説明

投影露光装置

【課題】 被投影基板を的確に位置合わせをして被投影基板上にパターンを形成することができる簡素な構成な投影露光装置を提供する。
【解決手段】 アライメント光を、載置手段に対して露光光照射手段と反対側から、投影レンズに向かってアライメント光を発するアライメント光照射手段であって、載置手段に設けられた第1基準マークと、パターン基板に設けられた第2基準マークと、にアライメント光を照射するアライメント光照射手段を有する投影露光装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光光を、投影すべきパターンが形成されたパターン基板に照射し、被投影基板にパターンを投影して露光するための投影露光装置に関する。特に、被投影基板等の位置決めの際に使用されるアライメント光を、被投影基板が載置される載置手段に対して露光光照射手段と反対位置から照射する投影露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投影露光装置は、プリント配線基板や半導体デバイスを製造するため、露光光を照射し、パターン基板に形成されたパターンを被投影基板に投影して、被投影基板にパターンを形成するための装置である。パターンを被投影基板に投影するときには、パターン基板に形成されたパターンを被投影基板の所望する位置に的確に投影する必要があり、予めパターン基板と被投影基板との的確な位置合わせをしなければならない。
【0003】
パターン基板と被投影基板との位置合わせは、基準位置マークを利用して行われる。例えば、パターン基板にパターンのほかに基準位置マークを予め形成し、被投影基板にも基準位置マークを形成し、パターンを被投影基板に投影する前に、これらの基準位置マーク同士が互いに重なるように被投影基板の位置を調節する。被投影基板の位置の調節は、顕微鏡等の光学的な計測手段を用いて基準位置マークを観察しながら行われる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許2658051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の投影露光装置では、パターン基板上方に設けられた光源からアライメント光を照射し、パターン基板の基準位置マークと被投影基板の基準位置マークとの双方を、投影レンズを介して観察していた。投影レンズは、被投影基板に投影するパターン基板のパターンの像を所望の大きさに変更するためのものであり、紫外線等の露光光の波長に適合するように調節されている。
【0005】
位置合わせは、パターン基板の基準位置マークと被投影基板の基準位置マークとを直接観察して行うのではなく、パターン基板の基準位置マークの像と、被投影基板の基準位置マークの像との2つの像を観察することによって行われていた。このため、光学系が複雑になるとともに、的確な位置合わせが困難になる場合があった。
【0006】
また、上述した通り、投影レンズは、紫外線等の露光光の波長に適合するように調節されている。一方、基準位置マークを観察するときには、白色光等の可視光をアライメント光として使用していた。このため、パターン基板上方の光源から照射されたアライメント光である可視光により、投影レンズを介して基準位置マークを観察すると、アライメント光の波長が露光光の波長とは相違するため、顕微鏡で観察する基準位置マークの像の位置が逸れる場合がある。さらに、ビームスプリッタ等の光学素子を採用した場合、顕微鏡で検出可能な画像のコントラストが著しく低下することから、コントラストの低下を防止するために偏向板や波長板を採用し、さらに複雑な光学系とならざるを得なかった。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡素な構成でかつ簡易な手順で、パターン基板と被投影基板との位置合わせを的確に行うことができる投影露光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係る投影露光装置は、載置手段に対して露光光照射手段と反対側から、投影レンズに向かってアライメント光を発するアライメント光照射手段であって、載置手段に設けられた第1基準マークと、パターン基板に設けられた第2基準マークと、にアライメント光を照射するアライメント光照射手段と、アライメント光が、第1基準マークに照射されたときに、投影レンズを介して得られる第1基準マークの像の位置と、アライメント光が、第2基準マークに照射されたときに、得られる第2基準マークの像の位置と、を検出する第1検出手段と、第1基準マークの像の位置と第2基準マークの像の位置とが所定の関係を満たす位置に位置調節手段により載置手段を調節したときに、アライメント光が第1基準マークに照射されて得られる第1基準マークの像の位置と、アライメント光が被投影基板に設けられた第3基準マークに照射されて得られる第3基準マークの像の位置と、を検出する第2検出手段とを有する。
【0009】
具体的には、本発明に係る投影露光装置は、
投影すべきパターンが形成されたパターン基板に露光光を照射し、被投影基板に前記パターンを投影する露光光照射手段と、
前記露光光が前記パターン基板に照射されたときに、前記被投影基板に前記パターンを結像させる投影レンズと、
前記被投影基板が載置される載置手段の位置を調節する位置調節手段と、
を含む投影露光装置であって、
前記載置手段に対して前記露光光照射手段と反対側から、前記投影レンズに向かってアライメント光を発するアライメント光照射手段であって、前記載置手段に設けられた第1基準マークと、前記パターン基板に設けられた第2基準マークと、に前記アライメント光を照射するアライメント光照射手段と、
アライメント光が、前記第1基準マークに照射されたときに、前記投影レンズを介して得られる前記第1基準マークの像の位置と、前記アライメント光が、前記第2基準マークに照射されたときに、得られる前記第2基準マークの像の位置と、を検出する第1検出手段と、
前記第1基準マークの像の位置と前記第2基準マークの像の位置とが所定の関係を満たす位置に前記位置調節手段により前記載置手段を調節したときに、前記アライメント光が前記第1基準マークに照射されて得られる前記第1基準マークの像の位置と、前記アライメント光が前記被投影基板に設けられた第3基準マークに照射されて得られる前記第3基準マークの像の位置と、を検出する第2検出手段と、
を含む。
【0010】
上述した発明によれば、アライメント光を、前記載置手段に対して前記露光光照射手段と反対位置から、前記載置手段に設けられた第1基準マークに照射するとともに、前記パターン基板に設けられた第2基準マークに照射するアライメント光照射手段を有することから、アライメント光照射手段から第1検出手段までのアライメント光の光路長を短縮することができる。このため、光路の調整を容易に行うことができる。また、種々の光学素子を少なくして、第1基準マーク及び第2基準マークとを観察することができる。このため、光学素子の影響を少なくして、各々の基準マークの位置を的確に検出することができる。さらに、従来の装置では、載置手段に対して露光光照射手段と同じ側からパターン基板を介して投影レンズに向かってアライメント光をアライメント光照射手段から照射していたが、載置手段に対して露光光照射手段と反対側から投影レンズに向かってアライメント光をアライメント光照射手段から照射する構成としたことにより、他の光学素子を介することなく、アライメント光を第1基準マークと、パターン基板に設けられた第2基準マークと、に照射することが可能となり、アライメント光の検出手段へ到達する効率を良くすることができる。
【0011】
また、アライメント光が、第1基準マークに照射されたときに、投影レンズを介して得られる第1基準マークの像の位置と、アライメント光が、第2基準マークに照射されたときに、得られる第2基準マークの像の位置とを検出する第1検出手段を有することから、アライメント光の検出手段へ到達する効率が良くなるため、第1検出手段により検出される第1基準マークの像と第2基準マークの像とを明確にすることができる。この結果、検第1検出手段の検出結果に基づく画像処理等により位置合わせをする場合、精度良く的確な位置合わせを行うことが可能となる。さらには、位置合わせの調節も容易となる。
【0012】
さらに、第1基準マークの像の位置と第2基準マークの像の位置とが所定の関係を満たす位置に位置調節手段により前記載置手段を調節したときに、アライメント光が第1基準マークに照射されて得られる第1基準マークの像の位置と、アライメント光が被投影基板に設けられた第3基準マークに照射されて得られる第3基準マークの像の位置と、を検出する第2検出手段を有する構成とした。これにより、第1検出手段を利用してパターン基板と載置手段との位置合わせを行った後、第1基準マークと第3基準マークとの各々の位置を記憶することによって、載置手段上の被投影基板との位置合わせが可能となる。これらの位置を記憶するためには、画像処理装置を接続したCCDカメラ等の撮像素子を第1検出手段及び第2検出手段に接続することが好ましい。この結果、CCDカメラ等により撮影された画像をデータ化し、データ化された画像データを用いて画像処理を行い、各基準マークの位置を算出し、記憶メモリに記憶することができる。
なお、「第1基準マークの像と第2基準マークの像とが所定の関係を満たす位置」とは、第1検出手段により検出できる第1基準マークと第2基準マークとの像が互いに重畳する関係を満たす位置以外に、これらの像の間の距離が所定の距離を有する位置も含む。
【0013】
また、第2検出手段により、投影レンズ等を介さずに、第1基準マークと第3基準マークの像とが検出されることから、アライメント光の光路長を短縮でき、精度良く的確な位置合わせを行うことが可能となるだけでなく、位置合わせの調節も容易となる。
【0014】
以上から、本発明に係る投影露光装置は、上述したアライメント光照射手段と、第1検出手段と、第2検出手段とを有することから、各検出手段でアライメント光が効率よく検出できるため、投影露光装置全体の構造の簡素化が可能となる。
【0015】
そして、本発明に係る投影露光装置としては、アライメント光の波長が露光光の波長と同一であることが好ましい。
【0016】
上述した発明によれば、アライメント光の波長が露光光の波長と同一であることから、露光光と同一波長のアライメント光により位置合わせを行った後、そのままの位置で、露光光を照射することで、パターン基板上のパターンを被投影基板上に投影し感光させることが可能となり、精度良く的確な位置合わせが可能となる。
ここで、アライメント光と露光光との波長が「同一」であるとは、両波長が同値である場合に限らず、パターン基板、載置手段及び被投影基板との位置合わせにおいて、投影レンズの特性に応じて、異なる波長のアライメント光により生じる収差が許容できる範囲内である場合も含む。一般に、露光光の波長が0.365μmの場合、アライメント光の波長が0.365μm±0.1μm、好ましくは0.365μm±0.05μmの範囲にあるとき、波長が同一であるという。
【0017】
また、本発明に係る投影露光装置として、アライメント光の波長が露光光の波長と異なり、位置調節手段が、投影レンズにおいて露光光の波長と異なるアライメント光に対して発生する軸上色収差と倍率色収差とを補正する位置に載置手段を調節することも好ましい。
【0018】
上述した発明によれば、露光光の波長と異なるアライメント光によって、位置合わせを行うことが可能となる。特に、露光光の波長と異なるアライメント光の照射による被投影基板の感光は生じないことから、精度良く的確にかつ容易に位置合わせを行うことが可能となる。
上述した発明は、露光光の波長と異なるアライメント光を使用して位置合わせをすることから、このアライメント光の波長を予め計測し、波長の差により生じる軸上色収差と倍率色収差を計算し、計算結果に基づき載置手段の位置を調節することにより、露光光と波長の異なるアライメント光を用いた場合でも精度良く的確な位置合わせが可能となる。
【0019】
そして、本発明に係る投影露光装置として、アライメント光が、関係式α1>α2+α3を満たすことが好ましい。ここで、α1はアライメント光照射手段から発せられたアライメント光の広がり角度を、α2は露光光照射手段からパターン基板に照射され投影レンズを通過できる露光光の広がり角度を、α3は投影レンズの光軸から離れた位置にある露光光照射手段からパターン基板に照射された露光光の主光線と、投影レンズの光軸の平行線との間の最大角度を示している。尚、主光線とは、投影レンズの絞りの中心を通る光線をいう。
【0020】
テレセントリックな投影レンズを用いた場合でも、角度α3は投影レンズの光軸から離れた露光光照射手段の位置によって変化する。しかし、上述した発明によれば、上記関係式を満たすアライメント光を使用することによって、アライメント光照射手段から照射されたアライメント光を載置手段に照射し、投影レンズを介して第1検出手段により検出することが可能となる。従って、より明るいアライメント光を第1検出手段により検出することが可能となり、精度良く的確な位置合わせができる。
【0021】
さらに、本発明に係る投影露光装置としては、被投影基板の第3基準マークと載置手段の第1基準マークとの相対位置を測定可能な測定手段を有することが望ましい。
上述の発明によれば、被投影基板の第3基準マークと載置手段の第1基準マークとの相対位置を直接的に又は間接的に測定可能な測定手段を有することから、位置合わせされた第1基準マークに対して、光学顕微鏡等を利用し、第3基準マークの位置を微調整することなく、測定結果に基づく位置合わせが可能となる。この結果、位置調整手段により載置手段の位置合わせを自動化することが可能となる。
【0022】
さらに、本発明に係る投影露光装置としては、第1検出手段と第2検出手段とが光学顕微鏡であることが望ましい。
上述した発明によれば、検出結果である検出像の位置が、互いに重畳する位置にある関係や、検出像の位置から算出される距離が所定の距離を満たすような関係等にあることを視認することが可能となる。
【0023】
さらに、本発明に係る投影露光装置としては、第3基準マークが、熱膨張係数の値が小さい材料で構成されていることが望ましい。
上述した発明によれば、第3基準マークが、熱膨張係数の値が小さい材料で構成されていることから、パターンを照射する際の温度の影響を小さくして的確な位置合わせができるため、被投影基板上に適切なパターンを形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
上述した発明によれば、載置手段に対して露光光照射手段と反対側から投影レンズに向かってアライメント光を発し、載置手段に設けられた第1基準マークと、パターン基板に設けられた第2基準マークと、にアライメント光を照射するアライメント光照射手段を有することから、アライメント光の光路長が短縮化でき、種々の光学素子を少なくすることが可能となる。従って、アライメント光の検出手段へ到達する効率が良くなり、精度良く的確な位置合わせを容易に行うことが可能となる。さらに、投影露光装置全体の構造の簡素化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
<<<第1の実施の形態>>>
<<構成>>
図1は、本発明の第1の実施の形態による投影露光装置100を示す斜視図である。投影露光装置100は、露光光を照射する露光光の光源110と、パターン基板120(以下、レチクル板と称する)と、レチクル支持台130と、投影レンズ140と、ワーク支持台150と、被投影基板160と、アライメント光を照射する光源170とからなる光学系と、レチクル顕微鏡180a(180b)と、ワーク顕微鏡190a(190b)とからなる測定系と、から構成されている。尚、図1において、ワーク支持台150に被投影基板160が載置されているものを示したが、レチクル板120とワーク支持台150との位置合わせをする際は、ワーク支持台150には被投影基板160を載置せずに行う。
【0026】
<光学系>
[露光光用光源110]
投影露光装置100の上部には、露光光用光源100が、支持部材(図示せず)によって支持されて設けられている。露光光用光源110は、図1に示す+Z方向に向かって所定の波長の露光光、例えば、紫外線を発するように支持部材に設置されている。
【0027】
[レチクル板120]
露光光用光源110から発せられた露光光の進行方向には、レチクル板120が設けられている。レチクル板は、プリント配線板や半導体デバイスのウエハを製造するときに、後述する被投影基板100に導体パターンを形成するために用いられるフォトマスクである。ここで、導体パターンとは、プリント配線板で導電性材料によって形成される図形をいう。
【0028】
図2は、レチクル板120の概略を示す平面図である。レチクル板120には、略中央にガラス基板からなるパターン形成部122が設けられ、ガラス基板上にはパターン126が設けられている。パターン126は、光源110から照射される露光光を遮断し得る材料、例えばクロムからなり、被投影基板160に形成すべきパターンと同様の形状を有する。尚、パターン126が形成されていない領域では、ガラス基板の透明な状態にされており、露光光用光源110から発せられた露光光及び後述するアライメント光用光源170から発せられたアライメント光が透過できる。
【0029】
パターン形成部122を周回する周辺領域も、露光光を遮る材料によって形成されている。この周回領域には、2つの基準マーク形成部124a及び124bが形成され、各基準マーク形成部には、パターン126の基準位置を示すためのプラス字形状の基準マーク128a及び128bが形成されている。基準マーク128a及び128bは、後述する検出手段であるレチクル顕微鏡180a及び180bにより像として検出し得るようにアライメント光を反射する材料からなり、基準マーク128a及び128b以外の基準マーク形成部124a及び124bはガラス基板の透明な状態にされており、アライメント光用光源170から発せられたアライメント光が透過できる。
【0030】
尚、図1に示したレチクル板120においては、パターン形成部122と2つの基準マーク形成部124a及び124bとを図中に示すために、パターン形成部122と2つの基準マーク形成部124a及び124bとがレチクル板120の上面に形成されている図を示したが、これらのパターン形成部122と2つの基準マーク形成部124a及び124bとは、後述するレチクル支持台130の直上に位置付けるため、レチクル板120の下面に形成される。
【0031】
[レチクル支持台130]
レチクル支持台130上には、レチクル板120が着脱自在に載置される。レチクル板120のパターン形成部122と2つの基準マーク形成部124a及び124bとが位置する箇所には、貫通孔(図示せず)が形成されている。上述した光源110から発せられた露光光は、パターン形成部122を通過し、この貫通孔を介して、投影レンズ140に入射することができる。また、後述するアライメント光も、投影レンズ140を通過し、この貫通孔を介して、レチクル板120の基準マーク形成部124a及び124bに入射することができる。
【0032】
[投影レンズ140]
上述したレチクル支持台130の下方には、投影レンズ140が設けられている。投影レンズ140は、レチクル板120に形成されたパターン126の像の大きさを投影レンズ140によって変え、パターン126の像を投影基板160に投影し、所望の大きさの導体パターンを形成することができる。
【0033】
尚、図1では図示していないが、後述する図11に示す通り、投影レンズ内部には絞り144があり、入射光の光束の断面の大きさが所望の大きさになるように変換できる。ここで、投影レンズ140の光軸142から離れた光源から投影レンズ140に発せられ、絞り144の中央を通り像面に至る光線を主光線146という。光線による照射エリア内の各ポイントにおける主光線146の光軸142に対する角度ずれ(平行度)はテレセン度と呼ばれる。テレセン度が0度の場合の投影レンズを「テレセントリックレンズ」と称し、それ以外の場合を「非テレセントリックレンズ」と称し、これらは区別される。従って、投影レンズ140がテレセントリックレンズの場合、光軸142と主光線146とは平行となる。
【0034】
[ワーク支持台150]
ワーク支持台150は、投影レンズ140の下方に設けられている。ワーク支持台150は、X方向、Y方向、Z方向及びθ方向に移動でき、各々の方向に駆動するためのモータ(図示せず)が接続されている。これらのモータには、制御装置(図示せず)が接続されており、制御装置は、ワーク支持台150を所定の位置に移動させる駆動信号をモータに発する。そして、ワーク支持台150の端辺には、後述する2つの基準マーク形成部152a及び152bが形成されている。
【0035】
[被投影基板160]
被投影基板160は、導体パターンが形成される基板であり、ガラスエポキシ基板等からなり、ワーク支持台150に着脱自在に載置される。被投影基板160には、パターン被形成部162が略中央部に形成され、後述する2つの基準マーク形成部164a及び164bが被投影基板160の端辺に形成されている。
【0036】
図3は、ワーク支持台150に被投影基板160を載置した状態を示す平面図である。光源110により露光光を照射し、パターン126を被投影基板160に形成するときは、ワーク支持台150に被投影基板160が載置される。また、後述するアライメント光用光源170によりアライメント光をワーク支持台150に照射し、レチクル板120とワーク支持台150との位置合わせをするときは、ワーク支持台150には被投影基板160を載置せずに行う。
【0037】
ワーク支持台150の1つの端辺の近傍には、2つの基準マーク形成部152a及び152bが形成され、各基準マーク形成部には、ワーク支持台の位置合わせを行うための基準位置を示すためのプラス字形状の基準マーク154a及び154bが形成されている。基準マーク154a及び154bは、像として検出し得るようにアライメント光を反射する材料からなり、基準マーク154a及び154b以外の基準マーク形成部152a及び152bはガラス基板の透明な状態にされており、アライメント光用光源170から発せられたアライメント光が透過できる。
【0038】
また、被投影基板160の1つ端辺の近傍には、2つの基準マーク形成部164a及び164bが形成され、各基準マーク形成部には、被投影基板160とワーク支持台150との位置合わせを行うための基準位置を示すためのプラス字形状の基準マーク166a及び166bが形成されている。基準マーク166a及び166bは、像として検出し得るようになされている。
【0039】
さらに、被投影基板160の位置合わせを行った後、光源110から照射された露光光が、レチクル板120と投影レンズ140とを介して、被投影基板160に照射されたときには、レチクル板120に形成されていたパターン126が被投影基板160に投影される。パターン被形成部162において、レチクル板120に形成されていたパターン126によって影となった箇所は露光されず、パターンによる影とならなかった箇所は露光される。
【0040】
[アライメント光用光源170]
アライメント光用光源170は、ワーク支持台150の位置を調節することにより、レチクル板120と被投影基板160との位置合わせを行うために用いられるアライメント光を発する光源である。アライメント光用光源170は、ワーク支持台50の下方に位置する。アライメント光の光路長を短縮化し、種々の光学素子を少なくし、アライメント光の検出手段へ到達する効率を良くするためは、ワーク支持台150に対して露光光用光源110と反対側から投影レンズ140に向かって、ワーク支持台150の基準マーク形成部152a(152b)に、他の光学素子を介さず、直接、アライメント光をアライメント光用光源170から照射することが好ましい。
【0041】
アライメント光用光源170としては、アライメント光を均一に照射するため、LED光源172と、集光レンズ174と、スリガラス176とからなるものがある(図4(a))。LED光源172から発せられたアライメント光は、集光レンズ174により集光された後、スリガラス176を通過することにより、ワーク支持台150の基準マーク形成部152a(152b)に均一にアライメント光の照射を行う。
【0042】
また、スリガラス176に代えてロッドレンズ178とからなるものもある(図4(b))。LED光源172から発せられたアライメント光は、集光レンズ174により集光された後、ロッドレンズ178を通過することにより均一性の高いアライメント光にされ、ワーク支持台150の基準マーク形成部152a(152b)に均一にアライメント光の照射を行う。
【0043】
<検出系>
[レチクル顕微鏡180a及び180b]
レチクル顕微鏡180a及び180bは、レチクル支持台130の近傍に設けられ、2つのレチクル顕微鏡180a及び180bの各々の前方には、ミラー182a及び182bが設けられている。これらのレチクル顕微鏡180a及び180bと、ミラー182a及び182bとは、同一のレチクル顕微鏡支持台(図示せず)に固定されている。このレチクル顕微鏡支持台は、図中の矢印で示す如く、X方向に往復移動できるようになされている。レチクル顕微鏡支持台が移動したときには、レチクル顕微鏡180a及び180bと、ミラー182a及び182bとの相対的な位置関係を保ちつつ、レチクル顕微鏡180a及び180bと、ミラー182a及び182bとが一体となって移動することができる。
【0044】
レチクル顕微鏡支持台が、X方向の負の方向に移動したときには、ミラー182aは基準マーク形成部124aの上方に位置するように、ミラー182bは基準マーク形成部124bの上方に位置するように、レチクル顕微鏡支持台を位置付けることができる。以下、この位置をレチクル顕微鏡支持台の前進位置と称する。
【0045】
また、レチクル顕微鏡支持台が、X方向の正の方向に移動したときには、ミラー182aとミラー182bとがレチクル支持台130からX方向に離隔した位置に位置するように、レチクル顕微鏡支持台を位置付けることができる。以下、この位置をレチクル顕微鏡支持台の退避位置と称する。
【0046】
[ワーク顕微鏡190a及び190b]
上述したワーク支持台150の近傍には、2つのワーク顕微鏡190a及び190bが設けられ、2つのワーク顕微鏡190a及び190bの各々の前方には、ミラー192a及び192bが設けられている。これらのワーク顕微鏡190a及び190bと、ミラー192a及び192bとは、同一のワーク顕微鏡支持台(図示せず)に固定されている。このワーク顕微鏡支持台は、図中の矢印で示す如く、X方向に往復移動できるようになされている。ワーク顕微鏡支持台が移動したときには、ワーク顕微鏡190a及び190bと、ミラー192a及び192bとの相対的な位置関係を保ちつつ、ワーク顕微鏡190a及び190bと、ミラー192a及び192bとが一体となって移動することができる。
【0047】
ワーク顕微鏡支持台が、X方向の正の方向に移動したときには、ミラー192aは基準マーク形成部152aの上方に位置するように、ミラー192bは基準マーク形成部152bの上方に位置するように、ワーク顕微鏡支持台を位置付けることができる。以下、この位置をワーク顕微鏡支持台の前進位置と称する。
【0048】
また、ワーク顕微鏡支持台が、X方向の負の方向に移動したときには、ミラー192aとミラー192bとがワーク支持台150からX方向に離隔した位置に位置するように、ワーク顕微鏡支持台を位置付けることができる。以下、この位置をワーク顕微鏡支持台の退避位置と称する。
【0049】
尚、レチクル顕微鏡支持台の前進位置とワーク顕微鏡支持台の前進位置とは、予め位置合わせしておくものとする。これにより、各位置を記憶することによって、レチクル板120と、ワーク支持台150と、ワーク支持台150上の被投影基板160との位置合わせが可能となる。
【0050】
各位置を記憶するためには、画像処理装置を接続したCCDカメラ等の撮像素子をレチクル顕微鏡180a(180b)及びワーク顕微鏡190a(190b)に接続することが好ましい。CCDカメラ等により撮影された画像をデータ化し、データ化された画像データを用いて画像処理を行い、各基準マークの位置を算出し、記憶メモリに記憶することができる。従って、撮影されたレチクル板120の基準マーク128a及び128b、ワーク支持台150の基準マーク154a及び154b、そして被投影基板160の基準マーク166a及び166bの像から、各基準マークの像の位置を検出することができる。
【0051】
<<位置合わせ、露光の手順>>
以下に、図5〜図8を用いて、第1の実施の形態による投影露光装置100を用いて、位置合わせ及び露光を行う手順を説明する。図5はレチクル板120とワーク支持台150との位置合わせを行っている投影露光装置100を示した図であり、図6はレチクル顕微鏡180a及び180bに接続された撮像素子によって撮像された像を示す図である。図7は、ワーク支持台150と被投影基板160との位置合わせを行っている投影露光装置100を示した図であり、図8はワーク顕微鏡190a及び190bに接続された撮像素子によって撮像された像を示す図である。また、レチクル板120に形成されているパターン形成部122と、2つの基準マーク128a及び128bとは、破線の長方形として示した。尚、本実施の形態においては、所定の露光光と同一波長のアライメント光を用いて位置合わせを行う。
【0052】
<第1ステップ>
最初に、図5に示すように、レチクル板120をレチクル支持台150に載置した上で、レチクル顕微鏡支持台を前進位置に移動させる。
【0053】
そして、ワーク支持台150の下方に位置づけられたアライメント光用光源170から、アライメント光を、ワーク支持台150の基準マーク形成部152a及び152bに照射する。アライメント光のうちの一部は基準マーク形成部152a及び152bに形成されている基準マーク154a及び154bによって反射され、その他のアライメント光は、基準マーク形成部152a及び152bを透過する。透過したアライメント光は、投影レンズ140と、レチクル板120の基準マーク形成部124a及び124bと、ミラー182a及び182bとを介して、レチクル顕微鏡180a及び180bに入射する。レチクル顕微鏡180a及び180bの撮像素子により、レチクル板120の基準マーク124a及び124bの像と、ワーク支持台150の基準マーク154a及び154bの像とを検出し、撮像した像を画像データとして記憶する(図6(a))。尚、図6(a)の左図はレチクル顕微鏡180aで撮像したものであり、右図はレチクル顕微鏡180bで撮像したものであり、後述の図6(b)も同様である。
【0054】
<第2ステップ>
次いで、ワーク支持台150を制御装置により移動させ、レチクル板120の基準マーク124a及び124bの像に対して、ワーク支持台150の基準マーク154a及び154bの像が重畳するように位置調節する(図6(b))。
【0055】
尚、第1の実施の形態においては、ワーク支持台150を制御装置により移動し位置合わせを行ったが、ワーク支持台150の制御装置に替えて、レチクル支持台130に制御装置を設け位置合わせを行うことも可能である。この場合、レチクル支持台130に、X方向、Y方向、Z方向及びθ方向に移動でき、各々の方向に駆動するためのモータ(図示せず)を接続し、これらのモータに接続する制御装置を設ける。
【0056】
<第3ステップ>
次いで、レチクル板120とワーク支持台150との位置合わせを行った後、ワーク支持台150と、ワーク支持台150に載置される被投影基板160との位置合わせを行うため、図7(a)のように、レチクル顕微鏡支持台を退避位置に移動させ、ワーク顕微鏡支持台を前進位置に移動させる。
【0057】
そして、ワーク支持台150の下方に設けられたアライメント光用光源170から、アライメント光を、ワーク支持台150の基準マーク形成部152a及び152bに照射する。アライメント光のうちの一部は基準マーク形成部152a及び152bに形成されている基準マーク154a及び154bによって反射される。その他のアライメント光は、基準マーク形成部152a及び152bを透過する。透過したアライメント光は、ミラー192a及び192bとを介して、ワーク顕微鏡190a及び190bに入射する。ワーク顕微鏡190a及び190bにより、ワーク支持台150の基準マーク154a及び154bの像を検出し、撮像した像を画像データとして記憶する(図8(a))。尚、図8(a)の左図はワーク顕微鏡190aで撮像したものであり、右図はワーク顕微鏡190bで撮像したものであり、後述の図8(b)及び図8(c)も同様である。
【0058】
<第4ステップ>
次いで、図7(b)に示す通り、ワーク支持台150に被投影基板160を載置した後、ワーク顕微鏡190a及び190bにより、被投影基板160に形成されている基準マーク166a及び166bの像を検出する(図8(b))。尚、ステップ3において記憶されたワーク支持台150の基準マーク154a及び154bの像を点線で示した。
そして、記憶されたワーク支持台150の基準マーク154a及び154bの像に対して、被投影基板160に形成されている基準マーク166a及び166bの像が重畳する位置にワーク支持台150を移動する(図8(c))。尚、ワーク支持台150の移動は、ワーク支持台150を駆動するX方向、Y方向、Z方向又はθ方向のモータを制御することにより行われる。
【0059】
<ステップ5>
ステップ1からステップ4により、ワーク支持台150の下方に設けられたアライメント光用光源170から照射されたアライメント光を用いて位置合わせを行った後、露光光用光源110から露光光を照射し、レチクル板120と投影レンズ140とを介して、ワーク支持台150に載置された被投影基板160に露光光が照射されることにより、レチクル板120に形成されていたパターン126が被投影基板160に投影される。
【0060】
<<第1の実施の形態の概要>>
レチクル顕微鏡支持台の前進位置とワーク顕微鏡支持台の前進位置とは、予め位置合わせされている。したがって、レチクル板120の基準マーク128a及び128bの像に対して、ワーク支持台150に設けられている基準マーク154a及び154bの像の位置合わせを行い、位置合わせを行った基準マーク154a及び154bを、被投影基板160に設けられている基準マーク166a及び166bの基準位置として記憶する。
【0061】
これにより、ワーク支持台150に載置された被投影基板160の基準マーク166a及び166bの位置を、レチクル板120の基準マーク128a及び128bの位置に位置合わせすることができ、被投影基板160とレチクル板120との位置合わせをすることができる。
【0062】
従って、第1の実施の形態に示した構成及び手順により、アライメント光を、ワーク支持台150に対して露光光用光源110と反対位置から照射することから、光源170からレチクル顕微鏡180a及び180bへの光路長を短縮することができる。このため、光路の調整を容易に行うことができる。また、光学素子の影響を少なくして、各々の基準マークの位置を的確に検出することができる。さらに、他の光学素子を介することなく、レチクル板120の基準マーク128a及び128bと、ワーク支持台150の基準マーク154a及び154bと、にアライメント光を照射する構成としたことにより、アライメント光がレチクル顕微鏡180a及び180bへ到達する効率が良くなる。従って、他の光学素子の影響を受けず、各々の基準マークの位置を的確に検出することができ、精度良く的確な位置合わせを容易に行うことが可能となる。
【0063】
さらに、ビームスプリッタ等の光学要素を採用することは必要なくなる結果、顕微鏡で検出可能な画像のコントラストが著しく低下することもなくなるため、コントラストの低下を防止するための偏向板や波長板も不要であり、投影露光装置全体の構造の簡素化が可能となる。
【0064】
尚、上述した基準マーク128a及び128b、154a及び154b、並びに166a及び166bは、熱膨張係数が小さい材料からなるものが好ましい。このような材料を選択することにより、パターンを照射する際の温度の影響を小さくすることができ、被投影基板160において適切なパターンを形成することができる。
【0065】
<<<第2の実施の形態>>>
上述の第1の実施の形態においては、各基準マークを重畳する関係になるように位置合わせを行ったが、画像処理装置を接続したCCDカメラ等の撮像素子をレチクル顕微鏡180a(180b)及びワーク顕微鏡190a(190b)に接続することにより、CCDカメラ等により撮影された画像をデータ化し、データ化された画像データを用いて画像処理を行い、各基準マークの位置を算出し、記憶メモリに記憶することができる。従って、干渉計等を利用し、記憶した位置に基づき位置合わせをすることも可能である。
【0066】
図9は、本発明の第2の実施の形態による投影露光装置200を示した図である。第2の実施の形態による投影露光装置200が、第1の実施の形態による投影露光装置100と異なる構成は、干渉計210を設けていることである。図9では、その他の第1の実施の形態による投影露光装置100と共通する構成要素には、同一の符号を付した。
【0067】
第2の実施の形態による投影露光装置200では、レチクル板120とワーク支持台150との位置合わせを行った後、顕微鏡190a及び190bによって検出され、記憶されたワーク支持台150の基準マーク154a及び154bの像の位置に対して、被投影基板160の基準マーク166a及び166bを位置合わせするのではなく、干渉計を用いて位置合わせを行う。
【0068】
具体的には、レチクル板120とワーク支持台150との位置合わせを行った後、ワーク支持台150の所定の位置と被投影基板160の所定の位置とを干渉計により測定し、ワーク支持台150の基準マーク154a及び154bに対する被投影基板160の基準マーク166a及び166bとの相対的位置Aを干渉計210により測定し、測定結果に基づき位置合わせを行う。
【0069】
従って、第2の実施の形態による投影露光装置200を用いた位置合わせをした場合、ワーク支持台150の基準マーク154a(154b)に対する被投影基板160の基準マーク166a(166b)の相対的位置Aに基づく位置合わせを自動化することにより、光学顕微鏡を利用した微調整等を必要とせず、簡易に、精度良く的確な位置合わせが可能となる。
【0070】
<<<第3の実施の形態>>>
図5においては、アライメント光用光源170からワーク支持台150の基準マーク形成部152a及び152bに照射されたアライメント光が、屈折することなく、投影レンズ140と、レチクル板120の基準マーク形成部124a及び124bと、ミラー182a及び182bとを介して、レチクル顕微鏡180a及び180bに入射する実施形態を示している。ここで、図10は、光源170から発せされたアライメント光が、ワーク支持台150の基準マーク形成部152a及び152bにおいて屈折した後、投影レンズ140に入射し、レチクル顕微鏡180a及び180bにおいて検出されるまでのアライメント光の光路を示した図である。
【0071】
図10に示す通り、屈折する場合においても、テレセントリックな投影レンズを使用することにより、本発明の投影露光装置300を適用して、精度良く的確な位置合わせを容易にかつ迅速に行うことができる。
【0072】
また、アライメント光は、図11に示すように、広がり角度を有する。アライメント光用光源170から発せられたアライメント光の広がり角度(α1)に関して、α1>α2+α3の関係式を満たす場合、より明るいアライメント光をレチクル顕微鏡180a(180b)により検出することが可能となるため、位置合わせが的確に行える。
【0073】
ここで、α1はアライメント光用光源170から照射されたアライメント光の広がり角度を、α2は露光光用光源110から照射され投影レンズ140内の絞り144を通過できる露光光の広がり角度を、α3は投影レンズ140の光軸142から離れた露光光用光源110から照射された露光光の主光線146と、投影レンズ140の光軸の平行線との間の最大角度を表す。
【0074】
テレセントリックな投影レンズを用いた場合でも、角度α3は投影レンズ140の光軸142から離れた露光光用光源110の位置によって変化する。しかし、上記関係式を満たすアライメント光を使用することによって、アライメント光用光源170から照射されたアライメント光をワーク支持台150の基準マーク部162a(162b)に照射し、投影レンズ140の絞り144を通過しレチクル顕微鏡180a(180b)により検出することが可能となる。従って、より明るいアライメント光をレチクル顕微鏡180a(180b)により検出することが可能となることから、精度良く的確な位置合わせが可能となる。
【0075】
<<<第4の実施の形態>>>
上述の実施の形態においては、露光光と同一波長のアライメント光を用いたが、露光光の波長と異なるアライメント光を用いて位置合わせを行うことも可能である。図12は、露光光と異なる波長のアライメント光を用いた場合の投影露光装置400を示した図である。図12では、第1の実施の形態による投影露光装置100と共通する構成要素に、同一の符号を付した。
【0076】
露光光と異なる波長のアライメント光を用いた場合、露光光とアライメント光との波長差による倍率色収差と軸上色収差とが生じる。ここで、図12において、Bは異なる波長による倍率色収差によるX、Y方向の位置ずれを、Cは異なる波長による軸上色収差によるZ方向の位置ずれを示す。Dは、露光光の波長と同じアライメント光を、ワーク支持台150の基準マーク154a(154b)に照射してレチクル顕微鏡180a(180b)で撮像したときに、基準マーク154a(154b)の像がレチクル顕微鏡180a(180b)で合焦するワーク支持台150の位置を、Eは露光光の波長と異なるアライメント光を、ワーク支持台150の基準マーク154a(154b)に照射してレチクル顕微鏡180a(180b)で撮像したときに、基準マーク154a(154b)の像がレチクル顕微鏡180a(180b)で合焦するワーク支持台150の位置を示す。
【0077】
従って、アライメント光を照射し位置合わせを行う前に、アライメント光の波長を計測し、波長差により生じる倍率色収差と軸上色収差とを計算し、計算結果に基づき載置手段の位置を調節することにより、露光光と波長の異なるアライメント光を用いた場合でも精度良く的確な位置合わせが可能となる。
【0078】
さらに、露光光の波長と異なるアライメント光の照射による被投影基板の感光は生じないことから、精度良く的確にかつ容易に位置合わせを行うことが可能となる。
【0079】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、アライメント光を、ワーク支持台150に対して露光光用光源110と反対位置から照射する構成としたことから、光源170からレチクル顕微鏡180a及び180bへの光路長を短縮することができる。このため、光路の調整を容易に行うことができる。また、種々の光学素子を少なくして、レチクル板120の基準マーク128a(128b)と、ワーク支持台150の基準マーク154a(154b)とを観察することができるとともに、アライメント光がレチクル顕微鏡180a及び180bへ到達する効率が良くなる。以上から、精度良く的確な位置合わせを容易に行うことが可能となる。さらに、投影露光装置全体の構造の簡素化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施の形態による投影露光装置100を示す斜視図である。
【図2】レチクル板120の概略を示す平面図である。
【図3】ワーク支持台150に被投影基板160を載置した状態を示す平面図である。
【図4】アライメント光の光源170を示す図である。
【図5】レチクル板120とワーク支持台150との位置合わせを行っている投影露光装置100を示した図である。
【図6】2つのレチクル顕微鏡180a及び180bに接続された撮像素子によって撮像された像を示す図である。
【図7a】ワーク支持台150と被投影基板160との位置合わせを行っている投影露光装置100を示した図である。
【図7b】ワーク支持台150と被投影基板160との位置合わせを行っている投影露光装置100を示した図である。
【図8】2つのワーク顕微鏡190a及び190bに接続された撮像素子によって撮像された像を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態による投影露光装置200を示した図である。
【図10】アライメント光がワーク支持台150の基準マーク形成部152a及び152bにおいて屈折した場合のアライメント光の光路を示した図である。
【図11】広がり角度を有するアライメント光に関する関係式を説明するための投影露光装置300の概略を示す側面図である。
【図12】露光光と異なる波長のアライメント光を用いた場合の投影露光装置400を示した図である。
【符号の説明】
【0081】
100,200,300,400 投影露光装置
110 露光光用光源
120 レチクル板(パターン基板)
128a、128b レチクル板120の基準マーク(第2基準マーク)
130 レチクル支持台
140 投影レンズ
142 光軸
144 絞り
150 ワーク支持台(載置手段)
154a、154b ワーク支持台150の基準マーク(第1基準マーク)
160 被投影基板(被投影基板)
166 被投影基板160の基準マーク(第3基準マーク)
170 アライメント光用光源
180a、180b レチクル顕微鏡(第1検出手段)
190a、190b ワーク顕微鏡(第2検出手段)
A ワーク支持台150の基準マーク154a(154b)に対する被投影基板160の基準マーク166a(166b)の相対的位置
B 異なる波長による倍率色収差による位置ずれ
C 異なる波長による軸上色収差による位置ずれ
D 露光光の波長に対して合焦するワーク支持台の位置
E 露光光の波長と異なる波長の光に対して合焦するワーク支持台の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影すべきパターンが形成されたパターン基板に露光光を照射し、被投影基板に前記パターンを投影する露光光照射手段と、
前記露光光が前記パターン基板に照射されたときに、前記被投影基板に前記パターンを結像させる投影レンズと、
前記被投影基板が載置される載置手段の位置を調節する位置調節手段と、
を含む投影露光装置であって、
前記載置手段に対して前記露光光照射手段と反対側から、前記投影レンズに向かってアライメント光を発するアライメント光照射手段であって、前記載置手段に設けられた第1基準マークと、前記パターン基板に設けられた第2基準マークと、に前記アライメント光を照射するアライメント光照射手段と、
アライメント光が、前記第1基準マークに照射されたときに、前記投影レンズを介して得られる前記第1基準マークの像の位置と、前記アライメント光が、前記第2基準マークに照射されたときに、得られる前記第2基準マークの像の位置と、を検出する第1検出手段と、
前記第1基準マークの像の位置と前記第2基準マークの像の位置とが所定の関係を満たす位置に前記位置調節手段により前記載置手段を調節したときに、前記アライメント光が前記第1基準マークに照射されて得られる前記第1基準マークの像の位置と、前記アライメント光が前記被投影基板に設けられた第3基準マークに照射されて得られる前記第3基準マークの像の位置と、を検出する第2検出手段と、
を含むことを特徴とする投影露光装置。
【請求項2】
前記アライメント光の波長が露光光の波長と同一である、
ことを特徴とする請求項1記載の投影露光装置。
【請求項3】
前記アライメント光の波長が露光光の波長と異なり、
前記位置調節手段が、前記投影レンズにおいて前記露光光の波長と異なる前記アライメント光に対して発生する軸上色収差と倍率色収差とを補正する位置に前記載置手段を調節する、
ことを特徴とする請求項1記載の投影露光装置。
【請求項4】
前記アライメント光が、
α1>α2+α3
α1:アライメント光照射手段から発せられたアライメント光の広がり角度
α2:露光光照射手段からパターン基板に照射され投影レンズを通過できる露光光の広がり角度
α3:投影レンズの光軸から離れた位置にある露光光照射手段からパターン基板に照射された露光光の主光線と、投影レンズの光軸の平行線との間の最大角度
を満たす、
ことを特徴とする請求項2又は3記載の投影露光装置。
【請求項5】
前記被投影基板の第3基準マークと前記載置手段の第1基準マークとの相対位置を測定可能な測定手段を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4記載の投影露光装置。
【請求項6】
前記第1検出手段と前記第2検出手段とが光学顕微鏡である、
ことを特徴とする請求項1乃至5記載の投影露光装置。
【請求項7】
前記第3基準マークは、熱膨張係数の値が小さい材料で構成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至6記載の投影露光装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−42858(P2007−42858A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225229(P2005−225229)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(501466938)株式会社目白プレシジョン (31)
【Fターム(参考)】