説明

投影装置

【課題】投影像の明るさ及びコントラストを調整するため投影光学系に可変絞りを設けた投影装置において、可変絞りの開口径を小さくした場合の明るさの低下を抑制し、良好な投影像を得ることができる投影装置を提供する。
【解決手段】照明光を変調する画像表示素子と、該画像表示素子に照明光を照射するための照明光学系と、該画像表示素子による変調光を被投影面に投影するための投影光学系と、を備えている。照明光学系は、光源と、集光光学系と、ロッドインテグレータと、照明リレー光学系とを有し、投影光学系は、開口径を調整できる投影可変絞りを有している。更に、投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、開口径が小さい状態での該投影可変絞りの開口を通過する光量が増加するように照明光学系を変化させる光学系変化手段を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームシアター用プロジェクターなどに用いることのできる投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶やデジタル・マイクロミラー・デバイス(以下、「DMD」ともいう)などの画像表示素子によって変調された照明光を、スクリーンなどの被投影面に投影する投影装置が、ホームシアター用プロジェクターなどとして広く用いられるようになってきた。
【0003】
このような投影装置は、通常、照明光を変調する画像表示素子と、該画像表示素子に照明光を照射するための照明光学系と、該画像表示素子による変調光を被投影面に投影するための投影光学系とを有している。
【0004】
かかる投影装置において、スクリーンに投影される投影像の明るさ及びコントラストは、上記投影光学系の絞り状態に影響される。即ち、投影光学系に設けられた絞りの開口径が大きい場合、投影像は明るくなるがコントラストが低下する。逆に絞りの開口径が小さい場合には、投影像は暗くなるがコントラストが向上する。
【0005】
そのため、表示画像に応じて、投影像の明るさ及びコントラストを調整できるように、投影光学系に開口径を調整できる可変絞りを設けた投影装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
一方、上記照明光学系に用いる光源としては、単位面積当たりの光量が大きい放電ランプが好んで用いられる。しかし、放電ランプからの光をコリメートした平行光は、面内光量分布が均一ではなく、光軸に近い領域の光量が周辺よりも小さくなる。
【0007】
そのため、照明光の面内光量分布を均一化させるためのロッドインテグレータを用いた照明光学系が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【特許文献1】特開平5−188345号公報
【特許文献2】特開2003−100622号公報
【特許文献3】米国特許第6789931号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、スクリーンに投影される投影像の明るさ及びコントラストは、いわゆるトレードオフの関係にある。そのため、特許文献1に記載された投影装置を用いて投影を行う場合、高いコントラストを得るために投影光学系の可変絞りの開口径を小さくすると、明るさが低下するという問題があった。
【0009】
また、投影装置の照明光学系として、光量分布を均一化するために、特許文献2、3に記載されているロッドインテグレータを用いた照明光学系を用いた場合であっても、投影光学系の可変絞りの開口径を小さくすることによる明るさの低下を抑制することはできないという問題があった。
【0010】
特に、光源として放電ランプを用いた投影装置の場合には、光軸に近い領域における光量が特に小さいため、上記の問題が特に顕著であった。
【0011】
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、投影像の明るさ及びコントラストを調整するため投影光学系に可変絞りを設けた投影装置において、可変絞りの開口径を小さくした場合の明るさの低下を抑制し、コントラストの高い良好な投影像を得ることができる投影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0013】
1. 照明光を変調する画像表示素子と、該画像表示素子に照明光を照射するための照明光学系と、該画像表示素子による変調光を被投影面に投影するための投影光学系と、を備えた投影装置において、
前記照明光学系は、光源と、光源から出射した光を集光する集光光学系と、該集光光学系によって集光されて入射面から入射した光を面内光量分布の均一性を高めて出射面から出射するロッドインテグレータと、該ロッドインテグレータの出射面から出射した光を画像表示素子に導くための照明リレー光学系と、を有し、
前記投影光学系は、開口径を調整できる投影可変絞りを有し、
前記投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、開口径が小さい状態での該投影可変絞りの開口を通過する光量が増加するように該照明光学系を変化させる光学系変化手段を有することを特徴とする投影装置。
【0014】
2. 前記光学系変化手段は、前記投影可変絞りの位置における光軸に垂直な面内において、光軸に近い領域の光量が大きくなるように光量分布を変化させる手段であることを特徴とする前記1に記載の投影装置。
【0015】
3. 前記光学系変化手段は、光束を発散させる光学素子と、前記投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、該光学素子を前記集光光学系に挿入する機構と、で構成されることを特徴とする前記1又は2に記載の投影装置。
【0016】
4. 前記光束を発散させる光学素子は、発散レンズであることを特徴とする前記3に記載の投影装置。
【0017】
5. 前記集光光学系は光束を集束させる光学素子を有し、
前記光学系変化手段は、前記光束を集束させる光学素子と、前記投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、該光学素子を前記集光光学系から退避させる機構と、で構成されることを特徴とする前記1又は2に記載の投影装置。
【0018】
6. 前記光束を集束させる光学素子は、集光レンズであることを特徴とする前記5に記載の投影装置。
【0019】
7. 前記光学系変化手段は、前記照明光学系を構成する光学素子の一部からなる移動素子と、該移動素子を移動させる光学素子移動機構と、で構成されることを特徴とする前記1又は2に記載の投影装置。
【0020】
8. 前記集光光学系は発散レンズを有し、
前記移動素子は前記発散レンズであり、
前記光学素子移動機構は、前記投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、前記発散レンズを光軸に沿って前記光源の方向に移動させる機構であることを特徴とする前記7に記載の投影装置。
【0021】
9. 前記集光光学系は集光レンズを有し、
前記移動素子は前記集光レンズであり、
前記光学素子移動機構は、前記投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、前記集光レンズを光軸に沿って前記ロッドインテグレータの方向に移動させる機構であることを特徴とする前記7に記載の投影装置。
【0022】
10. 前記移動素子は、前記照明リレー光学系を構成する光学素子の一部であり、
前記光学素子移動機構は、前記照明リレー光学系を構成する光学素子の一部を光軸方向に移動する機構であることを特徴とする前記7に記載の投影装置。
【0023】
11. 前記光学系変化手段は、前記ロッドインテグレータと、前記投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、前記ロッドインテグレータの出射面の面積に対する入射面の面積の比を小さくする機構と、で構成されることを特徴とする前記1又は2に記載の投影装置。
【0024】
12. 前記照明光学系は、前記投影可変絞りの絞り状態に応じて、該照明光学系の絞り値を変化させるための照明可変絞りを有することを特徴とする前記1〜11のいずれか1項に記載の投影装置。
【0025】
13. 前記画像表示素子は、デジタル・マイクロミラー・デバイスであることを特徴とする前記1〜12のいずれか1項に記載の投影装置。
【0026】
14. 前記光源は、放電ランプであることを特徴とする前記1〜13のいずれか1項に記載の投影装置。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、開口径が小さい状態での投影可変絞りの開口を通過する光量が増加するように照明光学系を変化させる光学系変化手段を有するため、高いコントラストを得るために投影可変絞りの開口径を小さくした場合の明るさの低下を抑制することができる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、投影可変絞りの位置における光軸に垂直な面内において、光軸に近い領域の光量が大きくなるように光量分布を変化させるため、高いコントラストを得るために投影可変絞りの開口径を小さくした場合の明るさの低下を抑制することができる。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、光束を発散させる光学素子を集光光学系に挿入して照明光学系を変化させることにより、投影可変絞りの開口を通過する光量を増加させるため、高いコントラストを得るために投影可変絞りの開口径を小さくした場合の明るさの低下を、簡易な構成で効果的に抑制することができる。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、発散レンズを集光光学系に挿入して照明光学系を変化させるため、低コストで投影装置を構成することができる。
【0031】
請求項5に記載の発明によれば、光束を収束させる光学素子を集光光学系から退避させて照明光学系を変化させることにより、投影可変絞りの開口を通過する光量を増加させるため、高いコントラストを得るために投影可変絞りの開口径を小さくした場合の明るさの低下を、簡易な構成で効果的に抑制することができる。
【0032】
請求項6に記載の発明によれば、集光レンズを集光光学系から退避させて照明光学系を変化させるため、低コストで投影装置を構成することができる。
【0033】
請求項7に記載の発明によれば、照明光学系を構成する光学素子の一部を移動させて照明光学系を変化させることにより、投影可変絞りの開口を通過する光量を増加させるため、投影可変絞りの開口径に応じて連続的に光量を調整することができ、絞り開口の変化による明るさの低下が少なく、よりコントラストの高い投影像を得ることができる。
【0034】
請求項8に記載の発明によれば、発散レンズを光軸に沿って光源の方向に移動させて照明光学系を変化させることにより、投影可変絞りの開口を通過する光量を増加させるため、投影可変絞りの開口径に応じて連続的に光量を調整することができ、絞り開口の変化による明るさの低下が少なく、よりコントラストの高い投影像を得ることができる。
【0035】
請求項9に記載の発明によれば、集光レンズを光軸に沿ってロッドインテグレータの方向に移動させて照明光学系を変化させることにより、投影可変絞りの開口を通過する光量を増加させるため、投影可変絞りの開口径に応じて連続的に光量を調整することができ、絞り開口の変化による明るさの低下が少なく、よりコントラストの高い投影像を得ることができる。
【0036】
請求項10に記載の発明によれば、照明リレー光学系を構成する光学素子の一部を光軸方向に移動させて照明光学系を変化させることにより、投影可変絞りの開口を通過する光量を増加させるため、ロッドインテグレータの手前にレンズを配置する必要がなく、レンズ界面による光量損失を防止することができる。また、投影可変絞りの開口径に応じて連続的に光量を調整することができ、絞り開口の変化による明るさの低下が少なく、よりコントラストの高い投影像を得ることができる。
【0037】
請求項11に記載の発明によれば、ロッドインテグレータの出射面の面積に対する入射面の面積の比を小さくして照明光学系を変化させることにより、投影可変絞りの開口を通過する光量を増加させるため、ロッドインテグレータの手前にレンズを配置する必要がなく、レンズ界面による光量損失を防止することができる。
【0038】
請求項12に記載の発明によれば、投影可変絞りの絞り状態に応じて照明光学系の絞り値を変化させるための照明可変絞りを有するため、よりコントラストの高い投影像を得ることができる。
【0039】
請求項13に記載の発明によれば、画像表示素子としてデジタル・マイクロミラー・デバイスを用いているため、投影可変絞りの開口径を小さくすることによるコントラストの向上効果が高く、よりコントラストの高い投影像を得ることができる。
【0040】
請求項14に記載の発明によれば、光源として放電ランプを用いているため、投影可変絞りの開口径を小さくした場合における、明るさの低下を抑制する効果が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜10を参照しながら詳細に説明する。
【0042】
(第1の実施形態)
本発明の投影装置の第1の実施形態について、図1〜6を参照しながら説明する。図1及び図2は、第1の実施形態の投影装置101の構成図である。図1は、投影可変絞り40の開口径を大きくした状態を、図2は、投影可変絞り40の開口径を小さくし、ロッドインテグレータ15の手前に凹レンズ13を挿入して照明光学系を変化させた状態を、それぞれ示している。
【0043】
先ず、図1を参照しながら、投影装置101の構成について説明する。投影装置101は、照明光を変調する画像表示素子(DMD24)と、画像表示素子に照明光を照射するための照明光学系と、画像表示素子による変調光を被投影面に投影するための投影光学系20とを有している。
【0044】
照明光学系は、光源(放電ランプ11)、光源から出射した光を集光する集光光学系(ランプリフレクタ12)、集光光学系によって集光されて入射面から入射した光を面内光量分布の均一性を高めて出射面から出射するロッドインテグレータ15、ロッドインテグレータの出射面から出射した光を画像表示素子に導くための照明リレー光学系18などから構成されている。
【0045】
光源としては、白色光を発し、単位面積当たりの光量が大きい放電ランプ11を用いることが好ましい。放電ランプ11の種類に特に制限はなく、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプなど、投影装置に用いられる光源ランプの中から適宜選択して用いることができる。
【0046】
集光光学系として機能するランプリフレクタ12は楕円面からなる反射面を有し、その焦点位置に放電ランプ11が配置されている。そのため、放電ランプ11からの光束は収束光として出射し、カラーホイール14に入射する。この他、放物面を有するランプリフレクタを用いて、ランプリフレクタから出射した平行光を、コンデンサーレンズを用いて収束光とする構成とすることもできる。
【0047】
カラーホイール14は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の波長の光をそれぞれ透過させる3色のカラーフィルターで構成される。これを回転させることで照明光の色が時間的に順次切り替るため、各色に対応した画像情報をDMD24に順次切り替えて表示することにより、投影像をカラー化することができる。カラーフィルターは、R、G、Bの3色の組み合わせに限られず、例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3色の組み合わせなど、カラー画像の表示が可能な他の組み合わせを用いてもよい。また、カラーホイール14は、モノクロ画像の投影装置や、各色毎にDMD24と照明光学系とを備えた形態の投影装置の場合には省略することもできる。
【0048】
カラーホイール14を通過した光束は、ロッドインテグレータ15に入射する。ロッドインテグレータ15に入射した光束は、壁面で反射を繰り返すことでミキシングされ、ロッドインテグレータ15の出射面では、面内光量分布の均一性が高められる。ロッドインテグレータ15での反射回数に応じて、照明リレー光学系18内に複数の2次光源像が形成され、これらが重畳してDMD24を照明することにより、均一性の高い照明が実現される。
【0049】
ロッドインテグレータ15の後方には、照明リレー光学系18、プリズムユニット23、DMD24が配設され、ロッドインテグレータ15から出た光は、照明リレー光学系18を経て、DMD24を照明する。
【0050】
照明リレー光学系18は、3つのレンズ16a、16b、16cと、照明可変絞り17とから構成される。本実施形態においては、プリズムユニット23と共に機能して、ロッドインテグレータ15の出射面から出射した光をDMD24に導く。ロッドインテグレータ15の出射面はDMD24の表示面と共役であり、ロッドインテグレータ15の出射面の形状をDMD24の表示領域と略相似形にすることにより、効率よく照明できる。
【0051】
反射型の画像表示素子であるDMD24は、多数のマイクロミラーがマトリックス状に配置された表示面を有し、そのマイクロミラー1枚で表示画像の1画素を構成するものである。マイクロミラーの傾きは個別に駆動制御される構成になっており、各マイクロミラーはON状態とOFF状態との2つの傾き状態をとり得るようになっている。ON状態のマイクロミラーでは投影光学系20に向けて照明光が反射され、OFF状態のマイクロミラーでは投影光学系20に入らない方向に照明光が反射される。したがって、ON状態のマイクロミラーで反射された光のみが投影光学系20によってスクリーンに到達し、目的とする画像がスクリーンに表示される。
【0052】
画像表示素子としてDMD24を用いた場合のコントラスト低下の原因は、主に表示面で発生する散乱である。黒表示(OFF状態)のとき、マイクロミラーからの反射光が投影光学系20に入らないようになっているが、マイクロミラーのエッジなどの散乱成分があり、そこで発生する散乱光が投影光学系20に入り込んでスクリーンに到達し、黒レベルを上げてしまう。このような散乱光は、投影光学系20の可変絞り40を絞り込むことによって効果的に減らすことができる。そのため、画像表示素子としてDMD24を用いた場合、投影光学系20の可変絞り40の開口径を小さくすることによるコントラストの向上効果が非常に高い。
【0053】
プリズムユニット23は、第1プリズム21、第2プリズム22の2つのプリズムから構成されている。第1プリズム21は、第1入射面21a、臨界面21b、第1出射面21cを有し、第2プリズム22は、第2入射面22a、第2出射面22bを有する。第1プリズム21の臨界面21bと第2プリズム22の第2入射面22aは、空気層を介して対向して配置されている。
【0054】
さらに、第1プリズム21の第1入射面21aにエントランスレンズ16cが貼り合わされている。エントランスレンズ16cは照明光をテレセントリックにするため設けられている。第1プリズム21の入射面21aを曲面にして、エントランスレンズ16cの機能を持たせてもよい。
【0055】
照明リレー光学系18からの照明光は、エントランスレンズ16cを経て、第1入射面21aから第1プリズム21に入射する。第1プリズム21の臨界面21bは、入射した照明光が全反射するように配置されており、照明光は臨界面21bで反射されて、第1プリズム21の第1出射面21cから出射し、DMD24を照明する。
【0056】
DMD24は長方形の画像表示領域を有し、DMD24の各画素(マイクロミラー)は、矩形の表示領域と45度の角度をなす偏向軸を有し、画素は偏向軸を中心に12°偏向し、照明光の反射方向を偏向させることにより、画像表示を行う。画像表示状態(ON状態)にて画素で反射された光束、すなわち投影光は、第1プリズム21の第1出射面21cから再び第1プリズム21に入射し、第1プリズム21の臨界面21bに到達する。投影光は、全反射条件を満たさない角度で臨界面21bに入射するため、臨界面21bを透過し、空気層を経て、第2入射面22aから第2プリズム22に入射する。そして、第2プリズム22の第2出射面22bから出射し、投影光学系20に入射し、スクリーンに投影される。
【0057】
なお、本発明においてプリズムユニット23は必ずしも必須の要素ではなく、ロッドインテグレータ15を出射した照明光が照明リレー光学系18を経て直接DMD24を照明する構成とすることもできる。また、画像表示素子はDMD24に限定されるものではなく、液晶表示素子など、同様の機能を有する他の素子を用いることもできる。反射型の素子でもよいし、透過型の素子でもよい。
【0058】
次に、投影光学系20及び照明リレー光学系18にそれぞれ設けられた可変絞り(投影可変絞り40、照明可変絞り17)について説明する。投影可変絞り40と照明可変絞り17とは、いずれも同様の構成を有している。それぞれ、絞り状態を検知する絞り位置センサ32と、開口径を変化させるための絞り駆動モータ33とを有し、開口径をF2.4からF7.2まで変化させることができる。
【0059】
図3は、可変絞りの基本構成を示す図である。図3(a)は可変絞りの上面図、図3(b)は可変絞りの正面図である。また、図4は可変絞りの分解構成図である。
【0060】
可変絞りは、固定板45、回転板46、カバー47、6枚の絞り羽根44から構成されている。絞り羽根44には2本のピン42が立てられ、一方のピン42は、固定板45の穴49に嵌合し、他方のピン42は回転板46のカム溝48に嵌合している。回転板46にはギア部43が設けられ、絞り駆動モータ33に設けられたギア52と噛み合っている。絞り駆動モータ33の回転により回転板46が回転し、それによって絞り羽根44が固定板45の穴49に嵌合したピン42を中心に回転し、絞りの開口径が変化する。
【0061】
また、回転板46には、斜面を持つ突出部41が設けられており、この突出部41がリニア抵抗50と係合し、回転板46の回転、すなわち、可変絞りの開口径の変化に対応して抵抗値が変化する。この抵抗値により、可変絞りの開口径を検知する事が出来る。
【0062】
投影可変絞り40と照明可変絞り17とは、それぞれ独立して開口径を調整することができる。しかし、よりコントラストが高く、良好な投影像を得るためには、投影光学系20のF値と照明光学系のF値とが同じになるように、それぞれの可変絞りを制御することが好ましい。特に、画像表示素子としてDMD24を用いる場合には、両者のF値を同じにすることで、DMD24を照明する光量が減少することによって表示面で発生する散乱光が減少するため、コントラストの改善効果が特に大きい。
【0063】
次に、投影可変絞り40の開口径を小さくする場合の照明光学系の変化について説明する。
【0064】
図2に示すように、本実施形態では、ロッドインテグレータ15の手前に凹レンズ13を挿入することによって照明光学系を変化させる。図1のように、投影可変絞り40の開口径を大きくする場合、凹レンズ13は光路から退避しているため、ランプリフレクタ12からの集束光は、収束角度が緩められることなくロッドインテグレータ15に入射する。
【0065】
これに対し、投影可変絞り40の開口径を小さくすると、絞り位置センサ32からの情報を受けた演算部36が、凹レンズ切り替え機構31に指示を出し、図2のように凹レンズ13を挿入して照明光学系を変化させる。凹レンズ切り替え機構31は、モータ等のアクチュエータを有し、それによって凹レンズ13を光路中に挿入させた状態と退避させた状態とを切り替えるための機構である。凹レンズ13の挿入によって、ランプリフレクタ12からの集束光は、収束角度が緩められた状態でロッドインテグレータ15に入射する。
【0066】
このように、収束角度が緩められた状態でロッドインテグレータ15に入射した光線は、凹レンズ13を退避させた状態よりも、光軸とのなす角がより小さくなって、ロッドインテグレータ15から出射する。ロッドインテグレータ15の出射面とDMD24の表示面は、互いに略テレセントリックで光学的に共役なため、ロッドインテグレータ15の出射面で光軸とのなす角がより小さい光線は、DMD24の表示面でも光軸とのなす角がより小さくなる。更に、投影光学系20も略テレセントリックな光学系のため、DMDの表示面上で光軸となす角が小さい光線ほど投影光学系20の瞳位置、すなわち、投影可変絞りの位置で、より光軸に近いところを通過することになる。
【0067】
このため、凹レンズ13の挿入によって、投影可変絞り40の位置における光軸に垂直な面内において、光軸に近い領域の光量が大きくなるように光量分布が変化する。従って、投影可変絞り40の開口径を小さくした場合に、投影可変絞り40の開口を通過する光量が、凹レンズ13を退避させた状態よりも増加し、より明るい投影像を得ることができる。
【0068】
このように、凹レンズ13の挿入によって照明光学系を変化させる構成とすることにより、高いコントラストを得るために投影可変絞り40の開口径を小さくした場合の明るさの低下を、簡易な構成で効果的に抑制することができる。ここで、演算部36、凹レンズ切り替え機構31、凹レンズ13は、投影可変絞り40の開口径を小さくした場合に、開口が小さい状態での投影可変絞り40の開口を通過する光量が増加するように照明光学系を変化させる光学系変化手段として機能する。
【0069】
なお、ここでは、光学系変化手段として凹レンズ13を用いているが、光束を発散させる機能を有する光学素子であれば、同様に用いることができる。例えば、光学面が球面からなる発散レンズ(凹レンズ)の他、非球面、シリンダ面、トロイダル面などを有する光学素子を用いてもよい。また、アキシコンと呼ばれる円錐プリズム面を有する光学素子を用いることもできる。中でも、低コストで投影装置を構成できるという観点からは、光学面が球面からなる発散レンズ(凹レンズ)を用いることが好ましい。
【0070】
更に、本実施形態の変形例として、投影可変絞り40の開口径を大きくした場合に、光束を収束させる光学素子が照明光学系に挿入された状態となり、開口径を小さくした場合に、当該光学素子を退避させて投影可変絞りの開口を通過する光量を増加させる構成としてもよい。このような構成とすることにより、上述の凹レンズ13を用いる場合と同様に、高いコントラストを得るために投影可変絞り40の開口径を小さくした場合の明るさの低下を、簡易な構成で効果的に抑制することができる。
【0071】
光束を収束させる光学素子に特に制限はなく、種々の形状の光学素子を適宜選択して用いることができる。中でも、低コストで投影装置を構成できるという観点からは、光学面が球面からなる集光レンズ(凸レンズ)を用いることが好ましい。
【0072】
次に、図5を用いて、投影可変絞り40の位置(投影瞳面)における光量分布の変化について説明する。図5は、投影可変絞り40の位置における光量分布の変化を概念的に示すグラフである。横軸は光軸からの距離、縦軸は光量である。凹レンズ13を退避させた状態の光量を破線で示し、凹レンズ13を挿入した状態の光量を実線で示している。なお、このグラフは、光軸に垂直な断面の面積が、光軸からの距離によって異なることを予め考慮した上で、光量分布の変化を概念的に示したものである。
【0073】
凹レンズ13を退避させた状態の場合、投影可変絞り40の開口を通過する光量は、投影可変絞り40が開放のとき(開口径が大きい状態)は、図5の(2)+(3)+(4)+(5)の領域に相当し、投影可変絞り40の開口径が小さいときは、(2)+(3)の領域に相当する。これに対して、凹レンズ13を挿入すると、光軸に近い領域の光量が大きくなるように光量分布が変化し、投影可変絞り40の開口を通過する光量は、投影可変絞り40が開放のときは、図5の(1)+(2)+(4)の領域に相当し、投影可変絞り40の開口径が小さいときは、(1)+(2)の領域に相当する。
【0074】
従って、投影可変絞り40の開口径を大きくする場合には、凹レンズ13を退避させておくことでより明るい投影像を得ることがでる。一方、高いコントラストを得るために可変投影可変絞り40の開口径を小さくする場合には、凹レンズ13を挿入して照明光学系を変化させることで、明るさの低下を最小限に抑えることができる。
【0075】
図6は、投影光学系20のF値と投影像の明るさとの関係の1例を示すグラフである。グラフの横軸は投影光学系20のF値、縦軸はスクリーンに到達する光束である。凹レンズ13を退避させた状態の関係を破線で示し、凹レンズ13を挿入した状態の関係を実線で示している。
【0076】
投影光学系20のF値が大きくなるにつれて(投影可変絞り40の開口径を小さくするにつれて)、投影像の明るさは暗く(光束が小さく)なっていく。このとき、F値が4.5より小さい場合には、凹レンズ13を退避させた状態の方が投影像が明るく、F値が4.5以上の場合には、凹レンズ13を挿入した状態の方が投影像が明るくなる。従って、絞り位置センサ32で検出した投影可変絞り40の開口径を基に、演算部36にて、投影光学系20のF値が所定の値(図6の例では、F4.5)より大きいか小さいかを判断し、その結果、F値が所定の値以上であれば凹レンズ13を挿入し、F値が所定の値より小さければ凹レンズを退避させることで、何れの場合も、より明るい投影像を得ることができる。
【0077】
(第2の実施形態)
次に、本発明の投影装置の第2の実施形態について、図7を参照しながら説明する。図7は、第2の実施形態の投影装置102の構成図である。上述の第1の実施形態の投影装置101との違いは、投影可変絞り40の開口径によって凹レンズ13の挿入、退避を行う代わりに、凹レンズ駆動機構37によって凹レンズ13(発散レンズ)を光軸方向に移動させることにより、照明光学系を変化させる点である。
【0078】
本実施形態において、投影可変絞り40の開口径を小さくした場合に、開口径が小さい状態での投影可変絞り40の開口を通過する光量が増加するように照明光学系を変化させる光学系変化手段は、移動素子である凹レンズ13と、光学素子移動機構である演算部36及び凹レンズ駆動機構37と、で構成される。ここで、凹レンズ駆動機構37は、モータ等のアクチュエータを有し、それによって凹レンズ13を光軸方向に移動させるための機構である。
【0079】
凹レンズ13は、演算部36からの指示によって動作する凹レンズ駆動機構37に保持されている。絞り位置センサ32で検出した投影可変絞り40の開口径(投影光学系20のF値)に応じ、絞ったときにより効率よく光束が通過するように、すなわち、F値が大きくなるにつれ、凹レンズ13を光源(放電ランプ11)に近づくように移動させる。
【0080】
凹レンズ13が、ロッドインテグレータ15に近づくほど、ランプリフレクタ12からの光線は、凹レンズ13の軸上に近い側を通過する。凹レンズ13は、光軸に近いほどその面の傾斜が緩やかになり、屈折作用は小さくなる。このため、ランプリフレクタ12からの収束光の集光点近傍では、凹レンズ13の屈折作用は非常に小さい。
【0081】
一方、凹レンズ13を光源側に近づけていくと、凹レンズ13のより周辺部を光線が通過するようになる。このため、より凹レンズ13の屈折作用を受けて、収束状態がより緩やかになる。
【0082】
第1の実施形態の場合と同様に、ロッドインテグレータ15に入射する光束の収束状態を緩やかにすることで、投影可変絞り40の位置における光軸に垂直な面内において、光軸に近い領域の光量が大きくなるように光量分布を変化させることができる。従って、集光光学系に凹レンズ13を配置し、投影可変絞り40の開口径を小さくした場合に、凹レンズ13を光軸に沿って光源方向に移動させることにより、投影可変絞り40の開口を通過する光量が、移動前よりも増加し、より明るい投影像を得ることができる。更に、本実施形態においては、投影可変絞り40の開口径に応じて連続的に光量を調整することができるため、絞り開口の変化による明るさの低下が少なく、よりコントラストの高い投影像を得ることができる。
【0083】
本実施形態においては、投影可変絞り40の開口径を小さくした場合に、投影可変絞りの開口を通過する光量が増加するよう、集光光学系に配置した凹レンズ13(発散レンズ)を光軸に沿って光源方向に移動させる構成を例に挙げて説明した。同様にして、集光光学系に凸レンズ(集光レンズ)を配置し、開口径を小さくした場合に、凸レンズを光軸に沿ってロッドインテグレータ方向(光源と反対の方向)に移動させて、投影可変絞りの開口を通過する光量を増加させる構成としてもよい。
【0084】
なお、本実施形態においても、発散レンズ、集光レンズとして用いる光学素子の形状に特に制限はなく、第1の実施形態の場合と同様に、種々の光学素子を用いることができる。
【0085】
(第3の実施形態)
次に、本発明の投影装置の第3の実施形態について、図8を参照しながら説明する。図8は、第3の実施形態の投影装置103の構成図である。上述の第1の実施形態の投影装置101との違いは、投影可変絞り40の開口径によって凹レンズ13の挿入、退避を行う代わりに、照明リレー光学系18を構成する光学素子の一部を光軸方向に移動させることにより、照明光学系を変化させる点である。
【0086】
本実施形態において、投影可変絞り40の開口径を小さくした場合に照明光学系を変化させる光学系変化手段は、移動素子である凸レンズ16bと、光学素子移動機構である演算部36及びリレーレンズ駆動機構38と、で構成される。リレーレンズ駆動機構38は、モータ等のアクチュエータを有し、それによって凸レンズ16bを光軸方向に移動させるための機構である。
【0087】
照明リレー光学系18を構成する光学素子の一部である凸レンズ16bは、演算部36からの指示によって動作するリレーレンズ駆動機構38に保持されている。絞り位置センサ32で検出した投影可変絞り40の開口径(投影光学系20のF値)に応じ、F値が大きくなるにつれ、凸レンズ16bをロッドインテグレータ15の出射面に近づくように移動させる。
【0088】
照明リレー光学系18は、ロッドインテグレータ15の出射面をDMD24の表示面に結像させている。照明リレー光学系18を構成する凸レンズ16bをロッドインテグレータ15の出射面から遠ざければ、DMD24の表示面におけるロッドインテグレータ15の出射面の像は小さくなり、凸レンズ16bをロッドインテグレータ15の出射面に近づければ、DMD24の表示面におけるロッドインテグレータ15の出射面の像は大きくなる。
【0089】
ロッドインテグレータ15の出射面側のN.A.をu、ロッドインテグレータ15の出射面の像側のN.A.をu’、像倍率をβとすると、u=β×u’の関係が成り立つ。このため、DMD24の表示面におけるロッドインテグレータ15の出射面の像が大きくなるにつれ、その像のN.A.は小さくなり、DMD24で反射された後、投影光学系20の瞳面(投影可変絞り40の位置)を通過する際、より光軸に近い位置を通過することになる。
【0090】
このように、照明リレー光学系18を構成する凸レンズを、光軸に沿ってロッドインテグレータ15の出射面側に移動させることにより、投影可変絞り40の位置において、光軸に近い領域の光量が大きくなるように光量分布が変化する。従って、投影可変絞り40の開口径を小さくした場合に、開口径が小さい状態での投影可変絞り40の開口を通過する光量が、移動前よりも増加し、より明るい投影像を得ることができる。
【0091】
また、本実施形態においては、ロッドインテグレータ15の手前に、集光光学系を変化させるためのレンズを配置する必要が無いため、レンズの界面による光量損失を防止することができる。更に、第2の実施形態の場合と同様に、投影可変絞り40の開口径に応じて連続的に光量を調整することができるため、絞り開口の変化による明るさの低下が少なく、よりコントラストの高い投影像を得ることができる。
【0092】
移動させるレンズは、照明リレー光学系18を構成するレンズであれば特に制限はない。但し、小さい移動距離で高い効果を得るためには、照明リレー光学系18を構成するレンズのうち、結像作用の大きいレンズ、即ち光軸方向に移動させた場合の倍率変化の大きいレンズを移動させることが好ましい。更に、光軸方向に移動させた場合の倍率変化の最も大きいレンズを移動させることが、より好ましい。
【0093】
(第4の実施形態)
次に、本発明の投影装置の第4の実施形態について、図9を参照しながら説明する。図9は、第4の実施形態の投影装置104の構成図である。上述の第1の実施形態の投影装置101との違いは、投影可変絞り40の開口径によって凹レンズ13の挿入、退避を行う代わりに、ストレート状のロッドインテグレータ15aと入射側がより狭くなっているテーパー状のロッドインテグレータ15bとを切り換えることにより、照明光学系を変化させる点である。
【0094】
本実施形態において、投影可変絞り40の開口径を小さくした場合に照明光学系を変化させる光学系変化手段は、ロッドインテグレータ15a及び15bと、演算部36と、ロッド切り替え機構39と、で構成される。ロッド切り替え機構39は、モータ等のアクチュエータを有し、それによってロッドインテグレータ15aと15bとを切り替えるための機構である。
【0095】
ストレート状のロッドインテグレータ15aは、出射面の面積と入射面の面積とがほぼ等しい。これに対し、テーパー状のロッドインテグレータ15bは、出射面の面積よりも入射面の面積の方が小さくなっている。2つのロッドインテグレータは、いずれもロッド切り替え機構39に保持され、演算部36からの指示によって切り替えられる。投影可変絞り40の開口径が大きい場合は、ストレート状のロッドインテグレータ15aを用いるが、投影可変絞り40の開口径を小さくする場合には、絞ったときにより効率よく光束が通過するように、入射側がより狭くなっているテーパー状のロッドインテグレータ15bに切り換える。
【0096】
テーパー状のロッドインテグレータ15bのように、内面の反射面が出射側ほど広くなる傾斜した面の場合、反射した光線は、その角度が緩く、すなわち、光軸とのなす角が小さくなる。よって、テーパー状のロッドインテグレータ15bの内面で反射された光線は、投影レンズ瞳面(投影可変絞り40の位置)での光線の通過位置は、より軸上に近づくことになる。
【0097】
一方、ストレート状のロッドインテグレータ15aでは、内面で反射しても光軸となす角度は変化しない。よって、ストレート状のロッドインテグレータ15aから、入射側がより狭くなっているテーパー状のロッドインテグレータ15bに切り換えることにより、投影レンズ瞳面における少なくとも一部の光線の通過位置をより軸上に近づけることができる。従って、投影可変絞り40の開口径を小さくした場合に、開口径が小さい状態での投影可変絞り40の開口を通過する光量が、ロッドインテグレータを切り替える前よりも増加し、より明るい投影像を得ることができる。
【0098】
また、本実施形態においては、ロッドインテグレータの手前に、集光光学系を変化させるためのレンズを配置する必要が無いため、レンズの界面による光量損失を防止することができる。
【0099】
(第5の実施形態)
次に、本発明の投影装置の第5の実施形態について、図10を参照しながら説明する。図10は、第5の実施形態の投影装置105の構成図である。上述の第4の実施形態の投影装置104との違いは、ストレート状のロッドインテグレータ15aとテーパー状のロッドインテグレータ15bとを切り換える代わりに、ロッドインテグレータの反射面の傾斜角を変更可能な構成にし、投影光学系20のF値に応じて傾斜角を変化させることにより、照明光学系を変化させる点である。
【0100】
本実施形態において、投影可変絞り40の開口径を小さくした場合に照明光学系を変化させる光学系変化手段は、ロッドインテグレータ15cと、演算部36と、ロッド反射面傾斜機構25と、で構成される。ロッド反射面傾斜機構25は、ロッドインテグレータ15cの反射面の傾斜角を変化させるための機構であり、例えば、次のような構成とすることができる。
【0101】
ロッド反射面傾斜機構25はモータを備え、該モータの回転軸に、投影装置105のロッドインテグレータ15cの、対向する2つの反射面の入射側を係合している。当該2つの反射面の出射側は回動可能に保持されている。ロッド反射面傾斜機構25のモータの回転軸には、先端側に右ネジ、根元側に左ネジが切られており、2つの反射面の一方が右ネジに、他方が左ネジに係合している。そうして、演算部36からの指示によってロッド反射面傾斜機構25のモータが回転することにより、2つの反射面の係合部が、互いに近づいたり遠ざかったりして、反射面の傾斜角が変化する構造になっている。
【0102】
ロッド反射面傾斜機構25によって、2つの反射面の係合部が近づくほど、出射面の面積に対する入射面の面積の比が、より小さいロッドインテグレータとなり、ロッドインテグレータ15c内で反射された光線は、より、光軸とのなす角が小さくなる。このように、投影可変絞り40の開口径を小さくした場合に、ロッドインテグレータ15cの出射面の面積に対する入射面の面積の比がより小さくなるよう、ロッドインテグレータの反射面の傾斜を変化させることにより、投影レンズ瞳面における少なくとも一部の光線の通過位置をより軸上に近づけることができる。従って、投影可変絞り40の開口径を小さくした場合に、開口径が小さい状態での投影可変絞り40の開口を通過する光量が、傾斜を変化させる前よりも増加し、より明るい投影像を得ることができる。
【0103】
また、第4の実施形態の場合と同様に、ロッドインテグレータの手前に、集光光学系を変化させるためのレンズを配置する必要が無いため、レンズの界面による光量損失を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】第1の実施形態の投影装置101の構成図(凹レンズ13を退避させた状態)である。
【図2】第1の実施形態の投影装置101の構成図(凹レンズ13を挿入した状態)である。
【図3】可変絞りの基本構成を示す図(上面図、正面図)である。
【図4】可変絞りの分解構成図である。
【図5】投影可変絞りの位置における光量分布の変化を示すグラフである。
【図6】投影光学系のF値と投影像の明るさとの関係の1例を示すグラフである。
【図7】第2の実施形態の投影装置102の構成図である。
【図8】第3の実施形態の投影装置103の構成図である。
【図9】第4の実施形態の投影装置104の構成図である。
【図10】第5の実施形態の投影装置105の構成図である。
【符号の説明】
【0105】
11 放電ランプ
12 ランプリフレクタ
13 凹レンズ
14 カラーホイール
15、15a、15b、15c ロッドインテグレータ
16a、16b、16c レンズ
17 照明可変絞り
18 照明リレー光学系
20 投影光学系
21 第1プリズム
22 第2プリズム
23 プリズムユニット
24 DMD
25 ロッド反射面傾斜機構
31 凹レンズ切り替え機構
32 絞り位置センサ
33 絞り駆動モータ
36 演算部
37 凹レンズ駆動機構
38 リレーレンズ駆動機構
39 ロッド切り替え機構
40 投影可変絞り
101、102、103、104、105 投影装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を変調する画像表示素子と、該画像表示素子に照明光を照射するための照明光学系と、該画像表示素子による変調光を被投影面に投影するための投影光学系と、を備えた投影装置において、
前記照明光学系は、光源と、光源から出射した光を集光する集光光学系と、該集光光学系によって集光されて入射面から入射した光を面内光量分布の均一性を高めて出射面から出射するロッドインテグレータと、該ロッドインテグレータの出射面から出射した光を画像表示素子に導くための照明リレー光学系と、を有し、
前記投影光学系は、開口径を調整できる投影可変絞りを有し、
前記投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、開口径が小さい状態での該投影可変絞りの開口を通過する光量が増加するように該照明光学系を変化させる光学系変化手段を有することを特徴とする投影装置。
【請求項2】
前記光学系変化手段は、前記投影可変絞りの位置における光軸に垂直な面内において、光軸に近い領域の光量が大きくなるように光量分布を変化させる手段であることを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記光学系変化手段は、光束を発散させる光学素子と、前記投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、該光学素子を前記集光光学系に挿入する機構と、で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の投影装置。
【請求項4】
前記光束を発散させる光学素子は、発散レンズであることを特徴とする請求項3に記載の投影装置。
【請求項5】
前記集光光学系は光束を集束させる光学素子を有し、
前記光学系変化手段は、前記光束を集束させる光学素子と、前記投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、該光学素子を前記集光光学系から退避させる機構と、で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の投影装置。
【請求項6】
前記光束を集束させる光学素子は、集光レンズであることを特徴とする請求項5に記載の投影装置。
【請求項7】
前記光学系変化手段は、前記照明光学系を構成する光学素子の一部からなる移動素子と、該移動素子を移動させる光学素子移動機構と、で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の投影装置。
【請求項8】
前記集光光学系は発散レンズを有し、
前記移動素子は前記発散レンズであり、
前記光学素子移動機構は、前記投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、前記発散レンズを光軸に沿って前記光源の方向に移動させる機構であることを特徴とする請求項7に記載の投影装置。
【請求項9】
前記集光光学系は集光レンズを有し、
前記移動素子は前記集光レンズであり、
前記光学素子移動機構は、前記投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、前記集光レンズを光軸に沿って前記ロッドインテグレータの方向に移動させる機構であることを特徴とする請求項7に記載の投影装置。
【請求項10】
前記移動素子は、前記照明リレー光学系を構成する光学素子の一部であり、
前記光学素子移動機構は、前記照明リレー光学系を構成する光学素子の一部を光軸方向に移動する機構であることを特徴とする請求項7に記載の投影装置。
【請求項11】
前記光学系変化手段は、前記ロッドインテグレータと、前記投影可変絞りの開口径を小さくした場合に、前記ロッドインテグレータの出射面の面積に対する入射面の面積の比を小さくする機構と、で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の投影装置。
【請求項12】
前記照明光学系は、前記投影可変絞りの絞り状態に応じて、該照明光学系の絞り値を変化させるための照明可変絞りを有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の投影装置。
【請求項13】
前記画像表示素子は、デジタル・マイクロミラー・デバイスであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の投影装置。
【請求項14】
前記光源は、放電ランプであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−157163(P2009−157163A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336184(P2007−336184)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】