説明

投射型表示システム

【課題】投射型表示装置から開閉制御装置までのケーブルの設置性を向上させる。
【解決手段】左眼用の映像と右眼用の映像を交互に切り替えて物体に投射する投射型表示装置2と、該投射型表示装置2から物体に投射された映像の表示状態に応じた制御信号を受信し、左右の眼に対応した立体映像観察用眼鏡5の開閉部を制御する開閉制御装置3と、を有する。そして、投射型表示装置2と開閉制御装置3がLANケーブル4で接続されている。投射型表示装置2は、LANケーブル4を通じて開閉制御装置3に制御信号を伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば投射型表示装置を天井に吊り下げて使用し、立体映像を鑑賞するための投射型表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
使用者前面にあるスクリーンに映像を投射(投影)して使用者に三次元映像(立体映像)を認識させる投射型表示システム(プロジェクタシステム)がある。プロジェクタシステムでは、投射型表示装置(プロジェクタ装置)によりスクリーンに左眼用の映像と右眼用の映像とを所定の周期(例えばフィールド周期)で交互に切り替えて表示する。そして、この表示された映像を、左右の眼に対応する開閉部が該映像の表示状態に同期して開閉制御される液晶シャッタ眼鏡等の立体映像観察用眼鏡を通して鑑賞する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
開閉部を開閉制御するための信号(=同期信号)を立体映像観察用眼鏡に供給する方法として、一般に、プロジェクタ装置と接続したエミッタ装置(開閉制御装置)から同期信号を含む赤外線を立体映像観察用眼鏡に送信する方法が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−9299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、プロジェクタ装置からエミッタ装置への同期信号の伝送には、USB規格に準拠したUSB(Universal Serial Bus)ケーブルもしくは専用の固定長ケーブルが用いられていた。
【0006】
USBケーブルは、規格上の長さの制約があり、最大5mと短いため環境によってはプロジェクタ装置からエミッタ装置へ配線できず、同期信号を伝送できない。例えば、テレビジョン受像機(以下、「TV」という)を用いて三次元映像を鑑賞する場合、TVとエミッタ装置は近接しているのでケーブル長の問題は発生しない。一方、プロジェクタ装置の場合、使用者に対向して設けられたスクリーンに対し、該使用者側から映像を投影する。一例として、該使用者の背後の天井に吊して設置(いわゆる天吊り型)したプロジェクタ装置から、使用者の前方にあるスクリーンに映像を投影する場合を想定する。この場合、プロジェクタ装置とエミッタ装置の距離が遠くなるので、この間のケーブルは長くなる。映画館等の大きな施設であれば、プロジェクタ装置からエミッタ装置までの距離はなおのこと長くなり、長さに制約があるUSBケーブルでは対応できない。
【0007】
他方、専用の固定長ケーブルによる伝送の場合、ケーブルが固定長であるため、使用環境によってはケーブル長が余ってしまい配線が煩わしくなる或いは長さが足りなくなり伝送不可になる。さらには、プロジェクタシステムを導入する都度、導入先の環境に合わせて専用の固定長ケーブルを製作しなければならないので費用が増えてしまう。
【0008】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、投射型表示装置から開閉制御装置までのケーブルの設置性を向上させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面の投射型表示システムは、左眼用の映像と右眼用の映像を交互に切り替えて物体に投射する投射型表示装置と、該投射型表示装置から物体に投射された映像の表示状態に応じた制御信号を受信し、左右の眼に対応した立体映像観察用眼鏡の開閉部を制御する開閉制御装置と、を有する。そして、投射型表示装置と開閉制御装置がLAN(Local Area Network)ケーブルで接続されている。投射型表示装置は、LANケーブルを通じて開閉制御装置に制御信号を伝送する。
【0010】
本発明の一側面によれば、LANケーブルを用いて投射型表示装置と開閉制御装置を接続するので、USBケーブルのような長さ制約がなく長距離伝送が可能になる。かつ固定長ケーブルのような配線制約がなくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、投射型表示装置から開閉制御装置までのケーブルの設置性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプロジェクタシステムの全体構成例を示すブロック図である。
【図2】LANケーブルの一例を示す説明図である。
【図3】LANケーブル内の配線例を示す説明図である。
【図4】プロジェクタ装置からエミッタ装置に供給する同期信号の波形図である。
【図5】プロジェクタ装置の内部構成例を示すブロック図である。
【図6】プロジェクタシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるプロジェクタシステムの全体構成例を示すブロック図である。
【図8】変換ケーブルの一例を示す説明図である。
【図9】変換ケーブル内の配線例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。説明は下記の順序で行う。なお、各図において共通の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
1.第1の実施の形態(LANケーブルのみを使用した例)
2.第2の実施の形態(LANケーブルと専用ケーブル間に変換ケーブルを使用した例)
【0014】
<1.第1の実施の形態>
[プロジェクタシステムの概要]
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるプロジェクタシステム(投射型表示システム)の全体構成例を示すブロック図である。図2は、第1の実施の形態におけるプロジェクタシステムに用いられるLANケーブルの一例を示すものである。図2AはLANケーブルの一端側に設けられたLANプラグの側面図、図2BはLANケーブルの上面図、図2CはLANケーブルの他端側に設けられたLANプラグの側面図を示している。
【0015】
本実施の形態に係るプロジェクタシステム1では、プロジェクタ装置2(投射型表示装置の例)とエミッタ装置3(開閉制御装置の例)がIEEE802.3およびその拡張版の規格に沿ったLANケーブル4で接続されている。IEEE802.3及びその拡張版の規格は、イーサネット(登録商標)と呼ばれ、LANにおいて一般に使用されている技術規格である。LANケーブル4としては、同軸ケーブルや光ファイバーケーブル、ツイステッド・ペア・ケーブルが用いられる。本明細書において、イーサネットは、ファスト・イーサネット及びギガビット・イーサネットを含む総称である。
【0016】
エミッタ装置3は、赤外線LED(Light Emitting Diode)を備えており、プロジェクタ装置2からLANケーブル4を通じて供給される同期信号に基づいて、立体映像観察用眼鏡5へ向けて赤外線を送出する。
【0017】
LANケーブル4は、その両端にそれぞれLANプラグ4A(オス側コネクタ)を有している。LANケーブル4の一端のLANプラグ4Aがプロジェクタ装置2のソケット(メス側コネクタ)に、またLANケーブル4の他端のLANプラグ4Aがエミッタ装置3のソケットに装着される。イーサネットにおけるケーブルは8線式であり、この8線式に対応するため、LANプラグ4Aとしては、連邦通信委員会(FCC)のRegistered jack RJ45規格のいわゆる「RJ45」が用いられる。RJ45は、電話回線で使用されるモジュラージャックのRJ11の形状に似た8ピンプラグである。
【0018】
プロジェクタ装置2とエミッタ装置3を接続する手段としてイーサネット規格のLANケーブル4を採用したことにより、USBケーブル(5m)と比較してケーブル長(最大伝送距離)を長くとることができる。例えば、最大通信速度100Mbpsの1000BASE-T及び最大通信速度1G(1000M)bpsの1000BASE-Tでは、ケーブル長を最大で100mまでとることができる。また、1000BASE規格の他のシリーズには数百m単位、また10GBASE規格のシリーズにはkm単位で最大ケーブル長が規定されている。また、市販のイーサネット規格のLANケーブルは、複数の長さのケーブルが揃っており、プロジェクタシステムの導入環境に応じて適宜選択できる。さらに、LANケーブル4に市販品を使用できるので、専用の固定長ケーブルを使用する場合と比較して費用を抑えられる。
【0019】
図3は、LANケーブル内の配線例を示す説明図である。
LANプラグ4Aの8ピンのうち、第1ピンは橙色、第3ピンは黒色、第4ピンは茶色、第6ピンは赤色の配線と接続し、第7ピンと第8ピンはドレイン線で短絡され、第1線と第2線がジャンパ線で短絡され、また第7線と第8線がジャンパ線で短絡されている。プロジェクタ装置2側のLANプラグ4Aとエミッタ装置3側のLANプラグ4Aは、対応する番号の線が相互に接続されている。このような構造の双方のLANプラグ4Aにおいて、第1ピンと第2ピンに電源(Power)が供給され、第3ピンには検出信号(EMIT_Detect)が、第4ピンには同期信号(EMIT_Sync)が、第6ピンには強度設定信号(EMIT_Strength)が伝送される。そして、第7ピンと第8ピンはグラウンド(GND)に接続されている。
【0020】
検出信号(EMIT_Detect)は、LANケーブル4とエミッタ装置3が接続されたことをプロジェクタ装置2へ通知するためのものである。検出信号(EMIT_Detect)は、LANプラグ4Aがエミッタ装置3のソケットに挿入されていないとき(非挿入時)にハイ(H)、挿入されているとき(挿入時)にロー(L)となる。
【0021】
また、同期信号(EMIT_Sync)は、左眼用の映像と右眼用の映像との表示状態に応じて、立体映像観察用眼鏡5の左眼及び右眼のシャッタの開口時間を決めるものである。図4に同期信号(EMIT_Sync)の波形を示す。同期信号(EMIT_Sync)は、所定のデューティ比(1周期に対するパルス幅(H期間)の時間比)を持つ矩形波である。このデューティ比を変えることによりエミッタ装置3の出力が変化し、その結果、立体映像観察用眼鏡5の左眼及び右眼のシャッタの開口時間が変化する。なお、一般に、両眼のうち左眼用シャッタを開閉制御するための同期信号(EMIT_Sync)が生成され、右眼用シャッタのための同期信号は、同期信号を受信したエミッタ装置3又はエミッタ部17が、受信した該同期信号に応じて生成される。
【0022】
さらに、強度設定信号(EMIT_Strength)は、エミッタ装置3の強度(=赤外線LEDの出力信号の強度)の強弱を設定する信号である。赤外線LEDの出力信号の強度を強くするときはロー(L)方向に設定され、弱くするときはハイ(H)方向に設定される。
【0023】
[プロジェクタ装置の構成例]
図5は、プロジェクタ装置2の内部構成例を示すブロック図である。
プロジェクタ装置2は、映像信号受信部11と、第1映像信号処理部12と、第2映像信号処理部13と、映像信号調整部14と、映像表示部15と、制御部16と、エミッタ部17と、LAN端子18とを備える。
【0024】
映像信号受信部11は、3次元映像信号(以下、「3D映像信号」と称す。)を受信するものであり、例えばHDMI(High-Definition Multimedia Interface)に対応している。HDMIは、映像信号、音声信号及び制御信号を同時に伝送できるデジタル映像・音声入出力インタフェース規格である。また、圧縮されている3D映像信号を復号する処理を行う。3D映像信号は、例えばハードディスクドライブ装置、ブルーレイレコーダ(「ブルーレイ」は登録商標)、パーソナルコンピュータ、ネットワーク(ストリーミング配信)から供給される。なお、本実施の形態において、プロジェクタ装置2に供給される3D映像信号は、映像信号、音声信号及び制御信号を含むものとしている。
【0025】
第1映像信号処理部12は、映像信号受信部11から入力された3D映像信号に対し、インターレース/プログレッシブ変換や画面サイズを変換するスケーリング等の信号処理を行い、第2映像信号処理部13へ出力するものである。
【0026】
第2映像信号処理部13は、第1映像信号処理部12から入力された3D映像信号に対して立体映像処理を行い、映像信号調整部14へ出力する。また、映像信号調整部14へ出力した3D映像信号に対する同期信号(EMIT_Sync)を生成し、エミッタ部17又はLAN端子18へ出力する。立体映像処理は、一例としてフレームレート120Hz対応ながら240Hz駆動で行われる。ただし、このフレームレート及び駆動周波数の例に限るものではない。
【0027】
映像信号調整部14は、第2映像信号処理部13から入力された3D映像信号に対し、3Dガンマの調整、表示パネルガンマのLUT等の調整を行い、映像表示部15へ出力するものである。映像表示部15へ出力される3D映像信号は、例えば1920×1080(横×縦)の走査線本数を持つ。
【0028】
映像表示部15は、映像信号調整部14から供給された3D映像信号に対応する映像を出力するものであり、例えば液晶パネルが用いられる。映像表示部15は、3D映像信号に含まれる制御信号(同期信号)に基づいて駆動し、一例として240Hzで映像を駆動し、左眼用の映像と右眼用の映像を交互に切り替えて投射する。
【0029】
制御部16は、プロジェクタ装置2内の各ブロックを制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置が用いられる。制御部16は、不揮発性のメモリ16aに記録された制御プログラムを、不図示のRAM(Random Access Memory)に読み出して実行する。制御部16には、LAN端子18から検出信号(EMIT_Detect)が入力される。制御部16は、この検出信号(EMIT_Detect)に基づいてエミッタ部17とエミッタ装置3(つまり、LAN端子18)のいずれに同期信号(EMIT_Sync)を供給するかを決定する。エミッタ部17とエミッタ装置3(つまり、LAN端子18)は、表1に示すように、必ずいずれか一方のみが選択される。また、制御部16は、ユーザが操作によりプロジェクタ装置2本体に設けられた操作部(図示略)で生成される強度調節信号が入力されたとき、該強度調節信号に基づいて、エミッタ部17又はLAN端子18のいずれかに強度設定信号(EMIT_Strength)を出力する。なお、強度調節信号は、プロジェクタ装置2と接続されたレコーダ装置やコンピュータ装置(図示略)から又はネットワークを通じて、プロジェクタ装置2に入力されてもよい。
【0030】
【表1】

【0031】
エミッタ部17は、赤外線LEDを備えており、第2映像信号処理部13から供給される同期信号(EMIT_Sync)に基づいて、立体映像観察用眼鏡5へ向けて赤外線を送出するものである。
【0032】
LAN端子18は、ソケット(メス側コネクタ)に設けられた端子である。LAN端子18は、例えばLANプラグ4Aと同様にイーサネットに対応して8ピンを有し、LANプラグ4Aの対応する各端子と接続する。
【0033】
[プロジェクタシステムの動作例]
次に、図6のフローチャートを参照して、プロジェクタシステム1の動作を説明する。
まず、プロジェクタ装置2の制御部16は、LAN端子18から入力される検出信号(EMIT_Detect)を受信する。そして、その検出信号に基づいて、LANケーブル4を通じて、プロジェクタ装置2とエミッタ装置3が接続されているか判定し(ステップS1)、判定結果をRAM又はメモリ16aに記憶しておく。
【0034】
次に、プロジェクタ装置2の映像信号受信部11に3D映像信号が入力された場合、第1映像信号処理部12及び第2映像信号処理部13により3D映像信号に対し、所定の信号処理を行い(ステップS2)、映像信号調整部14へ送る。映像信号調整部14で所定の調整が行われた後、映像表示部15から3D映像信号に対応する映像が出力される。同時に、第2映像信号処理部13において、3D映像信号に対応する同期信号(EMIT_Sync)が生成される(ステップS3)。
【0035】
制御部16は、ステップS1における判定結果を取得し、該判定結果がプロジェクタ装置2とエミッタ装置3が接続されているという内容かどうかを判定する(ステップS4)。プロジェクタ装置2とエミッタ装置3が接続されている場合、制御部16は、第2映像信号処理部13に対し、LAN端子18へ同期信号(EMIT_Sync)を送信するよう制御する。また、制御部16は、強度設定信号(EMIT_Strength)をLAN端子18に送信する(ステップS5)。
【0036】
LAN端子18に送られた同期信号(EMIT_Sync)及び強度設定信号(EMIT_Strength)は、LANケーブル4を通じてエミッタ装置3へ伝送される。エミッタ装置3は、伝送された同期信号(EMIT_Sync)及び強度設定信号(EMIT_Strength)に基づいて、立体映像観察用眼鏡5に対して赤外線を送出する。すなわち、同期信号に基づいて立体映像観察用眼鏡5の左右の眼に対応する開閉部(シャッタ)の開閉を制御するとともに、当該赤外線の出力強度を調整する(ステップS6)。
【0037】
一方、ステップS4においてプロジェクタ装置2とエミッタ装置3が接続されていない場合、第2映像信号処理部13は、同期信号(EMIT_Sync)をエミッタ部17へ出力する。また、制御部16は、強度設定信号(EMIT_Strength)をエミッタ部17へ出力する(ステップS7)。
【0038】
エミッタ部17は、第2映像信号処理部13より入力された同期信号(EMIT_Sync)及び制御部16より入力された強度設定信号(EMIT_Strength)に基づいて、立体映像観察用眼鏡5に対して赤外線を送出する。すなわち、同期信号に基づいて立体映像観察用眼鏡5の左右の眼に対応する開閉部(シャッタ)の開閉を制御するとともに、当該赤外線の出力強度を調整する(ステップS8)。
【0039】
上述した第1の実施の形態によれば、LANケーブルを用いてプロジェクタ装置とエミッタ装置を接続し、エミッタ装置へ同期信号を伝送するので、USBケーブルのような長さ制約がなく長距離伝送が可能になる。かつ固定長ケーブルのような配線制約がない。それゆえ、プロジェクタシステムの設置性が向上し、よりより視聴環境を実現できる。例えば、ユーザが最も理想とする長さのケーブルを使用してプロジェクタ装置とエミッタ装置を接続できるようになり、設置性が向上する。
【0040】
また、第1の実施の形態によれば、プロジェクタ装置(本体)内蔵型と外付け型の2つのエミッタ手段を適宜切り替えられるので、プロジェクタシステムを使用する上での自由度が増す。つまり、プロジェクタ装置からスクリーンに向けて赤外線を投射して立体映像観察用眼鏡がその反射光を受信する形態(内蔵型)、及びエミッタ装置をユーザ前方に設置し立体映像観察用眼鏡に向けて直接赤外線を投射する形態(外付け型)の両方の形態に対応可能である。このような、プロジェクタ装置(本体)内蔵型と外付け型の2つのエミッタ手段を併用したプロジェクタシステムはこれまで存在していない。
【0041】
なお、USBケーブルは4線式であり、USBプラグも4ピンである。したがって、USBケーブルだけを用いた従来のプロジェクタシステムでは、LANケーブルを用いた第1の実施の形態のように、検出信号(EMIT_Detect)、同期信号(EMIT_Sync)及び強度設定信号(EMIT_Strength)の3つの信号を伝送することはできない。例えば、USBケーブルだけを用いた従来のプロジェクタシステムでは、強度設定信号(EMIT_Strength)を伝送していない。本実施の形態では、強度設定信号(EMIT_Strength)をプロジェクタ装置からエミッタ装置に供給し、立体映像観察用眼鏡に送出する赤外線の出力強度を適切に調整することができる。
【0042】
<2.第2の実施の形態>
第2の実施の形態は、プロジェクタ装置とエミッタ装置との間をLANケーブル、専用ケーブル及び変換ケーブル(中継ケーブル)を用いて接続した例である。
【0043】
図7は、本発明の第2の実施の形態におけるプロジェクタシステムの全体構成例を示すブロック図である。図8は、第2の実施の形態におけるプロジェクタシステムに用いられる変換ケーブルの一例を示すものである。図8Aは変換ケーブルの一端側に設けられたLANプラグの側面図、図8Bは変換ケーブルの上面図、図8Cは専用ケーブルの他端側に設けられた専用プラグの側面図を示している。図7及び図8において、図1に対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0044】
プロジェクタシステム1Aでは、プロジェクタ装置2とエミッタ装置3との間を、LANケーブル4、変換ケーブル22、そして専用ケーブル21と繋いで接続する。LANケーブル4は、プロジェクタ装置2側にLANプラグ4A、変換ケーブル22側にLANソケット4B(メス側コネクタ)を有している。専用ケーブル21は、プロジェクタシステム1Aのプロジェクタ装置2とエミッタ装置3を接続するための固定長のケーブルである。
【0045】
専用ケーブル21は、エミッタ装置3側に専用プラグ21A、変換ケーブル22側に専用ソケット21B(オス側コネクタ)を有している。エミッタ装置3は専用ソケット(専用端末)(メス側コネクタ)を備え、専用プラグ21Aが装着される。専用ケーブル21の接続に用いられる専用プラグ及び後述の専用ソケットは一例として4端子(4ピン)である。
【0046】
変換ケーブル22は、LANケーブル4側にLANプラグ4Aを有し、専用ケーブル21側に専用プラグ21A(メス側コネクタ)を有し、その内部でLAN規格の信号と専用ケーブル用の独自規格の信号を変換する。変換ケーブル22のLANプラグ4AをLANソケット4Bに挿入し、専用プラグ21Aを専用ソケット21Bに挿入することで、変換ケーブル22を介してLANケーブル4と専用ケーブル21が中継され、プロジェクタ装置2とエミッタ装置3が接続される。なお、図8に示した変換ケーブル22のLANプラグ4Aと専用プラグ21Aは、樹脂製の保護カバーが装着された例としてある。
【0047】
図9は、変換ケーブル内の配線例を示す説明図である。
専用ケーブル21の専用プラグ21Aは、4ピンプラグである。変換ケーブル22のLANプラグ4Aの第1,第2ピンと専用プラグ21Aの第1ピンが橙色の配線で接続され、電源(Power)が供給される。また、LANプラグ4Aの第3ピンと専用プラグ21Aの第2ピンが黒色の配線で接続され、検出信号(EMIT_Detect)が伝送される。また、LANプラグ4Aの第4ピンと専用プラグ21Aの第3ピンが茶色の配線で接続され、同期信号(EMIT_Sync)が伝送される。また、LANプラグ4Aの第6ピンと専用プラグ21Aの第4ピンが赤色の配線で接続され、強度設定信号(EMIT_Strength)が伝送される。そして、LANプラグ4Aの第7,8ピンと専用プラグ21Aのシェルが接続され、各装置のグラウンド(GND)に接続される。
【0048】
上述した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用、効果を奏する。第2の実施の形態に特有の作用、効果としては以下のようなものがある。第2の実施の形態では、変換ケーブルを利用することにより、既存の専用端子(専用ソケット)を備えたエミッタ装置を、LAN端子を備えたプロジェクタ装置と接続できる。ここでは、プロジェクタ装置と変換ケーブルとの間にLANケーブルを用いているので、専用ケーブルだけを用いたときのような長さ制約がなく、かつ固定長ケーブルのような配線制約がない。それゆえ、プロジェクタシステムの設置性が向上し、よりよい視聴環境を実現できる。
【0049】
なお、上述した実施の形態では、プロジェクタ装置2がLAN端子を、エミッタ装置3が専用端子を有していたが、この逆の形態にも適用できることは勿論である。
【0050】
以上、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、応用例を取り得ることは勿論である。
【0051】
なお、上述した一実施の形態例における一連の処理は、ハードウェアにより実行することができるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種の機能を実行するためのプログラムをインストールしたコンピュータにより、実行可能である。例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに所望のソフトウェアを構成するプログラムをインストールして実行させればよい。
【0052】
また、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給してもよい。また、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPU等の制御装置)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、機能が実現されることは言うまでもない。
【0053】
この場合のプログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0054】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現される。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部又は全部を行う。その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0055】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくともよい。例えば、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【符号の説明】
【0056】
1,1A…プロジェクタシステム、 2…プロジェクタ装置、 3…エミッタ装置、 4…LANケーブル、 4A…LANプラグ、4A…LANソケット、 5…立体映像観察用眼鏡、 13…第2映像信号処理部、 15…映像表示部、 16…制御部、 17…エミッタ部、 18…LAN端子、 21…専用ケーブル、 22…変換ケーブル、 21A…専用プラグ、 21B…専用ソケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左眼用の映像と右眼用の映像を交互に切り替えて物体に投射する投射型表示装置と、
前記投射型表示装置から前記物体に投射された映像の表示状態に応じた制御信号を受信し、左右の眼に対応した立体映像観察用眼鏡の開閉部を制御する開閉制御装置と、を有し、
前記投射型表示装置と前記開閉制御装置がLANケーブルで接続されている
投射型表示システム。
【請求項2】
前記投射型表示装置は、前記LANケーブルを通じて前記開閉制御装置に前記制御信号を伝送する
請求項1に記載の投射型表示システム。
【請求項3】
前記投射型表示装置は、
該投射型表示装置に内蔵された内蔵型開閉制御装置と、前記LANケーブルの先に前記開閉制御装置が接続されているか否かを判定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記LANケーブルの先に前記開閉制御装置が接続されている場合は、当該開閉制御装置へ前記制御信号を伝送すべく制御し、前記LANケーブルの先に前記開閉制御装置が接続されていない場合は、該投射型表示装置に内蔵された内蔵型開閉制御装置へ前記制御信号を供給すべく制御する
請求項2に記載の投射型表示システム。
【請求項4】
前記投射型表示装置は、使用者の背後から前方に向かって映像を投射する
請求項3に記載の投射型表示システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記開閉制御装置又は前記内蔵型開閉制御装置に制御信号を供給するとともに、前記開閉制御装置又は前記内蔵型開閉制御装置が前記立体映像観察用眼鏡へ出力する赤外線の出力の強度を調整するための強度設定信号を供給する
請求項4に記載の投射型表示システム。
【請求項6】
前記投射型表示装置と前記開閉制御装置のいずれか一方がLAN規格に準拠し、他方が独自規格に準拠し、前記投射型表示装置と前記開閉制御装置の間がLANケーブル、専用ケーブル、そして、該LANケーブルと該専用ケーブルを中継する中継ケーブルで接続されている
請求項1乃至5のいずれかに記載の投射型表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−114517(P2012−114517A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259464(P2010−259464)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】