説明

抗微生物性物品

熱可塑性ポリマー層、およびその中に分散する抗微生物剤を有する接着剤層を含んでなる抗微生物性物品が開示される。抗微生物性物品は、例えば外科手術用テープ、外科手術用ドレープ、および創傷包帯に、そして食品調製および取り扱いのための使い捨て表面として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリマー層、およびその中に分散する抗微生物剤を有する接着剤層を含んでなる抗微生物性物品に関する。本発明はまた、このような物品を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
湿れたまたは湿気のある環境内でのカビ、カビ汚れ、藻類、真菌、およびその他の微小生物または微生物の制御は、長きにわたり懸案事項である。殺黴剤、防腐剤、消毒剤、清浄薬、殺病原菌剤、殺藻剤、殺粘菌剤、防汚剤、または保存料などの抗微生物剤が典型的に用いられて、領域から微小生物を除去してそれらの再発生を防止する。
【0003】
押出しに先だつ、ポリマーホットメルト中への直接的な抗微生物剤の組み込みによって抗微生物性物品が調製されている。この方法は、抗微生物剤を熱可塑性ポリマー中に直接に組み込めるようにする。しかし溶融加工は、例えば300℃以上の非常に高い温度を必要とする。このような温度では、多くの抗微生物剤、特に有機分子は、温度および酸化安定性と揮発性の問題に直面する。さらにこのような物品の抗微生物活性は、摩耗および曝露によって損なわれるかもしれず、物品を取り替えることなしに抗微生物剤を補充するのは困難かもしれない。したがって抗微生物性物品調製のための代案の方法が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって抗微生物性表面がある熱可塑性ポリマー物品に対する必要性がある。下で詳細に述べるように、本発明は、物品の熱可塑性ポリマー層に結合される、接着される、または別のやり方で固着される接着剤層に抗微生物剤を分散することで、この問題を解決する。抗微生物剤は、接着剤と化合してもよく、接着剤層から移動して熱可塑性ポリマー層(またはその表面)を抗微生物性にする、あらゆる技術分野で知られているものであってもよい。ポリマー層は、非多孔質フィルム、多孔質フィルム、フォーム、膜、または織布または不織布などの繊維層の形態であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1の抗微生物性表面、およびそれに結合され、ラミネートされ、接着され、または別のやり方で固着される接着剤層を有する第2の表面を有するポリマー層を含んでなる抗微生物性物品を提供し、前記接着剤層はその中に分散する十分な抗微生物剤を含んでなり、それは前記ポリマー層の前記第1の表面に移動して、前記ポリマー層の第1の表面を抗微生物性にする。抗微生物性物品は、例えば外科手術用テープ、外科手術用ドレープ、および創傷包帯として、食品調製および取り扱いのための使い捨て表面として有用である。
【0006】
本発明の実施において一連の抗微生物剤濃度を使用してもよいが、概して接着剤層は、接着剤層総重量を基準にして、少なくとも0.25重量%の少なくとも1つの抗微生物剤を含有する。好ましくは感圧接着剤層は、接着剤層総重量を基準にして、少なくとも0.25重量%から40重量%以下の少なくとも1つの抗微生物剤を含んでなる。
【0007】
本発明との関連で、「その中に分散する」という用語の使用は、抗微生物剤がどこへ引き続いて移動するかという制限なしに、接着剤層中の抗微生物剤の最初の存在のみを意味するものと理解される。したがって抗微生物剤は、接着剤の大部分に最初から均一に分散してもよく、熱可塑性ポリマー層表面に移動していてもよい。
【0008】
ここでの用法では、「抗微生物剤」とは、物品に関連して、表面が微生物を殺すまたはその生育を抑制する、熱可塑性ポリマー層の表面特性を指すためにのみ使用される。ここでの用法では「抗微生物剤」とは、微生物を殺すまたはその生育を抑制する化学物質を指し、例えば殺病原菌剤、殺菌剤、殺真菌剤、抗ウイルス剤、殺生剤、静菌剤、静真菌剤、抗生物質、および殺藻剤などが挙げられる。
【0009】
本発明は、接着剤からポリマー層中への抗微生物剤の移行を通じてポリマー層表面を抗微生物剤にするために、そして使用または曝露を通じて損失、劣化、または別のやり方で無効になるかもしれない抗微生物剤の補充を提供するために、熱可塑性ポリマー層に接着する接着剤層中にこのような抗微生物剤のレザバーを提供することで、技術分野の問題を解決する。
【0010】
本発明の一態様は、(a)ポリマー層に抗微生物性表面を提供する少なくとも1つの抗微生物剤を接着剤層に分散するステップと、(b)接着剤層がポリマー層に抗微生物剤レザバーを提供するように、接着剤層を熱可塑性ポリマー層に接着するステップと、を含んでなる、熱可塑性ポリマー層および接着剤層を含んでなる抗微生物性物品を提供する方法である。代案としては、方法は、熱可塑性ポリマー層を提供するステップと、該ポリマー層を少なくとも1つの抗微生物剤を含有する接着剤層でコーティングするステップと、を含んでなってもよい。接着剤層は、接着剤総重量を基準にして、0.25重量%超から、40重量%以下の少なくとも1つの抗微生物剤を含んでなる。本発明の特徴は、ポリマー層に接触する接着剤中に抗微生物剤レザバーを提供して、ある期間にわたって抗微生物活性を提供する能力である。
【0011】
好ましくは、本発明の組成物は、非イオン性、アニオン性、または両性であることができる1つ以上の界面活性剤を含む。界面活性剤の添加が、抗微生物剤の移行および/または有効性を増強するかもしれないことが分かっている。特定の実施形態では、好ましい界面活性剤は、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、ホスホネート、およびアンモニウムスルホネート両性界面活性剤、およびそれらの混合物よりなる群から選択されるアニオン性または両性界面活性剤である。特定のその他の実施形態では、好ましい界面活性剤は、テアレス(Steareth)10などのアミンオキシドまたはエトキシル化誘導体である。所望ならば、界面活性剤の混合物を使用できる。
【0012】
思いがけなく、本発明の方法は、接着剤に隣接するポリマー層だけでなく、レザバー接着剤が多層物品に隣接する場合、複合材物品中のその他の層にも抗微生物性表面を提供する。より具体的には抗微生物剤は、隣接するポリマー層を通じて、多層物品中の追加的な層中に移動する。顕著なことにレザバー内の抗微生物剤は、2つの異なる材料の2つの異なる層を越えて移動して、第3の層を抗微生物性にしてもよい。したがって本発明の別の利点は、抗微生物剤を含有しないかもしれない多層フィルムを使用しながら、接着剤層から中間体層を通って移動した抗微生物剤を通じて抗微生物性表面を提供する能力である。
【0013】
本発明の別の態様は、抗微生物剤移行に先だって熱可塑性ポリマー層それ自体は最初は抗微生物性でないが、隣接する熱可塑性ポリマー層に抗微生物性表面を提供する抗微生物剤のための接着剤デリバリシステムを隣接させることで、抗微生物性にされた熱可塑性ポリマー層である。
【0014】
「接着剤デリバリシステム」とは、抗微生物剤のためのレザバーを提供し、接着剤層から隣接する熱可塑性ポリマー層中へのこのような抗微生物剤の移行を容易にして、さらには使用中に抗微生物剤の更新または補充を提供してもよい接着剤の使用を意味する。この接着剤デリバリシステムの使用は、熱可塑性ポリマー中に抗微生物性表面を提供する2つの最も一般的な方法である、押出しおよびコーティングおいて生じる問題を排除する。
【0015】
抗微生物剤は、抗微生物剤の低い分解温度のために、直接に化合させて溶融物として押出しできないことが多い。別の場合、抗微生物剤は加工中にポリマー核形成を妨げるかもしれず、または熱可塑性ポリマーの物理特性を劣化するかもしれない。さらにまた、熱可塑性ポリマー中に直接に化合する薬剤は更新できない。
【0016】
抗微生物性表面を提供するコーティング方法にはまた、いくつかの制限もある。第1にフィルムをコーティングするのに必要な余計なステップは、高価で時間がかかり、安全性および環境の問題が伴う。コーティングに使用される溶剤の多くは、特別な製造施設を必要とする可燃性液体でありまたは曝露限界を有する。さらに抗微生物剤の量は、コーティング溶剤中の溶解性、およびコーティングの厚さによって制限される。さらにまた、このような抗微生物剤コーティングは、曝露または使用中に擦過または別のやり方で除去されるかもしれない。本発明の「接着剤デリバリシステム」は、これらの問題を解決する。
【0017】
本発明の抗微生物性物品は、外科手術用テープ、包帯およびドレープ、創傷包帯、および食品調製および取り扱いのための使い捨て表面をはじめとする多くの目的に適する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
ここで図について述べると、例示的な抗微生物性物品100は、主面120および125を有する熱可塑性ポリマー層110を含んでなる。感圧接着剤層130は、主面120に接触する。感圧接着剤層130は、少なくとも1つの感圧接着剤および少なくとも1つの抗微生物剤を含んでなる。本発明のいくつかの実施形態では、抗微生物性物品100が、接着剤層130の主面150に剥離可能に固着する剥離ライナー140をさらに含んでなってもよい。
【0019】
理論によって拘束されることは望まないが、接着剤層中の抗微生物剤は、感圧接着剤層から熱可塑性ポリマー層中に徐々に移動すると考えられる。使用、曝露または保管中に、熱可塑性ポリマー層に拡散した抗微生物剤は枯渇するかもしれない。接着剤レザバーからの抗微生物剤の漸進的な放出を提供することで、熱可塑性ポリマー層に、連続的な抗微生物剤の供給を提供してもよい。
【0020】
熱可塑性ポリマー層を通る抗微生物剤の接着剤層からの移行は拡散プロセスと考えられるので、接着剤層および熱可塑性ポリマー層のTgは好ましくは25℃以下であり、最も好ましくは約0℃未満である。ガラス状態のポリマーは概してゴム状態のものよりも低透過性であるので、ゴム状態のポリマーが特に有用である。物品の加熱は抗微生物剤の移行を増強するかもしれない。熱可塑性ポリマー層の透過性は、使用中に所望レベルの抗微生物活性をデリバリするのに十分であり、選択される特定の抗微生物剤、熱可塑性ポリマーの形態(例えば繊維性、フィルムであるかなど)、および最終使用条件に依存するものと理解される。
【0021】
濃度依存でない有効拡散係数(D)があるように、フィックの第二法則が適用されると仮定すると、半無限媒質中への化学種の1次元拡散について、
C=C0、x=0、t>0[境界条件]
およびC=0、x>0、t=0[初期条件]である
δC/δt=D(δ2C/δx2)[フィックの第二法則]
の解は、C=C0(ERFC[x/(4Dt)1/2])である。
式中、Cは拡散する化学種の濃度であり、tは時間であり、xは拡散方向の座標であり、ERFCは付加誤差関数である。「拡散の数学(The Mathematics of Diffusion)」第2版、J.クランク(Crank)、Clarendon Pres、Oxford、1975年を参照されたい。
【0022】
好ましくはフィックの拡散定数D(これは抗微生物剤、ポリマー、および温度に依存する)は、25℃で0.1×10-10cm2/sを超え、優先的に10×10-10cm2/sを超え、最も優先的には100×10-10cm2/sを超える。この範囲の拡散定数を有するフィルムは、数日以内に抗微生物剤濃度がその接着剤中の初期値とほぼ同じレベルからその半分に達する拡散速度を被ることが期待される(すなわち上のC=C0/2)。液体抗微生物剤では、濃度が接着剤中の溶解限度を越えることが好ましいかもしれない。この限度を超えると拡散は増強される。
【0023】
熱可塑性ポリマー層で使用するための熱可塑性ポリマーの例としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、およびポリオレフィンが挙げられる。好ましい熱可塑性ポリマーは、ポリ(α)オレフィンである。ポリ(α)オレフィンは、技術分野で概して認識されるように、常態では固形の脂肪族モノ−1−オレフィン(αオレフィン)のホモ−、コ−、およびターポリマーを含むことができる。通常、このようなポリ(α)オレフィンを製造するのに用いられるモノマーは、分子あたり約2〜10個の炭素原子を含有するが、より高分子量のモノマーがコモノマーとして使用されることもある。本発明はまた、機械的に調製された、または原位置(in situ)のポリマーおよびコポリマーの配合物にも適用できる。熱可塑性ポリマーを調製するのに用いることができる有用なモノマーの例としては、単独で、または混合物中、逐次重合システム中のエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、4−メチル−ペンテン、ヘキセン、およびオクテンが挙げられる。好ましい熱可塑性ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン/エチレンコポリマー、ポリブチレン、ポリウレタンおよびそれらの配合物が挙げられる。熱可塑性ポリマーを調製するプロセスはよく知られており、本発明は特定のプロセスによって製造されたポリマーに限定されない。
【0024】
熱可塑性ポリマー層は、フィルム、フォーム、膜または繊維層の形態であってもよく、延伸されていても延伸されていなくてもよい。ここでの用法では、「繊維」および「繊維状」という用語は、概して熱可塑性樹脂である粒子状物質を指し、粒子状物質の長さ対直径比は約10以上である。繊維径は、約0.5μmから少なくとも1,000μmに及んでもよい。各繊維は多様な横断形状寸法を有してもよく、中実または中空であってもよく、押出しに先だって、例えばポリマー溶融物中に染料または顔料を組み込んで着色されていてよい。本発明の目的では、「フィルム」は「膜」と区別され、フィルム中に存在するあらゆる穿孔がフィルムの全厚を越えないのに対し、膜中に存在する少なくともいくらかの穿孔は膜の全厚を越えて、対向面間に流体導管を提供する。
【0025】
有用な繊維熱可塑性ポリマー層としては、織布、メリヤス、および不織布が挙げられる。熱可塑性ポリマー層は、あらゆる厚さを有してもよいが、典型的に厚さは、少なくとも10、25、または1000μmから0.5、2.5ミリメートル以下の範囲、または5ミリメートル以上でさえある。熱可塑性ポリマー層は、単層であってもよく、または多層の同一または異なる熱可塑性ポリマーを含んでなってもよい。一実施形態では、抗微生物性物品はP12...PΩAなどの構造を有してもよく、ここでP1、P2からPΩは熱可塑性ポリマー層を表し、Aはその中に分散する抗微生物剤を有する接着剤層を表す。多層フィルムは、技術分野でよく知られている多様な装置といくつかの溶融加工技術(典型的に押出し技術)を使用して製造できる。このような装置と技術は、例えばシュレンク(Schrenk)らに付与された米国特許第3,565,985号明細書、ブランド(Bland)らに付与された米国特許第5,427,842号明細書、レオナルド(Leonard)らに付与された米国特許第5,589,122号明細書、レオナルド(Leonard)らに付与された米国特許第5,599,602号明細書、およびヘリッジ(Herridge)らに付与された米国特許第5,660,922号明細書で開示される。
【0026】
繊維状熱可塑性ポリマー層は、不織ウェブを製造する一般に知られているプロセスのいずれかによって製造された不織ウェブを含んでもよい。例えば繊維不織ウェブは、カード、エアレイド、スパンレース、スパンボンドまたはメルトブローン技術またはそれらの組み合わせによって製造できる。スパンボンド繊維は、典型的に、複数の細い通常は円形である吐糸管の毛管から溶融熱可塑性ポリマーをフィラメントとして押出し、押出し繊維の直径を迅速に低下させて形成された小径繊維である。メルトブローン繊維は、典型的に、複数の細い通常は円形であるダイ毛細管を通して、溶融熱可塑性材料を高速の通常加熱されるガス(例えば空気)流中に溶融糸またはフィラメントとして押し出し、溶融熱可塑性材料のフィラメントを希薄化してそれらの直径を低下させて形成される。その後、メルトブローン繊維を高速ガス流によって運搬し、収集面に付着させて、無作為に分け与えられたメルトブローン繊維のウェブを形成する。あらゆる不織ウェブが、単一タイプの繊維、または熱可塑性ポリマーのタイプおよび/または厚さが異なる2つ以上の繊維から製造されてもよい。
【0027】
本発明の不織ウェブ製造法に関してさらに詳しくは、ウェンテ(Wente)著「極細熱可塑性繊維(Superfine Thermoplastic Fibers)」、48 INDUS.ENG.CHEM.1342頁(1956年)、またはウェンテ(Wente)ら著「極細有機繊維の製造(Manufacture Of Superfine Organic Fibers)」、海軍研究所報告(Naval Research Laboratories Report)第4364号、1954年にある。
【0028】
ポリマー層が微多孔質膜である場合、膜は流体がそれを通って流れることができる構造を有する。それにもかかわらず抗微生物剤は、孔を通ってでなく、ポリマーマトリックスの大部分を通って移動すると考えられる。有効孔径は、流動分子の自由行路の少なくとも数倍であり、すなわち数μmから約100Åに至る。このようなシートは、表面及び内部構造が可視光を拡散するので、透明な材料から製造した場合でも概して不透明である。
【0029】
微多孔質膜を調製するためのいくつかの方法が、技術分野で知られている。本発明の微多孔質膜を製造する好ましい方法は、液体−液体または固体−液体相分離のいずれかを利用する相分離現象を利用する。これらの技術を使用して微多孔質構造を製造する方法は、通常、キャスティングまたは押出し温度でポリマーと混和性の適合性液体にポリマーを溶融混合して溶融配合物の造形品を形成し、造形品をポリマー相が適合性液体から分離する温度に冷却することを伴う。例えば(i)構造物を少なくとも1つの方向に延伸して、(ii)適合性液体を除去して次に構造物を少なくとも1つの方向に延伸して、または(iii)構造物を少なくとも1つの方向に延伸して次に適合性液体を除去して、得られた構造物に微多孔質を与えることができる。フィルムの冷却ステップは、通常、フィルムを冷却ロールに接触させて達成される。これは冷却ロールに接触する膜の側面に薄皮の形成をもたらす。
【0030】
このような方法については、例えばカストロ(Castro)に付与された米国特許第4,247,498号明細書、シップマン(Shipman)に付与された米国特許第4,539,256号明細書、ムロジンスキー(Mrozinski)に付与された米国特許第4,726,989号明細書、およびキンザー(Kinzer)に付与された米国特許第4,867,881号明細書で述べられる。例えばシェス(Sheth)に付与された米国特許第4,777,073号明細書、ヤング(Young)らに付与された米国特許第4,861,644号明細書、およびジャコビー(Jacoby)らに付与された米国特許第5,176,953号明細書、ならびに三菱化成に付与された特開昭61−264031号公報で述べられるものなどの微粒子−充填微多孔質膜もまた利用できる。例えばフィルムを少なくとも1つの方向に延伸することで、このような微粒子−充填フィルムに微多孔質を与えることができる。
【0031】
熱可塑性ポリマー層は、フィルム、膜または繊維状であるかに関わらず、谷すなわち比較的薄い部分によって隔てられた、隆起領域すなわち比較的厚い部分のパターンを含んでなってもよい。隆起領域は、形状および寸法が均一または異なってよく、概して規則的な配置またはパターンに配置される、隆線、マウンド、ピーク、円筒、溝またはその他のエンボス加工の形を取る。「パターン」は必ずしも規則的な反復配列を指さないが、同一または異なるサイズを有する徴群のランダム配列を意味してもよい。本発明の実施に適したパターンとしては、四面方形ピラミッド、平頭四面方形ピラミッド、円錐、直線、波線、四角形または長方形ブロック、半球、溝などが挙げられ、熱可塑性ポリマー層の少なくとも一部に与えられる。パターンの個々の徴群はエンボス加工と称される。エンボス加工の数および間隔、ならびにその深さ、鋭い反射縁の角度、および形状などの個々のエンボス加工の性質も同様に変化できる。「パターン」および「エンボス加工」という用語は、適用プロセスに関係なく使用される。
【0032】
熱可塑性ポリマー層に、複数のエンボス加工が形成されてもよい。典型的に線センチメートル毎に約5〜20個のエンボス加工がある。エンボス加工は、エンボス加工が形成された後に、フィルムの機械的特性が所望の最終用途に十分である限り、あらゆる適切な深さであることができる。エンボス加工の深さは、典型的に延伸熱可塑性フィルムの厚さの10〜約90%の範囲である。好ましくはエンボス加工の深さは、典型的に熱可塑性ポリマー厚さの25〜75%の範囲である。
【0033】
エンボス加工とは、パターンが物品表面中に型押しされるプロセスを指す。エンボス加工は、典型的に、エンボス加工ロール上の金属層などの硬質材料上に形成された雄型パターンの手段によって達成される。当業者は連続の細工ベルトまたはスリーブの使用をはじめとするいくつかの方法によって、エンボス加工が実施できることを認識する。好ましい金属層としては、ニッケル、銅、鋼、およびステンレス鋼を含んでなるものが挙げられる。パターンは典型的に金属層に酸エッチングまたは機械加工され、多種多様なサイズおよび形状を有することができる。本発明の実施において、金属表面中に罫書きできるあらゆるパターンが使用できる。1つの有用なエンボス加工法については、ストローベル(Strobel)らに付与された譲受人の米国特許第6,514,597号明細書で述べられる。
【0034】
エンボス加工は、技術分野で知られているあらゆる手段によって実施できる。エンボス加工の好ましい方法は、エンボス加工表面を有するニップを通して、軟化された熱可塑性ポリマー層を(接着剤層でのコーティングに先だって)移動させることである。「ニップ」とは、フィルムがその間を通過する際に、フィルムに圧力をかける近接する2つのロールを指す。エンボス加工表面は、熱可塑性ポリマー層の軟化された表面中にエンボス加工を作り出すのに十分な力でフィルムに接触する。次に物品が先行する延伸から得られる内部特性の顕著な変化を被る前に、軟化された表面の温度を低下させるいくつかの方法のいずれかによって、型押し表面をその軟化温度未満に冷却する。このような方法としては、フィルムを1つ以上の冷却ローラー上で動かす、それを水浴内にデリバリする、またはエアナイフなどの使用により空気またはその他のガスによって冷却することが挙げられる。
【0035】
有用な抗微生物剤としては、典型的に、殺病原菌剤、殺菌剤、殺真菌剤、抗ウイルス剤、殺生剤、静菌剤、静真菌剤、抗生物質、および殺藻薬などの微生物を殺すまたはその生育を抑制するあらゆる薬剤が挙げられる。抗微生物剤は、接着剤または熱可塑性ポリマー層と非反応性であり、接着剤層から熱可塑性ポリマー層に移動してそれを抗微生物性にできるものから選択されてもよい。抗微生物剤は、抗微生物性物品が特定の使用で遭遇する微生物タイプに基づいて選択されてもよい。
【0036】
抗微生物剤の例としては、選択的毒性、すなわち1種の生物体には有害であるが、別のものには有害でない化学物質が挙げられる。低選択性の(全ての生物体に有害な)抗微生物剤としては、抗微生物性酸、エステル、アルコール、過酸化物、アルデヒド(およびアルデヒド放出化合物)、ハロゲン(およびハロゲン放出化合物)、フェノール、クレゾール、四級アンモニウム化合物、漂白剤、およびビグアニドが挙げられる。
【0037】
中程度の選択性の抗微生物剤としては、バシトラシンおよびポリミキシンなどの抗生物質、アクリジンおよびトリフェニルメタン染料、有機ヒ素化合物、有機水銀化合物、および銀化合物が挙げられる。
【0038】
高選択性の抗微生物剤としては、p−アミノサリチル酸、イソニコチン酸、スルホンアミド、トリメトプリム、メトロニダゾール、および4−キノロン誘導体などの合成抗細菌剤と、クロトリマゾールなどのイミダゾール誘導体などの合成抗真菌剤と、アマンタジン、イドクスウリジン、シタラビン、アシクロビル、およびジドブジンなどの合成抗ウィルス剤と、アミノグリコシド−アミノシクリトール、βラクタマーゼ阻害物質、リンコマイシン、マクロライド、リファマイシン、およびテトラサイクリンなどの抗細菌抗生物質と、グリセオフルビン、アンホテリシン、シスタチン、およびイミダゾールなどの抗真菌抗生物質とが挙げられる。
【0039】
抗微生物剤の好ましい例としては、ヨウ素、および一般にヨードフォアと称されるその錯体形態が挙げられる。ヨードフォアは、ポリエチレングリコール、およびその誘導体であるポリビニルピロリドンなどのN−ビニルカプロラクタム含有ポリマー、ならびにヨウ化水素または三ヨウ化水素と水素結合する、または三ヨウ化ナトリウムまたはカリウムなどの塩と錯体形成する傾向があるその他のポリマーまたは極性分子と錯体形成したヨウ素である。特に好ましいヨードフォアはポビドン−ヨウ素であり、最も好ましくはポビドン−ヨウ素USPである。その他の好ましい抗微生物剤としては、グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)などのクロルヘキシジン塩と、パラクロロメタキシレノール(PCMX)と、トリクロサンと、ヘキサクロロフェンと、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプレートなどのプロピレングリコールとグリセリンの脂肪酸モノエステルと、フェノールと、C12〜C22疎水性物質および四級アンモニウム基を含むポリマーと、ポリヘキサメチレンビグアニドなどのポリ四級アミンと、四級シランと、過酸化水素と、塩化銀、酸化銀、およびスルファジアジン銀などの銀および銀塩となどが挙げられる。最も好ましい抗微生物剤は、それが比較的低濃度で長期抗微生物効力を確実に与えて抗微生物剤抵抗性を促進しないことから、トリクロサンである。
【0040】
シーモアS.ブロック(Seymour S.Block)著「消毒、滅菌、および防腐(Disinfection,Sterilization and Preservation)」第4版、Lea & Febiger、Philadelphia、PA、1991年もさらに参照されたい。具体的な抗微生物剤は、所望の塗布基材(例えばヒト接触)、殺すまたは抑制する具体的な生物体に基づいて選択されてもよい。本発明では、抗微生物剤の様々な組み合わせが使用できる。
【0041】
熱可塑性ポリマーと使用するのに適し、抗微生物剤のレザバーとしての役割も果たすことができ、抗微生物剤に対して非反応性であるあらゆる接着剤が、本発明で使用できる。接着剤としては、ホットメルト接着剤、化学線反応性接着剤などが挙げられる。接着剤は、溶剤ベースの接着剤、100%固形物接着剤、またはラテックスベースの接着剤であることができる。「感圧接着剤技術ハンドブック(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology)」、第二版、D.サタス(Satas)編集、Van Nostrand,Rheinhold、1989年を参照されたい。好ましくは接着剤は感圧接着剤である。「感圧接着剤」とは、室温で強力および恒久粘着性を有し、指または手の圧力を超える必要なしに単に接触するだけで多様な異なる表面に堅固に接着し、十分に粘着保持および弾性を有するため指で取り扱かって残留物を残さずに平面から除去できる接着剤を意味する。
【0042】
適切な感圧接着剤としては、例えば天然ゴム、合成ゴム、スチレンブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリレート(アクリレートおよびメタクリレートの双方を含む)、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリオレフィン、およびシリコーンをベースとするものが挙げられる。感圧接着剤は、本質的に粘着性の材料を含んでなってもよく、または所望ならば、粘着性または非粘着性ベース材料に粘着付与剤を添加して感圧接着剤を形成してもよい。有用な粘着付与剤としては、例えばロジンエステル樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、およびテルペン樹脂が挙げられる。特別な目的のために、例えば可塑剤、水素付加されたブチルゴム、ガラスビーズ、伝導性粒子、充填材、染料、顔料をはじめとするその他の材料、およびそれらの組み合わせを添加できる。
【0043】
感圧接着剤は、例えばミネソタ州セントポールの3M社(3M Company(Saint Paul,Minnesota)をはじめとするいくつかの供給元から市販される。有用な感圧接着剤のさらなる例としては、概して、ウォルドマン(Waldman)に付与された米国特許第4,112,213号明細書、ハイネッケ(Heinecke)に付与された米国特許第4,917,928号明細書、ハイネッケ(Heinecke)に付与された米国特許第4,917,929号明細書、カルフーン(Calhoun)に付与された米国特許第5,141,790号明細書、スタン(Stan)らに付与された米国特許第5,045,386号明細書、パケット(Paquette)らに付与された米国特許第5,229,207号明細書、ウィルソン(Wilson)らに付与された米国特許第5,296,277号明細書、ディーツ(Dietz)らに付与された米国特許第5,670,557号明細書、およびワング(Wang)らに付与された米国特許第6,232,366号明細書で述べられるものが挙げられる。
【0044】
感圧接着剤層はあらゆる厚さを有してもよい。例えば感圧接着剤層は、少なくとも25、100、または250μmから500、1000、または2500μm以下の範囲、またはそれ以上でさえある厚さを有してもよい。
【0045】
選択された具体的熱可塑性ポリマー層および意図される用途次第で、感圧接着剤層は、熱可塑性ポリマー層を破損することなく、それが熱可塑性ポリマー層から機械的に分離できないように選択されてもよい。これは例えば感圧接着剤層によって2つの熱可塑性ポリマー層が共に結合する場合に望ましいかもしれない。
【0046】
感圧接着剤層は、例えば熱可塑性ポリマー層の1主面上の連続接着剤フィルムとして、連続していてもよい。代案としては、感圧接着剤層は不連続層であることができる。一実施形態では、感圧接着剤層は英数字または画像イメージの形状を有してもよい。別の実施形態では、接着剤は、熱可塑性ポリマー層の1つ以上の縁、または周辺上にあってもよい。感圧接着剤層を塗布する適切な方法としては、例えばロールコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷が挙げられ、方法は、典型的に所望のコーティングタイプに基づいて選択される。
【0047】
一実施形態では、抗微生物性物品は、例えば剥離ライナーをさらに含んで、使用前に接着剤を保護してもよい。剥離ライナーの例としては、シリコーン被覆クラフト紙、シリコーン被覆ポリエチレン被覆紙、シリコーン被覆されたまたは被覆されていない、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリマー材料、ならびに概してシャーブ(Schurb)らに付与された米国特許第3,997,702号明細書、コシャー(Koshar)らに付与された米国特許第4,313,988、号明細書、ラーソン(Larson)らに付与された米国特許第4,614,667号明細書、カントナー(Kantner)らに付与された米国特許第5,202,190号明細書、およびトゥシャウス(Tushaus)らに付与された米国特許第5,290,615号明細書で述べられるものなどのシリコーン尿素、ウレタン、および長鎖アルキルアクリレートなどのポリマー剥離剤で被覆された前述の基礎材料などが挙げられる。適切な市販される剥離ライナーとしては、イリノイ州オークブルックのレクサム・リリース(Rexam Release(Oakbrook,Illinois))から商品名「ポリシルク(POLYSLIK)」、およびペンシルベニア州スプリンググローブのP.H.グラットフェルター社(P.H.Glatfelter Company(Spring Grove,Pennsylvania))から商品名エグゼール「(EXHERE)」の下に入手できるものが挙げられる。
【0048】
接着剤を配合する場合、1つ以上の界面活性剤を含ませて、抗微生物剤の移行を増強し、および/または抗微生物活性を増大させることが特に望ましい。使用する場合、概して、接着剤総重量を基準にして少なくとも約0.05重量%の量で、1つ以上の界面活性剤を抗微生物性物品の接着剤層に添加する。概して、接着剤総重量を基準にして好ましくは約30重量%以下、より好ましくは約20重量%以下、さらにより好ましくは約10重量%以下、最も好ましくは約5重量%以下の量で、1つ以上の界面活性剤を添加する。有用なクラスの界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、および両性界面活性剤が挙げられる。
【0049】
1つの有用なクラスの非イオン性界面活性剤としては、約3〜約100モル、好ましくは約5〜約40モル、最も好ましくは約5〜約20モルの酸化エチレンと縮合した、直鎖または分枝鎖構成の約8〜約20個の炭素原子を含有する、脂肪アルコールなどの高級脂肪族アルコールの縮合物が挙げられる。このような非イオン性エトキシル化脂肪アルコール界面活性剤の例は、ユニオン・カーバイド(Union Carbide)からのテルギトール(Tergitol)(登録商標)15−Sシリーズ、およびICIからのブリッジ(Brij)(登録商標)界面活性剤である。テルギトール(Tergitol)(登録商標)15−S界面活性剤は、C11〜C15二級アルコールポリエチレングリコールエーテルを含む。ブリッジ(Brij)(登録商標)97界面活性剤はポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルであり、ブリッジ(Brij)(登録商標)58界面活性剤はポリオキシエチレン(20)セチルエーテルであり、ブリッジ(Brij)(登録商標)76界面活性剤はポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテルである。
【0050】
別の有用なクラスの非イオン性界面活性剤は、直鎖または分枝鎖構成の約6〜12個の炭素原子を含有する1モルのアルキルフェノールと、約3〜約100モル、好ましくは約5〜約40モル、最も好ましくは約5〜約20モルの酸化エチレンとの酸化ポリエチレン縮合物を含み、上で定義したHLBを達成する。非反応性非イオン性界面活性剤の例は、ローヌ・プーラン(Rhone−Poulenc)からのイゲパル(Igepal)(登録商標)COおよびCAシリーズである。イゲパル(Igepal)(登録商標)CO界面活性剤は、ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールを含む。イゲパル(Igepal)(登録商標)CA界面活性剤は、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールを含む。
【0051】
別の有用なクラスの非イオン性界面活性剤は、HLB値が約6〜約19、好ましくは約9〜約18、最も好ましくは約10〜約16の酸化エチレンと酸化プロピレンまたは酸化ブチレンとのブロックコポリマーを含む。このような非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤(ポロキサマーとして知られている)の例は、BASFからの界面活性剤のプルロニック(Pluronic)(登録商標)およびテトロニック(Tetronic)(登録商標)シリーズである。プルロニック(Pluronic)(登録商標)界面活性剤は酸化エチレン−酸化プロピレンブロックコポリマーを含む。テトロニック(Tetronic)(登録商標)界面活性剤は酸化エチレン−酸化プロピレンブロックコポリマーを含む。好ましい例は、室温で液体であり12〜18のHLB値を有するポロキサマー(Polaxamer)124またはプルロニック(Pluronic)L44である。
【0052】
さらに別の有用な非イオン性界面活性剤は、約6〜約19、好ましくは約9〜約18、最も好ましくは約10〜約16のHLBを有するソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、およびステアリン酸ポリオキシエチレンを含む。このような脂肪酸エステル非イオン性界面活性剤の例としては、ICI(現在のユニケマ(Uniqema))からのスパン(Span)(登録商標)、トウィーン(Tween)(登録商標)、およびミルジ(Myrj)(登録商標)界面活性剤が挙げられる。スパン(Span)(登録商標)界面活性剤は、C12〜C18ソルビタンモノエステルを含む。トウィーン(Tween)(登録商標)界面活性剤は、ポリ(エチレンオキシド)C12〜C18ソルビタンモノエステルを含む。ミルジ(Myrj)(登録商標)界面活性剤は、ステアリン酸ポリ(エチレンオキシド)を含む。
【0053】
特に適切な炭化水素非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル−フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアシルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ラウリン酸ポリエチレングリコール、ステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、オレイン酸ポリエチレングリコール、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー、ラウリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、ソルビタンオレイン酸、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンラウリルアミド、酢酸ラウリルアミン、硬質牛脂プロピレンジアミンジオレエート、エトキシル化テトラメチルデシンジオール、フルオロ脂肪族ポリマーエステル、ポリエーテル−ポリシロキサンコポリマーなどが挙げられる。
【0054】
非イオン性界面活性剤は、式
h1−Y1−W−Y2−Rh2、(I)
(式中、
Wはポリオキシアルキレン基、好ましくはポリオキシエチレン基を表し、
1およびY2は独立して酸素またはイオウ原子、または式−CO−、−COO−、−NH−、−CONH−、または−N(R)−(式中、Rはアルキル基またはアリール基である)の基を表し、
h1はその骨格鎖が直鎖、分枝鎖、または十分に大きければ、環式、またはそれらのあらゆる組み合わせであってもよく、骨格鎖がまた、骨格鎖の炭素原子に結合する1つ以上のカテナリーヘテロ原子(酸素、六価のイオウ、および三価の窒素原子など)も任意に含むことができる2〜約20個の炭素原子を含有する、置換または非置換であってもよいアルキルまたはアリール基、またはそれらの組み合わせを表し、
h2は水素原子を表し、またはその骨格鎖が直鎖、分枝鎖、または十分に大きければ、環式、またはそれらのあらゆる組み合わせであってもよく、骨格鎖がまた、骨格鎖の炭素原子に結合する酸素、六価のイオウ、および三価の窒素原子などの1つ以上のカテナリーヘテロ原子も任意に含むことができる2〜約20個の炭素原子を含有する、置換または非置換であってもよいアルキルまたはアリール基、またはそれらの組み合わせである)
に対応する。
【0055】
描写されたRh1およびRh2の片方または双方は、式
【化1】

(式中、
全ての描写されたR基は独立して、置換または非置換の直鎖または分枝鎖、環式または非環式であってもよい1〜約10個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基として選択され、1つ以上のカテナリーヘテロ原子を含有してもよい)
のポリジアルキルシロキサン基を含有してもよい。
【0056】
上の式Iに従った炭化水素界面活性剤中の変数Wは、ポリオキシアルキレン基(OR1)s(式中、R1は−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、および−CH(CH3)CH(CH3)−などの2〜約4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、sは炭化水素界面活性剤中のオキシアルキレンの重量%が20〜80%、より好ましくは40〜70重量%になるような数である)である。ポリ(オキシアルキレン)基中のオキシアルキレン単位は、ポリ(オキシプロピレン)またはポリ(オキシエチレン)などのように同一であることができ、または無作為に分布するオキシエチレンおよびオキシプロピレン単位、すなわちポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)のヘテロ直鎖または分枝鎖中、またはオキシプロピレン単位の直鎖または分枝鎖ブロック中などの混合物として存在できる。
【0057】
上の式Iに従った代表的な界面活性剤としては、エトキシル化アルキルフェノール(それぞれユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.)およびローヌ・プーラン社(Rhone−Poulenc Corp.)から市販されるトリトン(TRITON)(登録商標)TX、イゲパル(IGEPAL)(登録商標)CA、およびイゲパル(IGEPAL)(登録商標)COシリーズなど)、エトキシル化ジアルキルフェノール(これもまたローヌ・プーラン社(Rhone−Poulenc Corp.)から市販されるイゲパル(IGEPAL)(登録商標)DMシリーズなど)、エトキシル化脂肪アルコール(ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.)から市販されるテルギトール(TERGITOL)(登録商標)シリーズなど)、およびポリオキシエチレン脂肪酸モノエステルおよびジエステル(PPGインダストリーズ(PPG Industries,Inc.)から市販されるマペグ(MAPEG)(登録商標)MOおよびマペグ(MAPEG)(登録商標)DOシリーズなど)が挙げられる。
【0058】
本発明に従った別のクラスの非イオン性ポリオキシエチレン含有界面活性剤は、式
【化2】

(式中、
各nは独立して2〜約20の数であり、界面活性剤中のポリオキシエチレンの重量%が20〜80%、好ましくは30〜60%になるように選択され、
各Rは骨格鎖が直鎖、分枝鎖、または十分に大きければ、環式、またはそれらのあらゆる組み合わせであってもよく、骨格鎖がまた、骨格鎖の炭素原子に結合する酸素、六価のイオウ、および三価の窒素原子などの1つ以上のカテナリーヘテロ原子も任意に含むことができる2〜約20個の炭素原子を含有する、置換または非置換であってもよいアルキルまたはアリール基として互いに独立して選択される)
によって記述されてもよい。
【0059】
本発明の実施において有用な別のクラスの有用な非イオン性ポリオキシエチレン含有界面活性剤は、概して、式
【化3】

(式中、
n、x、y、およびzは描写された界面活性剤中の反復単位の数を示し、界面活性剤中の酸化ポリエチレンの重量%が、20〜80%、好ましくは40〜70%、最も好ましくは40〜60%であるように選択される。描写された式中の反復シロキサン単位は、界面活性剤分子中に無作為に位置してもよいものと理解される。
Qは多価、概して二価の、結合基であり、または描写されたオキシアルキレン基にケイ素原子を結合する手段を提供する共有結合であり、Qは例えば−O−、−CO−、−Cn2nO−、または−OCn2nO−(式中、nは1〜6の数である)を含有する基であるヘテロ原子含有基を含んでなることができ、
各Rはその骨格鎖が直鎖、分枝鎖、または十分に大きければ、環式、またはそれらのあらゆる組み合わせであってもよく、骨格鎖がまた、骨格鎖の炭素原子に結合する酸素、六価のイオウ、および三価の窒素原子などの1つ以上のカテナリーヘテロ原子も任意に含むことができる1〜約20個の炭素原子を含有する、置換または非置換であってもよいアルキル、アルコキシ、アリールまたはアリールオキシ基として互いに独立して選択される)
で表されてもよいオルガノシロキサン化合物を含む。式によって描写されるタイプの有用なシリコーン界面活性剤としては、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.)から市販されるシルウェット(Silwet)(登録商標)L−77などのエトキシル化ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0060】
有用なフルオロケミカル非イオン性界面活性剤は、その構造中に水溶化ポリオキシアルキレン基の1つ以上のブロックを含有する、フルオロ脂肪族基含有非イオン性化合物を含む。このような界面活性剤のクラスについては、ガーディナー(Gardiner)に付与された米国特許第5,300,357号明細書で述べられる。概して、本発明で有用なフルオロケミカル界面活性剤は、下で式II
(Rf−Q)n−Z(II)
(式中、
fは直鎖、分枝鎖、または十分に大きければ、環式、またはそれらのあらゆる組み合わせであってもよい、少なくとも3個、好ましくは少なくとも4個、最も好ましくは4〜7個の完全にフッ素化された炭素原子を有するフルオロ脂肪族基である)で表されるものを含む。フルオロ脂肪族基中の骨格鎖は、骨格鎖の炭素原子に結合する酸素、六価のイオウ、および三価の窒素原子などの1つ以上のカテナリーヘテロ原子を含むことができる。完全にフッ素化されたフルオロ脂肪族基が好ましいが、各2個の炭素原子に対して1つ以下のいずれかの原子が存在するならば、置換基として水素または塩素原子が存在してもよい。Rfは多数の炭素原子を含有できるが、より大きなラジカルは、通常、より短い鎖で可能なよりもフッ素のより低効率の利用を意味するので、Rfが20個以下の炭素原子である化合物が適切であり好ましい。約4〜約7個の炭素原子を含有するフルオロ脂肪族ラジカルが最も好ましい。概してRfは、約40〜約78重量%のフッ素を含有する。Rf基の末端部分は、好ましくは例えばC37−などの少なくとも3個の完全にフッ素化された炭素原子を含有し、特に好ましい化合物は、例えばCF3(CF2n−のようにRfがペルフルオロアルキルである場合のように、その中でRf基が完全にまたは実質的に完全にフッ素化されたものである。適切なRf基としては、例えばC49−、C613CH2CH2−、およびC1021CH2CH2−が挙げられる。
【0061】
上の式II中のQは多価基、概して二価の基、結合基であり、または非イオン性の親水性基である描写された基ZにRfを結合する手段を提供する共有結合であって、Qは例えば−S−、−O−、−CO−、−SO2−、−N(R)−、(式中、Rは水素、またはO、N、Sなどのカテナリーヘテロ原子を含んでなってもよいC1〜C6置換または非置換アルキル基である)、−Cn2n−(n=1〜6)などの基のようなヘテロ原子含有基を含んでなることができ、Qは例えば−CON(R)Cn2n−、−SO2N(R)Cn2n−、−SO364N(R)Cn2n−、−SO2N(R)Cn2nO[CH2CH(CH2Cl)O]gCH2CH(CH2Cl)−(n=1〜6、g=1〜10)、−SO2N(CH3)C24OCH2CH(OH)CH2−、−SO2N(C25)C24OCH2CH(OH)CH2−、−SO2N(H)CH2CH(OH)CH2NHC(CH3)CH2−、−(CH22S(CH22−、および−(CH24CH(CH3)−を与えるような基などの組み合わせを含んでなることができ、
上の式II中のZはポリ(オキシアルキレン)基である(OR’)x、(式中、R’は−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、および−CH(CH3)CH(CH3)−などの2〜約4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、xは約4〜約25の数である)を含んでなる非イオン性の親水性基であり、Zは好ましくはポリ(オキシエチレン)基を含有する。前記ポリ(オキシアルキレン)中のオキシアルキレン単位はポリ(オキシプロピレン)中などのように同一であり、または無作為に分布するオキシエチレンおよびオキシプロピレン単位、すなわちポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)のヘテリックな直鎖または分枝鎖中などのように、またはオキシプロピレン単位の直鎖または分枝鎖ブロック中のように混合物として存在する。ポリ(オキシアルキレン)鎖は、このような連鎖がポリ(オキシアルキレン)鎖の水溶化を実質的に変化させないならば、Zが式−O−CH2−CH(O)−CH2−O−の基を含む場合のように、1つ以上のカテナリー連鎖によって中断でき、またはそれを含むことができる。Z基は例えば−OCH3、−OCH2CH3、−OC64C(CH32CH2C(CH32CH3、−OC64(C9192、−OC1225、−OC1429、−OC1633、または−O−QRf(式中、QおよびRf前出で定義されたとおり)などのヒドロキシル、アルキルエーテル(C1〜C20アルキルエーテルなど)、アルカリールエーテル、またはフルオロアルキルエーテルで終結してもよく、
nは1〜6の数である。
【0062】
有用なアニオン性界面活性剤としては、以下のもののアルカリ金属および(アルキル)アンモニウム塩が挙げられるが、これに限定されるものではない。1)ナトリウムドデシルスルフェートおよびカリウムドデカンスルホネートなどのアルキルスルフェートおよびスルホネート、2)直鎖または分枝鎖脂肪族アルコールおよびカルボン酸のポリエトキシル化誘導体のスルフェート、3)ナトリウムラウリルベンゼン−スルホネートなどのアルキルベンゼンまたはアルキルナフタレンスルホネートおよびスルフェート、4)エトキシル化およびポリエトキシル化アルキルおよびアラルキルアルコールカルボキシレート、5)サルコシン酸アルキルおよびグリシン酸アルキルなどのグリシン酸、6)スルホコハク酸ジアルキルをはじめとするスルホコハク酸、7)イセチオン酸誘導体、8)N−メチル−N−オレイルタウリン酸ナトリウムなどのN−アシルタウリン誘導体、9)酸化アルキルおよび酸化アルキルアミドアルキルジアルキルアミンをはじめとするアミンオキシド、および10)エトキシル化ドデシルアルコールホスフェートエステル、ナトリウム塩などのアルキルホスフェートモノまたはジエステル。
【0063】
適切なアニオン性スルホネート界面活性剤の代表的な市販例としては、例えば以下が挙げられる。デラウェア州ウィルミントンのヘンケル(Henkel Inc.(Wilmington,DE))からテキサポン(TEXAPON)(登録商標)L−100として、またはイリノイ州ノースフィールドのステパン・ケミカル(Stepan Chemical Co.(North Field,IL))からポリステップ(POLYSTEP)(登録商標)B−3として入手できるナトリウムラウリルスルフェート、イリノイ州ノースフィールドのステパン・ケミカル(Stepan Chemical Co.(North Field,IL))からポリステップ(POLYSTEP)(登録商標)B−12として入手できるナトリウム25ラウリルエーテルスルフェート、デラウェア州ウィルミントンのヘンケル(Henkel Inc.(Wilmington,DE))からスタンダポル(STANDAPOL)(登録商標)Aとして入手できるアンモニウムラウリルスルフェート、およびニュージャージー州クランベリーのローヌ・プーラン(Rhone−Poulenc、Inc.(Cranberry、NJ))からシポネート(SIPONATE)(登録商標)DS−10として入手できるナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、ニュージャージー州ウェストパターソンのサイテック・インダストリーズ(Cytec Industries(West Paterson,N.J))から市販される商品名エアロゾル(AEROSOL)(登録商標)OTを有するスルホコハク酸ジアルキル、日本国東京の日光ケミカルズから商品名ニッコール(NIKKOL)(登録商標)CMT30の下に入手できるタウリン酸ナトリウムメチル、ノースカロライナ州シャーロットのクラリアント社(Clariant Corp.(Charlotte,N.C.))から入手できるナトリウム(C14〜C17)二級アルカンスルホネート(α−オレフィンスルホネート)であるホスタピュア(Hostapur)(登録商標)SASなどの二級アルカンスルホネート、ステパン社(Stepan Company)から商品名アルファステ(ALPHΑSTE)(登録商標)PC−48の下に入手できるナトリウムメチル−2−スルホ(C1216)エステルおよび二ナトリウム2−スルホ(C12〜C16)脂肪酸などのメチル−2−スルホアルキルエステル、どちらもステパン社(Stepan Company)からナトリウムラウリルスルホ酢酸(商品名ランタノール(LANTHANOL)(登録商標)LAL)、および二ナトリウムラウレススルホコハク酸(ステパンミルド(STEPANMILD)(登録商標)SL3)として入手できるアルキルスルホ酢酸およびアルキルスルホコハク酸、ステパン社(Stepan Company)から商品名ステパノール(STEPANOL(登録商標)AM)の下に市販されるアンモニウムラウリルスルフェートなどのアルキルスルフェート。
【0064】
適切なアニオン性ホスフェート界面活性剤の代表的な市販例としては、クラリアント社(Clariant Corp.)から商品名ホスタファット(HOSTAPHAT)(登録商標)340KLの下に市販される、概してトリラウレス−4−ホスフェートと称される、モノ−、ジ−およびトリ−(アルキルテトラグリコールエーテル)−o−リン酸エステル混合物、ならびにニュージャージー州パーシッパニーのクロダ(Croda Inc.(Parsipanny,N.J.))から商品名クロダホス(CRODAPHOS)(登録商標)SGの下に入手できるPPG−5セチル10ホスフェートが挙げられる。
【0065】
適切なアニオン性アミンオキシド界面活性剤の代表的な市販例は、商品名アンモニックス(AMMONYX)(登録商標)LO、LMDO、およびCOの下に、全てステパン社(Stepan Company)から市販されるラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、およびセチルアミンオキシドである。
【0066】
有用な両性界面活性剤の例としては、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキサミドアルキレンジメチルアミンオキシド、アミノプロピオネート、スルホベタイン、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、ジヒドロキシグリシン酸エチル、酢酸イミダゾリン、イミダゾリンプロピオネート、アンモニウムカルボキシレート、およびアンモニウムスルホネートアンフォテリック(ammonium sulfonate amphoterics)およびイミダゾリンスルホネートが挙げられる。
【0067】
両性界面活性剤の代表的な市販例としては、商品名マッカム(MACKAM)(登録商標)CB−35およびマッカム(MACKAM)(登録商標)Lの下にイリノイ州ユニバーシティ・パークのマッキンタイア・グループ(McIntyre Group Ltd.(University Park,Ill.))から市販されるココベタインおよびコカミドプロピルベタインなどの特定のベタインと、ラウロアンホ酢酸ナトリウムなどの一酢酸と、ラウロアンホ酢酸二ナトリウムなどの二酢酸と、マッキンタイア・グループ(McIntyre Group Ltd.)からそれぞれ商品名マッカム(MACKAM)(登録商標)1L、マッカム(MACKAM)(登録商標)2L、およびマッカム(MACKAM)(登録商標)151Lの下に市販されるラウラミノプロピオン酸などのアミノ−およびアルキルアミノ−プロピオネートと、マッキンタイア・グループ(McIntyre Group Ltd.)からマッカム(MACKAM)(登録商標)50−SBとして市販されるコカミドプロピルヒドロキシスルタインとが挙げられる。
【0068】
さらに接着剤層は小量の溶剤をさらに含有してもよい。溶剤は抗微生物剤の可溶化剤およびキャリアとしてさらに助けとなってもよい。それはまたキャリアとして、またはポリマーフィルムそれ自体を変化させる、すなわちポリマーフィルムのTgを低下させることで、ポリマーフィルムを通る抗微生物剤化合物の輸送を助けても良い。
【0069】
抗微生物性物品は、抗微生物剤と接着剤を合わせて、混合物を熱可塑性ポリマー層にコーティングして調製してもよい。あらゆる適切なコーティング法を使用してもよい。抗微生物剤は、抗微生物剤の移行に際して熱可塑性ポリマー層露出面(すなわち接着剤層で被覆されたのと反対側の表面)を抗微生物性にするのに十分な量で使用される。
【0070】
抗微生物剤は、接着剤層の重量を基準にして、典型的に少なくとも約0.25重量%の量、より好ましくは少なくとも約0.5重量%の量で使用される。抗微生物剤の最大量は重要でないが、1層の熱可塑性ポリマーのみからなる抗微生物性物品の場合、熱可塑性ポリマー層の機械的特性を損なわないように、可能な限り最低量を使用することが好ましい。概して抗微生物剤の量は、約0.5重量%〜40重量%であり、より好ましくは約1重量%〜30重量%である。接着剤レザバー内に必要な実際の抗微生物剤濃度は、選択される抗微生物剤、所望の最終用途、および使用継続期間に高度に依存する。抗生物質および銀化合物などのいくつかの抗微生物剤はppmレベルで阻害性かつ有効であるので、典型的により低い濃度で使用できる。
【0071】
得られた抗微生物性物品は、例えばあらゆる抗微生物性物品について知られている用途のために使用してもよいが、典型的に、それからそれが製造された構成要素熱可塑性ポリマーと比べて増大する抗微生物活性を有する。例えば本発明の方法を使用して、多様な医療用および非医療用テープを調製してもよい。テープは熱可塑性ポリマーバッキングを含んでなり、その上に被覆された接着剤を有し、接着剤は抗微生物剤を含有する。抗微生物剤は接着剤層からバッキング層(熱可塑性ポリマー層)およびその他の層に移動して、物品を抗微生物性にする。
【0072】
多様な材料を使用してバッキングを形成できる。バッキングは、断裂可能または断裂不能、弾性または非弾性、伸縮性または非伸縮性、多孔質または非多孔質であることができる。バッキングは、単層または多層フィルム、不織フィルム、多孔質フィルム、フォーム様フィルム、および前出の組み合わせの形態であることができる(熱可塑性ポリマー層について前述したように)。バッキングはまた、例えば充填フィルム(例えば炭酸カルシウム充填ポリオレフィン)などの充填材料からも調製できる。
【0073】
フィルムバッキングは、例えば押出し、同時押出し、溶剤キャスティング、発泡成形、不織技術、などのフィルム形成のあらゆる既知の方法によって製造できる。バッキングは、それが加工可能であるのに十分な完全性を有し、好ましくは約10μm(すなわちミクロン)〜約250μmの範囲の厚さがあれば、多種多様な厚さを有することができる。
【0074】
合成繊維またはそれらの混合物からできたウェブが使用できる。織布または不織材料を用いることができ、ほとんどの用途で不織材料が好ましい。メルトブローンまたはスパンボンド技術を用いて、このような不織ウェブを製造できる。不織ウェブはまた、ニューヨーク州マセドンのランド社(Rando Corporation(Macedon,NY))からのランド・ウェバー(Rando Webber)エアレイド機上、または梳綿機上で調製できる。
【0075】
バッキング基材がラミネートの形態であれば、粘着包帯製品のための吸収性層(例えばガーゼパッド)などの追加的構成要素を使用できる。吸収性層が使用される場合、それらは伸縮性または非伸縮性であることができるが、それらは典型的に薄く、密着して順応性であり、屈曲できて物品の伸張可撤性を妨げない。
【0076】
ラミネートの場合、通気性の液体不透過性フィルムであることができる1つ以上の追加的層があってもよい。典型的にこのフィルムは、最外(すなわち最上)層である。フィルム材料の例としては、ポリウレタン、ポリオレフィン、メタロセンポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルエステル、およびシェル・ケミカル(Shell Chemical Co.)から入手できるクラトン(KRATON)コポリマーなどのA−B−Aブロックコポリマー、が挙げられる。好ましくは最外層は、外部環境から生じるかもしれない流体に対して実質的に不透過性でありながら、接着剤物品が通気性であるように水蒸気の通過を許すフィルムである(典型的に少なくとも約500g/m2/日の水蒸気透過率(MVTR)を有する)。
【0077】
バッキングは、任意に、吸収性または非吸収性であってもよく、典型的には非水吸収性の繊維を含むことができる。本発明のバッキング基材において有用な繊維構造物としては、多層構成、被覆構成、および中実の均質な構成が挙げられる。
【0078】
本発明の接着剤物品のバッキングに適した材料の代表的な例としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、および直鎖超低密度ポリエチレンをはじめとするポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリブチレンなどのポリオレフィンと、可塑化および非可塑化双方のポリ塩化ビニル、およびポリ酢酸ビニルなどのビニルコポリマーと、エチレン/メタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、およびエチレン/プロピレンコポリマーなどのオレフィンコポリマーと、アクリルポリマーおよびコポリマーと、ポリカプロラクトンと、前出の組み合わせが挙げられる。ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリウレタン/ポリオレフィン、ポリウレタン/ポリカーボネート、ポリウレタン/ポリエステルなどのあらゆる可塑性または可塑性かつ弾性材料の混合物または配合物もまた使用できる。
【0079】
本発明の物品は、創傷包帯構造体に塗布してもよい。典型的な創傷包帯は、抗微生物剤を含んでなる接着剤層を有して創傷部位と吸収性層(吸収性ゲル層など)の間に流体透過性バリアを提供する多孔質または非多孔質表層(すなわち創傷面層)と、バッキング層とを含む。抗微生物剤は接着剤層から隣接する層に移動して、創傷包帯剤を抗微生物性にする。したがって抗微生物接着剤は、包帯中の真菌および細菌の生育を防止する。本発明の創傷包帯は、特に湿潤包帯、すなわち大量の水分および創傷流体を保持する包帯に有用である(これは常態では細菌生育に理想的な環境を提供するが、その生育はこの構造体中では遅延される)。
【0080】
表層は創傷からゲル層への水分(すなわち流体および蒸気)の輸送を可能にし、包帯のその他の構成要素から創傷を単離してもよい。表層は、好ましくは柔軟で可撓性で順応性かつ非刺激性および非感作性である。ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドまたはポリエステル材料をはじめとする、多様なポリマーのいずれかを使用してもよい。さらに表層は、水蒸気透過性フィルム、有孔フィルム、織布−、不織またはメリヤスウェブまたはスクリムの形態であってもよい。好ましい表層はポリウレタンフィルムを含んでなる。本発明に関連して、熱可塑性ポリマー層の実施形態は創傷包帯の表層である。
【0081】
有用な一実施形態では、表層は動物(ヒトを含む)の解剖学的表面に順応性であり、40℃において80%相対湿度差分で少なくとも300g/m2/24時間の水蒸気透過率(MVTR)を有し(チェン(Chen)らに付与された米国特許第5,733,570号明細書の方法に従う)、実質的にその無孔領域全体で液体水に不透過性であり、表層を通って創傷浸出液を通過させる穿孔を含有する。これは表層が、浸出液が通過してレザバー中に入れるようにする表層の明確な有孔箇所以外では、正常な創傷処置条件下で液体水を通過させないことを意味する。
【0082】
表層の好ましい水蒸気透過率は、40℃において80%相対湿度差で少なくとも600g/m2/24時間である。表層は感圧接着剤層をさらに含んでなってもよい。接着剤被覆された表層は、好ましくは先述のMVTRを有する。したがって表層が穿孔以外で液体水に不透過性であれば、接着剤は液体水に透過性であることができ、逆もまた同様であることを意味する。有孔のポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテル−アミド、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、スチレン/ブタジエンブロックコポリマー(テキサス州ヒューストンのシェル・ケミカル社(Shell Chemical Company(Houston,TX))からのクラトン(KRATON)商標熱可塑性ゴム)、およびポリ(塩化ビニル)、および液体水に透過性でない感圧接着剤で覆われるコープランド(Copeland)に付与された米国特許第3,121,021号明細書で述べられるものなどの多孔質または非多孔質表層が、表層に使用できる。任意にこれらのフィルムは、有孔であることができる。追加的多孔質材料としては、織布および不織基材が挙げられる。
【0083】
(1)創傷包帯下の皮膚解離が生じないように、(2)表層下の水分蓄積が表層、ひいては創傷包帯に皮膚の剥離を引き起こさせないように、(3)創傷縁の近接を増強するように、表層が上述の水蒸気または液体透過性を有することが好ましい。好ましい表層は、組み合わせで上の特性を有する、感圧接着剤で任意に被覆された薄いポリマーフィルムである。
【0084】
穿孔とは、表層中に、創傷から創傷包帯吸収性層中への液体水または創傷浸出液の通過を導く、孔またはスリットまたはその他の穿孔があることを意味する。表面フィルム前面(創傷に面する表面)が感圧接着剤層で被覆されている場合、穿孔が接着剤層を通ってさらに伸びてもよい。
【0085】
創傷包帯の実施形態の全てで、バッキング層が存在してもよい。好ましくはバッキング層は動物解剖学的表面に順応性であり、液体水不透過性で、40℃において80%相対湿度差分で少なくとも600g/m2/24時間の水蒸気透過率を有する。バッキング層は表層との組み合わせで、それに創傷からの浸出液が通過してに入る、ゲル層を取り囲むレザバー(例えばパウチまたはエンベロープ)を形成するように構築されてもよい。このレザバーは、それから液体水または浸出液を通過して出させない。代わりにゲル層は浸出液を吸収し、浸出液中の水分は、バッキング層を蒸気形態で通過して雰囲気内に入る。包帯は、創傷部位から創傷浸出液が迅速に除去できるようにして、包帯外部からの液体または細菌が創傷部位を汚染するのを防止する。創傷包帯の接着剤層中の抗微生物剤は、物品を抗微生物性にする。
【0086】
水蒸気を除去するために、バッキング層の水蒸気透過率は少なくとも上述の通りであり、好ましくは40℃において80%相対湿度差分で少なくとも1200g/m2/24時間である。
【0087】
表層およびバッキング層の好ましい実施形態は、薄い順応性のポリマーフィルムである。概してフィルムは、約12μm〜約50μm、好ましくは約12μm〜約25μmの厚さである。順応性は厚さにいくらか依存するので、フィルムがより薄いほどフィルムはより順応性である。ここで本発明の医療用物品(例えば創傷包帯)で利用されるフィルムが、動物の解剖学的表面に順応性であることについて述べた。これは本発明のフィルムが動物解剖学的表面に被着されたとき、表面が動いてもそれらが表面に順応することを意味する。好ましいフィルムは動物の解剖学的関節に順応性である。関節が屈曲して次に非屈曲位置に戻る場合、フィルムは伸びて関節の屈曲に対応するが、十分に弾力性があって、関節が非屈曲状態に戻ると関節への順応を持続する。
【0088】
表層またはバッキング層として有用なフィルムの例としては、オハイオ州クリーブランドのB.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich(Cleveland,OH))から商品名エスタン(ESTANE)の下に入手できるものなどのポリウレタンと、デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール&カンパニー(E.I.duPont de Nemours & Co.(Wilmington,DE))から商品名ハイトレル(HYTREL)の下に入手できるものなどのエラストマーポリエステルと、エルフ・アトケム(Elf−Atochem)から商品名ペバックス(PEBAX)の下に入手できるものなどのポリウレタンおよびポリエステル、ポリ塩化ビニル、およびポリエーテル−アミドブロックコポリマーの配合物とが挙げられる。本発明で使用するのに特に好ましいフィルムは、ポリウレタンおよびエラストマーポリエステルフィルムである。ポリウレタンおよびエラストマーポリエステルフィルムは、フィルムが良好な順応性を有するのを可能にする弾性特性を示す。
【0089】
特に有用なフィルムとしては、差分水蒸気透過率(MVTR)を有する「スピロソルベント」フィルムが挙げられる。スピロソルベントフィルムを組み込んだ包帯は、吸収によって創傷浸出液を管理するだけでなく、浸出液の量に答えて水蒸気透過特性を調節する能力を有する。このようなスピロソルベントフィルムは親水性で水蒸気透過性であり、比較的高いMVTR(湿潤)を有し、1を超え、好ましくは3:1を超える差分MVTR比(湿潤から乾燥)を有する。乾燥MVTRは約2600g/m2/24時間を超え、好ましくは約3000〜4000g/m2/24時間である。バッキング層として有用な特に好ましいスピロソルベントフィルムは、ポリテトラメチレングリコールおよびポリエチレングリコールポリオールをベースとするゼグメント化ポリエーテルポリウレタン尿素などのゼグメント化ポリウレタンである。このようなスピロソルベントフィルムについては、リード(Reed)らに付与された米国特許第5,653,699号明細書および米国特許第4,849,458号明細書で述べられる。
【0090】
別の適切なバッキング層は、液体の方向制御ができるようにする溝がある少なくとも1つの微細構造保有表面を有する流体制御フィルムである。このフィルムを流体を離れた部位に輸送するのに使用して、それによって流体(例えば創傷浸出液)の吸い上げを容易にできる。このようなフィルムは、ジョンストン(Johnston)らに付与された米国特許第6,420,622号明細書で開示される。
【0091】
表層、ゲル層、バッキング層、および接着剤層がある(抗微生物剤を含有する接着剤層がある)創傷包帯の多くの異なる構造体が可能である。一実施形態では、表層およびバッキング層領域がバッキング層に結合するゲル層および表層よりも大きく、それによってパウチが形成され、2つの間にゲルが配置される。別の実施形態では、表層またはバッキング層の1つがゲル層と実質的に同一の領域で、もう1つがより大きな領域であってもよい。表層またはバッキング層のより大きな領域は、接着剤層および剥離ライナーが付着してもよい辺縁を形成する。さらに表および/またはバッキング層が、ゲル層の隣接する表面に付着または結合して隣接層構造体を形成してもよく、その中でバッキングおよび表層が、ゲル層と同一またはそれよりも大きい領域であってもよいものと理解される。代案としてはバッキングと表層が互いに結合してもよく、ゲル層に結合してもしなくてもよい。これらの最後の構造体では、ゲル層は表およびバッキング層の相互付着によって作り出されたパウチ内に束縛される。層は、接着剤、ヒートシール、またはその他の結合手段などのあらゆる従来の手段によって互いに結合してもよい。
【0092】
医療用物品を通して、それらが被着される創傷部位を見ることができるように、表およびバッキング層が少なくとも半透明であり、より好ましくは十分に透明であることが好ましい。創傷部位の不必要な取り扱いと創傷の環境への曝露を避けるために、創傷包帯の除去なしに、創傷およびその治癒を見て評価することが有利であり、それは汚染可能性を低下させ、包帯が除去された場合の創傷を清浄にする必要性を回避する。創傷、浸出液、および創傷周囲の皮膚の色もまた評価できるように、包帯は透明かつ無色であることが好ましい。創傷部位の視覚的検査を可能にする表およびバッキング層として使用するのに好ましい透明なフィルムとしては、オハイオ州クリーブランドのB.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich(Cleveland,OH)から商品名エスタン(ESTANE)の下に入手できるものなどのポリウレタンフィルム、デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール&カンパニー(E.I.duPont de Nemours & Co.(Wilmington,DE))から商品名ハイトレル(HYTREL)の下に入手できるものなどのエラストマーポリエステル、ペンシルベニア州フィラデルフィアのエルフ・アトケム・ノース・アメリカ(Elf−Atochem North America(Philadelphia,PA))から商品名ペバックス(PEBAX)の下に入手できるものなどのポリエーテルブロックアミドが挙げられる。その他の有用なフィルムは、ハイネッケ(Heinecke)に付与された米国特許第4,499,896号明細書、ハイネッケ(Heinecke)に付与された米国特許第4,598,004号明細書、およびハイネッケ(Heinecke)らに付与された米国特許第5,849,325号明細書で述べられるものである。
【0093】
創傷包帯は、表層(すなわち熱可塑性フィルム層)の全部または一部の上に接着剤層(抗微生物剤を含有する)をさらに含んでなる。表層の接着剤の存在は、常態では表層の水蒸気透過性を低下させる。したがって表層に複数の穿孔を加えるのに先だって、表層が接着剤被覆されることが好ましい。したがって創傷浸出液は、有孔の接着剤被覆された表層を容易に通過できる。好ましくは表およびバッキング層の双方が接着剤層でプレコートされて、バッキング層を表層に結合し(パウチ形成し)、表面フィルムを創傷部位に結合するのを容易にする。
【0094】
表層は、連続的なまたはパターンで被覆されていることができる接着剤(抗微生物剤を含有する)の手段によって、創傷部位に付着されてもよい。本発明の創傷包帯で使用できる好ましい接着剤は、ウルリッチ(Ulrich)に付与された米国再発行特許第24,906号明細書で述べられるものなどの皮膚に塗布される普通の接着剤である。その他の有用な接着剤については、米国特許第3,389,827号明細書で述べられるもの、イソ−オクチルアクリレート/N−ビニルピロリドンコポリマー接着剤などのアクリル接着剤、および例えばウォルドマン(Waldman)に付与された米国特許第4,112,213号明細書で述べられるものなどの架橋アクリレート接着剤である。
【0095】
接着剤は、任意にデルガド(Delgado)らに付与された米国特許第5,614,310号明細書で述べられるような低外傷特性がある微小球接着剤、ジョセフ(Joseph)に付与された米国特許第6,171,985 B1号明細書で述べられるような低外傷特性がある繊維接着剤、またはルカスト(Lucast)らに付与された米国特許第6,198,016 B1号明細書、および国際公開第99/13866号パンフレットおよび国際公開第99/13865号パンフレットで述べられる接着剤などの湿潤な皮膚に対して特に良好な接着性を有するもの、ブラッチフォード(Blatchford)らに付与された米国特許出願公開第2001/0051178 A1号明細書で開示されるような多層接着剤であってもよい。特に好ましい接着剤は、ハイネッケ(Heinecke)らに付与された米国特許第5,849,325号明細書の実施例1に従って調製され、15重量%のアクリル酸、15重量%のメトキシポリエチレンオキシド750アクリレート、70重量%のイソオクチルアクリレートを含む。
【0096】
接着剤(抗微生物剤を含有する)は、水または創傷浸出液に対して透過性であるように選択されてもよく、または接着剤は、ゲル層への浸出液流れを妨げないように、創傷包帯表面(すなわち表層またはバッキング層いずれかの表面であるかに関わらず、創傷部位と接する表面)にパターン被覆されていてもよく、すなわち接着剤は、創傷包帯の辺縁に被覆されていてもよい。代案としては、接着剤層は、表面フィルムについて述べられるように有孔で、浸出液のための流体経路を提供してもよい。
【0097】
創傷包帯構造体中のフィルム層辺縁などにパターン被覆されている場合、抗微生物活性はパターン化された接着剤層に隣接するフィルムの領域に限定されない。むしろ抗微生物剤は熱可塑性ポリマー層を通って遠位領域に移動し続け、熱可塑性フィルム層の全表面を抗微生物性にすると考えられる。
【0098】
取り扱い易さのために、剥離ライナーが接着剤層に付着されてもよい。剥離ライナーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびフルオロカーボンからできた、またはそれで被覆されたライナー、およびシリコーン被覆された剥離紙またはポリエステルフィルムが挙げられる。シリコーン被覆された剥離紙の例は、イリノイ州シカゴのH.P.スミス社(H.P. Smith Co.(Chicago,IL))によって供給されるポリシルク(POLYSLIK)S−8004、83ポンド(135.4g/m2)漂白シリコーン剥離紙、およびイリノイ州ディクソンのダウバート・ケミカル(Daubert Chemical Co.(Dixon,IL))によって供給される80ポンド(130.5g/m2)漂白両面シリコーン被覆紙(2−80−BKG−157)である。
【0099】
本発明の創傷包帯はまた、包帯がより容易に創傷に被着できるようにするフレームを含んでもよい。フレームは、取り扱いと創傷部位への被着中に包帯の形状を保持する、比較的硬質の材料からできている。フレームは概してバッキングフィルムの裏面に脱着式に接着して、創傷包帯の被着後に除去される。適切なフレームについては、(Heinecke)らに付与された米国特許第5,531,855号明細書および(Heinecke)らに付与された米国特許第5,738,642号明細書で述べられる。
【0100】
抗微生物性物品はまた、食品調製および包装、クリーンルーム、敷物類をはじめとする床張り材、建築構造中の防湿材、靴の中敷き、展示グラフィックスの保護フィルムおよびその他のこのような用途で使用するための抗微生物性表面としても有用である。抗微生物性物品はまた、医薬品またはその他の薬物の調製、包装および定量供給においても有用である。
【0101】
特に抗微生物性物品は、商業用および家庭用キッチンにおける食品調製のための使い捨て表面として使用してもよい。このような物品は、個々のシート、ロール、または積み重なったシートの組の形態であってもよい。例えば抗微生物性物品のセクションをロールから巻き戻し、接着剤層によって基材に固定してもよい。別の実施形態では、本発明は(PA)n構造体(式中、Pは熱可塑性ポリマー層を表し、Aは接着剤層を表し、nは例えば2〜100などのように1を超える)などの積み重ねの形態の複数の抗微生物性物品を提供する。個々の物品は、必要に応じて積み重ねから除去して使用してもよく、またはそれ自体を最下部物品の接着剤層の手段によって基材表面に固定してもよい。新鮮な抗微生物性表面は、最上の物品の除去によって提供してもよい。このような積み重ねにおいては、熱可塑性ポリマー層の表面を剥離層で処理して、または隣接する物品間に構造が剥離ライナーを提供して、引き続いてシートを積み重ねから除去することを可能にしてもよい。代案としてはこのような物品は、除去可能なまたは再配置できる接着剤と共に提供されてもよい。このような物品を使用して、次に汚染されたら処分することで、清潔な抗微生物性表面を確実にする。
【0102】
食品は切断できるが抗微生物性物品は切断抵抗性であるように、このような物品中で非延性ポリマーを熱可塑性ポリマー層のために使用することが望ましいかもしれない。このような非延性ポリマーの例としては、二軸延伸ポリエーテルと、二軸延伸ポリエステルと、二軸延伸ポリアミドと、ポリ(メチルメタクリレート)などのアクリルポリマーと、ポリカーボネートと、ポリイミドと、酢酸セルロース、セルロース(酢酸−コ−酪酸)、硝酸セルロースなどのセルロース誘導体と、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステルと、ポリ(クロロフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンフッ化物)などのフルオロポリマーと、ポリ(カプロラクタム)、ポリ(アミノカプロン酸)、ポリ(ヘキサメチレンジアミン−コアジピン酸)、ポリ(アミド−コ−イミド)、およびポリ(エステル−コ−イミド)などのポリアミドと、ポリエーテルケトンと、ポリ(エーテルイミド)と、ポリ(メチルペンテン)などのポリオレフィンと、脂肪族および芳香族ポリウレタンと、ポリ(フェニレンエーテル)と、ポリ(硫化フェニレン)と、アタクチックポリ(スチレン)と、キャストシンジオタクチックポリスチレン(cast syndiotactic polystyrene)と、ポリスルホンと、シリコーンポリアミドおよびシリコーンポリカーボネートなどのシリコーン変性ポリマー(すなわち低重量%(10重量%未満)のシリコーンを含有するポリマー)と、デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール(E.I.duPont de Nemours(Wilmington,DE))から商品名SURLYN−8920およびSURLYN−9910の下に入手できるナトリウムまたは亜鉛イオン含有ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)などのイオノマーエチレンコポリマーと、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)およびポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−マレイン酸)、およびポリ(エチレン−コ−フマル酸)などの酸官能性ポリエチレンコポリマーと、ペルフルオロポリ(エチレンテレフタレート)などのフッ素変性ポリマーと、ポリイミドとアクリルとのポリマーブレンド、そしてポリ(メチルメタクリレート)とフルオロポリマーとのブレンドなどの上のポリマーの混合物のクラスからの材料が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0103】
このような使い捨て物品はまた、除去可能なまたは再配置できる接着剤を含んでなってもよい。除去可能な接着剤は、典型的に、例えば(塗装鋼基材から剥離速度30.5cm/分を用いて)8N/cm未満、より具体的には6N/cm未満の180度剥離強さなど、従来の乾燥粘着性PSAよりも低い剥離強さを有する。本発明の目的では、意図される基材への最終被着後、物品の意図される寿命の終わりに、任意の熱の使用と共に手によって25フィート/時間(7.62m/時間)を超える速度で、基材への破損なしにシート材料が除去できれば、接着剤は「除去可能」と見なされる。より好ましくは、接着剤層は再配置できる接着剤層である。本発明の目的では、「再配置できる」とは、少なくとも最初は接着能力の実質的な損失なしに、基材に繰り返し接着されそれから除去される能力を指す。再配置できる接着剤は、通常、少なくとも最初は基材表面に対して、従来の乾燥粘着性を有する感圧接着剤よりも低い剥離強さを有する。
【0104】
有用な再配置できる感圧接着剤としては、クープライダー(Cooprider)らに付与された「粘着性表面活性微小球を含んでなる感圧接着剤(Pressure Sensitive Adhesive Comprising Tacky Surface Active Microspheres)」と題された米国特許第5,571,617号明細書で述べられるもの、またはシルバー(Silver)に付与された米国特許第3,691,140号明細書、メリル(Merrill)らに付与された米国特許第3,857,731号明細書、ベーカー(Baker)らに付与された米国特許第4,166,152号明細書で開示されるものなどの中実で本質的に粘着性を有するエラストマー微小球をベースとする接着剤クラスからの接着剤が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
【0105】
以下の実施例の手段によって、本発明を制限する意図なしに本発明をさらに例証する。
【実施例】
【0106】
これらの実施例は例証のみを目的とし、添付の特許請求の範囲を制限するものではない。実施例および明細書中の残りの部分の全ての部、百分率、比率などは、特に断りのない限り重量を基準とする。使用した溶剤およびその他の試薬は、特に断りのない限りウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company(Milwaukee,Wisconsin))から得られた。
【0107】
試験方法
表面濡れスクリーニング試験
この試験は、表面の表面濡れ能力の定性的測定である。10μLの設定容量の脱イオン水を緩慢にシリンジから試験材料上面に直接のせて、約15分間にわたり水滴が表面を濡らすか、または丸まってビーズになるかどうかを観察した。結果は、水滴が表面を濡らせば「濡れる」と示し、または水滴が表面で丸まってビーズになれば「ビーズになる」と示した。
【0108】
阻害ゾーンのアッセイ
この試験は、表面が微生物の生育を阻害する能力の半定性的測定である。これはリン酸緩衝食塩水(PBS)中1mLあたりおよそ1×108のコロニー形成単位(cfu)の濃度で、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(S.aureus、米国微生物系統保存機関(ATCC)番号25923)、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli、ATCC番号12229)およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)(C.albicans、ATCC番号10231)の別個の溶液を調製して実施された。これらの懸濁液を使用して、滅菌綿アプリケータを溶液に浸し、別個のトリプチケースソイ寒天(TSA)プレートの乾燥した表面に、異なる3方向に塗って微生物のローンを調製する。各サンプルからの3個の7−ミリメートルディスクを接種済みプレートにのせて、滅菌ピンセットで寒天表面にしっかり押しつけて、確実に完全に接触させる。次にプレートを28℃±1℃で24時間インキュベートする。サンプルの直下とそれを取り囲む領域を微生物の生育について調べる。阻害アッセイの結果は、サンプルあたり3個のディスクの平均である。阻害ゾーンは、7−mmサンプルディスクを含めたゾーンの直径として報告される。一次ゾーン(1°)はその中に可視生育を示さない。二次ゾーン(2°)はその中に阻害された生育を示す。いくつかのサンプルは1タイプのゾーンのみを有するのに対し、その他は双方を有するかもしれない。
【0109】
バイオルミネセンスアッセイ
この試験は、表面が微生物の生育を阻害する能力の半定性的測定である。プラスミド遺伝子挿入によって「lux」遺伝子が中に挿入された細菌を光強度測定カメラで分析する。抗微生物剤が効くと、サンプルの光度は低下する。使用した細菌株はLB Amp寒天上の大腸菌(E.coli)DH5α「lux」であった。大腸菌(E.coli)はグラム陰性細菌である。異なる濃度の細菌を使用した。これらの濃度は、1mLあたり109個の細菌の存在で1.0(可視)の吸光度を基準とするUV−Vis分光計での光学濃度試験に基づいた。これらの試験を通じて、最も明白な結果が109細菌の濃度で現れた。各フィルターに0.1mLのサンプルを添加し、次にそれを吸引して寒天プレートにのせた。1個の覆われていない対照を残しながら、その他のフィルターを負の対照と抗微生物剤混合物双方の接着剤ディスクで覆った。これらのディスクを概して2、4、6時間の異なる時間置いたままにして、その後それらを除去した。曝露時間1分間、識別レベル50、および時間間隔1時間で光強度カメラにより読み取りを行った。
【0110】
鋼への接着性
1片の1インチ(2.5cm)幅の試験テープを光輝焼鈍仕上げを有する2インチ×5インチ×1/16インチ(5×12.7×0.15センチメートル)寸法の304号ステンレス鋼の清潔なプレートに被着した。4.5kgのローラーを2回通過させて、テープをロールダウンした。引張り試験機を使用して、180度の角度および12インチ/分(300ミリメートル/分)の速度でテープを剥離した。剥離力をオンス/インチで記録して、ニュートン/2.5センチメートルに変換した。平均値を報告した。
【0111】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0112】
実施例1
パートI:接着剤サンプルの調製
接着剤−1および10重量%の添加剤−1の混合物を調製し、ドクターナイフによってライナー−1上に6ミルの厚さで被覆して室温で3日間乾燥させ、およそ2.4ミルの乾燥接着剤厚を得た。乾燥させた接着剤中の添加剤−1の最終濃度は、およそ21.7重量%であった。
【0113】
パートII:ラミネートの調製および試験
布帛−1の2個のサンプルに接着剤サンプルをラミネートして、上のパートIで調製した接着剤サンプルの2本のテープを調製した。剥離ライナーをこれらの各テープから除去し、各テープの接着剤面をガラススライドにラミネートして3層ラミネートを形成した。1個のラミネートを85℃のオーブンに入れて老化させ、第2のラミネートを室温で老化させた。上述の試験方法を使用して、表面濡れスクリーニング試験によって、サンプルラミネートを27日間に至るまで毎日試験した。結果を表1に示す。
【0114】
比較例C1
パートI:接着剤サンプルの調製
添加剤のない接着剤−1を上の実施例1パートIで述べられるようにして被覆した。
【0115】
パートII:ラミネートの調製および試験
布帛−1の2個のサンプルに接着剤サンプルをラミネートして、上のパートIで調製した接着剤サンプルの2本のテープを調製した。剥離ライナーをこれらの各テープから除去し、各テープの接着剤面をガラススライドにラミネートして3層ラミネートを形成した。1個のラミネートを85℃のオーブンに入れて老化させ、第2のラミネートを室温で老化させた。上述の試験方法を使用して、表面濡れスクリーニング試験によって、サンプルラミネートを27日間に至るまで毎日試験した。結果を表1に示す。
【0116】
実施例2
パートI:接着剤サンプルの調製
上の実施例1パートIで述べられるようにして、添加剤−1を添加した接着剤−1を被覆した。
【0117】
パートII:ラミネートの調製および試験
布帛−2の3個のサンプルに接着剤サンプルをラミネートして、上のパートIで調製した接着剤サンプルの2本のテープを調製した。剥離ライナーをこれらの各テープから除去し、各テープの接着剤面をガラススライドにラミネートして3層ラミネートを形成した。1個のラミネートを85℃のオーブンに入れて老化させ、第2のラミネートを室温で老化させた。上述の試験方法を使用して、表面濡れスクリーニング試験によって、サンプルラミネートを27日間に至るまで毎日試験した。結果を表1に示す。
【0118】
比較例C2
パートI:接着剤サンプルの調製
上の実施例1パートIで述べられるようにして、添加剤のない接着剤−1を被覆した。
【0119】
パートII:ラミネートの調製および試験
布帛−2の3個のサンプルに接着剤サンプルをラミネートして、上のパートIで調製した接着剤サンプルの2本のテープを調製した。剥離ライナーをこれらの各テープから除去し、各テープの接着剤面をガラススライドにラミネートして3層ラミネートを形成した。1個のラミネートを85℃のオーブンに入れて老化させ、第2のラミネートを室温で老化させた。上述の試験方法を使用して、表面濡れスクリーニング試験によって、サンプルラミネートを27日間に至るまで毎日試験した。結果を表1に示す。
【0120】
実施例3
パートI:接着剤サンプルの調製
上の実施例1パートIで述べられるようにして、添加剤−1を添加した接着剤−1を被覆した。
【0121】
パートII:ラミネートの調製および試験
布帛−3の2個のサンプルに接着剤サンプルをラミネートして、上のパートIで調製した接着剤サンプルの2本のテープを調製した。剥離ライナーをこれらの各テープから除去し、各テープの接着剤面をガラススライドにラミネートして3層ラミネートを形成した。1個のラミネートを85℃のオーブンに入れて老化させ、第2のラミネートを室温で老化させた。上述の試験方法を使用して、表面濡れスクリーニング試験によって、サンプルラミネートを27日間に至るまで毎日試験した。結果を表1に示す。
【0122】
比較例C3
パートI:接着剤サンプルの調製
上の実施例1パートIで述べられるようにして、添加剤のない接着剤−1を被覆した。
【0123】
パートII:ラミネートの調製および試験
布帛−3の2個のサンプルに接着剤サンプルをラミネートして、上のパートIで調製した接着剤サンプルの2本のテープを調製した。剥離ライナーをこれらの各テープから除去し、各テープの接着剤面をガラススライドにラミネートして3層ラミネートを形成した。1個のラミネートを85℃のオーブンに入れて老化させ、第2のラミネートを室温で老化させた。上述の試験方法を使用して、表面濡れスクリーニング試験によって、サンプルラミネートを27日間に至るまで毎日試験した。結果を表1に示す。
【0124】
実施例4
パートI:接着剤サンプルの調製
接着剤−1および10重量%の添加剤−1の混合物を調製し、ドクターナイフによってライナー−1上に8ミルの厚さで被覆し、室温で1日間乾燥させて、およそ4ミル厚さの乾燥接着剤を得た。乾燥させた接着剤中の添加剤−1の最終濃度は、およそ21.7重量%であった。
【0125】
パートII:ラミネートの調製および試験
膜−1の3個のサンプルに接着剤サンプルをラミネートして、上のパートIで調製した接着剤サンプルの3本のテープを調製した。剥離ライナーをこれらテープの内2本から除去し、各テープの接着剤面をガラススライドにラミネートして3層ラミネートを形成した。1個のラミネートを80℃のオーブンに入れて老化させ、第2のラミネートを室温で老化させた。上述の試験方法を使用して、表面濡れスクリーニング試験によって、サンプルラミネートを3日間毎日試験した。結果を表1に示す。
【0126】
上で調製した接着テープと膜−1の第3のラミネートを室温で21日間老化させた。次にラミネートの膜表面を表を下にして、接種済み寒天表面に注意深くのせ、上述の阻害ゾーンのアッセイを通じて試験した。結果を表2に示す。
【0127】
比較例C4
パートI:接着剤サンプルの調製
上の実施例4パートIで述べられるようにして、添加剤のない接着剤−1を被覆した。
【0128】
パートII:ラミネートの調製および試験
膜−1の3個のサンプルに接着剤サンプルをラミネートして、上のパートIで調製した接着剤サンプルの3本のテープを調製した。剥離ライナーをこれらテープの内2本から除去し、各テープの接着剤面をガラススライドにラミネートして3層ラミネートを形成した。1個のラミネートを80℃のオーブンに入れて老化させ、第2のラミネートを室温で老化させた。上述の試験方法を使用して、表面濡れスクリーニング試験によって、サンプルラミネートを3日間毎日試験した。結果を表1に示す。
【0129】
上で調製した接着テープと膜−1の第3のラミネートを室温で15日間老化させた。次にラミネートの膜表面を表を下にして、接種済み寒天表面に注意深くのせ、上述の阻害ゾーンのアッセイを通じて試験した。結果を表2に示す。
【0130】
実施例5
パートI:接着剤サンプルの調製
接着剤−1、5重量%の添加剤−2、および5重量%の添加剤−3の混合物を調製し、ドクターナイフによってライナー−2上に8ミルの厚さで被覆し、室温で1日間乾燥させて、およそ4ミル厚さの乾燥接着剤を得た。乾燥させた接着剤中の添加剤−2および添加剤−3の最終濃度は、それぞれおよそ10.8重量%であった。
【0131】
パートII:ラミネートの調製および試験
膜−1の3個のサンプルに接着剤サンプルをラミネートして、上のパートIで調製した接着剤サンプルの3本のテープを調製した。1個のラミネートを80℃のオーブンに入れて老化させ、第2のラミネートを室温で老化させた。上述の試験方法を使用して、表面濡れスクリーニング試験によって、これらのサンプルラミネートを1日後に試験した。結果を表1に示す。
【0132】
上で調製した接着テープと膜−1の第3のラミネートを室温で25日間老化させた。次にラミネートの膜表面を表を下にして、接種済み寒天表面に注意深くのせ、上述の阻害ゾーンのアッセイを通じて試験した。結果を表2に示す。
【0133】
比較例C5
パートI:接着剤サンプルの調製
上の実施例5パートIで述べられるようにして、添加剤のない接着剤−1を被覆した。
【0134】
パートII:ラミネートの調製および試験
接着剤サンプルを膜−1の2個のサンプルにラミネートして、上のパートIで調製された接着剤サンプルの2本のテープを調製した。1個のラミネートを80℃のオーブンに入れて老化させ、第2のラミネートを室温で老化させた。上述の試験方法を使用して、表面濡れスクリーニング試験によって、これらのサンプルラミネートを1日後に試験した。結果を表1に示す。
【0135】
実施例6
パートI:接着剤サンプルの調製
接着剤−1、10重量%の添加剤−2、および10重量%の添加剤−4の混合物を調製し、ドクターナイフによってライナー−2上に8ミルの厚さで被覆し、室温で1日間乾燥させて、およそ4ミル厚さの乾燥接着剤を得た。乾燥させた接着剤中の添加剤−2および添加剤−4の最終濃度は、それぞれおよそ23.3重量%および2.3重量%であった。
【0136】
パートII:ラミネートの調製および試験
膜−1の2個のサンプルに接着剤サンプルをラミネートして、上の実施例6のパートIで調製した接着剤サンプルの2本のテープを調製した。1個のラミネートを室温で老化させ、上述の試験方法を使用して、表面濡れスクリーニング試験によって3日間にわたり試験した。結果を表1に示す。
【0137】
上で調製した接着テープと膜−1の第2のラミネートを室温で4日間老化させた。次にラミネートの膜表面を表を下にして、接種済み寒天表面に注意深くのせ、上述の阻害ゾーンのアッセイを通じて試験した。結果を表2に示す。
【0138】
比較例C6
パートI:接着剤サンプルの調製
上の実施例6パートIで述べられるようにして、添加剤のない接着剤−1を被覆した。
【0139】
パートII:ラミネートの調製および試験
接着剤サンプルを膜−1のサンプルにラミネートして、上のパートIで調製された接着剤サンプルのテープを調製した。ラミネートを室温で老化させた。上述の試験方法を使用して、表面濡れスクリーニング試験によって、サンプルラミネートを3日間毎日試験した。結果を表1に示す。
【0140】
パートII:ラミネートの調製および試験
接着剤サンプルを膜−1の2個のサンプルにラミネートして、上のパートIで調製された接着剤サンプルの2本のテープを調製した。1個のラミネートを80℃のオーブンに入れて老化させ、第2のラミネートを室温で老化させた。上述の試験方法を使用して、表面濡れスクリーニング試験によって、これらのサンプルラミネートを3日間毎日試験した。結果を表1に示す。
【0141】
比較例C8
パートI:接着剤サンプルの調製
上の実施例7パートIで述べられるようにして、添加剤のない接着剤−1を被覆した。
【0142】
パートII:ラミネートの調製および試験
接着剤サンプルをフィルム−1のサンプルにラミネートして、上のパートIで調製した接着剤サンプルのテープを調製した。ラミネートを室温で8日間老化させた。次にラミネートのフィルム表面を表を下にして、接種済み寒天表面に注意深くのせ、上述の阻害ゾーンのアッセイを通じて試験した。結果を表2に示す。
【0143】
実施例8
パートI:接着剤サンプルの調製
上の実施例5パートIで述べられるのと同一様式で、接着剤−1、添加剤−2、および添加剤−3を含有する接着剤サンプルを調製した。
【0144】
パートII:ラミネートの調製および試験
接着剤サンプルをフィルム−1のサンプルにラミネートして、上の実施例8パートIで調製した接着剤サンプルのテープを調製した。ラミネートを室温で老化させた。ラミネートを室温で8日間老化させた。次にラミネートのフィルム表面を表を下にして、接種済み寒天表面に注意深くのせ、上述の阻害ゾーンのアッセイを通じて試験した。結果を表2に示す。
【0145】
実施例9
パートI:接着剤サンプルの調製
上の実施例5パートIで述べられるのと同一様式で、接着剤−1、添加剤−2、および添加剤−3を含有する接着剤サンプルを調製した。
【0146】
パートII:ラミネートの調製および試験
接着剤サンプルをフィルム−2のサンプルにラミネートして、上の実施例9パートIで調製した接着剤サンプルのテープを調製した。ラミネートを室温で老化させた。ラミネートを室温で8日間老化させた。次にラミネートのフィルム表面を表を下にして、接種済み寒天表面に注意深くのせ、上述の阻害ゾーンのアッセイを通じて試験した。結果を表2に示す。
【0147】
比較例C9
パートI:接着剤サンプルの調製
上の実施例5パートIで述べられるようにして、添加剤のない接着剤−1を被覆した。
【0148】
パートII:ラミネートの調製および試験
接着剤サンプルをフィルム−2のサンプルにラミネートして、上のパートIで調製した接着剤サンプルのテープを調製した。ラミネートを室温で8日間老化させた。次にラミネートのフィルム表面を表を下にして、接種済み寒天表面に注意深くのせ、上述の阻害ゾーンのアッセイを通じて試験した。結果を表2に示す。
【0149】
【表5】

【0150】
【表6】

【0151】
実施例10
パートI:接着剤サンプルの調製
接着剤−2(酢酸エチル中に溶解して40%溶液を得る)および5重量%の添加剤−7の混合物を調製して、ドクターナイフでライナー−1の上に被覆し、93℃(200°F)の循環空気オーブン内で15分間乾燥させて、およそ30μm(1.2ミル)の乾燥接着剤厚さを得た。
【0152】
パートII:ラミネートの調製および試験
接着剤サンプルをフィルム1のサンプルにラミネートして、上のパートIで調製された接着剤サンプルのテープを調製した。テープから剥離ライナーを除去し、鋼に対する接着性を上述のように試験した。結果を表3に示す。試験方法で述べられるフィルター上にディスクをのせて、テープのバイオルミネセンス試験を上述のように行った。結果を表3に示す。
【0153】
比較例C10
パートI:接着剤サンプルの調製
上の実施例10パートIで述べられるようにして、添加剤のない接着剤−2を被覆した。
【0154】
パートII:ラミネートの調製および試験
上の実施例10パートIIで述べられるのと同一手順に従った。結果を表3に示す。
【0155】
【表7】

【0156】
実施例11
パートI:接着剤サンプルの調製
接着剤−3と2重量%(実施例11A)および0.2重量%(実施例11B)の添加剤−8との混合物を調製して、ドクターナイフでライナー−1の上に被覆し、93℃(200°F)の循環空気オーブン内で15分間乾燥させて、およそ30μm(1.2ミル)の乾燥接着剤厚さを得た。
【0157】
パートII:ラミネートの調製および試験
接着剤サンプルをフィルム−1のサンプルにラミネートして、上のパートIで調製された接着剤サンプルのテープを調製した。次にテープのフィルム表面を表を下にして、接種済み寒天表面に注意深くのせ、(大腸菌(E.coli)を使用して)上述の阻害ゾーンのアッセイを通じて試験した。結果を表4に示す。
【0158】
比較例C11
パートI:接着剤サンプルの調製
上の実施例11パートIで述べられるようにして、添加剤のない接着剤−3を被覆した。
【0159】
パートII:ラミネートの調製および試験
上の実施例11パートIIで述べられるのと同一手順に従った。結果を表4に示す。
【0160】
【表8】

【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明に従った抗微生物性物品の例示的な横断側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面、および第2の表面に結合する接着剤層を有する第2の表面を有する熱可塑性ポリマー層を含んでなる抗微生物性物品であって、前記接着剤層が前記ポリマー層の前記第1の表面に移動する抗微生物剤を含んでなる、抗微生物性物品。
【請求項2】
前記ポリマー層が、フィルム、多孔質膜、微多孔質膜、および繊維ポリマー層を含んでなる、請求項1に記載の抗微生物性物品。
【請求項3】
前記抗微生物剤が、ヨウ素およびヨードフォア、クロルヘキシジン塩、パラクロロメタキシレノール、トリクロサン、ヘキサクロロフェン、グリセロール及びプロピレングリコールの脂肪酸モノエステル、フェノール、ポリ四級アミン、四級シラン、過酸化水素、銀および銀塩、酸化銀およびスルファジアジン銀から選択される、請求項1に記載の抗微生物性物品。
【請求項4】
前記脂肪酸モノエステルが、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプロエートから選択される、請求項3に記載の抗微生物性物品。
【請求項5】
前記接着剤層が、前記抗微生物剤の漸進的な放出のためのレザバーを提供する、請求項1に記載の抗微生物性物品。
【請求項6】
前記接着剤層が、少なくとも0.25重量%の前記抗微生物剤を含んでなる、請求項5に記載の抗微生物性物品。
【請求項7】
前記接着剤層が、0.25〜40重量%の前記抗微生物剤を含んでなる、請求項6に記載の抗微生物性物品。
【請求項8】
前記ポリマー層が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、およびポリオレフィンから選択される、請求項1に記載の抗微生物性物品。
【請求項9】
前記ポリマー層が、脂肪族モノ−αオレフィンのホモポリマーおよびコポリマーから選択される、請求項1に記載の抗微生物性物品。
【請求項10】
前記ポリマー層が、エチレンおよびプロピレンのホモ−、コ−およびターポリマーから選択される、請求項1に記載の抗微生物性物品。
【請求項11】
前記接着剤層が感圧接着剤層である、請求項1に記載の抗微生物性物品。
【請求項12】
剥離ライナーをさらに含んでなる、請求項1に記載の抗微生物性物品。
【請求項13】
前記熱可塑性ポリマー層がパターン化されている、請求項1に記載の抗微生物性物品。
【請求項14】
前記接着剤層がパターン化されている、請求項1に記載の抗微生物性物品。
【請求項15】
前記熱可塑性ポリマー層が非延性ポリマー層である、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
前記接着剤層が再配置できる接着剤層である、請求項1に記載の物品。
【請求項17】
前記熱可塑性ポリマー層が、25℃で10×10-10cm2/sを超える拡散定数を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項18】
前記熱可塑性ポリマー層が、25℃で100×10-10cm2/sを超える拡散定数を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項19】
前記接着剤層が、前記接着剤層中に分散した界面活性剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の物品。
【請求項20】
前記界面活性剤が、非イオン性、両性、およびアニオン性界面活性剤から選択される、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記界面活性剤が、接着剤層の重量に対して少なくとも0.05重量%の量で存在する、請求項19に記載の物品。
【請求項22】
請求項1に記載の複数の抗微生物性物品を含んでなる多層物品。
【請求項23】
スタックの形態の請求項22に記載の多層物品。
【請求項24】
前記接着剤中に分散する前記抗微生物剤がデリバリシステムを含んで、このような抗微生物剤の接着剤層から隣接する熱可塑性ポリマー層中への移行を容易にし、抗微生物剤の補充を提供する、請求項1に記載の物品。
【請求項25】
前記熱可塑性ポリマー層が約0℃未満のTgを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項26】
(a)接着剤層中に少なくとも1つの抗微生物剤を分散するステップと、(b)接着剤層を熱可塑性ポリマー層に接着するステップと、を含んでなり、接着剤層がポリマー層に抗微生物剤レザバーを提供する、熱可塑性ポリマー層および接着剤層を含んでなる抗微生物性物品を提供する方法。
【請求項27】
前記熱可塑性ポリマー層が、フィルム、膜、または繊維ポリマー層を含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記抗微生物剤が、前記熱可塑性ポリマー層を抗微生物性にするのに十分な量で存在する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記接着剤層が、少なくとも0.25重量%の前記抗微生物剤を含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記熱可塑性ポリマー層が、25℃で10×10-10cm2/sを超える浸透係数を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記接着剤層が前記熱可塑性ポリマー層上に被覆される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記熱可塑性ポリマー層および前記接着剤層が同時押出しされる、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリマー層が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、およびポリオレフィンから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記ポリマー層が、脂肪族モノ−αオレフィンのホモ−、コ−、およびターポリマーから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記ポリマー層が、エチレンおよびプロピレンのホモ−、コ−、およびターポリマーから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記接着剤層が感圧接着剤層である、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
前記接着剤層が再配置できる接着剤層である、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
請求項1に記載の抗微生物性物品を含んでなる創傷包帯。
【請求項39】
熱可塑性ポリマー表層、前記表層の少なくとも一部の上の接着剤層、バッキング層、および前記表層とバッキング層の間に配置されたゲル層を含んでなる創傷包帯であって、前記接着剤層が抗微生物剤を含有する、請求項38に記載の創傷包帯。
【請求項40】
請求項1に記載の抗微生物性物品を含んでなる食品調製表面。

【図1】
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【公表番号】特表2007−536261(P2007−536261A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511631(P2007−511631)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/015826
【国際公開番号】WO2005/110082
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】