説明

抗−分裂剤としてのエストロゲン性化合物

【課題】 望ましくない細胞有糸分裂を特徴とする哺乳類の疾患の処置に有用である化合物を提供することを課題とする。
【解決手段】 チューブリンに結合し、微小管形成を阻害する、又は抗−有糸分裂性を示す新規なエストラジオール誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は異常な細胞有糸分裂を特徴とする疾患状態の処置に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞有糸分裂は、細胞分裂及び複製を含む多−段階過程である(Alberts,B.et al.In The Cell,pp.652−661(1989);Stryer,E.Biochemistry(1988))。有糸分裂は、有糸分裂紡錘体及び染色体を含む細胞小器官の細胞内運動及び分離を特徴とする。細胞小器官の運動及び分離は、細胞タンパク質チューブリンの重合により促進される。微小管はα及びβチューブリン重合及びGTPの加水分解から形成される。微小管形成は細胞有糸分裂、細胞運動、ならびに繊毛及び鞭毛などの高度に特殊化された細胞構造の運動に重要である。
【0003】
微小管は非常に変化し易い構造であり、それは多様な化学的に関連性のない抗−分裂薬に感受性である。例えばコルヒチン及びノカダゾールはチューブリンに結合する抗−分裂薬であり、チューブリンの重合を阻害する(Stryer,E.Biochemistry(1988))。単独で、又は他の治療薬と組み合わされて用いられると、コルヒチンは癌の処置に(WO−9303729−A、1993年3月4日公開;J03240726−A、1991年10月28日公開)、神経筋機能の変更に、血圧の変化に、交感神経機能に影響する化合物への感受性を向上させるために、呼吸の抑制に、及び痛風の軽減に(Physician's Desk Reference,vol.47,p.1487,(1993))用いることができる。
【0004】
エストラジオール及びエストラジオール代謝物、例えば2−メトキシエストラジオールは細胞分裂を阻害すると報告された(Seegers,J.C.et al.J.Steroid Biochem.32,797−809(1989);Lottering M−L.et al.Cancer Res.52,5926−5923(1992);Spicer,L.J.and Hammond J.M.Mol.and Cell.Endo.64,119−126(1989);Rao,P.N.and Engelberg,J.Exp.Cell Res.48,71−81(1967))。しかし活性は変化し得、複数の試験管内条件に依存する。例えばエストラジオールはいくつかの試験管内設定において細胞分裂及びチューブリン重合を阻害する(Spicer,L.J.and Hammond,J.M.Mol.and Cell.Endo.64,119−126(1989);Ravindra,R.,J.Indian Sci.64(c)(1983))が、他においては阻害しない(Lottering,M−L,et al.Cancer Res.52,5926−5923(1992);Ravindre,R.,J.Indian Sci.64(c)(1983))。2−メトキシエストラジオールなどのエストラジオール代謝物は、細胞培養添加物フェノールレッドが存在するか否か、及び細胞がどの程度エストロゲンに暴露されたかに依存する選ばれた試験管内の設定において細胞分裂を阻害する。(Seegers,J.C.et al.Joint NCI−IST Symposium.Biology and Therapy of Breast Cancer.9/25−9/27,1989,Genoa,Italy,Abstract A58)。
【0005】
多数の疾患が異常な細胞有糸分裂を特徴とする。例えば調節されない細胞有糸分裂は癌の証明である。さらに細胞有糸分裂は、胚の正常な発生、黄体の形成、傷の治癒、炎症及び免疫応答、血管形成、ならびに血管形成関連疾患に重要である。
【0006】
【特許文献1】WO−9303729−A
【特許文献2】J03240726−A
【非特許文献1】Alberts,B.et al.In The Cell,pp.652−661(1989)
【非特許文献2】Stryer,E.Biochemistry(1988)
【非特許文献3】Physician's Desk Reference,vol.47,p.1487,(1993)
【非特許文献4】Seegers,J.C.et al.J.Steroid Biochem.32,797−809(1989)
【非特許文献5】Lottering M−L.et al.Cancer Res.52,5926−5923(1992)
【非特許文献6】Spicer,L.J.and Hammond J.M.Mol.and Cell.Endo.64,119−126(1989)
【非特許文献7】Rao,P.N.and Engelberg,J.Exp.Cell Res.48,71−81(1967)
【非特許文献8】Ravindra,R.,J.Indian Sci.64(c)(1983)
【非特許文献9】Seegers,J.C.et al.Joint NCI−IST Symposium.Biology and Therapy of Breast Cancer.9/25−9/27,1989,Genoa,Italy,Abstract A58
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概略
私はある一般式の範囲内のある種の化合物が、望ましくない細胞有糸分裂を特徴とする哺乳類の疾患の処置に有用であることを見いだした。特定の理論に縛られることは望まないが、そのような化合物は一般に微小管形成及びチューブリン重合及び/又は解重合を阻害する。該阻害活性を有する一般式の範囲内の化合物が好ましい。好ましい組成物はエストロゲンレセプター結合における変化(増加又は減少)、吸収、輸送(例えば血液−脳関門及び細胞膜を介した)、生物学的安定性の向上、又は毒性の低下も示すことができる。私は又、ある一般式により記載される、方法において有用なある種の化合物も見いだした。
【0008】
本明細書において定義される望ましくない細胞有糸分裂を特徴とする哺乳類疾患は、過剰な又は異常な内皮細胞の刺激(例えば動脈硬化症)、充実性腫瘍及び腫瘍転移、良性腫瘍、例えば血管腫、聴神経鞘腫、神経線維腫、トラコーマ及び化膿性肉芽腫、血管機能不全、異常な傷の治癒、炎症及び免疫障害、ベーチェット病、痛風又は痛風性関節炎、ならびに慢性関節リウマチ、乾癬、糖尿病性網膜症及び他の眼血管由来疾患、例えば未熟児網膜症(水晶体後方線維増殖症)、黄斑変性、角膜移植拒絶、血管新生緑内障及びオスラーウェーバー症候群を伴う異常な血管形成を含むが、これらに限られない。他の望ましくない血管形成は、排卵及び胞胚の着床を含む正常な過程を含む。従って上記の組成物は排卵及び胞胚の着床の阻害に、又は月経の阻害(無月経の誘導)に用いることができる。
【0009】
本発明の他の特徴及び利点は、その好ましい実施態様に関する以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
好ましい実施態様の説明
本発明の化合物
下記に記載する通り、本発明に従って有用な化合物はチューブリンに結合し、微小管形成を阻害する、又は抗−有糸分裂性を示す新規なエストラジオール誘導体を含む。本発明に従う特定の化合物を下記に記載する。当該技術分野における熟練者は、本発明がある式の範囲内の、上記の特性を有する他の化合物に拡張されることを認識するであろう。これらの特性は下記及び文献の他の部分で詳細に記載されるアッセイを用い、各試験化合物に関して決定することができる。
【0011】
特定の機構又は理論に縛られることは望まないが、微小管形成を阻害し、チューブリンに結合し、抗−有糸分裂性を示すことが知られているある種の化合物、例えばコルヒチン及びコンブレタスタチンA−4は、エストラジオールとある種の構造的類似性を共有すると思われる。図3はエストラジオール、コルヒチン、コンブレタスタチンA−4、及びチューブリンに結合して微小管アセンブリー(microtubule assembly)を阻害し、抗−有糸分裂性を示す改良エストラジオール誘導体の分子式を示している。分子式は、コルヒチン、コンブレタスタチンA−4、エストラジオール及びある種のエストラジオール誘導体の環構造の間の構造的類似性を強調するように描かれ、方向を向けられている。エストラジオール誘導体は、エストラジオールのステロイド骨格中にコルヒチン又はコンブレタスタチンA−4の構造モチーフを挿入することにより作られた。
【0012】
図3、I部はコルヒチン、2−メトキシエストラジオール及びコンブレタスタチンA−4の化学式を描いている。図3、IIa−d部はエストラジオール誘導体を示しており、それはコルヒチン又はコンブレタスタチンA−4に見いだされる構造モチーフを含む。例えばIIa−c部はコルヒチンに見いだされる通り、A及び/又はB環が6〜7員炭素に拡大されたエストラジオール誘導体を示し、IId部はコンブレタスタチンA−4に見いだされる通り、部分的B環を有するエストラジオールを描いている。図3に示されているものを含むエストラジオール誘導体の各C環は2−メトキシエストラジオールに見いだされる通りに完全に飽和されていることができる。各R1−R6は独立して−R1、OR1、−OCOR1、−SR1、−F、−NHR2、−Br、−I又は−C≡CHとして定義することができる。
【0013】
その場における抗−有糸分裂活性
抗−有糸分裂活性は、改良エストラジオール誘導体が新しい血管細胞の増殖(血管形成)を阻害する能力を試験することによりその場で評価される。適したアッセイは、Crum et al.Science 230:1375(1985)に記載のニワトリ胚絨毛尿膜(CAM)アッセイである。CAMアッセイを説明している米国特許第5,001,116号も参照されたく、その記載事項は引用することにより本明細書の内容となる。簡単に記載すると、受精したニワトリ胚を第3又は4日にそれらの殻から取り出し、薬剤を含むメチルセルロース円板を絨毛尿膜上に移植する。胚を48時間後に調べ、メチルセルロース円板の回りに明白な無血管領域が現れていたら、その領域の直径を測定する。このアッセイを用い、エストラジオール誘導体2−メトキシエストラジオールの100mgの円板が48時間後に、細胞有糸分裂及び新しい血管の生長を阻害することが見いだされた。この結果は、2−メトキシエストラジオールの抗−有糸分裂作用が、細胞有糸分裂及び血管形成を阻害できることを示している。
【0014】
試験管内における抗−有糸分裂活性
試験管内においてエストラジオール誘導体がチューブリン重合及び微小管集合を阻害する能力を調べることにより、抗−有糸分裂活性を評価することができる。微小管集合は、電子的温度コントローラーを備えたGilford記録分光光度計(モデル250又は2400S)において追跡される。反応混合物(すべての濃度は0.25μlの最終的反応体積に関する)は1.0Mのグルタミン酸一ナトリウム(ph6.6)、1.0mg/m
l(10μM)のチューブリン、1.0mMのMgCl2、4%(v/v)のジメチルスルホキシド及び20〜75μMの試験されるべき組成物を含む。0.24mlの反応混合物を37℃において15分間インキュベートし、次いで氷上で冷却する。10μlの2.5mM GTPの添加後、反応混合物を0℃においてキュベットに移し、ベースラインを確定する。時間0において分光光度計の温度コントローラーを37℃に設定する。微小管集合を350nmにおける濁り度の増加により評価する。別の場合、下記の実施例2に記載する透過型電子顕微鏡により微小管集合の阻害を追跡することができる。
【0015】
指示
本発明は異常な細胞有糸分裂を特徴とするいずれの疾患の処置にも用いることができる。そのような疾患は:異常な内皮細胞の刺激(例えば動脈硬化症)、充実性腫瘍及び腫瘍転移、良性腫瘍、例えば血管腫、聴神経鞘腫、神経線維腫、トラコーマ及び化膿性肉芽腫、血管機能不全、異常な傷の治癒、炎症及び免疫障害、ベーチェット病、痛風又は痛風性関節炎、ならびに慢性関節リウマチ、乾癬、糖尿病性網膜症及び他の眼血管由来疾患、例えば未熟児網膜症(水晶体後方線維増殖症)、黄斑変性、角膜移植拒絶、血管新生緑内障及びオースラーウェーバー症候群を伴う異常な血管形成を含むが、これらに限られない。
【0016】
改良エストラジオール誘導体合成
本発明に従って用いられる既知化合物及び本発明の新規な化合物への前駆体類は、例えばSigma Chemical Co.,St.Loues,Steroloids and Research Plusから購入することができ、本発明の他の化合物は公共的に入手可能な前駆体類から既知の方法に従って合成することができる。
【0017】
エストラジオールの化学合成は記載がある(Eder,V.et al.,Ber 109,2948(1976);Oppolzer,D.A.and Roberts,D.A.Helv.Chim.Acta/9.63,1703(1980))。多−環状化合物における7−員環形成のための合成法は既知である(Nakamuru,T.et al.Chem.Pharm.Bull.10,281(1962);Sunagawa,G.et al.Chem.Pharm.Bull.9,81(1961);Van Tamelen,E.E.et al.Tetrahedron 14,8−34(1961);Evans,D.E.et al JACS 103,5813(1981))。当該技術分野における熟練者は、閉環が7−員環を与えるように出発材料を適切に変更することにより、エストラジオールの化学合成を7−員環を含むように修正できることを認識するであろう。エストラジオール又はエストラジオール誘導体は、既知の化学的方法により、本発明に従う適した化学的側鎖を含むように修飾することができる。(The Merck Index,11th Ed.,Merck & Co.,Inc.,Rahway,NJ.USA(1989).pp.583−584)。
【0018】
投与
上記の組成物は、既知の方法を用いて生理学的に許容し得る調剤として供給することができ、これらの調剤は標準的経路により投与することができる。一般に組み合わせは局所的、経口的、直腸内又は非経口的(例えば静脈内、皮下又は筋肉内)経路により投与することができる。さらに組み合わせを、持続性放出を可能にする生物分解性ポリマー類中に挿入することができ、ポリマー類はデリバリー(delivery)が望まれている場所の近隣に、例えば腫瘍の部位に移植される。生物分解性ポリマー類及びそれらの利用はBrem et al.,J.Neurosurg.74:441−446(1991)に詳細に記載されている。
【0019】
組成物の投薬量は処置されるべき状態、用いられる特定の誘導体、ならびに患者の体重及び状態、及び化合物の投与経路などの他の臨床的因子に依存する。しかしヒトに対する
経口的投与の場合、0.01〜100mg/kg/日、好ましくは0.01〜1mg/kg/日の投薬量が一般に十分である。
【0020】
調剤は経口的、直腸内、鼻内、局所的(口腔及び舌下を含む)、膣内又は非経口的(皮下、筋肉内、静脈内、皮膚内、眼内、気管内及び硬膜外を含む)投与に適した調剤を含む。調剤は簡便に単位投薬形態で与えることができ、従来の製薬学的方法により調製することができる。そのような方法は、活性成分と製薬学的担体(類)又は賦形剤(類)を混合する(bringign into association)段階を含む。一般に調剤は活性成分を液体担体又は微粉砕固体担体、あるいは両方と均一に、及び均質に混合し、次いで必要なら製品を成形することにより調製される。
【0021】
経口的投与に適した本発明の調剤類は、それぞれあらかじめ決められた量の活性成分を含むカプセル、サッシェ又は錠剤などの分離された単位として;粉末又は顆粒として;水性液体又は非−水性液体中の溶液又は懸濁液として;あるいは水中油型乳液又は油中水型乳液として、及び大型丸薬などとして与えることができる。
【0022】
錠剤は場合により1種又はそれ以上の補助的成分を用いた圧縮又は成型により製造することができる。圧縮錠剤類は粉末又は顆粒などの易流動性の形態の活性成分を、場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、界面活性剤又は分散剤と混合して適した機械で圧縮することにより調製される。成型錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らされた粉末状化合物の混合物を適した機械で成型することにより製造することができる。錠剤類は場合によりコーティングされるか、又は刻みを入れることができ、その中の活性成分の遅延放出又は調節された放出を与えるように調製することができる。
【0023】
口の中における局所的投与に適した調剤類は、矯味ベース、通常スクロース及びアラビアゴム又はトラガント中に成分を含むロゼンジ類;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアラビアゴムなどの不活性ベース中に活性成分を含む錠剤(pastilles)類;ならびに投与されるべき成分を適した液体担体中に含む洗口剤を含む。
【0024】
皮膚への局所的投与に適した調剤類は、投与されるべき成分を製薬学的に許容し得る担体中に含む軟膏類、クリーム類、ジェル類及びペースト類として与えることができる。好ましい局所的配達系は、投与されるべき成分を含む経皮パッチである。
【0025】
直腸内投与のための調剤類は、例えばココアバター又はサリチル酸塩を含む適したベースを用いた座薬として与えることができる。
【0026】
担体が固体である鼻内投与に適した調剤類は、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗い粉末を含み、それは吹入されるような方法で、すなわち鼻の近くに保たれた粉末の容器から鼻の通路を通って急速に吸入することにより投与される。例えば鼻内スプレー又は鼻内ドロップスとしての投与に適した、担体が液体である調剤は活性成分の水溶液又は油状溶液を含む。
【0027】
膣内投与に適した調剤類は、活性成分の他に当該技術分野において適しているとして既知の担体などを含むペッサリー類、タンポン類、クリーム類、ジェル類、ペースト類、泡類又はスプレー調剤類として与えることができる。
【0028】
非経口的投与に適した調剤は、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤及び、調剤を意図されている受容者の血液と等張とする溶質を含むことができる水性及び非水性無菌注射液;ならびに懸濁剤及び増粘剤を含むことができる水性及び非水性無菌懸濁液を含む。調剤は単位−投薬又は多−投薬容器、例えば密封アンプル及びバイアル中で与えることができ、使用直
前に注射用水などの無菌の液体担体の添加のみを必要とする凍結乾燥(freeze−dried)(凍結乾燥(lyophilized))状態で保存することができる。即席注射用液類及び懸濁液類を、前記の種類の無菌の粉末類、顆粒類及び錠剤類から調製することができる。
【0029】
好ましい単位投薬調剤は、投与される成分の、本明細書に上記で挙げた毎日の投薬量又は単位、毎日の細分−投薬量、あるいは適したそれらの一部を含む調剤である。
【0030】
特に上記で挙げた成分に加え、本発明の調剤は、問題の調剤の種類に関する技術分野において習慣的な他の薬剤を含むことができ、例えば経口的投与に適した調剤は矯味剤を含むことができる。
【実施例】
【0031】
実施例1:
図1は2−メトキシエストラジオールによるチューブリン重合の阻害を示す。
【0032】
A.各反応混合物(すべての濃度は0.25mlの最終的反応体積に関する)は1.0Mのグルタミン酸一ナトリウム(pH6.6)、1.0mg/ml(10μM)のチューブリン、1.0mMのMGCl2、4%(v/v)のジメチルスルホキシド、及び0(曲線1)、20μM(曲線2)、40μM(曲線3)又は75μM(曲線4)の2−メトキシエストラジオールを含んだ。0.24mlの反応混合物を37℃で15分間インキュベートし、氷上で冷却した。10μlの2.5mM GTPの添加後、反応混合物を0℃に保たれたキュベットに移し、ベースラインを確定した。時間0において温度コントローラーを37℃に設定した。垂直の破線により示されている時間に、温度コントローラーを示されている温度に設定した。
【0033】
B.各反応混合物は0.8Mのグルタミン酸一ナトリウム(pH6.6)、1.2mg/ml(12μM)のチューブリン、4%(v/v)のジメチルスルホキシド、及び0(曲線1)、1.0μM(曲線2)、2.0μM(曲線3)、3.0μM(曲線4)又は4.0μM(曲線5)の2−メトキシエストラジオールを含んだ。0.24mlの反応混合物を26℃で15分間インキュベートし、氷上で冷却した。10μlの10mM GTPの添加後、反応混合物を0℃に保たれたキュベットに移し、ベースラインを確定した。時間0において温度コントローラーを26℃に設定した。垂直の破線により示されている時間に、温度コントローラーを0℃に設定した。
【0034】
実施例2:
透過型電子顕微鏡は、2−メトキシエストラジオールの不在下又は存在下で形成される重合チューブリンの形態の間の差を示すことができる。実施例1に記載の成分を含む反応混合物の30分間のインキュベーション(37℃)の後、75μMの2−メトキシエストラジオールを加え、アリコートを200−メッシュの炭素コーティング銅格子上に置き、0.5%(w/v)の酢酸ウラニルで染色した。23,100Xから115,400XのTEMの倍率を用い、チューブリンの形態における差を視覚化した。
【0035】
実施例3:
図2は、2−メトキシエストラジオールがチューブリンへのコルヒチン結合を阻害することを示す。反応条件は本文に記載した通りであり、各反応混合物は1.0μMのチューブリン、5%(v/v)のジメチルスルホキシド、5μMの[3H]コルヒチン及び示されている濃度における阻害剤を含んだ。インキュベーションは37℃において10分間行った。記号は以下の通りである:○,2−メトキシエストラジオール;●,コンブレタスタチンA−4;△,ジヒドロコンブレタスタチンA−4。コンブレタスタチンA−4及び
ジヒドロコンブレタスタチンA−4は、コルヒチンに類似の抗−有糸分裂活性を有する化合物である。
【0036】
実施例4:
表1はエストラジオール又はエストラジオール誘導体、植物抗−有糸分裂化合物、例えばコルヒチン、コンブレタスタチンA−4又は他の植物化合物により示される試験管内におけるチューブリン重合への阻害効果を示す。方法は実施例1に示されている。
【0037】
実施例5:
表2は実施例3に示す方法により、チューブリンへのコルヒチン結合を阻害するエストロゲン類、エストラジオール又はエストラジオール誘導体を挙げている。
【0038】
【表1】

【0039】
IC50値はチューブリン重合を50%阻害するのに必要なエストラジオール誘導体の濃度として定義される。IC50値は非阻害剤(IC50>40μM)に関する少なくとも2回の独立した実験、及び阻害性化合物に関する少なくとも3回の独立して実験において得た。IC50値はグラフによって得、平均値を示す。S.D.,標準偏差。
【0040】
【表2】

【0041】
反応条件は実施例3に記載され、各反応混合物は1.0μMのチューブリン、5%(v/v)のジメチルスルホキシド、2μMの[3H]コルヒチン及び100μMの阻害剤を含んだ。インキュベーションは37℃で10分間行った。2−メトキシエストロンの場合を除いて3回の独立した実験で得た平均値を表に示し、2−メトキシエストロンの場合は2回実験したのみであった。S.D.,標準偏差。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は下記の実施例1により記載される2−メトキシエストラジオールによるチューブリン重合の阻害を示すグラフである。
【図2】図2は下記の実施例2により記載される2−メトキシエストラジオールによるチューブリンへのコルヒチン結合の阻害を示すグラフである。
【図3】図3は:下記に記載するI.コルヒチン、2−メトキシエストラジオール及びコンブレタスタチンA−4、ならびにII.コルヒチン(a−c)又はコンブレタスタチンA−4(d)を含む種々のエストラジオール誘導体の構造モチーフを描いている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−メトキシエストラジオールを有効成分として含有することを特徴とするヒト又は動物における望ましくない新血管形成の阻害剤であって、該望ましくない新血管形成が、過剰な又は異常な内皮細胞の刺激、動脈硬化症、充実性腫瘍、転移性腫瘍、良性腫瘍、血管腫、聴神経鞘腫、神経線維腫、トラコーマ、化膿性肉芽腫、血管機能不全、異常な傷の治癒、炎症障害、免疫障害、ベーチェット病、痛風、あるいは痛風性関節炎に関連する、阻害剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−120839(P2008−120839A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41709(P2008−41709)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【分割の表示】特願平7−506502の分割
【原出願日】平成6年8月2日(1994.8.2)
【出願人】(508029594)ザ・チルドレンズ・メデイカル・センター・コーポレーシヨン (2)
【Fターム(参考)】