説明

打錠障害を生じない錠剤製剤

本発明は、錠剤の成形性や医薬活性成分の溶出性などが優れた、打錠障害を生じない錠剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分を含む固形製剤(具体的には、錠剤)に関する。
【0002】
(発明の背景)
錠剤を製造する際の打錠(パンチング)工程において、医薬活性成分として用いられる化合物の性質によっては、しばしば、打錠障害が生じることがある。
打錠障害を回避するために、滑沢剤として用いられるステアリン酸マグネシウムの増量、混合時間の延長等の手法が用いられる。しかしながら、錠剤中のステアリン酸マグネシウムの量が多くなると、打錠障害を低減できるが、錠剤硬度の低下などの成形性の悪化や医薬活性成分の溶出遅延等といった品質上の問題を生じ易い。また、混合時間を延長することは、錠剤の生産性を損なう。
他の打錠障害を回避する方法としては、打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分を平均粒子径が1〜100μmの結晶性粉末の存在下に打錠する方法が報告されている(特開平10−59842号公報)。
【発明の開示】
【0003】
打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分の錠剤化において、打錠障害を生じることなく、錠剤の成形性や医薬活性成分の溶出性などに優れた錠剤を提供することが要望されている。
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分の錠剤化において、原料を一度に混合せずに、(A)該医薬活性成分および結晶セルロースを含む顆粒(本明細書中、成分(A)ともいう)と、(B)ステアリン酸マグネシウムおよび結晶セルロースを含む打錠助剤(本明細書中、成分(B)ともいう)をそれぞれ調製し、これらを混合した後、打錠することにより、打錠障害を生じることなく、該錠剤の硬度低下などの成形性の悪化や医薬活性成分の溶出遅延なども防ぐことができることを見出し、更なる研究の結果、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
[1] 以下の(A)および(B)を含む錠剤:
(A)打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分および結晶セルロースを含む顆粒;
(B)ステアリン酸マグネシウムおよび結晶セルロースを含む打錠助剤
(本明細書中、上記[1]記載の錠剤を「本発明の錠剤」ということがある)、
[2] 以下の(A)および(B)を含む錠剤:
(A)医薬活性成分として化合物A(後述)またはその塩および結晶セルロースを含む顆粒;
(B)ステアリン酸マグネシウムおよび結晶セルロースを含む打錠助剤
(本明細書中、上記[2]記載の錠剤も「本発明の錠剤」に含まれる)、
[3] 前記(A)の結晶セルロースおよび前記(B)の結晶セルロースの錠剤中の含量が、それぞれ、5〜40重量%および2〜20重量%である、上記[1]または[2]記載の錠剤、
[4] 硬度が70〜200Nである、上記[1]または[2]記載の錠剤、
[5] 試験液として0.01Nの塩酸または日局第2液(pH6.8)を用いて37℃、毎分50回転のパドル法による溶出試験を行った際に、15分後に85%以上の医薬活性成分を溶出する、上記[1]または[2]記載の錠剤、
[6] 前記(A)の顆粒が、マンニトールをさらに含む、上記[1]または[2]記載の錠剤。
[7] (A)打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分および結晶セルロースを含む顆粒と、(B)ステアリン酸マグネシウムおよび結晶セルロースを含む打錠助剤とを混合し、ついで混合物を打錠することを特徴とする、錠剤の製造方法、
[8] (A)医薬活性成分として化合物Aまたはその塩および結晶セルロースを含む顆粒と、(B)ステアリン酸マグネシウムおよび結晶セルロースを含む打錠助剤とを混合し、ついで混合物を打錠することを特徴とする、錠剤の製造方法、
[9] 前記(A)の結晶セルロースおよび前記(B)の結晶セルロースの錠剤中の含量が、それぞれ、5〜40重量%および2〜20重量%である、上記[7]または[8]記載の製造方法、
[10] 前記(A)の顆粒が、マンニトールをさらに含む、請求項7または8記載の製造方法。
[11] 上記[7]または[8]の製造方法により得られる錠剤;
などに関する。
【0006】
本発明によれば、錠剤化において打錠障害を生じることなく、錠剤の成形性や医薬活性成分の溶出性などが優れた、打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分を含む錠剤を提供できる。
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明の錠剤における成分(A)は、打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分および結晶セルロースを含む顆粒(以下、「本発明の顆粒」と略記することがある)である。
【0008】
本明細書中、「顆粒」とは、粉状、塊状、溶液あるいは溶融液状などの原料を、湿式造粒法、乾式造粒法あるいは加熱造粒法により造粒することによって得られるほぼ均一な形状と大きさを持つ粒を意味する。
本発明の顆粒の平均粒子径は、通常、1000μm以上が20%以下、150μm以下が65%以下(16M篩において、on(篩上に残留):20%以下;100M篩において、pass(篩を通過):65%以下)、好ましくは1000μm以上が10%以下、150μm以下が55%以下(16M篩において、on:10%以下;100M篩において、pass:55%以下)である。ここで、平均粒子径は、例えば、標準篩で篩分けした際に篩上に残った顆粒重量を測定して得られた値を示す。
該顆粒は、本発明の錠剤を得るための製剤化の過程(例、打錠工程)で、その形状や大きさが変化していてもよい。
【0009】
本明細書中、「打錠障害」とは、例えば、スティッキング(杵に粉末が付着する現象)、バインディング(臼と錠剤の摩擦が大きくなる現象)、キャッピング(錠剤が帽子状に剥離する現象)、ラミネーティング(錠剤が層状に剥離する現象)等の、打錠時に生じる好ましくない現象を意味する。
【0010】
本発明における打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分(本明細書中、「医薬活性成分」と略称することがある)とは、打錠時に上記のような現象を生じやすい医薬活性成分のことをいう。
打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分の具体例としては、米国特許出願公開公報2005/0261271号に記載される化合物、好ましくは2−[[6−[(3R)−3−アミノ−1−ピペリジニル]−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−1(2H)−ピリミジニル]メチル]−ベンゾニトリル(一般名:アログリプチン(Alogliptin);本明細書中、「化合物A」と略記することがある)またはその塩;イブプロフェン;ビタミンC;マレイン酸トリメブチン;などが挙げられる。
【0011】
化合物Aの塩としては、薬理学的に許容し得る塩、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、安息香酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
【0012】
化合物Aの塩の好適な例としては、安息香酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸などとの塩が挙げられ、好ましくは安息香酸との塩が挙げられる。
化合物(I)は、溶媒和物(例えば、水和物)であっても、無溶媒和物であってもよい。
化合物(I)は、同位元素(例、H,14C,35S,125I)で標識されていてもよい。
さらに、HをH(D)に変換した重水素変換体も化合物(I)に含まれる。
【0013】
本発明の顆粒において、「打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分」は、本発明の錠剤1錠中、通常1〜75重量%、好ましくは1〜50重量%の含量となる量が用いられる。
特に該医薬活性成分として化合物Aまたはその塩を用いる場合、本発明の錠剤1錠中、化合物A(フリー体)として、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは1〜35重量%の含量となる量が用いられる。
【0014】
本発明に用いられる結晶セルロースは医薬品添加物として使用される物であれば特に限定されないが、結晶セルロース、結晶セルロース(粒)、結晶セルロース(微粒子)など1種類を単独あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
【0015】
本発明の顆粒において、結晶セルロースは、本発明の錠剤1錠中、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは5〜20重量%の含量となる量が用いられる。
【0016】
本発明の顆粒は、さらに製剤分野において慣用の添加剤を含有していてもよい。該添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、安定化剤、酸味料、香料、流動化剤、コーティング基剤、コーティング添加剤などが挙げられる。これら添加剤は、特に述べない限り、製剤分野において慣用の量が用いられる。
【0017】
賦形剤の好適な例としては、マンニトール;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプン等のデンプン類;無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。
マンニトールは、通常、打錠障害を誘引しやすい賦形剤である。しかし、本発明の錠剤では、マンニトールにより誘引される打錠障害をも防ぐことができるので、医薬活性成分の水溶性を改善すること、医薬活性成分の保存安定性を改善すること等を目的として、マンニトールを用いてもよい。例えば、医薬活性成分として化合物A(またはその塩)を用いる場合、化合物Aの保存安定性を改善するために、本発明の顆粒に賦形剤としてマンニトールを添加することが好ましい。
本発明の顆粒において、賦形剤は、本発明の錠剤1錠中、好ましくは5〜95重量%、さらに好ましくは30〜80重量%の含量となる量が用いられる。
【0018】
結合剤の好適な例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、アラビアゴムなどが挙げられる。なかでも、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが好ましい。
本発明の顆粒において、結合剤は、本発明の錠剤1錠中、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは1〜5重量%の含量となる量が用いられる。
【0019】
着色剤の好適な例としては、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などが挙げられる。
【0020】
pH調整剤の好適な例としては、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。
界面活性剤の好適な例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。
【0021】
安定化剤の好適な例としては、トコフェロール、エデト酸四ナトリウム、ニコチン酸アミド、シクロデキストリン類などが挙げられる。
酸味料の好適な例としては、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。
【0022】
香料の好適な例としては、メントール、ハッカ油、レモン油、バニリンなどが挙げられる。
流動化剤の好適な例としては、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、タルクなどが挙げられる。
【0023】
コーティング基剤の好適な例としては、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げられる。
糖衣基剤としては、白糖が用いられ、さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナバロウなどから選ばれる1種または2種以上を併用してもよい。
【0024】
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例、ヒプロメロース2910)、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE〔オイドラギットE(商品名)〕、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などが挙げられる。
【0025】
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース アセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース系高分子;メタアクリル酸コポリマーL〔オイドラギットL(商品名)〕、メタアクリル酸コポリマーLD〔オイドラギットL−30D55(商品名)〕、メタアクリル酸コポリマーS〔オイドラギットS(商品名)〕などのアクリル酸系高分子;セラックなどの天然物などが挙げられる。
【0026】
徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えば、エチルセルロースなどのセルロース系高分子;アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS〔オイドラギットRS(商品名)〕、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル共重合体懸濁液〔オイドラギットNE(商品名)〕などのアクリル酸系高分子などが挙げられる。
【0027】
コーティング添加剤の好適な例としては、酸化チタンなどの遮光剤;タルクなどの流動化剤;三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などの着色剤;ポリエチレングリコール(例、マクロゴール6000)、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、ポリソルベート類などの可塑剤;クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などの有機酸などが挙げられる。
上記添加剤は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0028】
本発明の顆粒は、好ましくは、打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分および結晶セルロース以外に、賦形剤(好ましくは、マンニトール)、結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロースまたはポビドン)を含む組成物である。
【0029】
本発明の錠剤における成分(B)とは、ステアリン酸マグネシウムおよび結晶セルロースを含む打錠助剤(以下、「本発明の打錠助剤」と略記することがある)である。
本明細書中、「打錠助剤」とは、本発明の錠剤の製造において、打錠工程の前に、前記本発明の顆粒と混合される添加剤のことを意味する。
【0030】
本発明の打錠助剤に用いられるステアリン酸マグネシウムとしては、医薬品添加物として使用されている物であれば特に限定されない。
本発明の打錠助剤において、ステアリン酸マグネシウムは、本発明の錠剤1錠中、好ましくは0.5〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量%の含量となる量が用いられる。
【0031】
本発明の打錠助剤に用いられる結晶セルロースとしては、前述の本発明の顆粒に用いられるのと同様のものが挙げられる。ここで、該顆粒に用いられる結晶セルロースの種類と該打錠助剤に用いられる結晶セルロースの種類は同一でも異なっていてもよい。
本発明の打錠助剤において、結晶セルロースは、本発明の錠剤1錠中、好ましくは2〜20重量%、さらに好ましくは2〜15重量%の含量となる量が用いられる。
【0032】
本発明の打錠助剤は、さらに製剤分野において慣用の添加剤を含有していてもよい。該添加剤としては、上記顆粒で述べたもの、および崩壊剤が挙げられる。これら添加剤は、特に述べない限り、製剤分野において慣用の量が用いられる。
崩壊剤の好適な例としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスカルメロースカルシウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられる。なかでも、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが好ましく、クロスカルメロースナトリウムがより好ましい。
【0033】
本発明の打錠助剤は、好ましくは、ステアリン酸マグネシウムおよび結晶セルロース以外に、崩壊剤(好ましくは、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウムまたは低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、より好ましくは、クロスカルメロースナトリウム)、必要に応じて流動化剤(好ましくは、軽質無水ケイ酸)を含む組成物である。
ここで、崩壊剤は、本発明の錠剤1錠中、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%の含量となる量が用いられ、そして流動化剤は、本発明の錠剤1錠中、好ましくは0.1〜1.5重量%、さらに好ましくは0.5〜1.0重量%の含量となる量が用いられる。
【0034】
本発明の錠剤は、1錠剤中の含量として、本発明の顆粒を、好ましくは75〜95重量%、さらに好ましくは80〜90重量%含み、そして、1錠剤中の含量として、本発明の打錠助剤を、好ましくは5〜25重量%、さらに好ましくは10〜20重量%含む。
また、本発明の錠剤は、1錠剤中の含量として、本発明の顆粒中の結晶セルロースを好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは5〜20重量%含み、そして、1錠剤中の含量として、本発明の打錠助剤中の結晶セルロースを好ましくは2〜20重量%、さらに好ましくは2〜15重量%含む。
さらに、本発明の錠剤は、1錠剤中の含量として、本発明の打錠助剤中のステアリン酸マグネシウムを好ましくは0.5〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量%含む。
【0035】
本発明の錠剤の好適な具体例としては、以下が挙げられる:
(錠剤A)
以下の(A)および(B)を含む錠剤:
(A)打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分(好ましくは、化合物Aまたはその塩(好ましくは安息香酸塩))、結晶セルロース、賦形剤(好ましくは、マンニトール)、および結合剤(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロースまたはポビドン)から構成される顆粒;
(B)ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース、および崩壊剤(好ましくは、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウムまたは低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、より好ましくは、クロスカルメロースナトリウム)、ならびに、必要に応じて、流動化剤(好ましくは、軽質無水ケイ酸)から構成される打錠助剤。
【0036】
本発明の錠剤は、服用性、製剤強度などの観点から、フィルムコーティングされていてもよい。
【0037】
フィルムコーティングに用いられる、コーティング基剤およびコーティング添加剤の好適な例としては、前記本発明の顆粒に用いられるのと同様のものが挙げられる。
【0038】
本発明の錠剤がフィルムコーティングされる場合、フィルムコーティング層は、本発明の錠剤100重量部に対して、通常、1〜10重量部、好ましくは2〜6重量部の割合で形成される。
【0039】
本発明の錠剤は、(A)打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分および結晶セルロースを含む顆粒(即ち、前記「本発明の顆粒」)と、(B)ステアリン酸マグネシウムおよび結晶セルロースを含む打錠助剤(即ち、前記「本発明の打錠助剤」)とを混合し、ついで混合物を打錠することによって製造することができる。
具体的には、本発明の錠剤は、以下の製造工程にしたがって製造することができる。以下の製造工程における各原料は、最終的に得られる錠剤1錠あたり、前述の含量となる量が使用される。
【0040】
1)上記成分(A)の顆粒は、例えば、打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分と結晶セルロースを、必要に応じて添加剤(賦形剤、好ましくはマンニトール)と共に均一に混合した後、混合物を造粒することによって製造することができる。より具体的には、流動層造粒乾燥機内で結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロースまたはポビドン)の溶媒(例、水、アセトン、エチルアルコール、プロピルアルコール、およびこれらの適宜の割合での混合液;医薬活性成分が化合物Aの場合、好ましくは水)分散液を噴霧して造粒する。次いで乾燥し、得られた造粒物を解砕して整粒末を得る。
【0041】
2)該整粒末に打錠助剤としてステアリン酸マグネシウム、結晶セルロースおよび所望により配合される成分(好ましくは、崩壊剤(好ましくはクロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウムまたは低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、より好ましくは、クロスカルメロースナトリウム)、流動化剤(好ましくは軽質無水ケイ酸))を加え、混合して打錠用顆粒とする。
3)この顆粒を打錠機で打錠して裸錠を得る。
4)所望により得られた裸錠に、例えば、フィルムコーティング機中で、フィルムコーティング液を噴霧しフィルムコーティング錠を得る。
なお、上記分散液は、溶液あるいは懸濁液のいずれであってもよく、本明細書中の「分散液」は、溶液および懸濁液のいずれをも含む。
【0042】
本発明の錠剤は、服用性、製剤強度などの観点から、フィルムコーティングされていることが好ましい。また上記錠剤を、カプセル(例、ゼラチンカプセル)に充填することによってカプセル剤としてもよい。
【0043】
また、本発明の錠剤には、識別性のための刻印あるいは文字を印刷してあってもよく、分割用の割線を付してあってもよい。
【0044】
前記製造工程において、混合、打錠、コーティングなどの操作は、製剤技術分野において慣用の方法にしたがって行われる。
【0045】
混合は、例えば、V型混合機、タンブラー混合機などの混合機;および高速攪拌造粒機、流動層造粒乾燥機、押し出し造粒機、ローラーコンパクターなどの造粒機を用いて行われる。
【0046】
打錠(パンチング)は、例えば、単発錠剤機、ロータリー式打錠機などを用いて行われる。
単発錠剤機、ロータリー式打錠機などを用いる際には、通常1〜45kN/cm(好ましくは5〜40kN/cm)の打錠圧を採用することが好ましく、さらに、キャッピング防止を目的として、テーパー形状の臼を用いることが好ましい。
コーティングは、例えば、フィルムコーティング装置などを用いて行われる。
【0047】
本発明の固形製剤は、硬度が70ないし200Nである固形製剤であることが好ましい。
本発明の固形製剤は、試験液として、0.01Nの塩酸;日局第2液(pH6.8;pH6.8で0.1mol/Lのリン酸塩緩衝液(リン酸二水素カリウム6.4g及びリン酸水素二ナトリウム十二水和物18.9gを水750mLに溶かし、水酸化ナトリウム試液を加えてpH6.8に調整した後、水を加えて1000mLとしたもの)と水を等容量混合した溶液);精製水;0.1mol/Lの塩酸;pH4.5で0.25mol/Lの酢酸塩緩衝液;pH6.8で0.05mol/Lのリン酸塩緩衝液;など(代表的には、0.01Nの塩酸または日局第2液)を用いて37℃、毎分50回転のパドル法による溶出試験を行った際に、15分後に85%以上の医薬活性成分を溶出する固形製剤であることが好ましい。
ここで、溶出試験は、日本薬局方第15改正に記載の方法にしたがって行われる。
試験液は、日本薬局方第15改正にしたがって調製することができる。また、試験液の使用量は、通常、900mLである。
【0048】
本発明の錠剤は、哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル、ヒト)に対して、経口的あるいは非経口的に安全に投与することができる。
【0049】
本発明の錠剤は、打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分として選択した成分に応じて、該選択した成分が薬効を発揮し得る疾患または状態の予防、改善または治療に用いられ得る。
具体例として、本発明において、該医薬活性成分としてイブプロフェンを含む錠剤は、例えば、疼痛の軽減または治療等に有用である。
【0050】
また、本発明において、該医薬活性成分としてビタミンCを含む錠剤は、例えば、壊血病の予防剤またはサプリメント等として有用である。
また、本発明において、該医薬活性成分としてマレイン酸トリメブチンを含む錠剤は、例えば、慢性胃炎や過敏性腸症候群などの治療剤、または整腸剤として有用である。
【0051】
また、本発明において、該医薬活性成分として化合物A(またはその塩)を含む錠剤は、例えば、糖尿病[例、1型糖尿病、2型糖尿病、1.5型糖尿病(LADA(Latent Autoimmune Diabetes in Adults))、妊娠糖尿病、インスリン分泌不全型糖尿病、肥満型糖尿病、耐糖能不全(IGT(Impaired Glucose Tolerance))、IFG(Impaired Fasting Glucose)、IFG(Impaired Fasting Glycaemia)]、糖尿病性合併症[例、神経障害、腎症、網膜症、白内障、大血管障害、動脈硬化症、骨減少症、糖尿病性高浸透圧昏睡、感染症(例、呼吸器感染症、尿路感染症、消化器感染症、皮膚軟部組織感染症、下肢感染症)、糖尿病性壊疽、口腔乾燥症、聴覚の低下、脳血管障害、末梢血行障害]、肥満症、高脂血症(例、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症、食後高脂血症)、動脈硬化症(例、アテローム性動脈硬化症)、高血圧、心筋梗塞、狭心症、脳血管障害(例、脳梗塞、脳卒中)、インスリン抵抗性症候群、シンドロームX、代謝不全症候群などの予防または治療に有用である。
また、化合物A(またはその塩)を含む錠剤は、上記した各種疾患の2次予防(例、心筋梗塞などの心血管イベントの2次予防)または進展抑制[例、耐糖能不全から糖尿病への進展抑制;糖尿病から糖尿病性合併症(好ましくは、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、動脈硬化症)への進展抑制]にも有用である。
【0052】
本発明の錠剤の投与量は、該錠剤に含まれる打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分として選択した成分の有効量であればよい。また、本発明の錠剤の前記哺乳動物への1日あたりの投与回数は、含まれる医薬活性成分の性質に依存するが、代表的には、1日あたり1〜3回である。
【0053】
具体例として、化合物Aまたはその塩の有効量は、例えば、成人(体重60kg)1人あたり、通常、化合物A(フリー体)として、0.01〜1000mg/日、好ましくは1〜50mg/日、より好ましくは3〜25mg/日である。また、医薬活性成分として化合物Aを含む錠剤の前記哺乳動物への1日あたりの投与回数は、好ましくは1日あたり1〜3回、さらに好ましくは1日1回である。
【0054】
医薬活性成分として化合物Aを含む錠剤の特に好ましい具体例としては、
「1錠あたり、化合物Aとして3.125mgを含有する錠剤」;
「1錠あたり、化合物Aとして6.25mgを含有する錠剤」;
「1錠あたり、化合物Aとして12.5mgを含有する錠剤」;
「1錠あたり、化合物Aとして25mgを含有する錠剤」;および
「1錠あたり、化合物Aとして50mgを含有する錠剤」;
が挙げられる。
【0055】
本発明の錠剤および該錠剤に含まれる打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分は、1以上の別の種類の薬剤(以下、併用薬剤と略記することがある)と組み合わせて用いることができる。
【0056】
具体例として、化合物A(またはその塩)は、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、高脂血症治療剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤、抗血栓剤などから選ばれる1以上の薬剤(以下、化合物Aの併用薬剤と略記することがある)と組み合わせて用いることができる。
【0057】
ここで、糖尿病治療剤としては、例えば、インスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌またはイーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS-1)、経口インスリン製剤)、インスリン抵抗性改善剤(例、ピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは塩酸塩)、ロシグリタゾンまたはその塩(好ましくはマレイン酸塩)、テサグリタザール、ラガグリタザール、ムラグリタザール、エダグリタゾン、メタグリダセン、ナベグリタザール、AMG-131、THR-0921)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート)、ビグアナイド剤(例、メトホルミン、ブホルミンまたはそれらの塩(例、塩酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩))、インスリン分泌促進剤[スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾール)、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物]、化合物A以外のジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、ヴィルダグリプチン、シタグリプチン、サクサグリプチン、T-6666、TS-021)、β3アゴニスト(例、AJ-9677)、GPR40アゴニスト、GLP−1受容体アゴニスト[例、GLP-1、GLP-1MR剤、NN-2211、AC-2993(exendin-4)、BIM-51077、Aib(8,35)hGLP-1(7,37)NH2、CJC-1131]、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸ナトリウム)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤)、SGLUT(sodium-glucose cotransporter)阻害剤(例、T-1095)、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、BVT-3498)、アジポネクチンまたはその作動薬、IKK阻害薬(例、AS-2868)、レプチン抵抗性改善薬、ソマトスタチン受容体作動薬、グルコキナーゼ活性化薬(例、Ro-28-1675)、GIP(Glucose-dependent insulinotropic peptide)等が挙げられる。
【0058】
糖尿病性合併症治療剤としては、例えば、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット、CT-112)、神経栄養因子およびその増加薬(例、NGF、NT-3、BDNF、WO01/14372に記載のニューロトロフィン産生・分泌促進剤(例、4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール))、神経再生促進薬(例、Y-128)、PKC阻害剤(例、ルボキシスタウリン メシレート)、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、N-フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT766)、ALT-711、EXO-226、ピリドリン、ピリドキサミン)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン)、ソマトスタチン受容体作動薬(例、BIM23190)、アポトーシスシグナルレギュレーティングキナーゼ-1(ASK-1)阻害薬が挙げられる。
高脂血症治療剤としては、例えば、HMG−CoA還元酵素阻害剤(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩、カルシウム塩))、スクアレン合成酵素阻害剤(例、ラパキスタットアセテート)、フィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート)、ACAT阻害剤(例、アバシマイブ、エフルシマイブ)、陰イオン交換樹脂(例、コレスチラミン)、プロブコール、ニコチン酸系薬剤(例、ニコモール)、ニセリトロール)、イコサペント酸エチル、植物ステロール(例、ソイステロール、ガンマオリザノール)等が挙げられる。
【0059】
降圧剤としては、例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル)、アンジオテンシンII受容体拮抗剤(例、カンデサルタン シレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、1-[[2'-(2,5-ジヒドロ-5-オキソ-4H-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル]-2-エトキシ-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン)、カリウムチャンネル開口薬(例、レブクロマカリム、L-27152、AL 0671、NIP-121)、クロニジン等が挙げられる。
【0060】
抗肥満剤としては、例えば、中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;MCH受容体拮抗薬(例、SB-568849;SNAP-7941;WO01/82925およびWO01/87834に記載の化合物);ニューロペプチドY拮抗薬(例、CP-422935);カンナビノイド受容体拮抗薬(例、SR-141716、SR-147778);グレリン拮抗薬)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット、セティリスタット)、β3アゴニスト(例、AJ-9677)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子))、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL-15849)、摂食抑制薬(例、P-57)等が挙げられる。
【0061】
利尿剤としては、例えば、キサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
【0062】
抗血栓剤としては、例えば、ヘパリン(例、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパリンナトリウム)、ワルファリン(例、ワルファリンカリウム)、抗トロンビン薬(例、アルガトロバン)、血栓溶解薬(例、ウロキナーゼ、チソキナーゼ、アルテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプラーゼ、パミテプラーゼ)、血小板凝集抑制薬(例、塩酸チクロピジン、シロスタゾール、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム、塩酸サルポグレラート)等が挙げられる。
【0063】
上記化合物Aの併用薬剤のなかでも、インスリン抵抗性改善剤(好ましくは、塩酸ピオグリタゾン)、インスリン製剤、α−グルコシダーゼ阻害剤(好ましくは、ボグリボース、アカルボース)、ビグアナイド剤(好ましくは、塩酸メトホルミン)、スルホニルウレア剤(好ましくは、グリメピリド)などが好ましい。
【0064】
本発明の錠剤と併用薬剤とを組み合わせて用いる場合、これらの投与時期は限定されず、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。
また、投与対象に対して、本発明の錠剤と併用薬剤とを別々の製剤として投与してもよいし、本発明の錠剤と併用薬剤とを含む単一の製剤として投与してもよい。
【0065】
併用薬剤の投与量は、各薬剤の臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の錠剤と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明の錠剤1重量部に対し、併用薬剤を0.01ないし100重量部用いればよい。
このように、併用薬剤を用いることにより、1)本発明の錠剤または併用薬剤の作用の増強効果(薬剤作用の相乗効果)、2)本発明の錠剤または併用薬剤の投与量の低減効果(単独投与時と比較した場合の薬剤投与量の低減効果)、3)本発明の錠剤または併用薬剤の二次的な作用の低減効果などの優れた効果が得られる。
【0066】
以下に、比較例、実施例、試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、以下の比較例、実施例において、製剤添加物としては、日本薬局方第15改正、日本薬局方外医薬品規格または医薬品添加物規格2003の収載品を用いた。
【実施例】
【0067】
比較例1
流動層造粒乾燥機(LAB−1、(株)パウレック)中で、表1の処方に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を篩(16M)で篩過し整粒末を得た。この整粒末にクロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを加え、袋混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で8.5mmφの杵を用いて重量250mgに打錠し裸錠を得た。得られた裸錠はフィルムコーティング機(ハイコーターHCP−75、フロイント産業(株))中で酸化チタンを分散したヒプロメロース2910溶液を噴霧し、1錠当たり化合物A(フリー体)を12.5mg含有するフィルムコーティング錠および1錠当たり化合物A(フリー体)を50mg含有するフィルムコーティング錠をそれぞれ得た。本比較例の製造の際、スティッキングが観察された。
【0068】
【表1】

【0069】
実施例1
流動層造粒乾燥機(LAB−1、(株)パウレック)中で、表2の処方に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を篩(16M)で篩過し整粒末を得た。この整粒末に結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムを加え、袋混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で14.6mmX5.6mmオブロングの杵を用いて重量300mgに打錠し裸錠を得た。得られた裸錠はフィルムコーティング機(ハイコーターHCP−75、フロイント産業(株))中で酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄あるいは三二酸化鉄を分散したヒプロメロース2910溶液を噴霧し、1錠当たり化合物A(フリー体)を12.5mg含有するフィルムコーティング錠および1錠当たり化合物A(フリー体)を50mg含有するフィルムコーティング錠をそれぞれ得た。本実施例において打錠障害は観察されなかった。
【0070】
【表2】

【0071】
実施例2
流動層造粒乾燥機(LAB−1、(株)パウレック)中で、表3の処方に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を篩(16M)で篩過し整粒末を得た。この整粒末に結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムを加え、袋混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を小型ロータリー打錠機(VEL5、菊水製作所)で9.0mmX5.0mmオーバルの杵を用いて重量150mgに打錠し裸錠を得た。得られた裸錠はフィルムコーティング機(ハイコーターHCP−75、フロイント産業(株))中で酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄あるいは三二酸化鉄を分散したヒプロメロース2910溶液を噴霧し、1錠当たり化合物A(フリー体)を12.5mg含有するフィルムコーティング錠および1錠当たり化合物A(フリー体)を25mg含有するフィルムコーティング錠をそれぞれ得た。本実施例において打錠障害は観察されなかった。
【0072】
【表3】

【0073】
実施例3
流動層造粒乾燥機(FD−5S、(株)パウレック)中で、表4の処方に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物をパワーミル粉砕機(P−3、昭和化学機械工作所)を用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕した。得られた整粒末に結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを加え、タンブラー混合機(TM−15、昭和化学機械工作所)で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト12HUK、菊水製作所)で9.0mmX5.0mmオーバルの杵を用いて重量150mgに打錠し裸錠を得た。得られた裸錠はフィルムコーティング機(DRC−650、(株)パウレック)中で酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄あるいは三二酸化鉄を分散したヒプロメロース2910溶液を噴霧した後、さらに続けてマクロゴール6000溶液を噴霧し、1錠当たり化合物A(フリー体)を12.5mg含有するフィルムコーティング錠および1錠当たり化合物A(フリー体)を25mg含有するフィルムコーティング錠をそれぞれ得た。本実施例において打錠障害は観察されなかった。
【0074】
【表4】

【0075】
実施例4
流動層造粒乾燥機(FD−WSG−60、(株)パウレック)中で、表4に示す処方および表5に示す仕込み量に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)を用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕した。得られた整粒末に結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(AQUA0836SS2JII、菊水製作所)で9.0mmX5.0mmオーバルの杵を用いて重量150mgに打錠し裸錠を得た。得られた裸錠はフィルムコーティング機(DRC−1200、(株)パウレック)中で酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄あるいは三二酸化鉄を分散したヒプロメロース2910溶液を噴霧した後、さらに続けてマクロゴール6000溶液を噴霧し、1錠当たり化合物A(フリー体)を12.5mg含有するフィルムコーティング錠および1錠当たり化合物A(フリー体)を25mg含有するフィルムコーティング錠をそれぞれ得た。本実施例において打錠障害は観察されなかった。
【0076】
【表5】

【0077】
実施例5
流動層造粒乾燥機(FD−5S、(株)パウレック)中で、表6の処方に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物をパワーミル粉砕機(P−3、昭和化学機械工作所)を用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕した。得られた整粒末に結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを加え、タンブラー混合機(TM−15、昭和化学機械工作所)で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト12HUK、菊水製作所)で9.0mmX5.0mmオーバルの杵を用いて重量150mgに打錠し裸錠を得た。得られた裸錠はフィルムコーティング機(ハイコーターHCP−75、フロイント産業(株))中で酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄あるいは三二酸化鉄を分散したヒプロメロース2910溶液を噴霧し、1錠当たり化合物A(フリー体)を12.5mg含有するフィルムコーティング錠および1錠当たり化合物A(フリー体)を25mg含有するフィルムコーティング錠をそれぞれ得た。本実施例において打錠障害は観察されなかった。
【0078】
【表6】

【0079】
実施例6
流動層造粒乾燥機(LAB−1、(株)パウレック)中で、表7の処方に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でポビドンを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を篩(16M)で篩過し整粒末を得た。この整粒末に結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを加え、袋混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を小型ロータリー打錠機(VEL5、菊水製作所)で9.0mmX5.0mmオーバルの杵を用いて重量150mgに打錠し裸錠を得た。得られた裸錠はフィルムコーティング機(ハイコーターHCP−75、フロイント産業(株))中で酸化チタンを分散したヒプロメロース2910溶液を噴霧した後、さらに続けてマクロゴール6000溶液を噴霧し、1錠当たり化合物A(フリー体)を12.5mg含有するフィルムコーティング錠および1錠当たり化合物A(フリー体)を25mg含有するフィルムコーティング錠をそれぞれ得た。本実施例において打錠障害は観察されなかった。
【0080】
【表7】

【0081】
実施例7
流動層造粒乾燥機(LAB−1、(株)パウレック)中で、表8の処方に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を篩(16M)で篩過し整粒末を得た。この整粒末に結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを加え、袋混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で7.5mmφの杵を用いて重量150mgに打錠し裸錠を得た。得られた裸錠はフィルムコーティング機(ハイコーターHCP−75、フロイント産業(株))中で酸化チタンおよび三二酸化鉄を分散したヒプロメロース2910溶液を噴霧し、1錠当たり化合物A(フリー体)を6.25mg含有するフィルムコーティング錠および1錠当たり化合物A(フリー体)を50mg含有するフィルムコーティング錠をそれぞれ得た。本実施例において打錠障害は観察されなかった。
【0082】
【表8】

【0083】
実施例8
流動層造粒乾燥機(FD−5S、(株)パウレック)中で、表9の処方に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物をパワーミル粉砕機(P−3、昭和化学機械工作所)を用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕した。得られた整粒末に結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを加え、タンブラー混合機(TM−15、昭和化学機械工作所)で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で7.5mmφの杵を用いて重量150mgに打錠し裸錠を得た。得られた裸錠はフィルムコーティング機(DRC−500、(株)パウレック)中で酸化チタンおよび三二酸化鉄を分散したヒプロメロース2910溶液を噴霧し、1錠当たり化合物A(フリー体)を6.25mg含有するフィルムコーティング錠(処方Aおよび処方B)を得た。本実施例において打錠障害は観察されなかった。
【0084】
【表9】

【0085】
実施例9
流動層造粒乾燥機(FD−WSG−60、(株)パウレック)中で、表10に示す処方および表11に示す仕込み量に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)を用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕した。得られた整粒末に結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(AQUA0836SS2JII、菊水製作所)で7.5mmφの杵を用いて重量150mgに打錠し裸錠を得た。得られた裸錠はフィルムコーティング機(DRC−1200、(株)パウレック)中で酸化チタンおよび三二酸化鉄を分散したヒプロメロース2910溶液を噴霧し、1錠当たり化合物A(フリー体)を6.25mg含有するフィルムコーティング錠、1錠当たり化合物A(フリー体)を12.5mg含有するフィルムコーティング錠、および1錠当たり化合物A(フリー体)を25mg含有するフィルムコーティング錠をそれぞれ得た。本実施例において打錠障害は観察されなかった。
【0086】
【表10】

【0087】
【表11】

【0088】
実施例10
流動層造粒乾燥機(FD−5S、(株)パウレック)中で、表12の処方に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物をパワーミル粉砕機(P−3、昭和化学機械工作所)を用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕した。得られた整粒末に結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを加え、タンブラー混合機(TM−15、昭和化学機械工作所)で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト12HUK、菊水製作所)で9.0mmX5.0mmオーバルの杵を用いて重量150mgに打錠し裸錠を得た。得られた裸錠はフィルムコーティング機(DRC−500、(株)パウレック)中で酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄あるいは三二酸化鉄を分散したヒプロメロース2910溶液を噴霧した後、さらに続けてマクロゴール6000溶液を噴霧し、1錠当たり化合物A(フリー体)を3.125mg含有するフィルムコーティング錠および1錠当たり化合物A(フリー体)を6.25mg含有するフィルムコーティング錠をそれぞれ得た。本実施例において打錠障害は観察されなかった。
【0089】
【表12】

【0090】
実施例11
流動層造粒乾燥機(FD−WSG−60、(株)パウレック)中で、表13に示す処方および表14に示す仕込み量に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)を用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕した。得られた整粒末に結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(AQUA0836SS2JII、菊水製作所)で9.0mmX5.0mmオーバルの杵を用いて重量150mgに打錠し裸錠を得た。得られた裸錠はフィルムコーティング機(DRC−1200、(株)パウレック)中で酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄あるいは三二酸化鉄を分散したヒプロメロース2910溶液を噴霧した後、さらに続けてマクロゴール6000溶液を噴霧し、1錠当たり化合物A(フリー体)を3.125mg含有するフィルムコーティング錠および1錠当たり化合物A(フリー体)を6.25mg含有するフィルムコーティング錠をそれぞれ得た。本実施例において打錠障害は観察されなかった。
【0091】
【表13】

【0092】
【表14】

【0093】
実施例12
流動層造粒乾燥機(FD−WSG−60、(株)パウレック)中で、表15に示す処方および表16に示す仕込み量に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)を用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕した。得られた整粒末に結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(AQUA0836SS2JII、菊水製作所)で割線入りあるいは割線なしの10.0mmX5.0mmオーバルの杵を用いて重量150mgに打錠し裸錠を得た。得られた裸錠はフィルムコーティング機(DRC−1200、(株)パウレック)中で酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄あるいは三二酸化鉄を分散したヒプロメロース2910溶液を噴霧した後、さらに続けてマクロゴール6000溶液を噴霧し、1錠当たり化合物A(フリー体)を3.125mg含有するフィルムコーティング錠、ならびに1錠当たり化合物A(フリー体)を6.25mg含有する両面割線入りのフィルムコーティング錠、1錠当たり化合物A(フリー体)を12.5mg含有する両面割線入りのフィルムコーティング錠、および1錠当たり化合物A(フリー体)を25mg含有する両面割線入りのフィルムコーティング錠を、それぞれ得た。本実施例において打錠障害は観察されなかった。
【0094】
【表15】

【0095】
【表16】

【0096】
実施例13
流動層造粒乾燥機(FD−WSG−60、(株)パウレック)中で、表17に示す処方に従い、化合物Aの安息香酸塩、マンニトールおよび結晶セルロースを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)を用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕した。得られた整粒末に、表17に示す処方に従い、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウムおよびクロスカルメロースナトリウムあるいはカルメロースカルシウムあるいは低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを加え、タンブラー混合機(TM−15、昭和化学機械工作所)で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト12HUK、菊水製作所)で9.0mmX5.0mmオーバルの杵を用いて重量150mgに打錠し、1錠当たり化合物A(フリー体)を25mg含有する裸錠を得た。本実施例において打錠障害は観察されなかった。
【0097】
【表17】

【0098】
試験例1
比較例1および実施例3で得た裸錠(いずれも12.5mg錠)の10kNの打錠圧における平均錠剤硬度を測定した。その結果を表Aに示す。
【0099】
【表A】

【0100】
以上の結果より、本発明の錠剤は、打錠障害を生じることなく製造でき、かつ錠剤硬度の低下も生じないことが示された。
【0101】
試験例2
日局パドル法(回転数50rpm、37℃、0.01N HCl 900mL、n=6)に従い、実施例3で得た裸錠(12.5mg錠;打錠圧10kN)からの化合物Aの溶出挙動を測定した。溶出試験15分後における薬物溶出率の結果を表Bに示す。
【0102】
【表B】

【0103】
以上の結果より、本発明の錠剤は、打錠障害を生じることなく製造でき、かつ医薬活性成分の溶出遅延も生じないことが示された。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分の錠剤化において有用であり、打錠障害を生じることなく、錠剤の成形性や医薬活性成分の溶出性などが優れた錠剤を提供することができるという利点を有する。
【0105】
以上、本発明の具体的な態様のいくつかを詳細に説明したが、当業者であれば示された特定の態様には、本発明の教示と利点から実質的に逸脱しない範囲で様々な修正と変更をなすことは可能である。従って、そのような修正および変更も、すべて後記の請求の範囲で請求される本発明の精神と範囲内に含まれるものである。
【0106】
本出願は、日本で出願された特願2007−023584を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)および(B)を含む錠剤:
(A)打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分および結晶セルロースを含む顆粒;
(B)ステアリン酸マグネシウムおよび結晶セルロースを含む打錠助剤。
【請求項2】
以下の(A)および(B)を含む錠剤:
(A)医薬活性成分として2−[[6−[(3R)−3−アミノ−1−ピペリジニル]−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−1(2H)−ピリミジニル]メチル]−ベンゾニトリルまたはその塩、および結晶セルロースを含む顆粒;
(B)ステアリン酸マグネシウムおよび結晶セルロースを含む打錠助剤。
【請求項3】
前記(A)の結晶セルロースおよび前記(B)の結晶セルロースの錠剤中の含量が、それぞれ、5〜40重量%および2〜20重量%である、請求項1または2記載の錠剤。
【請求項4】
硬度が70〜200Nである、請求項1または2記載の錠剤。
【請求項5】
試験液として0.01Nの塩酸または日局第2液(pH6.8)を用いて、37℃、毎分50回転のパドル法による溶出試験を行った際に、15分後に85%以上の医薬活性成分を溶出する、請求項1または2記載の錠剤。
【請求項6】
前記(A)の顆粒が、マンニトールをさらに含む、請求項1または2記載の錠剤。
【請求項7】
(A)打錠障害を誘引しやすい医薬活性成分および結晶セルロースを含む顆粒と、(B)ステアリン酸マグネシウムおよび結晶セルロースを含む打錠助剤とを混合し、ついで混合物を打錠することを特徴とする、錠剤の製造方法。
【請求項8】
(A)医薬活性成分として2−[[6−[(3R)−3−アミノ−1−ピペリジニル]−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−1(2H)−ピリミジニル]メチル]−ベンゾニトリルまたはその塩、および結晶セルロースを含む顆粒と、(B)ステアリン酸マグネシウムおよび結晶セルロースを含む打錠助剤とを混合し、ついで混合物を打錠することを特徴とする、錠剤の製造方法。
【請求項9】
前記(A)の結晶セルロースおよび前記(B)の結晶セルロースの錠剤中の含量が、それぞれ、5〜40重量%および2〜20重量%である、請求項7または8記載の製造方法。
【請求項10】
前記(A)の顆粒が、マンニトールをさらに含む、請求項7または8記載の製造方法。
【請求項11】
請求項7または8の製造方法により得られる錠剤。

【公表番号】特表2010−517936(P2010−517936A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532077(P2009−532077)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/JP2008/051896
【国際公開番号】WO2008/093878
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】