説明

抗生物質である結晶フシジン酸の調製

本発明は、フシジン酸の新規な結晶形態を結晶化する方法、フシジン酸の新規な結晶形態を調製および分離する方法、医薬製剤または薬剤の製造における前記方法の使用、並びに細菌感染処置のための前記結晶フシジン酸形態の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フシジン酸の新規な結晶形態、その調製、フシジン酸の新規な結晶形態を含有する医薬組成物、および、感染性疾患の処置における医薬としての前記結晶フシジン酸形態の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
Fusidium coccineumの発酵液から分離することができるフシジン酸[CAS 6990-06-3][Nature, Vol. 193, No. 4819, p. 987, 1962]は、最も抗生物質作用的に活性なフシダンの化合物であり、感染性疾患の治療に臨床的に使用されている唯一のフシダンである。フシジン酸(Fucidin(登録商標))は、急性および難治性の両疾患形態の、重度ブドウ球菌性感染症、特に骨および関節感染症の治療に、臨床的に使用されている(The Use of Antibiotics、第5版、A. KucersおよびN. McK. Bennett編、Butterworth 1997、p.580-587、およびそれに引用されている文献)。
【0003】
【化1】

【0004】
フシジン酸は、ブドウ球菌に対して最も一般的に使用されているが、いくつかの他のグラム陽性種に対しても使用されている。フシジン酸の臨床的有用性はまた、種々の組織におけるその効率的分布、低度の毒性およびアレルギー反応、および他の臨床使用抗生物質との交差耐性の不存在にある。フシジン酸は、ブドウ球菌によって生じる多くの皮膚および眼の感染症の局所療法に広く使用されている。それは、ペニシリン類、エリスロマイシン類またはクリンダマイシンのような一般的な抗生物質と併用して一般に投与される。それは、Clostridium difficileの抑制用のバンコマイシンの代替薬としても使用されている。
【0005】
ブドウ球菌と比較して、いくつかの他のグラム陽性球菌は、フシジン酸に対して、より低い感受性を示す場合が多い。例えば、連鎖球菌種は一般に、フシジン酸感受性がブドウ球菌の100分の1までも低い(前記のKuchersらの文献)。他の感受性細菌は、グラム陽性嫌気性球菌、例えば、PeptococcusおよびPeptostreptococcus spp.、好気性または嫌気性グラム陽性細菌、例えば、Corynebacterium diphtheriae、Clostridium tetani、Clostridium difficileおよびClostridium perfringensを包含する。グラム陰性細菌は、Neisseria spp.およびLegionella pneumophilaを除いて、耐性である。フシジン酸は、細胞内および細胞外M. lepraeの両方に対して極めて有効である。
【0006】
医薬製剤または医薬品において使用される薬物物質または活性医薬成分の固体形態(例えば、結晶形態など)は、異なる固体形態の間での溶解性、溶解速度、吸湿性、生物学的利用能および安定性の違いに基づいて重要である。従って、様々な固体形態(例えば、多形または偽多形など)の存在は薬物製品の特性または品質に影響を及ぼし得る。
【0007】
従って、溶媒和物および水和物を含めて、特定の結晶形態が別の結晶形態よりも好ましくあり得る。そのうえ、ある種の形態が、特定の配合および/または適用に依存して好ましくあり得る。例えば、薬物の特性(例えば、活性成分の溶解速度など)を、ある種の結晶形態またはその混合物を適切に選ぶことによって調整することができる。
【0008】
特定の市販の医薬製剤において、フシジン酸が現在、半水和物として販売されており[ヨーロッパ薬局方5.0のモノグラフを参照のこと]、この半水和物は、これまでに記載されている唯一の半水和物形態である。
【0009】
特許GB930,786は、有機塩基および無機塩基とのフシジン酸の塩、フシジン酸の溶媒和物(すなわち、ベンゼン溶媒和物およびメタノール溶媒和物)を開示する。この特許はさらに、フシジン酸のメタノール溶媒和物をエーテルから結晶化することによって得ることができる、IR吸収帯(KBr)を、1265cm-1、1385cm-1、1695cm-1、1730cm-1および3450cm-1に有し、比旋光度[α]D22が-9度(CHCl3における1%溶液)である特定されていないフシジン酸形態を開示する。しかしながら、この形態は本発明の形態とは異なっており、このことは、この形態が現在販売されている半水和物形態に実際に相当することを示すGB930,786において示されたIRスペクトルから明らかである。
【0010】
フシジン酸の溶媒和物および塩がまた、英国特許GB999,794に開示されている。
特許ES2208110は、形態Iおよび形態IIと呼ばれるフシジン酸の2つの溶媒非含有の結晶形態と、現在販売されている半水和物形態と同一である形態IIIと呼ばれる結晶性の半水和物とをそれぞれ開示する。これらの結晶形態は、IR分光法、示差走査熱量測定法、X線回折および融点によって特定および特徴づけされた。
【0011】
特許WO96/03128は、フシジン酸のナトリウム塩形態を含有する錠剤を開示し、WO86/03966は、懸濁されたフシジン酸の特定されていない形態を含む眼用ゲル組成物を記載する。
【発明の開示】
【0012】
(発明の概要)
本発明は、驚くべきことに、フシジン酸の新規な結晶形態および前記結晶フシジン酸の調製方法を提供する。
【0013】
1つの態様において、本発明は、下記の特徴a)〜k)の1つ以上を示すことによって特徴づけられる結晶フシジン酸に関する:
a)それぞれおよそ3008、2937、2871、1725、1707、1666、1651、1468、1379、1348、1195、1078、1032、972、917、792、745、696、612、569、547、527、463、175、120または86(±3cm-1)における強度ピークの1つ以上を示すフーリエ変換(FT-NIR)ラマンスペクトル;
b)図1に示されるものに実質的に類似するフーリエ変換(FT-NIR)ラマンスペクトル;
c)それぞれおよそ3644、3489、2992、2937、2871、1722、1708、1442、1381、1352、1283、1255、1218、1204、1175、1149、1109、1069、1048、1028、962、941、917、851、828、791、750、690または656(±3cm-1)における減衰全反射ピークの1つ以上を示す減衰全反射フーリエ変換赤外(FTIR-ATR)スペクトル;
d)図2に示されるものに実質的に類似する減衰全反射フーリエ変換赤外(FTIR-ATR)スペクトル;
e)それぞれおよそ10414、8373、7115、6846、6503、5824、4996、4889、4831、4680、4365、4306または4067(±5cm-1)における吸光度ピークの1つ以上を示す近赤外(FT-NIR)スペクトル;
f)図3に示されるものに実質的に類似する近赤外(FT-NIR)スペクトル;
【0014】
g)それぞれおよそ7.2、9.3、9.9、12.6、13.1、14.3、14.7、14.9、15.4、16.7、17.9、18.1、18.5、18.9、19.5、20.8、21.8、22.7、23.5、24.0、24.4、25.3、26.0、26.6、26.8、28.2、28.9または29.7における反射角2θ(±0.1)の1つ以上を示すX線粉末回折図(XRD);
h)図4に示されるものに実質的に類似するX線粉末回折図(XRD);
i)それぞれおよそ173.9、169.3、146.1、137.0、133.3、120.6、76.2、71.1、69.1、49.7、49.4、45.0、39.9、38.5、36.9、35.8、34.5、32.7、30.9、29.5、28.0、26.5、20.7、20.0、18.0または16.9(±0.5)ppmにおける共鳴の1つ以上を示す13C-CP/MAS固体NMRスペクトル;
j)図6に示されるものに実質的に類似する13C-CP/MAS固体NMRスペクトル;
k)1つ以上の下記の単結晶X線回折実験データ:結晶系=単斜晶、空間群=P21、a[Å]=12.2、b[Å]=8.0、c[Å]=13.9、α[°]=90、β[°]=94、γ[°]=90、格子体積[Å3]=1360、または、Z=2。
【0015】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも80%(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%など)の多形純度を有する上記で定義されるような本発明の分離された結晶フシジン酸に関する。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも80%(例えば、%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%など)の結晶度を有する上記で定義されるような本発明の分離されたフシジン酸に関する。
【0017】
さらに別の態様において、本発明は、上記で定義されるような本発明の結晶フシジン酸を含む、フシジン酸の結晶形態(フシジン酸の偽多形を包含する)の混合物または組成物に関する。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は、結晶フシジン酸半水和物をさらに含む、上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸を含む混合物または製剤に関する。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は、フシジン酸半水和物を製造するための本発明のフシジン酸の使用に関する。
【0020】
さらに別の態様において、本発明は、本発明のフシジン酸を好適な溶媒または溶媒混合物において結晶化する工程を含む、結晶フシジン酸半水和物を調製するための方法に関する。
【0021】
さらに別の態様において、本発明は、医療において使用される上記で定義されるような結晶フシジン酸に関する。
【0022】
さらに別の態様において、本発明は、上記で記載されるような結晶フシジン酸を薬学的に許容され得る賦形剤またはビヒクルと一緒に含む医薬組成物に関する。
【0023】
さらに別の態様において、本発明は、上記で記載されるような結晶フシジン酸の有効量を患者に投与することを含み、また、場合により、1つ以上の他の治療活性な化合物の同時投与または逐次投与をさらに含む、患者の感染症を処置、防止または改善する方法に関する。
【0024】
さらに別の態様において、本発明は、感染症の処置、改善または予防のための医薬品を製造するための上記で記載されるような結晶フシジン酸の使用に関する。
【0025】
さらに別の態様において、本発明は、微生物の成長を制御するための上記で記載されるような結晶フシジン酸の使用に関する。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は、動物飼育時における細菌感染症の防止または予防のための上記で記載されるような結晶フシジン酸の使用に関する。
【0027】
さらに別の態様において、本発明は、フシジン酸半水和物を、例えば好適な溶媒またはそのような溶媒の混合物において、脱溶媒和する工程を含む、上記で記載されるような結晶フシジン酸を調製するための方法に関する。
【0028】
さらに別の態様において、本発明は、下記の工程:
e)フシジン酸を、場合により加熱しながら、アセトニトリル、アクリロニトリル、アジポニトリル、ベンゾニトリル、プロパンニトリル、または、前記溶媒の混合物に溶解する工程;
f)工程a)で得られた溶液を冷却または濃縮する工程;
g)本発明の結晶フシジン酸を結晶化させる工程;
h)本発明の結晶フシジン酸を分離する工程
を含む、上記で記載されるような結晶フシジン酸を調製するための方法に関する。
【0029】
さらに別の態様において、本発明は、下記の工程:
j)フシジン酸を、上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸が本質的に不溶性または難溶性である溶媒と混合する工程;
k)工程j)で得られた混合物を場合により加熱しながら貯蔵または撹拌し、その後、懸濁された結晶が上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸から本質的になる懸濁物が得られるまで冷却するする工程;
l)上記で記載されるような結晶フシジン酸を懸濁物から分離する工程
を含む、上記で定義されるような結晶フシジン酸を調製するための方法に関する。
【0030】
さらに別の態様において、本発明は、上記のような請求項のいずれか1つによるフシジン酸を薬学的に許容され得る賦形剤またはキャリアと混合する工程を含む、医薬製剤を調製する方法に関する。
【0031】
(発明の詳細な説明)
結晶化は、化学化合物を精製するための、また、化学化合物の所望される結晶形態を得るための広く知られている技術である。しかしながら、多形の結晶化がいくつかの作用によって影響を受けることが知られており、また、これらの作用の機構は不明であり、操作因子と多形の結晶化特性との間の量的関係は明瞭には理解されていない。
【0032】
多形結晶の結晶化プロセスは、競合的な核形成、成長、および、準安定形態から安定形態への転換から構成される。多形を選択的に結晶化させるためには、結晶化プロセスにおけるそれぞれの素過程の機構が、操作条件および重要な制御要因に対して明瞭な関連にある必要がある[Crystal Growth & Design、2004、Vol. 4、No. 6、1153〜1159]。
【0033】
現在、上記で記載されるような本発明のフシジン酸の新規な結晶性の非溶媒和および無水形態は、熱力学的により安定な多形形態であると考えられている。薬物生成物の熱力学的により安定な結晶形態は、製造プロセス時において、または、最終的な薬物製剤において、他の結晶形態に転換しないので、一般に好ましい[Topics in Current Chemistry、Vol. 198、1998、164〜208]。
【0034】
フシジン酸の既知形態(現在販売されている半水和物を含む)を用いる、活性医薬成分に通常使用される6ヶ月間の標準的な安定性比較研究において、本発明のフシジン酸形態は、最も安定な形態であることが示された:
【0035】
【表1】

カラム:LiChrospher 100 RP-18、5μm、125x4mm、移動相:MeCN:MeOH:0.05M H3PO4(60:10:30)、流速:1.2ml/分、検出器波長:235nm、カラムオーブン:25℃、注入体積:10μl
【0036】
原料となるフシジン酸(例えば、工業用級のフシジン酸など)は、文献で広く知られている方法によって、発酵により調製することができる。フシジン酸の調製ならびにその分離および精製のための方法が、既に例えば、特許ES2204331またはES2208110に、米国特許第3,072,531号に、GB930,786に、デンマーク国特許99802に、W. O. Godtfredsenら、Tetrahedron、1962、Vol.18、pp.1029〜1048に、または、Process Biochemistry(1969年10月)に、または、Biotechnology of Industrial Antibiotics、E. J. Vandamme編、Marcel Dekker, Inc.、New York & Basel 1984、pp.427〜449、および、その引用文献に記載されており、これらのすべてが本明細書に参考として組み込まれる。
【0037】
結晶フシジン酸半水和物は、粗製のフシジン酸または原料となるフシジン酸をエタノールに溶解して、溶液(例えば、20〜30%(w:v)のフシジン酸の溶液など)を得て、その後、結晶粒子が生じるように、前記溶液の水との良好な混合を、23〜28℃で、容器への両溶液の同時および制御された供給により0.9〜1.1の比率で行うことによって調製することができる。
【0038】
析出および核形成時間は、溶質濃度、溶液およびアンチソルベント(水)の流速、ならびに、溶媒およびアンチソルベントの温度を調節することによって変化させることができる。混合物は、完全に移した後、場合により混合を伴って放置することができる。これは例えば、結晶化プロセスを完了させるか、または、より小さい結晶を犠牲にして、より大きな結晶が成長することを可能にすることによって、好ましい結晶サイズ分布を達成(再溶解)するためである。好ましくは、フシジン酸の溶液は、水との混合の前にろ過される。これにより、何らかの異物粒子および望ましくない種晶(例えば、不用意な種晶など)が除かれるからである。好ましくは、溶液およびアンチソルベントは互いに対して等しい割合で移される。このことは、溶液およびアンチソルベントが本質的には一定の比率で混合されることを意味する。結晶化が起こる速度は供給速度に依存する。好ましくは、溶液および水の移送は連続的であり、本質的には直線的である。結晶フシジン酸半水和物の粒子を、簡便な技術によって、例えばろ過および/または遠心分離、好ましくはろ過によって分離することができる。結晶化混合物の種晶は、所望される半水和物結晶を得るために必ずしも必要でない場合がある。これは、上記の条件のもとでの結晶化が、速度論的に有利である結晶形態の自然核形成として生じるという事実のためであるかもしれない。しかしながら、半水和物結晶による種晶は、プロセス条件に依存して、半水和物結晶の物理的特性(例えば、結晶サイズなど)を改善するために使用することができる。
【0039】
上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸を調製するために、フシジン酸(例えば、上記で記載されるようなフシジン酸半水和物など)を、適切な溶媒に、例えば使用された溶媒の沸点まで場合により加熱しながら溶解することができる。溶解は、溶液を与えるように完全であるか、または、懸濁物もしくはスラリーを与えるように部分的でありうる。溶媒和物または水和物が使用されるとき、このプロセスは、溶媒または水和水が除かれる脱溶媒和プロセスとよばれる。適切な溶媒には、例えば、前記フシジン酸半水和物、または、別の形態の出発フシジン酸をそれぞれ溶解することができ、かつ、上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸が本質的に不溶性または難溶性である溶媒が含まれる。懸濁物または溶液はさらに、溶解プロセス後、使用された溶媒に依存して、高い温度で加熱または保持することができる。これにより、例えば、懸濁物が得られていたならば、本発明の無水フシジン酸形態への転換がより速く完了し得ることを確実にすることができる。使用する溶媒および温度に依存して、本発明の結晶フシジン酸が溶液から析出し得るか、または、ある時間の後、懸濁した結晶が本質的に本発明の結晶フシジン酸形態からなり得る。典型的には、転換または脱溶媒和はそれぞれ、アルコールおよび水の混合物(例えば、メタノールまたはエタノールおよび水の混合物など)において50℃で3〜4時間後に完了させることができ、あるいは、同じ混合物において60℃または70℃で2〜3時間後に完了させることができる。冷却または溶媒蒸発を、生成物の析出を誘導するために、または生成物の収率を高めるために行ってもよく、生成物は、例えばろ過によって分離することができる。
【0040】
さらに、本発明の結晶フシジン酸は、好適な溶媒(例えば、アセトニトリル、アクリロニトリル、アジポニトリル、ベンゾニトリルおよびプロパンニトリル、または、前記溶媒の混合物からなる群から選択される溶媒など)からの結晶化によって調製することができ、この場合フシジン酸を、通常は(例えば前記溶媒の沸点などへ)加熱しながら溶解し、通常は溶液を(例えば周囲温度、例えば5〜30℃、例えば10〜15℃、例えば20〜25℃などに)冷却した後で、または、溶液を(例えば溶媒蒸発により)濃縮した後で、本発明の結晶フシジン酸が結晶化する。フシジン酸は通常、本質的に結晶化プロセスの前に溶解されるので、フシジン酸の任意の固体形態または結晶形態を出発物質として使用することができ、これらには、本願または本明細書中に引用される参考文献に記載されるすべての多形、溶媒和物またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
さらに、本発明の結晶フシジン酸は、フシジン酸(任意の多形またはその混合物を含む)を、上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸が本質的に不溶性または難溶性である溶媒(例えば、水、エタノール、メタノールおよび水の混合物、アセトニトリル、ギ酸エチル、または、前記溶媒の混合物など)と混合することによって調製することができる。
【0042】
混合物は、出発固体形態の溶解性、溶媒量(濃度)および/または温度に依存して、溶液または懸濁物のいずれかであり得る。時間とともに、例えば貯蔵によって(好ましくは撹拌を伴う)、本発明の熱力学的により安定な結晶形態が形成され得、これを、例えばろ過によって懸濁物から分離することができる。完全な転換のために必要な時間は、温度、最初の固体形態(例えば、結晶形態)、溶媒などに依存して変化し得る。結晶の転換を高めるために、懸濁物は、例えば溶媒の沸点などに加熱することができ、その後、本発明の析出したフシジン酸の量を増大させるために、例えば周囲温度(例えば5〜30℃、例えば10〜15℃、例えば20〜25℃など)に冷却することができ、本発明の析出したフシジン酸はろ過することができる。
【0043】
加熱および冷却の代わりに、希薄溶液を、結晶化が起こる濃度を超えて濃縮することによって、結晶化を達成することもできる。
【0044】
異なる結晶形態は溶解性および溶解プロフィールが異なるので、同じ薬学的活性成分の1つ以上の結晶形態の混合物を製剤からのある特定の放出プロフィールを達成するために都合よく使用することができる。従って、例えば、持続放出製剤などのための最適化された特性を有する組成物を得るために、物理化学的特性(例えば、製剤の生物学的利用能など)を、様々な結晶形態の適切な混合によって調整することができる。
【0045】
(実施形態)
より具体的な態様において、本発明は、上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸を含む、フシジン酸の結晶形態の混合物に関し、この場合、フシジン酸の結晶形態の混合物は本質的に結晶フシジン酸半水和物からなる。
【0046】
さらに別のより具体的な態様において、本発明は、上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸を含む、フシジン酸の結晶形態の混合物に関し、この場合、フシジン酸の結晶形態の混合物は、下記の特徴t)またはu):
t)それぞれおよそ973、1253、1377、1721または3559(±3cm-1)における1つ以上の顕著な吸収帯を有する赤外(FT-IR)スペクトル(KBr);または
u)それぞれおよそ2.1、6.8、9.4、10.4、11.8、12.8、13.7、14.2、15.8、17.3、18.5または22.9の2θ値(±0.1)に存在する、最大ピークに関して20%を越える1つ以上の特徴的な強度ピークを有するX線粉末回折図(XRD)
の一方または両方を示すことによって特徴づけられる結晶フシジン酸を含む。
【0047】
さらに別のより具体的な態様において、本発明は、上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸を含む、フシジン酸の結晶形態の混合物に関し、この場合、フシジン酸の結晶形態の混合物は、下記の特徴v)またはw):
v)それぞれおよそ976、1255、1377、1697、1721(±3cm-1)における1つ以上の顕著な吸収帯を有する赤外(FT-IR)スペクトル(KBr);または
w)それぞれおよそ8.8、11.5、13.6、14.4または17.4の2θ値(±0.1)に存在する、最大ピークに関して20%を越える1つ以上の特徴的な強度ピークを有するX線粉末回折図(XRD)
の一方または両方を示すことによって特徴づけられる結晶フシジン酸を含む。
【0048】
本明細書中に記載される本発明の結晶フシジン酸を含む、フシジン酸の結晶形態の混合物はどれも、非結晶フシジン酸またはフシジン酸の誘導体を含めて、他の構成要素または成分をさらに含むことができる。
【0049】
特徴t)またはu)、特徴v)またはw)の一方または両方をそれぞれ示すことによって特徴づけられる結晶フシジン酸、あるいは、結晶フシジン酸半水和物は、特許ES2208110(これは本明細書に参考として組み込まれる)に開示される方法に従って調製することができる。
【0050】
さらに別のより具体的な態様において、本発明は、70〜99.99(mol%)、例えば90〜99.9(mol%)、例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8または99.9(mol%)の結晶フシジン酸半水和物を含み、さらに、0.01〜30(mol%)、例えば0.1〜10(mol%)、例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30(mol%)の上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸を含む、フシジン酸の結晶形態の混合物に関する。
【0051】
さらに別のより具体的な態様において、本発明は、X線粉末回折図(XRD)において最大強度ピークに関して30%を越える、およそ22.7(±0.1)の反射角(2θ)を示し、X線粉末回折図(XRD)において最大強度ピークに関して5%を越える、10.2〜12.0(±0.1)の範囲の反射角(2θ)を示さないことによって特徴づけられ、および/または、フーリエ変換(FT-NIR)ラマンスペクトルにおいて最大強度ピークに関して10%を越える、1743(±1cm-1)における強度ピークを示さないことによって特徴づけられるフシジン酸の多形に関する。
【0052】
本発明の結晶フシジン酸は、哺乳動物を包含する患者、特にヒト患者の感染を治療、予防または軽減するのに有用である。本発明の化合物で処置しうる動物はとりわけ、家畜、例えばウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、家禽、魚、ネコ、イヌおよび動物園動物を包含する。本発明の結晶フシジン酸は、細菌感染、例えば皮膚感染もしくは二次皮膚感染、または眼感染の処置に特に有用でありうる。本発明の結晶フシジン酸はさらに、単純膿腫、膿痂疹性病変、フルンケルまたはセルライトの処置にも有用でありうる。本発明の結晶フシジン酸は、接触感染性の皮膚表面感染、例えば非水泡性膿痂疹(伝染性膿痂疹)または水泡性膿痂疹の処置(例えば局所的処置)に特に有用でありうる。
【0053】
したがって、本発明は、細菌感染を治療、予防または軽減する方法であって、有効量の結晶フシジン酸を、場合により他の処置活性化合物と共に患者に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0054】
そのような他の処置活性化合物の例は、次のものを包含する:抗生物質、例えばβ−ラクタム、例えばペニシリン系(フェノキシメチルペニシリン、ベンジルペニシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、ピバンピシリン、フルクロキサシリン、ピペラシリンおよびメセリナム(mecellinam))、セファロスポリン系(セファレキシン、セファロチン、セフェピム、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアゾンおよびセフロキシム)、モノバクタム系(アズトレオナム)およびカルバペネム系(メロペネム);マクロライド系(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシンおよびロキシスロマイシン);ポリミキシン系(コリスチン);テトラサイクリン系(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびリメサイクリン(lymecyclin));アミノグリコシド系(ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシンおよびネチルマイシン);フルオロキノロン系(ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシンおよびモキシフロキサシン);クリンダマイシン、リンコマイシン、テイコプラニン、バンコマイシン、オキサゾリドン系(リネゾリド)、リファマイシン、メトロニダゾールおよびフシジン酸。とりわけ局所的処置のために、本発明の化合物と組み合わせるのが有利でありうる他の化合物は、例えば、コルチコステロイド、例えばヒドロコルチゾン、ベタメタゾン-17-バレレートおよびトリアムシノロンアセトニドを包含する。結晶フシジン酸と他の化合物とは同時に投与しても、逐次に投与してもよい。
【0055】
本発明の結晶フシジン酸はさらに、動物の細菌感染の防止または予防にも有用であり、したがって、家畜、例えば哺乳動物、例えばウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、家禽、魚、ネコ、イヌおよび動物園動物を飼育する際にも有用である。
【0056】
処置に使用するためには、本発明の結晶フシジン酸を通例、医薬組成物の形態とする。したがって本発明は本明細書に記載する結晶フシジン酸を、場合により他の処置活性化合物と共に、医薬的に許容できる賦形剤または担体と共に含む医薬組成物に関する。賦形剤は、その組成物の他の成分と適合し、その受容者にとって有害でないという意味で、「許容できる」ものでなければならない。好ましくは、活性成分は製剤の0.05〜99.9重量%を占める。
【0057】
製剤には、例えば経口投与(徐放性または持効性を含む)、経直腸投与、非経口投与(皮下、腹腔内、筋肉内、関節内および静脈内投与を含む)、経皮投与、経眼投与、局所投与、経鼻投与または経口腔粘膜投与に適した形状を持つものなどが包含される。
【0058】
製剤は用量単位形で提供するとよく、例えばRemington「The Science and Practice of Pharmacy」第20版、2000年に開示されているような、薬学分野で周知の任意の方法によって製造することができる。どの方法にも、1つまたは複数の補助成分を構成する担体と活性成分とを混合する工程が含まれる。一般に製剤は、活性成分を液状担体もしくは微細固形担体またはその両者と均一かつ充分に混合した後、必要であればそれを所望の製剤に造形することによって製造される。
【0059】
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれが所定の量の活性成分を含むカプセル剤、分包剤、錠剤または口中錠などの個々の単位の形、または散剤もしくは顆粒剤の形、または水性もしくは非水性液体(例えばエタノールまたはグリセロール)中の溶液剤もしくは懸濁液剤の形、または水中油型エマルションもしくは油中水型エマルションの形をとることができる。これらの油は例えば綿実油、ゴマ油、ヤシ油またはラッカセイ油などの食用油であることができる。水性懸濁液剤用の好適な分散または懸濁化剤には、合成または天然ゴム、例えばトラガカント、アルギナート、アラビアゴム、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマーおよびポリビニルピロリドンなどがある。活性成分はボーラス、舐剤またはペースト剤の形で投与することもできる。
【0060】
錠剤は、活性成分を、要すれば1つまたは複数の補助成分と共に圧縮または成形することによって製造することができる。圧縮錠剤は、粉末または顆粒などの流動性活性成分を、要すれば結合剤(例えばラクトース、グルコース、デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカントゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロール、ポリエチレングリコール、ロウなど)、滑沢剤(例えばオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなど)、崩壊剤(例えばデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドンなど)または分散剤(例えばポリソルベート80など)と混合して、適切な機械で圧縮することによって製造することができる。湿製錠剤は、不活性液状希釈剤で湿らせた粉末状の活性成分と適切な担体との混合物を、適切な機械で成形することによって製造することができる。
【0061】
経直腸投与用の製剤は、本発明の化合物が低融点の水溶性または水不溶性固体、例えばカカオ脂、水素化植物油、ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの脂肪酸エステルなどと混合されている坐剤の形をとることができ、一方、エリキシル剤はパルミチン酸ミリスチルを使って製造することができる。
【0062】
非経口投与に適した製剤は活性成分の滅菌油性または水性調製物からなるとよく、これは受容者の血液と等張性であること、すなわち等張食塩水、等張グルコース溶液または緩衝溶液などが好ましい。製剤は、例えば細菌保持膜を通した濾過、製剤への滅菌剤の添加、製剤の放射線照射、または製剤の加熱などによって、便利に滅菌することができる。例えば「Encyclopedia of Pharmaceutical Technology」第9巻, 1994などに開示されているリポソーム製剤も非経口投与に適している。もう一つの選択肢として、結晶フシジン酸半水和物は、使用直前に滅菌溶媒に容易に溶解する滅菌固体調製物、例えば凍結乾燥粉末として提供することもできる。
【0063】
経皮製剤は硬膏またはパッチ剤の形をとることができる。経眼投与に適した製剤は、微結晶型をとりうる活性成分の滅菌水性調製物の形、例えば水性微結晶懸濁液剤の形を取ることができる。例えば「Encyclopedia of Pharmaceutical Technology」第2巻, 1989などに開示されているリポソーム製剤または生分解性ポリマー系も、活性成分を経眼投与するために使用することができる。
【0064】
局所投与または経眼投与に適した製剤としては、液状または半液状の製剤、例えばリニメント剤、ローション剤、ゲル剤、アプリカント剤、水中油型もしくは油中水型エマルション、例えばクリーム剤、軟膏もしくはペースト剤など、または溶液剤もしくは懸濁液剤、例えば滴剤などが挙げられる。
【0065】
経鼻投与または経口腔粘膜投与に適した製剤には、散剤、自噴式製剤、およびスプレー製剤、例えばエアロゾルおよびアトマイザーなどがある。そのような製剤は、Modern Pharmaceutics, 第2版, G.S. BankerおよびC.T. Rhodes(編), 第427-432頁, Marcel Dekker, ニューヨーク;Modern Pharmaceutics, 第3版, G.S. BankerおよびC.T. Rhodes(編), 第618-619および718-721頁, Marcel Dekker, ニューヨーク;およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, 第10巻, J SwarbrickおよびJ.C. Boylan(編), 第191-221頁, Marcel Dekker, ニューヨークに、より詳細に記載されている。
【0066】
結晶フシジン酸半水和物の製剤は、上述した成分の他に、1つまたは複数の追加成分、例えば希釈剤、緩衝剤、着香剤、着色剤、界面活性剤、増粘剤、ヒドロキシ安息香酸メチルなどの保存剤(酸化防止剤を含む)、乳化剤などを含むことができる。
【0067】
処置に対する応答が速やかであることが望ましい状態の処置においては特に、非経口製剤が有用である。感染性疾患患者の継続的処置においては、錠剤またはカプセルが、その薬物(特に徐放性錠剤の形態で)の経口投与によってもたらされる持続的効果の故に、適当な医薬製剤形態でありうる。
【0068】
上述のように、本発明の組成物は、感染性疾患の処置において本発明の化合物と共に適切に投与することのできる他の処置活性成分、例えば他の適当な抗生物質、特に活性を増強しおよび/または耐性発現を抑制しうる抗生物質を含有しうる。コルチコステロイドを本発明の組成物に含めることも有益でありうる。
【0069】
特にそのような他の活性成分は、次のものを包含しうる:β−ラクタム、例えばペニシリン系(フェノキシメチルペニシリン、ベンジルペニシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、ピバンピシリン、フルクロキサシリン、ピペラシリンおよびメセリナム)、セファロスポリン系(セファレキシン、セファロチン、セフェピム、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアゾンおよびセフロキシム)、モノバクタム系(アズトレオナム)およびカルバペネム系(メロペネム);マクロライド系(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシンおよびロキシスロマイシン);ポリミキシン系(コリスチン);テトラサイクリン系(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびリメサイクリン);アミノグリコシド系(ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシンおよびネチルマイシン);フルオロキノロン系(ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシンおよびモキシフロキサシン);クリンダマイシン、リンコマイシン、テイコプラニン、バンコマイシン、オキサゾリドン系(リネゾリド)、リファマイシン、メトロニダゾールおよびフシジン酸。とりわけ局所的処置のために、本発明の化合物と組み合わせるのが有利でありうる他の化合物は、例えば、コルチコステロイド、例えばヒドロコルチゾン、ベタメタゾン-17-バレレートおよびトリアムシノロンアセトニドを包含する。
【0070】
他の処置活性化合物は、その処置活性化合物を同時投与または逐次投与するのに適した同一または別個の容器に入れることができる。
【0071】
感染性疾患の処置に際しては、しばしば、処置を実際に開始する前に、処置に対してその疾患が抵抗性または不応性であるかを調べる。例えば、患者から感染性微生物を含有する試料(例えば血液または尿)を採ることができ、その後その試料を培養し、処置に付して、該感染性微生物が処置に応答するかを調べる。したがって、本発明は、ある微生物に対して有効な化合物を同定する方法であって、上記の本発明の結晶フシジン酸を、場合により他の処置活性剤と共に、微生物に投与し、その微生物に対し該化合物または化合物混合物が毒性作用または抑制作用を示すかどうか調べることを含んで成る方法をも提供する。
【0072】
本発明の組成物は医薬に限定されず、非医療的にも微生物増殖の抑制に使用することができる。例えば、本発明の組成物または化合物は、(例えば発酵過程において)微生物増殖を抑制する添加剤として有用でありうる。例えば、抗微生物剤はその選択性の故に、複数の種の培養において特定の微生物の増殖を促進し他の微生物は抑制するのに有用である。
【0073】
さらに別のより具体的な態様において、本発明は、上記の本発明の結晶フシジン酸を、医薬的に許容できる賦形剤またはビヒクルと共に含有し、さらに抗生物質およびコルチコステロイドから成る群から選択されるさらなる処置活性化合物をも含有する医薬組成物に関する。
【0074】
さらに別のより具体的な態様において、本発明は、上記の本発明の結晶フシジン酸を、医薬的に許容できる賦形剤またはビヒクルと共に含有し、さらに下記化合物から成る群から選択されるさらなる処置活性化合物をも含有する医薬組成物に関する:ペニシリン系(フェノキシメチルペニシリン、ベンジルペニシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、ピバンピシリン、フルクロキサシリン、ピペラシリンおよびメセリナム)、セファロスポリン系(セファレキシン、セファロチン、セフェピム、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアゾンおよびセフロキシム)、モノバクタム系(アズトレオナム)およびカルバペネム系(メロペネム);マクロライド系(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシンおよびロキシスロマイシン);ポリミキシン系(コリスチン);テトラサイクリン系(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびリメサイクリン);アミノグリコシド系(ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシンおよびネチルマイシン);フルオロキノロン系(ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシンおよびモキシフロキサシン);クリンダマイシン、リンコマイシン、テイコプラニン、バンコマイシン、オキサゾリドン系(リネゾリド)、リファマイシン、メトロニダゾール、フシジン酸、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン-17-バレレートおよびトリアムシノロンアセトニド。
【0075】
さらに別のより具体的な態様において、本発明は、患者の感染を治療、予防または軽減する方法であって、患者に上記の本発明の結晶フシジン酸を有効量で投与し、場合により、抗生物質およびコルチコステロイドから成る群から選択される1種またはそれ以上のさらなる処置活性化合物をも同時または逐次に投与することを含んで成る方法に関する。
【0076】
さらに別のより具体的な態様において、本発明は、患者の感染(例えば細菌感染)を治療、予防または軽減する方法であって、患者に上記の本発明の結晶フシジン酸を有効量で投与し、場合により、下記化合物から成る群から選択される1種またはそれ以上のさらなる処置活性化合物をも同時または逐次に投与することを含んで成る方法に関する:ペニシリン系(フェノキシメチルペニシリン、ベンジルペニシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、ピバンピシリン、フルクロキサシリン、ピペラシリンおよびメセリナム)、セファロスポリン系(セファレキシン、セファロチン、セフェピム、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアゾンおよびセフロキシム)、モノバクタム系(アズトレオナム)およびカルバペネム系(メロペネム);マクロライド系(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシンおよびロキシスロマイシン);ポリミキシン系(コリスチン);テトラサイクリン系(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびリメサイクリン);アミノグリコシド系(ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシンおよびネチルマイシン);フルオロキノロン系(ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシンおよびモキシフロキサシン);クリンダマイシン、リンコマイシン、テイコプラニン、バンコマイシン、オキサゾリドン系(リネゾリド)、リファマイシン、メトロニダゾール、フシジン酸、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン-17-バレレートおよびトリアムシノロンアセトニド。
【0077】
さらに別のより具体的な態様において、本発明は、感染(例えば細菌感染)を治療、軽減または予防する医薬を製造するための上記の本発明の結晶フシジン酸の使用であって、医薬が、同時または逐次投与に適した同一または別個の容器に入ったさらなる処置活性化合物をも含有する使用に関する。
【0078】
さらに別のより具体的な態様において、本発明は、感染(例えば細菌感染)を治療、軽減または予防する医薬を製造するための上記の本発明の結晶フシジン酸の使用であって、医薬が、同時または逐次投与に適した同一または別個の容器に入ったさらなる処置活性化合物をも含有し、該処置活性化合物は下記化合物から成る群から選択される使用に関する:ペニシリン系(フェノキシメチルペニシリン、ベンジルペニシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、ピバンピシリン、フルクロキサシリン、ピペラシリンおよびメセリナム)、セファロスポリン系(セファレキシン、セファロチン、セフェピム、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアゾンおよびセフロキシム)、モノバクタム系(アズトレオナム)およびカルバペネム系(メロペネム);マクロライド系(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシンおよびロキシスロマイシン);ポリミキシン系(コリスチン);テトラサイクリン系(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびリメサイクリン);アミノグリコシド系(ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシンおよびネチルマイシン);フルオロキノロン系(ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシンおよびモキシフロキサシン);クリンダマイシン、リンコマイシン、テイコプラニン、バンコマイシン、オキサゾリドン系(リネゾリド)、リファマイシン、メトロニダゾール、フシジン酸、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン-17-バレレートおよびトリアムシノロンアセトニド。
【0079】
本発明のフシジン酸は、知られている多形形態との比較で、好都合な貯蔵安定性を有し得る。従って、粗製フシジン酸の製造バッチ物を、貯蔵期間中の分解を制限するために、本発明の結晶形態に転換することができる。次いで、例えば、フシジン酸半水和物を含む現在好ましい医薬製剤を製造する直前に、本発明のフシジン酸のより安定な無水形態および溶媒非含有形態を、現在販売されている半水和物形態に都合よく転換することができる。実施例に記載される方法を含めて、本発明のフシジン酸の転換または合成のために本願において開示される方法では、フシジン酸の任意の多形形態を出発物質として使用することができる。
【0080】
さらに別のより具体的な態様において、本発明は、下記の工程:
a)場合により加熱しながら、フシジン酸半水和物を、前記フシジン酸半水和物を溶解することができ、かつ、本発明の結晶フシジン酸が本質的に不溶性または難溶性である溶媒(例えば、水混和性有機溶媒など)に溶解または懸濁して、懸濁物または溶液を得る工程;
b)場合により前記懸濁物または溶液を加熱するか、あるいは、前記懸濁物または溶液を工程a)における加熱後の高温に保つ工程;
c)場合により前記懸濁物または溶液を冷却または濃縮する工程;
d)本発明の結晶フシジン酸を分離する工程
を含む、上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸を調製するための方法に関する。
【0081】
さらに別の実施形態において、上記の本発明の結晶フシジン酸の調製方法で工程a)において使用される溶媒は、ギ酸のアルキルエステル(例えば、ギ酸エチルなど)、C1〜C4アルコール(例えば、エタノールなど)、C1〜C4アルキルアセテート、アセトニトリル、アセトン、または、それらの混合物、または、前記溶媒と水との混合物(最も好ましくは、エタノールおよび水の混合物(例えば、50:50(v:v))、または、メタノールおよび水の混合物(例えば、50:50(v:v)))である。
【0082】
さらに別の実施形態において、上記の本発明の結晶フシジン酸の調製方法で工程a)において使用される溶媒は、フシジン酸半水和物を溶解する工程の間、約50℃に加熱される。
【0083】
さらに別の実施形態において、懸濁物または溶液は、冷却および結晶フシジン酸半水和物分離の前に、上記の工程b)において約50℃で3〜4時間保たれる。
【0084】
さらに別の実施形態において、懸濁物または溶液は、結晶フシジン酸半水和物の分離の前に、上記の工程c)において約0〜10℃に冷却される。
【0085】
さらに別の実施形態において、フシジン酸半水和物は、透明な溶液が得られるまで、上記の工程a)において加熱により完全に溶解され;場合により、前記懸濁物または溶液は工程a)における加熱後の高温に保たれ;その後、上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸が析出するまで、上記の工程c)において冷却される。
【0086】
さらに別のより具体的な態様において、本発明は、下記の工程:
e)フシジン酸を、加熱しながら、アセトニトリル、アクリロニトリル、アジポニトリル、ベンゾニトリル、プロパンニトリル、または、前記溶媒の混合物に溶解する工程;
f)工程e)で得られた溶液を5〜30℃(例えば、20〜25℃など)に冷却する工程;
g)上記で記載されるような本発明による結晶フシジン酸を結晶化させる工程;
h)上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸を単離する工程
を含む、上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸を調製するための方法に関する。
【0087】
さらに別のより具体的な態様において、本発明は、下記の工程:
j)フシジン酸を、水、エタノール、メタノールおよび水の混合物、アセトニトリル、ギ酸エチル、または、前記溶媒の混合物と混合する工程;
k)工程j)で得られた混合物を場合により加熱しながら撹拌し、その後、懸濁された結晶が上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸から本質的になる懸濁物が得られるまで冷却する工程;
l)上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸を懸濁物から分離する工程
を含む、上記で記載されるような本発明の結晶フシジン酸を調製するための方法に関する。
【0088】
(定義)
用語「多形純度」には、他の多形結晶形態および偽多形結晶形態に対する純度が含まれる。
【0089】
用語「C1〜C4アルコール」には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、tert-ブタノールおよび2-ブタノールが含まれる。
【0090】
用語「C1〜C4アルキルアセテート」には、酢酸エチル、酢酸tert-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-プロピル、酢酸2-ブチル、酢酸1-ブチル、酢酸メチルが含まれる。
【0091】
本発明との関連における用語「エタノール」には、すべての市販されている規格のエタノール、例えば、無水エタノール、または、水を含有する(典型的には4〜5%の水を含有する)共沸蒸留から得られるエタノール(これが一般にアルコールと呼ばれる)が含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
用語「多形」は、化学量論的量または非化学量論的量の溶媒を有する溶媒和物、および、化学量論的量または非化学量論的量の水を有する水和物を含めて、すべての固体形態、例えば、非晶質固体または固体結晶形態を包含する。
用語「結晶形態」は、すべての結晶度における結晶多形を包含する。
【0093】
(実験)
分析方法
X線粉末回折:回折図を、STOE&CIE GmbHから得られるSTADI-P装置において3〜30度の2θの範囲で得た[回折計:透過;モノクロメーター:湾曲ゲルマニウム(111);波長:1.540598Cu;検出器:一次元PSD;走査モード:透過/移動PSD/固定ω;走査タイプ:2θ:ω]。
【0094】
FTIR分光法(減衰全反射フーリエ変換赤外分光法):スペクトルを、SPECACから得られるGoldenGate ATRユニットを備えたFTIR装置で記録した。
FT-IRをNICOLET Avatar 360 FT-IR装置においてKBrペレットで行うことができる。
ラマン分光法:スペクトルを、Brukerから得られるFTNIR-ラマン装置RFS100/Sで記録した。
NIR反射分光法:スペクトルを、Brukerから得られるFTIR装置Equinox 55に接続された光ファイバープローブを使用して記録した。
【0095】
13C-CP/MAS(交差分極/マジック角回転)固体状態核磁気共鳴(NMR)スペクトル(微粉砕サンプル)を、13Cについて75.42MHzで稼動する、7.04Tの磁場強度を有するVarian Unity-INOVA NMR分光計により取得した。5.0kHzのスピン周波数を使用する5mmの手製CP/MAS TLT(透過線調整)プローブを使用した。13Cスペクトルを、周囲温度で、1.2msの接触時間、4秒の緩和時間、10μsecのドゥエル時間、50kHzのスペクトル幅を使用する標準的な交差分極パルスシーケンスを使用して得た。プロトンデカップリングを、110kHzのデカップリング場強度を使用して行った。5mmのSi3N4ローターは110μlのサンプル体積を有し、103mgの物質を含有した。総取得時間は21.5時間であった。
【0096】
スペクトルを、ゼロフィリング(32Kリアルポイント)、指数乗、および、30Hzの線幅拡大により処理した。スペクトルはTMSの外部標準を参照した。化学シフトがTMSの外部標準に対してppm単位で示される。
【0097】
分光学的特徴についての本願における示された誤差範囲は、請求項における誤差範囲を含めて、分光学の当業者には広く知られている要因に多少依存することがあり、また、例えば、サンプル調製(例えば、粒子サイズ分布など)、または、結晶形態が製剤の一部であるかどうか、製剤の組成、ならびに、装置の変動および他の要因に依存し得る。±5の誤差範囲には、±5、±4、±3、±2、±1、±0.5、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2および±0.1の変化が含まれるが、これらに限定されない;±3の誤差範囲には、±3、±2、±1、±0.5、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2および±0.1の変化が含まれるが、これらに限定されない;±1の誤差範囲には、±0.9、±0.8、±0.7、±0.6、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2および±0.1の変化が含まれるが、これらに限定されない;±0.2の誤差範囲には、±0.2、±0.15、±0.1、±0.09、±0.08、±0.07、±0.06、±0.05、±0.04、±0.03、±0.02および±0.01の変化が含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
単結晶X線回折:単結晶データをSiemens SMART CCD Platformで得た(実験の詳細および詳細な結果は下記を参照のこと)。
【0099】

【0100】

【0101】

【0102】

【0103】
(すべての反射に対するF2の精密化。重みつきR因子wRおよび適合度SはF2に基づいており、通常のR因子RはFに基づいており、ただし、Fは負のF2についてはゼロに設定される。F2>2σ(F2)の閾値表現が、R因子(gt)などを計算するためにだけ使用され、精密化のための反射の選択には関連しない。F2に基づくR因子は統計学的には、Fに基づくR因子の約2倍の大きさであり、すべてのデータに基づくR因子は一層より大きくなりうる。;)
【0104】

【0105】

【0106】

【0107】

【0108】

【0109】

【0110】
(すべてのesd(2つの1.s.面間の二面角におけるesdを除く)を、完全な共分散行列を使用して推定する。格子esdを、距離、角度およびねじれ角におけるesdの推定において個々に考慮する。格子パラメータのesd間の相関は、それが結晶対称によって規定されるときにだけ用いる。格子esdの近似(等方性)処理を、1.s.面に関するesdを推定するために用いる。;)
【0111】

【0112】

【0113】

【0114】
本発明には、手順における1つ以上の工程が省略される実施形態、1つ以上のさらなる工程が付加される実施形態、および/または、工程の順序が変更または逆にされる実施形態が含まれる。本明細書中に記載されるすべての例は非限定的なものであると考えなければならない。
【0115】
本発明は、記載された特定の実施形態に限定されないことを理解しなければならない。そのような実施形態は当然のこととして変更し得るからである。本明細書中で使用される用語法は、特定の実施形態を記載するという目的のためにだけあり、限定することを意図しないこともまた理解しなければならない。
【0116】
本発明に関連して、それぞれの開示された値は、任意の他の値を含む範囲の上限または下限を表し得る。ある範囲の値が示される場合、その範囲の上限および下限の間に入る値(内容が明らかに別のことを示さない限り、下限の単位の1/10まで)、および、その言及された範囲内の任意の他の言及された値または範囲に入る任意の他の値、が本発明の範囲に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限が、そのより小さい範囲に独立して含まれることがあり、また、本発明の範囲に包含される(言及された範囲における任意の具体的に除外される範囲には制約される)。言及された範囲が限界の一方または両方を含む場合、含まれる限界の一方または両方を除く範囲もまた本発明に含まれる。
【0117】
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料に類似または同等である任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料が記載される。
【0118】
本明細書中で述べられたすべての刊行物は、特許請求の範囲における方法および/または材料を開示および記載するために参考として本明細書中に取り込まれ、また、“a”、“an”および“the”の単数形は、内容が明らかに別のことを示さない限り、複数の対象物を包含する。本明細書中で議論された特許および刊行物は、本願の出願日前におけるそれらの開示のために単に提供されるだけである。本明細書中のいかなるものも、本発明が、先行発明のためにそのような特許または刊行物に先んずる権利がないと認めるものとして解釈してはならない。さらに、提供された刊行の日付は実際の刊行の日付と異なる場合があり、実際の日付は個々に確認する必要がある場合がある。
【0119】
本開示に接した当業者には明らかであるように、本明細書中に記載および例示される個々の実施形態のそれぞれが、本発明の範囲または精神から逸脱することなく任意のいくつかの他の実施形態の特徴から容易に分離され得るかまたはそれと組み合わせられ得る、別個の独立した構成要素および特徴を有する。本書中に示される図は必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、一部の構成要素および特徴が明確化のために拡大される。
【実施例1】
【0120】
フシジン酸半水和物
発酵によって得られた17.68kgの原料フシジン酸を69.3Lのエタノール(96%)および2.52Lのアセトンの混合物に溶解して、85.5Lの第1の溶液を得た。前記第1の溶液および93.4Lの水を、周囲温度で容器に、混合しながら17〜19分のうちに並行して同時に加えた。結晶化が、溶液をアンチソルベントの水と混合した直後に認められた。混合物をさらに混合し、結晶フシジン酸半水和物をろ過し、水およびエタノールの混合物(3:1、v/v)ならびに水により洗浄した。結晶の微粉砕サンプル(ジェットミル)は、DSC(20℃/分)における吸熱ピークを、183℃を開始温度として186℃で示した。結晶を真空中において50℃で約15〜18時間乾燥して、下記の特徴l)〜s)の1つ以上を示すことによって特徴づけられる結晶半水和物を得た:
【0121】
l)それぞれおよそ2934、2730、1743、1666、1458、1442、1382、1353、1325、1280、1251、1212、1148、1091、999、969、952、918、879、819、756、703、689、579、551、533、419、392、345、203または85(±3cm-1)における強度ピークの1つ以上を示すフーリエ変換(FT-NIR)ラマンスペクトル;
m)図7に示されるものに実質的に類似するフーリエ変換(FT-NIR)ラマンスペクトル;
n)それぞれおよそ3435、2927、2868、1748、1685、1443、1380、1228、1183、1148、1134、1106、1074、1055、1030、975、934、876、855または819(±3cm-1)における減衰全反射ピークの1つ以上を示し、それらのうち、3435(広い、m)、1748(鋭い、s)、1685(鋭い、vs)、1228(鋭い、vs)、975(鋭い、m)(±3cm-1)の線が最も特徴的である減衰全反射フーリエ変換赤外(FTIR-ATR)スペクトル;
o)図8に示されるものに実質的に類似する減衰全反射フーリエ変換赤外(FTIR-ATR)スペクトル;
【0122】
p)それぞれおよそ10358、8351、7078、6801、6373、5829、5710、5094、4681、4347、4271、4172または4063(±5cm-1)における吸光度ピークの1つ以上を示す近赤外(FT-NIR)スペクトル;
q)図9に示されるものに実質的に類似する近赤外(FT-NIR)スペクトル;
r)それぞれおよそ5.7、5.9、6.7、7.1、7.8、8.0、8.7、9.1、9.6、11.5、12.1、12.8、13.1、13.4、13.7、14.3、15.5、16.0、16.1、16.4、16.5、17.0、17.5、17.9、18.2、18.7、19.1、19.4、20.1、20.9、21.3、21.9、22.3、22.5、23.0、23.5、24.2、25.1、25.8、26.6または27.5の反射角(2θ±0.1)を示すX線粉末回折図(XRD);
s)図10に示されるものに実質的に類似するX線粉末回折図(XRD)。
【実施例2】
【0123】
フシジン酸半水和物
1.64gのフシジン酸、313mlのエタノール、380mlの水および162mgのアセトンを混合し、飽和溶液をフィルターによりろ過した。178gのフシジン酸を693mlのエタノールおよび25mlのアセトンに溶解し、溶液をフィルターによりろ過した。第1の溶液を5Lフラスコに注ぎ、水浴において30℃の温度で180rpmで撹拌した。この溶液に、実施例1に記載されるような特徴を有する0.45gのフシジン酸半水和物を接種した。第2の溶液および水(934ml)を7〜8ml/分で並行してフラスコに加えた。総添加時間は90分であった。添加が完了した後、結晶の懸濁物をさらに30分間撹拌した。結晶をろ過し、結晶を真空下において30℃で18時間乾燥して、下記の特徴x)〜y)の1つ以上を示す実施例1に記載されるような結晶フシジン酸半水和物を得た:
【0124】
x)それぞれおよそ1229、1377、1686または1748(±3cm-1)における顕著な吸収帯を有する赤外(FT-IR)スペクトル(KBr);または
y)それぞれおよそ7.0、13.7または16.0の2θ(±0.1)値に存在する、最大ピークに関して20%を越える特徴的な強度ピークを有するX線粉末回折図(XRD)。
【実施例3】
【0125】
結晶フシジン酸
実施例1または実施例2から得られるフシジン酸半水和物(0.5g)をアセトニトリル(10mL)に加えた。懸濁物を、透明な溶液が得られるまで加熱した。フシジン酸を、20〜25℃に冷却することによって結晶化し、ろ過によって集め、真空乾燥した。この結晶フシジン酸は、図1〜図6に示されるようなNMR、ラマン、IRおよびXRDの特徴を有していた。
【0126】
ラマンスペクトル(FT-NIR-ラマン):3008、2937、2871、1725、1707、1666、1651、1468、1379、1348、1195、1078、1032、972、917、792、745、696、612、569、547、527、463、175、120、86(cm-1);全反射フーリエ変換赤外スペクトル(FTIR-ATR)の減衰全反射ピーク:3644、3489、2992、2937、2871、1722、1708、1442、1381、1352、1283、1255、1218、1204、1175、1149、1109、1069、1048、1028、962、941、917、851、828、791、750、690、656(cm-1);近赤外(FT-NIR)スペクトルの吸光度ピーク:10414、8373、7115、6846、6503、5824、4996、4889、4831、4680、4365、4306、4067(cm-1);
【0127】
X線粉末回折(XRD)での回折図の反射角(2θ):7.22、9.27、9.88、12.61、13.05、14.29、14.70、14.94、15.39、16.67、17.87、18.11、18.51、18.87、19.51、20.75、21.83、22.70、23.51、23.98、24.37、24.80、25.29、25.97、26.60、26.84、27.71、28.20、28.89、29.65;13C-CP/MAS固体NMR共鳴:173.9、169.3、146.1、137.0、133.3、120.6、76.2、71.1、69.1、49.7、49.4、45.0、39.9、38.5、36.9、35.8、34.5、32.7、30.9、29.5、28.0、26.5、20.7、20.0、18.0または16.9ppm。
【実施例4】
【0128】
結晶フシジン酸
実施例1または実施例2から得られるフシジン酸半水和物(1.0g)をギ酸エチル(10mL)に加えた。懸濁物を、透明な溶液が得られるまで加熱した。フシジン酸を、20〜25℃に冷却することによって結晶化させ、ろ過によって集め、真空乾燥した。この物質を、NIR、XRDおよびラマンによって分析した。この物質は、実施例3に記載されるのと同じ特徴を有していた。この結晶フシジン酸は、DSC(20℃/分)における吸熱ピークを、184℃を開始温度として191℃で示した。FTIR-ATRスペクトルは、およそ3644(鋭い、m)、3489(m)、1722(vs)、1708(vs)、1381(m)、1255(s)、1204(m)、962(m)(cm-1)における特徴的な減衰全反射ピークの1つ以上を示す。
【実施例5】
【0129】
結晶フシジン酸
実施例1に記載されるようなフシジン酸半水和物(1.0kg)をエタノール(3.0L)および精製水(3.0L)の混合物に懸濁した。得られた懸濁物を50℃に加熱し、3〜4時間撹拌した。懸濁物を氷浴で0〜10℃に冷却し、ろ過し、真空乾燥した。分離された結晶フシジン酸を、NIR、XRDおよびラマンによって分析したところ、実施例3に記載されるのと同じ特徴を有していた。
【実施例6】
【0130】
結晶フシジン酸
実施例1に記載されるようなフシジン酸半水和物(1.0kg)をギ酸エチル(8.0L)に懸濁し、50℃に加熱した。得られた懸濁物を1〜2時間撹拌し、氷浴で0〜10℃に冷却し、ろ過し、真空乾燥した。分離された結晶フシジン酸を、NIR、XRDおよびラマンによって分析したところ、実施例3に記載されるのと同じ特徴を有していた。
【実施例7】
【0131】
結晶フシジン酸
実施例1に記載されるようなフシジン酸半水和物(10g)をエタノール:水(1:1)の50mlに懸濁し、70℃に加熱した。得られた懸濁物を2〜3時間撹拌し、氷浴で0〜10℃に冷却し、ろ過し、真空乾燥した。分離された結晶フシジン酸を、NIR、XRDおよびラマンによって分析したところ、実施例3に記載されるのと同じ特徴を有していた。
【実施例8】
【0132】
結晶フシジン酸
実施例1に記載されるようなフシジン酸半水和物(10g)をメタノール:水(1:1)の50mlに懸濁し、60℃に加熱した。得られた懸濁物を2〜3時間撹拌し、氷浴で0〜10℃に冷却し、ろ過し、真空乾燥した。分離された結晶フシジン酸を、NIR、XRDおよびラマンによって分析したところ、実施例3に記載されるのと同じ特徴を有していた。
【実施例9】
【0133】
フシジン酸半水和物
第1の溶液を、原料フシジン酸の代わりに、実施例7または実施例8から得られる結晶フシジン酸を出発物質として調製することを除いて、実施例1の場合と同じ手順を使用することができる。
【実施例10】
【0134】
フシジン酸半水和物
実施例3、実施例4、実施例5または実施例6から得られる結晶フシジン酸を出発溶液を調製するために使用することを除いて、実施例2の場合と同じ手順を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1は、本発明の結晶フシジン酸のラマンスペクトル(FT-NIR-ラマン)を示すグラフである。Y軸はラマン強度を示し、X軸は波数(cm-1)を示す。
【図2】図2は、本発明の結晶フシジン酸の赤外スペクトル(FTIR-ATR)を示すグラフである。Y軸は減衰全反射単位を示し、X軸は波数(cm-1)を示す。
【図3】図3は、本発明の結晶フシジン酸の近赤外スペクトル(FT-NIR)を示すグラフである。Y軸は吸光度を示し、X軸は波数(cm-1)を示す。
【図4】図4は、本発明の結晶フシジン酸のX線粉末回折図(XRD)を示す。Y軸は絶対強度を示し、X軸は角2θを示す。
【図5】図5は、本発明のフシジン酸形態のORTEP図を示す。
【図6】図6は、本発明の結晶フシジン酸の13C-CP/MAS固体NMRスペクトルを示す。
【図7】図7は、結晶フシジン酸半水和物のラマンスペクトル(FT-NIR-ラマン)を示すグラフである。Y軸はラマン強度を示し、X軸は波数(cm-1)を示す。
【図8】図8は、結晶フシジン酸半水和物の赤外スペクトル(FTIR-ATR)を示すグラフである。Y軸は減衰全反射単位を示し、X軸は波数(cm-1)を示す。
【図9】図9は、結晶フシジン酸半水和物の近赤外スペクトル(FT-NIR)を示すグラフである。Y軸は吸光度を示し、X軸は波数(cm-1)を示す。
【図10】図10は、結晶フシジン酸半水和物のX線粉末回折図(XRD)を示す。Y軸は絶対強度を示し、X軸は角2θを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線粉末回折図(XRD)において最大強度ピークに関して30%を越える、およそ22.7(±0.1)の反射角(2θ)を示し、最大強度ピークに関して5%を越える、10.2〜12.0(±0.1)の範囲の反射角(2θ)を示さないことによって特徴づけられる結晶フシジン酸。
【請求項2】
およそ3644および/または3489(±3cm-1)における減衰全反射ピークを示す減衰全反射フーリエ変換赤外(FTIR-ATR)スペクトルによってさらに特徴づけられる請求項1に記載の結晶フシジン酸。
【請求項3】
およそ10414および/または7115(±5cm-1)における吸光度ピークを示す近赤外(FT-NIR)スペクトルによってさらに特徴づけられる請求項1または2に記載の結晶フシジン酸。
【請求項4】
およそ1725、1707、1666、1651(±3cm-1)における強度ピークを示し、最大強度ピークに関して10%を越える、1743(±3cm-1)における強度ピークを示さないフーリエ変換(FT-NIR)ラマンスペクトルによってさらに特徴づけられる請求項1〜3のいずれかに記載の結晶フシジン酸。
【請求項5】
それぞれおよそ173.9、137.0、または120.6(±0.5)ppmにおける共鳴の1つ以上を示す13C-CP/MAS固体NMRスペクトルによってさらに特徴づけられる請求項1〜4のいずれかに記載の結晶フシジン酸。
【請求項6】
下記の特徴a)〜k)の1つ以上を示すことによって特徴づけられる結晶フシジン酸:
a)それぞれおよそ3008、2937、2871、1725、1707、1666、1651、1468、1078、1032、547、463、175および120(±3cm-1)における強度ピークを示すフーリエ変換(FT-NIR)ラマンスペクトル;
b)図1に示されるものに実質的に類似するフーリエ変換(FT-NIR)ラマンスペクトル;
c)それぞれおよそ3644、3489、1722、1708、1149、962および828(±3cm-1)における減衰全反射ピークを示す減衰全反射フーリエ変換赤外(FTIR-ATR)スペクトル;
d)図2に示されるものに実質的に類似する減衰全反射フーリエ変換赤外(FTIR-ATR)スペクトル;
e)それぞれおよそ10414、7115、6503、4996および4680(±5cm-1)における吸光度ピークを示す近赤外(FT-NIR)スペクトル;
f)図3に示されるものに実質的に類似する近赤外(FT-NIR)スペクトル;
g)それぞれおよそ12.6、13.1、14.7、14.9、18.1および22.7の反射角(2θ)(±0.1)を示すX線粉末回折図(XRD);
h)図4に示されるものに実質的に類似するX線粉末回折図(XRD);
i)それぞれおよそ173.9、169.3、146.1、137.0、133.3、120.6、76.2、71.1、69.1、49.7、49.4、45.0、39.9、38.5、36.9、35.8、34.5、32.7、30.9、29.5、28.0、26.5、20.7、20.0、18.0および16.9(±0.5)ppmにおける共鳴を示す13C-CP/MAS固体NMRスペクトル;
j)図6に示されるものに実質的に類似する13C-CP/MAS固体NMRスペクトル;
k)下記の単結晶X線回折実験データ:結晶系=単斜晶、および空間群=P21。
【請求項7】
下記の特徴a)〜k)の1つ以上を示すことによってさらに特徴づけられる請求項1〜6のいずれかに記載の結晶フシジン酸:
a)それぞれおよそ3008、2937、2871、1725、1707、1666、1651、1468、1379、1348、1195、1078、1032、972、917、792、745、696、612、569、547、527、463、175、120または86(±3cm-1)における強度ピークの1つ以上を示すフーリエ変換(FT-NIR)ラマンスペクトル;
b)図1に示されるものに実質的に類似するフーリエ変換(FT-NIR)ラマンスペクトル;
c)それぞれおよそ3644、3489、2992、2937、2871、1722、1708、1442、1381、1352、1283、1255、1218、1204、1175、1149、1109、1069、1048、1028、962、941、917、851、828、791、750、690または656(±3cm-1)における減衰全反射ピークの1つ以上を示す減衰全反射フーリエ変換赤外(FTIR-ATR)スペクトル;
d)図2に示されるものに実質的に類似する減衰全反射フーリエ変換赤外(FTIR-ATR)スペクトル;
e)それぞれおよそ10414、8373、7115、6846、6503、5824、4996、4889、4831、4680、4365、4306または4067(±5cm-1)における吸光度ピークの1つ以上を示す近赤外(FT-NIR)スペクトル;
f)図3に示されるものに実質的に類似する近赤外(FT-NIR)スペクトル;
g)それぞれおよそ7.2、9.3、9.9、12.6、13.1、14.3、14.7、14.9、15.4、16.7、17.9、18.1、18.5、18.9、19.5、20.8、21.8、22.7、23.5、24.0、24.4、25.3、26.0、26.6、26.8、28.2、28.9または29.7の反射角2θ(±0.1)の1つ以上を示すX線粉末回折図(XRD);
h)図4に示されるものに実質的に類似するX線粉末回折図(XRD);
i)それぞれおよそ173.9、169.3、146.1、137.0、133.3、120.6、76.2、71.1、69.1、49.7、49.4、45.0、39.9、38.5、36.9、35.8、34.5、32.7、30.9、29.5、28.0、26.5、20.7、20.0、18.0または16.9(±0.5)ppmにおける共鳴の1つ以上を示す13C-CP/MAS固体NMRスペクトル;
j)図6に示されるものに実質的に類似する13C-CP/MAS固体NMRスペクトル;
k)1つ以上の下記の単結晶X線回折実験データ:結晶系=単斜晶、空間群=P21、a[Å]=12.2、b[Å]=8.0、c[Å]=13.9、α[°]=90、β[°]=94、γ[°]=90、格子体積[Å3]=1360、Z=2。
【請求項8】
少なくとも90%の多形純度を有する請求項1〜7のいずれかに記載の分離された結晶フシジン酸。
【請求項9】
少なくとも90%の結晶度を有する請求項1〜8のいずれかに記載の分離されたフシジン酸。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の結晶フシジン酸を含む、フシジン酸の偽多形を包含するフシジン酸の結晶形態の混合物または組成物。
【請求項11】
フシジン酸の結晶形態の混合物が本質的にフシジン酸半水和物から成る請求項10に記載の混合物。
【請求項12】
結晶フシジン酸半水和物をも含む請求項1〜8のいずれかに記載の結晶フシジン酸を含む混合物または組成物。
【請求項13】
フシジン酸の結晶形態の混合物が、下記の特徴t)またはu)の一方または両方を示すことによって特徴づけられる結晶フシジン酸を含む請求項10または11に記載の混合物:
t)それぞれおよそ973、1253、1377、1721または3559(±3cm-1)における1つ以上の顕著な吸収帯を有する赤外(FT-IR)スペクトル(KBr);または
u)それぞれおよそ2.1、6.8、9.4、10.4、11.8、12.8、13.7、14.2、15.8、17.3、18.5または22.9の2θ値(±0.1)に存在する、最大ピークに関して20%を越える1つ以上の特徴的な強度ピークを有するX線粉末回折図(XRD)。
【請求項14】
フシジン酸の結晶形態の混合物が、下記の特徴v)またはw)の一方または両方を示すことによって特徴づけられる結晶フシジン酸を含む請求項10、11または13に記載の混合物:
v)それぞれおよそ976、1255、1377、1697、1721(±3cm-1)における1つ以上の顕著な吸収帯を有する赤外(FT-IR)スペクトル(KBr);または
w)それぞれおよそ8.8、11.5、13.6、14.4または17.4の2θ値(±0.1)に存在する、最大ピークに関して20%を越える1つ以上の特徴的な強度ピークを有するX線粉末回折図(XRD)。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸0.1〜10(mol)%をも含む結晶フシジン酸半水和物90〜99.9(mol)%を含む請求項10〜14のいずれかに記載の混合物。
【請求項16】
フシジン酸半水和物を調製するための請求項1〜7のいずれかに記載のフシジン酸の使用。
【請求項17】
請求項1〜7のいずれかに記載のフシジン酸を好適な溶媒または溶媒混合物中で結晶化させる工程を含む結晶フシジン酸半水和物の調製方法。
【請求項18】
医療に使用する請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸。
【請求項19】
請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸を、医薬的に許容できる賦形剤または担体と共に含む医薬組成物。
【請求項20】
抗生物質およびコルチコステロイドから成る群から選択されるさらなる処置活性化合物をも含有する請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
さらなる処置活性化合物が、ペニシリン系(フェノキシメチルペニシリン、ベンジルペニシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、ピバンピシリン、フルクロキサシリン、ピペラシリンおよびメセリナム)、セファロスポリン系(セファレキシン、セファロチン、セフェピム、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアゾンおよびセフロキシム)、モノバクタム系(アズトレオナム)およびカルバペネム系(メロペネム);マクロライド系(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシンおよびロキシスロマイシン);ポリミキシン系(コリスチン);テトラサイクリン系(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびリメサイクリン);アミノグリコシド系(ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシンおよびネチルマイシン);フルオロキノロン系(ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシンおよびモキシフロキサシン);クリンダマイシン、リンコマイシン、テイコプラニン、バンコマイシン、オキサゾリドン系(リネゾリド)、リファマイシン、メトロニダゾール、フシジン酸、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン-17-バレレートおよびトリアムシノロンアセトニドから成る群から選択される請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
患者の感染を治療、予防または軽減する方法であって、患者に請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸を有効量で投与し、場合により1種またはそれ以上のさらなる処置活性化合物をも同時または逐次に投与することを含んで成る方法。
【請求項23】
さらなる処置活性化合物が、抗生物質およびコルチコステロイドから成る群から選択される請求項22に記載の方法。
【請求項24】
さらなる処置活性化合物が、ペニシリン系(フェノキシメチルペニシリン、ベンジルペニシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、ピバンピシリン、フルクロキサシリン、ピペラシリンおよびメセリナム)、セファロスポリン系(セファレキシン、セファロチン、セフェピム、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアゾンおよびセフロキシム)、モノバクタム系(アズトレオナム)およびカルバペネム系(メロペネム);マクロライド系(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシンおよびロキシスロマイシン);ポリミキシン系(コリスチン);テトラサイクリン系(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびリメサイクリン);アミノグリコシド系(ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシンおよびネチルマイシン);フルオロキノロン系(ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシンおよびモキシフロキサシン);クリンダマイシン、リンコマイシン、テイコプラニン、バンコマイシン、オキサゾリドン系(リネゾリド)、リファマイシン、メトロニダゾール、フシジン酸、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン-17-バレレートおよびトリアムシノロンアセトニドから成る群から選択される請求項22に記載の方法。
【請求項25】
感染が細菌感染である請求項22〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
細菌感染を治療、軽減または予防する医薬を製造するための請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸の使用。
【請求項27】
医薬が、同時または逐次投与に適した同一または別個の容器に入ったさらなる処置活性化合物をも含有する請求項26に記載の使用。
【請求項28】
微生物の増殖を抑制するための請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸の使用。
【請求項29】
動物の飼育において細菌感染を防止または予防するための請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸の使用。
【請求項30】
フシジン酸半水和物を脱溶媒和する工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸を調製する方法。
【請求項31】
結晶フシジン酸を好適な溶媒または好適な溶媒の混合物から結晶化または析出させる工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸を調製する方法。
【請求項32】
下記の工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸を調製する請求項30に記載の方法:
a)場合により加熱しながら、フシジン酸半水和物を、前記フシジン酸半水和物を溶解することができ、かつ、請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸が本質的に不溶性または難溶性である溶媒に溶解または懸濁して、懸濁物または溶液を得る工程;
b)場合により前記懸濁物または溶液を加熱するか、あるいは、前記懸濁物または溶液を工程a)における加熱後の高温に保つ工程;
c)場合により前記懸濁物または溶液を冷却または濃縮する工程;
d)請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸を分離する工程。
【請求項33】
溶媒が水混和性有機溶媒である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
溶媒がギ酸のアルキルエステルである請求項32に記載の方法。
【請求項35】
溶媒がC1〜C4アルコール、C1〜C4アルキルアセテート、アセトニトリル、アセトン、またはそれらの混合物、または前記溶媒と水との混合物である請求項32に記載の方法。
【請求項36】
溶媒がギ酸エチル、またはエタノールと水との混合物、またはメタノールと水との混合物である請求項32に記載の方法。
【請求項37】
フシジン酸半水和物を溶解する工程の間、溶媒を約50℃に加熱し、懸濁物または溶液を、冷却および結晶フシジン酸分離の前に約50℃で3〜4時間保ち、懸濁物または溶液を、結晶フシジン酸分離の前に約0〜10℃に冷却する請求項32〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
フシジン酸半水和物を、透明な溶液が得られるまで、工程a)において加熱により完全に溶解し;場合により、前記懸濁物または溶液を工程a)における加熱後の高温に保ち;その後、請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸が析出するまで、工程c)において冷却する請求項32〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
下記の工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸を調製する方法:
e)フシジン酸を、場合により加熱しながら、アセトニトリル、アクリロニトリル、アジポニトリル、ベンゾニトリル、プロパンニトリル、または前記溶媒の混合物に溶解する工程;
f)工程e)で得られた溶液を冷却または濃縮する工程;
g)請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸を結晶化させる工程;
h)請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸を分離する工程。
【請求項40】
工程e)においてフシジン酸を沸騰アセトニトリルに溶解し、その後、工程f)において5〜30℃、例えば20〜25℃に冷却する請求項39に記載の方法。
【請求項41】
下記の工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸を調製する方法:
j)フシジン酸を、請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸が本質的に不溶性または難溶性である溶媒と混合する工程;
k)工程j)で得られた混合物を場合により加熱しながら貯蔵または撹拌し、その後、懸濁された結晶が請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸から本質的になる懸濁物が得られるまで冷却する工程;
l)請求項1〜7のいずれかに記載の結晶フシジン酸を懸濁物から分離する工程。
【請求項42】
溶媒が、水、エタノール、メタノールと水との混合物、アセトニトリル、ギ酸エチル、または前記溶媒の混合物である請求項40に記載の方法。
【請求項43】
請求項1〜9のいずれかに記載のフシジン酸を医薬的に許容できる賦形剤または担体と混合する工程を含む、医薬製剤を製造する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2009−513683(P2009−513683A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538256(P2008−538256)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000600
【国際公開番号】WO2007/051468
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(391008881)レオ・ファーマ・アクティーゼルスカブ (13)
【氏名又は名称原語表記】LEO Pharma A/S
【Fターム(参考)】