説明

抗腫瘍活性2−置換18a−ホモエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−イルスルファメート

本発明は一般式 (I) の化合物の使用に関する: 式中: R2はC1-C5アルキル、C1-C5アルコキシまたは-O-CnFmHo基であり、ここでn = 1、2、3、4、5または6であり、m > 1かつm + o = 2n + 1であり、R14およびR15は各場合において水素であるか、あるいは一緒になってメチレン基または追加の結合を形成し、R16は水素であり、R17は水素、ヒドロキシ、C1-C5アルキル、C1-C5アルコキシまたはSO3NHXであり、Xは水素、C1-C5アルキルまたはC1-C5アシルである。ステロイド骨格の環BおよびDにおいて、破線はさらに2つまでの二重結合を表すことができる。また、薬剤の製造に薬学上許容される前記化合物の塩が開示される。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートおよび抗腫瘍活性を有する薬剤の製造におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
微小管はほとんどの真核細胞中に存在するオルガネラであり、そしてそこで多数の機能、例えば、有糸分裂、細胞内運動、細胞移動および細胞形状の発現を引き受ける。微小管はチューブリンから成るポリマーであり、これは引き続いてα-単位またはβ-単位から成る二量体を表す。それらのヘテロダイマーは2つのグアノシン三リン酸 (GTP) 分子に結合し、ここでGTPの1つはしっかり結合し、そして他方は置換可能である。頭-尾配置において、ヘテロダイマーは糸状高分子、いわゆるプロトフィラメントに重合し、これは引き続いて蓄積して管状オルガネラ、微小管になる。微小管は一定の増成および分解にさらされる。増殖と分解との間の平衡は、新しいGTP-チューブリンサブユニットの利用可能性および第2の結合したGTPの加水分解速度に依存する。
【0003】
プラス端で、新しいサブユニットは培養され、逆に、マイナス端で、サブユニットは外方に拡散する。細胞障害性物質、例えば、コルヒチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、タキソール、エポチロン、ポドフィロトキシン、ステガニシン、コンブレタスタチンおよび2-メトキシエストラジオールは、微小管の増成または分解 (チューブリン重合およびチューブリンの解重合) に影響を及ぼし、こうして期特異的方法で細胞分裂に影響を及ぼすことができることが知られている。これは主として急速増殖性新形成細胞に関し、それらの増殖は細胞内調節機構により大きく影響を受けない。この型の活性成分は悪性腫瘍の治療に原理的に適する。
【0004】
Fotsis 他、Nature 1994 368、237-239は、その上、2-メトキシエストラジオールが腫瘍の増殖および血管形成を阻害することを報告している。
【0005】
Cushman 他、J. Mol. Chem. 1995 38、2041-2049は、2-メトキシエストラジオールの細胞障害作用ならびにチューブリン重合の阻害作用を検査し、その上、J. Mol. Chem. 1997 40、2323-2334において、2-アルコキシ-6-オキシムイミノエストラジオール誘導体がチューブリン重合ならびにチューブリンに対する [3H]-コルヒチンの結合を阻害することを報告している。ここで述べられている2-アルコキシ-6-オキシムイミノエストラジオール誘導体は、チューブリン重合の阻害に関して、匹敵する活性を示し、例えば、2-エトキシエストラジオールは2-メトキシエストラジオールよりも高い活性を有する。
【0006】
WO 93/05064は、なかでも、下記式の化合物に関する:
【化1】

【0007】
式中R1およびR2は、各場合において互いに独立して、水素またはメチル基であり、ただし基R1およびR2の少なくとも1つはH原子であり、そして基-O-多環式化合物は3-ステロールであり、そのサルフェートエステルはステロイドスルファターゼ活性をもつ酵素により加水分解される。ステロイド骨格の2-位において特異的に置換された化合物は、明瞭に開示されていない。
【0008】
米国特許第6,011,024号はWO 93/05064に基づき、例えば、主要なスルファメート官能が6員環に結合している、すべての化合物を包含する。ステロイド骨格の2-位において特異的に置換された化合物は、引き続いて明瞭に開示されていない。
WO 96/05216は、C2-非置換エストラ-1,3,5(10)-トリエン-スルファメート誘導体に関する。
【0009】
WO 96/05217は、下記一般式の活性成分を含有する医薬組成物に関する:
【化2】

式中RはNH2であり、R3はC1-5アルコキシ基、OHであり、R8、R9およびR10は、互いに独立して、H、OHであり、R9およびR10は一緒になって=Oを形成することができる。その中に開示されている医薬組成物は、女性の産児制限、閉経期HRTのために、そして疾患の婦人科的および男性学的イメージ、例えば、乳癌または前立腺癌の治療に使用することができる。
【0010】
WO 97/14712は、下記一般式のステロイドスルファメート誘導体に関する:
【化3】

【0011】
式中R1はアシル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、スルホニルまたはスルホンアミジル基であることができ、R2は水素原子または金属原子であることができ、R7およびR8は、互いに独立して、H、OHおよびC1-5アルコキシであることができ、R13、R12およびR11は、互いに独立して、HまたはOHであることができる。
【0012】
WO 98/42729は16-ハロゲン置換1,3,5-エストラトリエン-2-モノスルファメートならびにC2においてアルコキシ置換されることができる3,17β-ビススルファメートに関する。16-ハロゲン置換は、対応するスルファメート誘導体のスルファターゼ-阻害作用および発情性の両方を増加させる。
3-スルファメート官能に加えて17-スルファメート官能を導入すると、発情性が著しく減少する。
WO 98/24802は、エストロンスルファターゼを阻害するスルファメートに関する。2-メトキシエストロンスルファメートが明瞭に述べられている。潜在的療法的適用として、乳癌が述べてられているが、前立腺癌は記載されていない。
【0013】
また、WO 99/33858には、下記式のエストロンスルファターゼインヒビターが記載されている:
【化4】

【0014】
式中R1およびR2は、互いに独立して、H、アルキルであるか、あるいは一緒になってピペリジン、モルホリン、ピペラジンを形成し、R3はH、CN、NO2、CO2R4であり、R8はH、NO2、NR6R7である。この説明の中に、乳癌は可能な療法的適用として述べてられている。
WO 99/64013は、スルファメート誘導体と細胞シグナル修飾因子 (例えば、TNFα) との医薬組成物に関する。2-メトキシエストロンスルファメートはこの組み合わせにおいて好ましいスルファメートとして明瞭に主張されているが、多数の他のステロイド-3-スルファメートがこの一般式の範囲内に入る。
【0015】
この発明に従う医薬組成物またはその中に含有されるステロイド-3-スルファメート (好ましくは少なくとも1つの2-アルコキシ置換基をもつ) についての作用機構として、1) 腫瘍細胞におけるグルコース吸収の阻害、2) 腫瘍血管形成の阻害、3) 微小管の分解、4) アポトーシスの誘導が記載されている。WO 00/76487は、TNFα誘導アロマターゼ活性を阻害する物質に関する。そうゆうものとして、2-アルコキシエストロン-3-スルファメート、好ましくは2-メトキシエストロンスルファメートが特許請求されている。
【0016】
WO 01/18028には、非発情性エストロンスルファターゼ阻害性N-アシル-18a-置換ステロイド-3-スルファメート、例えば、16α-フルオロ-2-メトキシ-18a-ホモエストラジオール-(N-アセチルスルファメート) または16α-フルオロ-2-メトキシ-18a-ホモエストロン-(N-アセチルスルファメート) が記載されている。
Cancer 2000、85、983-994において、肝癌細胞における2-メトキシエストラジオール、ドセタクセルおよびパクリタクセル誘導アポトーシスおよび反応性酸素種とのそれらの相関が比較されている。
【0017】
Potter 他、Int. J. Cancer 2000、85、584-589は、乳癌細胞および誘導された乳房腫瘍の増殖に対する2-メトキシエストロンスルファメートの作用を2-メトキシエストロンと比較して検査し、そして2-メトキシエストロンスルファメートが乳癌の治療に対する有意な療法的潜在性を有することを発見した。
【0018】
Potter 他、Molecular and Cellular Endocrinology 2000、160、61-66は、2-メトキシエストロンおよび2-メトキシエストロン-3-スルファメート (これは10 μmでグルコース吸収を25〜49%だけ阻害する)(また、2-メトキシエストラジオールおよび2-メトキシエストロン) によるMCF-7乳癌におけるデオキシグルコース吸収の阻害を検査し、そしてこれらの化合物はグルコース吸収を阻害する能力をもつために乳癌を阻害する療法的潜在的能力を有するであろうことが理解される。
【0019】
Potter 他、Cancer Research 2000、60、5411-5450は、新規な抗微小管活性化合物として2-メトキシエストロンスルファメートおよび2-エトキシエストロンスルファメートを記載し、それらは乳癌細胞においてin vitro 抗癌活性を有し、したがって、また、必要に応じて in vivo において活性であろう。J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 1999、69、227-238において、ステロイドスルファターゼ活性の阻害はホルモン依存性乳癌の治療における重要な出発点であることが報告されている。2-メトキシエストロンスルファメート、17-デオキシエストロンスルファメートおよびエストロンスルファメートが明瞭に記載されている。一環式または二環式、非ステロイドスルファメートは特にステロイドスルファターゼを阻害するが、対応するステロイド誘導体ほど効果的ではない。
【0020】
本発明の目的は、チューブリン重合を効果的に阻害する追加の化合物を入手可能とすることである。
本発明の目的は、本発明によれば、薬剤、特にチューブリン重合の阻害により積極的に影響を及ぼすことができる、腫瘍疾患を治療する薬剤を製造するための、一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートならびにそれらの薬学上許容される塩の使用により達成される:
【0021】
【化5】

【0022】
式中、
R2はC1-C5アルキル、C1-C5アルコキシまたは基-O-CnFmHoであり、ここでn = 1、2、3、4、5または6であり、m > 1かつm + o = 2n + 1であり、
R14およびR15は各場合において水素であるか、あるいは一緒になってメチレン基または追加の結合を形成し、
【0023】
R16は水素であり、
R17は水素、ヒドロキシ、C1-C5アルキル、またはC1-C5アルコキシまたは基-CnFmHo (ここでn = 1、2、3、4、5または6であり、m > 1かつm + o = 2n + 1である) または基SO3NHXであり、
Xは水素、C1-C5アルキルまたはC1-C5アシルであり、
ここでステロイド骨格のB-環およびD-環において、破線はさらに2つまでの二重結合を表すことができる。
【0024】
本発明による2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートは、2-メトキシエストラジオールそれ自体よりもチューブリン重合をいっそう大きく、驚くべきことには十分に、in vitro で阻害することが決定された。本発明による化合物は腫瘍細胞の増殖を阻害し、また、in vivo 抗腫瘍作用を示す。その上、前述の化合物は2-メトキシエストラジオールよりもすぐれた経口的利用可能性を有する。
【0025】
アルキル基は、直鎖状または分枝鎖状の、置換または非置換のアルキル基であると定義される。1〜5個の炭素原子をもつ直鎖状または分枝鎖状のアルキル基の代表として、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、2-メチルブチル、1,2-ジメチルプロピル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピルを挙げることができる。
【0026】
例えば、アリル、ビニル、プロペニル、ブテニルばかりでなく、かつまたエチニル、プロピニルまたはブチニルは不飽和アルキル基を意味する。
アシル基は、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソ-ブチリルまたはバレリルを意味する。
メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシまたはペントキシはC1-C5アルコキシであることができ、ここで後者はフッ素化することができる。
【0027】
本発明による好ましい化合物は、各記号が下記の意味を有する化合物である:
R2はメチル、エチル、メトキシ、エトキシ、または2,2,2-トリフルオロエトキシであり、
R14およびR15は各場合においてHであるか、あるいは一緒になってメチレン基を形成し、
R16は水素であり、
R17は水素、ヒドロキシ、OC1-C5アルキルまたは基-CnFmHo (ここでn = 1、2、3、4、5または6であり、m > 1かつm + o = 2n + 1である) または基SO3NHXであり、
Xは水素、メチル、アセチル、プロピオニルまたはブチリルであり、
ここでステロイド骨格のB-環およびC-環において、破線は8,9-二重結合または16,17-二重結合を表すことができる。
【0028】
後述する化合物の使用は特に好ましい:
1. 17β-ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),14-テトラエン-3-イルスルファメート、
2. 17α-ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),14-テトラエン-3-イルスルファメート、
3. 2,17β-ジメトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),14-テトラエン-3-イルスルファメート、
4. 2,17α-ジメトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),14-テトラエン-3-イルスルファメート、
5. 2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),14-テトラエン-3-イルスルファメート、
6. 17β- ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート (1)、
7. 17β-ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イル(N-アセチル)-スルファメート、
【0029】
8. 17α- ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
9. 2-エトキシ-17β-ヒドロキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート (2)、
10.2-エトキシ-17β-ヒドロキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イル(N-アセチル)-スルファメート、
11.2-エトキシ-17α- ヒドロキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
12.2,17β-ジメトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート (5)、
13.17β-エトキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
14.2-メトキシ-17β-(1-プロピルオキシ)-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
【0030】
15.2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート (4)、
16.2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イル(N-アセチル)-スルファメート、
17.2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),16-テトラエン-3-イルスルファメート、
18.2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),16-テトラエン-3-イル(N-アセチル)-スルファメート、
19.2-エチル-17β-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
20.17β-エトキシ-2-エチル-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
21.2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビススルファメート、
【0031】
22.2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビス(N-アセチル)-スルファメート (3)、
23.2-エトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビススルファメート (3)、
24.2-エトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビス(N-アセチル)-スルファメート (6)、
25.2-エチル-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビススルファメート (6)、
26.2-エチル-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビス(N-アセチル)-スルファメート。
【0032】
その上、本発明の主題は、一般式Iの化合物ならびにそれらの薬学上許容される塩である:
【化6】

【0033】
R2はC1-C5アルキル、C1-C5アルコキシまたは基-O-CnFmHoであり、ここでn = 1、2、3、4、5または6であり、m > 1かつm + o = 2n + 1であり、
R14およびR15は各場合において水素であるか、あるいは一緒になってメチレン基を形成し、
R16は水素であり、
R17は水素、ヒドロキシ、C1-C5アルキルまたはC1-C5アルコキシ、または基-CnFmHoであり、ここでn = 1、2、3、4、5または6であり、m > 1かつm + o = 2n + 1であり、
Xは水素またはC1-C5アルキルであり、
ここでステロイド骨格のB-環およびD-環において、破線はさらに2つまでの二重結合を表すことができる。
【0034】
アルキル基、不飽和アルキル基およびC1-C5アルコキシ基は、機能化することができ、本発明に従い既に具体化したものと同一の基として定義される。
本発明による好ましい化合物は、各記号が下記の意味を有する化合物である:
R2はメチル、エチル、メトキシ、エトキシまたは2,2,2-トリフルオロエトキシであり、
R14およびR15は各場合においてHであるか、あるいは一緒になってメチレン基を形成し、
R16は水素であり、
R17は水素、ヒドロキシまたはOC1-C5アルキルであり、
Xは水素、メチルであり、
ここでステロイド骨格のB-環およびC-環において、破線は8,9-二重結合または16,17-二重結合を表すことはできる。
【0035】
後述する化合物の使用は本発明によれば特に好ましい:
1. 17β-ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
2. 17α-ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
3. 2-エトキシ-17β-ヒドロキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
4. 2-エトキシ-17α- ヒドロキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
5. 2,17β-ジメトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
【0036】
6. 17β-エトキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
7. 2-メトキシ-17β-(1-プロピルオキシ)-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
8. 2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
9. 2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),16-テトラエン-3-イルスルファメート、
10.2-エチル-17β-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
11.17β-エトキシ-2-エチル-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート。
【0037】
薬理学的データ
1. チューブリン重合の阻害
本発明による化合物を種々の方法で試験した。
本発明による一般式Iの化合物は、2-メトキシエストラジオールよりもいっそう大きくチューブリン重合を阻害することにおいて区別される。チューブリン重合の影響のin vitro 試験を次のようにして実施した:
Shelanski 他 (Shelanski 他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1973、70、765-8) に従い、微小管タンパク質をブタ脳から周期的構築/解体を介して精製した。使用した緩衝系は下記の組成を有した: 20 mmolのPIPES (1,4-ピペラジン-ジエタン-スルホン酸、pKa 6.8)、80 mmolのNaCl、0.5 mmolのMgCl2、1 mmolのEGTA [エチレングリコール-ビス-(2-アミノエチレン)-四酢酸]。
【0038】
活性成分を試験するために、1 mg/ml (約10-5 mmolのチューブリン) のタンパク質濃度を使用した。Lowryの方法 (Lowry 他、J. Biol. Chem. 1951、193、265-75) に従い、標準としてウシ血清アルブミンを使用して、タンパク質を定量した。微小管の構築を0.25 mmolのGTPの存在下に実施し、試料を37℃に加熱した。
340 nmの波長において濁り度測定により、微小管の形成を検査した。微小管タンパク質が構築物濃度の増加 (微小管濃度に対応する) を示さずかつ濁り度値がもはや増加を示さない、平衡状態は、典型的には、20分後に到達する。
【0039】
構築の開始時または平衡状態において、活性成分を添加することによって試験した。濁り度曲線の対照からの偏りは、その活性を特性決定する。作用をモニターしかつ測定した濁り度値を評価するために、1%の水性酢酸ウラニルでネガティブ染色後に、構築物の透過型電子顕微鏡的研究 (CEM 902 A、Zeiss/Oberkochen) を常に実施した。
【0040】
【表1】

【0041】
2. 細胞増殖の阻害
本発明による化合物は、細胞増殖の効力のある阻害により区別される。
下記の細胞系統の細胞培養物を96ウェルのマイクロタイタープレート中で調製した:
1. MaTu/ADR多薬物耐性ヒト乳癌細胞 (Epo GmbH Berlin)、5000 細胞/ウェル。
2. HCT116ヒト結腸腫瘍細胞 (ATCC CCL-247)、3000細胞/ウェル。
3. NCl-H460ヒト非小細胞肺癌細胞 (ATCC HTB-177)、3000細胞/ウェル。
4. DU145ヒト前立腺腫瘍細胞 (ATCC HTB-81)、5000細胞/ウェル。
5. HMVECヒト一次皮膚微小血管内皮細胞、7500細胞/ウェル。
【0042】
37℃において細胞培養インキュベーター中で24時間インキュベートした後、マイクロタイタープレートの細胞をクリスタルバイオレットで染色した (参照プレート) が、試験プレート中の細胞を被験物質とともに濃度0.1〜10 μmにおいて、ならびにDMSO溶媒それ自体 (溶媒の対照) とともに4日間インキュベーションした。細胞をクリスタルバイオレットで染色することによって、細胞増殖を決定した。595 nmにおける測光により、クリスタルバイオレットの吸光を測定した。吸光値を参照プレート (0%) および溶媒対照 (100%) に対して正規化した後、試験プレート中の細胞数の変化百分率を決定した。溶媒対照の細胞数の50%が存在する物質濃度として、細胞増殖の半最大阻害 (IC50) を決定した。
【0043】
【表2】

【0044】
投与量
一般に、1日量が5 μg〜50 mg/kg体重の範囲の本発明による化合物を含んでなるとき、満足すべき結果を期待することができる。より大きい哺乳動物において、例えば、ヒトにおいて、推奨される1日量は10 μg〜30 mg/kg体重の範囲である。
本発明による化合物に適当な投与量は、患者の年齢および体質に依存して、0.005〜50 mg/日/kg体重であり、ここで必要な1日量は1または2以上の回数で投与することができる。
しかしながら、エストロゲン-スルファメートの特別の蓄積作用に基づいて、本発明による化合物を1日1回より大きい間隔で投与することもできる。
【0045】
新規な化合物に基づく医薬製剤の処方は、既知の方法において、ガレン製剤において普通に使用されている賦形剤、充填剤、分解に影響を及ぼす物質、結合剤、湿潤剤、潤滑、吸収剤、希釈剤、香味補正剤、着色剤、およびその他で活性成分を処理し、投与に必要な形態に転化することによって、実施される。この場合において、下記の文献を参照のこと:Remington’s Pharmaceutical Sciences 、第15版、Mack Publishing Company、East Pennsylvania (1980)。
【0046】
経口的投与のために、特に錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、丸剤、粉剤、粒体、ロゼンジ、懸濁液、乳濁液または溶液は適当である。非経口的投与のために、注射および注入用製剤が可能である。動脈内注射のために、相応して調製した結晶懸濁液を使用することができる。
筋肉内注射のために、水性および油性注射溶液または懸濁液および対応する蓄積医薬製剤を使用することができる。
経直腸的投与のために、新規な化合物は坐剤、カプセル剤、溶液 (例えば、浣腸の形態) および全身的および局所的治療のための軟膏の形態で使用することができる。
新規な化合物を肺に投与するために、新規な化合物をエーロゾルおよび吸入剤の形態で使用することができる。
【0047】
局所的適用のために、ゲル、軟膏、脂肪軟膏、クリーム、ペースト、粉剤、ミルクおよびチンキの処方が可能である。適切な薬理学的作用を達成するために、これらの医薬製剤において、一般式Iの化合物の投与量は0.01%〜20%であるべきである。
本発明は、薬剤、特にチューブリン重合の阻害により積極的に影響を及ぼすことができる腫瘍疾患を治療する薬剤を製造するための一般式Iの化合物の使用を含む。
本発明による一般式Iの化合物は、薬剤、特に乳腺を包含する、男性および女性の生殖腺、男性および女性の性器官の腫瘍疾患、特に前立腺癌または乳癌を治療するの薬剤を製造するために好ましくは使用される。
【0048】
本発明は、また、少なくとも1種の本発明による特に好ましい化合物を、必要に応じて薬学的/薬理学的に適合性の塩の形態で、薬学的に適合性のアジュバントおよび/または賦形剤の非存在下にまたはそれと一緒に含有する医薬組成物に関する。
これらの医薬組成物および薬剤は、経口的、経直腸的、経膣的、皮下的、経皮的、静脈内または筋肉内に投与するために提供することができる。普通に使用される賦形剤および/または希釈剤に加えて、それらは少なくとも1種の本発明による特に好ましい化合物を含有する。
【0049】
本発明の薬剤は、普通に使用される固体状または液状の賦形剤または希釈剤、および適当な投与量で投与に必要な型に対応する普通に使用される薬学的-技術的アジュバントを既知の方法で使用して製造される。好ましい医薬製剤は、経口的投与に適当な小出し形態から成る。このような小出し形態は、例えば、錠剤、薄膜錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、丸剤、粉剤、溶液または懸濁液またはその他の蓄積形態である。
少なくとも1種の本発明による化合物を含有する医薬組成物は、経口投与されることが好ましい。
【0050】
また、非経口的医薬製剤、例えば、注射溶液が考えられる。さらに、例えば、坐剤および経膣的適用のための薬剤をまた医薬製剤として述べることができる。
対応する錠剤は、例えば、活性成分を既知のアジュバント、例えば、不活性希釈剤、例えば、デキシトロース、糖、ソルビトール、マンニトール、ポリビニルピロリドン、膨張剤、例えば、コーンスターチまたはアルギン酸、結合剤、例えば、澱粉またはゼラチン、滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはタルクおよび/または蓄積効果を達成する物質、例えば、カルボキシルポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースまたはポリ酢酸ビニルと混合することによって製造することができる。また、錠剤はいくつかの層から成ることができる。
【0051】
したがって、被覆錠剤は、錠剤と同様に製造されたコアを、錠剤被覆に普通に使用される物質、例えば、ポリビニルピロリドンまたはシェラック、アラビアゴム、タルク、酸化チタン、または糖で被覆することによって製造することができる。この場合において、被覆錠剤の外殻は、また、いくつかの層から成ることができ、ここで錠剤において前述したアジュバントを使用することができる。
【0052】
本発明による一般式Iの化合物を使用する溶液または懸濁液は、追加の味覚改良剤、例えば、サッカリン、シクラメイトまたは糖、ならびに、例えば、香味物質、例えば、バニラまたはオレンジエキスを含有することができる。さらに、それらは懸濁アジュバント、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたは保存剤、例えば、p-ヒドロキシベンゾエートを含有することができる。
【0053】
一般式Iの化合物を含有するカプセル剤は、例えば、1種または2種以上の一般式Iの化合物を不活性賦形剤、例えば、ラクトースまたはソルビトールと混合し、ゼラチンカプセルの中に封入することによって製造することができる。
適当な坐剤は、例えば、この目的に提供される賦形剤、例えば、中性脂肪またはポリエチレングリコールまたはその誘導体と混合することによって製造することができる。
【0054】
前立腺癌を治療するために、本発明による化合物を1種または2種以上の下記の活性成分と組み合わせて投与することができる:
1) 抗アンドロゲン、例えば、CPA、フルタミド、カソデックス、およびその他、
2) 生殖腺刺激ホルモン (GnRH) アンタゴニスト、
3) 5α-レダクターゼインヒビター、例えば、フィナステリド、
4) 静細胞剤、
5) VEGF-キナーゼインヒビター、
6) 抗ゲスタゲン、
7) 抗エストロゲン、
8) アンチセンスオリゴヌクレオチド、
9) EGF抗体、
10) エストロゲン。
【0055】
その上、本発明による一般式Iの化合物は、前述しない他の病理学的状態を治療および防止するために使用できる。
本発明は、また、一般式Iの化合物の製造を含む。
【0056】
本発明による一般式Iの化合物は、後述するように製造することができる:
一般的合成の部
エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オン誘導体のC-原子2の機能化は、文献、例えば、下記の文献に記載されているようにフリーデル−クラフツアシル化により実施することが好ましい: T. Nambara 他、Chem. Pharm. Bull. 1979、18、474-480。
【0057】
3-位の保護基を交換した後、2-カルボキシ-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オンをBaeyer-Villiger酸化により発生させる (M. B. Smith、J. March、March’s Advanced Organic Chemistry、第5版、Wiley Sons 2001、1417-1418およびその中に引用されている文献)。このエステルをけん化し、塩基性条件下に対応するハロゲン化アルキルで2-アルキルエーテルに転化する。選択的に、17-ケトンを知られているようにここで還元し、エーテル化することができる。3-位の保護基を下記の文献に記載されているように切り離す: T. W. Greene、P. G. M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、Wiley & Sons、1999、249-275。このプロセスまたは文献 (P. N. Rao、J. W. Cessac、Steroids 2002、67、1065-1070およびその中に引用されている文献) から知られている他のプロセスを18a-ホモに従い使用することができる。
【0058】
フリーデル−クラフツアシル化により得ることが好ましい2-アシル誘導体は、ホウ酸ナトリウムを使用する還元および引き続く水素化により、対応する2-アルキル誘導体に転化することができる。
【0059】
一般式II (R2 = H):
【化7】

【0060】
式中R14およびR15は一緒になってメチレン架橋を形成するか、あるいはステロイド骨格の中に追加の二重結合を有する、
の化合物をオルト-金属化により製造し、ここで好ましくはエーテル保護基 (例えば、H. E. Paaren、S. R. Duff、米国特許第6,448,419号およびその中に引用されている文献) またはカルバメート保護基 (V. Snieckus、Chem. Rev. 1990、90、879-933) をオルト特異的保護基としてR3について使用し、この化合物から2-ヒドロキシル化を開始する。
【0061】
ホウ酸トリアルキルを使用して2-リチウム化後に求電子置換を実施し、引き続いて過酸化水素を使用して塩基性酸化を実施する。次いで、選択的に得られた2-ヒドロキシ基を既知の方法 (Z. Wang、M. Cushman、Synth. Commun. 1998、28、4431) により2-アルコキシ化合物に転化し、保護を解除する。引き続くオッペナウワー酸化 (C. Djerassi、Org. React. 1951、6、207; S. Schwarz 他、Pharmazie 2001、56、843-849) はケト化合物を生じ、これは、知られているように、さらに機能化し、反応させてスルファメートを生成することができる。
【0062】
2-機能化17-ケト誘導体から出発して、17-ケト機能をウォルフ-キシュナー還元 (例えば、R. H. Peters 他、J. Mol. Chem. 1989、32、1642; G. E. Agoston 他、WO 02/42319) により除去し、次いで3-位においてスルファモイル化する。
【実施例】
【0063】
下記の実施例を参照して本発明をいっそう詳細に、説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
製造プロセス
スルファメートの製造に対する一般的インストラクション1
塩化メチレン中の1当量のエストラ-1,3,5(10)-トリエン誘導体を溶解または懸濁すると同時に攪拌し、5当量の2,6-ジ-tert-ブチルピリジンと混合する。次いで、10当量の塩化スルファモイルをアルゴン雰囲気下に添加し、室温において攪拌する。この溶液を転化が完結するまで (TLCによるモニター、1〜5時間) 攪拌し、次いで水と混合する。酸感受性化合物において、約10当量のトリエチルアミンを使用して前もって緩衝化を実施する。水性相をジクロロメタンまたは酢酸エチルで数回抽出する。一緒にした有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空蒸発により濃縮し、次いでフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。
【0064】
スルファメートのアシル化に対する一般的合成のインストラクション2
1当量のエストラ-1,3,5(10)-トリエン-スルファメートまたはビススルファメートをピリジン中に溶解し、5当量の無水物と混合すると同時に氷で冷却する (0〜5℃)。室温において1時間攪拌し、次いで水と混合する。水性相をジクロロメタンまたは酢酸エチルで数回抽出する。一緒にした有機相を6N 塩酸で洗浄し、次いで水および塩化ナトリウム溶液で洗浄する。次いで、それを硫酸ナトリウムで乾燥し、真空蒸発により濃縮し、次いでフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。
【0065】
実施例1.17β-ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート (1):
400 mgの2-メトキシ-17-オキソ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートを5 mlのメタノールおよび5 mlのテトラヒドロフラン中に溶解し、室温において2スパチュラのホウ酸ナトリウムと混合した。2時間後、それを1 N塩酸で酸性にし、回転蒸発器中の蒸発により濃縮した。残留物を水と混合し、酢酸エチル (3×) で抽出した。一緒にした有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥し、回転蒸発器中の蒸発により濃縮した。425 mg (定量的) の17β-ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート (1) が無色泡状物として得られた。
1H NMR (DMSO-d6): δ= 0.93 (t、J = 7.4 Hz、3H; 18-CH3)、2.07-2.74 (m、2H; 6-CH2)、3.60 (m、1H; 17α-H)、3.76 (s、3H; 2-OCH3)、4.54 (d、J = 4.3 Hz、1H; OH)、6.96 (s、2H; 1-H、4-H)、7.79 (br s、2H; NH2)。
【0066】
実施例2.2-エトキシ-17β-ヒドロキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート (2):
400 mgの2-エトキシ-17-オキソ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートを5 mlのメタノールおよび5 mlのテトラヒドロフラン中に溶解し、室温において2スパチュラのホウ酸ナトリウムと混合した。2時間後、それを1 N塩酸で酸性にし、回転蒸発器中の蒸発により濃縮した。残留物を水と混合し、酢酸エチル (3×) で抽出した。
【0067】
一緒にした有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥し、回転蒸発器中の蒸発により濃縮した。387 mg (96%) の2-エトキシ-17β-ヒドロキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート (2) が無色泡状物として得られた。
1H NMR (DMSO-d6): δ= 0.93 (t、J = 7.2 Hz、3H; 18-CH3)、1.30 (t、J = 7.0 Hz、3H; 2-CH3)、2.71-2.73 (m、2H; 6-CH2)、3.59-3.62 (m、1H; 17α-H)、4.01-4.06 (m、2H; 2-OCH2)、4.53 (d、J = 4.3 Hz、1H; OH)、6.95、6.96 (2s、2H; 1-H、4-H)、7.76 (br s、2H; NH2)。
【0068】
実施例3.2-エトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビススルファメート (3):
144 mgの2,17β-ジヒドロキシ-2-エトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエンを一般的インストラクション1に従い反応させて生成物を生成し、次いでフラッシュクロマトグラフィー (トルエン/酢酸エチル = 3:1) により精製した。125 mgの (59%) の2-エトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビススルファメート (3) が非晶質固体として得られた。
1H NMR (DMSO-d6): δ= 0.92 (t、J = 7.0 Hz、3H; 18-CH3)、2.71-2.76 (m、2H; 6-CH2)、4.04 (q、2H; 2-OCH2)、4.36 (t、3J = 8.0 Hz、1H; 17aα-H)、6.96、6.97 (2s、2H; 1-H、4-H)、7.39 (s、2H; NH2)、7.79 (s、2H; NH2)。
【0069】
実施例4.2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート (4):
3-ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエンを一般的インストラクション1に従い反応させて生成物を生成し、次いでフラッシュクロマトグラフィー (トルエン/酢酸エチル = 20:1 → 10:1) により精製した。2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート (4) が91%の収率でが無色結晶として得られた。
1H NMR (CDCl3): δ= 0.81 (t、3J = 7.4 Hz、3H; 18-CH3)、2.78-2.81 (m、2H; 6-CH2)、3.86 (s、3H; 2-OCH3)、5.02 (s、2H; NH2)、6.92、7.02 (2s、2H; 1-H、4-H)。
【0070】
実施例5.2,17β-ジメトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート
17.00 (s、1H)、6.90 (s、1H)、5.14 (s、2H)、3.86 (s、3H)、3.36 (m、4H)、2.78 (m、2H)、2.44 (m、1H)、2.20 (m、2H)、2.08 (m、1H)、1.87 (m、1H)、1.62 (m、2H)、1.5-1.1 (m、8H)、0.98 (m、3H)。
【0071】
実施例6.2-エチル-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビススルファメート
17.92 (s、2H)、7.38 (s、2H)、7.20 (s、1H)、7.00 (s、1H)、4.36 (s、1H)、2.80 (m、2H)、2.62 (m、2H)、2.32 (m、2H)、2.18 (m、2H)、1.80 (m、1H)、1.64 (m、1H)、1.52-1.10 (m、12H)、0.92 (m、3H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

[式中:
R2はC1-C5アルキル、C1-C5アルコキシまたは基-O-CnFmHoであり、ここでn = 1、2、3、4、5または6であり、m > 1かつm + o = 2n + 1であり、
R14およびR15は各場合において水素であるか、あるいは一緒になってメチレン基または追加の結合を形成し、
R16は水素であり、
R17は水素、ヒドロキシ、C1-C5アルキル、C1-C5アルコキシまたは基-CnFmHo (ここでn = 1、2、3、4、5または6であり、m > 1かつm + o = 2n + 1である) または基SO3NHXであり、
Xは水素、C1-C5アルキルまたはC1-C5アシルであり、
ここでステロイド骨格のB-環およびD-環において、破線はさらに2つまでの二重結合を表すことができる]
により表わされる2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートならびにそれらの薬学上許容される塩の薬剤を製造するための使用。
【請求項2】
式中、Xが水素またはC1-C5アシルである、一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートの使用。
【請求項3】
式中、R2がメチル、エチル、メトキシ、エトキシまたは2,2,2-トリフルオロエトキシである、一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートの使用。
【請求項4】
式中、R14およびR15が各場合においてHであるか、あるいは一緒になってメチレン基を形成する、一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートの使用。
【請求項5】
式中、R16が水素である、一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートの使用。
【請求項6】
式中、R17が水素、ヒドロキシ、OC1-C5アルキルまたは基SO3NHXである、一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートの使用。
【請求項7】
2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、すなわち、下記の化合物の使用:
1. 17β-ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),14-テトラエン-3-イルスルファメート、
2. 17α-ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),14-テトラエン-3-イルスルファメート、
3. 2,17β-ジメトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),14-テトラエン-3-イルスルファメート、
4. 2,17α-ジメトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),14-テトラエン-3-イルスルファメート、
5. 2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),14-テトラエン-3-イルスルファメート、
6. 17β- ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
7. 17β-ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イル(N-アセチル)-スルファメート、
8. 17α- ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
9. 2-エトキシ-17β-ヒドロキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
10.2-エトキシ-17β-ヒドロキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イル(N-アセチル)-スルファメート、
11.2-エトキシ-17α- ヒドロキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
12.2,17β-ジメトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
13.17β-エトキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
14.2-メトキシ-17β-(1-プロピルオキシ)-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
15.2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
16.2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イル(N-アセチル)-スルファメート、
17.2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),16-テトラエン-3-イルスルファメート、
18.2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),16-テトラエン-3-イル(N-アセチル)-スルファメート、
19.2-エチル-17β-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
20.17β-エトキシ-2-エチル-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
21.2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビススルファメート、
22.2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビス(N-アセチル)-スルファメート、
23.2-エトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビススルファメート、
24.2-エトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビス(N-アセチル)-スルファメート、
25.2-エチル-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビススルファメート、
26.2-エチル-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジイルビス(N-アセチル)-スルファメート。
【請求項8】
チューブリン重合の阻害により積極的に影響を及ぼすことができる腫瘍疾患を治療する薬剤を製造するための前記請求項のいずれか1つに記載の一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートの使用。
【請求項9】
乳腺を包含する、男性および女性の生殖腺、男性および女性の性器官の腫瘍疾患を治療する薬剤を製造するための請求項1〜8のいずれか1つに記載の一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートの使用。
【請求項10】
乳癌を治療する薬剤を製造するための請求項1〜9のいずれか1つに記載の一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートの使用。
【請求項11】
少なくとも1種の追加の活性成分を使用できる、前立腺癌を治療する薬剤を製造するための請求項1〜10のいずれか1つに記載の一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートの使用。
【請求項12】
一般式I:
【化2】

[式中
R2はC1-C5アルキル、C1-C5アルコキシまたは基-O-CnFmHoであり、ここでn = 1、2、3、4、5または6であり、m > 1かつm + o = 2n + 1であり、
R14およびR15は各場合において水素であるか、あるいは一緒になってメチレン基を形成し、
R16は水素であり、
R17は水素、ヒドロキシ、C1-C5アルキル、C1-C5アルコキシまたは基-CnFmHo (ここでn = 1、2、3、4、5または6であり、m > 1かつm + o = 2n + 1である) または基SO3NHXであり、
Xは水素またはC1-C5アルキルであり、
ここでステロイド骨格のB-環およびD-環において、破線はさらに2つまでの二重結合を表すことができる]
で表わされる2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメートならびにそれらの薬学上許容される塩。
【請求項13】
式中、Xが水素またはメチルである、一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート。
【請求項14】
式中、R2がメチル、エチル、メトキシ、エトキシまたは2,2,2-トリフルオロエトキシである、一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート。
【請求項15】
式中、R14およびR15が各場合においてHであるか、あるいは一緒になってメチレン基を形成する、一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート。
【請求項16】
式中、R16が水素である、一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート。
【請求項17】
式中、R17が水素、ヒドロキシまたはOC1-C5アルキルである、一般式Iの2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート。
【請求項18】
下記の化合物である、2-置換18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート:
1. 17β-ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
2. 17α-ヒドロキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
3. 2-エトキシ-17β-ヒドロキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
4. 2-エトキシ-17α- ヒドロキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
5. 2,17β-ジメトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
6. 17β-エトキシ-2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
7. 2-メトキシ-17β-(1-プロピルオキシ)-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
8. 2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
9. 2-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10),16-テトラエン-3-イルスルファメート、
10. 2-エチル-17β-メトキシ-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート、
11. 17β-エトキシ-2-エチル-18a-ホモエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イルスルファメート。
【請求項19】
請求項12〜18のいずれかに記載の一般式Iの少なくとも1種の化合物、薬学的に適合性のアジュバントおよび/または賦形剤、および必要に応じて少なくとも1種の追加の活性成分とを含有する医薬組成物。

【公表番号】特表2006−517947(P2006−517947A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501901(P2006−501901)
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001630
【国際公開番号】WO2004/074308
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(300049958)シエーリング アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】