説明

手順情報を表示する方法及びシステム

ナビゲーション手順ディスプレイを説明する。ナビゲーション手順ディスプレイは現在の手順命令及び少なくとも1つの連続的な手順命令を表示するために飛行手順ディスプレイ内に位置されるダイナミック情報域を含んでいる。ナビゲーション手順ディスプレイはまた少なくとも3次元で、状況アウェアネスシンボルで現在の位置指示を表示するため手順ディスプレイ内に位置される移動するマップ域を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手順ナビゲーションディスプレイに関し、特にダイナミックに示された手順情報をナビゲーション情報ディスプレイに与える方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、全体が本願で参考文献とされている2005年12月22日出願の米国暫定特許出願第60/753,265号明細書(発明の名称“Data Driven Approach Function Display Functions”)の優先権を主張している。
【0003】
飛行ナビゲーション情報の提供に関して、伝統的な紙ベースの飛行バッグはアンルートチャート、出発手順、エンジンアウト手順、標準的なインスツルメント出発手順(SIDS)、標準的なターミナル到着ルート(STARS)、アプローチプレート、タクシーダイヤグラム、拡張されたツインエンジン動作(ETOPS)、海洋ナビゲーションログ、プラニングチャートのような補助を含むことができる。飛行バッグはまた通常動作マニュアル、飛行マニュアル、MEL/CDL、故障報告マニュアル、性能データ、チェックリスト、動作仕様も含んでいる。電子飛行バッグ(EFB)は知られている。しかしながらこのようなEFBでは、紙のチャートは過酷なパニングとスケーリングなしには、電子ディスプレイで複製されることができない。またシンボルがスクリーン上で共に非常に近くであるならばシンボルは相互にオーバーラップする可能性があり、テキストリーダー矢印がスクリーンの回転中に衝突する可能性がある。
【0004】
EFB応用の初期的な焦点は紙と電子フォーマット間の差を最小にすることによって紙のチャートにまさる電子フォーマットの採用を促すことである。紙と電子フォーマットの間の変化及び能力は最小量の訓練で産業上の採用と認可を促すために最小にされる。
【0005】
本発明は典型的な「固定されたフォーマット」応用が与えることのできるものよりも拡張された能力を提供する点で、初期のタイプのEFB応用よりも優れている。
【0006】
2次元のマップの電子表示はウェブベースのアプリケーション又は自動車のナビゲーションシステムで普通であるが、航空学用のデータのタイプおよびイノベーションは幾つかの要因により機能及びフォーマットにおいて非常に異なっている。航空と水中応用は3次元以上のナビゲーション概念を必要とする。航空と水中応用の手順は4次元概念を使用して記述されることができ、ここでは到着時間のようなタイミングの記述は緯度、経度、高度(深さ)のような位置の記述と共に含まれる。地勢の変化および無線塔のような障害物は安全なナビゲーションに対して重要な要因であり、単なる問題とする点または目標ではない。同様に、航空支援(NavAids)は任意の物理的位置または地理的特徴を参照せずに空間中の固定された点に存在する。規定された手順の使用および記述とそれらの名称はその領域におけるパイロット、航空交通管制官、飛行ディスパチャ、他の航空機間の通信に重要である。
【発明の開示】
【発明の要約】
【0007】
1実施形態では、ナビゲーション手順ディスプレイが提供される。ナビゲーション手順ディスプレイは現在の手順命令及び少なくとも1つの連続的な手順命令を表示するために飛行手順ディスプレイ内に位置されるダイナミック情報域を含んでいる。ナビゲーション手順ディスプレイはまた少なくとも3次元の現在の位置指示と状況アウェアネスシンボルを表示するために手順ディスプレイ内に位置される移動するマップ域を含んでいる。
【0008】
別の実施形態では、ナビゲーション手順ディスプレイシステムが提供される。このディスプレイシステムは移動するマップと手順情報の選択の少なくとも1つを表示するように構成されている電子ディスプレイスクリーンを含んでいる。移動するマップと手順情報の選択の少なくとも1つは少なくとも3次元のナビゲーション情報を含んでいる。ディスプレイシステムはさらに電子ディスプレイスクリーンと通信する少なくとも1つの入力装置を含んでおり、その少なくとも1つの入力装置は電子ディスプレイスクリーン上に表示される内容の変更を可能にするように構成されている。
【0009】
さらに別の実施形態では、電子ディスプレイ上にナビゲーション情報を表示する方法が提供される。その方法はナビゲーション手順を選択し、移動可能なマップと、現在の手順命令及びその後の手順命令の少なくとも一方を含むダイナミック情報域とを表示するステップを含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は手順ナビゲーションディスプレイに関し、特にダイナミックに示された手順情報をナビゲーション情報ディスプレイへ供給するための方法及びシステムに関する。よく知られているが排他的ではない例として使用される1つの例示的な実施形態は航空機で使用されるフライトデッキディスプレイシステムに関する。この明細書ではしばしばフライトデッキディスプレイシステムを説明するが、システムは海上および潜水艦用および地球外ナビゲーション用にも同様に応用可能である。
【0011】
本発明はターゲットプラットフォームと航空機に基づいた種々の物理的構造で実施されることができる。システムのデータ駆動特性は、手順としてグループ化されるが、データ記憶装置又はデータベースに記憶されている個々の別々のエンティティからアクセスされるデータエレメントを使用する。主として紙から電子ディスプレイへの転移に焦点を当てている初期のEFB応用は特定のエレメントが多数のファイルに存在する特有の予め構成されたファイルとして手順またはチャートを記憶している。初期のEFB応用と対照的に、ここで説明するようにデータ駆動能力を含んでいる電子ディスプレイは、チャート又は手順定義に基づいてエレメントを組織するが、エレメントを個別にアクセスし所望の説明を与えるためのルールまたはヒューリスティック(heuristics)を適用することによってディスプレイ画像を実現しレンダリングする。
【0012】
図1は、本発明の1実施形態により少なくとも1つのディスプレイスクリーン102を含んでいる例示的な航空機コックピットディスプレイパネル100の前方概略図である。例示的な実施形態では、ディスプレイスクリーン102は航空機コックピットディスプレイパネル100上に位置される。別の実施形態では、ディスプレイスクリーン102はコックピット中に位置される補助パネル(図示せず)に位置されるか航空機内のその他の場所に位置される。別の代わりの実施形態では、ディスプレイスクリーン102はどこでも観察されることのできる移動体装置の一部分である。航空機の動作期間中、ディスプレイスクリーン102は航空機の操縦士および/または副操縦士による観察に利用される。
【0013】
図2は飛行手順のようなナビゲーション手順をダイナミックに示すディスプレイシステム104の例示的な実施形態のブロック図である。ディスプレイシステム104はディスプレイスクリーン102、コンピュータ処理装置又はシステム106、少なくとも1つの入力装置108を含んでいる。コンピュータ処理装置又はシステム106は固定された又は取外し可能な電子飛行バッグまたは固定された又は取外し可能なアビオニクス装置を含むことができるがそれに限定されない。入力装置108は、ディスプレイスクリーン102と通信するコンピュータ処理装置106と直接通信する。入力装置108はタッチスクリーン、回転ダイヤル、スイッチの少なくとも1つであってもよい。
【0014】
図3はディスプレイシステム104の別の例示的な実施形態のブロック図である。この実施形態では、入力装置108はコンピュータ処理装置106と通信するディスプレイスクリーン102と直接的に通信する。
【0015】
図2および3のディスプレイシステム104を参照すると、ディスプレイスクリーン102はコンピュータ処理装置106中に含まれているデータを観察するために使用されることができる。コンピュータ処理装置106は1実施形態ではパーソナルデジタルアシスタント(PDA)又はラップトップパーソナルコンピュータ(PC)、または航空機のサブシステムの一部分であるプロセッサ上で実行するシステムのソフトウェアコンポーネントのような独立型装置であるが、それらに限定されない。例示的な実施形態では、コンピュータ処理装置106は、通過点により規定されるような飛行ルート、航空機情報、一時的な飛行制約、気象情報のような特定の飛行についての全ての必要で所望される情報の種々のユーザの構成可能な飛行関連オブジェクトおよび飛行、地上動作および/または飛行プランに関連される任意の他のユーザにより規定されるオブジェクトを記憶するように構成されている電子記憶装置を含んでいる。コンピュータ処理装置106は種々の航空機および地上センサ及びシステムからデータを受信し、受信されたデータに基づいて実時間で飛行情報を決定し、その飛行情報を表示および/またはコックピットディスプレイパネル100に位置されているディスプレイスクリーン102、他の聴覚的および/または視覚的インジケータを通して飛行乗務員に警告を出す。このような飛行情報は航空機の動作の全ての相期間中に付加的な状況アウェアネスを飛行乗務員に与える。
【0016】
図4はディスプレイスクリーン102上に手順ディスプレイシステム104により出力された飛行手順ディスプレイ200の例示的な図を示すスクリーンショットである。手順ディスプレイ200は移動するマップ表示域202とダイナミック情報域204を含んでいる。ダイナミック情報域204は、例示的な実施形態ではダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域として記述されることができる。ダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204は現在の手順命令と少なくとも1つの連続的な手順命令を表示するため手順ディスプレイ200内に位置されている。BRIEFING STRIP(商標名)はEast Englewood, CO.のJeppesen Sanderson社の登録された商標名である。BRIEFING STRIP(商標名)情報域は現在多くの紙のチャートに含まれている。ダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204としてここで参照しているのはBRIEFING STRIP(商標名)情報域の電子表示バージョンの内容をダイナミックに変更する本発明の応用である。
【0017】
1実施形態では、マップ表示域202はディスプレイスクリーン102上のナビゲーション手順全体の平面図を示している。移動するマップ表示域202はマップ表示域202の中心近くまたはマップ表示域202のマージン208内に維持されている現在の航空機位置インジケータ206を含んでいる。例示的な実施形態では、マップ表示域202はユーザ入力、例えば観察するための特定の手順を選択するユーザ入力に応答して変化する。
【0018】
別の例示的な実施形態では、マップ表示域202は例えば高度計、対気速度計、全地球測位システム(GPS)のような位置決定システムからの自動的な入力に応答して移動し、これはマップ及び選択された飛行手順に関する現在の航空機の位置を維持する。例示的な実施形態では、マージン208はユーザの便宜のために表示され、手順ディスプレイ200上のクラッタを減少するために非表示モードに選択されることが可能である。マージン208の幅はユーザにより調節されることができる。マージン208はマップ表示域202の中心近くに航空機位置インジケータ206を維持することを許容するため、またはディスプレイスクリーンのより大きな領域にわたって現在の航空機位置インジケータ206が横切ることを可能にするために選択的に調節可能である。現在の航空機位置インジケータ206は(図4に示されているように)追跡方向が上に向けられた移動マップ、北方向が上に向いた移動マップディスプレイ(図示せず)又は任意の他の所望されるマップ方向で表示されることができる。
【0019】
移動しているマップ表示域202はまた少なくとも1つのシンボルを含んでいる。図4の例では、マップ表示域202は状況アウェアネスシンボル210と212を含んでいる。例示的な実施形態では、シンボル210と212はそれぞれ選択された手順の新しい一航程が開始する場所を示している。別の実施形態では、シンボル210と212はユーザに関心があるように予め定められたように手順又は高度の変更を示すことができる。シンボル210と212はアブストラクトシンボルであり、関連される文字数字ラベル、例えば文字数字ラベル214と215を有することができる。例示的な実施形態では文字数字ラベル214と215はシンボル名を含んでいる。
【0020】
マップ表示域202内の各シンボルに取付けられた情報量を最小にし、各シンボルに関連される情報を近くに位置させることによって、マップ表示域202内の「白色スペース」の量は最大にされる。白色スペースは説明により占有されないマップ上のスペースである。マップ表示域202上の白色スペース量の増加は読取能力の増加を与え、選択された手順を表示するためにより多量のスペースをマップ表示域202内に存在させる。より多量の白色スペースはより多くの選択された手順がマップ表示域202上で表示されることを可能にし、1実施形態では手順全体がマップ表示域202上で表示されることができる。
【0021】
別の実施形態では、マップ表示域202内の白色スペースの量は相当な量ではない可能性があるが、マップ表示域202内の各シンボルに取付けられた情報量の最少化と、各シンボルに関連される情報を近くに位置させることは明白で組織化された方法でユーザに情報を提供する。マップ表示域202上に含まれる別のタイプの例示的なシンボルは制限された領域インジケータ216である。
【0022】
図5は図4の手順ディスプレイ200の一部を示す図である。特に図5は移動しているマップ表示域202の例示的なスクリーンショットのみを示す図であり、手順ディスプレイ200の他の部分は明白にするために除去されている。図5の例示的な実施形態は、現在の航空機位置インジケータ206と、手順一航程シンボル、例えば手順一航程シンボル218と障害物インジケータシンボル220、222、224、226を含んでいる複数の状況アウェアネスシンボルを含んでいる。
【0023】
図5に示されているように、シンボルはマップ表示域202内の別のシンボルと衝突する可能性がある。例えば極めて近接している高度を表すシンボルはマップ表示域202上でオーバーラップする可能性がある。状況アウェアネスシンボル218、220、222、224、226は1組のルールにしたがって表示される。各シンボルは符合で示されている下に位置する情報に基づいて有意度の予め定められたレベルを与えられる。シンボルは有意度の予め定められたレベルにしたがって順番に表示される。シンボルが図5のシンボル220とシンボル226のように別のシンボルと衝突するとき、有意度の高い方のシンボルが有意度の低いシンボルと比較して表示域202の前景に表示される。換言すると、有意度の高いシンボル、この例ではシンボル220は有意度の低いシンボル、この例ではシンボル226により妨害されずにマップ表示域202上で観察可能である。
【0024】
有意度の予め定められたレベルを表示されたシンボルに与えることによって、最も有意度のある情報を表すシンボルと、これらのシンボルに関連される説明を飛行手順ディスプレイシステム104のユーザに対して有効にすることが確実になる。1例の実施形態では、衝突するシンボルが陸地の高さを表す状況アウェアネスシンボルであるとき、高い高さの陸地を表すシンボルは低い高さの陸地を表すシンボルよりも上位に表示される。航空機は高い高さの陸地に衝突する危険性が大きいので、高い高さの陸地は航空機に対してより有意度がある。
【0025】
図6は移動している表示マップ域202内のマップ上で使用されることのできるディスプレイシンボル228の例示的な実施形態である。特にシンボル228は埋設された情報230を含む対称的な形状にされている状況アウェアネスシンボルである。
【0026】
移動しているマップ表示域202内で表示されているマップが回転するとき、幾つかのシンボル(例えば障害物及び地勢シンボル)の位置はマップに関して固定された状態である。しかしながら他のシンボル(例えばNavAidシンボル)はマップに関して固定されていなくてもよく、高度計、対気速度計、GPSのような位置決定システムを含んでいるがそれらに限定されない種々の入力に応答してマップに関して位置を変更してもよい。シンボルはまたシンボルに関連されるテキストが直立した状態であるように回転することもでき、マップの移動と独立して左から右へ読取られることができる。対称的な形状にされているシンボル、例えば上記の図6のシンボルを選択することにより、衝突するシンボルは表示されたマップが動くとき、大きな程度にはオーバーラップされず重ね書きされない。
【0027】
シンボルは典型的に紙のチャートで使用される静止サイズのシンボルとは異なり、過度に多くの表示スペースを取ることなく読みやすい状態であるように適切な寸法にされることができる。各シンボルの有意度のランキングと、移動するマップのダイナミック記述特徴は典型的な紙のチャート上で現在表示されているように、多数の手順ではなく単一のユーザ選択された手順がマップ上で現れることを可能にし、移動しているマップは典型的な紙のチャートよりも大きいシンボルを含んでいても移動しているマップが明瞭で読みやすいことを確実にする。
【0028】
図7は図4の手順ディスプレイ200の一部分を示す図である。特に、図7はダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204の例示的なスクリーンショットだけを示している図であり、手順ディスプレイ200の他の部分は明白にするために除去されている。図4に関して前述したように、シンボル210と212は関連される文字数字記述214および215を有する対称的なシンボルである。文字数字記述214と215はダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204のラベル240と242にそれぞれ対応している。前述したように、マップ表示域202内の各シンボルに取付けられた情報量を最小にすることにより、白色スペースの量は増加される。マップ表示域202上の白色スペースの量の増加はマップ表示域202の読取能力を増加し、より多量のスペースが選択された手順を表示するために残されている。紙のチャートでは、シンボルは典型的にそのシンボルが表すものを示す付加された情報を含んでいる。この情報はシンボルから延在し、付加的なテキストを含むタグに導かれる線又は矢印によりシンボルに関連されることができる。この情報をユーザに与えるためにマップ表示域202内の白色スペースを管理しながら、典型的にタグ内で与えられる情報は図4の手順ディスプレイ200のダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204内に与えられる。
【0029】
例示的な実施形態では、ダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204は手順ディスプレイ200においてマップ表示域202の近く、好ましくはマップ表示域202の上方に位置される。しかしながら、ダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204がマップ表示域202の下に位置されていることを含めた別の形態も可能であり、これに限定されない。ダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204はユーザにより選択された手順に関する情報をそれぞれ含んでいる複数の行を含んでいる。この情報は以下説明するように現在/次の手順情報を提供するように配置されている。ダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204は手順識別記述302を含んでいる。ダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204は選択された手順の通信要求でユーザに情報を提供する通信情報域(図7では示されていない)を含むこともできる。
【0030】
ダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204はさらに現在(Now)のフィールドとしてここで示されている現在の一航程306の説明を含んでいる。現在の手順一航程の行は図7で示されているように“To”手順一航程行としてラベルを付けられることもできる。このラベルは“to−to”ナビゲーションの新しい優位度を示している。現在の一航程は適切であるとき関連される“From”指示を有することもできる。ダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204はさらにここでは次(Next)のフィールドとして呼ばれているその後の一航程308の説明を提供する。現在のフィールド306と次のフィールド308は前述したように情報を含んでおり、これは紙のチャートでは典型的に線又は矢印を有するシンボルに取付けられたタグ内に含まれている。手順ディスプレイシステム104はディスプレイスクリーン102のような単一の電子ディスプレイスクリーン上に手順全体を明白に表示することを容易にするためにシンボル化されたものに関するより徹底的な情報からシンボルを分離する。現在のフィールド306と次のフィールド308に含まれる情報は固定名称、一航程の距離、飛行方向情報、高度情報、進入復行命令のような手順注を含むことができるがそれらに限定されない。
【0031】
例示的な実施形態では、次のフィールド308は現在のフィールド306に記載されている一航程の終了時に現在のフィールド306の位置へ移動することにより位置を変更する。例示的な実施形態では、この変化は飛行手順ディスプレイシステム104が現在のフィールド306に記載されている一航程の終了の指示を受信するとき自動的に生じる。飛行手順ディスプレイシステム104は例えば高度計、対気速度計、全地球測位システム(GPS)からこの自動指示を受信することができる。別の例示的な実施形態では、現在のフィールド306と次のフィールド308の内容はユーザにより選択される。航空機乗務員に与えられる概要説明と状況アウェアネスの目的で、ユーザは新しいフィールド306と次のフィールド308の移動方向を命令する入力を飛行手順ディスプレイシステム104に提供することによって手順の一航程を通して円を手作業で前進又は後進することができる。一航程を通して手作業で前進又は後進する円を描くことにより、ユーザは前の、現在の、又はその後の手順の一航程を観察することができる。このようなユーザ入力は行選択キー、マウス、指向装置、タッチスクリーン、回転ダイヤル、スイッチを含むが、それらに限定されない入力装置により行われることができる。このタイプのプレビューおよびレビューモードでは、ユーザは飛行中の現在の一航程の現在のフィールド表示を選択することができる。
【0032】
1例の実施形態では、現在のフィールド306は次のフィールド308の上方に位置されている。典型的なユーザは一枚の紙またはディスプレイの左から右へ、上から下へ読むようにならされている。次のフィールド308の上方に現在のフィールド306を位置させることにより、通常の習慣のパターンにしたがっているユーザは適切な順序でダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204に含まれている情報を受取ることができる。紙のチャート上のタグ内に与えられる情報とは異なり、現在のフィールド/次のフィールドの順序は手順が適切に完了するように終了される順序で一航程の説明を受信することを含んでいる。また手順の各一航程の意図的な順序での別々の列挙はより大きなグループ化で表示される情報と比較して、ユーザが情報を理解することを容易にする。別の例示的な実施形態では、ダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域204は複数の次のフィールド308を含んでいる。複数の各次のフィールド308は現在のフィールド306の下に、次の順序のフィールド308が終了される順序に対応する順序で位置されている。
【0033】
図8は、電子ディスプレイ上にナビゲーション手順をダイナミックに表示する例示的な方法400のフローチャートである。この方法400はステップ402で手順を選択し、例示的な実施形態では航空機の現在位置をステップ404で決定するステップを含んでいる。方法400はまた選択された手順を表示するステップ406も含んでいる。ステップ406の選択された手順の表示は状況アウェアネスシンボルを含んだ移動可能なマップの表示を含んでいる。例示的な実施形態では状況アウェアネスシンボルは手順の一航程と重要な障害物の少なくとも一方を表している。ステップ406の選択された飛行手順の表示はまた、少なくとも選択された手順の現在のステップと選択された手順のその後のステップを含めたダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域を表示する処理も含んでいる。方法400はさらにステップ408で、所望される手順を示すユーザ入力、手順命令の終了を示すユーザ入力、手順情報を連続的な命令へ進めるユーザ入力、手順情報を前の手順命令に戻すユーザ入力、手順命令の終了時に飛行手順ディスプレイシステム104に与えられる自動入力の少なくとも1つに応答して移動可能なマップとダイナミックBRIEFING STRIP(商標名)情報域を適合する処理を含んでいる。
【0034】
ダイナミックに示された飛行手順を表示するための前述の方法及びシステムは紙のチャートに慣れたユーザが最少量の訓練で電子マップに移行することを可能にする。前述の方法及びシステムはさらに紙のチャートと比較して、特にユーザが多数の手順を含んだ紙のチャートを使用するのではなく自身が所望する手順を電子的に選択する電子システムの能力を利用する。この方法は価格が効率的および確実な方法でナビゲーションと状況アウェアネスを容易にする。
【0035】
ダイナミックに示された手順は伝統的な紙のチャートの手順で現在見られる任意のエレメントおよび付加的なエレメントを含むことができる。例示として、航空機の手順は、空港、航行支援、航空路、地形情報、「最低条件」、無線周波数、進入復行手順、距離、障害物、タイミング情報、これらのタイプの手順説明の他のエレメントのようなエレメントを含むことができるがこれらに限定されない。
【0036】
容易にされる付加的なエレメントは距離リングを含み、換言すると距離環と呼ばれ、これは状況アウェアネスの補助として現在位置からのダイナミック距離を示している。距離環が決定され、例えば航空機の現在位置、相対的な風向き、相対的な風速に応答して変化するがそれらに限定されない。距離環はさらに航空機が選択された時間期間内に到着できる航空機の現在位置からの距離にある位置に対応することができる。
【0037】
手順ディスプレイ上でディスプレイシステムにより表示される情報は付加的な条件に基づいて調節されることができる。これらの条件は航空機又はビークルの特定のタイプ、航空機又はビークルのカテゴリ、設置される装置、性能特性、地理的エレメント、気象学的条件、飛行プラン、飛行プランの制限、年代的事象を含んでいるが、これらに限定されない。これらの条件は自動的にまたはユーザによってディスプレイシステムに与えられることができる。
【0038】
用語「ユーザ」はここで使用されるとき、人間のオペレータとシステムおよびアプリケーションを含んでいる。それ故、用語「ユーザ」は人間に限定されず、多くの例ではプロセッサで動作するソフトウェアを含んだシステム又はアプリケーションを指している。
【0039】
用語現在(Now)と次(Next)は現在飛行中の手順または一航程(Now)と、手順の一部として飛行されるその後の中間地点または一航程(Next)を説明するのに好ましい術語である。実際にこれらのタイプのシステムの多くのディスプレイまたは手段は“Now”の代わりに“From”を、“Next”の代わりに“To”を使用することができる。これらの用語の置換は単に便宜的または製品の精通性のためであり、現在(Now)/次(Next)の概念とは異なる機能を示唆すると解釈されてはならない。
【0040】
またここで使用されているように、用語「プロセッサ」は説明した機能を行うことができるデジタルプロセッサ、アナログプロセッサと、任意のアナログ及びデジタル回路、ソフトウェアを指し、その組合せを含んでいる。例えばプロセッサはマイクロプロセッサ、コンピュータ、アナログ回路、アナログ回路とデジタル回路の組合せ、サーバ(例えばeメールサーバ、汎用目的サーバ)、集積回路、ソフトウェア、およびそれらの任意の組合せであってもよい。また前述の処理は単一のプロセッサにより行われる必要はなく、2以上のプロセッサにわたって行われることができる。
【0041】
本発明を種々の特別な実施形態に関して説明したが、当業者は本発明が本発明の技術的範囲内の変形で実施されることができ、ここで説明した特別な実施形態に限定されないことを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の1実施形態による少なくとも1つのディスプレイスクリーンを含んでいる例示的な航空機コックピットディスプレイパネルの前方斜視図。
【図2】ナビゲーション手順ディスプレイシステムの1実施形態のブロック図。
【図3】ナビゲーション手順ディスプレイシステムの別の実施形態のブロック図。
【図4】手順ディスプレイの例示的な図を示すスクリーンショットを示す図。
【図5】図4の手順ディスプレイの一部を示す図。
【図6】図5の移動するマップと共に使用される例示的なディスプレイシンボルを示す図。
【図7】図4の手順ディスプレイの別の部分を示す図。
【図8】電子ディスプレイ上にナビゲーション手順をダイナミックに表示する例示的な方法のフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在の手順命令及び少なくとも1つの連続的な手順命令を表示するために飛行手順ディスプレイ内に位置されるデイナミック情報域と、
少なくとも3次元で現在の位置指示と状況アウェアネスシンボルとを表示するために手順ディスプレイ内に配置されている移動するマップ域とを含んでいるナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項2】
手順ディスプレイは少なくとも1つの入力に基づいて更新されるように構成されている請求項1記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの入力は、
手順命令の終了を示すユーザ入力と、
ディスプレイを少なくとも1つの連続的な飛行手順命令に進めるためのユーザ入力と、
ディスプレイを少なくとも1つの前の飛行手順命令に戻すためのユーザ入力と、
手順命令の終了時に飛行手順ディスプレイに与えられる自動入力の少なくとも1つを含んでいる請求項2記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項4】
前記自動入力は高度計、対気速度計、全地球測位システムの少なくとも1つからの入力を含んでいる請求項3記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項5】
前記移動するマップ域はマップが移動方向にかかわりなく予め定められた方向に存在するように回転するマップを表示するように構成されている請求項1記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項6】
手順ディスプレイは少なくとも1つの状態にしたがって調節されるように構成されている請求項1記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの状態は、航空機又はビークルの特定のタイプ、航空機又はビークルのカテゴリ、設置される装置、性能特性、地理的エレメント、気象学的条件、飛行プラン、飛行プランの制限、年代的事象の少なくとも1つを含んでいる請求項6記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの状態は、自動入力とユーザ入力の少なくとも1つにより手順ディスプレイに与えられる請求項6記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項9】
現在の手順命令はユーザ入力と、感知装置からの自動入力の少なくとも1つに基づいた現在の手順命令を含んでいる請求項1記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項10】
現在の手順命令と、少なくとも1つの連続的な手順命令は、固定名称、一航程の距離、飛行方向情報、高度情報、手順注の少なくとも1つを含んでいる請求項1記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項11】
現在の位置指示と状況アウェアネスシンボルはアブストラクトシンボルから構成される請求項1記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項12】
現在の航空機位置が示される請求項11記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項13】
状況アウェアネスシンボルは関連される文字数字の記述を有している請求項11記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項14】
状況アウェアネスシンボルは、マップが移動するとき衝突シンボルが同じ数の他のシンボルと衝突するように対称的な形状にされている請求項1記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項15】
現在の航空機位置指示と状況アウェアネスシンボルが予め定められた有意度の順にランクされており、最も有意度の高いシンボルは低い有意度のシンボルと比較してディスプレイの前景に位置されている請求項1記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項16】
少なくとも3次元のナビゲーション情報を含んでいる移動しているマップと手順情報の選択の少なくとも1つを表示するように構成されている電子ディスプレイスクリーンと、
前記電子ディスプレイスクリーンと通信し、前記電子ディスプレイスクリーン上に表示される内容の変更を開始するように構成されている少なくとも1つの入力装置とを含んでいるナビゲーション手順ディスプレイシステム。
【請求項17】
さらに、電子ディスプレイスクリーン及び少なくとも1つの入力装置と通信するコンピュータ処理装置とコンピュータ処理システムの少なくとも1つを具備している請求項16記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項18】
前記移動するマップは、マップが移動方向にかかわりなく予め定められた方向に存在するように回転するように構成されているマップを具備している請求項16記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項19】
手順情報の選択は、現在の手順命令と連続的な手順命令とを含んでいる請求項16記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項20】
現在の手順命令と連続的な手順命令は、固定名称、一航程の距離、飛行方向情報、高度情報、手順注の少なくとも1つを含んでいる請求項16記載のナビゲーション手順ディスプレイ。
【請求項21】
移動するマップと手順情報の選択の少なくとも1つは電子ディスプレイスクリーンの別々の部分内に位置されている請求項16記載のナビゲーション手順ディスプレイシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つの入力装置は、行選択キー、マウス、指向装置、タッチスクリーン、回転ダイヤル、スイッチの少なくとも1つを具備している請求項16記載のナビゲーション手順ディスプレイシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの入力装置は、所望される手順を示すユーザ入力、手順命令の終了を示すユーザ入力、手順情報を連続的な命令へ進めるユーザ入力、手順情報を前の手順命令に戻すユーザ入力、手順命令の終了を示す自動入力、現在の位置を示す入力の少なくとも1つを提供するように構成されている請求項16記載のナビゲーション手順ディスプレイシステム。
【請求項24】
ナビゲーション手順を選択し、
現在の手順命令とその後の手順命令の少なくとも1つを含んでいる移動可能なマップとダイナミック情報域とを表示するステップを含んでいる電子ディスプレイ上にナビゲーション情報を表示する方法。
【請求項25】
さらに、移動可能なマップとダイナミック情報域をユーザ入力と自動入力の少なくとも一方に適合させるステップを含んでいる請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記移動可能なマップとダイナミック情報域をユーザ入力と自動入力の少なくとも一方に適合させるステップは、所望される手順を示すユーザ入力、手順命令の終了を示すユーザ入力、手順情報を連続的な手順命令へ進めるユーザ入力、手順情報を前の手順命令に戻すユーザ入力、手順命令の終了を示す自動入力、現在の位置指示を有する入力の少なくとも1つに応答して移動可能なマップとダイナミック情報域を変更するステップを含んでいる請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記移動可能なマップを表示するステップはさらに、現在の位置指示と状況アウェアネス識別子の少なくとも1つを有している少なくとも1つのシンボルを表示するステップを含んでいる請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つのシンボルを表示するステップはさらに、ダイナミック情報域の少なくとも1つの手順命令に対応する状況アウェアネス識別子を表示するステップを含んでいる請求項24記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つのシンボルを表示するステップはさらに、高度インジケータ、制限された空域インジケータ、およびその他のナビゲーションシンボルを含んでいる状況アウェアネス識別子を表示するステップを含んでいる請求項24記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−521357(P2009−521357A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547308(P2008−547308)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/047319
【国際公開番号】WO2008/024130
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】