抗体または好中球を介するオゾン生成

本発明は、活性酸素種を生じ得る抗体および好中球の検出方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
政府援助
本発明に貢献する研究は、国立衛生研究所からの助成金、GM43858、PO1CA277489による支援を受けた。従って、合衆国政府は、本発明における一定の権利を有し得る。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して抗体を介するか、または好中球を介する活性酸素種の生成の検出によるインビボまたはインビトロでの免疫学的および炎症反応の検出分野に関する。本発明はまた、活性酸素種の好中球を介する生成を検出することによる好中球活性化の検出方法を提供する。本発明はまた、免疫応答をモジュレーションし得るか、または好中球活性化をモジュレーションし得る薬剤の同定方法に関する。
【0003】
背景
前世紀中に為された研究の結果、免疫系における抗体の役割についてはある一定の意見の一致に達した。この意見の一致の本質は、抗体分子が検出可能な産物を全く生成しないことである。それどころか、抗体分子は、単にその標的を標識するか、または抗体−抗原結合体に応答して他の分子もしくは生物学的システムを活性化する結合分子として認識されている。このため、抗体それら自体は、いかなる触媒活性も有することはないが、補体カスケードおよび/または食作用により除去するために外来物質を標識するだけのものとして認識されている(Arlaud et al.、Immunol.Today、8、106−111(1987);SimおよびReid、Immunol.Today、12、307−311(1991))。
【0004】
さらに、好中球炎症応答は身体に侵入する細菌の破壊に不可欠であるが、不適切な好中球活性化が幾つかの問題の原因となり得る。例えば、好中球が肺への誘引時に適正に刺激された場合、それらは肺組織へ破壊酵素を放出し得る。この結果、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)の発生が誘発され得る(Weiland et al.、Amer.Rev.Respir.Dis.、133:218−225、1986;Idell et al.、Am.Rev.Respir.Dis.、132:1098−1105、1985)。ARDSには、年間150,000〜200,000のアメリカ人が罹患し、最良の臨床施設でさえ50〜80%の死亡率である(BalkおよびBone、1983)。ARDSは、細菌感染症により開始され、突然血圧が急激に降下し(ショック)、身体に多くの他の障害をもたらす。
【0005】
従って、好中球活性化、炎症および他の免疫応答が迅速かつ効率的に検出され得るように改良された方法が要望されている。
【0006】
発明の概要
本発明は、抗体および好中球の一重項酸素を活性酸素種に還元する新たに発見された能力の利用方法を提供する。本発明によると、抗体および好中球は、一重項酸素()に暴露されたとき、オゾン(O)および他の活性酸素種を生成し得る。抗体は、免疫系の他の成分を必要とせずに、すなわち、補体カスケードまたは食作用を必要とせずにかかる変換を遂行する。さらに、本発明によると、オゾンはまた、抗体被覆哺乳類白血球、例えば好中球により生成される。
【0007】
従って、本発明は、抗体触媒反応および好中球触媒反応により生成される活性酸素種の直接的な検出に基づいた、改良された検定方法を提供する。
【0008】
1つの態様において、本発明は、哺乳類における免疫応答または炎症応答についての検定方法であって、(a)活性酸素種についての適当な化学プローブを投与し、(b)哺乳類から試料を得、そして(c)化学プローブの酸化生成物について試料を分析することを含む方法を提供する。
【0009】
別の態様において、本発明は、(a)哺乳類から好中球試料を得、(b)好中球試料にて好中球を活性化し、そして(c)活性酸素種が好中球試料にて検出され得るか否かを観察することを含む、好中球活性についてのインビトロ検定方法を提供する。
【0010】
さらに別の態様において、本発明は、好中球活性をモジュレーションし得る薬剤の同定方法であって、(a)哺乳類から好中球試料を得、(b)好中球試料を試験薬剤に暴露し、(c)好中球試料中の好中球を活性化し、そして(d)好中球試料により生成される活性酸素種の量を定量することを含む方法を提供する。
【0011】
検出され得る活性酸素種には、抗体または好中球により生成される活性酸素種が含まれる。例としては、スーパーオキシドラジカル(O)、ヒドロキシルラジカル(OH)、ペルオキシルラジカル、過酸化水素(H)またはオゾン(O)があるが、これらに限定されるわけではない。かかる強力な活性酸素種の存在は、増大された体液性免疫応答(例えば、増加した循環抗体)または増大された細胞または組織関連炎症応答(例えば、好中球活性化)を示すものである。
【0012】
図面の簡単な説明
図1は、食細胞の酸素依存的殺菌作用を示す。およびO・−の相互変換が示されている。この活性はまた、抗体に固有の能力である。
【0013】
図2は、アンプレックス・レッド検定方法に関与する化学変換段階を示す。抗体(この概略図においてIgGとして特定される)は、をO・−に変換し、これは、過酸化水素を自発的に形成できる。西洋ワサビペルオキシダーゼの存在下において、過酸化水素は、アンプレックス・レッド基質を脱アセチル化および酸化することにより、587nmでの蛍光を放射する分子を生成する。
【0014】
図3は、マウスモノクローナルIgG EP2−19G2(20μM)の存在下(□)または非存在下(△)でのPBS(pH7.4)におけるH生成の初期時間経過を示す。エラー・バーは、平均からのデータの範囲を示す。
【0015】
図4は、UV照射およびアンプレックス・レッド試薬によるH検出の後におけるマウス抗体1D4 Fabフラグメントの単結晶の蛍光顕微鏡写真を示す。
【0016】
図5は、活性酸素種の抗体を介する触媒についての時間推移および必要とされる反応条件を示す。図5Aは、31127抗体(ウマIgG、20μM)の存在下(O)または非存在下(◆)における、ヘマトポルフィリン(40μM)および可視光線によるPBS(pH7.4)中でのH形成の時間推移を示す。図5Bは、PBS(pH7.4)中に他に何も添加しない場合(□)、またはNaNをPBS(pH7.4)(O、100μM)中にもしくはPBSのDO溶液(pH7.4)(◇)中に含む場合の、31127抗体(ウマIgG、6.7μM)の存在下におけるヘマトポルフィリン(40μM)および可視光線によるH生成の初期時間推移を示す。図5Cは、H形成速度に対する抗体タンパク質濃度(31127、ウマIgG)の影響を示す。図5Dは、31127抗体(ウマIgG、6.7μM)によるH生成速度に対する酸素濃度の影響を示す。測定値は全て、少なくともデュプリケートの実験測定の平均値である。エラー・バーは、平均値からの実験測定値の範囲である。
【0017】
図6は、タンパク質の集団について測定されたH形成の初期速度および抗体との比較(表1からのデータ)を示す棒グラフである。測定値は全て、少なくともデュプリケートの実験測定の平均値である。エラー・バーは、平均値からの実験測定値の範囲である。OVA、鶏卵オボアルブミン;SOD、スーパーオキシドジスムターゼ。
【0018】
図7Aは、PBS(pH7.4)中におけるウマIgG(6.7μM)のUV照射によるH形成速度を示す。図7Bは、H形成と同時に測定した、ウマIgGの326nm(励起=280nm)での蛍光放射を示す。
【0019】
図8は、様々な条件下における抗体によるH生成を示す。
図8Aは、免疫グロブリンおよび非免疫グロブリンタンパク質によるH生成を示す。20ECでの好気的環境条件下にて、トランスイルミネーター(フィッシャー・バイオテック)の密封バイアルに入れたリン酸緩衝食塩水(PBS)[10mMのリン酸ナトリウム、150mMのNaCl(pH7.4)]中における個々の抗体/タンパク質試料(100μL、6.7μM)の近UV(312nm、800μWcm−2)照射により検定を実施した。検定の間中、定期的間隔でアリコート(10μL)を除去した。アンプレックス・レッド法によりH濃度を測定した。各データ点を、少なくともデュプリケートの測定の平均±SEMとして記録する:●ポリクローナル(ポリ)免疫グロブリン(Ig)G、ヒト;Oポリ−IgG、ウマ;□ポリ−IgG、ヒツジ;▽モノクローナル(m)IgG(WD1−6G6)、マウス;△ポリ−IgM、ヒト;◇mIgG(92H2)、マウス;■β−ガラクトシダーゼ(β−gal);▲鶏オボアルブミン(OVA);▼α−ラクトアルブミン(α−lact);◆ウシ血清アルブミン(BSA)。
【0020】
図8Bは、ヒツジポリ−IgG(6.7μM、200μL)によるHの長期生産を示す。96ウェル石英板の密封ウェルにおいてPBS中8時間近UV照射する。図8A記載の要領でH濃度を測定した。
【0021】
図8Cは、時間経過に伴うHの抗体触媒生産に対するカタラーゼの影響を示す。マウスモノクローナル抗体PCP−21H3(IgG)の溶液(6.7μM、200μL)を、96ウェル石英板の密封ウェルにおいてPBS中で510分間照射した。アンプレックス・レッド法によりH濃度を測定し、次いでオイパーギット(Eupergit)Cに固定化したカタラーゼ(10mg、288mU)の添加により破壊した。カタラーゼを濾過により除去し、抗体溶液を420分間再照射した。速度(0〜510分)=0.368μM分−1(r=0.998);速度(511〜930分)=0.398μM分−1(r=0.987)。
【0022】
図8Dは、ウマポリ−IgG抗体による触媒の最大速度パーセントにおけるH濃度の影響を示す。かかるグラフにより、ウマポリ−IgGによるHの光生成に対するHのIC50が測定され得る。ウマ−IgGの溶液(6.7μM)を様々の濃度のH(0〜450μM)とインキュベーションし、図8A記載の要領でH形成の初期速度を測定した。グラフは、H形成速度対H濃度のプロットであり、225μMのIC50を表す。
【0023】
図8Eは、HによるHの抗体光生成の長期阻害およびH除去後における活性の完全な再確立を示す。この検定法では、H(450μM)の存在下における360分間のウマポリ−IgG(PBS、pH7.4中6.7mM)の初期UV照射を伴う。次いで、Hをカタラーゼ(オイパーギットCに固定化)により除去し、ポリ−IgG試料をさらに480分間UV光線で再照射した。検定の間中、H形成をアンプレックス・レッド検定法により測定した。
【0024】
図8Fは、H生成に対するカタラーゼの影響を示す。αβ−TCRの溶液(6.7μM、200μL)を、360分間、367分間および389分間、図8C記載の要領で照射した。図8C記載の要領で各照射中に生成されたHを検定し、破壊した。速度(0〜360分)=0.693μM分−1(r=0.962)。200μMを超える増殖曲線(progress curve)における曲率は、予測されたHによる阻害と一致する(下記参照)。速度(361〜727分)=0.427μM分−1(r=0.987);速度(728〜1117分)=0.386μM分−1(r=0.991)。
【0025】
図9は、天然4C6 Fab(カラー写真における淡青色およびピンク色)およびHの存在下における4C6 Fab(カラー写真における紺青色および赤色)の重なりを示す。
【0026】
図9Aについては、天然4C6結晶を、4mMのH中に3分間浸し、SSRL BL9−1でのデータ収集用に直ちに急速冷凍した。二次および三次構造の全体的構造完全性は、Hの存在下で明らかに保存されている(RMSD Cα=0.33オングストローム、側鎖=0.49オングストローム)。RMSDをCNS中で計算した。
【0027】
図9Bは、Fab 4C6への安息香酸の結合を示す。高解像度X線構造は、Fab 4C6が安息香酸と交差反応性であることを示す。Hの存在下および非存在下での4C6連結部位の重なりにより、結合部位内における側鎖立体構造も保存されていることが立証されている(カラー写真において薄く、そして濃く着色した側鎖は、それぞれ+Hおよび−Hに対応する)。さらに、安息香酸についての明白な電子密度は、Fab 4C6の結合特性が4mMのHにおいて変化されていないままであることを明らかにしている。電子密度マップは、1.5σで輪郭を示した2f−fシグマ加重マップであり、図面をBobscriptで作製した。
【0028】
図10Aは、ダイオードアレイHP8452A分光光度計、Absmax280nmで測定されたウマポリクローナルIgGの吸光度スペクトルを示す。
【0029】
図10Bは、260から320nm間の波長における、ウマポリクローナルIgGの作用スペクトルを提供しており、280nmでH形成の最大活性を示す。この検定は、デュプリケートで実施され、抗体溶液[PBS中(pH7.4)6.7μM]を石英ガラス管へ加え、次いでそれを1時間SLM分光蛍光計のキセノンアークランプおよびモノクロメーターにより発せられる光ビーム中に置いた。アンプレックス・レッド検定法によりH濃度を測定した。
【0030】
図11Aは、トリプトファン(20μM)による時間経過に伴うHの生成を示す。条件および検定手順は、図8Aにおける記載と同様であった。
【0031】
図11Bは、Hの抗体を介する光生成に対する塩素イオンの影響を示す。ヒツジポリ−IgG■(6.7μM、200μL)またはウマポリ−IgG▲(6.7μM、200μL)の溶液を、凍結乾燥により乾固し、次いで塩素イオンの最終濃度が0〜160mMとなるように脱イオン水またはNaCl(水溶液)に溶かした。次いで、試料を、20ECでの好気的環境条件下、トランスイルミネーター(800μWcm−2)の密封バイアルにおいてデュプリケートで照射した。検定の間中、アリコート(10μL)を除去し、アンプレックス・レッド検定法によりH濃度を測定した。H形成速度を、各抗体試料について平均±SEM対[NaCl]としてプロットする。
【0032】
図11Cは、Hの抗体を介する光生成に対するEDTA含有緩衝液中における透析の影響を示す。2つの抗体調製物である、マウスモノクローナル抗体PCP21H3およびウマポリクローナルIgGによるHの光生成を、EDTA含有PBS(20mM)での透析の前および後に比較した。条件および検定手順は、図8Aにおける記載と同様であった。各データポイントを、少なくともデュプリケートの測定値の平均±SEMとして記録する:[●透析前のマウスmIgG PCP21H3;■透析後のマウスmIgG PCP21H3;▲透析前のポリ−IgG、ウマ;◆透析後のポリ−IgG、ウマ]。
【0033】
図12は、16O含有Hまたは18O含有Hによる基質トリスカルボキシエチルホスフィン(TCEP)の酸化を示す質量スペクトルを示す。ESI(負の極性)質量スペクトルは、Hによる酸化後のTCEP[(M−H)249]およびその酸化物[(M−H)265(16O)および(M−H)267(18O)]のものを用いた。
【0034】
図12Aは、H18O(98%18O)PB中における16好気的条件下でのヒツジ ポリ−IgG(6.7/μM)の照射後におけるTCEPおよびその酸化物の質量スペクトルを示す。16O含有TCEP(265での大きいピーク)および18O含有TCEP(267での小さいピーク)の混合物が生成される。
【0035】
図12Bは、H16O PB中における富化された18(90%18O)好気的条件下でのヒツジ ポリ−IgG(6.7μM)の照射後におけるTCEPおよびその酸化物の質量スペクトルを示す。16O含有TCEP(265での小さいピーク)および18O含有TCEP(267での大きいピーク)の混合物が生成される。
【0036】
図12Cは、H16O PB中における16好気的濃縮下で実施されたポリ−IgGの照射後におけるTCEPおよびその酸化物の質量スペクトルを示す。H16OをH18Oに変えた以外、検定条件および手順は方法および材料(実施例2)に記載のとおりであった。16O含有TCEP(265での大きいピーク)のみ観察される。
【0037】
図12Dは、20ECで8時間、H18O PB中、嫌気的(脱気およびアルゴン下)条件下でのヒツジ ポリ−IgG(6.7μM)およびH16(200μM)の照射後におけるTCEPおよびその酸化物の質量スペクトルを示す。TCEPの添加は、方法および材料(実施例2)における記載と同様であった。16O含有TCEP(265での大きいピーク)のみ観察される。
【0038】
図12Eは、H18O PB中での16好気的条件下での3−メチルインドール(500μM)の照射後におけるTCEPおよびその酸化物の質量スペクトルを示す。16O含有TCEP(265での大きいピーク)のみ観察される。3−メチルインドールは分子量が低すぎるため、サイズ排除濾過を実施しなかったこと以外、検定条件および手順は、方法および材料(実施例2)に記載のとおりであった。従って、TCEPを、3−メチルインドール含有PB溶液に加えた。
【0039】
図12Fは、H18O PB中での16好気的条件下、β−gal(50μM)の照射後におけるTCEPおよびその酸化物の質量スペクトルを示す。16O含有TCEP(265での大きいピーク)のみ観察される。検定条件および手順は、方法および材料(実施例2)に記載のとおりであった。
【0040】
図13は、材料および方法(実施例2)に記載された抗体4C6におけるXe結合部位を示す。
【0041】
図13Aは、Fab 4C6のCαトレースの標準側面図であり、カラー写真においてピンク色は軽鎖および青色は重鎖である。3個の結合したキセノン原子(カラー写真における緑色)を、5σで輪郭を示した初期F−F電子密度マップと共に示されている。
【0042】
図13Bは、保存されたキセノン部位1の周囲のFab 4C6および2C αβ TCR(PDB/TCR)のオーバーレイである。V主鎖Cαトレース(カラー写真におけるピンク色)および側鎖(カラー写真における黄色)、ならびに2C αβ TCRの対応するVα(カラー写真における赤色および金色)を重ね合わせる(Insight2000を用いて作製された図面)。
【0043】
図14は、抗体による細菌致死力を示す。
図14Aは、異なる実験条件下における大腸菌(E.coli)XL1−ブルーおよびO112a,c株の生存を示す棒グラフである。生存は、実験開始時点(t=0分)でのコロニー形成単位(CFU)のパーセントとして、回復したCFUとして記録されている。黒色(斜線)バーおよび淡灰(白)色バーは、淡灰色グループ(2、4、6、8、10および12)が可視光線(2.7mWcm−2)に60分間暴露され、黒色グループ(1、3、5、7、9および11)が60分間暗所に置かれたこと以外、同一実験条件に対応している。細菌細胞密度は約10細胞/mLであった。記録された各データポイントは、以下の条件下における大腸菌XL1−ブルー(グループ1〜6)およびO112a,c(グループ7〜12)の平均±SEM(n=6)である。グループ1〜2は、4℃でPBS、pH7.4中におけるXL1−ブルー細胞。グループ3〜4は、4℃でPBS、pH7.4中におけるHPIX(40μM)、XL1−ブルー細胞。グループ5〜6は、4℃でPBS、pH7.4中におけるXL1−ブルー−特異的モノクローナル抗体(25D11、20μM)、ヘマトポルフィリンIX(40μM)、XL1−ブルー細胞。グループ7〜8は、4℃でPBS、pH7.4中におけるO112a,c細胞。グループ9〜10は、4℃でPBS、pH7.4中におけるHPIX(40°M)、O112a,c細胞。グループ11〜12は、4℃でPBS、pH7.4中におけるO112a,c−特異的モノクローナル抗体(15404、20μM)、ヘマトポルフィリンIX(40μM)、O112a,c細胞。
【0044】
図14Bは、大腸菌O112a,cの生存に対する抗体濃度の影響をグラフに示したものである。使用した抗体は、O112a,c特異的モノクローナル抗体である、15404であった。記録された各データポイントは、平均値±SEM(n=3)である。細胞の50%の致死(EC50)に対応する15404抗体の濃度は、81±6nMであった。
【0045】
図14Cは、大腸菌XL1−ブルー−特異的マウスモノクローナル抗体12B2の殺菌作用に対する照射時間の影響をグラフで示したものである。グラフは、ヘマトポルフィリンIX(40μM)および12B2(20μM)の存在下における照射時間(2.7mWcm−2)対大腸菌XL1−ブルーの生存を示す。記録された各データ点は、平均値±SEM(n=3)である。細胞の50%の致死に対応する照射時間は、30±2分であった。
【0046】
図14Dは、ヘマトポルフィリンIX濃度に対する抗体駆動殺菌作用の依存性を示す。使用した抗体は、大腸菌XL1−ブルー特異的マウスモノクローナル抗体25D11であった。グラフは、大腸菌XL1−ブルーの生存対ヘマトポルフィリンIXの一連濃度への暴露を示す。以下の条件を使用した:60分間(>)、暗所中4℃でPBS、pH7.4中におけるXL1−ブルー細胞。白色光(2.7mWcm−2)中、4℃でPBS、pH7.4中におけるXL1−ブルー細胞(△)。60分間暗所中、4℃でPBS、pH7.4中における25D11(20μM)、XL1−ブルー細胞(◆)。60分間白色光(2.7mWcm−2)中、4℃でPBS、pH7.4中における25D11(20μM)、XL1−ブルー細胞(◇)。
【0047】
図15は、抗原特異的マウスモノクローナルIgG(15404、20μM)、PBS中のヘマトポルフィリンIX(40μM)および可視光線への、4℃で1時間の暴露後の大腸菌O112a,c細胞の電子顕微鏡写真である(<5%生存可能)。抗体付着部位を視覚化するため、金標識したヤギ抗マウス抗体を殺菌検定完了後に加えた。抗原非特異的抗体の殺菌活性の効力は、抗原特異的抗体と非常に類似していることが観察された。典型的には、20μMの抗体(非特異的)は、本検定系において>95%殺菌性であった。
【0048】
図16A〜Cは、非特異的マウスモノクローナルIgG抗体(84G3、20μM)、PBS中のヘマトポルフィリンIX(40μM)および可視光線への4℃で1時間暴露後の大腸菌XL−1−ブルー細胞の電子顕微鏡写真である(1%生存可能)。図16Aにおける矢印は、細胞質内容物からの細胞膜の予備的分離に向いている。図16Dは、抗原特異的マウスモノクローナルIgG(15404、10μM)、PBS中のヘマトポルフィリンIX(40μM)および可視光線への室温で1時間暴露後の大腸菌O112a,c血清型の電子顕微鏡写真である(<5%生存可能)。当業界で利用可能な手順を用いて金標識を実施した。
【0049】
図17Aは、大腸菌XL1−ブルーに対する抗体の殺菌作用に対するカタラーゼの影響を明らかにしている[実験開始時点(t=0分)でのコロニー形成単位(CFU)のパーセントとして、採取されたCFUとして記録されている]。カタラーゼは、Hを水(HO)および酸素分子(O)に変換する。各グループを、4℃で60分間白色光(2.7mWcm)により照射した。細菌細胞密度は〜10−7細胞/mLであった。実験グループ(1〜7)を以下の要領で処理した:グループ1は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞およびヘマトポルフィリンIX(40μM)。グループ2は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞および非特異的マウスモノクローナル抗体84G3(20μM)。グループ3は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞、ヘマトポルフィリンIX(40μM)およびモノクローナル抗体84G3(20μM)。グループ4は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞、ヘマトポルフィリンIX(40μM)、モノクローナル抗体84G3(20μM)およびカタラーゼ(13mU/mL)。グループ5は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞および特異的ウサギポリクローナル抗体(20μM)。グループ6は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞、ヘマトポルフィリンIX(40μM)および特異的ウサギポリクローナル抗体(20μM)。グループ7は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞、ヘマトポルフィリンIX(40μM)、特異的ウサギポリクローナル抗体(20μM)およびカタラーゼ(13mU/mL)。各点は、多重実験の平均値±SEMとして記録されている(n=6)。記号**は、同じ時点での対照に対する<0.01のp値を示す。殺菌活性は、暗所対照のいずれからも観察されなかった(データは示さず)。
【0050】
図17Bは、大腸菌XL1−ブルーおよびO112a,c血清型の生存能力に対するHの濃度依存的毒性を示す。垂直な点線は、上記図14およびHofman らの、Infect.Immun.68、449(2000)に記載の条件を用いることによる、60分間インキュベーション中に抗体により生成されると予測されるHの濃度である。35±5μM Hの値は、12の異なるモノクローナル抗体の少なくともデュプリケートの検定から測定された平均値である。
【0051】
図18は、カタラーゼの存在下および非存在下でのPBS(pH7.4)中における抗体のUV照射(312nm、0.8Wcm−2)中におけるインジゴカルミン1(1mM)からのイサチンスルホン酸2の光生成の進行を示す(Steinbeck et al.、J.Biol.Chem.267、13425(1992))。各ポイントは、少なくともデュプリケートの測定の平均±SEMとして記録されている。Graphpad Prism v.3ソフトウェアにより一次回帰分析を実施した。イサチンスルホン酸2の形成速度(ν)は、以下の条件下で観察された:ヒツジ ポリクローナルIgG(20μM)(●)ν=34.8±1.8nM/分;マウス モノクローナル抗体33F12(20μM)(□)ν=40.5±1.5nm/分;ヒツジ ポリクローナルIgG(20μM)および可溶性カタラーゼ(13mU/mL)(△)ν=33.5±2.3nM/分;マウス モノクローナル抗体33F12(20μM)および可溶性カタラーゼ(13mU/mL)(▽)ν=41.8±1.2nM/分。
【0052】
図19A〜Cは、様々な条件下における室温でのH 18O(>95%18O)リン酸緩衝液(PB、100mM、pH7.4)中におけるインジゴカルミン1(1mM)の酸化中に生成されたイサチンスルホン酸2[(MH)−226、(M−H)−228(18O)および(M−H)−(2×18O)]の電子スプレーイオン化(負の極性)質量スペクトルを示す。図19Aは、5分間化学的オゾン分解(PB中600μM)によりインジゴカルミン1の酸化中に生成されたイサチンスルホン酸2の質量スペクトルである。図19Bは、4時間ヘマトポルフィリンIX(40μM)およびヒツジポリIgG(20μM)の白色光(2.7mWcm−2)での照射によりインジゴカルミン1の酸化中に生成されたイサチンスルホン酸2の質量スペクトルを示す。図19Cは、4時間白色光(2.7mWcm−2)でのヘマトポルフィリンIX(40μM)の照射によりインジゴカルミン1の酸化中に生成されたイサチンスルホン酸2の質量スペクトルを示す。
【0053】
図20Aは、インジゴカルミン1(30μM)の酸化(>)および37℃でPBS(pH7.4)中のホルボールミリスチン酸(1μg/mL)で活性化されたヒト好中球(PMN、1.5×10細胞/mL)による2の形成(□)の時間経過を示す。インジゴカルミン1の酸化は、活性化されていないPMNでは全く起こらなかった(データは示さず)。前記要領で好中球を調製した。次亜塩素酸(HOCl)は、好中球により生成されることが知られているオキシダントである。我々の実験では、PBS(pH7.4)中のNaOCl(2mM)は、1(100μM)を酸化するが、1の二重結合を開裂してイサチンスルホン酸2を生じさせることはない。
【0054】
図20Bは、図20A記載の条件下、活性化されたヒト好中球によるインジゴカルミン1の酸化中に生成されたイサチンスルホン酸2の陰イオン電子スプレー質量スペクトルを示す。
【0055】
発明の詳しい説明
本発明は、抗体および好中球が、一重項酸素を捕え、それを活性酸素種に変換する能力を有するという発見に関するものである。本発明によると、かかる活性酸素種は、免疫学的活性、炎症または好中球活性化の指標である。抗体および好中球により生成される活性酸素種の例には、オゾン(O)、スーパーオキシドラジカル(O)、過酸化水素(H)またはヒドロキシルラジカル(OH)があるが、これらに限定されるわけではない。
【0056】
抗体および好中球が一重項酸素を活性酸素種に変換する能力により、免疫学的活性、炎症または好中球活性化の検出手段が提供される。従って、本発明は、免疫学的活性、炎症または好中球活性化の様々なインビトロまたはインビボ検出方法を提供する。また、免疫系および/または好中球活性化をモジュレーションし得る因子の同定方法も提供される。
【0057】
定義
略語:(HP)ヘマトポルフィリン;(PBS)リン酸緩衝生理食塩水;(OVA)鶏卵オボアルブミン;(SOD)スーパーオキシドジスムターゼ;(PO)ペルオキシダーゼ酵素;(phox)食細胞オキシダーゼ;(HRP)西洋ワサビペルオキシダーゼ;(MS)質量分光法;(AES)ICP−原子発光分光分析法;(MS)質量スペクトル;(QC)量子化学。
【0058】
本明細書における「薬剤」の語は、化学化合物、化合物の混合物、生物学的高分子、または生物材料、例えば細菌、植物、菌類または動物(特に哺乳類)の細胞または組織から調製された抽出物を示すのに使用されている。薬剤を、本明細書記載のスクリーニング検定法により抗体または好中球モジュレーター薬剤としての潜在的活性について評価する。
【0059】
本明細書で使用されている「有効量」、「有効低減化量」、「有効改善量」、「有効組織損傷阻害量」、「治療有効量」などの語は、所望の生理学的効果、例えば病状、障害、疾患などの処置または病状、障害、病気などの症状の低減化を達成するのに充分な量を識別する語である。治療方法の状況における好中球モジュレーション剤の有効量は、不適切な好中球応答の低減化、除去、改善または阻害をもたらす量である。
【0060】
「加工された抗体分子」は、組換え技術を通じて製造されたポリペプチドである。かかる分子は、一重項酸素からの少なくとも1個の活性酸素種の生成を触媒し得る反応中心を含み得る。かかる加工された抗体分子は、ポリペプチド構造内に含まれた反応性インドールを有し得る。かかる分子のインドールは、トリプトファン残基として存在し得る。加工された抗体分子はまた、非天然アミノ酸および架橋ならびにペプチド模倣物を含み得る。加工された抗体分子はまた、実質的に活性酸素種を発生し得ないように反応中心を排除すべく修飾が加えられた抗体を含み得る。
【0061】
本明細書で使用されている「エピトープ」の語は、抗体のパラトープが結合する抗原上の抗原決定基を意味する。エピトープ性決定基は通常、分子、例えばアミノ酸または糖側鎖の化学的活性表面群から成り、そして通常、特異的三次元構造特性、ならびに特異的電荷特性を有する。抗原には、ポリペプチド、脂肪酸、リポタンパク質、脂質、化学物質、ホルモンなどが含まれ得る。態様によっては、抗原が、微生物、例えば細菌またはウイルス、例えばヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、乳頭腫ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルスなどに由来するタンパク質を含む場合もあるが、これらに限定されない。他の態様において、抗原には、癌細胞、例えば肺癌、前立腺癌、結腸癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、膀胱癌、骨癌、白血病、リンパ腫、脳癌などで発現されるタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。本発明の抗原はまた、化学物質、例えばエタノール、テトラヒドロカナビノール、LSD、ヘロイン、コカインなどを包含する。
【0062】
「モジュレーションする」の語は、本発明の抗体、好中球または加工された抗体分子の機能的特性を高めるかまたは阻害する能力をいう。かかるモジュレーションは、抗体、好中球または加工された抗体分子による少なくとも1個の活性酸素種の生成を増加または減少させ得る。かかるモジュレーションはまた、好中球活性化を増加または減少させ得る。
【0063】
「非天然」アミノ酸は、D−アミノ酸、ならびに天然では存しないアミノ酸を包含するもので、例としては4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシンおよび他の上記アミノ酸およびイミノ酸が挙げられる。
【0064】
「ペプチド模倣物」または「ペプチドの模倣物」の語は、ペプチド類似体、例えば非ペプチド薬剤として製薬業界で常用されているものをいい、鋳型ペプチドの特性と類似した特性を有する(Fauchere,J.、Adv.Drug Res.15:29(1986)およびEvans et al.、J.Med.Chem.30:1229(1987))。一般的に、ペプチド模倣物は、模範ポリペプチド(すなわち、生化学特性または薬理学的活性を有するポリペプチド)と構造上類似しているが、所望により当業界で公知の方法によって、例えば−CHNH−、−CHS−、−CH−CH−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH−、−CH(OH)CH−、および−CHSO−により置換されていてもよい1個またはそれ以上のペプチド架橋を有する。天然ポリペプチドを凌ぐペプチドの模倣物の利点の具体例としては、経済性の高い生産、大きい化学的安定性、改変された特異性、低減化された抗原性、および高い薬理学的特性、例えば半減期、吸収性、有効性および効力が含まれ得る。
【0065】
本明細書で使用されている「医薬上許容される」、「生理学的に認容される」およびその文法的変形の語は、それらが組成物、担体、希釈剤および試薬についていう場合、互換的に使用され得るものとし、物質が望ましくない生理学的影響、例えば悪心、めまい、胃の不調などを誘発することなく哺乳類へ投与され得ることを表す。
【0066】
「タンパク質」および「ポリペプチド」の語は、天然タンパク質、ペプチド、タンパク質フラグメント、またはタンパク質またはポリペプチドの類似体を記述するのに使用される。これらの語は、互換的に使用され得る。
【0067】
本明細書で使用されている「活性酸素種」の語は、抗体により生成される酸素種を意味する。いくつかの態様によっては、例えば好中球が抗体をそれらの表面上に有することから、活性酸素種が「好中球により生成」される場合もある。これらの活性酸素種は、1個またはそれ以上の不対電子を有し得るか、またはそれらは容易に他の分子と反応するため、他の点で反応性である。かかる活性酸素種は、スーパーオキシドフリーラジカル、過酸化水素、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカル、オゾンおよびオゾンと同じ化学記号を有する他の短命の三酸素(オゾン)付加物を包含するが、これらに限定されるわけではない。
【0068】
抗体の触媒活性
本発明によると、抗体は全て、抗体分子それ自体に固有のものである、これまでに認識されていない化学ポテンシャルを有する。試験した抗体は全て、供給源または抗原特異性とは関係無く、一重項酸素を活性酸素種、例えばオゾン(O)、スーパーオキシドラジカル(O)、過酸化水素(H)、ペルオキシルラジカルまたはヒドロキシルラジカル(OH)に変換させ得る。従って、抗体は、より正確には、外来侵入物質に対する脊椎動物防御の最前線にそれを配置させるターゲッティング機能および触媒機能の両方を発達させた、顕著なアダプター分子であると認められる。
【0069】
一重項酸素から活性酸素種を生成する能力は、無傷の免疫グロブリンおよび抗体フラグメント、例えばFab、F(ab')およびFvフラグメントに存在する(実施例参照)。この活性は、RNaseA、スーパーオキシドジスムターゼ、および酸化され得るBowman‐Birkインヒビタータンパク質を含む他の分子には存しない(実施例Iおよび表1)。また、活性は、分子におけるジスルフィドの存在と、かかるジスルフィドが、それらが酸化され得るのに充分な程電子に富んでいるとしても、関連しない(Bent et al.、J.Am.Chem.Soc.、87:2612−2619(1975))。
【0070】
抗体が変性された場合、一重項酸素から活性酸素種を生成させる抗体の能力が破壊される。これは、抗体の三次元構造が、スーパーオキシドの生成に使用される還元プロセスと直接的に関連することを示す。
【0071】
一重項酸素から効率的かつ長期間活性な酸素種を生成させる能力は、免疫グロブリンおよびT細胞受容体に存在する(実施例2、図1F)。T細胞受容体は、抗体とその免疫グロブリン折りたたみドメインの配置の類似性を共有する(Garcia et al.、Science、274:209(1996))。しかしながら、この構造モチーフを有することが、タンパク質に過酸化水素生成能力を付与するのに必要であるとは思われない。この構造モチーフを有する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであるβ−マクログロブリンは、過酸化水素を生成しない(Welinder et al.、Mol.Immunol.、28:177(1991))。
【0072】
構造試験はまた、T細胞受容体で見出される保存されたトリプトファン残基が、抗体で見出されるのと類似したドメインに存することを示している。保存されたトリプトファン残基を取巻く配列および構造は、抗体およびT細胞受容体間で高度に保存されていることから、それらの周囲構造はまた、一重項酸素を活性酸素種へと触媒する上である一定の役割を演じ得ることを示している。
【0073】
さらに、本発明によると、好中球は、それらが活性化されたとき、活性酸素種を生成し得る。抗体および好中球の触媒活性は、免疫学的反応、炎症および好中球活性化を検出するのに使用され得る。
【0074】
免疫学的および炎症応答の検出方法
本発明は、体液性および細胞性免疫ならびに炎症応答の検出方法を提供する。これらの方法は、抗体および好中球の一重項酸素を活性酸素種に還元する新たに発見された能力を利用する。
【0075】
1つの態様において、本発明は、哺乳類における免疫応答または炎症応答についての検定方法であって、(a)活性酸素種についての化学プローブを投与し、(b)哺乳類から試料を得、そして(c)化学プローブの酸化生成物について試料を分析することを含む方法を提供する。
【0076】
別の態様において、本発明は、(a)哺乳類から好中球試料を得、(b)好中球試料において好中球を活性化し、そして(c)活性酸素種が好中球試料から検出され得るか否かを観察することを含む、好中球活性についてのインビトロ検定法を提供する。
【0077】
さらに別の態様において、本発明は、好中球活性をモジュレーションし得る薬剤の同定方法であって、(a)哺乳類から好中球試料を得、(b)好中球試料を試験薬剤に暴露し、(c)好中球試料において好中球を活性化し、そして(d)好中球試料により生成される活性酸素種の量を定量することを含む方法を提供する。
【0078】
これらの検定方法についての基本的必要条件には、活性酸素種についての化学プローブおよび試験すべき対象または試料が含まれるため、これらの検定方法は実施するのが簡単である。活性酸素種の生成は、場合によっては、活性酸素種の抗体を介する生成についての基質として作用する一重項酸素の供給源の使用を通して高められ得ることもある。しかしながら、一重項酸素はインビボで生成されるため、一重項酸素の供給源の投与は必要とされない可能性がある。
【0079】
一重項酸素の供給源を提供し得る分子には、他の因子または誘発物質を必要とせずに一重項酸素を生成する分子、および誘発物質への暴露後に一重項酸素を生成し得る「増感剤」分子が含まれる。他の因子または誘発物質を必要とせずに一重項酸素を生成し得る分子の例には、エンドペルオキシドがあるが、これに限定されるわけではない。いくつかの態様にて、使用されるエンドペルオキシドが、アントラセン−9,10−ジプロピオン酸エンドペルオキシドであり得る場合もある。増感剤分子の例には、プテリン、フラビン、ヘマトポルフィリン、テトラキス(4−スルホナトフェニル)ポルフィリン、ビピリジルルテニウム(II)錯体、ローズベンガル染料、キノン、ローダミン色素、フタロシアニン、ヒポクレリン、ルブロシアニン、ピナシアノールまたはアロシアニンがあるが、これらに限定されるわけではない。
【0080】
増感剤分子は、誘発因子に暴露されたとき、一重項酸素を生成するように誘導され得る。一つのかかる誘発因子は光線である。かかる光線は、増感剤のタイプおよび構造によって、可視光線、紫外線または赤外線であり得る。
【0081】
本発明方法により検出され得る活性酸素種は、抗体により生成される酸素種および好中球により生成される酸素種を全て包含する。かかる活性酸素種の例には、スーパーオキシドラジカル(O)、ヒドロキシルラジカル(OH)、ペルオキシルラジカル、過酸化水素(H)またはオゾン(O)があるが、これらに限定されるわけではない。上記の強力な活性酸素種の存在は、増強された体液性免疫応答(例、増強された循環抗体)または増強された細胞または組織関連炎症応答(例、好中球活性化)の指標である。検出され得る免疫学的応答および炎症応答のタイプを、下記でさらに詳細に検討している。
【0082】
従って、本発明は、抗体の検出方法を提供する。抗体分子は全て、免疫グロブリンと呼ばれる血漿タンパク質のファミリーに属する。それらの基本的構成単位、免疫グロブリン折りたたみまたはドメインは、免疫系および他の生物学的認識系の多くの分子において様々な形態で使用されている。典型的免疫グロブリンは、4つのポリペプチド鎖を有し、可変域として知られている抗原結合領域を含み、定常域として知られている非変動領域を含む。
【0083】
本発明方法を用いると、いずれの抗体でも検出され得る。さらに、抗体は、それが活性酸素種の生成を触媒する限り、様々な形態のいずれでもあり得、全免疫グロブリン、Fv、Fab、F(ab')または他のフラグメント、および可変ドメイン相補性決定部位(CDR)を含む1本鎖抗体、または他の形態が含まれる。これらの語は全て、本明細書で使用されている一般語である「抗体」に該当する。本発明は、あらゆるタイプの抗体の検出を意図したものであり、特異的抗原を認識し、それと免疫反応する抗体に限定されるわけではない。しかしながら、適用によっては、抗体またはそのフラグメントは、抗原にとって免疫特異的である。
【0084】
本発明で使用されている「抗体」の語は、無傷の分子、ならびにエピトープと結合し得るそのフラグメント、例えばFab、F(ab')およびFvを包含する。これらの抗体フラグメントは、その抗原または受容体と選択的に結合する能力をある程度保持しており、以下の通り定義される。
【0085】
(1)Fab、抗体分子の一価抗原結合フラグメントを含むこのフラグメントは、酵素パパインによる全抗体の切断により生成され、無傷の軽鎖および一重鎖の一部分を生じさせ得る。
【0086】
(2)Fab'、抗体分子のこのフラグメントは、ペプシンで全抗体を処理し、次いで還元することにより得られ、無傷の軽鎖および重鎖の一部分を生じさせ得る。2つのFab'フラグメントが、一抗体分子につき得られる。
【0087】
(3)F(ab')、後続の還元を伴わずに酵素ペプシンで全抗体を処理することにより得られる抗体のフラグメントである。F(ab')は、2個のジスルフィド結合により2つのFab'フラグメントが一緒にされた二量体である。
【0088】
(4)Fv、2本の鎖として発現された軽鎖の可変域および重鎖の可変域を含む遺伝子組換フラグメントとして定義される。
【0089】
(5)1本鎖抗体(「sFv」)、遺伝子融合1本鎖分子として適切なポリペプチドリンカーにより連結された、軽鎖の可変域、重鎖の可変域を含む遺伝子組換え分子として定義される。
【0090】
抗体は、あらゆる哺乳類または鳥類種、もしくは哺乳類または鳥類種からの試料において検出され得る。かかる哺乳類および鳥類には、ヒト、イヌ、ネコおよび家畜、例えばウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、七面鳥などが含まれる。かかる哺乳類および鳥類からの試料は、試験用に入手され得る。かかる試料は、例えば、組織試料または体液、例えば全血、血清、血漿、滑液、リンパ、尿、唾液、粘液または涙液であり得る。
【0091】
活性酸素種についての化学プローブ
抗体および好中球により生成される活性酸素種は、化学プローブで検出され得る。活性酸素種用の化学プローブには、酸化され得、検出可能な酸化生成物を生じるアルケンを含むあらゆる天然または合成化合物が含まれる。活性酸素種用の化学プローブの例には、3−ビニル−安息香酸、4−ビニル−安息香酸、インジゴカルミン、スチルベン、コレステロールなどがある。酸化されたとき、かかる化学プローブは、酸化生成物、例えばケトン、アルデヒド、エーテルおよび関連生成物を生じる。
【0092】
例えば、3−ビニル−安息香酸(3)および4−ビニル−安息香酸(4)化学プローブおよび活性酸素種とこれらの化学プローブの反応により生成される酸化生成物(5a、5b、6aおよび6b)の構造を以下に示す:
【化1】

【0093】
活性酸素種についての有用な化学プローブの別の例は、インジゴカルミン(1)であり、これは活性酸素種により環状α−ケトアミド(イサチンスルホン酸、2)に変換される。これらの化合物を下記に示す。
【化2】

【0094】
いくつかの態様によっては、当業者であれば特定活性酸素種、例えばオゾンを検出すべく選択し得るはずである。オゾンは、例えばインジゴカルミンを用いることにより、検出され得、他の活性酸素種とは区別され得る。オゾン(O)によるインジゴカルミンの開裂は、同位体を用いることにより、によるインジゴカルミンの開裂とは区別され得る。例えば、18Oは、オゾンがオキシダントであるとき、環状α−ケトアミド2のラクタムカルボニル基へ組込まれる。環状α−ケトアミド2のラクタムカルボニル基へのかかる18O組込みは、がオキシダントであるときには起こらなかった。
【0095】
化学プローブの酸化生成物は、高速液体クロマトグラフィー、質量分析法、紫外線分光光度法、可視光線分光光度法、液体クロマトグラフィー、ガススペクトロメトリー、質量分析法に接続した液体クロマトグラフィーにより、蛍光手段、例えば蛍光顕微鏡または蛍光分光測定法を用いて検出され得る。例として挙げた検定方法は、実施例に記載された要領で実施される。
【0096】
すなわち、いくつかの態様によっては、化学プローブを哺乳類に投与し、哺乳類体液の試料を集めることにより、化学プローブの酸化生成物が生成されたか否かを確認することもある。かかる酸化生成物が生成された場合、哺乳類は、炎症を有するかまたは免疫応答が高められている可能性がある。他の態様では、化学プローブを、哺乳類からの体液のインビトロ検定方法に加え、化学プローブの酸化生成物が存在するか否かを調べるために、検定混合物を試験する。例えば、体液が高いレベルの活性化好中球を有するか否かを確かめるためには、かかるインビトロ検定方法が有用である。
【0097】
一重項酸素の内因性生成
インビボでの抗体の新たに発見された化学ポテンシャルの役割は、重要な基質の利用能に左右される。しかしながら、は、様々な生理学的事象において生成され、インビボで利用可能である。J. F. Kanofsky Chem.-Biol. Interactions 70、1(1989)およびそこに引用された参考文献参照。例えば、は、再灌流においても生成される(X. Zhai および M. Ashraf Am. J. Physiol.269(Heart Circ. Physiol. 38) H1229 (1995))。また、は、食作用中における好中球活性化で生成される(J. R. Kanofsky, H. Hoogland, R. Wever, S. J. Weiss J. Biol. Chem.263、9692 (1988); Babior et al., Amer. J. Med., 109:33-34 (2000))。一重項酸素()はまた、ポルフィリン症患者の皮膚に存在する金属不含有ポルフィリン前駆体の光線照射から生じる。
【0098】
さらに、基質は、抗体が検出可能なレベルの活性酸素種を生じさせるのに充分な量で食作用または再灌流により生成される。例えば、ファゴソームの容量は、約1.0×10−15リットルである。このため、僅か数百個の分子が、かかる小さな容量中にマイクロモル単位の濃度で含まれるため、本明細書に示された反応はそれほど効率的である必要はない。事実、の濃度は、ファゴソームにおけるモル濃度と同程度に高いことが算出された(E. P. Reeves et al., Nature 416、291(2002))。細菌および蛍光標識抗体による滴定および免疫金試験から、抗体分子の数に関しては同じ概算がなされ得る(図2)。これらの分析結果は、約10の抗体分子が各細菌に結合されていることを示唆しており、かかる量はファゴソーム内のミリモル抗体濃度と対応する。すなわち、最も控えめな概算であっても、ファゴソーム内におけるおよび抗体の濃度は、本明細書で提供されている実例で使用されているものをはるかに上回る。
【0099】
一重項分子酸素()はまた、直接的および間接的な両方法で殺菌プロセス中に生成される。一重項分子酸素()は、例えばフラビンタンパク質オキシダーゼの作用を介して直接生成される(Allen, R. C., Stjernholm, R. L., Benerito, R. R. & Steele, R. H.、編者 Cormier, M. J., Hercules, D. M. & Lee, J. (プレナム、ニューヨーク)、498−499頁(1973); Klebanoff, S. J.、The Phagocytic Cell in Host Resistance (米国立小児健康人間発達研究所、オーランド、フロリダ) (1974))。別法として、は、殺菌プロセス、例えば、ファゴソームで見出されるもののように、低pH溶液中におけるO・−の非酵素的不均化により間接的に生成され得る(反応3)(Stauff, J., Sander, U. & Jaeschke, W., Chemiluminescence and Bioluminescence,、編者、Williams, R. C. & Fudenberg, H. H. (インターコンティネンタル・メディカル・ブック・コーポレーション、ニューヨーク)、131−141頁(1973); Allen, R. C., Yevich, S. J., Orth, R. W. & Steele, R. H., Biochem. Biophys. Res. Commun.,60、 909−917 (1974)。
【0100】
は非常に反応性が高いため、以前にはそれは酸素除去剤のカスケードにおける終点であると見なされていた。しかしながら、抗体および好中球がを捕え、それを活性酸素種に有効に還元することが見出されたことによって、免疫学的応答、炎症および好中球活性化のインビボ検出手段がもたらされた。
【0101】
免疫学的および炎症応答
免疫学的および炎症応答の誘因は、一般的に感染性かまたは非感染性のいずれかとして類別される。主に感染および病気と闘うヒト免疫系の細胞は、体中を循環している白血球である。白血球は、好中球、血小板、赤血球、リンパ球および他の白血球を生成する骨髄により生成される。全白血球の約50〜65パーセントは「好中球」である。造血系が正しく機能しているときには、血小板および好中球は、寿命の長いリンパ球および赤血球とは異なり、急速に増殖し、高速で代謝される。
【0102】
免疫応答中、Bリンパ球の活性化および分化は、本発明方法により検出され得る高親和性抗原特異的抗体の分泌を誘導する。抗体産生は感染に関連することが多い。本発明によると、いずれのタイプの感染でも検出され得る。細菌およびウイルスならびに他の寄生体が関与する感染疾患は、本発明方法により検出され得る。検出され得る感染体の例には、微生物、ウイルス、寄生虫などがある。検出され得る微生物には、微生物、例えばスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、サルモネラ・ティフィ(Salmonella typhi)、大腸菌(Escherichia coli)、大腸菌O157:H7、シゲラ・ディセンテリエ(Shigella dysenteria)、シュードモナス・アエルギノサ(Psuedomonas aerugenosa)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)、ビブリオ・コレレ(Vivrio cholerae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の多剤耐性株、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)のバンコマイシン耐性株またはエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)のバンコマイシン耐性株があるが、これらに限定されるわけではない。
【0103】
検出され得るウイルス感染症には、例えばA型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、パポーバウイルス、パルボウイルス、レオウイルス、オルビウイルス、ピコルナウイルス、ロタウイルス、アルファウイルス、ルビウイルス、インフルエンザウイルスA型、インフルエンザウイルスB型、フラビウイルス、コロナウイルス、パラミクソウイルス、モルビリウイルス、ニューモウイルス、ラブドウイルス、リッサウイルス、オルトミクソウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルス、ナイロウイルス、ヘパドナウイルス、アレナウイルス、レトロウイルス、エンテロウイルス、リノウイルスまたはフィロウイルスといったウイルスの感染症があるが、これらに限定されるわけではない。
【0104】
炎症は、局所損傷に対する血管新生組織の反応である。この損傷は、感染および直接的物理的損傷を含む様々な誘因を有し得る。損傷時、血液凝固系およびプラスミン系は、適切な神経系応答と一緒に始動され、初期応答を発生することにより、免疫活性化を容易にする。血流増加、毛細管透過性および補体カスケードのものを含む走化性因子は、損傷部位への好中球移動をモジュレーションする。好中球は急性炎症に関与する主たる細胞型であり、リンパ球およびマクロファージは慢性炎症において優勢である。
【0105】
炎症応答が無ければ、感染は抑制されずに進行し、創傷は決して治癒せず、組織および臓器は永続的に損なわれたままであり得、結果として死に至り得るため、この応答は有益であると見なされ得る。
【0106】
しかしながら、炎症はまた潜在的に危険でもあり得る。炎症中、活性化された好中球は、タンパク質分解および酸化酵素を含む、様々な分解酵素を周囲の細胞外環境へ放出する。好中球により放出される物質は、潜在的に危険な副作用を誘発し得る。循環している好中球の半減期は6〜8時間であるが、活性化細胞の血管外生存期間はほぼ4日間であり得る。活性化好中球の数およびそれらの活性化程度は、組織損傷と直接関連している。インビボでは、好中球が死ぬとき、それらは組織マクロファージにより認識され、食作用を被るが、これは炎症応答の解消にとって重大なプロセスである。インビトロでは、好中球では、数日間にわたって自発的アポトーシスが行なわれ、この事象はサイトカインおよび他のメディエーターにより増強または阻止され得る。死にかけている好中球の食作用は、炎症消散の最重要モードとして認識されている(J.Savill,J.Leukoc.Biol.、61:375、1997)。
【0107】
好中球が組織損傷においてある一定の役割を演じる非感染性疾患には、痛風、慢性関節リウマチ、関節炎、免疫脈管炎、好中球性皮膚症、糸球体腎炎、炎症性腸疾患、心筋梗塞、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)、喘息、気腫および悪性新生物がある。炎症は、心筋梗塞、虚血性再灌流損傷、過敏症、腎臓病、異所性平滑筋障害、肝臓病、癌細胞の増殖、放射線療法を受けている癌患者における炎症、脈管炎、糸球体腎炎、全身エリテマトーデス、成人呼吸窮迫症候群、虚血性疾患、心臓病、卒中、腸虚血、再灌流損傷、ヘモクロマトーシス、後天性免疫不全症候群、気腫、臓器移植、胃潰瘍、高血圧、子癇前症、神経疾患(多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮側索硬化症および筋ジストロフィー)、アルコール中毒および喫煙関連疾患に随伴する病状を誘発する。
【0108】
合衆国では、毎年多数の人々が上記病状についての処置を受けている。しかしながら、適切な処置を講じ得るためには、その前に炎症を検出し、感染性または非感染性のいずれかとして分類されなければならない。
【0109】
免疫応答のモジュレーターについてのスクリーニング
本発明はまた、好中球活性をモジュレーションし得る薬剤の同定方法を提供する。かかる方法は、(a)哺乳類から好中球試料を得、(b)好中球試料を試験薬剤に暴露し、(c)好中球試料において好中球を活性化し、そして(d)好中球試料により生成される活性酸素種の量を定量する段階を含み得る。
【0110】
他の態様は、好中球試料により発生されるシグナルと適当な対照との比較を含む。かかる適当な対照は、試験薬剤に暴露されていない、好中球試料と同タイプの対照試料であり得る。このタイプの対照の使用により、試験薬剤が好中球活性化に何らかの影響を及ぼすか否かの分析が簡易化され得る。
【0111】
他の態様において、本方法はまた、好中球試料と、分子酸素から一重項酸素を発生させ得る試薬との接触を含み得る。かかる方法はまた、試料、化学プローブおよび一重項酸素を生成させる試薬の混合物の照射を含み得る。好中球における抗体は、一重項酸素を前記抗体によりスーパーオキシドまたは過酸化水素もしくはオゾンに還元する。
【0112】
照射段階は、赤外線、紫外線または可視光線で実施され、その選択は増感剤に左右される。
形成された活性酸素種は、本明細書記載の手順により検出される。
【0113】
本発明の個別スクリーニング方法では、抗原との抗体免疫反応性を検出するためのイムノアッセイの実施方法も考えられる。本方法は、
A.一重項酸素生成媒質中において、抗原または抗体を含む第一試薬を含む組成物が固定された基質を、第一試薬との反応性を示す抗原または抗体を含む第二組成物と接触させることにより、固定された抗原−抗体複合体を形成させ、そこで酸素の存在下において抗体は一重項酸素からスーパーオキシドまたは過酸化水素を生成させ、そして
B.抗体生成活性酸素種を検出することにより、抗原との抗体免疫反応性を検出する
工程を含む。
【0114】
反応および検出手段は、本明細書に記載されたものである。一局面では、第一組成物は抗原であり、第二組成物は抗体である。反対局面では、第一組成物は抗体であり、第二組成物は抗原である。
【0115】
さらに本発明によると、抗原との抗体免疫反応性を検出するイムノアッセイの類似実施方法であって、抗原を固定し、抗体組成物と接触させる方法が考えられる。
【0116】
かかるイムノアッセイ方法は、抗原−抗体免疫反応性を評価し、抗原および/または抗体を同定する方法としてよく知られている方法に改良を加えたものである。他の先行イムノアッセイ法を凌ぐ本方法の利点は、少なくとも1つの方法工程の排除および/または第二標識免疫反応性分子の組込みに存し、その場合標識は放射性または酵素化合物である。
【0117】
本発明において、最低必要条件は、一重項酸素、抗体試薬、抗原試薬、および抗体から生成される活性酸素種と反応する化学プローブである。使用され得る1つのかかる反応体は、アンプレックス(商標)レッドである。それは、イムノアッセイにおける抗体生成過酸化水素反応用のモレキュラー・プローブズ(ユージーン、オレゴン)により市販されている試薬である。それは、検出用の蛍光マイクロプレートまたは蛍光光度計を用いた過酸化水素測定の一段階蛍光定量方法を提供するキットとして販売されている。この検定方法は、過酸化水素についての高感度で安定したプローブである、10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジンを用いた過酸化水素の検出に基づいている。西洋ワサビペルオキシダーゼの存在下において、アンプレックス(商標)レッド試薬は、1:1化学量論で過酸化水素と反応することにより高蛍光性レゾルフィンを生成するもので、それが200マイクロリットル体積中僅か10ピコモルの過酸化水素でも検出できる検出機構を提供する。
【0118】
対照的に、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素−イムノアッセイ(EIA)、および古典的な酵素免疫測定法(ELISA)を含む先行イムノアッセイ技術は全て、RIAにおける場合のように放射性標識した免疫反応性分子または付加的標識した免疫反応性分子の使用を必要とする。本発明は、分子を標識するのに有害な可能性のある放射性同位元素を必要とすることも、抗原と一次抗体により形成された複合体の検出を可能にするために通常酵素とコンジュゲートされている一般的に二次抗体と称される追加の免疫反応性試薬を必要とすることもない。後者の検定方法では、二次抗体と形成された抗原−抗体複合体との反応(一般的に抗一次抗体特異性免疫反応性による)は、結合した酵素に特異的な発色基質溶液を通して検出される。要約すると、本発明では、過酸化水素の抗体を介する生成は、放射性薬剤を伴わず、追加の試薬および/または混合工程、例えば米国特許第3905767号、4016043号、USRE032696、および4376110号(出典明示により援用する)で実施されている工程を必要とすることもなく、高い検出能力で検出される。
【0119】
治療方法
本発明は、オキシダントの生成が、例えば微生物感染阻害のため、創傷治癒を促進するため、細菌を溶解するため、ウイルスを除去するため、オキシダント誘導溶解および同様のプロセスのための癌細胞標的化のためのように、正当化されている場合にそれらの製造方法を提供する。例えば、本発明は、活性酸素種の抗体を介する生成をもたらすことにより、細菌感染またはウイルス感染に対抗する。活性酸素種は、細菌またはウイルスを破壊する抗微生物剤として作用する。すなわち、このプロセスを増強するため、本発明方法を用いることにより、抗体組成物が部位に供給され、活性酸素種の局所濃度の増加が誘発される。
【0120】
本発明により考えられる治療方法は、一重項酸素から活性酸素種を生成させ得る抗体の使用に基づいており、1)抗体が微生物で発現された抗原を認識し、それと免疫反応する場合、患者において微生物の増殖を阻害するか、または微生物をターゲッティングして殺し、2)抗体が癌細胞で発現された抗原を認識し、それと免疫反応する場合、患者において癌細胞の増殖を阻害するかまたは癌細胞をターゲッティングして殺し、3)例えば炎症が細菌感染から生じる場合または対象が自己免疫疾患に罹患しているとき、対象において好中球を介する炎症に伴う組織損傷を阻害し、4)対象において食細胞の殺菌有効性を増強し、5)オゾン、スーパーオキシドまたは過酸化水素が線維芽細胞増殖を刺激し、および/または免疫応答がさらにリンパ球増殖を含む場合、開口創を有する対象において創傷治癒を促進し、6)対象の創傷および類似状況における細胞増殖を刺激し、例えば線維芽細胞増殖を刺激することを含む。
【0121】
いくつかの態様において、本発明は、微生物感染、および活性酸素種、例えばスーパーオキシドラジカル、ヒドロキシルラジカル、オゾンまたは過酸化水素の増強された産生が有利にはたらく他の病気を処置することを目的とする治療方法を提供する。上記方法は、かかる活性酸素種の生成が正当化される状況においては、活性酸素種を生成させるのにいずれの抗体でも使用し得る。
【0122】
本発明はまた、付加的還元中心を含むように改変された加工された抗体を含む加工された分子の使用に関するものであり、一重項酸素からの活性酸素種の生成が望まれる場合に、その存在により生成能力が付加される。活性酸素種の産生促進が要望されるときには、2個の保存トリプトファン残基を有する非遺伝子組換抗体と比べて2個を越える還元中心を有する遺伝子組換分子の使用が正当化される。
【0123】
さらに別の局面では、抗体は、上記で提供されるか、または別法として細胞に送達された発現ベクターから発現される組換え抗体である。この状況における発現ベクターはまた、増感剤分子を発現し得る(下記参照)。
【0124】
1つの態様において、本発明は、微生物増殖の阻害方法であって、一重項酸素からかかる活性酸素種を生成させ得る抗体を含む組成物を微生物と接触させる方法に関するものである。この方法は、非特異的または免疫特異的(抗原結合)な、完全またはフラグメント抗体を用いると有効である。かかる抗体フラグメントとしては、1本鎖抗体ならびに遺伝子組換え分子および本明細書記載の抗体が包含される。しかしながら、微生物に対する局在活性が所望されるとき、抗体は、微生物に随伴する抗原に特異的であり得る。例えば、抗体は、微生物表面上の抗原と選択的に結合し得る。
【0125】
抗体組成物は、微生物感染、または活性酸素種への暴露が有利に働き得る他の病気もしくは状態に罹患した対象にインビボで送達され得る。好ましいインビボでの送達方法には、静脈内、局所的、吸入、挿管、腔内的、筋肉内、経皮的、皮下的または抗体含有リポソームによる投与が含まれる。
【0126】
細胞表面での抗体の典型的濃度は、1〜5マイクロモルの範囲である。しかしながら、濃度は所望の結果に依存して異なり得、提供される抗体の量は、所望の生理学的効果、すなわち活性酸素種またはそのオキシダント誘導体の生成による酸化ストレスの発生を成すのに充分な抗体の量である。抗体組成物による治療的処置の用量およびタイミングは、下記抗酸化剤について記載したものと同等である。
【0127】
本発明方法ではさらに、抗体を介する活性酸素種またはそのオキシダント誘導体の生成方法における紫外線、赤外線または可視光線での照射に抗体−抗原複合体を暴露することを検討する。活性酸素種の生成を促進するため、増感剤としても称される、光増感剤の活性酸素種生成量が、本明細書記載の治療方法において使用され得る。本明細書で記載されている通り、増感剤は、一重項酸素の濃度を誘導または増加させる分子であればよい。増感剤は照射の存在下で使用され得、その過程には増感剤の活性化に充分な期間での紫外線、赤外線または可視光線への暴露が含まれる。典型的暴露時間および条件は下記実施例に記載されている。
【0128】
増感剤の活性酸素種生成量は、かかる活性酸素種およびその誘導体の存在が正当化される状況において抗体が介する、所望の生理学的効果、例えば一重項酸素からの活性酸素の生成を達成するのに充分な増感剤の量である。いくつかの態様にて、増感剤が抗体に結合している場合もある。増感剤と結合された抗体は、一般的に抗原に結合し得、すなわち、抗体は、抗原認識を可能にし、複合体形成を誘発する、活性な抗原結合部位を保持している。
【0129】
典型的増感剤には、プテリン、フラビン、ヘマトポルフィリン、テトラキス(4−スルホナトフェニル)ポルフィリン、ビピリジルルテニウム(II)錯体、ローズベンガル染料、キノン、ローダミン色素、フタロシアニン、およびヒポクレリンがあるが、これらに限定はされない。
【0130】
さらなる態様において、活性酸素種の生成は、一重項酸素の産生を高める手段を投与することにより促進される。還元一重項酸素は、活性酸素種またはそのオキシダント誘導体の供給源である。一重項酸素の産生を高める1つの手段は、一重項酸素の生成に有用な分子、化合物または試薬を含むプロドラッグである。かかるプロドラッグは、本明細書記載の所望の標的細胞、組織または臓器と抗体の投与または接触と共に、もしくは後続時点で投与される。プロドラッグが抗体投与後に投与されるとき、抗体は、既にその標的抗原と免疫反応し、抗体−抗原複合体を形成している可能性を有している。次いで、一重項酸素の生成を促進する手段は、抗体−抗原認識部位で、活性酸素種、例えば過酸化水素、オゾン、スーパーオキシドラジカルまたはそのオキシダント誘導体の生成を促進させ得る。この態様は特定の利点を有しており、例えば、所望部位または位置における治療上望ましいスーパーオキシド、オゾンまたは過酸化水素の局所蓄積増加をもたらし得る。
【0131】
好ましいプロドラッグは、例えば約1マイクロモル〜約50マイクロモルの濃度のエンドペルオキシドである。抗体−抗原複合体部位で到達する好ましいエンドペルオキシド濃度は、約10マイクロモルである。
【0132】
本発明の抗体の抗原標的は、当業者に既知であるか、または利用可能なあらゆる抗原であり得る。抗原は、活性酸素種およびその抗体を介する生成プロセスの存在が正当化される細胞、組織または臓器上または内に存在するあらゆる抗原であり得る。抗原は、溶液、例えば細胞外液中に存在し得る。抗原は、例えばタンパク質、ペプチド、脂肪酸、低密度リポタンパク質、炎症に随伴する抗原、癌細胞抗原、細菌性抗原、ウイルス性抗原または類似分子であり得る。
【0133】
抗原が随伴する細胞には、微生物、内皮細胞、間質細胞、上皮細胞、筋肉細胞、食細胞、血液細胞、樹状細胞、結合組織細胞および神経系細胞が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0134】
従って、例えば、以下の標的微生物体の感染は本発明抗体により処置され得る:アエロモナス属(Aeromonas spp.)、バチルス属(Bacillus spp.)、バクテロイド属(Bacteroides spp.)、カンピロバクター属(Campylobacter spp.)、クロストリジウム属(Clostridium spp.)、エンテロバクター属(Enterobacter spp.)、エンテロコッカス属(Enterococcus spp.)、エシェリキア属(Escherichia spp.)、ガストロスピリルム属(Gastrospirillum sp.)、ヘリコバクター属(Helicobacter spp.)、クレブシエラ属(Klebsiella spp.)、サルモネラ属(Salmonella spp.)、シゲラ属(Shigella spp.)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus spp.)、シュードモナス属(Pseudomonas spp.)、ビブリオ属(Vibrio spp.)、エルシニア属(Yersinia spp)など。本発明抗体により処置され得る感染には、スタフィロコッカス感染症(スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus))、発疹チフス(サルモネラ・ティフィ(Salmonella typhi))、食中毒(大腸菌、例えばO157:H7)、細菌性赤痢(シゲラ・ジセンテリア(Shigella dysenteria))、肺炎(シュードモナス・エルギノサ(Psuedomonas aerugenosa)および/またはシュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)、コレラ(ビブリオ・コレレ(Vivrio cholerae))、潰瘍(ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori))などに伴うものがある。大腸菌血清型O157:H7は、下痢、出血性大腸炎、溶血性尿毒症症候群(HUS)および血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の病因に関係している。本発明抗体はまた、細菌の薬剤耐性株および多剤耐性株、例えばスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の多剤耐性株およびエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)およびエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)のバンコマイシン耐性株に対して活性を示す。
【0135】
本発明の抗菌組成物はまた、ウイルスに対しても有効である。「ウイルス」の語は、DNAウイルスおよびRNAウイルス、ウイロイド、およびプリオンを示す。ウイルスには、エンベロープおよび非エンベロープの両ウイルス、例えばA型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、パポーバウイルス、パルボウイルス、レオウイルス、オルビウイルス、ピコルナウイルス、ロタウイルス、アルファウイルス、ルビウイルス、インフルエンザウイルスA型およびB型、フラビウイルス、コロナウイルス、パラミクソウイルス、モルビリウイルス、ニューモウイルス、ラブドウイルス、リッサウイルス、オルトミクソウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルス、ナイロウイルス、ヘパドナウイルス、アレナウイルス、レトロウイルス、エンテロウイルス、リノウイルスまたはフィロウイルスが含まれる。
【0136】
細胞、組織または臓器ならびに細胞外コンパートメントにおける抗体を介する活性酸素生成が有利に働く他の治療条件は、当業者にはよく知られており、McCord, Am. J. Med., 108:652−659(2000)および Babior et al., Am. J. Med., 109:33−44(2000)(これらの開示を出典明示により援用する)により概説されている。
【0137】
抗微生物活性は、当業者に利用可能な方法を用いることにより、微生物のこれらの変種に対して評価され得る。例えば、抗微生物活性は、特定種類の微生物の増殖を阻止する本発明抗体の最小阻害濃度(MIC)を同定することにより測定される。一態様において、抗微生物活性は、標準用量または用量応答方法を用いて測定したとき微生物の50%を殺す抗体の量である。
【0138】
本明細書記載の抗体による微生物感染の処置についての治療有効用量の評価方法では、インビトロで実質的に微生物が増殖しない抗体調製物の最小阻害濃度を測定する。かかる方法により、微生物増殖を阻止するかまたは微生物の50%を殺すのに一定体積につき必要とされる抗体の量が算出され得る。かかる量は、例えば標準微量希釈法により測定され得る。例えば、同体積の培地および実質的に同量の微生物を含む一連の微生物培養管を調製し、抗体のアリコートを加える。アリコートは、同体積の溶液中に異なる量の抗体を含む。1〜10世代に対応する一定期間、微生物を培養し、培養培地における微生物の数を測定する。
【0139】
培養培地の光学密度はまた、微生物増殖が起こったか否かを評価するのに使用され得、光学密度があまり増加していない場合には、微生物の増殖もあまり起こっていないことになる。しかしながら、光学密度が増加した場合には、微生物増殖が起こったことになる。抗体への暴露後にどの程度の数の微生物細胞が生きているかを測定するため、抗体が添加された時点(ゼロ時点)およびその後一定間隔で培養培地の少量のアリコートを取出し得る。培養培地のアリコートを、微生物培養プレートへ拡散し、プレートを微生物増殖誘導条件下でインキュベーションし、コロニーが現れたとき、それらのコロニーの数を数える。
【0140】
組成物
本発明の抗体、増感剤または化学プローブは、様々な許容される組成物へ処方され得る。かかる医薬組成物は、選択された投与経路に適合した様々な形態で、すなわち経口または非経口的、静脈内、筋肉内、局所または皮下経路により哺乳類宿主、例えばヒト患者に投与され得る。
【0141】
抗体、増感剤および化学プローブが、安定した非毒性酸または塩基の塩類を形成するのに充分な程度塩基性または酸性である場合、塩としての上記抗体、増感剤および化学プローブの投与が適切であり得る。医薬上許容される塩の例は、生理学的に許容されるアニオンを形成する酸により形成された有機酸付加塩、例えばp−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩およびα−グリセロリン酸塩である。塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩および炭酸塩を含む、適切な無機塩類もまた形成され得る。
【0142】
医薬上許容される塩類は、当業界に公知の標準手順を用いて、例えば充分な塩基性の化合物、例えばアミンを、生理学的に許容されるアニオンを与える適当な酸と反応させることにより得られる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えばカルシウム)塩類も生成される。
【0143】
すなわち、本発明の抗体、増感剤および化学プローブは、医薬上許容される賦形剤、例えば不活性希釈剤または同化性食用担体と組合せて例えば経口的に全身投与され得る。それらは、硬ゼラチンカプセルまたは軟ゼラチンカプセルに封入され得るか、錠剤に圧縮成型され得るか、または患者の食餌療法の食物に直接混入され得る。経口治療的投与については、抗体、増感剤および化学プローブは、1種またはそれ以上の賦形剤と組合わされ、経口摂取用錠剤、頬側投与錠剤、トローチ、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップ剤、カシェ剤などの形態で使用され得る。かかる組成物および調製物は、少なくとも0.1%の割合で活性化合物を含むべきである。勿論、組成物および調製物の割合は変更され得、好都合には所定の単位用量形態重量の約2〜約60%間であり得る。上記治療有用組成物中におけるオキシダントおよび脱酸素剤の量は、有効用量レベルが達成されるような量である。
【0144】
錠剤、トローチ、丸薬、カプセル剤等はまた以下のものを含み得る:結合剤、例えばトラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチン;賦形剤、例えばリン酸二カルシウム;崩壊剤、例えばコーンスターチ、ジャガイモ澱粉、アルギン酸など;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;および甘味料、例えばスクロース、フルクトース、ラクトースまたはアスパルテームまたは香味料、例えばペパーミント、冬緑油またはチェリー香味料が加えられ得る。単位用量形態がカプセルであるとき、それは、上記タイプの材料に加えて、液体担体、例えば植物油またはポリエチレングリコールを含み得る。様々な他の材料も、コーティングとして、または他の点で固体単位用量形態の物理的形態を修飾すべく存在し得る。例えば、錠剤、丸薬またはカプセル剤は、ゼラチン、ろう、セラックまたは糖などでコーティングされ得る。シロップまたはエリキシルは、活性化合物、甘味料としてのスクロースまたはフルクトース、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素および香味料、例えばチェリーまたはオレンジフレーバーを含み得る。勿論、単位用量形態の製造に使用される材料は、医薬上許容し得、使用量で実質的に非毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放性調製物および装置に組込まれ得る。
【0145】
創傷治癒については、対象の創傷部への局所適用が使用され得る。抗体含有組成物は、創傷部位へ直接適用されるかまたは包帯へ適用後に創傷部位へ適用され得る。細胞、組織、臓器または細胞外コンパートメントにおけるスーパーオキシド、オゾンまたは過酸化水素の生成または増強が有利に働く他の治療条件は、当業者に利用可能であり、McCord、Am.J.Med.、108:652−659(2000)(この開示を出典明示により援用する)により概説されている。
【0146】
抗体、増感剤および化学プローブはまた、注入または注射により静脈内または腹腔内投与され得る。抗体、増感剤および化学プローブの溶液は、水中で調製され得、所望により非毒性界面活性剤と混合され得る。分散液はまた、グリセリン、液体ポリエチレングリコール、トリアセチンおよびそれらの混合物および油中で調製され得る。通常の貯蔵および使用条件下では、これらの調製物は、微生物増殖を阻止するために保存剤を含み得る。
【0147】
注射または注入に適当な医薬用量形態は、所望によりリポソームに封入されていてもよく、滅菌注射可能または注入可能溶液または分散液のその場での調製に適合された抗体、増感剤および化学プローブを含む滅菌水溶液または分散液または滅菌粉末を含み得る。いずれの場合にしても、最終的用量形態は、製造および貯蔵条件下において無菌的、流動的でかつ安定しているべきである。液体担体または賦形剤は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリンエステル、およびそれらの適当な混合物を含む溶媒または液体分散媒質であり得る。適正な流動性は、例えばリポソームの形成により、分散液の場合に要求される粒子サイズの維持により、または界面活性剤の使用により維持され得る。微生物作用の阻止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどにより遂行され得る。多くの場合、等張化剤、例えば糖、緩衝剤または塩化ナトリウムを含むのが好ましい。注射可能組成物の長時間吸収は、吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物における使用により達成され得る。
【0148】
滅菌注射可能溶液は、必要に応じて上記で列挙した他の様々な成分と適切な溶媒中における必要量の抗体、増感剤または化学プローブを混合し、次いで濾過滅菌することにより製造される。滅菌注射可能溶液製造用の滅菌粉末の場合、好ましい製造方法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、オキシダントおよび脱酸素剤と先に滅菌濾過した溶液中に存在する所望の追加成分の粉末が生成される。
【0149】
局所投与については、抗体、増感剤または化学プローブは、純粋形態で、すなわちそれらが液体であるときに適用され得る。しかしながら、一般的には、固体または液体であり得る、皮膚科学的に許容される担体と組合せて、組成物または処方物としてそれらを皮膚へ投与することが望ましい。
【0150】
有用な固体担体には、微細分割固体、例えばタルク、粘土、微晶性セルロース、シリカ、アルミナなどが含まれる。有用な液体担体には、水、アルコールまたはグリコール、または水−アルコール/グリコール混合物があり、本化合物は、所望による非毒性界面活性剤の助けにより、そこに有効なレベルで溶解または分散され得る。アジュバント、例えば香水および追加の抗菌剤を加えることにより、所定用途についての特性が最適化され得る。生成した液体組成物は、吸収パッドから適用されるか、帯具および他の包帯に含浸させて使用されるか、またはポンプ型またはエーロゾル噴霧器を用いて患部に噴霧され得る。
【0151】
増粘剤、例えば合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩およびエステル、脂肪族アルコール、修飾セルロースまたは修飾無機材料もまた、液体担体と共に使用され、伸展し得るペースト、ゲル、軟膏、石けんなどを形成することにより、使用者の皮膚に直接適用され得る。
【0152】
本発明抗体、増感剤または化学プローブの皮膚への送達に使用され得る有用な皮膚科組成物の例は、当業界では公知である。例えば、Jacquetらの(米国特許第4608392号)、Geriaの(米国特許第4992478号)、Smithらの(米国特許第4559157号)およびWortzmanの(米国特許第4820508号)を参照のこと。
【0153】
本発明抗体、増感剤または化学プローブの有用な用量は、それらのインビトロ活性、および動物モデルでのインビボ活性を比較することにより決定され得る。マウスおよび他の動物における有効量に基づいてヒトの場合を推定する方法は、当業界では公知である;例えば米国特許第4938949号参照。
【0154】
一般的に、液体組成物、例えばローションにおける本発明抗体、増感剤または化学プローブの濃度は、約0.1〜25重量%、好ましくは約0.5〜10重量%である。半固体組成物または固体組成物、例えばゲルまたは粉末における濃度は、約0.1〜5重量%、好ましくは約0.5〜2.5重量%である。
【0155】
処置での使用に要求される、抗体、増感剤または化学プローブ、または活性塩もしくはその誘導体の量は、選択された特定の塩によってだけでなく、投与経路、処置されている状態の性質、および患者の年齢ならびに状態によっても変動し、最終的には主治医または臨床医の判断で決定される。
【0156】
しかしながら、一般に、適当な用量は、1日に体重1kg当たり約0.5〜約100mg、例えば約10〜約75mg、例えば1日に受容者の体重1キログラム当たり3〜約50mgの範囲、好ましくは6〜90mgの範囲、最も好ましくは15〜60mgの範囲である。
【0157】
抗体、増感剤または化学プローブは、好都合には1単位用量形態につき5〜1000mg、好都合には10〜750mg、最も好都合には50〜500mgの有効成分を含む単位用量形態で投与される。
【0158】
理想的には、抗体、増感剤または化学プローブは、約0.005〜約75μM、好ましくは約0.01〜50μM、最も好ましくは約0.1〜約30μMの抗体、増感剤または化学プローブの最大血漿濃度を達成するように投与されるべきである。これは、例えば、所望により生理食塩水中でもよい、抗体、増感剤または化学プローブの0.05〜5%溶液の静脈内注射により、または約1〜100mgの抗体、増感剤または化学プローブを含むボーラスとして経口投与することにより達成され得る。望ましい血液レベルは、約0.01〜5.0mg/kg/時を提供する連続注入により、または約0.4〜15mg/kgの抗体、増感剤または化学プローブを含む断続的注入により維持され得る。
【0159】
所望の用量は、好都合には単一用量または適切な間隔をおいて投与される分割用量、例えば1日当たり2、3、4またはそれ以上の小分割用量(sub-dose)で提供される。小分割用量それ自体は、例えば若干の不連続的で大まかな間隔をあけた投与、例えば吸入器からの多重吸入または複数の点眼液の適用によりさらに分割され得る。
【0160】
本発明の治療組成物である、遺伝子組換抗体および抗体活性を高めるための本明細書記載の付加的還元中心を含む他分子の両方を含む抗体は、投薬処方物と適合し得る方法で、そして治療有効量で投与される。投与すべき量およびタイミングは、処置される対象、対象の有効成分利用系の受容力、および所望される治療効果の程度により異なる。投与されるのに要求される有効成分の正確な量は、担当医の判断に左右され、各個体独特のものである。しかしながら、様々な適用タイプについての適当な用量範囲は、投与経路により異なる。投与に適切な摂取法も変化し得るが、治療処置の所望の成果を得るために初回投与、それに続いて間隔をあけた反復投与を典型的な特徴としている。
【0161】
本発明治療組成物は、抗体、増感剤または化学プローブと一緒に医薬上許容される担体を含む。好ましい態様では、治療組成物は、治療目的で哺乳類またはヒト患者に投与される場合免疫原性ではない。
【0162】
活性成分を溶解または分散させた形で含む薬理学的組成物の製造は、当業界ではよく理解されており、処方に基づいて制限される必要は無い。典型的には、かかる組成物は、液体溶液または懸濁液といった注射可能物質として製造されるが、使用前に液体に溶かして溶液または懸濁液とするのに適切な固体形態もまた調製され得る。調製物はまた乳化され得る。
【0163】
有効成分は、医薬上許容され、有効成分と適合し得る賦形剤と、本明細書記載の治療法での使用に適切な量で混合され得る。適当な賦形剤は、例えば水、生理食塩水、デキストロース、グリセリン、エタノールなど、およびそれらの組合せである。さらに、所望ならば、組成物は、有効成分の有効性を高める少量の補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などを含み得る。
【0164】
本発明の治療組成物は、そこに含まれる成分の医薬上許容される塩を含み得る。医薬上許容される塩には、無機酸、例えば塩酸またはリン酸、または有機酸、例えば酢酸、酒石酸、マンデル酸などにより形成される酸付加塩(ポリペプチドの遊離アミノ基により形成される)が含まれる。遊離カルボキシル基により形成される塩はまた、無機塩基、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは鉄水酸化物、および有機塩基、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどから誘導され得る。
【0165】
医薬上許容される担体は当業界ではよく知られている。液体担体の具体例は、有効成分および水以外の物質を全く含まないか、または緩衝液、例えば生理学的pH値のリン酸ナトリウム、生理食塩水またはその両方、例えばリン酸緩衝食塩水を含む滅菌水溶液である。さらにまた、水性担体は、複数の緩衝塩、ならびに塩類、例えば塩化ナトリウムおよびカリウム、デキストロース、ポリエチレングリコールおよび他の溶質を含み得る。
【0166】
液体組成物はまた、水に加えておよび水を除去して液相を含み得る。上記の付加的液相の具体例は、グリセリン、植物油、例えば綿実油、および水−油エマルションである。
【0167】
さらに本発明について、以下の実施例により詳細な記載を行うが、これらに限定されるるわけでない。本発明についてはその任意の好ましい態様に関して詳細に記載しているが、修飾および変形が、記載および主張されているその精神および範囲内で行なわれることは容易に理解できるはずである。
【0168】
実施例
実施例1:抗体は本質的な抗原破壊能力を有する
材料および方法
抗体:以下の全抗体は、PharMingenから入手した:49.2(マウスIgG2bκ)、G155−178(マウスIgG2aκ)、107.3(マウスIgGκ)、A95−1(ラットIgG2b)、G235−2356(ハムスターIgG)、R3−34(ラットIgGκ)、R35−95(ラットIgG2baκ)、27−74(マウスIgE)、A110−1(ラットIgGλ)、145−2C11(ハムスターIgG群1κ)、M18−254(マウスIgA κ)、およびMOPC−315(マウスIgA λ)。以下のものはピアスから入手された:31243(ヒツジIgG)、31154(ヒトIgG)、31127(ウマIgG)、および31146(ヒトIgM)。
【0169】
以下のF(ab')フラグメントはPierceから入手した:31129(ウサギIgG)、31189(ウサギIgG)、31214(ヤギIgG)、31165(ヤギIgG)、および31203(マウスIgG)。プロテインA、プロテインG、トリプシン−キモトリプシンインヒビター(Bowman‐Birkインヒビター)、β−ラクトグロブリンA、αラクトアルブミン、ミオグロビン、β−ガラクトシダーゼ、チキンエッグ・アルブミン、アプロチニン、トリプシノーゲン、レクチン(落花生)、レクチン(ジャカリン)、BSA、スーパーオキシドジスムターゼおよびカタラーゼは、Sigmaから入手シた。リボヌクレアーゼIAは、Amersham Pharmaciaから入手した。以下の免疫グロブリンは、ハイブリドーマ技術を用いて施設内で得られた:OB2−34C12(マウスIgGκ)、SHO1−41G9(マウスIgGκ)、OB3−14F1(マウスIgG2aκ)、DMP−15G12(マウスIgG2aκ)、AD1−19G1(マウスIgG2bκ)、NTJ−92C12(マウスIgGκ)、NBA−5G9(マウスIgGκ)、SPF−12H8(マウスIgG2aκ)、TIN−6C11(マウスIgG2aκ)、PRX−1B7(マウスIgG2aκ)、HA5−19A11(マウスIgG2aκ)、EP2−19G2(マウスIgGκ)、GNC−92H2(マウスIgGκ)、WD1−6G6(マウスIgGκ)、CH2−5H7(マウスIgG2bκ)、PCP−21H3(マウスIgGκ)、およびTM1−87D7(マウスIgGκ)。DRBポリクローナル(ヒトIgG)およびDRB−b12(ヒトIgG)は、Dennis R. Burton(ザ・スクリップス・リサーチ・インスティテュート)により提供された。1D4 Fab(結晶化)は、Ian A. Wilson(ザ・スクリップス・リサーチ・インスティテュート)により供給された。
【0170】
全検定は、PBS(10mMのリン酸/160mMの塩化ナトリウム、pH7.4)中で実施した。市販タンパク質溶液試料を、必要に応じてPBS中へ透析した。アンプレックス・レッド過酸化水素検定キット(A−12212)は、Molecular Probesから入手した。
【0171】
抗体/タンパク質照射:特記しない場合、検定溶液(100μl、PBS、pH7.4中6.7μMのタンパク質)をバイアルに加え、ねじぶたで密封し、UV(312nm、8000μWcm−2フィッシャー‐バイオテックトランスイルミネーター)または可視光線で照射した。
【0172】
過酸化水素についての定量的検:タンパク質溶液からのアリコート(20μl)を取出し、反応緩衝液(80μl)を含む96ウェルマイクロタイタープレート(コスター)のウェルに加えた。次いで、作業液(100μl/400μMのアンプレックス・レッド試薬1/2単位/ml・西洋ワサビペルオキシダーゼ)を加え、プレートを暗所で30分間インキュベーションした。次いで、CytoFluorマルチウェル・プレート・リーダー(シリーズ4000、パーセプティブ・バイオシステムズ、フラミンガム、マサチューセッツ、Ex/Em:530/580nm)を用いてウェル成分の蛍光を測定した。標準曲線を用いて過酸化水素濃度を測定した。全実験をデュプリケートで実施し、少なくとも2測定値の平均として割合を出している。
【0173】
増感およびクエンチング検定方法:PBS(pH7.4、4%ジメチルホルムアミド)中の31127(100μlのウマIgG、6.7μM)およびヘマトポルフィリンIX(40μM)の溶液を、棒状蛍光灯の近くに置いた。本明細書記載の要領で過酸化水素濃度を測定した。また、DO中NaN(100mM)またはPBSの存在下で検定を実施した。
【0174】
酸素依存性:PBS(pH7.4)中の31127(1.6ml、ウマIgG、6.7μM)の溶液を、アルゴン下、凍結/解凍方法を用いて厳密に脱気した。アリコート(100μl)を、注射器を介して適切なO/Ar混合物(0〜100%)によりパージしておいた中隔−密封バイアルに導入した。オリオン862A溶解酸素計により溶解した酸素濃度を測定した。次いで、これらの溶液を激しく攪拌し、20分間静置し、次いで再び攪拌処理した。必要なO/Ar混合物を含む注射器を用いて、実験中大気圧を維持した。気密性の注射器を用いてアリコート(20μl)を取出し、本明細書記載の要領で過酸化水素濃度を測定した。3つの個別実験からのデータを整理し、エンザイム・キネティクス・バージョン1.1コンピュータープログラム(VmaxおよびKパラメーターの測定用)を用いて分析した。
【0175】
化学的供給源を用いた、暗所における過酸化水素の抗体生成:PBS(pH7.4)中のヒツジIgG31243(100μl、20μM)の溶液および3,3N−(1,4−ナフチリデン)ジプロピオン酸二ナトリウムのエンドペルオキシド(DO中25mM)を、暗所中暖かい室内(37EC)に30分間置いた。本明細書記載の要領で過酸化水素濃度を測定した。
【0176】
Fab1D4結晶による過酸化水素形成:1D4のFabフラグメントの結晶の懸濁液(2μl)を、PBS(198μl、pH7.4)で希釈し、穏やかに攪拌した。遠心分離後、上清を除去し、洗浄工程をさらに2回繰り返した。次いで、残留結晶懸濁液をPBS、pH7.4(100μl)中に希釈し、石英ELISAプレートのウェルに加えた。30分間UV照射後、アンプレックス・レッド作業液(100μl)を加え、混合物を蛍光顕微鏡で観察した。
【0177】
抗体蛍光対過酸化水素形成:PBS(pH7.4)中の31127の溶液(1.0mlのウマIgG、6.7μM)を石英キュベットに入れ、40分間UV光線で照射した。10分間隔で、SPF−500C分光蛍光計(SLM−アミンコ、ウルバナ、イリノイ;Ex/Em、280/320)を用いて溶液の蛍光を測定した。同時点で、溶液のアリコート(20μl)を取出し、本明細書記載の要領で過酸化水素濃度を測定した。
【0178】
カタラーゼによる過酸化水素の消費:EP2−19G12(100μlのマウスIgG、PBS中20μM、pH7.4)の溶液を、UV光線で30分間照射した後、過酸化水素の濃度をスティック試験(EM定量分析ペルオキシド試験スティック)により測定したところ、2mg/リットルであった。カタラーゼ[1μl、シグマ、3.2Mの(NHSO、pH6.0]を加え、1分後、Hの濃度は0mg/リットルであった。
【0179】
変性:IgG 19G12(100μl、6.7μl)を、2分間エッペンドルフ管中で100ECに加熱した。生成した溶液を、ねじぶた式バイアルに移し、UV光線で30分間照射した。Hの濃度を30分後に測定した。
【0180】
結果および考察
一連の完全な免疫グロブリンおよび抗体フラグメントによる過酸化水素形成の初期速度についての測定値を、表1にまとめている。Ig生成O・−は、Hへ自発的に不均化され、次いでこれが西洋ワサビペルオキシダーゼについてのN−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェナジン1(アンプレックス・レッド)との共基質として使用されることにより、高蛍光性レゾルフィン2(励起最大563nm、放出最大587nm)が生成されると考えられる(図2)(Zhou, M., Diwu, Z., Panchuk-Voloshina, N. & Haugland, R. P., Anal. Biochem.253、162−168(1997))。緩衝液の照射によりO・−が生成されないこと、および抗体が単にタンパク質ジスムターゼとして作用しているわけではないことを確認するため(Petyaev, I. M. & Hunt, J. V., Redox Report,2、365−372(1996))、酵素スーパーオキシドジスムターゼをPBS中で照射した。これらの条件下において、過酸化水素生成速度は、PBS単独の照射の場合と同じである。
【0181】
【表1】


【表2】


検定条件は、材料および方法に記載している。
少なくとも2つの測定値の平均値。H形成のバックグラウンド速度は、PBS中では0.005nmol/分およびSODとPBS中では0.003nm/分である。
【0182】
過酸化水素形成速度は、環境条件下におけるPBS中での酸素濃度(275μM)に関して、10%を越える割合の反応については直線的であった。酸素利用能が充分であれば、抗体は、活性の顕著な低下や構造的フラグメント化を伴わずに1タンパク質分子につき少なくとも40当量のHを生成させ得る。抗体19G2の存在下または非存在下における過酸化水素形成の初期時間経過の一例を、図3Aに示す。この活性は、加熱によるタンパク質の変性後に失われる。
【0183】
表1におけるデータは、からのHを生成させる抗体の一般的能力を表している。この機能は、一連の種全体で共有されていると思われ、検討した重鎖および軽鎖の組成または抗原特異性とは無関係である。無傷の抗体についての過酸化水素形成の初期速度は高度に保存されており、パネル全体では0.15nmol/分/mg[クローンA95−1(ラットIgG2b)]から0.97nmol/分/mg(クローンPCP−21H3、マウスモノクローナル抗体IgG)までの範囲で変動している。入手可能な情報は、成分の抗体フラグメントについてはさらに限られているが、活性はFabおよびF(ab')フラグメントの両方に存すると思われる。
【0184】
この活性が汚染物質に起因する場合、それは、多様な供給源から得られるあらゆる抗体および抗体フラグメントに存在しなければならない。しかしながら、さらに汚染の可能性を排除するため、高解像能X線構造が得られた(1.7Dで)マウス抗体1D4 Fabの結晶を、それらのH生成能力について調査した(図4)。の還元が、これらの結晶で明らかに観察される。
【0185】
この抗体変換を検討することにより、還元される中間体としての一重項酸素の存在が裏付けられる。UV照射の存在下または非存在下における嫌気的条件下では、抗体による過酸化水素の形成は全く起こらない。さらに、照射しなければ好気的環境条件下でも過酸化水素の生成は全く起こらない。水溶液中におけるの既知光増感剤ヘマトポルフィリン(HP)の存在下における可視光線による抗体の照射により(Kreitner, M., Alth, G., Koren, H., Loew, S. & Ebermann, R., Anal. Biochem.213、63−67(1993))、過酸化水素の形成が誘導される(図5A)。観察された比率の曲がりは、検定混合物内からの酸素の消費に起因する。光励起したHPおよび酸素間の相互作用によりO・−形成が誘発されている可能性があるという懸念(Beauchamp, C. & Fridovich, I., Anal. Biochem.,44、276−287(1971); Srinivasan, V. S., Podolski, D., Westrick, N. J. & Neckers, D. C., J. Am. Chem. Soc.、100、6513−6515(1978))は、増感剤単独による適切なバックグラウンド実験により大きく減じられた(図5Aに示されたデータ)。HPおよび可視光線の両方でHが有効に形成されることにより、の仲介性が再確認され、Igがこの還元を遂行するのにUV照射が必ずしも必要ではないことが示された。
【0186】
さらに、37ECの暗所において、の化学的供給源[3N,3N−(1,4−ナフチリデン)ジプロピオネートのエンドペルオキシド]とヒツジ抗体31243をインキュベーションすることにより、過酸化水素が形成される。
【0187】
可視光線におけるHP(40μM)とウマIgGによる、Hの形成比率は、DOの存在下で高められ、クエンチャーNaN(40mM)により低減化される(図5B)(Hasty, N., Merkel, P. B., Radlick, P. & Kearns, D. R. Tetrahedron Lett.、49−52(1972))。HOの代わりにDOを用いると、その寿命の約10倍の増加によりを介するプロセスが促進されることが知られている(Merkel, P. B., Nillson, R. & Kearns, D. R., J. Am. Chem. Soc.、94、1030−1031(1972))。
【0188】
過酸化水素形成速度は、0.5〜20μM間ではIgG濃度に比例しているが、それより高濃度では曲線となり始める(図5C)。タンパク質溶液中におけるの寿命は、反応する機会故に純水中では低くなると予測される。従って、観察された曲線は、抗体との反応によるの寿命の低減化に起因し得ると考えられる。
【0189】
重要なことに、観察されたH生成速度に対する酸素濃度の影響は、約200μMの酸素で有意な飽和を示す(図5D)。従って、還元メカニズムは、抗体分子内に1つまたはそれ以上の酸素結合部位を含み得る。未処理の速度データを非線型回帰分析で処理し、ミカエリス‐メンテン等式に当てはめることにより、187μMのKapp(O)および0.4nmol/分/mgのVmaxappが得られる。この抗体速度は、インビボで分子酸素を還元するミトコンドリア酵素について観察されたものと等しい。
【0190】
抗体がを還元するメカニズムは、さらに解明されているところである。しかしながら、EDTA含有PBS(4mM)中での徹底的な透析後でも抗体の活性が変わらないままであるため、金属を介する酸化還元プロセスの関与は大きく減じられた。これは、抗体それ自体のアミノ酸組成の本質的能力を残している。芳香族アミノ酸、例えばトリプトファン(Trp)は、電子伝達を介してにより酸化され得る(Grossweiner, L. I., Curr. Top. Radiat. Res. Q.、11、141−199(1976))。さらに、ジスルフィドは充分電子に富んでいるため、それらも酸化され得る((Bent. D. V. & Hayon, E., J. Am. Chem. Soc.、87、2612−2619(1975))。従って、Trp残基および/または全抗体と相同的な鎖内または鎖間ジスルフィド結合が、還元の原因である可能性が存する。この抗体の能力がどの程度まで他のタンパク質により共有されているかを調べ、かつ還元メカニズムを探るため、一連の他のタンパク質を試験した(図6)。
【0191】
抗体とは対照的に、他のタンパク質はをO・−に変換し得るが、それは決して普遍的特性によるものではない。RNaseAおよびスーパーオキシドジスムターゼは、Trp残基を有しないが幾つかのジスルフィド結合を有しており、を還元することはない。同様に、7個のジスルフィド結合を有し、Trp残基のないBownman‐Birkインヒビタータンパク質(Voss, R.-H., Ermler, U., Essen, L.-O., Wenzl, G., Kim, Y.-M. & Flecker, P., Eur. J. Biochem、242、122−131(1996);Baek, J. & Kim, S., Plant Physiol.、102、687(1993))は、を還元しない。対照的に、Trp残基を2個しか有しないニワトリオボアルブミン(Feldhoff, R. & Peters, T. J., Biochem. J.、159、529−533(1976))は、還元での最も有効なタンパク質の一つである。
【0192】
変性時に抗体活性が失われると仮定した場合、タンパク質において重要な残基の位置は、それらの絶対数より重大であると思われる。タンパク質における芳香族残基の大多数は、構造安定性を容易にすべく一般的には埋もれているため(Burley, S. K. & Petsko, G. A., Science、229、23−28(1985))、還元過程の性質を、蛍光クエンチング実験により表面および埋もれた残基の相対的寄与に関して調査した。タンパク質における芳香族アミノ酸は、特に増感剤、例えば分子酸素またはオゾンの存在下で、紫外線の吸収により修飾される(Foote, C. S., Science、162、963−970(1968);Foote, C. S., Free Radicals Biol.、2、85−133(1976);Gollnick, K., Adv. Photochem.、6、1−122(1968))。Trpは[2+2]シクロ付加を介してと反応することにより、N−ホルミルキヌレニンまたはキヌレニンを生成させ、これらは、両方とも埋もれたTrp残基の放出を有意にクエンチングすることが知られている(Mach, H., Burke, C. J., Sanyal, G., Tsai, P.-K, Volkin, D. B. & Middaugh, C. R.、Formulation and Delivery of Proteins and Peptides、編集者 Cleland, J. L. & Langer, R(アメリカン・ケミカル・ソサエティー、デンバー、コロラド)(1994))。ウマIgGの固有の蛍光は、40分間の照射中にそのもとの値の30%まで急速にクエンチングされ、過酸化水素生成は直線的である(r=0.998)(図7)。一重項酸素の還元が抗体Trp残基に起因する場合、溶媒暴露されたTrpは、埋もれたものよりは寄与の度合は低いと思われる。この因子は、この能力が抗体間で高度に保存されている理由を説明するのに役立ち得る。99%を越える割合の既知抗体では、2個のTrp残基が保存されており、それらは両方とも深く埋もれている:Trp−36およびTrp−47(Kabat, E. A., Wu, T. T., Perry, H. M., Gottesman, K. S. & Foeller, C., Sequences of Proteins of Immunological Interest(米国保健福祉省、公衆衛生総局、国立衛生研究所、ベセズダ、メリーランド)(1991))。
【0193】
自然界全体を通して、生物体は、比較的単純な化学物質の生産により自身を防御してきた。単一分子レベルでは、このメカニズムは、脊椎動物の免疫系の出現とともに大幅に放棄されたと考えられている。一旦ターゲッティング・デバイスが進化すると、致死機構は他の場所へ移動すると見なされていた。本発明の結果は、同一分子内での致死作用による認識を再調整するものである。ある意味で、この化学的免疫系は、さらに精巧で多様なターゲッティングエレメントが付加されるということ以外、下等生物体の純粋に化学的な防御機構に対応している。
【0194】
理想的致死システムが、自己損傷を最小にとどめながら、局在的な形で宿主分子を使用しなければならないという制約を考慮すると、より賢明な選択はほとんど想像できない。既にかかる反応性分子があるため、何が抗体によるそのさらなる変換の利点であり得るかを考慮することが重要である。重要な争点は、一過性一重項酸素分子(寿命4μs)のより安定したO・−への変換により、過酸化水素およびそれが生成し得る毒性産物の全てが誘導されることである。さらに、スーパーオキシドは、酸素除去カスケードの末端に残る唯一の分子酸素に相当するものである。従って、この「リサイクリング」は、殺菌プロセスの増強作用についての決定的な機構としての役割を果たし得る。一重項分子酸素の別の利点は、宿主が攻撃にさらされているときに存在するだけであるため、「事象誘発」基質とされている。また、補助系を使用する代替的防御方法があるため、免疫系のこの化学的アームは多くの環境下では沈黙を守り得る。しかしながら、この結果、抗体および一重項酸素が近接して並置されていることにより、細胞および組織損傷が誘発される、多くの病的状態が存在し得る。ヒトにおける種々の事象が一重項酸素の生成を誘導すると仮定した場合、抗体によるその活性化により、自己免疫性から再灌流損傷およびアテローム性動脈硬化までの範囲におよぶ様々な病気が誘発され得る(Skepper et al., Microsc. Res. Tech.、42、369−385(1998))。
【0195】
実施例2:抗体は水の酸化を触媒する
方法および材料
結晶グラフ:IgG4C6をパパインで消化し、標準プロトコール(HarlowおよびLane)を用いてFab'フラグメントを精製した。Fab'を、13〜18%PEG 8K、0.2MのZnAc、0.1Mのカコジレート、pH6.5で結晶化した。結晶を2分間200psiでのキセノンガス下で加圧し(Soltis et al., J. Appl. Cryst、30、190(1997))、次いで液体窒素で急速冷却した。SSRL BL9−2で2.0オングストローム解像能までのデータを収集した。天然4C6構造からの座標を用いて分子置換法により構造を解明し、差フーリエマップにおける強いピークからキセノン原子部位を同定した。構造の精密化をCNSで行って(Brunger et al., Acta. Crystallogr.、D54、905(1998))最終R=23.1%およびRfree=25.7%とした。2つのキセノン原子の占有率を、それらのB値を隣接周囲タンパク質のB因子より50パーセント高く固定した後に精密化した。図面をBobscriptで作製した(R.M. Esnouf, Acta Crystallog.、D55、938(1999))。
【0196】
Kabatデータベースの走査:ヒトおよびマウス配列のKabatデータベースを解析することにより、それらの構造におけるTrp、Tyr、Cys、Metの数を測定した。残基欠失または欠損フラグメントが多すぎる場合、配列を除いた。これにより、入手可能な3894配列のうち2068について確実性の高い解析が可能となった。この値は、C、V、CおよびV(κおよびλ)領域の括弧内の範囲を有する平均合計として記録される:Trp15.5(14〜31)、Tyr30.4(13〜47)、Cys19.3(15〜29)、Met11.6(7〜32)、His13.3(8〜28)。全合計=90.1(49〜167)。
【0197】
誘導結合プラズマ原子発光分光分析法:mAb PCP21H3の誘導結合プラズマ−原子発光分光分析(ICP−AES)を、バリアンのAixal viata Simultaneous ICP−AES分光計で行った。マウスモノクローナル抗体(PCP21H3)を、20mMのEDTAを含むリン酸ナトリウム緩衝液(PBS、50mM、pH7.4)中へ徹底的に透析した。典型的検定では、300μLの10.5%HNO溶液を、100μLの10mg/mL抗体溶液に加え、70℃で14時間インキュベーションした。次いで、この溶液をMQ水で2mLに希釈し、次いで標準との比較により分析した。ICP−AES分析結果を10分の1(μg/mL)で記録する:Ag 0.0026(1抗体分子につき0.0072原子);Al 0.0098(1抗体分子につき0.113原子);As 0.0062(1抗体分子につき0.025原子);Ba 検出レベル以下;Ca 0.0355(1抗体分子につき0.266原子)。高いCa濃度は、我々の検定系で使用されるリン酸緩衝系の汚染の結果である。抗体を介するHの速度に対するCa(II)の影響を調べるため、種々の濃度のCaCl(0〜100μM)を加えながら図8Aの説明で概説した検定手順を用いて抗体試料の照射を実施した。このプロセスは、Ca(II)濃度とは無関係であることが見出された;Cd 0.0007(1抗体分子につき0.0187原子)、Ce0.0012(1抗体分子につき0.0003原子)、Co 0.0013(1抗体分子につき0.007原子);Cr 0.0010(1抗体分子につき0.006原子);Cu 0.0014(1抗体分子につき0.007原子);Fe 0.0089(1抗体分子につき0.048原子);Gd 0.0008(1抗体分子につき0.001原子);K0.0394(1抗体分子につき0.302原子);La 0.0007(1抗体分子につき0.002原子);Li 0.0013(1抗体分子につき0.056原子);Mg0.0027(1抗体分子につき0.033原子);Mn0.0007(1抗体分子につき0.004原子);Mo 0.0023(1抗体分子につき0.007原子);Na 102.0428(1抗体分子につき1332原子);Ni 0.0007(1抗体分子につき0.004原子);P 14.3521(1抗体分子につき138.9原子);Pb 検出レベル以下;Rb 0.0007(1抗体分子につき0.002原子);Se 検出レベル以下;V 0.0109(1抗体分子につき0.019原子);W 0.0119(1抗体分子につき0.019原子);Zn 0.0087(1抗体分子につき0.040原子)。
【0198】
酸素同位体実験:典型的実験では、PB(160mMリン酸;pH7.4)中の抗体(6.7μM、100μL)または非免疫グロブリンタンパク質(50μM、100μL)の溶液を凍結乾燥し、次いでH(100μL、98%)に溶解した。塩化ナトリウムを排除することにより、MSでのシグナル抑制を最小限にした。高濃度の非免疫グロブリンタンパク質が、MS検定についての検出可能な量のHを生成させるのに必要であった。このタンパク質溶液を、20ECで8時間、密封石英キュベットにおいて飽和16好気的条件下、UVトランスイルミネーターで照射した。8時間後に、アンプレックス・レッド検定方法を用いてH濃度を測定した(Zhou et al.、Anal.Biochem.、253、162(1997))。次いで、試料を、マイクロコン(サイズ排除フィルター)による遠心分離により濾過してタンパク質を除去し、H濃度を再度測定した。TCEP(H18O中で新たに調製した20mMストック)を加え(Hに対して約2モル当量)、溶液を15分間37ECで放置した後の時点で、Hは全て反応した。18Oは徐々にTCEPのカルボン酸へ組込まれるため(何日かにわたって)、検定ごとにH18O中のTCEP溶液を新たに調製した。検定時間が経過する間、この経路による18Oの組込みは起こらない。さらに、H18Oから16Oホスフィンオキシドへの18Oの組込みは行なわれない。249m/zでのピークはTCEPの(M−H)である。検定ではHに対して過剰のTCEP(2倍)を使用するため、249でのピークは全MSで観察される。
【0199】
一緒に凍結乾燥したタンパク質試料からの16O/18O比の再現性は妥当である(±10%)。しかしながら、凍結乾燥プロセス中におけるタンパク質結合水分子除去に伴う問題は、観察された比が、異なる凍結乾燥バッチからの試料間で2:1〜4:1ほども変動し得ることを意味する(H16Oから凍結乾燥したとき)。従って、厳密な凍結乾燥および脱気手順に従うことが重要である。この点で、18およびH16O実験は、タンパク質結合酸素分子の除去が比較的容易であるため検定間での変動性がかなり低くなることを示している。
【0200】
異なる種からの抗体は、下記で詳述した実験制約内で類似の比を与える:16O/18O比:WD1−6G6 mIgG(マウス)2.1:1;ポリ−IgG(ウマ)2.2:1;ポリ−IgG(ヒツジ)2.2:1;EP2−19G2 mIgG(マウス)2.1:1;CH2−5H7 mIgG(マウス)2.0:1;ポリ−IgG(ヒト)2.1:1。比は、10回の測定値の平均値であるポリ−IgG(ウマ)以外、デュプリケートの測定の平均値に基いている。全検定および条件は上記の通りである。
【0201】
典型的実験では、PB(160mMリン酸、pH7.4)中のヒツジまたはウマポリ−IgG(6.7μM、100μL)の溶液を、アルゴン雰囲気下で30分間脱気した。次いで、この溶液を18(90%)で飽和し、上記要領で照射した。次いで、検定および手順を本明細書記載の要領で行う。
【0202】
ヘマトポルフィリンIXでの感作を介した形成効率の関数としてのH生成に関する検定:この検定は、H. Sakai および共同研究者、Proc. SPIE−Int. Soc. Opt. Eng.、2371、264(1995)により開発された手法の変法である。簡単に述べると、PBS(50mM、pH7.4)およびヘマトポルフィリンIX(40μM)中のウマポリ−IgG(1mg/mL)を、トランスイルミネーターからの白色光で照射する。アリコート(50μL)を取出し、H濃度および3−アミノフタル酸濃度を同時に測定する。アンプレックス・レッド検定方法によりH濃度を測定した(Zhou et al., Anal. Biochem.、253、162(1997))。Adsorbosphere−C18カラム、254nmでのUV検出器、および1mL/分でのアセトニトリル/水(0.1%TFA)18:82の移動相を備えた日立D4000シリーズ機種での逆相HPLCにより3−アミノフタル酸濃度を測定した(ルミノールの保持時間=7.4分および3−アミノフタル酸3.5分)。ルミノールおよび3−アミノフタル酸の濃度を、対照試料とのピーク高および面積の比較により測定した。実験データは、ヘマトポルフィリンIXにより形成されたの量(形成された3−アミノフタル酸の量と直接比例している)および抗体により形成されたHの量を示す。ただし、白色光でヘマトポルフィリンIXが存在しない場合に、抗体により形成されるの量は大したものではない。
【0203】
アンプレックス・レッド検定方法がHに加えてタンパク質−過酸化水素誘導体を検出している可能性があるという懸念は、この方法を用いて測定された見かけ上のH濃度が、照射されたタンパク質が試料から(サイズ排除濾過により)除去されるか否かとは無関係であるため、度外視される。
【0204】
量子化学方法:一般化密度勾配近似および交換項の厳密な取り扱い(exact exchange)を含む、密度汎関数理論(DFT)[J. C. Slater、Quantum Theory of Molecules and Solids, 第4巻: The Self−Consistent Field of Molecules and Solids、マクグロウ・ヒル、ニューヨーク(1974)]のB3LYPフレイバーを用いて、Jaguar[Jaguar4.0、シュローディンガー・インコーポレイテッド、ポートランド、オレゴン、1998。B. H. Greeley, T. V. Russo, D. T. Mainz, R. A. Friesner, J.-M. Langlois, W. A. Goddard III, R. E. Donnelly, J. Chem. Phys.、101、4028(1994)参照]で全QC計算を実施した。6−31**基本セットを全原子に対して使用した。全ジオメトリーを完全に最適化した。振動周波数を計算することにより、各最小値が真の局所最小値(正の周波数のみ)であること、および各遷移状態(TS)がただ一つの虚振動数を有すること(へシアンの負の固有値)を確認した。上記QC計算は、単純な有機分子については〜3kcal/molの精度を有することが立証された。非閉殻分子、例えばOおよびは、より大きな誤差を有すると予測される。しかしながら、上記誤差は系統的なものであると予測されるため、QC結果の機械論的推測は当然補正すべきである。エネルギー特性は全て、ゼロ点エネルギーまたは温度について補正せずにkcal/molで記録されている。
【0205】
結果および考察
抗体は、一重項酸素()から過酸化水素(H)を発生させ得る。しかしながら、本明細書に報告されている通り、現在までのところ、そのプロセスが触媒的であることおよび電子供給源は知られていなかった。抗体が、認識できる補因子および電子供与体の非存在下で速度の低下を伴わずに、から500モル当量以下のHを生成し得るという点で、それらが一種のタンパク質として特有なものであることが示されている。同位体組込み実験および速度論データを基にして、抗体は、へのHOの先例の無い付加を容易にすることにより、最終的にHに至る反応カスケードにおける第一中間体としてHを形成させ得ることが提案される。キセノンによるX線結晶学的試験は、この化学作用が開始され得る抗体の折りたたみ内での保存された酸素結合部位を示す。この発見は、に対する免疫グロブリンの特有な防御機能を示唆しており、を無毒化する必要性が免疫グロブリンの折りたたみの展開において決定的役割を演じたか否かという疑問を生じさせる。
【0206】
供給源または抗原特異性とは関係無く、抗体は、一重項分子酸素()から過酸化水素(H)を生成することにより、同一分子内で認識部位を調整し、死に至らしめる可能性がある(Wentworth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、97、10930(2000))。この発見の潜在的な化学的および生物学的意義を考慮して、このプロセスの抗体内における機械論的基礎および構造的配置を検討した。これらの試験結果を合わせると、他のタンパク質とは対照的に、抗体は水および一重項酸素間における先例の無い一連の化学反応を触媒し得ることが明らかにされる。
【0207】
反応速度試験:長期UV照射試験は、抗体を介するH生成が、非免疫グロブリンタンパク質に関する場合よりかなり効率的なプロセスであることを示している(図8A)。典型的には、抗体は、速度が漸近的に下降し始める前に40モル当量以下のHについてのH形成では線型を呈する(図8B)。反対に、非免疫グロブリンタンパク質は、H生成の短い「突発的(burst)」産生を示した後、光酸化が行なわれるとクエンチングが起こる(図8A)。
【0208】
他のタンパク質とは対照的に、マウスモノクローナルIgG PCP21H3について示されたところによると(図8C)、検定中に生成されたHがカタラーゼにより除去された場合、抗体は、実験開始時と同じ初期速度でHの光生成を再開することができる。Hのカタラーゼを介するによる破壊後におけるHのこの連続した線型生成プロフィールは、全検定抗体について保存されていた。すなわち、このプロセス中に蓄積するHがそれ自体の形成を(可逆的に)阻害している。見かけ上のIC50は、225μMとして推定された(図8D)。基質、遷移状態類似体または反応生成物による酵素の触媒機能の阻害は、活性部位現象についての強力な証拠として採用されることが多い。Hの抗体を介するによる光生成が分子酸素により飽和され得ること(Kapp(O 187μM))は既に示されている(Wentworth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、97、10930(2000))。Hのこの形式的な生成阻害は、さらにかかる結合部位現象についての証拠を提供する。
【0209】
抗体によるHの光生成に関する以前の報告は、生成され得るHの最大量を突きとめてはいなかった(Wentworth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、97、10930(2000))。この問題については、抗体試料のUV照射、次いで生成されたHのカタラーゼによる除去の反復サイクルにより調べた(図8Cは上記の2サイクルを示す)。一連の実験において、UV照射およびカタラーゼ添加のサイクルを、10サイクルまで実施した(PBS、pH7.4中のウマポリIgG)。これらの実験の間、>500モル当量のHが生成され、初期速度のごく僅かな低下が観察された。抗体以外に、現在までのところ効率的かつ長期間にわたってHを生成することが見出されている唯一の他のタンパク質は、αβT細胞受容体(αβTCR)であった(図8F)。興味深いことに、αβTCRは、抗体とその免疫グロブリン折りたたみドメインの類似配列を共有している(Garcia et al.、Science、274、209(1996))。しかしながら、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであってもHを生成しないβ−ミクログロブリンにより立証されたところによると(Welinder et al.、Mol.Immunol.、28、177(1991))、この構造モチーフを有することにより、必ずしもタンパク質にH生成能力が付与されるとは思われない。
【0210】
抗体構造は、Hの酸化作用に対して著しく不活性である。H(H生成を完全に阻害するのに充分な高濃度で)存在下で6時間標準的なUV照射条件に暴露したとき、ポリクローナルウマIgG抗体試料は、一旦阻害性Hがカタラーゼにより破壊されてしまうと、完全な活性を示す(図8E)。Hへの暴露後でも長期間一定速度でH生成を続行できるということは、他のタンパク質が被る化学的および光酸化的修飾の両方に対する抗体構造折りたたみの著しい、そしてまだ気づかれていない抵抗性を示している。標準条件下で8時間のUV照射後における抗体試料のSDS−PAGEゲル分析は、抗体分子の有意なフラグメント化も凝集も示していない。側鎖位置のレベルでさえHの存在下でタンパク質構造における変化(Hの明らかな阻害作用に寄与し得る)が全く無いことを確実にするために、Fab 4C6のX線結晶構造を、Hの存在および非存在下で測定した。その天然結晶が他の公表された抗体よりも高い解像能に回折することから(〜1.3D)、Fab 4C6が選択された。重要な構造パラメーターの2乗平均平方根差(RMSD)を、3mMのHによる浸漬実験の前後に4C6構造について比較した。全原子のRMSD=0.412D、RMSD Cα原子=0.327D、RMSD主鎖原子=0.328D、RMSD側鎖原子=0.488D。重ねたマウスFab 4C6の天然およびH処理構造(Li et al.、J.Am.Chem.Soc.、117、3308(1995))は重なり得ることから、Hに対する抗体折りたたみの安定性の証拠がさらに裏付けられる(図9)。
【0211】
の抗体を介する光生成の作用スペクトルおよび同一波長範囲(260〜320nm)に関する抗体タンパク質の対応する吸収スペクトルを図10に併記する。2つのスペクトルは、タンパク質におけるトリプトファンの最大UV吸光度と一致する励起波長で観察されるH生成の最大効率と事実上重なり得る。
【0212】
ヘマトポルフィリンIX(ψ=0.22、リン酸緩衝液pH7.0中)および可視光線による感作を介した形成効率の関数としてウマIgGによるH生成の効率を調べると、275秒ごとに感作により生成されるの25モル当量ついて、1モル当量のHが抗体分子により生成される(Wilkinson et al.、J.Phys.Chem.Ref.Data、22、113(1993);Sakai et al.、Proc.SPIE-Int.Soc.Opt.Eng.、2371、264(1995))。
【0213】
電子供給源の問題:一重項酸素からの抗体を介するH生成により生じる機構の問題は、さらに2つの問題にはっきりと細分される:すなわち、一方はこのプロセスについての電子供給源に言及するもの、および他方はこのプロセスの化学的機構に関するものである。からHへの変換が2モル当量の電子を要求すると仮定した場合、抗体が抗体分子1当量につき>500当量のHを生成し得るという事実は、急な電子在庫問題を生じさせる。この電子供給源についての検索は、最も明確な可能性を有するものから始められた。タンパク質を通した電子伝達は、非常に容易に著しく大きな距離にわたって行われ得るため(Winkler et al.、Pure & Appl.Chem.、71、1753(1999);Winkler, Curr.Opin.Chem.Biol.、4、192(2000))、第一に考えられるのは、通常のタンパク質光酸化プロセスで挙げられた電子供与体として包含された残基の集合が含まれ得ることである。酸化され得る残基が消耗されると、H生成には必然的に著しい速度低下が伴うため、照射およびカタラーゼ処理の反復サイクル中における抗体およびαβ−TCRによるH生成速度がほぼ一定であること(図8Cおよび8E)は、かかる機構の反証となった。タンパク質がさらに正に荷電すると、残りの非酸化残基の酸化還元電位が必然的に上昇するため、この速度低下はさらに激化される。
【0214】
通常のタンパク質光酸化は、および他の活性酸素種(ROS)、例えばスーパーオキシドアニオン(O・−)、ペルオキシルラジカル(HO)およびHの形成をもたらすプロセスの複雑なカスケードである(Foote,Science、162、963(1968))。本機械論的考察は、光酸化に対するタンパク質の感受性を5つまでのアミノ酸:トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、システイン(およびシスチン)、メチオニン(Met)およびヒスチジン(His)と関連付けている(StraightおよびSpikes、Singlet O、A.A.Frimer編(CRCプレス、インコーポレイテッド、ボカレートン、フロリダ、1985)、第IV9巻、91−143頁;Michaeliおよび Feitelson、Photochem.Photobiol.、59、284(1994))。Trpおよび分子酸素によるHの光生成は、少なくとも部分的に、からOへの形成および還元、さらにそのHおよびへの自発的不均化を含む充分に特性確認されたプロセスである(McMormick および Thompson、J.Am.Chem.Soc.、100、312(1978))。トリプトファンは、個々のアミノ酸として、およびタンパク質の一成分としての両方で、特に有効な近UV(λmax320nm)光増感剤であるNN−ホルミルキヌレニン(NFK)へのその変換故に、好気的条件下では近UV照射(300〜375nm)に対して特に感受性がある(Walrant および Santus、Photochem.Photobiol.、19、411(1974))。しかしながら、Trp光酸化には、近UV照射中にHの化学量論以下の生成(約0.5モル当量)が伴い(図8A)(McMormickおよびThompson、J.Am.Chem.Soc.、100、312(1978))、H光生成での最も有効な非免疫グロブリンタンパク質、β−ガラクトシダーゼは、その39Trp残基から僅か5.9モル当量のHを生成するに過ぎない(図8A)(Fowlerおよび Zabin, J.Biol.Chem.、253、5521(1978))。
【0215】
ヒトおよびマウス抗体の重鎖および軽鎖配列のKabatデータベースの走査(3894配列のうち2068を解析した)は、抗体がそれらの全構造において15を越えるTrp残基を有することは稀であることを示した(14〜31のTrp残基の範囲で、平均値=15.5)(Kabat et al.、Sequences of Proteins of Immunological Interest(米国保健福祉省、公衆衛生総局、NIH、第5版、1991);Martin、PROTEINS: Struct.,Funct.and Genet.、25、130(1996))。事実、タンパク質光酸化プロセス(上記参照)に関係するアミノ酸が全て、総合的に抗体を介するH生成に関与するとしても、生成されるHが500モル当量であることについて説明するにはこれらの残基数(49〜167反応性残基の範囲で平均値=90.1)では依然として不十分である。
【0216】
次いで、塩化物イオンがアントラキノンの三重項励起状態によるHの光生成についての適切な電子供給源であることが知られているものと仮定して、還元当量としての塩化イオン(PBS中150mMで存在する)のポテンシャルについて研究した(Scharfおよび Weitz、Symp.Quantum Chem. Biochem.、エルサレム、第12巻(Catal.Chem.:Theory Exp.)、355−365頁(1979))。免疫グロブリンによるH生成速度が塩化イオン濃度とは無関係であることが見出されたとき、この可能性は即座に減じられた(図11B)。
【0217】
金属イオンの可能な役割について研究した。上記イオンが電子供給源としての機能を果たし得るほどの量で抗体中に存在することはほとんどあり得ず、それらの微量が触媒的酸化還元中心としての中心的役割を演じ得る。実際的には、このプロセスにおける微量金属の関与の可能性を除外し得る実験を実施した。Hの抗体を介する光生成速度は、EDTA含有緩衝液による抗体試料の徹底的透析の前後では変化していない(図11C)。抗体試料のEDTA処理後、ICP原子発光分光分析法(AES)にて、ppm単位よりかなり低い量で残存する微量金属イオンの存在が明らかとなった。微量金属がこの反応に関与するためには、全検定抗体がこの内在的能力を有するため、それは全抗体に共通していなければならない。一般的に認められているところによると、金属結合は抗体の内在的特徴ではなく、抗体結晶およびBrookhavenデータベースで入手可能な約300抗体構造の本発明者ら自体の分析と一致している。
【0218】
これまでのところ、観察結果は全て、タンパク質触媒の不活性化を含まず、高い代謝回転数、そしていわば無限の電子供給源の原因であり得る電子供給源を同定する必要性を強く指摘するものであった。の化学ポテンシャルについてより広範な考察が為された。抗体を介する機構における分子酸素のこの高エネルギー形態の関与は、以前の報告から明らかに推測されていた(Wentworth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、97、10930(2000))。簡単に述べると、抗体を介するH光生成速度は、DOにおいて高められ、クエンチャーであるアジ化ナトリウムの存在下で低減化される。さらに、抗体は、可視光線におけるヘマトポルフィリンIX 、および暗所での3N,3N−(1,4−ナフチリデン)ジプロピオン酸二ナトリウムのエンドペルオキシド(化学的供給源)によるの感作を介してHを生成することが示されている。の関与はまた、抗体を介するH生成の作用スペクトルおよび抗体成分トリプトファンの吸光度スペクトルと非常に類似している(図10)。
【0219】
の既知化学作用が超求電子体「ジオキサ−エテン」の化学作用として概念的に説明され得るものと仮定して(Foote,Acc.Chem.Res.、1、104(1968))、水分子が、抗体の存在下で、へ求核基として付加し、中間体としてHを形成し得るというこれまでは未知の可能性が考慮された。すなわち、酸化されてHになる水は、電子供給源の役割を果たす。
【0220】
酸素同位体実験を行うことにより、Hで見出される酸素供給源の測定を通じてによるHOの抗体触媒光酸化の仮説を試験した。Hにおける16O/18Oの含有率を、標準的H検出方法の修正法により測定した(Han et al.、Anal.Biochem.、234、107(1996))。簡単に述べると、この方法では、トリスカルボキシエチルホスフィン(TCEP)による還元、次いで対応するホスフィン酸化物の質量スペクトル(MS)分析を行う(図12)。
【0221】
これらの実験は、酸素の存在下における抗体のUV照射が、水からHへの酸素取り込みを誘導することを示していた(図12Aおよび12B)。H18O(98%18O)ホスフィン緩衝液(PB)の溶液中における飽和16濃度条件下での、ヒツジポリIgG照射後のホスフィン酸化物のMSで観察された16O/18O比の相対的発生量は、2.2±0.2:1である(図12A)。H16O PB中の18Oに富む分子酸素混合物(90%18O)による、逆の実験を実施するとき、逆の比率(1:2.0±0.2)が観察される(図12B)。比率についてのこれらの値は、良好な再現性(+10%、n=10)を呈し、全試験抗体について見出される。
【0222】
以下の対照実験を実施した。まず、16およびH16Oの条件下、ポリ−IgG(ウマ)の照射により、H16を生成させた(図12C)。H16(PB中400μM、pH7.0)それ自体をH18O中で4時間照射したとき、18Oは取り込みまれていない。この結果は、Hへの18O取り込みが、水との酸触媒交換によるか、またはH16の均一開裂および水からのH18との再結合を含む機構により行われ得るという懸念を軽減する。抗体がH16の生成およびそのH18Oとの酸触媒交換の両方を触媒し得るという可能性をチェックするため、不活性雰囲気下でのUV照射後にヒツジポリ−IgG(6.7μM)の存在下におけるH16(98%18O)PB中のH16(200μM)の同位体交換を測定した。18OからH16Oへのごく微量の取り込みが観察されたに過ぎない(図12D)。
【0223】
また、H生成において最も効率的な非免疫グロブリンタンパク質である、βガラクトシダーゼおよび3−メチルインドールによる同位体実験も実施した。両場合とも、光酸化によるHへの18O取り込みはごく僅かであり(図12Eおよび12F)、インドール環それ自体およびこのタンパク質におけるトリプトファン残基が単にの還元剤として挙動するという見方を示す。
【0224】
3−メチルインドールの照射がH18Oからの酸素取り込みを含まないHを生成させるため、この見方はさらに裏付けされている。トリプトファンにより同一実験を実施しては、16O/18O比1.2:1の交換をもたらす。この結果は、3'−ヒドロペルオキシドのジアステレオマー混合物の内部酸素をプロトン化する、分子内一般酸として作用するアンモニウム官能基に起因すると考えられる。ただし、これは化学的観点から興味深いのであり、それが化学量論的プロセスであり、かつタンパク質中のTrp残基が遊離アンモニウム基をもたないため、抗体によるHの触媒的生成は説明され得ないものとする。
【0225】
化学的機構:全試験抗体は、一重項酸素による水の酸化を触媒し得る。によるHOの酸化についての反応物および産物間の熱力学的均衡(反応熱、ΔH=+28.1kcal/mol)(D.R.Lide、Handbook of Chemistry and Physics、73版(CRC、1992))は、2つ以上の分子が、2分子のHへのその変換中に酸化された水の1分子に対して関与しなければならないという化学量論を要求する。この化学量論は、三重項酸素から一重項酸素の生成に関与する前のさらなる光エネルギーがこのプロセスには関与していないものと想定する。仮定的機械論的経路に関する定性的化学的推論を、熱力学的考察と一緒にすると、等式1bまたはcと同様恐らく全体的な化学量論となる(全エネルギーは、気相実験的形成熱から計算され、kcal/molで報告されている):
1O2 + 2H2O → 2H2O2 ; ΔHro = 28.1 (1a)
2 1O2 + 2H2O → 2H2O2 + 3O2 ; ΔHro = 5.6 (1b)
3 1O2 + 2H2O → 2H2O2 + 2 3O2 ; ΔHro = -16.9 (1c)
【0226】
テルリウムを介する酸化還元プロセスによる、および水から過酸化水素への遷移金属触媒による変換の最近の報告(Detty および Gibson, J. Am. Chem. Soc.、112、4086(1990))は、およびHOがHへ変換され得るプロセスに関する実験的証拠を提供しており、このプロセスのエネルギー要求が克服され得ると述べている。抗体を介する光酸化プロセスに関する機構は、分子への分子水の付加によりHになる途中における第一中間体として三酸化二水素を形成することを含むと考えられている。抗体の触媒としての機能は、不安定な(critical)中間体をその可逆的形成に対して安定させるか、またはHへのその変換をチャネリングすることにより中間体の消費を加速する特異的な分子環境を供給するものでなければならない。かかる環境の本質的特徴は、抗体特異的環境を条件とする活性部位で組織された水分子の特殊な集合体により構成され得る。
【0227】
は未だ生物系からは検出されておらず、インビボでのその化学作用は考慮すべき推測の供給源であり、そのインビトロ特性は多数の実験および理論的処理の対象であった(C.Deby、La Recherche、228、378(1991);Sawyer、Oxygen Chemistry(オックスフォード・ユニバーシティー・プレス、オックスフォード、1991);CerkovnikおよびPlesnicar、J.Am.Chem.Soc.、115、12169(1993);VincentおよびHillier、J.Phys.Chem.、99、3109(1995);Plesnicar et al.、Chem.Eur.J.、6、809(2000);Corey et al., J. Am. Chem. Soc.,108、2472(1986); Koller および Plesnicar, J. Am. Chem. Soc.,118、2470(1996); Cacace et al., Science,285、81(1999))。Plesnicarおよび共同研究者は、オゾンから還元的に生成されたHが、HOおよびに分解することを示した(Koller および Plesnicar, J. Am. Chem. Soc.、118、2470(1996))。顕微鏡的可逆性の原理を適用することにより、逆反応は、1個またはそれ以上の水分子により触媒されることが推測された。かかるプロセスの妥当と思われる反応経路およびエネルギー論を図で表すため、第一原理量子化学(QC)方法を本明細書記載の要領で使用した(B3LYP密度汎関数理論)。結果を等式2a−c(エネルギーは全てkcal/molである)で説明する:
【表3】

【0228】
水およびの直接反応でHを得ることは、70kcal/molの活性化バリアー(等式2a)を伴い、全く好ましくない。しかしながら、第二または第三水分子を加えることにより、活性化バリアーをそれぞれ31.5および15.5kcal/molに減少させる協調プロセスが見出される。事実、これらの付加的水は触媒の役割を演じる(等式2bにおいて、第2の水のHは、生成物HOOOHに含まれ、同時に第1の水のHがそれと置き換わる)。これらのバリアーは、水の第1HO結合エネルギー(119kcal/mol)およびの結合エネルギー(96kcal/mol)と比べて小さい。ただし、等式2bおよび等式2cにおける逆反応は、それぞれ僅か15.5または0kcal/molのバリアーを有するものであり、Hが大量の水または水に富む系において安定していないことを示唆している。すなわち、Hの生成および使用にとって最良の抗体構造内部位は、上記水を伴わない疎水性領域の近隣に水および水二量体が局在しているものであることが予測される。
【0229】
水の抗体触媒光酸化から誘導されるホスフィン酸化物における16O/18O比により、この主たる中間体Hが最終生成物Hに変換する反応経路の選択を著しく拘束する。この比は、主として2モルのHOからの2モルのHの生成に化学的に関与する分子の数およびこのプロセスの詳細な機構により決定される。2.2:1の比率は、2分子のおよび2分子のHOが2分子のHおよび1分子の分子酸素(熱力学的理由によりでなくてはならない)に変換されるある種の機構について予測される値と正確に一致する。かかる機構の一例は、2分子のHからHおよびHへのS2タイプ不均化、次いで前者からHおよびへの分解である。が関与する場合またはしない場合におけるHからHへの変換についての理論的に可能な反応経路を特定する複雑な問題については、量子化学的方法(B3LYP密度汎関数理論)を用いた系統的方法で取組むことになる。これらの試験は、Hの徹底的なドッキング計算(extensive docking calculation)および若干のタンパク質に対するその形成およびHへの変換についての遷移状態を示す。事実、水が分離された領域および疎水性領域の次に来る抗体(およびαβ−T細胞受容体)の一領域にこれらの種を安定化させる特有な部位がある。この拡大試験は、HからH変換についての全範囲の理論的に可能な化学的経路の存在の可能性を明らかにした。
【0230】
抗体に結合するキセノンの構造試験:由来または抗原特異性とは関係無く、抗体またはαβ−TCRがこの反応を伝達する能力が保存されていると仮定して、X線構造試験を開始することにより、これらの免疫グロブリン折りたたみタンパク質内における可能な保存反応部位について調べた。可能性のある位置についての重要な拘束は、分子酸素(近位に可能性のある増感性残基、好ましくはトリプトファンを伴うまたは三重項)および水が共局在し得るものでなくてはならず、経路に沿った遷移状態および中間体は、部位内または極めて近位で安定化されなければならないことである。
【0231】
XeおよびOがタンパク質内の同一空洞に共局在しているという概念を裏付ける強力な証拠がある(Tilson et al.、J.Mol.Biol.、199、195(1988);Schoenborn et al.、Nature、207、28(1965))。従って、キセノンガスを重原子トレーサーとして用いることにより、分子酸素に接近し得るマウスモノクローナル抗体4C6内における空洞の位置を確認した(Li et al.、J.Am.Chem.Soc.、117、3308(1995))。
【0232】
3つのキセノン部位が同定され(図13A)、タンパク質における他のXe結合部位で観察されたところによると、全部が疎水性空洞を占めている(Scottおよび Gibson、Biochemistry、36、11909(1997);Prange et al.、PROTEINS: Struct.,Funct. and Genet.、30、61(1998))。純化された天然構造およびXe誘導体化構造を重ね合わせると、キセノン付加を除いて、タンパク質骨格または側鎖立体配座、もしくは結合水分子の位置に認識できる変化はほとんどないことが示される。
【0233】
キセノンI結合部位(Xe1部位)は、全抗体およびαβ TCRで保存されているため、それをここでさらに詳しく分析した(図13B)。Xe1は、不変のTrpから7のVのβシート間における高度保存領域の中間にある。Xe1部位は、外側分子表面から約5のVの免疫グロブリン折りたたみを含む2つのβシート間にはさまれている。キセノン部位2(Xe2)は、抗体の重鎖および軽鎖間の構造的に保存された界面を形成する幾つかの高度保存残基上部において直接抗原結合ポケットの基部に位置する(図13A)。V界面における残基は、主として疎水性であり、保存された芳香族側鎖、例えばTrpH109を含む。
【0234】
Fab 4C6におけるXe1について接触している側鎖は、AlaL19、IleL21、LeuL73およびIleL75であり、全抗体において高度に保存された脂肪族側鎖である(Kabat et al.、Sequences of Proteins of Immunological Interest(米国保健福祉省、公衆衛生総局、NIH、第5版、1991))。さらに、調査した全抗体におけるこの領域では僅かな構造上の変化が観察されただけであった。特に、幾つかの他の高度保存および非変異体残基は、このキセノン部位に極めて近接しており、TrpL35、PheL62、TyrL86、LeuL104、およびCysL23およびCysL88間のジスルフィド架橋を含む。TrpL35は、ジスルフィド架橋のところに積重なり、キセノン原子から僅か7である。この構造的状況において、TrpL35はXe1に最も近いTrpであるため、それが推定的分子酸素増感剤であり得る。2C αβ TCR構造および全ての入手可能なTCR配列との比較結果は、このXe1疎水性ポケットもまたTCRで高度に保存されていることを示している(図5B)(Garcia、Science、274、209(1996))。
【0235】
ヒトβ−ミクログロブリンは、Hを生成せず、その全体的免疫グロブリン折りたたみにもかかわらず、抗体Xe1結合ポケットを特定する同一の精密な構造特性をもたない。また、β−ミクログロブリンは、抗体およびTCRの両方で見出される保存Trp残基を含まない。TrpL35(抗体)またはTrpα34(TCR)が酸素増感剤である場合、β−ミクログロブリンにおける対応するTrpの欠如は、それが水の酸化を触媒しないという知見と関連したものであり得る。
【0236】
すなわち、キセノン実験は、分子酸素に接近可能であり、かつ不変のTrpに極めて近い保存領域(V)にある少なくとも1個の部位を同定した。同等の保存部位もVの折りたたみにおいて可能である。Xe1部位を取巻く構造および配列は、VをVに関係づける偽2倍折りたたみ回転軸によりVドメインでほぼ正確に再製される。キセノン結合部位はこのドメインに位置しないが、分子酸素は依然としてVの対応する空洞に接近し得ると考えられる。完璧な平衡を確立するのには不十分であった可能性がある僅か2分間だけ結晶を加圧したため、または単にキセノンが、V側の対応する空洞について酸素と比較するには大きすぎるため、または結晶パッキング故に提案された重鎖キセノン部位は見出されなかった可能性がある。他の抗体実験において、Xe結合部位は、結晶パッキングが結晶におけるXeの接近をモジュレーションし得ることを示唆する非対称単位の2分子の一方のみで見出された。これらの部位を取巻く配列および構造の解析は、それらが抗体およびTCRの両方で高度に保存されていることを示しており、抗体およびTCRにおけるIgの折りたたみがこの普通ではない化学作用に関与し得る理由を理解させ得るものである。
【0237】
抗体は、それらがからHへ触媒的に変換させる能力を有する点でタンパク質の中でも特有である。このプロセスは、Hの事象関連生成による致死に関与すると考えられている。別法として、抗体は、に対して生物体を防御する機能を果たし得る。これは、カタラーゼによる過酸化水素から水および三重項酸素へのさらなるプロセスを必要とする。
【0238】
実施例3:抗体の抗菌活性
材料および方法
抗体および細胞調製物
ヒツジ(31243)およびウマ(31127)ポリクローナルIgGを、Pierceから入手し、それ以上精製せずに使用した。大腸菌O112a,c特異的マウスモノクローナル抗体(15404)を、QEDバイオサイエンシーズから入手し、それ以上精製せずに使用した。大腸菌非特異的マウスモノクローナル抗体33F12および84G3を、スクリップス・ハイブリドーマ・ラボから入手し、98%より高純度(SDS−PAGE分析に基く)で使用した。モノクローナル33F12は、アルドール反応を触媒するマウスモノクローナルIgGである。Wagner et al.,Science,270,1797(1995)。大腸菌XL1−Bを、ストラタジーンから入手した。大腸菌O112a,c(ATCC12804)は、栄養失調および免疫無防備状態の個体に感染し得る腸侵襲性株である。L.Siegfried, M.Kmetove, H.Puzova, M.Molokacova, J.Filka,J.Med.Microbiol. 41、127(1994)。
以下の抗体調製物を、以下の方法により施設内で製造した。
【0239】
大腸菌(E.coli)XL−1ブルーに特異的なウサギポリクローナルIgG
免疫化当日(第0日)、ニュージーランド白ウサギ(2.5kg)に対し、各耳から10mlを予め採血し、次いで加熱殺菌した(65℃、15分)、化学的コンピテントな大腸菌XL−1(OD600=1)(650μlおよび350μlのリン酸緩衝食塩水、PBS、pH7.4)の皮下注射をした。免疫化の14日後(第14日)、ウサギに一回目と同じ方法で二回目の注射をした。免疫化の28日後(第28日)、ウサギに一回目および二回目と同じ方法で三回目の注射をした。免疫化の35日後(第35日)、ウサギの耳から50mlを採血した。免疫化の42日後(第42日)、ウサギの耳から50mlを採血した。
【0240】
血清を室温で1〜2時間放置し、4℃で一晩置き、2500〜3500rpmで15分間遠心分離した。上清を新たな丸底試験管(50ml)に移し、9〜10Krpmで15分間遠心分離した。これらの上清を清潔な円錐(50ml)試験管に移し、−10℃で貯蔵した。次いで血清をELISAにより試験し(下記参照)、PBS中で1:1に希釈し、次いで0.2μMフィルターにより濾過した。血清試料のタンパク質濃度(Abs280)を測定した。次いで、血清試料をプロテインGカラム(アマシャム・ガンマ−バインドG、10mgタンパク質/mlビーズ)へ充填した。結合抗体を3カラム容量のPHS、pH7.4で洗浄し、次いで2カラム容量の酢酸(0.1M、pH3.0)により溶出した。溶出ピークをトリス緩衝液(1M、pH9.0)で中和し(4ml画分中0.5ml)、次いでPBSへ透析した。
【0241】
大腸菌(E.coli)XL−1ブルーに特異的なマウスモノクローナルIgG
第0日目、129Gix+マウス(6〜8週、1群当たり4匹)に、50μlのリン酸緩衝食塩水、PBSpH7.4を含む150μlの容量中、加熱殺菌した(65℃、15分)化学的感応性大腸菌XL−1(OD600=1)の腹腔内注射をした。第14日目、マウスに一回目と同じ方法で二回目の注射をした。第28日目、マウスに一回目および二回目の注射と同じ方法で三回目の注射をした。第35日目、マウスから眼内穿刺により採血した。
標準プロトコールを用いて、XL−1ブルーに特異的な12のモノクローナル抗体を調製した。抗体調製物を硫酸アンモニウム沈澱により精製し、次いでプロテインGカラム(アマシャム・ガンマ−バインドG、10mgタンパク質/mlビーズ)へローディングして精製した。結合抗体を3カラム容量のPHS、pH7.4で洗浄し、次いで2カラム容量の酢酸(0.1M、pH3.0)により溶出した。溶出ピークをトリス緩衝液(1M、pH9.0)で中和し(4ml画分中0.5ml)、次いでPBSへ透析した。
【0242】
生存腸菌または死滅大腸菌への抗体結合を測定するジェネリックELISA
大腸菌XL1−ブルーの凍結グリセリンストックのOD600を読み取り、生存ストックをPBSでOD600=1.0に希釈した。細菌の25マイクロリットルアリコートを、96ウェルの hi-bind ELISAプレートのウェルに入れ、一晩37℃で乾燥させた。プレートを2回dH2Oで静かに洗浄した。プレートウェルを、室温で30分間、BLOTTO(50μl/ウェル)でブロックし、このブロッキング溶液を振とうすることにより除去した。次いで、検定すべき抗体含有試料を、BLOTTOへ希釈し、この溶液25μlを各ウェルに入れた。プレートを湿ったチャンバーにおいて37℃で1時間インキュベーションし、dHO(10×)で洗浄し、BLOTTO中の二次抗体(HRP−ヤギ抗ウサギコンジュゲート、1:2000)25μlを各ウェルに加えた。プレートを湿ったチャンバーにおいて37℃で1時間インキュベーションし、dHO(10×)で静かに洗浄した。現像液基質(50μl/ウェル)を加え、プレートを30分後450nmで読み取った。
【0243】
死菌試料もELISAに使用した。これらの試料を上記と同じ方法で操作したが、ELISAマイクロタイタープレートへ添加および付着させる前に、大腸菌を加熱殺菌する(65℃、15分)。
【0244】
殺菌検定方法
典型的実験において、大腸菌の培養物(対数期成長、OD600=0.2〜0.3)を、繰返しペレット化し(3×3500rpm)、PBS(pH7.4)に再懸濁した。次いで、PBS懸濁細胞を、バイアルに加え、4℃に冷却した。ヘマトポルフィリンIX(40μM)および抗体(20μM)を加え、瓶を照明ボックス(可視光線、2.8mWcm−2)または暗所中に4℃で置き、1時間インキュベーションした。寒天平板におけるコロニー形成単位(CFU)の回復により生存能力を測定した。各実験を少なくともデュプリケートで実施した。
【0245】
顕微鏡試験
以下の要領で電子顕微鏡用に試料を調製した。細胞を、0℃で1.75時間カコジレート(0.1M)中のパラホルムアルデヒド(2%w/v)、グルタルアルデヒド(2.5%w/v)で固定し、次いでペレット化させた。細胞ペレットをカコジレート(0.1M)中のOsO(1%w/v)に再懸濁し、30分間放置し、次いで沈降させた。次いで、ペレットを逐次的にエタノールおよびプロピレンオキシドにより脱水し、樹脂に包埋し、次いで切片に切った。切片を酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛により染色した。金標識試験については、使用手順は上記詳細と同じであり、以下の工程を加えた。第一に、試料を沈降させ、新鮮な等張緩衝液で洗浄して非結合一次抗体を除去した。第二に、ペレットを、12nm金粒子で共有結合的に修飾しておいたヤギ抗マウス抗体の溶液に再懸濁し、90分間インキュベーションした。
【0246】
水性条件下でのOの分解
使用した水性条件下でのOの分解速度を以下の方法により測定した。Oをポリメトリックスオゾン発生器に通すことにより生成されたオゾンを、室温で石英キュベット(1cm)に入れたリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4)溶液へ2分間吹き込んだ。次いで、光学密度の経時的変化を、22℃のサーモスタットラックを備えた日立紫外/可視分光光度計において少なくとも5半減期間260nm(ε=2700M−1cm−1)で測定した。Takeuchi et al.、Anal.Chim.Acta、230、183(1990)参照。次いで、Graphpad PrismV3.0ソフトウェアを用いて、OD対時間のプロットからOの半減期をグラフ(t1/2=66秒)により決定した(データは示さず)。検定の感度を分光光度計精度によりt=0でODの±0.1%(〜1μM)に制限した。
【0247】
オゾンについての検定方法
典型的実験において、インジゴカルミン1のPBS溶液(pH7.4)を、デュプリケートで、石英マイクロタイタープレート(最終容量200μL)中カタラーゼ(13mU/mL)を使用または使用せずに抗体(20μM)の存在または非存在下、室温でトランスイルミネーター(312nm、0.8Wcm−2)において照射した。様々な時点で、試料を取出し(20μL)、リン酸緩衝液(100mM、pH3.0、180μL)へクエンチングした。マイクロタイタープレート読取装置(スペクトラマックス)において、ODを610nmで測定した。イサチンスルホン酸2の生成をLC−MSにより測定した(日立M−8000イオントラップエレクトロスプレー質量分析計(負イオン検出モードで)に連結した日立D−7000HPLC)。LC条件は、Spherisorb RP−C18カラムおよび1mL/分のアセトニトリル・水(30:70)移動相であった。直列スプリッターを用いることにより、0.2mL/分のカラム流出液をMSへ流れるように使用した。イサチンスルホン酸2 RT=3.4分、[MH]−226。
【0248】
様々な活性種を試験することにより、インジゴカルミン1がオゾン以外の種によりイサチンスルホン酸2に変換され得るか否かを確認した。
【0249】
【表4】


酸化は、特記した条件下、室温でリン酸緩衝液(PB、pH7.4)中のインジゴカルミン1(1mM)へ各オキシダントを加える前および後に、マイクロタイタープレートリーダーにおいて610nmでの吸光度変化を追跡することにより測定された。
b18O取り込みは、各オキシダントについて特記した条件下、H18O(>95%標識)でPB(100mM、pH7.4)中のインジゴカルミン1の酸化を実行し、負イオンエレクトロスプレー質量分析法により環状α−ケトアミド2の同位体プロフィールをモニターすることにより測定された。検定条件下において、α−ケトアミド2のアミドカルボニルへ取り付けた標識は水と交換されない。
インジゴカルミン(1、1mM)を、PB(100mM、pH7.0)中のオゾン(〜600μM)溶液に加えた。
1時間可視光線(2.7mW/cm−2)でヘマトポルフィリンIX(40μM)溶液およびPB中の1(1mM)を照射することにより、の影響を調べた。
参考文献42参照。
カリウムスーパーオキシド(10mM)のDMSO溶液を、最終有機共溶媒が5%となるようにPB(100mM、pH7.0)中の1の溶液に加えた。
最終濃度PB中2mM。
測定されず。
インジゴカルミン(1、1mM)を、PBS(pH7.4)中のNaOCl(20mM)の溶液に加え、溶液の完全な退色が起こった後、環状α−ケトアミド2の形成をHPLCにより測定した。
【0250】
予備試験は、水と環状α−ケトアミド2のラクタムカルボニルの酸素の迅速で可逆的な交換が、紫外線(312nm、0.8mWcm−2)の存在下で行われることを示した。しかしながら、白色光では、実験中認識できる交換は起こらなかった。すなわち、ヘマトポルフィリンIX(40μM)および白色光(2.7mWcm−2)を供給源として用いて、全18O同位体取り込み実験を実施した。
【0251】
通常の炭素−炭素二重結合を含む以下の付加的化学プローブを用いて、さらなる試験を実施した。
【化3】

【0252】
プローブ、3−および4−ビニル−安息香酸(それぞれ3および4)の選択は、HPLCによる検出の容易さと結びついたそれらの水溶性により左右された。典型的実験において、PBS(pH7.4)中の3−ビニル安息香酸3(1mM)または4−ビニル安息香酸4(1mM)の溶液を、抗体4C6またはヒツジポリクローナル抗体(20μM)の存在または非存在下、室温で照射(312nm、0.8mW/cm−2)した。一定間隔でアリコートを取出し(20μL)、アセトニトリル:水(1:1)中へ1:3に希釈した。生成物の組成を逆相HPLCにより測定した。
【0253】
室温でのPBS(pH7.4)中の3−ビニル安息香酸3(1mM)の慣用的オゾン分解により、ベンズアルデヒド誘導体5aが生成され、それに伴い対応するエポキシド6aが〜10:1の比率で少量生成される。同様に、上記と同じ条件下、4のオゾン分解により、4−カルボキシベンズアルデヒド5bおよび対応するオキシラン5bが〜9:1の比率で誘導される。典型的実験において、PBS(pH7.4)中の3または4(1mM)の溶液を、室温でPBS(600μM)中のOの溶液に加え、5〜10分間放置した。反応水溶液へO/O混合物を吹き込むことにより、芳香族環のヒドロキシル化および断片化をまねく3および4のさらなる酸化を阻止すること以外、3および4のオゾン分解をこの方法で実施した。生成物混合および基質変換を、逆相HPLCにより解明した。Spherisorb RP18カラムおよび流速1mL/分のアセトニトリルおよび水(0.1%TFA)(30:70)の移動相を備えた日立D−7000機種でHPLC分析を実施した。紫外線検出(254nm)により、位置測定を実施した(RT3=7.84分;RT5a=4.02分;RT6a=3.82分;RT4=8.50分;RT5b=3.72分;RT6b=4.25分)。ピーク面積を、標準曲線との比較により濃度に変換した。
【0254】
好中球における抗体検出
好中球は、それらの細胞表面に抗体を有することが知られている。蛍光活性化細胞選別(FACS)を用いることにより、休止および活性化条件下で存在する一細胞当たりの免疫グロブリン分子の数を測定した。休止条件下では一細胞当たり、約50000抗体分子が存在し、活性化時には一細胞当たり約65000の抗体分子に増加した。
【0255】
結果
抗体の抗菌活性
上記で説明されている通り、抗体は、三酸化二水素(H)中間体を介して進行するプロセスにより一重項分子酸素()および水からの過酸化水素(H)の生成を触媒する。この実施例で与えられた結果は、抗体がこのプロセスを用いて細菌を効率的に殺し得ることを説明している。
【0256】
初回殺菌試験は、2株のグラム陰性菌大腸菌(XL1−ブルーおよびO−112a,c)を用いた。大腸菌XL1−BはStratageneから入手された。大腸菌O112a,c(ATCC12804)は、栄養失調および免疫無防備状態の個体に感染し得る腸侵襲性株である。Siegfried et al., J. Med. Microbiol.41、127(1994)。
【0257】
イオンは殺菌作用を有する。Berthiaume et al.、Biotechnology12、703(1994)。しかしながら、抗体によるH生成の開始は、基質への暴露を必要とする。Wentworth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、97、10930(2000)。従って、それ自体で大腸菌を殺さない生成系を使用した。抗体は、紫外線または白色光を用いて、内生または外生増感剤または化学的供給源により、または例えばアントラセン−9,10−ジプロピオン酸エンドペルオキシドの熱分解によりそれぞれ生成されたを利用し得る。従って、生成系の選択は、実験的考察、例えば反応効率および照射に対する細胞または基質感受性により左右されるだけである。これらの実験において、ヘマトポルフィリンIX(HPIX、40μM)は、の有効な増感剤として選択された。Wilkinson et al.、J.Phys.Chem.Ref.Data 22、113(1993)。4±1℃のリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4)中で1時間、白色光(光束2.7mWcm−2)で照射したとき、ヘマトポルフィリンIXが2種の大腸菌血清型(〜10細胞/mL)に対して有する殺菌活性はごく僅かに過ぎない。
【0258】
典型的な実験では、大腸菌の培養物(対数期成長、OD600=0.2〜0.3)を、細胞をペレット化(3×3500rpm)し、それらをPBS(pH7.4)に再懸濁することにより、PBS中で繰り返し洗浄した。次いで、PBS懸濁細胞をガラスバイアルに加え、4℃に冷却した。ヘマトポルフィリンIX (40μM)および抗体(20μM)を加え、バイアルを照明ボックス(可視光線、2.8mWcm−2)または暗所中4℃で置き、1時間インキュベーションした。寒天平板におけるコロニー形成単位(CFU)の回復により、生存能力を測定した。各実験を少なくともデュプリケートで実施した。
【0259】
ヘマトポルフィリンIXおよび細菌混合物にモノクローナル抗体(20μM)を加えることにより、95%を越える割合で細菌を殺した(図14A)。抗体の殺菌活性は、抗体濃度の関数であった。例えば、95%を越える割合のO112a,c細胞の殺菌は、10μMの抗原特異的マウスモノクローナル抗体15404により達成された。これらのデータは、細胞の50%を殺す有効抗体濃度(EC50)が81±6nMであったことを示している(図14B)。XL1−ブルー大腸菌株に対する特異的モノクローナル抗体(25D11)についても類似した濃度対殺菌依存性が観察され、95%を越える最大殺菌効率は約10μMで観察された。
【0260】
抗体を介する殺菌活性は、照射時間(図14C)および増加するヘマトポルフィリンIX濃度の両関数として増加した(光束を2.7mWcm−2で固定した)(図14D)。抗体を介する殺菌力はヘマトポルフィリンIX濃度および光線照射の両方に比例するという観察結果は、および水酸化経路の両方がこのプロセスにおいて重要な役割を有することを示していた。厳しく指摘すると、の非存在下では、免疫グロブリンは大腸菌の生存に対して効果をほとんど示さない。
【0261】
対照は、低温ショックおよびヘマトポルフィリンIX毒性がコロニー形成単位(CFU)のかなりの喪失に責任が無いことを示していた。さらに、共焦顕微鏡は、抗体を介する細菌細胞凝集も抗体処置群におけるCFUの損失に寄与しないことを示した。細菌細胞の蛍光分析は、ヘマトポルフィリンIX処理大腸菌細胞における膜結合増感剤の量が、抗体結合により増強されないことを示していた。最後に、抗体の殺菌作用における微量金属の役割の可能性を排除することは困難であり、EDTA(2mM)の存在は、使用した検定系における細菌の生存に対して全く影響が無かった。
【0262】
抗体の殺菌可能性は、一般的現象であると思われた。試験された全12種のマウスモノクローナル抗体(1×κγ、7×κγ2a、3×κγ2b、1×κγ3イソ型)および1ウサギポリクローナルIgG(力価120000)試料は殺菌性を示した。非特異的抗体もまた、殺菌剤を生成することができた。水酸化経路の活性化に必要なのはだけであり、上記活性化は抗体−抗原結合とは無関係であった。この点に関して、10の非特異的マウスモノクローナル抗体、1つの非特異的ヒツジ抗体調製物および大腸菌細胞表面抗原についての特異性をもたない1つのウマポリクローナルIgG試料を試験したところ、全て殺菌活性を有していた。抗原非特異的抗体の殺菌活性の効力は、抗原特異的抗体と非常に類似していることが観察された。典型的には、20μMの抗体(非特異的)は検定系において95%を越える殺菌性を示した。ウシ血清アルブミン(BSA、20μM)は検定系で殺菌性を全く呈しないため、抗体の殺菌作用は単なる非特異的タンパク質作用ではなかった。
【0263】
観察された殺菌作用の性質を洞察するため、殺された細菌の形態を電子顕微鏡により試験した。金標識二次抗体を用いて、抗体が結合している細菌細胞壁における部位と形態学的損傷の相互関係を明らかにした。
【0264】
殺菌作用は、抗原抗体結合部位での細菌細胞壁における穴の発生に伴う(図15)。採取された細菌試料内に存在する形態の範囲により立証されたところによると、このプロセスは漸進的なものであると思われた。殺菌経路には明確な段階があり、酸化損傷により水への細胞壁および原形質膜の透過性増加が誘導された。
【0265】
細菌は約30気圧の内圧下にあるため、膜の弱体化があれば破滅的破裂が誘発され得る。このプロセスは、細胞壁および細胞質間の界面で観察される僅かな分裂から始まり(図16A)、細胞質成分から細胞壁が明らかに分離されるとさらにひどくなると思われた(図16B)。水の連続流入により、細菌細胞構造の著しい湾曲および変形がもたらされ(図16C)、最終的には細胞壁および原形質膜が破壊され、抗体付着部位で細胞質成分が流出された(図16D)。この点で、抗体を介する殺菌作用により誘導される観察された形態は、細菌が食作用により破壊されるときに見られるものと類似していることは興味深い。Hofman et al.、Infect.Immun.68、449(2000)。
【0266】
殺菌剤(複数も可)の化学的性質
が水の抗体触媒酸化経路の最終生成物である場合(Wentworth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、97、10930(2000);Wentworth, Jr. et al.、Science、293、1806(2001))、Hは単独で殺菌剤となる。この結論は、Hを水(HO)および分子酸素(O)に変換するカタラーゼが、非特異的抗体の殺菌活性に対して完全な防御を築くという観察結果(図17A)により裏付けされた。
【0267】
非特異的抗体により生成されるHの量は35±5μMであった。特異的抗体により生成されるHの量は変動し得るものであった。近接の問題が、溶解状態のHおよび細菌膜の表面で生成されるH間の作用の直接比較を複雑にした。例えば、11の大腸菌抗原特異的マウスモノクローナル抗体および11の大腸菌非特異的マウスモノクローナル抗体の殺菌活性に対するカタラーゼ(13mU/mL)の防御作用を試験した。非特異的抗体による場合は全て、カタラーゼが殺菌活性を完全に弱めた。しかしながら、抗原特異的抗体については、カタラーゼによる防御範囲が使用されるモノクローナル抗体により異なり、広い範囲にわたって変動した。従って、H生成(細菌膜表面で直接または溶解状態で)の近接は、カタラーゼにより与えられた防御作用の程度に影響を及ぼした。このため、溶解状態のHの効果を、抗原非特異的抗体により生成されたHのみと比較した。
【0268】
PBS(pH7.4)中4℃で1時間、可視光線(2.7mWcm−2)によりヘマトポルフィリンIX(40μM)含有混合物を照射している間に非特異的抗体(20μM)により生じたH形成の平均速度(35±5μM/時)は、常に一定であった。この平均値は、10のマウスモノクローナルIgG、およびヒツジならびにウマポリクローナルIgG(n=12)から決定された。
【0269】
しかしながら、2種の大腸菌細胞系に対するHの毒性を定量したとき、非特異的抗体により生成されたHの量、35±5μMは、単独では殺菌活性の有効性の説明となり得ないことが明らかとなった(図17B)。この値は、細胞系がXL1−ブルーまたはO112a,cのいずれであるかにより、細菌の50%を殺すのに要求される量未満の1桁〜4桁間の範囲であった。
【0270】
抗体とHおよび/またはヘマトポルフィリンIXとHの組合せは、H単独より細菌に対する毒性が強くなかった。これらの変動を試験することにより、殺菌活性の有効性を説明する検定においてHおよび他の成分間で相互作用が起こり得るか否かを確認した。特に、以下の条件の組合せを、大腸菌O112a,cに対する殺菌活性について試験した:
1.H(2mM)および非特異的抗体(20μM);
2.H(2mM)および抗原特異的抗体(20μM);および
3.H(2mM)およびHPIX(40μM)。
【0271】
各群を1時間4℃で可視光線(2.7mWcm−2)により照射した。H(2mM)単独の場合と比較して、これらの組合せのいずれについても殺菌作用の増強は全く観察されなかった。
【0272】
大腸菌に対するHの毒性が抗体により生じるものより低いという発見により、カタラーゼによる実験の再試験が必要となった。一つの可能性は、Hが、抗体によっても生成される他の化学種と反応することにより、他の殺菌性分子(複数も可)を生じさせる、すなわち、Hを破壊することにより、カタラーゼが他の化学種の形成を阻止することであった。別の可能性は、Hになる途中で形成される殺菌性化学種がカタラーゼについての基質でもあることであった。
【0273】
さらなる実験は、オゾン(O)が抗体により生成されることを示していた。使用された水性条件下では、オゾンは非常に寿命が長い(t1/2=66秒)。すなわち、オゾンは、化学プローブ、例えば水性系におけるOの検出用感光性試薬である、インジゴカルミン1により検出されるのに充分な程度寿命が長い。Takeuchi et al.、Anal.Chem.、61、619(1989);Takeuchi et al.、Anal.Chim.Acta、230、183(1990)。水溶液中におけるインジゴカルミン1の慣用的オゾン分解により、インジゴカルミン1の特徴的な吸光度(γmax610nm、ε=20000LM−1cm−1)の退色および環状α−ケトアミド2の形成が誘導された(図18A)。
【0274】
オゾンが抗体により生成されることを証明するため、以下の実験を実施した。PBS(pH7.4)中のインジゴカルミン1(1mM)の溶液を、抗体の非存在下、紫外線(312nm、0.8mWcm−2)で照射した。退色は全く観察されなかった。しかしながら、同じ実験をヒツジポリクローナル抗体(20μM)またはマウスモノクローナル抗体33F12(20μM)の存在下で実施したとき、インジゴカルミン1の退色が観察された(図18B)。エレクトロスプレー質量分析法およびHPLC分析は、環状α−ケトアミド2がこのプロセスで形成されることを確認した。ヒツジポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体33F12は、インジゴカルミン1(1mM)の2時間の照射後に、それぞれ4.1μMおよび4.9μMの環状α−ケトアミド2をもたらした。インジゴカルミン1の環状α−ケトアミド2への抗体を介する変換の初期速度は、抗体調製物(ヒツジポリクローナルIgG=34.8±1.8nM・分−1、33F12=40.5±1.5nM・分−1)とは無関係で線型である(図18B)。
【0275】
インジゴカルミン1のC=C二重結合の酸化的開裂は、オゾン検出用感光性プローブである。Takeuchi et al.、Anal.Chem.、61、619(1989);Takeuchi et al.、Anal.Chim.Acta、230、183(1990)。しかしながら、上記開裂はオゾンに特異的なものではなかった。表2で列挙されたオキシダントによるさらなる実験を特記した条件下で実施することにより、それらのオキシダントがインジゴカルミン1を酸化し得るか否かを試験した。上記実験は、一重項酸素()がインジゴカルミン1の溶液を退色させて、酸化的二重結合開裂により環状α−ケトアミド2を形成させ得ることを確認した。紫外線照射すると、が抗体により生成される。Wentworth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、97、10930(2000);Wentworth, et al.、Science、293、1806(2001)。従って、によるインジゴカルミン1から環状α−ケトアミド2への酸化的開裂対Oによる場合の間の分析的差異を求めた。
【0276】
さらなる実験は、オゾンがオキシダントであるとき、環状α−ケトアミド2のラクタムカルボニル基への18O取り込みを観察することにより、Oによる開裂が、による開裂と区別され得ることを示した。がオキシダントであるとき、環状α−ケトアミド2のラクタムカルボニル基への上記18O取り込みは全く起こらなかった。従って、同位体取り込み実験を、H18O(>95%18O)含有リン酸緩衝液(PB、100mM、pH7.4)中で実施したところ(表2および図19)、可視光線(2.7mWcm−2)でのヘマトポルフィリンIX(40μM)の照射によりが生成された。予備実験は、18O−水においてインジゴカルミン1および2については両方とも、2のラクタムカルボニル基へではなく、インジゴカルミン1および2のケトン−カルボニル基へのゆっくりではあるが自発的な同位体取り込みが行なわれることを確立した。すなわち、2の質量スペクトルにおける診断マーカーは、2のケトンおよびラクタムカルボニル基の両方への18O取り込みに対応する二重同位体取り込みから生じる[M−H]−230フラグメントであった。このため、酸化生成物の質量スペクトルにおいて、質量ピーク[M−H]−230が、インジゴカルミン1の酸化をH18Oで化学的オゾン分解により実施したとき観察された(図19B)が、によりインジゴカルミン1を酸化したときには観察されなかった(図19C)。Gorman et al.、Singlet Oxygen Chemistry、205(1988)参照。
【0277】
インジゴカルミン1(100μM)を、ヒツジIgG(20μM)およびヘマトポルフィリンIX(40μM)の存在下、可視光線(2.8mWcm−2)で照射したとき、ラクタムカルボニルへの水の18Oの交換を示す質量スペクトルを有する酸化生成物2が形成された(図19A)。これらのデータは、抗体が存在するとき、オゾンがインジゴカルミン1のオキシダントであったことを示している。
【0278】
オゾンが抗体により生成されることをさらに実証するため、通常の炭素−炭素二重結合を含む以下の付加的化学プローブを試験した。
【化4】

【0279】
典型的実験では、3−ビニル安息香酸3(1mM)または4−ビニル安息香酸4(1mM)のPBS溶液(pH7.4)を、抗体4C6、またはヒツジポリクローナル抗体(20μM)の存在または非存在下において室温で照射した(312nm、0.8mW/cm−2)。一定間隔でアリコートを取出し(20μL)、アセトニトリル:水(1:1)中へ1:3に希釈した。逆相HPLCにより生成物の組成を測定した。
【0280】
ヒツジポリクローナルIgG(20μM)の存在下、紫外線(312nm、0.8mWcm−2)による化合物3および4(1mM)の溶液の照射により、3−カルボキシベンズアルデヒド5aおよび3−オキシラニル安息香酸6a(15:1比、3時間後3の1.5%変換)ならびに4−カルボキシベンズアルデヒド5bおよび4−オキシラニル−安息香酸6b(10:1の比、3時間後4への1.2%変換)の形成をそれぞれ誘導した。化合物3および4を慣用的方法でオゾン分解したとき、これらの生成物もまた観察される。さらに、これらの結果は、ヒツジポリクローナル抗体またはマウスモノクローナル抗体33F12の存在下で、紫外線照射されたインジゴカルミン1について観察された結果と類似しており、インジゴカルミン1の退色が観察された(図18B)。また、抗体が存在しない場合、退色は全く観察されないが、抗体の存在下では、オゾンを示す酸化生成物が観察された。
【0281】
明らかに対照的に、ヘマトポルフィリンIX(40μM)および可視光線(2.7mWcm−1)により生成されるは、類似条件下において3または4の検出可能な酸化を一切誘発しなかった。従って、3−ビニル安息香酸3および4−ビニル安息香酸4はオゾンについて選択的であり、オゾンは反応中に存在する抗体により生成されなければならない。
【0282】
活性化好中球によるオゾン生成についての証拠
好中球は、細菌に対する宿主防御にとっての中心であり、それらの細胞表面に抗体を有し、活性化されると、を含む強力なオキシダントのカクテルを生成する能力を有することが知られている。Steinbeck et al.、J.Biol.Chem.267、13425(1992);Steinbeck et al.、J.Biol.Chem.268、15649(1993)。すなわち、これらの細胞は、の非光化学的、生物学的供給源およびこの基質を活性酸素種へプロセシングし得る抗体の両方を提供する。
【0283】
体のほとんどの領域は光化学エネルギーを利用できない。このため、好中球がの細胞性供給源を提供する場合、活性化後に抗体被覆好中球により放出されたオキシダントの分析は、上記抗体によるオゾンまたはH生成が生理学的関連性を有し得るか否かについての指標を提供し得る。
【0284】
M.Markert,P.C.Andrews、およびB.M.Babior Methods Enzymol.105、358(1984)により報告された要領で、ヒト好中球を調製した。ホルボールミリスチン酸(1μg/mL)による活性化後、好中球(1.5×10細胞/mL)は、インジゴカルミン1をイサチンスルホン酸2へ酸化的に開裂するオキシダント種を生成した(図19および図20B)。次亜塩素酸(HOCl)は、好中球により生成されることが知られているオキシダントである。しかしながら、NaOCl(2mM)のPBS(pH7.4)溶液の試験ではインジゴカルミン1(100μM)は酸化されたが、インジゴカルミン1の二重結合を開裂してイサチンスルホン酸2を生じることは無かった。
【0285】
インジゴカルミン1の酸化を18O水中で実施したとき、単離された開裂生成物イサチンスルホン酸2の質量スペクトルにおける[M−H]−230質量ピークの強度により示されたところによると(図20B)、ラクタムカルボニル酸素の50%は18Oから成ることが見出された。この18O取り込みは、オゾンが抗体被覆好中球により生成されたことを示している。
【0286】
図20Aは、ホルボールミリスチン酸(1μg/mL)のPBS溶液(pH7.4)中37℃で活性化されたヒト好中球(PMS、1.5×10細胞/mL)によるインジゴカルミン1(30μM)の酸化(>)およびイサチンスルホン酸2の形成(□)の時間経過を説明している。興味深いことに、インジゴカルミン1からのイサチンスルホン酸2(可能性のある収率のほぼ50%(60μMの25.1±0.3μM)は、好中球カスケード中に観察されたもので、かなりの濃度のオキシダントが酸化経路におけるこの変換に関与していることを示している。
【0287】
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【0288】
全ての刊行物、特許および特許出願は、出典明示により本明細書中に援用される。以上、明細書において、本発明をそのある種の好ましい態様と関連させて説明し、多くの詳細を説明目的で記載しているが、本発明にはさらなる態様が追加され得ること、および本明細書記載の詳細なある種の記述に対し、本発明の基本的原理から逸脱することなく慎重に変化を加え得ることは当業者であれば容易に理解できるはずである。
【0289】
本発明の以下の主張は、明細書における前述の記載に従って本発明の可能な要素の特性確認を意図したものである。この出願は仮出願であるため、これらの主張には、通常の出願の製作および出願時に変更が加えられ得る。かかる変更が加えられる場合、上記変更は、通常出願からの特許請求の範囲に従った均等内容の範囲に影響を及ぼさないものとする。35U.S.C.111(b)によると、特許請求の範囲は仮出願には要求されない。従って、本発明の主張は、35U.S.C.§112による特許請求の範囲であるとは解釈され得ないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0290】
【図1】図1は、食細胞の酸素依存的殺菌作用を示す。およびO・−の相互変換が示されている。この活性はまた、抗体に固有の能力である。
【図2】図2は、アンプレックス・レッド検定方法に関与する化学変換段階を示す。抗体(この概略図においてIgGとして特定される)は、をO・−に変換し、これは、過酸化水素を自発的に形成できる。西洋ワサビペルオキシダーゼの存在下において、過酸化水素は、アンプレックス・レッド基質を脱アセチル化および酸化することにより、587nmでの蛍光を放射する分子を生成する。
【図3】図3は、マウスモノクローナルIgG EP2−19G2(20μM)の存在下(□)または非存在下(△)でのPBS(pH7.4)におけるH生成の初期時間経過を示す。エラー・バーは、平均からのデータの範囲を示す。
【図4】図4は、UV照射およびアンプレックス・レッド試薬によるH検出の後におけるマウス抗体1D4 Fabフラグメントの単結晶の蛍光顕微鏡写真を示す。
【図5】図5は、活性酸素種の抗体を介する触媒についての時間推移および必要とされる反応条件を示す。図5Aは、31127抗体(ウマIgG、20μM)の存在下(O)または非存在下(◆)における、ヘマトポルフィリン(40μM)および可視光線によるPBS(pH7.4)中でのH形成の時間推移を示す。図5Bは、PBS(pH7.4)中に他に何も添加しない場合(□)、またはNaNをPBS(pH7.4)(O、100μM)中にもしくはPBSのDO溶液(pH7.4)(◇)中に含む場合(◇)の、31127抗体(ウマIgG、6.7μM)の存在下におけるヘマトポルフィリン(40μM)および可視光線によるH生成の初期時間推移を示す。図5Cは、H形成速度に対する抗体タンパク質濃度(31127、ウマIgG)の影響を示す。図5Dは、31127抗体(ウマIgG、6.7μM)によるH生成速度に対する酸素濃度の影響を示す。測定値は全て、少なくともデュプリケートの実験測定の平均値である。エラー・バーは、平均値からの実験測定値の範囲である。
【図6】図6は、タンパク質の集団について測定されたH形成の初期速度および抗体との比較(表1からのデータ)を示す棒グラフである。測定値は全て、少なくともデュプリケートの実験測定の平均値である。エラー・バーは、平均値からの実験測定値の範囲である。OVA、鶏卵オボアルブミン;SOD、スーパーオキシドジスムターゼ。
【図7】図7Aは、PBS(pH7.4)中におけるウマIgG(6.7μM)のUV照射によるH形成速度を示す。図7Bは、H形成と同時に測定した、ウマIgGの326nm(励起=280nm)での蛍光放射を示す。
【図8】図8は、様々な条件下における抗体によるH生成を示す。図8Aは、免疫グロブリンおよび非免疫グロブリンタンパク質によるH生成を示す。20ECでの好気的環境条件下にて、トランスイルミネーター(フィッシャー・バイオテック)の密封バイアルに入れたリン酸緩衝食塩水(PBS)[10mMのリン酸ナトリウム、150mMのNaCl(pH7.4)]中における個々の抗体/タンパク質試料(100μL、6.7μM)の近UV(312nm、800μWcm−2)照射により検定を実施した。検定の間中、定期的間隔でアリコート(10μL)を除去した。アンプレックス・レッド法によりH濃度を測定した。各データ点を、少なくともデュプリケートの測定の平均±SEMとして記録する:●ポリクローナル(ポリ)免疫グロブリン(Ig)G、ヒト;Oポリ−IgG、ウマ;□ポリ−IgG、ヒツジ;▽モノクローナル(m)IgG(WD1−6G6)、マウス;△ポリ−IgM、ヒト;◇mIgG(92H2)、マウス;■β−ガラクトシダーゼ(β−gal);▲鶏オボアルブミン(OVA);▼α−ラクトアルブミン(α−lact);◆ウシ血清アルブミン(BSA)。図8Bは、ヒツジポリ−IgG(6.7μM、200μL)によるHの長期生産を示す。96ウェル石英板の密封ウェルにおいてPBS中8時間近UV照射する。図8A記載の要領でH濃度を測定した。図8Cは、時間経過に伴うHの抗体触媒生産に対するカタラーゼの影響を示す。マウスモノクローナル抗体PCP−21H3(IgG)の溶液(6.7μM、200μL)を、96ウェル石英板の密封ウェルにおいてPBS中で510分間照射した。アンプレックス・レッド法によりH濃度を測定し、次いでオイパーギット(Eupergit)Cに固定化したカタラーゼ(10mg、288mU)の添加により破壊した。カタラーゼを濾過により除去し、抗体溶液を420分間再照射した。速度(0〜510分)=0.368μM分−1(r=0.998);速度(511〜930分)=0.398μM分−1(r=0.987)。図8Dは、ウマポリ−IgG抗体による触媒の最大速度パーセントにおけるH濃度の影響を示す。かかるグラフにより、ウマポリ−IgGによるHの光生成に対するHのIC50が測定され得る。ウマ−IgGの溶液(6.7μM)を様々の濃度のH(0〜450μM)とインキュベーションし、図8A記載の要領でH形成の初期速度を測定した。グラフは、H形成速度対H濃度のプロットであり、225μMのIC50を表す。図8Eは、HによるHの抗体光生成の長期阻害およびH除去後における活性の完全な再確立を示す。この検定法では、H(450μM)の存在下における360分間のウマポリ−IgG(PBS、pH7.4中6.7mM)の初期UV照射を伴う。次いで、Hをカタラーゼ(オイパーギットCに固定化)により除去し、ポリ−IgG試料をさらに480分間UV光線で再照射した。検定の間中、H形成をアンプレックス・レッド検定法により測定した。図8Fは、H生成に対するカタラーゼの影響を示す。αβ−TCRの溶液(6.7μM、200μL)を、360分間、367分間および389分間、図8C記載の要領で照射した。図8C記載の要領で各照射中に生成されたHを検定し、破壊した。速度(0〜360分)=0.693μM分−1(r=0.962)。200μMを超える増殖曲線(progress curve)における曲率は、予測されたHによる阻害と一致する(下記参照)。速度(361〜727分)=0.427μM分−1(r=0.987);速度(728〜1117分)=0.386μM分−1(r=0.991)。
【図9】図9は、天然4C6 Fab(カラー写真における淡青色およびピンク色)およびHの存在下における4C6 Fab(カラー写真における紺青色および赤色)の重なりを示す。図9Aについては、天然4C6結晶を、4mMのH中に3分間浸し、SSRL BL9−1でのデータ収集用に直ちに急速冷凍した。二次および三次構造の全体的構造完全性は、Hの存在下で明らかに保存されている(RMSD Cα=0.33オングストローム、側鎖=0.49オングストローム)。RMSDをCNS中で計算した。図9Bは、Fab 4C6への安息香酸の結合を示す。高解像度X線構造は、Fab 4C6が安息香酸と交差反応性であることを示す。Hの存在下および非存在下での4C6連結部位の重なりにより、結合部位内における側鎖立体構造も保存されていることが立証されている(カラー写真において薄く、そして濃く着色した側鎖は、それぞれ+Hおよび−Hに対応する)。さらに、安息香酸についての明白な電子密度は、Fab 4C6の結合特性が4mMのHにおいて変化されていないままであることを明らかにしている。電子密度マップは、1.5σで輪郭を示した2f−fシグマ加重マップであり、図面をBobscriptで作製した。
【図10A】図10Aは、ダイオードアレイHP8452A分光光度計、Absmax280nmで測定されたウマポリクローナルIgGの吸光度スペクトルを示す。
【図10B】図10Bは、260および320nm間の波長における、ウマポリクローナルIgGの作用スペクトルを提供しており、280nmでH形成の最大活性を示す。この検定は、デュプリケートで実施され、抗体溶液[PBS中(pH7.4)6.7μM]を石英ガラス管へ加え、次いでそれを1時間SLM分光蛍光計のキセノンアークランプおよびモノクロメーターにより発せられる光ビーム中に置いた。アンプレックス・レッド検定法によりH濃度を測定した。
【図11A】図11Aは、トリプトファン(20μM)による時間経過に伴うHの生成を示す。条件および検定手順は、図8Aにおける記載と同様であった。
【図11B】図11Bは、Hの抗体を介する光生成に対する塩素イオンの影響を示す。ヒツジポリ−IgG■(6.7μM、200μL)またはウマポリ−IgG▲(6.7μM、200μL)の溶液を、凍結乾燥により乾固し、次いで塩素イオンの最終濃度が0〜160mMとなるように脱イオン水またはNaCl(水溶液)に溶かした。次いで、試料を、20ECでの好気的環境条件下、トランスイルミネーター(800μWcm−2)の密封バイアルにおいてデュプリケートで照射した。検定の間中、アリコート(10μL)を除去し、アンプレックス・レッド検定法によりH濃度を測定した。H形成速度を、各抗体試料について平均±SEM対[NaCl]としてプロットする。
【図11C】図11Cは、Hの抗体を介する光生成に対するEDTA含有緩衝液中における透析の影響を示す。2つの抗体調製物である、マウスモノクローナル抗体PCP21H3およびウマポリクローナルIgGによるHの光生成を、EDTA含有PBS(20mM)での透析の前および後に比較した。条件および検定手順は、図8Aにおける記載と同様であった。各データポイントを、少なくともデュプリケートの測定値の平均±SEMとして記録する:[●透析前のマウスmIgG PCP21H3;■透析後のマウスmIgG PCP21H3;▲透析前のポリ−IgG、ウマ;◆透析後のポリ−IgG、ウマ]。
【図12】図12は、16O含有Hまたは18O含有Hによる基質トリスカルボキシエチルホスフィン(TCEP)の酸化を示す質量スペクトルを共する。ESI(負の極性)質量スペクトルは、Hによる酸化後のTCEP[(M−H)249]およびその酸化物[(M−H)265(16O)および(M−H)267(18O)]のものを用いた。図12Aは、H18O(98%18O)PB中における16好気的条件下でのヒツジ ポリ−IgG(6.7/μM)の照射後におけるTCEPおよびその酸化物の質量スペクトルを示す。16O含有TCEP(265での大きいピーク)および18O含有TCEP(267での小さいピーク)の混合物が生成される。図12Bは、H16O PB中における濃縮された18(90%18O)好気的条件下でのヒツジ ポリ−IgG(6.7μM)の照射後におけるTCEPおよびその酸化物の質量スペクトルを示す。16O含有TCEP(265での小さいピーク)および18O含有TCEP(267での大きいピーク)の混合物が生成される。図12Cは、H16O PB中における16好気的濃縮下で実施されたポリ−IgGの照射後におけるTCEPおよびその酸化物の質量スペクトルを示す。H16OをH18Oに変えた以外、検定条件および手順は方法および材料(実施例2)に記載のとおりであった。16O含有TCEP(265での大きいピーク)のみ観察される。図12Dは、20ECで8時間、H18O PB中、嫌気的(脱気およびアルゴン下)条件下でのヒツジ ポリ−IgG(6.7μM)およびH16(200μM)の照射後におけるTCEPおよびその酸化物の質量スペクトルを示す。TCEPの添加は、方法および材料(実施例2)における記載と同様であった。16O含有TCEP(265での大きいピーク)のみ観察される。図12Eは、H18O PB中での16好気的条件下での3−メチルインドール(500μM)の照射後におけるTCEPおよびその酸化物の質量スペクトルを示す。16O含有TCEP(265での大きいピーク)のみ観察される。3−メチルインドールは分子量が低すぎるため、サイズ排除濾過を実施しなかったこと以外、検定条件および手順は、方法および材料(実施例2)に記載のとおりであった。従って、TCEPを、3−メチルインドール含有PB溶液に加えた。図12Fは、H18O PB中での16好気的条件下、β−gal(50μM)の照射後におけるTCEPおよびその酸化物の質量スペクトルを示す。16O含有TCEP(265での大きいピーク)のみ観察される。検定条件および手順は、方法および材料(実施例2)に記載のとおりであった。
【図13】図13は、材料および方法(実施例2)に記載された抗体4C6におけるXe結合部位を示す。図13Aは、Fab 4C6のCαトレースの標準側面図であり、カラー写真においてピンク色は軽鎖および青色は重鎖である。3個の結合したキセノン原子(カラー写真における緑色)を、5σで輪郭を示した初期F−F電子密度マップと共に示されている。図13Bは、保存されたキセノン部位1の周囲のFab 4C6および2C αβ TCR(PDB/TCR)のオーバーレイである。V主鎖Cαトレース(カラー写真におけるピンク色)および側鎖(カラー写真における黄色)、ならびに2C αβ TCRの対応するVα(カラー写真における赤色および金色)を重ね合わせる(Insight2000を用いて作製された図面)。
【図14】図14は、抗体による細菌致死力を示す。図14Aは、異なる実験条件下における大腸菌(E.coli)XL1−ブルーおよびO112a,c株の生存を示す棒グラフである。生存は、実験開始時点(t=0分)でのコロニー形成単位(CFU)のパーセントとして、回復したCFUとして記録されている。黒色(斜線)バーおよび淡灰(白)色バーは、淡灰色グループ(2、4、6、8、10および12)が可視光線(2.7mWcm−2)に60分間暴露され、黒色グループ(1、3、5、7、9および11)が60分間暗所に置かれたこと以外、同一実験条件に対応している。細菌細胞密度は約10細胞/mLであった。記録された各データポイントは、以下の条件下における大腸菌XL1−ブルー(グループ1〜6)およびO112a,c(グループ7〜12)の平均±SEM(n=6)である。グループ1〜2は、4℃でPBS、pH7.4中におけるXL1−ブルー細胞。グループ3〜4は、4℃でPBS、pH7.4中におけるHPIX(40μM)、XL1−ブルー細胞。グループ5〜6は、4℃でPBS、pH7.4中におけるXL1−ブルー−特異的モノクローナル抗体(25D11、20μM)、ヘマトポルフィリンIX(40μM)、XL1−ブルー細胞。グループ7〜8は、4℃でPBS、pH7.4中におけるO112a,c細胞。グループ9〜10は、4℃でPBS、pH7.4中におけるHPIX(40°M)、O112a,c細胞。グループ11〜12は、4℃でPBS、pH7.4中におけるO112a,c−特異的モノクローナル抗体(15404、20μM)、ヘマトポルフィリンIX(40μM)、O112a,c細胞。図14Bは、大腸菌O112a,cの生存に対する抗体濃度の影響をグラフに示したものである。使用した抗体は、O112a,c特異的モノクローナル抗体である、15404であった。記録された各データポイントは、平均値±SEM(n=3)である。細胞の50%の致死(EC50)に対応する15404抗体の濃度は、81±6nMであった。図14Cは、大腸菌XL1−ブルー−特異的マウスモノクローナル抗体12B2の殺菌作用に対する照射時間の影響をグラフで示したものである。グラフは、ヘマトポルフィリンIX(40μM)および12B2(20μM)の存在下における照射時間(2.7mWcm−2)対大腸菌XL1−ブルーの生存を示す。記録された各データ点は、平均値±SEM(n=3)である。細胞の50%の致死に対応する照射時間は、30±2分であった。図14Dは、ヘマトポルフィリンIX濃度に対する抗体駆動殺菌作用の依存性を示す。使用した抗体は、大腸菌XL1−ブルー特異的マウスモノクローナル抗体25D11であった。グラフは、大腸菌XL1−ブルーの生存対ヘマトポルフィリンIXの一連濃度への暴露を示す。以下の条件を使用した:60分間(>)、暗所中4℃でPBS、pH7.4中におけるXL1−ブルー細胞。白色光(2.7mWcm−2)中、4℃でPBS、pH7.4中におけるXL1−ブルー細胞(△)。60分間暗所中、4℃でPBS、pH7.4中における25D11(20μM)、XL1−ブルー細胞(◆)。60分間白色光(2.7mWcm−2)中、4℃でPBS、pH7.4中における25D11(20μM)、XL1−ブルー細胞(◇)。
【図15】図15は、抗原特異的マウスモノクローナルIgG(15404、20μM)、PBS中のヘマトポルフィリンIX(40μM)および可視光線への、4℃で1時間の暴露後の大腸菌O112a,c細胞の電子顕微鏡写真である(<5%生存可能)。抗体付着部位を視覚化するため、金標識したヤギ抗マウス抗体を殺菌検定完了後に加えた。抗原非特異的抗体の殺菌活性の効力は、抗原特異的抗体と非常に類似していることが観察された。典型的には、20μMの抗体(非特異的)は、本検定系において>95%殺菌性であった。
【図16】図16A〜Cは、非特異的マウスモノクローナルIgG抗体(84G3、20μM)、PBS中のヘマトポルフィリンIX(40μM)および可視光線への4℃で1時間暴露後の大腸菌XL−1−ブルー細胞の電子顕微鏡写真である(1%生存可能)。図16Aにおける矢印は、細胞質内容物からの細胞膜の予備的分離に向いている。図16Dは、抗原特異的マウスモノクローナルIgG(15404、10μM)、PBS中のヘマトポルフィリンIX(40μM)および可視光線への室温で1時間暴露後の大腸菌O112a,c血清型の電子顕微鏡写真である(<5%生存可能)。当業界で利用可能な手順を用いて金標識を実施した。
【図17A】図17Aは、大腸菌XL1−ブルーに対する抗体の殺菌作用に対するカタラーゼの影響を明らかにしている[実験開始時点(t=0分)でのコロニー形成単位(CFU)のパーセントとして、採取されたCFUとして記録されている]。カタラーゼは、Hを水(HO)および酸素分子(O)に変換する。各グループを、4℃で60分間白色光(2.7mWcm)により照射した。細菌細胞密度は〜10−7細胞/mLであった。実験グループ(1〜7)を以下の要領で処理した:グループ1は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞およびヘマトポルフィリンIX(40μM)。グループ2は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞および非特異的マウスモノクローナル抗体84G3(20μM)。グループ3は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞、ヘマトポルフィリンIX(40μM)およびモノクローナル抗体84G3(20μM)。グループ4は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞、ヘマトポルフィリンIX(40μM)、モノクローナル抗体84G3(20μM)およびカタラーゼ(13mU/mL)。グループ5は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞および特異的ウサギポリクローナル抗体(20μM)。グループ6は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞、ヘマトポルフィリンIX(40μM)および特異的ウサギポリクローナル抗体(20μM)。グループ7は、PBS(pH7.4)中における大腸菌XL1−ブルー細胞、ヘマトポルフィリンIX(40μM)、特異的ウサギポリクローナル抗体(20μM)およびカタラーゼ(13mU/mL)。各点は、多重実験の平均値±SEMとして記録されている(n=6)。記号**は、同じ時点での対照に対する<0.01のp値を示す。殺菌活性は、暗所対照のいずれからも観察されなかった(データは示さず)。
【図17B】図17Bは、大腸菌XL1−ブルーおよびO112a,c血清型の生存能力に対するHの濃度依存的毒性を示す。垂直な点線は、上記図14およびHofman らの、Infect.Immun.68、449(2000)に記載の条件を用いることによる、60分間インキュベーション中に抗体により生成されると予測されるHの濃度である。35±5μM Hの値は、12の異なるモノクローナル抗体の少なくともデュプリケートの検定から測定された平均値である。
【図18】図18は、カタラーゼの存在下および非存在下でのPBS(pH7.4)中における抗体のUV照射(312nm、0.8Wcm−2)中におけるインジゴカルミン1(1mM)からのイサチンスルホン酸2の光生成の進行を示す(Steinbeck et al.、J.Biol.Chem.267、13425(1992))。各ポイントは、少なくともデュプリケートの測定の平均±SEMとして記録されている。Graphpad Prism v.3ソフトウェアにより一次回帰分析を実施した。イサチンスルホン酸2の形成速度(ν)は、以下の条件下で観察された:ヒツジ ポリクローナルIgG(20μM)(●)ν=34.8±1.8nM/分;マウス モノクローナル抗体33F12(20μM)(□)ν=40.5±1.5nm/分;ヒツジ ポリクローナルIgG(20μM)および可溶性カタラーゼ(13mU/mL)(△)ν=33.5±2.3nM/分;マウス モノクローナル抗体33F12(20μM)および可溶性カタラーゼ(13mU/mL)(▽)ν=41.8±1.2nM/分。
【図19】図19A〜Cは、様々な条件下における室温でのH 18O(>95%18O)リン酸緩衝液(PB、100mM、pH7.4)中におけるインジゴカルミン1(1mM)の酸化中に生成されたイサチンスルホン酸2[(MH)−226、(M−H)−228(18O)および(M−H)−(2×18O)]の電子スプレーイオン化(負の極性)質量スペクトルを示す。図19Aは、5分間化学的オゾン分解(PB中600μM)によりインジゴカルミン1の酸化中に生成されたイサチンスルホン酸2の質量スペクトルである。図19Bは、4時間ヘマトポルフィリンIX(40μM)およびヒツジポリIgG(20μM)の白色光(2.7mWcm−2)での照射によりインジゴカルミン1の酸化中に生成されたイサチンスルホン酸2の質量スペクトルを示す。図19Cは、4時間白色光(2.7mWcm−2)でのヘマトポルフィリンIX(40μM)の照射によりインジゴカルミン1の酸化中に生成されたイサチンスルホン酸2の質量スペクトルを示す。
【図20A】図20Aは、インジゴカルミン1(30μM)の酸化(>)および37℃でPBS(pH7.4)中のホルボールミリスチン酸(1μg/mL)で活性化されたヒト好中球(PMN、1.5×10細胞/mL)による2の形成(□)の時間経過を示す。インジゴカルミン1の酸化は、活性化されていないPMNでは全く起こらなかった(データは示さず)。前記要領で好中球を調製した。次亜塩素酸(HOCl)は、好中球により生成されることが知られているオキシダントである。我々の実験では、PBS(pH7.4)中のNaOCl(2mM)は、1(100μM)を酸化するが、1の二重結合を開裂してイサチンスルホン酸2を生じさせることはない。
【図20B】図20Bは、図20A記載の条件下、活性化されたヒト好中球によるインジゴカルミン1の酸化中に生成されたイサチンスルホン酸2の陰イオン電子スプレー質量スペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類における免疫応答についての検定方法であって、(a)活性酸素種についての化学プローブを哺乳類に投与し、(b)哺乳類から試料を得、そして(c)化学プローブの酸化生成物について試料を分析することを含む方法。
【請求項2】
化学プローブが、酸化され得、かつ検出可能な酸化生成物を生じるアルケンである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
化学プローブが、3−ビニル−安息香酸、4−ビニル−安息香酸、インジゴ・カルミン、スチルベンまたはコレステロールである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
活性酸素種が、抗体により生成される酸素種である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
活性酸素種が、スーパーオキシドラジカル、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカルまたは過酸化水素である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
活性酸素種が、オゾンまたはオゾンの化学的特性を有する化学種である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
試料が体液である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
体液が、全血、血清、血漿、滑液、リンパ液、尿、唾液、粘液または涙液である、請求項5記載の方法。
【請求項9】
試料が組織試料である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
化学プローブの酸化生成物が、高速液体クロマトグラフィー、質量分析法、紫外線分光光度法、可視光線分光光度法、液体クロマトグラフィー、ガススペクトロメトリー、または質量分析法と接続した液体クロマトグラフィーにより検出される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
哺乳類における炎症応答についての検定方法であって、(a)活性酸素種についての化学プローブを哺乳類に投与し、(b)哺乳類から試料を得、そして(c)化学プローブの酸化生成物について試料を分析することを含む方法。
【請求項12】
化学プローブが、酸化され得、かつ検出可能な酸化生成物を生じるアルケンである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
化学プローブが、3−ビニル−安息香酸、4−ビニル−安息香酸、インジゴ・カルミン、スチルベンまたはコレステロールである、請求項11記載の方法。
【請求項14】
活性酸素種が、抗体により生成される酸素種である、請求項11記載の方法。
【請求項15】
活性酸素種が、スーパーオキシドラジカル、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカルまたは過酸化水素である、請求項11記載の方法。
【請求項16】
活性酸素種が、オゾンまたはオゾンの化学的特性を有する化学種である、請求項11記載の方法。
【請求項17】
試料が体液である、請求項11記載の方法。
【請求項18】
体液が、全血、血清、血漿、滑液、リンパ液、尿、唾液、粘液または涙液である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
試料が組織試料である、請求項11記載の方法。
【請求項20】
化学プローブの酸化生成物が、高速液体クロマトグラフィー、質量分析法、紫外線分光光度法、可視光線分光光度法、液体クロマトグラフィー、ガススペクトロメトリー、または質量分析法と接続した液体クロマトグラフィーにより検出される、請求項11記載の方法。
【請求項21】
(a)哺乳類から好中球試料を得、(b)好中球試料にて好中球を活性化し、そして(c)活性酸素種が好中球試料から検出され得るか否かを観察することを含む、好中球活性についてのインビトロ検定方法。
【請求項22】
活性酸素種が、好中球により生成される酸素種である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
活性酸素種が、抗体により生成される酸素種である、請求項21記載の方法。
【請求項24】
活性酸素種が、スーパーオキシドラジカル、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカルまたは過酸化水素である、請求項21記載の方法。
【請求項25】
活性酸素種が、オゾンまたはオゾンの化学的特性を有する化学種である、請求項21記載の方法。
【請求項26】
活性酸素種が化学プローブにより検出される、請求項21記載の方法。
【請求項27】
化学プローブが、酸化され得、かつ検出可能な酸化生成物を生じるアルケンである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
化学プローブが、3−ビニル−安息香酸、4−ビニル−安息香酸、インジゴ・カルミン、スチルベンまたはコレステロールである、請求項26記載の方法。
【請求項29】
活性酸素種が好中球試料に存在するか否かを測定するために、化学プローブの酸化生成物を検出する、請求項27記載の方法。
【請求項30】
酸化生成物が、高速液体クロマトグラフィー、質量分析法、紫外線分光光度法、可視光線分光光度法、液体クロマトグラフィー、ガススペクトロメトリー、または質量分析法に接続した液体クロマトグラフィーにより検出される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
好中球活性をモジュレーションし得る薬剤の同定方法であって、(a)哺乳類から好中球試料を得、(b)好中球試料を試験薬剤に暴露し、(c)好中球試料中の好中球を活性化し、そして(d)好中球試料により生成される活性酸素種の量を定量することを含む方法。
【請求項32】
前記方法が、試験薬剤には暴露されなかったが同一哺乳類から得られる好中球試料により生成される活性酸素種の量を定量することをさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
好中球試料が体液である、請求項31記載の方法。
【請求項34】
体液が、全血、滑液またはリンパ液である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
好中球試料が組織試料である、請求項31記載の方法。
【請求項36】
活性酸素種が好中球により生成される酸素種である、請求項31記載の方法。
【請求項37】
活性酸素種が抗体により生成される酸素種である、請求項31記載の方法。
【請求項38】
活性酸素種が、スーパーオキシドラジカル、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカルまたは過酸化水素である、請求項31記載の方法。
【請求項39】
活性酸素種が、オゾンまたはオゾンの化学的特性を有する化学種である、請求項31記載の方法。
【請求項40】
活性酸素種の量を化学プローブにより定量する、請求項31記載の方法。
【請求項41】
化学プローブが、酸化され得、かつ検出可能な酸化生成物を生じるアルケンである、請求項40記載の方法。
【請求項42】
化学プローブが、3−ビニル−安息香酸、4−ビニル−安息香酸、インジゴ・カルミン、スチルベンまたはコレステロールである、請求項40記載の方法。
【請求項43】
化学プローブの酸化生成物を定量する、請求項40記載の方法。
【請求項44】
酸化生成物を、高速液体クロマトグラフィー、質量分析法、紫外線分光光度法、可視光線分光光度法、液体クロマトグラフィー、ガススペクトロメトリー、または質量分析法に接続した液体クロマトグラフィーにより定量する、請求項43記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図14A】
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【図14C】
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【図15】
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【図17B】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20】
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【公表番号】特表2006−506613(P2006−506613A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551020(P2004−551020)
【出願日】平成15年11月13日(2003.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012710
【国際公開番号】WO2004/044582
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【出願人】(593052785)ザ スクリップス リサーチ インスティテュート (91)
【Fターム(参考)】