するようにすれば、作業者は、この表示を見て、割当処理が完了する前に、DTA指示書の印刷内容を確認しながら、該当するトレイの各枡への薬剤の手撒き処理を開始することができる。したがって、順次受信される処方データに含まれる手撒き薬品が少ない場合であっても、手撒き薬品に関するデータが入力されれば、即座に手撒き処理を開始することが可能となる点で好ましい。また、トレイに手撒きすべき薬品の全てが収容されれば、その時点で、手撒きが完了し、包装処理を開始してよい旨の表示(例えば、1−001 DTAセット可)をするのが好ましい。これにより、いつ包装処理を開始してよいのかが報知されるので、作業者は安心して作業を進めることができる。
【0066】
DTA指示書へ印刷するDTA枡番号は、前述の手撒きパターンを決定する方法にて得られたデータを利用すればよい。また、DTA指示書への印刷内容は、例えば、次のように変更してもよい。図13(b)に示すDTA指示書では、各薬品でDTA枡番号が3枡以上連続している部分は「〜」を使用することにより、途中の番号を省略して印刷している。図13(c)に示すDTA指示書では、薬品毎に、DTA枡番号をトレイ5の各枡4に対応した格子状の各領域のいずれに、どの順で手撒きすればよいのかを印刷している。これによれば、薬品が複数あれば、ある1つの薬品のみを集中して手撒きした後、次の薬品に移行することができ、作業性を向上させることができる。
【0067】
また、薬剤供給装置での包装をキャンセルする場合、キャンセル処方確認書を、画面に表示したり、印刷したりするのが好ましい。これにより、キャンセルという重大な手続を行ったことを画面で確認し、又、印刷して記録を残すことができ、誤処理を防止することが可能となる。
【0068】
また、前述の実施形態では、DTA指示書を、患者及びEntryNo.が同じものについて印刷するようにしたが、EntryNo.単位あるいは処方単位で印刷するようにしてもよい。
【0069】
図17は、EntryNo.単位で印刷した例を示す。この例は、EntryNo.が1−005すなわち同一薬剤供給装置の同一トレイに手撒きする薬品を纏めて印刷したものである。これによれば、例えば、同一病室の複数の患者に処方する薬品について、同一のEntryNo.を付与しておけば、これらを纏めて同一トレイに手撒き処理することができる。
【0070】
図18は、患者単位で印刷した例を示す。これによれば、患者単位で手撒き処理あるいは包装処理を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施形態に係る手撒き薬剤供給装置を備えた薬剤分包装置の斜視図である。
【図2】図1の手撒き薬剤供給装置に採用されるトレイの簡略図である。
【図3】図1の手撒き薬剤供給装置のブロック図である。
【図4】図1の手撒き薬剤供給装置の中央制御装置で行う処理内容を示すフローチャート図である。
【図5】図1の手撒き薬剤供給装置の表示装置に表示されるDTAセット待ち画面である。
【図6】図5で撒き方詳細ボタンを操作することにより表示される薬品一覧画面である。
【図7】図6で、ある薬剤が選択されることにより切り替わる撒き方詳細画面である。
【図8】図1の手撒き薬剤供給装置の表示装置に表示されるDTAセット待ち画面の他の例である。
【図9】図8で撒き方詳細ボタンを操作することにより表示される薬品一覧画面である。
【図10】図9で、ある薬剤が選択されることにより切り替わる撒き方詳細画面である。
【図11】他の実施形態に係る薬剤分包装置に採用される手撒き専用装置を示す概略図である。
【図12】他の実施形態に係る薬剤分包装置を示す概略斜視図である。
【図13】他の実施形態に係る手撒き薬剤供給装置に設けたジャーナルプリンタより印刷されるDTA指示書の例を示す図である。
【図14】他の実施形態に係る手撒き薬剤包装装置での分包処理を示すフローチャートである。
【図15】図14の取り纏め処理を示すフローチャートである。
【図16】図14の送信処理を示すフローチャートである。
【図17】DTA指示書のEntryNo.単位で印刷した他の例を示す図である。
【図18】DTA指示書の患者単位で印刷した他の例を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、手撒き薬剤供給装置、薬剤の手撒き方法、及び、薬剤分包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬剤分包装置には、自動供給できない薬剤(主に錠剤)について、予め分包順に手撒きにより準備しておき、適宜、包装装置へと供給できるようにした手撒き薬剤供給装置を備えたものがある。この手撒き薬剤供給装置は、トレイ内に形成される格子状に仕切られた複数の枡に、手撒き薬剤をそれぞれ収容し、順次、各枡の底板を開放することにより手撒き薬剤を供給するように構成されている。
【0003】
従来、前記手撒き薬剤供給装置では、1つのトレイには、1処方分の薬剤を手撒きし、次の処方は、前記トレイからの手撒き薬剤の供給が終了してから再度手撒きするようにしている(例えば、特許文献1から4参照)。
【0004】
【特許文献1】特公平6−37202号公報
【特許文献2】特許第2866543号公報
【特許文献3】特開2004−203433号公報
【特許文献4】特開2006−151399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の手撒き薬剤供給装置では、1処方毎にトレイに薬剤を手撒きし直さなければならず、作業回数が増え、煩雑である。また、手撒きする場合も、使用先である病院の違いによっても種々の要望があり、それら全てに柔軟に対応することは不可能である。
【0006】
そこで、本発明は、一度に複数の処方データについて薬剤を手撒きでき、しかも種々の要望に応じて適切に手撒きできる手撒き薬剤供給装置、薬剤の手撒き方法、及び、薬剤分包装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
トレイ内に形成される複数の枡に収容した薬剤を順次供給するようにした手撒き薬剤供給装置であって、
処方データを受信する受信手段と、
前記トレイの各枡に収容する薬剤の割当条件を記憶する記憶手段と、
前記受信手段に順次受信される処方データに基づいて、前記記憶手段に記憶させた割当条件に従って、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定する位置決定手段と、
前記位置決定手段によって決定された手撒き位置を表示する表示手段と、
を備えたものである。
【0008】
この構成により、順次、受信する処方データを、予め設定した割当条件に従って、トレイの各枡のどの位置に収容すればよいのかを表示させることができる。つまり、複数の処方データに基づいて1つのトレイに薬剤を手撒きしておくことができる上、予め設定した割当条件に従って自動的に手撒き位置を決定し、手撒きすればよい枡の位置を表示手段に表示させることができる。
【0009】
前記記憶手段に記憶させる割当条件には、前記トレイに割り当てることのできる最大分包数を超えないことを条件とする最大分包数割当を含み、
前記位置決定手段は、少なくとも、前記受信手段で受信する各処方データの包数を順次カウントし、前記記憶手段に記憶した最大分包数割当に基づいて、カウントした包数の累積値が前記最大分包数を超えない最大値とし、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定するのが好ましい。
【0010】
前記記憶手段に記憶させる割当条件には、さらに、
病棟単位割当、処方数割当、受信時間割当、強制割当のうちの少なくともいずれか1つを含み、
前記位置決定手段は、前記最大分包数割当を含む、前記いずれか2以上の割当条件のうち、いずれか1つを満足することにより前記トレイに割り当てる処方データを決定するのが好ましい。
【0011】
さらに、前記トレイの各枡に収容する薬剤の手撒きパターンを選択するための手撒きパターン選択手段を備えるのが好ましい。
【0012】
前記手撒きパターンは、各枡からの薬剤の供給順に連続して手撒きする連続セット、及び、処方が変更されることにより少なくとも1枡空けて次の手撒きをする枡空けセットのうち、少なくともいずれか1つを含むようにするのが好ましい。
【0013】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、
トレイ内に形成される複数の枡に収容した薬剤を順次供給して包装するようにした薬剤分包装置であって、
処方データを受信する受信手段と、
前記トレイの各枡に収容する薬剤の割当条件を記憶する記憶手段と、
前記受信手段に順次受信される処方データに基づいて、前記記憶手段に記憶させた割当条件に従って、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定する位置決定手段と、
前記位置決定手段によって決定された手撒き位置を表示する表示手段と、
を備えた構成としたものである。
【0014】
前記受信手段に受信された処方データに含まれる手撒き薬剤に関するデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された手撒き薬剤に関するデータに基づいて、前記トレイのいずれの枡に手撒きするのかを示す手撒き指示書を印刷する印刷手段と、
をさらに備えた構成とするのが好ましい。
【0015】
この構成により、トレイに割り当てる手撒きする薬剤に関するデータが全て揃う前に、手撒き指示書の印刷内容に基づいて、トレイの該当する枡に薬剤を手撒きすることができる。したがって、先に手撒きした薬剤から分包を開始させることができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【0016】
前記表示手段には、前記抽出手段によって手撒き薬剤に関するデータが抽出されることにより手撒き処理を開始してよい旨の表示を行うのが好ましい。
【0017】
この構成により、作業者は表示手段での表示内容を確認してから、手撒き処理を開始することができ、適切な時期に手撒き処理を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、順次、受信する処方データを、割当条件に従って1つのトレイでの手撒き位置を決定することができるので、従来に比べて手撒き作業を簡略化することができる。しかも、割当条件に従って種々の要望に応じた手撒き位置を特定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る手撒き薬剤供給装置1を備えた薬剤分包装置2を示す。この手撒き薬剤供給装置1は、自動的に供給できない半錠、特殊薬剤等を手撒き(DTA:Detachable Tablet Adapter)でセットしておき、包装紙に自動包装するために使用する。
【0021】
手撒き薬剤供給装置1は、トレイ支持台3に、格子状に複数の枡4を形成し、各枡4に手撒き薬剤を収容したトレイ5を載置し、図示しないトレイ搬送装置によりトレイ5を水平方向にスライド移動させ、順次、各枡4の底板6を開放することにより、各枡4内の手撒き薬剤を供給するようにしたものである。前記トレイ5は、63枡(6行×11列、3枡分は閉鎖)で構成されているが、実際には最大包数は63に設定され、3包分は使用しない。また、前記トレイ5の底面側には階段状の内縁を備えた開口部を有するベースプレートが設けられている。これにより、トレイ5を水平移動させると、底板6が列毎に一方から他方に向かって順次開放する。
【0022】
また、手撒き薬剤供給装置1は、受信装置7、記憶装置8、表示装置9、及び、中央処理装置(CPU10)を備える。但し、これらの装置は、手撒き薬剤供給装置1の専用としてではなく、薬剤分包装置用として別途設けたコンピュータ(PC)を共用する構成とするのが好ましい。
【0023】
受信装置7は、LAN(Local Area Network)を介してホストコンピュータ100等から出力された処方データ12を受信する。
【0024】
記憶装置8には、各種マスタファイル等のデータベース11や受信した処方データ12のほか、制御プログラム13が記憶されている。
【0025】
表示装置9には、LCD(Liquid Crystal Display)等が使用でき、必要に応じてタッチパネルで構成することも可能である。ここでは、表示装置9は、タッチパネルで構成されている。タッチパネルは、メッセージ領域14、ボタン領域15、状態表示領域16、及び、機能領域17を備える。
【0026】
メッセージ領域14には、薬剤分包装置2の状態やエラーメッセージ等が表示される。例えば、分包が可能な状態であれば、「待機中です。分包できます。」と表示される。
【0027】
ボタン領域15には、薬剤分包装置2の状態に応じて、そのときに必要とされる操作を行うための操作ボタンが、最大6個表示される。例えば、待機中である場合、「スタート」、「DTA開閉」ボタン等が表示される。
【0028】
状態表示領域16には、分包中の薬剤に関する処方データ12の内容や、薬剤分包装置2の状態が表示される。具体的には、包数(現在分包中処方の残分包数)、患者ID(分包データの患者ID)、患者名(分包データの患者名)、引換券番号(分包データの引換券番号)、分数、日数(分包データの分数、日数)、連続・反復(分包データの分包順序)、錠剤内訳(分包データの錠剤内訳)、紙残量(分包紙の残量を5段階で表示する)、DTA予約数(現在のDTA予約数)、温度(ヒーターローラーの温度)、通信(PC、薬剤分包装置2間の通信状態)が表示される。
【0029】
機能領域17には、処方内容や各種操作を行うための指示内容が表示される。例えば、図5に示すように、前記メッセージ領域14に表示した内容に関する具体的な処理内容のほか、処方データ12に含まれる薬剤名、処方量等からなるセット待ち画面が表示される。セット待ち画面で、機能領域17がタッチ操作されると、図6に示す薬品一覧画面が表示される。薬品一覧画面では、半錠で手撒きすべき薬剤の横には、半錠を示す絵図17aが示される。これにより、どの薬剤を半錠として手撒きするのかが一目で分かり便利である。また、薬品一覧画面では、通常の手撒きパターンとは相違する薬剤について、「i」マーク17bを表示することによりユーザに注意を促すようにしている。例えば、隔週に服用しなければならない薬剤であれば、トレイ5の各枡4に順番に手撒きするのではなく、間隔を空けた変則的な撒き方となる。このため、ユーザに注意を促すことにより、手撒き位置を間違わないようにしている。また、薬品一覧画面で、手撒きしようとする薬品名をタッチ操作すると、図7に示すように、トレイ5の平面図からなる撒き方詳細画面が表示される。撒き方詳細画面では、前記薬品一覧画面でタッチ操作された薬品について、どの枡4に何錠手撒きすればよいのかが、(1、2又は1/2(半)、1/4錠等)数字で表示される。
【0030】
CPU10は、後述するように、処方データ12に基づいてデータベース11を参照し、制御プログラム13を実行する。
【0031】
次に、前記手撒き薬剤供給装置1の動作について説明する。
【0032】
まず、トレイ5に手撒きする錠剤に関する処方データ12を順次受信する(ステップS1)。そして、受信した各処方データ12から、1つのトレイ5に割り当てる処方データ12を決定する(ステップS2)。割り当てる処方データ12の決定方法は、割当条件に基づいて行う。
【0033】
具体的に、「最大分包数割当」、「病棟単位割当」、「処方数割当」、「受信時間割当」、「強制割当」からなる割当条件のうち、いずれかの条件を満足した時点で、1つのトレイ5への割当を終了し、次のトレイ5に移行する。
【0034】
「最大分包数割当」では、受信する各処方データ12の包数を順次カウントし、その累積値がトレイ5に形成された全ての枡数を超えない最大値となるように、1つのトレイ5に処方データ12を割り当てる。累積値が枡4の最大値を超えた処方データ12については、次のトレイ5での手撒きとする。
【0035】
「病棟単位割当」では、順次受信する処方データ12に含まれる病棟に関するデータが同一であるか否かに基づいて、病棟が変更されたと判断した時点で、それまでの処方データ12を1まとめにして1つのトレイ5に割り当てる。
【0036】
「処方数割当」では、受信する処方データ12が、予め設定した処方数に到達するまで1つのトレイ5に割り当てる。
【0037】
「受信時間割当」では、処方データ12を受信する場合、その受信間隔が予め設定した指定時間を超えた場合、それまでに受信した処方データ12を1つのトレイ5に割り当てる。
【0038】
「強制割当」では、締めボタンが操作されることにより、割当途中であっても、1つのトレイ5への割当を中止し、次のトレイ5へと移行する。
【0039】
例えば、処方データ12として、A処方(手撒き薬剤を含むものが21包)、B処方(手撒き薬剤を含むものが21包)、C処方(手撒き薬剤を含むものが7包)、D処方(手撒き薬剤を含むものが7包)、E処方(手撒き薬剤を含むものが7包)の順で受信する場合、E処方を受信した時点で、最大値の63包となるので、A〜E処方を1トレイ分の手撒きとする。但し、A〜D処方がM病棟、E処方がN病棟に割り当てられていれば、1トレイへの割当が最大分包数に到達していなくても、A〜D処方のみを1トレイ分の手撒きとし、E処方は次のトレイ5での手撒きとする。また、1トレイへの処方数が3に設定されていれば、A〜C処方のみを1トレイ分の手撒きとし、D処方以降は他のトレイ5での手撒きとする。さらに、B処方の受信からC処方の受信までの間隔が設定時間を超えた場合、A、B処方のみを1トレイ分の手撒きとし、C処方以降を他のトレイ5への手撒きとする。さらにまた、A処方の手撒き中に締めボタンが操作されれば、A処方のみを1トレイ分の手撒きとする。
【0040】
なお、前記割当条件は5つ全て設定する必要がなく、ユーザが任意に選択できるようにすることも可能である。例えば、病棟が1つしかない病院であれば、病棟割当は不要となる。
【0041】
続いて、前記いずれかの割当条件を満足することにより、1つのトレイ5に割り当てる処方データ12が決定されれば、そのトレイ5への薬剤の手撒きパターンについて決定する(ステップS3)。
【0042】
手撒きパターンとしては、例えば、「連続セット」、「枡空けセット」、「改列セット」等が挙げられる。この場合、予めいずれかを設定しておくことにより、表示装置9には、トレイ5の枡4に対応するように格子状の枠を表示し、各手撒きパターンに応じて各処方を識別可能に表示するのが好ましい。例えば、A処方が3包であれば、A1、A2、A3を、順次、包装順に各枠内に表示させる。これにより、どの枡4にどの薬剤を手撒きすればよいのかが一目で分かる。
【0043】
「連続セット」は、トレイ5の各枡4に開放順の1番目から順に連続して手撒きする場合に設定される。「連続セット」では、処方データ12が変更されても、枡4を空けることなく連続して手撒きできる。これにより、1つのトレイ5にできるだけ多くの薬剤を手撒きすることが可能となる。
【0044】
「枡空けセット」では、各処方データ12では、トレイ5の各枡4に開放順序に従って連続して手撒きするが、処方データ12が変更されることにより、少なくとも1枡(ここでは1枡)を空けて次の手撒きを行うように設定される。これにより、1つのトレイ5にできるだけ多くの薬剤を手撒きしつつ、各処方データ間で誤って手撒きすることをも防止することが可能となる。
【0045】
「改列セット」では、「枡空けセット」と同様に、処方データ各処方データ12では、トレイ5の各枡4に開放順序に従って連続して手撒きする。但し、処方データ12が変更されることにより、改列して次の列から手撒きを行うように設定される。これにより、各処方データを確実に分類することができ、「枡空けセット」に比べて、より一層、手撒きミスを防止することが可能となる。
【0046】
ところで、前記割当条件は、手撒きパターンが「連続セット」であることを前提として1トレイ分に割り当てる処方データ12が決定されている。このため、「枡空けセット」又は「改列セット」が設定されれば、その手撒きパターンに従って割当条件を満足するように、1トレイに割り当てる処方データ12の修正が必要となる。例えば、前述のように、A〜E処方の場合、「枡空けセット」であれば、E処方を割り当てることができなくなるので、E処方は次のトレイ5とする必要がある。
【0047】
以上のようにして、各トレイ5への処方データ12の割当と、手撒きパターンとが決定されれば、手撒き薬剤の指示書(手撒き指示書、DTA指示書)を出力する(ステップS4)。
【0048】
すなわち、表示装置9に、図5に示すDTAセット待ち画面を表示させる。DTAセット待ち画面には、手撒きする薬剤名等が表示されるので、ユーザは該当する薬剤をトレイ5に手撒きすればよい。薬剤名の右隣に表示される英数字が、6回ある1日の服用時期のうち、いずれの時期にどれだけ服用すればよいのかを示している。したがって、この英数字に従って手撒きすることもできるが、DTAセット待ち画面を直接操作することにより、図6に示す薬品一覧画面を表示させるようにしてもよい。この薬品一覧画面では、半錠については、薬剤名の隣に半錠を示す画像17aを表示することにより一目で判別することができ、間違えて手撒きすることを防止可能となる。この場合、処方内容が特殊なもの(例えば、1日置きの処方や、朝3、昼2、夕1等のように、服用時期で服用数が変更されるもの等)については、*、※等の識別可能な記号等を表示させておいてもよい(図6の例では、「i」マーク17bを表示)。
【0049】
また、実際にどの枡4にどの薬剤を手撒きするのかは、薬品一覧画面に表示された薬剤名を選択すればよい。撒き方詳細画像には、トレイ5の各枡4に対応する枠線と、手撒きの対象となる薬剤名とが表示される。枠線には、前述のようにして決定された割当条件及び手撒きパターンに従って、手撒き順に手撒きする薬剤の数量が数字で表示される。したがって、ユーザはその指示に従ってトレイ5に手撒きすればよく、効率良く、かつ、間違いなく手撒きすることが可能である。したがって、慣れていない薬剤師であっても確実に対応することができる。特に、服用時期の不規則な薬剤には非常に有効である。
【0050】
選択した薬剤の手撒きが完了すれば、撒き方詳細画像に表示された「戻る」ボタンを操作すると、図7に示すDTAセット待ち画面に復帰し、手撒きの完了した薬剤の左側に「済」の文字を表示させる。ユーザは、順次、薬剤名を選択し、全てについて「済」が表示されるまで、前記処理を繰り返せばよい。
【0051】
1トレイへの手撒き作業が完了すれば、後は処方データ12に従って自動的に各枡4から手撒き薬剤を払い出し、包装装置にて1包分ずつ包装する(ステップS5)。
【0052】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内に於いて種々の変更等が可能である。
【0053】
前記実施形態では、画面にトレイ5の各枡4に対応する画像を表示させるだけとしたが、手撒きする薬品及び該当枡4を音声により報知するようにしてもよい(例えば、「1番目から3番目の枡に、錠剤Aを1錠ずつ撒いて下さい。」と音声出力させればよい。)。
【0054】
前記実施形態では、まず、各トレイ5への処方データ12の割当を決定した後、手撒きパターンを決定するようにしたが、この処理は逆に行うようにしてもよい。すなわち、手撒きパターンを決定した後、各トレイ5への処方データ12の割当を決定するようにすれば、前述のような修正処理は不要となる。
【0055】
前記実施形態では、DTAセット待ち画面を直接操作することにより、薬品一覧画面に切り替えるようにしたが、図8に示すように、別途、撒き方詳細ボタン15aを設け、このボタン15aを操作することにより切り替えるようにしてもよい。さらに、薬品一覧画面では、半錠のみならず、1錠についても画像を表示するようにしてもよい。さらにまた、図10に示す撒き方詳細画面で、ある薬剤について手撒き作業が完了し、完了ボタン17cが操作されることにより、図9に示す薬品一覧画面に復帰させ、その薬剤の左隣に「済」のマークを表示させるようにしてもよい。
【0056】
前記実施形態では、トレイ5の手撒き位置の特定を表示装置9での表示のみで行うようにしたが、トレイ5の各枡4にLEDを設け、各枡4の手撒き領域を特定できるようにしてもよい。この場合、複数色のLEDを設け、これらLEDの色彩を、画面に薬品名と共に薬品の種類別に表示させた色彩にそれぞれ対応させ、どの薬品がどの枡に対応するのかを識別可能とするのが好ましい。作業者は、画面上で薬品名と共に表示された色彩と、トレイの枡に対応して点灯させたLEDの色彩とから、薬品をどの枡に手撒きすればよいのかが一目で分かるので、手撒き作業を効率的に行うことが可能となる。
【0057】
また、トレイ5の各枡4にLEDを設ける代わりに、図11に示すように、有線(無線でもよい。)で通信可能とした手撒き専用装置18を設けるようにしてもよい。この場合、手撒き専用装置18の表示画面には、前述の画面に表示させたものと同様な内容を表示させるだけでなく、トレイ5の各枡4に対応する格子状の画像19を表示させる。そして、表示させた画像19の格子状に区画された各領域に対応して、薬品の種類別で異なる色彩からなる表示部20を表示させることにより、前記同様、薬品をどの枡4に収容すればよいのかが一目で分かるようにする。これにより、手撒き専用装置18をトレイ5の近傍に配置し、画面に表示された画像19とトレイ5の各枡4との対応関係をより正確に捉えることが可能となる。また、手撒き専用装置18には、トレイ5の各枡4に対応する格子状となる開口を形成し、トレイ5をセットした状態で、各開口に各枡4が位置するように構成するのが好ましい。これによれば、手撒き専用装置18に従来と同様なトレイ5をセットするだけで、薬品を収容すべき枡4を直接識別可能とすることができ、作業性を大幅に向上させるだけでなく、収容ミスを防止することが可能となる。
【0058】
前記実施形態では、トレイ5の各枡4に適切に薬剤が収容されたか否かは目視により確認するようにしているが、カメラ等で、上方からトレイ5の全体を撮影し、各枡4内に収容されている薬剤を確認するようにしてもよい。この場合、枡毎に適切な数量が収容されているか否かを判断し、その結果を表示装置9に表示させるのが好ましい。また、薬品が異なる箇所に収容されれば、ブザー等により警告するのが好ましい。さらに、各枡4に開閉式のシャッターを設け、薬品を収容すべき枡のみのシャッターを開放し、それ以外の枡のシャッターは閉鎖するようにするようにしてもよい。シャッターを設けるようにすれば、薬品を収容する枡4を誤ることがなく、確実に所定の枡4に収容することが可能となる。
【0059】
また、前記実施形態では、手撒きパターンを画面に表示させるだけとしたが、手撒き処方が検出された際に、適宜、ジャーナルプリンタによりDTA指示書を印刷するようにしてもよい。
【0060】
この場合、薬剤分包装置2は、図12に示すように、ジャーナルプリンタ21を備えた構成とすればよい。この薬剤分包装置2では、手撒き薬剤供給装置1のトレイ5が装置本体19に対して引出可能に設けられている。各枡4に薬剤を手撒きする際にのみトレイ5を引き出し、薬剤を包装する際には装置本体19内に収納して使用する。トレイ5の下方側が包装ユニット22である。また、ジャーナルプリンタ18の上方側には、バーコードリーダー23が設けられ、薬瓶や薬剤の包装箱のバーコードを読み込んで、記憶したデータベースを参照して、薬剤を特定することが可能となっている。また、バーコードリーダー23の上方側にはディスプレイ24が配置されている。
【0061】
前記ジャーナルプリンタ21により印刷されるDTA指示書の印刷形態としては、図13(a)に示すように、日時、病棟名、患者情報(患者ID、患者名、病室)、EntryNo.(トレイエントリーナンバー)、処方情報が含まれる。EntryNo.は、薬剤供給装置の識別番号(1台であれば、「1」のみ)と、薬剤を払い出すトレイの識別番号とで構成されている。処方情報には、薬品毎に手撒きするトレイ5の枡番号、薬品名、規格量(薬品1つ当たりの重量)、1回分のDTA薬品量(手撒き薬品の量)、総DTA薬品量、DTA枡番号が含まれ、必要に応じて、薬品毎に、薬品メーカーのコード番号や、HIS薬品コード等を含めるようにしてもよい。
【0062】
ところで、DTA指示書を印刷する場合、図14に示すように、ホストコンピュータ100からのデータを受信する、別途設けたコンピュータ(PC)で、複数のデータを取り纏めた後(取り纏め処理:ステップS1)、EntryNo.を薬剤分包装置2に送信するようにしている(送信処理:ステップS2)。
【0063】
取り纏め処理では、図15に示すように、送信バッファを初期化してから(ステップS11)、処方データを読み込み(ステップS12)、送信バッファに1包分単位でデータを追加する(ステップS13)。例えば、処方データに「朝」、「昼」、「夕」食後の3日分が含まれている場合、9包分のデータが追加されることになる。このようにして送信バッファにデータが追加されれば、DTA処方すなわち手撒きすべき薬品を含む処方があるいか否かを判断する(ステップS14)。DTA処方が含まれていれば、ジャーナルプリンタによりDTA指示書の印刷を開始した後(ステップS15)、DTA処方が含まれていなければ、DTA指示書の印刷を開始することなく、取り纏め条件を満足するか否かを判断する(ステップS16)。ここに、取り纏め条件を満足する場合とは、前記同様、「最大分包数割当」、「病棟単位割当」、「処方数割当」、「受信時間割当」、「強制割当」からなる割当条件のうち、いずれかの条件を満足する場合が該当する。取り纏め条件を満足しなければ、ステップS12に戻って前記処理を繰り返す。そして、取り纏め条件を満足すれば、送信バッファ内のデータをビットマップ(BMP)化することにより、薬剤供給装置での包装紙への印刷に備える(ステップS17)。
【0064】
送信処理では、図16に示すように、別途設けたPCに未処理データがあるか否かを判断する(ステップS21)。そして、未処理データがあれば、薬剤分包装置2へと1包分のデータを送信する(ステップS22)。その後、未処理データがなくなれば、送信処理を終了する。
【0065】
このように、処方データにDTA処方が含まれていれば、その都度、ジャーナルプリンタによりDTA指示書を印刷するようにしているので、作業者は、印刷内容を見れば、即座に手撒き処理を開始することができる。この場合、薬剤分包装置2の表示装置9に送信されたEntryNo.に基づいて、手撒き処理が可能になった旨の予告通知を表示させるのが好ましい。この表示は、ジャーナルプリンタで印刷を行う毎に行ってもよいし、同一EntryNo.を纏めて表示するようにしてもよい。但し、ジャーナルプリンタによる印刷を行う毎に表示するようにすれば、作業者は、この表示を見て、割当処理が完了する前に、DTA指示書の印刷内容を確認しながら、該当するトレイの各枡への薬剤の手撒き処理を開始することができる。したがって、順次受信される処方データに含まれる手撒き薬品が少ない場合であっても、手撒き薬品に関するデータが入力されれば、即座に手撒き処理を開始することが可能となる点で好ましい。また、トレイに手撒きすべき薬品の全てが収容されれば、その時点で、手撒きが完了し、包装処理を開始してよい旨の表示(例えば、1−001 DTAセット可)をするのが好ましい。これにより、いつ包装処理を開始してよいのかが報知されるので、作業者は安心して作業を進めることができる。
【0066】
DTA指示書へ印刷するDTA枡番号は、前述の手撒きパターンを決定する方法にて得られたデータを利用すればよい。また、DTA指示書への印刷内容は、例えば、次のように変更してもよい。図13(b)に示すDTA指示書では、各薬品でDTA枡番号が3枡以上連続している部分は「〜」を使用することにより、途中の番号を省略して印刷している。図13(c)に示すDTA指示書では、薬品毎に、DTA枡番号をトレイ5の各枡4に対応した格子状の各領域のいずれに、どの順で手撒きすればよいのかを印刷している。これによれば、薬品が複数あれば、ある1つの薬品のみを集中して手撒きした後、次の薬品に移行することができ、作業性を向上させることができる。
【0067】
また、薬剤供給装置での包装をキャンセルする場合、キャンセル処方確認書を、画面に表示したり、印刷したりするのが好ましい。これにより、キャンセルという重大な手続を行ったことを画面で確認し、又、印刷して記録を残すことができ、誤処理を防止することが可能となる。
【0068】
また、前述の実施形態では、DTA指示書を、患者及びEntryNo.が同じものについて印刷するようにしたが、EntryNo.単位あるいは処方単位で印刷するようにしてもよい。
【0069】
図17は、EntryNo.単位で印刷した例を示す。この例は、EntryNo.が1−005すなわち同一薬剤供給装置の同一トレイに手撒きする薬品を纏めて印刷したものである。これによれば、例えば、同一病室の複数の患者に処方する薬品について、同一のEntryNo.を付与しておけば、これらを纏めて同一トレイに手撒き処理することができる。
【0070】
図18は、患者単位で印刷した例を示す。これによれば、患者単位で手撒き処理あるいは包装処理を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施形態に係る手撒き薬剤供給装置を備えた薬剤分包装置の斜視図である。
【図2】図1の手撒き薬剤供給装置に採用されるトレイの簡略図である。
【図3】図1の手撒き薬剤供給装置のブロック図である。
【図4】図1の手撒き薬剤供給装置の中央制御装置で行う処理内容を示すフローチャート図である。
【図5】図1の手撒き薬剤供給装置の表示装置に表示されるDTAセット待ち画面である。
【図6】図5で撒き方詳細ボタンを操作することにより表示される薬品一覧画面である。
【図7】図6で、ある薬剤が選択されることにより切り替わる撒き方詳細画面である。
【図8】図1の手撒き薬剤供給装置の表示装置に表示されるDTAセット待ち画面の他の例である。
【図9】図8で撒き方詳細ボタンを操作することにより表示される薬品一覧画面である。
【図10】図9で、ある薬剤が選択されることにより切り替わる撒き方詳細画面である。
【図11】他の実施形態に係る薬剤分包装置に採用される手撒き専用装置を示す概略図である。
【図12】他の実施形態に係る薬剤分包装置を示す概略斜視図である。
【図13】他の実施形態に係る手撒き薬剤供給装置に設けたジャーナルプリンタより印刷されるDTA指示書の例を示す図である。
【図14】他の実施形態に係る手撒き薬剤包装装置での分包処理を示すフローチャートである。
【図15】図14の取り纏め処理を示すフローチャートである。
【図16】図14の送信処理を示すフローチャートである。
【図17】DTA指示書のEntryNo.単位で印刷した他の例を示す図である。
【図18】DTA指示書の患者単位で印刷した他の例を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイ内に形成される複数の枡に収容した薬剤を順次供給するようにした手撒き薬剤供給装置であって、
処方データを受信する受信手段と、
前記トレイの各枡に収容する薬剤の割当条件を記憶する記憶手段と、
前記受信手段に順次受信される処方データに基づいて、前記記憶手段に記憶させた割当条件に従って、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定する位置決定手段と、
前記位置決定手段によって決定された手撒き位置を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする手撒き薬剤供給装置。
【請求項2】
前記記憶手段に記憶させる割当条件には、前記トレイに割り当てることのできる最大分包数を超えないことを条件とする最大分包数割当を含み、
前記位置決定手段は、少なくとも、前記受信手段で受信する各処方データの包数を順次カウントし、前記記憶手段に記憶した最大分包数割当に基づいて、カウントした包数の累積値が前記最大分包数を超えない最大値とし、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の手撒き薬剤供給装置。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶させる割当条件には、さらに、
病棟単位割当、処方数割当、受信時間割当、強制割当のうちの少なくともいずれか1つを含み、
前記位置決定手段は、前記最大分包数割当を含む、前記いずれか2以上の割当条件のうち、いずれか1つを満足することにより前記トレイに割り当てる処方データを決定することを特徴とする請求項2に記載の手撒き薬剤供給装置。
【請求項4】
さらに、前記トレイの各枡に収容する薬剤の手撒きパターンを選択するための手撒きパターン選択手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の手撒き薬剤供給装置。
【請求項5】
前記手撒きパターンは、各枡からの薬剤の供給順に連続して手撒きする連続セット、及び、処方が変更されることにより少なくとも1枡空けて次の手撒きをする枡空けセットのうち、少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項4に記載の手撒き薬剤供給装置。
【請求項6】
前記位置決定手段によってトレイの各枡に手撒きする薬剤の位置が決定されることにより、前記表示手段に手撒きを開始してよいことを示す手撒き許可表示を行わせる表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の手撒き薬剤供給装置。
【請求項7】
トレイ内に形成される複数の枡に薬剤を手撒きする位置を決定する薬剤の手撒き方法であって、
処方データを受信し、
受信した処方データに基づいて、割当条件に従って、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定し、
決定した位置にいずれの薬剤を手撒きすればよいのかを表示することを特徴とする薬剤の手撒き方法。
【請求項8】
トレイ内に形成される複数の枡に収容した薬剤を順次供給して包装するようにした薬剤分包装置であって、
処方データを受信する受信手段と、
前記トレイの各枡に収容する薬剤の割当条件を記憶する記憶手段と、
前記受信手段に順次受信される処方データに基づいて、前記記憶手段に記憶させた割当条件に従って、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定する位置決定手段と、
前記位置決定手段によって決定された手撒き位置を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする薬剤分包装置。
【請求項9】
前記受信手段に受信された処方データに含まれる手撒き薬剤に関するデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された手撒き薬剤に関するデータに基づいて、前記トレイのいずれの枡に手撒きするのかを示す手撒き指示書を印刷する印刷手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項8に記載の薬剤分包装置。
【請求項10】
前記表示手段には、前記抽出手段によって手撒き薬剤に関するデータが抽出されることにより手撒き処理を開始してよい旨の表示を行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の薬剤分包装置。
【請求項1】
トレイ内に形成される複数の枡に収容した薬剤を順次供給するようにした手撒き薬剤供給装置であって、
処方データを受信する受信手段と、
前記トレイの各枡に収容する薬剤の割当条件を記憶する記憶手段と、
前記受信手段に順次受信される処方データに基づいて、前記記憶手段に記憶させた割当条件に従って、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定する位置決定手段と、
前記位置決定手段によって決定された手撒き位置を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする手撒き薬剤供給装置。
【請求項2】
前記記憶手段に記憶させる割当条件には、前記トレイに割り当てることのできる最大分包数を超えないことを条件とする最大分包数割当を含み、
前記位置決定手段は、少なくとも、前記受信手段で受信する各処方データの包数を順次カウントし、前記記憶手段に記憶した最大分包数割当に基づいて、カウントした包数の累積値が前記最大分包数を超えない最大値とし、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の手撒き薬剤供給装置。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶させる割当条件には、さらに、
病棟単位割当、処方数割当、受信時間割当、強制割当のうちの少なくともいずれか1つを含み、
前記位置決定手段は、前記最大分包数割当を含む、前記いずれか2以上の割当条件のうち、いずれか1つを満足することにより前記トレイに割り当てる処方データを決定することを特徴とする請求項2に記載の手撒き薬剤供給装置。
【請求項4】
さらに、前記トレイの各枡に収容する薬剤の手撒きパターンを選択するための手撒きパターン選択手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の手撒き薬剤供給装置。
【請求項5】
前記手撒きパターンは、各枡からの薬剤の供給順に連続して手撒きする連続セット、及び、処方が変更されることにより少なくとも1枡空けて次の手撒きをする枡空けセットのうち、少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項4に記載の手撒き薬剤供給装置。
【請求項6】
前記位置決定手段によってトレイの各枡に手撒きする薬剤の位置が決定されることにより、前記表示手段に手撒きを開始してよいことを示す手撒き許可表示を行わせる表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の手撒き薬剤供給装置。
【請求項7】
トレイ内に形成される複数の枡に薬剤を手撒きする位置を決定する薬剤の手撒き方法であって、
処方データを受信し、
受信した処方データに基づいて、割当条件に従って、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定し、
決定した位置にいずれの薬剤を手撒きすればよいのかを表示することを特徴とする薬剤の手撒き方法。
【請求項8】
トレイ内に形成される複数の枡に収容した薬剤を順次供給して包装するようにした薬剤分包装置であって、
処方データを受信する受信手段と、
前記トレイの各枡に収容する薬剤の割当条件を記憶する記憶手段と、
前記受信手段に順次受信される処方データに基づいて、前記記憶手段に記憶させた割当条件に従って、前記トレイの各枡に手撒きする薬剤の位置を決定する位置決定手段と、
前記位置決定手段によって決定された手撒き位置を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする薬剤分包装置。
【請求項9】
前記受信手段に受信された処方データに含まれる手撒き薬剤に関するデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された手撒き薬剤に関するデータに基づいて、前記トレイのいずれの枡に手撒きするのかを示す手撒き指示書を印刷する印刷手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項8に記載の薬剤分包装置。
【請求項10】
前記表示手段には、前記抽出手段によって手撒き薬剤に関するデータが抽出されることにより手撒き処理を開始してよい旨の表示を行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の薬剤分包装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−96557(P2009−96557A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12073(P2009−12073)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【分割の表示】特願2008−238308(P2008−238308)の分割
【原出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【分割の表示】特願2008−238308(P2008−238308)の分割
【原出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】
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