説明

抗炎症剤としての置換されたペンタノール、これらを生成する方法、およびこれらの使用

本発明は、抗炎症としてこれらの生成する方法、およびこれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗炎症剤としてのキノリンおよびイソキノリン誘導体、これらを生成する方法、およびこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
DE 100 38 639 およびWO02/10143の先行技術から、一般式:
【化1】

【0003】
の抗炎症剤が周知であり、これによりアリール基が、フタリド、 チオフタリド, ベンゾオキサジノン 又はフタラジノンを含む。
実験でこれらの化合物が、抗炎症と好ましくない代謝作用との間を解離させる作用を示し、そして前記非ステロイドのグルココルチコイドより優れているか、又は少なくとも同様の良好な作用を呈する。
【0004】
しかしながら他のステロイド受容体と比較すると、先行技術によるこれら化合物の選択性を、さらに改良する必要がある。
従って本発明の目的は、利用可能な化合物のこれらの選択性が、他のステロイド受容体と比較して改良された化合物を作成することである。
本目的は、請求項の化合物により達成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明は一般化学式I:
【化2】

【0006】
〔式中
Aは、アリール、ベンジル又はフェネチル基を表し、ここで、当該アリール、ベンジル又はフェネチル基は、所望によりC1-C5-アルキル、C1-C5-アルコキシ、C1-C5-アルキルチオ、C1-C5-パーフルオロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、-O-(CH2)n-O-、-O-(CH2)n-CH2-、-O-CH=CH-又は-(CH2)n+2-の群からの1又は複数の遊離基により置換されていても良く、n は1又は2であり、そして末端の酸素原子および/又は炭素原子は、直接隣接する環の炭素原子に連結されており;あるいはNR4R5であり、ここでR4およびR5は、たがいに独立して水素、C1-C5-アルキル又は(CO)- C1-C5-アルキルであることが出来;
【0007】
R1およびR2は、たがいに独立して、水素原子、メチル基又はエチル基の意味し、あるいは炭素原子と共にC3-C6-シクロアルキル環鎖を意味し;
R3は、C4-C8-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、C3-C8-シクロアルキル、C3-C7-複素環、アリール、ヘテロアリール、(C1-C8-アルキル)C3-C8-シクロアルキル、(C1-C8-アルキル)アリール、又は(C1-C8-アルキル)へテロアリールから選択される、場合によっては置換されていても良い基を意味し;
B は、所望によりメチル基又はエチル基により置換されていても良いメチレン基又はカルボニル基を意味し;、そして
【0008】
Qは、何れかの位置を介し結合されるキノリル基又はイソキノリル基を意味し、そして所望によりC1-C5-アルキル、C1-C5-アルコキシ、C1-C5-アルキルチオ、C1-C5-パーフルオロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ又はNR4R5の群からの1又は複数の基により置換されていてもよく、ここでR4およびR5は、たがいに独立して、水素、C1-C5-アルキル又は(CO)-C1-C5-アルキルであることができる〕
により表される化合物、及びそれらのラセミ体、又は分離して存在する立体異性体、並びに所望によりこれらの生理的に適合可能な塩に関する。
【0009】
アリール基は、フェニルおよびナフチルを含む。フェニルが好ましい。
置換されたアリール、ベンジル又はフェネチル基は、環上に1〜3個の置換基、好ましくは2個の置換基を有する。
環A上での下記の置換形が、本発明の特定対象物である:2,5-2置換フェニル誘導体および2.4-2置換フェニル誘導体。
A、R4およびR5におけるC1-C5-アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であることが出来、そしてメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert.-ブチル又はn-ペンチル、2,2-ジメチルプロピル、2-メチルブチル又は3-メチルブチル基を表す。メチル基又はエチル基が好ましい。
【0010】
C4-C8-アルキル基としてのR3は、直鎖又は分岐鎖であることが出来、そして、たとえばブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル又はイソペンチルを意味することが出来る。
C2-C6アルケニル基は、直鎖又は分岐鎖であり、たとえば、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル又はイソブテニルが適切である。
C2-C6-アルキニル基は、直鎖又は分岐鎖であり、例えば、エチニル、プロピニル又はブチニルが適切である。
【0011】
シクロアルキル基として、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが考えられる。
複素環基は、芳香族性ではなく、そして例えばピロロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン又はピペリジンであることが出来る。
C1-C8-アルキル( C3-C8)シクロアルキル基は、たとえばシクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル又はシクロヘプチルメチルであることが出来る。その鎖との結合が、アルキル基を介して行われる。
【0012】
アリール基として、フェニルおよびナフチルが考えられ、そして(C1-C8)アルキルアリールとして、ベンジルおよびホモベンジルが考えられる。
ヘテロアリールは、フラニル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリジルおよびピリミジル基を含み;
(C1-C8-アルキル)へテロアリールは、単環芳香族の複素環化合物とアルキルの上記定義との全てを組み合わせを含む。その鎖との結合はアルキル基を介し行われ、このアルキル基は今度は複素環化合物の化学的に可能ないずれかの位置に結合される。
【0013】
R3中の基の置換基は、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、C1-C6-アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシおよびNR4R5であることが出来る。
アルキル基R1およびR2は、鎖の炭素原子と一緒になって3〜6員環を形成することができる。
AおよびQ中のC1-C5-アルコキシ基は、直鎖又は分岐鎖であることが出来、そしてメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ-、イソ-プロポキシ-、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、tert.-ブトキシ又はn-ペントキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、2-メチルブトキシ又は3-メチルブトキシ基を表す。メトキシ又はエトキシ基が好ましい。
【0014】
AおよびQ中のC1-C5-アルキルチオ基は、直鎖又は分岐鎖であることが出来、そしてメチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソ-プロピルチオ、n-ブチルチオ、イソ-ブチルチオ、tert-ブチルチオ又はn-ペンチルチオ、2,2-ジメチルプロピルチオ、2-メチルブチルチオ又は3-メチルブチルチオ基を表す。メチルチオ又はエチルチオ基が好ましい。
指定したハロゲン原子又はハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味する。フッ素、塩素、臭素原子が好ましい。
【0015】
NR4R5基は、たとえばNH2、N(H)CH3、N(CH3)2、N(H)(CO)CH3、N(CH3)(CO)CH3、N[(CO)CH3]2、N(H)CO2CH3、N(CH3)CO2CH3又はN(CO2CH3)2を意味する。
R4およびR5がアルキル基である場合、C1-C3-アルキルが好ましい。
R4およびR5がアシル基である場合、(CO)-C1-C3-アルキルが好ましい。
基Bとして、不飽和メチレン基およびカルボニル基が好ましい。
基Qは、いずれかの環の炭素原子を介して鎖の(NH)-基へ結合することが出来る。キノリン環のためには4-、5-および8-の位置が好ましく、そしてイソキノリン環のためには、1-の位置が好ましい。
【0016】
本発明の一般化学式 Iの化合物は、不斉中心が存在するから異なる立体異性体として存在することが出来る。
ラセミ体及び分離して存在する立体異性体が、本発明の対象物の一部である。本発明の特定の対象物が、分離して存在する立体異性体、すなわち(+)-エナンチオマー、および(-)-のエナンチオマーである。
【0017】
本発明の別の対象物は、Aが、アリール、ベンジル又はフェネチル基を表す化合物に関し、ここで、アリール、ベンジル又はフェネチル基は、所望によりC1-C5-アルキル、C1-C5-アルコキシ、C1-C5-アルキルチオ、C1-C5-パーフルオロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ又はNR4R5の群からの1又は複数の遊離基により置換されおり、ここでR4およびR5は、たがいに独立してハロゲン、C1-C5-アルキル、又は(CO)-C1-C5-アルキルであることが出来る。
【0018】
その他の本発明の対象物は、一般式 Iの化合物に関し、ここでAは、O-(CH2)n-O-、-O-(CH2)n-CH2-、-O-CH=CH-又は-(CH2)n+2-を表し、ここでnは1または2であり、そして末端の酸素原子、および/又は炭素原子は、直接隣接する環の炭素原子に結合される。
請求項1記載の化合物が、本発明の別の対象物であり、ここでR3は、C4-C8-アルキル、C3-C8-シクロアルキル、C3-C7-複素環、アリール、ヘテロアリール、(C1-C8-アルキル)C3-C8-シクロアルキル、(C1-C8-アルキル)アリール又は(C1-C8-アルキル)へテロアリールから選択される、任意に置換されていもよい基を意味する。
【0019】
請求項1の化合物が、本発明の別の対象物であり、ここでR3は、C3-C6-シクロアルキル、C3-C7-複素環、フェニル、ヘテロアリール、(C1-C3-アルキル)C3-C6-シクロアルキル、(C1-C3-アルキル)フェニル、又は(C1-C3-アルキル)へテロアリールから選択される、任意に置換されていてもよい遊離基を意味する。
Aが、置換されないフェニル基であり、R1およびR2がメチルであり、R3がシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基又はフェニル基であり、Bがメチレン基であり、そしてQがキノリン又はイソキノリンである一般化学式 Iの化合物が、本発明の別の対象物である。
【0020】
Aが置換されないフェニル基であり、R1およびR2がメチルであり、R3がシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基又はフェニル基であり、Bがメチレン基であり、そしてQが、キノリン基である、一般化学式 Iの化合物が、本発明の別の対象物である。
加えて本発明の対象は、医薬剤を生成するための請求項1による化合物の使用、炎症を治療する医薬剤を生成するための請求項1による化合物の使用、そして請求項1による化合物又はこれらの混合物の少なくとも1つ、並びに医薬的に適合可能な担体を含む医薬調製物の使用である。
【0021】
R3が、C3-C8-シクロアルキル、(C1-C8-アルキル)C3-C8-シクロアルキル、ベンジル、又はフェニルである一般化学式 Iの化合物が、本発明の好ましい対象物である。
R3が、C3-C8-シクロアルキル、(C1-C8-アルキル)C3-C8-シクロアルキル、又はフェニルの意味である一般化学式 Iの化合物が、本発明の特に好ましい対象物であり、そして実施例に記載されているようにR3は、シクロペンチル、メチルシクロヘキシル又はフェニルである一般化学式 Iの化合物が、本発明の極めて好ましい対象物である。
WO98/54159(51488),WO00/32584(51642)およびWO02/10143(51877)による化合物の生成方法を、さらに本発明の化合物の生成に使用できる。本発明による化合物を特徴付けるキノリン又はイソキノリンを結合するために、以下の進行行程を行う:
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
A)
B=COについて
【化3】

【0023】
A,R1およびR2が、一般化学式(I)に示される意味を有する一般化学式(II)のα−ケト酸が、アミノキノリン、アミノイソキノリン、又は(部分的に)水素化されたキノリン又はイソキノリン誘導体(Q-NH2)と共に、当業者に周知の方法で、α-ケトアミド(III)(A、R1およびR2は上記の意味を有する)に転換される。
例えばα-ケトアミド(III)が、ペプチト化学より知られている脱水縮合試薬、たとえばジシクロヘキシルカルボジイミドを使用して、あるいは酸から酸塩化物への上流変換により、たとえば塩化チオニル、つまりPOCl3を用い、その後Q-NH2との反応により、得られる。
【0024】
【化4】

【0025】
化合物(III)を、たとえばグリニヤ試薬、又はアルキルリチウムなどのアルキル金属化合物、又は化合物(IV)、
【0026】
【化5】

【0027】
(式中、R3が上記の意味を有し、そしてR6はC1-C5-アルキル基を意味する)を用いた反応のいずれかによって反応させ、この際、触媒、たとえばフッ化物の塩又は、たとえばアルカリ炭酸塩などの塩基性物の存在下にて反応させ(J.Am.Chem.Soc.1989,111,393)、表題の化合物(I)を形成する。
【0028】
A2)
B=COについて
【化6】

【0029】
あるいは、α-ケト酸(II)を、化合物(V):
【化7】

【0030】
(式中A、R1およびR2は上記のように定義され、そしてR7はC1-C4-アルキルである)
にエステル化することができ、この反応は一般に使用される方法により行なわれ、例えば、メタノール又はエタノール中に塩化チオニルを用い、あるいはヨウ化メチルおよびアルカリ炭酸塩を用い、そして反応順序A1)における(III)から(I)への転換に類似して、化合物(VI)に転換することができる。
【0031】
【化8】

【0032】
上記エステルを、標準的条件下で、たとえば水酸化アルカリ水溶液を用いて酸(VI;R7 = H)に鹸化する。後者を、従来の活性試薬たとえば塩化チオニルを用い、所望によりジメチルアミノピリジンなどの触媒の存在下にて、アミノキノリン又はアミノイソキノリン、あるいは(一部)水素化したキノリン又はイソキノリン誘導体(Q-NH2)と反応させ、表題の化合物(I)を形成する。
【0033】
B)
【化9】

【0034】
さらに表題の化合物(I)が、一般式(XII)の化合物をQ-NH2にて還元アミノ化することにより合成可能であり、ここでシアノボロハイドライト・ナトリウム又はトリアセトキシ・ ボロハイドライト・ナトリウムが還元剤と考えられる。
【0035】
【化10】

【0036】
Bにおけるメチレン基として定義される置換基に従って、R8はメチル又はエチルの意味である。一般式Iの化合物が、塩として存在する場合、たとえば塩酸、硫酸、チッソ、リン酸、ピバレイト、マレイト、フマレイト、タートレイト、ベンゾエイト、メスレイト、シトレイト、又はスクシネイトの形状にて可能である。
【0037】
本発明の化合物が、ラセミ体の混合物として存在する場合、これらが、当業者に周知なラセミ体の分離方法により、純正な、所望により活性な形状に分離することができる。たとえば、ラセミ体の混合物が、さらに所望により活性担体物質(CHIRALPAK AD(商標))上にクロマトグラフィーにより純正な異性体へ分離することができる。さらに、所望により活性酸を用いて、一般式Iのラセミ化合物の遊離水酸基をエステル化すること、又は分別結晶化、又はクロマトグラフィーにより得られるジアステローマ・エステルを分離すること、そして所望により純粋な異性体に対しそれぞれの場合に分離されたエステルをケン化することが、可能である。所望による活性酸として、たとえばマンデル酸カンファスルホン酸又は酒石酸を使用することができる。
【0038】
さらに、実験的に一部使用される本発明による化合物の生成方法が、クレームされた化合物の生産性を一部開示している。グルココルチコイド受容体(GR)や他のステロイド・ホルモン受容体(鉱物コルチコイド受容体(MR)、プロゲステロン受容体(PR)およびアンドロゲン受容体(AR))に対する物質の結合が、組み換え生成受容体の支援により行われる。組み換えバキュロウイルス(baculoviruses)にて感染され、GRをコードするSf9細胞のサイトゾル(Cytosol)の調製物が、結合研究として使用される。基準物質[3H]-デクサメタゾンと比較して、その物質がGRに対し極めて高い親和性を示す。
【0039】
さらに、本明細書に記載される一般式(I)のキノリンおよびイソキノリンが、グルココルチコイド受容体に対し高い選択性を示している。グルココルチコイドの抗炎症作用として、重要な分子機構として、サイトカイン、接着分子、酵素および他の前駆炎症性因子のGR介在による抑制が考えられる。この抑制が、他の転写因子、たとえばAP-1およびNF-κB(調査には、Cato,A.C.B.and Wade,E.,BioEssays 18,371-378,1996を参照)とGRとの相互作用により作り出される。本発明による一般式Iの化合物が、リポポリサッカライド(LPS)によりトリガーされるヒト単球細胞株THP-1にサイトカインIL-8の分泌を抑制する。
【0040】
サイトカインの濃度が、商業的に入手可能なELISAキットの手段によて上澄物において決定される。一般式 I の化合物の抗炎症作用が、ラットやマウスにクロトン油による炎症化誘発試験(J.Exp.(1995),182,99.108)による動物実験にて試験した。この目的のために、エタノール溶液中のクロトン油を、動物の耳へ局部的に塗った。さらに試験物質を、クロトン油と同時に又は2時間前に、居部又は全身的に塗った。16-24時間後、炎症性浮腫の基準として耳の重量を測定し、顆粒球の滲出の尺度としての過酸化酵素活性を、そして好中顆粒球の滲出の尺度としてエラスターゼ活性を測定した。
【0041】
この試験において、一般式 I の化合物が、局所投与後にも、全身的な投与後にも上記3種の炎症化パラメータを抑制する。
グルココルチコイド治療の最も頻繁に生ずる好ましくない作用の1つが、いわゆる「ステロイド性糖尿病」 [cf.Hat,H.J.,Glucocorticoide:Immunologische Grundlagen, hamakologie und Therapierichtliien,[Glucocorticoids:Immunological Bases, harmacology and Therapy Guidelines] Wissenschaftliche Verlagsgesellschsft mbH,Stuttgart,1998] である。その理由が、この点における酵素応答を誘発、およびタンパク質の分解により生成される(グルココルチコイドの異化作用)遊離アミノ酸により、肝臓における糖新生系を刺激することである。
【0042】
肝臓における異化代謝の重要な酵素は、アミノチロシン変換酵素(TAT)である。この酵素の活性は、光度測定により肝臓の恒常性、そして光度測定グリコオルチコイドの好ましくない代謝作用の適切な測定を示すことから決定される。TAT誘発を測定するために、試験物質を投与し8時間後に動物を犠牲にし肝臓を取り出してそしてTATの活性を、均一な状態にて試験した。この試験においてこれらが抗炎症作用を有する投与物において一般式 I の化合物が、アミノチロシン変換酵素(TAT)を、ほとんどかあるいは全く誘発しない。
【0043】
これらの抗炎症性、さらに抗アレルギー、免疫抑制および抗増殖性作用から、本発明による一般式 I の化合物を、動物およびヒトの以下の病気の症状による治療又は予防の医薬として使用することができ、この症例における「疾患(DISEASE)」という用語が、以下の定義を表している:
【0044】
(i) 炎症、アレルギー、および/又は増殖性の過程に伴う肺疾患;
− 何らかの由来、主にアレルギー性気管支喘息などによる慢性的な閉塞性肺疾患、
− 異なる由来による気管支炎、
− 主にアレルギー肺胞などのあらゆる形態の制限性肺疾患、
− 主に毒性肺浮腫などのあらゆる形態の肺性浮腫、
− 肉腫および肉芽腫、特にベックス病(Boeck’s disease)、
【0045】
(ii) 炎症、アレルギー、および/又は増殖性の過程に伴うリュウマチ疾患/自己免疫性疾患/その組み合わせ疾患;
− あらゆる形態のリュウマチ疾患、特にリュウマチ様関節炎、急性リュウマチ熱、多発性筋痛リウマチ、
− 反応性関節炎、
− その他が資源となる炎症性軟組織疾患、
− 変性結合疾患(関節)の症例における関節炎の症状、
− 外傷性関節炎、
− たとえば全身性狼瘡エリテマトーデス、硬皮症、多発性筋炎、ジョウグレン症候群(Sjogren’s Syndrome)、スチル症候群(Still’s syndrome)、フェルテー症候群(Felty’s syndrome)などの何らかの資源からの膠原病、
【0046】
(iii) 炎症、および/又は増殖性の過程に伴うアレルギー:
− たとえばクインクの浮腫(Quincke’s edema)、枯れ草熱、昆虫による刺され、医薬剤、血液誘導体、接触媒介物、などによるアレルギー反応、アナフラキス的発作、蕁麻疹、接触性皮膚炎などのあらゆる形態のアレルギー反応、
【0047】
(iv) 脈管の炎症(脈管炎(vasculitides);
− 汎動脈結節炎、側頭部関節炎、紅疹、結節炎、
【0048】
(v) 炎症、アレルギーおよび/又は増殖性の過程に伴う皮膚的疾患;
− アトピー性皮膚炎(主に小児において)、
− 乾癬、
− 粃糠疹、
− 異なる病毒、たとえば放射線、化学的、火傷などが引き金となる紅疹疾患、
− 水泡性皮膚炎、
− 苔癬様群の疾患、
− そう痒(たとえばアレルギー性に基づき)、
− 脂痛湿疹、
− シュサ(Rosacea)、
− 尋常性天疱瘡、
− 紅斑滲出性多形、
− 亀頭炎、
− 外陰炎、
− 円形脱毛症などの髪の喪失、
− 皮膚のT-細胞リンパ腫、
【0049】
(vi) 炎症、アレルギーおよび/又は増殖性の過程に伴う腎臓疾患;
− ネフローゼ症候群、
− 全ての腎炎群、
(vii) 炎症、アレルギーおよび/又は増殖性の過程に伴う肝臓疾患;
− 急性肝細胞の分解、
− 異なる資源、たとえばウイルス、毒性、医薬剤により誘発される急性肝炎、
− 慢性進行性肝炎そして/又は慢性間欠性肝炎、
【0050】
(viii) 炎症、アレルギーおよび/又は増殖性の過程に伴う消化管の疾患;
− 局所的腸炎(Crohn’s病)、
− 潰瘍性大腸炎、
− 胃炎、
− 還流食道炎、
− 他の資源、たとえば天然スプルー(native sprue)の潰瘍性結腸炎、
【0051】
(ix) 炎症、アレルギーおよび/又は増殖性の過程に伴う直腸的疾患;
− 肛門の湿疹、
− キレツ(fissures)、
− 痔疾、
− 特発性直腸炎、
【0052】
(x) 炎症、アレルギーおよび/又は増殖性の過程に伴う眼疾患;
− アレルギー性角膜炎、ぶどう膜炎、虹彩炎、
− 結膜炎、
− 眼瞼炎、
− 光神経炎、
− 脈絡膜炎、
− 交換性眼炎、
【0053】
(xi) 炎症、アレルギーおよび/又は増殖性の過程に伴う耳、鼻、喉部分の疾患;
− アレルギー性鼻炎、枯れ草熱、
− たとえば接触性皮膚炎、感染性などに起因する外耳炎、
− 介在物による外耳炎、
【0054】
(xii) 炎症、アレルギーおよび/又は増殖性の過程に伴う神経性疾患;
− 脳浮腫、主要腫瘍誘発脳浮腫、
− 多発性硬化症、
− 脳脊髄炎、
− 髄膜炎、
− 種々の形状のケイマ(convulsions)、たとえば乳児の点頭ケイ縮など、
【0055】
(xiii) 炎症、アレルギーおよび/又は増殖性の過程に伴う血液疾患;
− 後天性溶血性貧血、
− 特発性血小板減少、
【0056】
(xiv) 炎症、アレルギーおよび/又は増殖性の過程に伴う腫瘍疾患;
− 急性リンパ性白血病、
− 悪性リンパ腫、
− リンパ肉芽腫症、
− リンパ肉腫、
− 主に胸部、気管支、および前立腺ガンにおける拡張性転移、
【0057】
(xv) 炎症、アレルギーおよび/又は増殖性の過程に伴う内分泌性疾患;
− 内分泌せい眼窩疾患、
− 甲状腺中毒症、
− De Quervain’s甲状腺炎、
− Hashimoto’s甲状腺炎、
− Basedow’s疾患、
【0058】
(xvi) 器官および組織の移植、移植片対宿主(host)の疾患;
(xvii) 厳しい発作症状、たとえばアナフィラキー発作、全身性炎症応答症候群(SIRS);
【0059】
(xviii) 以下における組み換え治療;
− 自然一次副腎不全症、たとえば先天性副腎症候群、
− 獲得一次副腎不全症、たとえばAddison’s疾患、自己免疫性副腎炎、メタ感染性腫瘍、転移など、
− 自然二次副腎不全症、たとえば下垂体機能低下症、
− 獲得二次副腎不全症、たとえば後感染性腫瘍など、
( xix ) 炎症、アレルギーおよび/又は増殖性の過程に伴う嘔吐;
− 細胞増殖抑制剤にて誘発される嘔吐における、5-HT3アンタゴニストとの組み合わせ、
(xx) 炎症源、たとえば腰痛による苦痛。
【0060】
さらに本発明による一般式Iの化合物が、上に言及されていない追加的な病気の症状を治療、および予防するために使用でき、そのため現段階で合成グルココルチコイドが使用される(この点においてHatz,H.J.,Glucocorticoide : Immunologische Grundlagen, Pharmakologie und Therapierichtlinien,Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH, Stuttgart,1998を参照)。
【0061】
これまで記載された(i)から(xx)の全事項が、Hatz,H.J.,Glucocorticoide : Immunologische Grundlagen, Pharmakologie und Therapierichtlinien , Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH,Stuttgart,1998により詳細に記載されている。上記病気の症状の治療作用として、適切な投与用量が、たとえば一般式 I の化合物の活性強度、ホスト、投与の型、および治療すべき症状の種別および重篤度、並びに予防剤又は治療剤としての使用に基づいて変化し、そしてそれに依存する。
【0062】
加えて本発明が、以下を提供する、すなわち
(i) 病気(DISEASE)を治療するための投薬物としての本発明による一般式 I の化合物、又はその混合物の1つの使用;
(ii) 病気(DISEASE)を治療するための方法において、前記方法が、本発明による化合物の投薬量を含み、これにより病気を抑制するその投与量、そしてこれによる化合物の用量が、こうした投薬を必要とする患者に与えられる;
(iii) 病気(DISEASE)を治療するための医薬組成物において、前記治療には、本発明による化合物又はその混合物の1つ、および医薬的アジュバント、そして/又は担体の少なくとも1つがあげられる。
【0063】
毎日の用量が、体重kg当り本発明による化合物1μg〜100,000μgの範囲を含む場合に、一般的に満足する結果が動物において期待される。大形哺乳動物、たとえばヒトの場合、推しょうされる日々の投与量が、体重kg当り本発明による化合物1μg〜100,000μgの範囲となる。好ましくは体重kg当り10μg〜30,000μgの用量であり、そしてより好ましく体重kg当り10μg〜10,000μgの用量である。たとえばこの投与量は、日々数回に適切に投与される。急性発作(予防的な発作)を治療するために、個体の投与量が、上記用量よりかなり多くして与えることができる。
【0064】
新たな化合物に基づいて医薬的に調製する処方は、生薬に通常使用される担体、充填剤、分解に影響する物質、結合剤、加湿剤、潤滑剤、吸収剤、希釈剤、香味調整剤、着色剤などと共に処理される活性成分により、技術的に周知な方法にて行われ、そして望ましい投与形態に変換される。この場合、引用がRemington’s Pharmaceutical Science 15th Edition,Mack Publising Company,East Pennsylvania(1980)にて行われる。
経口投与として、特に錠剤、被覆した錠剤、カプセル、ピル、粉末、粒剤、ロゼンジ、懸濁液又は乳化液が適切である。非経口投与として、注射および浸出剤の調製が可能である。
【0065】
関節内の注射として、対応して調製された結晶性懸濁液を使用することができる。筋肉内の注射として、水性および油性収入溶液又は懸濁液、および対応する貯留調製物を使用することができる。直腸からの投与として、新たな化合物は、全身治療にも局所治療にも、座薬、カプセル、溶液(たとえば浣腸の形で)、および軟膏の形で使用することができる。新たな化合物の肺への投与として、後者が噴霧状、そして吸入剤の形で使用することができる。眼、外耳溝、中耳、鼻腔、および鼻傍通路に対し局部的な適用として、新たな化合物が、相当する医薬調製物におけるドロップ状、軟膏、およびチンキ剤として使用することができる。
【0066】
局部的に着けるものとして、ゲル、軟膏、脂肪軟膏、クリーム、ペースト、粉末、ミルクおよびチンキ状の処方物が可能である。一般式 I の化合物の投与量を、これらの調製物で効率的な医薬的作用とするために0.01%乃至20%にすべきである。さらに本発明は、医薬的に適合可能な、そして受け入れ可能なアジュバントおよび担体と共に治療としての活性成分として本発明の1部である。
【0067】
さらに本発明は、本発明による医薬的に活性な化合物又はその混合物の少なくとも1つ、および医薬的に適合可能なその塩、又は医薬的に適合可能なアジュバントおよび担体を含む医薬組成物を含む。
以下の実施例を用いて、それに対し限定されることを意図することなく、本発明のより詳細に記載する。この実施の範囲内に開示されることのない重要な前駆物質の合成が、すでに先行技術であり、そしてたとえば、WO 98/54159およびWO 02/10143により誘導することができる。
【0068】
実施例1.
【化11】

【0069】
1-(キノリン-5-イルアミノ)-2-シクロペンチル-4-メチル-4-フェニルペンタン-2-オル
4-メチル-4-フェニル-2-オキソペンタン酸-エチルエステル
2-フェニル-2-プロパノール10gと2-(トリメチルシリルオキシ)アクリル酸-エチルエステル30.4g(Bull.Chem.Soc.Jpn.1992,65,3209)を、CH2Cl2386ml中に入れ、そしてテトラヒドロフラン11.5mlにて-70℃で処理した。-70℃にて15分後、そのバッチを、半濃縮した炭酸カリウム溶液に入れて、CH2Cl2にて抽出し、乾燥(Na2SO4)し、そして真空蒸発乾燥にて濃縮した。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィを酢酸エチルシクロヘキサンにより、無色の油状物としての生成物が4.64g得られた。
'H-NMR (CDCl3); δ = 1.23 (t, 3H), 1.45 (s, 6H), 3.16 (s, 2H). 4.09 (q, 2H),7.14 - 7.40 (m, 5H).
【0070】
2-シクロペンチル-2-ヒドロキシ-4-メチル-4-フェニルペンタン酸-エチルエステル
2Mのエーテル性シクロペンチル・マグネシウム・クロライド溶液2.13mlを、20mlのTHF中4-メチル-4-フェニル-2-オキシペンタン酸-エチルエステル1.0gの溶液中に、-70℃にて滴加する。-70℃にて3時間後、そのバッチを、冷却した、飽和NH4Cl溶液に注ぎ、そして酢酸エチルにて抽出した。その抽出物を乾燥(Na2SO4)し、そして蒸発乾燥により濃縮した。酢酸エチルシクロヘキサンによるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィにて、320mgの生成物が得られた。
'H-NMR (CDCl3); δ = 0.90 -1.80 (m, 8H), 1.15(t,3H),1.34(s,3H),1.43(s,3H), 2.09 (m, 1H), 2.14 (d, 1H), 2.26 (d, 1H), 2.84 (s, 1H),7.13 (m, 1H), 7.20 - 7.48 (m, 4H).
【0071】
2-シクロペンチル-4-メチル-4-フェニル-1,2-ペンタンジオール
2-シクロペンチル-2-ヒドロキシ-4-メチル-4-フェニルペンタン酸-エチルエステル320mgを、リチウム・アルミニウム・ハイドライド92mgにて、生成物185mgに変換した。
'H-NMR (CDCl3); δ = 1.10 - 1.70 (m, 8H), 1.40 (s, 3H), 1.49 (s, 3H), 2.00 (AB系, 2H), 2.08 (m,1H). 3.18 (AB系, 2H), 7.20 (t.1H), 7.32 (t, 2H), 7.45 (d, 2H).
【0072】
2-シクロペンチル-2-ヒドロキシ-4-メチル-4-フェニルペンタナール
185 mgの2-シクロペンチル-4-メチル-4-フェニル-l,2-ペンタンジオール185mgを、ピリジン・硫黄トリオキサイド複合体438mg、2.5mlのDMSOおよび0.5mlのトリエチルアミンにて、160mgのアルデヒドに変換する。
'H-NMR (CDCl3); δ = 0.70 - 1.70 (m, 9H), 1.30 (s, 3H), 1.40 (s, 3H), 2.11 (d, 1H), 2.29 (d,1 H), 3.02 (s, l H), 7.20 (m,1H), 7.30 (m, 4H), 8.85 (s,1H).
【0073】
1-(キノリン-5-イルアミノ)-2-シクロペンチル-4-メチル-4-フェニルペンタン-2-オル
2-シクロペンチル-2-ヒドロキシ-4-メチル-4-フェニルペンタナールを160mg、5-アミノキノリン106mg、および6.3mlの酢酸中にトリアセトキシ・ボロハイドライド・ナトリウム405mgを、イミンに変換する。
'H-NMR (CDCl3); δ = 0.80 - 1.70 (m, 15H), 2.75 (d,1H), 3.01 (d,1H), 3.87 (in,1H), 4.81 (d, 1H), 6.12 (d, 1H), 7.15 - 7.50 (m, 8H), 8.20 (d, 1H), 8.88 (dd,1H), MS (ESI), 387.
【0074】
酢酸エチル-シクロヘキサンにて、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィにより、70mgのイミンが生成され、それをTHF(2ml)及びメタノール(0.5ml)中でボロハイドライドナトリウム21mgにて還元する。カラムクロマトグラフィにより、30mgの生成物を生成する。
'H-NMR (CDCl3);δ = 0.80 -2.00 (m, 17H), 3.30 (m, 1H). 3.73 (m,1H), 5.90 (d,1H), 7.25 - 7.40 (m, 8H), 8. 10 (d, 1H), 8.77 (dd,1H), MS (ESI), 389.
【0075】
実施例2.
【化12】

【0076】
1-(キノリン-5-イルアミノ)-2-シクロヘキシルメチル-4-メチル-4-フェニルペンタン-2-オル
2-シクロヘキシルメチル-2-ヒドロキシ-4-メチル-4-フェニルペンタン酸-エチルエステル
実施例1と同様に、4-メチル-4-フェニル-2-オキソペンタン酸-エチルエステル1.0gを、シクロヘキシルメチルブロマイド1mlとマグネシウム174mgから生成されたグリニヤ試薬にて、生成物290mgに変換する。
'H-NMR (CDCl3); δ = 0.70 - 1.75 (m, 13H), 1.25 (t, 3H), 1.31 (s, 3H), 1.40 (s, 3H), 2.03 (d, 1H). 2.26 (d,1H), 3.50 (dt,1H). 3.90 (dt,1H). 7.15 (t,1H), 7.22 - 7.36 (m,4H).
【0077】
2-シクロヘキシルメチル-4-メチル-4-フェニル-1,2-ペンタンジオール
実施例1と同様に、2-シクロヘキシルメチル-2-ヒドロキシ-4-メチル-4-フェニルペンタン酸-エチルエステルを、リチウムアルミニウムハイドライド76mgにて生成物160mgに変換する。
'H-NMR (CDCl3); δ = 0.90 (m,3H), 1.10-1.80(m, 10H), 1.40 (s, 3H), 1.43(s,3H), 1.94(d, 1H), 2.10(d,1H), 3.12 (AB 系, 2H), 7.20(t,1H), 7.32(t, 2H) ,743(d,2H).
【0078】
1-(キノリン-5-イルアミノ)-2-シクロヘキシルメチル-4-メチル-4-フェニルペンタン-2-オル
実施例1と同様に、2-シクロヘキシルメチル-4-メチル-4-フェニル-1,2-ペンタンジオール160mgを、ピリジン-硫黄トリオキサイド複合体342mg、DMSO 1.95mlおよびトリエチルアミン0.39mlにて反応させ、2-シクロヘキシルメチル-2-ヒドロキシ-4-メチル-4-フェニルペンタナル('H-NMR (CDCl3); δ = 0.90 - 1.60 (m, 10H), 1.30 (s, 3H), 1.41 (s, 3H), 1.76 (m, 2H), 1.95 (m, 1H), 2.20 (d, 1H), 2.35 (d,1H), 2.97 (s, 1H), 7.20 (m. 1 H),7.30 (m, 4H). 8.76 (s,1H))を生成する。
【0079】
粗生成物を、5-アミノキノリン137mgとトリアセトキシボロハイドライド・ナトリウム524mgにて反応させ、イミン(180mg; 'H-NMR (CDCl3); δ = 0.90 - 1.90 (m, 18H), 2.25 (m, 1H), 2.80 (d,1H). 3.00 (d,1H). 3.76 (t,1H), 5.06 (d, 1H), 6.25 (d,1H), 7.10 - 7.55 (m, 8H), 8.25 (d, 1H), 8.87 (dd.1H); MS (ESI), 415)を生成する。ボロハイドライドナトリウム49mgにて還元性アミノ化し、カラムクロマトグラフィの後、最終生成物130mgが得られた。
1H-NMR (CDCl3); δ = 1.10 - 1.90 (m, 20H), 2.12 (m, 1H), 3.41 (m,1H), 3.70 (m, 1H), 4.31 (m,1H), 6.47 (dd,1H),7.20 - 7.45 (m, 8H),8.07 (d,1H),8.82 (dd,1H). MS (ESI), 417.
【0080】
実施例3.
【化13】

【0081】
1-(キノリン-5-イルアミノ)-2,4-ジフェニル-4-メチルペンタン-2-オル
2,4-ジフェニル-2-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸-エチルエステル
実施例1と同様に、4-メチル-4-フェニル-2-オキソペンタン酸-エチルエステル1.0gを、2Mのフェニルマグネシウムクロライド-THF溶液2.14mlにて980mgの生成物へ変換する。
【0082】
2,4-ジフェニル-4-メチル-1,2-ペンタンジオール
実施例1と同様に、ジフェニル-2-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸-エチルエステル980mgを、リチウム・アルミニウムハイドライド289mgにて、450mgの生成物に変換する。
'H-NMR (CDCl3); δ = 1.10 (s, 3H), 1.25 (s, 3H), 2.23 (d. 1H), 2.61 (d, 1H). 3.41 (AB系, 2H), 7.15 - 7.37 (m, 10H).
【0083】
2.4-ジフェニル-2-ヒドロキシ-4-メチルペンタナール
実施例1と同様に、2,4-ジフェニル-4-メチル-1,2-ペンタンジオール 445 mgを、ピリジン-硫黄トリオキサイド複合体1.02g、DMSO5.85mlおよびトリエチルアミン1.16mlにて390mgのアルデヒドに変換する。
'H-NMR (CDCl3) ; δ = 1.36 (s, 3H), 1.51 (s, 3H), 2.49 (d,1H), 2.82 (d, 1H). 3.60 (s. 1 H), 7.20 - 7.42 (m, 10H), 8.98 (s, 1H).
【0084】
1-(キノリン-5-イルアミノ)-2,4-ジフェニル-4-メチルペンタン-2-オル
実施例1と同様に、生成物40mgが、2,4-ジフェニル-2-ヒドロキシ-4-メチルペンタナル190mgおよびイミンを経由し5-アミノキノリン122mgからえられる。
('H-NMR (CDCl3) ; δ = 1.37 (d, 3H), 1.42 (s, 3H), 2.70 (d,1H), 2.94 (d,1H), 4.67 (s. 1H), 6.14 (d,1H), 6.22 (br., 1 H), 7.12 - 7.40 (m, 13H), 8.34 (d, 1H), 8.85 (dd.1H)).
'H-NMR ([D6]-DMSO); 8 = 1.24 (s, 3H), 1.35 (s, 3H), 1.50 & 1.78 (dd, 1 H), 2.00 (m, 1H), 3,59 & 3.80 (m, 1H), 4.18 & 4.30 (m, 1H), 4.86 (m,1H), 6.13 - 6.30 (m,2H), .09-7.33 (m, 10H), 7.39 (d,1H), 7.54 (dd,1H), 8.68(d, 1H), 8.81 (d, 1H).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般化学式I:
【化1】

〔式中
Aは、アリール、ベンジル又はフェネチル基を表し、ここで、当該アリール、ベンジル又はフェネチル基は、所望によりC1-C5-アルキル、C1-C5-アルコキシ、C1-C5-アルキルチオ、C1-C5-パーフルオロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、-O-(CH2)n-O-、-O-(CH2)n-CH2-、-O-CH=CH-又は-(CH2)n+2-の群からの1又は複数の遊離基により置換されていても良く、n は1又は2であり、そして末端の酸素原子および/又は炭素原子は、直接隣接する環の炭素原子に連結されており;あるいはNR4R5であり、ここでR4およびR5は、たがいに独立して水素、C1-C5-アルキル又は(CO)- C1-C5-アルキルであることが出来;
R1およびR2は、たがいに独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を意味し、あるいは炭素原子と共にC3-C6-シクロアルキル環鎖を意味し;
R3は、C4-C8-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、C3-C8-シクロアルキル、C3-C7-複素環、アリール、ヘテロアリール、(C1-C8-アルキル)C3-C8-シクロアルキル、(C1-C8-アルキル)アリール、又は(C1-C8-アルキル)へテロアリールから選択される、場合によっては置換されていても良い基を意味し;
B は、所望によりメチル基又はエチル基により置換されていても良いメチレン基又はカルボニル基を意味し;そして
Qは、何れかの位置を介し結合されるキノリル基又はイソキノリル基を意味し、そして所望によりC1-C5-アルキル、C1-C5-アルコキシ、C1-C5-アルキルチオ、C1-C5-パーフルオロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ又はNR4R5の群からの1又は複数の基により置換されていてもよく、ここでR4およびR5は、たがいに独立して、水素、C1-C5-アルキル又は(CO)-C1-C5-アルキルであることができる〕
により表される化合物、及びそれらのラセミ体、又は分離して存在する立体異性体、並びに所望によりこれらの生理的に適合可能な塩。
【請求項2】
Aが、アリール基を表す請求項1記載の一般式 Iの化合物。
【請求項3】
Aが、-O-(CH2)n-O-、-O-(CH2)n-CH2-、-O-CH=CH-又は-(CH2)n+2-を意味し、ここでn=1又は2であり、そして末端の酸素原子および/又は炭素原子が、直接隣接する環炭素原子に結合されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R3が、C4-C8-アルキル、C3-C8-シクロアルキル、C3-C7-複素環基、アリール、ヘテロアリール、(C1-C8-アルキル)C3-C8-シクロアルキル、(C1-C8-アルキル)アリール、又は(C1-C8-アルキル)へテロアリールから選択される、所望により置換されている基を意味する、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
R3が、C3-C6-シクロアルキル、C3-C7-複素環、フェニル、ヘテロアリール、(C1-C3-アルキル)C3-C6-シクロアルキル、(C1-C3-アルキル)フェニル又は(C1-C3-アルキル)へテロアリールから選択される、所望により置換されている基を意味する請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
医薬製剤の製造のための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項7】
炎症疾患の治療のための医薬製剤の製造のための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項8】
請求項1記載に記載の少なくとも1の化合物又はその混合物、及び医薬的に適合可能な担体を含む医薬調製物。

【公表番号】特表2007−507450(P2007−507450A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530041(P2006−530041)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010880
【国際公開番号】WO2005/035502
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(300049958)シエーリング アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】