説明

把手

【課題】室内ドアやクローゼットなどに設けられるハンドルや、手摺といった把手について、新規な技術を提案する。
【解決手段】ハンドル10は、戸体表面2から突出して配置される回動部12(第一の部位)と、この回動部12と連続的に設けられて操作力が付与される操作部13(第二の部位)とを有する構成としている。操作部13は、操作部13を操作するための荷重が付与される荷重受部17と、前記操作部13の端部を構成する端部構成部15・16とを有しており、端部構成部15・16は、前記荷重受部17よりも弾性の高い緩衝素材18で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内ドア等の開閉時に操作されるハンドルや手摺などの把手の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に開示されるように、従来、住宅などの建物内に設置される室内ドアやクローゼットの扉などの戸体には、回動式のハンドルや押し引き操作されるハンドル、又は、固定式のハンドルが設けられており、様々な形状、形態のものが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
また、これらのハンドルにおいて、戸体の表面から突出するようにして設けられることで、良好な操作性を確保するものが知られている。
【0004】
【非特許文献1】トステム株式会社 新総合カタログ内装建材(2008年3月発売:カタログコードTA6100−02)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、図7に示されるように、室内ドア50に配置されるハンドル51は、立っている状態の大人52が操作をしやすい位置、即ち、手53を少し上げて掴むことができることになる、おおよそ90cm付近の高さに配置されることとしている。
【0006】
しかし、このハンドル51の高さは、成長過程にある子ども54の目線や、肩の高さの付近に対応することになる。このため、子ども54がうっかりして顔や肩などの体の一部をハンドル51にぶつけてしまうとことがしばしばあるとされている。特に、アーム状のハンドル51の端部や角部においては、ぶつかる頻度が高いものと考えられる。また、大人52であっても、うっかり手や腕をぶつけることや、物を運ぶ際などにおいて、その物をハンドル51にぶつけてしまうといったことは珍しいことではない。
【0007】
このようなハンドル51は、光沢を呈する優れた意匠性や、耐久性といった性能を考慮して、一般に金属にて構成されるものである。しかし、金属といった硬質の部材で構成されるがために、ハンドルにぶつかった人や物への衝撃が大きく、ぶつかる速度によっては、負傷や破損などの程度が大きくなってしまう。
【0008】
また、図7に示されるような室内ドア50に限らず、クローゼットの扉などにも、ハンドルが設けられるものであり、一般的な住宅の室内を見回したときに、このような戸体や扉から突出して設けられるハンドルは多く確認されるものである。つまりは、ハンドルに体や物をぶつけてしまうという可能性は少なくないのである。また、このようなハンドルの他、廊下や階段に設置され、壁から突出するようにして配置される手摺など、人によって掴まれる部位を有する把手一般において、同様に、体や物をぶつけてしまう可能性は少なくないのである。
【0009】
そこで、本発明は以上の問題点に鑑み、室内ドアやクローゼットの戸体などに設けられるハンドルや、手摺など、人によって掴まれる部位を有する把手について、新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1に記載のごとく、戸体表面、壁表面などから突出されて、人に掴まれる部位を有する把手であって、前記把手の少なくとも一部は、緩衝素材で被覆される、把手とするものである。
【0012】
また、請求項2に記載のごとく、
戸体表面から突出して配置される第一の部位と、
前記第一の部位と連続的に設けられて操作力が付与される第二の部位と、を有し、
前記第二の部位は、
前記第二の部位を操作するための荷重が付与される荷重受部と、
前記第二の部位の端部の少なくとも一部を構成する端部構成部と、を有し、
少なくとも前記端部構成部は、前記荷重受部よりも弾性の高い緩衝素材で構成されることとしている。
【0013】
また、請求項3に記載のごとく、
前記第二の部位はアーム状に構成されるものであり、
前記第二の部位の両端部について、それぞれ前記端部構成部が構成され、
前記端部構成部の間が前記荷重受部にて構成されることとする。
【0014】
また、請求項4に記載のごとく、
前記把手は、
壁表面から突出して配置される第一の部位と、
前記第一の部位と連続的に設けられて掴まれることで荷重が付与される第二の部位と、を有し、
前記第二の部位は、
前記第二の部位を掴んだ際の荷重が付与される荷重受部と、
前記第二の部位の端部の少なくとも一部を構成する端部構成部と、を有し、
少なくとも前記端部構成部は、前記荷重受部よりも弾性の高い緩衝素材で構成されることとする。
【0015】
また、請求項5に記載のごとく、
前記第一の部位は、前記端部構成部と同一の緩衝素材で構成されることとする。
【0016】
また、請求項6に記載のごとく、
前記荷重受部は、金属にて構成されることとする。
【0017】
また、請求項7に記載のごとく、
前記端部構成部は、
外装を構成する表層と、
前記表層の内側に構成される内部層と、を有する構成とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
即ち、請求項1に記載の発明においては、戸体表面、壁表面などから突出されて、人に掴まれる部位を有する把手について、端部構成部に体の一部をぶつけたり、物をぶつけてしまった際の衝撃が緩和され、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明においては、ハンドルなどの回動操作される把手について、端部構成部に体の一部をぶつけたり、物をぶつけてしまった際の衝撃が緩和され、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0021】
また、請求項3に記載の発明においては、アーム状に構成される端部構成部に体の一部をぶつけたり、物をぶつけてしまった際の衝撃が緩和され、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明においては、手摺などの回動操作される把手について、端部構成部に体の一部をぶつけたり、物をぶつけてしまった際の衝撃が緩和され、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明においては、端部構成部から第二の部位にかけて、連続的に弾性の高い緩衝素材で構成され、緩衝素材の表面によって一連の連続的な意匠を構成することができる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明においては、光沢を呈する優れた意匠性や、耐久性といった性能をも確保することができる。
【0025】
また、請求項7に記載の発明においては、内部層により剛性の確保や後述する衝撃の緩和の機能を確保するとともに、表層にて後述の意匠性を確保するなど、設計の自由度を向上できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、発明の実施の形態を説明する。
以下に形態では、戸体を開閉操作するためのハンドルを、把手の一例として説明するが、このような戸体に設けられる把手の他、壁から突出して配置される手摺など、人によって掴まれる部位を有する把手の広く一般について、本発明は適用可能である。
【0027】
まず、図1(a)〜(c)に示されるような、回動して操作されるハンドル70・80・90の形態について適用する例により説明する。
【0028】
図2に示す例のように、室内ドア1の両側の戸体表面2・3において、それぞれ、ハンドル10・20が突出するように配置される。また、室内ドア1の戸先側には箱錠4が内装されており、この箱錠4からラッチ5が突出される構成としている。このラッチ5は、ハンドル10・20の回動操作によって、箱錠4内へ引き込まれる、又は、箱錠4から突出するように構成されている。そして、ラッチ5を箱錠4内へ引き込むことで、室内ドア1と図示せぬドア枠(ラッチ用受具)との係合が解除され、室内ドア1の回動が可能となる構成としている。
【0029】
また、図2に示すごとく、室内ドア1の両側の戸体表面2・3には、それぞれ、軸承部8・9が配置されている。この軸承部8・9は、室内ドア1及び箱錠4を挟むようにして互いに連結されている。この軸承部8・9では、ハンドル10・20の回動中心となるハンドル回動軸部11・21が、それぞれ回転自在に支持されている。そして、このハンドル回動軸部11・21の先端部11a・21aが箱錠4内において連結され、これによりハンドル10・20(ハンドル回動軸部11・21)が連動して回動するようになっている。
【0030】
また、図2に示すごとく、軸承部8・9における戸体表面2・3に現れる部位は、それぞれ、化粧カバー材6・7にて覆われる構成としている。この化粧カバー材6・7は、軸承部8・9側に固定され、ハンドル10・20の回動とは連動しないこととなっている。
【0031】
また、図2において、一方のハンドル10について説明すると、ハンドル10は、戸体表面2から突出して配置される回動部12(第一の部位)と、この回動部12と連続的に設けられて操作力が付与される操作部13(第二の部位)とを有する構成としている。このハンドル10の例では、平面視において、回動部12は戸体表面2に対し略垂直に配置され、操作部13は戸体表面2に対し略平行に配置されることで、略L字状に構成されることとしている。また、回動部12と操作部13は連続的に構成されており、外観において一体的な意匠が構成されるようになっている。
【0032】
また、図2に示すごとく、回動部12の内部には、ハンドル回動軸部11が設けられ、操作部13の内部には、心材構成部14が設けられている。これらハンドル回動軸部11と心材構成部14は、剛性の高い樹脂や金属などで構成され、連結されるなどして一体的に構成される。
【0033】
また、図2に示すごとく、操作部13は、操作部13を操作するための荷重が付与される荷重受部17と、前記操作部13の端部を構成する端部構成部15・16とを有しており、端部構成部15・16は、前記荷重受部17よりも弾性の高い緩衝素材18で構成されることとしている。
【0034】
また、図2に示す例の操作部13は、回動操作されるアーム状(棒状)に構成されるものであり、図における左右両端部について、それぞれ端部構成部15・16が配置され、この端部構成部15・16の間が荷重受部17にて構成される。
【0035】
また、図2に示すごとく、操作部13の端部構成部15・16は、例えば、ゴム、樹脂、発泡剤などの緩衝素材18からなる部材で構成されて、その弾性が荷重受部17よりも高くなるようになっている。なお、図2に示す例では、左右両端の端部構成部15・16について緩衝素材18からなる部材で構成されることとしているが、端部構成部15・16のいずれか一方を緩衝素材18にて構成することとしてもよい。
【0036】
また、図3(a)に示すごとく、端部構成部15・16については、心材構成部14を緩衝素材18aで被覆することや、図3(b)に示すごとく、荷重受部17の端部(図2における左右端部の位置)を緩衝素材18bで被覆することで設けることができる。また、図3(c)に示すごとく、端部構成部15・16について、外装を構成する表層18cと、この表層18cの内側に構成される内部層18dと、を有する、いわゆる複層の構成としてもよい。これによれば、内部層18dにより剛性の確保や後述する衝撃の緩和の機能を確保するとともに、表層18cにて後述の意匠性を確保するなど、設計の自由度を向上できることになる。
【0037】
また、以上に述べた緩衝素材の「被覆」の形態には、緩衝素材で構成した別部材を接着剤などで接着固定(貼り付ける)すること、溶液状の緩衝素材を適用箇所に塗布すること、熱をかけながらプレスによって溶着させること、さらには、緩衝素材からなる中空の成形品の内部に挿し込むようにして設けたり、覆ったりすることなど、様々な形態が含まれるものとする。
また、緩衝素材としては、周知のゴム、樹脂、発泡材などであって、例えば、ウレタンゴム、CRゴム、EPDゴム、フッ素ゴム、シリコンゴムなどの利用が考えられる。また、厚みのある天然又は合成のレザー(皮革)などであってもよい。
また、緩衝素材の厚みについては、特に限定されるものではないが、例えば、1mm〜3mm程度のものであっても、その軟質性(やわかいこと)が確保され、金属と比較して衝撃が緩和されるものであり、効果が得られるものである。また、その厚みについては、1mm〜数十mm程度まで幅広く設計されることができる。
【0038】
また、図2に示すごとく、端部構成部15・16の外観の模様や色彩の意匠は、緩衝素材の表面によって呈されることになる。これにより、例えば、緩衝素材として、レザー(皮革;レザー調)や木目(木目調)の印象を与える表層を有するものを適用したり、シボ加工の施されたラバー(ゴム)表層を有するものを適用することで、各素材の独特の質感や、手で触れたときの感触を発揮させることができる。
【0039】
また、図2に示す例では、回動部12についても、前記荷重受部17よりも弾性の高い緩衝素材で構成されることとしており、操作部13の端部構成部15から回動部12にかけて、連続的に弾性の高い緩衝素材で構成される。これにより、緩衝素材の表面によって一連の連続的な意匠を構成することができる。この他、化粧カバー材6についても、この緩衝素材で構成することとして、端部構成部15、回動部12、化粧カバー材6にかけて、一連の連続的な意匠を構成することとしてもよい。
【0040】
以上の構成によれば、図2に示すごとく、ハンドル10の端部構成部15・16が緩衝素材で構成される(被覆される)ため、この端部構成部15・16に体の一部をぶつけたり、物をぶつけてしまった際の衝撃が緩和され、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0041】
また、図2に示すごとく、荷重受部17については、例えば、ステンレスやアルミなどの金属にて構成されることができる。これにより、(1)充分な剛性が確保されることになり、回動操作がされる際に手から受ける荷重によって撓みが発生せず、また、確実な操作感覚を確保することが可能となる。また、(2)荷重受部17を金属で構成することで、優れた耐久性を確保することができる。また、(3)荷重受部17を金属で構成することで、その表面にて光沢感のある意匠を構成することができ、高級感を演出することが可能となる。また、(4)荷重受部17を金属で構成することで、汚れが付着した際には、拭き取りなどによって簡単に汚れを取り除くことが可能となる。なお、図2の例のように、心材構成部14と荷重受部17を別体で構成するほか、切削加工や金型成形などにて一部材で構成されることとしてもよい。
【0042】
また、以上に述べた(1)〜(4)の機能、効果は、本発明において重要なものとなる。即ち、単純にハンドルなどの部材を緩衝素材で被覆するのではなく、図2に示すごとく、荷重受部17が果たすべき機能、耐久性、意匠、メンテナンス性を考慮しつつ、端部構成部15・16を緩衝素材にて構成したものであり、単なる最適材料の選定の範囲のものではない。そもそも、従来において、上記(1)〜(4)に基づいて構成された技術は確認できておらず、技術の具体的適用に伴う設計変更の範囲のものでもない。
【0043】
また、図2に示すごとく、端部構成部15・16を構成する緩衝素材の発揮する意匠との組合せによる、いわゆる、ハイブリッドな意匠を構成することができる。このような意匠は、機能素材(金属素材、緩衝素材)の適所への配置による「機能美」をも発揮するものであり、衝撃の緩和に伴う安全性の向上も含め、ハンドル10を操作する者、観る者に対し、洗練されている、安心感を持てる、など、好印象を与えることが可能となる。
【0044】
また、図2に示すごとく、以上に述べた戸体表面2に配置されるハンドル10の構成は、反対側の戸体表面3に配置されるハンドル20においても同様に適用可能である。つまり、ハンドル20について、回動部22と操作部23を有する構成とし、操作部23は、その端部を構成する端部構成部25・26と、操作部23を操作するための荷重が付与される荷重受部27を有しており、端部構成部25・26は、前記荷重受部27よりも弾性の高い緩衝素材28で構成されることとするものである。
【0045】
また、以上の説明の構成を適用した例が、図1(a)〜(c)に示される構成であり、図1(a)のハンドル70については、鏡面仕上げした金属表面を有する荷重受部77(操作部73)において、両側の端部構成部75・76が緩衝素材78にて構成されるものとしている。また、荷重受部77における一部について、端部構成部75・76を結ぶように緩衝素材78を配置した構成として、緩衝素材78が発揮する意匠性を拡張させつつ、荷重受部77の鏡面(光沢面)とのコントラストによって発揮される意匠性をも演出できるようにしている。また、この図1(a)の場合では、右手でハンドル70を操作する際には、親指の腹で左側の端部構成部75を押さえるようにして操作することが可能となり、その指の感覚によって、緩衝素材78の素材感を愉しむことが可能となっている。
【0046】
また、図1(b)のハンドル80の操作部83については、荷重受部87における手のひらが被せられる上面の部位87aに金属表面が現れることとする一方、その他の部位については、緩衝素材88にて操作部83の表面が構成されることとしている。この構成によれば、操作部83において手のひらと接触することになる上面の部位87aが、金属表面にて構成される一方、指については緩衝素材88と接触することとなって、その指の感覚によって、緩衝素材88の素材感を愉しむことが可能となる。また、上面の部位87aの金属表面によって、金属表面による光沢感のある意匠を発揮することが可能となる。
【0047】
また、図1(c)のハンドル90については、操作部93(荷重受部97)の両側の端部構成部95・96について、荷重受部97よりも弾性の高い緩衝素材98で構成されることとするものである。この図1(c)ように、シンプルな構成として、本発明を適用することも可能である。
【0048】
また、図4に示すごとく、戸体表面2から突出する部位について、全ての範囲が、緩衝素材40にて被覆する構成としてもよい。この場合、心材構成部14について、操作力が付与される部位14Aについて、他の部位よりも大径に構成するなどしてもよい。また、この他、既存のハンドルを全て覆うような成形品を緩衝素材にて作成し、既存のハンドルに被せる形態なども考えられる。
【0049】
さらに、図5(a)〜(c)に示される形態のハンドル100、110、120について、それぞれ、本発明を適用することができる。各例においても、戸体表面2から突出して配置される第一の部位102・112・122と、この第一の部位102・112・122に連続的に設けられて操作力が付与される第二の部位としての操作部103・113・123とを有する構成とし、操作部103・113・123は、その端部を構成する端部構成部105・115・125と、操作部103・113・123を操作するための荷重が付与される荷重受部107・117・127を有しており、端部構成部105・115・125は、前記荷重受部107・117・127よりも弾性の高い緩衝素材108・118・128で構成されることとするものである。
【0050】
図5(a)の構成では、押し引き操作される上下方向に長い操作部103の上下端部(端部構成部105・105)が緩衝素材108で構成されるとともに、戸体表面2に付設されて操作部103を支持する第一の部位102についても、緩衝素材108にて被覆される構成とするものである。また、図5(b)の構成では、押し引き操作される上下方向に長い操作部113の上下端部(端部構成部115・115)が、緩衝素材118にて被覆される構成とするものである。また、図5(c)の構成では、押し引き操作される方形の操作部123の四隅(端部構成部125・125)が、緩衝素材128にて被覆される構成とするものである。
【0051】
さらに、以上の実施形態では、特に、戸体に設置されるハンドルについて、緩衝素材を設ける構成としたが、この他、建物の室内外において、扉や壁から突出する部位のあらゆる箇所においても、適用可能である。例えば、クローゼットの扉といった戸体の他、手摺の角部(端部)など、一般に金属で構成され、人の手によって掴まれる部位を有する把手において、その特定の部位を緩衝素材で被覆するという態様も可能である。さらに、これらのハンドルや手摺などの一部のみならず、全部を緩衝素材にて被覆する構成としてもよい。
【0052】
また、図6(a)(b)に示すような手摺60A・60Bのごとく、壁表面66から突出して配置される第一の部位61・61と、前記第一の部位61・61と連続的に設けられて掴まれることで荷重が付与される第二の部位62と、を有し、前記第二の部位62は、前記第二の部位62を掴んだ際の荷重が付与される荷重受部62aと、前記第二の部位62の端部の少なくとも一部を構成する端部構成部62b・62bと、を有し、少なくとも前記端部構成部62b・62bは、前記荷重受部62aよりも弾性の高い緩衝素材63・63で構成される(被覆される)こととなる。この場合、第一の部位61・61は、壁面から略垂直に複数位置に突出され、第二の部位62は、各第一の部位61・61の間を結ぶように設けられる棒状の部材となる。
【0053】
そして、第二の部位62における棒状の部位(荷重受部62a)について金属にて構成し、第一の部位と第二の部位の連結部(アングル部(角部))や、第二の部位の端部を緩衝素材63で構成することにより、上述したハンドルについてのものと同様の効果を得ることが可能となる。また、図6(a)(b)のような縦方向、又は、水平方向のもの、若しくは、斜め方向の直線状の手摺の他、L字状の手摺においては、そのコーナー部について緩衝素材を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、各種のハンドルの形態について適用可能であり、前述した室内ドアや、キッチンに配置される各種扉、トイレドア、浴室ドアなどのドアに設置されるハンドルへの適用のほか、クローゼットの扉に設置されるハンドルについても適用可能である。また、玄関ドアやエクステリアドア(室外に設置されるドア)のハンドルについても適用可能である。また、回動操作や押し引き操作されるハンドルのほか、戸体表面に対して固定される形態のハンドルについても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態にかかるハンドルの構成について示す図。(b)は、同じく他の実施形態にかかるハンドルの構成について示す図。(c)は、同じくその他の実施形態にかかるハンドルの構成について示す図。
【図2】ハンドルの構造について説明する平面一部断面図。
【図3】(a)は、心材構成部を緩衝素材にて被覆する構成例について示す図。(b)は、荷重受部を緩衝素材にて被覆する構成例について示す図。(c)は、異種の緩衝素材を組合せて利用する構成例について示す図。
【図4】戸体表面から突出されるハンドルの部位を全て緩衝素材にて被覆する例について示す図。
【図5】(a)は、上下方向に長い操作部、及び、第一の部位を緩衝素材に被覆する構成への適用例について示す図。(b)は、上下方向に長い操作部を備える構成への適用例について示す図。(c)は、方形の操作部を備える構成への適用例について示す図。
【図6】(a)は、上下方向の手摺についての実施例について示す図。(b)は、水平方向の手摺についての実施例について示す図。
【図7】室内ドアのハンドルの配置などについて説明する図。
【符号の説明】
【0056】
1 室内ドア
2 戸体表面
3 戸体表面
4 箱錠
5 ラッチ
6 化粧カバー材
8 軸承部
10 ハンドル
11 ハンドル回動軸部
12 回動部
13 操作部
14 心材構成部
15 端部構成部
16 端部構成部
17 荷重受部
18 緩衝素材
20 ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸体表面、壁表面などから突出されて、人に掴まれる部位を有する把手であって、
前記把手の少なくとも一部は、緩衝素材で被覆される、把手。
【請求項2】
前記把手は、
戸体表面から突出して配置される第一の部位と、
前記第一の部位と連続的に設けられて操作力が付与される第二の部位と、を有し、
前記第二の部位は、
前記第二の部位を操作するための荷重が付与される荷重受部と、
前記第二の部位の端部の少なくとも一部を構成する端部構成部と、を有し、
少なくとも前記端部構成部は、前記荷重受部よりも弾性の高い緩衝素材で構成される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の把手。
【請求項3】
前記第二の部位はアーム状に構成されるものであり、
前記第二の部位の両端部について、それぞれ前記端部構成部が構成され、
前記端部構成部の間が前記荷重受部にて構成される、
ことを特徴とする、請求項2に記載の把手。
【請求項4】
前記把手は、
壁表面から突出して配置される第一の部位と、
前記第一の部位と連続的に設けられて掴まれることで荷重が付与される第二の部位と、を有し、
前記第二の部位は、
前記第二の部位を掴んだ際の荷重が付与される荷重受部と、
前記第二の部位の端部の少なくとも一部を構成する端部構成部と、を有し、
少なくとも前記端部構成部は、前記荷重受部よりも弾性の高い緩衝素材で構成される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の把手。
【請求項5】
前記第一の部位は、前記端部構成部と同一の緩衝素材で構成される、
ことを特徴とする、請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の把手。
【請求項6】
前記荷重受部は、金属にて構成される、
ことを特徴とする、請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の把手。
【請求項7】
前記端部構成部は、
外装を構成する表層と、
前記表層の内側に構成される内部層と、を有する、
ことを特徴とする、請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の把手。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−287259(P2009−287259A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140203(P2008−140203)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】