説明

抗−5T4抗体およびその使用

抗−5T4抗体、抗−5T4抗体/薬物コンジュゲート、ならびにその製法および使用法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
2007年2月23日に出願された米国仮出願第60/891,248号および2006年3月10日に出願された米国仮出願第60/781,346号(各々、出典明示より、全体として本明細書の一部とされる)に対して優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、新生物または悪性障害の診断および/または治療のための抗−5T4抗体および抗体/薬物コンジュゲート(すなわち、免疫コンジュゲート)に関する。本発明は、また、抗−5T4抗体および抗体/薬物コンジュゲートを調製するための単離した可変領域核酸およびポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0003】
高アフィニティーモノクローナル抗体の利用性は、標的とされる免疫療法の開発を可能にした。このアプローチによれば、所定の標的細胞集団に対して結合特異性を有する抗体と治療剤を結合させる。モノクローナル抗体に結合させた治療剤は、細胞毒、生物学的応答修飾剤、酵素(例えば、リボヌクレアーゼ)、アポトーシス誘導性タンパク質およびペプチド、および放射性同位元素を包含する。抗体/細胞毒コンジュゲートは、一般に、免疫細胞毒素と称される。低分子量の薬物、例えば、メトトレキサート(methothrexate)に結合させた抗体は、典型的に、化学抗体/薬物コンジュゲートと呼ばれる。免疫調節剤として記載されるコンジュゲートは、リンホカイン、成長因子、および補体活性化コブラ毒因子(CVF)などの生物学的応答修飾剤を含有する。放射性標識抗体は、放射能治療ならびに画像化に用いられ得る放射活性同位元素を包含する。
【0004】
腫瘍細胞に対する抗体媒介性薬物送達は、正常組織中におけるその取り込み量を最小限にすることによって、薬物の効力を増大させる。例えば、Reff et al. (2002) Cancer Control 9:152-66; Sievers (2000) Cancer Chemother. Pharmacol. 46 Suppl:S18-22; Goldenberg (2001) Crit. Rev. Oncol. Hematol. 39:195-201を参照のこと。MYLOTARG(登録商標)(ゲムツズマブ・オゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin))は、該原理にしたがって作用する市販の標的化免疫療法剤であり、老齢の患者における急性骨髄性白血病の治療に承認されている。Sievers et al. (1999) Blood 93: 3678-84参照のこと。この場合、標的分子は、カリケアマイシンに結合した抗−CD33モノクローナル抗体である。
【0005】
しかしながら、ヒトにおける標的化免疫療法は、一部、非ヒトモノクローナル抗体に対して有害な反応を示すために制限されている。齧歯類抗体を用いた初期の臨床試験は、迅速な抗体クリアランスをもたらすヒト抗−マウス抗体(HAMA)およびヒト抗−ラット抗体(HARA)応答を示した。それ以来、キメラ抗体、ヒト化抗体、PRIMATIZED抗体、およびトランスジェニックマウスまたはファージディスプレーライブラリーを用いて調製されるヒト抗体を含め、免疫原性の低い抗体が開発されてきた。Morrison et al. (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-5; Queen et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:10029-33; Newman et al. (1992) Biotechnology (NY) 10:1455-60; Green et al. (1994) Nat. Genet. 7:13-21; Marks et al. (1991) J. Mol. Biol. 222:581-97を参照のこと。HAMA応答の回避は、高投与量および反復投与により治療応答を達成することを可能にする。
【0006】
薬物標的化のための候補抗体は、腫瘍胎児抗原、すなわち、胎児細胞および新生物細胞に存在し、正常な成人細胞にほとんど存在しない抗原を認識する抗体を包含する。例えば、Magdelenat (1992) J. Immunol. Methods 150: 133-43を参照のこと。5T4腫瘍胎児抗原は、42kDaの非グリコシル化コアを含む72kDaの高グリコシル化膜貫通型糖蛋白である(Hole et al. (1988) Br. J. Cancer 57: 239-46, Hole et al. (1990) Int. J. Cancer 45: 179-84; PCT国際公開第WO89/07947号、米国特許第5,869,053号)。5T4は、標的化療法の接触可能な部位である、2つのロイシンリッチリピート(LRR)および介在する親水性領域によって特徴付けられる細胞外ドメインを含む(Myers et al. (1994) J. Biol. Chem. 269: 9319-24)。
【0007】
ヒト5T4は、膀胱、胸、子宮頸、子宮内膜、肺、食道、卵巣、膵臓、胃および精巣の癌腫を包含する多くのタイプの癌において発現され、胎盤の合胞体栄養細胞を除き、正常組織には実質的に存在しない(例えば、Southall et al. (1990) Br. J. Cancer 61: 89-95 (正常および悪性組織における5T4抗原の免疫組織学的分布(immunohistological distribution of 5T4 antigen in normal and malignant tissues));Mieke et al. (1997) Clin. Cancer Res. 3: 1923-1930 (腫瘍細胞における低い細胞内付着分子1および高い5T4発現は、結腸直腸癌患者における無病生存率の減少と相関する(low intercellular adhesion molecule 1 and high 5T4 expression on tumor cells correlate with reduced disease-free survival in colorectal carcinoma patients));Starzynska et al. (1994) Br. J. Cancer 69: 899-902 (結腸直腸癌における5T4腫瘍胎児抗原発現の予後的意義(prognostic significance of 5T4 oncofetal antigen expression in colorectal carcinoma));Starzynska et al. (1992) Br. J. Cancer 66: 867-869 (結腸直腸および胃癌における5T4抗原の発現(expression of 5T4 antigen in colorectal and gastric carcinoma));Jones et al. (1990) Br. J. Cancer 61: 96-100 (子宮頚癌における5T4抗原の発現((expression of 5T4 antigen in cervical cancer));Connor and Stern (199) Int. J. Cancer 46: 1029-1034 (子宮頚癌におけるMHCクラスI発現の喪失((loss of MHC class-I expression in cervical carcinomas));Ali et al. (2001) Oral Oncology 37: 57-64 (正常、形成異常および悪性口腔粘膜における5T4腫瘍胎児抗原の発現パターン(pattern of expression of the 5T4 oncofoetal antigen on normal, dysplastic and malignant oral mucosa));PCT国際公開第WO89/07947号;米国特許第5,869,053号参照)。例えば、5T4の発現がないと報告された組織には、肝臓、皮膚、脾臓、胸腺、中枢神経系(CNS)、副腎、および卵巣がある。5T4の限局性または低い発現があると報告された組織には、肝臓、皮膚、脾臓、リンパ節、扁桃、甲状腺、前立腺、および精嚢がある。5T4の弱〜中程度の拡散性発現が腎臓、肺、膵臓、咽頭および胃腸管において報告された。5T4の高い発現があることが報告された唯一の組織は合胞体栄養細胞であり、5T4は、正常な血清または妊婦の血清にも存在しない(すなわち、<10ng/mlレベル)。腫瘍における5T4の過剰発現は疾患の進行度と相関し、5T4発現の評価は、短期予後患者を同定するための有用なアプローチとして提案された(Mulder et al. (1997) Clin. Cancer Res. 3: 1923-30, Naganuma et al. (2002) Anticancer Res. 22: 1033-1038, Starzynska et al. (1994) Br. J. Cancer 69: 899-902, Starzynska et al. (1998) Eur. J. Gastroenterol. Hepatol. 10: 479-484, Wrigley et al. (1995) Int. J. Gynecol. Cancer 5: 269-274)。
【0008】
5T4抗原の立体構造エピトープを認識するmAb5T4(H8抗体ともいう)((Shaw et al. (2002) Biochem. J. 363: 137-45, PCT国際公開第WO98/55607号)、ラットモノクローナル抗体(Woods et al. (2002) Biochem. J. 366: 353-65)および5T4と呼ばれるマウルモノクローナル抗体(米国特許第5,869,053号)を包含するいくつかの抗−5T4抗体が記載されている。一本鎖抗−5T4抗体もまた、治療分子に融合した抗−5T4抗体配列を包含する融合タンパク質と同様に、記載されている。例えば、ヒトIgG1定常ドメインまたはネズミB7.1の細胞外ドメインに融合した抗−5T4抗体配列は、5T4発現性腫瘍細胞系統の細胞溶解を誘導する(Myers et al. (2002) Cancer Gene Ther. 9: 884-896, Shaw et al. (2000) Biochim. Biophys. Acta. 1524: 238-246;米国特許出願公開第2003/0018004号)。同様に、スーパー抗原に融合した一本鎖抗−5T4抗体は、非小細胞肺癌細胞のイン・ビトロでのT細胞依存性細胞溶解を刺激しうる(Forsberg et al. (2001) Br. J. Cancer 85: 129-136)。PNU−214936、変異型スーパー抗原ブドウ球菌腸細胞毒A(SEA)に融合したモノクローナル抗体5T4のネズミFabフラグメントを用いる第I相臨床試験は、限られた毒性およびある程度の抗腫瘍応答を示した(Cheng et al. (2004) J. Clin. Oncol. 22(4):602-9)。別の治療アプローチとして、組み換え5T4ワクチンもまた、癌の治療に提案されている(Mulryan et al. (2002) Mol. Cancer Ther. 1: 1129-37;UK特許出願公開第2,370,571号および第2,378,704号;EP特許出願公開第EP1,160,323号および第1,152,060号)。
【0009】
本発明は、新規な抗−5T4抗体、抗−5T4/薬物コンジュゲート、開示された抗体および抗体/薬物コンジュゲートの製造法、およびそれらの診断および治療的使用方法を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の概要
本発明は、新規な抗−5T4抗体、そのコンジュゲートおよびその使用方法を提供する。また、単離された抗−5T4ポリペプチドおよびそれをコードしている単離された核酸も提供される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の抗−5T4抗体は、ヒト5T4抗原に特異的に結合する抗体を包含し、ここに、該抗体は、(a)ネズミA1、A2またはA3抗体の抗原結合性ドメインを含み、(b)ネズミA1、A2またはA3抗体と、5T4結合に関して競合し、(c)A1、A2またはA3抗体によって結合される5T4エピトープに結合し、または(d)(a)−(c)の抗体の5T4−結合フラグメントを含む。本発明の抗−5T4抗体は、キメラ、ヒト化、一本鎖、Fabフラグメント、F(ab)2フラグメント、Fvフラグメント、四量体、四価、多特異的、ドメイン特異的、単一ドメイン抗体、融合タンパク質、またはネズミモノクローナルであってもよい。例えば、本発明のヒト化抗−5T4抗体は、少なくとも1つの重鎖可変領域または少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む抗体を包含し、ここに、該ヒト化抗体または抗体フラグメントは、(a)ネズミA1、A2またはA3抗体の抗原結合性ドメインを含み、(b)ネズミA1、A2またはA3抗体と、5T4結合に関して競合し、(c)A1、A2またはA3抗体によって結合される5T4エピトープに結合し、または(d)(a)−(c)の抗体の5T4−結合フラグメントを含む。
【0012】
本発明の抗−5T4抗体は、ヒト5T4抗原に対する結合アフィニティーが少なくとも約1×10−7M〜約1×10−12Mである。開示される抗−5T4抗体およびそのコンジュゲートは、また、5T4発現性細胞のイン・ビボでの標的化によって特異的結合を示す。
【0013】
本発明の代表的な抗−5T4抗体は、(a)配列番号2の残基20−138のアミノ酸配列、(b)配列番号2の残基20−138と少なくとも85%同一のアミノ酸配列、(c)配列番号6の残基19−135のアミノ酸配列、(d)配列番号6の残基19−135と少なくとも86%同一のアミノ酸配列、(e)配列番号10の残基20−141のアミノ酸配列、(f)配列番号10の残基20−141と少なくとも91%同一のアミノ酸配列、(g)配列番号49、51、52、54、56、77、78、81または82のいずれか1つのアミノ酸配列、(h)配列番号51と少なくとも91%同一のアミノ酸配列、(i)配列番号54と少なくとも78%同一のアミノ酸配列、(j)配列番号77と少なくとも89%同一のアミノ酸配列、(k)配列番号78と少なくとも79%同一のアミノ酸配列、(l)配列番号81と少なくとも80%同一のアミノ酸配列、(m)配列番号82と少なくとも78%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体を包含する。
【0014】
本発明の代表的な抗−5T4抗体は、(a)配列番号4の残基21−127のアミノ酸配列、(b)配列番号4の残基21−127と少なくとも94%同一のアミノ酸配列、(c)配列番号8の残基23−130のアミノ酸配列、(d)配列番号8の残基23−130と少なくとも96%同一のアミノ酸配列、(e)配列番号12の残基21−127のアミノ酸配列、(f)配列番号12の残基21−127と少なくとも98%同一のアミノ酸配列、(g)配列番号58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、79、80、83または84のいずれか1つのアミノ酸配列、(h)配列番号60と少なくとも83%同一のアミノ酸配列、(i)配列番号70と少なくとも93%同一のアミノ酸配列、(j)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列、(k)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列、(l)配列番号79と少なくとも88%同一のアミノ酸配列、(m)配列番号80と少なくとも84%同一のアミノ酸配列、(n)配列番号83と少なくとも90%同一のアミノ酸配列、または(o)配列番号84と少なくとも91%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体を包含する。
【0015】
例えば、抗−5T4抗体は、(a)配列番号2の残基20−138のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号4の残基21−127のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(b)配列番号6の残基19−135由来のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号8の残基23−130由来のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または(c)配列番号10の残基20−141由来のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号12の残基21−127由来のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むことができる。
【0016】
本発明のキメラおよびヒト化抗−5T4抗体は、ヒト定常領域由来の定常領域、例えば、ヒトカッパ軽鎖定常領域由来のヒト軽鎖定常領域およびヒトIgG1またはヒトIgG4重鎖定常領域由来のヒト重鎖定常領域を含んでいてもよい。
【0017】
本発明の代表的なヒト化抗−5T4抗体は、(a)ヒト抗体フレームワーク領域の残基を含むフレームワーク領域、および(b)配列番号4、8または12の軽鎖可変領域の1以上のCDR、または配列番号2、6または10の重鎖可変領域の1以上のCDRを含む抗体を包含する。例えば、ヒト抗体フレームワーク領域の残基は、(a)DPK24サブグループIV生殖細胞系統クローン、VκIIIサブグループ(DPK23、DPK22、DPK20、DPK21)、またはVκIサブグループ生殖細胞系統クローン(DPK9、DPK1、O2、DPK7)のヒト抗体軽鎖フレームワーク領域、(b)DP−21(VH7)、DP−54(VH3−07)、DP−47(VH3−23)、DP−53(VH−74)、DP−49(VH3−30)、DP−48(VH3−13)、DP−75、DP−8(VH1−2)、DP−25、VI−2bおよびVI−3(VH1−03)、DP−15およびV1−8(VH1−08)、DP−14およびV1−18(VH1−18)、DP−5およびV1−24P(VH1−24)、DP−4(VH1−45)、DP−7(VH1−46)、DP−10、DA−6およびYAC−7(VH1−69)、DP−88(VH1−e)、DP−3およびDA−8(VH1−f)からなる群から選択されるヒト抗体重鎖フレームワーク領域、(c)(b)の重鎖フレームワーク領域のコンセンサス配列、または(d)(a)−(c)のフレームワーク領域と少なくとも63%同一のフレームワーク領域を含むことができる。
【0018】
本発明の代表的なヒト化抗−5T4抗体は、また、配列番号2、4、6、8、10または12の2以上のCDR、例えば、配列番号4、8または12の軽鎖可変領域の2つまたは3つ全てのCDR、または配列番号2、6または10の重鎖可変領域の2つまたは3つ全てのCDR、または配列番号4、8または12の軽鎖可変領域の1以上のCDRおよび配列番号2、6または12の重鎖可変領域の1以上のCDR、または配列番号2、4、6、8、10または12の全てのCDRを包含することができる。
【0019】
代表的なキメラおよびヒト化抗−5T4抗体は、(a)配列番号2の残基20−138のアミノ酸配列、(b)配列番号2の残基20−138と少なくとも85%同一のアミノ酸配列、(c)配列番号6の残基19−135のアミノ酸配列、(d)配列番号6の残基19−135と少なくとも86%同一のアミノ酸配列、(e)配列番号10の残基20−141のアミノ酸配列、(f)配列番号10の残基20−141と少なくとも91%同一のアミノ酸配列、(g)配列番号49の残基1−119のアミノ酸配列、(h)配列番号49の残基1−119と少なくとも90%同一のアミノ酸配列、または(i)図9A−9Cに示されるヒト化重鎖可変領域のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体を包含する。
【0020】
本発明の付加的なキメラおよびヒト化抗−5T4抗体は、(a)配列番号1のヌクレオチド58−414のヌクレオチド配列、(b)配列番号5のヌクレオチド55−405のヌクレオチド配列、(c)配列番号9のヌクレオチド58−423のヌクレオチド配列、(d)配列番号48のヌクレオチド1−358のヌクレオチド配列、(e)図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2またはA3可変領域をコードしているヌクレオチド配列、(f)(a)−(e)のいずれか1つのヌクレオチド配列と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列、または(g)ストリンジェントな条件下、(a)−(e)のいずれか1つの相補物と特異的にハイブリダイズする核酸を含む核酸によってコードされる重鎖可変領域を含む抗体を包含する。
【0021】
代表的なキメラおよびヒト化抗−5T4抗体は、(a)配列番号4の残基21−127のアミノ酸配列、(b)配列番号4の残基21−127と少なくとも94%同一のアミノ酸配列、(c)配列番号8の残基23−130のアミノ酸配列、(d)配列番号8の残基23−130と少なくとも96%同一のアミノ酸配列、(e)配列番号12の残基21−127のアミノ酸配列、(f)配列番号12の残基21−127と少なくとも98%同一のアミノ酸配列、または(g)図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2またはA3軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域配列を含む抗体を包含する。
【0022】
また、(a)本発明のキメラまたはヒト化抗−5T4抗体または抗体フラグメント、および(b)該抗体に直接または間接的に結合する薬物を含む薬物送達のための抗体/薬物コンジュゲートも提供される。代表的な薬物は、細胞毒、放射性同位元素、免疫調節剤、抗脈管形成剤、抗増殖剤、プロ−アポトーシス剤、化学療法剤、および治療的核酸などの治療剤を包含する。細胞毒は、例えば、抗生物質、チューブリン重合の阻害剤、アルキル化剤、タンパク質合成阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、または酵素であってもよい。抗生物質細胞毒、例えば、カリケアマイシン、N−アセチル−γ−カリケアマイシン、またはその誘導体、例えば、N−アセチル−γ−カリケアマイシンジメチルヒドラジドは、抗癌治療に特に有用である。
【0023】
開示される抗−5T4抗体/薬物コンジュゲートは、抗体と薬物との結合のためのリンカーを含んでいてもよい。代表的リンカーは、4−(4’アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)、3−アセチルフェニル酸性酸(AcPac)、および4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸(Amide)を包含する。抗体/薬物コンジュゲートは、また、ポリエチレングリコールまたは薬物取り込みを増大させるための他の薬剤を含んでいてもよい。
【0024】
5T4発現性細胞への薬物の送達のために、本発明は、細胞を、(i)キメラまたはヒト化抗−5T4抗体、および(ii)ヒト化抗−5T4抗体に直接または間接的に結合する薬物を含む抗体/薬物コンジュゲートと接触させる方法を提供する。開示される方法によると、薬物は標的細胞内に内在化される。治療法もまた本明細書中に開示され、それは、5T4−陽性癌を有する対象に、治療上有効量の、(i)キメラまたはヒト化抗―5T4抗体または抗体フラグメントおよび(ii)ヒト化抗−5T4抗体または抗体フラグメントに直接または間接的に結合する治療剤を含む抗−5T4抗体/薬物コンジュゲートを投与することを特徴とする。本発明の抗−5T4療法は、改善された効果のために、いずれか他の既知の療法と組み合わせてもよい。第2の治療剤は、抗−5T4抗体/薬物コンジュゲートと共に、同時またはいずれかの順序で連続的に投与すればよい。
【0025】
また、ヒト化抗−5T4可変領域をコードしている単離核酸が提供され、それは、開示されるヒト化抗−5T4抗体の生産に有用である。ヒト化抗−5T4重鎖可変領域をコードしている代表的な核酸は、(a)配列番号1のヌクレオチド58−414のヌクレオチド配列、(b)配列番号5のヌクレオチド55−405のヌクレオチド配列、(c)配列番号9のヌクレオチド58−423のヌクレオチド配列、(d)配列番号48、50、53または55のいずれか1つをコードしているヌクレオチド配列、(e)クエリカバレッジが100%のときに、配列番号50と89%同一のヌクレオチド配列、(f)クエリカバレッジが100%のときに、配列番号53と82%同一のヌクレオチド配列、または(g)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、(a)−(d)のいずれか1つの相補物に特異的にハイブリダイズする核酸を包含する。ヒト化抗−5T4軽鎖可変領域をコードしている代表的な核酸は、(a)配列番号3のヌクレオチド61−381のヌクレオチド配列、(b)配列番号7のヌクレオチド67−390のヌクレオチド配列、(c)配列番号11のヌクレオチド61−381のヌクレオチド配列、(d)配列番号57、59、61、63、65、67、69、71、73または75のいずれか1つのヒト化A1、A2またはA3軽鎖可変領域をコードしているヌクレオチド配列、(e)クエリカバレッジが100%のときに、配列番号59と84%同一のヌクレオチド配列、(f)クエリカバレッジが100%のときに、配列番号69と86%同一のヌクレオチド配列、(g)クエリカバレッジが100%のときに、配列番号75と85%同一のヌクレオチド配列、または(h)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、(a)−(d)のいずれか1つの相補物に特異的にハイブリダイズする核酸を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
発明の詳細な記載
I.抗−5T4抗体
本発明は、ヒト5T4抗原に結合し、標的免疫療法の開発に有用な新規なネズミ抗体を提供する。ヒト5T4抗原は、トロホブラスト細胞および多くの型の癌細胞の表面に見出される72kDa非グリコシル化リンタンパク質である。Hole et al. (1988) Br. J. Cancer 57: 239-46, Hole et al. (1990) Int. J. Cancer 45: 179-184;、PCT国際公開第WO89/07947号、米国特許第5,869,053号参照。
【0027】
本発明のネズミ抗−5T4抗体は、A1、A2およびA3と称し、実施例1に記載されるように調製された。また、A1、A2およびA3から誘導される抗−5T4抗体も提供され、それはヒト5T4抗原に特異的に結合する。例えば、本発明の抗−5T4抗体は、A1、A2およびA3抗体由来の抗原結合残基を含む抗体、5T4抗原への結合について、A1、A2またはA3抗体と競合する抗体、およびA1、A2またはA3抗体と同じ5T4エピトープに結合する抗体を包含する。
【0028】
特に、開示されるA1、A2およびA3抗体は、各々、ヒト5T4抗原上の独特なエピトープを認識する抗原結合部位を含む。これらの抗体の各々は、また、H8によって結合されるものとは別個のエピトープに結合し、A1、A2およびA3の各々は、ヒト5T4への結合について、H8抗体と競合することができない。実施例4〜5および図6〜7を参照のこと。したがって、本発明は、ヒト5T4の残基30−163に特異的に結合する抗体(例えば、A3)、ヒト5T4の残基224−276に特異的に結合する抗体(例えば、A1)、およびヒト5T4の残基224−355に特異的に結合する抗体(例えば、A2)を提供する。また、A1、A2またはA3抗体によって結合されるエピトープを含むヒト5T4抗原も提供される。例えば、本発明は、天然または全長5T4抗原の残基30−163、224−276および224−355を含む5T4抗原フラグメントを提供する。
【0029】
開示される抗−5T4抗体の特異的結合とは、複数の異なる抗原を含む異種試料中における、ヒト5T4抗原への抗体の優先的結合をいう。典型的に、特異的結合は、結合アフィニティーが少なくとも約10−7M以上、例えば、約10−8M以上(少なくとも約10−9M以上、少なくとも約10−11M以上または少なくとも約10−12M以上を包含する)の場合に起こる。例えば、本発明の抗体のヒト5T4抗原への特異的結合は、少なくとも約1×10−7M〜約1×10−12Mの範囲、例えば、約1×10−8M〜約1×10−12Mの範囲、または約1×10−8M〜約1×10−11Mの範囲、または約1×10−8M〜約1×10−10Mの範囲、または約1×10−9M〜約1×10−10Mの範囲における結合を包含する。特異的結合とは、また、対象への抗体の投与後、抗−5T4抗体が5T4発現性細胞を選択的に標的とすることをいう。
【0030】
本発明の抗−5T4抗体は、四量体構造(例えば、天然抗体に類似する)を有していてもよく、または、少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖可変領域または少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖領域、またはその5T4結合性フラグメント(例えば、Fab、修飾Fab、F(ab’)またはFvフラグメント)を有するいずれか他の構造を含んでいてもよい。また、6個全てよりは少ないが1以上の相補性決定領域(CDR)が抗原結合領域を構成している単一ドメイン抗体も包含される。本発明は、また、キメラ抗体、ヒト化抗体、超ヒト化抗体、二重特異性抗体(diabody)、一本鎖抗体、四価抗体、および/または多特異的抗体(例えば、二特異的抗体)を包含する。これらの抗体記述は、相互排除的ではない。
【0031】
天然抗体は、2つの同一の軽鎖(L)および2つの同一の重鎖(H)からなる約150,000ダルトンの四量体(H)糖タンパク質である。2つの重鎖は、ジスルフィド結合によって互いに連結され、各重鎖はジスルフィド結合によって軽鎖に連結されている。軽鎖および重鎖の各々は、さらに、アミノ末端可変領域および定常領域によって特徴付けられる。可変領域は、抗体間で広範囲に異なる配列を有し、実質的に、その特定の抗原に対する特定の抗体の結合アフィニティーおよび特異性を決定する。軽鎖および重鎖の各々の可変領域は、抗原結合性ドメインを形成するように整列する。
【0032】
キメラ抗体は、少なくとも2つの異なる種由来の配列を含む。一例として、組み換えクローニング技術を用いて、抗原結合部位を含有する非ヒト抗体(すなわち、抗原で免疫された非ヒト種において調製された抗体)由来の可変領域、およびヒト免疫グロブリン由来の定常領域を含ませてもよい。
【0033】
本発明のキメラ抗−5T4抗体は、A1、A2およびA3抗体の重鎖および軽鎖可変領域、すなわち、(a)配列番号2の残基20−138のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号4の残基21−127のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、(b)配列番号6の残基19−135の重鎖アミノ酸配列および配列番号8の残基23−130の軽鎖アミノ酸配列、および(c)配列番号10の残基20−141の重鎖アミノ酸配列および配列番号12の残基21−127の軽鎖アミノ酸配列を含む抗体を包含する。代表的なヒト化抗−5T4抗体は、配列番号49のアミノ酸1−119として示される重鎖可変領域、または図9A−9Cに示されるヒト化重鎖可変領域のいずれか1つ、および図9A−9Cにも示されるヒト化軽鎖可変領域を含んでいてもよい。本発明の代表的なキメラおよびヒト化抗−5T4抗体の調製は、実施例7に記載される。
【0034】
本発明の抗−5T4抗体は、また、A1、A2またはA3可変領域から由来するか、またはこれらに実質的に類似する、あるいはヒト化A1、A2およびA3可変領域に実質的に類似するアミノ酸配列を含む重鎖および/または軽鎖可変領域を含んでいてもよい。実質的に同一の重鎖および軽鎖可変領域に関し、実質的に同一の配列は、配列番号1−12のいずれか1つの可変領域配列または図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2およびA3可変領域に、少なくとも約90%同一、例えば、少なくとも91%同一、または少なくとも92%同一、または少なくとも93%同一、または少なくとも94%同一、または少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である。
【0035】
本発明の代表的なキメラ抗−5T4抗体、すなわち、5T4抗原に特異的に結合する抗体は、また、(a)配列番号2の残基20−138、配列番号6の残基19−135、配列番号10の残基20−141、または図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2またはA3重鎖可変領域のいずれか1つとして示される重鎖可変領域アミノ酸配列、(b)配列番号2の残基20−138と少なくとも85%同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、(c)配列番号6の残基19−135に少なくとも86%同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、(d)配列番号10の残基20−141に少なくとも91%同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、(e)配列番号49の残基1−119に少なくとも90%同一の重鎖可変領域アミノ酸配列、または(f)図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2またはA3のいずれか1つ由来の重鎖可変領域アミノ酸配列を有する抗体を包含する。
【0036】
5T4抗原に特異的に結合するキメラまたはヒト化抗−5T4抗体の重鎖可変領域は、(a)配列番号1のヌクレオチド58−414、配列番号5のヌクレオチド55−405、配列番号9のヌクレオチド58−423、配列番号48のヌクレオチド1−358のヌクレオチド配列を含む核酸、または図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2またはA3重鎖可変領域をコードしている核酸、(b)配列番号1のヌクレオチド58−414、配列番号5のヌクレオチド配55−405、または配列番号9のヌクレオチド58−423のヌクレオチド配列を含む核酸と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされうる。例えば、キメラ抗−5T4抗体の重鎖可変領域は、配列番号1のヌクレオチド58−414と少なくとも98%同一の核酸、配列番号5のヌクレオチド55−405と少なくとも98%同一のヌクレオチド配列を含む核酸、または配列番号48のヌクレオチド1−358と少なくとも89%同一のヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされうる。キメラ抗−5T4抗体の重鎖可変領域は、また、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、例えば、65℃にて0.1 X SSCの最終洗浄条件下で、配列番号1のヌクレオチド58−414、配列番号5のヌクレオチド55−405、配列番号9のヌクレオチド58−423、または配列番号48のヌクレオチド1−358のヌクレオチド配列を含む核酸の相補物に特異的にハイブリダイズする核酸によってコードされうる。
【0037】
本発明の代表的なキメラ抗−5T4抗体は、さらに、(a)配列番号4の残基21−127、配列番号8の残基23−130、配列番号12の残基21−127、または図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2またはA3軽鎖可変領域の残基として示される軽鎖可変領域アミノ酸配列、または(b)配列番号4の残基21−127、配列番号8の残基23−130、または配列番号12の残基21−127と少なくとも90%同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する抗体を包含する。例えば、軽鎖可変領域アミノ酸配列は、(a)配列番号4の残基21−127と少なくとも94%同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列、(b)配列番号8の残基23−130と少なくとも96%同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列、(c)配列番号12の残基21−127と少なくとも98%同一の軽鎖可変領域アミノ酸配列、または(d)図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2またはA3軽鎖可変領域のいずれか1つ由来の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0038】
5T4抗原に特異的に結合するキメラ抗−5T4抗体の軽鎖可変領域は、(a)配列番号3のヌクレオチド61−381、配列番号7のヌクレオチド67−390、配列番号11のヌクレオチド61−381、または図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2またはA3軽鎖可変領域のいずれか1つをコードしているヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む核酸、または(b)配列番号3のヌクレオチド61−381、配列番号7のヌクレオチド67−390、または配列番号11のヌクレオチド61−381と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされうる。例えば、キメラ抗−5T4抗体の軽鎖可変領域は、(a)配列番号3のヌクレオチド61−381と少なくとも97%同一のヌクレオチド配列、(b)配列番号7のヌクレオチド67−390と少なくとも98%同一のヌクレオチド配列、または(c)配列番号11のヌクレオチド61−381と少なくとも99%同一のヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされうる。5T4抗原に特異的に結合するキメラ抗−5T4抗体の軽鎖可変領域は、また、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、例えば、65℃にて0.1 X SSCの最終洗浄条件下で、配列番号3のヌクレオチド61−381、配列番号7のヌクレオチド67−390、または配列番号11のヌクレオチド61−381のヌクレオチド配列を含む核酸の相補物に特異的にハイブリダイズする核酸によってコードされうる。
【0039】
ヒト化抗体は、抗原結合に関与する可変領域残基(すなわち、相補性決定領域、簡略された(abbreviated)相補性決定領域の残基、または抗原結合に関係するいずれか他の残基)が非ヒト種由来である一方で、残りの可変領域残基(すなわち、フレームワーク領域の残基)および定常領域が、少なくとも一部、ヒト抗体配列に由来する種類のキメラ抗体である。ヒト化抗体のフレームワーク領域残基および定常領域残基のサブセットは、非ヒト源に由来していてもよい。ヒト化抗体の可変領域は、また、ヒト化として記載される(すなわち、ヒト化軽鎖または重鎖可変領域)。非ヒト種は、典型的に、抗原での免疫化に用いられる種であり、例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、または他の非ヒト哺乳動物種である。ヒト化抗体は、典型的には、伝統的なキメラ抗体よりも免疫原性が低く、ヒトへの投与後に、改善された安定性を示す。例えば、Benincosa et al. (2000) J. Pharmacol. Exp. Ther. 292:810-6; Kalofonos et al. (1994) Eur. J. Cancer 30A: 1842-50; Subramanian et al. (1998) Pediatr. Infect. Dis. J. 17:110-5を参照のこと。
【0040】
相補性決定領域(CDRs)は、抗原結合に関係する抗体可変領域の残基である。CDRsを同定するためのいくつかのナンバリングシステムが一般に使用されている。Kabat定義は、配列変化性に基づき、Chothia定義は、構造ループ領域の位置に基づく。AbM定義は、KabatおよびChothiaアプローチの間の折衷である。軽鎖可変領域のCDRsは、Kabat、ChothiaまたはAbMアルゴリズムにしたがって、位置24および34(CDR1−L)、50および56(CDR2−L)、および89および97(CDR3−L)の残基によって境界を示される。Kabat定義によると、重鎖可変領域のCDRsは、位置31および35B(CDR1−H)、50および56(CDR2−H)、および95および102(CDR3−H)の残基によって境界が示される(Kabatにしたがうナンバリング)。Chothia定義によると、重鎖可変領域のCDRsは、位置26および32(CDR1−H)、52および56(CDR2−H)、および95および102(CDR3−H)の残基によって境界が示される(Chothiaにしたがうナンバリング)。AbM定義によると、重鎖可変領域のCDRsは、位置26および35B(CDR1−H)、50および58(CDR2−H)、および95および102(CDR3−H)によって境界が示される(Kabatにしたがうナンバリング)。Martin et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 92689272; Martin et al. (1991) Methods Enzymol. 203: 121153; Pedersen et al. (1992) Immunomethods 1: 126; および Rees et al. (1996) In Sternberg M.J.E. (ed.), Protein Structure Prediction, Oxford University Press, Oxford, pp. 141172を参照のこと。
【0041】
特異性決定領域(SDRs)は、抗原と直接的に相互作用するCDRs内の残基である。SDRsは超可変残基に相当する。Padlan et al. (1995) FASEB J. 9: 133-139を参照のこと。
【0042】
フレームワーク残基は、超可変またはCDR残基以外の抗体可変領域の残基である。フレームワーク残基は、天然ヒト抗体から由来していてもよく、例えば、A1、A2またはA3抗体のフレームワーク領域と実質的に類似するヒトフレームワークから由来していてもよい。個々の配列のなかでも、コンセンサスを示す人工フレームワーク配列もまた、使用されうる。ヒト化のためにフレームワーク領域を選択する場合、ヒトにおいて幅広く示される配列は、少ない配列よりも好ましい場合がある。ヒトフレームワークアクセプター配列の付加的な変異は、抗原接触に関与すると考えられるネズミ残基および/または抗原結合部位の構造的完全性に関与する残基を復帰させるように、または抗体発現を改善するように作成されうる。ペプチド構造予測は、ヒト化設計によって導入される翻訳後タンパク質修飾部位を同定し、回避するために、ヒト化可変重鎖および軽鎖領域配列を分析するために使用されうる。
【0043】
ヒト化抗体は、下記するような相補性決定領域(CDRs)のベニアリング(veneering)、グラフティング(grafting)、簡略化したCDRsのグラフティング、特異性決定領域(SDRs)のグラフティング、およびFrankensteinアセンブリーを包含する種々の方法のいずれか1つを用いて調製されうる。ヒト化抗体は、また、1以上の変更がCDRs中に導入されている超ヒト化抗体を包含する。例えば、ヒト残基は、CDRsにおいて、非ヒト残基の代わりに用いられうる。これらの一般的なアプローチは、いずれかの所望の配列の抗−5T4抗体を製造するために、標準的な変異誘発および合成技術と組み合わせてもよい。
【0044】
ベニアリングは、抗体の溶媒接触可能外面をヒトアミノ酸配列で再舗装(resurfacing)することによって、齧歯類または他の非ヒト抗体において潜在的に免疫原性のアミノ酸配列を減少させるという概念に基づく。かくして、ベニア化された抗体は、修飾されていない非ヒト抗体よりも、ヒト細胞にとって異質ではないようである。Padlan (1991) Mol. Immunol. 28: 489-98を参照のこと。非ヒト抗体は、ヒト抗体のフレームワーク領域における同じ位置の残基とは異なる、非ヒト抗体において露出した外部フレームワーク領域残基を同定し、該同定された残基を、ヒト抗体におけるこれらの同じ位置を典型的に占めているアミノ酸で置換することによってベニア化される。
【0045】
CDRsのグラフティングは、アクセプター抗体(例えば、ヒト抗体または所望のフレームワーク残基を含む他の抗体)の1以上のCDRsをドナー抗体(例えば、非ヒト抗体)のCDRsで置き換えることによって実施される。アクセプター抗体は、候補アクセプター抗体およびドナー抗体間のフレームワーク残基の類似性に基づいて選択されうる。例えば、Frankensteinアプローチによると、ヒトフレームワーク領域は、関連する非ヒト抗体の各フレームワーク領域に対して実質的な配列相同性を有すると同定され、非ヒト抗体のCDRsを種々のヒトフレームワーク領域の複合物上に接合する。本発明の抗体の調製にも有用な関連する方法は、また、米国特許出願公報第2003/0040606号にも記載されている。
【0046】
簡略化されたCDRsのグラフティングは、関連するアプローチである。簡略化されたCDRsは、軽鎖の位置27d−34、50−55および89−96および重鎖の位置31−35b、50−58および95−101のアミノ酸を包含する、特異性決定残基および隣接するアミノ酸を包含する(Kabat et al. (1987)のナンバリングの慣例にしたがう)。Padlan et al. (1995) FASEB J. 9: 133-9を参照のこと。特異性決定残基(SDRs)のグラフティングは、抗体結合部位の結合特異性およびアフィニティーが各相補性決定領域(CDRs)内で最も高い可変残基によって決定されるという理解を前提とする。入手可能なアミノ酸配列データの分析と組み合わせた、抗体−抗原複合体の三次元構造の分析は、CDR内の各位置で起きるアミノ酸残基の構造的不同性に基づく配列変化性をモデル化するために使用されうる。SDRsは、接触残基からなる最小限の免疫原性のポリペプチド配列として同定される。Padlan et al. (1995) FASEB J. 9: 133-139を参照のこと。
【0047】
一般に、ヒトアクセプターフレームワークは、それらが実質的にドナー抗体のフレームワーク領域に類似するということに基づくか、またはそれらが可変領域サブファミリーのコンセンサス配列に非常に類似するということに基づいて選択される。グラフティング後、抗体結合、機能性、コドン使用、発現レベルなどを最適化するために、ドナーおよび/またはアクセプター配列において、非ヒト残基のフレームワーク領域中への導入を包含する付加的な変更が施されてもよい。例えば、PCT国際公開第WO91/09967号を参照のこと。
【0048】
重鎖可変フレームワーク領域上へのCDRsのグラフティングの場合、有用なフレームワーク配列は、DP−21(VH7)、DP−54(VH3−07)、DP−47(VH3−23)、DP−53(VH−74)、DP−49(VH3−30)、DP−48(VH3−13)、DP−75、DP−8(VH1−2)、DP−25、VI−2bおよびVI−3(VH1−03)、DP−15およびV1−8(VH1−08)、DP−14およびV1−18(VH1−18)、DP−5およびV1−24P(VH1−24)、DP−4(VH1−45)、DP−7(VH1−46)、DP−10、DA−6およびYAC−7(VH1−69)、DP−88(VH1−e)、DP−3およびDA−8(VH1−f)に由来していてもよい。ヒト化のためのフレームワーク残基を含有する代表的な重鎖可変領域は、配列番号13−24および88−93として示される。VH1フレームワーク残基のコンセンサスを示す代表的なフレームワークは、配列番号25−27として示される。図10A−10Bも参照のこと。
【0049】
軽鎖可変フレームワーク領域上へのCDRsのグラフティングの場合、有用なフレームワーク配列は、DPK24サブグループIV生殖細胞系クローン、VκIIIサブグループ(DPK23、DPK22、DPK20、DPK21)、またはVκIサブグループ生殖細胞系クローン(DPK9、DPK1、O2、DPK7)から由来していてもよい。ヒト化のためのフレームワーク残基を含有する代表的な軽鎖可変領域は、配列番号28−34、35−44および94−99として示される。図11−14を参照のこと。
【0050】
本発明の代表的なヒト化抗−5T4抗体は、配列番号2、6または10のいずれか1つの重鎖可変領域または配列番号4、8または12のいずれか1つの軽鎖可変領域のCDRsから選択される非ヒト抗−5T4抗体の1以上のCDRsを有する抗体を包含する。例えば、ヒト化抗−5T4抗体は、配列番号2、6または10のいずれか1つの重鎖可変領域または配列番号4、8または12のいずれか1つの軽鎖可変領域のCDRsから選択される2以上のCDRsを含んでいてもよい。ヒト化抗−5T4抗体は、また、配列番号2、6または10のいずれか1つの2または3個のCDRsを有する可変領域を含む重鎖、および配列番号4、8または12のいずれか1つの2または3個のCDRsを有する可変領域を含む軽鎖を含んでいてもよい。
【0051】
第1鎖の可変領域(すなわち、軽鎖可変領域または重鎖可変領域)がヒト化されており、また、第2鎖の可変領域(すなわち、非ヒト種において産生される抗体の可変領域)がヒト化されていない本発明のヒト化抗−5T4抗体が構築されうる。これらの抗体は、半ヒト化抗体と呼ばれるタイプのヒト化抗体である。半ヒト化抗体を調製するために使用されうる非ヒト抗−5T4抗体は、本明細書中に開示されるようなA1、A2およびA3抗体、ならびにPCT国際公開第WO98/55607号およびForsberg et al. (1997) J. Biol. Chem. 272(19):124430-12436に記載されるH8抗体、またはWoods et al. (2002) Biochem. J. 366: 353-65に記載されるラットモノクローナル抗体を包含する。例えば、半ヒト化抗−5T4抗体は、配列番号49のアミノ酸1−119として示される重鎖可変領域、または図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2もしくはA3重鎖可変領域のアミノ酸、および配列番号4、8または12のいずれか1つの軽鎖可変領域を含むことができる。
【0052】
キメラおよびヒト化抗−5T4抗体の定常領域は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、そのいずれかのイソ型(例えば、IgGのIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4イソ型)、ならびにその変異バージョンのいずれか1つの定常領域から由来していてもよい。ヒトイソ型の選択および該イソ型における特定のアミノ酸の修飾は、宿主防御メカニズムの活性化を増幅または除去し、抗体生体分布を改変しうる。Reff et al. (2002) Cancer Control 9: 152-66を参照のこと。本発明のキメラおよびヒト化抗体を調製するのに有用な代表的な定常領域は、配列番号45−47として示される。変種または変異バージョンに含まれるヒトラムダ軽鎖定常領域もまた使用されうる。免疫グロブリン定常領域をコードしている配列のクローニングのために、イントロン配列を欠失させてもよい。
【0053】
キメラおよびヒト化抗−5T4抗体は、当該分野で知られる標準的な技術を用いて構築されうる。例えば、可変領域は、可変領域をコードしている重複するオリゴヌクレオチドを互いにアニーリングし、ヒト抗体定常領域を含有している発現ベクター中にそれらをライゲートすることによって調製されうる。例えば、Harlow & Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York および米国特許第4,196,265号、第4,946,778号、第5,091,513号、第5,132,405号、第5,260,203号、第5,677,427号、第5,892,019号、第5,985,279号、第6,054,561号を参照のこと。ホモ二量体およびヘテロ二量体を包含する2つの無傷四量体抗体を含む四価抗体(H)は、例えば、PCT国際公開第WO02/096948号に記載のように調製されうる。抗体二量体は、また、ヘテロ二官能性架橋剤の使用によって(Wolff et al. (1993) Cancer Res. 53: 2560-5)、または二重定常領域を含むための組み換え体産生によって(Stevenson et al. (1989) Anticancer Drug Des. 3: 219-30)、鎖間ジスルフィド結合形成を促進する抗体定常領域中へのシステイン残基の導入によって調製されうる。本発明の抗体の抗原結合性フラグメントは、例えば、末端切断された抗体配列の発現によって、または全長抗体の翻訳後消化によって調製されうる。
【0054】
本発明の抗−5T4抗体の変種、すなわち、A1、A2およびA3抗体ならびにそのキメラおよびヒト化バージョンは、容易に、種々の変化、置換、挿入および欠失を含むように調製されうる。例えば、抗体配列は、抗体発現に使用される細胞型においてコドン使用に最適化されうる。抗体の血清半減期を増加させるために、すでに存在しないならば、サルベージレセプター結合性エピトープを抗体重鎖配列中に組み込んでもよい。米国特許第5,739,277号を参照のこと。抗体安定性を増加させるための付加的な修飾は、残基241のセリンをプロリンに置き換えるためのIgG4の修飾を包含する。Angal et al. (1993) Mol. Immunol. 30: 105-108を参照のこと。他の有用な変化は、抗体と薬物のコンジュゲートにおける効力を最適化するために必要とされるような置換を包含する。例えば、抗体は、薬物付着のためのアミノ酸を含むように、そのカルボキシル末端で修飾されていてもよい。例えば、1以上のシステイン残基が付加されていてもよい。定常領域は、炭水化物または他の基の結合のための部位を導入するように修飾されていてもよい。
【0055】
本発明の抗−5T4抗体の変種は、部位特異的変異誘発を包含する標準的な組み換え技術、または組み換えクローニングを用いて生産されうる。抗−5T4抗体の多様化されたレパートリーは、トランスジェニック非ヒト動物における遺伝子配置および遺伝子変換法(米国特許公開第2003/0017534号)によって調製されてもよく、次いで、それらは、機能的アッセイを用いて関連する活性について試験される。本発明の特定の具体例において、抗−5T4変種は、CDRsを変異させるためのアフィニティー成熟プロトコール(Yang et al. (1995) J. Mol. Biol. 254: 392-403)、鎖シャッフリング(Marks et al. (1992) Biotechnology (NY) 10: 779-783)、E.coliの変異誘発株の使用(Low et al. (1996) J. Mol. Biol. 260: 359-368)、DNAシャッフリング(Patten et al. (1997) Curr. Opin. Biotechnol. 8: 724-733)、ファージディスプレー(Thompson et al. (1996) J. Mol. Biol. 256: 77-88)、およびセクシャルPCR(Crameri et al. (1998) Nature 391: 288-291)を用いて得られる。免疫療法適用のために、関連する機能的アッセイは、下記するように、ヒト5T4抗原に対する特異的結合、抗体内在化、および腫瘍を有する動物への投与時における腫瘍部位への標的化を包含する。
【0056】
本発明は、さらに、本発明の抗−5T4抗体を発現している細胞および細胞系統を提供する。代表的な宿主細胞は、哺乳動物およびヒト細胞、例えば、CHO細胞、HEK−293細胞、HeLa細胞、CV−1細胞、およびCOS細胞を包含する。宿主細胞中への異種構築物のトランスフォーメーション後に安定な細胞系統を生成するための方法は、当該分野で知られている。代表的な非哺乳動物宿主細胞は、昆虫細胞(Potter et al. (1993) Int. Rev. Immunol. 10(2-3):103-112)を包含する。抗体は、また、トランスジェニック動物(Houdebine (2002) Curr. Opin. Biotechnol. 13(6):625-629)およびトランスジェニック植物(Schillberg et al. (2003) Cell Mol. Life Sci. 60(3):433-45)において産生されうる。
【0057】
II.抗−5T4核酸およびポリペプチド
本発明は、さらに、抗−5T4重鎖および軽鎖可変領域をコードしている単離核酸、および開示される核酸によってコードされる単離ポリペプチドを提供する。本発明の核酸およびポリペプチドは、A1、A2およびA3可変領域、ヒト化A1、A2およびA3可変領域、およびその変種のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を包含する。単離核酸およびポリペプチドは、キメラおよびヒト化抗−5T4抗体を調製するために使用されうる。
【0058】
II.A.抗−5T4核酸
核酸は、一本鎖、二本鎖または三本鎖形態におけるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそのポリマーである。特に限定しないかぎり、核酸は、参照天然核酸と類似の特性を有する天然ヌクレオチドの既知の類似物を含有しうる。核酸は、遺伝子、cDNA、mRNAおよびcRNAを包含する。核酸は、合成されてもよく、またはいずれかの生物を包含するいずれかの生物学的供給源から得られてもよい。抗−5T4抗体をコードする核酸をクローニングするための代表的な方法は、実施例1および7に記載される。
【0059】
本発明の代表的な核酸は、配列番号1、3、5、7、9、11および48のいずれか1つのヌクレオチド配列を含む。特に、A1、A2およびA3重鎖可変領域をコードしている核酸は、各々、配列番号2の残基20−138、配列番号6の残基19−135、および配列番号10の残基20−141として示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域をコードする、配列番号1のヌクレオチド58−41、配列番号5のヌクレオチド55−405、および配列番号9のヌクレオチド58−423を含む。ヒト化A1重鎖可変領域をコードしている核酸は、配列番号48のヌクレオチド1−358を含む。A1、A2およびA3軽鎖可変領域をコードしている核酸は、各々、配列番号4の残基21−127、配列番号8の残基23−130、および配列番号12の残基21−127として示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域をコードする、配列番号3のヌクレオチド61−381、配列番号7のヌクレオチド67−390、および配列番号11のヌクレオチド61−381を含む。本発明の付加的なアミノ酸は、図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2およびA3可変領域をコードしているヌクレオチドを含む。
【0060】
本発明の核酸は、また、配列番号1、3、5、7、9、11および48のいずれか1つに実質的に同一のヌクレオチド配列を含んでいてもよく、配列番号1、3、5、7、9および11のいずれか1つの可変領域コード配列に少なくとも90%同一、例えば、少なくとも約91%同一または少なくとも92%同一、例えば、少なくとも93%同一、または少なくとも94%同一、または少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一のヌクレオチド配列を包含する。例えば、本発明の核酸は、(a)配列番号1の可変領域コード配列と少なくとも98%同一のヌクレオチド配列、(b)配列番号3の可変領域コード配列と少なくとも97%同一のヌクレオチド配列、(c)配列番号5の可変領域コード配列と少なくとも98%同一のヌクレオチド配列、(d)配列番号7の可変領域コード配列と少なくとも98%同一のヌクレオチド配列、(e)配列番号11の可変領域コード配列と少なくとも99%同一のヌクレオチド配列、または(f)配列番号48の可変領域コード配列と少なくとも89%同一のヌクレオチド配列を含んでいてもよい。配列は、下記するように、配列番号1、3、5、7、9、11、48のいずれかの全長可変領域コード配列、または図9A−9Hに示されるヒト化A1、A2およびA3可変領域配列をコードしているヌクレオチド配列をクエリ配列として用いる配列比較アルゴリズムを用いて、または外観検査によって、最大の一致について比較する。実施例1および表1、および実施例7および表11も参照のこと。
【0061】
実質的に同一の配列は、多形配列、すなわち、集団における別の配列または対立遺伝子であってもよい。対立遺伝子の相違は、1塩基対ほどの小ささであってもよい。実質的に同一の配列は、また、サイレント変異を含む配列を包含する変異を起こさせた配列を含んでいてもよい。変異は、1以上の残基の変化、1以上の残基の欠失、または1以上の付加的な残基の挿入を含んでいてもよい。
【0062】
実質的に同一の核酸は、さらに、配列番号1、3、5、7、9、11または48のいずれか1つの全長に対し、配列番号1、3、5、7、9、11または48のいずれか1つの可変領域コード配列の全長に対し、または図9A−9Hに示されるヒト化A1、A2およびA3可変領域配列をコードしているヌクレオチド配列に対し、ストリンジェントな条件下で、特異的にハイブリダイズするか、または実質的にハイブリダイズする核酸として同定される。核酸ハイブリダイゼーションとの関連で、比較している2つの核酸配列は、プローブおよび標的と称してもよい。プローブは、参照核酸分子であり、標的は、試験核酸分子であり、しばしば、核酸分子の異種集団内で見出される。標的配列は、試験配列と同義である。
【0063】
ハイブリダイゼーション研究の場合、有用なプローブは、本発明の核酸分子の少なくとも約14〜40ヌクレオチド配列に相補的であるか、またはそれらを模倣する。好ましくは、プローブは、14〜20個のヌクレオチドからなり、または長いプローブが望ましい場合でも、例えば、配列番号1、3、5、7、9、11または48のいずれか1つの30、40、50、60、100、200、300または500ヌクレオチドまたは全長まで、配列番号1、3、5、7、9、11または48のいずれか1つの可変領域コード配列の全長、または図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2およびA3可変領域配列をコードするヌクレオチド配列からなる。かかるフラグメントは、例えば、フラグメントの化学的合成によって、核酸増幅技術の適用によって、または組み換え体産生のための組み換えベクター中への選択配列の導入によって、容易に調製されうる。
【0064】
特異的ハイブリダイゼーションとは、配列が複合核酸混合物(例えば、全細胞性DNAまたはRNA)中に存在する場合、ストリンジェントな条件下で、分子が特定のヌクレオチド配列にだけ結合、二本鎖化(duplex)またはハイブリダイズすることをいう。特異的ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション条件の厳しさにもよるが、プローブと標的配列との間のミスマッチを調整しうる。
【0065】
サザンおよびノーザンブロット分析などの核酸ハイブリダイゼーション実験との関連で、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件およびストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件は、配列と環境のどちらにも依存する。より長い配列は、より高温で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範な指針は、Tijssen (1993) Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes, part I chapter 2, Elsevier, New York, New Yorkに見出される。一般に、非常にストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、所定のイオン強度およびpHにて、特定の配列の熱融解点(T)よりも約5℃低くなるように選択される。典型的には、ストリンジェントな条件下、プローブは、その標的サブ配列に特異的にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない。
【0066】
は、標的配列の50%が完全に合致するプローブにハイブリダイズする温度(所定のイオン強度およびpH下で)である。非常にストリンジェントな条件は、特定のプローブのTと等しくなるように選択される。約100個を越える相補的残基を有する相補的核酸のサザンまたはノーザンブロット分析のためのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、42℃にて、1mgのヘパリンを含有する50%ホルムアミド中、一晩のハイブリダイゼーションである。非常にストリンジェントな洗浄条件の例は、65℃にて、0.1 X SSCバッファー中15分である。ストリンジェントな洗浄条件の例は、65℃にて、0.2 X SSCバッファー中15分である。SSCバッファーの記載については、Sambrook et al., eds (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkを参照のこと。しばしば、高ストリンジェンシー洗浄の前に、バックグラウンドプローブシグナルを除去するための低いストリンジェンシー洗浄を行う。約100個を越えるヌクレオチドの二本鎖のための中程度のストリンジェンシー洗浄条件の例は、45℃にて、1 X SSC中15分である。約100個を越えるヌクレオチドの二本鎖のための低ストリンジェンシー洗浄条件の例は、40℃にて、4X〜6X SSC中15分である。短いプローブ(例えば、約10〜50ヌクレオチド)の場合、ストリンジェントな条件は、典型的に、pH7.0−8.3にて、約1M Naイオン未満の塩濃度、典型的には約0.01〜1M Naイオン濃度(または他の塩)を含み、温度は、典型的に、少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件は、また、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によって達成されうる。一般に、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおいて、関係のないプローブに対して観察されるよりも2倍の(またはそれ以上)シグナル対ノイズ比は、特異的なハイブリダイゼーションの検出を示す。
【0067】
以下は、本発明の参照ヌクレオチド配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を同定するために使用されうるハイブリダイゼーションおよび洗浄条件の例である。プローブヌクレオチド配列は、好ましくは、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO、1mM EDTA中、50℃にて標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、次いで、2X SSC、0.1%SDS中50℃にて洗浄する。より好ましくは、プローブおよび標的配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO、1mM EDTA中50℃でハイブリダイズし、次いで、1X SSC、0.1%SDS中50℃で洗浄する。より好ましくは、プローブおよび標的配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO、1mM EDTA中50℃でハイブリダイズし、次いで、0.5X SSC、0.1%SDS中50℃で洗浄する。より好ましくは、プローブおよび標的配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO、1mM EDTA中50℃でハイブリダイズし、次いで、0.1X SSC、0.1%SDS中50℃で洗浄する。より好ましくは、プローブおよび標的配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO、1mM EDTA中50℃でハイブリダイズし、次いで、0.1X SSC、0.1%SDS中65℃で洗浄する。
【0068】
2つの核酸配列が実質的に同一であることを示すさらなる兆候は、該核酸によってコードされるタンパク質が実質的に同一であり、全体的な三次元構造を共有し、または生物学的に機能的等価であることである。これらの用語は、さらに下記で定義される。ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸分子は、対応するタンパク質が実質的に同一であれば、まだ実質的に同一である。これは、例えば、2つのヌクレオチド配列が遺伝子コードによって許可されるような保存的に置換された変種を含む場合に起こりうる。
【0069】
保存的に置換された変種は、1以上の選択された(または全ての)コドンの第3位が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている縮重コドン置換を有する核酸配列である。Batzer et al. (1991) Nucleic Acids Res. 19:5081; Ohtsuka et al. (1985) J. Biol. Chem. 260:2605-2608;およびRossolini et al. (1994) Mol. Cell Probes 8:91-98を参照のこと。
【0070】
本発明の核酸は、また、配列番号1、3、5、7、9、11、48または図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2およびA3可変領域配列をコードしているヌクレオチド配列、および配列番号1、3、5、7、9、11、48または図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2およびA3可変領域配列をコードしているヌクレオチド配列のサブ配列および伸長配列、およびその相補配列のいずれか1つに相補的な核酸を含む。相補配列は、塩基対間の水素結合の形成において互いに対になることのできる逆平行なヌクレオチド配列を含む2つのヌクレオチド配列である。本明細書中で使用される場合、相補配列なる語は、下記に示す同じヌクレオチド比較方法によって評価されうるような、実質的に相補的なヌクレオチド配列を意味するか、または本明細書中に記載されるような比較的ストリンジェントな条件下で目的の核酸セグメントにハイブリダイズすることができるものとして定義される。相補的核酸セグメントの特定の例は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0071】
サブ配列は、より長い核酸配列の一部からなる核酸の配列である。例示的サブ配列は、上記のようなプローブ、またはプライマーである。プライマーなる語は、本明細書中で使用される場合、選択された核酸分子の約8個以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、好ましくは、10−20個のヌクレオチド、より好ましくは20−30個のヌクレオチドからなる連続した配列をいう。本発明のプライマーは、本発明の核酸分子上で重合の開始を提供するのに十分な長さの適当な配列のオリゴヌクレオチドを包含する。
【0072】
伸長配列は、核酸中に組み込まれた付加的なヌクレオチド(または他の類似分子)を含む。例えば、ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)は、核酸分子の3’末端に配列を付加しうる。さらに、ヌクレオチド配列は、他のDNA配列、例えば、プロモーター、プロモーター領域、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、イントロン配列、付加的な制限酵素部位、マルチプルクローニング部位、および他のコーディングセグメントと組み合わせてもよい。かくして、本発明は、また、組み換え発現ベクターを包含する、本発明の核酸が機能的プロモーターに作動可能に連結された開示された核酸を含むベクターを提供する。核酸に作動可能に連結される場合、プロモーターは、核酸の転写がプロモーター領域によって制御および調節されるように核酸と機能的に組み合わされている。ベクターとは、プラスミド、コスミドおよびウイルス性ベクターのなどの宿主細胞中で複製可能な核酸をいう。
【0073】
本発明の核酸は、クローン化、合成、改変、変異誘発されていてもよく、またはそれらの組み合わせが施されていてもよい。核酸の単離に使用される標準的な組み換えDNAおよび分子クローニング技術は、当該分野で既知である。塩基対の変化、欠失または小さな挿入を施すための部位特異的変異誘発もまた、当該分野で既知である。例えば、Sambrook et al. (eds.) (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York; Silhavy et al. (1984) Experiments with Gene Fusions. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York; Glover & Hames (1995) DNA Cloning: A Practical Approach, 2nd ed. IRL Press at Oxford University Press, Oxford/New York; Ausubel (ed.) (1995) Short Protocols in Molecular Biology, 3rd ed. Wiley, New Yorkを参照のこと。
【0074】
II.B.抗−5T4ポリペプチド
本発明は、また、単離した抗−5T4ポリペプチドを提供する。ポリペプチドおよびタンパク質とは各々、ペプチド結合によって結合された一本鎖アミノ酸からなる化合物をいう。代表的な重鎖可変領域ポリペプチドは、配列番号2の残基20−138、配列番号6の残基19−135、配列番号10の残基20−141、および配列番号49の残基1−119として示される。代表的な軽鎖可変領域ポリペプチドは、配列番号4の残基21−127、配列番号8の残基23−130、および配列番号12の残基21−127として示される。本発明の付加的なポリペプチドは、図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2およびA3可変領域のアミノ酸を含む。
【0075】
本発明の付加的なポリペプチドは、開示された抗−5T4ポリペプチドに実質的に類似する、例えば、配列番号2、4、6、8、10、12および49の可変領域と少なくとも約90%同一、例えば、少なくとも約91%同一、少なくとも約92%同一、少なくとも約93%同一、少なくとも約94%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一の重鎖および軽鎖可変領域ポリペプチドを包含する。配列は、配列番号2、4、6、8、10、12、49のいずれか1つまたは図9A−9Cに示されるヒト化A1、A2またはA3可変領域のいずれか1つの全長配列、またはその可変領域配列を用いる配列比較アルゴリズムを用いて、または外観検査によって、最大の一致について比較される。本発明は、さらに、本明細書中に開示される核酸のいずれか1つによってコードされるポリペプチドを包含する。
【0076】
例えば、本発明の代表的なポリペプチドは、(a)配列番号2の残基20−138と少なくとも85%類似のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(b)配列番号4の残基21−127と少なくとも94%類似のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(c)配列番号6の残基19−135と少なくとも86%類似のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(d)配列番号8の残基23−130と少なくとも96%類似のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(e)配列番号10の残基20−141と少なくとも91%類似のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(f)配列番号12の残基21−127と少なくとも98%類似のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(g)配列番号49の残基1−119と少なくとも90%類似のアミノ酸配列を有するポリペプチドを包含する。実施例1および表2、および実施例7および表11を参照のこと。
【0077】
本発明のポリペプチドは、天然アミノ酸、合成アミノ酸、遺伝的にコードされたアミノ酸、非遺伝的にコードされたアミノ酸、およびその組み合わせを含みうる。ポリペプチドは、L型およびD型アミノ酸の両方を包含する。
【0078】
代表的な非遺伝的にコードされたアミノ酸は、限定するものではないが、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、β−アミノプロピオン酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸(ピペリジン酸)、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、2,4−ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2’−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロ−ヒドロキシリジン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロ−イソロイシン、N−メチルグリシン(サルコシン)、N−メチルイソロイシン、N−メチルバリン、ノルバリン、ナルロイシン、およびオルニチンを包含する。
【0079】
代表的な誘導体化アミノ酸は、例えば、遊離アミノ基が誘導体化されて、アミン塩酸塩、p−トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基またはホルミル基を形成する分子を包含する。遊離カルボキシル基は、誘導体化されて、塩、メチルおよびエチルエステルまたは他の型のエステルまたはヒドラジドを形成していてもよい。遊離ヒドロキシル基は、誘導体化されて、O−アシルまたはO−アルキル誘導体を形成していてもよい。ヒスチジンのイミダゾール窒素は、誘導体化されて、N−im−ベンジルヒスチジンを形成していてもよい。
【0080】
本発明は、また、本発明の抗−5T4ポリペプチドのフラグメント、例えば、5T4抗原結合部位を構成するフラグメントを提供する。開示される配列よりも長いポリペプチド配列もまた提供される。例えば、1以上のアミノ酸が抗体ポリペプチドのN末端またはC末端に付加されていてもよい。かかる付加的アミノ酸は、限定するものではないが、精製を包含する種々の適用に用いてもよい。伸長したタンパク質を調製する方法は、当該分野で知られている。
【0081】
本発明の抗−5T4ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12または49のいずれか1つの保存的に置換された変種であるアミノ酸を含むタンパク質を包含する。保存的に置換された変種とは、1以上の残基が機能的に類似の残基で保存的に置換されているアミノ酸を含むポリペプチドをいう。
【0082】
保存的置換の例は、1の非極性(疎水性)残基、例えば、イソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンの別の基での置換、1の極性(親水性)残基の別の基での置換、例えば、アルギニンとリジンとの間の置換、グルタミンとアスパラギンとの間の置換、グリシンとセリンとの間の置換、1の塩基性残基、例えば、リジン、アルギニンまたはヒスチジンの別の基での置換、または1の酸性残基、例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸の別の基での置換を包含する。
【0083】
本発明の単離ポリペプチドは、当業者に知られた種々の標準的技術を用いて、精製し、特徴付けられうる。例えば、Schroeder & Luebke (1965) The Peptides. Academic Press, New York; Bodanszky (1993) Principles of Peptide Synthesis, 2nd rev. ed. Springer-Verlag, Berlin/ New York; Ausubel (ed.) (1995) Short Protocols in Molecular Biology, 3rd ed. Wiley, New Yorkを参照のこと。
【0084】
II.C.ヌクレオチドおよびアミノ酸配列比較
2以上のヌクレオチドまたはタンパク質配列との関連で、「同一」または「パーセント同一性」なる語は、最大の一致について比較および整列させた場合、本明細書中に開示された配列比較アルゴリズムの1つを用いて、または外観検査によって測定したとき、同一または特定のパーセンテージの同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する2以上の配列またはサブ配列をいう。
【0085】
ヌクレオチドまたはタンパク質配列に関して、「実質的に同一」なる語は、特定の配列が1以上の欠失、置換または付加によって天然の配列から変化しているが、その正味の影響は抗−5T4核酸またはポリペプチドの生物学的機能を保持することを意味する。
【0086】
2以上の配列を比較する場合、典型的に1つの配列は、1以上の試験配列を比較している参照配列としての役割を果たす。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験および参照配列をコンピュータープログラム中に入力し、必要に応じてサブ配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメーターを選択する。次いで、配列比較アルゴリズムが、選択されたプログラムパラメーターに基づき、参照配列に対して指定された試験配列についてのパーセント配列同一性を計算する。
【0087】
比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Waterman (1981) Adv. Appl. Math 2:482-489の局所的相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443-453の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-2448の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピューター化された手段(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, Madison, WisconsinのGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)によって、または外観観察によって実施されうる。一般に、Ausubel (ed.) (1995) Short Protocols in Molecular Biology, 3rd ed. Wiley, New Yorkを参照のこと。
【0088】
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するための好ましいアルゴリズムは、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410に記載されるBLASTアルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、the National Center for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を介して公的に入手可能である。BLASTアルゴリズムパラメーターは、アラインメントの感受性および速度を決定する。2つのヌクレオチド配列を比較する場合、BLASTnデフォルトパラメーターは、W=11(word length)およびE=10(expectation)で設定され、また、低い組成複雑性を有するクエリ配列の残基をマスクするための低複雑性フィルターの使用を包含する。2つのアミノ酸配列を比較する場合、BLASTpプログラムデフォルトパラメーターは、W=3(word length)、E=10(expectation)で設定され、BLOSUM62スコアリングマトリックスの使用、existence=11およびextension=1のギャップコスト、および低い組成複雑性を有するクエリ配列の残基をマスクするための低複雑性フィルターの使用を包含する。実施例1を参照のこと。
【0089】
III.抗−5T4抗体/薬物コンジュゲート
本発明は、さらに、本発明の抗−5T4抗体を含む抗体/薬物コンジュゲートを提供する。また、薬物が抗体に直接または間接的に結合しているような抗体/薬物コンジュゲートの調製方法も提供される。本発明の抗体/薬物コンジュゲートは、一般式:
5T4Ab(−X−W)m
[式中、
5T4Abは、本明細書中に記載されるような抗−5T4抗体または抗体フラグメントであり、
Xは、抗−5T4抗体または抗体フラグメントと反応しうるいずれかの反応基の生成物を含むリンカーであり、
Wは、薬物であり、
mは、精製されたコンジュゲート生成物に関する平均負荷(例えば、薬物がコンジュゲートの約3−10重量%を構成するようなm)あり、
(−X−W)mは、薬物誘導体である]
で示される。
【0090】
また、本発明の抗体/薬物コンジュゲートの調製方法も提供される。一例として、式5T4Ab(−X−W)mの抗体/薬物コンジュゲートは、(a)薬物誘導体を抗−5T4抗体に添加し、ここに、薬物は抗−5T4抗体の3−10重量%であり、(b)薬物誘導体および抗−5T4抗体を非求核性でタンパク質適合性の約pH7〜9のバッファー溶液中でインキュベートして、抗体/薬物コンジュゲートを製造し、ここに、該溶液はさらに、(i)適当な有機共溶媒および(ii)少なくとも1つの胆汁酸またはその塩を含む1以上の添加物を含み、該インキュベーションは、約30℃〜約35℃にて、約15分〜約24時間実施され、次いで、(c)工程(b)で製造されたコンジュゲートをクロマトグラフィー分離過程に付して、3−10重量%の薬物を負荷し、低コンジュゲートフラクション(LCF)を有する抗体/薬物コンジュゲートを、コンジュゲートしていない抗−5T4抗体、薬物誘導体および凝集したコンジュゲートから分離することによって調製されうる。
【0091】
III.A.薬物
薬物は、生物学的または検出可能な活性を有するいずれかの物質、例えば、治療剤、検出ラベル、結合剤等、およびイン・ビボで活性剤に代謝されるプロドラッグである。薬物は、また、薬物が本発明の抗体とコンジュゲート可能なように官能化されている薬物誘導体であってもよい。一般に、これらの型のコンジュゲートは、免疫コンジュゲートと呼ばれる。
【0092】
治療剤は、必要とする対象において病態を治療または予防するのに使用されうる組成物である。本発明において有用な治療剤は、抗癌剤、すなわち、5T4発現性細胞、例えば、扁平上皮/腺腫性肺癌(非小細胞肺癌)、浸潤性乳癌、結腸直腸癌、胃癌、扁平上皮子宮頚癌、浸潤性子宮内膜腺癌、浸潤性膵臓癌、卵巣癌、扁平上皮膀胱癌、および絨毛癌由来の癌細胞において、抗癌活性を有する剤を包含する。
【0093】
代表的な治療薬物は、細胞毒、放射性同位元素、化学療法剤、免疫調節剤、抗脈管形成剤、抗増殖剤、プロ−アポトーシス剤、ならびに細胞増殖抑制および細胞溶解性酵素(例えば、RNAses)を包含する。薬物は、また、治療的核酸、例えば、免疫調節剤、抗脈管形成剤、抗増殖剤、またはプロ−アポトーシス剤をコードしている遺伝子を包含しうる。これらの薬物の記述は、相互排他的ではなく、かくして、治療剤は、1以上の上記の用語を用いて記述されうる。例えば、選択された放射性同位元素は、細胞毒でもある。治療剤は、上記のいずれかの医薬上許容される塩、酸または誘導体として調製されうる。一般に、放射性同位元素を薬物として有するコンジュゲートは、放射性免疫コンジュゲートと呼ばれ、化学療法剤を薬物として有するコンジュゲートは、化学免疫コンジュゲートと呼ばれる。
【0094】
免疫コンジュゲートにおいて使用するための適当な薬物の例は、タキサン類、マイタンシン類(maytansines)、CC−1065およびドゥオカルマイシン類(duocarmycins)、カリケアマイシン類および他のエンジイン類、およびアウリスタチン類(auristatins)を包含する。他の例には、抗−葉酸塩、ビンカアルカロイド、およびアントラサイクリンを包含する。植物毒、他の生物活性タンパク質、酵素(すなわち、ADEPT)、放射性同位元素、光増感剤(すなわち、光線力学療法の場合)もまた、免疫コンジュゲートに用いることができる。さらに、例えば、リポソームまたはポリマーなどの第2の担体を細胞毒剤として用いて、コンジュゲートを作成することができる。
【0095】
「細胞毒」なる語は、一般に、細胞の機能を阻害または妨害し、および/または細胞の破壊をもたらす剤をいう。代表的な細胞毒は、抗生物質、チューブリン重合阻害剤、DNAに結合して破壊するアルキル化剤、およびタンパク質合成または必須細胞性タンパク質、例えば、プロテインキナーゼ、ホスファターゼ、トポイソメラーゼ、酵素およびサイクリンの機能を破壊する剤を包含する。代表的な細胞毒は、限定するものではないが、ドクソルビシン(doxorubicin,)、ダウノルビシン(daunorubicin)、イダルビシン(idarubicin)、アクラルビシン(aclarubicin)、ゾルビシン(zorubicin)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、エピルビシン(epirubicin)、カルビシン(carubicin)、ノガラマイシン(nogalamycin)、メノガリル(menogaril)、ピタルビシン(pitarubicin)、バルルビシン(valrubicin)、シタラビン(cytarabine)、ゲムシタビン(gemcitabine)、トリフルリジン(trifluridine)、アンシタビン(ancitabine)、エノシタビン(enocitabine)、アザシチジン(azacitidine)、ドキシフルリジン(doxifluridine)、ペントスタチン(pentostatin)、ブロクリジン(broxuridine)、カペシタビン(capecitabine)、クラドリビン(cladribine)、デシタビン(decitabine)、フロクリジン(floxuridine)、フルダラビン(fludarabine)、ゴウゲロチン(gougerotin)、ピューロマイシン(puromycin)、テガフル(tegafur)、チアゾフリン(tiazofurin)、アドリアマイシン(adriamycin)、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、ダカルバジン(dacarbazine)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ミトキサトロン(mitoxantrone)、ブレオマイシン(bleomycin)、メクロルエタミン(mechlorethamine)、プレドニソン(prednisone)、プロカルバジン(procarbazine)、メトトレキサート(methotrexate)、フルロウラシル類(flurouracils)、エトポシド(etoposide)、タキソール(taxol)、タキソール類似物、プラチン類(platins)、例えば、シス−プラチンおよびカルボ−プラチン、マイトマイシン(mitomycin)、チオテパ(thiotepa)、タキサン類、ビンクリスチン(vincristine)、ダウノルビシン(daunorubicin)、エピルビシン(epirubicin)、アクチノマイシン(actinomycin)、オウトラマイシン(authramycin)、アザセリン類(azaserines)、ブレオマイシン類(bleomycins)、タモキシフェン(tamoxifen)、イダルビシン(idarubicin)、ドラスタチン類(dolastatins)/オーリスタチン類(auristatins)、ヘミアステリン類(hemiasterlins)、エスペラマイシン類(esperamicins)およびマイタンシノイド類(maytansinoids)を包含する。
【0096】
本発明の特定の具体例において、細胞毒は、抗生物質、例えば、カリケアマイシン(LL−E33288複合体とも呼ばれる)、例えば、ガンマ−カリケアマイシン(γ)またはN−アセチルガンマ−カリケアマイシンである。米国特許第4,970,198号を参照のこと。本発明の抗体/薬物コンジュゲートの調製において使用するのに適当なカリケアマイシンの付加的な例は、米国特許第4,671,958号、第5,053,394号、第5,037,651号、第5,079,233号および第5,108,912号(出典明示により、全体として本明細書の一部とされる)に開示される。これらの化合物は、適当なチオールと反応してジスルフィドを形成し、同時に、ヒドラジドまたは抗−5T4抗体にカリケアマイシンをコンジュゲートさせるのに有用な他の官能基などの官能基を導入しうるメチルトリスルフィドを含有する。カリケアマイシンのジスルフィド類似体もまた使用でき、例えば、米国特許第5,606,040号および第5,770,710号(出典明示により、全体として本明細書の一部とされる)に記載されている。
【0097】
放射線療法での適用の場合、本発明の抗−5T4抗体は、高エネルギー放射性同位元素を含みうる。同位元素は、例えば、抗体に存在するシステイン残基にて、抗体に直接結合させてもよく、またはキレーターを用いて抗体と放射性同位元素との結合を媒介させてもよい。放射線療法に適当な放射性同位元素は、限定するものではないが、α−エミッター、β−エミッター、およびオージェ電子を包含する。診断的適用の場合、有用な放射性同位元素は、陽電子エミッターおよびγ−エミッターを包含する。本発明の抗−5T4抗体は、抗体の検出または治療効果を促進にするために、さらに、例えば、抗体のチロシン残基上で、ヨウ素化されていてもよい。
【0098】
抗−5T4抗体にコンジュゲートされうる代表的な放射性同位元素は、18フッ素、64銅、65銅、67ガリウム、68ガリウム、77臭素、80m臭素、95ルテニウム、97ルテニウム、103ルテニウム、105ルテニウム、99mテクネチウム、107水銀、203水銀、123ヨウ素、124ヨウ素、125ヨウ素、126ヨウ素、131ヨウ素、133ヨウ素、111インジウム、113インジウム、99mルテニウム、105ルテニウム、101ルテニウム、186ルテニウム、188ルテニウム、121mテルル、99テクネチウム、122mテルル、125mテルル、165ツリウム、167ツリウム、168ツリウム、90イットリウム、およびそれらから誘導される窒化物または酸化物を包含する。他の適当な放射性同位元素は、アルファエミッター、例えば、213ビスマス、213鉛、および225アクチニウムを包含する。
【0099】
本発明の抗体/薬物コンジュゲートは、免疫調節剤、すなわち、体液性免疫応答(例えば、抗原特異的抗体の産生)および細胞媒介性免疫応答(例えば、リンパ球増殖)を包含する免疫応答を誘導する剤を包含しうる。代表的な免疫調節剤は、サイトカイン、キサンチン、インターロイキン、インターフェロンおよび成長因子(例えば、TNF、CSF、GM−CSFおよびG−CSF)、およびエストロゲン類(ジエチルスチルベストロール、エストラジオール)、アンドロゲン類(テストステロン、HALOTESTIN(登録商標)(フルオキシメステロン))、プロゲスチン類(MEGACE(酢酸メゲストロール)、PROVERA(酢酸メドロキシプロゲステロン))およびコルチコストロイド類(プレドニソン、デキサメタソン、ヒドロコルチソン)などのホルモンを包含する。
【0100】
本発明において有用な免疫調節剤は、また、腫瘍に対するホルモン作用を遮断する抗ホルモンおよびサイトカイン産生を抑制する、自己抗原発現をダウンレギュレートする、またはMHC抗原をマスクする免疫抑制剤を包含する。代表的抗ホルモン剤は、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン(raloxifene)、アロマターゼ阻害性4(5)−イミダゾール類、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプンストン(onapstone)、およびトレミフェン(toremifene)を包含する抗エストロゲン類、および抗アンドロゲン類、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン、および抗副腎剤を包含する。代表的な免疫抑制剤は、2−アミノ−6−アリール−5−置換ピリミジン類、アザチオプリン、シクロホスファミド、ブロモクリプチン、ダナゾール、ダプソン、グルタルアルデヒド、MHC抗原およびMHCフラグメントの抗遺伝子型抗体、シクロスポリンA、ステロイド、例えば、グルココルチコステロイド、サイトカインまたはサイトカイン受容体アンタゴニスト(例えば、抗インターフェロン抗体、抗−IL10抗体、抗−TNFα抗体、抗−IL2抗体)、ストレプトキナーゼ、TGFβ、ラパマイシン、T細胞受容体、T細胞受容体フラグメント、およびT細胞受容体抗体を包含する。
【0101】
本発明において有用な付加的な薬剤は、血管形成を阻害する抗脈管形成剤、例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、COX−2阻害剤、VEGF阻害剤、bFGF阻害剤、ステロイドスルファターゼ阻害剤(例えば、2−メトキシエストラジオールビス−スルファマート(2−MeOE2bisMATE))、インターロイキン−24、トロンボスポンジン、メタロスポンジンタンパク質、クラスIインターフェロン、インターロイキン12、プロタミン、アンジオスタチン、ラミニン、エンドスタチン、およびプロラクチンフラグメントを包含する。
【0102】
抗増殖剤およびプロ−アポトーシス剤は、PPAR−ガンマのアクチベーター(例えば、シクロペンテノンプロスタグランジン(cyPGs))、レチノイド、トリテルピノイド(例えば、シクロアルタン、ルパン、ウルサン、オレアナン、フリエデラン、ダンマラン、ククルビタシン、およびリモノイド・トリテルペノイド)、EGF受容体の阻害剤(例えば、HER4)、ラパマイシン、CALCITRIOL(1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール(ビタミンD))、アロマターゼ阻害剤(FEMARA(レトロゾン))、テロメラーゼ阻害剤、鉄キレーター(例えば、3−アミノピリジン−2−カルボキサルデヒドチオセミカルバゾン(Triapine))、アポプチン(ニワトリ貧血ウイルス由来のウイルス性タンパク質3−VP3)、Bcl−2およびBcl−X(L)の阻害剤、TNF−アルファ、FASリガンド、TNF−関連アポトーシス誘導性リガンド(TRAIL/Apo2L)、TNF−アルファ/FASリガンド/TNF−関連アポトーシス誘導性リガンド(TRAIL/Apo2L)シグナリングのアクチベーター、およびPI3K−Akt生存経路シグナリングの阻害剤(例えば、UCN−01およびゲルダナマイシン)を包含する。
【0103】
代表的な化学治療剤は、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド、スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン(busulfan)、インプロスルファン(improsulfan)およびピポスルファン(piposulfan)、アジイジン類(aziidines)、例えば、ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボクオン(carboquone)、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa)、アルトレタミン(altretamine)、トリエチレンメラミン(triethylenemelamine)、トリエチレンホスホラミド(triethylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphoramide)およびトリメチルオロメラミン(trimethylolomelamine)を包含するエチレンイミン類(ethylenimines)およびメチルアメラミン類(methylamelamines);ニトロゲンマスタード、例えば、クロラムブシル(chlorambucil)、クロルナファジン(chlornaphazine)、クロロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン(estramustine)、イフォスファミド(ifosfamide)、メキオレタミン(mechiorethamine)、酸化メキオレタミン塩酸塩、メルファラン(melphalan)、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロホスファルニド(trofosfarnide)、ウラシルマスタード(uracil mustard);ニトロソウレア類(nitrosureas)、例えば、カルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン(nimustine)、ラニムスチン(ranimustine);抗生物質、例えば、アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン(actinomycin)、オウトラマイシン(authramycin)、アザセリン(azaserine)、ブレオマイシン類(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カリケアマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン類(chromomycins)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、デトルビシン(detorubicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドクソルビシン(doxorubicin)、エピルビシン(epirubicin)、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン(idarubicin)、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン類(mitomycins)、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン類(olivomycins)、ペプロマイシン(peplomycin)、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン(puromycin)、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン(streptozocin)、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス(ubenimex)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);抗−代謝産物、例えば、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似物、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキサート(trimetrexate);プリン類似物、例えば、フルダラビン(fludarabine)、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン;ピリミジン類似物、例えば、アンシタビン(ancitabine)、アザシチジン(azacitidine)、6−アザウリジン、カモフル(carmofur)、シタラビン(cytarabine)、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン(doxifluridine)、エノシタビン(enocitabine)、フロクスウリジン(floxuridine)、5−EU;アンドロゲン類、例えば、カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone propionate)、エピチオスタノール(epitiostanol)、メピチオスタン(mepitiostane)、テストラクトン(testolactone);抗−副腎物質(anti-adrenal)、例えば、アルニノグルテチミド(arninoglutethimide)、ミトタン(mitotane)、トリロスタン(trilostane);葉酸補充剤、例えば、フロリン酸(frolinic acid);アセグラトン(aceglatone);アルドホスファルニド(aldophospharnide)グリコシド;アルニノレブリン酸(arninolevulinic acid);アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジクオン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン(lentinan);ロニダミン(Ionidamine);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン(mitoxantrone);モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン(pentostatin);フェナメット(phenamet);ピラルビシン(pirarubicin);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン(procarbazine);ラゾキサン(razoxane);シゾフィラン(sizofiran);スピロゲルマニウム(spirogermanium);テヌアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジクオン(triaziquone);2,2’,2’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン(vindesine);ダカルバジン(dacarbazine);マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール(mitobronitol);ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(arabinoside)(Ara−C);シクロホスファミド(cyclophosphamide);チオテパ;タキソイド類、例えば、パクリタキセル(paclitaxel)(TAXOL、Bristol-Myers Squibb Oncology of Princeton, New Jersey)およびドキセタキセル(doxetaxel)(TAXOTERE、Rhone-Poulenc Rorer of Antony, France);チオラムブシル(chiorambucil);ゲムシタビン(gemcitabine);6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似物、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(etoposide)(VP−16);イフォスファミド(ifosfamide);マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン(navelbine);ノバントロン(novantrone);テニポシド(teniposide);ダウノマイシン(daunomycin);アイニノプテリン(aininopterin);キセロダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン類(esperamicins);およびカペシタビン(capecitabine)を包含する。
【0104】
抗−5T4抗体にコンジュゲートされ、本発明の治療法にしたがって使用されうる付加的な治療剤は、光線力学療法のための感光剤(米国特許公開第2002/0197262号および米国特許第5,952,329号)、温熱療法(米国特許公開第2003/0032995号)のための磁性粒子、結合剤、例えば、ペプチド、リガンド、細胞接着リガンド等、およびプロドラッグ、例えば、リン酸塩含有プロドラッグ、チオリン酸塩含有プロドラッグ、硫酸塩含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、置換したフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは置換フェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシンおよびより活性のある細胞毒性遊離薬物に変換しうる他の5−フルオロウリジンプロドラッグを包含する。
【0105】
抗−5T4抗体を用いる診断方法の場合、薬物は、イン・ビトロまたはイン・ビボで5T4発現細胞の存在を検出するために使用される検出可能な標識を含んでいてもよい。イン・ビボで検出可能な放射性同位元素、例えば、シンチグラフィー、磁気共鳴画像化または超音波を用いて検出可能な標識は、臨床的診断的適用において使用されうる。有用なシチグラフィー標識は、陽電子エミッターおよびγ−エミッターを包含する。磁気源画像化のための代表的な造影剤は、常磁性または超常磁性イオン(例えば、鉄、銅、マンガン、クロム、エルビウム、ユーロピウム、ジスプロシウム、ホルミウムおよびガドリニウム)、酸化鉄粒子、および水溶性造影剤である。超音波検出の場合、気体または液体を、微小気泡造影剤として放出される多孔性無機粒子中に封入してもよい。イン・ビトロ検出の場合、有用な検出可能標識は、フルオロフォア、検出可能エピトープまたは結合剤、および放射能標識を包含する。
【0106】
III.B.リンカー分子
薬物は、本発明のキメラおよびヒト化抗−5T4抗体に直接またはリンカー分子を介して間接的にコンジュゲートされる。リンカー分子は、安定であるか、または加水分解可能であってもよく、それにより、細胞侵入後に放出される。薬物が抗体から開裂される主要なメカニズムは、酸性pHのリソソーム(ヒドラゾン、アセタール、およびシス−アコニタート様アミド)中における加水分解、リソソーム酵素(カテプシンおよび他のリソソーム酵素)によるペプチド開裂、およびジスルフィドの還元を包含する。これらの種々の開裂メカニズムの結果として、薬物を抗体に連結するメカニズムもまた、幅広く変化し、いずれかの適当なリンカーを用いることができる。好ましくは、コンジュゲーション方法は、最小限の低コンジュゲートフラクション(LCF、ほとんどコンジュゲートされていない抗体のフラクション)、すなわち、約10%未満のLCFを有する試料を生じる。
【0107】
適当なコンジュゲーション法の一例は、天然で抗体に生じる炭水化物の酸化によって生成されるアルデヒドに対するヒドラジドおよび他の求核原子のコンジュゲーションに依存する。ヒドラゾン含有コンジュゲートは、所望の薬物放出性を提供する導入されたカルボニル基を用いて作成することができる。コンジュゲートは、また、一方の末端にジスルフィド、真ん中にアルキル鎖、および他方の末端にヒドラジン誘導体を有するリンカーを用いて作製することができる。アントラサイクリン類は、該技術を用いて抗体にコンジュゲートすることができる細胞毒の一例である。
【0108】
ヒドラゾン類以外の官能基を含有するリンカーは、リソソームの酸性環境において開裂される可能性を有する。例えば、コンジュゲートは、細胞内で開裂可能なヒドラゾン以外の部位を含有するチオール反応性リンカー、例えば、エステル、アミドおよびアセタール/ケタールから作成することができる。カンプトテシンは、これらのリンカーを用いてコンジュゲートすることができる1の細胞毒剤である。5〜7員環ケトンからなり、酸素の1つが細胞毒剤に結合しており、他方が抗体結合のためのリンカーに結合しているケタールを用いることもできる。アントラサイクリン類もまた、これらのリンカーと共に使用するのに適当な細胞毒の一例である。
【0109】
pH感受性リンカーのクラスの別の例は、アミド結合に並置されたカルボン酸を有するシス−アコニテート類である。該カルボン酸は、酸性リポソソーム中でアミド加水分解を加速する。いくつかの他の型の構造を有する同様の加水分解速度加速を達成するリンカーもまた、使用できる。マイタンシノイド類は、C−9に結合したリンカーを用いてコンジュゲートすることのできる細胞毒の一例である。
【0110】
薬物コンジュゲートのための別の可能性のある放出方法は、リソソーム酵素によるペプチドの酵素的加水分解である。一例において、ペプチドは、アミド結合を介してパラ−アミノベンジルアルコールに結合し、次いで、カルバメートまたはカルボネートが該ベンジルアルコールと細胞毒剤との間に形成される。ペプチドの開裂は、アミノベンジルカルバメートまたはカルボネートの崩壊または自己犠牲をもたらす。該方法で例示される細胞毒剤は、アントラサイクリン類、タキサン類、マイトマイシンCおよびオーリスタチン類を包含する。一例において、フェノールもまた、カルバメートの代わりにリンカーの崩壊によって放出されることができる。別の例において、ジスルフィド還元を用いて、パラ−メルカプトベンジルカルバメートまたはカルボネートの崩壊を開始する。
【0111】
抗体にコンジュゲートした細胞毒剤の多くは、あったとしても、ほとんど水に対する溶解性がなく、そのことは、コンジュゲートの凝集のために、コンジュゲート上の薬物負荷を制限する可能性がある。これを克服するための1のアプローチは、リンカーに可溶化基を付加することである。PEGおよびジペプチドからなるリンカーを用いて作製されたコンジュゲートを用いることができ、抗体に結合したPEG二酸、チオール−酸、またはマレイミド−酸、ジペプチドスペーサー、およびアントラサイクリンまたはドゥオカルマイシン類似物のアミンに結合したアミドを有するコンジュゲートを包含する。別の例は、細胞毒剤に結合したPEG−含有リンカージスルフィドおよび抗体に結合したアミドを用いて調製されたコンジュゲートである。PEG基を組み込むアプローチは、凝集の克服に、および薬物負荷の制限に有益でありうる。
【0112】
本発明の抗体/薬物コンジュゲートの調製に好ましい代表的なリンカーは、式:
(CO−Alk−Sp−Ar−Sp−Alk−C(Z)=Q−Sp)
[式中、
AlkおよびAlkは、独立して、結合または分枝もしくは非分枝(C−C10)アルキレン鎖であり、
Spは、結合、−S−、−O−、−CONH−、−NHCO−、−NR’−、−N(CHCHN−、または−X−Ar’−Y−(CH−Z
(ここに、X、YおよびZは独立して、結合、−NR’−、−S−または−O−であり、但し、n=0のとき、YおよびZの少なくとも1つは結合であり、
Ar’は、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−(CHCOOR’、−S(CHCOOR’、−O(CHCONHR’、および−S(CHCONHR’のうち1、2または3個の基で置換されていてもよい1,2−、1,3−または1,4−フェニレンである)
であり、但し、Alkが結合であるとき、Spは結合であり、
nは、0〜5の整数であり、
R’は、−OH、(C−C)アルコキシ、(C−C)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、(C−C)ジアルキルアミノ、および(C−C)トリアルキルアンモニウム−A(ここに、Aは、塩を形成している医薬上許容されるアニオンである)の1または2個の基で置換されていてもよい分枝または非分枝(C−C)鎖であり、
Arは、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CHCOOR’、−S(CHCOOR’、−O(CHCONHR’、および−S(CHCONHR’(ここに、nおよびR’は上記のとおりである)の1、2または3個の基で置換されていてもよい1,2−、1,3−または1,4−フェニレンであるか、または1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,6−、または2,7−ナフチリデンまたは
【化1】

であり、各ナフチリデンまたはフェノチアジンは、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CHCOOR’、−S(CHCOOR’、および−S(CHCONHR’(ここに、nおよびR’は上記の通りである)の1、2、3または4個の基で置換されていてもよく、但し、Arがフェノチアジンであるとき、Spは窒素にのみ連結した結合であり、
Spは、結合、−S−、または−O−であり、但し、Alkが結合であるとき、Spは結合であり;
は、H、(C−C)アルキル、または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−ONHR’、−O(CHCOOR’、−S(CHCOOR’、−O(CHCONHR’、および−S(CHCONHR’(ここに、nおよびR’は上記のとおりである)の1、2または3個の基で置換されていてもよいフェニルであり、
Spは、直鎖または分枝鎖の二価または三価(C−C18)基、二価または三価のアリールまたはヘテロアリール基、二価または三価の(C−C18)シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基、二価または三価のアリール−またはヘテロアリール−アリール(C−C18)基、二価または三価のシクロアルキル−またはヘテロシクロアルキル−アルキル(C−C18)基、または二価または三価の(C−C18)不飽和アルキル基であり、ここに、ヘテロアリールは、好ましくは、フリル、チエニル、N−メチルピロリル、ピリジニル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、ピリミジニル、キノリル、イソキノリル、N−メチルカルバゾイル、アミノクマリニル、またはフェナジニルであり、ここに、Spが三価の基である場合、Spは、低級(C−C)ジアルキルアミノ、低級(C−C)アルコキシ、ヒドロキシまたは低級(C−C)アルキルチオ基によって付加的に置換されていてもよく、
Qは、=NHNCO−、=NHNCS−、=NHNCONH−、=NHNCSNH−、または=NHO−である]
のリンカーを包含する。
【0113】
好ましくは、Alkは、分枝または非分枝(C−C10)アルキレン鎖であり、Sp’は、結合、−S−、−O−、−CONH−、−NHCO−、または−NR’(ここに、R’は上記の通りである)であり、但し、Alkが結合であるとき、Spは結合であり、
Arは、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CHCOOR’、−S(CHCOOR’、−O(CHCONHR’および−S(CHCONHR’(ここに、nおよびR’は上記の通りである)の1、2または3個の基で置換されていてもよい1,2−、1,3−、または1,4−フェニレンであるか、またはArは、各々、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CHCOOR’、−S(CHCOOR’、−O(CHCONHR’、および−S(CHCONHR’の1、2、3または4個の基で置換されていてもよい1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,6−、または2,7−ナフチリデンであり、
は、(C−C)アルキル、または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CHCOOR’、−S(CHCOOR’、−O(CHCONHR’、および−S(CHCONHR’の1、2または3個の基で置換されていてもよいフェニルであり、
AlkおよびSpは、一緒になって結合を形成し、SpおよびQは、すぐ上で定義した通りである。
【0114】
米国特許第5,773,001号は、全体として本明細書の一部とされるが、カリケアマイシン類から調製される求核性薬物、特にヒドラジドおよび関連する求核性分子と共に使用されうるリンカーを開示する。これらのリンカーは、特に、薬物とリンカーとの間に形成される結合が加水分解可能であるとき、より良好な活性が得られる場合に有用である。これらのリンカーは、(1)抗体と反応するための基(例えば、カルボン酸)、および(2)薬物と反応するためのカルボニル基(例えば、アルデヒドまたはケトン)を包含する2つの官能基を含有する。カルボニル基は、薬物上のヒドラジド基と反応してヒドラゾン結合を形成しうる。該結合は、加水分解可能であり、その結果、標的細胞に結合後に、コンジュゲートからの治療剤の放出を可能にする。
【0115】
一例として、抗−5T4抗体は、(1)細胞毒性薬物誘導体を抗−5T4抗体に加え、ここに、該細胞毒性薬物はタンパク質性担体の4.5%−11重量%であり、(2)該細胞毒性薬物誘導体および抗−5T4抗体を、約pH7〜9の非求核性タンパク質適合性バッファー溶液中でインキュベートして、一量体細胞毒性薬物/抗体コンジュゲートを生産し、ここに、該溶液はさらに、(a)適当な有機共溶媒および(b)少なくとも1つのC−C18カルボン酸またはその塩を含む添加剤を含み、ここに、該インキュベーションは約30℃〜約35℃にて約15分〜24時間実施され、(3)工程(2)で生産されたコンジュゲートをクロマトグラフィー分離過程に付して、3重量%〜10重量%の負荷量の細胞毒性薬物を有し、かつ、10%未満の低コンジュゲートフラクション(LCF)を有するおよび一量体コンジュゲートを、コンジュゲートしていない抗体、細胞毒性薬物誘導体および凝集したコンジュゲートから分離することによって、細胞毒性薬物にコンジュゲートされうる。
【0116】
工程(3)のクロマトグラフィー分離工程は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、限外ろ過/ダイアフィルトレーション(diafiltration)、HPLC、FPLCまたはSephacryl S−200クロマトグラフィーなどの過程を包含することができる。該クロマトグラフィー分離は、また、Phenyl Sepharose 6 Fast Flowクロマトグラフィー媒体、Butyl Sepharose 4 Fast Flowクロマトグラフィー媒体、Octyl Sepharose 4 Fast Flowクロマトグラフィー媒体、Toyopearl Ether−650Mクロマトグラフィー媒体、Macro−PrepメチルHIC媒体またはMacro−Prep t−ブチルHIC媒体を用いる、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって達成されうる。
【0117】
抗−5T4抗体/薬物コンジュゲートを調製するための代表的な方法は、同時継続中の米国特許出願公開第2004−082764A1号および米国特許出願第10/699,874号(全体として本明細書の一部とされる)においてCMC−544の調製に関して記載された方法を包含する。コンジュゲーションは、下記の条件:10mg/ml抗体、8.5%(w/w)カリケアマイシン誘導体、37.5mMデカン酸ナトリウム、9%(v/v)エタノール、50mM HEPES(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(4−ブタンスルホン酸))、pH8.5、32℃、1時間を用いて行ってもよい。疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、ブチルセファロースFF樹脂、0.65Mリン酸カリウムローディングバッファー、0.49Mリン酸カリウム洗浄バッファー、および4mMリン酸カリウム溶出バッファーを用いて実施してもよい。バッファー交換は、サイズ排除クロマトグラフィー、限外ろ過/ダイフィルトレーション、または他の適当な手段によって達成されうる。抗体/薬物コンジュゲートは、1.5%Dextran−40、0.9%シュークロース、0.01%TWEEN−80、20mM Tris/50mM NaCl、pH8.0中で処方されうる。5%シュークロース、0.01%TWEEN−80、20mM Tris/10mM NaCl、pH8.0を含有する別の処方溶液もまた用いてもよい。凍結乾燥サイクルは、処方に基づいて調整される。処方されたバルクの濃度は、0.5mgコンジュゲート/mlであってもよい。各バイアルは、1mgのコンジュゲート、すなわち2ml充填量を含有しうる。所望により、他の充填容量、例えば5ml充填量で調製してもよい。
【0118】
他の代表的な方法は、米国特許出願公開第20060002942号にも記載されるCMD−193に関して記載された方法を包含する。コンジュゲーションは、下記の条件:10mg/ml抗体、7%(w/w)カリケアマイシン誘導体、10mMデオキシコレート、50mM HEPBS(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(4−ブタンスルホン酸))、9%(v/v)エタノール、pH8.2、32℃、1時間を用いて実施されうる。該反応物は、0.66Mリン酸カリウム、pH8.56で10倍希釈されてもよく、HICは、ブチルセファロースFF樹脂、0.60Mリン酸カリウムローディングバッファーおよび洗浄バッファー、および20mM Tris/25mM NaCl溶出バッファーを用いて実施してもよい。バッファー交換は、再生セルロース膜を用いる限外ろ過/ダイフィルトレーションを用いて達成されうる。コンジュゲートは、20mM Tris/10mM NaCl pH8.0(10ダイアボリューム)に対してダイアフィルトレーションされうる。抗体/薬物コンジュゲートは、5%シュークロース、0.01%TWEEN−80、20mM Tris/10mM NaCl、pH8.0中で処方されうる。処方後のバルクコンジュゲートの濃度は、1mg/mlであってもよく、バイアル充填量は5mg/バイアル、すなわち5ml充填量であってもよく、または所望により、他の充填容量で調製されてもよい。
【0119】
本発明の特定の具体例において、用いられるリンカーは、4−(4−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)である。抗体/薬物コンジュゲートは、β−カリケアマイシン、γ−カリケアマイシンまたはN−アセチルγ−カリケアマイシン、またはその誘導体を3−メルカプト−3−メチルブタノイルヒドラジド、AcButリンカーおよび本発明の抗−5T4抗体と反応させることによって調製される。例えば、米国特許第5,773,001号を参照のこと。該リンカーは、循環中において実質的に安定であり、その結果、1日につきおよそ2%のNAc−ガンマDMHを放出し、酸性リソソーム中で容易にNAc−ガンマDMHを放出するコンジュゲートを生産する。本発明の他の具体例において、抗体/薬物コンジュゲートは、3−アセチルフェニル酸性酸(AcPac)または4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸(Amide)をリンカー分子として用いて調製される。
【0120】
放射性同位元素のコンジュゲーションに有用な代表的なリンカーは、ジエチレントリアミンペンタセテート(DTPA)−イソチオシアネート、スクシンイミジル6−ヒドラジニウムニコチネート塩酸塩(SHNH)、およびヘキサメチルプロピレンアミドオキシム(HMPAO)を包含する(Bakker et al. (1990) J. Nucl. Med. 31: 1501-1509, Chattopadhyay et al. (2001) Nucl. Med. Biol. 28: 741-744, Dewanjee et al. (1994) J. Nucl. Med. 35: 1054-63, Krenning et al. (1989) Lancet 1: 242-244, Sagiuchi et al. (2001) Ann. Nucl. Med. 15: 267-270、米国特許第6,024,938号)。別法では、標的分子は、放射性同位元素が直接それに結合されうるように誘導体化されうる(Yoo et al. (1997) J. Nucl. Med. 38: 294-300)。負荷方法もまた、当該分野で知られており、代表的なプロトコールは、例えば、Krenning et al. (1989) Lancet 1:242-4 およびBakker et al. (1990) J. Nucl. Med. 31:1501-9において見出されうる。
【0121】
抗体/薬物コンジュゲートあたりの薬物分子の数をさらに増やすために、薬物は、直鎖または分枝鎖ポリエチレングリコールポリマーおよびモノマーを包含するポリエチレングリコール(PEG)にコンジュゲートされてもよい。PEGモノマーは、式−(CHCHO)−で示される。薬物および/またはペプチド類似物は、PEGに直接または間接的に、すなわち、糖類などの適当なスペーサー基を介して結合されうる。PEG/抗体/薬物組成物は、また、薬物安定性およびイン・ビボでの標的部位への送達を促進するために、付加的な脂肪親和性および/または親水性基を含んでいてもよい。PEG−含有組成物の調製のための代表的な方法は、なかでも、米国特許第6,461,603号、第6,309,633号および第5,648,095号に見出されうる。
【0122】
例えば、抗体−カリケアマイシンコンジュゲートにおけるカリケアマイシンの量を増加するために、例えば、PEG−SPA、PEG−SBAまたはPEG−ビス−マレイミドを用いて、抗体をPEGにコンジュゲートした後に、カリケアマイシンとコンジュゲートする。PEGを用いて調製された抗体/薬物コンジュゲートは、標的抗原に対する結合アフィニティーの減少を示すが、薬物負荷量の増加の結果としてまだ効果的である。デオキシコレートおよびデカノエートなどの添加物を用いて、低レベルのコンジュゲートされていない抗体および低レベルの凝集物を伴う抗体/カリケアマイシンコンジュゲートを生産してもよい。
【0123】
カリケアマイシンを包含する多くの薬物の疎水性の性質は、抗体/薬物コンジュゲートの凝集をもたらしうる。より高い薬物負荷/収率を有し、かつ、凝集の少ない一量体抗体/薬物コンジュゲートを生産するために、コンジュゲーション反応は、(i)共溶媒としてプロピレングリコールおよび(ii)少なくとも1つのC−C18カルボン酸を含む添加物を含有する非求核性のタンパク質適合性バッファー溶液中で実施されうる。有用な酸は、C〜C12酸、例えば、オクタン酸またはカプリル酸またはその塩を包含する。プロピレングリコール以外の他のタンパク質適合性有機共溶媒、例えば、エチレングリコール、エタノール、DMF、DMSなどもまた、使用されうる。有機共溶媒のいくつか、または全てを用いて、薬物をコンジュゲーション混合物中に移動させる。N−ヒドロキシスクシンイミド(OSu)エステルまたは他の同等に活性化されたエステルを用いる抗体/薬物コンジュゲートの調製に有用なバッファーは、リン酸緩衝化セーライン(PBS)およびN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPESバッファー)を包含する。コンジュゲーション反応に用いられる緩衝溶液は、実質的に、遊離アミンおよび求核性分子を含有しない。別のアプローチとして、コンジュゲーション反応は、付加的な添加剤を含有せず、t−ブタノールを含有する非求核性のタンパク質適合性緩衝溶液中で行ってもよい。例えば、米国特許第5,712,374号および第5,714,586号を参照のこと。コンジュゲーションのための付加的な方法およびカリケアマイシン含有コンジュゲートは、米国特許第5,739,116号および第5,877,296号に記載されている。
【0124】
一量体コンジュゲートの形成のための最適な反応条件は、温度、pH、カリケアマイシン誘導体投入量および添加物濃度などの反応変量の変動によって、経験的に決定されうる。プロピレングリコールの代表的な量は、全溶液容量の10%〜60%、例えば、10%〜40%、または約30%の範囲である。少なくとも1つのC−C18カルボン酸またはその塩を含む添加剤の代表的な量は、20mM〜100mM、例えば、40mM〜90mM、または約60mM〜90mMの範囲である。C−C18カルボン酸またはその塩の濃度は、150−300mMに増加してもよく、共溶媒は1%〜10%に低下してもよい。本発明の代表的な具体例において、カルボン酸は、オクタン酸、デカン酸、またはその対応する塩である。例えば、200mMカプリル酸は、5%プロピレングリコールまたはエタノールと共に使用されうる。コンジュゲーション反応は、わずかに高温(30−35℃)にて、pH(8.2−8.7)で行ってもよい。抗体の濃度は、1〜15mg/mlの範囲であってもよく、カリケアマイシン誘導体、例えば、N−アセチルガンマ−カリケアマイシンDMH AcBut OSuエステルの濃度は、抗体の約4.5重量%〜11重量%の範囲であってもよい。他の薬物のコンジュゲーションのための適当な条件は、過度の実験を行うことなく、当業者によって決定されうる。
【0125】
III.C.抗体/薬物コンジュゲートの精製
コンジュゲーション後、一量体コンジュゲートは、常法により、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)またはクロマトフォーカシング(CF)によって、コンジュゲートされていない反応物質および/または凝集形態のコンジュゲートから分離されうる。精製されたコンジュゲートは、一量体であり、通常、3重量%〜10重量%の薬物を含有する。抗体/薬物コンジュゲートは、また、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を用いて精製してもよく、該クロマトグラフィーは、(1)LCF含量および凝集物を効率良く減らすための能力、(2)大量の反応容量に適応すること、および(3)生成物の最小限の希釈を包含する、SECを越えるいくつかの利点を提供する。生産規模での使用に適当な大容量HIC媒体は、フェニル・セファロース6ファースト・フロークロマトグラフィー媒体、ブチル・セファロース4ファースト・フロークロマトグラフィー媒体、オクチル・セファロース4ファースト・フロークロマトグラフィー媒体、トヨパール(Toyopearl)・エーテル−650Mクロマトグラフィー媒体、マクロ−プレプ(Macro-Prep)メチルHIC媒体またはマクロ−プレプt−ブチルHIC媒体を包含する。限外ろ過/ダイフィルトレーションもまた、バッファー交換に使用されうる。
【0126】
代表的な精製過程において、遠心分離細胞除去工程、プロテインAアフィニティー捕捉工程および続く1または2回の直交クロマトグラフィーポリッシング(polishing)工程、ウイルスろ過工程、および濃縮および処方のためのタンジェンシャル・フロー(tangential flow)ろ過工程を包含する複数の工程が実施される。精製過程は、好ましくは、5%未満の凝集物、20ppm未満のプロテインA、50ppm未満の宿主細胞タンパク質、および全回収率が50%を越える生成物を生じる。
【0127】
典型的な抗−5T4抗体/カリケアマイシン調製物は、主に(〜95%)、抗体1モルあたり5〜7モルのカリケアマイシンを含有するコンジュゲートされた抗体を含有する。該コンジュゲートは、研究室規模(10−200mg)で再生可能に調製された。モノクローナル抗体1mgあたりのカリケアマイシンμgとして表される薬物負荷量は、カリケアマイシン濃度(μg/mL)を抗体濃度(mg/mL)で割ることによって決定される。これらの値は、280nmおよび310nmでのコンジュゲート溶液のUV吸光度を測定することによって決定される。これは平均負荷量であって、実際の負荷量は、平均負荷値に中心のある疑似ガウス(quasi-gaussian)分布であり、すなわち、抗体のいくつかは平均より高く負荷され、抗体のいくつかは平均より低く負荷されることに注意することが重要である。コンジュゲートされていない抗体(低コンジュゲートフラクション)とは、分析的HIC−HPLC(疎水性相互作用高速液体クロマトグラフィー)を用いて測定することができるが、わずかにコンジュゲートされたか、またはコンジュゲートされていないカリケアマイシンを有する抗体の集団である。該値は、抗体におけるカリケアマイシン分布の測定値であり、一般に、投与されるカリケアマイシン量に影響を及ぼさない。コンジュゲートされていないカリケアマイシンとは、ELISAを用いて測定することができるが、抗体にコンジュゲートされていないカリケアマイシンの量をいい、全カリケアマイシンに対するパーセントで表される。薬物負荷アッセイは、コンジュゲートされていないカリケアマイシンとコンジュゲートされたカリケアマイシンとを区別しない。コンジュゲートされていないカリケアマイシンの量は、薬物負荷アッセイを用いた場合、検出不可能であるか、または無視されるので、これらのアッセイは、コンジュゲートされたカリケアマイシンの量を効果的に測定する。
【0128】
分析方法は、ヒト化抗−5T4カリケアマイシンコンジュゲートの放出および安定性試験に関してアッセイするために使用することができる。該コンジュゲートは、同一性(IEF)、強度(全タンパク質および全カリケアマイシン負荷)、純度(コンジュゲートされていないカリケアマイシン、低コンジュゲート抗体、凝集物含量および還元されたSDS−PAGE)、および免疫アフィニティー(抗原結合ELISA)について、評価することができる。当業者に既知の付加的なアッセイを使用することができる。これらのアッセイを用いて、バッチ−トゥ−バッチ(batch-to-batch)コンシステンシーを商業的製造において維持することができる。
【0129】
III.D.抗体/薬物コンジュゲートの薬物動力学
5T4−標的化免疫コンジュゲートの薬物動力学を評価することができ、種々の動物におけるコンジュゲートされていないカリケアマイシンの薬物動力学と比較することができる。例えば、これは、雌ヌードマウス、雄Sprague−Dawleyラットおよび雌カニクイザル(cynomologus monkey)において、単回静脈内ボーラス投与後に行うことができる。抗−5T4抗体の薬物動力学は、一般に、低クリアランス、低容量の分布、および様々な種における見かけ上長期間の半減期によって特徴付けられる。コンジュゲートされていないカリケアマイシン誘導体の血清濃度は、定量限界よりも低いと予想される。単回投与量の毒性決定研究におけるこれらのコンジュゲートの毒性プロファイルは、比較可能な投与量にて、他の抗体/カリケアマイシンコンジュゲートに関して得られたプロファイルに類似すると予想される。
【0130】
IV.抗−5T4抗体および抗体/薬物コンジュゲートの特徴付けのための機能的アッセイ
本発明は、さらに、5T4結合活性、細胞表面上に存在する5T4抗原への結合後の細胞性内在化、および対象における5T4発現細胞の標的化を包含する、抗−5T4抗体の活性を特徴付けるためのイン・ビトロおよびイン・ビボアッセイを開示する。細胞毒にコンジュゲートする場合、本発明の開示される抗体は、5T4発現性癌細胞の成長阻害および/または5T4発現性細胞における細胞死の誘導を包含する抗癌活性を誘導しうる。本発明の抗−5T4抗体は、1以上の外来性活性を含んでいてもよい。
【0131】
5T4抗原に対する抗−5T4抗体の結合を検出するための技術は、当該分野で知られており、例えば、実施例2に記載されるようなBIACOREアッセイを包含する。付加的な代表的技術は、遠心分離、アフィニティークロマトグラフィーおよび他の免疫化学的方法を包含する。例えば、Manson (1992) Immunochemical Protocols, Humana Press, Totowa, New Jersey, United States of America; Ishikawa (1999) Ultrasensitive and Rapid Enzyme Immunoassay, Elsevier, Amsterdam/New Yorkを参照のこと。抗原結合アッセイは、単離した5T4抗原または5T4発現性細胞を用いて行ってもよい。実施例2を参照のこと。
【0132】
抗−5T4抗体の結合特異性は、さらに、結合エピトープの限定、すなわち、抗原結合に関係する非隣接残基を包含する残基の同定、および/または抗原結合に影響を及ぼす残基の限定によって記載されうる。実施例4−5を参照のこと。
【0133】
抗−5T4抗体および抗体/薬物コンジュゲートの5T4発現性細胞による内在化は、5T4発現性細胞の表面に結合した抗体またはコンジュゲートの量を経時的に観察することによってアッセイされうる。抗体および抗体/薬物コンジュゲートの膜局在性を評価するための代表的な技術は、実施例3に記載される。
【0134】
機能的アッセイは、また、抗体/薬物コンジュゲートの抗癌活性、例えば、現存する癌細胞を破壊する能力、または癌細胞の成長を遅らせるか、もしくは妨げる能力を評価するための方法を包含する。本発明の抗体/薬物コンジュゲートによって標的化される癌は、原発性腫瘍および転移腫瘍の両方、ならびに白血病およびリンパ腫などの癌腫および造血系悪性腫瘍を包含する対象におけるいずれかの組織の癌腫を包含する。
【0135】
成長阻害活性を有する抗−5T4抗体は、5T4発現性細胞を排除することができるか、または5T4発現性細胞の増殖を妨げるか、もしくは減少させることができる。細胞成長阻害の迅速なイン・ビトロ評価のための代表的な方法は、Jones et al. (2001) J. Immunol. Methods 254:85-98に記載されている。
【0136】
抗−5T4抗体は、また、細胞死、例えば、核DNA分解、核退化および凝縮、膜完全性の喪失、および食作用によって特徴付けられるプログラム細胞死を誘導する能力を含んでいてもよい。細胞を評価するための代表的なアッセイは、Hoves et al. (2003) Methods 31:127-34; Peng et al. (2002) Chin. Med. Sci. J. 17:17-21; Yasuhara et al. (2003) J. Histochem. Cytochem. 51:873-885に記載されている。
【0137】
例えば、抗−5T4抗体/カリケアマイシンコンジュゲートの細胞毒性をイン・ビトロで評価するために、MDAMB435/5T4細胞(ヒト5T4抗原を過剰発現しているヒト乳癌細胞)およびMDAMB435/neo細胞(対照細胞)を、特にBoghaert et al. (2004), Clin. Cancer Res., 10: 4538-4549に記載されているように、抗体−カリケアマイシンコンジュゲートの存在下または遊離カリケアマイシンの存在下で培養する。各剤の細胞毒性は、ED50(ng/ml)として報告され、ED50は、非処理対照と比べて細胞培養物の50%減少を引き起こすコンジュゲートまたは遊離の薬剤として与えられたカリケアマイシンの量である。培養中の細胞数は、薬物曝露後に生体染色色素(MTS)を用いて決定される。実施例6も参照のこと。
【0138】
抗体/カリケアマイシンコンジュゲートの細胞毒性は、また、スフェロイド成長に適当な方法で培養されたMDAMB435/5T4およびMDAMB435/neo細胞を用いて評価されうる。細胞は、抗体/カリケアマイシンコンジュゲートまたは遊離カリケアマイシンの存在下で培養し、薬物曝露後、各スフェロイドの寸法を決定した。スフェロイド成長の阻害における各薬剤の効率は、ED50(ng/ml)として、すなわち、非処理対照と比べてスフェロイド成長の50%阻害を引き起こすコンジュゲートまたは遊離薬物として与えられたカリケアマイシンの量として報告される。実施例6を参照のこと。
【0139】
抗−5T4抗体/カリケアマイシンコンジュゲートの細胞毒性をイン・ビボで評価するために、MDAMB435/5T4細胞(ヒト5T4抗原を過剰発現しているヒト乳癌細胞)、NCI−H157細胞(ヒト非小細胞肺癌細胞)、PC14PE6細胞(ヒト非小細胞肺癌細胞)またはN87細胞(ヒト胃癌細胞)の皮下注射によって、ヌードマウス中で腫瘍を調製する。抗体/カリケアマイシンコンジュゲートおよび対照化合物を腫瘍を有するマウスに、例えば、腹膜内注射によって、4日間隔で全3回、例えば、1、5および9日目に投与する。測定可能な治療結果は、腫瘍細胞成長の阻害を包含する。
【0140】
さらに抗−5T4抗体/カリケアマイシンコンジュゲートの標的化能力を評価するために、本質的にOnn et al. (2003) Clin. Cancer Res. 9(15):5532-5539に記載のように、非小細胞および小細胞癌のための同所性モデルを用いてもよい。簡単に言うと、ヒト肺腺癌(PC14PE6)細胞をヌードマウスの尾部静脈中に注射し、次いで、それが移動して肺に腫瘍を形成する。腫瘍は、肺実質における充実性結節として現れ、浮遊した腫瘍細胞を含有する血性胸水を引き起こしうる。対照化合物および抗体/カリケアマイシンコンジュゲートを腫瘍を有するマウスに、例えば、腫瘍細胞の注射後6日目に開始する4日間隔で全3回、例えば、6、10および14日目の腹膜内注射によって投与される。測定可能な治療結果は、胸水の減少および生存数の増加を包含する。
【0141】
V.抗−5T4抗体および抗体/薬物コンジュゲートの使用
本発明の抗−5T4抗体および抗体/薬物コンジュゲートは、5T4発現性性細胞に関連した適用について、イン・ビトロおよびイン・ビボの両方で有用である。5T4を発現している癌は、扁平上皮/腺腫様肺癌(非小細胞肺癌)、浸潤性乳癌、結腸直腸癌、胃癌、扁平上皮子宮頚癌、浸潤性子宮内膜腺癌、浸潤性膵臓癌、卵巣癌、扁平上皮膀胱癌、および絨毛癌を包含する。5T4は、気管支、胸、結腸、直腸、胃、子宮頚、子宮内膜、膵臓、卵巣、絨毛膜(chorium)および精嚢において高レベルで検出される。
【0142】
V.A.イン・ビトロ適用
本発明は、イン・ビトロで抗−5T4抗体を用いる方法を提供する。例えば、開示される抗体は、5T4陽性癌細胞を特異的に結合してかかる細胞を細胞試料から枯渇させるために、単独または細胞毒性剤または他の薬物と組み合わせて使用してもよい。5T4発現性細胞と、細胞毒にコンジュゲートした抗−5T4抗体を含む抗体/薬物コンジュゲートとの接触を介して、アポトーシスおよび/または細胞増殖阻害を誘導するための方法もまた、提供される。代表的なイン・ビトロでの方法は、本明細書中、「抗−5T4抗体および抗体/薬物コンジュゲートの特徴付けのための機能的アッセイ」と見出しを付けて上記される。
【0143】
本発明の抗−5T4抗体は、また、5T4抗原に特異的に結合する能力に基づいて、イン・ビトロでの5T4陽性細胞の検出における有用性を有する。5T4発現性細胞を検出する方法は、(a)細胞を含む生物学的試料を調製し、(b)抗−5T4抗体を生物学的試料とイン・ビトロで接触させ、次いで(c)抗−5T4抗体の結合を検出することを含んでいてもよい。検出を容易化するために、抗体は標識にコンジュゲートされていてもよい。
【0144】
V.B.イン・ビボでの検出および診断
本発明の抗−5T4抗体は、また、例えば、診断に役立つので、イン・ビボ検出方法に使用してもよく、術中の援助を提供するために、または用量決定のために使用してもよい。標識された抗−5T4抗体の対象への投与後、および結合に十分な時間の経過後、抗体によって結合された5T4発現性細胞の生体分布を視覚化してもよい。開示される診断方法は、治療方法と組み合わせて使用してもよい。さらに、本発明の抗−5T4抗体は、検出および治療という二重の目的で投与されてもよい。
【0145】
代表的な非浸襲性検出方法は、シンチグラフィー(例えば、SPECT(単光子放出コンピューター断像撮影)、PET(ポジトロン放出断像撮影)、ガンマカメラ画像化、および直線走査)、磁気共鳴画像化(例えば、従来の磁気共鳴画像化、磁化移動画像化(MTI)、プロトン磁気共鳴分光学(MRS)、拡散強調画像化(DWI)および機能的MR画像化(fMRI))、および超音波を包含する。
【0146】
V.C.治療的適用
本発明は、さらに、対象において5T4発現性癌細胞の細胞溶解を誘導するために有用な方法および組成物に関する。本発明の抗−5T4抗体/薬物コンジュゲートは、癌細胞および非腫瘍性増殖障害、例えば、過形成、化生または最も特別には、異形成の細胞の成長を阻害するのに有用である(かかる異常な成長障害の概要については、DeVita, Jr. et a. (2001), Cancer: Principles and Practice, 6th edition, Lippincott Williams & Wilkinsを参照のこと)。
【0147】
抗−5T4抗体/薬物コンジュゲートを用いる標的化に適当な癌は、胸、結腸、直腸、肺、中咽頭、下咽頭、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢、胆管、小腸、腎臓、膀胱および尿路上皮を包含する尿道、女性の生殖管、子宮頚、子宮、卵巣、男性の生殖管、前立腺、精嚢、精巣、内分泌腺、甲状腺、副腎、下垂体、皮膚、骨、軟組織、血管、脳、神経、眼、髄膜における5T4発現性原発性および転移性腫瘍を包含する。他の関連する癌は、無痛性、進行性、低悪性度、中程度の悪性度、または高悪性度の白血病またはリンパ腫を包含する5T4発現性白血病およびリンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫)である。
【0148】
特に、5T4は、扁平上皮/腺腫様肺癌(非小細胞肺癌)、浸潤性乳癌、結腸直腸癌、胃癌、扁平上皮子宮頚癌、浸潤性子宮内膜腺癌、浸潤性膵臓癌、卵巣癌、扁平上皮膀胱癌、および絨毛癌の細胞において発現されることが知られている。5T4は、気管支、胸、結腸、直腸、胃、子宮頚、子宮内膜、膵臓、卵巣、絨毛膜(chorium)および精嚢において高レベルで検出される。5T4抗原の細胞表面分布は、均一または不均一であってもよい。結腸直腸癌、胃癌および卵巣癌において、5T4の発現は、疾患の進行に直接関係する。乳癌において、転移性節における増加した5T4染色強度が観察されるが、5T4発現は疾患段階と相関しない。癌は、また、胸、結腸、胃、食道、膵臓、十二指腸、肺、膀胱および腎臓癌ならびに胃および小島細胞神経内分泌腫瘍を包含するルイスY炭水化物抗原を発現しうる。米国特許第6,310,185号を参照のこと。
【0149】
かくして、本発明の抗−5T4/薬物コンジュゲートで処理すべき患者は、限定するものではないが、5T4抗原の発現増加を包含する生体マーカー発現に基づいて選択されてもよく、その結果、腫瘍の起源または組織学よりもむしろ豊富な標的発現について選択された患者集団をもたらす。標的発現は、細胞染色強度と組み合わせた細胞染色数の関数として測定されることができる。例えば、高発現の5T4の分類は、5T4について陽性の免疫組織化学的染色によって試験された細胞の30%よりも多く(すなわち、40%、50%または60%)が3+(1〜4のスケール)のレベルである患者を包含し、一方、5T4の中程度の発現は、細胞の20%よりも多くが1+〜2+で細胞染色された患者を包含することができる。
【0150】
例えば、多剤耐性(MDR)に基づく腫瘍の特徴付けを包含する5T4抗原の発現以外の生体マーカーもまた、患者選択のために使用することができる。ヒト癌のおよそ50パーセントは、化学療法に対して完全に耐性であるか、または一時的にしか応答せず、その後、一般に使用される抗癌剤によってもはや影響を受けない。該現象は、MDRとも称し、いくつかの種類の腫瘍によって生得的に発現されるが、他の種類の腫瘍は、化学療法処理に曝露後にMDRを獲得する。薬物流出ポンプP−糖タンパク質は、細胞毒性化学療法に関連するMDRの大部分の媒介となる。癌患者腫瘍試料に存在するMDRメカニズムの表現型的および機能的分析は、特定のMDRメカニズムを特定の種類の腫瘍における化学療法耐性に関連づけるために行うことができる。
【0151】
癌成長または異常な増殖は、より進行した癌形態または病態への細胞内変化を示唆するいくつかの指標のうちのいずれか1つを示す。癌細胞または非腫瘍性増殖障害の細胞の成長の阻害は、当該分野で知られた方法によって、例えば、腫瘍成長の遅延および転移阻害によってアッセイされうる。癌成長の阻害を測定するための他の指標は、癌細胞生存における減少、腫瘍容量または形態の減少(例えば、コンピューター断像撮影(CT)、音波ホログラフィー、または他の画像化方法を用いて決定される)、腫瘍脈管構造の破壊、遅延型皮膚過敏性試験における改善された動態、細胞溶解性Tリンパ球の活性増加、および腫瘍特異的抗原レベルの減少を包含する。
【0152】
いずれか1つの様式の操作によって縛られることは望ましくないが、抗−5T4抗体/薬物コンジュゲートの抗原−誘導性標的化ならびに受動的な標的化の両方が抗腫瘍効力に寄与しうる。抗原−誘導性標的化とは、対照組織(すなわち、実質的に5T4発現性細胞および投与された抗−5T4/薬物コンジュゲートの結合および/または蓄積が欠くと推測される組織)と比べて、標的組織(すなわち、5T4発現性細胞、および抗−5T4/薬物コンジュゲートの蓄積が意図される部位を含む組織)におけるペプチドまたはペプチド類似物の優先的な移動および/または蓄積をいう。抗体/薬物コンジュゲートの優先的な局在化は、一般的に、標的組織における抗体/薬物コンジュゲートの量が対照組織における抗体/薬物コンジュゲートの量よりも約2倍多いような場合であり、例えば、約5倍以上、または約10倍以上多いような場合である。
【0153】
受動的標的化とは、一般に、脈管構造における局所的変化に起因する腫瘍部位での抗体または抗体/薬物コンジュゲートの封鎖をいう。例えば、抗−5T4/薬物コンジュゲートは、腫瘍部位で脈管構造(該構造はVEGF産生増加のために有窓である)を離れ、5T4発現性細胞に結合して、抗−5T4/薬物コンジュゲートの内在化を引き起こしうる。腫瘍の乏しい静脈およびリンパドレナージもまた、結合していない5T4/薬物コンジュゲートの捕捉をもたらす。酸に不安定なリンカーを用いて薬物にコンジュゲートされた抗体は、薬物を放出することができ、次いで、腫瘍細胞中に拡散することができる。受動的標的化の抗腫瘍効果は、永続的ではなく、または抗原−誘導性標的化によって誘導される効果ほど強力ではないが、全体的な効力に寄与しうる。
【0154】
V.D.処方
本発明の抗−5T4抗体および抗−5T4/薬物コンジュゲートは、容易に調製され、安全かつ効力のある臨床的使用のために処方される。対象に投与するための適当な処方は、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチメロサール)、処方を意図されるレシピエントの体液と等張にするための溶質(例えば、糖類、塩類およびポリアルコール類)、懸濁化剤および増粘剤を含有しうる水性および非水性滅菌注射溶液を包含する。適当な溶媒は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、およびその混合物を包含する。該処方は、単位投与または多回投与用容器中、例えば、密閉したアンプルおよびバイアル中で提供してもよく、対象への投与のために使用する直前に滅菌液体担体の添加のみを必要とする冷凍または凍結乾燥された状態で、またはその後、意図される適用に適当な同位元素で放射能標識されるために、保管されてもよい。本発明の抗−5T4抗体および抗体/薬物コンジュゲートは、好ましくは、下記のような有効投与量として処方される。
【0155】
一例として、代表的な抗−5T4抗体または抗−5T4/薬物コンジュゲート処方は、40mg/ml抗体または抗体/薬物コンジュゲート、25mMアセテート、150mMトレハロース、0.9%ベンジルアルコール、0.02%ポリソルベート20、pH5.0の多回投与用処方を含み、それは、最小限の保管寿命が2−8℃保管で2年である。別の例として、抗−5T4抗体または抗−5T4/薬物コンジュゲート処方は、9.0mg/ml塩化ナトリウム、7.35mg/mlクエン酸ナトリウム二水和物、0.7mg/mlポリソルベート80および滅菌水、pH6.5中において、10mg/ml抗体または抗体/薬物コンジュゲートを含んでいてもよい。実験的なマウスモデルに投与するための抗−5T4/カリケアマイシンコンジュゲートの代表的な処方は、2μgまたは4μgカリケアマイシンを含み(実施例3、4および7参照)、それに応じて、ヒトへの投与のために増減させればよい。
【0156】
抗−5T4抗体または抗体/薬物コンジュゲートの安定な凍結乾燥処方は、(a)抗体/薬物コンジュゲートを最終濃度0.5〜2mg/mlまで、1.5重量%〜5重量%の凍結防止剤、0.5−1.5重量%のポリマー増量剤、0.01M〜0.1Mの電解質、0.005重量%〜0.05重量%の溶解促進剤、溶液の最終pHが7.8−8.2になるように5−50mMの緩衝化剤、および水を含む溶液中に溶解し、(b)上記溶液を、+5℃〜+10℃にてバイアル中に分注し、(c)−35℃〜−50℃の冷凍温度で該溶液を冷凍し、(d)該冷凍溶液を第1乾燥圧力20〜80ミクロンにて、棚温度−10℃〜−40℃で24〜78時間、最初の凍結乾燥工程に付し、次いで、(e)工程(d)の凍結乾燥産物を乾燥圧力20〜80ミクロンにて、棚温度+10℃〜+35℃で15〜30時間、第2の乾燥工程に付すことによって、調製されうる。
【0157】
凍結防止剤の凍結乾燥に有用な代表的な凍結防止剤は、アルジトール、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ポリエチレングリコール、アルドン酸、ウロン酸、糖酸(aldaric acid)、アルドース、ケトース、アミノ糖、アルジトール、イノシトール、グリセルアルデヒド、アラビノース、リキソース、ペントース、リボース、キシロース、ガラクトース、グルコース、ヘキソース、イドース、マンノース、タロース、ヘプトース、グルコース、フラクトース、グルコン酸、ソルビトール、ラクトース、マンニトール、メチルα−グルコピラノシド、マルトース、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸、ラクトン、ソルボース、グルカル酸、エリトロース、トレオース、アラビノース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、タガトース、グルクロン酸、グルコン酸、グルカル酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、シュークロース、トレハロース、ノイラミン酸、アラビナン、フルクタン、フカン、ガラクタン、ガラクツロン、グルカン、マンナン、キシラン、レバン、フコイダン、カラギーナン、ガラクトカロロース、ペクチン、ペクチン酸、アミロース、プルラン、グリコーゲン、アミロペクチン、セルロース、デキストラン、プスツラン、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイチン、デルマタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム、デンプン、シュークロース、グルコース、ラクトース、トレハロース、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、およびペンタエリストリトールを包含する。
【0158】
例えば、凍結防止剤シュークロースは、1.5重量%の濃度で使用してもよく、ポリマー増量剤デキストラン40またはヒドロキシエチルデンプン40は、0.9重量%の濃度で使用してもよく、凍結乾燥溶液中に使用される電解質は、塩化ナトリウムであり、0.05Mの濃度で存在し、緩衝化剤トロメタミンは、0.02Mの濃度で使用してもよい。溶解促進剤(例えば、ポリソルベート80などの界面活性剤)は、また、凍結乾燥工程の間に使用してもよい。通常、該溶解促進剤は、界面活性剤である。凍結乾燥処方の調製のための代表的な工程は、バイアルを−45℃で冷凍し、冷凍された溶液を第1の乾燥圧力60ミクロンおよび棚温度−30℃で60時間の最初の凍結乾燥工程に付し、次いで、凍結乾燥産物を乾燥圧力60ミクロンで、棚温度+25℃で24時間の第2の乾燥工程に付すことを包含する。
【0159】
抗−5T4抗体および抗体/薬物コンジュゲートは、医薬上許容される担体、例えば、大きなゆっくりと代謝される巨大分子、例えば、タンパク質、ポリペプチド、リポソーム、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマーおよび不活性ウイルス粒子中で処方される。医薬上許容される塩、例えば、鉱酸塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、および硫酸塩、または有機酸の塩、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩および安息香酸塩もまた使用してもよい。処方は、付加的に、液体、例えば、水、セーライン、グリセロール、およびエタノールを含有していてもよく、および/または補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝化物質がかかる組成物中に配合されていてもよい。かかる担体は、該組成物を患者に摂取させるための錠剤、丸薬、ドラジェー、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリーおよび懸濁液として処方することを可能にする。
【0160】
V.E.投与量および投与
本発明の抗−5T4抗体および抗−5T4/薬物コンジュゲートは、非経口的に、例えば、血管内、皮下、腹膜内、または筋内投与によって投与されうる。肺経路への組成物の送達の場合、組成物は、エーロゾルまたは粗(coarse)スプレーとして、すなわち、経鼻投与によって投与されうる。髄腔内、骨髄内または心室内投与は、中枢神経系(CNS)癌およびCNS関連癌の治療に用いてもよい。抗−5T4抗体および抗−5T4/薬物コンジュゲートは、また、経皮的(transdermally)、経皮的(transcutaneously)、局所的、経腸的、膣内、舌下または直腸投与されてもよい。静脈内投与は、臨床上、ルーチンに使用されうる。送達方法は、治療されるべき状態および部位、抗体処方の型および組成物の治療効力などの考慮に基づいて選択される。
【0161】
本発明は、有効量の抗−5T4抗体および抗−5T4/薬物コンジュゲートを、すなわち、所望の生物学的応答を誘導するのに十分な抗−5T4抗体または抗−5T4/薬物コンジュゲートの量を対象に投与することを提供する。例えば、癌を有する対象に投与する場合、有効量は、癌細胞溶解、癌細胞増殖の阻害、癌細胞アポトーシスの誘導、癌細胞抗原の減少、腫瘍成長の遅延、および/または転移の阻害を包含する抗癌活性を誘導するのに十分な量を含む。腫瘍の縮小は、効力についての臨床的代理マーカーとしてよく許容される。効力についての別のよく許容されるマーカーは、無増悪(progression-free)生存率である。抗−5T4/カリケアマイシンコンジュゲートは、一般に、重要な効力パラメーターにおいて少なくとも25%の改善、例えば、平均生存期間、腫瘍進行までの時間、および全体的な応答率における改善を明らかにする。
【0162】
一般に、有効投与量は、約0.01mg/m〜約50mg/m、例えば、約0.1mg/m〜約20mg/m、または約15mg/mの範囲であり、該投与量は、抗−5T4抗体の量に基づいて算出される。抗−5T4/薬物コンジュゲートの有効量は、また、コンジュゲートされた薬物の量に基づいて算出されうる。例えば、実験的マウスモデルに投与するための抗−5T4/カリケアマイシンコンジュゲートの代表的な投与量は、2μgまたは4μgのカリケアマイシンを包含し、これに応じて、ヒトに対する投与のために増減させればよい。例えば、本発明の抗−5T4/カリケアマイシンコンジュゲートは、ヒト患者に、3週間毎に1回、6サイクルまで投与されうる。放射能標識した抗−5T4抗体の場合、有効量は、放射性同位元素および抗体の結合アフィニティーにもよるが、典型的に、約1mCi〜約300mCi、通常、約5mCi〜100mCiの範囲である。
【0163】
開示される抗−5T4抗体を用いる5T4陽性細胞の検出のために、検出可能な量の本発明の組成物を、すなわち、抗体の存在がイン・ビトロまたはイン・ビボで決定されうるような抗−5T4抗体の投与量を対象に投与する。放射性同位元素を用いるシンチグラフィー画像化の場合、放射性同位元素の典型的な投与量は、約10μCi〜50mCi、または約100μCi〜25mCi、または約500μCi〜20mCi、または約1mCi〜10mCi、または約10mCiの活性を包含しうる。
【0164】
本発明の組成物における活性剤の実際の投与量レベルは、所望の診断的または治療的結果を達成するのに有効な組成物量を投与するように変化させればよい。投与方針もまた、変化させればよい。単回注射または多回注射を用いてもよい。選択される投与量レベルおよび方針は、治療組成物、処方の活性および安定性(すなわち、半減期)、投与経路、他の薬物または治療との組み合わせ、検出および/または治療されるべき疾患または障害、ならびに治療されている対象の物理的状態および以前の病歴を包含する種々の因子に依存する。
【0165】
本発明の抗−5T4抗体および抗−5T4/薬物コンジュゲートの場合、治療上有効量は、細胞培養アッセイまたは動物モデル、例えば、齧歯類、ウサギ、イヌ、ブタ、および/または霊長類のいずれかにおいて、最初に概算すればよい。動物モデルは、また、適当な濃度範囲および投与経路を決定するために使用してもよい。次いで、かかる情報は、ヒトにおける有用な投与量および投与経路を決定するために使用してもよい。典型的には、最小投与量を投与し、該投与量を用量規定毒性の不在下で段階的に増加させる。有効量または投与量の決定および調整、ならびにかかる調整をいつどのように実施するかの評価は、医学分野における通常の知識を有する者にとって既知である。
【0166】
組み合わせ療法の場合、抗−5T4抗体、抗−5T4/薬物コンジュゲート、および/または付加的な治療剤または診断剤を、意図される治療または診断の実施に適当ないずれかの期間内に投与する。かくして、単一の薬剤を実質的に同時に(すなわち、単一処方として、または数分もしくは数時間以内に)投与してもよく、またはいずれかの順番で連続的に投与してもよい。例えば、単一薬剤治療は、互いに約1年以内に、例えば、約10、8、6、4または2ヶ月以内に、または4、3、2または1週間以内に、または約5、4、3、2または1日以内に投与してもよい。
【0167】
処方、投与量、投与方針および測定可能な治療結果に関する付加的な手引きに関しては、Berkow et al. (2000) The Merck Manual of Medical Information, Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, New Jersey; Ebadi (1998) CRC Desk Reference of Clinical Pharmacology, CRC Press, Boca Raton, Florida; Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, Pennsylvania; Katzung (2001) Basic & Clinical Pharmacology, Lange Medical Books / McGraw-Hill Medical Pub. Div., New York; Hardman et al. (2001) Goodman & Gilman's the Pharmacological Basis of Therapeutics, The McGraw-Hill Companies, Columbus, Ohio; Speight & Holford (1997) Avery's Drug Treatment: A Guide to the Properties, Choices, Therapeutic Use and Economic Value of Drugs in Disease Management, Lippincott, Williams, & Wilkins, Philadelphia, Pennsylvaniaを参照のこと。
【0168】
V.F.組み合わせ療法
開示される抗−5T4抗体および抗−5T4/薬物コンジュゲートは、最初の治療として投与されてもよく、または、従来の治療に不反応性の病態の治療のために投与してもよい。さらに、抗−5T4抗体および抗−5T4/薬物コンジュゲートを他の治療(例えば、外科的切除、照射、付加的な抗癌剤など)と組み合わせて用いてもよく、それにより、付加的な、または強化された治療効果を誘導し、および/またはいくつかの抗癌剤の肝臓細胞毒性を減少させてもよい。本発明の抗−5T4抗体および抗−5T4/薬物コンジュゲートは、付加的な薬剤と共に投与または処方されてもよく、または付加的な薬剤といずれかの順番で連続的に投与するために処方されてもよい。
【0169】
組み合わせ療法に有用な代表的な薬剤は、抗−5T4/薬物コンジュゲートの調製に有用であるとして本明細書中に上記した薬剤のいずれをも包含する。本発明の抗−5T4抗体および抗−5T4/薬物コンジュゲートは、また、開示される抗−5T4抗体以外の抗−5T4抗体ならびに異なる抗原を標的とする抗体およびコンジュゲートを包含する他の治療的抗体および抗体/薬物コンジュゲートとの組み合わせにおいても使用してもよい。単独または抗体/薬物コンジュゲートとして使用されうる代表的な抗体は、抗−CD19抗体、抗−CD20抗体(例えば、RITUXAN、ZEVALIN、BEXXAR)、抗−CD22抗体、抗−CD33抗体(例えば、MYLOTARG)、抗−CD33抗体/薬物コンジュゲート、抗−ルイスY抗体(例えば、Hu3S193、Mthu3S193、AGmthu3S193)、抗−HER−2抗体(例えば、HERCEPTIN(トラスツズマブ(trastuzumab))、MDX−210、OMNITARG(ペルツズマブ(pertuzumab)、rhuMAb 2C4))、抗−CD52抗体(例えば、CAMPATH)、抗−EGFR抗体(例えば、ERBITUX(セツキシマブ(cetuximab))、ABX−EGF(パニツムマブ(panitumumab))、抗−VEGF抗体(例えば、AVASTIN(ベバシツマブ(bevacizumab))、抗−DNA/ヒストン複合抗体(例えば、ch−TNT−1/b)、抗−CEA抗体(例えば、CEA−Cide、YMB−1003)hLM609、抗−CD47抗体(例えば、6H9)、抗−VEGFR2(またはキナーゼ挿入ドメイン含有受容体、KDR)抗体(例えば、IMC−1C11)、抗−Ep−CAM抗体(例えば、ING−1)、抗−FAP抗体(例えば、シブロツマブ(sibrotuzumab))、抗−DR4抗体(例えば、TRAIL−R)、抗−プロゲステロン受容体抗体(例えば、2C5)、抗−CA19.9抗体(例えば、GIVAREX)および抗−フィブリン抗体(例えば、MH−1)を包含する。
【0170】
抗−5T4抗体/薬物コンジュゲートは、また、治療方針の一部として、細胞毒性剤の1以上の組み合わせと一緒に投与されうる。該目的に有用な細胞毒性調製物は、CHOPP(シクロホスファミド、ドクソルビシン、ビンクリスチン、プレドニソンおよびプロカルバジン);CHOP(シクロホスファミド、ドクソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニソン);COP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニソン);CAP−BOP(シクロホスファミド、ドクソルビシン、プロカルバジン、ブレオマイシン、ビンクリスチンおよびプレドニソン);m−BACOD(メトトレキサート、ブレオマイシン、ドクソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタソン、およびロイコボリン);ProMACE−MOPP(プレドニソン、メトトレキサート、ドクソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、ロイコボリン、メクロエタミン、ビンクリスチン、プレドニソンおよびプロカルバジン);ProMACE−CytaBOM(プレドニソン、メトトレキサート、ドクソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、ロイコボリン、シタラビン、ブレオマイシンおよびビンクリスチン);MACOP−B(メトトレキサート、ドクソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニソン、ブレオマイシンおよびロイコボリン);MOPP(メクロエタミン、ビンクリスチン、プレドニソンおよびプロカルバジン);ABVD(アドリアマイシン/ドクソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン);MOPP(メクロエタミン、ビンクリスチン、プレドニソンおよびプロカルバジン)とABV(アドリアマイシン/ドクソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン)を交互;MOPP(メクロエタミン、ビンクリスチン、プレドニソンおよびプロカルバジン)とABVD(アドリアマイシン/ドクソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン)を交互;ChlVPP(クロラムブシル、ビンブラスチン、プロカルバジン、プレドニソン);IMVP−16(イフォスファミド、メトトレキサート、エトポシド);MIME(メチル−gag、イフォスファミド、メトトレキサート、エトポシド);DHAP(デキサメタソン、高投与量シタラビンおよびシスプラスチン);ESHAP(エトポシド、メチルプレジソロン、HDシタラビンおよびシスプラスチン);CEPP(B)(シクロホスファミド、エトポシド、プロカルバジン、プレドニソンおよびブレオマイシン);CAMP(ロムスチン、ミトキサントロン、シタラビンおよびプレドニソン);およびCVP−1(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニソン);DHAP(シスプラスチン、高投与量シタラビンおよびデキサメタソン);CAP(シクロホスファミド、ドクソルビシン、シスプラスチン);PV(シスプラスチン、ビンブラスチンまたはビンデシン);CE(カルボプラチン、エトポシド);EP(エトポシド、シスプラチン);MVP(マイトマイシン、ビンブラスチンまたはビンデシン、シスプラチン);PFL(シスプラチン、5−フルオロウラシル、ロイコボリン);IM(イフォスファミド、マイトマイシン);IE(イフォスファミド、エトポシド);IP(イフォスファミド、シスプラチン);MIP(マイトマイシン、イフォスファミド、シスプラチン);ICE(イフォスファミド、カルボプラチン、エトポシド);PIE(シスプラチン、イフォスファミド、エトポシド);ビオレルビン(Viorelbine)およびシスプラチン;カルボプラチン(Carboplatin)およびパクリタキセル;CAV(シクロホスファミド、ドクソルビシン、ビンクリスチン);CAE(シクロホスファミド、ドクソルビシン、エトポシド);CAVE(シクロホスファミド、ドクソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド);EP(エトポシド、シスプラチン);およびCMCcV(シクロホスファミド、メトトレキサート、ロムスチン、ビンクリスチン)を包含する。
【0171】
抗−5T4抗体および抗−5T4/カリケアマイシンコンジュゲートは、全身的抗癌剤、例えば、エピチロン類(epithilones)(BMS−247550,Epo−906)、タキサン類の再処方(Abraxane,Xyotax)、ミクロチューブリン阻害剤(MST−997,TTI−237)、または標的化された細胞毒、例えば、CMD−193およびSGN−15と共に使用されうる。付加的な有効な抗癌剤は、TAXOTERE、TARCEVA、GEMZAR(ゲムシタビン(gemcitabine))、5−FU、AVASTIN、ERBITUX、TROVAX、アナツモマブ・マフェナトクス(anatumomab mafenatox)、レトラゾール(letrazole)、ドセタキセル(docetaxel)、およびアントラサイクリン類を包含する。
【0172】
組み合わせ治療の場合、抗−5T4抗体、抗−5T4/薬物コンジュゲート、および/または1以上の付加的な治療または診断剤を目的の治療または診断の実施に適当ないずれかの期間内に投与する。かくして、単一薬剤を実質的に同時に(すなわち、単一処方として、または数分もしくは数時間以内に)投与してもよく、あるいはいずれかの順番で連続的に投与してもよい。例えば、単一薬剤治療は、互いに約1年以内に、例えば、約10、8、6、4または2ヶ月以内に、または4、3、2または1週間以内に、または約5、4、3、2または1日以内に投与すればよい。第2の治療剤と組み合わせた抗−5T4抗体または抗−5T4/カリケアマイシンコンジュゲートの投与は、好ましくは、いずれかの単独投与の効果よりも大きな効果をもたらす。
【実施例】
【0173】
下記の実施例は、本発明の様式を説明するために含まれる。下記の実施例のある種の態様は、本発明の共同発明者によって見出され、または意図された技術及び手法に関して、本発明を実施するために記載されている。これらの実施例は、共同発明者による標準的な研究室での実施を説明するものである。本開示および当該分野の一般的な水準に基づき、当業者には、下記の実施例が例示目的のみを意図し、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの変更、修飾および改変を用いてもよいことは明らかであろう。
【0174】
実施例1
ネズミ抗−5T4抗体
ヒト5T4抗原および免疫化のための標準的な方法を用いて、マウスにおいて抗−5T4抗体を調製した。A1、A2およびA3抗体を産生するハイブリドーマ細胞系統を、個々のB細胞とメラノーマ細胞との融合によって製造した。
【0175】
A1、A2およびA3抗−5T4抗体重鎖および軽鎖可変領域をSMARTcDNA合成システム(Clontech Laboratories Inc. of Mountain View, California)、続いてPCR増幅を用いてクローン化した。A1、A2およびA3ハイブリドーマ細胞から単離した1μgの全RNAから、オリゴ(dT)およびSMARTIIAオリゴ(Clontech Laboratories Inc.)をPOWERSCRIPTTM(登録商標)逆転写酵素(Clontech Laboratories Inc.)と共に用いて、cDNAを合成した。次いで、該cDNAを、SMARTIIAオリゴ配列にアニールするプライマーおよびマウス定常領域特異的プライマー(軽鎖に関するマウスカッパ、A1重鎖に関するマウスIgG2a、A2重鎖に関するマウスIgG2b、およびA3重鎖に関するマウスIgG1)をVENTポリメラーゼ(New England Biolabs Inc. of Ipswich, Massachusetts)と共に用いて、PCRによって増幅した。重鎖および軽鎖可変領域PCR産物をpED6発現ベクター中にサブクローン化し、核酸配列を決定した。該方法は、DNA配列の予備知識を必要としない点で有益である。さらに、得られるDNA配列は、縮重PCRプライマーの使用によって改変されない。
【0176】
A1、A2およびA3重鎖可変領域のヌクレオチド配列は、各々、配列番号1のヌクレオチド58−414、配列番号5のヌクレオチド55−405、および配列番号9のヌクレオチド58−423として示される。A1、A2およびA3重鎖可変領域のアミノ酸配列は、各々、配列番号2の残基20−138、配列番号6の残基19−135および配列番号10の残基20−141として示される。A1、A2およびA3軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は、各々、配列番号3のヌクレオチド61−381、配列番号7のヌクレオチド67−390、および配列番号11のヌクレオチド61−381として示される。A1、A2およびA3軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号4の残基21−127、配列番号8の残基23−130、および配列番号12の残基21−127として示される。図1A〜1Cも参照のこと。
【0177】
A1、A2およびA3抗−5T4可変領域配列の新規性を評価するために、BLASTp検索(タンパク質クエリ配列について)を、デフォルトパラメーターExpect=10、Word Size=3、低複雑性フィルター、およびBLOSUM62マトリックスを用いて、existence=11およびextension=1のギャップコストを許可して実施した。BLASTn検索(ヌクレオチドクエリ配列について)は、デフォルトパラメーターExpect=10、Word Size=11、および低複雑性フィルターを用いて実施した。BLAST検索結果は、クエリ配列に関連する配列のリストとして、E値(データベースにおいて同定された合致の統計学的有意性の指標である)の順でランク付けして報告する。BLAST分析に用いられた可変領域配列に最も密接に関連する配列を表1(BLASTn)および表2(BLASTp)において同定する。
【0178】
【表1】

【0179】
【表2】

【0180】
実施例2
ネズミ抗−5T4抗体の結合特異性およびアフィニティー
A1、A2およびA3抗体の結合特異性およびアフィニティーを評価するために、CM5チップ上に固定化されたヒト5T4抗原を用いて、BIACORE分析を行った。BIACORE技術は、表面層上に固定化された5T4抗原に対する抗体の結合における表面層での屈折率における変化を利用する。結合は、表面から屈折しているレーザー光の表面プラズモン共鳴(SPR)によって検出される。シグナル反応速度on rateおよびoff rateの分析は、非特異的および特異的相互作用間の区別を可能にする。H8抗−5T4抗体を対照として用いた。H8は、PCT国際公開第WO98/55607号およびForsberg et al. (1997) J. Biol. Chem. 272(19):124430-12436において記載されたハイブリドーマから生じたモノクローナルマウスIgG1抗体である。
【0181】
表3
BIACOREアッセイの結果
【表3】

【0182】
BIACOREの結果は、A2およびA3抗体と比べて、H8およびA1抗体が5T4に対する高いアフィニティーを有することを示す。A2は、比較的低いアフィニティー抗体である。A1重鎖可変領域の残基67およびA3重鎖可変領域の残基91には、異常なシステインが存在する。これらの残基をフェニルアラニン(A1)またはチロシン(A3)で置き換えても、抗体結合特性または発現レベルが変化しなかった。
【0183】
H8、A1、A2およびA3抗体の結合アフィニティーは、また、CT26/5T4細胞溶解物を用いるウェスタンブロッティングによっても評価され、H8、A1およびA3による強い結合を同定した。図2参照のこと。
【0184】
H8、A1、A2およびA3抗体の5T4抗原を発現している細胞に対する結合能は、PC14PE6細胞の蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)を用いてアッセイされた。全ての抗体は、5T4発現性PC14PE6細胞に対する特異的な結合を示したが、A2結合レベルは、H8、A1およびA3に関して観察されたレベルよりも有意に低かった。表4参照のこと。
【0185】
表4
FACS分析の結果
【表4】

【0186】
抗体産生における潜在的な変化性を評価するために、A1およびH8の2つの独立した調製物を試験した。各抗体の結合および反応速度特性は、各調製物を比較した場合、有意に相違しなかった。図3A−3Bを参照のこと。
【0187】
実施例3
5T4発現性細胞によるネズミ抗−5T4抗体の内在化
5T4抗原への結合における抗体の内在化を評価するために、細胞表面 対 上清中で検出されたH8およびA1抗体の量を時間の関数として決定した。非酵素的に解離したMDAMB435/5T4細胞(ヒト乳癌細胞)を抗−5T4抗体に4℃で1時間曝露した。細胞を洗浄し、培地中、37℃で4時間または24時間インキュベートした。細胞膜に結合した抗体 対 非結合抗体(すなわち、上清中の存在)の量をFACSを用いて決定した。MDAMB435/5T4細胞の表面からの5T4抗体の消失は、細胞表面での5T4抗原/抗体複合体の調節を立証し、このことは、内在化および/または解離を示しうる。図4A−4C参照。
【0188】
実施例4
5T4キメラを用いるエピトープマッピング
A1、A2、A3およびH8抗体が各々結合するエピトープを同定するために、(1)欠失または変異配列を有する5T4細胞外ドメインFc構築物および(2)COS−1細胞中で一時的に発現された5T4キメラ構築物を用いて、ELISAアッセイを行った。細胞外ドメインは、アミノ末端領域、2つのロイシンリッチリピート、および介在性親水性領域を含む。マウス5T4(アミノ酸1−361)、ラット5T4(アミノ酸1−361)、カニクイザル5T4(アミノ酸1−355)、チンパンジー5T4(アミノ酸1−355)、およびオグロマーモセット(アミノ酸1−355)を用いて、5T4細胞外ドメインおよびヒトIgG1由来のFc定常領域を含有する融合タンパク質を調製した。5T4キメラ構築物は、図5に示される。結合結果を表5にまとめ、H8、A1、A2およびA3抗体の各々による特異的結合、部分結合、または結合の欠失を示す。ヒト化H8およびキメラA1、A2およびA3抗体は、各々、ネズミH8、A1、A2およびA3に類似の結合特性を示した。
【0189】
これらの結果に基づいて、ヒト化H8抗体が残基173および252の間でヒト5T4に結合することが決定された。ヒト化H8は、残基344にてN−結合性グリコシル化を伴って、または伴わずに、5T4に結合し、これにより、ヒト化H8のヒト5T4への結合が膜に近接しないことが確認される。A1抗体は、残基173および252の間でヒト5T4に1回目の接触をし、残基282および361の間でヒト5T4に2回目の接触をする。A2抗体は、残基282および361の間でヒト5T4に結合する。A3抗体は、残基83〜163の間でヒト5T4の第1のロイシンリッチリピート領域に結合する。各抗体によって結合されるエピトープを図7に示す。
【0190】
表5
5T4細胞外ドメインFc融合およびヒト/マウス5T4キメラを用いるエピトープマッピングの結果
【表5】

(+)結合;(−)結合しない;(+/−)部分的結合
【0191】
ヒトおよびカニクイザル由来の5T4細胞外ドメインに対する観察された種々の結合に基づいて、抗体結合に関係する残基を識別するために、標的とされる変異を作成した。ヒト化H8抗体の結合は、下記表6に示される変異した5T4細胞外ドメイン、すなわち、示される位置にカニクイザル由来の残基を含むヒト5T4細胞外ドメインの各々に対してアッセイされた。これらの結果は、ヒト5T4抗原の残基213および214がヒト化H8によって結合されるエピトープに必要とされることを示した。
【0192】
表6
標的とされる変異を有するヒト5T4細胞外ドメイン/Fc融合を用いるエピトープマッピングの結果
【表6】

(+)結合;(−)結合しない;(+/−)部分的結合
【0193】
直接的な結合アッセイに加えて、ビオチン化ヒト化H8抗体およびA1、A2またはA3抗体の各々を用いて、競合的結合アッセイを行った。ヒト5T4に対する結合の阻害は観察されず、そのことは、A1、A2およびA3の各々が、H8抗体によって結合されるものとは別個の5T4エピトープに結合することを示唆する。図6A−6を参照のこと。
【0194】
実施例5
BIACOREを用いるエピトープマッピング
H8、A1、A2およびA3抗体のエピトープマッピングは、また、ヒト5T4抗原を結合したCM5チップを用いるBIACOREを用いて行った。チップは、H8、A1、A2またはA3抗体で飽和させ、第1の応答を測定した。次いで、チップをH8、A1、A2およびA3抗体のなかから由来する二次抗体で飽和させ、第2の応答を測定した。複数回の実験のために、10mMグリシン、pH1.5中で結合抗体を解離させ、次いでバッファー洗浄することによって、チップを再生した。結果を下記の表7にまとめる。示されるパーセンテージは、CM5チップに対する二次抗体の直接的結合において測定された応答単位を一次抗体で飽和されたCM5チップに対する二次抗体の結合において測定された応答単位で割ったものである。これらの結果は、H8、A1、A2およびA3が各々、ヒト5T4上の別個のエピトープに結合することを示す。H8およびA3抗体によって結合されるエピトープは、立体的に互いに近接しており、その結果、抗原との結合速度は、H8の結合がA3の存在下でアッセイされる時、減少し、逆もまた同様である。同様の結果が、下記実施例7に記載するように調製されたキメラおよびヒト化H8、A1、A2およびA3抗体を用いて得られた。表8参照のこと。
【0195】
表7
BIACOREを用いる競合アッセイの結果
一次抗体での飽和後の二次抗体の応答パーセンテージ
【表7】

【0196】
表8
BIACOREを用いる競合アッセイの結果
一次抗体での飽和後に結合した二次抗体のパーセンテージ
【表8】

【0197】
キメラ構築物(実施例4参照)およびBIACOREを用いて決定されたエピトープマッピング研究の合わせた結果は、図7に示される。
【0198】
実施例6
抗−5T4/カリケアマイシンコンジュゲートの効力
生体染色色素(MTS)染色を用いて、種々の処理に曝露後に生存する数を決定した。MTS(非放射性細胞増殖アッセイキット)は、Promega (Madison, Wisconsin)から購入し、製造者の説明書にしたがって使用した。各細胞系統のために、検量線(2時間後の細胞数 対 光学密度)を確立して、適当な開始播種密度を概算した。次いで、細胞を96マルチウェル皿に750〜5000細胞/ウェル密度で播種した。播種直後に、細胞を種々の濃度(0、0.01、0.05、0.1、1、10、100および500ngカリケアマイシン当量/ml)のカリケアマイシン、CMA−676および抗−5T4抗体のカリケアマイシンコンジュゲートに曝露した。薬物曝露の96時間後に生存している細胞数を決定後、用量応答曲線由来のロジスティック回帰パラメーターに基づいてED50を計算した。ED50は、薬物への曝露96時間後に細胞数の50%減少を引き起こした薬物の濃度(CalichDMH)として定義された。カリケアマイシン当量(cal.eq.)は、純粋な物質またはコンジュゲートとして与えられるカリケアマイシンの濃度である。抗体に結合したカリケアマイシンの量(抗体薬物負荷量)に依存して、異なるカリケアマイシン当量は、異なるタンパク質濃度を示しうる。
【0199】
MTSアッセイの結果を表9に示す。A1およびA3抗−5T4アッセイを用いて調製された抗体/カリケアマイシンコンジュゲートは、実質的に、MDAMB435/5T4細胞の生存能力を減少させた。選択性値は、コンジュゲートの比活性を非特異的活性と比較することによって計算された。すなわち、5T4発現性細胞に関するfold CalichDMHを5T4を発現していない細胞に関するfold CalichDMH値で割った。非特異的抗体、例えば、hp67.6(CMA−676)を使用する場合、fold CalichDMH値は、選択性が1であるように、ほとんど同じである。
【0200】
表9
MTSアッセイの結果
【表9−1】

【表9−2】

選択性:H8=8;hP67.6=1;A1=93;A3=1.6
CalichDMH,コンジュゲートしていないカリケアマイシン
huH8−AcBut−CalichDMH,4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンにコンジュゲートしたヒト化H8抗体
CMA−676,抗−CD33/カリケアマイシンコンジュゲート
A1−AcBut−CalichDMH,4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンにコンジュゲートしたA1抗体
A2−AcBut−CalichDMH,4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンにコンジュゲートしたA2抗体
A3−AcBut−CalichDMH,4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンにコンジュゲートしたA3抗体
【0201】
抗−5T4/カリケアマイシンコンジュゲートの細胞毒性もまた、イン・ビボ細胞環境をより密接に近似する三次元スフェロイド細胞培養を用いてアッセイされた。スフェロイドは、本質的に、Yuhas et al. (1977) Cancer Res. 37:3639-3643にしたがって作成された。簡単に言うと、5ml培養培地中10細胞を、予め5mlの培養培地中における0.65%組織培養等級寒天(Sigma of St. Louis, Missouri)でコートした60mmポリスチレン細胞培養皿に播種した。該皿を37℃にて、5%CO空気中5〜6日間インキュベートした。直径0.2mmのスフェロイドを選択し、24ウェルマルチウェル皿に置いた。各ウェルは、0.5ml寒天アンダーレイ、1スフェロイド、および1ml培養培地オーバーレイを含有した。次いで、スフェロイドを種々の濃度(0、0.091、0.365、1.46、5.86、23.44、93.75および375ngカリケアマイシン当量/ml)のカリケアマイシン、CMA−676、およびA1およびA3抗−5T4抗体およびAcButリンカーを用いて調製された抗−5T4/カリケアマイシンコンジュゲートに曝露した。両方の抗−5T4/カリケアマイシンコンジュゲートは、MDAMB435/5T4細胞の成長を有意に阻害した。図8参照のこと。
【0202】
実施例7
キメラおよびヒト化抗−5T4抗体の調製および結合特性
ネズミH8重鎖および軽鎖可変領域配列およびヒトIgG4重鎖定常領域およびヒトカッパ軽鎖定常領域を有するキメラH8、A1、A2およびA3抗体が構築された。A1重鎖可変領域の67位置に存在するシステインは、フェニルアラニンに変わっていてもよく、A3重鎖可変領域の91位置に存在するシステインは、チロシンに変わっていてもよい。これらの変種は、配列番号2(A1 VH)および配列番号10(A3 VH)において示される。イントロン配列の存在または不存在およびシステイン残基の置換は、抗体発現に影響を及ぼさなかった。IgG定常領域をコードしている配列のクローニングのために、所望により、イントロン配列を欠失させた。
【0203】
ヒト化H8は、PCT国際公開第WO2006/031653号に記載されるように調製された。ヒト化A1抗体は、さらに本明細書中に下記するようなCDRグラフティングによって調製された。ネズミA1、A2およびA3抗体のCDRsは、配列変化性ならびに構造的ループ領域の位置に基づくAbM限定(definition)を用いて同定された。一般に、ヒトアクセプターフレームワークは、それらが実質的にネズミ抗体のフレームワーク領域に類似するということに基づいて選択され、または、可変領域サブファミリーのコンセンサス配列に最も類似していた。また、幅広く表示された配列が一般に、数の多くない配列よりも好ましいように、ヒトにおけるフレームワーク位置の表示も考慮した。ヒトフレームワークアクセプター配列の付加的な変異は、抗原接触に関与すると考えられるネズミ残基および/または抗原結合部位の構造無欠性に関与する残基を復旧させるために作成された。該アミノ酸配列は、また、CHO細胞のコドン選択のために、および制限酵素部位の除去のために最適化させてもよい。ペプチド構造予測プログラムを用いて、ヒト化可変重鎖および軽鎖領域配列を分析して、ヒト化設計によって導入された翻訳後タンパク質修飾部位を同定し、回避してもよい。
【0204】
フレームワーク変異(S82A)および1つの復帰変異(E46K)を含有するヒトDP−21フレームワーク領域(VH7サブグループ、受入番号第CAA43346号、配列番号88)上にグラフトされたネズミA1のCDRsを含むように、ヒト化A1重鎖可変領域(A1 VHバージョン1.0)を構築した。変種は、復帰変異を除去することによって調製された(A1 VHバージョン1.1および1.2)。第2のヒト化A1重鎖可変領域は、A1 CDRsをヒトDP−54生殖細胞フレームワーク領域上にグラフティングすることによって調製された(A1 VHバージョン2.0)。6個の復帰変異を作成して、A1 VHバージョン2.1を製造した。さらに下記するように、両方のA1重鎖可変領域は、5T4結合特性を保持した。DP−21およびDP−54フレームワーク領域は、その全長にわたり63%アミノ酸配列同一性を示し、多くのアミノ酸変化が生じたことを示す一方で、特定のエピトープに結合する能力を包含する抗体の結合特異性を保存した。ヒト化A1重鎖可変領域の類似性を表10に示す。ヒト化A1重鎖可変領域をコードしている代表的なヌクレオチド配列は、配列番号48、50、53および55として示される。ヒト化A1重鎖可変領域の代表的なアミノ酸配列は、配列番号49、51、52、54および46として示される。図9A−9Bも参照のこと。
【0205】
ヒト化A1軽鎖可変領域は、ヒトDPK24(VKIVサブグループ)、DPK9(VKIサブグループ)およびDPK23(VKIIIサブグループ)生殖細胞フレームワーク領域上にグラフトされたネズミA1のCDRsを含むように構築された。これらの各フレームワークを用いて調製されたヒト化A1軽鎖可変領域フレームワーク中へのS67Y復帰変異の組み込み後、5T4結合が明らかにされた。表13を含め、下記参照のこと。DPK24フレームワーク領域は、その全長にわたり、DPK9およびDPK23に対して各々、74%および73%アミノ酸配列同一性を示す。DPK9フレームワーク領域は、その全長にわたり、DPK23に対して74%アミノ酸配列同一性を示す。ヒト化A1軽鎖可変領域の類似性は、表10に示される。ヒト化軽鎖可変フレームワーク領域の複数のバージョンは、多数のアミノ酸変化が作成されうる一方で、特定のエピトープに対する結合能を含め、抗体の結合特異性が保存されることを明らかにする。ヒト化A1軽鎖可変領域をコードしている代表的なヌクレオチド配列は、配列番号57、59、61、63、65、67、69、71、73および75として示される。ヒト化A1軽鎖可変領域の代表的なアミノ酸配列は、配列番号58、60、62、64、66、68、70、72、74および76として示される。図9C−9Fも参照のこと。
【0206】
表10
ヒト化A1抗体の関連性
【表10】

【0207】
ヒト化A2およびA3抗体は、類似の手法を用いて設計された。ヒト化A2重鎖可変領域およびヒト化A2軽鎖可変領域の代表的なアミノ酸配列は、各々、配列番号77−78および配列番号79−80として示される。図9Gも参照のこと。ヒト化A3重鎖可変領域およびヒト化A3軽鎖可変領域の代表的なアミノ酸配列は、各々、配列番号81−82および配列番号83−84として示される。図9Hも参照のこと。
【0208】
ヒト化A1、A2およびA3重鎖および軽鎖可変領域の新規性を評価するために、BLASTnおよびBLASTp分析を実施例1に記載のように行った。結果を表11に示す。
【0209】
表11
BLASTnおよびBLASTp分析
【表11−1】

【0210】
表11つづき
表11
BLASTnおよびBLASTp分析
【表11−2】

*クエリカバレッジ=100%のとき
【0211】
図10A−10Bは、ヒト化A1、A2およびA3抗−5T4抗体の調製のためのフレームワークとして使用されうる付加的な重鎖可変領域配列を示す。図11−13は、ヒト化A1、A2およびA3抗−5T4抗体の調製のためのフレームワークとして使用されうる付加的な軽鎖可変領域配列を示す。図14は、キメラおよびヒト化A1、A2およびA3抗−5T4抗体の調製のために使用されうる代表的な定常領域を示す。
【0212】
キメラおよびヒト化H8、A1、A2およびA3抗体の結合特異性およびアフィニティーを評価するために、CM5チップ上に固定したヒト5T4抗原を用いて、BIACORE分析を行った。実施例2参照のこと。キメラA1、A2およびA3抗体の結果を下記表12に示す。
【0213】
表12
BIACOREアッセイの結果
【表12】

【0214】
一般に、キメラ化/ヒト化は、H8、A1、A2およびA3のヒト5T4に対するアフィニティーを増加させた。表3と比較すること。結合アフィニティーにおける増加は、主に、より早い結合よりもむしろ、抗体および抗原のより遅い解離に起因するようである。キメラA2およびA3抗体は、キメラ化後に最も改善された結合特性を示した。
【0215】
全てのヒト化A1重鎖可変領域は、5T4結合特異性を保持した。さらに、ヒト化A1重鎖可変領域からのK46復帰変異の除去は、5T4結合特性に影響を及ぼさなかった。ヒト化A1軽鎖可変領域は、損なわれた5T4結合特性を示した。DPK9およびDPK23フレームワークを用いて構築されたヒト化A1軽鎖可変領域は、DPK24フレームワークを用いて構築されたヒト化A1軽鎖可変領域よりも高いアフィニティーで5T4を結合した。復帰変異は、5T4結合を復旧する、および/または最適化するために組み込まれた。67位置のセリン残基のチロシン残基での置換は、ネズミA1フレームワーク領域において見られるように、5T4抗原結合特性を完全に復旧した。表13参照のこと。
【0216】
表13
ELISAによるヒト5T4へのビオチン化キメラA1抗体結合の阻害
【表13】

huA1,ヒト化A1
v,バージョン
【0217】
実施例8
抗−5T4抗体の種間反応性
本明細書中に開示される抗−5T4抗体の種間反応性をアッセイして、イン・ビボでの効力研究および毒物学的分析について関連する種を決定した。また、種々の5T4細胞外ドメインの結合活性および関連性の相関関係を用いて、各抗体によって結合されるエピトープをさらに記載した。結合アッセイは、ヒトIgG1 Fcに融合した種々の種由来の5T4細胞外ドメインを用いて行われた。各細胞外ドメイン領域のヒト5T4に対するパーセンテージ同一性を表14に示す。
【0218】
表14
異なる種由来の5T4の関連性
【表14】

親水性ドメイン内に6アミノ酸直接反復を含有する
【0219】
ヒト、マウス、ラット、イヌおよびウシ由来の5T4の全長または部分配列は、以前にGenBank受入番号Z29083(ヒト,配列番号87)、AJ012160(マウス)、BC087011(ラット)、XM539020(イヌ)およびXM593502(ウシ)として開示されている。チンパンジー5T4の仮想部分配列は、mRNAおよびゲノム配列のアラインメントを用いて作成された。5T4タンパク質をコードしている核酸は、カニクイザルおよびオグロマーモセットから単離された。これらの付加的な5T4抗原のアミノ酸配列を図15に示し、また、配列番号86(カニクイザル)および配列番号85(オグロマーモセット)として示す。
【0220】
カニクイザルおよびオグロマーモセット配列の新規性を評価するために、BLAST分析を実施例2に記載のように行った。全長オグロマーモセット5T4アミノ酸配列をクエリ配列として用いた場合、最も近い対象配列は、ヒト5T4として同定され(GenBank受入番号NP 006661.1)、94%同一性(302/320アミノ酸)であった。該配列は、また、カルボキシル末端で異なり、配列番号85のアミノ酸1−19が最も近い対象配列と整列しなかった。全長カニクイザル5T4アミノ酸配列をクエリ配列として用いた場合、最も近い非仮想対象配列は、カニクイザルから由来するトロホブラスト糖蛋白前駆体として同定され(GenBank受入番号BAE00432.1)、99%同一性(364/366アミノ酸)であった。該配列もまた、カルボキシル末端で異なり、配列番号86のアミノ酸1−25が最も近い非仮想対象配列と整列しなかった。
【0221】
抗−5T4抗体の結合をアッセイするために、5T4細胞外ドメイン/Fc融合タンパク質をCOS−1細胞中に一時的にトランスフェクトし、ELISAアッセイを行った。非関連ヒトIgG4およびIgG1抗体を対照として用いた。抗−5T4抗体の種間反応性を表15にまとめる。
【0222】
表15
抗−5T4抗体の交差反応性(nMにおけるED50)
【表15】

huH8γ4,IgG4定常領域を有するヒト化H8抗体
huH8γ1,IgG1定常領域を有するヒト化H8抗体
ChiA1γ4,IgG4定常領域を有するキメラA1抗体
ChiA2γ4,IgG4定常領域を有するキメラA2抗体
ChiA3γ4,IgG4定常領域を有するキメラA3抗体
(+/−),部分結合
(−),結合しない
【図面の簡単な説明】
【0223】
【図1】図1A−1Cは、ネズミ抗−5T4抗体A1、A2またはA3の重鎖および軽鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。該アミノ酸配列は、下線を付すことによって相補性決定領域(CDR)を示し、二重下線を付すことによってリーダー配列を示す。
【図2】図2は、CT26/5T4細胞溶解物を用いて調製され、示される抗体でプローブされたウェスタンブロットである。
【図3】図3A−3Bは、H8およびA1抗体という2つの独立した調製物に関する応答曲線および結合反応速度を示す線グラフである。
【図4】図4A−4Cは、MDAMB435/5T4細胞によるH8、A1、A2およびA3抗体の調節を示す線グラフである。細胞表面での抗体レベルは経時的に低下し(図4A、4C(黒塗り))、一方、上清中の抗体レベルは一定に保たれる(図4B、4C(白塗り))。MCFは平均細胞蛍光、suptは上清を示す。
【図5】図5は、ヒト細胞外ドメイン5T4Fc構築物、マウス細胞外ドメイン5T4Fc構築物、およびヒト/マウス5T4キメラ構築物の概略図である。これらの構築物は、実施例4に記載されるように、エピトープマッピングに用いられた。
【図6】図6A−6Bは、ヒト化H8および示される抗体の各々のヒト5T4細胞外ドメインFc融合タンパク質への競合的結合の結果のグラフを示す。HuH8はヒト化H8抗体を示し、ChiA1はキメラA1抗体を示し、ChiA1+C67Fは、C67F変異を有するキメラA1抗体を示し、ChiA2はキメラA2抗体を示し、muA2はネズミA2抗体を示し、ChiA3は、キメラA3抗体を示し、ChiA3+C91Yは、C91Y変異を有するキメラA3抗体を示し、muA3はネズミA3抗体を示し、No Abは、抗体無し(対照)を示す。
【図7】図7は、H8、A1、A2およびA3によって結合されるヒト5T4エピトープを示す線図である。示される残基は、Myers et al. (1994) J. Biol. Chem. 269(12):9319-9324によって記載される5T4抗原の残基であり、GenBank受入番号Z29083としても入手可能である(配列番号87)。LRRは、ロイシンリッチリピートを示す。
【図8】図8は、実施例6に記載のように実施されたスフェロイドアッセイの結果を示す。A1およびA3抗体を用いて調製された抗−5T4/カリケアマイシンコンジュゲートは、対照細胞(MDAMB435/neo)と比べて、5T4発現性細胞(MDAMB435/5T4)の成長を有意に阻害した。CMA−676は、抗−CD33/カリケアマイシンコンジュゲートを示し、huH8−AcBut−CalichDMHは、4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンにコンジュゲートされたヒト化H8抗体を示し、CalichDMHは、コンジュゲートしていないカリケアマイシンを示し、A1−AcBut−CalichDMHha,4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンにコンジュゲートされたA1抗体を示し、A3−AcBut−CalichDMHは、4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンにコンジュゲートされたA3抗体を示す。
【図9】図9A−9Hは、ヒト化A1重鎖可変領域バージョン1のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号48−49)、ヒト化A1重鎖可変領域(huA1 VH)バージョン1.2および2.0のアミノ酸配列、ヒト化A1軽鎖可変領域(huA1 VL)バージョン1.0、2.0および3.0のアミノ酸配列、ヒト化A2重鎖可変領域バージョン1.0および2.0(huA2 VH)のアミノ酸配列、ヒト化A2軽鎖可変領域バージョン1.0および2.0(huA2 VL)のアミノ酸配列、ヒト化A3重鎖可変領域バージョン1.0および2.0(huA3 VH)のアミノ酸配列、およびヒト化A3軽鎖可変領域バージョン1.0および2.0(huA32 VL)のアミノ酸配列を示す。
【図10】図10A−10Bは、ヒト化抗5T4抗体を調製するのに使用されうる代表的なヒト重鎖可変領域フレームワーク配列を示す。図10Aは、サブグループIのヒト重鎖可変領域配列(配列番号14−24)およびそこから誘導されたコンセンサスフレームワーク配列(配列番号25−27)のアラインメントである。図10Bは、VH7およびVH3サブグループのヒト生殖細胞遺伝子の配列(配列番号88−93)を示す。
【図11】図11は、サブグループVκIIIのヒト軽鎖可変領域配列(配列番号29−34)のアラインメントである。ボックスで囲んだ配列はCDRを示す。
【図12】図12は、サブグループVκIのヒト軽鎖可変領域配列(配列番号35−44)のアラインメントである。ボックスで囲んだ配列はCDRを示す。
【図13】図13は、Vk1およびVk IVサブグループの付加的なヒト生殖細胞配列を示し、それは、ヒト化抗5T4抗体を調製するのに用いられ得るフレームワーク領域を有する(配列番号94−99)。
【図14】図14は、キメラおよびヒト化抗5T4抗体を調製するために使用されうる代表的なヒト定常領域のアミノ酸配列を示す(配列番号45−47)。
【図15】図15は、全長カニクイザル5T4抗原および部分オグロマーモセット5T4抗原のアミノ酸配列を示す。下線を付した配列はリーダー配列である。各配列について、5T4細胞外ドメインは、アミノ酸30−356を包含する。
【図1−A】

【図1−B】

【図1−C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ネズミA1、A2またはA3抗体の抗原結合ドメインを含み、
(b)ネズミA1、A2またはA3抗体と5T4結合について競合し、
(c)A1、A2またはA3抗体によって結合される5T4エピトープと結合し、
(d)(a)〜(c)の抗体の5T4−結合フラグメントを含む
ヒト5T4抗原に特異的に結合する抗体。
【請求項2】
抗体がキメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab)フラグメント、Fvフラグメント、四量体抗体、四価抗体、多特異的抗体、ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体または融合タンパク質である請求項1記載の抗体。
【請求項3】
ネズミモノクローナル抗体である請求項1記載の抗体。
【請求項4】
ヒト5T4抗原に対して、少なくとも約1×10−7M〜約1×10−12Mの結合アフィニティーを有する請求項1記載の抗体。
【請求項5】
イン・ビボで5T4発現性細胞を特異的に標的とする請求項1記載の抗体。
【請求項6】
重鎖可変領域が配列番号2の残基20−138、配列番号6の残基19−135、配列番号10の残基20−141、配列番号49の残基1−119、またはヒト化A1、A2またはA3重鎖可変領域の残基のアミノ酸配列を含む請求項1記載の抗体。
【請求項7】
軽鎖可変領域が配列番号4の残基21−127、配列番号8の残基23−130、配列番号12の残基21−127、またはヒト化A1、A2またはA3軽鎖可変領域の残基のアミノ酸配列を含む請求項1記載の抗体。
【請求項8】
重鎖可変領域が配列番号2の残基20−138のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号4の残基21−127のアミノ酸配列を含む請求項1記載の抗体。
【請求項9】
重鎖可変領域が配列番号6の残基19−135由来のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号8の残基23−130由来のアミノ酸配列を含む請求項1記載の抗体。
【請求項10】
重鎖可変領域が配列番号10の残基20−141由来のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号12の残基21−127由来のアミノ酸配列を含む請求項1記載の抗体。
【請求項11】
キメラまたはヒト化抗−5T4抗体である請求項2記載の抗体。
【請求項12】
ヒト定常領域由来の定常領域を含む請求項11記載のキメラまたはヒト化抗体。
【請求項13】
ヒト軽鎖定常領域がヒトカッパ軽鎖定常領域から由来する請求項12記載のキメラまたはヒト化抗体。
【請求項14】
ヒト重鎖定常領域がヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖定常領域から由来する請求項12記載のキメラまたはヒト化抗体または抗体フラグメント。
【請求項15】
ヒトIgG4重鎖定常領域が241位置にプロリンを含む請求項14記載のキメラまたはヒト化抗体または抗体フラグメント。
【請求項16】
少なくとも1つの軽鎖または少なくとも1つの重鎖の可変領域が
(a)ヒト抗体フレームワーク領域の残基を含むフレームワーク領域、および
(b)配列番号4、8または12の軽鎖可変領域の1以上のCDR、あるいは配列番号2、6または10の重鎖可変領域の1以上のCDR
を含む請求項11記載のキメラまたはヒト化抗体。
【請求項17】
ヒト残基が
(a)DP−21(VH7)、DP−54(VH3−07)、DP−47(VH3−23)、DP−53(VH−74)、DP−49(VH3−30)、DP−48(VH3−13)、DP−75、DP−8(VH1−2)、DP−25、VI−2bおよびVI−3(VH1−03)、DP−15およびV1−8(VH1−08)、DP−14およびV1−18(VH1−18)、DP−5およびV1−24P(VH1−24)、DP−4(VH1−45)、DP−7(VH1−46)、DP−10、DA−6およびYAC−7(VH1−69)、DP−88(VH1−e)、DP−3およびDA−8(VH1−f)からなる群から選択されるヒト抗体重鎖フレームワーク領域;
(b)DPK24サブグループIV生殖細胞系クローン、VκIIIサブグループ(DPK23、DPK22、DPK20、DPK21)、またはVκIサブグループ生殖細胞系クローン(DPK9、DPK1、O2、DPK−7)のヒト抗体軽鎖フレームワーク領域、
(c)(a)の重鎖フレームワーク領域のコンセンサス配列、または
(d)(a)〜(c)のフレームワーク領域と少なくとも63%同一のフレームワーク領域
からなる群から選択されるヒトフレームワーク残基である、請求項16記載のキメラまたはヒト化抗体。
【請求項18】
配列番号2、4、6、8、10または12のいずれか1つの少なくとも2つのCDRを含む、請求項16記載のキメラまたはヒト化抗体。
【請求項19】
軽鎖が配列番号4、8または12のいずれか1つの少なくとも2または3つのCDRを含む可変領域を含む、請求項18記載のヒト化抗体。
【請求項20】
軽鎖が配列番号4、8または12のいずれか1つの3つのCDRを含む可変領域を含む、請求項19記載のヒト化抗体。
【請求項21】
重鎖が配列番号2、6または10のいずれか1つの少なくとも2または3つのCDRを含む可変領域を含む、請求項16記載のヒト化抗体。
【請求項22】
重鎖が配列番号2、6または10のいずれか1つの3つのCDRを含む可変領域を含む、請求項21記載のヒト化抗体。
【請求項23】
配列番号2および4のCDR、配列番号6および8のCDR、または配列番号10および12のCDRを含む請求項16記載のヒト化抗体。
【請求項24】
重鎖可変領域配列が
(a)配列番号2の残基20−138のアミノ酸配列、
(b)配列番号2の残基20−138と少なくとも85%同一のアミノ酸配列、
(c)配列番号6の残基19−135のアミノ酸配列、
(d)配列番号6の残基19−135と少なくとも86%同一のアミノ酸配列、
(e)配列番号10の残基20−141のアミノ酸配列、
(f)配列番号10の残基20−141と少なくとも91%同一のアミノ酸配列、
(g)配列番号49、51、52、54、56、77、78、81または82のいずれか1つのアミノ酸配列、
(h)配列番号51と少なくとも91%同一のアミノ酸配列、
(i)配列番号54と少なくとも78%同一のアミノ酸配列、
(j)配列番号77と少なくとも89%同一のアミノ酸配列、
(k)配列番号78と少なくとも79%同一のアミノ酸配列、
(l)配列番号81と少なくとも80%同一のアミノ酸配列、
(m)配列番号82と少なくとも78%同一のアミノ酸配列
を含む、請求項11記載のキメラまたはヒト化抗体。
【請求項25】
軽鎖可変領域配列が
(a)配列番号4の残基21−127のアミノ酸配列、
(b)配列番号4の残基21−127と少なくとも94%同一のアミノ酸配列、
(c)配列番号8の残基23−130のアミノ酸配列、
(d)配列番号8の残基23−130と少なくとも96%同一のアミノ酸配列、
(e)配列番号12の残基21−127のアミノ酸配列、
(f)配列番号12の残基21−127と少なくとも98%同一のアミノ酸配列、
(g)配列番号58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、79、80、83または84のいずれか1つのアミノ酸配列、
(h)配列番号60と少なくとも83%同一のアミノ酸配列、
(i)配列番号70と少なくとも93%同一のアミノ酸配列、
(j)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列、
(k)配列番号76と少なくとも85%同一のアミノ酸配列、
(l)配列番号79と少なくとも88%同一のアミノ酸配列、
(m)配列番号80と少なくとも84%同一のアミノ酸配列、
(n)配列番号83と少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(o)配列番号84と少なくとも91%同一のアミノ酸配列
を含む、請求項11記載のキメラまたはヒト化抗体。
【請求項26】
(a)請求項1記載の抗体、および
(b)抗体に直接または間接的に結合する薬物
を含む薬物送達のための抗体/薬物コンジュゲート。
【請求項27】
薬物が、細胞毒、放射性同位元素、免疫調節剤、抗脈管形成剤、抗増殖剤、プロ−アポトーシス剤、化学療法剤、および治療的核酸からなる群から選択される治療剤である請求項26記載の抗体/薬物コンジュゲート。
【請求項28】
治療剤が細胞毒である請求項27記載の抗体/薬物コンジュゲート。
【請求項29】
細胞毒が、抗生物質、チューブリン重合阻害剤、アルキル化剤、タンパク質合成阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、または酵素である請求項26記載の抗体/薬物コンジュゲート。
【請求項30】
細胞毒が抗生物質である請求項27記載の抗体/薬物コンジュゲート。
【請求項31】
抗生物質がカリケアマイシンである請求項30記載の抗体/薬物コンジュゲート。
【請求項32】
カリケアマイシンがカリケアマイシンのN−アセチル誘導体またはジスルフィド類似物
である請求項31記載の抗体/薬物コンジュゲート。
【請求項33】
カリケアマイシンがN−アセチル−γ−カリケアマイシンである請求項32記載の抗体/薬物コンジュゲート。
【請求項34】
薬物がリンカーを介して抗体に結合する請求項26記載の抗体/薬物コンジュゲート。
【請求項35】
リンカーが4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)、3−アセチルフェニル酸性酸(AcPac)、4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸(Amide)、およびその誘導体からなる群から選択される請求項34記載の抗体/薬物コンジュゲート。
【請求項36】
(i)請求項1記載の抗−5T4抗体、および(ii)抗−5T4抗体に直接または間接的に結合する薬物を含む抗体/薬物コンジュゲートと細胞を接触させることを特徴とする、薬物を5T4−発現性細胞に送達する方法。
【請求項37】
薬物が標的細胞中に内在化される請求項36記載の方法。
【請求項38】
(i)請求項1記載の抗−5T4抗体、および(ii)抗−5T4抗体に直接または間接的に結合する薬物を含む治療上有効量の抗−5T4抗体/薬物コンジュゲートを対象に投与することを特徴とする、5T4−陽性癌を有する対象の治療方法。
【請求項39】
抗−5T4抗体/薬物コンジュゲートが抗−5T4抗体/カリケアマイシンコンジュゲートであり、さらに、第2の治療剤を投与することを含み、ここに、抗−5T4/カリケアマイシンコンジュゲートおよび第2の治療剤が同時に、またはいずれかの順序で連続的に投与される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
配列番号87の残基213−214を除く残基173−252および276−355を含むヒト5T4エピトープに特異的に結合する抗体。
【請求項41】
配列番号87のアミノ酸276−355を含むヒト5T4エピトープに特異的に結合する抗体。
【請求項42】
配列番号87のアミノ酸83−163を含むヒト5T4エピトープに特異的に結合する抗体。
【請求項43】
配列番号86のアミノ酸を有するカニクイザル5T4に特異的に結合する抗体。
【請求項44】
(a)配列番号85または86のアミノ酸配列、または
(b)配列番号85と少なくとも95%同一のアミノ酸配列
を含む単離5T4タンパク質。
【請求項45】
請求項44記載の単離5T4タンパク質に特異的に結合する抗体。
【請求項46】
(a)配列番号1のヌクレオチド58−414のヌクレオチド配列、
(b)配列番号5のヌクレオチド55−405のヌクレオチド配列、
(c)配列番号9のヌクレオチド58−423のヌクレオチド配列、
(d)配列番号48、50、53または55のいずれか1つをコードしているヌクレオチド配列、
(e)クエリカバレッジが100%のときに、配列番号50と89%同一のヌクレオチド配列、
(f)クエリカバレッジが100%のときに、配列番号53と82%同一のヌクレオチド配列、または
(g)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、(a)〜(d)のいずれか1つの相補物に特異的にハイブリダイズする核酸
を含む抗−5T4重鎖可変領域をコードしている単離核酸。
【請求項47】
(a)配列番号3のヌクレオチド61−381のヌクレオチド配列、
(b)配列番号7のヌクレオチド67−390のヌクレオチド配列、
(c)配列番号11のヌクレオチド61−381のヌクレオチド配列、
(d)配列番号57、59、61、63、65、67、69、71、73または75のいずれか1つのヒト化A1、A2またはA3軽鎖可変領域をコードしているヌクレオチド配列、
(e)クエリカバレッジが100%のときに、配列番号59と84%同一のヌクレオチド配列、
(f)クエリカバレッジが100%のときに、配列番号69と86%同一のヌクレオチド配列、
(g)クエリカバレッジが100%のときに、配列番号75と85%同一のヌクレオチド配列、または
(h)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、(a)〜(d)のいずれか1つの相補物に特異的にハイブリダイズする核酸
を含む抗−5T4軽鎖可変領域をコードしている単離核酸。

【図2】
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【図3−A】
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【図3−B】
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【図4−A】
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【図4−B】
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【図4−C】
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【図5】
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【図6−A】
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【図6−B】
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【図7】
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【図8】
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【図9−A】
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【図9−B】
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【図9−C】
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【図9−D】
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【図9−E】
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【図9−F】
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【図9−G】
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【図9−H】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図10−3】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−529578(P2009−529578A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500565(P2009−500565)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/063685
【国際公開番号】WO2007/106744
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】