説明

投射光学系

【課題】より小型の投射光学系を提供する。
【解決手段】第一の画像011と共役な第二の画像を形成する第一の光学系013、及び、第二の画像からの光を反射する反射光学素子を含むと共に第二の画像と共役な第三の画像を被投射面016に投射する第二の光学系015を含む、投射光学系において、第一の光学系は、絞り012、並びに、絞りと第二の画像との間に設けられる、正の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子及び負の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子を含み、正の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子における最も強い正の屈折力を備えた光学素子は、絞りと負の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子における最も強い負の屈折力を備えた光学素子との間に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射光学系及び画像投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、透過型、反射型ドットマトリクス液晶、DMD(Digital Micro−mirror Device)等を用いた表示装置(以下ライトバルブと称する)を用い、このライトバルブに表示される画像をスクリーンに拡大投射して大画面として見せる拡大投射方式が着目されている。
【0003】
しかし大画面を投射するに当たり、ライトバルブ自体を大面積化するには、製作のうえで欠陥のない大型液晶表示装置を得ることは容易でなく、仮に得られたとしてもきわめて高価になる。
【0004】
このようなことから、透過型(または反射型)液晶、DMDのライトバルブを用いてこれに表示される画像を拡大投射すれば、画面の大きさに制約を受けず、迫力のある大画面を得ることが可能なので、オフィスや、学校、家庭においても、より広く画像拡大投射装置(プロジェクター)が利用されている。
【0005】
しかし、実際にプロジェクターを利用する場面を想定すると、プロジェクターの設置場所が問題になる。
【0006】
たとえば、オフィスにて前方に画像を投影するフロント型プロジェクターを例に挙げると、少人数で比較的小さな会議室で利用する場合、投影画面サイズ、投射距離、PCとの接続、議論しやすい机のレイアウトなどから、プロジェクターの設置場所の制約が少なからず発生し、使い勝手が悪い問題点が発生していた。また、特にプロジェクターにプレゼンテーション資料を投影し説明をする場合に、説明者はプロジェクターとスクリーンの間に立たざるを得ない場合もでてくるが、そのときに説明者の影がスクリーンに映り込んでしまって聴講者には投影画面が一部分見えなくなる問題が生じてしまう。
【0007】
最近は、ますます、大画面で、投射距離を縮める工夫が種々なされているが、たとえば、対角50〜60インチの画面サイズを得るためには、従来の技術ではフロント型で最低1m程度の投射距離が必要であり、この距離では、説明者の陰がスクリーン上に写り込み問題になる場合が多々生じていた。
【0008】
また、プロジェクターをキャビネット内に納め、キャビネットの前面に設けたスクリーンに背面投射して、キャビネットの前面から拡大画像を見ることができるようにしたリア型の表示装置、リアプロジェクターが提供されるに至っているが、奥行き方向の省スペース化を実現するため薄型が求められている中、筐体のなかにおいて平面ミラー等で何度か折り曲げても、装置自体の小型化に限界があるため、光学系の投射距離を縮めることがますます求められている。
【0009】
特許文献1においては、反射型結像光学系に関する従来技術が開示されており、結像光学系の大型化を抑え且つ広画角化を図ることのできる反射型の結像光学系を提供することを目的として、その実施例としては、第一から第四の四つの反射鏡を備えた反射型結像光学系であって、第一反射鏡:凹状曲面、第二〜四反射鏡:凸状からなる、反射光学系を採用している。また、前記各反射鏡の内の少なくとも一つの反射鏡の反射面を、自由曲面形状に形成し、所望の投射性能を確保している。
【0010】
特許文献2においては、背面投射型ディスプレイに関する従来技術が開示されており、スクリーンまでの投射距離を短くして、背面投射型ディスプレイに限定しているが、装置の奥行を薄くする方法として、一対の凹面鏡と発散作用を有する凸面鏡を、表示光学ユニットから背面反射ミラーへの光路上に、表示光学ユニット側から凹面鏡、凸面鏡の順で配置するなどして、投射距離をより短くする従来技術がある。
【0011】
特許文献3においては、ビデオプロジエクタに関する従来技術が開示されており、テレビジョン受像機において、第1番目の鏡を凸面状に構成し、薄型化を図ったリアプロジェクション方式のビデオプロジェクタが記載されている。
【0012】
以上従来技術の共通の問題点としては、自由曲面等、非球面を多用し、結像性能を保ちながら、広角化を実現している。面形状精度はもちろん、各面の間隔の精度を厳しくする必要があった。特許文献1の反射鏡で構成したタイプでは、反射面の精度誤差による影響度が大きくなる。これらの従来の投射光学系での公差設定より一段厳しくなる問題点があった。
【0013】
また、反射鏡だけで構成した場合、色収差が原理的に発生しない特徴があるが、逆に、複数の色を合成しカラー画像を形成した作像系では、クロスプリズムや、フィリップスプリズムといった色合成ブリズム等を介在させる必要があり、色収差が発生するが、反射ミラーだけで投射光学系を構成すると、色収差補正ができなくなるといったデメリットが生じる。
【0014】
よって、特許文献4に開示される投射光学系、投射型画像表示装置および画像表示システムでは、レンズ系と複数のパワーを持った反射面を用いた投射光学系なので、色合成プリズム等で発生する色収差をレンズ系で補正することが可能であるが、実施例によると、3〜5枚の非球面ミラーを使用しているためコストも高く、また前出の公知例と同じく反射面の面精度や位置精度を極めて高く設定する必要があり、光学系の組付け精度が厳しくなるという問題点がある。また、画像形成素子から射出する光束がテレセントリックではないため、像面での明るさが不均一になってしまったり、色合成プリズムの膜の角度特性をライトバルブからの射出光の発散角よりも広く取らなくてはいけないため分離特性が悪くなってしまう。
【0015】
また、特許文献5に開示される投射光学系、拡大投射光学系、拡大投射装置及び画像投射装置では、レンズ系と複数のパワーを持った反射面を用いた投射光学系だが、回転非対称反射面一面を用いて拡大しているため特許文献4に開示される技術に比べコストが抑えられ組付け精度も全体としてゆるくなる。しかしながら実施例1〜5では、レンズ系が光軸に対し平行偏心、チルト偏心しているため、その調芯を行うのが非常に困難である。また、実施例6では偏心のないレンズ系を採用しているが、そのレンズ構成のため、スクリーン側に最も近いレンズの径が大きいものになってしまっており、コストが高くなってしまっている。すなわち、レンズ系の構成が正・負・負となっているため最終レンズの径が大きくなってしまいコストアップの要因となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の第一の目的は、より小型の投射光学系を提供することである。
【0017】
本発明の第二の目的は、より小型の投射光学系を含む画像投射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第一の態様は、第一の画像と共役な第二の画像を形成する第一の光学系、及び、該第二の画像からの光を反射する反射光学素子を含むと共に該第二の画像と共役な第三の画像を被投射面に投射する第二の光学系を含む、投射光学系において、該第一の光学系は、絞り、並びに、該絞りと該第二の画像との間に設けられる、正の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子及び負の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子を含み、該正の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子における最も強い正の屈折力を備えた光学素子は、該絞りと該負の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子における最も強い負の屈折力を備えた光学素子との間に設けられることを特徴とする投射光学系である。
【0019】
本発明の第二の態様は、共役面A上にある画像情報を表示する画像形成素子から射出した複数の光束を、共役面Bに斜めから入射させて共役面B上に前記画像形成素子によって形成された画像の拡大画像を形成可能な投射光学系において、少なくとも第1光学系と第2光学系とを有し、第1光学系と第2光学系の間に前記複数の光束が略収束化された画像形成素子の中間像を有し、第1光学系の屈折力を持った光学系は前記光束を透過するレンズ系のみで構成され、第1光学系の屈折力のみで前記中間像を形成し、第2光学系は前記中間像の直後に前記光束を反射させる正の屈折力を持った反射ミラーを含んだ反射光学系で、前記第1光学系は、共役面A側から順に正・正・負の屈折力を有するレンズ群で構成されたことを特徴とする投射光学系である。
【0020】
本発明の第三の態様は、共役面A上にある画像情報を表示する画像形成素子から射出した複数の光束を、共役面Bに斜めから入射させて共役面B上に前記画像形成素子によって形成された画像の拡大画像を形成可能な投射光学系において、少なくとも第1光学系と第2光学系とを有し、第1光学系と第2光学系の間に前記複数の光束が略収束化された画像形成素子の中間像を有し、第1光学系の屈折力を持った光学系は前記光束を透過するレンズ系と第1光学系の光軸に回転対称の負の屈折力を持った反射ミラーで構成され、第1光学系の屈折力のみで前記中間像を形成し、第2光学系は前記中間像の直後に前記光束を反射させる正の屈折力を持った反射ミラーを含んだ反射光学系で、前記第1光学系の前記光束を透過するレンズ系は、共役面A側から順に正・正・負の屈折力を有するレンズ群で構成されたことを特徴とする投射光学系である。
【0021】
本発明の第四の態様は、本発明の第一、第二、及び第三の態様のいずれかである投射光学系を搭載したことを特徴とする画像投射装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第一、第二、又は第三の態様によれば、より小型の投射光学系を提供することができる。
【0023】
本発明の第四の態様によれば、より小型の投射光学系を含む画像投射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1を示す図である。
【図2】実施例1の第1光学系の拡大図である。
【図3】実施例1の第1光学系、第2光学系の拡大図である。
【図4】図1の上方から系を見た図である。
【図5】最終的な共役面B上での拡大像の歪の状況を示す図である。
【図6】最終的な共役面B上での拡大像の解像性能を示す図である。
【図7】実施例2を示す図である。
【図8】実施例2の第1光学系拡大図を示す図である。
【図9】最終的な共役面B上での拡大像の歪の状況を示す図である。
【図10】最終的な共役面B上での拡大像の解像性能を示す図である。
【図11】投射光学系を適用する投射装置を示す図である。
【図12】投射光学系を適用する投射装置を示す図である。
【図13】実施例3を示す図である。
【図14】実施例3の第1光学系拡大図を示す図である。
【図15】最終的な共役面B上での拡大像の歪の状況を示す図である。
【図16】最終的な共役面B上での拡大像の解像性能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
【0026】
本発明の第一の実施形態は、共役面A上にある画像情報を表示する画像形成素子から射出した複数の光束を、共役面Bに斜めから入射させて共役面B上に前記画像形成素子によって形成された画像の拡大画像を形成可能な投射光学系において、少なくとも第1光学系と第2光学系とを有し、第1光学系と第2光学系の間に前記複数の光束が略収束化された画像形成素子の中間像を有し、第1光学系の屈折力を持った光学系は前記光束を透過するレンズ系のみで構成され、第1光学系の屈折力のみで前記中間像を形成し、第2光学系は前記中間像の直後に前記光束を反射させる正の屈折力を持った反射ミラーを含んだ反射光学系で、前記第1光学系は、共役面A側から順に正・正・負の屈折力を有するレンズ群で構成されたことを特徴とする投射光学系である。
【0027】
本発明の第一の実施形態によれば、第1光学系のレンズ群が画像形成素子側から順に正・正・負であることにより、第3群のレンズ径、特に最終レンズ径のサイズを小さくすることが出来るため製造誤差が小さく解像性能をよくすることが出来、コストダウンとなる。
【0028】
本発明の第二の実施形態は、共役面A上にある画像情報を表示する画像形成素子から射出した複数の光束を、共役面Bに斜めから入射させて共役面B上に前記画像形成素子によって形成された画像の拡大画像を形成可能な投射光学系において、少なくとも第1光学系と第2光学系とを有し、第1光学系と第2光学系の間に前記複数の光束が略収束化された画像形成素子の中間像を有し、第1光学系の屈折力を持った光学系は前記光束を透過するレンズ系と第1光学系の光軸に回転対称の負の屈折力を持った反射ミラーで構成され、第1光学系の屈折力のみで前記中間像を形成し、第2光学系は前記中間像の直後に前記光束を反射させる正の屈折力を持った反射ミラーを含んだ反射光学系で、前記第1光学系の前記光束を透過するレンズ系は、共役面A側から順に正・正・負の屈折力を有するレンズ群で構成されたことを特徴とする投射光学系である。
【0029】
本発明の第二の実施形態によれば、第1光学系のレンズ群が画像形成素子側から順に正・正・負であることにより、第3群のレンズ径、特に最終レンズ径のサイズを小さくすることが出来るため製造誤差が小さく解像性能をよくすることが出来、コストダウンとなる。
【0030】
本発明の第三の実施形態は、本発明の第一の又は第二の実施形態である投射光学系において、第2光学系の正の屈折力を持ったミラーは、第1光学系の光軸と交わる点から周辺に向かうにしたがって曲率がゆるくなるような曲面形状を持つことを特徴とする投射光学系である。
【0031】
本発明の第三の実施形態によれば、スクリーン上の拡大像の歪曲収差を補正することが出来、解像性能を向上させることが出来る。
【0032】
本発明の第四の実施形態は、本発明の第一の、第二の、又は第三の実施形態である投射光学系において、第2光学系の正の屈折力を持ったミラーは、画像形成素子の短軸方向と長軸方向とでパワーが異なるアナモフィックな多項式自由曲面形状であることを特徴とする投射光学系である。
【0033】
本発明の第四の実施形態によれば、設計自由度が多くなるため、収差補正能力がさらに高くなり、解像性能を向上させることが出来る。
【0034】
本発明の第五の実施形態は、本発明の第一の、第二の、又は第三の実施形態である投射光学系において、第2光学系の正の屈折力を持ったミラーは、回転対称な非球面形状であることを特徴とする投射光学系である。
【0035】
本発明の第五の実施形態によれば、ある軸に対し回転対称の形状であるため正の屈折力を持ったミラーの加工がしやすく形状誤差が小さくできるし、加工時間も短くできるためコストダウンとなる。
【0036】
本発明の第六の実施形態は、本発明の第一の、第二の、第三の、第四の、又は第五の実施形態である投射光学系において、第1光学系のレンズは、少なくとも1面は非球面形状を有していることを特徴とする投射光学系である。
【0037】
本発明の第六の実施形態によれば、第1光学系に非球面を採用することにより、拡大像の解像性能が良くなる。
【0038】
本発明の第七の実施形態は、本発明の第六の実施形態である投射光学系において、第1光学系の非球面は、第3群中に位置していることを特徴とする投射光学系である。
【0039】
本発明の第七の実施形態によれば、第1光学系第3群は全群の中で最も光束の画角が離れている群なので、そこに非球面を採用することにより、各画角の光束を独立に補正できるため、拡大像の解像性能がさらに良くなる。
【0040】
本発明の第八の実施形態は、本発明の第七の実施形態である投射光学系において、第1光学系の第3群の非球面は、少なくとも1箇所は正の屈折力を持ったレンズ上に位置していることを特徴とする投射光学系である。
【0041】
本発明の第八の実施形態によれば、さらに第3群の正のパワーを持ったレンズは、第3群中もっとも光束の画角が離れているレンズのため、各画角の光束を独立に補正できるため、拡大像の解像性能がさらに良くなる。
【0042】
本発明の第九の実施形態は、本発明の第一の、第二の、第三の、第四の、第五の、第六の、第七の、又は第八の実施形態である投射光学系において、前記中間像は第1光学系の光軸に垂直な面に対して傾斜湾曲していることを特徴とする投射光学系である。
【0043】
本発明の第九の実施形態によれば、本発明の第三の実施形態にて、光軸から周辺に向かうにしたがって第2光学系の正のパワーを持ったミラーの曲率を緩めたために発生する共役面Bでの像面湾曲を補正する。
【0044】
本発明の第十の実施形態は、本発明の第一の、第二の、第三の、第四の、第五の、第六の、第七の、第八の、又は第九の実施形態である投射光学系において、前記画像形成素子から前記透過屈折光学系の第一面までが略テレセントリックであることを特徴とする投射光学系である。
【0045】
本発明の第十の実施形態によれば、画像形成素子から射出する光束を全画角ほぼ同じ角度で第1光学系に取り込むため、スクリーン上の拡大像の明るさをほぼ均一化できる。また、画像形成素子と第1光学系の間に入射角特性を持った膜が配置されている場合、その取り込み角分のみを考慮すればよいので入射角を狭くすることが出来、コストダウンできる。
【0046】
本発明の第十一の実施形態は、本発明の第一の、第二の、第三の、第四の、第五の、第六の、第七の、第八の、第九の、又は第十の実施形態である投射光学系において、第1光学系のレンズの間に、反射ミラーを配置したことを特徴とする投射光学系である。
【0047】
本発明の第十一の実施形態によれば、第1光学系のレンズ内に折り返しミラーを配置することにより、画像形成素子からその折り返しミラーまでの光路を、スペースが空いている空間に折り返すことが出来るため、光学系の空間占有率が小さくなる。
【0048】
本発明の第十二の実施形態は、本発明の第一〜第十一のいずれかの実施形態である投射光学系を搭載したことを特徴とする画像投射装置である。
【0049】
本発明の第十二の実施形態によれば、拡大倍率が高く解像性能が高くてもレンズサイズが大きくならない投射光学系を採用した投影装置を実現したため、所望の拡大倍率が得られ、かつ至近距離投射が可能でコストを抑えた投影装置を実現できる。また、リアプロジェクションへ本発明の投射光学系を採用することによって従来よりもコストを下げ、かつ薄型化も可能な装置を実現できる。
【0050】
本発明の第十三の実施形態は、第一の画像と共役な第二の画像を形成する第一の光学系、及び、該第二の画像からの光を反射する反射光学素子を含むと共に該第二の画像と共役な第三の画像を被投射面に投射する第二の光学系を含む、投射光学系において、該第一の光学系は、絞り、並びに、該絞りと該第二の画像との間に設けられる、正の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子及び負の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子を含み、該正の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子における最も強い正の屈折力を備えた光学素子は、該絞りと該負の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子における最も強い負の屈折力を備えた光学素子との間に設けられることを特徴とする投射光学系である。
【0051】
本発明の第十三の実施形態によれば、より小型の投射光学系を提供することができる。
【0052】
本発明の第十四の実施形態は、本発明の第十三の実施形態である投射光学系を搭載したことを特徴とする画像投射装置である。
【0053】
本発明の第十四の実施形態によれば、より小型の投射光学系を含む画像投射装置を提供することができる。
【実施例1】
【0054】
図1に本発明の実施例1を示す。
【0055】
なお、本発明の説明図における座標系は、共役面B上のスクリーンの長軸方向をX、短軸方向をY、スクリーンの法線方向をZとする。
【0056】
共役面A上の画像形成素子011で形成された画像を共役面B上のスクリーン016に投射するための投射光学系であって、屈折光学系を少なくとも一つの含んだ共軸系の第1光学系013、正のパワーを有する反射面を少なくとも一つ含んだ第2光学系015で構成され、画像形成素子から第1光学系、第2光学系を配置し、第1光学系と第2光学系の間に、画像形成素子で形成された画像を一旦中間像形成させて、全体で拡大投射させる。なお、図1では第1光学系と第2光学系の間に折り返しミラー014を配置し、光路を折り曲げ、光学系の空間占有率を小さくしているが、配置せずとも本発明は成立する。
【0057】
図4は図1の上方から、つまりXZ平面で系を見た図であり、折り返しミラー043の光路折り曲げ方向を変更し、第2光学系にスクリーンと平行な折り返しミラー045を配置したものである。図1では折り返しミラー014の光路折り曲げ方向は第1光学系013以下をY方向に折り曲げているが、第1光学系042を図4のようなX方向に折り曲げるような向きにするなど、光学系の空間占有率を小さく出来ることは当然である。さらに、第2光学系は正のパワーを持った反射ミラー044の後にスクリーン046と平行な折り返しミラー045を配置してもよく、図4のように一つの筐体047内に本光学系を設置した場合、筐体の奥行き方向を薄くすることが出来る。
【0058】
なお、図では簡単のため画像形成素子を1枚のみ示したが、図12のように赤、緑、青等の複数枚の素子を用い、各素子により変調された光束を公知のダイクロイックプリズム等の色合成手段により色合成した後に第1光学系へ入射させることによりスクリーン上にカラー画像を投射することが出来ることは言うまでもない。
【0059】
また、図11のように、画像形成素子1107から第1光学系第1面までの光束が略テレセントリックであれば(本発明の第十の実施形態)、スクリーン1111での画像形成素子の拡大像の明るさを均一化できると共に、前述のような複数枚の素子を用いたカラー画像投射の場合に用いる色合成手段1109のダイクロイック膜の角度特性も画像形成素子からの射出光の発散角のみ考慮すればいいので狭く、膜自体が作りやすくなる。さらに偏光分離手段1108を用いる画像形成装置の場合、その偏光分離膜も角度特性が狭く出来るためよい。もちろんテレセントリックではない光学系でも本発明は適用可能である。
【0060】
図2は実施例1の第1光学系の拡大図である。
【0061】
第1光学系は、絞り022の前後と、絞りよりも共役面B側にあるレンズ群の中で最もレンズ間隔の空いた箇所の前後で分けたときに、その3つに分けられたレンズ群がそれぞれ、共役面A側から順に正・正・負のパワー配置になっている。画像形成素子021から射出された光束は正のパワーを持った第1群023により屈折されるが、第1光学系後の絞りから射出する光束の主光線の最大画角は第1群の正のパワーと、第1光学系の光軸に対する画像形成素子の平行偏心量で決まる。この最大画角が大きければ大きいほど光束の光軸に対する光線高が大きくなるためその後のレンズ径が大きくなってしまうが、絞り後に配置されている第2群024が正のパワーを持っていることにより画角の広がりを抑えるので、第3群025のレンズ径が拡大してしまうのを防いでいる。特に、第3群は画角を広げる負のパワーを持っているため最終レンズのレンズ径の大きさを抑えることが出来る。(本発明の第一の実施形態)
また、図2のように、第1光学系に非球面レンズを用いることにより設計の自由度が多くなり、スクリーン上での結像性能が上がる(本発明の第六の実施形態)。さらに第3群は各画角の光束が最も分離している群なので、その位置に非球面形状を用いることにより各画角を独立に収差補正することが出来(本発明の第七の実施形態)、その中でも図2のように負のレンズ後の正のレンズは最も各画角の光束が分離しているため非球面形状の収差補正能力が最も効果的である(本発明の第八の実施形態)。
【0062】
図3は実施例1の第1光学系、第2光学系の拡大図である。
【0063】
第1光学系033を射出した光束は折り返しミラー034により光路を曲げられ第2光学系035に入射し、第3光学系の正のパワーを持った反射ミラーにより拡大投射される。第1光学系と第2光学系の間には、光束が略収束化され画像形成素子の中間像036を形成する。
【0064】
第2光学系の正のパワーにより共役面B上に拡大投影される画像形成素子031の像の歪曲収差は一般に、入射する画角の3乗に比例して大きくなってしまう。つまり、画像形成素子上に等間隔に並んだ物点から射出する光線が投射光学系によって共役面B上に像を作るとき、出来た像は等間隔ではなく、光軸から離れた像点ほどズレ量は大きくなる。本光学系では第3光学系の曲面が球面であった場合、投射される像は画角が大きい光束、つまり光軸から離れれば離れるほど像点の間隔が広がってしまう。以上のような拡大投射系における歪曲収差を補正するため、第2光学系の正のパワーを持つ反射ミラーは、光軸037から離れれば離れるほど正のパワーがゆるくなるような曲面形状をしている(本発明の第三の実施形態)。また第2光学系の正のパワーを持つ反射ミラーがアナモフィックな多項式自由曲面形状であれば、設計自由度が高くなるので、上記歪曲収差を含めた収差補正性能がよくなる(本発明の第四の実施形態)。なお本説明では凹面状の反射面を採用しているが、フレネル反射鏡であったり、ホログラム反射鏡であったり、集光パワーを有する反射光学素子であればこの限りでない。
【0065】
なお、上の説明における「アナモフィックな多項式自由曲面」は投射画像を基準として上下方向をY方向、左右方向をX方向、曲面のデプスをZ方向、「X2、Y2、X2Y、Y3、X2Y2など」を係数として
Z=X2・x+Y2・y+X2Y・xy+Y3・y+X4・x+X2Y2・x+Y4・y+X4Y・xy+X2Y3・x+Y5・y+X6・x6+X4Y2・x+X2Y4・x+Y6・y+・・(1)
で表される形状である。
【0066】
さらに光軸から離れるほど正のパワーがゆるくなるということは光軸から離れるほど焦点距離が伸びるわけで、第2光学系の正のパワーを持った反射ミラーにより形成される拡大像に共役な前記中間像は、光軸から離れるにつれて焦点距離が伸びるため、第2光学系の正のパワーを持った反射ミラーとの光路長が光軸から離れた光線ほど伸びる方向に傾斜湾曲する(本発明の第九の実施形態)。
【0067】
実施例1では図2のように第1光学系に第1群023が7枚、第2群024が1枚、第3群025が4枚の計12枚のレンズを用いているが本発明はそのレンズ枚数によらないし、第1光学系はレンズのみを用いた系だが、レンズの間に反射ミラーを配置し光路を折り曲げることによって光学系の空間占有率を小さく出来ることは当然である。(本発明の第十一の実施形態)
実施例1の諸元を表1に示す。
【0068】
表1においてシフトとあるのはシフト偏心量、チルトとあるのはチルト偏心量である。曲率半径、面間隔及びシフト偏心量の単位は「mm」、チルト偏心量の単位は「度」である。また、シフト及びチルトの符号については、Y軸方向における正の方向のシフトが+の符号を有し、X軸まわりにおける左回転のチルトが+の符号を有する。以下の各実施例においても同様である。
【0069】
[表1]
【0070】
【表1】

14、22、23面に用いられている非球面は回転対称非球面であるが、非対称の非球面でも良い。
【0071】
回転対称非球面は周知のとおり、Zを光軸方向のデプス、cを近軸曲率半径、rを光軸からの光軸直交方向の距離、kを円錐係数、A、B、C、・・・等を高次の非球面係数とすると、
Z=c・r/[1+√{1−(1+k)c}]+Ar+Br+Cr・・・
という非球面式となり、k、A、B、C・・・の値を与えて形状を特定する。以下他の実施例においても同様である。
【0072】
表2に実施例1の非球面の係数を与える。
【0073】
[表2]
【0074】
【表2】

表3に実施例1の多項式自由曲面の係数を与える。多項式自由曲面の係数は前述の式(1)に対応している。
【0075】
[表3]
【0076】
【表3】

最終的な共役面B上での拡大像の歪の状況を図5に、解像性能を図6に示す。
【0077】
どちらも画像形成素子として対角0.7インチ、縦横比が3:4のパネルを想定した結果となっている。拡大率は約85.7倍である。図5のようにグリッドの像を略等間隔に形成でき、歪が良好に補正されていることが分かる。また、図6のように評価周波数0.5c/mmに対するMTF値も79%以上と解像性能が非常に高いことが分かる。なお、画像形成素子からの射出光のFナンバーはF2.8で、奥行き方向の厚みは600mmとなっている。また第1光学系の最大の径を持ったレンズは最もスクリーンに近いレンズで、その直径は80mmとなっている。
【実施例2】
【0078】
次に本発明の第二の実施形態に対する実施例2について説明する。
【0079】
図7に実施例2、図8に実施例2の第1光学系拡大図を示す。
【0080】
本発明の第一の実施形態同様、共役面A上の画像形成素子071で形成された画像を共役面B上のスクリーン076に投射するための投射光学系であって、屈折光学系を少なくとも一つ含んだ共軸系の第1光学系072、正のパワーを有する反射面を少なくとも一つ含んだ第2光学系074で構成され、画像形成素子から第1光学系、第2光学系を配置し、第1光学系と第2光学系の間に、画像形成素子で形成された画像を一旦中間像形成させて、全体で拡大投射させる光学系であるが、第1光学系と第2光学系の間に回転対称の負の屈折力を持った反射ミラー073を配置することにより、第1光学系第3群の負の屈折力を軽減できかつ、折り返しミラーと兼ねることが出来るため空間占有率を小さくすることが出来る。またその方向は、図7では第1光学系072を共役面Bの高さ方向、つまりY方向に折り曲げているが、第1光学系を図の奥行き方向、つまりX方向に折り曲げるような向きにするなど、光学系の空間占有率をより小さく出来ることは当然である。
【0081】
実施例2の諸元を表4に示す。
【0082】
[表4]
【0083】
【表4】

表5に実施例2の非球面の係数を与える。
【0084】
[表5]
【0085】
【表5】

表6に実施例2の多項式自由曲面の係数を与える。多項式自由曲面の係数は前述の式(1)に対応している。
【0086】
[表6]
【0087】
【表6】

最終的な共役面B上での拡大像の歪の状況を図9に、解像性能を図10に示す。
【0088】
どちらも画像形成素子として対角0.7インチ、縦横比が3:4のパネルを想定した結果となっている。拡大率は約85.7倍である。図8のようにグリッドの像を略等間隔に形成でき、歪が良好に補正されていることが分かる。また、図9のように評価周波数0.5c/mmに対するMTF値も75%以上と解像性能が良いが、実施例1と比べて落ちている。これは、前述のとおり実施例2は実施例1に対しレンズ(非球面レンズ)を1枚抜いた構成になっているため、設計自由度が少なくなったからだと考えられる。なお、画像
形成素子からの射出光のFナンバーはF2.8で、奥行き方向の厚みは300mmとなっている。また第1光学系の最大の径を持ったレンズは最もスクリーンに近いレンズで、その直径は80mmとなっている。
【実施例3】
【0089】
次に本発明の第五の実施形態に対する実施例3について説明する。
【0090】
図13に実施例3、図14に実施例3の第1光学系拡大図を示す。
【0091】
本発明の第一の実施形態同様、共役面A上の画像形成素子で形成された画像を共役面B上のスクリーンに投射するための投射光学系であって、屈折光学系を少なくとも一つ含んだ共軸系の第1光学系、正のパワーを有する反射面を少なくとも一つ含んだ第2光学系で構成され、画像形成素子から第1光学系、第2光学系を配置し、第1光学系と第2光学系の間に、画像形成素子で形成された画像を一旦中間像形成させて、全体で拡大投射させる光学系である。ここで第二光学系の正のパワーを持つ反射面は回転対称非球面形状である。
【0092】
また折り返しミラーにより光路を折り曲げており、その方向は、図13では第1光学系を共役面Bの高さ方向、つまりY方向に折り曲げているが、第1光学系を図の奥行き方向、つまりX方向に折り曲げるような向きにするなど、光学系の空間占有率をより小さく出来ることは当然である。
【0093】
実施例3の諸元を表7に示す。
【0094】
[表7]
【0095】
【表7】

表8に実施例3の非球面の係数を与える。
【0096】
[表8]
【0097】
【表8】

ここで、第1群は、面番号9〜24で表された8枚のレンズで構成され、第1群のレンズ系の焦点距離は、約+55.3mmであり、第1群のレンズ系は、約+0.0181mm−1の正のパワーを有する。また、第2群は、面番号25及び26で表された1枚のレンズで構成され、第2群のレンズ系の焦点距離は、約+116mmであり、第2群のレンズ系は、約+0.00865mm−1の正のパワーを有する。同様に、第3群は、面番号27〜34で表された4枚のレンズで構成され、第3群のレンズ系の焦点距離は、約−77.1mmであり、第3群のレンズ系は、約−0.0130mm−1の負のパワーを有する。
【0098】
最終的な共役面B上での拡大像の歪の状況を図15に、解像性能を図16に示す。
【0099】
どちらも画像形成素子として対角0.6インチ、縦横比が9:16のパネルを想定した結果となっている。拡大率は約100倍である(すなわち、対角60インチ及び縦横比が9:16の像面が得られる。)。図15のようにグリッドの像を略等間隔に形成でき、歪が良好に補正されていることが分かる(なお、いわゆるTVディストーションは、約0.5%程度である)。また、図16のように評価周波数0.72c/mmに対するMTF値も75%以上と解像性能が良い。画像形成素子からの射出光のFナンバーはF2.45で、奥行き方向の厚みは540mmとなっている。
【0100】
本発明の投射光学系を投射装置に採用して画像投射装置とすることも出来る(本発明の第十二の実施形態)。
【0101】
図11のように、この投射光学系を投射装置に適用する場合は、画像形成素子への照明光源が用いられる。照明光源としては、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、LEDなどが用いられる。高効率な照明効率を得られるように通常は照明光学系を搭載する。照明光学系の具体例としては、光源1101近傍に配置されたリフレクター1102(光源と一体となっている)や、このリフレクターにより反射されて指向性を持った光束をインテグレータ光学系といわれる照度均一化手段1105で画像形成素子面上へと均一に照明分布を得られるようにした光学系を搭載してもよいし、カラーホイール1106を用いて照明光をカラー化してそれと同期して画像形成素子1107の画像をコントロールすることによりカラー画像を投射できるようにしてもよい。反射型タイプの液晶画像形成素子を用いる場合は、PBSと組み合わせた照明光路と投射光路の偏光分離手段1108を用いるなどでより効率よい照明が可能となる。また、DMDパネルを搭載する場合は、全反射プリズムを使った光路分離などが採用される。このように、ライトバルブの種類に応じて適切な光学系を採用すればよい。
【0102】
なお、前述したように、画像形成素子を、赤、緑、青等の複数枚用いてそれぞれカラーフィルターを透過した照明光を当てて、色合成手段により合成された光を投射光学系に入射させることによりスクリーン上にカラー画像を投射することが出来ることは言うまでもない。
【0103】
その際、図12のように、画像形成素子1207から投射光学系1210の第1光学系第一面までの距離は、照明光路と投射光路の偏光分離手段1208とカラー化するための色合成手段1209により、長い距離をとらなければならないが、実施例1、2は空気換算長で68.7mmあるため、上記カラー手段によりカラー画像を投射することが出来る。
【0104】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施の形態及び実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
【0105】
[付記]
付記(1):第一の画像と共役な第二の画像を形成する第一の光学系、及び、該第二の画像からの光を反射する反射光学素子を含むと共に該第二の画像と共役な第三の画像を被投射面に投射する第二の光学系を含む、投射光学系において、該第一の光学系は、絞り、並びに、該絞りと該第二の画像との間に設けられる、正の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子及び負の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子を含み、該正の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子における最も強い正の屈折力を備えた光学素子は、該絞りと該負の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子における最も強い負の屈折力を備えた光学素子との間に設けられることを特徴とする投射光学系。
【0106】
なお、"該正の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子における最も強い正の屈折力を備えた光学素子は、該絞りと該負の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子における最も強い負の屈折力を備えた光学素子との間に設けられること"は、例えば、本発明の第一の実施形態における"前記第1光学系は、共役面A側から順に正・正・負の屈折力を有するレンズ群で構成されたこと"、及び、本発明の第二の実施形態における"前記第1光学系の前記光束を透過するレンズ系は、共役面A側から順に正・正・負の屈折力を有するレンズ群で構成されたこと"、を含む。
【0107】
付記(2):前記反射光学素子は、正の屈折力を備えたミラーを含み、且つ、前記第一の光学系は、光軸を有する共軸光学系であることを特徴とする付記(1)に記載の投射光学系。
【0108】
付記(3):前記正の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子及び前記負の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子は、レンズのみで構成されることを特徴とする付記(2)に記載の投射光学系。
【0109】
付記(4):前記負の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子は、前記光軸まわりに回転対称なミラーを含むことを特徴とする付記(2)に記載の投射光学系。
【0110】
付記(5):前記正の屈折力を備えたミラーのミラー面は、該ミラー面と該光軸との交点から該ミラー面の周辺に向かって減少する曲率を備えた面であることを特徴とする付記(2)、(3)又は(4)に記載の投射光学系。
【0111】
付記(6):前記正の屈折力を備えたミラーのミラー面は、第一の方向における第一の屈折力と該第一の方向と直交する第二の方向における該第一の屈折力と異なる第二の屈折力を備えたアナモフィックな多項式自由曲面であることを特徴とする付記(2)乃至(5)のいずれかに記載の投射光学系。
【0112】
付記(7):前記正の屈折力を備えたミラーのミラー面は、回転対称な非球面であることを特徴とする付記(2)乃至(5)のいずれかに記載の投射光学系。
【0113】
付記(8):前記第一の光学系は、非球面を有する光学素子を含むことを特徴とする付記(1)乃至(7)のいずれかに記載の投射光学系。
【0114】
付記(9):前記非球面を有する光学素子は、前記正の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子における最も強い正の屈折力を備えた光学素子と前記第二の画像との間に設けられることを特徴とする付記(8)に記載の投射光学系。
【0115】
付記(10):前記非球面を有する光学素子は、正の屈折力を備えたレンズを含むことを特徴とする付記(8)又は(9)に記載の投射光学系。
【0116】
付記(11):前記第二の画像は、前記光軸に対して傾斜した且つ湾曲した画像であることを特徴とする付記(2)乃至(10)のいずれかに記載の投射光学系。
【0117】
付記(12):前記第一の光学系は、前記第一の画像に対して略テレセントリックな光学系であることを特徴とする付記(1)乃至(11)のいずれかに記載の投射光学系。
【0118】
付記(13):前記第一の光学系は、第一のレンズ及び第二のレンズ並びに該第一のレンズと該第二のレンズとの間に設けられたミラーを含むことを特徴とする付記(1)乃至(12)のいずれかに記載の投射光学系。
【0119】
付記(14):画像を被投射面に投射する画像投射装置において、付記(1)乃至(13)のいずれかに記載の投射光学系を含むことを特徴とする画像投射装置。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、投影装置などの画像投射装置の投射光学系に適用することができる。本発明は、とくに、フロントプロジェクタにおける投射光学系、リアプロジェクションにおける薄型化を達成させる投射光学系に適用することができる。
【符号の説明】
【0121】
011,021,031,041,071,081,131,141,1107,1207 画像形成素子
012,022,032,082,132,142 絞り
013,033,042,072,133 第1光学系
014,034,043,134 折り返しミラー
015,035,135 第2光学系
016,046,076,136,1110,1211 スクリーン
023,083,143 第1群
024、084,144 第2群
025,085,145 第3群
036 中間像
037 光軸
044,074 第2光学系−1
045,075 第2光学系−2(折り返しミラー)
047 筐体
073 回転対称反射ミラー
1101,1201 光源
1102,1202 リフレクター
1103,1203 リレーレンズ
1104,1204 偏光変換素子
1105,1205 照明均一化手段
1106 カラーホイール
1108,1208 偏光分離手段
1109,1210 投射光学系
1206 色分離手段
1209 色合成手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【特許文献1】特開2002−40326号公報
【特許文献2】特開2002−174853号公報
【特許文献3】特公平6−91641号公報
【特許文献4】特開2004−61959号公報
【特許文献5】特開2004−258620号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の画像と共役な第二の画像を形成する第一の光学系、及び、
該第二の画像からの光を反射する反射光学素子を含むと共に該第二の画像と共役な第三の画像を被投射面に投射する第二の光学系
を含む、投射光学系において、
該第一の光学系は、絞り、並びに、該絞りと該第二の画像との間に設けられる、正の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子及び負の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子を含み、
該正の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子における最も強い正の屈折力を備えた光学素子は、該絞りと該負の屈折力を備えた少なくとも一つの光学素子における最も強い負の屈折力を備えた光学素子との間に設けられることを特徴とする投射光学系。
【請求項2】
共役面A上にある画像情報を表示する画像形成素子から射出した複数の光束を、共役面Bに斜めから入射させて共役面B上に前記画像形成素子によって形成された画像の拡大画像を形成可能な投射光学系において、
少なくとも第1光学系と第2光学系とを有し、
第1光学系と第2光学系の間に前記複数の光束が略収束化された画像形成素子の中間像を有し、
第1光学系の屈折力を持った光学系は前記光束を透過するレンズ系のみで構成され、
第1光学系の屈折力のみで前記中間像を形成し、
第2光学系は前記中間像の直後に前記光束を反射させる正の屈折力を持った反射ミラーを含んだ反射光学系で、
前記第1光学系は、共役面A側から順に正・正・負の屈折力を有するレンズ群で構成されたことを特徴とする投射光学系。
【請求項3】
共役面A上にある画像情報を表示する画像形成素子から射出した複数の光束を、共役面Bに斜めから入射させて共役面B上に前記画像形成素子によって形成された画像の拡大画像を形成可能な投射光学系において、
少なくとも第1光学系と第2光学系とを有し、
第1光学系と第2光学系の間に前記複数の光束が略収束化された画像形成素子の中間像を有し、
第1光学系の屈折力を持った光学系は前記光束を透過するレンズ系と第1光学系の光軸に回転対称の負の屈折力を持った反射ミラーで構成され、
第1光学系の屈折力のみで前記中間像を形成し、
第2光学系は前記中間像の直後に前記光束を反射させる正の屈折力を持った反射ミラーを含んだ反射光学系で、
前記第1光学系の前記光束を透過するレンズ系は、共役面A側から順に正・正・負の屈折力を有するレンズ群で構成されたことを特徴とする投射光学系。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の投射光学系において、
第2光学系の正の屈折力を持ったミラーは、第1光学系の光軸と交わる点から周辺に向かうにしたがって曲率がゆるくなるような曲面形状を持つことを特徴とする投射光学系。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の投射光学系において、
第2光学系の正の屈折力を持ったミラーは、画像形成素子の短軸方向と長軸方向とでパワーが異なるアナモフィックな多項式自由曲面形状であることを特徴とする投射光学系。
【請求項6】
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の投射光学系において、
第2光学系の正の屈折力を持ったミラーは、回転対称な非球面形状であることを特徴とする投射光学系。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれか一項に記載の投射光学系において、
第1光学系のレンズは、少なくとも1面は非球面形状を有していることを特徴とする投射光学系。
【請求項8】
請求項7に記載の投射光学系において、
第1光学系の非球面は、第3群中に位置していることを特徴とする投射光学系。
【請求項9】
請求項8に記載の投射光学系において、
第1光学系の第3群の非球面は、少なくとも1箇所は正の屈折力を持ったレンズ上に位置していることを特徴とする投射光学系。
【請求項10】
請求項2乃至9のいずれか一項に記載の投射光学系において、
前記中間像は第1光学系の光軸に垂直な面に対して傾斜湾曲していることを特徴とする投射光学系。
【請求項11】
請求項2乃至10のいずれか一項に記載の投射光学系において、
前記画像形成素子から前記透過屈折光学系の第一面までが略テレセントリックであることを特徴とする投射光学系。
【請求項12】
請求項2乃至11のいずれか一項に記載の投射光学系において、
第1光学系のレンズの間に、反射ミラーを配置したことを特徴とする投射光学系。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の投射光学系を搭載したことを特徴とする画像投射装置。

【図11】
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【図12】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−84004(P2013−84004A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−287139(P2012−287139)
【出願日】平成24年12月28日(2012.12.28)
【分割の表示】特願2007−229441(P2007−229441)の分割
【原出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】