抗炎症性マクロライド
式(I):
によって表される化合物3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、またはその塩、該化合物を含む組成物、好中球支配性炎症性疾患の治療におけるその使用、およびその調製方法。
によって表される化合物3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、またはその塩、該化合物を含む組成物、好中球支配性炎症性疾患の治療におけるその使用、およびその調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性疾患の治療に有用な4”−O−置換6−O−メチル9aラクタムマクロライド分子に関する。より具体的には、本発明は、好中球支配性炎症性疾患の治療、特に好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患の治療に有用な3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、その調製のための中間体、その調製方法、治療薬としてのその使用、ならびにその塩に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、ヒトの体への感染、外傷およびアレルギーなどの種々の傷害の最終的な共通経路である。炎症は、炎症細胞の動員および活性化ならびに炎症誘発性メディエーターの産生による免疫系の活性化により特徴づけられる。
【0003】
大半の炎症性疾患は、単球/マクロファージ、顆粒球、形質細胞、リンパ球および血小板を含む炎症細胞の異なる割合の蓄積の増加によって特徴づけられる。組織内皮細胞および線維芽細胞と共に、これらの炎症細胞は、複雑に並んだ脂質、成長因子、サイトカインおよび局所的な組織損傷を引き起こす破壊酵素を放出する。
【0004】
炎症反応の一形態は、生体防御の主要成分である好中性多形核白血球(PMN、すなわち好中球)による炎症組織への浸潤によって特徴づけられる好中球性炎症である。好中球は、多種多様な刺激によって活性化され、それらが中心的役割を果たすいくつかの臨床状態および疾患に関係している。このような疾患は、主要な好中球活性化事象に従って分類され得る(V.Witko−Sarsat等、Laboratory Investigation(2000) 80(5)、617〜653の638ページ、表3)。細胞外細菌による組織感染は、この炎症反応の原型を示す。他方、種々の非感染性疾患は、好中球の血管外動員によって特徴づけられる。これらの非感染性炎症性疾患は、間欠性再起(例えば、関節リウマチなどの自己免疫疾患における再燃)、または根底にある免疫機能不全から生じる炎症シグナルの連続発生(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD))の結果であり得る。非感染性炎症性疾患には、COPD、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、気腫、急性呼吸窮迫症候群(ARDS、成人呼吸窮迫症候群または呼吸窮迫症候群、RDSとしても知られている)、ならびに糸球体腎炎、関節リウマチ、痛風性関節炎、潰瘍性大腸炎、乾癬および脈管炎などの特定の皮膚病が挙げられる。これらの状態において、好中球は、組織傷害の発達において重要な役割を果たしていると考えられており、組織傷害が持続する場合、それは結果として臓器不全を伴う正常な組織構造の不可逆的な破壊をもたらし得る。結果として、痰または気管支肺胞洗浄液中の好中球数と疾患重症度および肺機能の低下との間の相関は、少し例を挙げると、慢性閉塞性肺疾患(Di Stefano等、Am J Respir Crit Care Med.(1998)、158(4):1277〜1285)、嚢胞性線維症(Sagel SD等、J Pediatr.(2002)、141(6):811〜817)、びまん性汎細気管支炎(Yanagihara K等、Int J Antimicrob Agents.(2001)、18 Suppl 1:S83〜87)、閉塞性細気管支炎(Devouassoux G等、Transpl Immunol.(2002)、10(4):303〜310)、気管支炎(Thompson AB等、Am Rev Respir Dis.(1989)、140(6):1527〜1537)、気管支拡張症(Sepper R等、Chest(1995)、107(6):1641〜1647)、急性呼吸窮迫症候群(Weiland JE等、Am Rev Respir Dis.(1986)、133(2):218〜225)等の患者で証明されている。さらに、喘息患者、特に重症の患者および喫煙する患者において、好中球性炎症の証拠が増えている(Jatakanon A等、Am J Respir Crit Care Med.(1999)、160:1532〜1539;Chalmers GW等、Chest(2001)、120:1917〜1922)。いくつかの肺疾患において好中球が重要であるという証拠は、肺への好中球浸潤および結果としての炎症を防ぐ薬剤の探求を促進した(Barnes PJ、J Allergy Clin Immunol.(2007)、119(5):1055〜1062中に概説)。
【0005】
多くの抗生物質、特にエリスロマイシンをベースとするマクロライドのクラスは、その抗菌活性に加えて、抗炎症特性を有することが知られている(Clin.Immunother.(1996)6、454〜464、J.Antimicrob.Chemother.(1998)41、Suppl.B 37〜46)。国際特許出願公開WO02/087596(Pliva)には、15員環アザライド抗菌薬であるアジスロマイシンの抗炎症活性が記載されている。したがって、科学者集団の関心は、エリスロマイシンおよびその誘導体の抗炎症特性および免疫調節特性に向いてきた(J.Antimicrob.Chemother.(1998)、41、Suppl.B、37〜46)。この活性は、臨床研究ならびにin vivoおよびin vitro実験の両方でよく記述されている。例えば、マクロライドは、炎症の動物モデル、例えばマウスにおけるザイモサン誘発腹膜炎(J.Antimicrob.Chemother.(1992)30、339〜348)およびラット気管における内毒素誘発性の好中球蓄積(Antimicrobial Agents and Chemotherapy(1994)38、1641〜1643)と好中球などの免疫系細胞についてのin vitro研究(J.Immunology(1997)159、3395〜4005)の両方で、汎細気管支炎(Thorax(1997)、52、915〜918)、気管支喘息(Chest、(1991)、99、670〜673)および嚢胞性線維症(The Lancet(1998)351、420)などの炎症性疾患の治療に有効であることが分かってきた。
【0006】
従来の抗炎症薬、例えばコルチコステロイドが無効であることが分かった疾患(Thorax(1997)52、915〜918、既に引用されている)におけるマクロライド化合物の特定の治療効果は、この新しい有望なクラスの抗炎症薬への多大な関心を正当化する。しかしながら、従来のマクロライド化合物が有する強力な抗菌活性は、耐性菌株の急速な発生を起こしうるので、病原微生物によって引き起こされない炎症過程の慢性治療へのより幅広い使用を許さない。
【0007】
前記のことに基づいて、抗菌活性を有さないが、好中球支配性炎症を防ぐ能力を示す生物学的特性を有する化合物を同定する必要性がかなり存在する。このような化合物は、治療療法として発展させるのに適したものにする安定性も有しているべきである。
【0008】
WO06/87644は、以下の式(I):
【化1】
[式中、
Aは、−C(O)−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−N(R7)CH2−、−CH2N(R7)−、−CH(OH)−および−C(=NOR7)−から選択される2価基であり;
R1は、−OC(O)(CH2)nNR8R9、−O−(CH2)nNR8R9、−OC(O)N(R7)(CH2)nNR8R9、
【化2】
、
−O(CH2)nCN、−OC(O)(CH2)nN(CH2)nNR8R9または−OC(O)CH=CH2であり、ただし、R1が−OC(O)CH=CH2である場合、R3はメチルであってはならず;
R2は、水素またはヒドロキシル保護基であり;
R3は、水素、非置換C1〜4アルキル、または末端炭素原子がCNもしくはNH2基で置換されているC1〜4アルキル、またはC1〜5アルカノイルであり;
R4は、水素、C1〜4アルキルまたはC2〜6アルケニルまたはヒドロキシル保護基1であり;
R5は、ヒドロキシ、メトキシ基、−OC(O)(CH2)nNR8R9、−O−(CH2)nNR8R9または−O(CH2)nCNであり;
R6は、ヒドロキシであり;あるいは
R5およびR6は、介入原子と一緒になって以下の構造:
【化3】
(式中、Yは−CH2−、CH(CN)−、−O−、−N(R7)−および−CH(SR7)−から選択される2価基である)
を有する環式基を形成し;
R7は、水素またはC1〜6アルキルであり;
R8およびR9は、それぞれ独立に、水素、C3〜7シクロアルキル、C1〜18アルキルであって、C1〜18アルキルは、
(i)中断されていない、または−O−、−S−および−N(R7)−から選択される1〜3個の2価基によって中断されており;および/または
(ii)非置換である、またはハロゲン、OH、NH2、N−(C1〜C6)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノもしくはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C1〜C6−アルキル)アミノ(好ましくは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノもしくはジイソプロピルアミノ)、CN、NO2、OCH3、飽和もしくは不飽和のC3〜8員非芳香環、酸素、硫黄および窒素から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む飽和もしくは不飽和の2〜6個の炭素原子を含む非芳香複素環、アルキルカルボニルアルコキシ、ならびにアルコキシカルボニルアミノから選択される1〜3個の基によって置換されており;または
R8およびR9は、それらが結合する窒素と一緒になって、2〜6個の炭素原子を含む非芳香複素環を形成し、それは
i)酸素、硫黄および窒素から選択される0または1個の追加のヘテロ原子を含む、飽和または不飽和であり;および/または
ii)非置換である、またはC1〜5アルカノイルおよびC1〜6アルキルから選択される1〜2個の基によって置換されており、ここでC1〜6アルキルは、中断されていない、または−O−、−S−および−N(R7)−から選択される1〜3個の2価基によって中断されており、および/または、非置換である、またはOH、NH2、非置換である、もしくはC1〜4アルキル、ハロ、NH2、OH、SH、C1〜6アルコキシおよびC1〜4ヒドロキシアルキルから選択される基によって置換されている、2〜6個の炭素原子を含む非芳香複素環、非置換である、もしくはC1〜4アルキル、ハロ、NH2、OH、SH、C1〜6アルコキシおよびC1〜4ヒドロキシアルキルから選択される基によって置換されている、C3〜7シクロアルキルから選択される1〜2個の基によって置換されており;
nは1〜8の整数である;]
によって表されるマクロライド化合物、およびその薬学的に許容される誘導体を開示している。この文献は抗炎症活性を有しているとしてこれらの化合物を記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
WO06/87644で一般的に開示されており、かつ特定の置換パターンを有する本発明による化合物は、WO06/87644に具体的に開示されている化合物に対して改良された特性を示すことが分かった。
【0010】
本発明は、式(I):
【化4】
によって表される化合物である、3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、またはその塩に関する。
【0011】
本発明はまた、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含んでなる医薬組成物に関する。
【0012】
さらに、本発明はまた、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする被験体に投与することを含んでなる、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患の治療方法に関する。
【0013】
別の態様によると、本発明は、ヒト医学または獣医学治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0014】
別の態様では、本発明は、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0015】
別の態様では、本発明は、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1A〜図1Cは、それぞれ24時間以内の、実施例1、2および3についてのヒト全血および血漿中の安定性を示す図である。
【図2】質量スペクトルから得られる、比較実施例2の主要な分解生成物の構造を示す図である。
【図3】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの非晶質形態のXRPDパターンを示す図である。
【図4】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態1のXRPDパターンを示す図である。
【図5】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態1のDSCを示す図である。
【図6】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態1のTGAを示す図である。
【図7】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態2のXRPDパターンを示す図である。
【図8】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態2のDSCを示す図である。
【図9】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態2のTGAを示す図である。
【図10】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態3のXRPDパターンを示す図である。
【図11】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態3のラマンスペクトルを示す図である。
【図12】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態4のラマンスペクトルを示す図である。
【図13】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態5のラマンスペクトルを示す図である。
【図14】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態6のラマンスペクトルを示す図である。
【図15】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態7のラマンスペクトルを示す図である。
【図16】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態8のラマンスペクトルを示す図である。
【発明の具体的な説明】
【0017】
本発明は本明細書に記載の態様、適当で、好都合で、かつ好ましい基の全ての組み合わせを含むことが理解されよう。
【0018】
以降では、「本発明による化合物(単数)」または「本発明による化合物(複数)」という表現は、ともに式(I)によって表される化合物(溶媒和形もしくは非溶媒和形のいずれであっても)、その塩、またはその薬学的に許容される塩(溶媒和形または非溶媒和形のいずれであっても)を含む。
【0019】
明細書および続く特許請求の範囲全体にわたって、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、「含んでなる(comprise)」という単語、ならびに「含んでなる(comprises)」および「含んでなる(comprising)」などのバリエーションは、記載の整数もしくは工程または整数の群の包含を意味するが、他の任意の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の排除を意味しないことが理解されよう。
【0020】
本明細書で使用する場合、「不活性溶媒」または「反応に不活性な溶媒」という用語は、溶解化合物と反応することができない溶媒を指し、これにはヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、THF、ジクロロメタンなどの非極性溶媒;アセトニトリル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジンなどの極性非プロトン性溶媒、ならびに低級アルコール、酢酸、ギ酸および水などの極性プロトン性溶媒が含まれる。
【0021】
本明細書で使用する場合、「低級アルコール」という用語は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノールなどのC1〜4アルコールを指す。
【0022】
一態様では、本発明は、式(I)によって表される化合物、または薬学的に許容される塩であるその塩を提供する。適当な塩の概説については、Berge等、J.Pharm.Sci.、66(1977)1〜19を参照されたい。適当な薬学的に許容される塩には、酸付加塩も含まれ得る。
【0023】
適当な付加塩は、無毒性塩を形成する無機または有機酸から形成され、例としては塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩(例えば、L−酒石酸塩)、クエン酸塩、ギ酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、サリチル酸塩、プロピオン酸塩、ピルビン酸塩、ヘキサン酸塩、シュウ酸塩、オキサロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、糖酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、アルキルまたはアリールスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩)およびイセチオン酸塩が挙げられる。一態様では、式(I)によって表される化合物は、塩酸塩または酢酸塩の形態であり得る。さらなる態様では、式(I)によって表される化合物は、コハク酸塩、安息香酸塩、L−酒石酸塩、塩酸塩(特に二塩酸塩)またはリン酸塩の形態であり得る。
【0024】
化学の当業者は、多くの有機化合物が、それらが反応する溶媒、またはそれらが沈殿もしくは結晶化する溶媒と錯体を形成することができることを認識するだろう。これらの錯体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との錯体は「水和物」として知られている。本発明の化合物の溶媒和物は、本発明の範囲内である。式(I)によって表される化合物の塩は、溶媒和物(例えば、水和物)を形成していてもよく、本発明は全てのそのような溶媒和物も含む。
【0025】
一態様では、式(I)によって表される化合物は、薬学的に許容される塩、溶媒和物または塩の溶媒和物の形態であり得る。さらなる態様では、本発明の式(I)によって表される化合物は、薬学的に許容される塩の形態であり得る。
【0026】
立体異性体に関して、式(I)によって表される化合物は、2個以上の不斉炭素原子を有する。表示した式(I)において、実線のくさび形結合は、その結合が紙面の上側にあることを示す。破線の結合は、その結合が紙面の下側にあることを示す。
【0027】
式(I)によって表される化合物は、結晶形態または非晶質形態であり得る。その上、式(I)によって表される化合物の結晶形態のいくつかは、多形体として存在してもよく、これも本発明に含まれる。
【0028】
1つの特定の実施形態では、本発明は式(I):
【化5】
によって表される化合物である、3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、またはその塩に関する。
【0029】
本発明の一態様では、式(I)によって表される化合物は、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現され、図4に示されるXRPDパターンによって特徴づけられる形態1である。さらなる態様では、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現されるXRPDパターンは、それぞれ19.1、15.9、11.5、9.2、8.4、8.0、7.7、7.5、7.2、6.3、5.6、4.8、4.7、4.3、4.2および4.0オングストローム(Å)のd−格子面間隔に対応する、4.6、5.6、7.7、9.6、10.6、11.0、11.6、11.8、12.2、14.1、15.9、18.4、19.0、20.5、21.1および22.0度からなる群から選択される少なくとも5つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる。本発明のなおさらなる態様では、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現されるXRPDパターンは、上記群から選択される少なくとも6つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる。なおさらなる態様では、少なくとも7つの位置を含んでなる。
【0030】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態1は、本明細書で使用する場合、
1)図4と実質的に同じXRPDパターンによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物;
2)図5と実質的に同じDSCサーモグラムによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物;および/または
3)図6と実質的に同じTGA曲線によって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物
を指す。
【0031】
本発明の一態様では、式(I)によって表される化合物は、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現され、図7に示されるXRPDパターンによって特徴づけられる形態2である。さらなる態様では、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現されるXRPDパターンは、それぞれ9.7、9.5、8.5、8.1、7.7、7.4、6.8、6.6、6.0、5.8、5.6、5.4、5.3、4.7、4.6、4.6、4.5および4.3オングストローム(Å)のd−格子面間隔に対応する、9.1、9.4、10.4、10.9、11.5、12.0、13.0、13.4、14.7、15.4、15.7、16.5、16.8、18.7、19.2、19.5、19.8および20.8度からなる群から選択される少なくとも5つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる。本発明のなおさらなる態様では、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現されるXRPDパターンは、上記群から選択される少なくとも6つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる。なおさらなる態様では、少なくとも7つの位置を含んでなる。
【0032】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態2は、本明細書で使用する場合、
1)図7と実質的に同じXRPDパターンによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物;
2)図8と実質的に同じDSCサーモグラムによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物;および/または
3)図9と実質的に同じTGA曲線によって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物
を指す。
【0033】
本発明の一態様では、式(I)によって表される化合物は、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現され、図10に示されるXRPDパターンによって特徴づけられる形態3である。さらなる態様では、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現されるXRPDパターンは、それぞれ16.0、12.1、11.3、9.7、9.4、8.9、8.4、8.1、7.7、7.4、7.0、6.0、5.7、5.6、5.3、5.2、4.9、4.7および4.6オングストローム(Å)のd−格子面間隔に対応する、5.5、7.3、7.9、9.1、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.6、14.8、15.5、15.8、16.6、16.9、18.2、18.9および19.5度からなる群から選択される少なくとも5つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる。本発明のなおさらなる態様では、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現されるXRPDパターンは、上記群から選択される少なくとも6つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる。なおさらなる態様では、少なくとも7つの位置を含んでなる。
【0034】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態3は、本明細書で使用する場合、
1)図10と実質的に同じXRPDパターンによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物;
2)図11と実質的に同じラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(I)によって表される化合物の結晶形態
を指す。
【0035】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態4は、本明細書で使用する場合、図12と実質的に同じラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物を指す。
【0036】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態5は、本明細書で使用する場合、図13と実質的に同じラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物を指す。
【0037】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態6は、本明細書で使用する場合、図14と実質的に同じラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物を指す。
【0038】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態7は、本明細書で使用する場合、図15と実質的に同じラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物を指す。
【0039】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態8は、本明細書で使用する場合、図16と実質的に同じラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物を指す。
【0040】
本発明の化合物は、炎症を起こした肺組織(以降で示すような)への好中球の浸潤を抑制する。そのため、この化合物は、炎症病態、特に肺組織への広範な好中球浸潤に関連する病態、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS、成人呼吸窮迫症候群または呼吸窮迫症候群、RDSとしても知られている)、重症のもしくはステロイド抵抗性の喘息(Simpson JL等(2008)Am J Respir Crit Care Med、177:148〜155)、および気腫、または気道への広範な好中球浸潤に関連する病態、例えば慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)(Wallwork B等(2006)Laryngoscope、116:189〜193)の急性および慢性治療に潜在的な有用性を有する。さらに、本発明の化合物は、好中球の異常細胞機能に関する他の疾患、例えば関節リウマチ(Kitsis EおよびWeissmann G、Clin Orthop Relat Res.(1991)、265:63〜72)、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病など)、糸球体腎炎(Heinzelmann M等、Am J Kidney Dis.(1999)、34(2):384〜399)、虚血再潅流による傷害(Kaminski KA等、Int J Cardiol.(2002)、86(1):41〜59)、アテローム性動脈硬化症(Henriksen PAおよびSallenave JM. Int J Biochem Cell(2008)、40:1095〜1100)、乾癬(Terui T等、Exp Dermatol.(2000)、9(1):1〜10)および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群の治療に使用することができる。
【0041】
好中球支配性炎症性疾患、特に好中球浸潤から生じるものおよび/または好中球の異常細胞機能に関する疾患を「治療する(treating)」または「治療(treatment)」は、症状の緩和および/または疾患の進行の遅延を意味し、無症候性の患者における症状の再発の抑制も含み得る。
【0042】
好中球浸潤から生じる炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群が含まれる。
【0043】
一態様では、本発明は、被験体の慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0044】
一態様では、本発明は、被験体の慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0045】
一態様では、本発明は、被験体の慢性閉塞性肺疾患を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0046】
さらなる態様では、本発明は、被験体の閉塞性細気管支炎を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0047】
さらなる態様では、本発明は、被験体の重症のまたはステロイド抵抗性の喘息を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0048】
さらなる態様では、本発明は、被験体の嚢胞性線維症を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0049】
一態様では、本発明は、被験体の慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0050】
一態様では、本発明は、医学療法に使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0051】
一態様では、本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0052】
別の態様では、本発明は、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0053】
さらなる態様では、本発明は、慢性閉塞性肺疾患の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0054】
さらなる態様では、本発明は、閉塞性細気管支炎の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0055】
さらなる態様では、本発明は、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0056】
さらなる態様では、本発明は、嚢胞性線維症の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0057】
さらなる態様では、本発明は、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0058】
さらなる態様では、本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性吸細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0059】
本発明のさらなる態様では、本発明は、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0060】
さらなる態様では、本発明は、慢性閉塞性肺疾患を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0061】
さらなる態様では、本発明は、閉塞性細気管支炎を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0062】
さらなる態様では、本発明は、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0063】
さらなる態様では、本発明は、嚢胞性線維症を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0064】
さらなる態様では、本発明は、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0065】
本発明はまた、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群の、そのような治療を必要とする被験体の治療に有効な量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物を目的とする。
【0066】
別の態様では、本発明はまた、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)の、そのような治療を必要とする被験体の治療に有効な量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物を目的とする。
【0067】
本発明は、さらに、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含んでなる、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群を治療するための医薬組成物に関する。
【0068】
本発明は、さらに、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含んでなる、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)を治療するための医薬組成物に関する。
【0069】
治療される被験体にとっての利点は、統計学的に有意であるか、または少なくとも被験体もしくは医師に認識できるかのいずれかである。
【0070】
「被験体」は、動物、具体的には哺乳類、より具体的にはヒトまたは家畜または疾患モデルとして役立つ動物(例えば、マウス、サル等)を指す。一態様では、被験体はヒトである。
【0071】
「治療上有効量」とは、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患を治療するために被験体に投与する場合に、そのような治療をもたらすのに十分な化合物の量を意味する。「治療上有効量」は、疾患およびその重症度、ならびに治療される被験体の年齢、体重、体調および応答性に応じて変化し、最終的には付き添いの医師の裁量によるだろう。
【0072】
医薬組成物
本発明の方法で使用するために、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を原薬として投与することが可能であるが、有効成分を医薬製剤、例えば薬剤が投与の所期の経路および標準的な薬務に関して選択される少なくとも1つの薬学的に許容される担体との混合物中にあるものして、提供するのが好ましい。
【0073】
したがって、本発明は、a)式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩、およびb)1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0074】
「担体」という用語は、活性化合物と共に投与する希釈剤、賦形剤および/またはビヒクル(vehicle)を指す。本発明の医薬組成物は、2つ以上の担体の組み合わせを含むことができる。このような医薬担体は、水、生理食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール水溶液などの無菌液体、およびラッカセイ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの、石油、動物、植物または合成起源のものを含む油とすることができる。水、または生理食塩水およびデキストロース水溶液およびグリセロール水溶液は、好ましくは担体として特に注射液用の担体として使用される。適当な医薬担体は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第18版に記載されている。医薬担体の選択は、所期の投与経路および標準的薬務に関して選択することができる。医薬組成物は、担体に加えて、任意の適当な結合剤(単数または複数)、潤滑剤(単数または複数)、懸濁化剤(単数または複数)、コーティング剤(単数または複数)、および/または可溶化剤(単数または複数)を含んでなることができる。
【0075】
「薬学的に許容される」というフレーズは、本明細書で使用する場合、一般的に生理学上許容でき、哺乳類(例えば、ヒト)に投与した場合に典型的に有害な反応を生み出さない組成物の塩、分子化合物および他の成分を指す。適当には、本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、哺乳類、より具体的にはヒトにおける使用について、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって承認されている、または米国薬局方もしくは他の一般的に認識された薬局方において列挙されていることを意味する。
【0076】
「薬学的に許容される賦形剤」は、一般的に安全で、無毒性で、生物学的にも他の点でも望ましくないものでない医薬組成物を調製するのに有用な賦形剤を意味し、獣医学用途ならびにヒト医薬用途にとっても許容される添加剤を含む。本出願で使用する場合、「薬学的に許容される添加剤」は、1つおよび2つ以上のこのような添加剤を含む。
【0077】
本発明は、さらに、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含んでなる、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患を治療するための医薬組成物に関する。
【0078】
本発明は、なおさらに、a)10〜2000mgの式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩、およびb)0.1〜2gの1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含んでなる医薬組成物に関する。さらなる態様では、本発明は、a)1〜2000mgの式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩、およびb)0.1〜2gの1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0079】
本発明による使用のための医薬組成物は、経口、非経口、経皮、吸入、舌下、局所、移植、経鼻または経腸投与される(または他の粘膜投与される)懸濁液、カプセル剤、錠剤の形態であることができ、1つまたは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤を使用して従来の方法で製剤化することができることが認識されるだろう。一態様では,医薬組成物は、経口投与のために製剤化される。
【0080】
本発明の化合物は、速放性、遅延、調節、持続、パルスまたは制御放出用途のために投与することができる。
【0081】
一態様では、経口組成物は、徐放、遅延または配置型(positioned)放出(例えば、腸内、特に結腸放出)錠剤またはカプセル剤である。この放出プロファイルは、例えば、胃中の状態に耐性であるが、病変または炎症部位が確認された結腸または胃腸管の他の部分で内容物を放出するコーティングを使用することによって達成することができる。または、遅延放出は、単に分解が遅いコーティングによって達成することができる。または、2種の(遅延および配置型放出)プロファイルは、1つまたは複数の適当なコーティングおよび他の賦形剤の選択によって、単一の製剤中で組み合わせることができる。このような製剤は、本発明のさらなる特徴を構成する。
【0082】
遅延もしくは配置型放出および/または腸溶性コーティング経口製剤に適した組成物は、耐水性で、pH感受性で、腸液によって消化もしくは乳化され、または湿った場合に緩慢だが一定の速度で剥離する物質でコーティングされた錠剤製剤フィルムを含む。適当なコーティング物質には、それだけに限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸のポリマーおよびそのエステル、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。それだけに限定されないが、ポリエチレングリコール、フタル酸ジブチル、トリアセチンおよびヒマシ油などの可塑剤を使用することができる。フィルムを着色するために色素を使用することもできる。坐薬は、ココアバター、Suppocire CおよびSuppocire NA50(Gattefosse Deutschland GmbH、D−weil am Rhein、ドイツにより供給される)などの坐薬基剤、ならびに水素化されたパーム油およびパームカーネル油(C8〜C18トリグリセリド)のエステル交換、グリセロールおよび特定の脂肪酸のエステル化、またはポリグリコシル化グリセリド、およびwhitepsol(添加物を含む水素化された植物油誘導体)によって得られる他のSuppocire型賦形剤のような担体を使用することによって調製される。本発明による適当な活性化合物、および懸濁液用溶媒または賦形剤を使用することによって、浣腸剤は製剤化される。懸濁液は、微粒子化化合物、ならびにカルボキシメチルセルロースおよびその塩、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシビニルポリマーおよびその塩、アルギン酸およびその塩、アルギン酸プロピレングリコール、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、N−ニビルアセトアミドポリマー、ポリビニルメタクリレート、ポリエチレングリコール、プルロニック、ゼラチン、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー、可溶性デンプン、プルランならびにアクリル酸メチルおよび2−エチルへキシルアクリレートのコポリマー、レシチン、レシチン誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン水和ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびプルロニックならびにpH範囲6.5〜8の適当な緩衝系のような懸濁安定化剤、増粘剤および乳化剤を含む適当なビヒクルを使用することによって製造される。保存剤、マスキング剤の使用は適当である。微粒子化粒子の平均直径は、1〜20μmの間であり得るか、または1μm未満であり得る。化合物はまた、その水溶性の塩の形態を使用することによって、製剤に取り込まれ得る。
【0083】
あるいは、材料は、錠剤のマトリックス、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロースまたはアクリル酸およびメタクリル酸エステルのポリマーに取り込まれ得る。これらの後者の材料はまた、圧縮コーティングによって錠剤に適用され得る。
【0084】
医薬組成物は、治療上有効量の活性物質を、投与の方法に依存して異なる形態を有することができる薬学的に許容される担体と混合することによって調製することができる。医薬組成物は、従来の医薬賦形剤および調製方法を使用することによって調製することができる。経口投与のための形態は、カプセル剤、散剤または錠剤とすることができ、ここでは、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、マンニトールを含む通常の固体ビヒクル、ならびにそれだけに限定されないが、エタノール、グリセロールおよび水を含む通常の液体経口賦形剤が添加され得る。全ての賦形剤は、崩壊剤、溶媒、造粒剤、湿潤剤および結合剤と混合され得る。経口組成物の調製のために固体担体を使用する場合(例えば、デンプン、糖、カオリン、結合剤、崩壊剤)、製剤は、限定されるものではないが、散剤、顆粒またはコーティング粒子含有カプセル剤、錠剤、硬ゼラチンカプセル、または顆粒の形態とすることができ、固体担体の量は変動し得る(1mg〜1gの間)。錠剤およびカプセル剤は、好ましい経口組成物形態である。
【0085】
本発明の化合物を含む医薬組成物は、例えば、液剤、懸濁剤または乳剤を含む、所期の投与方法に適した任意の形態であり得る。液剤、懸濁剤および乳剤の調製においては、典型的には液体担体が使用される。本発明の実施における使用が考えられる液体担体には、例えば、水、生理食塩水、薬学的に許容される有機溶媒(単数または複数)、薬学的に許容される油または油脂など、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、栄養剤、緩衝剤、保存剤、懸濁化剤、増粘剤、粘度調整剤、安定化剤などの他の適当な薬学的に許容される添加剤を含み得る。適当な有機溶媒には、例えば、エタノールなどの一価アルコール、およびグリコールなどの多価アルコールが含まれる。適当な油には、例えば、大豆油、ココナッツ油、オリーブ油、ベニバナ油、綿実油などが含まれる。非経口投与については、担体はまた、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルなどの油性エステルとすることができる。本発明の組成物はまた、微小粒子、微小カプセル、リポソームカプセルなど、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせの形態であり得る。
【0086】
本発明において有用な経口組成物のための薬学的に許容される崩壊剤の例としては、それだけに限定されないが、デンプン、α化デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、微結晶性セルロース、アルギネート、樹脂、界面活性剤、発泡性組成物、水性ケイ酸アルミニウムおよび架橋ポリビニルピロリドンが挙げられる。
【0087】
本明細書で有用な経口組成物のための薬学的に許容される結合剤の例としては、それだけに限定されないが、アカシア;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;ゼラチン、グルコース、デキストロース、キシリトール、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、トラガカント、キサンタン樹脂、アルギネート、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリエチレングリコールまたはベントナイトが挙げられる。
【0088】
経口組成物のための薬学的に許容される充填剤の例としては、それだけに限定されないが、ラクトース、アンヒドロラクトース、ラクトース一水和物、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、セルロース(特に微結晶性セルロース)、ジヒドロまたは無水リン酸カルシウム、炭酸カルシウムおよび硫酸カルシウムが挙げられる。
【0089】
本発明の組成物に有用な薬学的に許容される潤滑剤の例としては、それだけに限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、エチレンオキシドのポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウムおよびコロイド状二酸化ケイ素が挙げられる。
【0090】
経口組成物のための適当な薬学的に許容される着香剤の例としては、それだけに限定されないが、合成芳香剤、および油、花、果実(例えば、バナナ、リンゴ、スミミザクラ、モモ)の抽出物などの天然芳香油、およびこれらの組み合わせ、並びに類似の芳香剤が挙げられる。その使用は多くの因子に依存し、もっとも重要なのは医薬組成物を服用する集団に対する感覚受容の許容性である。
【0091】
経口組成物のための適当な薬学的に許容される色素の例としては、それだけに限定されないが、二酸化チタン、βカロテンおよびグレープフルーツ果皮の抽出物などの合成色素および天然色素が挙げられる。
【0092】
経口組成物のための薬学的に許容される甘味剤の適当な例としては、それだけに限定されないが、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ラクトースおよびスクロースが挙げられる。
【0093】
薬学的に許容される緩衝剤の適当な例としては、それだけに限定されないが、クエン酸、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウムおよび水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0094】
薬学的に許容される界面活性剤の適当な例としては、それだけに限定されないが、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベートが挙げられる。
【0095】
薬学的に許容される保存剤の適当な例としては、それだけに限定されないが、溶媒、例えば、エタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、第四級アンモニウム塩およびパラベン(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンなど)などの種々の抗菌剤および抗真菌剤が挙げられる。
【0096】
薬学的に許容される安定化剤および抗酸化剤の適当な例としては、それだけに限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、チオ尿素、トコフェロールおよびブチルヒドロキシアニソールが挙げられる。
【0097】
本発明の化合物はまた、例えば、ヒト医学もしくは獣医学で使用するための従来の坐薬基剤を含む坐薬として、または例えば、従来の膣坐薬基剤を含む膣坐薬として製剤化され得る。
【0098】
本発明による化合物は、例えば、ヒト医学および獣医学で使用する局所投与のために、軟膏、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、シャンプー、散剤(噴霧または散布散剤を含む)、膣坐薬、タンポン、噴霧剤、ディップ、エアロゾル、点滴剤(例えば、目、耳もしくは鼻点滴剤)またはポアオン(pour−on)の形態で製剤化され得る。
【0099】
皮膚への局所的な適用のために、本発明の化合物は、例えば以下の1つまたは複数の混合物中に懸濁または溶解した活性化合物を含む適当な軟膏として製剤化され得る:鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水。このような組成物はまた、ポリマー、油、液体担体、界面活性剤、緩衝剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、湿潤剤、皮膚軟化剤、着色剤および着香剤などの他の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。
【0100】
このような局所組成物に適した薬学的に許容されるポリマーの例としては、それだけに限定されないが、アクリルポリマー;カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体;アルギネート、トラガカント、ペクチン、キサンタンおよびシトサン(cytosan)などの天然ポリマーが挙げられる。
【0101】
示されるように、本発明の化合物は、鼻腔内にまたは吸入によって投与することができ、そして適当な噴霧剤、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134AT)または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA)またはこれらの混合物などのヒドロフルオロアルカンを使用して、加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーからの乾燥散剤吸入器またはエアロゾル噴霧剤付与器の形態で好都合に送達される。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、計量された量を送達する弁を備えることによって決定され得る。加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーは、例えば、潤滑剤、例えばトリオレイン酸ソルビタンをさらに含み得る溶媒としてエタノールおよび噴霧剤の混合物を使用して、活性化合物の溶液または懸濁物を含み得る。
【0102】
吸入器または注入器で使用するためのカプセルおよび薬包(例えば、ゼラチンから作られる)は、化合物の散剤混合物、およびラクトースまたはデンプンなどの適当な散剤基剤を含むように製剤化され得る。
【0103】
吸入による局所投与では、本発明による化合物は、ネブライザーを通してヒト医学または獣医学で使用するために送達され得る。
【0104】
本発明の医薬組成物は、1容量当たり0.01〜99重量%の活性物質を含み得る。局所投与については、例えば、組成物は、一般的に0.01〜10%、より好ましくは0.01〜1%の活性化合物を含むだろう。
【0105】
本発明の化合物の治療上有効量は、当技術分野において公知の方法によって決定することができる。治療上有効量は、被験体の年齢および一般的な生理学的状態、投与経路、および使用される医薬製剤に依存する。治療用量は、一般的に約1〜2000mg/日、5〜2000mg/日、10〜2000mg/日であり、適当には約30〜1500mg/日である。例えば、50〜500mg/日、50〜300mg/日、50〜100mg/日、100〜200mg/日、5〜100mg/日、5〜50mg/日を含む他の範囲が使用され得る。急性または慢性のヒトの治療に使用される一日用量は、0.01〜250mg/kg体重、適当には0.1〜5mg/kg体重、適当には0.1〜10mg/kg体重、適当には2〜100mg/kg体重、または適当には5〜60mg/kg体重の範囲に及び、例えば、投与経路および被験体の状態に応じて、1〜4回の一日用量で投与され得る。組成物が投与量単位を含む場合、各々の単位は、1mg〜2gの有効成分、適当には10mg〜2gの有効成分、適当には200mg〜1gの有効成分、適当には5〜300mgの有効成分を含む。
【0106】
投与は、1日に1回、1日に2回またはそれより多くてもよく、疾患または障害の持続期間中に、例えば、毎日または1日に2回の代わりに2日または3日ごとに1回に減少させてもよい。用量および投与頻度は、当業者に公知の少なくとも1種以上、好ましくは2種以上の急性期の臨床徴候の減少または非存在を有する臨床徴候に依存する。本発明の一態様では、投与は1日に1回の経口服用である。
【0107】
一態様では、本発明は、a)式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩、およびb)1つまたは複数のさらなる治療上活性剤を含んでなる組み合わせを提供する。
【0108】
上記組み合わせは、好都合には、医薬組成物の形態で使用するために提供され得、上で定義した組み合わせを含んでなる医薬組成物ならびに1つまたは複数のその薬学的に許容される担体は、本発明のさらなる態様を表す。
【0109】
このような組み合わせの個々の成分は、連続的にまたは同時に、別々のまたは混合した医薬製剤で投与され得る。公知の治療薬の適当な用量は、当業者に容易に認識されよう。
【0110】
調製方法:
式(I)によって表される化合物およびその塩は、以降で概説する一般的な方法によって調製され得、前記方法は本発明のさらなる態様を構成する。
【0111】
構造的修飾がなされるもの以外の任意の官能基による干渉を避けるために、適当な保護および合成経路における優先順位が選択されるべきであることは当業者に明らかであろう。
【0112】
標的化合物の合成は、当業者に周知の標準的技術を使用して、最後から2番目の中間体中に存在する任意の保護基を取り除くことによって完了する。次いで、脱保護された最終産物は、必要に応じて、シリカゲルクロマトグラフィー、シリカゲルでのHPLCなどの標準的技術などを使用して、または再結晶によって精製される。
【0113】
このような基が保護され得る方法および得られた保護された誘導体を切断する方法の包括的な議論は、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis第2版、John Wiley&Son,Inc 1991のT.W.GreeneおよびP.G.M Wuts、およびProtecting Groups、Georg Thieme Verlag 1994のP.J.Kocienskiによって与えられる。適当なアミノ保護基の例としては、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチルおよびアセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cdz)および置換Cbz、ならびに9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc))、脂肪族ウレタン保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニルおよびシクロヘキシルオキシカルボニル)およびアルキル型保護基(例えば、ベンジル、トリチルおよびクロロトリチル)が挙げられる。適当な酸素保護基の例としては、例えば、トリメチルシリルもしくはtert−ブチルジメチルシリルなどのアルキルシリル基;テトラヒドロピラニルもしくはtert−ブチルなどのアルキルエーテル;または酢酸エステルなどのエステルが挙げられる。ヒドロキシ基は、例えば、非プロトン性溶媒中での無水酢酸、安息香酸無水物またはトリアルキルシリル塩化物の反応によって保護され得る。非プロトン性溶媒の例としては、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0114】
式(I)によって表される化合物は、式(II)(式中、R1はヒドロキシ保護基であり、R2はアミノ保護基である)によって表される化合物と、式(III)(式中、R3およびR4は各々エチルである、またはそれぞれ独立に、エチルに転換できる基である)によって表されるカルボン酸またはカルボン酸の適当な活性化誘導体とを反応させ、引き続いて必要な場合には、ヒドロキシル保護基R1、アミノ保護基R2をその後に除去し、−NR3R4基を−N(CH2CH3)2へ転換することによって調製され得る。
【化6】
HOC(O)CH2NR3R4 (III)
【0115】
式(III)によって表される適当な活性化誘導体には、対応する酸ハロゲン化物、混合無水物またはチオールエステルなどの活性化エステルが含まれる。
【0116】
反応は、好ましくは、ハロ炭化水素(例えば、ジクロロメタン)またはN,N−ジメチルホルムアミドなどの適当な非プロトン性溶媒中で、任意選択で、1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのカルボジイミドまたは4−(ジメチルアミノ)−ピリジンもしくはトリエチルアミンなどの第3級塩基の存在下で、あるいは無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム)の存在下で、0〜120℃の範囲内の温度で行われる。
【0117】
本発明のさらなる実施形態では、式(I)によって表される化合物はまた、式(IV)(式中、Lは適当な脱離基であり、R1はヒドロキシ保護基であり、R2はアミノ保護基である)によって表される化合物と、式(V)(R3およびR4は式(III)について上で定義したものである)によって表されるアミンとの反応によって調製され得る。
【化7】
NR3R4 (V)
【0118】
反応は、好ましくは、ハロ炭化水素(例えば、ジクロロメタン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフランまたはジメトキシエタン)、アセトニトリルまたは酢酸エチルなど、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドまたは1−メチル−ピロリドンなどの溶媒中で、塩基の存在下で行われ、引き続いて必要な場合には、ヒドロキシル保護基R1、アミノ保護基R2を除去し、−NR3R4基を−N(CH2CH3)2へ転換する。使用され得る塩基の例としては、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンなどの有機塩基ならびに水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの無機塩基が挙げられる。適当には、Lはハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物またはヨウ化物)またはスルホン酸基(例えば、トシレート、メタンスルホネートまたはトリフレート)である。
【0119】
式(II)によって表される化合物は、当技術分野で公知である、あるいは最初の段階で、WO99/51616、実施例2、15ページに記載の手順に従ってベックマン転位によって、6−O−メチル−エリスロマイシンA 9(E)−オキシムから6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAを得て、次いで、従来技術、例えば酢酸ナトリウム三水和物の存在下、UV放射(好ましくは500Wハロゲンランプで)下でヨウ素と反応させることによって(US3725385およびWO2004/013153)、あるいは6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAを室温でアセトニトリル中、N−ヨードスクシンイミドと(J.Org.Chem.65(2000)3875〜3876)、またはモルホリン存在下でヨウ素と反応させることによって、またはUS5,250,51に記載のようにクロロギ酸ベンジルと反応させ、引き続いて2’および3’位のベンジルオキシカルボニル基を脱離させることによって、その後3’−NMe2基のモノ脱メチルを行い、最後に従来技術によってC/2’位のヒドロキシル基およびC/3’位のアミノ基を保護することによって調製され得る。
【0120】
適当には、平行な3’−NMe2基のモノ脱メチルならびにC/2’−ヒドロキシルおよび3’−アミノ位の2つのベンジルオキシカルボニル保護基の挿入は、US5,250,518に記載の手順に従って、6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAをクロロギ酸ベンジルと反応させることによって行われ得る。US5,250,518に記載の手順を使用した2’および3'位のベンジルオキシカルボニル基の脱離は、C/4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)の形成後に行われ得る。
【0121】
式(IV)によって表される化合物は、式(II)によって表される化合物と、式(VI):
HOC(O)CH2L (VI)
[式中、Lは、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物またはヨウ化物)、またはスルホン酸基(例えば、トシラート、メタンスルホナートまたはトリフラート)などの、上で定義した適当な脱離基である。]
によって表されるカルボン酸またはカルボン酸の適当な活性化誘導体との反応によって調製され得る。カルボキシル基の適当な活性化誘導体は、カルボン酸(III)について上で定義したものである。反応は、式(II)によって表される化合物と式(III)によって表されるカルボン酸との反応について上記の条件を使用して行われる。
【0122】
式(III)、(V)および(VI)によって表される化合物は、当技術分野で公知である、または当技術分野で周知の技術によって調製され得る。
【0123】
本発明の目的も表す、薬学的に許容される酸付加塩は、反応に不活性な溶媒中で、式(I)によって表される化合物と、塩酸、ヨウ化水素酸、スルホン酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、ラウリルスルホン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、コハク酸、エチルコハク酸、ラクトビオン酸、シュウ酸、サリチル酸および同様の酸などの少なくとも等モル量の対応する無機酸または有機酸とを反応させることによって得られ得る。付加塩は、溶媒を蒸発させることによって、あるいは非極性共溶媒の添加によって自発沈殿または沈殿させた後に濾過することによって単離される。
【0124】
典型的には、薬学的に許容される塩は、当技術分野で公知の方法に従って所望の酸を使用することによって容易に調製され得る。塩は、溶液から沈殿し、濾過によって回収され得るか、または溶媒の蒸発によって回収され得る。例えば、塩酸などの酸の水溶液を、式(I)によって表される化合物の水性懸濁液に添加し、得られた混合物を蒸発乾固または凍結乾燥させて固体として酸付加塩を得ることができる。あるいは、式(I)によって表される化合物は適当な溶媒、例えば、イソプロパノールなどのアルコールに溶解することができ、酸は同じ溶媒または別の適当な溶媒に添加することができる。次いで、得られた酸付加塩は、直接、またはジイソプロピルエーテルもしくはヘキサンなどの弱極性溶媒の添加により沈殿させられ、濾過によって単離され得る。
【実施例】
【0125】
アッセイ
本発明の化合物が、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患の治療における治療上の利点を提供する有利な特性を有する可能性は、例えば以下のアッセイを使用して説明され得る。
【0126】
本文中では以下の略語が使用される:コロニー形成単位はcfu、ジメチルスルホキシドはDMSO、細菌性リポ多糖はLPS、リン酸緩衝生理食塩水はPBS、および気管支肺胞洗浄はBAL。
【0127】
安定性アッセイ
インビトロ血液および血漿安定性プロトコル
ヒト全血および血漿中のインビトロ安定性の調査を37℃で24時間にわたって行う。
【0128】
薬物フリーの新しく採取したヒト血液(CPD−クエン酸−リン酸−ブドウ糖が抗凝固剤として全血液採取に使用される)および血漿に、予め調製した試験化合物の標準溶液を添加し、最終濃度2000ng/mLとする。各々の化合物について、血液および血漿に二つ組で添加し、24時間インキュベートする。血液または血漿の2つの別々のアリコート(50μL)を、0、15、30、60、120、240および1440分で各々のインキュベーション混合物から採取する。全アリコートを等容積の水(50μL)と混合し、内部標準(ロキシスロマイシン)を含む300μLのアセトニトリル/メタノール(2:1)で抽出する。次いで、試料をボルテックスし、遠心分離し、LC/MS/MS(MRMモード)によって分析する。結果は、残留化合物の割合として示し、分析物/内部標準の比として示す。
【0129】
緩衝液中および生体関連培養液(bio−relevant media)中の安定性プロトコル
24時間の、25℃、pH2〜pH8の緩衝液中、および37℃の生体関連培養液(SGF pH1.6、空腹時SIF pH6.5および食後SIF pH5.0)中の安定性を監視する。試料をLC/MSによって分析する。
【0130】
安定性アッセイにおいて使用する緩衝液および生理学的関連培養液(physiologically relevant media)
pH2−リン酸緩衝液
pH3−クエン酸緩衝液
pH4−クエン酸緩衝液
pH5−クエン酸緩衝液
pH6−クエン酸緩衝液
pH7−リン酸緩衝液
pH8−TRIS緩衝液
SGF(人工胃液(Simulated Gastric Fluid))pH1.6
空腹時SIF(人工腸液(Simulated Intestinal Fluid))pH6.5
食後SIF(人工腸液)pH5.0
【0131】
LC条件:Instrument HP1100
カラム:Waters XBridge C18、2.1×50mm、3.5μm
ガードカラム:Waters XBridge C18、2.1×10mm、3.5μm
移動相:A)0.1%HCOOH/H2O
B)0.1%HCOOH/CH3CN
勾配タイムテーブル:
【表1】
フロー:0.3mL/分
カラム温度:25℃
試料温度:25℃(緩衝液中の安定性アッセイについて)
37℃(生体関連培養液中の安定性アッセイについて)
インジェクター容量:3μL(注入プログラムなし)
【0132】
MS条件:Instrument HP MS
API−ES、陽イオンモード
質量範囲:150〜1500
フラグメンター:100
ゲイン:1.0
閾値:150
ステップサイズ:0.20
ガス温度:350℃
乾燥ガスフロー:13L/分
ネブライザー圧力:35psig
キャピラリー電圧:正 4000V
負 4000V
【0133】
試料調製
a)緩衝液中の安定性アッセイについて
化合物をCH3CNに溶解し、1mg/mLのストック溶液を作成する。ストック溶液を適当な緩衝液を用いて0.2mg/mLの濃度(4mL緩衝液中1mL溶液)に希釈し、使用溶液を作成する。
【0134】
次いで、適当な時点で分析するために、各々のpHの各々の溶液をバイアルに入れて、密封し、室温で保管する。分析の前に、調製した試料溶液のpH値を確認し、必要に応じて調整する。
【0135】
b)生体関連培養液中の安定性アッセイについて
b1)pH1.6のSGF培養液の試験について
化合物をpH1.6のSGF培養液に溶解し、化合物1および2の場合には0.2mg/mL溶液、化合物3の場合には0.1mg/mL溶液を得る。次いで、溶液を37℃の水浴中に保管し、LC/MS分析のために適当な時点で取り出す。分析の前に、調製した試料溶液のpH値を確認し、必要に応じて調整する。
【0136】
b2)pH6.5の空腹時SIF培養液の試験について
化合物をpH6.5の空腹時SIF培養液に溶解し、2mg/mL溶液を得る。次いで、溶液をバイアルに入れて、37℃の水浴中に保管し、LC/MS分析のために適当な時点で取り出し、CH3CNで10倍希釈する。分析の前に、調製した試料溶液のpH値を確認し、必要に応じて調整する。
【0137】
b3)pH5.0の食後SIF培養液の試験について
化合物をpH5.0の食後SIF培養液に溶解し、2mg/mL溶液を得る。次いで、溶液をバイアルに入れて、37℃の水浴中に保管し、LC/MS分析のために適当な時点で取り出し、CH3CNで40倍希釈する。分析の前に、調製した試料溶液のpH値を確認し、必要に応じて調整する。
【0138】
インビボスクリーニングプロトコル
雄BALB/cJマウスにおける細菌性リポ多糖(LPS)によって誘発される肺好中球増加症
腹腔内投与(i.p.)のために、化合物を10mg/mLの最終濃度に溶解する。化合物の必要量を最初にジメチルスルホキシド(DMSO、シグマ社製)に溶解し、次いで、0.5%(w/v)メチルセルロースで希釈して、最終DMSO濃度が5%(v/v)となるようにする。得られた溶液を動物10g当たり0.2mLの用量容積で適用する。そのため、化合物用量は200mg/kgである。
【0139】
約30gの平均体重の雄BALB/cJマウス(チャールズリバー社製、フランス)を無作為にグループ化する(試験グループにおいてn=8、正の対照n=10および負の対照n=8)。マウスは、腹腔内に(i.p.)、単一用量の200mg/kgの試験化合物を受ける。投与の2時間後、60μLの容積の無菌PBSに溶解した2μgのLPS(Escherichia coli血清型0111:B4、シグマ社製由来)を、等容積のビヒクル(PBS)を受ける負の対照グループを除いた全実験グループに鼻腔内投与する。LPSの施用の約24時間後に動物を屠殺し、気管支肺胞洗浄液(BALF)を得て、細胞の絶対数および好中球の割合を決定するために使用する。結果は、正の対照(LPSにより攻撃されたが未処理の動物)と比較した、処理動物のBALF中の総細胞数および好中球数の割合減少として示す。
【0140】
インビトロスクリーニングプロトコル
抗菌性スクリーニング
臨床的に関連する細菌(Staphylococcus aureus ATCC13709、Streptococcus pneumoniae ATCC49619、Streptococcus pyogenes ATCC700294、Moraxella catarrhalis ATCC23246、Haemophilus influenzae ATCC49247およびEscherichia coli ATCC25922)に対する化合物の全細胞抗菌活性を、臨床検査標準(CLSI)推奨手順(Document M7〜A6A7、Methods for Dilution Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically)を使用する微量液体希釈法によって測定する。化合物をDMSOに溶解し、50mMストック溶液を作成する。ストック溶液を適当な培養液(Haemophilus influenzaeにはヘモフィリステスト培地、Staphylococcus aureus、Moraxella catarrhalisおよびEscherichia coliにはミューラーヒントン培地、ならびにStreptococcus pyogenesおよびStreptococcus pneumoniaeには5%ウマ血清を補充したミューラーヒントン培地)中128μg/mLの濃度に希釈して使用溶液を作成する。Tecan Genesis150Workstation(Tecan Group Ltd.社製 Mannedorf、スイス)を使用して、U字型底96ウェルマイクロタイタープレート中に、使用溶液の2倍希釈系列(50μLアリコート)を調製する。化合物を希釈した後、50μLアリコートの試験単離物(約1×106cfu/ml)を、マイクロタイタープレートの各々のウェルに添加する。最終的な試験濃度は、0.125〜64μg/mLに及ぶ。接種されたプレートを周囲空気中、35℃で18〜24時間インキュベートする。最小発育阻止濃度(MIC)は、目に見える発育を阻害した最も低い化合物の濃度として決定する。
【0141】
本発明の化合物は、同じ細菌の異なる菌株に対して異なるレベルの活性を有し得ることが当業者によって認識されよう。
【0142】
THP−1およびHepG2細胞系における細胞傷害性アッセイ
10%ウシ胎児血清(FBS;BioWest社製)、50U/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシンおよび2.5μg/mLアムホテリシンB(ファンギゾン)(全てギブコ社製)を補充したRPMI1640培地(Institute of Immunology製、Zagreb)中でTHP−1細胞を培養する。
HepG2細胞は、10%FBS、1mMピルビン酸ナトリウム、0.1mM非必須アミノ酸、50U/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシンおよび2.5μg/mLアムホテリシンB(ファンギゾン)(全てギブコ社製)を含むイーグル最小必須培地(MEM;ギブコ社製)中で維持する。
【0143】
試験化合物の抗炎症活性が、観察されるサイトカイン産生の阻害のためであって、細胞傷害性の結果ではないかどうかを決定するために、生細胞中のコハク酸脱水素酵素活性の測定を行う。100、50、25、12.5.6.25.3.13.1.56、0.78μMの濃度の試験化合物の存在下、適当な組織培養培地中で24時間細胞を培養する。次いで、検出試薬であるMTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム臭化物](プロメガ社製、米国)を添加し、培養物を0.5〜2時間インキュベートする。492nmで分光光度計を使用して、産生されたMTT−ホルマザンの量を決定する(Mosmann、J.Immunol Methods、(1983)65:55〜63)。
【0144】
細胞発育の阻害の割合を、以下の式:
細胞発育の阻害%=OD492処理細胞/OD492未処理細胞×100
を使用して計算する。
【0145】
本文中では以下の略語が使用される:酢酸エチルはEtOAc、ジクロロメタンはDCM、1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩はEDC×HCl、4−(ジメチルアミノ)−ピリジンはDMAP、エタノールはEtOH、酢酸エチルはEtOAc、ジメチルスルホキシドはDMSO、メタノールはMeOH、トリエチルアミンはTEA、ジエチルアミンはDEA、メチルtert−ブチルエーテルはMTBE、イソプロパノールはi−PrOHおよびイソプロピル酢酸はiPrOAc。
【0146】
本発明の化合物および方法は、以下の実施例に関連してよりよく理解されるだろうが、これらの実施例は単なる例として意図されており、本発明の範囲を限定するものではない。開示の実施形態についての種々の変更および修正が当業者には明らかであろう、そして本発明の化学構造、置換基、誘導体、製剤および/または方法に関連するものを含むがそれらに限定されないこのような変形および修正は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0147】
以下の手順において、番号による中間体または実施例の産物の参照が典型的に与えられる。これは単に、使用する出発物質を同定するための当業者に対する補助のために提供されるものである。出発物質は、必ずしも言及されているバッチから調製されるわけではない。
【0148】
6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAは、WO99/51616、実施例2、15ページの手順に従って調製することができる。
【0149】
式(I)によって表される化合物の多形体形態は、それだけに限定されないが、粉末X線回折(XRPD)、ラマン分光法、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)および核磁気共鳴分光法(NMR)を含むいくつかの従来の分析技術を使用して、特徴づけられ、区別され得る。これらの技術は、試料を特徴づけ、式(I)によって表される化合物の一形態を他の形態と区別するために、単独でまたは他の技術と組み合わせて使用され得る。
【0150】
粉末X線回折(XRPD)
粉末X線回折(XRPD)データは、X’Celerator検出器を使用して、PANalytical X’Pert Pro粉末回折装置、モデルPW3040/60で得た。収集条件は以下の通りであった。
a)放射線:Cu Kα、発生装置電圧:45kV、発生装置電流:40mA、開始角度:3.0°2θ、終了角度:40.0°2θ、ステップサイズ:0.0167°2θ、ステップ当たりの時間:104.7秒;または
b)放射線:Cu Kα、発生装置電圧:40kV、発生装置電流:45mA、開始角度:2.0°2θ、終了角度:40.0°2θ、ステップサイズ:0.0167°2θ、ステップ当たりの時間:31.75秒。
数ミリグラムの試料をSiウエハー(ゼロバックグラウンド)プレート上に載せ、分析のために粉末の薄層にすることによって、試料を調製した。
各々の2シータ角度割当ておよびd−格子面間隔にはいくらかの許容誤差が存在する。許容誤差は、値が測定される正確な温度を含むいくつかの因子に依存するだろう。前述の2シータ角度における許容誤差は、各々の前述のピーク割当てにつき約±0.2度である。2シータ角度割当ておよびd−格子面間隔においてはいくらかの許容誤差が可能であるので、式(I)によって表される化合物の試料の特定の形態を同定するためにXRPDパターンを比較する有用な方法は、式(I)によって表される化合物のある試料形態のXRPDパターンを、式(I)によって表される化合物の他の試料形態のXRPDパターンの上に重ねることである。
【0151】
ラマン分光法
全ラマン分析は、自動XYZステージを備えるKaiser Optical Systems HoloWell分散型ラマン分光計で行った。785nmのダイオードレーザーによって励起をもたらした。約5〜20mgの試料をホウケイ酸塩フリットプレート上に、またはガラス試料バイアル中に置いた。観察されたラマンピークのわずかな変動は、使用した特定の分光計および分析者の試料調製技術に基づくと考えられる。前述のバンド位置の許容誤差は±2cm−1である。本明細書で提供されるラマンスペクトルは、x軸にcm−1の波数およびy軸に任意の単位の強度を示す。
【0152】
示差走査熱量測定(DSC)
冷凍冷却システムを備えるMettler Toledo DSC 822e熱量計でDSCを行った。試料をピンホールアルミニウム皿中で、10℃/分の加熱速度で25℃から300℃まで加熱した。試料に対して50mL/分の窒素パージを維持した。
観察された吸熱の有意な変動は、式(I)によって表される化合物の各々の形態のDSCサーモグラムに関しては、使用した特定の装置および皿の配置、分析者の試料調製技術ならびに試料の粒度および重量に基づくと考えられる。吸熱特性においては通常いくらかの許容誤差が存在する。すなわち、許容誤差は約±2.00℃程度である。
【0153】
熱重量分析(TGA)
Mettler Toledo TGA/SDTA 851eシステムでTGAを行った。試料を予め風袋計量したアルミナるつぼに入れ、10℃/分の加熱速度で25℃から300℃まで加熱した。試料に対して50mL/分の窒素パージを維持した。
【0154】
実施例1
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
方法A
【化8】
【0155】
中間体1:
3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
クロロギ酸ベンジル(30mL、209.7mmol)中のNaHCO3(13.2g、157.3mmol)の加熱した(60℃)懸濁液に、6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(10g、13.1mmol)を2時間で徐々に添加した。反応混合物を60℃でさらに1時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、ヘキサン(150mL)および水(150mL)を添加して、得られた粘着性沈殿を濾別し、EtOAc(150mL)に溶解して、水(2×100mL)で洗浄した。無水Na2SO4で乾燥後、有機層を蒸発させ、残渣にジエチルエーテル(80mL)を添加し、氷冷下でヘキサン(200mL)を添加することによって生成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾過し、冷ヘキサン(50mL)で洗浄して標記中間体1(12.7g)、MS(ES+)m/z:1039.28[MH+Na]+を得た。
【0156】
中間体2:
ジエチルアミノ酢酸
ジエチルアミン(230mL、2.2mol)中のクロロ酢酸(30g、0.32mol)の溶液を一晩攪拌した。得られた白色沈殿を濾過によって除去した。濾液を蒸発乾固し、黄色油を得て、それにEtOAc(300mL)を添加した。得られた沈殿を再度濾過によって除去した。濾液を蒸発させて黄色固体残渣(44g)を得、それをヘキサン(2×100mL)、EtOAc(2×50mL)および再度ヘキサン(50mL)で洗浄し、次いで真空中で乾燥させて標記中間体2(38g)を得た。
1H NMR(500MHz、CHLOROFORM−d)δppm8.85(1H、br.s)、3.56(2H、s)、3.29(4H、q、J=7.3Hz)、1.36(6H、t、J=7.3Hz)。
【0157】
中間体3:
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
DCM(35mL)中の中間体1(12.7g、12.5mmol)の溶液に、EDC×HCl(14.4g、74.9mmol)、DMAP(9.15g、74.9mmol)および中間体2(ジエチルアミノ酢酸)(9.83g、74.9mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩(約17時間)攪拌し、EtOAc(450mL)で希釈し、飽和NaHCO3(3×170mL)、飽和NH4Cl(3×170mL)および食塩水(350mL)で洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、残渣を石油エーテル(250mL)に懸濁し、2時間攪拌し、濾過し、石油エーテル(30mL)で洗浄して標記中間体3(12.2g)、MS(ES+)m/z:1130.39[MH]+を得た。
【0158】
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
方法1.EtOH(200mL)中の中間体3(12.2g、10.8mmol)の溶液に、10%Pd/C(1.22g)を添加し、反応混合物を5バールで一晩(約17時間)水素化(hydrogenolize)した。触媒を濾過によって除去し、濾液を蒸発させた。残渣にDCM(200mL)および水(200mL)を添加し、pHを4.7に調整した(1N HCl)。層を分離し、DCM(3×150mL)でpH4.7での抽出を繰り返した。水層に新しいDCM(150mL)を添加し、pHを5.7に調整した(1N NaOH)。層を分離し、DCM(2×20mL、7×150mL)でpH5.7での抽出を繰り返した。pH5.7の合わせた有機層を150mLの容積に濃縮し、水(150mL)を添加し、pHを9.5に調整した(水/NH4OH=1/1)。有機層を分離し、蒸発させて標記生成物実施例1(7.25g、MS(ES+)m/z:862.34[MH]+)を得た。
【0159】
方法2.EtOH(200mL)中の中間体3(11.52g、10.2mmol)の溶液に、10%Pd/C(1.15g)を添加し、反応混合物を5バールで一晩(約17時間)水素化した。触媒を濾過によって除去し、濾液を蒸発させた。残渣をアセトン(25mL)に溶解し、石油エーテル(250mL)の添加によって生成物を沈殿させ、標記生成物(6.9g)を得、それをアセトニトリルからさらに再結晶して、標記生成物(4.36g)を得た。母液の蒸発および再沈殿により、追加量の標記生成物実施例1(2.27g)を得た。
MS(ES+)m/z:862.11[MH]+。
1H NMR(500MHz、CHLOROFORM−d)δppm6.12(1H、d、J=8.2Hz)、4.88(1H、d、J=4.9Hz)、4.72(1H、d、J=9.8Hz)、4.68(1H、dd、J=10.7、1.5Hz)、4.55(1H、d、J=7.6Hz)、4.39(1H、m)、4.21(1H、dd、J=6.1、1.5Hz)、4.16(1H、m)、3.79(1H、m)、3.74(1H、d、J=6.4Hz)、3.43(1H、d、J=17.2Hz)、3.31(3H、s)、3.31(3H、s)、3.31(1H、d、J=17.1Hz)、3.28(1H、d、J=4.3Hz)、3.21(1H、br.s.)、3.14(1H、dd、J=9.8、7.3Hz)、2.83(1H、m)、2.69(4H、q、J=7.3Hz)、2.59(1H、ddd、J=11.5、9.8、4.6Hz)、2.43(3H、s)、2.37(1H、d、J=15.0Hz)、2.22(1H、dq、J=7.3、7.1Hz)、2.01(1H、dd、J=15.0、8.2Hz)、1.89(3H、m)、1.62(1H、dd、J=15.0、4.9Hz)、1.56(1H、m)、1.33(3H、s)、1.29(1H、d、J=13.7Hz)、1.24(3H、d、J=7.6Hz)、1.16(12H、m)、1.12(3H、s)、1.09(4H、d、J=7.1Hz)、1.07(6H、t、J=7.3Hz)、0.98(3H、d、J=7.6Hz)、0.90(3H、t、J=7.5Hz)。
【0160】
方法B
中間体1:
3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
工程a)6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
6−O−メチルエリスロマイシンA 9(E)−オキシム(2.0kg)を50Lガラスライニング反応器に装入し、引き続いてアセトン(20L)を装入した。混合物を−10℃に冷却し、アセトン(5.5L)中のトルエン−2−スルホニルクロリド(775g、1.55eq)を20分間添加した。添加中、温度は−8℃に上がった。次いで、内部温度を0℃未満に維持しながら、水(25L)中のNaHCO3(460g)を1時間40分間滴加した。混合物を20℃に加温し、2時間攪拌して、次いで1M KOH(6L)を添加した。加熱マントルを70℃に設定し、反応物容積を真空中で約18Lに減少させた。混合物を10℃に冷却し、ヌッチェ(ザイツK200フィルター)で濾過し、濾過ケークを水(8L)で洗浄した。重い灰白色沈殿をフィルター上で一晩、次いで真空中32℃で風乾して標記生成物(1670g、Y=83.5%、LC−MS純度は参照に一致する)を得た。
【0161】
工程b)3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
バッチA) 6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(1.01kg)を20L反応器に装入し、引き続いてジオキサン(4L)およびNaHCO3(1.49kg)を装入した。加熱マントル温度を90℃に設定した。内部温度が72℃に達したら、クロロギ酸ベンジル(800mL、4.4equiv.カルボベンゾキシクロリドまたはフェニルメチルクロロホルマートとしても知られている)の添加を開始し、4時間10分間続けた。30分後、余分のクロロギ酸ベンジル(30mL)を添加した。LC−MSによって完全な転換が確認されたので、混合物を20℃に冷却し、MTBE(6L)で希釈し、0.01M KOH(5L)でクエンチして、一晩攪拌した。水層を除去し、有機層を水(2×5L)および食塩水(2L)で洗浄した。有機層の容積は約7Lであり、この溶液を追加の漏斗に移した。ヘプタン(14L)を反応器に装入し、10℃に冷却した。次いで、追加の漏斗からのMTBE溶液を、攪拌ヘプタンに慎重に添加した。溶液の約2/3を添加した後に、懸濁粒子が凝塊を形成し始め、反応器の底に粘着性油が得られた。ほぼ全てのヘプタンを除去した後、全てが溶解するまでMTBE(1L)およびDCM(5L)を添加した。
得られた溶液をバッチBに添加した。
【0162】
バッチB):ジオキサン(11L)を50L反応器に装入し、引き続いて6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(2.7kg)およびNaHCO3(4.0kg)を装入した。加熱マントルを85℃に設定し、内部温度が70℃に達したら、クロロギ酸ベンジル(2.25L、4.5equiv.カルボベンゾキシクロリドまたはフェニルメチルクロロホルマートとしても知られている)の添加を開始し、8時間にわたって続けた。次いで、余分のクロロギ酸ベンジル(50mL)を添加した。LC−MSによって完全な転換が確認されたので、混合物を20℃に冷却し、MTBE(15L)で希釈し、0.01M KOH(15L)でクエンチして、週末にわたって放置した。水層を除去し、有機層を水(2×15L)および食塩水(10L)で洗浄し、バッチAからの溶液と合わせた。容積を真空中で約10Lに減少させ、この溶液を追加の漏斗に移した。ヘプタン(45L)を反応器に装入し、10℃に冷却した。次いで、10分間、MTBE溶液をよく攪拌したヘプタンに慎重に添加した。得られた白色非晶質沈殿をヌッチェ(ザイツK200フィルター)で濾過し、ヘプタン(2×5L)で洗浄し、48時間フィルター上で風乾して標記生成物(5.8kg、LC−MS純度は参照に一致する)を得た。湿潤物質は、さらなる後処理なしで次の反応工程に使用した。
【0163】
中間体2:
ジエチルアミノ酢酸
ジエチルアミン(9.5L)を、20Lガラスライニング反応器に装入し、3℃に冷却した。MTBE(1.8L)中のクロロ酢酸(1.21kg)を冷却しながら1時間にわたって添加した−添加中、温度は16℃に上がった。混合物を20℃に加温し、一晩攪拌し、ロータリーエバポレーターで濃縮して黄色油を得た。この油をiPrOAcとともに再濃縮し、iPrOAc(4.5L)と混合し、一晩攪拌した。灰白色吸湿性沈殿を濾過し、iPrOAc(1.5L)で洗浄し、直ちに乾燥キャビネットに入れて潮解を避けた。乾燥後、標記生成物が得られた(820g、Y=49%)。
【0164】
中間体3:
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
DCM(10L)を50Lガラスライニング反応器に装入し、内部温度を+5℃に調整した。次いで、全試薬を一度に以下の順で装入した:3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(2800g、湿潤物質)、ジエチルアミノ酢酸(800g、2.2eq)、DMAP(745g、2.2eq)およびEDC×HCl(1170g、2.2eq)。これは+2℃への吸熱温度減少をもたらした。混合物を+20℃で一晩攪拌し、+10℃に冷却し、飽和NaHCO3水溶液(20L)でクエンチし、0.5時間攪拌した。EtOAcを添加し(25L)、水層を分離し捨てて、有機層を飽和NH4Cl水溶液(2×12L)および食塩水(10L)で洗浄した。容積を真空中で約8Lに減少させた。ヘプタン(45L)を第2反応器に装入し、8〜10℃に冷却した。DCM/EtOAc濃縮溶液を、よく攪拌しながら20分間にわたって、冷却したヘプタンに慎重に添加した。得られた白色非晶質沈殿をヌッチェ(ザイツK200フィルター)で濾過し、ヘプタン(8L)で洗浄し、一晩フィルター上で風乾して粗製標記生成物(2.5kg、Y=79%、LC−MSプロファイルは参照に一致する)を得た。
粗製固体(2.38kg)を50℃で還流MTBE(18.3L)に溶解し、内部温度を約50℃に維持しながら、ヘプタン(15L)を20分間にわたってゆっくり添加した。混合物を接種し、20℃に冷却させ、一晩攪拌した。白色沈殿を濾過し、MTBE/ヘプタン1:1(5L)、次いで純ヘプタン(3L)で洗浄し、24時間風乾して、標記生成物(1.9kg、Y=63%、LC−MSプロファイルは参照に一致する、LC純度98.5%)を得た。
【0165】
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(1.9kg)をMeOH(16L)に溶解し、得られた溶液を20Lオートクレーブに装入し、引き続いてMeOH(0.5L)中の10%Pd/C(150g、湿気60%H2O)を添加した。オートクレーブを排気し、水素を充満させた(全ての残存酸素を除去するために2度繰り返した)。オートクレーブを水素で再充満した後、混合物を1.5〜3バールで10時間水素化した。セライトを通してPd/Cを濾過し、ケークをMeOH(1L)で洗浄した。得られた溶液を50L反応器に装入し、Pdスカベンジャー(Biotage MP−TMT、50g)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、混合物を濾過し、プラスチック容器に移して−10℃で保管した。その後、MeOH混合物を反応器に移し、ほぼ乾燥するまで濃縮した。次いで、EtOAcを装入し(12.5L)、引き続いて水(10L)および1M HCl溶液(3L)を装入した。有機相を分離し捨てた。水相に、固体NaHCO3(280g)およびEtOAc(10L)を添加し、食塩水(1L)を添加して分離を達成した。層を分離した後、生成物をEtOAc(2×7L)で抽出し、合わせた有機相を真空中でほぼ乾燥するまで濃縮し、ヘプタン(2L)で希釈して、再度濃縮した。次いで、ジエチルエーテル(7L)を添加し、混合物を3.5時間攪拌し、白色沈殿を濾過し、約2Lのジエチルエーテルで洗浄し、一晩風乾して標記生成物実施例1(946g、Y=65%、1H NMRプロファイルは参照に一致する、C/3’−NHCH3のまわりに位置するいくつかのプロトンのケミカルシフトにおいて差異が存在し、これは部分的なHCl塩形成を示唆している、HPLC純度97.8%)を得た。
相当量の沈殿が反応器中に残った。これをMeOHに溶解し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた油状残渣をジエチルエーテル(2L)中にスラリーにし、3時間攪拌し、濾過し、ジエチルエーテル(300mL)で洗浄し、一晩風乾して追加量の粗製標記生成物(250g、Y=17%)を得た。
アンモニア水または飽和NaHCO3溶液のいずれかを使用して、遊離塩基化(freebasing)を達成した:
生成物(20g、10gの部分的HCl塩+10gの粗製物)をDCM(150mL)に溶解し、アンモニア水溶液(12.5%、100mL)または飽和NaHCO3溶液(100mL)のいずれかと混合し、1.5時間攪拌した。層を分離し、水層を追加のDCM(75mL)で抽出した。合わせた有機層をほぼ乾燥するまで濃縮し、ジエチルエーテル(100mL)中にスラリーにし、容積をわずかに減少させ(約90mLまで)、3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(XRPDパターンは、実施例11、形態1のXRPDパターンに一致した)のゆっくりした沈殿を得た。
【0166】
方法C
中間体1:
3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
工程a)6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
2.5±2.5℃に冷却したアセトン(72.0L)中の6−O−メチルエリスロマイシンA 9(E)−オキシム(12.00kg)の溶液に、水(120.0L)中のNaHCO3(3.3kg)の溶液を2時間添加し、温度を2.5±2.5℃に維持した。アセトン(12.0L)中のp−トルエンスルホニルクロリド(4.79kg)の溶液を、冷却下15分以内でこの混合物に添加し、次いで、周囲温度に加温し(1時間15分)、2時間攪拌した。反応混合物を2等分し(約102.0L)、その各々を新しい反応器に移し、各々半分に水(96.0L)を添加し、反応混合物を約1.5時間で7.5±2.5℃に冷却した。次いで、各々半分を、10.0Lの予め調製したNaOH(36.0Lの水中の1.80kg)水溶液を約1時間添加することによって、pHをpH9.0〜11.5に調整した。得られた懸濁液を7.5±2.5℃で2時間熟成させ、遠心濾過によって単離し、水で3度洗浄して(24.0L、48.0Lおよび24.0L)、湿潤生成物(13.50kg)を得た。湿潤生成物を真空下40±5℃で10時間乾燥させて、標記生成物(10.82kg、1H NMRプロファイルは参照に一致する)を得た。
【0167】
工程b)3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
バッチA) ジオキサン(40.0L)を反応器に装入し、温度を30±5℃に設定し、6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(8.00kg)、引き続いてNaHCO3(10.56kg)を添加した。30±5℃で30分間、この混合物に、クロロギ酸ベンジル(9.00kg)をゆっくり添加した。添加後、混合物を60±5℃に加熱し、2.5時間維持した。反応混合物を新しい反応器に移し、7.5±7.5℃に冷却し、MTBE(80.0L)で希釈し、次いで7.5±7.5℃で、トリエチルアミン(8.0L)でゆっくり処理した。予め冷却した0.01N水酸化カリウム溶液(60.0Lの水中の4.035kg)を、7.5±7.5℃の上記反応混合物に添加し、12.5±2.5℃で10分間攪拌した。層を分離し、温度を12.5±5℃に維持しながら、上層の有機層を水で2度(2×40.0L)、次いで塩化ナトリウム水溶液(40.0L中8.00kg)で洗浄した。
有機層を、留出物が観察されなくなるまで、高真空(NLT650mm/Hg)下60℃未満で濃縮した。MTBE(16.0L)を残渣に添加し、32.5±7.5℃で攪拌して、溶液を得た。得られた溶液を追加の容器に移し、30±5℃で1時間にわたってヘキサン(160.0L)にゆっくり添加し、MTBE(4.0L)で追加の容器をすすいだ。混合物を30±5℃で45分間攪拌し、2.5±2.5℃に冷却し、90分間熟成させ、遠心濾過によって単離した。ケークをヘキサン(16.0L)で洗浄し、真空下30±5℃で5時間乾燥させて粗製固体生成物を得た。
粗製固体を、MTBE(16.0L)およびトリエチルアミン(8.0L)の混合物中に懸濁し、65±10℃で12時間加熱した後、周囲温度に冷却し、さらなるMTBE(16.0L)で希釈した。スラリーを周囲温度でさらに12時間熟成させた後、遠心濾過によって単離した。ケークをMTBE(16.0L)で洗浄し、真空下30±5℃で10時間乾燥させて、標記生成物(6.95kg)を得た。
【0168】
バッチB) ジオキサン(50.0L)を反応器に装入し、温度を30±5℃に設定し、6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(10.00kg)、引き続いてNaHCO3(13.21kg)を添加した。30±5℃で30分間、この混合物に、クロロギ酸ベンジル(11.25kg)をゆっくり添加した。添加後、混合物を60±5℃に加熱し、数時間(4時間)維持した。反応混合物を新しい反応器に移し、7.5±7.5℃に冷却し、MTBE(100.0L)で希釈し、次いで7.5±7.5℃で、トリエチルアミン(10.0L)でゆっくり処理した。予め冷却した0.01N水酸化カリウム溶液(75.0Lの水中の0.044kg)を、7.5±7.5℃の上記反応混合物に添加し、12.5±2.5℃で15分間攪拌した。層を分離し、温度を12.5±2.5℃に維持しながら、上層の有機層を水で2度(2×50.0L)、次いで塩化ナトリウム水溶液(50.0Lの水中10.00kg)で洗浄した。
有機層を、留出物が観察されなくなるまで、高真空(NLT650mm/Hg)下60℃未満で濃縮した。MTBE(20.0L)を残渣に添加し、32.5±7.5℃で攪拌して、溶液を得た。得られた溶液を追加の容器に移し、30±5℃で1時間20分間にわたってヘキサン(200.0L)にゆっくり添加し、MTBE(5.0L)で追加の容器をすすいだ。混合物を30±5℃で30分間攪拌し、2.5±2.5℃に冷却し、90分間熟成させ、遠心濾過によって単離した。ケークをヘキサン(20.0L)で洗浄し、真空下30±5℃で5時間乾燥させて粗製固体生成物を得た。
粗製固体を、MTBE(20.0L)およびトリエチルアミン(10.0L)の混合物中に懸濁し、65±10℃で9時間加熱した後、周囲温度に冷却し、さらなるMTBE(20.0L)で希釈した。スラリーを周囲温度でさらに10時間熟成させた後、遠心濾過によって単離した。ケークをMTBE(15.0L)で洗浄し、真空下65±10℃で8時間乾燥させて、標記生成物(8.75kg)を得た。
【0169】
中間体2:
ジエチルアミノ酢酸
ジエチルアミン(112.0L)を反応器に装入し、2.5±2.5℃に冷却した。温度を5±5℃に維持しながら、クロロ酢酸(14.00kg)を30分間少しずつ添加した。混合物を1時間、30±5℃に加温し、次いで、同温度で一晩(約17時間)攪拌した。反応混合物を、ヌッチェフィルターを通して濾過し、濾液を乾燥容器に回収した。ケークを酢酸エチル(28.0L)で洗浄し、濾液を乾燥容器に回収した。
酢酸エチル(70.0L)を反応器に装入し、湿潤ケークを添加し、30±5℃で20分間スラリー化した。ヌッチェフィルターを通してスラリーを濾過し、濾液を乾燥容器に回収した。ケークを酢酸エチル(28.0L)で洗浄し、濾液を乾燥容器に回収した。
合わせた回収濾液を新しい反応器に装入し、留出物が観察されなくなるまで、真空下60℃未満で溶媒を蒸留して取り除いた。残渣を30±5℃に冷却し、アセトニトリル(14.0L)およびアセトン(28.0L)の混合物を添加し、25±2℃で11時間攪拌した。得られた吸湿性沈殿を窒素フロー下で濾過した。湿潤ケークをアセトン(20.0L)で洗浄し、真空下(650mmHg)45±5℃で約1.5日間乾燥させて標記生成物(4.32kg)を得た。
【0170】
中間体3:
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−2’−O−3’−N−ジ{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
DCM(40.0L)を反応器に装入し、温度を30±5℃に調整し、3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(8.0kg)を添加して、透明な溶液が観察されるまで攪拌した。次いで、攪拌し、温度を30±5℃に維持している状態で、ジエチルアミノ酢酸(1.55kg)、引き続いてDMAP(0.96kg)を添加した。反応混合物を2.5±2.5℃に冷却した。EDC×HCl(1.50kg)をこの温度で添加して透明な溶液を得た。反応混合物を25±5℃にゆっくり加温し、25±5℃で5時間攪拌した。さらなるDMAP(1.20kg)を添加し、反応物を再度2.5±2.5℃に冷却した。さらなるEDC×HCl(1.88kg)をこの温度で添加して透明な溶液を得た。反応混合物を25±5℃にゆっくり加温し、25±5℃で11時間攪拌した。
次いで、留出物が観察されなくなるまで、混合物を真空下30℃未満で濃縮し、残渣をトルエン(80.0L)に溶解し、混合物を15±5℃に冷却した。有機溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液(40.0Lの水中の4.00kg)で2度洗浄し、各々の抽出後の水層を15±5℃に維持した。上層の有機層を塩化アンモニウム水溶液(40.0Lの水中の12.00kg)で2度洗浄し、各々の抽出後の水層を10〜15℃に維持した。合わせた水性洗浄液(炭酸水素ナトリウムおよび塩化アンモニウム)をトルエン(40.0L)で逆抽出し、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液(40.0Lの水中の4.00kg)および塩化アンモニウム水溶液(40.0Lの水中の12.00kg)で連続的に洗浄した。
合わせた有機相を塩化ナトリウム水溶液(40.0Lの水中の12.00kg)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ヌッチェフィルターを通して濾過し、トルエン(16.0L)で洗浄した。約5.0〜5.5容積が反応器内部に残るまで、合わせた濾液および洗浄液を真空下50℃未満で濃縮した。ヘプタン(80.0L)を35±5℃で30分間にわたってゆっくり添加し、得られた懸濁液を30±5℃で13時間攪拌した。遠心濾過によって生成物を単離し、ヘプタン(16.0L)で洗浄した。生成物を高真空下(NLT650mm/Hg)40±5℃で11時間乾燥させて標記生成物(7.30kg)を得た。
【0171】
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
反応器を排気し、窒素で洗浄し(2度繰り返した)、窒素フロー下でi−PrOH(36.0L)および3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−2’−O−3’−N−ジ{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(4.5kg)を添加し、溶液を10分間攪拌した。次いで、10%Pd/C(0.225kg)、引き続いてトリエチルアミン(1.80L)を添加し、窒素フローを止め、反応器を排気し、20psi圧力が得られるまで水素を充満させた(2度繰り返した)。反応器を水素で再充満した後、混合物を20psi、30±5℃で2時間水素化した。ヌッチェフィルターのHyflowベッドを使用してパラジウム炭素を除去し、i−PrOH(18.0L)で洗浄し、50℃未満で留出物がなくなるまで、合わせた濾液を高真空下(NLT650mm/Hg)で濃縮した。新しいi−PrOH(9.0L)を残渣に添加し、50℃未満で留出物がなくなるまで、混合物を高真空下(NLT650mm/Hg)で濃縮した。
濃縮物質をIPA(45.0L)に溶解し、きれいな反応器に移し、7.5±2.5℃に冷却し、チオシリカ(0.18kg)で処理し、7.5±2.5℃で3時間攪拌した。ヌッチェフィルターのHyflowベッドを通した濾過によってチオシリカを除去し、i−PrOH(18.0L)で洗浄し、50℃未満で留出物がなくなるまで、合わせた濾液を高真空下(NLT650mm/Hg)で濃縮した。
ヘプタン(13.5L)を上記混合物に添加し、50℃未満で留出物がなくなるまで、高真空下(NLT650mm/Hg)で濃縮した。さらなるヘプタン(13.5L)を上記混合物に添加し、50℃未満で留出物がなくなるまで高真空下(NLT650mm/Hg)で濃縮した。ヘプタン(22.5L)を上記混合物に添加し、得られた懸濁液を20±5℃で90分間攪拌した。生成物を遠心濾過によって単離し、ヘプタン(9.0L)で洗浄した。湿潤ケークを高真空下(NLT650mm/Hg)30±5℃で10時間乾燥させて粗製標記生成物(2.9kg)を得た。
【0172】
再結晶
27.5±2.5℃の酢酸イソプロピル(33.6L)中の粗製3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(4.2kg)の溶液を10分間攪拌し、次いで、透明な溶液が観察されるまで、追加量の酢酸イソプロピル(12.6L)を添加した。Micronフィルターを通して溶液を濾過し、酢酸イソプロピル(2.1L)で洗浄し、透明な反応器に移して、3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(0.01kg)を接種した。得られた混合物を27.5±2.5℃で30分間攪拌し、次いで、ヘプタン(96.6L)を27.5±2.5℃で2時間ゆっくり添加した。懸濁液を27.5±2.5℃で12時間10分間攪拌し、2.5±2.5℃に冷却し、この温度で2.5時間攪拌した。生成物を濾過によって単離し、冷ヘプタン:酢酸イソプロピル混合物(2:1 5.65L/2.74L)および最終的にヘプタン(8.4L)で洗浄した。生成物を高真空下(NLT650mm/Hg)40±5℃で一定重量まで乾燥させて、3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(3.46kg)(1H NMRプロファイルは参照に一致する、HPLC純度98.0%)を得た。
【0173】
比較実施例2
3’−N−デメチル−4”−O−(3−ジエチルアミノプロピオニル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
【化9】
国際公開WO2006/087644の実施例54の手順を使用して、標記化合物を得た。
MSデータ(MS(ES+)m/z:876.7[MH]+)はWO2006/087644中に述べられているものに一致する。
【0174】
比較実施例3
4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
【化10】
国際公開WO2006/087644の実施例56の手順を使用して、標記化合物を得た。
MSデータ(MS(ES+)m/z:877.09[MH]+)はWO2006/087644中に述べられているものに一致する。
【0175】
実施例4
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA酢酸塩
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(100mg、0.116mmol)をi−PrOH(0.7mL)に溶解し、酢酸(13.9μL、0.244mmol)を添加した。混合物を0℃で冷却し、n−ヘキサン(10mL)およびジイソプロピルエーテル(3mL)を滴加した。次いで、溶媒を蒸発させ、乾燥後に標記化合物(103mg)を白色固体として得た。
MS(ES+)m/z:862.8(95.3%)
【0176】
実施例5
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAコハク酸塩
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(75mg)、コハク酸(20mg)および酢酸t−ブチル(300μL)をバイアル中に添加し、攪拌下で2日間にわたって温度を0〜40℃でサイクルさせた。スラリーを単離し、得られた固体を真空下40℃で60時間乾燥させて標記生成物を得た。
1H NMR(400MHz、CHLOROFORM−d)δppm7.61、6.46、6.44、6.12、6.10、5.21、5.08、5.06、4.93、4.92、4.89、4.88、4.75、4.72、4.69、4.67、4.60、4.58、4.54、4.53、4.51、4.49、4.37、4.36、4.34、4.33、4.32、4.21、4.19、4.17、4.15、4.08、4.06、3.82、3.77、3.74、3.72、3.65、3.64、3.61、3.55、3.51、3.48、3.44、3.31、3.31、3.28、3.22、3.06、3.05、3.03、3.01、2.85、2.84、2.82、2.73、2.71、2.69、2.67、2.58、2.56、2.54、2.52、2.41、2.37、2.31、2.24、2.22、2.10、2.07、2.04、1.99、1.97、1.92、1.90、1.88、1.86、1.79、1.66、1.64、1.61、1.59、1.57、1.56、1.52、1.51、1.50、1.48、1.47、1.45、1.43、1.42、1.40、1.32、1.29、1.28、1.26、1.23、1.22、1.18、1.17、1.16、1.14、1.13、1.12、1.10、1.08、1.06、0.99、0.97、0.92、0.90、0.88。
【0177】
実施例6
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA安息香酸塩
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(75mg)、安息香酸(10.6mg)および酢酸t−ブチル(300μL)をバイアル中に添加し、攪拌下で2日間にわたって温度を0〜40℃でサイクルさせた。スラリーを単離し、得られた固体を真空下40℃で60時間乾燥させて標記生成物を得た。
1H NMR(400MHz、CHLOROFORM−d)δppm8.08、8.06、7.52、7.51、7.49、7.44、7.42、7.40、7.27、6.11、6.09、4.89、4.88、4.74、4.71、4.70、4.67、4.60、4.58、4.39、4.38、4.37、4.35、4.34、4.21、4.20、4.18、4.16、3.75、3.74、3.49、3.44、3.40、3.38、3.36、3.35、3.32、3.31、3.22、2.85、2.83、2.82、2.80、2.74、2.72、2.70、2.68、2.59、2.40、2.37、2.24、2.22、2.20、2.05、2.05、2.02、2.01、1.99、1.97、1.88、1.86、1.65、1.64、1.61、1.60、1.57、1.55、1.45、1.41、1.38、1.33、1.30、1.25、1.23、1.22、1.20、1.19、1.17、1.15、1.13、1.11、1.10、1.08、1.06、0.99、0.97、0.92、0.90、0.89。
【0178】
実施例7
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA L−酒石酸塩
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(75mg)、L−酒石酸(13.5mg)および酢酸t−ブチル(300μL)をバイアル中に添加し、攪拌下で2日間にわたって温度を0〜40℃でサイクルさせた。スラリーを単離し、得られた固体を真空下40℃で60時間乾燥させて標記生成物を得た。
1H NMR(400MHz、CHLOROFORM−d)δppm7.19、7.17、7.10、7.08、6.14、6.12、4.81、4.80、4.66、4.63、4.61、4.59、4.49、4.48、4.32、4.30、4.29、4.28、4.23、4.12、4.11、4.09、4.07、3.72、3.71、3.70、3.67、3.66、3.42、3.38、3.27、3.24、3.12、2.78、2.76、2.75、2.67、2.65、2.63、2.61、2.51、2.32、2.28、2.17、2.15、2.13、1.95、1.93、1.90、1.89、1.82、1.81、1.79、1.61、1.57、1.56、1.53、1.52、1.37、1.25、1.22、1.18、1.16、1.14、1.12、1.10、1.09、1.07、1.05、1.03、1.01、0.99、0.94、0.92、0.85、0.83、0.81.
【0179】
実施例8
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA二塩酸塩
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(100mg)およびアセトニトリル(200μL)をバイアル中に添加した。得られたスラリーを攪拌し、70℃に加熱した。追加量のアセトニトリル(300μL)を添加し、引き続いて塩酸(19μL、水中37%w/w)を添加したところ、固体が形成し、攪拌困難となった。したがって、さらなる量のアセトニトリル(200μL)を添加し、反応混合物を0℃に冷却し、その温度で15時間維持した。スラリーを濾過し、得られた固体を真空下40℃で24時間乾燥させて標記生成物を得た。
1H NMR(400MHz、CHLOROFORM−d)δppm7.57、7.55、5.10、5.09、4.99、4.98、4.96、4.96、4.93、4.87、4.85、4.83、4.53、4.52、4.49、4.48、4.46、4.45、4.44、4.42、4.14、4.12、4.11、3.82、3.81、3.71、3.69、3.63、3.48、3.48、3.47、3.38、3.36、3.34、3.32、3.31、3.31、3.31、3.30、3.30、3.28、3.25、3.21、3.12、3.11、3.09、3.07、3.06、2.81、2.79、2.78、2.77、2.76、2.72、2.69、2.51、2.47、2.40、2.38、2.38、2.36、2.34、2.26、2.23、2.22、2.20、2.03、2.02、2.00、1.99、1.89、1.88、1.87、1.86、1.85、1.85、1.83、1.83、1.78、1.77、1.75、1.73、1.56、1.55、1.54、1.53、1.52、1.51、1.50、1.48、1.43、1.40、1.37、1.35、1.33、1.31、1.29、1.24、1.23、1.22、1.21、1.19、1.18、1.17、1.15、1.14、1.12、1.06、1.04、1.03、1.01、0.92、0.90、0.88。
【0180】
実施例9
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAリン酸塩
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(75mg)、リン酸(6μL、水中85%w/w)および酢酸t−ブチル(300μL)をバイアル中に添加し、攪拌下で2日間にわたって温度を0〜40℃でサイクルさせた。スラリーを単離し、得られた固体を真空下40℃で60時間乾燥させて標記生成物を得た。
1H NMR(400MHz、CHLOROFORM−d)δppm7.19、7.17、7.10、7.08、6.07、4.81、4.80、4.65、4.62、4.59、4.48、4.46、4.30、4.13、4.11、4.09、4.07、3.65、3.64、3.58、3.54、3.49、3.25、3.23、3.14、2.77、2.75、2.72、2.70、2.51、2.32、2.28、2.16、2.15、2.13、1.96、1.94、1.92、1.89、1.84、1.82、1.80、1.78、1.77、1.61、1.57、1.55、1.53、1.52、1.47、1.45、1.38、1.35、1.25、1.19、1.17、1.16、1.13、1.12、1.10、1.09、1.07、1.05、1.04、1.03、1.02、1.02、0.92、0.90、0.84、0.83、0.81。
【0181】
実施例10
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA非晶質形態
上記実施例1、方法A、方法1と同様の手順に従って得た3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(1.33g)をアセトンに溶解し、次いで、石油エーテルの添加によって沈殿させ、標記生成物(1.2g)を、図3のXRPDパターンによって特徴づけられる非晶質形態として得た。
MS(ES+)m/z:862.47[MH]+。
【0182】
実施例11
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態1
実施例10の非晶質3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(500mg)を、攪拌により室温でアセトニトリル(2.5mL)に溶解した。透明な溶液が得られて1〜2分以内に、物質が沈殿し始めた。懸濁液を室温で1.5時間攪拌した。白色沈殿を真空下で濾過し、アセトニトリル(3×0.5mL)で洗浄し、室温で1時間乾燥させて標記生成物(307mg)形態1を得た。単離した固体物質をXRPD、DSCおよびTGAによって分析した。
【0183】
XRPDの収集条件は、a)に明記した通りであった。形態1のXRPDパターンは図4に示す。図5に示す形態1のDSCは、148.97℃で開始する幅広の吸熱および156.21℃でのピークを示している。図6に示す形態1のTGAは、0.29%の重量損失を示している。
【0184】
実施例12
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態2
実施例10の非晶質3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(100mg)を脱塩水(1.0mL)に添加した。得られた懸濁液に、アセトン(1mL)を添加したところ、ゴム様物質が得られた。追加量のアセトン(0.4mL)を添加し、わずかに加熱してゴム様物質を溶解した。さらなる脱塩水(0.4mL)を添加した。約90%の透明な溶液を新しいバイアルに移し、次いでそれをパラフィルムで被覆し、室温で維持して結晶化させた。15日後、濾過によって、得られた結晶(単一結晶、小六角形)を単離して標記生成物(23mg)形態2を得た。単離した結晶を大気中、周囲温度で2時間維持し、XRPD、DSCおよびTGAによって分析した。
【0185】
XRPDの収集条件は、a)に明記した通りであった。形態2のXRPDパターンは図7に示す。図8に示す形態2のDSCは、144.79℃で開始する幅広の吸熱および151.65℃でのピークを示している。形態2のTGAは図9に示す。
【0186】
実施例13
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態3
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(700mg)を、メタノール:水50%(3mL)とともにSyn10チューブに入れた。スラリーを攪拌下で4日間にわたって0〜40℃で温度サイクルさせた。固体を濾別し、真空下40℃で一晩乾燥させて標記生成物形態3を得た。単離した固体物質を、1H NMR、XRPDおよびラマンによって分析した。
1H NMR(400MHz、DMSO−D6)は、溶媒ピークの存在を示さなかった。
1H NMR(400MHz、DMSO−D6)δppm0.81(t、J=7.3Hz、3H)、0.89(d、J=6.8Hz、4H)、0.92〜0.99(m、9H)、1.00〜1.05(m、9H)、1.06〜1.13(m、9H)、1.22(s、3H)、1.38(s、1H)、1.66〜1.75(m、1H)、1.75〜1.87(m、2H)、1.91(s、1H)、2.13(d、J=13.9Hz、1H)、2.25(s、3H)、2.31(d、J=15.4Hz、2H)、2.53〜2.62(m、4H)、2.80〜2.87(m、1H)、3.13(s、2H)、3.14〜3.20(m、1H)、3.24(s、3H)、3.27(s、4H)、3.36〜3.44(m、1H)、3.54(d、J=6.6Hz、1H)、3.70(s、1H)、3.85(s、1H)、3.94(d、J=7.3Hz、1H)、4.30〜4.39(m、3H)、4.56(d、J=9.8Hz、1H)、4.77(d、J=4.6Hz、1H)、4.89(dd、J=9.8、2.0Hz、1H)、5.00(d、J=4.9Hz、1H)、7.17(d、J=8.3Hz、1H)。
【0187】
XRPDの収集条件は、b)に明記した通りであった。形態3のXRPDパターンは図10に示す。形態3のラマンスペクトルは図11に示す。
【0188】
実施例14
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態4
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(100mg)およびIPA:水=1:1 v:v(0.5mL)をバイアル中に添加し、攪拌下で5日間にわたって0〜40℃で温度サイクルさせた。得られた溶液を室温で蒸発させて標記生成物形態4を得た。単離した物質を1H NMRおよびラマンによって分析した。
1H NMR(400MHz、DMSO−D6)δppm7.27、6.09、4.89、4.88、4.74、4.71、4.69、4.67、4.58、4.56、4.40、4.23、4.21、4.07、4.05、4.04、4.02、4.00、3.82、3.81、3.80、3.78、3.77、3.75、3.46、3.42、3.34、3.32、3.30、3.25、3.23、3.20、3.17、3.15、2.87、2.86、2.84、2.82、2.80、2.72、2.71、2.69、2.67、2.65、2.62、2.60、2.59、2.46、2.40、2.36、2.26、2.24、2.22、2.20、2.19、2.05、2.03、2.01、1.99、1.95、1.92、1.90、1.88、1.86、1.84、1.65、1.60、1.34、1.32、1.26、1.24、1.23、1.21、1.19、1.17、1.16、1.13、1.12、1.10、1.08、1.06、1.00、0.98、0.92、0.90、0.89、0.01。
形態4のラマンスペクトルを図12に示す。
【0189】
実施例15
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態5
方法A:3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(25mg)をイソプロピルエーテル(500μL)にスラリー化し、振盪下で24時間にわたって0〜40℃で温度サイクルさせた。次いで、温度を20℃に設定し、反応混合物を2日間振盪した。固体を濾別し、真空下で1時間乾燥させて標記生成物形態5を得た。単離した固体物質をラマンによって分析した。形態5のラマンスペクトルを図13に示す。
方法B:3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(25mg)をt−ブチルメチルエーテル(500μL)にスラリー化し、振盪下で24時間にわたって0〜40℃で温度サイクルさせた。次いで、温度を20℃に設定し、追加量の3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(約25mg)をスパチュラで添加して濃厚なスラリーを得、これを20℃で2日間振盪した。固体を濾別し、真空下で1時間乾燥させて、標記生成物形態5を得た。これは実施例15、方法Aで得られた物質と一致するラマンスペクトルに従っていた。1H NMR(400MHz、DMSO−D6)は、溶媒ピークの存在を示さなかった。
1H NMR(400MHz、DMSO−D6)δppm0.81(t、J=7.5Hz、3H)、0.89(d、J=6.8Hz、4H)、0.92〜0.99(m、9H)、1.00〜1.05(m、9H)、1.06〜1.14(m、9H)、1.22(s、3H)、1.31〜1.46(m、1H)、1.63〜1.73(m、1H)、1.75〜1.86(m、2H)、1.87〜1.97(m、1H)、2.11(s、1H)、2.25(s、3H)、2.31(d、J=15.4Hz、2H)、2.59(qd、J=7.2、1.6Hz、4H)、2.84(d、J=6.1Hz、1H)、3.13(s、2H)、3.15〜3.19(m、1H)、3.24(s、3H)、3.25〜3.28(m、4H)、3.35〜3.45(m、1H)、3.54(d、J=6.6Hz、1H)、3.70(s、1H)、3.85(s、1H)、3.96(d、J=7.8Hz、1H)、4.30〜4.40(m、3H)、4.56(d、J=10.0Hz、1H)、4.77(d、J=4.6Hz、1H)、4.89(dd、J=9.9、2.1Hz、1H)、5.00(d、J=4.6Hz、1H)、7.17(d、J=8.1Hz、1H)。
【0190】
実施例16
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態6
酢酸メチル(500μL)中の3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(50mg)の溶液を振盪下で24時間にわたって0〜40℃で温度サイクルさせた。次いで、温度を20℃に設定し、追加量の3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(約50mg)をスパチュラで添加して濃厚なスラリーを得、これを20℃で2日間振盪した。スラリーを濾別し、300μLの飽和濾液を、キャップをして約2℃の冷蔵庫中に1ヶ月間置いて標記生成物形態6を得、これを溶液の慎重なピペット操作によって単離した。ラマンによる分析前に固体を窒素フロー下で短時間乾燥させた。1H NMR(DMSO−d6中)は、溶媒の存在を示さなかった。形態6のベースラインを補正したラマンスペクトルを図14に示す。
【0191】
実施例17
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態7
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(75mg)をHPLCバイアルインサートに入れ、テトラヒドロフラン(1.5mL)を含むHPLCバイアルに入れ、キャップを締め、周囲温度に5日間置いたところ、固体の潮解が引き起こされた。得られた溶液の1/3を新しいHPLCバイアルインサートに入れ、それをn−ヘプタン(1.5mL)を含むHPLCバイアルに入れ、周囲温度に2週間にわたって置いて標記生成物形態7を得、これを溶液の慎重なピペット操作によって単離した。ラマンによる分析前に固体を窒素フロー下で短時間乾燥させた。1H NMR(DMSO−d6中)は、THF(<0.25eq)の存在を示した。形態7のラマンスペクトルを図15に示す。
【0192】
実施例18
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態8
メタノール(500μL)中の3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(200mg)の溶液を振盪下で24時間にわたって0〜40℃で温度サイクルさせた。次いで、温度を20℃に設定し、追加量の3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(約175mg)をスパーテルで滴加して濃厚なスラリーを得、これを20℃で2日間振盪した。スラリーを濾別し、200μLの濾液をメタノール(200μL)で希釈した。200μLのアリコートを蒸発皿に入れ、蒸発乾固させて標記生成物形態6を得た。単離した物質をラマンによって分析した。形態8のラマンスペクトルを図16に示す。
【0193】
結果
安定性
インビトロ血液および血漿安定性
インビトロ血液および血漿安定性プロトコルに記載の方法論を使用して、実施例1〜3の化合物のインビトロ安定性を測定した。実施例1および3は、24時間にわたって全血中および血漿中の両方において安定であることを示した。24時間後、実施例2は不安定性を示し、約41%の化合物が全血中に残っており、2%未満が血漿中に残っていた(図1A〜C参照)。
【0194】
緩衝液中および生体関連培養液中の安定性
緩衝液中および生体関連培養液中の安定性プロトコルに記載の方法論を使用して、25℃、pH2〜pH8の緩衝液中および37℃の生体関連培養液(SGF pH1.6、空腹時SIF pH6.5および食後SIF pH5.0)中の実施例1〜3の化合物の安定性を24時間測定した。
【0195】
異なる緩衝液中で試験した溶液安定性の結果を表1に示し、生理学的関連培養液中で試験した溶液安定性の結果を表2に示す。
【表2】
【0196】
実施例1および3は、pH2〜8の緩衝液中で安定性を示した。
【0197】
実施例2は、pH7およびpH8の緩衝液中で不安定性を示した。
25℃、pH7の緩衝液中で24時間後、実施例2の78.4%が残っていた。
25℃、pH8の緩衝液中で24時間後、実施例2の44.6%が残っていた。
【0198】
MSデータによると、pH7およびpH8での実施例2の主要な分解生成物は、3’−N−デメチル−4”−O−アクリロイル−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAである(図2参照)。
【表3】
【0199】
実施例1および3は、3つ全ての生体関連培養液中で安定性を示した。
【0200】
実施例2は、生体関連培養液pH1.6のSGFおよびpH6.5の空腹時SIF中で不安定性を示した。
37℃、pH1.6のSGF中で24時間後、実施例2の79.0%が残っていた。
37℃、pH6.5の空腹時SIF中で24時間後、実施例2の63.7%が残っていた。
【0201】
インビトロアッセイ
インビトロプロトコルに記載の方法論を使用して、実施例1〜3の化合物の抗菌剤としてのインビトロ活性を測定した。実施例1および2は、全6菌株に対して測定可能な活性を有さないことが分かった(各々の場合につきMIC>64μg/mL)。実施例3は、抗菌活性を示すことが分かり、Moraxella catarrhalis ATCC23246およびStreptococcus pneumoniae ATCC49619に対して8μg/mLの最小発育阻止濃度(MIC)を有するが、他の4菌株に対しては測定可能な活性を示さなかった(各々の場合につきMIC>64μg/mL)。
【0202】
インビボアッセイ
雄BALB/cJマウスにおける細菌性リポ多糖によって誘発される肺好中球増加症についてのインビボプロトコル(ここおよび前に記載)および/または国際公開WO2006/087644に記載の雄BALB/cJマウスにおける細菌性リポ多糖によって誘発される肺好中球増加症についてのインビボプロトコル中に記載の方法論を使用して、実施例1〜3の化合物の抗炎症剤としてのインビボ活性を測定した。実施例1、2および3は、総細胞数の平均90%を超える阻害を示した。平均して、実施例1は89%超、実施例2は70%超、および実施例3は79%超の、試験化合物200mg/kgの単一用量を腹腔内投与(i.p.)された処理動物のBALF中の好中球数の阻害を示した。
【0203】
全体的特性
実施例1の化合物は、抗炎症性スクリーニングにおいて活性を示し、有意な抗菌活性を有さず、かつ血漿、全血、pH2〜pH8の緩衝液および生体関連培養液中で安定であるという点で、有利な特性を有しており、それがこの化合物を抗炎症剤としての開発に非常に適したものとしている。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性疾患の治療に有用な4”−O−置換6−O−メチル9aラクタムマクロライド分子に関する。より具体的には、本発明は、好中球支配性炎症性疾患の治療、特に好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患の治療に有用な3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、その調製のための中間体、その調製方法、治療薬としてのその使用、ならびにその塩に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、ヒトの体への感染、外傷およびアレルギーなどの種々の傷害の最終的な共通経路である。炎症は、炎症細胞の動員および活性化ならびに炎症誘発性メディエーターの産生による免疫系の活性化により特徴づけられる。
【0003】
大半の炎症性疾患は、単球/マクロファージ、顆粒球、形質細胞、リンパ球および血小板を含む炎症細胞の異なる割合の蓄積の増加によって特徴づけられる。組織内皮細胞および線維芽細胞と共に、これらの炎症細胞は、複雑に並んだ脂質、成長因子、サイトカインおよび局所的な組織損傷を引き起こす破壊酵素を放出する。
【0004】
炎症反応の一形態は、生体防御の主要成分である好中性多形核白血球(PMN、すなわち好中球)による炎症組織への浸潤によって特徴づけられる好中球性炎症である。好中球は、多種多様な刺激によって活性化され、それらが中心的役割を果たすいくつかの臨床状態および疾患に関係している。このような疾患は、主要な好中球活性化事象に従って分類され得る(V.Witko−Sarsat等、Laboratory Investigation(2000) 80(5)、617〜653の638ページ、表3)。細胞外細菌による組織感染は、この炎症反応の原型を示す。他方、種々の非感染性疾患は、好中球の血管外動員によって特徴づけられる。これらの非感染性炎症性疾患は、間欠性再起(例えば、関節リウマチなどの自己免疫疾患における再燃)、または根底にある免疫機能不全から生じる炎症シグナルの連続発生(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD))の結果であり得る。非感染性炎症性疾患には、COPD、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、気腫、急性呼吸窮迫症候群(ARDS、成人呼吸窮迫症候群または呼吸窮迫症候群、RDSとしても知られている)、ならびに糸球体腎炎、関節リウマチ、痛風性関節炎、潰瘍性大腸炎、乾癬および脈管炎などの特定の皮膚病が挙げられる。これらの状態において、好中球は、組織傷害の発達において重要な役割を果たしていると考えられており、組織傷害が持続する場合、それは結果として臓器不全を伴う正常な組織構造の不可逆的な破壊をもたらし得る。結果として、痰または気管支肺胞洗浄液中の好中球数と疾患重症度および肺機能の低下との間の相関は、少し例を挙げると、慢性閉塞性肺疾患(Di Stefano等、Am J Respir Crit Care Med.(1998)、158(4):1277〜1285)、嚢胞性線維症(Sagel SD等、J Pediatr.(2002)、141(6):811〜817)、びまん性汎細気管支炎(Yanagihara K等、Int J Antimicrob Agents.(2001)、18 Suppl 1:S83〜87)、閉塞性細気管支炎(Devouassoux G等、Transpl Immunol.(2002)、10(4):303〜310)、気管支炎(Thompson AB等、Am Rev Respir Dis.(1989)、140(6):1527〜1537)、気管支拡張症(Sepper R等、Chest(1995)、107(6):1641〜1647)、急性呼吸窮迫症候群(Weiland JE等、Am Rev Respir Dis.(1986)、133(2):218〜225)等の患者で証明されている。さらに、喘息患者、特に重症の患者および喫煙する患者において、好中球性炎症の証拠が増えている(Jatakanon A等、Am J Respir Crit Care Med.(1999)、160:1532〜1539;Chalmers GW等、Chest(2001)、120:1917〜1922)。いくつかの肺疾患において好中球が重要であるという証拠は、肺への好中球浸潤および結果としての炎症を防ぐ薬剤の探求を促進した(Barnes PJ、J Allergy Clin Immunol.(2007)、119(5):1055〜1062中に概説)。
【0005】
多くの抗生物質、特にエリスロマイシンをベースとするマクロライドのクラスは、その抗菌活性に加えて、抗炎症特性を有することが知られている(Clin.Immunother.(1996)6、454〜464、J.Antimicrob.Chemother.(1998)41、Suppl.B 37〜46)。国際特許出願公開WO02/087596(Pliva)には、15員環アザライド抗菌薬であるアジスロマイシンの抗炎症活性が記載されている。したがって、科学者集団の関心は、エリスロマイシンおよびその誘導体の抗炎症特性および免疫調節特性に向いてきた(J.Antimicrob.Chemother.(1998)、41、Suppl.B、37〜46)。この活性は、臨床研究ならびにin vivoおよびin vitro実験の両方でよく記述されている。例えば、マクロライドは、炎症の動物モデル、例えばマウスにおけるザイモサン誘発腹膜炎(J.Antimicrob.Chemother.(1992)30、339〜348)およびラット気管における内毒素誘発性の好中球蓄積(Antimicrobial Agents and Chemotherapy(1994)38、1641〜1643)と好中球などの免疫系細胞についてのin vitro研究(J.Immunology(1997)159、3395〜4005)の両方で、汎細気管支炎(Thorax(1997)、52、915〜918)、気管支喘息(Chest、(1991)、99、670〜673)および嚢胞性線維症(The Lancet(1998)351、420)などの炎症性疾患の治療に有効であることが分かってきた。
【0006】
従来の抗炎症薬、例えばコルチコステロイドが無効であることが分かった疾患(Thorax(1997)52、915〜918、既に引用されている)におけるマクロライド化合物の特定の治療効果は、この新しい有望なクラスの抗炎症薬への多大な関心を正当化する。しかしながら、従来のマクロライド化合物が有する強力な抗菌活性は、耐性菌株の急速な発生を起こしうるので、病原微生物によって引き起こされない炎症過程の慢性治療へのより幅広い使用を許さない。
【0007】
前記のことに基づいて、抗菌活性を有さないが、好中球支配性炎症を防ぐ能力を示す生物学的特性を有する化合物を同定する必要性がかなり存在する。このような化合物は、治療療法として発展させるのに適したものにする安定性も有しているべきである。
【0008】
WO06/87644は、以下の式(I):
【化1】
[式中、
Aは、−C(O)−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−N(R7)CH2−、−CH2N(R7)−、−CH(OH)−および−C(=NOR7)−から選択される2価基であり;
R1は、−OC(O)(CH2)nNR8R9、−O−(CH2)nNR8R9、−OC(O)N(R7)(CH2)nNR8R9、
【化2】
、
−O(CH2)nCN、−OC(O)(CH2)nN(CH2)nNR8R9または−OC(O)CH=CH2であり、ただし、R1が−OC(O)CH=CH2である場合、R3はメチルであってはならず;
R2は、水素またはヒドロキシル保護基であり;
R3は、水素、非置換C1〜4アルキル、または末端炭素原子がCNもしくはNH2基で置換されているC1〜4アルキル、またはC1〜5アルカノイルであり;
R4は、水素、C1〜4アルキルまたはC2〜6アルケニルまたはヒドロキシル保護基1であり;
R5は、ヒドロキシ、メトキシ基、−OC(O)(CH2)nNR8R9、−O−(CH2)nNR8R9または−O(CH2)nCNであり;
R6は、ヒドロキシであり;あるいは
R5およびR6は、介入原子と一緒になって以下の構造:
【化3】
(式中、Yは−CH2−、CH(CN)−、−O−、−N(R7)−および−CH(SR7)−から選択される2価基である)
を有する環式基を形成し;
R7は、水素またはC1〜6アルキルであり;
R8およびR9は、それぞれ独立に、水素、C3〜7シクロアルキル、C1〜18アルキルであって、C1〜18アルキルは、
(i)中断されていない、または−O−、−S−および−N(R7)−から選択される1〜3個の2価基によって中断されており;および/または
(ii)非置換である、またはハロゲン、OH、NH2、N−(C1〜C6)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノもしくはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C1〜C6−アルキル)アミノ(好ましくは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノもしくはジイソプロピルアミノ)、CN、NO2、OCH3、飽和もしくは不飽和のC3〜8員非芳香環、酸素、硫黄および窒素から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む飽和もしくは不飽和の2〜6個の炭素原子を含む非芳香複素環、アルキルカルボニルアルコキシ、ならびにアルコキシカルボニルアミノから選択される1〜3個の基によって置換されており;または
R8およびR9は、それらが結合する窒素と一緒になって、2〜6個の炭素原子を含む非芳香複素環を形成し、それは
i)酸素、硫黄および窒素から選択される0または1個の追加のヘテロ原子を含む、飽和または不飽和であり;および/または
ii)非置換である、またはC1〜5アルカノイルおよびC1〜6アルキルから選択される1〜2個の基によって置換されており、ここでC1〜6アルキルは、中断されていない、または−O−、−S−および−N(R7)−から選択される1〜3個の2価基によって中断されており、および/または、非置換である、またはOH、NH2、非置換である、もしくはC1〜4アルキル、ハロ、NH2、OH、SH、C1〜6アルコキシおよびC1〜4ヒドロキシアルキルから選択される基によって置換されている、2〜6個の炭素原子を含む非芳香複素環、非置換である、もしくはC1〜4アルキル、ハロ、NH2、OH、SH、C1〜6アルコキシおよびC1〜4ヒドロキシアルキルから選択される基によって置換されている、C3〜7シクロアルキルから選択される1〜2個の基によって置換されており;
nは1〜8の整数である;]
によって表されるマクロライド化合物、およびその薬学的に許容される誘導体を開示している。この文献は抗炎症活性を有しているとしてこれらの化合物を記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
WO06/87644で一般的に開示されており、かつ特定の置換パターンを有する本発明による化合物は、WO06/87644に具体的に開示されている化合物に対して改良された特性を示すことが分かった。
【0010】
本発明は、式(I):
【化4】
によって表される化合物である、3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、またはその塩に関する。
【0011】
本発明はまた、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含んでなる医薬組成物に関する。
【0012】
さらに、本発明はまた、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする被験体に投与することを含んでなる、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患の治療方法に関する。
【0013】
別の態様によると、本発明は、ヒト医学または獣医学治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0014】
別の態様では、本発明は、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0015】
別の態様では、本発明は、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1A〜図1Cは、それぞれ24時間以内の、実施例1、2および3についてのヒト全血および血漿中の安定性を示す図である。
【図2】質量スペクトルから得られる、比較実施例2の主要な分解生成物の構造を示す図である。
【図3】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの非晶質形態のXRPDパターンを示す図である。
【図4】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態1のXRPDパターンを示す図である。
【図5】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態1のDSCを示す図である。
【図6】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態1のTGAを示す図である。
【図7】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態2のXRPDパターンを示す図である。
【図8】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態2のDSCを示す図である。
【図9】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態2のTGAを示す図である。
【図10】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態3のXRPDパターンを示す図である。
【図11】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態3のラマンスペクトルを示す図である。
【図12】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態4のラマンスペクトルを示す図である。
【図13】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態5のラマンスペクトルを示す図である。
【図14】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態6のラマンスペクトルを示す図である。
【図15】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態7のラマンスペクトルを示す図である。
【図16】3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの形態8のラマンスペクトルを示す図である。
【発明の具体的な説明】
【0017】
本発明は本明細書に記載の態様、適当で、好都合で、かつ好ましい基の全ての組み合わせを含むことが理解されよう。
【0018】
以降では、「本発明による化合物(単数)」または「本発明による化合物(複数)」という表現は、ともに式(I)によって表される化合物(溶媒和形もしくは非溶媒和形のいずれであっても)、その塩、またはその薬学的に許容される塩(溶媒和形または非溶媒和形のいずれであっても)を含む。
【0019】
明細書および続く特許請求の範囲全体にわたって、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、「含んでなる(comprise)」という単語、ならびに「含んでなる(comprises)」および「含んでなる(comprising)」などのバリエーションは、記載の整数もしくは工程または整数の群の包含を意味するが、他の任意の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の排除を意味しないことが理解されよう。
【0020】
本明細書で使用する場合、「不活性溶媒」または「反応に不活性な溶媒」という用語は、溶解化合物と反応することができない溶媒を指し、これにはヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、THF、ジクロロメタンなどの非極性溶媒;アセトニトリル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジンなどの極性非プロトン性溶媒、ならびに低級アルコール、酢酸、ギ酸および水などの極性プロトン性溶媒が含まれる。
【0021】
本明細書で使用する場合、「低級アルコール」という用語は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノールなどのC1〜4アルコールを指す。
【0022】
一態様では、本発明は、式(I)によって表される化合物、または薬学的に許容される塩であるその塩を提供する。適当な塩の概説については、Berge等、J.Pharm.Sci.、66(1977)1〜19を参照されたい。適当な薬学的に許容される塩には、酸付加塩も含まれ得る。
【0023】
適当な付加塩は、無毒性塩を形成する無機または有機酸から形成され、例としては塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩(例えば、L−酒石酸塩)、クエン酸塩、ギ酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、サリチル酸塩、プロピオン酸塩、ピルビン酸塩、ヘキサン酸塩、シュウ酸塩、オキサロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、糖酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、アルキルまたはアリールスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩)およびイセチオン酸塩が挙げられる。一態様では、式(I)によって表される化合物は、塩酸塩または酢酸塩の形態であり得る。さらなる態様では、式(I)によって表される化合物は、コハク酸塩、安息香酸塩、L−酒石酸塩、塩酸塩(特に二塩酸塩)またはリン酸塩の形態であり得る。
【0024】
化学の当業者は、多くの有機化合物が、それらが反応する溶媒、またはそれらが沈殿もしくは結晶化する溶媒と錯体を形成することができることを認識するだろう。これらの錯体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との錯体は「水和物」として知られている。本発明の化合物の溶媒和物は、本発明の範囲内である。式(I)によって表される化合物の塩は、溶媒和物(例えば、水和物)を形成していてもよく、本発明は全てのそのような溶媒和物も含む。
【0025】
一態様では、式(I)によって表される化合物は、薬学的に許容される塩、溶媒和物または塩の溶媒和物の形態であり得る。さらなる態様では、本発明の式(I)によって表される化合物は、薬学的に許容される塩の形態であり得る。
【0026】
立体異性体に関して、式(I)によって表される化合物は、2個以上の不斉炭素原子を有する。表示した式(I)において、実線のくさび形結合は、その結合が紙面の上側にあることを示す。破線の結合は、その結合が紙面の下側にあることを示す。
【0027】
式(I)によって表される化合物は、結晶形態または非晶質形態であり得る。その上、式(I)によって表される化合物の結晶形態のいくつかは、多形体として存在してもよく、これも本発明に含まれる。
【0028】
1つの特定の実施形態では、本発明は式(I):
【化5】
によって表される化合物である、3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、またはその塩に関する。
【0029】
本発明の一態様では、式(I)によって表される化合物は、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現され、図4に示されるXRPDパターンによって特徴づけられる形態1である。さらなる態様では、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現されるXRPDパターンは、それぞれ19.1、15.9、11.5、9.2、8.4、8.0、7.7、7.5、7.2、6.3、5.6、4.8、4.7、4.3、4.2および4.0オングストローム(Å)のd−格子面間隔に対応する、4.6、5.6、7.7、9.6、10.6、11.0、11.6、11.8、12.2、14.1、15.9、18.4、19.0、20.5、21.1および22.0度からなる群から選択される少なくとも5つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる。本発明のなおさらなる態様では、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現されるXRPDパターンは、上記群から選択される少なくとも6つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる。なおさらなる態様では、少なくとも7つの位置を含んでなる。
【0030】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態1は、本明細書で使用する場合、
1)図4と実質的に同じXRPDパターンによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物;
2)図5と実質的に同じDSCサーモグラムによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物;および/または
3)図6と実質的に同じTGA曲線によって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物
を指す。
【0031】
本発明の一態様では、式(I)によって表される化合物は、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現され、図7に示されるXRPDパターンによって特徴づけられる形態2である。さらなる態様では、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現されるXRPDパターンは、それぞれ9.7、9.5、8.5、8.1、7.7、7.4、6.8、6.6、6.0、5.8、5.6、5.4、5.3、4.7、4.6、4.6、4.5および4.3オングストローム(Å)のd−格子面間隔に対応する、9.1、9.4、10.4、10.9、11.5、12.0、13.0、13.4、14.7、15.4、15.7、16.5、16.8、18.7、19.2、19.5、19.8および20.8度からなる群から選択される少なくとも5つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる。本発明のなおさらなる態様では、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現されるXRPDパターンは、上記群から選択される少なくとも6つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる。なおさらなる態様では、少なくとも7つの位置を含んでなる。
【0032】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態2は、本明細書で使用する場合、
1)図7と実質的に同じXRPDパターンによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物;
2)図8と実質的に同じDSCサーモグラムによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物;および/または
3)図9と実質的に同じTGA曲線によって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物
を指す。
【0033】
本発明の一態様では、式(I)によって表される化合物は、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現され、図10に示されるXRPDパターンによって特徴づけられる形態3である。さらなる態様では、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現されるXRPDパターンは、それぞれ16.0、12.1、11.3、9.7、9.4、8.9、8.4、8.1、7.7、7.4、7.0、6.0、5.7、5.6、5.3、5.2、4.9、4.7および4.6オングストローム(Å)のd−格子面間隔に対応する、5.5、7.3、7.9、9.1、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.6、14.8、15.5、15.8、16.6、16.9、18.2、18.9および19.5度からなる群から選択される少なくとも5つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる。本発明のなおさらなる態様では、本明細書に記載する手順によって2シータ角度の点から表現されるXRPDパターンは、上記群から選択される少なくとも6つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる。なおさらなる態様では、少なくとも7つの位置を含んでなる。
【0034】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態3は、本明細書で使用する場合、
1)図10と実質的に同じXRPDパターンによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物;
2)図11と実質的に同じラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(I)によって表される化合物の結晶形態
を指す。
【0035】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態4は、本明細書で使用する場合、図12と実質的に同じラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物を指す。
【0036】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態5は、本明細書で使用する場合、図13と実質的に同じラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物を指す。
【0037】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態6は、本明細書で使用する場合、図14と実質的に同じラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物を指す。
【0038】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態7は、本明細書で使用する場合、図15と実質的に同じラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物を指す。
【0039】
本発明のさらなる態様では、式(I)によって表される化合物の形態8は、本明細書で使用する場合、図16と実質的に同じラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(I)によって表される結晶性化合物を指す。
【0040】
本発明の化合物は、炎症を起こした肺組織(以降で示すような)への好中球の浸潤を抑制する。そのため、この化合物は、炎症病態、特に肺組織への広範な好中球浸潤に関連する病態、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS、成人呼吸窮迫症候群または呼吸窮迫症候群、RDSとしても知られている)、重症のもしくはステロイド抵抗性の喘息(Simpson JL等(2008)Am J Respir Crit Care Med、177:148〜155)、および気腫、または気道への広範な好中球浸潤に関連する病態、例えば慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)(Wallwork B等(2006)Laryngoscope、116:189〜193)の急性および慢性治療に潜在的な有用性を有する。さらに、本発明の化合物は、好中球の異常細胞機能に関する他の疾患、例えば関節リウマチ(Kitsis EおよびWeissmann G、Clin Orthop Relat Res.(1991)、265:63〜72)、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病など)、糸球体腎炎(Heinzelmann M等、Am J Kidney Dis.(1999)、34(2):384〜399)、虚血再潅流による傷害(Kaminski KA等、Int J Cardiol.(2002)、86(1):41〜59)、アテローム性動脈硬化症(Henriksen PAおよびSallenave JM. Int J Biochem Cell(2008)、40:1095〜1100)、乾癬(Terui T等、Exp Dermatol.(2000)、9(1):1〜10)および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群の治療に使用することができる。
【0041】
好中球支配性炎症性疾患、特に好中球浸潤から生じるものおよび/または好中球の異常細胞機能に関する疾患を「治療する(treating)」または「治療(treatment)」は、症状の緩和および/または疾患の進行の遅延を意味し、無症候性の患者における症状の再発の抑制も含み得る。
【0042】
好中球浸潤から生じる炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群が含まれる。
【0043】
一態様では、本発明は、被験体の慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0044】
一態様では、本発明は、被験体の慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0045】
一態様では、本発明は、被験体の慢性閉塞性肺疾患を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0046】
さらなる態様では、本発明は、被験体の閉塞性細気管支炎を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0047】
さらなる態様では、本発明は、被験体の重症のまたはステロイド抵抗性の喘息を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0048】
さらなる態様では、本発明は、被験体の嚢胞性線維症を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0049】
一態様では、本発明は、被験体の慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0050】
一態様では、本発明は、医学療法に使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0051】
一態様では、本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0052】
別の態様では、本発明は、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0053】
さらなる態様では、本発明は、慢性閉塞性肺疾患の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0054】
さらなる態様では、本発明は、閉塞性細気管支炎の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0055】
さらなる態様では、本発明は、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0056】
さらなる態様では、本発明は、嚢胞性線維症の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0057】
さらなる態様では、本発明は、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)の治療で使用するための、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0058】
さらなる態様では、本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性吸細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0059】
本発明のさらなる態様では、本発明は、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0060】
さらなる態様では、本発明は、慢性閉塞性肺疾患を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0061】
さらなる態様では、本発明は、閉塞性細気管支炎を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0062】
さらなる態様では、本発明は、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0063】
さらなる態様では、本発明は、嚢胞性線維症を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0064】
さらなる態様では、本発明は、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)を治療するための薬剤の製造における式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0065】
本発明はまた、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群の、そのような治療を必要とする被験体の治療に有効な量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物を目的とする。
【0066】
別の態様では、本発明はまた、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)の、そのような治療を必要とする被験体の治療に有効な量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物を目的とする。
【0067】
本発明は、さらに、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含んでなる、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、びまん性汎細気管支炎(DPB)、閉塞性細気管支炎(BOS)、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成ならびに前立腺炎症候群を治療するための医薬組成物に関する。
【0068】
本発明は、さらに、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含んでなる、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープ症があるもの、またはないもの)を治療するための医薬組成物に関する。
【0069】
治療される被験体にとっての利点は、統計学的に有意であるか、または少なくとも被験体もしくは医師に認識できるかのいずれかである。
【0070】
「被験体」は、動物、具体的には哺乳類、より具体的にはヒトまたは家畜または疾患モデルとして役立つ動物(例えば、マウス、サル等)を指す。一態様では、被験体はヒトである。
【0071】
「治療上有効量」とは、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患を治療するために被験体に投与する場合に、そのような治療をもたらすのに十分な化合物の量を意味する。「治療上有効量」は、疾患およびその重症度、ならびに治療される被験体の年齢、体重、体調および応答性に応じて変化し、最終的には付き添いの医師の裁量によるだろう。
【0072】
医薬組成物
本発明の方法で使用するために、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を原薬として投与することが可能であるが、有効成分を医薬製剤、例えば薬剤が投与の所期の経路および標準的な薬務に関して選択される少なくとも1つの薬学的に許容される担体との混合物中にあるものして、提供するのが好ましい。
【0073】
したがって、本発明は、a)式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩、およびb)1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0074】
「担体」という用語は、活性化合物と共に投与する希釈剤、賦形剤および/またはビヒクル(vehicle)を指す。本発明の医薬組成物は、2つ以上の担体の組み合わせを含むことができる。このような医薬担体は、水、生理食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール水溶液などの無菌液体、およびラッカセイ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの、石油、動物、植物または合成起源のものを含む油とすることができる。水、または生理食塩水およびデキストロース水溶液およびグリセロール水溶液は、好ましくは担体として特に注射液用の担体として使用される。適当な医薬担体は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第18版に記載されている。医薬担体の選択は、所期の投与経路および標準的薬務に関して選択することができる。医薬組成物は、担体に加えて、任意の適当な結合剤(単数または複数)、潤滑剤(単数または複数)、懸濁化剤(単数または複数)、コーティング剤(単数または複数)、および/または可溶化剤(単数または複数)を含んでなることができる。
【0075】
「薬学的に許容される」というフレーズは、本明細書で使用する場合、一般的に生理学上許容でき、哺乳類(例えば、ヒト)に投与した場合に典型的に有害な反応を生み出さない組成物の塩、分子化合物および他の成分を指す。適当には、本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、哺乳類、より具体的にはヒトにおける使用について、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって承認されている、または米国薬局方もしくは他の一般的に認識された薬局方において列挙されていることを意味する。
【0076】
「薬学的に許容される賦形剤」は、一般的に安全で、無毒性で、生物学的にも他の点でも望ましくないものでない医薬組成物を調製するのに有用な賦形剤を意味し、獣医学用途ならびにヒト医薬用途にとっても許容される添加剤を含む。本出願で使用する場合、「薬学的に許容される添加剤」は、1つおよび2つ以上のこのような添加剤を含む。
【0077】
本発明は、さらに、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含んでなる、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患を治療するための医薬組成物に関する。
【0078】
本発明は、なおさらに、a)10〜2000mgの式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩、およびb)0.1〜2gの1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含んでなる医薬組成物に関する。さらなる態様では、本発明は、a)1〜2000mgの式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩、およびb)0.1〜2gの1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0079】
本発明による使用のための医薬組成物は、経口、非経口、経皮、吸入、舌下、局所、移植、経鼻または経腸投与される(または他の粘膜投与される)懸濁液、カプセル剤、錠剤の形態であることができ、1つまたは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤を使用して従来の方法で製剤化することができることが認識されるだろう。一態様では,医薬組成物は、経口投与のために製剤化される。
【0080】
本発明の化合物は、速放性、遅延、調節、持続、パルスまたは制御放出用途のために投与することができる。
【0081】
一態様では、経口組成物は、徐放、遅延または配置型(positioned)放出(例えば、腸内、特に結腸放出)錠剤またはカプセル剤である。この放出プロファイルは、例えば、胃中の状態に耐性であるが、病変または炎症部位が確認された結腸または胃腸管の他の部分で内容物を放出するコーティングを使用することによって達成することができる。または、遅延放出は、単に分解が遅いコーティングによって達成することができる。または、2種の(遅延および配置型放出)プロファイルは、1つまたは複数の適当なコーティングおよび他の賦形剤の選択によって、単一の製剤中で組み合わせることができる。このような製剤は、本発明のさらなる特徴を構成する。
【0082】
遅延もしくは配置型放出および/または腸溶性コーティング経口製剤に適した組成物は、耐水性で、pH感受性で、腸液によって消化もしくは乳化され、または湿った場合に緩慢だが一定の速度で剥離する物質でコーティングされた錠剤製剤フィルムを含む。適当なコーティング物質には、それだけに限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸のポリマーおよびそのエステル、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。それだけに限定されないが、ポリエチレングリコール、フタル酸ジブチル、トリアセチンおよびヒマシ油などの可塑剤を使用することができる。フィルムを着色するために色素を使用することもできる。坐薬は、ココアバター、Suppocire CおよびSuppocire NA50(Gattefosse Deutschland GmbH、D−weil am Rhein、ドイツにより供給される)などの坐薬基剤、ならびに水素化されたパーム油およびパームカーネル油(C8〜C18トリグリセリド)のエステル交換、グリセロールおよび特定の脂肪酸のエステル化、またはポリグリコシル化グリセリド、およびwhitepsol(添加物を含む水素化された植物油誘導体)によって得られる他のSuppocire型賦形剤のような担体を使用することによって調製される。本発明による適当な活性化合物、および懸濁液用溶媒または賦形剤を使用することによって、浣腸剤は製剤化される。懸濁液は、微粒子化化合物、ならびにカルボキシメチルセルロースおよびその塩、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシビニルポリマーおよびその塩、アルギン酸およびその塩、アルギン酸プロピレングリコール、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、N−ニビルアセトアミドポリマー、ポリビニルメタクリレート、ポリエチレングリコール、プルロニック、ゼラチン、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー、可溶性デンプン、プルランならびにアクリル酸メチルおよび2−エチルへキシルアクリレートのコポリマー、レシチン、レシチン誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン水和ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびプルロニックならびにpH範囲6.5〜8の適当な緩衝系のような懸濁安定化剤、増粘剤および乳化剤を含む適当なビヒクルを使用することによって製造される。保存剤、マスキング剤の使用は適当である。微粒子化粒子の平均直径は、1〜20μmの間であり得るか、または1μm未満であり得る。化合物はまた、その水溶性の塩の形態を使用することによって、製剤に取り込まれ得る。
【0083】
あるいは、材料は、錠剤のマトリックス、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロースまたはアクリル酸およびメタクリル酸エステルのポリマーに取り込まれ得る。これらの後者の材料はまた、圧縮コーティングによって錠剤に適用され得る。
【0084】
医薬組成物は、治療上有効量の活性物質を、投与の方法に依存して異なる形態を有することができる薬学的に許容される担体と混合することによって調製することができる。医薬組成物は、従来の医薬賦形剤および調製方法を使用することによって調製することができる。経口投与のための形態は、カプセル剤、散剤または錠剤とすることができ、ここでは、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、マンニトールを含む通常の固体ビヒクル、ならびにそれだけに限定されないが、エタノール、グリセロールおよび水を含む通常の液体経口賦形剤が添加され得る。全ての賦形剤は、崩壊剤、溶媒、造粒剤、湿潤剤および結合剤と混合され得る。経口組成物の調製のために固体担体を使用する場合(例えば、デンプン、糖、カオリン、結合剤、崩壊剤)、製剤は、限定されるものではないが、散剤、顆粒またはコーティング粒子含有カプセル剤、錠剤、硬ゼラチンカプセル、または顆粒の形態とすることができ、固体担体の量は変動し得る(1mg〜1gの間)。錠剤およびカプセル剤は、好ましい経口組成物形態である。
【0085】
本発明の化合物を含む医薬組成物は、例えば、液剤、懸濁剤または乳剤を含む、所期の投与方法に適した任意の形態であり得る。液剤、懸濁剤および乳剤の調製においては、典型的には液体担体が使用される。本発明の実施における使用が考えられる液体担体には、例えば、水、生理食塩水、薬学的に許容される有機溶媒(単数または複数)、薬学的に許容される油または油脂など、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、栄養剤、緩衝剤、保存剤、懸濁化剤、増粘剤、粘度調整剤、安定化剤などの他の適当な薬学的に許容される添加剤を含み得る。適当な有機溶媒には、例えば、エタノールなどの一価アルコール、およびグリコールなどの多価アルコールが含まれる。適当な油には、例えば、大豆油、ココナッツ油、オリーブ油、ベニバナ油、綿実油などが含まれる。非経口投与については、担体はまた、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルなどの油性エステルとすることができる。本発明の組成物はまた、微小粒子、微小カプセル、リポソームカプセルなど、およびこれらの任意の2種以上の組み合わせの形態であり得る。
【0086】
本発明において有用な経口組成物のための薬学的に許容される崩壊剤の例としては、それだけに限定されないが、デンプン、α化デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、微結晶性セルロース、アルギネート、樹脂、界面活性剤、発泡性組成物、水性ケイ酸アルミニウムおよび架橋ポリビニルピロリドンが挙げられる。
【0087】
本明細書で有用な経口組成物のための薬学的に許容される結合剤の例としては、それだけに限定されないが、アカシア;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;ゼラチン、グルコース、デキストロース、キシリトール、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、トラガカント、キサンタン樹脂、アルギネート、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリエチレングリコールまたはベントナイトが挙げられる。
【0088】
経口組成物のための薬学的に許容される充填剤の例としては、それだけに限定されないが、ラクトース、アンヒドロラクトース、ラクトース一水和物、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、セルロース(特に微結晶性セルロース)、ジヒドロまたは無水リン酸カルシウム、炭酸カルシウムおよび硫酸カルシウムが挙げられる。
【0089】
本発明の組成物に有用な薬学的に許容される潤滑剤の例としては、それだけに限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、エチレンオキシドのポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウムおよびコロイド状二酸化ケイ素が挙げられる。
【0090】
経口組成物のための適当な薬学的に許容される着香剤の例としては、それだけに限定されないが、合成芳香剤、および油、花、果実(例えば、バナナ、リンゴ、スミミザクラ、モモ)の抽出物などの天然芳香油、およびこれらの組み合わせ、並びに類似の芳香剤が挙げられる。その使用は多くの因子に依存し、もっとも重要なのは医薬組成物を服用する集団に対する感覚受容の許容性である。
【0091】
経口組成物のための適当な薬学的に許容される色素の例としては、それだけに限定されないが、二酸化チタン、βカロテンおよびグレープフルーツ果皮の抽出物などの合成色素および天然色素が挙げられる。
【0092】
経口組成物のための薬学的に許容される甘味剤の適当な例としては、それだけに限定されないが、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ラクトースおよびスクロースが挙げられる。
【0093】
薬学的に許容される緩衝剤の適当な例としては、それだけに限定されないが、クエン酸、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウムおよび水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0094】
薬学的に許容される界面活性剤の適当な例としては、それだけに限定されないが、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベートが挙げられる。
【0095】
薬学的に許容される保存剤の適当な例としては、それだけに限定されないが、溶媒、例えば、エタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、第四級アンモニウム塩およびパラベン(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンなど)などの種々の抗菌剤および抗真菌剤が挙げられる。
【0096】
薬学的に許容される安定化剤および抗酸化剤の適当な例としては、それだけに限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、チオ尿素、トコフェロールおよびブチルヒドロキシアニソールが挙げられる。
【0097】
本発明の化合物はまた、例えば、ヒト医学もしくは獣医学で使用するための従来の坐薬基剤を含む坐薬として、または例えば、従来の膣坐薬基剤を含む膣坐薬として製剤化され得る。
【0098】
本発明による化合物は、例えば、ヒト医学および獣医学で使用する局所投与のために、軟膏、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、シャンプー、散剤(噴霧または散布散剤を含む)、膣坐薬、タンポン、噴霧剤、ディップ、エアロゾル、点滴剤(例えば、目、耳もしくは鼻点滴剤)またはポアオン(pour−on)の形態で製剤化され得る。
【0099】
皮膚への局所的な適用のために、本発明の化合物は、例えば以下の1つまたは複数の混合物中に懸濁または溶解した活性化合物を含む適当な軟膏として製剤化され得る:鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水。このような組成物はまた、ポリマー、油、液体担体、界面活性剤、緩衝剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、湿潤剤、皮膚軟化剤、着色剤および着香剤などの他の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。
【0100】
このような局所組成物に適した薬学的に許容されるポリマーの例としては、それだけに限定されないが、アクリルポリマー;カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体;アルギネート、トラガカント、ペクチン、キサンタンおよびシトサン(cytosan)などの天然ポリマーが挙げられる。
【0101】
示されるように、本発明の化合物は、鼻腔内にまたは吸入によって投与することができ、そして適当な噴霧剤、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134AT)または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA)またはこれらの混合物などのヒドロフルオロアルカンを使用して、加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーからの乾燥散剤吸入器またはエアロゾル噴霧剤付与器の形態で好都合に送達される。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、計量された量を送達する弁を備えることによって決定され得る。加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーは、例えば、潤滑剤、例えばトリオレイン酸ソルビタンをさらに含み得る溶媒としてエタノールおよび噴霧剤の混合物を使用して、活性化合物の溶液または懸濁物を含み得る。
【0102】
吸入器または注入器で使用するためのカプセルおよび薬包(例えば、ゼラチンから作られる)は、化合物の散剤混合物、およびラクトースまたはデンプンなどの適当な散剤基剤を含むように製剤化され得る。
【0103】
吸入による局所投与では、本発明による化合物は、ネブライザーを通してヒト医学または獣医学で使用するために送達され得る。
【0104】
本発明の医薬組成物は、1容量当たり0.01〜99重量%の活性物質を含み得る。局所投与については、例えば、組成物は、一般的に0.01〜10%、より好ましくは0.01〜1%の活性化合物を含むだろう。
【0105】
本発明の化合物の治療上有効量は、当技術分野において公知の方法によって決定することができる。治療上有効量は、被験体の年齢および一般的な生理学的状態、投与経路、および使用される医薬製剤に依存する。治療用量は、一般的に約1〜2000mg/日、5〜2000mg/日、10〜2000mg/日であり、適当には約30〜1500mg/日である。例えば、50〜500mg/日、50〜300mg/日、50〜100mg/日、100〜200mg/日、5〜100mg/日、5〜50mg/日を含む他の範囲が使用され得る。急性または慢性のヒトの治療に使用される一日用量は、0.01〜250mg/kg体重、適当には0.1〜5mg/kg体重、適当には0.1〜10mg/kg体重、適当には2〜100mg/kg体重、または適当には5〜60mg/kg体重の範囲に及び、例えば、投与経路および被験体の状態に応じて、1〜4回の一日用量で投与され得る。組成物が投与量単位を含む場合、各々の単位は、1mg〜2gの有効成分、適当には10mg〜2gの有効成分、適当には200mg〜1gの有効成分、適当には5〜300mgの有効成分を含む。
【0106】
投与は、1日に1回、1日に2回またはそれより多くてもよく、疾患または障害の持続期間中に、例えば、毎日または1日に2回の代わりに2日または3日ごとに1回に減少させてもよい。用量および投与頻度は、当業者に公知の少なくとも1種以上、好ましくは2種以上の急性期の臨床徴候の減少または非存在を有する臨床徴候に依存する。本発明の一態様では、投与は1日に1回の経口服用である。
【0107】
一態様では、本発明は、a)式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩、およびb)1つまたは複数のさらなる治療上活性剤を含んでなる組み合わせを提供する。
【0108】
上記組み合わせは、好都合には、医薬組成物の形態で使用するために提供され得、上で定義した組み合わせを含んでなる医薬組成物ならびに1つまたは複数のその薬学的に許容される担体は、本発明のさらなる態様を表す。
【0109】
このような組み合わせの個々の成分は、連続的にまたは同時に、別々のまたは混合した医薬製剤で投与され得る。公知の治療薬の適当な用量は、当業者に容易に認識されよう。
【0110】
調製方法:
式(I)によって表される化合物およびその塩は、以降で概説する一般的な方法によって調製され得、前記方法は本発明のさらなる態様を構成する。
【0111】
構造的修飾がなされるもの以外の任意の官能基による干渉を避けるために、適当な保護および合成経路における優先順位が選択されるべきであることは当業者に明らかであろう。
【0112】
標的化合物の合成は、当業者に周知の標準的技術を使用して、最後から2番目の中間体中に存在する任意の保護基を取り除くことによって完了する。次いで、脱保護された最終産物は、必要に応じて、シリカゲルクロマトグラフィー、シリカゲルでのHPLCなどの標準的技術などを使用して、または再結晶によって精製される。
【0113】
このような基が保護され得る方法および得られた保護された誘導体を切断する方法の包括的な議論は、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis第2版、John Wiley&Son,Inc 1991のT.W.GreeneおよびP.G.M Wuts、およびProtecting Groups、Georg Thieme Verlag 1994のP.J.Kocienskiによって与えられる。適当なアミノ保護基の例としては、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチルおよびアセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cdz)および置換Cbz、ならびに9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc))、脂肪族ウレタン保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニルおよびシクロヘキシルオキシカルボニル)およびアルキル型保護基(例えば、ベンジル、トリチルおよびクロロトリチル)が挙げられる。適当な酸素保護基の例としては、例えば、トリメチルシリルもしくはtert−ブチルジメチルシリルなどのアルキルシリル基;テトラヒドロピラニルもしくはtert−ブチルなどのアルキルエーテル;または酢酸エステルなどのエステルが挙げられる。ヒドロキシ基は、例えば、非プロトン性溶媒中での無水酢酸、安息香酸無水物またはトリアルキルシリル塩化物の反応によって保護され得る。非プロトン性溶媒の例としては、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0114】
式(I)によって表される化合物は、式(II)(式中、R1はヒドロキシ保護基であり、R2はアミノ保護基である)によって表される化合物と、式(III)(式中、R3およびR4は各々エチルである、またはそれぞれ独立に、エチルに転換できる基である)によって表されるカルボン酸またはカルボン酸の適当な活性化誘導体とを反応させ、引き続いて必要な場合には、ヒドロキシル保護基R1、アミノ保護基R2をその後に除去し、−NR3R4基を−N(CH2CH3)2へ転換することによって調製され得る。
【化6】
HOC(O)CH2NR3R4 (III)
【0115】
式(III)によって表される適当な活性化誘導体には、対応する酸ハロゲン化物、混合無水物またはチオールエステルなどの活性化エステルが含まれる。
【0116】
反応は、好ましくは、ハロ炭化水素(例えば、ジクロロメタン)またはN,N−ジメチルホルムアミドなどの適当な非プロトン性溶媒中で、任意選択で、1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのカルボジイミドまたは4−(ジメチルアミノ)−ピリジンもしくはトリエチルアミンなどの第3級塩基の存在下で、あるいは無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム)の存在下で、0〜120℃の範囲内の温度で行われる。
【0117】
本発明のさらなる実施形態では、式(I)によって表される化合物はまた、式(IV)(式中、Lは適当な脱離基であり、R1はヒドロキシ保護基であり、R2はアミノ保護基である)によって表される化合物と、式(V)(R3およびR4は式(III)について上で定義したものである)によって表されるアミンとの反応によって調製され得る。
【化7】
NR3R4 (V)
【0118】
反応は、好ましくは、ハロ炭化水素(例えば、ジクロロメタン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフランまたはジメトキシエタン)、アセトニトリルまたは酢酸エチルなど、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドまたは1−メチル−ピロリドンなどの溶媒中で、塩基の存在下で行われ、引き続いて必要な場合には、ヒドロキシル保護基R1、アミノ保護基R2を除去し、−NR3R4基を−N(CH2CH3)2へ転換する。使用され得る塩基の例としては、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンなどの有機塩基ならびに水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの無機塩基が挙げられる。適当には、Lはハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物またはヨウ化物)またはスルホン酸基(例えば、トシレート、メタンスルホネートまたはトリフレート)である。
【0119】
式(II)によって表される化合物は、当技術分野で公知である、あるいは最初の段階で、WO99/51616、実施例2、15ページに記載の手順に従ってベックマン転位によって、6−O−メチル−エリスロマイシンA 9(E)−オキシムから6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAを得て、次いで、従来技術、例えば酢酸ナトリウム三水和物の存在下、UV放射(好ましくは500Wハロゲンランプで)下でヨウ素と反応させることによって(US3725385およびWO2004/013153)、あるいは6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAを室温でアセトニトリル中、N−ヨードスクシンイミドと(J.Org.Chem.65(2000)3875〜3876)、またはモルホリン存在下でヨウ素と反応させることによって、またはUS5,250,51に記載のようにクロロギ酸ベンジルと反応させ、引き続いて2’および3’位のベンジルオキシカルボニル基を脱離させることによって、その後3’−NMe2基のモノ脱メチルを行い、最後に従来技術によってC/2’位のヒドロキシル基およびC/3’位のアミノ基を保護することによって調製され得る。
【0120】
適当には、平行な3’−NMe2基のモノ脱メチルならびにC/2’−ヒドロキシルおよび3’−アミノ位の2つのベンジルオキシカルボニル保護基の挿入は、US5,250,518に記載の手順に従って、6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAをクロロギ酸ベンジルと反応させることによって行われ得る。US5,250,518に記載の手順を使用した2’および3'位のベンジルオキシカルボニル基の脱離は、C/4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)の形成後に行われ得る。
【0121】
式(IV)によって表される化合物は、式(II)によって表される化合物と、式(VI):
HOC(O)CH2L (VI)
[式中、Lは、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物またはヨウ化物)、またはスルホン酸基(例えば、トシラート、メタンスルホナートまたはトリフラート)などの、上で定義した適当な脱離基である。]
によって表されるカルボン酸またはカルボン酸の適当な活性化誘導体との反応によって調製され得る。カルボキシル基の適当な活性化誘導体は、カルボン酸(III)について上で定義したものである。反応は、式(II)によって表される化合物と式(III)によって表されるカルボン酸との反応について上記の条件を使用して行われる。
【0122】
式(III)、(V)および(VI)によって表される化合物は、当技術分野で公知である、または当技術分野で周知の技術によって調製され得る。
【0123】
本発明の目的も表す、薬学的に許容される酸付加塩は、反応に不活性な溶媒中で、式(I)によって表される化合物と、塩酸、ヨウ化水素酸、スルホン酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、ラウリルスルホン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、コハク酸、エチルコハク酸、ラクトビオン酸、シュウ酸、サリチル酸および同様の酸などの少なくとも等モル量の対応する無機酸または有機酸とを反応させることによって得られ得る。付加塩は、溶媒を蒸発させることによって、あるいは非極性共溶媒の添加によって自発沈殿または沈殿させた後に濾過することによって単離される。
【0124】
典型的には、薬学的に許容される塩は、当技術分野で公知の方法に従って所望の酸を使用することによって容易に調製され得る。塩は、溶液から沈殿し、濾過によって回収され得るか、または溶媒の蒸発によって回収され得る。例えば、塩酸などの酸の水溶液を、式(I)によって表される化合物の水性懸濁液に添加し、得られた混合物を蒸発乾固または凍結乾燥させて固体として酸付加塩を得ることができる。あるいは、式(I)によって表される化合物は適当な溶媒、例えば、イソプロパノールなどのアルコールに溶解することができ、酸は同じ溶媒または別の適当な溶媒に添加することができる。次いで、得られた酸付加塩は、直接、またはジイソプロピルエーテルもしくはヘキサンなどの弱極性溶媒の添加により沈殿させられ、濾過によって単離され得る。
【実施例】
【0125】
アッセイ
本発明の化合物が、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患の治療における治療上の利点を提供する有利な特性を有する可能性は、例えば以下のアッセイを使用して説明され得る。
【0126】
本文中では以下の略語が使用される:コロニー形成単位はcfu、ジメチルスルホキシドはDMSO、細菌性リポ多糖はLPS、リン酸緩衝生理食塩水はPBS、および気管支肺胞洗浄はBAL。
【0127】
安定性アッセイ
インビトロ血液および血漿安定性プロトコル
ヒト全血および血漿中のインビトロ安定性の調査を37℃で24時間にわたって行う。
【0128】
薬物フリーの新しく採取したヒト血液(CPD−クエン酸−リン酸−ブドウ糖が抗凝固剤として全血液採取に使用される)および血漿に、予め調製した試験化合物の標準溶液を添加し、最終濃度2000ng/mLとする。各々の化合物について、血液および血漿に二つ組で添加し、24時間インキュベートする。血液または血漿の2つの別々のアリコート(50μL)を、0、15、30、60、120、240および1440分で各々のインキュベーション混合物から採取する。全アリコートを等容積の水(50μL)と混合し、内部標準(ロキシスロマイシン)を含む300μLのアセトニトリル/メタノール(2:1)で抽出する。次いで、試料をボルテックスし、遠心分離し、LC/MS/MS(MRMモード)によって分析する。結果は、残留化合物の割合として示し、分析物/内部標準の比として示す。
【0129】
緩衝液中および生体関連培養液(bio−relevant media)中の安定性プロトコル
24時間の、25℃、pH2〜pH8の緩衝液中、および37℃の生体関連培養液(SGF pH1.6、空腹時SIF pH6.5および食後SIF pH5.0)中の安定性を監視する。試料をLC/MSによって分析する。
【0130】
安定性アッセイにおいて使用する緩衝液および生理学的関連培養液(physiologically relevant media)
pH2−リン酸緩衝液
pH3−クエン酸緩衝液
pH4−クエン酸緩衝液
pH5−クエン酸緩衝液
pH6−クエン酸緩衝液
pH7−リン酸緩衝液
pH8−TRIS緩衝液
SGF(人工胃液(Simulated Gastric Fluid))pH1.6
空腹時SIF(人工腸液(Simulated Intestinal Fluid))pH6.5
食後SIF(人工腸液)pH5.0
【0131】
LC条件:Instrument HP1100
カラム:Waters XBridge C18、2.1×50mm、3.5μm
ガードカラム:Waters XBridge C18、2.1×10mm、3.5μm
移動相:A)0.1%HCOOH/H2O
B)0.1%HCOOH/CH3CN
勾配タイムテーブル:
【表1】
フロー:0.3mL/分
カラム温度:25℃
試料温度:25℃(緩衝液中の安定性アッセイについて)
37℃(生体関連培養液中の安定性アッセイについて)
インジェクター容量:3μL(注入プログラムなし)
【0132】
MS条件:Instrument HP MS
API−ES、陽イオンモード
質量範囲:150〜1500
フラグメンター:100
ゲイン:1.0
閾値:150
ステップサイズ:0.20
ガス温度:350℃
乾燥ガスフロー:13L/分
ネブライザー圧力:35psig
キャピラリー電圧:正 4000V
負 4000V
【0133】
試料調製
a)緩衝液中の安定性アッセイについて
化合物をCH3CNに溶解し、1mg/mLのストック溶液を作成する。ストック溶液を適当な緩衝液を用いて0.2mg/mLの濃度(4mL緩衝液中1mL溶液)に希釈し、使用溶液を作成する。
【0134】
次いで、適当な時点で分析するために、各々のpHの各々の溶液をバイアルに入れて、密封し、室温で保管する。分析の前に、調製した試料溶液のpH値を確認し、必要に応じて調整する。
【0135】
b)生体関連培養液中の安定性アッセイについて
b1)pH1.6のSGF培養液の試験について
化合物をpH1.6のSGF培養液に溶解し、化合物1および2の場合には0.2mg/mL溶液、化合物3の場合には0.1mg/mL溶液を得る。次いで、溶液を37℃の水浴中に保管し、LC/MS分析のために適当な時点で取り出す。分析の前に、調製した試料溶液のpH値を確認し、必要に応じて調整する。
【0136】
b2)pH6.5の空腹時SIF培養液の試験について
化合物をpH6.5の空腹時SIF培養液に溶解し、2mg/mL溶液を得る。次いで、溶液をバイアルに入れて、37℃の水浴中に保管し、LC/MS分析のために適当な時点で取り出し、CH3CNで10倍希釈する。分析の前に、調製した試料溶液のpH値を確認し、必要に応じて調整する。
【0137】
b3)pH5.0の食後SIF培養液の試験について
化合物をpH5.0の食後SIF培養液に溶解し、2mg/mL溶液を得る。次いで、溶液をバイアルに入れて、37℃の水浴中に保管し、LC/MS分析のために適当な時点で取り出し、CH3CNで40倍希釈する。分析の前に、調製した試料溶液のpH値を確認し、必要に応じて調整する。
【0138】
インビボスクリーニングプロトコル
雄BALB/cJマウスにおける細菌性リポ多糖(LPS)によって誘発される肺好中球増加症
腹腔内投与(i.p.)のために、化合物を10mg/mLの最終濃度に溶解する。化合物の必要量を最初にジメチルスルホキシド(DMSO、シグマ社製)に溶解し、次いで、0.5%(w/v)メチルセルロースで希釈して、最終DMSO濃度が5%(v/v)となるようにする。得られた溶液を動物10g当たり0.2mLの用量容積で適用する。そのため、化合物用量は200mg/kgである。
【0139】
約30gの平均体重の雄BALB/cJマウス(チャールズリバー社製、フランス)を無作為にグループ化する(試験グループにおいてn=8、正の対照n=10および負の対照n=8)。マウスは、腹腔内に(i.p.)、単一用量の200mg/kgの試験化合物を受ける。投与の2時間後、60μLの容積の無菌PBSに溶解した2μgのLPS(Escherichia coli血清型0111:B4、シグマ社製由来)を、等容積のビヒクル(PBS)を受ける負の対照グループを除いた全実験グループに鼻腔内投与する。LPSの施用の約24時間後に動物を屠殺し、気管支肺胞洗浄液(BALF)を得て、細胞の絶対数および好中球の割合を決定するために使用する。結果は、正の対照(LPSにより攻撃されたが未処理の動物)と比較した、処理動物のBALF中の総細胞数および好中球数の割合減少として示す。
【0140】
インビトロスクリーニングプロトコル
抗菌性スクリーニング
臨床的に関連する細菌(Staphylococcus aureus ATCC13709、Streptococcus pneumoniae ATCC49619、Streptococcus pyogenes ATCC700294、Moraxella catarrhalis ATCC23246、Haemophilus influenzae ATCC49247およびEscherichia coli ATCC25922)に対する化合物の全細胞抗菌活性を、臨床検査標準(CLSI)推奨手順(Document M7〜A6A7、Methods for Dilution Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically)を使用する微量液体希釈法によって測定する。化合物をDMSOに溶解し、50mMストック溶液を作成する。ストック溶液を適当な培養液(Haemophilus influenzaeにはヘモフィリステスト培地、Staphylococcus aureus、Moraxella catarrhalisおよびEscherichia coliにはミューラーヒントン培地、ならびにStreptococcus pyogenesおよびStreptococcus pneumoniaeには5%ウマ血清を補充したミューラーヒントン培地)中128μg/mLの濃度に希釈して使用溶液を作成する。Tecan Genesis150Workstation(Tecan Group Ltd.社製 Mannedorf、スイス)を使用して、U字型底96ウェルマイクロタイタープレート中に、使用溶液の2倍希釈系列(50μLアリコート)を調製する。化合物を希釈した後、50μLアリコートの試験単離物(約1×106cfu/ml)を、マイクロタイタープレートの各々のウェルに添加する。最終的な試験濃度は、0.125〜64μg/mLに及ぶ。接種されたプレートを周囲空気中、35℃で18〜24時間インキュベートする。最小発育阻止濃度(MIC)は、目に見える発育を阻害した最も低い化合物の濃度として決定する。
【0141】
本発明の化合物は、同じ細菌の異なる菌株に対して異なるレベルの活性を有し得ることが当業者によって認識されよう。
【0142】
THP−1およびHepG2細胞系における細胞傷害性アッセイ
10%ウシ胎児血清(FBS;BioWest社製)、50U/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシンおよび2.5μg/mLアムホテリシンB(ファンギゾン)(全てギブコ社製)を補充したRPMI1640培地(Institute of Immunology製、Zagreb)中でTHP−1細胞を培養する。
HepG2細胞は、10%FBS、1mMピルビン酸ナトリウム、0.1mM非必須アミノ酸、50U/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシンおよび2.5μg/mLアムホテリシンB(ファンギゾン)(全てギブコ社製)を含むイーグル最小必須培地(MEM;ギブコ社製)中で維持する。
【0143】
試験化合物の抗炎症活性が、観察されるサイトカイン産生の阻害のためであって、細胞傷害性の結果ではないかどうかを決定するために、生細胞中のコハク酸脱水素酵素活性の測定を行う。100、50、25、12.5.6.25.3.13.1.56、0.78μMの濃度の試験化合物の存在下、適当な組織培養培地中で24時間細胞を培養する。次いで、検出試薬であるMTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム臭化物](プロメガ社製、米国)を添加し、培養物を0.5〜2時間インキュベートする。492nmで分光光度計を使用して、産生されたMTT−ホルマザンの量を決定する(Mosmann、J.Immunol Methods、(1983)65:55〜63)。
【0144】
細胞発育の阻害の割合を、以下の式:
細胞発育の阻害%=OD492処理細胞/OD492未処理細胞×100
を使用して計算する。
【0145】
本文中では以下の略語が使用される:酢酸エチルはEtOAc、ジクロロメタンはDCM、1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩はEDC×HCl、4−(ジメチルアミノ)−ピリジンはDMAP、エタノールはEtOH、酢酸エチルはEtOAc、ジメチルスルホキシドはDMSO、メタノールはMeOH、トリエチルアミンはTEA、ジエチルアミンはDEA、メチルtert−ブチルエーテルはMTBE、イソプロパノールはi−PrOHおよびイソプロピル酢酸はiPrOAc。
【0146】
本発明の化合物および方法は、以下の実施例に関連してよりよく理解されるだろうが、これらの実施例は単なる例として意図されており、本発明の範囲を限定するものではない。開示の実施形態についての種々の変更および修正が当業者には明らかであろう、そして本発明の化学構造、置換基、誘導体、製剤および/または方法に関連するものを含むがそれらに限定されないこのような変形および修正は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0147】
以下の手順において、番号による中間体または実施例の産物の参照が典型的に与えられる。これは単に、使用する出発物質を同定するための当業者に対する補助のために提供されるものである。出発物質は、必ずしも言及されているバッチから調製されるわけではない。
【0148】
6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAは、WO99/51616、実施例2、15ページの手順に従って調製することができる。
【0149】
式(I)によって表される化合物の多形体形態は、それだけに限定されないが、粉末X線回折(XRPD)、ラマン分光法、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)および核磁気共鳴分光法(NMR)を含むいくつかの従来の分析技術を使用して、特徴づけられ、区別され得る。これらの技術は、試料を特徴づけ、式(I)によって表される化合物の一形態を他の形態と区別するために、単独でまたは他の技術と組み合わせて使用され得る。
【0150】
粉末X線回折(XRPD)
粉末X線回折(XRPD)データは、X’Celerator検出器を使用して、PANalytical X’Pert Pro粉末回折装置、モデルPW3040/60で得た。収集条件は以下の通りであった。
a)放射線:Cu Kα、発生装置電圧:45kV、発生装置電流:40mA、開始角度:3.0°2θ、終了角度:40.0°2θ、ステップサイズ:0.0167°2θ、ステップ当たりの時間:104.7秒;または
b)放射線:Cu Kα、発生装置電圧:40kV、発生装置電流:45mA、開始角度:2.0°2θ、終了角度:40.0°2θ、ステップサイズ:0.0167°2θ、ステップ当たりの時間:31.75秒。
数ミリグラムの試料をSiウエハー(ゼロバックグラウンド)プレート上に載せ、分析のために粉末の薄層にすることによって、試料を調製した。
各々の2シータ角度割当ておよびd−格子面間隔にはいくらかの許容誤差が存在する。許容誤差は、値が測定される正確な温度を含むいくつかの因子に依存するだろう。前述の2シータ角度における許容誤差は、各々の前述のピーク割当てにつき約±0.2度である。2シータ角度割当ておよびd−格子面間隔においてはいくらかの許容誤差が可能であるので、式(I)によって表される化合物の試料の特定の形態を同定するためにXRPDパターンを比較する有用な方法は、式(I)によって表される化合物のある試料形態のXRPDパターンを、式(I)によって表される化合物の他の試料形態のXRPDパターンの上に重ねることである。
【0151】
ラマン分光法
全ラマン分析は、自動XYZステージを備えるKaiser Optical Systems HoloWell分散型ラマン分光計で行った。785nmのダイオードレーザーによって励起をもたらした。約5〜20mgの試料をホウケイ酸塩フリットプレート上に、またはガラス試料バイアル中に置いた。観察されたラマンピークのわずかな変動は、使用した特定の分光計および分析者の試料調製技術に基づくと考えられる。前述のバンド位置の許容誤差は±2cm−1である。本明細書で提供されるラマンスペクトルは、x軸にcm−1の波数およびy軸に任意の単位の強度を示す。
【0152】
示差走査熱量測定(DSC)
冷凍冷却システムを備えるMettler Toledo DSC 822e熱量計でDSCを行った。試料をピンホールアルミニウム皿中で、10℃/分の加熱速度で25℃から300℃まで加熱した。試料に対して50mL/分の窒素パージを維持した。
観察された吸熱の有意な変動は、式(I)によって表される化合物の各々の形態のDSCサーモグラムに関しては、使用した特定の装置および皿の配置、分析者の試料調製技術ならびに試料の粒度および重量に基づくと考えられる。吸熱特性においては通常いくらかの許容誤差が存在する。すなわち、許容誤差は約±2.00℃程度である。
【0153】
熱重量分析(TGA)
Mettler Toledo TGA/SDTA 851eシステムでTGAを行った。試料を予め風袋計量したアルミナるつぼに入れ、10℃/分の加熱速度で25℃から300℃まで加熱した。試料に対して50mL/分の窒素パージを維持した。
【0154】
実施例1
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
方法A
【化8】
【0155】
中間体1:
3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
クロロギ酸ベンジル(30mL、209.7mmol)中のNaHCO3(13.2g、157.3mmol)の加熱した(60℃)懸濁液に、6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(10g、13.1mmol)を2時間で徐々に添加した。反応混合物を60℃でさらに1時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、ヘキサン(150mL)および水(150mL)を添加して、得られた粘着性沈殿を濾別し、EtOAc(150mL)に溶解して、水(2×100mL)で洗浄した。無水Na2SO4で乾燥後、有機層を蒸発させ、残渣にジエチルエーテル(80mL)を添加し、氷冷下でヘキサン(200mL)を添加することによって生成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾過し、冷ヘキサン(50mL)で洗浄して標記中間体1(12.7g)、MS(ES+)m/z:1039.28[MH+Na]+を得た。
【0156】
中間体2:
ジエチルアミノ酢酸
ジエチルアミン(230mL、2.2mol)中のクロロ酢酸(30g、0.32mol)の溶液を一晩攪拌した。得られた白色沈殿を濾過によって除去した。濾液を蒸発乾固し、黄色油を得て、それにEtOAc(300mL)を添加した。得られた沈殿を再度濾過によって除去した。濾液を蒸発させて黄色固体残渣(44g)を得、それをヘキサン(2×100mL)、EtOAc(2×50mL)および再度ヘキサン(50mL)で洗浄し、次いで真空中で乾燥させて標記中間体2(38g)を得た。
1H NMR(500MHz、CHLOROFORM−d)δppm8.85(1H、br.s)、3.56(2H、s)、3.29(4H、q、J=7.3Hz)、1.36(6H、t、J=7.3Hz)。
【0157】
中間体3:
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
DCM(35mL)中の中間体1(12.7g、12.5mmol)の溶液に、EDC×HCl(14.4g、74.9mmol)、DMAP(9.15g、74.9mmol)および中間体2(ジエチルアミノ酢酸)(9.83g、74.9mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩(約17時間)攪拌し、EtOAc(450mL)で希釈し、飽和NaHCO3(3×170mL)、飽和NH4Cl(3×170mL)および食塩水(350mL)で洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、残渣を石油エーテル(250mL)に懸濁し、2時間攪拌し、濾過し、石油エーテル(30mL)で洗浄して標記中間体3(12.2g)、MS(ES+)m/z:1130.39[MH]+を得た。
【0158】
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
方法1.EtOH(200mL)中の中間体3(12.2g、10.8mmol)の溶液に、10%Pd/C(1.22g)を添加し、反応混合物を5バールで一晩(約17時間)水素化(hydrogenolize)した。触媒を濾過によって除去し、濾液を蒸発させた。残渣にDCM(200mL)および水(200mL)を添加し、pHを4.7に調整した(1N HCl)。層を分離し、DCM(3×150mL)でpH4.7での抽出を繰り返した。水層に新しいDCM(150mL)を添加し、pHを5.7に調整した(1N NaOH)。層を分離し、DCM(2×20mL、7×150mL)でpH5.7での抽出を繰り返した。pH5.7の合わせた有機層を150mLの容積に濃縮し、水(150mL)を添加し、pHを9.5に調整した(水/NH4OH=1/1)。有機層を分離し、蒸発させて標記生成物実施例1(7.25g、MS(ES+)m/z:862.34[MH]+)を得た。
【0159】
方法2.EtOH(200mL)中の中間体3(11.52g、10.2mmol)の溶液に、10%Pd/C(1.15g)を添加し、反応混合物を5バールで一晩(約17時間)水素化した。触媒を濾過によって除去し、濾液を蒸発させた。残渣をアセトン(25mL)に溶解し、石油エーテル(250mL)の添加によって生成物を沈殿させ、標記生成物(6.9g)を得、それをアセトニトリルからさらに再結晶して、標記生成物(4.36g)を得た。母液の蒸発および再沈殿により、追加量の標記生成物実施例1(2.27g)を得た。
MS(ES+)m/z:862.11[MH]+。
1H NMR(500MHz、CHLOROFORM−d)δppm6.12(1H、d、J=8.2Hz)、4.88(1H、d、J=4.9Hz)、4.72(1H、d、J=9.8Hz)、4.68(1H、dd、J=10.7、1.5Hz)、4.55(1H、d、J=7.6Hz)、4.39(1H、m)、4.21(1H、dd、J=6.1、1.5Hz)、4.16(1H、m)、3.79(1H、m)、3.74(1H、d、J=6.4Hz)、3.43(1H、d、J=17.2Hz)、3.31(3H、s)、3.31(3H、s)、3.31(1H、d、J=17.1Hz)、3.28(1H、d、J=4.3Hz)、3.21(1H、br.s.)、3.14(1H、dd、J=9.8、7.3Hz)、2.83(1H、m)、2.69(4H、q、J=7.3Hz)、2.59(1H、ddd、J=11.5、9.8、4.6Hz)、2.43(3H、s)、2.37(1H、d、J=15.0Hz)、2.22(1H、dq、J=7.3、7.1Hz)、2.01(1H、dd、J=15.0、8.2Hz)、1.89(3H、m)、1.62(1H、dd、J=15.0、4.9Hz)、1.56(1H、m)、1.33(3H、s)、1.29(1H、d、J=13.7Hz)、1.24(3H、d、J=7.6Hz)、1.16(12H、m)、1.12(3H、s)、1.09(4H、d、J=7.1Hz)、1.07(6H、t、J=7.3Hz)、0.98(3H、d、J=7.6Hz)、0.90(3H、t、J=7.5Hz)。
【0160】
方法B
中間体1:
3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
工程a)6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
6−O−メチルエリスロマイシンA 9(E)−オキシム(2.0kg)を50Lガラスライニング反応器に装入し、引き続いてアセトン(20L)を装入した。混合物を−10℃に冷却し、アセトン(5.5L)中のトルエン−2−スルホニルクロリド(775g、1.55eq)を20分間添加した。添加中、温度は−8℃に上がった。次いで、内部温度を0℃未満に維持しながら、水(25L)中のNaHCO3(460g)を1時間40分間滴加した。混合物を20℃に加温し、2時間攪拌して、次いで1M KOH(6L)を添加した。加熱マントルを70℃に設定し、反応物容積を真空中で約18Lに減少させた。混合物を10℃に冷却し、ヌッチェ(ザイツK200フィルター)で濾過し、濾過ケークを水(8L)で洗浄した。重い灰白色沈殿をフィルター上で一晩、次いで真空中32℃で風乾して標記生成物(1670g、Y=83.5%、LC−MS純度は参照に一致する)を得た。
【0161】
工程b)3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
バッチA) 6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(1.01kg)を20L反応器に装入し、引き続いてジオキサン(4L)およびNaHCO3(1.49kg)を装入した。加熱マントル温度を90℃に設定した。内部温度が72℃に達したら、クロロギ酸ベンジル(800mL、4.4equiv.カルボベンゾキシクロリドまたはフェニルメチルクロロホルマートとしても知られている)の添加を開始し、4時間10分間続けた。30分後、余分のクロロギ酸ベンジル(30mL)を添加した。LC−MSによって完全な転換が確認されたので、混合物を20℃に冷却し、MTBE(6L)で希釈し、0.01M KOH(5L)でクエンチして、一晩攪拌した。水層を除去し、有機層を水(2×5L)および食塩水(2L)で洗浄した。有機層の容積は約7Lであり、この溶液を追加の漏斗に移した。ヘプタン(14L)を反応器に装入し、10℃に冷却した。次いで、追加の漏斗からのMTBE溶液を、攪拌ヘプタンに慎重に添加した。溶液の約2/3を添加した後に、懸濁粒子が凝塊を形成し始め、反応器の底に粘着性油が得られた。ほぼ全てのヘプタンを除去した後、全てが溶解するまでMTBE(1L)およびDCM(5L)を添加した。
得られた溶液をバッチBに添加した。
【0162】
バッチB):ジオキサン(11L)を50L反応器に装入し、引き続いて6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(2.7kg)およびNaHCO3(4.0kg)を装入した。加熱マントルを85℃に設定し、内部温度が70℃に達したら、クロロギ酸ベンジル(2.25L、4.5equiv.カルボベンゾキシクロリドまたはフェニルメチルクロロホルマートとしても知られている)の添加を開始し、8時間にわたって続けた。次いで、余分のクロロギ酸ベンジル(50mL)を添加した。LC−MSによって完全な転換が確認されたので、混合物を20℃に冷却し、MTBE(15L)で希釈し、0.01M KOH(15L)でクエンチして、週末にわたって放置した。水層を除去し、有機層を水(2×15L)および食塩水(10L)で洗浄し、バッチAからの溶液と合わせた。容積を真空中で約10Lに減少させ、この溶液を追加の漏斗に移した。ヘプタン(45L)を反応器に装入し、10℃に冷却した。次いで、10分間、MTBE溶液をよく攪拌したヘプタンに慎重に添加した。得られた白色非晶質沈殿をヌッチェ(ザイツK200フィルター)で濾過し、ヘプタン(2×5L)で洗浄し、48時間フィルター上で風乾して標記生成物(5.8kg、LC−MS純度は参照に一致する)を得た。湿潤物質は、さらなる後処理なしで次の反応工程に使用した。
【0163】
中間体2:
ジエチルアミノ酢酸
ジエチルアミン(9.5L)を、20Lガラスライニング反応器に装入し、3℃に冷却した。MTBE(1.8L)中のクロロ酢酸(1.21kg)を冷却しながら1時間にわたって添加した−添加中、温度は16℃に上がった。混合物を20℃に加温し、一晩攪拌し、ロータリーエバポレーターで濃縮して黄色油を得た。この油をiPrOAcとともに再濃縮し、iPrOAc(4.5L)と混合し、一晩攪拌した。灰白色吸湿性沈殿を濾過し、iPrOAc(1.5L)で洗浄し、直ちに乾燥キャビネットに入れて潮解を避けた。乾燥後、標記生成物が得られた(820g、Y=49%)。
【0164】
中間体3:
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
DCM(10L)を50Lガラスライニング反応器に装入し、内部温度を+5℃に調整した。次いで、全試薬を一度に以下の順で装入した:3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(2800g、湿潤物質)、ジエチルアミノ酢酸(800g、2.2eq)、DMAP(745g、2.2eq)およびEDC×HCl(1170g、2.2eq)。これは+2℃への吸熱温度減少をもたらした。混合物を+20℃で一晩攪拌し、+10℃に冷却し、飽和NaHCO3水溶液(20L)でクエンチし、0.5時間攪拌した。EtOAcを添加し(25L)、水層を分離し捨てて、有機層を飽和NH4Cl水溶液(2×12L)および食塩水(10L)で洗浄した。容積を真空中で約8Lに減少させた。ヘプタン(45L)を第2反応器に装入し、8〜10℃に冷却した。DCM/EtOAc濃縮溶液を、よく攪拌しながら20分間にわたって、冷却したヘプタンに慎重に添加した。得られた白色非晶質沈殿をヌッチェ(ザイツK200フィルター)で濾過し、ヘプタン(8L)で洗浄し、一晩フィルター上で風乾して粗製標記生成物(2.5kg、Y=79%、LC−MSプロファイルは参照に一致する)を得た。
粗製固体(2.38kg)を50℃で還流MTBE(18.3L)に溶解し、内部温度を約50℃に維持しながら、ヘプタン(15L)を20分間にわたってゆっくり添加した。混合物を接種し、20℃に冷却させ、一晩攪拌した。白色沈殿を濾過し、MTBE/ヘプタン1:1(5L)、次いで純ヘプタン(3L)で洗浄し、24時間風乾して、標記生成物(1.9kg、Y=63%、LC−MSプロファイルは参照に一致する、LC純度98.5%)を得た。
【0165】
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(1.9kg)をMeOH(16L)に溶解し、得られた溶液を20Lオートクレーブに装入し、引き続いてMeOH(0.5L)中の10%Pd/C(150g、湿気60%H2O)を添加した。オートクレーブを排気し、水素を充満させた(全ての残存酸素を除去するために2度繰り返した)。オートクレーブを水素で再充満した後、混合物を1.5〜3バールで10時間水素化した。セライトを通してPd/Cを濾過し、ケークをMeOH(1L)で洗浄した。得られた溶液を50L反応器に装入し、Pdスカベンジャー(Biotage MP−TMT、50g)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、混合物を濾過し、プラスチック容器に移して−10℃で保管した。その後、MeOH混合物を反応器に移し、ほぼ乾燥するまで濃縮した。次いで、EtOAcを装入し(12.5L)、引き続いて水(10L)および1M HCl溶液(3L)を装入した。有機相を分離し捨てた。水相に、固体NaHCO3(280g)およびEtOAc(10L)を添加し、食塩水(1L)を添加して分離を達成した。層を分離した後、生成物をEtOAc(2×7L)で抽出し、合わせた有機相を真空中でほぼ乾燥するまで濃縮し、ヘプタン(2L)で希釈して、再度濃縮した。次いで、ジエチルエーテル(7L)を添加し、混合物を3.5時間攪拌し、白色沈殿を濾過し、約2Lのジエチルエーテルで洗浄し、一晩風乾して標記生成物実施例1(946g、Y=65%、1H NMRプロファイルは参照に一致する、C/3’−NHCH3のまわりに位置するいくつかのプロトンのケミカルシフトにおいて差異が存在し、これは部分的なHCl塩形成を示唆している、HPLC純度97.8%)を得た。
相当量の沈殿が反応器中に残った。これをMeOHに溶解し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた油状残渣をジエチルエーテル(2L)中にスラリーにし、3時間攪拌し、濾過し、ジエチルエーテル(300mL)で洗浄し、一晩風乾して追加量の粗製標記生成物(250g、Y=17%)を得た。
アンモニア水または飽和NaHCO3溶液のいずれかを使用して、遊離塩基化(freebasing)を達成した:
生成物(20g、10gの部分的HCl塩+10gの粗製物)をDCM(150mL)に溶解し、アンモニア水溶液(12.5%、100mL)または飽和NaHCO3溶液(100mL)のいずれかと混合し、1.5時間攪拌した。層を分離し、水層を追加のDCM(75mL)で抽出した。合わせた有機層をほぼ乾燥するまで濃縮し、ジエチルエーテル(100mL)中にスラリーにし、容積をわずかに減少させ(約90mLまで)、3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(XRPDパターンは、実施例11、形態1のXRPDパターンに一致した)のゆっくりした沈殿を得た。
【0166】
方法C
中間体1:
3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
工程a)6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
2.5±2.5℃に冷却したアセトン(72.0L)中の6−O−メチルエリスロマイシンA 9(E)−オキシム(12.00kg)の溶液に、水(120.0L)中のNaHCO3(3.3kg)の溶液を2時間添加し、温度を2.5±2.5℃に維持した。アセトン(12.0L)中のp−トルエンスルホニルクロリド(4.79kg)の溶液を、冷却下15分以内でこの混合物に添加し、次いで、周囲温度に加温し(1時間15分)、2時間攪拌した。反応混合物を2等分し(約102.0L)、その各々を新しい反応器に移し、各々半分に水(96.0L)を添加し、反応混合物を約1.5時間で7.5±2.5℃に冷却した。次いで、各々半分を、10.0Lの予め調製したNaOH(36.0Lの水中の1.80kg)水溶液を約1時間添加することによって、pHをpH9.0〜11.5に調整した。得られた懸濁液を7.5±2.5℃で2時間熟成させ、遠心濾過によって単離し、水で3度洗浄して(24.0L、48.0Lおよび24.0L)、湿潤生成物(13.50kg)を得た。湿潤生成物を真空下40±5℃で10時間乾燥させて、標記生成物(10.82kg、1H NMRプロファイルは参照に一致する)を得た。
【0167】
工程b)3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
バッチA) ジオキサン(40.0L)を反応器に装入し、温度を30±5℃に設定し、6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(8.00kg)、引き続いてNaHCO3(10.56kg)を添加した。30±5℃で30分間、この混合物に、クロロギ酸ベンジル(9.00kg)をゆっくり添加した。添加後、混合物を60±5℃に加熱し、2.5時間維持した。反応混合物を新しい反応器に移し、7.5±7.5℃に冷却し、MTBE(80.0L)で希釈し、次いで7.5±7.5℃で、トリエチルアミン(8.0L)でゆっくり処理した。予め冷却した0.01N水酸化カリウム溶液(60.0Lの水中の4.035kg)を、7.5±7.5℃の上記反応混合物に添加し、12.5±2.5℃で10分間攪拌した。層を分離し、温度を12.5±5℃に維持しながら、上層の有機層を水で2度(2×40.0L)、次いで塩化ナトリウム水溶液(40.0L中8.00kg)で洗浄した。
有機層を、留出物が観察されなくなるまで、高真空(NLT650mm/Hg)下60℃未満で濃縮した。MTBE(16.0L)を残渣に添加し、32.5±7.5℃で攪拌して、溶液を得た。得られた溶液を追加の容器に移し、30±5℃で1時間にわたってヘキサン(160.0L)にゆっくり添加し、MTBE(4.0L)で追加の容器をすすいだ。混合物を30±5℃で45分間攪拌し、2.5±2.5℃に冷却し、90分間熟成させ、遠心濾過によって単離した。ケークをヘキサン(16.0L)で洗浄し、真空下30±5℃で5時間乾燥させて粗製固体生成物を得た。
粗製固体を、MTBE(16.0L)およびトリエチルアミン(8.0L)の混合物中に懸濁し、65±10℃で12時間加熱した後、周囲温度に冷却し、さらなるMTBE(16.0L)で希釈した。スラリーを周囲温度でさらに12時間熟成させた後、遠心濾過によって単離した。ケークをMTBE(16.0L)で洗浄し、真空下30±5℃で10時間乾燥させて、標記生成物(6.95kg)を得た。
【0168】
バッチB) ジオキサン(50.0L)を反応器に装入し、温度を30±5℃に設定し、6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(10.00kg)、引き続いてNaHCO3(13.21kg)を添加した。30±5℃で30分間、この混合物に、クロロギ酸ベンジル(11.25kg)をゆっくり添加した。添加後、混合物を60±5℃に加熱し、数時間(4時間)維持した。反応混合物を新しい反応器に移し、7.5±7.5℃に冷却し、MTBE(100.0L)で希釈し、次いで7.5±7.5℃で、トリエチルアミン(10.0L)でゆっくり処理した。予め冷却した0.01N水酸化カリウム溶液(75.0Lの水中の0.044kg)を、7.5±7.5℃の上記反応混合物に添加し、12.5±2.5℃で15分間攪拌した。層を分離し、温度を12.5±2.5℃に維持しながら、上層の有機層を水で2度(2×50.0L)、次いで塩化ナトリウム水溶液(50.0Lの水中10.00kg)で洗浄した。
有機層を、留出物が観察されなくなるまで、高真空(NLT650mm/Hg)下60℃未満で濃縮した。MTBE(20.0L)を残渣に添加し、32.5±7.5℃で攪拌して、溶液を得た。得られた溶液を追加の容器に移し、30±5℃で1時間20分間にわたってヘキサン(200.0L)にゆっくり添加し、MTBE(5.0L)で追加の容器をすすいだ。混合物を30±5℃で30分間攪拌し、2.5±2.5℃に冷却し、90分間熟成させ、遠心濾過によって単離した。ケークをヘキサン(20.0L)で洗浄し、真空下30±5℃で5時間乾燥させて粗製固体生成物を得た。
粗製固体を、MTBE(20.0L)およびトリエチルアミン(10.0L)の混合物中に懸濁し、65±10℃で9時間加熱した後、周囲温度に冷却し、さらなるMTBE(20.0L)で希釈した。スラリーを周囲温度でさらに10時間熟成させた後、遠心濾過によって単離した。ケークをMTBE(15.0L)で洗浄し、真空下65±10℃で8時間乾燥させて、標記生成物(8.75kg)を得た。
【0169】
中間体2:
ジエチルアミノ酢酸
ジエチルアミン(112.0L)を反応器に装入し、2.5±2.5℃に冷却した。温度を5±5℃に維持しながら、クロロ酢酸(14.00kg)を30分間少しずつ添加した。混合物を1時間、30±5℃に加温し、次いで、同温度で一晩(約17時間)攪拌した。反応混合物を、ヌッチェフィルターを通して濾過し、濾液を乾燥容器に回収した。ケークを酢酸エチル(28.0L)で洗浄し、濾液を乾燥容器に回収した。
酢酸エチル(70.0L)を反応器に装入し、湿潤ケークを添加し、30±5℃で20分間スラリー化した。ヌッチェフィルターを通してスラリーを濾過し、濾液を乾燥容器に回収した。ケークを酢酸エチル(28.0L)で洗浄し、濾液を乾燥容器に回収した。
合わせた回収濾液を新しい反応器に装入し、留出物が観察されなくなるまで、真空下60℃未満で溶媒を蒸留して取り除いた。残渣を30±5℃に冷却し、アセトニトリル(14.0L)およびアセトン(28.0L)の混合物を添加し、25±2℃で11時間攪拌した。得られた吸湿性沈殿を窒素フロー下で濾過した。湿潤ケークをアセトン(20.0L)で洗浄し、真空下(650mmHg)45±5℃で約1.5日間乾燥させて標記生成物(4.32kg)を得た。
【0170】
中間体3:
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−2’−O−3’−N−ジ{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
DCM(40.0L)を反応器に装入し、温度を30±5℃に調整し、3’−N−デメチル−2’−O−3’−N−ジ−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(8.0kg)を添加して、透明な溶液が観察されるまで攪拌した。次いで、攪拌し、温度を30±5℃に維持している状態で、ジエチルアミノ酢酸(1.55kg)、引き続いてDMAP(0.96kg)を添加した。反応混合物を2.5±2.5℃に冷却した。EDC×HCl(1.50kg)をこの温度で添加して透明な溶液を得た。反応混合物を25±5℃にゆっくり加温し、25±5℃で5時間攪拌した。さらなるDMAP(1.20kg)を添加し、反応物を再度2.5±2.5℃に冷却した。さらなるEDC×HCl(1.88kg)をこの温度で添加して透明な溶液を得た。反応混合物を25±5℃にゆっくり加温し、25±5℃で11時間攪拌した。
次いで、留出物が観察されなくなるまで、混合物を真空下30℃未満で濃縮し、残渣をトルエン(80.0L)に溶解し、混合物を15±5℃に冷却した。有機溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液(40.0Lの水中の4.00kg)で2度洗浄し、各々の抽出後の水層を15±5℃に維持した。上層の有機層を塩化アンモニウム水溶液(40.0Lの水中の12.00kg)で2度洗浄し、各々の抽出後の水層を10〜15℃に維持した。合わせた水性洗浄液(炭酸水素ナトリウムおよび塩化アンモニウム)をトルエン(40.0L)で逆抽出し、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液(40.0Lの水中の4.00kg)および塩化アンモニウム水溶液(40.0Lの水中の12.00kg)で連続的に洗浄した。
合わせた有機相を塩化ナトリウム水溶液(40.0Lの水中の12.00kg)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ヌッチェフィルターを通して濾過し、トルエン(16.0L)で洗浄した。約5.0〜5.5容積が反応器内部に残るまで、合わせた濾液および洗浄液を真空下50℃未満で濃縮した。ヘプタン(80.0L)を35±5℃で30分間にわたってゆっくり添加し、得られた懸濁液を30±5℃で13時間攪拌した。遠心濾過によって生成物を単離し、ヘプタン(16.0L)で洗浄した。生成物を高真空下(NLT650mm/Hg)40±5℃で11時間乾燥させて標記生成物(7.30kg)を得た。
【0171】
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
反応器を排気し、窒素で洗浄し(2度繰り返した)、窒素フロー下でi−PrOH(36.0L)および3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−2’−O−3’−N−ジ{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(4.5kg)を添加し、溶液を10分間攪拌した。次いで、10%Pd/C(0.225kg)、引き続いてトリエチルアミン(1.80L)を添加し、窒素フローを止め、反応器を排気し、20psi圧力が得られるまで水素を充満させた(2度繰り返した)。反応器を水素で再充満した後、混合物を20psi、30±5℃で2時間水素化した。ヌッチェフィルターのHyflowベッドを使用してパラジウム炭素を除去し、i−PrOH(18.0L)で洗浄し、50℃未満で留出物がなくなるまで、合わせた濾液を高真空下(NLT650mm/Hg)で濃縮した。新しいi−PrOH(9.0L)を残渣に添加し、50℃未満で留出物がなくなるまで、混合物を高真空下(NLT650mm/Hg)で濃縮した。
濃縮物質をIPA(45.0L)に溶解し、きれいな反応器に移し、7.5±2.5℃に冷却し、チオシリカ(0.18kg)で処理し、7.5±2.5℃で3時間攪拌した。ヌッチェフィルターのHyflowベッドを通した濾過によってチオシリカを除去し、i−PrOH(18.0L)で洗浄し、50℃未満で留出物がなくなるまで、合わせた濾液を高真空下(NLT650mm/Hg)で濃縮した。
ヘプタン(13.5L)を上記混合物に添加し、50℃未満で留出物がなくなるまで、高真空下(NLT650mm/Hg)で濃縮した。さらなるヘプタン(13.5L)を上記混合物に添加し、50℃未満で留出物がなくなるまで高真空下(NLT650mm/Hg)で濃縮した。ヘプタン(22.5L)を上記混合物に添加し、得られた懸濁液を20±5℃で90分間攪拌した。生成物を遠心濾過によって単離し、ヘプタン(9.0L)で洗浄した。湿潤ケークを高真空下(NLT650mm/Hg)30±5℃で10時間乾燥させて粗製標記生成物(2.9kg)を得た。
【0172】
再結晶
27.5±2.5℃の酢酸イソプロピル(33.6L)中の粗製3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(4.2kg)の溶液を10分間攪拌し、次いで、透明な溶液が観察されるまで、追加量の酢酸イソプロピル(12.6L)を添加した。Micronフィルターを通して溶液を濾過し、酢酸イソプロピル(2.1L)で洗浄し、透明な反応器に移して、3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(0.01kg)を接種した。得られた混合物を27.5±2.5℃で30分間攪拌し、次いで、ヘプタン(96.6L)を27.5±2.5℃で2時間ゆっくり添加した。懸濁液を27.5±2.5℃で12時間10分間攪拌し、2.5±2.5℃に冷却し、この温度で2.5時間攪拌した。生成物を濾過によって単離し、冷ヘプタン:酢酸イソプロピル混合物(2:1 5.65L/2.74L)および最終的にヘプタン(8.4L)で洗浄した。生成物を高真空下(NLT650mm/Hg)40±5℃で一定重量まで乾燥させて、3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(3.46kg)(1H NMRプロファイルは参照に一致する、HPLC純度98.0%)を得た。
【0173】
比較実施例2
3’−N−デメチル−4”−O−(3−ジエチルアミノプロピオニル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
【化9】
国際公開WO2006/087644の実施例54の手順を使用して、標記化合物を得た。
MSデータ(MS(ES+)m/z:876.7[MH]+)はWO2006/087644中に述べられているものに一致する。
【0174】
比較実施例3
4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
【化10】
国際公開WO2006/087644の実施例56の手順を使用して、標記化合物を得た。
MSデータ(MS(ES+)m/z:877.09[MH]+)はWO2006/087644中に述べられているものに一致する。
【0175】
実施例4
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA酢酸塩
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(100mg、0.116mmol)をi−PrOH(0.7mL)に溶解し、酢酸(13.9μL、0.244mmol)を添加した。混合物を0℃で冷却し、n−ヘキサン(10mL)およびジイソプロピルエーテル(3mL)を滴加した。次いで、溶媒を蒸発させ、乾燥後に標記化合物(103mg)を白色固体として得た。
MS(ES+)m/z:862.8(95.3%)
【0176】
実施例5
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAコハク酸塩
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(75mg)、コハク酸(20mg)および酢酸t−ブチル(300μL)をバイアル中に添加し、攪拌下で2日間にわたって温度を0〜40℃でサイクルさせた。スラリーを単離し、得られた固体を真空下40℃で60時間乾燥させて標記生成物を得た。
1H NMR(400MHz、CHLOROFORM−d)δppm7.61、6.46、6.44、6.12、6.10、5.21、5.08、5.06、4.93、4.92、4.89、4.88、4.75、4.72、4.69、4.67、4.60、4.58、4.54、4.53、4.51、4.49、4.37、4.36、4.34、4.33、4.32、4.21、4.19、4.17、4.15、4.08、4.06、3.82、3.77、3.74、3.72、3.65、3.64、3.61、3.55、3.51、3.48、3.44、3.31、3.31、3.28、3.22、3.06、3.05、3.03、3.01、2.85、2.84、2.82、2.73、2.71、2.69、2.67、2.58、2.56、2.54、2.52、2.41、2.37、2.31、2.24、2.22、2.10、2.07、2.04、1.99、1.97、1.92、1.90、1.88、1.86、1.79、1.66、1.64、1.61、1.59、1.57、1.56、1.52、1.51、1.50、1.48、1.47、1.45、1.43、1.42、1.40、1.32、1.29、1.28、1.26、1.23、1.22、1.18、1.17、1.16、1.14、1.13、1.12、1.10、1.08、1.06、0.99、0.97、0.92、0.90、0.88。
【0177】
実施例6
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA安息香酸塩
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(75mg)、安息香酸(10.6mg)および酢酸t−ブチル(300μL)をバイアル中に添加し、攪拌下で2日間にわたって温度を0〜40℃でサイクルさせた。スラリーを単離し、得られた固体を真空下40℃で60時間乾燥させて標記生成物を得た。
1H NMR(400MHz、CHLOROFORM−d)δppm8.08、8.06、7.52、7.51、7.49、7.44、7.42、7.40、7.27、6.11、6.09、4.89、4.88、4.74、4.71、4.70、4.67、4.60、4.58、4.39、4.38、4.37、4.35、4.34、4.21、4.20、4.18、4.16、3.75、3.74、3.49、3.44、3.40、3.38、3.36、3.35、3.32、3.31、3.22、2.85、2.83、2.82、2.80、2.74、2.72、2.70、2.68、2.59、2.40、2.37、2.24、2.22、2.20、2.05、2.05、2.02、2.01、1.99、1.97、1.88、1.86、1.65、1.64、1.61、1.60、1.57、1.55、1.45、1.41、1.38、1.33、1.30、1.25、1.23、1.22、1.20、1.19、1.17、1.15、1.13、1.11、1.10、1.08、1.06、0.99、0.97、0.92、0.90、0.89。
【0178】
実施例7
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA L−酒石酸塩
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(75mg)、L−酒石酸(13.5mg)および酢酸t−ブチル(300μL)をバイアル中に添加し、攪拌下で2日間にわたって温度を0〜40℃でサイクルさせた。スラリーを単離し、得られた固体を真空下40℃で60時間乾燥させて標記生成物を得た。
1H NMR(400MHz、CHLOROFORM−d)δppm7.19、7.17、7.10、7.08、6.14、6.12、4.81、4.80、4.66、4.63、4.61、4.59、4.49、4.48、4.32、4.30、4.29、4.28、4.23、4.12、4.11、4.09、4.07、3.72、3.71、3.70、3.67、3.66、3.42、3.38、3.27、3.24、3.12、2.78、2.76、2.75、2.67、2.65、2.63、2.61、2.51、2.32、2.28、2.17、2.15、2.13、1.95、1.93、1.90、1.89、1.82、1.81、1.79、1.61、1.57、1.56、1.53、1.52、1.37、1.25、1.22、1.18、1.16、1.14、1.12、1.10、1.09、1.07、1.05、1.03、1.01、0.99、0.94、0.92、0.85、0.83、0.81.
【0179】
実施例8
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA二塩酸塩
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(100mg)およびアセトニトリル(200μL)をバイアル中に添加した。得られたスラリーを攪拌し、70℃に加熱した。追加量のアセトニトリル(300μL)を添加し、引き続いて塩酸(19μL、水中37%w/w)を添加したところ、固体が形成し、攪拌困難となった。したがって、さらなる量のアセトニトリル(200μL)を添加し、反応混合物を0℃に冷却し、その温度で15時間維持した。スラリーを濾過し、得られた固体を真空下40℃で24時間乾燥させて標記生成物を得た。
1H NMR(400MHz、CHLOROFORM−d)δppm7.57、7.55、5.10、5.09、4.99、4.98、4.96、4.96、4.93、4.87、4.85、4.83、4.53、4.52、4.49、4.48、4.46、4.45、4.44、4.42、4.14、4.12、4.11、3.82、3.81、3.71、3.69、3.63、3.48、3.48、3.47、3.38、3.36、3.34、3.32、3.31、3.31、3.31、3.30、3.30、3.28、3.25、3.21、3.12、3.11、3.09、3.07、3.06、2.81、2.79、2.78、2.77、2.76、2.72、2.69、2.51、2.47、2.40、2.38、2.38、2.36、2.34、2.26、2.23、2.22、2.20、2.03、2.02、2.00、1.99、1.89、1.88、1.87、1.86、1.85、1.85、1.83、1.83、1.78、1.77、1.75、1.73、1.56、1.55、1.54、1.53、1.52、1.51、1.50、1.48、1.43、1.40、1.37、1.35、1.33、1.31、1.29、1.24、1.23、1.22、1.21、1.19、1.18、1.17、1.15、1.14、1.12、1.06、1.04、1.03、1.01、0.92、0.90、0.88。
【0180】
実施例9
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAリン酸塩
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(75mg)、リン酸(6μL、水中85%w/w)および酢酸t−ブチル(300μL)をバイアル中に添加し、攪拌下で2日間にわたって温度を0〜40℃でサイクルさせた。スラリーを単離し、得られた固体を真空下40℃で60時間乾燥させて標記生成物を得た。
1H NMR(400MHz、CHLOROFORM−d)δppm7.19、7.17、7.10、7.08、6.07、4.81、4.80、4.65、4.62、4.59、4.48、4.46、4.30、4.13、4.11、4.09、4.07、3.65、3.64、3.58、3.54、3.49、3.25、3.23、3.14、2.77、2.75、2.72、2.70、2.51、2.32、2.28、2.16、2.15、2.13、1.96、1.94、1.92、1.89、1.84、1.82、1.80、1.78、1.77、1.61、1.57、1.55、1.53、1.52、1.47、1.45、1.38、1.35、1.25、1.19、1.17、1.16、1.13、1.12、1.10、1.09、1.07、1.05、1.04、1.03、1.02、1.02、0.92、0.90、0.84、0.83、0.81。
【0181】
実施例10
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA非晶質形態
上記実施例1、方法A、方法1と同様の手順に従って得た3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(1.33g)をアセトンに溶解し、次いで、石油エーテルの添加によって沈殿させ、標記生成物(1.2g)を、図3のXRPDパターンによって特徴づけられる非晶質形態として得た。
MS(ES+)m/z:862.47[MH]+。
【0182】
実施例11
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態1
実施例10の非晶質3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(500mg)を、攪拌により室温でアセトニトリル(2.5mL)に溶解した。透明な溶液が得られて1〜2分以内に、物質が沈殿し始めた。懸濁液を室温で1.5時間攪拌した。白色沈殿を真空下で濾過し、アセトニトリル(3×0.5mL)で洗浄し、室温で1時間乾燥させて標記生成物(307mg)形態1を得た。単離した固体物質をXRPD、DSCおよびTGAによって分析した。
【0183】
XRPDの収集条件は、a)に明記した通りであった。形態1のXRPDパターンは図4に示す。図5に示す形態1のDSCは、148.97℃で開始する幅広の吸熱および156.21℃でのピークを示している。図6に示す形態1のTGAは、0.29%の重量損失を示している。
【0184】
実施例12
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態2
実施例10の非晶質3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA(100mg)を脱塩水(1.0mL)に添加した。得られた懸濁液に、アセトン(1mL)を添加したところ、ゴム様物質が得られた。追加量のアセトン(0.4mL)を添加し、わずかに加熱してゴム様物質を溶解した。さらなる脱塩水(0.4mL)を添加した。約90%の透明な溶液を新しいバイアルに移し、次いでそれをパラフィルムで被覆し、室温で維持して結晶化させた。15日後、濾過によって、得られた結晶(単一結晶、小六角形)を単離して標記生成物(23mg)形態2を得た。単離した結晶を大気中、周囲温度で2時間維持し、XRPD、DSCおよびTGAによって分析した。
【0185】
XRPDの収集条件は、a)に明記した通りであった。形態2のXRPDパターンは図7に示す。図8に示す形態2のDSCは、144.79℃で開始する幅広の吸熱および151.65℃でのピークを示している。形態2のTGAは図9に示す。
【0186】
実施例13
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態3
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(700mg)を、メタノール:水50%(3mL)とともにSyn10チューブに入れた。スラリーを攪拌下で4日間にわたって0〜40℃で温度サイクルさせた。固体を濾別し、真空下40℃で一晩乾燥させて標記生成物形態3を得た。単離した固体物質を、1H NMR、XRPDおよびラマンによって分析した。
1H NMR(400MHz、DMSO−D6)は、溶媒ピークの存在を示さなかった。
1H NMR(400MHz、DMSO−D6)δppm0.81(t、J=7.3Hz、3H)、0.89(d、J=6.8Hz、4H)、0.92〜0.99(m、9H)、1.00〜1.05(m、9H)、1.06〜1.13(m、9H)、1.22(s、3H)、1.38(s、1H)、1.66〜1.75(m、1H)、1.75〜1.87(m、2H)、1.91(s、1H)、2.13(d、J=13.9Hz、1H)、2.25(s、3H)、2.31(d、J=15.4Hz、2H)、2.53〜2.62(m、4H)、2.80〜2.87(m、1H)、3.13(s、2H)、3.14〜3.20(m、1H)、3.24(s、3H)、3.27(s、4H)、3.36〜3.44(m、1H)、3.54(d、J=6.6Hz、1H)、3.70(s、1H)、3.85(s、1H)、3.94(d、J=7.3Hz、1H)、4.30〜4.39(m、3H)、4.56(d、J=9.8Hz、1H)、4.77(d、J=4.6Hz、1H)、4.89(dd、J=9.8、2.0Hz、1H)、5.00(d、J=4.9Hz、1H)、7.17(d、J=8.3Hz、1H)。
【0187】
XRPDの収集条件は、b)に明記した通りであった。形態3のXRPDパターンは図10に示す。形態3のラマンスペクトルは図11に示す。
【0188】
実施例14
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態4
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(100mg)およびIPA:水=1:1 v:v(0.5mL)をバイアル中に添加し、攪拌下で5日間にわたって0〜40℃で温度サイクルさせた。得られた溶液を室温で蒸発させて標記生成物形態4を得た。単離した物質を1H NMRおよびラマンによって分析した。
1H NMR(400MHz、DMSO−D6)δppm7.27、6.09、4.89、4.88、4.74、4.71、4.69、4.67、4.58、4.56、4.40、4.23、4.21、4.07、4.05、4.04、4.02、4.00、3.82、3.81、3.80、3.78、3.77、3.75、3.46、3.42、3.34、3.32、3.30、3.25、3.23、3.20、3.17、3.15、2.87、2.86、2.84、2.82、2.80、2.72、2.71、2.69、2.67、2.65、2.62、2.60、2.59、2.46、2.40、2.36、2.26、2.24、2.22、2.20、2.19、2.05、2.03、2.01、1.99、1.95、1.92、1.90、1.88、1.86、1.84、1.65、1.60、1.34、1.32、1.26、1.24、1.23、1.21、1.19、1.17、1.16、1.13、1.12、1.10、1.08、1.06、1.00、0.98、0.92、0.90、0.89、0.01。
形態4のラマンスペクトルを図12に示す。
【0189】
実施例15
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態5
方法A:3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(25mg)をイソプロピルエーテル(500μL)にスラリー化し、振盪下で24時間にわたって0〜40℃で温度サイクルさせた。次いで、温度を20℃に設定し、反応混合物を2日間振盪した。固体を濾別し、真空下で1時間乾燥させて標記生成物形態5を得た。単離した固体物質をラマンによって分析した。形態5のラマンスペクトルを図13に示す。
方法B:3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(25mg)をt−ブチルメチルエーテル(500μL)にスラリー化し、振盪下で24時間にわたって0〜40℃で温度サイクルさせた。次いで、温度を20℃に設定し、追加量の3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(約25mg)をスパチュラで添加して濃厚なスラリーを得、これを20℃で2日間振盪した。固体を濾別し、真空下で1時間乾燥させて、標記生成物形態5を得た。これは実施例15、方法Aで得られた物質と一致するラマンスペクトルに従っていた。1H NMR(400MHz、DMSO−D6)は、溶媒ピークの存在を示さなかった。
1H NMR(400MHz、DMSO−D6)δppm0.81(t、J=7.5Hz、3H)、0.89(d、J=6.8Hz、4H)、0.92〜0.99(m、9H)、1.00〜1.05(m、9H)、1.06〜1.14(m、9H)、1.22(s、3H)、1.31〜1.46(m、1H)、1.63〜1.73(m、1H)、1.75〜1.86(m、2H)、1.87〜1.97(m、1H)、2.11(s、1H)、2.25(s、3H)、2.31(d、J=15.4Hz、2H)、2.59(qd、J=7.2、1.6Hz、4H)、2.84(d、J=6.1Hz、1H)、3.13(s、2H)、3.15〜3.19(m、1H)、3.24(s、3H)、3.25〜3.28(m、4H)、3.35〜3.45(m、1H)、3.54(d、J=6.6Hz、1H)、3.70(s、1H)、3.85(s、1H)、3.96(d、J=7.8Hz、1H)、4.30〜4.40(m、3H)、4.56(d、J=10.0Hz、1H)、4.77(d、J=4.6Hz、1H)、4.89(dd、J=9.9、2.1Hz、1H)、5.00(d、J=4.6Hz、1H)、7.17(d、J=8.1Hz、1H)。
【0190】
実施例16
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態6
酢酸メチル(500μL)中の3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(50mg)の溶液を振盪下で24時間にわたって0〜40℃で温度サイクルさせた。次いで、温度を20℃に設定し、追加量の3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(約50mg)をスパチュラで添加して濃厚なスラリーを得、これを20℃で2日間振盪した。スラリーを濾別し、300μLの飽和濾液を、キャップをして約2℃の冷蔵庫中に1ヶ月間置いて標記生成物形態6を得、これを溶液の慎重なピペット操作によって単離した。ラマンによる分析前に固体を窒素フロー下で短時間乾燥させた。1H NMR(DMSO−d6中)は、溶媒の存在を示さなかった。形態6のベースラインを補正したラマンスペクトルを図14に示す。
【0191】
実施例17
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態7
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(75mg)をHPLCバイアルインサートに入れ、テトラヒドロフラン(1.5mL)を含むHPLCバイアルに入れ、キャップを締め、周囲温度に5日間置いたところ、固体の潮解が引き起こされた。得られた溶液の1/3を新しいHPLCバイアルインサートに入れ、それをn−ヘプタン(1.5mL)を含むHPLCバイアルに入れ、周囲温度に2週間にわたって置いて標記生成物形態7を得、これを溶液の慎重なピペット操作によって単離した。ラマンによる分析前に固体を窒素フロー下で短時間乾燥させた。1H NMR(DMSO−d6中)は、THF(<0.25eq)の存在を示した。形態7のラマンスペクトルを図15に示す。
【0192】
実施例18
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA−形態8
メタノール(500μL)中の3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(200mg)の溶液を振盪下で24時間にわたって0〜40℃で温度サイクルさせた。次いで、温度を20℃に設定し、追加量の3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、形態1(約175mg)をスパーテルで滴加して濃厚なスラリーを得、これを20℃で2日間振盪した。スラリーを濾別し、200μLの濾液をメタノール(200μL)で希釈した。200μLのアリコートを蒸発皿に入れ、蒸発乾固させて標記生成物形態6を得た。単離した物質をラマンによって分析した。形態8のラマンスペクトルを図16に示す。
【0193】
結果
安定性
インビトロ血液および血漿安定性
インビトロ血液および血漿安定性プロトコルに記載の方法論を使用して、実施例1〜3の化合物のインビトロ安定性を測定した。実施例1および3は、24時間にわたって全血中および血漿中の両方において安定であることを示した。24時間後、実施例2は不安定性を示し、約41%の化合物が全血中に残っており、2%未満が血漿中に残っていた(図1A〜C参照)。
【0194】
緩衝液中および生体関連培養液中の安定性
緩衝液中および生体関連培養液中の安定性プロトコルに記載の方法論を使用して、25℃、pH2〜pH8の緩衝液中および37℃の生体関連培養液(SGF pH1.6、空腹時SIF pH6.5および食後SIF pH5.0)中の実施例1〜3の化合物の安定性を24時間測定した。
【0195】
異なる緩衝液中で試験した溶液安定性の結果を表1に示し、生理学的関連培養液中で試験した溶液安定性の結果を表2に示す。
【表2】
【0196】
実施例1および3は、pH2〜8の緩衝液中で安定性を示した。
【0197】
実施例2は、pH7およびpH8の緩衝液中で不安定性を示した。
25℃、pH7の緩衝液中で24時間後、実施例2の78.4%が残っていた。
25℃、pH8の緩衝液中で24時間後、実施例2の44.6%が残っていた。
【0198】
MSデータによると、pH7およびpH8での実施例2の主要な分解生成物は、3’−N−デメチル−4”−O−アクリロイル−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAである(図2参照)。
【表3】
【0199】
実施例1および3は、3つ全ての生体関連培養液中で安定性を示した。
【0200】
実施例2は、生体関連培養液pH1.6のSGFおよびpH6.5の空腹時SIF中で不安定性を示した。
37℃、pH1.6のSGF中で24時間後、実施例2の79.0%が残っていた。
37℃、pH6.5の空腹時SIF中で24時間後、実施例2の63.7%が残っていた。
【0201】
インビトロアッセイ
インビトロプロトコルに記載の方法論を使用して、実施例1〜3の化合物の抗菌剤としてのインビトロ活性を測定した。実施例1および2は、全6菌株に対して測定可能な活性を有さないことが分かった(各々の場合につきMIC>64μg/mL)。実施例3は、抗菌活性を示すことが分かり、Moraxella catarrhalis ATCC23246およびStreptococcus pneumoniae ATCC49619に対して8μg/mLの最小発育阻止濃度(MIC)を有するが、他の4菌株に対しては測定可能な活性を示さなかった(各々の場合につきMIC>64μg/mL)。
【0202】
インビボアッセイ
雄BALB/cJマウスにおける細菌性リポ多糖によって誘発される肺好中球増加症についてのインビボプロトコル(ここおよび前に記載)および/または国際公開WO2006/087644に記載の雄BALB/cJマウスにおける細菌性リポ多糖によって誘発される肺好中球増加症についてのインビボプロトコル中に記載の方法論を使用して、実施例1〜3の化合物の抗炎症剤としてのインビボ活性を測定した。実施例1、2および3は、総細胞数の平均90%を超える阻害を示した。平均して、実施例1は89%超、実施例2は70%超、および実施例3は79%超の、試験化合物200mg/kgの単一用量を腹腔内投与(i.p.)された処理動物のBALF中の好中球数の阻害を示した。
【0203】
全体的特性
実施例1の化合物は、抗炎症性スクリーニングにおいて活性を示し、有意な抗菌活性を有さず、かつ血漿、全血、pH2〜pH8の緩衝液および生体関連培養液中で安定であるという点で、有利な特性を有しており、それがこの化合物を抗炎症剤としての開発に非常に適したものとしている。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
によって表される化合物3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、またはその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)によって表される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
式(I):
【化2】
によって表される、3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの結晶形態である、請求項1に記載の式(I)によって表される化合物。
【請求項5】
2シータ角度の点から表現され、かつ、銅Kα放射線を使用する回折計によって得られるXRPDパターンによって特徴づけられる形態1である、請求項4に記載の式(I)によって表される結晶形態であって、前記XRPDパターンは、それぞれ19.1、15.9、11.5、9.2、8.4、8.0、7.7、7.5、7.2、6.3、5.6、4.8、4.7、4.3、4.2および4.0オングストローム(Å)のd−格子面間隔に対応する、4.6、5.6、7.7、9.6、10.6、11.0、11.6、11.8、12.2、14.1、15.9、18.4、19.0、20.5、21.1および22.0度からなる群から選択される少なくとも5つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる結晶形態。
【請求項6】
2シータ角度の点から表現され、かつ、銅Kα放射線を使用する回折計によって得られるXRPDパターンによって特徴づけられる形態2である、請求項4に記載の式(I)によって表される結晶形態であって、前記XRPDパターンは、それぞれ9.7、9.5、8.5、8.1、7.7、7.4、6.8、6.6、6.0、5.8、5.6、5.4、5.3、4.7、4.6、4.6、4.5および4.3オングストローム(Å)のd−格子面間隔に対応する、9.1、9.4、10.4、10.9、11.5、12.0、13.0、13.4、14.7、15.4、15.7、16.5、16.8、18.7、19.2、19.5、19.8および20.8度からなる群から選択される少なくとも5つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる結晶形態。
【請求項7】
2シータ角度の点から表現され、かつ、銅Kα放射線を使用する回折計によって得られるXRPDパターンによって特徴づけられる形態3である、請求項4に記載の式(I)によって表される結晶形態であって、前記XRPDパターンは、それぞれ16.0、12.1、11.3、9.7、9.4、8.9、8.4、8.1、7.7、7.4、7.0、6.0、5.7、5.6、5.3、5.2、4.9、4.7および4.6オングストローム(Å)のd−格子面間隔に対応する、5.5、7.3、7.9、9.1、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.6、14.8、15.5、15.8、16.6、16.9、18.2、18.9および19.5度からなる群から選択される少なくとも5つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる結晶形態。
【請求項8】
a)式(II):
【化3】
(式中、R1はヒドロキシ保護基であり、R2はアミノ保護基である)によって表される化合物と、式(III):
HOC(O)CH2NR3R4 (III)
(式中、R3およびR4は各々エチルである、またはそれぞれ独立に、エチルに転換できる基である)によって表されるカルボン酸またはカルボン酸の適当な活性化誘導体とを反応させ、引き続いてヒドロキシル保護基R1、アミノ保護基R2をその後に除去し、必要な場合には、−NR3R4基を−N(CH2CH3)2へ転換すること;または
b)式(IV):
【化4】
(式中、Lは適当な脱離基であり、R1はヒドロキシ保護基であり、R2はアミノ保護基である)によって表される化合物と、式(V):
NR3R4 (V)
(式中、R3およびR4は各々エチルである、またはそれぞれ独立に、エチルに転換できる基である)によって表されるアミンとを反応させ、引き続いてヒドロキシル保護基R1、アミノ保護基R2をその後に除去し、必要な場合には、−NR3R4基を−N(CH2CH3)2へ転換すること
を含んでなる、請求項1に記載の化合物を調製する方法。
【請求項9】
被験体の慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚病、全身性エリテマトーデス、全身性炎症反応症候群、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成および前立腺炎症候群から選択される、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患を治療する方法であって、治療上有効量の請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる、方法。
【請求項10】
前記疾患が慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤および/または担体と共に、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含んでなる、医薬組成物。
【請求項12】
医学療法に使用するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚病、全身性エリテマトーデス、全身性炎症反応症候群、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成および前立腺炎症候群から選択される、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患を治療するための薬剤の製造における、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
前記疾患が、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
1つまたは複数のさらなる治療上活性な薬剤を含んでなる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項1】
式(I):
【化1】
によって表される化合物3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、またはその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)によって表される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
式(I):
【化2】
によって表される、3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
3’−N−デメチル−4”−O−(2−ジエチルアミノエタノイル)−6−O−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの結晶形態である、請求項1に記載の式(I)によって表される化合物。
【請求項5】
2シータ角度の点から表現され、かつ、銅Kα放射線を使用する回折計によって得られるXRPDパターンによって特徴づけられる形態1である、請求項4に記載の式(I)によって表される結晶形態であって、前記XRPDパターンは、それぞれ19.1、15.9、11.5、9.2、8.4、8.0、7.7、7.5、7.2、6.3、5.6、4.8、4.7、4.3、4.2および4.0オングストローム(Å)のd−格子面間隔に対応する、4.6、5.6、7.7、9.6、10.6、11.0、11.6、11.8、12.2、14.1、15.9、18.4、19.0、20.5、21.1および22.0度からなる群から選択される少なくとも5つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる結晶形態。
【請求項6】
2シータ角度の点から表現され、かつ、銅Kα放射線を使用する回折計によって得られるXRPDパターンによって特徴づけられる形態2である、請求項4に記載の式(I)によって表される結晶形態であって、前記XRPDパターンは、それぞれ9.7、9.5、8.5、8.1、7.7、7.4、6.8、6.6、6.0、5.8、5.6、5.4、5.3、4.7、4.6、4.6、4.5および4.3オングストローム(Å)のd−格子面間隔に対応する、9.1、9.4、10.4、10.9、11.5、12.0、13.0、13.4、14.7、15.4、15.7、16.5、16.8、18.7、19.2、19.5、19.8および20.8度からなる群から選択される少なくとも5つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる結晶形態。
【請求項7】
2シータ角度の点から表現され、かつ、銅Kα放射線を使用する回折計によって得られるXRPDパターンによって特徴づけられる形態3である、請求項4に記載の式(I)によって表される結晶形態であって、前記XRPDパターンは、それぞれ16.0、12.1、11.3、9.7、9.4、8.9、8.4、8.1、7.7、7.4、7.0、6.0、5.7、5.6、5.3、5.2、4.9、4.7および4.6オングストローム(Å)のd−格子面間隔に対応する、5.5、7.3、7.9、9.1、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.6、14.8、15.5、15.8、16.6、16.9、18.2、18.9および19.5度からなる群から選択される少なくとも5つの位置の2シータ角度(2θ/°)を含んでなる結晶形態。
【請求項8】
a)式(II):
【化3】
(式中、R1はヒドロキシ保護基であり、R2はアミノ保護基である)によって表される化合物と、式(III):
HOC(O)CH2NR3R4 (III)
(式中、R3およびR4は各々エチルである、またはそれぞれ独立に、エチルに転換できる基である)によって表されるカルボン酸またはカルボン酸の適当な活性化誘導体とを反応させ、引き続いてヒドロキシル保護基R1、アミノ保護基R2をその後に除去し、必要な場合には、−NR3R4基を−N(CH2CH3)2へ転換すること;または
b)式(IV):
【化4】
(式中、Lは適当な脱離基であり、R1はヒドロキシ保護基であり、R2はアミノ保護基である)によって表される化合物と、式(V):
NR3R4 (V)
(式中、R3およびR4は各々エチルである、またはそれぞれ独立に、エチルに転換できる基である)によって表されるアミンとを反応させ、引き続いてヒドロキシル保護基R1、アミノ保護基R2をその後に除去し、必要な場合には、−NR3R4基を−N(CH2CH3)2へ転換すること
を含んでなる、請求項1に記載の化合物を調製する方法。
【請求項9】
被験体の慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚病、全身性エリテマトーデス、全身性炎症反応症候群、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成および前立腺炎症候群から選択される、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患を治療する方法であって、治療上有効量の請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物を、そのような治療を必要とする被験体に投与することを含んでなる、方法。
【請求項10】
前記疾患が慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤および/または担体と共に、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含んでなる、医薬組成物。
【請求項12】
医学療法に使用するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫、慢性鼻副鼻腔炎、関節リウマチ、痛風性関節炎、炎症性腸疾患、糸球体腎炎、虚血再潅流による傷害、アテローム性動脈硬化症、乾癬および脈管炎などの皮膚病、全身性エリテマトーデス、全身性炎症反応症候群、敗血症、虚血再潅流障害、酒さ、歯周炎、歯肉過形成および前立腺炎症候群から選択される、好中球浸潤から生じる好中球支配性炎症性疾患および/または好中球の異常細胞機能に関する疾患を治療するための薬剤の製造における、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
前記疾患が、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、気管支炎、気管支拡張症、急性呼吸窮迫症候群、重症のまたはステロイド抵抗性の喘息、気腫および慢性鼻副鼻腔炎から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
1つまたは複数のさらなる治療上活性な薬剤を含んでなる、請求項11に記載の医薬組成物。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2012−516304(P2012−516304A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546833(P2011−546833)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050967
【国際公開番号】WO2010/086349
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050967
【国際公開番号】WO2010/086349
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】
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