説明

投写型映像表示装置

【課題】省エネルギー効果を向上可能な投写型映像表示装置を提供することである。
【解決手段】プロジェクタ1は、映像を投写するためのプロジェクタユニット100と、当該プロジェクタユニット100に対して太陽光を導光可能に構成された太陽光集光ユニット200とを備える。プロジェクタユニット100は、人工光を出射する光源ランプを搭載する。プロジェクタユニット100は、太陽光集光ユニット200が出射した太陽光と、光源ランプが出射した人工光とのいずれか一方を照明光に選択するための光源切替部と、光源切替部によって選択された照明光を映像光に変調して投写する投写部とを備える。光源切替部は、ノーマルモード時には光源ランプからの人工光を照明光に選択する一方で、スーパーエコモード時には太陽光を照明光に選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、投写型映像表示装置に関し、より特定的には、太陽光を照明光として用いた投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の投写型映像表示装置(以下、プロジェクタという)として、たとえば特開平11−64976号公報(特許文献1)には、太陽光をプロジェクタ装置における光源の一部または全部として利用するプロジェクタ装置が開示される。この特許文献1に記載のプロジェクタ装置は、センサ手段で測定した所定期間内における太陽光の光強度に基づいて、太陽光の光量とプロジェクタ装置に設けられた人工光源の光量との和が一定となるように、太陽光の光量および人工光源の光量を調整する光量調整手段と、太陽光と人工光源から発せられる光とを結合する光結合手段とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−64976号公報
【特許文献2】特開2000−112441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載のプロジェクタ装置では、所定期間内における太陽光の光強度が閾値未満の場合には、人工光源からの光が太陽光と結合され、この結合された光がプロジェクタ装置に入射される。一方、太陽光の光強度が閾値を超える場合には、太陽光の光量が閾値光量となるように太陽光の光量を減衰させる。すなわち、特許文献1では、一定の閾値光量が維持されるように、太陽光の一部または全部を照明光として利用する。しかしながら、プロジェクタ装置に入射される光量は閾値光量に固定されているため、ユーザの所望する映像の表示態様(映像の明るさや画質など)の変化や環境光の変化などに応じて、太陽光と人工光とを適切に使い分けるという点では限界がある。たとえば、ユーザの要求などに応じて、太陽光を照明光として利用する形態と、太陽光を発電用の光として利用する形態を切替えることができれば、より高い省エネルギー効果を期待できる。特許文献1はこのような観点について何ら言及していない。
【0005】
それゆえ、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、省エネルギー効果を向上可能な投写型映像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のある局面に従えば、投写型映像表示装置は、太陽光を集光して出射可能に構成された第1光源と、人工光を出射する第2光源と、第1光源が出射した太陽光および第2光源が出射した人工光のいずれか一方を照明光に選択するための光源切替部と、光源切替部によって選択された照明光を映像光に変調して投写する投写部とを備える。
【0007】
好ましくは、光源切替部は、第1光源が出射する太陽光の強度が所定の閾値以上となるときには、太陽光を照明光に選択するように構成される。所定の閾値は、投写部により表示すべき映像の表示態様に応じて可変に設定される。
【0008】
好ましくは、投写型映像表示装置は、太陽電池パネル部と、光源切替部により人工光が照明光に選択されている場合に、第1光源が出射した太陽光を太陽電池パネル部に導くように構成された導光部とをさらに備える。
【0009】
好ましくは、投写型映像表示装置は、太陽電池パネル部が発電した電力により充電可能な蓄電部をさらに備える。
【0010】
好ましくは、投写型映像表示装置は、光源切替部により太陽光が照明光に選択されている場合に、投写部への入射光量に応じて、第2光源が出射した人工光を投写部に導くように構成された導光部をさらに備える。
【0011】
好ましくは、投写型映像表示装置は、少なくとも1つの色光を発光可能に構成された第3光源と、第1光源が出射した太陽光と、第3光源が発光した少なくとも1つの色光とを合成するための光合成部とをさらに備える。第3光源は、光源切替部により太陽光が照明光に選択されている場合に、投写部への色光ごとの入射光量に応じて、各少なくとも1つの色光の発光量を調整する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、光源装置から出射される照明光を、人工光と太陽光との間で切替え可能な構成としたことにより、電力消費を抑える使い方と、投写映像の視認性を確保する使い方とを選択することができる。その結果、人工光を照明光に用いるプロジェクタや、人工光と太陽光とを合成した光を照明光に用いるプロジェクタと比較して、より高い省エネルギー効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係るプロジェクタの外観図である。
【図2】図1における太陽光集光ユニットの詳細な構成を説明する図である。
【図3】スーパーエコモード時のプロジェクタユニットの構成を説明する図である。
【図4】ノーマルモード時のプロジェクタユニットの構成を説明する図である。
【図5】図3および図4における光学エンジンの詳細な構成を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態1によるプロジェクタユニットの主要部の概略構成図である。
【図7】図6の制御部によるプロジェクタの動作モードの切替え制御(照明光の切替え制御)を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2によるプロジェクタユニットの構成を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態2によるプロジェクタユニットの主要部の概略構成図である。
【図10】図9の制御部によるプロジェクタの動作モードの切替え制御(照明光の切替え制御)を説明するフローチャートである。
【図11】図9の制御部によるプロジェクタの動作モードの切替え制御(照明光の切替え制御)を説明するフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態2の変更例によるプロジェクタユニットの構成を説明する図である。
【図13】太陽光強度の閾値設定用マップの一例を説明する図である。
【図14】太陽光強度の閾値設定用マップの他の例を説明する図である。
【図15】本発明の実施の形態3によるプロジェクタユニット(スーパーエコモード時)の構成を説明する図である。
【図16】本発明の実施の形態3によるプロジェクタユニット(ノーマルモード時)の構成を説明する図である。
【図17】本発明の実施の形態3によるプロジェクタユニットの主要部の概略構成図である。
【図18】図17の制御部によるプロジェクタの電源の切替え制御を説明するフローチャートである。
【図19】本発明の実施の形態4によるプロジェクタユニットの構成を説明する図である。
【図20】本発明の実施の形態4によるプロジェクタユニットの主要部の概略構成図である。
【図21】図20の制御部によるプロジェクタの電源の切替え制御を説明するフローチャートである。
【図22】この発明の実施の形態5によるプロジェクタユニットの構成を説明する図である。
【図23】本発明の実施の形態5によるプロジェクタユニットの主要部の概略構成図である。
【図24】図23の制御部による光源ランプの制御を説明するフローチャートである。
【図25】この発明の実施の形態6によるプロジェクタユニットの構成を説明する図である。
【図26】本発明の実施の形態6によるプロジェクタユニットの主要部の概略構成図である。
【図27】図26の制御部による光源ランプの制御を説明するフローチャートである。
【図28】本発明に適用される太陽光集光ユニットの他の構成例を説明する図である。
【図29】太陽光集光ユニットにおける集光部の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0015】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1に係るプロジェクタの外観図である。
【0016】
図1を参照して、映像を投写するためのプロジェクタユニット100と、当該プロジェクタユニット100に対して太陽光を導光可能に構成された太陽光集光ユニット200とを備える。
【0017】
プロジェクタユニット100は、建物1000内の所定の位置に設置されている。プロジェクタユニット100は、たとえば、液晶デバイスを利用して映像を投影する液晶プロジェクタであって、建物1000内に設置された投写面(スクリーン)SCに向けて映像を投写する。
【0018】
太陽光集光ユニット200は、図示しない入力部を介してプロジェクタユニット100に結合される。入力部は、後述のように、太陽光集光ユニット200からプロジェクタユニット100へ太陽光を導光するためのインターフェースであり、プロジェクタユニット100の内部に設けられている。
【0019】
太陽光集光ユニット200は、太陽光を集光するための集光部210と、集光部210が集光した太陽光をプロジェクタユニット100に導くための導光部220と、導光部220により導かれた太陽光をプロジェクタユニット100内部へ入射するための入力部とを含む。
【0020】
集光部210は、建物1000外に設置された格納容器1100に格納されている。格納容器1100は、雨水や強風などから集光部210を保護する。格納容器1100には、太陽光を容器内部に採り入れるための採光窓1110が設けられている。採光窓1110は、太陽光を透過させる透光性を有するガラス板で覆われている。
【0021】
さらに、採光窓1110と集光部210との間には、採光窓1110に対して展開自在に形成されたシャッタ1112が設けられる。シャッタ1112は、シャッタ駆動部1114により、太陽光を遮蔽する遮蔽位置(展開状態)と、太陽光を遮らない非遮蔽位置(格納状態)との間で変位可能に構成される。これにより、シャッタ1112は、太陽光の遮蔽量を調整できる。具体的には、太陽光をプロジェクタユニット100の照明光として用いない場合には、シャッタ1112は遮蔽位置に設定される。一方、太陽光をプロジェクタユニット100の照明光として用いる場合には、シャッタ1112は非遮蔽位置に設定される。さらに、シャッタ1112を非遮蔽位置から遮蔽位置に向けて変位させることにより、太陽光の遮蔽量を増加させることができる。
【0022】
あるいは、プロジェクタユニット100の制御に連動させてシャッタ1112を制御する構成としてもよい。たとえば、プロジェクタユニット100の電源オン時にはシャッタ1112を非遮蔽位置とする一方で、電源オフ時にはシャッタ1112を遮蔽位置とするように、シャッタ1112を駆動する構成としてもよい。または、入力映像信号の輝度情報に応じて太陽光の遮蔽量を調整するように、シャッタ1112を制御する構成としてもよい。
【0023】
導光部220は、たとえば光ファイバなどの導光路により構成される。導光部220の一方の端部は、集光部210と光学的に接続されている。集光部210が集光した太陽光は、導光部220の一方の端部に入射されると、導光部220の内部を伝搬して導光部220の他方の端部から出射される。導光部220から出射された太陽光は、プロジェクタユニット100内に設けられた入力部へと導かれる。
【0024】
図2は、図1における太陽光集光ユニット200の詳細な構成を説明する図である。
図2を参照して、集光部210は、第1反射ミラー212と、第2反射ミラー214とを含む。第1反射ミラー212は、太陽に向けて設置され、太陽光を反射させる反射面を有する。この反射面は、ほぼ平行光で入射される太陽光を、その焦点位置に集光させる。第2反射ミラー214は、第1反射ミラー212の焦点位置の近傍に設置される。具体的には、第2反射ミラー214を図示しない支持部で支持することにより、第2反射ミラー214を、第1反射ミラー212の焦点位置近傍に設置させることができる。
【0025】
第2反射ミラー214は、第1反射ミラー212から入射された光を、その反射作用により、導光部220の一方の端部に集光させる。導光部220の一方の端部に入射された太陽光は、導光部220の内部を伝搬して導光部220の他方の端部から出射される。導光部220の他方の端部から出射した太陽光は、コンデンサレンズ230に入射する。
【0026】
コンデンサレンズ230は、太陽光がほぼ平行光でミラー240に入射するよう、太陽光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ230は、太陽光集光ユニット200における「入力部」を構成する。上述したように、入力部は、プロジェクタユニット100内に設けられる。コンデンサレンズ230を透過した太陽光は、ミラー240によって反射され、プロジェクタユニット100の光学エンジンに導かれる。
【0027】
このように、本発明の実施の形態によるプロジェクタ1においては、太陽光を照明光として利用可能である。このようなプロジェクタ1においては、光源ランプなどの人工光源から発せられる人工光を照明光として用いる従来のプロジェクタと比較して、照明光を発光するための光源装置における電力消費を低減でき、省エネルギー効果を得ることができる。
【0028】
本発明の実施の形態によるプロジェクタ1では、さらに、照明光として、太陽光および人工光を切替えて使用することができる。具体的には、プロジェクタ1は、人工光源が発光する人工光を照明光として映像を投写する動作モードと、太陽光集光ユニット200から供給される太陽光を照明光として映像を投写する動作モードとのいずれかを選択して実行可能に構成される。以下の説明では、人工光を照明光として映像を投写する動作モードを「ノーマルモード」と称するとともに、当該ノーマルモードに比べて省電力を重視する観点から、太陽光を照明光として映像を投写する動作モードを「スーパーエコモード」とも称する。
【0029】
次に、図3および図4を用いて、プロジェクタ1における動作モードの切替え制御(すなわち、照明光の切替え制御)を説明する。
【0030】
図3は、スーパーエコモード時のプロジェクタユニット100の構成を説明する図である。図4は、ノーマルモード時のプロジェクタユニット100の構成を説明する図である。
【0031】
図3を参照して、プロジェクタユニット100は、照明光を出射する光源装置10と、光源装置10が出射した照明光を映像光に変調するための光学エンジン2と、映像光をスクリーン(図1)に向けて投写する投写レンズ3とを備える。なお、プロジェクタユニット100は、スピーカ等の音声を出力するための構成要素や、光学エンジン2の構成要素および音声出力手段と電気的に制御するための回路基板なども搭載されているが、図3では、これらを含む一部の構成要素の図示は省略されている。
【0032】
光源装置10は、光源ランプ40と、ミラー240と、駆動ミラー50とを含む。
光源ランプ40は、たとえば、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンなどからなる。光源ランプ40は、人工光を発光可能な「人工光源」に対応する。光源ランプ40が発した人工光は、リフレクタの作用により、ほぼ平行光となって出射される。
【0033】
ミラー240は、太陽光集光ユニット200の入力部(コンデンサレンズ230)から出射された太陽光を、ほぼ平行光で駆動ミラー50へと入射させる。
【0034】
駆動ミラー50は、図示しない駆動機構によって同図駆動ミラー50の中心部のY軸を回動中心として回動可能である。具体的には、駆動ミラー50は、スーパーエコモード時には、図3に示されるように、太陽光集光ユニット200からミラー240を介して入射される太陽光を光学エンジン2へ導く状態となる。なお、スーパーエコモード時には、光源ランプ40は、電力供給が停止されることにより、消灯状態に駆動される。したがって、光源ランプ40による電力消費が零となるため、高い省エネルギー効果が得られる。
【0035】
一方、ノーマルモード時には、図4に示されるように、駆動ミラー50は、光源ランプ40から入射される人工光を光学エンジン2へ導く状態となる。ノーマルモード時には、光源ランプ40は電力が供給されて点灯状態に駆動されるため、光源ランプ40による電力消費が生じる。その代わり、光源ランプ40による照明光の発光量を調整することによって、たとえば室内の暗さが不十分である場合でも、投写映像として必要な視認性を確保しやすくなる。
【0036】
図5は、図3および図4における光学エンジン2の詳細な構成を説明する図である。
図5を参照して、光源装置10からの光は、フライアイインテグレータ11を介して、PBS(偏光ビームスプリッタ)アレイ12およびコンデンサレンズ13に入射される。フライアイインテグレータ11は、蝿の目状のレンズ群からなるフライアイレンズを備え、液晶パネル18,24,33に入射する光の光量分布が均一となるよう、光源装置10から入射される光に光学作用を付与する。
【0037】
PBSアレイ12は、複数のPBSと1/2波長板とがアレイ状に配列されたものであり、フライアイインテグレータ11から入射された光の偏光方向を1方向に揃える。コンデンサレンズ13は、PBSアレイ12から入射された光に集光作用を付与する。コンデンサレンズ13を透過した光は、ダイクロイックミラー14に入射する。
【0038】
ダイクロイックミラー14は、コンデンサレンズ13から入射された光のうち、青色波長帯の光(以下、「B光」という)のみを透過し、赤色波長帯の光(以下、「R光」という)および緑色波長帯の光(以下、「G光」という)を反射する。ダイクロイックミラー14を透過したB光は、ミラー15に導かれ、そこで反射され、コンデンサレンズ16に入射される。
【0039】
コンデンサレンズ16は、B光がほぼ平行光で液晶パネル18に入射するよう、B光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ16を透過したB光は、入射側偏光板17を介して液晶パネル18に入射される。液晶パネル18は、青色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてB光を変調する。液晶パネル18によって変調されたB光は、出射側偏光板19を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
【0040】
ダイクロイックミラー14によって反射された光のうちG光は、ダイクロイックミラー21によって反射され、コンデンサレンズ22に入射される。コンデンサレンズ22は、G光がほぼ平行光で液晶パネル24に入射するよう、G光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ22を透過したG光は、入射側偏光板23を介して液晶パネル24に入射される。液晶パネル24は、緑色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてG光を変調する。液晶パネル24によって変調されたG光は、出射側偏光板25を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
【0041】
ダイクロイックミラー21を透過したR光は、コンデンサレンズ26に入射される。コンデンサレンズ26は、R光がほぼ平行光で液晶パネル33に入射するよう、R光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ26を透過したR光は、光路長調整用のリレーレンズ27,29,31と2つのミラー28,30とからなる光路を進み、入射側偏光板32を介して液晶パネル33に入射される。液晶パネル33は、赤色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動情報に応じてR光を変調する。液晶パネル33によって変調されたR光は、出射側偏光板34を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
【0042】
ダイクロイックプリズム20は、液晶パネル18,24,33によって変調されたB光、G光およびR光を色合成し、投写レンズ3へと入射させる。投写レンズ3は、投写光を被投写面(スクリーン)上に結像させるためのレンズ群と、これらレンズ群の一部を光軸方向に変位させて投写画像のズーム状態およびフォーカス状態を調整するためのアクチュエータを備えている。ダイクロイックプリズム20によって色合成された光は、投写レンズ3によって、スクリーンSC(図1)上に拡大投写される。
【0043】
このように、本発明の実施の形態1によるプロジェクタでは、光源装置10は、人工光および太陽光のいずれか一方を照明光に選択して出射可能に構成される。このとき、光源ランプ40が発する人工光と太陽光集光ユニット200が発する太陽光とは、共通の光路を通じて液晶パネル18,24,33へ導かれる。これにより、複数の光源で単一の光路を共有できるため、光源毎に光路を設けなくとも、光学系を有効利用して、使用する照明光の切替えができる。その結果、プロジェクタユニット100のコストの削減ならびに小型化および軽量化が可能となる。
【0044】
図6は、本発明の実施の形態1によるプロジェクタユニット100の主要部の概略構成図である。
【0045】
図6を参照して、プロジェクタユニット100は、当該プロジェクタユニット100の動作を全体的に制御する制御部70を備える。制御部70は、CPU(Central Processing Unit)であり、各部との信号のやり取りを行ない、また、操作受付部66からの操作信号に従って各部の動作を制御する。
【0046】
また、プロジェクタユニット100は、ユーザからの操作を受付ける操作受付部66を含む。操作受付部66は、プロジェクタユニット100の本体に設けられた複数の操作用ボタンからなる操作部(図示せず)またはプロジェクタユニット100を遠隔操作するためのリモコン(リモートコントローラの略)への操作がなされると、当該操作を受付け、各種動作のトリガとなるコマンド信号を制御部70へ送る。
【0047】
また、プロジェクタユニット100は、光源ランプ40に電力を供給するためのランプ電源42を備える。ランプ電源42は、プロジェクタユニット100内の各部に電力を供給するための電源部(図示せず)から電力の供給を受ける。ランプ電源42は、ノーマルモード時において、光源ランプ40を点灯するための電力を発生する。ランプ電源42が発生する電力は制御部70によって制御される。スーパーエコモード時において、ランプ電源42は光源ランプ40への電力供給を停止する。したがって、光源ランプ40は消灯する。
【0048】
また、プロジェクタユニット100は、駆動ミラー50と、光源切替部52と、光源切替駆動部54とを備える。駆動ミラー50は、光源切替部52によって駆動されることにより、太陽光集光ユニット200の発する太陽光を液晶パネル18,24,33に送る状態(以下、「第1の状態」ともいう)と、光源ランプ40の発する人工光を液晶パネル18,24,33に送る状態(以下、「第2の状態」ともいう)とを切替える。
【0049】
具体的には、制御部70は、駆動ミラー50の状態を第1の状態と第2の状態との間で切替えるための切替指令を生成する。本発明の実施の形態1では、制御部70は、操作受付部66からプロジェクタ1の動作モードを切替えるためのコマンド信号が入力されると、光源切替駆動部54に対して、駆動ミラー50の状態の切替えを指示する切替指令を出力する。そして、光源切替駆動部54が、制御部70から与えられる切替指令に従って駆動ミラー50を回動させるように光源切替部52を制御する。これにより、駆動ミラー50は第1の状態と第2の状態との間で切替えられる。
【0050】
また、プロジェクタユニット100は、液晶パネル駆動部60と、映像信号処理部62と、映像信号入力部64とを備える。映像信号処理部62は、映像信号入力部64を介して外部の映像ソース機器から供給される映像信号に対して、輝度調整、色バランス調整、コントラスト調整、シャープネス調整などの画質調整や、画像サイズを拡大/縮小する処理や、プロジェクタによってあおり投写を行なうときの台形歪補正等の各種映像処理を施す。
【0051】
液晶パネル駆動部60は、映像信号処理部62において映像処理が施された映像データに基づいて、液晶パネル18,24,33を駆動するための駆動信号を生成する。液晶パネル18,24,33は、液晶パネル駆動部60で生成された駆動信号に応じて光源装置10から照射された照明光を変調する。
【0052】
図7は、図6の制御部70によるプロジェクタ1の動作モードの切替え制御(照明光の切替え制御)を説明するフローチャートである。なお、図7のフローチャートの処理は、所定のメインルーチンから一定時間ごとまたは所定の条件が成立するごとに呼出されて実行される。
【0053】
図7を参照して、制御部70は、ステップS01では、プロジェクタ1がノーマルモードで動作しているか否かを判定する。すなわち、制御部70は、光源ランプ40の発する人工光が照明光に選択されているか否かを判定する。プロジェクタ1がノーマルモードで動作している場合(ステップS01においてYES)には、ステップS02において、プロジェクタ1の動作モードをスーパーエコモードに切替えるための操作を操作受付部66が受付けると、制御部70には、操作受付部66から動作モードをスーパーエコモードに切替えるためのコマンド信号が入力される。制御部70は、ステップS03において、ランプ電源42を制御することにより、光源ランプ40への電力供給を停止する。これにより、光源ランプ40は消灯する。
【0054】
さらに、制御部70は、ステップS04により、光源切替駆動部54に対して、駆動ミラー50を第2の状態から第1の状態へ切替えるための切替指令を出力する。光源切替駆動部54が、制御部70から与えられる切替指令に従って光源切替部52を制御することにより、駆動ミラー50は第2の状態から第1の状態に切替えられる。その結果、照明光は、光源ランプ40の発する人工光から太陽光集光ユニット200の発する太陽光に切替えられる。そして、ステップS05により、プロジェクタ1はスーパーエコモードで動作する。
【0055】
これに対して、プロジェクタ1がノーマルモードで動作していない場合(ステップS01においてNO)、すなわちプロジェクタ1がスーパーエコモードで動作している場合には、ステップS06において、プロジェクタ1の動作モードをノーマルモードに切替えるための操作を操作受付部66が受付けると、制御部70には、操作受付部66から動作モードをおノーマルモードに切替えるためのコマンド信号が入力される。制御部70は、ステップS07において、ランプ電源42を制御することにより、光源ランプ40への電力供給を開始する。これにより、光源ランプ40は点灯する。
【0056】
さらに、制御部70は、ステップS08により、光源切替駆動部54に対して、駆動ミラー50を第1の状態から第2の状態へ切替えるための切替指令を出力する。光源切替駆動部54が、制御部70から与えられる切替指令に従って光源切替部52を制御することにより、駆動ミラー50は第1の状態から第2の状態に切替えられる。その結果、照明光は、太陽光集光ユニット200の発する太陽光から光源ランプ40の発する人工光に切替えられる。そして、ステップS09により、プロジェクタ1はノーマルモードで動作する。
【0057】
以上のように、この発明の実施の形態1によるプロジェクタによれば、光源装置10から出射される照明光を、人工光と太陽光との間で切替え可能な構成としたことにより、電力消費を抑制する使い方と、投写映像の視認性を確保する使い方とを選択することができる。たとえば、太陽光の明るさが照明光として十分である場合には、太陽光を照明光に選択することで、消費電力を抑制する使い方ができる。一方で、太陽光の明るさが照明光として不十分である場合には、人工光を照明光に選択することで電力消費が発生するが、投写映像の視認性を確保する使い方ができる。その結果、人工光を照明光に用いるプロジェクタや、人工光と太陽光とを合成した光を照明光に用いるプロジェクタと比較して、より高い省エネルギー効果が期待できる。
【0058】
なお、上記の実施の形態1において、照明光の切替えは、操作受付部66が受付けた動作モードの切替え操作に応じて実行されることから、ユーザは、投写したい映像の種類や所望する映像の表示のさせ方(表示モード)などに応じて、適当な照明光を適宜選択することができる。
【0059】
[実施の形態2]
上述した実施の形態1では、照明光の切替え(プロジェクタ1の動作モードの切替え)を、操作受付部66を介して与えられるユーザの切替え操作に応じて行なう構成について説明した。実施の形態2では、制御部70が照明光の切替えを自動的に行なう構成について説明する。
【0060】
図8は、本発明の実施の形態2によるプロジェクタユニット110の構成を説明する図である。図8には、スーパーエコモード時のプロジェクタユニット110の構成が示される。
【0061】
図8を参照して、本発明の実施の形態2によるプロジェクタユニット110は、図3に示した本発明の実施の形態1によるプロジェクタユニット100と比較して、太陽光の強度を検出するための光検出部250をさらに備える。
【0062】
光検出部250は、太陽光集光ユニット200の入力部(コンデンサレンズ230)から駆動ミラー50までの太陽光の伝搬経路に沿って配置される。光検出部250は、駆動ミラー50に導かれる太陽光の強度を検出し、その検出値を制御部70(図9)へ出力する。
【0063】
なお、光検出部250を、太陽光集光ユニット200の入力部から駆動ミラー50までの太陽光の伝搬経路に沿った範囲に設けたことにより、単一の光検出部で太陽光の強度を常時監視することができる。また、複数の光検出部を設置した場合に生じる光検出部間での検出値のばらつきの問題を回避できる。
【0064】
図9は、本発明の実施の形態2によるプロジェクタユニット110の主要部の概略構成図である。
【0065】
図9を参照して、プロジェクタユニット110は、図6に示した本発明の実施の形態1によるプロジェクタユニット100と比較して、光検出部250をさらに備える。したがって、図9に示す構成のうち、上記図6に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図8で説明したように、光検出部250は、太陽光集光ユニット200から駆動ミラー50に入射される太陽光の強度を検出し、その検出値を制御部70へ送出する。本発明の実施の形態2では、制御部70は、光検出部250による検出値を常時監視する。そして、制御部70は、光検出部250による検出値に応じて、駆動ミラー50の状態を第1の状態と第2の状態との間で切替えるための切替指令を生成する。
【0067】
図10および図11は、図9の制御部70によるプロジェクタ1の動作モードの切替え制御(照明光の切替え制御)を説明するフローチャートである。なお、図10および図11のフローチャートの処理は、所定のメインルーチンから一定時間ごとまたは所定の条件が成立するごとに呼出されて実行される。
【0068】
図10を参照して、制御部70は、ステップS11において、光検出部250による太陽光の強度の検出値を取得すると、続いてステップS12により、太陽光の強度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。太陽光の強度が閾値以上である場合(ステップS12においてYES)には、制御部70は、ステップS13において、スーパーエコモードを動作モードに選択する旨をユーザに報知する。なお、報知の態様としては、いずれのモードを選択するかをユーザに報知可能であれば如何なる方法でもよく、たとえば、スクリーンSC若しくはプロジェクタユニット110の本体に設けられた操作パネル上に動作モードを表示してもよいし、音声によって報知してもよい。
【0069】
続いてステップS14において、制御部70は、スーパーエコモードをプロジェクタ1の動作モードに設定する。
【0070】
これに対して、太陽光の強度が閾値を下回る場合(ステップS12においてNO)には、制御部70は、ステップS15において、ノーマルモードを動作モードに選択する旨をユーザに報知する。続いてステップS16において、制御部70は、ノーマルモードをプロジェクタ1の動作モードに設定する。
【0071】
次に図11を参照して、制御部70は、ステップS21では、上記図10に示したフローチャートの処理によって、プロジェクタ1の動作モードが変更されたか否かを判定する。プロジェクタ1の動作モードがスーパーエコモードに変更されたと判定されると、制御部70は、図7と同様のステップS03〜S05により、プロジェクタ1をスーパーエコモードで動作させる。
【0072】
一方、プロジェクタ1の動作モードがノーマルモードに変更されたと判定された場合には、制御部70は、図7と同様のステップS06〜S09により、プロジェクタ1をノーマルモードで動作させる。
【0073】
なお、図10のフローチャートにおいて、ステップS12における閾値は、太陽光の明るさが照明光として十分であるか否かを判定するための判定値である。この閾値は、ユーザが投写したい映像の種類やユーザが所望する表示のさせ方などに対応して、複数個設けておくことができる。たとえば、映像に要求される視認性が高いことに応答して閾値を高い値に設定することにより、投写映像の視認性を確保できる範囲内で、光源装置10の電力消費を抑えることができる。
【0074】
あるいは、ステップS12における閾値をプロジェクタユニット110が設置される建物1000内での照明等の環境光の影響度合いに応じて、可変に設定することも可能である。これにより、たとえば、投写映像に及ぼす環境光の影響が比較的小さくなる表示態様では、閾値を低くすることによって太陽光を積極的に照明光に用いることとし、環境光の影響が比較的大きくなる表示態様では、閾値を高くすることによって人工光を用いる機会を増やすとともに、環境光の明るさ等に応じて人工光源の発光量を制御する構成としてもよい。
【0075】
図12を用いて、本発明の実施の形態2の変更例によるプロジェクタユニット110の構成を説明する。図12には、スーパーエコモード時のプロジェクタユニット110の構成が示される。
【0076】
図12を参照して、本発明の実施の形態2の変更例によるプロジェクタユニット110Aは、図8に示した本発明の実施の形態2によるプロジェクタユニット110の構成と比較して、建物1000内での環境光の光量を検出するための光検出部255をさらに備える。光検出部255は、建物1000内の環境光の光量を検出し、その検出値を制御部70(図9)へ出力する。
【0077】
制御部70は、上記の図10のフローチャートの処理を実行することにより、プロジェクタ1の動作モードの切替え制御(照明光の切替え制御)を実行する。本変更例では、制御部70は、図10のステップS12における閾値を、光検出部255からの検出値に応じて可変に設定する。図13は、環境光の光量とステップS12における閾値との関係を説明する図である。図13に示すように、ステップS12における閾値は、環境光の光量が大きくなるほど、大きくなるように設定される。制御部70は、図13に示す環境光の光量と閾値との関係を予め閾値設定用マップとして記憶している。そして、制御部70は、光検出部255から検出値が与えられると、記憶したマップを参照して、対応する閾値を設定する。
【0078】
このように環境光の光量に応じて、プロジェクタ1の動作モードを切替えるための太陽光強度の閾値を可変に設定することにより、投写映像の視認性を確保しながら、光源装置10の電力消費を抑えることができる。
【0079】
あるいは、図12のような光検出部255により検出される環境光の光量に応じて動作モードを切替える構成に代えて、ユーザが環境光の明るさに応じて閾値を変更する構成とすることも可能である。この場合、ユーザは操作パネルまたはメニュー画面を操作することにより、建物1000内の環境光の明るさを設定することができる。具体的には、ユーザは、建物1000内の照明が使用されているか(照明有り)、照明が不使用とされているか(照明無し)を設定することができる。制御部70は、図14に示す環境光の設定と太陽光強度の閾値との関係を参照することにより、ユーザにより設定された環境光に応じて、太陽光強度の閾値を可変に設定する。これにより、照明有りと設定された場合には、照明無しと設定された場合と比較して、太陽光強度の閾値が大きくなるように設定される。なお、ユーザが環境光を設定可能としたことによって、環境光の光量を検出するためのセンサの設置が不要となる。
【0080】
以上のように、この発明の実施の形態2によるプロジェクタによれば、光源装置10から出射される照明光を、人工光と太陽光との間で切替え可能な構成において、太陽光の強度に応じて照明光の切替えを行なうことにより、投写映像の視認性に影響を与えないように照明光の明るさを確保した上で、光源装置10による電力消費を抑制するように照明光を適切に設定することができる。
【0081】
なお、上記の実施の形態2では、プロジェクタ1の動作モードの切替え、すなわち、照明光の切替えをプロジェクタ1の動作中に所定の条件が成立するごとに行なうこととしたが、プロジェクタ1の起動時に行なうようにしてもよい。この場合には、映像の投写中に動作モードが自動的に切替えられることによって、映像の表示が一時的に中断されてしまうのを防ぐことができる。
【0082】
[実施の形態3]
上記の実施の形態1,2によるプロジェクタは、太陽光を照明光として映像を投写するスーパーエコモードを有することによって、電力消費を抑えて省エネルギー効果を向上する構成について説明した。実施の形態3では、太陽光を照明光に用いるとともに、発電用の光としても利用する構成を説明する。
【0083】
以下に、図15および図16を用いて、本発明の実施の形態3によるプロジェクタユニット120の構成を説明する。
【0084】
図15は、スーパーエコモード時のプロジェクタユニット120の構成を説明する図である。図16は、ノーマルモード時のプロジェクタユニット120の構成を説明する図である。
【0085】
図15を参照して、プロジェクタユニット120は、図3に示した本発明の実施の形態1によるプロジェクタユニット100と比較して、太陽電池パネル部260をさらに備える点で異なる。したがって、図15に示す構成のうち、上記図3に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0086】
太陽電池パネル部260は、駆動ミラー50を挟んで光学エンジン2と反対側に設けられている。太陽電池パネル部260は、太陽光を受光して直流電力を発電可能に構成される。太陽電池パネル部260は、プロジェクタユニット120に搭載される負荷(図示せず)と電気的に接続されており、発電した直流電力を負荷に供給することができる。
【0087】
図15に示す構成において、スーパーエコモード時には、駆動ミラー50は、太陽光集光ユニット200からミラー240を介して入射される太陽光を光学エンジン2へ導く状態(第1の状態)となる。そのため、太陽電池パネル部260には太陽光が入射されず、太陽電池パネル部260は発電しない。
【0088】
これに対して、ノーマルモード時(図16)には、駆動ミラー50は、光源ランプ40から入射される人工光を光学エンジン2へ導く状態(第2の状態)となる。駆動ミラー50は、人工光または太陽光を光学エンジン2へ導くための反射面と、当該反射面の裏面に設けられ、太陽光を太陽電池パネル部260へ導くための反射面とを有している。
【0089】
このような構成したことにより、ノーマルモード時には、太陽光集光ユニット200が発する太陽光は、駆動ミラー50を介して太陽電池パネル部260へと導かれる。太陽電池パネル部260は、太陽光を受光して直流電力を発電する。
【0090】
図17は、本発明の実施の形態3によるプロジェクタユニット120の主要部の概略構成図である。
【0091】
図17を参照して、プロジェクタユニット120は、図6に示した本発明の実施の形態1によるプロジェクタユニット100と比較して、太陽電池パネル部260と、AC−DC電源部80と、負荷90と、電源切替部72とをさらに備える。したがって、図14に示す構成のうち、上記図6に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0092】
図16で説明したように、太陽電池パネル部260は、駆動ミラー50を介して入射される太陽光を受光して発電する。太陽電池パネル部260は、発電した直流電力を電源切替部72へ出力する。なお、太陽電池パネル部260が発電した直流電力の電圧および電流の値は、制御部70へ送信される。制御部70は、これらの情報に基づいて、太陽電池パネル部260による発電電力量を知ることができる。
【0093】
AC−DC電源部80は、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換して、電源切替部72へ出力する。
【0094】
電源切替部72は、太陽電池パネル部260が発電した直流電力を受け、AC−DC電源部80が変換した直流電力を受けると、制御部70からの制御指示に従って、いずれか一方の直流電力を電源に選択して負荷90へ供給する。
【0095】
具体的には、制御部70は、太陽電池パネル部260から入力される電圧および電流の値に基づいて、太陽電池パネル部260の発電電力量を算出する。そして、制御部70は、算出した発電電力量と負荷90の駆動に必要な電力量とを比較し、その比較結果に応じて電源切替部72における電源の切替えを制御する。
【0096】
図18は、図17の制御部70によるプロジェクタ1の電源の切替え制御を説明するフローチャートである。なお、図18のフローチャートの処理は、所定のメインルーチンから一定時間ごとまたは所定の条件が成立するごとに呼出されて実行される。
【0097】
図18を参照して、制御部70は、ステップS31において、プロジェクタ1がノーマルモードで動作しているか否かを判定する。プロジェクタ1がノーマルモードで動作していない場合(ステップS31においてNO)、すなわち、プロジェクタ1がスーパーエコモードで動作している場合には、ステップS34に処理が進む。
【0098】
ステップS34においては、制御部70は、商用電源を負荷90の電源に選択する。電源切替部72は、制御部70からの制御指示に従って、AC−DC電源部80が変換した直流電力を負荷90へ供給する。
【0099】
これに対して、プロジェクタ1がノーマルモードで動作している場合(ステップS31においてYES)、制御部70は、続いてステップS32において、太陽電池パネル部260の発電電力量が所定の基準量以上であるか否かを判定する。このステップS32における基準量は、負荷90の駆動に必要な電力量に応じて予め定められている。
【0100】
太陽電池パネル部260の発電電力量が基準量以上である場合(ステップS32においてYES)には、制御部70は、ステップS33により、太陽電池パネル部260を電源に選択する。電源切替部72は、制御部70からの制御指示に従って、太陽電池パネル部260が発電した直流電力を負荷90へ供給する。
【0101】
一方、太陽電池パネル部260の発電電力量が基準量を下回る場合(ステップS32においてNO)には、制御部70は、ステップS34により、AC−DC電源部80が変換した直流電力を負荷90へ供給する。
【0102】
以上のように、この発明の実施の形態3によれば、光源装置10から出射される照明光を、人工光と太陽光との間で切替え可能な構成において、太陽光を照明光に用いない場合には、太陽光を発電用の光として利用することができる。これにより、太陽光の明るさが照明光として十分でない場合においても、この太陽光を電力に変換して利用することができるため、より一層の省エネルギー効果を得ることができる。
【0103】
[実施の形態4]
上記の実施の形態3では、太陽光を照明光として利用するとともに、発電用の光としても利用可能なプロジェクタについて説明した。実施の形態4では、太陽電池パネル部260が発電した電力をより有効に利用するためのプロジェクタの構成を説明する。
【0104】
図19は、本発明の実施の形態4によるプロジェクタユニットの構成を説明する図である。図19には、ノーマルモード時のプロジェクタユニット130の構成が示される。
【0105】
図19を参照して、プロジェクタユニット130は、図16に示した本発明の実施の形態3によるプロジェクタユニット120と比較して、蓄電部262をさらに備える。したがって、図19に示す構成のうち、上記図16に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0106】
蓄電部262は、再充電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電部262は、たとえば、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの二次電池、あるいは、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。
【0107】
蓄電部262は、太陽電池パネル部260および図示しない負荷と電気的に接続される。蓄電部262は、負荷(図示せず)へ電力を供給する。また、蓄電部262は、太陽電池パネル部260で発電された電力を受けて充電される。図19に示すように、ノーマルモード時には、太陽電池パネル部260は、駆動ミラー50を介して太陽光を受光して直流電力を発電する。蓄電部262は、太陽電池パネル部260が発電した直流電力を蓄電する。なお、蓄電部262の電圧および蓄電部262に入出力される電流は、図示しないセンサによって検出され、その検出値が制御部70(図20)へ出力される。
【0108】
図20は、本発明の実施の形態4によるプロジェクタユニット130の主要部の概略構成図である。
【0109】
図20を参照して、プロジェクタユニット130は、図17に示した本発明の実施の形態3によるプロジェクタユニット120と比較して、蓄電部262をさらに備える。したがって、図20に示す構成のうち、上記図17に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0110】
図19で説明したように、蓄電部262は、太陽電池パネル部260で発電された電力によって充電される。また、蓄電部262は、負荷90へ電力を供給する。蓄電部262の電圧および電流は、図示しないセンサにより検出されて制御部70へ出力される。制御部70は、このセンサの検出値に基づいて、蓄電部262の充電電力量を知ることができる。
【0111】
電源切替部72は、蓄電部262から直流電力を受け、AC−DC電源部80が変換した直流電力を受けると、制御部70からの制御指示に従って、いずれか一方の直流電力を電源に選択して負荷90へ供給する。具体的には、制御部70は、蓄電部262の電圧および蓄電部262に入出力される電流の値に基づいて、蓄電部262の充電電力量を算出する。そして、制御部70は、算出した充電電力量と負荷90の駆動に必要な電力量とを比較し、その比較結果に応じて電源切替部72における電源の切替えを制御する。
【0112】
図21は、図20の制御部70によるプロジェクタ1の電源の切替え制御を説明するフローチャートである。なお、図21のフローチャートの処理は、所定のメインルーチンから一定時間ごとまたは所定の条件が成立するごとに呼出されて実行される。
【0113】
図21を参照して、制御部70は、ステップS31において、プロジェクタ1がノーマルモードで動作しているか否かを判定する。プロジェクタ1がノーマルモードで動作していない場合(ステップS31においてNO)、すなわち、プロジェクタ1がスーパーエコモードで動作している場合には、ステップS34に処理が進む。
【0114】
ステップS34においては、制御部70は、商用電源を負荷90の電源に選択する。電源切替部72は、制御部70からの制御指示に従って、AC−DC電源部80が変換した直流電力を負荷90へ供給する。
【0115】
これに対して、プロジェクタ1がノーマルモードで動作している場合(ステップS31においてYES)、制御部70は、続いてステップS321において、蓄電部262の充電電力量が所定の基準量以上であるか否かを判定する。ステップS321における基準量は、負荷90の駆動に必要な電力量に応じて予め定められている。
【0116】
蓄電部262の充電電力量が基準量以上である場合(ステップS321においてYES)には、制御部70は、ステップS331により、蓄電部262を電源に選択する。電源切替部72は、制御部70からの制御指示に従って、蓄電部262の出力する直流電力を負荷90へ供給する。
【0117】
一方、蓄電部262の充電電力量が基準量を下回る場合(ステップS321においてNO)には、制御部70は、ステップS34により、AC−DC電源部80が変換した直流電力を負荷90へ供給する。
【0118】
以上のように、この発明の実施の形態4によれば、太陽光を照明光として用いるとともに、発電用の光として用いる構成において、太陽光から発電した電力を蓄電部262に蓄えることにより、太陽電池パネル部260における発電電力量が負荷90の駆動に必要な電力量に満たないために太陽電池パネル部260から負荷90に対して直接的に電力を供給できない場合であっても、太陽電池パネル部260の発電電力を蓄電部262に蓄えておくことで、負荷90に供給するのに十分な電力を確保できる。
【0119】
さらに、蓄電部262に電力を蓄えておくことによって、プロジェクタ1が電力供給を必要とするタイミングでこの電力を利用することができる。たとえば、プロジェクタ1の待機電力に蓄電部262に蓄えられた電力を利用することができる。この結果、より一層の省エネルギー効果を得ることができる。
【0120】
[実施の形態5]
図22は、この発明の実施の形態5によるプロジェクタユニットの構成を説明する図である。
【0121】
図22を参照して、本発明の実施の形態5によるプロジェクタユニット140は、図5に示した本発明の実施の形態1によるプロジェクタユニット100と比較して、光検出部250Gと、ミラー44とをさらに備える。
【0122】
光検出部250Gは、ダイクロイックミラー21とコンデンサレンズ22との間のG光の伝搬経路上に配置される。光検出部250Gは、ダイクロイックミラー21によって反射され、コンデンサレンズ22に入射されるG光の光量を検出する。すなわち、光検出部250Gは、液晶パネル24に入射されるG光の光量を検出する。そして、光検出部250Gは、検出したG光の入射光量を制御部70(図23)へ出力する。
【0123】
ミラー44は、光源ランプ40が発する人工光を光学エンジン2へ導く。なお、図22では、ミラー44は駆動ミラー50とY軸方向に並んで配置されるが、光源ランプ40からの人工光を光学エンジン2へ導くことが可能であれば、ミラー44の配置は図22には限定されない。
【0124】
また、光検出部250Gは、液晶パネル24に入射するG光の光量を検出することが可能であれば、配置される位置は図22に示す位置に限定されない。さらには、液晶パネル18に入射するB光の光量、または液晶パネル33に入射するR光の光量を検出するように、光検出部を配置してもよい。
【0125】
本発明の実施の形態5では、スーパーエコモード時において、太陽光に光源ランプ40の発する人工光を合成して光学エンジン2に入射させることができる。なお、太陽光に合成される人工光の光量は、光検出部250Gの検出値に応じて制御される。これにより、スーパーエコモード時において太陽光が照明光として十分でない状況となっても、人工光によりこの照明光としての不足分を補うことができる。その結果、天候の変化などによって太陽光の輝度が低下した場合においても、照明光を太陽光から人工光に切替えることなく、太陽光を照明光に使い続けることができる。
【0126】
図23は、本発明の実施の形態5によるプロジェクタユニット140の主要部の概略構成図である。
【0127】
図23を参照して、プロジェクタユニット140は、図6に示した本発明の実施の形態1によるプロジェクタユニット100と比較して、光検出部250Gと、ミラー44とをさらに備える。したがって、図23に示す構成のうち、上記図6に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0128】
図22で説明したように、光検出部250Gは、液晶パネル24に入射するG光の光量を検出し、その検出したG光の入射光量を制御部70へ出力する。制御部70は、スーパーエコモード時において、光検出部250Gの検出値に応じて光源ランプ40が発する人工光の光量を制御する。
【0129】
図24は、図23の制御部70による光源ランプ40の制御を説明するフローチャートである。なお、図24のフローチャートの処理は、所定のメインルーチンから一定時間ごとまたは所定の条件が成立するごとに呼出されて実行される。
【0130】
図24を参照して、制御部70は、ステップS41において、プロジェクタ1がスーパーエコモードで動作しているか否かを判定する。プロジェクタ1がスーパーエコモードで動作していない場合(ステップS41においてNO)、すなわち、プロジェクタ1がノーマルモードで動作している場合には、ステップS46に処理が進む。
【0131】
ステップS46においては、制御部70は、ランプ電源42を制御することにより、光源ランプ40へ供給する電力を調整する。これにより、光源ランプ40の発光量が制御される。
【0132】
一方、プロジェクタ1がスーパーエコモードで動作している場合(ステップS41においてYES)、制御部70は、ステップS42において、光検出部250GによるG光の入射光量の検出値を取得する。続いてステップS43により、制御部70は、G光の入射光量が所定の閾値以下であるか否かを判定する。なお、ステップS43における所定の閾値は、液晶パネル24で変調され、かつ投写レンズ3を通じて投写される映像光が一定の明るさを確保するように定められる。
【0133】
G光の入射光量が閾値以下でない場合(ステップS43においてNO)、すなわちG光の入射光量が閾値を超える場合には、制御部70は、ステップS46に進み、光源ランプ40へ供給する電力を調整する。
【0134】
これに対して、G光の入射光量が閾値以下である場合(ステップS43においてYES)には、制御部70は、ステップS44において、ランプ電源42を制御することにより、光源ランプ40への電力供給を開始する。これにより、光源ランプ40は点灯する。
【0135】
ステップS45では、制御部70は、光検出部250Gの検出値と閾値との偏差に応じて光源ランプ40の発光量を制御する。具体的には、制御部70は、光検出部250Gの検出値と閾値との偏差が大きくなるほど、光源ランプ40の発光量を増加させる。
【0136】
以上のように、この発明の実施の形態5によれば、光源装置10から出射される照明光を、人工光と太陽光との間で切替え可能な構成において、太陽光が照明光として十分でない場合には、太陽光に人工光を合成した光を照明光とする。これにより、太陽光を照明光に用いているときに太陽光の強度が減少した場合であっても、投写映像の明るさを維持することができる。
【0137】
なお、スーパーエコモード時における光源ランプ40の発光量は、人工光が照明光の不足分を補うように制御されることから、光源ランプ40における電力消費は必要最小限に抑えられる。
【0138】
[実施の形態6]
図25は、この発明の実施の形態6によるプロジェクタユニットの構成を説明する図である。
【0139】
図25を参照して、本発明の実施の形態6によるプロジェクタユニット140は、図5に示した本発明の実施の形態1によるプロジェクタユニット100と比較して、光検出部250R,250G,250Bと、固体光源部270とをさらに備える。
【0140】
光検出部250Rは、ミラー30とリレーレンズ31との間のR光の伝搬経路上に配置される。光検出部250Rは、ミラー30によって反射され、リレーレンズ31に入射されるR光の光量を検出する。すなわち、光検出部250Rは、液晶パネル33に入射されるR光の光量を検出する。そして、光検出部250Rは、検出したR光の入射光量を制御部70(図26)へ出力する。
【0141】
光検出部250Gは、ダイクロイックミラー21とコンデンサレンズ22との間のG光の伝搬経路上に配置される。光検出部250Gは、ダイクロイックミラー21によって反射され、コンデンサレンズ22に入射されるG光の光量を検出する。すなわち、光検出部250Gは、液晶パネル24に入射されるG光の光量を検出する。そして、光検出部250Gは、検出したG光の入射光量を制御部70へ出力する。
【0142】
光検出部250Bは、ミラー15とコンデンサレンズ16との間のB光の伝搬経路上に配置される。光検出部250Bは、ミラー15によって反射され、コンデンサレンズ16に入射されるB光の光量を検出する。すなわち、光検出部250Bは、液晶パネル18に入射されるB光の光量を検出する。そして、光検出部250Bは、検出したB光の入射光量を制御部70へ出力する。
【0143】
光検出部250R,250G,250Bは、それぞれ液晶パネル33,24,18に入射するR,G,B光の光量を検出することが可能であれば、配置される位置は図22に示す位置に限定されない。
【0144】
固体光源部270は、太陽光集光ユニット200の入力部であるコンデンサレンズ230に対して、導光部220と並列に設けられる。導光部220とコンデンサレンズ230との間には、導光部220から出射された太陽光をコンデンサレンズ230に導くためのレンズ222が設けられる。これにより、導光部220から出射された太陽光は、レンズ222を経由してコンデンサレンズ230に入射される。
【0145】
固体光源部270は、R光を発光する赤色光源280Rと、G光を発光する緑色光源280Gと、B光を発光する青色光源280Bと、集光レンズ271,273,275と、ダイクロイックミラー272,274,276と、レンズ224とを含む。
【0146】
赤色光源280R、緑色光源280G、青色光源280Bは、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)などの固体光源からなる。赤色光源280RからのR光は、集光レンズ271を介してダイクロイックミラー272に入射される。R光はダイクロイックミラー272を透過した後に、レンズ224に入射される。緑色光源280GからのG光は、集光レンズ273を介してダイクロイックミラー274に入射される。集光レンズ273から入射されたG光は、ダイクロイックミラー274,272で反射され、レンズ224に入射される。青色光源280BからのB光は、集光レンズ275を介してダイクロイックミラー276に入射される。集光レンズ275から入射されたB光は、ダイクロイックミラー276で反射され、ダイクロイックミラー274を透過すると、ダイクロイックミラー272で反射され、レンズ224に入射される。
【0147】
レンズ224は、ダイクロイックミラー272を介して入射されたR光、G光、B光をコンデンサレンズ230に導く。コンデンサレンズ230は、レンズ222から入射される太陽光と、レンズ224から入射されるR光、G光、B光とを合成する。コンデンサレンズ230により合成された光は、ミラー240を介して駆動ミラー50に入射される。
【0148】
本実施の形態6によるプロジェクタユニットでは、太陽光と固体光源部270が発する複数の色光(R光、G光、B光)とを合成した光を照明光に用いる。太陽光に合成する色光の光量は、固体光源280R,280G,280Bを独立して駆動することにより、個別に制御することができる。したがって、太陽光に含まれる複数の色光の光量の変化に応じて、各色光の光量を制御することにより、照明光の色バランスを保つことができる。
【0149】
図26は、本発明の実施の形態6によるプロジェクタユニット150の主要部の概略構成図である。
【0150】
図26を参照して、プロジェクタユニット150は、図6に示した本発明の実施の形態1によるプロジェクタユニット100と比較して、光検出部250R,250G,250Bと、固体光源部270とをさらに備える。したがって、図26に示す構成のうち、上記図6に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0151】
図25で説明したように、光検出部250Rは、液晶パネル18に入射するR光の光量を検出し、その検出したR光の入射光量を制御部70へ出力する。光検出部250Gは、液晶パネル24に入射するG光の光量を検出し、その検出したG光の入射光量を制御部70へ出力する。光検出部250Bは、液晶パネル33に入射するB光の光量を検出し、その検出したB光の入射光量を制御部70へ出力する。
【0152】
制御部70は、スーパーエコモード時において、光検出部250R,250G,250Bの検出値に応じて固体光源部270における固体光源280R,280G,280Bが発するR光、G光、B光の光量を制御する。
【0153】
本発明の実施の形態6では、スーパーエコモード時において、太陽光集光ユニット200により集光された太陽光に固体光源部270の発するR,G,B光のうちの少なくとも1つの色光を合成して駆動ミラー50に入射することができる。太陽光に合成される色光およびその光量は、光検出部250R,250G,250Bの検出値に応じて制御される。
【0154】
具体的には、制御部70は、光検出部250R,250G,250Bの検出値を受けると、各検出値と所定の閾値とを比較する。そして、所定の閾値を下回る検出値について、対応する固体光源の発光量を増加させる。
【0155】
このような構成としたことにより、太陽光に含まれる複数の色光の光量が天候などによって変化した場合においても、不足する色光に対応する固体光源の光量を増加させることによって照明光の色バランスが崩れるのを防止することができる。
【0156】
図27は、図26の制御部70による光源ランプ40の制御を説明するフローチャートである。なお、図27のフローチャートの処理は、所定のメインルーチンから一定時間ごとまたは所定の条件が成立するごとに呼出されて実行される。
【0157】
図27を参照して、制御部70は、ステップS51において、プロジェクタ1がスーパーエコモードで動作しているか否かを判定する。プロジェクタ1がスーパーエコモードで動作していない場合(ステップS51においてNO)、すなわち、プロジェクタ1がノーマルモードで動作している場合には、制御部70は、固体光源部270を制御することなく、処理を終了する。
【0158】
一方、プロジェクタ1がスーパーエコモードで動作している場合(ステップS51においてYES)には、制御部70は、ステップS52において、光検出部250R,250G,250Bによりそれぞれ検出されたR光、G光、B光の入射光量の検出値を取得する。続いてステップS53により、制御部70は、R光の入射光量に過不足が生じているか否かを判定する。ステップS53では、制御部70は、光検出部250Rの検出値と所定の閾値とを比較し、検出値が閾値よりも小さいときに、R光の入射光量が不足していると判定する。一方、検出値が閾値よりも大きいときには、R光の入射光量が過剰であると判定する。
【0159】
R光の入射光量に過不足が生じていると判定された場合(ステップS53においてYES)には、制御部70は、R光の入射光量が閾値となるように赤色光源270Rの発光量を増減させる。これにより、太陽光とR光とを合成した光が駆動ミラー50へ導かれ、照明光として用いられる。
【0160】
これに対して、R光の入射光量に過不足が生じていないと判定された場合(ステップS53においてNO)には、制御部70は、続いてステップS55により、G光の入射光量に過不足が生じているか否かを判定する。ステップS55では、制御部70は、光検出部250Gの検出値と所定の閾値とを比較し、検出値が閾値よりも小さいときに、G光の入射光量が不足していると判定する。一方、検出値が閾値よりも大きいときに、G光の入射光量が過剰であると判定する。G光の入射光量に過不足が生じていると判定された場合(ステップS56においてYES)には、制御部70は、G光の入射光量が閾値となるように緑色光源270Gの発光量を増減させる。これにより、太陽光とG光とを合成した光が駆動ミラー50へ導かれ、照明光として用いられる。
【0161】
これに対して、G光の入射光量に過不足が生じていないと判定された場合(ステップS55においてNO)には、制御部70は、続いてステップS57により、B光の入射光量に過不足が生じているか否かを判定する。ステップS57では、制御部70は、光検出部250Bの検出値と所定の閾値とを比較し、検出値が閾値よりも小さいときに、B光の入射光量が不足していると判定する。一方、検出値が閾値よりも大きいときに、B光の入射光量が過剰であると判定する。B光の入射光量に過不足が生じていると判定された場合(ステップS57においてYES)には、制御部70は、B光の入射光量が閾値となるように青色光源270Bの発光量を増減させる。これにより、太陽光とB光とを合成した光が駆動ミラー50へ導かれ、照明光として用いられる。
【0162】
一方、R光、G光、B光のいずれの入射光量も不足していないと判定された場合(ステップS57においてNO)には、制御部70は、固体光源部270を制御することなく、処理を終了する。
【0163】
以上のように、この発明の実施の形態6によれば、光源装置10から出射される照明光を、人工光と太陽光との間で切替え可能な構成において、太陽光が照明光として十分でない場合には、不足している色光を発するように固体光源部が制御される。これにより、太陽光に不足している色光が固体光源部からの色光によって補うことができるため、照明光としての色バランスを保つことができる。
【0164】
(太陽光集光ユニットの構成例)
図28は、本発明に適用される太陽光集光ユニットの他の構成例について説明する。
【0165】
図28を参照して、太陽光集光ユニット200Aは、集光部として、n(nは2以上の自然数)個の集光モジュール201〜20nを含む。第1集光モジュール201〜第n集光モジュール20nは、太陽光の入射方向に対して並列に配置される。n個の集光モジュールの各々は、図2で示した太陽光集光ユニット200の集光部と基本的に同じ構成であり、太陽に向けて配置された第1反射ミラーと、第1反射ミラーに向けて配置された第2反射ミラーとを含む。各集光モジュールで集光された太陽光は、導光部220を介して入力部であるコンデンサレンズ230に導かれる。
【0166】
図28に示した太陽光集光ユニット200Aでは、図2に示した太陽光集光ユニット200と比較して、集光部を複数の集光モジュールで構成したことにより、集光される太陽光の光量を変えずに、集光部を小型化することができる。
【0167】
図29は、太陽光集光ユニット200,200Aにおける集光部の構成を説明する図である。
【0168】
図29を参照して、太陽光集光ユニット200Aでは、4個の集光モジュールの第1反射ミラー212が2×2のマトリクス状に配置される。第1反射ミラー212の直径を2Rとすると、4個の集光モジュール全体での集光面積Sは、1個当たりの集光モジュールの集光面積をa(=πR)とすると、S=4a=4πRとなる。
【0169】
これに対して、太陽光集光ユニット200では、1個の第1反射ミラー210が配置される。この第1反射ミラーの直径を4Rとすると、第1反射ミラー210の集光面積Sは4πRとなり、上記4個の集光モジュール全体での集光面積Sと同じとなる。
【0170】
このように太陽光集光ユニット200Aと太陽光集光ユニット200とは集光面積Sが等しくなるため、集光される太陽光の光量も等しくなる。その一方で、第1反射ミラー212と第2反射ミラー214との間の間隔は、1個あたりの第1反射ミラー212が小さくなる分だけ、太陽光集光ユニット200Aの方が短くなる。したがって、太陽光集光ユニット200Aでは、太陽光集光ユニット200と比較して、集光部を小型化できる。
【0171】
なお、図29では、4個の集光モジュールの第1反射ミラー212をマトリクス状に配置する構成について例示したが、第1反射ミラー212の配置はこれに限定されるものではないことを確認的に記載する。たとえば、4個の第1反射ミラーを一列に並べて配置してもよいし、互いにずらして配置してもよい。あるいは、4個の第1反射ミラーを互いに間隔を空けて配置するようにしてもよい。
【0172】
本発明の実施の形態1〜6においては、太陽光集光ユニット200,200Aが太陽光を集光して出射可能に構成された「第1光源」を構成し、光源ランプ40が人工光を出射する「第2光源」を構成する。そして、駆動ミラー50、光源切替部52、光源切替駆動部54および制御部70が、「第1光源」が出射した太陽光および「第2光源」が出射した人工光のいずれか一方を照明光に選択するための「光源切替部」を実現する。
【0173】
なお、上述した実施の形態1〜6では、プロジェクタユニットとして液晶プロジェクタを採用した構成について例示したが、これに限定されるものではない。たとえば、DLP(Digital Light Processing)(登録商標)方式のプロジェクタ等の他の方式のプロジェクタに本発明の技術を採用してもよい。
【0174】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0175】
1 プロジェクタ、2 光学エンジン、3 投写レンズ、10 光源装置、11 フライアイインテグレータ、12 PBSアレイ、13,16,22,26,230 コンデンサレンズ、14,21,272,274,276 ダイクロイックミラー、15,28,30,44,240 ミラー、17,23,32 入射側偏光板、18,24,33 液晶パネル、19,25,34 出射側偏光板、20 ダイクロイックプリズム、27,29,31 リレーレンズ、40 光源ランプ、42 ランプ電源、50 駆動ミラー、52 光源切替部、54 光源切替駆動部、60 液晶パネル駆動部、62 映像信号処理部、64 映像信号入力部、66 操作受付部、70 制御部、72 電源切替部、80 AC−DC電源部、90 負荷、100,110,110A,120,130,140,150 プロジェクタユニット、200,200A 太陽光集光ユニット、201〜20n 集光モジュール、210 集光部、212 第1反射ミラー、214 第2反射ミラー、220 導光部、222,224 レンズ、250,250R,250G,250B,255 光検出部、260 太陽電池パネル部、262 蓄電部、270 固体光源部、280R 赤色光源、280G 緑色光源、280B 青色光源、271,273,275 集光レンズ、1000 建物、1100 格納容器、1110 採光窓、1112 シャッタ、1114 シャッタ駆動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を集光して出射可能に構成された第1光源と、
人工光を出射する第2光源と、
前記第1光源が出射した太陽光および前記第2光源が出射した人工光のいずれか一方を照明光に選択するための光源切替部と、
前記光源切替部によって選択された照明光を映像光に変調して投写する投写部とを備える投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記光源切替部は、前記第1光源が出射する太陽光の強度が所定の閾値以上となるときには、太陽光を照明光に選択するように構成され、
前記所定の閾値は、前記投写部により表示すべき映像の表示態様に応じて可変に設定される、請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
太陽電池パネル部と、
前記光源切替部により人工光が照明光に選択されている場合に、前記第1光源が出射した太陽光を前記太陽電池パネル部に導くように構成された導光部とをさらに備える、請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記太陽電池パネル部が発電した電力により充電可能な蓄電部をさらに備える、請求項3に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記光源切替部により太陽光が照明光に選択されている場合に、前記投写部への入射光量に応じて、前記第2光源が出射した人工光を前記投写部に導くように構成された導光部をさらに備える、請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項6】
少なくとも1つの色光を発光可能に構成された第3光源と、
前記第1光源が出射した太陽光と、前記第3光源が発光した前記少なくとも1つの色光とを合成するための光合成部とをさらに備え、
前記第3光源は、前記光源切替部により太陽光が照明光に選択されている場合に、前記投写部への色光ごとの入射光量に応じて、各前記少なくとも1つの色光の発光量を調整する、請求項1に記載の投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2013−50599(P2013−50599A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188785(P2011−188785)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】