説明

抗真菌組成物

本発明は、抗真菌薬、皮膜形成剤および溶媒を含有する局所液体抗真菌組成物を提供する。本組成物は感染皮膚領域に塗布されて、活性成分を送達する皮膜を形成する。本発明はまた、局所抗真菌組成物を塗布して皮膚上に皮膜を形成させることによる、皮膚の真菌感染症の治療方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗真菌活性を有する局所医薬組成物および真菌感染症の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚糸状菌は、皮膚感染症の原因となりうる真菌である。この菌はケラチン組織に寄生し、真菌感染症の原因となる。皮膚糸状菌感染症の症状、例えば水虫は、足趾間の病変であって、側面および足裏まで拡大している可能性のある病変を特徴とする。発赤、痒みおよび鱗屑はよく知られた感染部位の徴候および症状であり、この感染症は接触伝染性であり、再発性である。この菌は、感染宿主(ヒトまたは動物)との直接接触または例えば、櫛、ヘアブラシ、衣類、家具、タオルおよびロッカールーム床における、感染し剥離した皮膚もしくは体毛との直接もしくは間接の接触のいずれかにより伝染する。皮膚に対する既存の損傷、例えば瘢痕、熱傷、痕、過度の温度および湿度が存在する場合、感染に対する感受性が増す。
【0003】
皮膚糸状菌感染症を治療するために設計された局所医薬組成物は存在する。これらの局所組成物は、例えば、クリーム、軟膏、粉末、溶液およびスプレーの形態で市販されており、感染症を治療するために、それらは1日に1回または2回、1週間から4週間塗布される。これらの組成物は1週間から数週間にわたる処置レジメンを必要とするため、レジメンに完全に従って治療を成功させるのは困難であり、早まって治療が停止されがちである。
【0004】
薬学的に活性な薬剤の他の送達形態は皮膜形成液体組成物である。液体イボ取り組成物および、爪真菌症を治療するためのマニキュア液組成物はこれらの組成物の例である。これらの組成物は疾患を治療するために感染部位に繰り返し塗布される。例えば、これらの爪真菌症治療組成物は感染部位に塗布しなければならず、ついでこの組成物を除去した後に再度塗付することが可能になる。爪真菌症を治療するために長期間定期的に塗布および除去手順が繰り返される。これらの皮膜形成組成物は日常的に塗付される必要はないが、塗布レジメンに従うのは容易ではない。極めて効果的で、容易に従いうる容易な塗布レジメンを有する抗真菌組成物を得ることが極めて望ましい。
【発明の開示】
【0005】
(発明の概要)
本発明は、抗真菌薬、皮膜形成剤および溶媒を含有する局所液体抗真菌組成物を提供する。本組成物は皮膜を形成させるために感染皮膚上に塗布され、感染部位への1回の塗布で少なくとも50%の菌学的治癒率を有する。本発明はまた、皮膚上へ局所抗真菌組成物を塗付して皮膜を形成させ、その皮膜を皮膚上に少なくとも48時間とどまらせることによる皮膚の真菌感染症の治療方法を提供する。より具体的には、本発明は、皮膚の感染部位上に皮膜を形成させるために皮膜形成組成物を局所適用する段階を有する、皮膚の真菌感染症の治療方法を提供する。本組成物は、イミダゾール、トリアゾールまたはアリルアミンから選択される抗真菌薬、アクリラートポリマー、アクリラートコポリマー、アルキルオレフィン酸、アルキルオレフィン酸エステルコポリマー、アミド/オレフィン酸、アミド/オレフィン酸コポリマー、ポリビニルアセタート、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−ビニルアセタートコポリマー、ヒドロキシアルキルセルロースおよびアルキルセルロースからなる群から選択される皮膜形成ポリマーならびにエタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチルおよび、水および該溶媒の1以上の混合物から選択される溶媒を含む。
【0006】
本発明の組成物は、極めて効果的であり、皮膚の真菌感染症、例えば足白癬、体部白癬、股部白癬および頭部白癬を治療するために通常1回の塗布のみを必要とする。本組成物は、1回だけの塗布で効果を表すが、皮膚の感染部位に2回以上塗付することができる。本明細書において皮膚という用語は、爪および角膜以外の体の外面を指す。本明細書において、菌学的治癒率という用語は、顕微鏡下で試験するとき、菌学の視覚的な証拠を示さない検体の百分率を示す。
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明は、治療を容易にする、皮膚糸状菌感染症を治療するための単回投与塗布組成物を提供する。加えて、本組成物は、皮膚の真菌感染症の治癒または治療に極めて効果的である。便利な単回投与レジメンおよび本組成物の高い有効性により、この感染性疾患の治療が従いやすいものになる。皮膜形成剤、抗真菌薬および溶媒を含有する本組成物は、少なくとも48時間、好ましくは少なくとも60時間、より好ましくは少なくとも72時間皮膚上に付着しとどまるように製剤化されるが、その期間中、皮膜の少量部分は除去または磨耗することができる。本発明の組成物の1回の塗布により、現在入手できる市販の抗真菌医薬品の1週間から4週間の繰り返し塗布レジメンに厳密に従った治療結果と同等以上の治療効果が得られることが見いだされた。
【0008】
本発明に適した抗真菌薬は、イミダゾール、トリアゾール、アリルアミン、およびそれらの混合物を含む。適切なイミダゾールは、ミコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、メベンダゾール、ビフォナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、チアベンダゾールおよびチアコナゾールを含む。好ましいのは、ミコナゾール、ケトコナゾールおよびクロトリマゾールであり、より好ましいのはクロトリマゾールである。適切なトリアゾールは、フルコナゾール、イトラコナゾール、ラブコナゾールおよびポサコナゾールを含む。適切なアリルアミンはテルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィンおよびブテナフィンを含む。これらの中で、好ましいのはテルビナフィンおよびブテナフィンであり、より好ましいのはテルビナフィンである。抗真菌剤のすべては薬学的に活性な塩形であることができる。適切な塩形の例は、塩酸塩形、乳酸塩形およびアスコルビン酸塩形である。特に好ましい抗真菌薬はアリルアミンおよびそれらの塩であり、より特に好ましいのはテルビナフィンおよびテルビナフィン塩酸塩である。本組成物は、抗真菌薬を0.5重量%から30重量%、好ましくは0.75重量%から20重量%、より好ましくは0.9重量%から15重量%、最も好ましくは1重量%から10重量%含有する。本発明の1つの特に望ましい実施形態は、テルビナフィンを0.9重量%から1.2重量%、好ましくは0.95重量%から1.15重量%、より好ましくは0.97重量%から1.125重量%、最も好ましくは1重量%含有する。
【0009】
本発明に適した皮膜形成剤は、皮膚に塗布されたとき皮膜を形成する、親水性および疎水性皮膜形成ポリマーを含む。本組成物は、皮膚に塗布されるとき、皮膜の層を形成するために十分な量の皮膜形成ポリマーを含有し、50重量%以下の皮膜形成ポリマーを含有することができる。望ましくは、皮膜形成ポリマーは、典型的な衛生上の洗浄サイクルにさらされる場合でも、皮膜が所定の期間皮膚上にとどまるように、皮膚に強く付着する皮膜を皮膚上に形成する。一般に、皮膜形成剤は、溶媒を用いて皮膚に塗布され、溶媒が消散するとき、薬剤は皮膚上に皮膜を形成する。適切な疎水性ポリマーは、アクリラートポリマー、アクリラートコポリマー、アルキルオレフィン酸、アルキルオレフィン酸エステルコポリマー、アミド/オレフィン酸、アミド/オレフィン酸コポリマーおよびポリビニルアセタートを含む。好ましい疎水性ポリマーは、オクチルアクリルアミド、オクチルアクリルアミドアクリラートコポリマー、オクチルプロペンアミドアクリラートコポリマー、アミノアルキルメタクリラートコポリマー、アンモニオメタクリラートコポリマー、ポリビニルアセタートおよびアルキルアクリラートメチルメタクリラートコポリマーを含む。適切な親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−ビニルアセタートコポリマー、ヒドロキシアルキルセルロースおよびアルキルセルロースを含む。好ましい親水性ポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンを含む。組成物中に親水性ポリマーおよび疎水性ポリマーの両方を含有することが望ましい。好ましい実施形態として、親水性ポリマーは、組成物の0.05重量%から30重量%、好ましくは0.5重量%から10重量%、より好ましくは1重量%から5重量%の量で存在し、疎水性ポリマーは、組成物の0.05重量%から30重量%、好ましくは1重量%から10重量%、より好ましくは3重量%から7重量%の量で存在する。典型的な望ましい組成物は、オクチルアクリルアミドアクリラートコポリマー4重量%から6重量%およびヒドロキシプロピルセルロース2重量%から3重量%を有する。オクチルアクリルアミドアクリラートコポリマーは、例えば商品名DERMACRYLで市販されており、ヒドロキシプロピルセルロースは、例えば商品名KLUCELで入手可能である。
【0010】
本組成物は、さらに溶媒を含有する。適切な溶媒は水性溶媒、有機溶媒またはそれらの混合物であることができる。有機溶媒は、生理学的に許容され、原薬および、皮膜形成ポリマーを含む組成物の他の成分と相溶するものである。適切な溶媒はエタノール、イソプロパノール、アセトンおよび酢酸エチルを含む。好ましい溶媒は、エタノールならびにエタノールおよび水の混合物である。水の量は、ほとんどの場合、溶媒の量よりも少ない。典型的な水/溶媒比は1:3以下である。しかしながら、場合によっては水の量は溶媒の量を超えることができる。水の量は最大2.5:1であることができる。溶媒は組成物の成分を溶解または懸濁化するために用いられ、組成物が皮膚に塗布されるとき、溶媒は消散し、組成物は皮膚上に付着した皮膜を形成する。
【0011】
本発明の組成物は、組成物を改善するために追加の成分を含有することができる。このような成分は、可塑剤、皮膜修飾剤、界面活性剤、透過促進剤、着色剤、抗酸化剤、錯化剤およびUV吸収剤を含む。適切な可塑剤は、フタル酸ジアルキル、例えばフタル酸ジブチル、ヒドロキシ脂肪酸油、例えばひまし油、トリグリセリドおよびシリコンオイルを含む。皮膜形成ポリマーの特性を変化させる皮膜修飾剤は、特に、その塗布特性、例えば溶媒の消散後の硬度または皮膚上での柔軟性を改善する。適切な皮膜修飾剤は、アクリル酸エステル、アリールスルホンアミド−ホルムアルデヒド、セルロース誘導体またはポリアミドを含む。成分の可溶化を助ける適切な界面活性剤は、ポリエチレングリコール−アルキルエーテル(例えば商品名BRIJで入手可能なもの)を含む。適切な透過促進剤は、アゾール、ジメチルスルホキシド、不飽和脂肪アルコール、界面活性剤およびプロピレングリコールを含む。
【0012】
本組成物は、さらに、抗炎症薬を含む追加の薬学的に活性な薬剤を含有することができる。適切な抗炎症薬は、ステロイド、例えば、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリゾン、プレドニゾロン、フルランドレノリド、プレドニゾン、ハルシノニド、メチルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プレドニゾン、ハルシノニド、メチルプレドニゾロン、フルドロコルチゾン、コルチコステロン、パラメタゾン、およびベタメタゾン;ならびに非ステロイド系抗炎症薬、例えば、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、フェノプロフェン、フェンブフェン、フルルビプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、インドメタシン、スルファサラジン、ピロキシカムおよびアスピリンを含む。これらの中で特に適切なものは、ヒドロコルチゾンならびにジクロフェナク、インドメタシンおよびそれらの塩である。抗炎症薬の添加により、真菌症に伴う症状、例えば痒み、紅斑症、小水疱形成、灼熱または裂がより急速に改善および治癒される。
【0013】
本発明の他の実施形態は、テルビナフィンまたはその薬学的な塩0.75重量%から20重量%、ヒドロキシプロピルセルロース0.05重量%から30重量%、オクチルアクリルアミドアクリラートコポリマー1重量%から10重量%ならびにエタノール、イソプロパノール、アセトンおよび酢酸エチルからなる群から選択される溶媒を含む医薬組成物を特徴とする。これらの中で特に好ましいものは、フタル酸ジアルキル、ヒドロキシ脂肪酸油、トリグリセリドおよびシリコンオイルからなる群から選択される流動化剤をさらに含む医薬組成物である。
【0014】
本組成物は、感染症を治療するために、真菌により感染された皮膚領域に塗布される。本組成物は、足白癬、体部白癬、股部白癬および頭部白癬を含む皮膚の真菌感染症を治療するのに極めて効果的である。本組成物は皮膚の感染部位に塗布され、組成物の溶媒は消散させられる。溶媒が消散するに従って、組成物は皮膚上に皮膜を形成し、皮膚に密接に接触して感染領域に活性成分を直接に送達する。本組成物は、単回投与治療で、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%の菌学的治癒率を示す。治療後6週間における皮膚の感染部位の顕微鏡検査および培養が陰性であるとして治癒を定義することにより菌学的治癒率が定義される。
【0015】
以下の実施例を用いて、本発明の組成物をさらに説明する。
【実施例1】
【0016】
テルビナフィン1%を含有する液体組成物は、テルビナフィン塩酸塩1.13重量%、オクチルアクリルアミドアクリラートコポリマー(Dermacryl 79)5%、中鎖トリグリセリド(Miglycol 812)5%およびヒドロキシプロピルセルロース(Klucel MF)2.5%と96%エタノール86.37%とを混合することにより調製される。テルビナフィン5%の組成物およびテルビナフィン10%の組成物は、比例的にテルビナフィン含有量を増加させ、エタノール含有量を減少させることにより調製される。組成物の他の成分を比例的に増加させることにより、活性成分を含有しないプラセボもまた調製される。
【0017】
指趾間足白癬患者を登録し、4群(1%組成物群患者107名、5%群患者99名、10%群患者93名およびプラセボ群患者45名)に分ける。患者の培養から特定された菌種は、T.ルブラム(T. rubrum)、T.メンタグロフィテス(T. mentagrophytes)およびE.フロコスム(E. floccosum)を含む。組成物を塗布して4つの指趾間領域、足裏およびおおよそ1.5cmまでの側面を覆うことにより、上記4つの組成物の1つを用い、各患者を1回処理する。治療6週間後、患者の感染皮膚領域を、直接の顕微鏡検査、培養ならびに臨床徴候および症状により試験する。紅斑症、落屑、そう痒、膿疱、小水疱形成およびかさぶたを含む症状は、研究者により4点尺度を用いて得点された。評価項目は、顕微鏡検査および培養が陰性であるとして定義される、第6週における有効な治療の割合である。菌学的治癒は、顕微鏡検査および培養が陰性であるとして定義される。
【0018】
表1からわかるように、第6週における菌学的治癒率は、テルビナフィン組成物で処理した3つの群すべてにおいて大変高く、プラセボ群における率よりも有意に高い。
【0019】
【表1】

表1に示す成功率の結果は、低濃度の抗真菌薬を含有する組成物を用いた場合でさえ、本組成物が高い治癒効果を示すことを明らかにしている。本組成物の菌学的治癒率は、1回だけの塗布で80%から83%の範囲である。本組成物の治癒率は、現在市販されている市販の抗真菌薬を1から4週間、1日1回または2回の所要のレジメンに厳密に従って投与するときに得られる治癒率と同様である。本組成物の投与および服用の容易さにより、感染患者が治療を受けるのを助長され、それにより高いコンプライアンス結果が助長され、感染の蔓延が抑制される。
【実施例2】
【0020】
1%テルビナフィン液体組成物を実施例1に準じて調製する。指趾間足白癬患者をこの液体組成物で1回治療し、第6週において治療の効果をチェックする。菌の不存在および症状(すなわち、紅斑症、落屑、そう痒、膿疱、小水疱形成およびかさぶた)の最小の徴候として有効な治療を定義する。治療が有効であった患者を、再感染評価のために第12週において培養を再度チェックする。
【0021】
第12週において、8名の治療患者のうち1名のみが培養陽性を示し、再感染が示唆される。この結果は、市販の1%テルビナフィンクリーム製品であるLamisil(登録商標)クリームを1日2回、7日間塗布した試験において観察された再感染率と同様である。Lamisil製品は、現在市販されている抗真菌薬の中で最も簡単な処置レジメン必要条件(すなわち1日1回7日間のみ)を有するので、比較薬として用いる。この結果は、1回の治療塗布のみを必要とする本皮膜形成組成物は、皮膚の真菌感染症の効果的で便利な治療であることを明らかにしている。
【実施例3】
【0022】
実施例1に準じて5%テルビナフィン液体組成物を調製する。この組成物を患者に背中に塗布し付着した皮膜領域を形成させて、処置領域あたりテルビナフィン250μg/cmを単回投与する。患者を3群に分ける。1つの群に関しては、塗布から2時間で、石鹸水を含侵させたスポンジで塗布した皮膜を穏やかに洗浄することにより除去する。他の群に関しては、塗布から12時間で塗布した皮膜を除去する。吸収薬物動態学に関して患者の角層を試験する。薬物動態学試験により、最初の2時間にテルビナフィンの約30%が角層に到達し、次の2から12時間に約31%が、そして12時間以後に約39%が到達することが示される。さらに、治療患者の中で、1時間するとCmaxが観察される。
【実施例4】
【0023】
実施例1に準じて1%テルビナフィン液体組成物を調製する。本組成物を患者の1つの群の背中に塗布し、付着した皮膜領域を形成させて、処置領域あたり50μg/cmを単回投与する。患者のもう1つの群に、市販の1%テルビナフィンクリーム製品であるLamisil(登録商標)クリームを、該クリームを毎日7日間塗布する以外は、皮膜組成物として同様な方法および濃度で塗布する。初期治療から13日たって、患者の両方の群の処置した角層について、テルビナフィン濃度を試験する。薬物動態学的分析は、2つの群のテルビナフィンのテルビナフィン濃度は同様なレベルであることを示し、この皮膜組成物の1回の塗布は、7日間塗布したクリーム治療と同様に効果があることを示している。本組成物は、皮膚の真菌感染症の治療のために極めて効果的な組成物である。本組成物は、真菌感染症の治療のために通常1回の塗布のみを必要とし、患者が処置レジメンに従うことを極めて便利かつ容易にし、感染症の治癒の成功をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)イミダゾール、トリアゾールおよびアリルアミンからなる群から選択される抗真菌薬、b)皮膜形成剤ならびにc)溶媒を含む、真菌皮膚感染症を治療するのに適した局所抗真菌組成物であって、前記組成物は皮膚に塗布するのに適し、1回の塗布で少なくとも50%の菌学的治癒率をもたらす前記局所抗真菌組成物。
【請求項2】
前記抗真菌薬がテルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、ブテナフィンまたはその塩である請求項1の組成物。
【請求項3】
前記皮膜形成剤がアクリラートポリマー、アクリラートコポリマー、アルキルオレフィン酸、アルキルオレフィン酸エステルコポリマー、アミド/オレフィン酸、アミド/オレフィン酸コポリマー、ポリビニルアセタート、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−ビニルアセタートコポリマー、ヒドロキシアルキルセルロースおよびアルキルセルロースからなる群から選択される請求項1の組成物。
【請求項4】
前記組成物が抗炎症剤をさらに含む請求項1の組成物。
【請求項5】
a)イミダゾール、トリアゾールおよびアリルアミンからなる群から選択される抗真菌薬、b)皮膜形成剤ならびにc)溶媒を含む皮膜形成組成物を局所塗布する段階を含む皮膚糸状菌皮膚感染症の治療方法であって、前記治療が前記組成物の1回の塗布を行う前記皮膚糸状菌皮膚感染症の治療方法。
【請求項6】
前記抗真菌薬がテルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、ブテナフィンまたはその塩である請求項5の方法。
【請求項7】
前記皮膜形成剤がアクリラートポリマー、アクリラートコポリマー、アルキルオレフィン酸、アルキルオレフィン酸エステルコポリマー、アミド/オレフィン酸、アミド/オレフィン酸コポリマー、ポリビニルアセタート、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−ビニルアセタートコポリマー、ヒドロキシアルキルセルロースおよびアルキルセルロースからなる群から選択される請求項5の方法。
【請求項8】
前記抗真菌薬がテルビナフィンまたはその塩であり、前記皮膜形成剤がヒドロキシアルキルセルロースおよびアクリラートコポリマーの混合物である請求項5の方法。
【請求項9】
前記組成物が、テルビナフィンまたはその塩を0.75重量%から20重量%、オクチルアクリルアミドアクリラートコポリマーおよびヒドロキシプロピルセルロースの混合物を0.05重量%から30重量%ならびにエタノール、イソプロパノール、アセトンおよび酢酸エチルからなる群から選択される溶媒を含む請求項5の方法。
【請求項10】
皮膚に液体皮膜形成組成物を局所適用する段階、液体組成物を乾燥させて皮膚に皮膜を形成させる段階、皮膜を皮膚上に少なくとも48時間残存させる段階を含む真菌皮膚感染症の治療方法であって、前記組成物がa)イミダゾール、トリアゾールおよびアリルアミンからなる群から選択される抗真菌薬、b)皮膜形成剤ならびにc)溶媒を含む前記真菌皮膚感染症の治療方法。
【請求項11】
前記抗真菌薬がテルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、ブテナフィンまたはその塩である請求項10の方法。
【請求項12】
前記皮膜形成剤がアクリラートポリマー、アクリラートコポリマー、アルキルオレフィン酸、アルキルオレフィン酸エステルコポリマー、アミド/オレフィン酸、アミド/オレフィン酸コポリマー、ポリビニルアセタート、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−ビニルアセタートコポリマー、ヒドロキシアルキルセルロースおよびアルキルセルロースからなる群から選択される請求項10の方法。
【請求項13】
前記抗真菌薬がテルビナフィンまたはその塩であり、前記皮膜形成剤がヒドロキシアルキルセルロースおよびアクリラートコポリマーの混合物である請求項10の方法。
【請求項14】
前記組成物がテルビナフィンまたはその塩を0.75重量%から20重量%、オクチルアクリルアミドアクリラートコポリマーおよびヒドロキシプロピルセルロースの混合物を0.05重量%から30重量%ならびにエタノール、イソプロパノール、アセトンおよび酢酸エチルからなる群から選択される溶媒を含む請求項10の方法。
【請求項15】
前記組成物が抗炎症剤をさらに含む請求項10の方法。
【請求項16】
1回だけの塗布で真菌皮膚感染症を治療するための、a)イミダゾール、トリアゾールおよびアリルアミンからなる群から選択される抗真菌薬、b)皮膜形成剤ならびにc)溶媒を含む局所医薬組成物の製造方法。

【公表番号】特表2009−510023(P2009−510023A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532779(P2008−532779)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066816
【国際公開番号】WO2007/039533
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】