説明

投影システム、投影装置及びプログラム

【課題】電子辞書の使用環境を拡大し、より多くのユーザ間で知識を共有する。
【解決手段】画像信号を入力する入力部21と、入力した画像信号に対応する光像を形成して投影する投影系(22〜27)と、外部接続された電子辞書から送られてくる見出し語情報を受信するUSB・I/F32と、ネットワークを介して、文字情報を含むレコードを蓄積したデータベース(DB)サーバと接続し、USB・I/F32で受信した見出し語をネットワークを介してDBサーバに送信し、応答としてDBサーバから送られてくるレコードを受信するLAN・I/F33と、USB・I/F32で電子辞書から受信した見出し語情報とLAN・I/F33でDBサーバから受信したレコードに基づいた画像を形成し、投影系(22〜27)で投影させる投影画像処理部22及びCPU28とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子辞書の使用環境を拡大するのに好適な投影システム、投影装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、数10〜100以上の各種辞書データを記憶し、必要により任意の辞書データを検索可能な電子辞書が広く一般に普及している。
【0003】
この種の電子辞書において、辞書データをユーザの好みに合わせて出力・印刷することができる電子辞書及び電子辞書サーバを提供するべく、語句の検索結果に対してユーザが出力・印刷希望部分を選択し、選択した部分以外のスペースについて字詰め表示を行なうようにした技術が考えられている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−219895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に記載された技術を含めて電子辞書では、容量が限られている表示部でより多くの情報を表示するための工夫がなされると共に、表示部自体が大型化、カラー化、そしてタッチパネル化されて、表現力の向上が図られている。
【0006】
電子辞書は基本的にスタンドアローンでの使用を前提としたものであり、記憶している辞書データ以外の情報を得ることはできない。この点は、例えばその電子辞書の機種に対応して用意されているオプションの辞書データを追加して記憶させることである程度は対処できるものの、オプションの辞書データは大変高価である。また、携帯用の機器として表示部の大きさには限界があるため、多くの情報や大きな画像を一度に表示することができないという不具合がある。
【0007】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、電子辞書の使用環境を拡大し、より多くのユーザ間で知識を共有することが可能な投影システム、投影装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、検索したい見出し語情報を入力する見出し語入力手段、見出し語情報と関連付けた辞書情報を複数記憶した辞書情報記憶手段、上記見出し語入力手段で入力した見出し語情報に基づいて上記辞書情報記憶手段を検索し、該見出し語情報と関連付けられた辞書情報を読出す検索手段、上記検索手段より読出される辞書情報を出力する出力手段、及び上記見出し語入力手段で入力した見出し語情報を少なくとも外部機器に送信する送信手段を備えた電子辞書と、文字情報を含むレコードを蓄積したデータベースサーバと、画像信号を入力する画像入力手段、上記画像入力手段で入力した画像信号に対応する光像を形成して投影する投影手段、上記電子辞書の送信手段から送られてくる見出し語情報を受信する受信手段、ネットワークを介して上記データベースと接続するネットワーク接続手段、上記受信手段で受信した見出し語を上記ネットワーク接続手段を介して上記データベースサーバに送信し、当該送信に応答して上記データベースサーバから送られてくるレコードを受信する通信制御手段、及び、上記受信手段で上記電子辞書から受信した見出し語情報と上記通信制御手段で上記データベースサーバから受信したレコードに基づいた画像を形成し、上記投影手段で投影させる投影制御手段を備えた投影装置とを有したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記電子辞書の送信手段は、見出し語情報及び上記検索手段で得た辞書情報を送信し、上記投影装置の受信手段は、上記電子辞書の送信手段から送られてくる見出し語情報及び辞書情報を受信し、上記投影装置の投影制御手段は、上記受信手段で上記電子辞書から受信した情報と上記通信制御手段で上記データベースサーバから受信したレコードに基づいて形成する画像中、電子辞書からの情報の範囲とデータベースサーバからのレコードの範囲を可変設定可能とすることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、画像信号を入力する画像入力手段と、上記画像入力手段で入力した画像信号に対応する光像を形成して投影する投影手段と、外部の電子辞書から送られてくる見出し語情報を受信する受信手段と、外部に敷設されたネットワークを介して、文字情報を含むレコードを蓄積したデータベースと接続するネットワーク接続手段と、上記受信手段で受信した見出し語を上記ネットワーク接続手段を介して上記データベースサーバに送信し、当該送信に応答して上記データベースサーバから送られてくるレコードを受信する通信制御手段と、上記受信手段で上記電子辞書から受信した見出し語情報と上記通信制御手段で上記データベースサーバから受信したレコードに基づいた画像を形成し、上記投影手段で投影させる投影制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、画像信号を入力する画像入力部、上記画像入力部で入力した画像信号に対応する光像を形成して投影する投影部、外部の電子辞書から送られてくる見出し語情報を受信する受信部、及び外部に敷設されたネットワークを介して、文字情報を含むレコードを蓄積したデータベースと接続するネットワーク接続部を備えた投影装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、上記コンピュータを、上記受信部で受信した見出し語を上記ネットワーク接続部を介して上記データベースサーバに送信し、当該送信に応答して上記データベースサーバから送られてくるレコードを受信する通信制御手段、及び上記受信部で上記電子辞書から受信した見出し語情報と上記通信制御部で上記データベースサーバから受信したレコードに基づいた画像を形成し、上記投影部で投影させる投影制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子辞書の使用環境を拡大し、より多くのユーザ間で知識を共有することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る投影システム全体の構成を示す斜視図。
【図2】同実施形態に係る電子手帳の回路構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態に係るデータプロジェクタの回路構成を示すブロック図。
【図4】同実施形態に係る電子手帳及びデータプロジェクタ双方の処理内容を示すフローチャート。
【図5】同実施形態に係る電子手帳の表示部での表示例を示す図。
【図6】同実施形態に係るデータプロジェクタ装置によるスクリーンでの投影例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る投影システム全体の構成を示す図である。同図中、電子辞書1がデータプロジェクタ2とUSBケーブルUCで接続される。
【0016】
電子辞書1では、見出し語の入力及びその入力した見出し語に対する検索結果としての辞書情報の表示が行なわれる。
【0017】
上記データプロジェクタ2は、スクリーンSCを投影対象として、電子辞書1から得られる辞書情報を含む画像を投影する。このデータプロジェクタ2に対して、LANケーブルLC、構内LAN(Local Area Network)で構成するネットワークNを介して、データベースサーバ3が接続される。
【0018】
このデータベースサーバ3は、一般的にクライアントサーバシステムにおけるデータベースエンジンである。すなわちデータベースサーバ3は、ネットワークNに接続される、上記データプロジェクタ2を含むクライアント端末からの文字情報によるリクエストに応えて、データベースファイルを構成する、多数蓄積しているレコードから文字情報が対応するものを検索、抽出し、抽出したレコードの情報を当該クライアント端末に対して返送する。
【0019】
次に図2により上記電子辞書1の電子回路の機能構成を説明する。
この電子辞書1は、記憶媒体に記録されたプログラムにより動作が制御されるコンピュータにより構成されるもので、CPU11を備える。
【0020】
CPU11は、システムバスSB1を介して、フラッシュメモリで構成されるプログラムメモリ12に予め記憶された装置制御プログラムに応じて、DRAMで構成されるメインメモリ13を作業領域として回路各部の動作を制御する。
【0021】
上記プログラムメモリ12に記憶された装置制御プログラムは、キー入力部14からのユーザ操作に応じた入力信号に応じて起動される。
【0022】
上記CPU11には、上記システムバスSB1を介して、上記プログラムメモリ12、メインメモリ13、キー入力部14の他に、表示駆動部15、タブレット制御部16、及びUSBインターフェイス17が接続される。
【0023】
プログラムメモリ12が記憶する装置制御プログラムとしては、辞書データベース(DB)12aと各種処理プログラム12bがある。
【0024】
各種処理プログラム12bは、当該電子辞書1の全体の動作を司るシステムプログラムや、USBインターフェイス17を介してパーソナルコンピュータやデータプロジェクタ2等の外部機器とデータ通信するための通信プログラム(USBドライバ)等を含む。
【0025】
辞書データベース12aは、複数種類の辞書コンテンツ12a1,12a2,…と、上記各辞書コンテンツ12a1,12a2,…の名称を表示するための辞書名情報12aNとを有する。
【0026】
辞書コンテンツ12a1,12a2,…としては、例えば「国語辞典」「英和辞典」「英語類語辞典」「和英辞典」「百科事典」など、種類の異なる辞書データが予め、あるいはダウンロードされて複数記憶される。
【0027】
各辞書コンテンツ12b1,12b2,…は、それぞれの言語等に応じた所定の順番で配列された見出し語Wと、各見出し語Wに対応付けられた当該見出し語の訳語・意味内容・例文(用例)などを説明するための辞書情報Dを有する
辞書名情報12aNは、上記辞書コンテンツ12a1,12a2,…それぞれと全辞書コンテンツとを表す操作ボタン用の簡略表示データであり、例えば「国語」「英和」「英語類語」「和英」「百科」「全辞書」など所定の矩形領域に簡略化した文字列を配置した構成をとる。
【0028】
各種処理プログラム12bは、選択された辞書コンテンツでの検索文字列の入力に応じた見出し語検索処理と、指定の見出し語に対応した各種説明情報の読出し表示処理、また検索対象として選択された辞書コンテンツで入力した検索文字列を切替先の辞書コンテンツでの検索文字列として適切に引継いで入力する処理など、上記辞書データベース12aに基づく検索処理全般を制御するためのプログラムである。
【0029】
上記キー入力部14は、文字キー、数字キー、記号キー、各種機能キー等を備える。各種機能キーには、表示ポインタの位置を上下左右に移動させるためのカーソルキーや、入力した見出し語に対する訳、検索を実行させるための「訳/決定」キーなどを含む。
【0030】
表示駆動部15は、CPU11から与えられる表示データ及びバックライト制御信号に基づいて表示部18を駆動する。表示部18は、バックライトを備えた半透過型のカラー液晶表示パネルで構成される。
【0031】
この表示部18上には、透明電極層を形成したタブレット入力部19が一体にして設けられる。このタブレット入力部19に、ここでは図示しないスタライスペン等で筆記操作がなされると、その操作信号をタブレット制御部16がサンプリングして時系列の2次元座標データに変換し、変換したデータをCPU11へ送出する。
【0032】
上記USBインターフェイス17は、上述したようにパーソナルコンピュータ等の外部機器をUSBケーブルUCを介して接続することで、例えば当該パーソナルコンピュータがインターネット利用環境にあれば、該インターネット経由で各種プログラムをダウンロードして、プログラムメモリ12が記憶する各種処理プログラム12bのバージョンアップや辞書コンテンツ12a1,12a2,…の追加等に対応する。
【0033】
またこのUSBインターフェイス17を介して、上記図1で示した如くデータプロジェクタ2とUSBケーブルUCにより接続することで、入力した見出し語情報と、それに基づいて検索した結果得られた辞書情報とを合わせてデータプロジェクタ2に出力する。
【0034】
次に、図3により上記データプロジェクタ2の回路構成を説明する。
図3は、DLP(Digital Light Processing)(登録商標)方式を採用したデータプロジェクタ2が備える電子回路の機能構成を示すブロック図である。
【0035】
図中、21は入力部である。この入力部21は、例えばビデオ入力端子、RGB入力端子、及びHDMI(High−Definition Multimedia Interface)規格の画像/音声入力端子を有し、有線接続された外部機器からの画像信号及び音声信号を入力する。
【0036】
入力部21から入力された各種規格の画像信号は、システムバスSB2を介し、投影画像処理部22に入力される。
【0037】
投影画像処理部22は、入力される画像信号を投影に適した所定のフォーマットの画像信号に統一し、内蔵する表示用のバッファメモリに適宜書込んだ後に、書込んだ画像信号に応じて、上記所定のフォーマットに従ったフレームレート、例えば60[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により表示素子23に原色画像を表示させる。
【0038】
この表示素子23は、マイクロミラー素子で構成する。当該マイクロミラー素子は、アレイ状に配列された複数、例えばXGA(横1024画素×縦768画素)個の微小ミラーの各傾斜角度を個々に高速でオン/オフ動作して表示動作することで、その反射光により光像を形成する。
【0039】
一方で、光源部24から時分割でR,G,Bの原色光が循環的に出射される。この光源部24からの原色光が、ミラー25で全反射して上記表示素子23に照射される。
【0040】
そして、表示素子23での反射光で光像が形成され、形成された光像が投影レンズユニット26を介して、投影対象となる上記図1のスクリーンSCに投影される。
【0041】
上記光源部24は、赤色(R)光、青色(G)光、及び青色(B)光を発する3色の半導体発光素子、例えばLED(発光ダイオード)とそれらの光学系を備え、光源駆動部27の駆動に基づいてR,G,Bの各原色光を時分割で循環的に発生する。
【0042】
ここで光源駆動部27は、上記投影画像処理部22から与えられる画像信号に同期したタイミング信号と、後述するCPU28の制御に応じて光源部24を駆動して発光させる。
【0043】
上記各回路の動作すべてをCPU28が制御する。このCPU28は、メインメモリ29及びプログラムメモリ30と接続される。上記メインメモリ29は、DRAMで構成され、このCPU28のワークメモリとして機能する。
【0044】
上記プログラムメモリ30は、電気的書換可能な不揮発性メモリ、例えばフラッシュメモリで構成され、CPU28が実行する動作プログラムや、後述するUSB接続のためのUSBドライバ及びLAN接続のためのLANドライバ等の各ドライバプログラム、その他、各種定型データ等を記憶する。
【0045】
CPU28は、プログラムメモリ30に記憶されている動作プログラムやデータ等を読出し、メインメモリ29に展開して記憶させた上で、当該プログラムを実行することにより、このデータプロジェクタ2を統括して制御する。
【0046】
CPU28は、操作部31からのキー操作信号に応じて各種投影動作を実行する。
この操作部31は、データプロジェクタ2の本体に設けられるキー操作部と、このデータプロジェクタ2専用の図示しないリモートコントローラからの赤外光を受光するレーザ受光部とを含む。
【0047】
ここでは図示しないが、上記本体のキー操作部、及びリモートコントローラの具体的なキー構成としては、例えば電源キー、フォーカス操作キー、ズーム操作キー、自動台形補正キー、カーソルキー、決定キー、投影画像中のポインタの表示/消灯キー等を備えるものとする。
【0048】
操作部31は、ユーザが本体のキー操作部またはリモートコントローラで操作したキーに基づくキー操作信号をCPU28へ出力する。
【0049】
上記CPU28はさらに、上記システムバスSB2を介してUSBインターフェイス(I/F)32、LANインターフェイス(I/F)33、音声駆動部34とも接続される。
【0050】
USBインターフェイス32は、例えばパーソナルコンピュータ等の外部機器をUSBケーブルUCを介して接続することで、例えば当該パーソナルコンピュータがインターネット利用環境にあれば、該インターネット経由で各種プログラムをダウンロードして、プログラムメモリ30が記憶する各種動作プログラムのバージョンアップ等に対応する。
【0051】
またこのUSBインターフェイス32を介して、上記図1で示した如く電子辞書1とUSBケーブルUCにより接続することで、USBインターフェイス32は電子辞書1から送られてくる見出し語情報及び辞書情報を受信してCPU28へ送出する。
【0052】
LANインターフェイス33は、例えばイーサネット(登録商標)の1000BASE−T/TX規格に基づいてこのデータプロジェクタ2とLANケーブルLCで接続される外部機器とのインターフェイスを行なうものである。
【0053】
本実施形態では、上記図1で示したようにLANインターフェイス33によりLANケーブルLCを介してネットワークN、データベースサーバ3と接続することで、データベースサーバ3に蓄積されているレコードを読出してこのデータプロジェクタ2で利用できる。
【0054】
上記音声駆動部34は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声信号をアナログ化し、スピーカ部35を駆動して放音させ、あるいは必要によりビープ音等を発生させる。
なお、データベースサーバ3の構成については、一般的な周知の物である物として、その図示及び説明を省略する。
【0055】
次に上記実施形態の動作について説明する。
ここでは、上記図1に示したように電子辞書1とデータベースサーバ3とをデータプロジェクタ2に接続したシステム構成を実現した状態での動作について説明する。
【0056】
図4は、データプロジェクタ2と電子辞書1相互の処理内容を示すフローチャートである。電子辞書1での処理については、CPU11がプログラムメモリ12に記憶されている各種処理プログラム12bを読出してメインメモリ13を用いて実行する。同様に、データプロジェクタ2での処理については、CPU28がプログラムメモリ30に記憶されている動作プログラムを読出してメインメモリ29を用いて実行する。
【0057】
電子辞書1において、CPU11はまずUSBインターフェイス17での接続状態によりUSBケーブルUCを介して外部機器としてのデータプロジェクタが接続されているか否かを、例えばホストコントローラとしてEHCI(Enhanced Host Controller Interface)(登録商標)規格に則った機種属性ID情報が用いられているか否かにより判断する(ステップS301)。
【0058】
ここでデータプロジェクタが接続されていないと判断した場合には、電子辞書1単体での通常の辞書検索動作を行なうが、本実施形態ではその説明を省略する。
【0059】
また、上記ステップS301でデータプロジェクタが接続されていると判断すると、CPU11は次いで辞書検索動作において、キー入力部14により見出し語に対する辞書情報の検索を実行するための「訳/実行」キーが操作されるのを待機する(ステップS302)。
【0060】
そして、キー入力部14で「訳/実行」キーが操作されると上記ステップS301でそれを判断し、入力された見出し語に基づいてプログラムメモリ12の辞書データベース12aを検索し、検索結果としての辞書情報を表示部18で表示させる(ステップS303)。
【0061】
この際、予めプログラムメモリ12の辞書データベース12aに記憶されている辞書コンテンツ12a1,12a2,…のうちのいずれかが選択されている場合にはその選択された辞書コンテンツ内で、また選択されていない場合には全辞書コンテンツを対象として検索を行なう。
【0062】
図5は、「英和」辞書の辞書コンテンツにより見出し語「horse」を入力して検索を実行した結果、表示部18で表示される辞書情報の例を示す。同図に示すように、「名詞」の「horse」には、「1.馬、ウマ科の動物」「2.騎兵、騎兵隊」「3.脚のある物かけ、脚立」「4.鞍馬」等、4つを超える意味があることが継続マークCT1により表示されている。
【0063】
このように、この電子辞書1内においても、入力した見出し語に対して表示部18の表示容量を超える辞書データが記憶されていることが理解できる。
【0064】
したがって、通常電子辞書1を単体で使用する場合には、上記継続マークCT1に従ってキー入力部14の下方向のカーソルキーを操作するか、あるいはキー入力部14に表示される文字のサイズを切換えるためのキーがあれば一時的に文字サイズを小さくすることで、より多くの辞書データを一度に表示部18に表示させるなどして、表示させていない範囲の辞書情報を表示させる必要がある。
【0065】
上記のように表示部18での表示を実行させると共にCPU11は、見出し語情報と検索結果としての辞書情報とを取り纏めて所定のデータフォーマットでデータパケット化し、ホストであるデータプロジェクタ2からの指示により、USBインターフェイス17よりUSBケーブルUCで接続されているデータプロジェクタ2へ送信した後(ステップS304)、再び上記ステップS302からの処理に戻り、次の見出し語の入力に備える。
【0066】
一方のデータプロジェクタ2では、処理当初にUSBインターフェイス32によりUSBケーブルUCを介して電子辞書1が接続されているか否かを、例えばUSBホストコントローラのEHCI(登録商標)規格に則った機種属性ID情報が用いられているか否かにより判断する(ステップS101)。
【0067】
ここで電子辞書が接続されていないと判断した場合には、入力部21に入力される画像信号に基づいた通常の投影動作を実行するが、本実施形態ではその動作の説明を省略する。
【0068】
また、上記ステップS101で電子辞書1が接続されていると判断すると、次いで電子辞書1から文字情報によるデータ受信があるのを待機する(ステップS102)。
【0069】
そして、電子辞書1から文字情報によるデータの受信があると、上記ステップS102でそれを判断し、受信した文字情報中の先頭に位置する、見出し語情報部分の文字データを用いて、上記LANインターフェイス33によりLANケーブルLCを介してデータベースサーバ3に検索を依頼する(ステップS103)。
【0070】
そして、データベースサーバ3に蓄積されている、上記見出し語情報に該当するレコードを検索結果として取得する(ステップS104)。
【0071】
取得したレコードを展開して、予め用意している所定のフォーマットに従うように配置した画像データを投影画像処理部22で作成させる(ステップS105)。
【0072】
この際、1つの画像を、電子辞書1からの文字情報を表示する電子辞書エリアA1と、データベースサーバ3からのレコードを表示するデータベースサーバエリアA2の2つの領域に分割する。具体的な配置としては、例えば、矩形の画像中の上端側に電子辞書エリアA1を配置し、他の大部分をデータベースサーバエリアA2として、データベースサーバエリアA2内で1つのレコードに基づく画像を選択的に表示するようなものが考えられる。
【0073】
画像データを作成すると、次いでその作成した画像データにより表示素子23を駆動することで、スクリーンSCに向けて当該画像の投影を行なう(ステップS106)。
【0074】
図6は、このときスクリーンSCで投影される画像を例示する。画面の上端に位置する電子辞書エリアA1で、電子辞書1から得た文字情報の一部を展開して投影している。同エリアA1の右端側では、エリアの大きさが足りないためにまだ投影されていない情報があることを継続マークCT2により表現している。
【0075】
残るデータベースサーバエリアA2では、データベースサーバ3から3つのレコードを所得し、そのうちの1つ、「馬の各部名称の画像」を前面に配置した画像を投影している状態を示す。
【0076】
このように電子辞書1から得た文字情報とデータベースサーバ3から得たレコードとに基づいた画像を投影した状態で、次の電子辞書1からの情報受信に備えて再び上記ステップS102からの処理に戻る。
【0077】
なお、上記図6に示したようにデータベースサーバエリアA2で複数のレコードから1つを選択的に投影している状態で、その時点では投影されていない他のレコードの投影内容を切換えるためには、例えばデータプロジェクタ2本体のキー操作部あるいはリモートコントローラで投影画像中にポインタを投影させるためのキー操作を行なった後、投影画像中に合成して投影されたポインタの位置を、代わって投影させたい他のレコードを指示する位置までカーソルキー操作により移動させた後、「決定」キーを操作することで実現可能となる。
【0078】
なお、上記投影画像中でのポインタの投影、及び移動は、投影画像処理部22が作成する画像データ中にポインタの画像データを重畳することで実行される。
【0079】
また、上記図6では破線で示しているが、投影画像における電子辞書エリアA1とデータベースサーバエリアA2との境界BLを明確に投影し、且つ境界BLの位置をユーザが任意に移動可能な機能を有するものとしても良い。
【0080】
このような機能を実現することにより、電子辞書エリアA1で投影される画像の内容とデータベースサーバエリアA2で投影される画像の内容とに応じて投影画像処理部22が作成する画像を、ユーザが所望する側の画像に応じたエリア配分とすることで、電子辞書1から得た文字情報とデータベースサーバ3から得たレコードの情報を任意に取捨選択できる。
【0081】
以上詳記した如く本実施形態によれば、電子辞書1を単にスタンドアローンの電子間機器として使用するだけではなく、使用環境を拡大して、より多くのユーザ間で知識を共有することが可能となる。
【0082】
なお上記実施形態では、電子辞書1とデータプロジェクタ2とをUSB接続し、またデータプロジェクタ2とデータベースサーバ3とをイーサネット(登録商標)によりLANで接続するものとして説明したが、本発明はこれに限ることなく、各機器間の接続技術やネットワークの規模等を限定するものではない。
【0083】
その他本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0084】
1…電子辞書、2…データプロジェクタ、3…データベースサーバ、11…CPU、12…プログラムメモリ、12a…辞書データベース、12a1〜12a3…辞書コンテンツ、12aN…辞書名情報、12b…各種処理プログラム、13…メインメモリ、14…キー入力部、15…表示駆動部、16…タブレット制御部、17…USBインターフェイス(I/F)、18…表示部、19…タブレット入力部、21…入力部、22…投影画像処理部、23…表示素子、24…光源部、25…ミラー、26…投影レンズユニット、27…光源駆動部、28…CPU、29…メインメモリ、30…プログラムメモリ、31…操作部、32…USBインターフェイス(I/F)、33…LANインターフェイス(I/F)、34…音声駆動部、35…スピーカ、A1…電子辞書エリア、A2…データベースサーバエリア、BL…エリア境界、LC…LANケーブル、N…ネットワーク(LAN)、SB1,SB2…システムバス、SC…スクリーン、UC…USBケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索したい見出し語情報を入力する見出し語入力手段、見出し語情報と関連付けた辞書情報を複数記憶した辞書情報記憶手段、上記見出し語入力手段で入力した見出し語情報に基づいて上記辞書情報記憶手段を検索し、該見出し語情報と関連付けられた辞書情報を読出す検索手段、上記検索手段より読出される辞書情報を出力する出力手段、及び上記見出し語入力手段で入力した見出し語情報を少なくとも外部機器に送信する送信手段を備えた電子辞書と、
文字情報を含むレコードを蓄積したデータベースサーバと、
画像信号を入力する画像入力手段、上記画像入力手段で入力した画像信号に対応する光像を形成して投影する投影手段、上記電子辞書の送信手段から送られてくる見出し語情報を受信する受信手段、ネットワークを介して上記データベースと接続するネットワーク接続手段、上記受信手段で受信した見出し語を上記ネットワーク接続手段を介して上記データベースサーバに送信し、当該送信に応答して上記データベースサーバから送られてくるレコードを受信する通信制御手段、及び、上記受信手段で上記電子辞書から受信した見出し語情報と上記通信制御手段で上記データベースサーバから受信したレコードに基づいた画像を形成し、上記投影手段で投影させる投影制御手段を備えた投影装置と
を有したことを特徴とする投影システム。
【請求項2】
上記電子辞書の送信手段は、見出し語情報及び上記検索手段で得た辞書情報を送信し、
上記投影装置の受信手段は、上記電子辞書の送信手段から送られてくる見出し語情報及び辞書情報を受信し、
上記投影装置の投影制御手段は、上記受信手段で上記電子辞書から受信した情報と上記通信制御手段で上記データベースサーバから受信したレコードに基づいて形成する画像中、電子辞書からの情報の範囲とデータベースサーバからのレコードの範囲を可変設定可能とする
ことを特徴とする請求項1記載の投影システム。
【請求項3】
画像信号を入力する画像入力手段と、
上記画像入力手段で入力した画像信号に対応する光像を形成して投影する投影手段と、
外部の電子辞書から送られてくる見出し語情報を受信する受信手段と、
外部に敷設されたネットワークを介して、文字情報を含むレコードを蓄積したデータベースと接続するネットワーク接続手段と、
上記受信手段で受信した見出し語を上記ネットワーク接続手段を介して上記データベースサーバに送信し、当該送信に応答して上記データベースサーバから送られてくるレコードを受信する通信制御手段と、
上記受信手段で上記電子辞書から受信した見出し語情報と上記通信制御手段で上記データベースサーバから受信したレコードに基づいた画像を形成し、上記投影手段で投影させる投影制御手段と
を具備したことを特徴とする投影装置。
【請求項4】
画像信号を入力する画像入力部、上記画像入力部で入力した画像信号に対応する光像を形成して投影する投影部、外部の電子辞書から送られてくる見出し語情報を受信する受信部、及び外部に敷設されたネットワークを介して、文字情報を含むレコードを蓄積したデータベースと接続するネットワーク接続部を備えた投影装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、
上記コンピュータを、
上記受信部で受信した見出し語を上記ネットワーク接続部を介して上記データベースサーバに送信し、当該送信に応答して上記データベースサーバから送られてくるレコードを受信する通信制御手段、及び
上記受信部で上記電子辞書から受信した見出し語情報と上記通信制御部で上記データベースサーバから受信したレコードに基づいた画像を形成し、上記投影部で投影させる投影制御手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−253249(P2011−253249A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125121(P2010−125121)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】