抗ヘルぺスウィルス剤並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤

【課題】
帯状疱疹等ヘルペスウィルスが原因で発症する疾病は治癒困難な病気で患者に肉体的、精神的、経済的、社会的にも多くの負担を強いるのが現状である。
【解決手段】
ハンノキは成長がすこぶる早く、原料として安価で入手できるので、このハンノキを共生菌であるフランキア菌で発酵させた物を蒸留して抽出したエキスを含有することを特徴とする安全性の高い、また安価な抗ヘルペスウィルス剤、並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘルペスウイルスに対し中和作用、プラーク抑制作用を有する抗ヘルペスウィルス剤並びにヘルペスウイルス増殖阻害剤並びに化粧料、飲食物、飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンノキはカバノキ科に属し北半球亜熱帯を中心に広く分布している高木落葉樹で沖縄では北部に多く自生している。
ハンノキをフランキア菌で発酵させ蒸留して抽出したハンノキエキスには消臭や防腐、ダニ等の防除剤などの特許取得又は出願事例がある。しかし、抗ヘルペスウィルスについての報告事例は無く抗ヘルペスウィルスについての効果は新知見である。
【0003】
【特許文献1】特願平5−319184号公報
【特許文献2】特願2002−43602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はハンノキをフランキア菌で発酵させ抽出したエキスで抗ヘルペスウィルス剤並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はハンノキエキスの色々な分野への利用可能性について研究する中で抗ヘルペスウィルス並びにヘルペスウィルス増殖阻害作用の効果について知見したのもで、これを用いる事で上記課題を解決する事ができる。すなわち本発明はカバノキ科ハンノキを共生菌であるフランキア菌で発酵させ、蒸留法で抽出したエキスを有効成分とする抗ヘルペスウィルス剤並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤を提供する。
【発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、
(1)ハンノキを共生菌であるフランキア菌で発酵させ蒸留して抽出した抗ヘルペスウィルス剤並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤、であり、
(2) (1)に記載の抗ヘルペスウィルス剤並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤を含有することを特徴とする化粧料、であり、
(3) (1)に記載の抗ヘルペスウィルス剤並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤を含有することを特徴とする飲食物、であり、
(4) (1)に記載の抗ヘルペスウィルス剤並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤を含有することを特徴とする飼料である。また、
(5) Vero細胞の増殖を濃度依存的に促進させた(1)に記載のハンノキエキス
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明によれば、安全性の高い抗ヘルペスウィルス剤並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤を提供できる。
【0008】
本発明に用いるハンノキエキスは先行する特許を特許第3803120号及び特許第4171227号と同じ方法で抽出したエキスを用いる。
【0009】
本発明の抗ヘルペスウィルス剤並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤は鼻器よりの吸引及び経口投与が望ましいが、必ずしもこれだけに限定される物ではない。
【実施例】
【0010】
ハンノキエキスの抽出
発酵乾燥したハンノキ1kgを水蒸気蒸留し1Lを得、これを以下の実験に提供した。
【0011】
ウィルス
HSV-1:HF株、7401H株
HSV-2:Savage株、333株
アシクロビル耐性:HF-TK−株 PAAr株
【0012】
細胞株 Vero
【0013】
マウス
C57BL/6 TNF receptor 欠損マウス

【0014】
方法
・細胞毒性試験
96穴プレートにて、Vero細胞を1μMの濃度から希釈したハンノキエキスと共に72時間培養した。その後WST-8法にて細胞の生存率を測定し、毒性を調べた。結果を図2に示す
・感染中和試験
10PFU/mlのウィルスとハンノキエキスを37℃、60分間処理後、Vero細胞に接種し、プラーク法にて中和活性を測定した。結果を図3に示す
・プラーク形成抑制試験
ウィルス感染は50PFU/Wellで行った。以下に示す図1の方法でVero細胞にハンノキエキスを処理を行い感染72時間後のプラーク形成を調べた。結果を図4、図5に示す
・感染マウスに対する治療効果の実験
10PFU/10μlのウィルス(7401H株)をマウスの側腹部に感染させ、ハンノキエキスをマウスに投与し、生死を観察した。結果を図5に示す
【0015】
(結果)
・ハンノキエキスを維持培養液と1:1でVero細胞に作用させて72時間培養しても、毒性を示さなかった。
・Vero細胞生存率はハンノキエキスの濃度依存的に向上した。
・ハンノキエキスはHSV-1及びHSV-2に対しても中和効果が認められた。又、アシクロビル耐性株に対しても、中和効果は認められた。
・ハンノキエキスを希釈してプラーク抑制実験を行うと、濃度依存性にプラーク形成抑制効果が認められた。アシクロビル耐性株に対しても、同様の結果が得られた。
・ハンノキエキスを5種類の作用点に分けて処理を行うと、どの株においても増殖時における抑制効果が認められた。
・感染マウスに対する治療効果の実験では、ハンノキエキスを投与した群で、生存率が高くなる事が確認された。また、ウィルス接種の1週間前からハンノキエキスを投与すると、さらに効果がある事が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は抗ヘルペスウイルス剤として利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】プラーク形成抑制実験の手順
【図2】細胞毒性試験
【図3】感染中和試験
【図4】プラーク抑制実験
【図5】ハンノキエキスの作用時によるプラーク形成抑制試験
【図6】C57BL/6TNF-RKOマウスに対するハンノキエキスの抗HSV効果

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンノキを共生菌であるフランキア菌で発酵させ蒸留して抽出した抗ヘルペスウィルス剤、並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤。
【請求項2】
請求項1に記載の抗ヘルペスウィルス剤並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤を含有することを特徴とする化粧料
【請求項3】
請求項1に記載の抗ヘルペスウィルス剤並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤を含有することを特徴とする飲食物
【請求項4】
請求項1に記載の抗ヘルペスウィルス剤並びにヘルペスウィルス増殖阻害剤を含有することを特徴とする飼料
【請求項5】
Vero細胞の増殖を濃度依存的に促進させた請求項1に記載のハンノキエキス

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−126435(P2010−126435A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298998(P2008−298998)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 第56回日本ウイルス学会学術集会「第56回日本ウイルス学会学術集会」プログラム・抄録集 平成20年10月1日
【出願人】(501167183)
【出願人】(504145308)国立大学法人 琉球大学 (100)
【Fターム(参考)】