説明

抗体産生細胞を同定するためのアッセイ

本発明は、a)抗体産生細胞集団を提供すること、b)前記抗体産生細胞集団を選択した抗原及び標識抗抗体抗体と共にインキュベートすることであって、前記抗抗体抗体は前記選択した抗原に結合する抗体を産生する細胞とそうでない細胞とを区別することができること、及びc)前記選択した抗原に結合する抗体を産生することができる抗体産生細胞を同定することを含む前記選択した抗原に結合する抗体を産生する抗体産生細胞を同定するための均一系アッセイを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、改善された抗体産生法に関し、より具体的には抗体を得るための均一系アッセイを提供する。
【背景技術】
【0002】
モノクローナル抗体を作製するための選択的リンパ球抗体法(SLAM)は、in vivoにおける免疫応答中に生じる高親和性抗体を任意の種から単離することを可能にすることによって、ハイブリドーマ技術及び細菌発現抗体のライブラリー両者の限界を克服する(Babcook他、1996、Proc.Natl.Acad.Sci、93、7843〜7848)。SLAMによって、目的とする特異性又は機能を備えた1種類の抗体を産生する1個のリンパ球を大きなリンパ球集団から同定することが可能で、その抗体の特異性をコード化する遺伝情報をそのリンパ球から取り出すことも可能である。選択した抗原に結合する抗体を産生する抗体産生細胞は、適合溶血プラークアッセイを使用して検出する(Jerne and Nordin、1963、Science、140、405)。このアッセイでは、赤血球を選択抗原でコーティングし、抗体産生細胞集団及び補体源と共にインキュベートする。単一の抗体産生細胞を、溶血プラーク形成によって同定する。溶解した赤血球のプラークは、倒立顕微鏡を使用して同定し、目的の単一の抗体産生細胞は、プラークの中心で顕微操作技術を使用して取り出し、該細胞の抗体遺伝子は逆転写PCRによってクローニングする。所望する機能を備えた単一の抗体産生細胞のその他の検出方法は、国際特許明細書、WO92/02551に既に記載されている。
【0003】
前述の溶血プラークアッセイにおいては一般的に、抗体をビオチン化する必要があるビオチン/ストレプトアビジン結合系によって赤血球を抗体でコーティングする。したがって、この方法は、純粋な形態で入手できる抗体及び抗原決定基の提示に影響を及ぼさずにビオチン化することができる抗体に限定される。この方法では、広範囲の抗体に対する抗体の単離は明らかに不可能である。たとえば、多くの蛋白質、特にIII型蛋白質などの細胞表面発現蛋白質を精製することは困難である。多くの蛋白質は、たとえば活性部位にリジン基を含有する蛋白質は、ビオチン化によって所望する抗原決定基の立体構造及び提示が変更されてしまう。
【0004】
未知の抗原、たとえば、腫瘍細胞などの細胞表面に発現する蛋白質に対する抗体の産生が所望されることもまたあり得る。抗体産生細胞を含有するプラークを同定するために細胞溶解を起こさせる必要があることを考慮すると、プラークアッセイにおいて抗原コーティング赤血球の代わりに腫瘍細胞を直接使用することは、実現困難である。細胞溶解は細胞の種類、抗原及び抗体濃度に左右される。所望する抗原でコーティングされた赤血球細胞は、大量の使用可能な抗体と結合し、補体が存在すれば容易に溶解する。腫瘍細胞などのその他の細胞は、表面抗原の利用性が非常に低く、したがって抗体結合が非常に少ないときは特に、容易には溶解しない。
【0005】
本発明は、改善された抗体産生方法を提供することによって、具体的には抗体を得るための均一系アッセイを提供することによって、これらの問題に対処する。この改善されたアッセイは、前述の方法よりも多くの利点を備えており、未知の抗原、細胞表面抗原及び所望する抗原決定基の提示を変更せずにビオチン化することができない抗原を含めたいかなる抗原とも結合する抗体の同定を可能にする。結果として、従来のプラークアッセイでは今まで同定できなかった結合特異性を備えた抗体を産生することが今ではできるようになった。さらに、該アッセイは赤血球プラークアッセイよりも手軽で、抗体産生細胞をより迅速に同定することができる。
【0006】
本発明者らは、抗体産生細胞によって産生した抗体に結合する標識抗体の存在下で、抗体産生細胞集団を抗原源と共にインキュベートすることによって、抗原に結合する抗体を産生する抗体産生細胞を得ることが可能であることを示した。驚くべきことに、未結合標識を除去する洗浄段階を必要とせずに、抗原に結合する抗体を産生する細胞をそうでない細胞と区別することが可能である。
【0007】
したがって、本発明では、
a)抗体産生細胞集団を提供すること、
b)前記抗体産生細胞集団を選択した抗原及び標識抗抗体抗体と共にインキュベートすることであって、前記抗抗体抗体は前記選択した抗原に結合する抗体を産生する細胞とそうでない細胞とを区別することができること、及び
c)前記選択した抗原に結合する抗体を産生する抗体産生細胞を同定すること
を含む、選択した抗原に結合する抗体を産生する抗体産生細胞を同定するための均一系アッセイを提供する。
【0008】
本明細書では、「抗体」という用語には、組換えによって、又は天然に生じたIgG型の構成要素、たとえばIgG1などの免疫グロブリン分子が含まれ、任意の抗原結合免疫グロブリン断片、たとえば、Fv、Fab’及びF(ab’)断片、及び任意のそれらの誘導体、たとえば1本鎖Fv断片もまた含まれる。
【0009】
本明細書では、「抗体産生細胞」という用語は、Bリンパ球、血漿細胞、形質芽細胞、活性化B細胞又は記憶B細胞などの抗体を分泌することができる任意の細胞を意味する。本発明で使用するための抗体産生細胞は、抗原で免疫した動物か、又は疾患の結果として抗原に対する免疫応答が生じた動物から得ることができる。本発明で使用するためのその他の抗体産生細胞には、任意の形質転換細胞、特に免疫グロブリン遺伝子又はその一部を発現する哺乳類細胞を含めることができる。一例としては、本発明で使用するための抗体産生細胞集団は、異なる結合特異性を備えた様々な抗体を産生する。
【0010】
本発明のアッセイはまた、いずれも同じ抗体を産生する抗体産生細胞集団から高収率で抗体を産生する細胞を同定するのに使用できる。本明細書では、「高収率」という用語は、特異性が既知である抗体を産生するが、そのために最も効率的に抗体を産生する細胞を同定することが望ましい抗体産生細胞のことである。高収率細胞を同定することによって、細胞を単離して、クローニングによって再生産することが可能である。一例では、高収率抗体産生細胞はハイブリドーマ細胞である。他の例では、高収率抗体産生細胞は形質転換細胞、特に免疫グロブリン遺伝子又はその一部を発現する哺乳類細胞である。このような哺乳類細胞の例には、NS0、CHO、COS及び293細胞が含まれるが、これだけには限定されない。
【0011】
本明細書では、「抗原」という用語は、蛋白質、糖蛋白質及び炭水化物を含めた抗体によって認識され得る既知の、又は未知の物質を意味する。好ましくは、これらの抗原には、生物学的に活性のある蛋白質、たとえば、ホルモン、サイトカイン、それらの細胞表面受容体、細菌又は寄生虫の細胞膜又はそれらの精製成分、及びウイルス抗原が含まれる。一例では、該抗原は天然材料から直接精製することによって、又は組換え発現及び前記抗原の精製によって得られた純粋な形態で利用することができる。精製した抗原は、アッセイに組み込むために赤血球又はビーズなどのその他任意の粒子に結合させることが好ましい。他の例では、該抗原は精製が困難なものであり、このような抗原には受容体、特にIII型蛋白質などの細胞表面発現蛋白質が含まれるがそれだけには限定されない。他の例では、抗原上への所望する抗原決定基の提示は、ビオチン化のときに変更され、これらには活性領域にリジンを含有する蛋白質が含まれるがそれだけには限定されない。他の例では、該抗原は細胞表面上に天然に、又は組換えによって発現することができる。このような細胞には、哺乳類細胞、免疫調節細胞、リンパ球、単球、多形細胞、T細胞、腫瘍細胞、酵母細胞、細菌細胞、感染因子、寄生虫、植物細胞、NS0、CHO、COS、293細胞などのトランスフェクト細胞が含まれるがこれだけには限定されない。一例では、前記細胞の表面上で発現した抗原は、精製が困難な抗原又は前述した抗原のようにビオチン化のときに所望する抗原決定基が失われる抗原である。
【0012】
他の例では、抗原は抗体を単離するために望ましい1個の細胞又は細胞集団であり、たとえば、哺乳類細胞、免疫調節細胞、リンパ球、単球、多形細胞、T細胞、腫瘍細胞、酵母細胞、細菌細胞、感染因子、寄生虫、植物細胞である。一実施形態では、該細胞は腫瘍細胞である。
【0013】
本明細書では、「均一系アッセイ」という用語は、アッセイの構成成分全てを一緒にして未結合の標識抗抗体抗体を除去する必要なく抗体産生細胞を同定するアッセイのことである。「標識抗抗体抗体」という用語は、抗体の結合特異性に関係なく、抗体産生細胞によって産生された抗体の任意領域に結合する標識抗体のことである。前記抗抗体抗体はある種から得、一方該抗体産生細胞は他の種から得ることが好ましい。これらの抗体は、抗体産生細胞によって産生された抗体のFc部分に結合することが好ましい。
【0014】
該標識抗抗体抗体は、選択抗原に結合する抗体を産生する細胞をそうでない細胞と区別することができる。適切な標識は当業界では周知で、化学ルミネセンス、酵素及び蛍光標識が含まれるがこれだけには限定されない。好ましい標識は蛍光標識である。抗抗体抗体に結合させる蛍光標識は、任意の蛍光標識であることが可能で、Aqua、テキサスレッド、FITC、ローダミン、ローダミン誘導体、フルオレセイン、フルオレセイン誘導体、cascade blue、Cy5及びフィコエリトリンが含まれるがそれだけには限定されない。好ましい蛍光複合体はFITCである。したがって、本発明によるアッセイの具体的な一例では、抗体産生細胞はウサギから得られ、標識抗抗体抗体は蛍光標識ヤギ抗ウサギ抗Fc抗体である。
【0015】
本発明のアッセイでは、選択抗原に結合する抗体を産生する抗体産生細胞は、前記細胞を取り囲む標識抗抗体抗体の濃度の増加を検出することによって、そうでない細胞から区別される。これは、標識抗抗体抗体、したがって前記抗体によって取り囲まれた抗体産生細胞を視覚化することによって実現することが好ましい。一例では、顕微鏡を使用して実現する。該標識は、水銀蒸気紫外線ランプ及び使用した複合体に適したフィルター装置を備えた倒立顕微鏡を使用して検出することが好ましい。好ましいフィルター装置は、フルオレセインフィルター装置である。したがって、一例では、概標識が蛍光標識であれば、選択抗原に結合する抗体を産生する抗体産生細胞は、前記細胞を取り囲む蛍光の増加の位置を特定することによって同定される。
【0016】
本発明はまた、
a)抗体産生細胞集団を提供すること、
b)前記抗体産生細胞集団を選択した抗原及び標識抗抗体抗体と共にインキュベートすることであって、前記抗抗体抗体は選択した抗原に結合する抗体を産生する細胞とそうでない細胞とを区別することができること、
c)選択した抗原に結合する抗体を産生する抗体産生細胞を同定すること、
d)抗体産生細胞を単離して同定すること、及び場合によっては、
e)それらから得られた抗体を合成すること
を含む選択した抗原に結合する抗体の産生方法を提供する。所望するならば、工程(d)及び(e)を複数回繰り返して、複数の抗体産生細胞を単離し、複数の抗体を合成することができる。したがって、本発明は、前記の方法によって同定された少なくとも一種類の抗体産生細胞及び前記細胞から合成された少なくとも一種類の抗体にも適用される。
【0017】
本明細書で説明した均一系アッセイを使用して同定した抗体産生細胞は、当業界で周知の顕微操作技術を使用してアッセイから直接単離する。
【0018】
抗体は、単離した抗体産生細胞から直接的に、又は間接的に合成することができる。直接的合成は、単離した抗体産生細胞を適切な培地で培養することによって実現することができる。間接的合成は、該抗体をコード化する遺伝子又はその一部を単離し、当業界で周知の方法を使用して宿主細胞で発現させることによって実現することができる。抗体遺伝子を含有するベクターを宿主細胞にトランスフェクトし、所望する特異性を備えた抗体又は抗体断片を宿主細胞で産生させるように該宿主細胞は適切な培地中で培養する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明で使用するための抗体産生細胞は、選択抗原で免疫したか、又は疾患の結果として抗原に対する免疫応答が生じた動物を含む適切な原料から得ることができる。
【0020】
免疫応答を引き起こすために適切な当業界で周知の技術のいずれかを使用して、動物を選択した抗原で免疫することができる(「実験免疫学のハンドブック(Handbook of Experimental Immunology)」、D.M.Weir(著)、Vol 4、Blackwell Scientific Publishers、Oxford、England、1986を参照のこと)。抗体産生細胞を得るために、ヒト、ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ウシ又はブタなどの多くの温血動物を免疫することができる。しかし、一般にはマウス、ウサギ及びラットが好ましい。
【0021】
多数の抗体産生細胞は、免疫した動物の脾臓及びリンパ節に見いだすことができ、一旦免疫応答が生じたら、動物を犠牲にし、リンパ節を取り出す。抗体産生細胞の単一細胞懸濁液は、当業界で周知の技術を使用して調製する。抗体産生細胞はまた、疾患の最中に該細胞を産生する動物から得ることができる。たとえば、原因不明の疾患、たとえば癌に罹患したヒトから得られた抗体産生細胞を入手して、該疾患過程に影響を及ぼすか、又は該疾患の原因に関係する因子又は体成分の同定を導くことができる抗体の同定を促進するために使用することができる。同様に、抗体産生細胞は、原因不明の疾患、たとえばマラリア又はAIDSに罹患した患者から得ることができる。これらの抗体産生細胞は、血液又はリンパ節、並びに疾患組織又は正常組織から得ることができる。
【0022】
抗体産生細胞はまた、in vitro免疫法などの培養技術によって得ることができる。このような方法の例は、Enzymology 121:18〜33においてC.R.Readingによって記載されている(J.J.Langone、H.H.van Vunakis(著)、Academic Press Inc.、N.Y.)。抗体産生細胞は又、従来のハイブリドーマ技術によって作製された前初期モノクローナル抗体又はオリゴクローナル抗体融合培養から得ることができる。
【0023】
抗体産生細胞の集団は、その他の細胞に対する抗体産生細胞の大きさ又は密度に基づいた方法によって、該アッセイで使用するために濃縮することができる。密度によって細胞を分離するためにPercollを使用する例は、van Mourik及びW.P.ZeizlmakerよってMethod in Enzymology 121:174〜182(J.J.Langone、H.H.van Vunakis(著)、Academic Press Inc.、N.Y.)に記載されている。牛血清アルブミン溶液の密度勾配を使用してまた、密度によって細胞を分離することができる(N.Moav and T.N.Harris、J.Immunol.105、1512、1970参照、Raid、D.J.in Selected Methods in Cellular Immunology、B.Misheli and S.Shiigi(著)、W.H.Freeman and Co.、San Francisco、1987も参照のこと)。フィコール−ハイパーク(Pharmacia、Uppsula、Sweden)で遠心することによって分離を実施することが好ましい。所望する抗体産生細胞が最も濃縮された画分は、所望する結合特異性を備えた抗体を含有し得る集団を選択するELISAベースのアッセイを使用して、予備手段で決定することができる。代わりに、又は付け加えて、所望する抗体が最も濃縮化されている画分を機能アッセイによって決定することができる。
【0024】
該アッセイでは、所望する結合特性を備えた抗体を産生することが推測される抗体産生細胞集団は、適切な培地に懸濁してから該アッセイで使用する。該アッセイに適した培地は、細胞強度及び細胞構造を短期間維持するために少なくとも最小限の必要条件を備えたもの、たとえば等張緩衝液である。このような培地には、Roswell Park Memorial Institute培地(RPMI)+10%牛胎児血清、2−β−メルカプトエタノール50μM、グルタミン2mM、Hepes20mM、及び1×ペニシリン及びストレプトマイシンを含む免疫細胞培地が好ましい。
【0025】
このような条件下で、抗体産生細胞は抗体を産生し分泌する。抗体産生細胞は該培地中で、単一又は少数の抗体産生細胞の選択が可能となる密度まで希釈する。どの細胞がアッセイによって示される活性に寄与するのか分からない場合、又は該活性を確認するために、選択細胞(群)が所望する結合特性を備えた抗体を産生する能力を再試験することができる。
【0026】
該アッセイで使用する抗原は、前述のように、蛋白質、糖蛋白質、炭水化物及び細胞全体、たとえば腫瘍細胞又は表面上に抗原を発現するトランスフェクト細胞を含めた抗体を産生することができるいかなる物質であってもよい。一例では、該抗原は公知で、純粋な形態で入手することができ、測定に組み込むために赤血球又はビーズなどのその他任意の粒子の表面上にコーティングされる。粒子を抗原でいくつかのコーティングする方法は、当業者であれば知っている。これらには、塩化第2クロム法又は可溶性カルボジイミド法が含まれる。一実施形態では、ビオチン/ストレプトアビジン結合系を使用して抗原を赤血球に結合させ、その方法はWO92/02551に詳述されている。
【0027】
他の例では、該抗原を市販のビーズ(たとえば、New England Biolabsから購入できるもの)に結合させる。抗原は、いくつかの様々な方法を使用して、好ましくは活性化ビーズへの直接結合又はビオチン対ストレプトアビジン結合ビーズを介して、ビーズに結合することができる。これらのビーズは、扱いが容易な磁石が好ましい。
【0028】
他の例では、抗原の所望する抗原決定基がビオチン化で失われてしまうときには特に、抗原に結合するポリクローナル抗体を介して該抗原を粒子表面上に結合させる。抗原−ポリクローナル抗体−粒子複合体を調製するために、ポリクローナル抗体をまず、ビーズなどの粒子表面上に、適切な任意の方法、たとえばビオチン対ストレプトアビジン結合ビーズを介して結合させる。該ポリクローナル抗体−粒子複合体を次に、過剰な抗原とインキュベートさせて該ポリクローナル抗体を該抗原に結合させる。該抗原−ポリクローナル抗体−粒子複合体を次に未結合抗原から、たとえば遠心によって分離し、該アッセイに組み込む。該複合体に使用する該ポリクローナル抗体は、当業界で公知の任意の適切な方法を使用して、免疫原として所望する抗原を使用して、任意の適切な種で産生することができる。該ポリクローナル抗体は、完全なIgG、又はそれらの断片、たとえばFab’、F(ab’)又はFab断片であってよい。断片は、当業界で公知の任意の方法、たとえばペプシン又はパパイン消化によって産生することができる。該複合体に使用したポリクローナル抗体は、抗体産生細胞によって産生された抗体を検出するためにアッセイで使用した標識抗抗体抗体によって認識されないことが重要である。たとえば、該抗体産生細胞がウサギ由来の場合、該標識抗抗体抗体は抗ウサギ抗Fc抗体であってよく、該複合で使用した該ポリクローナル抗体はウサギ以外の種、たとえば、ヤギ由来の抗体であるべきで、該抗体がウサギ由来であるならば、Fc領域を欠如した断片、たとえばFab’、F(ab’)又はFab断片であるべきである。
【0029】
他の例では、抗原の精製が困難であるか、又はビオチン化によって所望する抗原決定基が失われる場合は特に、該抗原を細胞表面上に発現させる。このような細胞は、天然に細胞表面上に抗原を発現する細胞か、又は表面上に該抗原を発現するトランスフェクト細胞であってよい。このような細胞には、哺乳類細胞、免疫調節細胞、リンパ球、単球、多形細胞、T細胞、腫瘍細胞、酵母細胞、細菌細胞、感染因子、寄生虫、植物細胞、NS0、CHO、COS、293細胞などのトランスフェクト細胞が含まれるがこれだけには限定されない。NS0、CHO、COS及び293細胞などの細胞のトランスフェクションは、エレクトロポレーション及びヌクレオフェクションを含めた当業界で公知の任意の方法によって実施することができる。
【0030】
さらに他の例では、該抗原源は、それに対する抗体を単離するために望ましい任意の細胞である。このような細胞には、哺乳類細胞、免疫調節細胞、リンパ球、単球、多形細胞、T細胞、腫瘍細胞、酵母細胞、細菌細胞、感染因子、寄生虫及び植物細胞が含まれるが、これだけには限定されない。
【0031】
該抗体産生細胞及び該抗原は、たとえば以後の実施例で説明するように実験によって測定できる適切な濃度でアッセイに組み込む。該抗体産生細胞の密度は、分離を良好になり、かつ所望する特異性を備えた抗体を産生する抗体産生細胞の同定および単離が可能になるように十分低い。該抗原は過剰に存在させて、該抗原は該抗体産生細胞よりも10〜1000倍過剰であることが好ましい。
【0032】
選択した抗原に結合する抗体を同定するために、標識抗抗体抗体を該アッセイに組み込む。前記抗体は、結合特異性に関係なく、抗体産生細胞によって産生される抗体全てに結合する。このような抗体は、当業者によって容易に作製され、容易に商業的に入手できる。該抗抗体抗体は、抗Fc抗体であることが好ましい。本発明の一実施形態では、該抗体産生細胞はウサギから得られ、標識抗Fc抗体はヤギ抗ウサギ抗Fc抗体である。
【0033】
該抗抗体抗体に結合させる標識は、当業界で公知の任意の適切な方法によって該アッセイで検出することができる任意の標識である。多くの様々な複合体、たとえば、化学ルミネセンス、酵素及び蛍光標識が抗体の標識に有用である。このような抗体は、当業者によって容易に作製され、容易に商業的に入手できる。該標識は、顕微鏡によって検出できるものであることが好ましい。一般的に、本明細書で説明した本発明の様々な態様では、使用する標識は蛍光標識が好ましい。具体的な蛍光標識は顕微鏡によって視覚化できるもので、Aqua、テキサスレッド、FITC、ローダミン、ローダミン誘導体、フルオレセイン、フルオレセイン誘導体、cascade blue、Cy5及びフィコエリトリンを含めることができるがそれだけには限定されない。前記標識は、蛍光複合体、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)が好ましい。
【0034】
該標識抗抗体抗体は、選択抗原に結合する抗体産生細胞とそうでない細胞とを区別することができる濃度で、該アッセイで使用する。最適な濃度は、標識抗抗体抗体の濃度を変化させることによって、当業者によって実験的に決定することができる。一例では、該標識抗体は、蛍光標識抗体で、蛍光の検出が不可能な程低くはなく、蛍光のバックグラウンドが高くなるほど高くない濃度で使用する。該蛍光標識抗抗体抗体は、蛍光の過剰なバックグラウンドを生じさせずに該抗体産生細胞によって生じた抗体全てに結合するように過剰であることが好ましい。
【0035】
選択抗原に結合する抗体を産生する抗体産生細胞を同定するために、抗体産生細胞集団、該抗原及び標識抗抗体抗体を含む測定混合物を前述の培地中でインキュベートして結合を起こさせる。最適なインキュベーション時間及び温度は当業者によって実験で決定することができる。インキュベーションは、顕微鏡スライドなどの適切な任意の容器内で、適切な任意の温度、たとえば、4℃前後と37℃前後との間で、適切な時間、たとえば、5分前後と5時間前後との間で行う。該測定混合物のインキュベーションは、顕微鏡スライド上で37℃で1時間まで行うことが好ましい。
【0036】
該標識抗抗体抗体は、当業界で公知の適切な方法を使用して検出する。該標識抗抗体抗体は、顕微鏡を使用して検出することが好ましい。該抗抗体抗体は、蛍光標識に結合することがより好ましく、該蛍光は適切なフィルター装置を備えた水銀蒸気紫外線ランプを装備した倒立顕微鏡を使用して視覚化する。好ましいフィルター装置は、フルオレセインフィルター装置である。
【0037】
選択抗原に結合する抗体を産生する抗体産生細胞は、前記細胞を取り囲む標識抗抗体抗体の濃度の増加によって同定することができる。該抗原に結合しない抗体を産生する抗体産生細胞は、標識抗抗体抗体の濃度を増大させても取り囲まれない。収率の高い抗体産生細胞は、抗抗体抗体濃度増加の局在が最も迅速に現れたものとする。
【0038】
次に、微細ガラスピペット及び顕微操作装置などの標準的な顕微操作技術を使用して、該抗体産生細胞を直接アッセイから単離することができる。抗体は、単離した抗体産生細胞から直接的に、又は間接的に合成することができる。直接合成は、単離した抗体産生細胞を適切な培地で培養することによって実施することができる。該アッセイを使用して高収率の抗体産生細胞を同定したら、この高収率細胞をクローナルに再産生するために適切な条件下で細胞を培養する。
【0039】
間接合成は、該抗体又はその一部をコード化する遺伝子を単離し、宿主細胞でそれらを発現することによって実現することができる。遺伝子全体をクローニングするか、又は該抗体の所望する特異性をもたらす可変領域又はそれらの一部をクローニングして、組換え抗体を作製するために使用することができる。組換え抗体は、いくつかの様々な形態をとることでき、完全な免疫グロブリン、キメラ抗体、ヒト化抗体及びFv、Fab、Fab’及びF(ab’)断片などの抗原結合断片、並びにそれらの誘導体、たとえば1本鎖Fv断片が含まれる。これらの抗体分子の作製方法は当業界で周知である(たとえば、Boss、米国特許第4816397号、Shrader、WO92/02551、Ward他、1989、Nature、341、544、Orlandi他、1989、Proc.Natl.Acad Sci.USA、86、3833、Morrison他、1984、Proc.Natl.Acad Sci.USA、81、6851、Riechmann他、1988、Nature、322、323、Bird他、1988、Science、242、423を参照のこと)。これらの抗体分子を産生するために使用できる発現系の種類には、細菌、酵母、昆虫及び哺乳類発現系が含まれ、その方法は当業界では周知である(Verma他、1998、Journal of Immunological Methods、216、165〜181)。
【0040】
本発明によって得られた抗体は、さらに変更を加えずに使用することができるが、所望するならば、適切な診断又は治療のために、1種又は複数のリポーター分子又はエフェクター分子への結合を含めた以下の変更を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下の実施例は、例示のために提示されたものであり、限定するものではない。以下の略号を実施例で使用する。
ICM−免疫細胞培地(RPMI+10%牛胎児血清、2−β−メルカプトエタノール50μM、グルタミン2mM、hepes20mM並びに1×ペニシリン及びストレプトマイシン)
RPMI−Roswell Park Memorial Institute培地
PBS−リン酸緩衝生理食塩水
【実施例1】
【0042】
抗原コーティングヒツジ赤血球(SRBC)を使用した特異的抗体産生B細胞の同定
SRBCの抗原コーティング
(TCS Biosciencesから入手した)SRBCのコーティングは、ビオチン化抗原をビオチンコーティングSRBCの表面へ結合させることによって実施した。抗原コーティングSRBCは、使用日に調製し、免疫細胞培地中で5%(v/v)で保存した。
【0043】
抗原特異的抗体を分泌するB細胞の同定
該測定混合物はICM中で調製し、ELISA陽性集団の10〜1000個のB細胞を含有するウサギB細胞10μl、抗原コーティングSRBC(5%v/v)10μl及び各実験について様々な濃度のヤギ抗ウサギIgGFc特異的FITC複合体(Jackson ImmunoResearch)(1:100、1:200、1:400及び1:800)20μlを含めた。該実験は、蛍光のバックグラウンドを高くせずに抗体産生細胞を同定するために必要なヤギ抗ウサギIgGFc特異的FITC複合体の最適濃度を決定するために設定した。
【0044】
次に、該測定混合物をSigmacote(登録商標)処理「チャンバー」スライド上にスポットし(1スポット当たり2〜3μl)、軽パラフィン油を注いだ。スライドを37℃で20〜30分間インキュベートし、水銀蒸気紫外線ランプ及びフルオレセインフィルター装置を装備した倒立顕微鏡を使用して調べた。抗原特異的IgG抗体を分泌するB細胞(血漿細胞)は、前記細胞を取り囲む蛍光の局在的増加によって確認した。図1を参照のこと。この方法を使用して、ヤギ抗ウサギIgGFc特異的FITC複合体の最適濃度は1:400であることがわかった。抗原特異的抗体を分泌しない混合物中の他のB細胞の周囲には蛍光は認められなかった。抗原が表面上にないSRBC対照では、B細胞に局在する蛍光は認められなかった。
【0045】
次に蛍光の中心に存在するB細胞は標準的顕微操作器具を使用してエッペンドルフ管に集め(Eppendorf Transferman and CellTram Vario)、その後抗体の重鎖及び軽鎖可変領域をPCRによって単離した。
【実施例2】
【0046】
抗原コーティングビーズを使用した特異的抗体産生B細胞の同定
いずれの実験においても、ストレプトアビジンコーティング磁気ビーズ(New England Biolabs)1μMを使用した。
【0047】
ビーズ単層の最適密度の決定
磁石を使用してビーズ保存物一定量をPBSで3回洗浄して保存剤を除去し、同量の免疫細胞培地、(ICM)、(RPMI+10%牛胎児血清、2−β−メルカプトエタノール50μM、グルタミン2mM、Hepes 20mM、及び1×ペニシリン及びストレプトマイシン)に再懸濁した。
【0048】
ビーズはICMで2倍ずつ連続希釈して、ビーズをSigmacote処理スライドにスポット(1スポット当たり2〜3μl)し、軽パラフィン油で覆ったときでも単層となるビーズ密度の希釈度を決定するために使用した。洗浄ビーズの最終希釈度は1/8が最適であると決定した。
【0049】
ビーズ上に付加する抗原及び抗原特異的B細胞の同定
ストレプトアビジンコーティングビーズを50μl量ずつ洗浄して、PBS 50μlに再懸濁した。50μl量それぞれを0.1μgから25μgまでの範囲の異なる量のビオチン化抗原保存物(1mg/ml)と共にインキュベートした。これらを室温で時々手動で振盪しながらインキュベートした。次に磁石を使用して該ビーズをPBSで洗浄し、ICM 50μlに再懸濁した。
【0050】
次に、抗原を付加したビーズ20μlをELISA陽性B細胞40μl、ICM 60μl及びヤギ抗ウサギIgG Fc特異的FITC複合体(Jackson ImmunoResearch)の1/400希釈物と混合した。
【0051】
次に、この混合物をSigmacote処理「チャンバー」スライド上にスポットし(1スポット当たり2〜3μl)、軽パラフィン油を注いだ。スライドを37℃で20〜30分間インキュベートし、水銀蒸気紫外線ランプ及びフルオレセインフィルター装置を装備した倒立顕微鏡を使用して調べた。
【0052】
抗原特異的IgG抗体を分泌するB細胞(血漿細胞)は、B細胞を取り囲む蛍光の局在的増加によって確認した。図2を参照のこと。この方法を使用して、ビーズ保存物50μl当たりビオチン化抗原1μgがこの特定抗原の信号発生に最適であると決定した。抗原特異的抗体を分泌しない混合物中のその他のB細胞の周囲には蛍光は認められなかった。対照としては、該ビーズを他の無関連抗原でコーティングしたところ、B細胞に局在する蛍光は認められなかった。
【0053】
次に蛍光の中心に存在するB細胞を標準的顕微操作器具を使用してエッペンドルフ管に集め(Eppendorf Transferman and CellTram Vario)、その後細胞の1つから得られた抗体の重鎖及び軽鎖可変領域をPCRによって単離した。組換えキメラIgG(ヒト定常領域)は、CHO細胞における一過性の発現によって作製した。CHO細胞のトランスフェクションは、製造者の指示に従ってリポフェクタミン法を使用して実施した(InVitrogen、カタログ番号18324)。IgGの抗原への特異的結合はELISAによって確認した(図3)。
【実施例3】
【0054】
COS−1細胞上における抗原の表面発現を使用した特異的抗体産生B細胞の同定
COS−1細胞上における抗原の一時的発現
選択抗原を一時的に発現するCOS−1細胞を免疫細胞培地に懸濁した。細胞密度は、1ml当たり細胞2×10個に変更した。
【0055】
抗原特異的抗体を分泌するB細胞の同定
該測定混合物はICM中で調製し、ELISA陽性B細胞40μl、1:400に希釈したヤギ抗ウサギIgG Fc特異的FITC複合体(Jackson ImmunoResearch)40μl及びCOS−1細胞懸濁液40μlを含めた。
【0056】
次に、該測定混合物をSigmacote処理「チャンバー」スライド上にスポットし(1スポット当たり2〜3μl)、軽パラフィン油を注いだ。スライドを37℃で40分間インキュベートし、水銀蒸気紫外線ランプ及びフルオレセインフィルター装置を装備した倒立顕微鏡を使用して調べた。
【0057】
抗原特異的IgG抗体を分泌するB細胞(血漿細胞)は、B細胞を取り囲む蛍光の局在的増加によって確認した。図4を参照のこと。抗原特異的抗体を分泌しない混合物中のその他のB細胞の周囲には蛍光は認められなかった。抗原が表面上に存在しないCOS−1細胞対照では、B細胞に局在する蛍光は認められなかった。
【0058】
次に蛍光の中心に存在するB細胞は、標準的顕微操作器具を使用してエッペンドルフ管に集め(Eppendorf Transferman and CellTram Vario)、その後抗体の重鎖及び軽鎖可変領域をPCRによって単離した。
【実施例4】
【0059】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞上における抗原の表面発現を使用した特異的抗体産生B細胞の同定
CHO細胞上における抗原の一時的発現
選択抗原を一時的に発現するCHO細胞を免疫細胞培地に懸濁した。細胞密度は、1ml当たり細胞2×10個に変更した。
【0060】
抗原特異的抗体を分泌するB細胞の同定
該測定混合物はICM中で調製し、ELISA陽性B細胞40μl、1:400に希釈したヤギ抗ウサギIgG Fc特異的FITC複合体(Jackson ImmunoResearch)40μl及びCHO細胞懸濁液40μlを含めた。
【0061】
次に、該測定混合物をSigmacote処理「チャンバー」スライド上にスポットし(1スポット当たり2〜3μl)、軽パラフィン油を注いだ。スライドを37℃で40分間インキュベートし、水銀蒸気紫外線ランプ及びフルオレセインフィルター装置を備えた倒立顕微鏡を使用して調べた。
【0062】
抗原特異的IgG抗体を分泌するB細胞(血漿細胞)は、B細胞を取り囲む蛍光の局在的増加によって確認した。図5を参照のこと。抗原特異的抗体を分泌しない混合物中のその他のB細胞の周囲には蛍光は認められなかった。抗原が表面上に存在しないCHO細胞対照では、B細胞に局在する蛍光は認められなかった。
【0063】
次に蛍光の中心に存在するB細胞は、標準的顕微操作器具を使用してエッペンドルフ管に集め(Eppendorf Transferman and CellTram Vario)、その後抗体の重鎖及び軽鎖可変領域をPCRによって単離した。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】ウサギB細胞、抗原をコーティングしたヒツジ赤血球及びヤギ抗ウサギIgG Fc特異的FITC複合体を含む均一系蛍光アッセイを示した図である。アッセイは、水銀蒸気紫外線ランプ及びフルオレセインフィルター装置を備えた倒立顕微鏡を使用して視覚化した。倍率は8倍である。(a)アッセイの位相像。(b)アッセイの蛍光画像。抗原特異的抗体を分泌するB細胞周囲に局在する蛍光。
【図2】ウサギB細胞、抗原をコーティングした磁気ビーズ及びヤギ抗ウサギIgG Fc特異的FITC複合体を含む均一系蛍光アッセイを示した図である。アッセイは、水銀蒸気紫外線ランプ及びフルオレセインフィルター装置を備えた倒立顕微鏡を使用して視覚化した。倍率は20倍である。(a)アッセイの位相像。(b)アッセイの蛍光画像。抗原特異的抗体を分泌するB細胞周囲に局在する蛍光。
【図3】CHO細胞で産生された抗体の特異的抗原結合のELISAによる検出を示した図である。
【図4】ウサギB細胞、表面上に抗原を発現するトランスフェクトCOS−1細胞及びヤギ抗ウサギIgG Fc特異的FITC複合体を含む均一系蛍光アッセイを示した図である。アッセイは、水銀蒸気紫外線ランプ及びフルオレセインフィルター装置を備えた倒立顕微鏡を使用して視覚化した。倍率は8倍である。(a)アッセイの位相像。(b)アッセイの蛍光画像。抗原特異的抗体を分泌するB細胞周囲に局在する蛍光。
【図5】ウサギB細胞、表面上に抗原を発現するトランスフェクトCHO細胞及びヤギ抗ウサギIgG Fc特異的FITC複合体を含む均一系蛍光アッセイを示した図である。アッセイは、水銀蒸気紫外線ランプ及びフルオレセインフィルター装置を備えた倒立顕微鏡を使用して視覚化した。倍率は8倍である。(a)アッセイの位相像。(b)アッセイの蛍光画像。抗原特異的抗体を分泌するB細胞周囲に局在する蛍光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)抗体産生細胞集団を提供すること、
b)前記抗体産生細胞集団を選択した抗原及び標識抗抗体抗体と共にインキュベートすることであって、前記抗抗体抗体は前記選択した抗原に結合する抗体を産生する細胞とそうでない細胞とを区別することができること、及び
c)前記選択した抗原に結合する抗体を産生することができる抗体産生細胞を同定すること
を含む、選択した抗原に結合する抗体を産生する抗体産生細胞を同定するための均一系アッセイ。
【請求項2】
赤血球に前記抗原を結合させる請求項1に記載のアッセイ。
【請求項3】
ビーズに前記抗原を結合させる請求項1に記載のアッセイ。
【請求項4】
ポリクローナル抗体を介して前記抗原をビーズに結合させる請求項3に記載のアッセイ。
【請求項5】
前記ポリクローナル抗体が抗体断片である請求項4に記載のアッセイ。
【請求項6】
前記ポリクローナル抗体は、抗体Fab、Fab’又はF(ab’)断片である請求項5に記載のアッセイ。
【請求項7】
前記抗原を細胞の表面上に発現させる請求項1に記載のアッセイ。
【請求項8】
前記細胞はトランスフェクト細胞である請求項7に記載のアッセイ。
【請求項9】
前記細胞は腫瘍細胞である請求項7に記載のアッセイ。
【請求項10】
前記抗原は感染因子である請求項1から9までに記載のアッセイ。
【請求項11】
前記標識抗抗体抗体は抗Fc抗体である請求項1から10までに記載のアッセイ。
【請求項12】
前記標識抗抗体抗体は蛍光複合体で標識してある請求項1から11までに記載のアッセイ。
【請求項13】
前記蛍光標識抗抗体抗体はFITCで標識してある請求項12に記載のアッセイ。
【請求項14】
前記FITC標識抗抗体抗体は抗Fc抗体である請求項13に記載のアッセイ。
【請求項15】
前記抗体産生細胞は、B細胞、血漿細胞、形質芽細胞、活性化B細胞又は記憶B細胞である請求項1から14までに記載のアッセイ。
【請求項16】
前記抗体産生細胞は抗体を発現するように操作されたハイブリドーマ細胞又は哺乳類細胞である請求項1から15までに記載のアッセイ。
【請求項17】
請求項1から16までのアッセイによって同定される抗体産生細胞。
【請求項18】
a)抗体産生細胞集団を提供すること、
b)前記抗体産生細胞集団を選択した抗原及び標識抗抗体抗体と共にインキュベートすることであって、前記抗抗体抗体は前記選択した抗原に結合する抗体を産生する細胞とそうでない細胞とを区別することができること、
c)前記選択した抗原に結合する抗体を産生する抗体産生細胞を同定すること、
d)前記同定した抗体産生細胞を単離すること、及び場合によっては、
e)抗体又はそれらの抗体断片を合成すること
を含む、選択した抗原に結合する抗体の産生方法。
【請求項19】
請求項18の方法によって単離される抗体産生細胞。
【請求項20】
請求項18の方法によって得られる抗体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−509217(P2006−509217A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570704(P2004−570704)
【出願日】平成15年12月1日(2003.12.1)
【国際出願番号】PCT/GB2003/005254
【国際公開番号】WO2004/051268
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(501460693)セルテック アール アンド ディ リミテッド (29)
【Fターム(参考)】