説明

投影システム、リモコン、プロジェクタ、投影システムの操作方法およびプログラム

【課題】投影画像の画像補正を手動で行う場合に直感的な操作が可能な投影システム、リモコン、プロジェクタ、投影システムの操作方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】スクリーンSC上に投影画像Gを投影するプロジェクタ10と、プロジェクタ10を遠隔操作するリモコン40と、から成る投影システムSYであって、リモコン40は、リモコン装置本体40aの動きに伴う変位量を検出し、当該変位量に基づいて、キーストーン歪補正を行うための補正値を算出する。プロジェクタ10は、リモコン40から補正値を受信して、投影画像Gに対しキーストーン歪補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スクリーン上に投影画像を投影するプロジェクタと、当該プロジェクタを遠隔操作するリモコンと、から成る投影システム、リモコン、プロジェクタ、投影システムの操作方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加速度センサ等を用いて、スクリーンに対するプロジェクタの仰角変化(俯角変化)を検出し、その検出結果に基づいてキーストーン歪補正(台形歪補正)を自動実行するプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1)。一方、当該キーストーン歪補正を手動で行う方法としては、専用のOSD(On Screen Display)をスクリーン上に表示させ、装置本体に搭載された操作パネルやリモコンの上下左右キーを操作して歪補正する箇所や補正量を指定する方法が知られている。キーストーン歪補正の自動実行機能を搭載したプロジェクタでも、台形画像を完全な正長方形の画像に補正することは困難であるため、画像形状を微調整するための手動設定機能は不可欠である。
【特許文献1】特開2001−339671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、手動でキーストーン歪補正を行う場合は、上記のように上下左右キーの操作によって台形形状を長方形に補正するため、どのキーを押せばどのように補正されるのかの関連性が発想しづらい。また、この種のプロジェクタは、各キーを押下した時間の長さに応じて補正量が変化するようになっているが、この関係も初心者にとっては分かりづらい。このように、キーストーン歪補正を手動で行う場合の従来の操作方法は、直感的な操作ができず、ユーザがストレスを感じることがあった。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑み、手動で投影画像の画像補正を行う場合に直感的な操作が可能な投影システム、リモコン、プロジェクタ、投影システムの操作方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の投影システムは、スクリーン上に投影画像を投影するプロジェクタと、プロジェクタを遠隔操作するリモコンと、から成る投影システムであって、リモコン本体の動きに伴う変位量を検出する変位量検出手段と、変位量検出手段により検出された変位量に基づいて、所定の画像補正を行うための補正値を算出する補正値算出手段と、補正値算出手段により算出された補正値に基づいて、投影画像に対し所定の画像補正を行う画像補正手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明の投影システムの操作方法は、スクリーン上に投影画像を投影するプロジェクタと、プロジェクタを遠隔操作するリモコンと、から成る投影システムの操作方法であって、リモコンが、自身の動きに伴う変位量を検出し、当該変位量に基づいて、所定の画像補正を行うための補正値を算出するステップと、プロジェクタが、リモコンから補正値を取得し、当該補正値に基づいて、投影画像に対し所定の画像補正を行うステップと、を実行することを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、リモコン本体の動きに伴う変位量に基づいて所定の画像補正を行うため、上下左右キー等で操作を行う場合と比較して、直感的な操作が可能となる。
なお、「リモコン本体の動き(自身の動き)」とは、リモコン本体の移動(位置変化)および回転(傾き)を指すものである。また、上記の投射システムにおいて、「補正値算出手段」は、プロジェクタおよびリモコンのいずれが実現しても良い。
【0008】
上記に記載の投影システムにおいて、変位量検出手段は、リモコン本体の傾きに伴う角度変位量を検出することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、リモコン本体の回転(傾き)に伴う角度変位量に基づいて、画像補正を行うことができる。
【0010】
上記に記載の投影システムにおいて、所定の画像補正は、キーストーン歪補正であり、補正値算出手段は、スクリーンの幅方向に相当するX軸方向の角度変位量に基づいて、縦キーストーン歪補正値を算出し、スクリーンの高さ方向に相当するZ軸方向の角度変位量に基づいて、横キーストーン歪補正値を算出することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、2方向の軸(X軸およびZ軸)を中心とした角度変位量に基づき、容易な操作で、縦方向および横方向のキーストーン歪補正値を行うことができる。
なお、「X軸方向の角度変位量」とは、X軸を中心とした回転軸を基準軸とした場合の回転座標の変化量を指すものである。「Z軸方向の角度変位量」についても、同様である。
【0012】
なお、上記に記載の投影システムにおいて、補正値算出手段は、リモコンの把持部に対して先端部がスクリーンの上方向に傾けられたことに伴うX軸方向の角度変位量に基づいて、プラスの縦キーストーン歪補正値を算出すると共に、リモコンの把持部に対して先端部がスクリーンの下方向に傾けられたことに伴うX軸方向の角度変位量に基づいて、マイナスの縦キーストーン歪補正値を算出し、画像補正手段は、プラスの縦キーストーン歪補正値に基づいて投影画像の上辺が下辺よりも大きくなるように縦キーストーン歪補正を行い、マイナスの縦キーストーン歪補正値に基づいて投影画像の下辺が上辺よりも大きくなるように縦キーストーン歪補正を行うようにしても良い。
【0013】
この構成によれば、リモコンの先端部を上方向に傾けることで、投影画像の上辺が下辺よりも大きくなるような縦キーストーン歪補正を実現でき、リモコンの先端部を下方向に傾けることで、逆の縦キーストーン歪補正を実現できる。このように、直感的な操作が可能であるため、取り扱い説明書等を参照しなくとも、また初心者であっても、容易に縦キーストーン歪補正を行うことができる。
【0014】
また、上記に記載の投影システムにおいて、補正値算出手段は、リモコンの把持部に対して先端部がスクリーンに向かって右方向に回転されたことに伴うZ軸方向の角度変位量に基づいて、プラスの横キーストーン歪補正値を算出すると共に、リモコンの把持部に対して先端部がスクリーンに向かって左方向に回転されたことに伴うZ軸方向の角度変位量に基づいて、マイナスの横キーストーン歪補正値を算出し、画像補正手段は、プラスの横キーストーン歪補正値に基づいて投影画像の右辺が左辺よりも大きくなるように横キーストーン歪補正を行い、マイナスの横キーストーン歪補正値に基づいて投影画像の左辺が右辺よりも大きくなるように横キーストーン歪補正を行うようにしても良い。
【0015】
この構成によれば、リモコンの先端部を右方向に回転させることで、投影画像の右辺が左辺よりも大きくなるような横キーストーン歪補正を実現でき、リモコンの先端部を左方向に回転させることで、逆の横キーストーン歪補正を実現できる。このように、直感的な操作が可能であるため、取り扱い説明書等を参照しなくとも、また初心者であっても、容易に横キーストーン歪補正を行うことができる。
【0016】
上記に記載の投影システムにおいて、所定の画像補正は、投影画像の一部または全体を拡大/縮小する画像補正であり、補正値算出手段は、スクリーンへの奥行き方向に相当するY軸方向の位置変位量に基づいて、拡大/縮小率を示す補正値を算出することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、リモコン本体をスクリーンへの奥行き方向に移動させることで、投影画像の一部または全体を拡大/縮小する画像補正を行うことができる。
なお、より直感的な操作を実現できるように、リモコン本体をスクリーンに近づけることで、投影画像の一部または全体が拡大し、逆に遠ざけることで縮小することが好ましい。
【0018】
上記に記載の投影システムにおいて、所定の画像補正は、スクリーン上における投影画像の位置を移動する画像補正であり、補正値算出手段は、スクリーンの幅方向に相当するX軸方向、およびスクリーンの高さ方向に相当するZ軸方向の位置変位量に基づいて、移動方向および移動量を示す補正値を算出することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、リモコン本体をスクリーン面に沿った2方向(幅方向および高さ方向)に移動させることで、スクリーン上における投影画像の位置を変更することができる。
なお、より直感的な操作を実現できるように、リモコン本体の移動方向と、ユーザから見た投影画像の移動方向とを一致させることが好ましい。
【0020】
上記に記載の投影システムにおいて、リモコンは、所定の画像補正を手動操作するための専用キーを備えており、変位量検出手段は、専用キーが押下されている間、変位量を検出することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、専用キーが押下されている間、画像補正を行うため、ユーザが無意識にリモコン本体を動かしてしまったことにより、意図せず画像補正が行われてしまうといった操作ミスを無くすことができる。また、画像補正を一時的に中断したい場合は専用キーの押下を止めればよいため、微妙な画像補正を実現できる。
【0022】
上記に記載の投影システムにおいて、補正値算出手段は、変位量検出手段により所定値を超える変位量が検出された場合に、補正値を算出することが好ましい。
【0023】
リモコン本体の動きで操作を行う場合、手ぶれ等により、ユーザの意思に反してリモコン本体を動かしてしまうことが考えられるが、この構成によれば、所定値の設定によって手ぶれの影響を排除することができ、ひいては操作ミスを軽減できる。
【0024】
上記に記載の投影システムにおいて、変位量検出手段により検出を行う時間間隔および所定値の少なくとも一方を、手動設定するための手動設定手段をさらに備えたことが好ましい。
【0025】
この構成によれば、ユーザの好みや使用環境に応じて、検出を行う時間間隔や変位量の検出を無効とする所定値を設定することができる。
【0026】
上記に記載の投影システムにおいて、変位量検出手段による検出結果から、手ぶれ状態を学習する学習手段をさらに備え、変位量検出手段により検出を行う時間間隔および所定値の少なくとも一方は、学習手段による学習結果に基づいて自動設定されることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、手ぶれ状態を学習するため、例えば手ぶれの多いユーザの場合は、検出を行う時間間隔を長くしたり所定値を高くしたりなど、操作するユーザや使用環境によって適切な設定を行うことができる。
【0028】
本発明のリモコンは、上記に記載の投影システムに用いられ、少なくとも変位量検出手段を備えたことを特徴とする。
【0029】
本発明のプロジェクタは、上記に記載の投影システムに用いられ、少なくとも画像補正手段を備えたことを特徴とする。
【0030】
本発明のプログラムは、コンピュータを、上記に記載の投影システムにおける各手段として機能させるためのものであることを特徴とする。
【0031】
これらを用いることにより、手動で投影画像の画像補正を行う場合に直感的な操作が可能な投影システムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係る投影システム、リモコン、プロジェクタ、投影システムの操作方法およびプログラムについて説明する。図1は、投影システムSYの簡易構成図である。同図に示すように、投影システムSYは、投射光を照射することによってスクリーンSC上に投影画像Gを投影するプロジェクタ10と、当該プロジェクタ10を遠隔操作するリモコン40と、から成る。
【0033】
プロジェクタ10は、装置本体(筺体)10aの後部上面に操作パネル34が搭載されていると共に、後部背面にリモコン40とデータの送受信を行うための送受信部35が設けられている。操作パネル34は、各種操作を行うための操作キー群20と、プロジェクタ10の状態を示すインジケータ群30と、を有している。
【0034】
操作キー群20には、電源キー、表示する映像信号を切り替えるための映像切り替えキー、自動でキーストーン歪補正を行うためのセットアップキー、手動で(上下左右の矢印キーの操作で)キーストーン歪補正を行うための手動キーストーンキー、トラブル対象方法をOSD表示させるためのヘルプキー、環境設定メニューをOSD表示させるためのメニューキーなどが含まれる。また、インジケータ群30は、複数のインジケータから成り、各インジケータの点灯または点滅により、動作状態(スタンバイ状態、ウォームアップ中など)やエラー内容(ランプ異常、内部温度異常など)を表示する。
【0035】
一方、リモコン40は、装置本体40aの先端部(前部)40fに、プロジェクタ10とデータの送受信を行うための送受信部54が設けられていると共に、装置本体40aの上面には、各種操作を行うための操作キー群20が搭載されている。また、リモコン40は、装置本体40aの動きを6軸センサ44(図2参照)によってセンシングし、その動きに伴う角度変位量または位置変位量に基づいて、投影画像Gの画像補正を手動操作できるようになっている。
【0036】
操作キー群20には、上記のプロジェクタ10側に搭載されるキー以外に、手動で画像補正を行うための専用キー45が含まれる。また、その他、映像と音声を一時的に消去/解除するためのA/Vミュートキー、投影中の映像をポインタで指し示すためのポインタキー、音量を調節するための音量キーなどが含まれる。
【0037】
専用キー45は、その押下によって角度変位量または位置変位量の検出を指示するためのものである。詳細については後述するが、リモコン40は、この専用キー45が押下され続けている間、変位量の検出および当該変位量に基づく画像補正値の算出を行う。算出した画像補正値は、送受信部54,35を介してプロジェクタ10に送信され、プロジェクタ10において画像補正が行われる。
【0038】
なお、本実施形態の投影システムSYは、画像補正として、投影画像Gの拡大/縮小や位置移動などを行い得るが、以下の説明では主にキーストーン歪補正を行う場合について言及する。また、当該キーストーン歪補正は、リモコン装置本体40aの、把持部(後部)40bに対する先端部40fの回転(傾き)に伴って検出される角度変位量に基づいて、補正値が算出されるものとする。
【0039】
次に、図2および図3を参照し、リモコン40およびプロジェクタ10の制御構成について説明する。図2は、リモコン40の制御ブロック図である。リモコン40は、主な制御構成として、操作キー群50と、キー検出部42と、記憶部43と、6軸センサ44と、制御部51と、変位量演算部52と、補正値算出部53と、送受信部54と、を有している。なお、請求項における「変位量検出手段」は、6軸センサ44、制御部51および変位量演算部52により実現される。また、請求項における「補正値算出手段」は、制御部51および補正値算出部53により実現される。
【0040】
操作キー群50は、上記のとおり、ユーザが各種操作を行うためのものであり、キーストーン歪補正を手動で行う際に押下される専用キー45を有している。キー検出部42は、操作キー群50に含まれる任意のキーの押下の有無および押下時間を検出し、その検出信号を制御部51に出力する。
【0041】
記憶部43は、設定値記憶部46および6軸情報記憶部47を有し、書き換え可能なメモリにより実現される。設定値記憶部46は、プロジェクタ10に設定されている設定値(キーストーン歪補正値)を記憶するためのものである。設定値は、プロジェクタ10またはリモコン40の電源投入時に、送受信部54,35を介して取得される。また、6軸情報記憶部47は、6軸センサ44の出力値である6軸情報を記憶するためのものである。6軸情報記憶部47は、専用キー45が押下され続けている間、規定時間毎に得られる6軸情報を随時上書きしながら記憶する。
【0042】
6軸センサ44は、加速度センサ48と、ジャイロセンサ49と、から成るワンチップセンサであり、3次元軸(X,Y,Z軸)と、各軸を中心とした回転軸の座標を検出可能となっている。
【0043】
制御部51は、リモコン40内の各構成要素を統括制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)等により構成される。変位量演算部52は、6軸情報記憶部47に記憶される6軸情報の変化(差分)に基づいて、リモコン装置本体40aの角度変位量や位置変位量を算出(検出)する。
【0044】
補正値算出部53は、変位量演算部52により算出された角度変位量に基づいて、キーストーン歪補正値を算出する。具体的には、プロジェクタ10またはリモコン40の電源投入後、初回の補正値算出時において、設定値記憶部46に記憶されている設定値(キーストーン歪補正値)と、変位量演算部52により算出された角度変位量と、に基づいて最初のキーストーン歪補正値を算出する。その後は、前回算出したキーストーン歪補正値と、変位量演算部52により算出された角度変位量の変化(差分)と、に基づいて新たなキーストーン歪補正値を算出する。なお、補正値算出部53は、変位量演算部52により算出された角度変位量が所定値(予め設定された無効変位量)を超えた場合のみ補正値を算出し、所定量以下の場合は補正値を算出しない。この所定量の設定により、リモコン40の操作に伴う手ぶれの影響を排除することができる。
【0045】
送受信部54は、プロジェクタ10から設定値(キーストーン歪補正値)を受信すると共に、プロジェクタ10に対し補正値算出部53により算出されたキーストーン歪補正値を送信する。なお、送受信部54は、プロジェクタ10の送受信部35と、無線通信を介してデータ送受信を行うことが好ましい。また、無線通信技術としては、ブルートゥースを用いることが好ましい。ブルートゥースを用いることで、赤外線を利用した場合と比較して、障害物の影響を軽減できると共に省電力且つコストダウンを図ることができる。
【0046】
次に、図3の制御ブロック図を参照し、プロジェクタ10の制御構成について説明する。同図に示すように、プロジェクタ10は、スクリーンSCに対して投射光を照射する光学系(照射手段)として、照明光学系27と、液晶ライトバルブ28と、投射光学系29と、を有している。また、プロジェクタ10は、これらの光学系に関わる構成要素として、光源ランプ駆動部21と、液晶ライトバルブ駆動部22と、投射光学系調整部23と、投射光学系検出部24と、を有している。
【0047】
さらに、プロジェクタ10は、その他の構成要素として、加速度センサ25と、記憶部26と、制御部31と、画像処理部32と、信号入力部33と、操作パネル34と、送受信部35と、を有している。なお、請求項における「画像補正手段」は、投射光学系調整部23、制御部31および画像処理部32により実現される。
【0048】
光源ランプ駆動部21は、照明光学系27に含まれる光源ランプを駆動する。光源ランプとしては、放電発光型のものであっても自己発光素子(発光ダイオードなど)であっても良い。液晶ライトバルブ駆動部22は、画像処理部32により処理された画像データに基づいて、画像形成素子である液晶ライトバルブ28を駆動する。
【0049】
投射光学系調整部23は、モータを有しており、投射光学系29に含まれる投射レンズの位置を調整する。当該投射レンズは、筒状の鏡筒内に、ズームレンズやフォーカスレンズなど複数のレンズが収容された組レンズとして構成される。
【0050】
具体的に、投射光学系調整部23は、投射レンズを、光源光軸LA(照明光学系27から射出される光の中心軸)に直交する方向に移動させることによって、投射光学系29のシフト位置を調整する。また、投射光学系調整部23は、投射レンズに含まれるズームレンズを、これを支持するズームリングの回転によって、光源光軸LAに平行な方向に移動させることにより、投射光学系29のズーム位置を調整する。さらに、投射光学系調整部23は、投射レンズに含まれるフォーカスレンズを、これを支持するフォーカスリングの回転によって、光源光軸LAに直交する方向に移動させる(複数のレンズの相対位置を変更させる)ことにより、投射光学系29のフォーカス位置を調整する。なお、投射光学系調整部23による調整は、制御部31による自動制御の他、操作パネル34やリモコン40を用いた手動操作によっても実現可能となっている。
【0051】
投射光学系検出部24は、投射光学系29のシフト位置、ズーム位置およびフォーカス位置を検出する。これらの検出結果は、投射光学系調整部23による調整のために用いられる。また、投射光学系検出部24としては、ロータリーエンコーダや可変抵抗器など、周知の位置検出手段を適用可能である。
【0052】
加速度センサ25は、プロジェクタ装置本体10aの位置変化量を検出する。具体的には、装置本体10aの複数箇所に搭載され、各加速度センサ25から出力される計測値に基づいて、装置本体10aの前後方向、上下方向および左右方向における移動量、水平方向における回転量、並びに仰角の変化量を検出する。当該加速度センサ25の検出結果は、後述する画像処理部32において、自動でキーストーン歪補正を行う場合に用いられる。なお、加速度センサ25としては、圧電体型、半導体ひずみゲージ型、サーボ型のいずれを用いても良い。
【0053】
記憶部26は、リモコン40から送信されたキーストーン歪補正値、および投射光学系検出部24の検出結果を記憶する。また、記憶部26は、電源切断前のキーストーン歪補正値を保持しておくことで、制御部31により電源投入後に読み出し可能となっている。すなわち、記憶部26は、書き換え可能であって且つ不揮発性であることが前提である。
【0054】
制御部31は、プロジェクタ10内の各構成要素を統括制御するものであり、CPU等により構成される。画像処理部32は、画像処理プログラムに基づいて所定の画像補正を行うものであり、キーストーン歪補正部37を有している。キーストーン歪補正部37は、リモコン40から送信されたキーストーン歪補正値(手動の場合)または加速度センサ25の検出結果(自動の場合)に基づいて、プロジェクタ10の水平方向における回転や仰角変化に伴う画像の歪みを補正する。例えば、プロジェクタ10があおり投射を行なう場合、液晶ライトバルブ28に歪のない画像が形成されると、スクリーンSC上の投影画像Gが略台形状に歪んでしまう。そこで、液晶ライトバルブ28に略台形状に歪んだ画像(スクリーンSC上に投影される投影画像Gの逆画像)を形成すれば、スクリーンSC上に歪のない画像(正しいアスペクト比を有する長方形画像)を投影させることができる。すなわち、キーストーン歪補正部37は、この補正済みの画像データを生成する処理を行う。
【0055】
信号入力部33は、パーソナルコンピュータやビデオレコーダ等の外部機器61から画像データや制御信号を取得する。この場合、信号入力部33は、パーソナルコンピュータから出力されたRGB信号やビデオレコーダから出力されたコンポジット信号を受信するインターフェースにより構成される。また、信号入力部33は、メモリカードなどの外部記憶媒体(図示省略)から画像データ等を取得することも可能である。この場合、信号入力部33は、画像データを読み出すメモリカードスロットにより構成される。
【0056】
操作パネル34は、上記のとおり、ユーザが各種操作を行うための操作キー群20と、プロジェクタ10の状態を示すインジケータ群30と、を有している(図1参照)。また、送受信部54は、リモコン40からキーストーン歪補正値を受信すると共に、リモコン40に対して設定値(リモコン40によるキーストーン歪補正操作前に、予め設定されているキーストーン歪補正値)を送信するものであり、無線技術の一つであるブルートゥースを用いて送受信を行うことが好ましい。
【0057】
次に、図4および図5を参照し、手動でキーストーン歪補正を行う場合の操作方法について説明する。図4に示すように、ここでは、スクリーンSCの幅方向(左右方向)をX軸方向、スクリーンSCの高さ方向(上下方向)をZ軸方向、リモコン40からスクリーンSCに対しての奥行き方向(前後方向)をY軸方向とする。
【0058】
例えば、ユーザがリモコン後部の把持部40bを把持し、さらに専用キー45を押下した状態で、先端部40fを上方向に傾けると、プロジェクタ10は、投影画像Gの上辺が下辺よりも大きくなる(長くなる)ように縦キーストーン歪補正を行う(図5の投影画像G0→投影画像G1参照)。この場合、リモコン40は、先端部40fが上方向に傾けられたことに伴うX軸方向の角度変位量に基づいて、プラスの縦キーストーン歪補正値を算出し、これをプロジェクタ10に送信する。プロジェクタ10は、当該プラスの縦キーストーン歪補正値に基づいて、上記のような画像補正を行う。なお、「X軸方向の角度変位量」とは、X軸を中心とした回転軸を基準軸とした場合の回転座標の変化量を指すものである。
【0059】
同様に、ユーザがリモコン後部の把持部40bを把持し、さらに専用キー45を押下した状態で、先端部40fを下方向に傾けると、プロジェクタ10は、投影画像Gの下辺が上辺よりも大きくなるように縦キーストーン歪補正を行う(図5の投影画像G0→投影画像G2参照)。この場合、リモコン40は、先端部40fが下方向に傾けられたことに伴うX軸方向の角度変位量に基づいて、マイナスの縦キーストーン歪補正値を算出し、これをプロジェクタ10に送信する。なお、縦キーストーン歪補正値のプラス/マイナスは、入れ替わっても良く、結果的にリモコン40の傾き方向と投影画像Gの大きくなる辺とが一致すれば良い。
【0060】
また、上辺または下辺が、他辺に対して大きくなる(または小さくなる)割合は、X軸方向の角度変位量に比例する。したがって、リモコン40を床面に対して水平方向から10度下方向に傾けた場合よりも、水平方向から20度下方向に傾けた場合の方が、投影画像Gの上辺に対する下辺の長さの割合が大きくなる。なお、操作開始角度は、補正値に影響しない。つまり、リモコン40を床面に対して水平方向から10度下方向に傾けた場合と、リモコン40を床面に対して垂直方向から10度下方向に傾けた場合とでは、同一の補正値が算出されることとなる。なお、辺の長さが変化する割合は、角度変位量に比例するのではなく、所定の計算式に基づいて算出されるようにしても良い。
【0061】
一方、図4に示すように、ユーザがリモコン後部の把持部40bを把持し、さらに専用キー45を押下した状態で、先端部40fを右方向に回転させると、プロジェクタ10は、投影画像Gの右辺が左辺よりも大きくなる(長くなる)ように横キーストーン歪補正を行う(図5の投影画像G0→投影画像G3参照)。この場合、リモコン40は、先端部40fが右方向に回転されたことに伴うZ軸方向の角度変位量に基づいて、プラスの横キーストーン歪補正値を算出し、これをプロジェクタ10に送信する。プロジェクタ10は、当該プラスの横キーストーン歪補正値に基づいて、上記のような画像補正を行う。なお、「Z軸方向の角度変位量」とは、Z軸を中心とした回転軸を基準軸とした場合の回転座標の変化量を指すものである。
【0062】
同様に、ユーザがリモコン後部の把持部40bを把持し、さらに専用キー45を押下した状態で、先端部40fを左方向に回転させると、プロジェクタ10は、投影画像Gの左辺が右辺よりも大きくなるように横キーストーン歪補正を行う(図5の投影画像G0→投影画像G4参照)。この場合、リモコン40は、先端部40fが左方向に回転されたことに伴うZ軸方向の角度変位量に基づいて、マイナスの横キーストーン歪補正値を算出し、これをプロジェクタ10に送信する。なお、横キーストーン歪補正の場合も、横キーストーン歪補正値のプラス/マイナスが入れ替わっても良く、結果的にリモコン40の回転方向と投影画像Gの大きくなる辺とが一致すれば良い。
【0063】
また、縦キーストーン歪補正の場合と同様に、右辺または左辺が、他辺に対して大きくなる(または小さくなる)割合は、Z軸方向の角度変位量に基づく。また、操作開始位置は、補正値に影響しない。つまり、リモコン40の先端部40fをスクリーンSCに対して正面に向けた位置から10度左方向に回転させた場合と、リモコン40の長手方向をスクリーンSCに対して平行に向けた位置からスクリーンSCに向かって10度左方向に回転させた場合とでは、同一の補正値が算出されることとなる。
【0064】
次に、図6のフローチャートを参照し、手動でキーストーン歪補正を行う場合のリモコン40の処理(キーストーン補正値送信処理)について説明する。なお、フローチャートの主体は、全ての工程においてリモコン40(制御部51)であり、重複説明を避けるため、適宜主語を省略する。
【0065】
リモコン40は、専用キー45が押下されると(S01)、当該専用キー45が押下されたときの6軸情報を6軸情報記憶部47(図2参照)内の領域Aに保存する(S02)。ここで、専用キー45が押下中であるか(押下し続けられているか)否かを判別し(S03)、押下中でない場合は(S03:No)、処理を終了する。
【0066】
一方、押下中である場合は(S03:Yes)、現在の6軸情報(現在の6軸センサ44の出力値)を6軸情報記憶部47内の領域B(領域A以外の領域)に保存する(S04)。そして、S02において保存した領域A内の6軸情報と、S04において保存した領域B内の6軸情報との差分に基づいて、X軸方向の角度変位量を検出する(S05)。ここで、検出した角度変位量が予め設定された無効変位量を超えるか否かを判別し(S06)、無効変位量を超える場合は(S06:Yes)、縦キーストーン補正値を算出する(S07)。また、無効変位量を超えない場合は(S06:No)、縦キーストーン補正値の算出を省略する(この場合、プロジェクタ10における縦キーストーン補正は実行されない)。
【0067】
続いて、S02において保存した領域A内の6軸情報と、S04において保存した領域B内の6軸情報との差分に基づいて、Z軸方向の角度変位量を検出する(S08)。ここで、検出した角度変位量が予め設定された無効変位量(S06における無効変異量と同一の値であっても異なる値であっても良い)を超えるか否かを判別し(S09)、無効変位量を超える場合は(S09:Yes)、横キーストーン補正値を算出する(S10)。また、無効変位量を超えない場合は(S09:No)、横キーストーン補正値の算出を省略する(この場合、プロジェクタ10における横キーストーン補正は実行されない)。
【0068】
縦キーストーン補正値および横キーストーン補正値の少なくとも一方を算出した場合は、縦・横キーストーン補正値をプロジェクタ10に送信する(S11)。なお、フローチャート上には示していないが、縦キーストーン補正値および横キーストーン補正値の両方を算出しなかった場合は、S11を省略する。また、縦・横キーストーン補正値の算出の有無に関わらず、6軸情報記憶部47の領域Bの6軸情報を領域Aに上書きする(S12)。その後、規定時間(角度変位量の検出時間間隔に相当)の経過を待って(S13)、S03以降を繰り返す。
【0069】
以上説明したとおり、本実施形態の投影システムSYによれば、リモコン装置本体40aの動きに伴う変位量に基づいて所定の画像補正を行うため、上下左右キー等で操作を行う場合と比較して、直感的な操作が可能となる。特に、操作が分かりづらいキーストーン歪補正については、リモコン40の先端部を向けた方向と大きくなる辺(上下左右のいずれかの辺)とが一致するため、取り扱い説明書等を参照しなくとも、また初心者であっても、容易に操作することができる。
【0070】
なお、上記の実施形態では、リモコン40がプロジェクタ10から設定値を取得するのは、リモコン40またはプロジェクタ10の電源投入時であるものとしたが、ユーザによる設定値取得を指令する操作(操作キー群50または操作パネル34の操作)をトリガとして設定値を取得しても良いし、定期的に取得しても良い。
【0071】
また、上記の実施形態では、リモコン40側でキーストーン歪補正値を算出するものとしたが、プロジェクタ10側で算出するようにしても良い。つまり、リモコン40内に設けられていた補正値算出部53(図2参照)をプロジェクタ10側に移動しても良い。この場合、リモコン40は、変位量演算部52による演算値(角度変位量)をプロジェクタ10に送信する。一方、プロジェクタ10は、当該演算値を取得し、補正値算出部で補正値を算出してキーストーン歪補正を行う。なお、この構成においては、リモコン40がプロジェクタ10から設定値を取得する必要はない。また、演算値が無効変位量を超えているか否か(補正値を算出するか否か)の判別も、プロジェクタ10側で行う。
【0072】
また、上記の実施形態では、リモコン40内に6軸センサ44を備えるものとしたが、上記のとおり、リモコン装置本体40aの動きにより、画像補正としてキーストーン歪補正のみを行う場合は、角速度を検出するジャイロセンサ49のみ搭載すれば十分である。すなわち、加速度センサ48を省略した構成としても良い。
【0073】
また、上記の実施形態では、画像補正として、キーストーン歪補正を行う場合について主に言及したが、その他の画像補正についても、リモコン装置本体40aの動きによって操作可能である。例えば、投影画像Gの全体を拡大/縮小する画像補正(光学電動テレワイド)を、リモコン装置本体40aの動きによって操作できるようにしても良い。この場合、Y軸方向の位置変位量に基づいて、拡大/縮小率を示す補正値を算出することが好ましい。この構成によれば、リモコン装置本体40aをスクリーンSCへの奥行き方向に移動させることで、投影画像Gの全体を拡大/縮小する画像補正を行うことができる。なお、より直感的な操作を実現できるように、リモコン装置本体40aをスクリーンSCに近づけることで、投影画像Gが拡大し、逆に遠ざけることで縮小することが好ましい。また、当該操作方法は、投影画像Gの一部を拡大/縮小する画像補正(E−Zoom)にも適用可能である。
【0074】
また、スクリーンSC上における投影画像Gの位置を移動する画像補正(光学電動レンズシフト)を、リモコン装置本体40aの動きによって操作できるようにしても良い。この場合、スクリーンSCの幅方向に相当するX軸方向、およびスクリーンSCの高さ方向に相当するZ軸方向の位置変位量に基づいて、移動方向および移動量を示す補正値を算出することが好ましい。この構成によれば、リモコン装置本体40aをスクリーンSC面に沿った2方向(幅方向および高さ方向)に移動させることで、スクリーンSC上における投影画像Gの位置を変更することができる。なお、より直感的な操作を実現できるように、リモコン装置本体40aの移動方向と、ユーザから見た投影画像Gの移動方向とを一致させることが好ましい。
【0075】
なお、これらの画像補正(投影画像Gの拡大/縮小および位置移動)が行われた場合、プロジェクタ10側では、主に投射光学系調整部23(図3参照)による調整によって画像補正が行われることとなる。
【0076】
また、これらの各画像補正機能について、基準軸と無効変位量とをユーザが手動で設定できるようにしても良い(手動設定手段)。図7は、そのOSD設定画面の一例を示す図である。同図に示すように、例えばユーザ設定画面において、画像補正機能(「縦キーストーン歪補正」、「横キーストーン歪補正」、「光学電動テレワイド」、「光学電動レンズシフト(上下)、「光学電動レンズシフト(左右)、「E−Zoom」」毎に設けられたドロップダウンリスト81,82で、基準軸および無効変位量を設定可能としても良い。基準軸については、各ドロップダウンリスト81において、「X軸」、「Y軸」、「Z軸」、「X軸を中心とした回転軸」、「Y軸を中心とした回転軸」、「Z軸を中心とした回転軸」の6つの選択肢の中から選択可能である。また、無効変位量については、ドロップダウンリスト81において、直線軸(「X軸」、「Y軸」、「Z軸」のいずれか)が選択された場合は、ミリ単位で、また回転軸(「X軸を中心とした回転軸」、「Y軸を中心とした回転軸」、「Z軸を中心とした回転軸」のいずれか)が選択された場合は、回転角度単位で設定可能である。
【0077】
なお、無効変位量については、画像補正機能毎ではなく、直線軸と回転軸とに分けてそれぞれ一律に設定可能としても良い。また、無効変位量だけではなく、変位量を検出する時間間隔(図6のフローチャートにおけるS13の規定時間に相当)を設定できるようにしても良い。この場合、秒単位で設定可能としても良いし、感度(「高い」、「普通」、「低い」)で設定可能としても良い。
【0078】
また、プロジェクタ10またはリモコン40内に、変位量の検出結果から、手ぶれ状態を学習する学習手段をさらに備え、「無効変位量」および「変位量を検出する時間間隔」の少なくとも一方を自動設定するようにしても良い。この構成によれば、例えば手ぶれの多いユーザの場合は、検出を行う時間間隔を長くしたり無効変位量を高くしたりするなど、操作するユーザや使用環境によって適切な設定を行うことができる。なお、プロジェクタ10側で、上記のユーザ設定または自動設定が行われた場合であって、リモコン40側で補正値を算出する場合は、プロジェクタ10またはリモコン40の電源投入時等に、ユーザ設定または自動設定の設定値を、画像補正の設定値と共にリモコン40に送信することが好ましい。
【0079】
また、リモコン装置本体40aの動きによって操作可能な画像補正機能が複数存在する場合、機能の指定は、画像補正機能毎に設けられた機能キーを用いることが好ましい。この場合、キーストーン歪補正に対応した機能キーが押下された後、専用キー45が押下された場合、キーストーン歪補正値を算出し、光学電動テレワイドに対応した機能キーが押下された後、専用キー45が押下された場合、テレワイド補正値を算出する、といった操作となる。この構成によれば、専用キー45を共通化できるため、最も操作し易い位置に専用キー45を配置することが可能となる。なお、機能キーと専用キー45とを別途設けるのではなく、画像補正機能毎に専用キー45を設けても良い。この構成によれば、機能キーと専用キー45とを別途設けた場合よりも、キーの押下回数およびキーの配置数を削減できる。
【0080】
また、各画像補正機能について、専用キー45を押下しながら操作を行うものとしたが、専用キー45を押下し続けるのではなく、操作開始時と操作終了時のみ、専用キー45を押下するようにしても良い。この場合は、操作終了を指示するキー操作があるまで、変位量の検出および補正値の算出を続けることとなる。なお、操作開始を指示するキーと操作終了を指示するキーは、共通のキーを用いても良いし、異なる2個のキーを用いても良い。
【0081】
また、上記の画像補正機能だけでなく、その他の画像補正機能(画像調整機能)に本発明を適用しても良い。すなわち、画質、輝度(明るさ)、各色の濃度、色合い、コントラスト、シャープネス、絶対色温度、アスペクト比、トラッキング等の調整を、リモコン装置本体40aの動きによって操作可能としても良い。
【0082】
なお、上記の実施形態に示したプロジェクタ10およびリモコン40の各構成要素をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピュータを、プロジェクタ10およびリモコン40の各手段として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれる。
【0083】
また、上記の実施形態のプロジェクタ10は、液晶表示方式を採用しているが、CRT表示方式やライトスイッチ表示方式(マイクロミラーデバイス方式)など、表示原理は問わない。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態に係る投影システムの簡易構成図である。
【図2】リモコンの制御ブロック図である。
【図3】プロジェクタの制御ブロック図である。
【図4】手動でキーストーン歪補正を行う場合の操作方法を示す図である。
【図5】リモコンの操作方向と投影画像の変化との関係を示す図である。
【図6】手動でキーストーン歪補正を行う場合のリモコンの処理を示すフローチャートである。
【図7】各画像補正機能について、基準軸と無効変位量とをユーザが手動設定するための設定画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
10…プロジェクタ 10a…プロジェクタ装置本体 20…操作キー群 23…投射光学系調整部 30…インジケータ群 32…画像処理部 35…送受信部(プロジェクタ側) 37…キーストーン歪補正部 40…リモコン 40a…リモコン装置本体 40f…先端部 40b…把持部 44…6軸センサ 45…専用キー 50…操作キー群 52…変位量演算部 53…補正値算出部 54…送受信部(リモコン側) G…投影画像 SC…スクリーン SY…投影システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン上に投影画像を投影するプロジェクタと、
前記プロジェクタを遠隔操作するリモコンと、から成る投影システムであって、
前記リモコン本体の動きに伴う変位量を検出する変位量検出手段と、
前記変位量検出手段により検出された変位量に基づいて、所定の画像補正を行うための補正値を算出する補正値算出手段と、
前記補正値算出手段により算出された補正値に基づいて、前記投影画像に対し前記所定の画像補正を行う画像補正手段と、を備えたことを特徴とする投影システム。
【請求項2】
前記変位量検出手段は、前記リモコン本体の傾きに伴う角度変位量を検出することを特徴とする請求項1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記所定の画像補正は、キーストーン歪補正であり、
前記補正値算出手段は、前記スクリーンの幅方向に相当するX軸方向の角度変位量に基づいて、縦キーストーン歪補正値を算出し、前記スクリーンの高さ方向に相当するZ軸方向の角度変位量に基づいて、横キーストーン歪補正値を算出することを特徴とする請求項2に記載の投影システム。
【請求項4】
前記所定の画像補正は、前記投影画像の一部または全体を拡大/縮小する画像補正であり、
前記補正値算出手段は、前記スクリーンへの奥行き方向に相当するY軸方向の位置変位量に基づいて、拡大/縮小率を示す補正値を算出することを特徴とする請求項1に記載の投影システム。
【請求項5】
前記所定の画像補正は、前記スクリーン上における前記投影画像の位置を移動する画像補正であり、
前記補正値算出手段は、前記スクリーンの幅方向に相当するX軸方向、および前記スクリーンの高さ方向に相当するZ軸方向の位置変位量に基づいて、移動方向および移動量を示す補正値を算出することを特徴とする請求項1に記載の投影システム。
【請求項6】
前記リモコンは、前記所定の画像補正を手動操作するための専用キーを備えており、
前記変位量検出手段は、前記専用キーが押下されている間、前記変位量を検出することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の投影システム。
【請求項7】
前記補正値算出手段は、前記変位量検出手段により所定値を超える変位量が検出された場合に、前記補正値を算出することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の投影システム。
【請求項8】
前記変位量検出手段により検出を行う時間間隔および前記所定値の少なくとも一方を、手動設定するための手動設定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載の投影システム。
【請求項9】
前記変位量検出手段による検出結果から、手ぶれ状態を学習する学習手段をさらに備え、
前記変位量検出手段により検出を行う時間間隔および前記所定値の少なくとも一方は、前記学習手段による学習結果に基づいて自動設定されることを特徴とする請求項8に記載の投影システム。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の投影システムに用いられ、少なくとも前記変位量検出手段を備えたことを特徴とするリモコン。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の投影システムに用いられ、少なくとも前記画像補正手段を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項12】
スクリーン上に投影画像を投影するプロジェクタと、
前記プロジェクタを遠隔操作するリモコンと、から成る投影システムの操作方法であって、
前記リモコンが、自身の動きに伴う変位量を検出し、当該変位量に基づいて、所定の画像補正を行うための補正値を算出するステップと、
前記プロジェクタが、前記リモコンから前記補正値を取得し、当該補正値に基づいて、前記投影画像に対し前記所定の画像補正を行うステップと、を実行することを特徴とする投影システムの操作方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の投影システムにおける各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−182435(P2009−182435A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17923(P2008−17923)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】