説明

抗菌性キノリン誘導体

本発明は、立体化学異性体形態物のいずれも包含する一般式(Ia)または式(Ib):
【化1】


に従う新規な置換キノリン誘導体、これらのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物に関する。この請求する化合物は細菌感染の治療で用いるに有用である。また、製薬学的に許容される担体および請求する化合物を有効成分として治療的に有効な量で含有して成る組成物、請求する化合物または組成物を細菌感染治療用薬剤の製造で用いることおよび請求する化合物の製造方法も請求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、これらに限定するものでないが、病原性ミコバクテリウム属、例えばヒト型結核菌、ウシ型結核菌、ハンセン菌、トリ型結核菌およびM.マリーヌムなど、または病原性スタフィロコッカス属またはストレプトコッカス属などによって引き起こされる病気を包含する細菌性疾患の治療で用いるに有用な新規な置換キノリン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト型結核菌は、世界中に分布している潜在的に致命的な重大な感染病である結核(TB)の原因となる菌である。World Health Organizationによる推定は、毎年800万人以上の人がTBにかかりかつ毎年200万人が結核で死亡することを示している。最近の10年間でTBの症例が世界的に20%増加し、最も貧困な地域社会では最大の負担になっている。このような傾向が続くとTB罹患率は次の20年で41%増加するであろう。有効な化学療法が導入されてから50年経過してもTBはエイズに次いで世界中の成人死亡の主な感染原因のままである。TBの蔓延を複雑にしている事項は、多剤耐性菌株が増え続けておりかつHIVと強力に共生関係にある点にある。HIV陽性でありかつTBに感染している人はHIV陰性の人に比べて活発なTBを発症する可能性が30倍高くかつ世界的にTBがHIV/エイズにかかっている人の中の3人に1人の死亡の原因になっている。
【0003】
現存の結核治療方策は全部が複数の薬剤を組み合わせることを伴う。例えば、U.S.Public Health Serviceが推奨する療法は、イソニアジドとリファンピシンとピラジンアミドの組み合わせを2カ月間投与した後にイソニアジドおよびリファンピシンを単独で更に4カ月間投与する療法である。HIVに感染した患者ではそのような薬剤を更に7カ月間継続する。ヒト型結核菌の多剤耐性菌株に感染した患者では、その組み合わせ治療にエタンブトール、ストレプトマイシン、カナマイシン、アミカシン、カプレオマイシン、エチオナミド、シクロセリン、シプロフォキサシンおよびオフロキサシンなどの如き薬剤を加える。結核の臨床的治療に有効である単一の薬剤は全く存在せずかつ治療期間が6カ月未満の可能性を与える薬剤組み合わせも全く存在しない。
【0004】
患者と供給者の応諾を助長する療法を可能にすることで現在の治療を改善する新規な薬剤が医学的に非常に要求されている。それを達成するには治療期間がより短くかつ管理する必要性がより低い方法が最良である。治療による利益の大部分は、4種類の薬剤を一緒に投与する集中的、即ち殺菌段階である最初の2カ月の間に現れ、細菌による負荷が大きく低下して患者が非感染性になる。残存する病原菌をなくしかつ再発の危険性を最小限にするには4から6カ月間の継続、即ち滅菌段階が必要である。治療期間を2カ月以内に短縮する効力のある滅菌用薬剤が得られたならば、それは極めて有益であろう。また、集中的管理を行う必要性が低いことで応諾を助長する薬剤も必要とされている。明らかに、全治療期間を短縮しかつ薬剤投与頻度を低くする化合物が得られたならば、それは最大の利益を与えるであろう。
【0005】
TBの蔓延を複雑にしている事項は、多剤耐性菌株、即ちMDR−TBの罹患率が増えている点にある。世界中のあらゆる症例の中の4パーセントに及ぶ菌株がMDR−TB、即ち最も有効な薬剤である標準的4種類の薬剤、イソニアジドおよびリファンピンに耐性を示す菌株であると見なされている。MDR−TBは治療を行わないと致死的でありかつ標準的な治療では充分な治療を行うのは不可能であることから、治療には「第二選択」薬剤を2年間に及んで必要とする。そのような薬剤はしばしば毒性があり、高価でありかつ効果も僅かである。有効な療法が存在しないと、伝染性のMDR−TB患者はその病気を
拡散し続けることで、MDR−TB菌株による新規な感染がもたらされてしまう。新しい作用機構を有することで薬剤耐性、特にMDR菌株に対して有効であることが立証される可能性のある新規な薬剤が医学的に高度に必要とされている。
【0006】
本明細書の上または本明細書の以下で用いる如き用語「薬剤耐性」は、微生物学の技術者が充分に理解する用語である。薬剤耐性ミコバクテリウムは、以前に有効であった少なくとも1種の薬剤に対してもはや感受性を示さずかつ以前に有効であった少なくとも1種の薬剤による抗菌攻撃に耐える能力を持つようになったミコバクテリウムである。薬剤耐性株は、そのような耐える能力をその子孫に伝え得る。前記耐性は、単一の薬剤またはいろいろな薬剤に対する感受性を変える無作為な遺伝的変異が細菌細胞内に起こったことによるものであり得る。
【0007】
MDR結核は、細菌が少なくとも現在のところ最も強力な2種類の抗TB薬であるイソニアジドおよびリファンピシン(他の薬剤に対する耐性の有り無し)に耐性を示すことによる特殊な形態の薬剤耐性結核である。このように、本明細書の上または本明細書の以下で「薬剤耐性」を用いる時にはいつでも、それに多剤耐性を包含させる。
【0008】
TBの蔓延を制御する時の別の要因は、潜伏性TBが存在すると言った問題である。数十年に渡る結核(TB)制御プログラムが存在していたにも拘らず、無症状であるが結核菌に感染している人は約20億人である。そのような人の中の約10%は生涯の間に活動的TBを発症する危険性がある。HIV患者がTBに感染しそして多剤耐性TB株(MDR−TB)が発生することによってTBの世界的蔓延が刺激される。潜伏性TBの再活性化が病気発症の非常に危険な要因であり、HIVに感染した人の死亡の32%を占める。TBの蔓延を制御するには、休眠もしくは潜伏性細菌を死滅させ得る新規な薬剤を見いだす必要がある。休眠TBは、腫瘍壊死因子αまたはインターフェロン−γに対する抗体の如き免疫抑制薬の使用によって宿主の免疫が抑制されるようないくつかの要因によって再活性化されることで病気が促される可能性がある。HIV陽性患者の場合、潜伏性TBに利用可能なただ1つの予防的処置は、リファンピシン、ピラジンアミドを2−3カ月間投与する療法である。それでも、そのような治療計画の効力は明瞭ではなく、その上、資源の乏しい環境では処置期間の長さが重大な制約になる。従って、潜伏性TB菌を宿す人に対して化学予防薬として作用し得る新規な薬剤を同定する必要性が顕著に存在する。
【0009】
結核菌が吸入によって健康な人に入り込むと、それらは肺胞マクロファージによって食菌される。それによって強力な免疫反応がもたらされかつ肉芽腫が生じるが、それはT細胞によって取り囲まれている結核菌感染マクロファージで構成される。6−8週間後、その宿主の免疫反応による壊死によってその感染した細胞の細胞死がもたらされることで、特定の細胞外細菌と一緒に乾酪様物質が蓄積し、それの周囲がマクロファージ、類上皮細胞およびリンパ組織の層で取り巻かれる。健康な人の場合、ミコバクテリウムの大部分がそのような環境下で死滅するが、それでも細菌が小さい比率ではあるが生存し、それらは複製しない代謝低下状態で存在すると考えており、イソニアジドの如き抗TB薬による殺菌に耐性を示す。そのような細菌は、臨床的病状を全く示さなくても人の生涯に渡って変化した生理学的環境下で存在したままであり得る。しかしながら、症例の中の10%では、そのような潜伏性細菌が再活性化して病気を引き起こし得る。そのように存続し続ける細菌の発生に関する仮定の中の1つは、ヒト病巣の中の病理−生理学的環境、即ち低酸素圧で栄養が制限されかつpHが酸性であることである。このような要因によってそのような細菌は主要な抗ミコバクテリウム薬に対して表現型的耐性を示すようになると仮定されている。
【0010】
TB蔓延の管理に加えて、第一選択抗生物質に対する耐性が新しく発生した問題である。いくつかの重要な例には、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、多剤耐性サルモネラ菌が含まれる。
【0011】
抗生物質に対する耐性の結果は重大である。耐性微生物によって引き起こされる感染は治療に対して反応を示さず、その結果として病気が長期に渡りかつ死亡の危険性がより高くなる。治療の失敗によってまた伝染期間がより長くなることで、感染した人が地域社会の中を移動する数が多くなることで一般的集団が耐性菌株に感染する危険性にさらされる。病院が世界的に抗菌薬耐性問題の重要な要素である。患者の感受性が高いことと抗菌薬の使用が集中的で長期に渡ることと交差感染の組み合わせの結果として高い耐性を示す細菌病原体による感染がもたらされてしまう。
【0012】
抗菌薬による自己療法が耐性の一因になる別の重要な要因である。自己療法による抗菌薬は必要でない可能性があり、しばしば投与量が不充分であるか、或は活性薬剤が充分な量で入っていない可能性がある。
【0013】
推奨治療に関する患者の応諾が別の主要な問題である。患者は気分が良くなり始めると薬剤の服用を忘れて治療を中断するか、或は全治療単位を与えることができないことで微生物が死滅しないで適応するに理想的な環境が作り出される可能性がある。
【0014】
複数の抗生物質に対する耐性が新しく発生したことから、医者は有効な療法がない感染に直面している。そのような感染の罹患率、死亡率および経済的費用によって世界的に医療制度にかかる負担が増加している。
【0015】
従って、細菌感染、特に薬剤耐性および潜伏性ミコバクテリウム感染を包含するミコバクテリウム感染およびまた他の細菌感染、特に耐性細菌株による感染を治療する新規な化合物が非常に求められている。
【0016】
ミコバクテリウム属、特に結核菌に対して活性を示す特定の置換キノリン誘導体が特許文献1、2、3および4に開示されている。耐性ミコバクテリウム株に対して活性を示す置換キノリン誘導体が特許文献5に記述されている。潜伏性結核に対して活性を示す置換キノリン誘導体が特許文献6に記述されている。そのような置換キノリン誘導体の中の1つの特別な化合物が非特許文献1に記述されており、かつそれの作用様式が特許文献7に記述されている。
【0017】
他の置換キノリンが特許文献8に抗生物質耐性感染治療用として開示されており、かつ細菌微生物の増殖を阻害することが特許文献9に開示されている。
【0018】
本発明の目的は、特にストレプトコッカス、スタフィロコッカスまたはミコバクテリウム属の細菌の増殖を阻害する特性を有することで細菌性疾患、特に病原性細菌、例えば肺炎連鎖球菌、黄色ブドウ球菌またはヒト型結核菌(潜伏性疾患を包含しかつ薬剤耐性ヒト型結核菌株を包含)、ウシ型結核菌、ハンセン菌、トリ型結核菌およびM.マリーヌムなどによって引き起こされる病気の治療で用いるに有用な新規な化合物、特に置換キノリン誘導体を提供することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】WO2004/011436
【特許文献2】WO2005/070924
【特許文献3】WO2005/070430
【特許文献4】WO2005/075428
【特許文献5】WO2005/117875
【特許文献6】WO2006/067048
【特許文献7】WO2006/035051
【特許文献8】US−5,965,572(米国)
【特許文献9】WO00/34265
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Science(2005)、307、223−227
【発明の概要】
【0021】
発明の要約
本発明は、立体化学異性体形態物のいずれも包含する式(Ia)または(Ib):
【0022】
【化1】

【0023】
[式中、
pは、1、2、3または4に相当する整数であり、
qは、ゼロ、1、2、3または4に相当する整数であり、
は、水素、シアノ、ホルミル、カルボキシル、ハロ、アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、−C=N−OR11、アミノ、モノもしくはジ(アルキル)アミノ、アミノアルキル、モノもしくはジ(アルキル)アミノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アミノカルボニル、モノもしくはジ(アルキル)アミノカルボニル、アリールアルキル、アリールカルボニル、R5a4aNアルキル、ジ(アリール)アルキル、アリール、R5a4aN−、R5a4aN−C(=O)−またはHetであり、
は、水素、アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルチオ、モノもしくはジ(アルキル)アミノ、ピロリジノまたは式
【0024】
【化2】

【0025】
で表される基であり、かつYはCH、O、S、NHまたはN−アルキルであり、
は、アルキル、アリールアルキル、アリール−O−アルキル、アリール−アルキル−O−アルキル、アリール、アリール−アリール、Het、Het−アルキル、Het−O−アルキル、Het−アルキル−O−アルキルまたは
【0026】
【化3】

【0027】
であり、
およびRは、各々独立して、水素、アルキル、アルキルオキシアルキル、アリールアルキル、Het−アルキル、モノもしくはジアルキルアミノアルキル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、Het、アリールまたは−C(=NH)−NHであるか、或は
とRがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、4−チオモルホリノ、1,1−ジオキサイド−チオモルホリニル、アゼチジニル、2,3−ジヒドロイソインドール−1−イル、チアゾリジン−3−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、ヘキサヒドロ−1H−アゼピニル、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから成る群より選択される基を形成しておりかつ各基は場合により各置換基がアルキル、ハロアルキル、アルキルカルボニル、ハロ、アリールアルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アミノ、モノもしくはジアルキルアミノ、アミノアルキル、モノもしくはジアルキルアミノアルキル、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アリール、ピリジル、ピリミジニル、場合によりアルキルで置換されていてもよいピペリジニルまたは場合によりアリールアルキルで置換されていてもよいピロリジニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
4aとR5aがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、4−チオモルホリノ、2,3−ジヒドロイソインドール−1−イル、チアゾリジン−3−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、ヘキサヒドロ−1H−アゼピニル、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから成る群より選択される基を形成しておりかつ各基は場合により各置換基がアルキル、ハロアルキル、ハロ、アリールアルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アミノ、モノもしくはジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アリール、ピリジルまたはピリミジニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、ハロ、アルキル、アリールまたはHetであり、
は、水素またはアルキルであり、
は、オキソであるか、或は
とRが一緒になって基−CH=CH−N=を形成しており、
11は、水素またはアルキルであり、
アリールは、各々が場合により各置換基がヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノもしくはジアルキルアミノ、アルキル、場合によりフェニルで置換されていてもよいC2−6アルケニル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モルホリニルまたはモノもしくはジアルキルアミノカルボニルから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、アセナフチルまたはテトラヒドロナフチルから選択さ
れる同素環であり、
Hetは、N−フェノキシピペリジニル、ピペリジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニルから選択される単環式複素環、またはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニルまたはベンゾ[1,3]ジオキソリルから選択される二環式複素環であり、各単環式および二環式複素環は場合により各置換基がハロ、ヒドロキシ、アルキルまたはアルキルオキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい]
に従う新規な置換キノリン誘導体、これらのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
用語「式(Ia)または(Ib)で表される化合物」または「本発明に従う化合物」を本明細書で用いる時にはいつでもそれらにまたそれらの製薬学的に許容される塩またはN−オキサイド形態物または溶媒和物も包含させることを意味する。
【0029】
式(Ia)で表される化合物および(Ib)で表される化合物は、例えばRがオキソに相当しかつRが水素に相当する式(Ib)に従う化合物はRがヒドロキシに相当する式(Ia)に従う化合物の互変異性相当物である(ケト−エノール互変異性)などの点で相互に関係している。
【0030】
Hetの定義に関して、それに複素環の可能な異性体形態物の全部を包含させることを意味し、例えばピロリルは1H−ピロリルおよび2H−ピロリルを包含する。
【0031】
本明細書の上または本明細書の以下に記述する如き式(Ia)または(Ib)で表される化合物の置換基(例えばRを参照)の定義に示すアリールまたはHetは式(Ia)または(Ib)で表される分子の残りと特に明記しない限り適宜いずれかの環炭素もしくはヘテロ原子を通して結合していてもよい。このように、例えばHetがイミダゾリルの場合、それは1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリルなどであってもよい。
【0032】
置換基から環系の中に引いた線は、その結合が適切な環原子のいずれかと結合していてもよいことを示す。
【0033】
本明細書の上または本明細書の以下に記述する如き製薬学的に許容される塩には式(Ia)または式(Ib)に従う化合物が形成し得る治療的に有効な無毒の酸付加塩形態物が含まれることを意味する。式(Ia)または式(Ib)に従う化合物の塩基形態物を適切な酸、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、特に塩酸、臭化水素酸など、硫酸、硝酸および燐酸など、有機酸、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸およびパモ酸などで処理することで前記酸付加塩を得ることができる。
【0034】
酸性プロトンを含有する式(Ia)または(Ib)で表される化合物を適切な有機および無機塩基で処理することで治療的に有効な無毒の金属もしくはアミン付加塩形態物に変化させることができる。本明細書の上または本明細書の以下に記述する如き製薬学的に許容される塩にまた式(Ia)または(Ib)で表される化合物が形成し得る治療的に有効
な無毒の金属もしくはアミン付加塩形態物(塩基付加塩形態物)も包含させることを意味する。適切な塩基付加塩形態物には、例えばアンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えば第一級、第二級および第三級の脂肪および芳香族アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4種類のブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリンおよびイソキノリンなど、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、ヒドラバミンなどの塩、およびアミノ酸、例えばアルギニンおよびリシンなどとの塩が含まれる。
【0035】
逆に、前記酸もしくは塩基付加塩形態物を適切な塩基もしくは酸で処理することで遊離形態物に変化させることができる。
【0036】
用語「製薬学的に許容される塩」には、また、式(Ia)または(Ib)で表される化合物が式(Ia)または(Ib)で表される化合物の塩基性窒素と適切な第四級化剤、例えば場合により置換されていてもよいC1−6アルキルハライド、アリールC1−6アルキルハライド、C1−6アルキルカルボニルハライド、アリールカルボニルハライド、HetC1−6アルキルハライドまたはHetカルボニルハライド、例えばヨウ化メチルまたはヨウ化ベンジルなどとの間の反応で形成し得る第四級アンモニウム塩(第四級アミン)も含まれる。好適には、Hetは、フラニルまたはチエニルから選択される単環式複素環、またはベンゾフラニルまたはベンゾチエニルから選択される二環式複素環を表し、各単環式および二環式複素環は場合により各置換基がハロ、アルキルおよびアリールから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい。そのような第四級化剤は好適にはC1−6アルキルハライドである。また、良好な脱離基を有する他の反応体、例えばトリフルオロメタンスルホン酸C1−6アルキル、メタンスルホン酸C1−6アルキルおよびp−トルエンスルホン酸C1−6アルキルなどを用いることも可能である。第四級アミンは正に帯電している窒素を有する。製薬学的に許容される対イオンには、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロアセテート、アセテート、トリフレート、スルフェート、スルホネートが含まれる。好適には、そのような対イオンはヨードである。その選択した対イオンをイオン交換樹脂を用いて導入してもよい。
【0037】
用語「溶媒和物」には、式(Ia)または(Ib)で表される化合物ばかりでなくこれらの塩が形成し得る水化物および溶媒付加形態物が含まれる。そのような形態物の例は、例えば水化物、アルコラートなどである。
【0038】
本出願の構成において、本発明に従う化合物にこれの立体化学異性体形態物の全部を包含させることを本質的に意図する。本明細書の上または本明細書の以下で用いる如き用語「立体化学異性体形態物」は、式(Ia)および(Ib)で表される化合物およびこれらのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩、溶媒和物または生理学的に機能を果たす誘導体が取り得る可能な異性体形態物の全部を定義するものである。特に明記しない限り、化合物の化学的表示は可能なあらゆる立体化学異性体形態物の混合物を表す。詳細には、立体中心はR配置またはS配置を取り得、二価の環式(部分)飽和基上の置換基はシス配置またはトランス配置のいずれかを取り得る。二重結合を含有する化合物は前記二重結合の所にE(entgegen)立体化学またはZ(zusammen)立体化学を取り得る。用語シス、トランス、R、S、EおよびZは当業者に良く知られている。式(Ia)および(Ib)で表される化合物の立体化学異性体形態物を本発明の範囲内に包含させることを明らかに意図する。特に興味の持たれる化合物は、立体化学的に高純度の式(Ia)および(Ib)で表される化合物である。
【0039】
CASの命名慣例に従い、絶対配置が既知の2個の立体中心が分子中に存在する場合、RまたはS記述子に番号が最も小さいキラル中心、即ち基準中心を割り当てる(Cahn−Ingold−Prelogの配列規則を基に)。2番目の立体中心の配置を相対的記述子[R,R]または[R,S]で示し、ここで、Rを常に基準中心として指定し、そして[R,R]は同じキラリティーを持つ中心を示し、そして[R,S]は異なるキラリティーを持つ中心を示す。例えば、分子中で番号が最も小さいキラル中心がS配置を有しかつ2番目の中心がRである場合、その立体記述子はS−[R,S]であると指定することになるであろう。「α」および「β」を用いる場合、環の番号が最も低い環系が有する不斉炭素原子上の優先度が最も高い置換基の位置が随意常にその環系によって決まる平均面の「α」位にあるとする。前記基準原子が有する優先度が最も高い置換基の位置を基準にしたその環系内に存在する他の不斉炭素原子上の優先度が最も高い置換基の位置がこの環系によって決まる平均面の同じ側に存在する場合にはそれを「α」と命名し、或はそれがこの環系によって決まる平均面のもう一方の側に存在する場合にはそれを「β」と命名する。
【0040】
特定の立体異性体形態物を示す場合、これは、前記形態物が他の異性体1種または2種以上を実質的に含有しない、即ちそれが伴う他の異性体1種または2種以上の量が50%未満、好適には20%未満、より好適には10%未満、更により好適には5%未満、更に好適には2%未満、最も好適には1%未満であることを意味する。このように、式(Ia)または(Ib)で表される化合物が例えば(S)であると示す場合、これはその化合物が(R)異性体を実質的に含有しないことを意味する。
【0041】
式(Ia)および(Ib)のいずれかで表される化合物は、鏡像異性体の混合物の形態、特にラセミ混合物の形態で合成可能であり、それらを互いに当該技術分野で公知の分割手順に従って分離することができる。式(Ia)および(Ib)のいずれかで表されるラセミ化合物を適切なキラル酸と反応させることで相当するジアステレオマー塩形態物に変化させてもよい。その後、前記ジアステレオマー塩形態物に分離を例えば選択的もしくは分別結晶化などで受けさせた後、アルカリを用いてそれから鏡像異性体を遊離させる。式(Ia)および(Ib)のいずれかで表される化合物の鏡像異性体形態物を分離する代替様式は、キラル固定相を用いた液クロの使用を伴う。また、相当する適切な出発材料の立体化学的に高純度の異性体形態物を用いてそのような立体的に高純度の異性体形態物を生じさせることも可能であるが、その反応が立体特異的に起こることを条件とする。特定の立体異性体が必要な場合、好適には、立体特異的製造方法を用いて前記化合物の合成を行う。そのような方法では有利に鏡像異性体的に高純度の出発材料を用いる。
【0042】
式(Ia)または(Ib)で表される化合物の互変異性体形態物に例えばエノール基がケト基に変化(ケト−エノール互変異性)する式(Ia)または(Ib)で表される化合物を包含させることを意味する。式(Ia)および(Ib)で表される化合物または本発明の中間体の互変異性体形態物を本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0043】
本化合物のN−オキサイド形態物に1または数個の第三級窒素原子が酸化されていわゆるN−オキサイドになっている式(Ia)または(Ib)で表される化合物を包含させることを意味する。
【0044】
式(Ia)および(Ib)で表される化合物から相当するN−オキサイド形態物への変換は、三価の窒素をN−オキサイド形態に変化させるに適することが当該技術分野で知られている手順に従って実施可能である。前記N−オキサイド化反応は、一般に、式(Ia)または(Ib)で表される出発材料を適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることで実施可能である。適切な無機過酸化物には、例えば過酸化水素、アルカリ金属もしく
はアルカリ土類金属の過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムなどが含まれ、適切な有機過酸化物には、ペルオキシ酸、例えば過安息香酸またはハロ置換過安息香酸、例えば3−クロロ過安息香酸など、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸など、アルキルヒドロパーオキサイド、例えばt−ブチルヒドロパーオキサイドなどが含まれ得る。適切な溶媒は、例えば水、低級アルコール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエンなど、ケトン、例えば2−ブタノンなど、ハロゲン置換炭化水素、例えばジクロロメタンなど、そしてそのような溶媒の混合物である。
【0045】
本出願の構成において、本発明に従う化合物にこれの化学的元素の同位元素組み合わせの全部を包含させることを本質的に意図する。本出願の構成において、化学的元素を特に式(Ia)または(Ib)に従う化合物に関して述べる場合、これにそのような元素の同位元素および同位元素混合物の全部をそれらが天然に存在するか或は合成で生じさせたものであるかに拘わらずかつ天然に豊富に存在するか或は同位元素が豊富に存在する形態であるかに拘わらず包含させる。詳細には、水素を記述する場合のそれはH、H、Hおよびこれらの混合物を指すと理解し、炭素を記述する場合のそれは11C、12C、13C、14Cおよびこれらの混合物を指すと理解し、窒素を記述する場合のそれは13N、14N、15Nおよびこれらの混合物を指すと理解し、酸素を記述する場合のそれは14O、15O、16O、17O、18Oおよびこれらの混合物を指すと理解し、そしてフッ素を記述する場合のそれは18F、19Fおよびこれらの混合物を指すと理解する。
【0046】
従って、本発明に従う化合物には、本質的に、1個以上の元素の1種以上の同位元素を有する化合物およびこれらの混合物が含まれ、それらには、1個以上の非放射性原子がそれの放射性同位元素の中の1種に置き換わっている放射性化合物(また放射能標識付き化合物とも呼ぶ)が含まれる。用語「放射能標識付き化合物」は、放射性原子を少なくとも1個含有する式(Ia)または(Ib)に従う化合物、これの製薬学的に許容される塩またはN−オキサイド形態物または溶媒和物のいずれかを意味する。例えば、化合物に陽電子またはガンマ線放射性同位元素による標識を付けることができる。放射性リガンド結合技術(膜受容体検定)では、H原子または125I原子が置き換えで選択される原子である。画像形成の場合に最も通常用いられる陽電子放出(PET)放射性同位元素は11C、18F、15Oおよび13Nであり、これらの発生は全部加速機を用いて行われ、そしてそれらが示す半減期はそれぞれ20、100、2および10分である。そのような放射性同位元素が示す半減期は非常に短いことから、それらを用いることができるのはそれらを発生させる場所に加速機が備わっている施設のみであり、従って、それらの使用は限定される。それらの中で最も幅広く用いられているのは18F、99mTc、201TIおよび123Iである。そのような放射性同位元素の取り扱い、それらの発生、単離および分子内への取り込みは当業者に公知である。
【0047】
そのような放射性原子を特に水素、炭素、窒素、硫黄、酸素およびハロゲンの群から選択する。その放射性原子を好適には水素、炭素およびハロゲンの群から選択する。
【0048】
そのような放射性同位元素を特にH、11C、18F、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Brおよび82Brの群から選択する。その放射性同位元素を好適にはH、11Cおよび18Fの群から選択する。
【0049】
本出願の構成において、アルキルは、炭素原子数が1から6の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基であるか、或は炭素原子数が3から6の環式飽和炭化水素基であるか、或は炭素原子数が1から6の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基と結合している炭素原子数が3から6の環式飽和炭化水素基であり、かつ各炭素原子は場合によりシアノ、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシまたはオキソで置換されていてもよい。好適には、アルキルは、炭素原子数が1から6の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基であるか、或は炭素原子数が3から
6の環式飽和炭化水素基であり、かつ各炭素原子は場合によりヒドロキシルまたはC1−6アルキルオキシで置換されていてもよい。好適には、アルキルはメチル、エチルまたはシクロヘキシルメチル、より好適にはメチルまたはエチルである。本明細書の上または本明細書の以下で用いるあらゆる定義において、アルキルの興味の持たれる態様はC1−6アルキルであり、これは炭素原子数が1から6の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、2−メチル−エチル、ペンチル、ヘキシルなどに相当する。C1−6アルキルの好適なサブグループはC1−4アルキルであり、これは炭素原子数が1から4の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、2−メチル−エチルなどに相当する。
【0050】
本出願の構成において、C2−6アルケニルは、二重結合を含有する炭素原子数が2から6の直鎖もしくは分枝炭化水素基、例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどであり、C2−6アルキニルは、三重結合を含有する炭素原子数が2から6の直鎖もしくは分枝炭化水素基、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどであり、C3−6シクロアルキルは炭素原子数が3から6の環式飽和炭化水素基であり、これはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルの総称である。
【0051】
本出願の構成において、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの群から選択される置換基であり、そしてハロアルキルは、1個以上の炭素原子が1個以上のハロゲン原子で置換されている炭素原子数が1から6の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基または炭素原子数が3から6の環式飽和炭化水素基または炭素原子数が1から6の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基と結合している炭素原子数が3から6の環式飽和炭化水素基である。好適には、ハロはブロモ、フルオロまたはクロロ、特にクロロまたはブロモである。好適には、ハロアルキルはポリハロC1−6アルキルであり、これはモノもしくはポリハロ置換C1−6アルキル、例えば1個以上のフルオロ原子を有するメチル、例えばジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなど、1,1−ジフルオロ−エチルなどであると定義する。ハロアルキルまたはポリハロC1−6アルキルの定義の範囲内でアルキルまたはC1−6アルキル基にハロ原子が2個以上結合している場合、それらは同じまたは異なってもよい。
【0052】
1番目の興味の持たれる態様は、立体化学異性体形態物のいずれも包含する式(Ia)または(Ib):
【0053】
【化4】

【0054】
[式中、
pは、1、2、3または4に相当する整数であり、
qは、ゼロ、1、2、3または4に相当する整数であり、
は、水素、シアノ、ホルミル、カルボキシル、ハロ、アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、−C=N−OR11、アミノ、モノもしくはジ(アルキル)アミノ、アミノアルキル、モノもしくはジ(アルキル)アミノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アミノカルボニル、モノもしくはジ(アルキル)アミノカルボニル、アリールアルキル、アリールカルボニル、R5a4aNアルキル、ジ(アリール)アルキル、アリール、R5a4aN−、R5a4aN−C(=O)−またはHetであり、
は、水素、アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルチオ、モノもしくはジ(アルキル)アミノ、ピロリジノまたは式
【0055】
【化5】

【0056】
で表される基であり、かつYがCH、O、S、NHまたはN−アルキルであり、
は、アルキル、アリールアルキル、アリール−O−アルキル、アリール−アルキル−O−アルキル、アリール、Het、Het−アルキル、Het−O−アルキル、Het−アルキル−O−アルキルまたは
【0057】
【化6】

【0058】
であり、
およびRは、各々独立して、水素、アルキル、アルキルオキシアルキル、アリールアルキル、Het−アルキル、モノもしくはジアルキルアミノアルキル、Het、アリールまたは−C(=NH)−NHであるか、或は
とRがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、4−チオモルホリノ、2,3−ジヒドロイソインドール−1−イル、チアゾリジン−3−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、ヘキサヒドロ−1H−アゼピニル、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから成る群より選択される基を形成しておりかつ各基は場合により各置換基がアルキル、ハロアルキル、アルキルカルボニル、ハロ、アリールアルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アミノ、モノもしくはジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アリール、ピリジル、ピリミジニル、ピペリジニルまたは場合によりアリールアルキルで置換されていてもよいピロリジニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
4aとR5aがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、4−チオモルホリノ、2,3−ジヒドロイソインドール−1−イル、チアゾリジン−3−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、ヘキサヒド
ロ−1H−アゼピニル、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから成る群より選択される基を形成しておりかつ各基は場合により各置換基がアルキル、ハロアルキル、ハロ、アリールアルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アミノ、モノもしくはジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アリール、ピリジルまたはピリミジニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、ハロ、アルキル、アリールまたはHetであり、
は、水素またはアルキルであり、
は、オキソであるか、或は
とRが一緒になって基−CH=CH−N=を形成しており、
11は、水素またはアルキルであり、
アリールは、各々が場合により各置換基がヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノもしくはジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モルホリニルまたはモノもしくはジアルキルアミノカルボニルから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、アセナフチルまたはテトラヒドロナフチルから選択される同素環であり、
Hetは、N−フェノキシピペリジニル、ピペリジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニルから選択される単環式複素環、またはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニルまたはベンゾ[1,3]ジオキソリルから選択される二環式複素環であり、各単環式および二環式複素環が場合により各置換基がハロ、ヒドロキシ、アルキルまたはアルキルオキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい]
で表される化合物、これの製薬学的に許容される塩、N−オキサイド形態物または溶媒和物に関する。
【0059】
2番目の興味の持たれる態様は、
pが1、2、3または4に相当する整数であり、
qがゼロ、1、2、3または4に相当する整数であり、
が水素、シアノ、ホルミル、カルボキシル、ハロ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ポリハロC1−6アルキル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、C1−6アルキルチオC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、−C=N−OR11、アミノ、モノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、アミノC1−6アルキル、モノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル、アミノカルボニル、モノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノカルボニル、アリールC1−6アルキル、アリールカルボニル、R5a4aNC1−6アルキル、ジ(アリール)C1−6アルキル、アリール、R5a4aN−、R5a4aN−C(=O)−またはHetであり、
が水素、C1−6アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルチオ、モノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、ピロリジノまたは式
【0060】
【化7】

【0061】
で表される基であり、かつYがCH、O、S、NHまたはN−C1−6アルキルであり、
がC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリールC1−6アルキル、アリール−O−C1−6アルキル、アリール−C1−6アルキル−O−C1−6アルキル、アリール、アリール−アリール、Het、Het−C1−6アルキル、Het−O−C1−6アルキルまたはHet−C1−6アルキル−O−C1−6アルキルまたは
【0062】
【化8】

【0063】
であり、
およびRが各々独立して水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、アリールC1−6アルキル、Het−C1−6アルキル、モノもしくはジC1−6アルキルアミノC1−6アルキル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、Het、アリールまたは−C(=NH)−NHであるか、或は
とRがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、4−チオモルホリノ、1,1−ジオキサイド−チオモルホリニル、アゼチジニル、2,3−ジヒドロイソインドール−1−イル、チアゾリジン−3−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、ヘキサヒドロ−1H−アゼピニル、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから成る群より選択される基を形成しておりかつ各基が場合により各置換基がC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、ハロ、アリールC1−6アルキル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、アミノ、モノもしくはジC1−6アルキルアミノ、アミノC1−6アルキル、モノもしくはジC1−6アルキルアミノC1−6アルキル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルチオC1−6アルキル、アリール、ピリジル、ピリミジニル、場合によりC1−6アルキルで置換されていてもよいピペリジニルまたは場合によりアリールC1−6アルキルで置換されていてもよいピロリジニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
4aとR5aがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、4−チオモルホリノ、2,3−ジヒドロイソインドール−1−イル、チアゾリジン−3−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、ヘキサヒドロ−1H−アゼピニル、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから成る群より選択される基を形成しておりかつ各基が場合により各置換基がC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキル、ハロ、アリ
ールC1−6アルキル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、アミノ、モノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、C1−6アルキルチオC1−6アルキル、アリール、ピリジルまたはピリミジニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
が水素、ハロ、C1−6アルキル、アリールまたはHetであり、
が水素またはC1−6アルキルであり、
がオキソであるか、或は
とRが一緒になって基−CH=CH−N=を形成しており、
11が水素またはC1−6アルキルであり、
アリールが各々が場合により各置換基がヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルキル、場合によりフェニルで置換されていてもよいC2−6アルケニル、ポリハロC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ハロC1−6アルキルオキシ、カルボキシル、C1−6アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モルホリニルまたはモノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノカルボニルから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、アセナフチルまたはテトラヒドロナフチルから選択される同素環であり、
HetがN−フェノキシピペリジニル、ピペリジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニルから選択される単環式複素環、またはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニルまたはベンゾ[1,3]ジオキソリルから選択される二環式複素環であり、各単環式および二環式複素環が場合により各置換基がハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい、
式(Ia)または(Ib)で表される化合物に関する。
【0064】
3番目の興味の持たれる態様は、
pが1、2、3または4に相当する整数であり、
qがゼロ、1、2、3または4に相当する整数であり、
が水素、シアノ、ホルミル、カルボキシル、ハロ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルチオC1−6アルキル、−C=N−OR11、アミノ、モノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、アミノC1−6アルキル、モノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル、アミノカルボニル、モノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノカルボニル、アリールC1−6アルキル、アリールカルボニル、R5a4aNC1−6アルキル、ジ(アリール)C1−6アルキル、アリール、R5a4aN−、R5a4aN−C(=O)−またはHetであり、
が水素、C1−6アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルチオ、モノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、ピロリジノまたは式
【0065】
【化9】

【0066】
で表される基であり、かつYがCH、O、S、NHまたはN−C1−6アルキルであり、
がC1−6アルキル、アリールC1−6アルキル、アリール−O−C1−6アルキル、アリールC1−6アルキル−O−C1−6アルキル、アリール、Het、Het−C1−6アルキル、Het−O−C1−6アルキル、HetC1−6アルキル−O−C1−6アルキルまたは
【0067】
【化10】

【0068】
であり、
およびRが各々独立して水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、アリールC1−6アルキル、Het−C1−6アルキル、モノもしくはジC1−6アルキルアミノC1−6アルキル、Het、アリールまたは−C(=NH)−NHであるか、或は
とRがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、4−チオモルホリノ、2,3−ジヒドロイソインドール−1−イル、チアゾリジン−3−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、ヘキサヒドロ−1H−アゼピニル、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから成る群より選択される基を形成しておりかつ各基が場合により各置換基がC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、ハロ、アリールC1−6アルキル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、アミノ、モノもしくはジC1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルチオC1−6アルキル、アリール、ピリジル、ピリミジニル、ピペリジニルまたは場合によりアリールC1−6アルキルで置換されていてもよいピロリジニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
4aとR5aがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、4−チオモルホリノ、2,3−ジヒドロイソインドール−1−イル、チアゾリジン−3−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、ヘキサヒドロ−1H−アゼピニル、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから成る群より選択される基を形成しておりかつ各基が場合により各置換基がC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ハロ、アリールC1−6アルキル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、アミノ、モノもしくはジC1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルチオC1−6アルキル、
アリール、ピリジルまたはピリミジニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
が水素、ハロ、C1−6アルキル、アリールまたはHetであり、
が水素またはC1−6アルキルであり、
がオキソであるか、或は
とRが一緒になって基−CH=CH−N=を形成しており、
11が水素またはC1−6アルキルであり、
アリールが各々が場合により各置換基がヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノもしくはジC1−6アルキルアミノ、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ハロC1−6アルキルオキシ、カルボキシル、C1−6アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モルホリニルまたはモノもしくはジC1−6アルキルアミノカルボニルから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、アセナフチルまたはテトラヒドロナフチルから選択される同素環であり、
HetがN−フェノキシピペリジニル、ピペリジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニルから選択される単環式複素環、またはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニルまたはベンゾ[1,3]ジオキソリルから選択される二環式複素環であり、各単環式および二環式複素環が場合により各置換基がハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい、
式(Ia)または(Ib)で表される化合物に関する。
【0069】
4番目の興味の持たれる態様は、Rが水素、シアノ、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシアルキル、アルキルチオアルキル、アリールアルキル、ジ(アリール)アルキル、アリールまたはHetであり、特にRがハロ、アリールまたはHetであり、より特別にはRがハロである式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。最も好適には、Rはブロモである。または、Rはホルミル、カルボキシル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−C=N−OR11、アミノ、モノもしくはジ(アルキル)アミノ、アミノアルキル、モノもしくはジ(アルキル)アミノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アミノカルボニル、モノもしくはジ(アルキル)アミノカルボニル、アリールカルボニル、R5a4aN−アルキル、R5a4aN−、R5a4aN−C(=O)−を表す。
【0070】
5番目の興味の持たれる態様は、pが1に相当する式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。
【0071】
6番目の興味の持たれる態様は、Rが水素、アルキルオキシまたはアルキルチオ、特に水素、C1−6アルキルオキシまたはC1−6アルキルチオである式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。より特別には、RはC1−6アルキルオキシ、好適にはメチルオキシである。
【0072】
7番目の興味の持たれる態様は、RがC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリールC1−6アルキル、アリール、Het、Het−C1−6アルキル、特にアリー
ルまたはアリールC1−6アルキル、より特別には場合により置換されていてもよいフェニル、更により特別にはアリール、例えば場合により置換されていてもよいフェニルまたは場合により置換されていてもよいナフチル、更により特別にはナフチルである式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。または、Rはアリール−O−C1−6アルキル、アリールC1−6アルキル−O−C1−6アルキル、アリール−アリール、Het−O−C1−6アルキル、HetC1−6アルキル−O−C1−6アルキルまたは
【0073】
【化11】

【0074】
であるか、或はRはアリール−O−C1−6アルキル、アリールC1−6アルキル−O−C1−6アルキル、Het−O−C1−6アルキル、HetC1−6アルキル−O−C1−6アルキルまたは
【0075】
【化12】

【0076】
である。
【0077】
8番目の興味の持たれる態様は、qが2、3または4に相当する式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。
【0078】
9番目の興味の持たれる態様は、RおよびRが各々独立して水素またはC1−6アルキル、特別にはC1−6アルキル、より特別にはメチルまたはエチルを表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。好適には、RおよびRはメチルである。
【0079】
10番目の興味の持たれる態様は、RとRがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、イミダゾリル、トリアゾリル(前記環は各々が場合によりC1−6アルキルで置換されていてもよい)、より特別にはピペリジノまたはピペラジノ(前記環は各々が場合によりC1−4アルキルで置換されていてもよい)、更により特別にはピペリジノまたは場合によりC1−4アルキルで置換されていてもよいピペラジノから成る群より選択される基を形成している式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。
【0080】
11番目の興味の持たれる態様は、Rが水素である式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。
【0081】
12番目の興味の持たれる態様は、式(Ia)で表される化合物である式(Ia)また
は(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。
【0082】
13番目の興味の持たれる態様は、式(Ib)で表される化合物でありかつRが水素でありそしてRがオキソである式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。
【0083】
14番目の興味の持たれる態様は、式(Ib)で表される化合物でありかつ特にRがアルキル、より好適にはC1−6アルキル、例えばメチルなどである式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。
【0084】
15番目の興味の持たれる態様は、アリールが各々が場合によりハロ、例えばクロロなど、シアノ、アルキル、例えばメチルなど、またはアルキルオキシ、例えばメチルオキシなどから選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいナフチルまたはフェニル、より好適にはフェニルである式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。
【0085】
16番目の興味の持たれる態様は、Rがキノリン環の6位に位置する式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。
【0086】
本出願の構成において、式(Ia)または(Ib)で表される化合物が有するキノリン環に下記の如き番号を付ける:
【0087】
【化13】

【0088】
17番目の興味の持たれる態様は、グラム陽性および/またはグラム陰性細菌による細菌感染、とりわけグラム陽性細菌による細菌感染を治療するための薬剤を製造する目的で式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかを用いることにある。
【0089】
18番目の興味の持たれる態様は、細菌感染を治療するための薬剤を製造する目的で式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかを用いることにありかつ式(Ia)または(Ib)で表される化合物が少なくとも1種の細菌、特にグラム陽性細菌に対して示すIC90は<15μl/ml、好適にはIC90は10μl/ml、より好適にはIC90<5μl/mlであり、ここで、IC90値は本明細書の以下に記述するようにして測定した値である。
【0090】
19番目の興味の持たれる態様は、以下の定義:
がハロ、好適にはブロモである、
がC1−6アルキルオキシ、好適にはメチルオキシである、
がアリール、特にナフチルである、
およびRがC1−6アルキル、特にメチルである、
が水素である、
qが2、3または4である、
pが1である、
の中の1つ以上、好適には全部が当てはまる式(Ia)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかに関する。
【0091】
式(Ia)または(Ib)で表される化合物または本明細書の上に興味が持たれる態様として記述した如きそれのサブグループのいずれかにおける用語「アルキル」は、好適にはC1−6アルキル、より好適にはC1−4アルキルを表し、そして用語「ハロアルキル」はポリハロC1−6アルキルを表す。
【0092】
薬理学
本発明に従う化合物は、驚くべきことに、ミコバクテリウム感染、特に病原性ミコバクテリウム属、例えばヒト型結核菌(これらの潜伏性および薬剤耐性形態を包含)、ウシ型結核菌、トリ型結核菌、ハンセン菌およびM.マリーヌムなどによって引き起こされる病気を包含する細菌感染の治療で用いるに適することを見いだした。このように、本発明は、また、本明細書の上で定義した如き式(Ia)または(Ib)で表される化合物、これらの製薬学的に許容される塩またはN−オキサイド形態物または溶媒和物を薬剤として用いること、特にミコバクテリウム感染を包含する細菌感染を治療するための薬剤として用いることにも関する。
【0093】
その上、本発明は、また、式(Ia)または(Ib)で表される化合物、これらの製薬学的に許容される塩またはN−オキサイド形態物または溶媒和物ばかりでなく本明細書の以下に記述する如きそれらの製薬学的組成物のいずれかをミコバクテリウム感染を包含する細菌感染を治療するための薬剤を製造する目的で用いることにも関する。
【0094】
従って、別の面において、本発明は、ミコバクテリウム感染を包含する細菌感染に苦しんでいるか或はそのような感染の危険性のある患者を治療する方法を提供し、この方法は、前記患者に本発明に従う化合物もしくは製薬学的組成物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る。
【0095】
本発明に従う化合物は、ミコバクテリウム属に対して活性を示すことに加えてまた他の細菌に対しても活性を示す。細菌病原体は一般にグラム陽性病原体またはグラム陰性病原体のいずれかとして分類分け可能である。グラム陽性病原体とグラム陰性病原体の両方に対して活性を示す抗生物質である化合物は一般に幅広いスペクトルの活性を示すと見なされる。本発明の化合物は、グラム陽性および/またはグラム陰性細菌である病原体、特にグラム陽性細菌病原体に対して活性を示すと考えている。本化合物は特に少なくとも1種のグラム陽性細菌、好適には数種のグラム陽性細菌、より好適には1種以上のグラム陽性細菌および/または1種以上のグラム陰性細菌に対して活性を示す。
【0096】
本化合物は殺菌もしくは静菌活性を示す。
【0097】
グラム陽性およびグラム陰性の好気性および嫌気性細菌の例には、スタフィロコッカス属、例えば黄色ブドウ球菌など、エンテロコッカス属、例えば大便連鎖球菌など、ストレプトコッカス属、例えば肺炎連鎖球菌、ミュータンス連鎖球菌、化膿連鎖球菌など、バシラス属、例えば枯草菌など、リステリア属、例えばリステリアモノサイトゲネスなど、ヘモフィルス属、例えばインフルエンザ菌など、モラクセラ属、例えばカタラリス菌など、
シュードモナス属、例えば緑膿菌など、およびエシェリキア属、例えば大腸菌などが含まれる。グラム陽性病原体、例えばスタフィロコッカス属、エンテロコッカス属およびストレプトコッカス属などは耐性株を発生しかつそれが発生すると治療が困難でありかつ例えば病院の環境などから撲滅するのが困難であることから特に重要である。そのような菌株の例は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、メチシリン耐性コアグラーゼ陰性スタフィロコッカス(MRCNS)、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌および多剤耐性エンテロコッカス・フェシウム(faecium)である。
【0098】
本発明の化合物はまた耐性細菌株に対しても活性を示す。
【0099】
本発明の化合物は特に肺炎連鎖球菌および黄色ブドウ球菌[耐性黄色ブドウ球菌、例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などを包含]に対して活性を示す。
【0100】
従って、本発明は、また、式(Ia)または(Ib)で表される化合物、これの製薬学的に許容される塩、溶媒和物またはN−オキサイド形態物ばかりでなく本明細書の以下に記述する如きそれの製薬学的組成物のいずれかをスタフィロコッカスおよび/またはストレプトコッカス属による感染を包含する細菌感染を治療するための薬剤を製造する目的で用いることにも関する。
【0101】
従って、別の面において、本発明は、スタフィロコッカスおよび/またはストレプトコッカス属による感染を包含する細菌感染に苦しんでいるか或はその危険性のある患者を治療する方法を提供し、この方法は、前記患者に本発明に従う化合物もしくは製薬学的組成物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る。
【0102】
如何なる理論でも範囲を限定するものでないが、本化合物が示す活性はF1F0 ATPシンターゼを阻害すること、特にF1F0 ATPシンターゼのF0複合体を阻害すること、より詳細にはF1F0 ATPシンターゼのF0複合体のサブユニットcを阻害することで細菌の細胞内ATP濃度を減少させて細菌を死滅させることにあると教示する。従って、本発明の化合物は、特に、生存がF1F0 ATPシンターゼの機能が適切であることに依存する細菌に対して活性を示す。
【0103】
本化合物を用いて治療可能な細菌感染には、例えば中枢神経系の感染、外耳の感染、中耳の感染、例えば急性中耳炎など、頭蓋洞の感染、眼の感染、口腔の感染、例えば歯、歯茎および粘膜などの感染、上気道の感染、下気道の感染、泌尿生殖器の感染、胃腸の感染、婦人科の感染、敗血症、骨および関節の感染、皮膚および皮膚構造物の感染、細菌性心内膜炎、火傷、手術の抗菌予防および免疫抑制患者、例えば癌化学療法を受けた患者または臓器移植を受けた患者などにおける抗菌予防などが含まれる。
【0104】
本化合物を用いて細菌感染を治療することができることを本明細書の上または本明細書の以下で用いる時にはいつで本化合物を用いて1種以上の細菌株による感染を治療することができることを意味する。
【0105】
本発明は、また、製薬学的に許容される担体を含有しかつ本発明に従う化合物を有効成分として治療的に有効な量で含有して成る組成物にも関する。本発明に従う化合物は投与の目的でいろいろな製薬学的形態物に構築可能である。適切な組成物として、全身投与用薬剤で通常用いられるあらゆる組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物を調製する時、有効量の個々の化合物を場合により付加塩形態で有効成分として製薬学的に許容される担体との密な混合物として一緒にするが、前記担体が取り得る形態は投与に望まれる製剤の形態に応じて幅広く多様であり得る。本製薬学的組成物を特に経口または非経口注入による投与に適した単位投薬形態物にするのが好ましい。例えば、本組成物を経
口投薬形態物として調製する時、通常の製薬学的媒体のいずれも使用可能であり、例えば液状の経口用製剤、例えば懸濁液、シロップ、エリキシル、乳液および溶液などの場合には水、グリコール、油、アルコールなど、または粉末、ピル、カプセルおよび錠剤の場合には固体状担体、例えば澱粉、糖、カオリン、希釈剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などを用いてもよい。投与が容易なことから錠剤およびカプセルが最も有利な経口投薬単位形態物に相当し、この場合には明らかに固体状の製薬学的担体を用いる。非経口用組成物の場合の担体は少なくとも大部分が一般に無菌水を含んで成るが、他の材料、例えば溶解性を補助する材料などを含有させることも可能である。例えば、注射可能溶液を調製することも可能であり、その場合の担体は食塩水溶液、グルコース溶液、または食塩水とグルコース溶液の混合物を含んで成る。また、注射可能懸濁液を調製することも可能であり、この場合には適切な液状担体、懸濁剤などを用いてもよい。また、使用直前に液状形態の製剤に変換することを意図した固体形態の製剤も包含させる。
【0106】
投与様式に応じて、本製薬学的組成物の有効成分1種または2種以上の含有量を好適には0.05から99重量%、より好適には0.1から70重量%、更により好適には0.1から50重量%にしかつ製薬学的に許容される担体の含有量を1から99.95重量%、より好適には30から99.9重量%、更により好適には50から99.9重量%にする(パーセントは全部が本組成物の総重量を基準にしたパーセントである)。
【0107】
本製薬学的組成物に追加的に当該技術分野で公知の他のいろいろな材料、例えば滑剤、安定剤、緩衝剤、乳化剤、粘度調節剤、界面活性剤、防腐剤、風味剤または着色剤などを含有させることも可能である。
【0108】
上述した製薬学的組成物を投薬単位形態物として構築するのが特に有利である、と言うのは、その方が投与が容易でありかつ投薬が均一であるからである。本明細書で用いる如き「単位投薬形態物」は、各単位が必要な製薬学的担体と一緒に所望の治療効果をもたらすように計算して前以て決めておいた量の有効成分を含有する単位投薬物として用いるに適した物理的に個々別々の単位を指す。そのような単位投薬形態物の例は錠剤(切り目が入っている錠剤または被覆されている錠剤を包含)、カプセル、ピル、粉末、パケット、ウエハース、座薬、注射可能溶液もしくは懸濁液など、そしてそれらを複数に分けたものである。本発明に従う化合物の1日当たりの投与量は、勿論、使用する化合物、投与様式、必要な治療および指示ミコバクテリウム疾患に伴って変わるであろう。しかしながら、一般的には、本発明に従う化合物を1日当たり1グラム以下、例えば体重1kg当たり10から50mgの範囲内の投薬量で投与すると満足される結果が得られるであろう。
【0109】
式(Ia)または式(Ib)で表される化合物は細菌感染に対して活性を示すことから、細菌感染を有効に防除する目的で本化合物を他の抗菌薬と組み合わせることも可能である。
【0110】
従って、本発明は、また、(a)本発明に従う化合物と(b)他の1種以上の抗菌薬の組み合わせにも関する。
【0111】
本発明は、また、(a)本発明に従う化合物と(b)他の1種以上の抗菌薬の組み合わせを薬剤として用いることにも関する。
【0112】
本発明は、また、この直ぐ上で定義した如き組み合わせまたは製薬学的組成物を細菌感染の治療で用いることにも関する。
【0113】
本発明は、また、製薬学的に許容される担体および(a)本発明に従う化合物と(b)他の1種以上の抗菌薬を有効成分として治療的に有効な量で含有して成る製薬学的組成物
も包含する。
【0114】
(a)本発明に従う化合物と(b)他の抗菌薬1種または2種以上を組み合わせとして投与する場合、当業者はそれらの重量比を決定することができるであろう。前記比率および正確な投薬量および投与頻度は、当業者に良く知られているように、使用する本発明に従う個々の化合物および他の抗菌薬1種または2種以上、治療すべき個々の疾患、治療すべき疾患のひどさ、個々の患者の年齢、体重、性、食事、投与時間および一般的身体状態、投与様式ばかりでなく個人が服用している可能性のある他の薬剤に依存する。その上、治療を受けさせる被験体の反応に応じそして/または本発明の化合物を処方する医者の評価に応じて1日当たりの有効量を少なくするか或は多くしてもよいことも明らかである。式(Ia)または(Ib)で表される本化合物と別の抗菌薬の特定の重量比は1/10から10/1、より特別には1/5から5/1、更により特別には1/3から3/1の範囲であり得る。
【0115】
本発明に従う化合物と他の1種以上の抗菌薬を単一の製剤として組み合わせてもよいか或はそれらを同時、個別または逐次的に投与することができるようにそれらを個別の製剤として構築することも可能である。このように、本発明は、また、(a)本発明に従う化合物と(b)他の1種以上の抗菌薬を細菌感染を治療する時に同時、個別または逐次的に用いる組み合わせ製剤として含有する製品にも関する。
【0116】
式(Ia)または(Ib)で表される化合物と組み合わせることができる他の抗菌薬は、例えば当該技術分野で公知の抗菌薬である。他の抗菌薬には、β−ラクタム基を有する抗生物質、例えば天然のペニシリン、半合成のペニシリン、天然のセファロスポリン、半合成のセファロスポリン、セファマイシン、1−オキサセフェム、クラブラン酸、ペネム、カルバペネム、ノカルジシン、モノバクタム、テトラシクリン、アンヒドロテトラシクリン、アントラシクリン、アミノグリコシド、ヌクレオシド、例えばN−ヌクレオシド、C−ヌクレオシド、炭素環式ヌクレオシド、ブラスチシジンSなど、マクロライド、例えば12員環のマクロライド、14員環のマクロライド、16員環のマクロライドなど、アンサマイシン、ペプチド、例えばブレオマイシン、グラムシジン、ポリミキシン、バシトラシン、ラクトン結合を含有する大環ペプチド抗生物質、アクチノマイシン、アンフォマイシン、カプレオマイシン、ジスタマイシン、エンデュラシジン、ミカマイシン、ネオカルジノスタチン、ステンドマイシン、ビオマイシン、ビルギニアマイシンなど、シクロヘキシミド、シクロセリン、バリオチン、サルコマイシンA、ノボビオシン、グリセオフルビン、クロラムフェニコール、ミトマイシン、フマギリン、モネンシン、ピロルニトリン、ホスホマイシン、フシジン酸、D−(p−ヒドロキシフェニル)グリシン、D−フェニルグリシン、エネジインが含まれる。
【0117】
式(Ia)または(Ib)で表される本化合物を組み合わせることができる具体的抗生物質は、例えばベンジルペニシリン(カリウム、プロカイン、ベンザチン)、フェノキシメチルペニシリン(カリウム)、フェネチシリンカリウム、プロピシリン、カルベニシリン(ジナトリウム、フェニルナトリウム、インダニルナトリウム)、スルベニシリン、チカルシリンジナトリウム、メチシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、クロキサシリンナトリウム、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、アンピシリン、メズロシリン、ピペラシリンナトリウム、アモキシシリン、シクラシリン、ヘクタシリン、スルバクタムナトリウム、塩酸タランピシリン、塩酸バカンピシリン、ピブメシリナム、セファレキシン、セファクロル、セファログリシン、セファドロキシル、セフラジン、セフロキサジン、セファピリンナトリウム、セファロチンナトリウム、セファセトリルナトリウム、セフスロジンナトリウム、セファロリジン、セファトリジン、セフォペラゾンナトリウム、セファマンドール、塩酸ベフォチアム、セファゾリンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、セフォタキシムナトリウム、塩酸セフメノキシン、セフロキシム、セフトリアキソ
ンナトリウム、セフタジジム、セフォキシチン、セフメタゾール、セフォテタム、ラタモキセフ、クラブラン酸、イミペネム、アズトレオナム、テトラシクリン、塩酸クロルテトラシクリン、ジメチルクロルテトラシクリン、オキシテトラシクリン、メタシクリン、ドキシシクリン、ロリテトラシクリン、ミノシクリン、塩酸ダウノルビシン、ドキソルビシン、アクラルビシン、硫酸カナマイシン、ベカナマイシン、トブラマイシン、硫酸ゲンタマイシン、ジベカシン、アミカシン、ミクロノマイシン、リボスタマイシン、硫酸ネオマイシン、硫酸パロモマイシン、硫酸ストレプトマイシン、ジヒドロストレプトマイシン、デストマイシンA、ヒグロマイシンB、アプラマイシン、シソマイシン、硫酸ネチルマイシン、塩酸スペクチノマイシン、硫酸アストロマイシン、バリダマイシン、カスガマイシン、ポリオキシン、ブラスチシジンS、エリスロマイシン、エリスロマイシン・エストレート、燐酸オレアンドマイシン、トラセチロレアンドマイシン、キタサマイシン、ジョサマイシン、スピラマイシン、チロシン、イベルメクチン、ミデカマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、グラミシジンS、ポリミキシンB、バシトラシン、硫酸コリスチン、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム、エンラマイシン、ミカマイシン、ビルギニアマイシン、硫酸カプレオマイシン、ビオマイシン、エンビオマイシン、バンコマイシン、アクチノマイシンD、ネオカルジノスタチン、べスタチン、ペプスタチン、モネンシン、ラサロシド、サリノマイシン、アンフォテリシンB、ニスタチン、ナタマイシン、トリコマイシン、ミトラマイシン、リンコマイシン、クリンダマイシン、パルミチン酸塩酸クリンダマイシン、フラボホスホリポール、シクロセリン、ペシロシン、グリセオフルビン、クロラムフェニコール、パルミチン酸クロラムフェニコール、ミトマイシンC、ピロルニトリン、フォスフォマイシン、フシジン酸、ビコザマイシン、チアムリン、シッカニンなどである。
【0118】
式(Ia)または式(Ib)で表される化合物と組み合わせることができる他のミコバクテリウム薬は、例えばリファンピシン(=リファンピン)、イソニアジド、ピラジンアミド、アミカシン、エチオナミド、エタンブトール、ストレプトマイシン、パラ−アミノサリチル酸、シクロセリン、カプレオマイシン、カナマイシン、チオアセタゾン、PA−824、キノロン/フルオロキノロン、例えばモキシフロキサシン、ガチフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、スパルフロキサシンなど、マクロライド、例えばクラリトロマイシン、クロファジミン、アモキシシリンとクラブラン酸など、リファマイシン、リファブチン、リファペンチン、WO2004/011436に開示されている化合物などである。
【0119】
一般的調製
本発明に従う化合物の調製は一般に各々が当業者に公知の一連の段階を用いて実施可能である。
【0120】
特に、式(Ia)または(Ib)で表される化合物の調製は、式(IIa)または(IIb)で表される中間体と式(III)で表される中間体を以下の反応スキーム(1):
【0121】
【化14】

【0122】
に従って、適切な塩基、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジンまたはジイソプロピルアミンなどと適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの混合物中でnBuLiを用いて反応させることで実施可能であり、ここで、あらゆる変項は式(Ia)または(Ib)で定義した通りである。撹拌を行うと反応速度が速くなり得る。この反応は便利には−20から−70℃の範囲の温度で実施可能である。
【0123】
式(Ia)または(Ib)で表される化合物の調製をまたWが適切な脱離基、例えばハロ、例えばクロロまたはブロモなどを表す式(IV−a)または(IV−b)で表される中間体を適切な第一級もしくは第二級アミンHNRと反応させることで実施することも可能である。
【0124】
【化15】

【0125】
所望化合物を得る目的で前記反応を最適にしようとして適切な温度、希釈および反応時間を探求することは当業者の知識の範囲内であると考えている。
【0126】
更に、式(Ia)または(Ib)で表される化合物を当該技術分野で公知の基変換反応に従って互いに変化させることで式(Ia)または(Ib)で表される化合物を調製することも可能である。
【0127】
式(Ia)または(Ib)で表される化合物から相当するN−オキサイド形態物への変換は、三価の窒素をN−オキサイド形態に変化させるに適することが当該技術分野で知られている手順に従って実施可能である。前記N−オキサイド化反応は、一般に、式(Ia)または(Ib)で表される出発材料を適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることで実施可能である。適切な無機過酸化物には、例えば過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムなどが含まれ、適切な有機過酸化物には、ペルオキシ酸、例えば過安息香酸またはハロ置換過安息香酸、例えば3−クロロ過安息香酸など、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸など、アルキルヒドロパーオキサイド、例えばt−ブチルヒドロパーオキサイドなどが含まれ得る。適切な溶媒は、例えば水、低級アルコール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエンなど、ケトン、例えば2−ブタノンなど、ハロゲン置換炭化水素、例えばジクロロメタンなど、そしてそのような溶媒の混合物である。
【0128】
がハロ、例えばブロモなどを表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物からRがアリールまたはHetを表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物を生じさせる変換は、それをそれぞれアリール−B(OH)またはHet−B(OH)と適切な触媒、例えばPd(OAc)またはPd(PPhなどの存在下で適切な塩基、例えばKPOまたはNaCOなどおよび適切な溶媒、例えばトルエン、アルコール、例えばメタノールなどまたは1,2−ジメトキシエタン(DME)などを存在させて反応させることで実施可能である。
【0129】
同様に、Rがハロ、例えばブロモなどである式(Ia)または(Ib)で表される化合物からRがアルキル、例えばメチルなどである式(Ia)または(Ib)で表される化合物を生じさせる変換は、それに適切なアルキル化剤、例えばCHB(OH)または(CHSnなどによる処理を適切な触媒、例えばPd(PPhなどの存在下の適切な溶媒、例えばトルエンまたは1,2−ジメトキシエタン(DME)など中で受けさせることで実施可能である。
【0130】
がハロ、特にブロモである式(Ia)または(Ib)で表される化合物からRが水素である式(Ia)または(Ib)で表される化合物を生じさせる変換は、それとHCOONHを適切な触媒、例えば炭に担持されているパラジウムなどの存在下および適切な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノールなどの存在下で反応させることで実施可能である。同じ反応条件を用いてRがベンジルである式(Ia)または(Ib)で表される化合物をRが水素である式(Ia)または(Ib)で表される化合物に変化させることも可能である。
【0131】
がハロ、特にブロモである式(Ia)または(Ib)で表される化合物からRがホルミルである化合物を生じさせる変換をまたそれをN,N−ジメチルホルムアミドとnBuLiおよび適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの存在下で反応させることで実施することも可能である。次に、前記化合物からRが−CH−OHである式(Ia)または(Ib)で表される化合物を生じさせるさらなる変換はそれを適切な還元剤、例えばNaBHなどと適切な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノールなどおよびテトラヒドロフランの存在下で反応させることで実施可能である。
【0132】
がC2−6アルケニルを表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物の調製は、Rがハロ、例えばブロモなどである式(Ia)または(Ib)で表される化合物とトリブチル(C2−6アルケニル)錫、例えばトリブチル(ビニル)錫などを適切な触媒、例えばPd(PPhなどの存在下で適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミドなどを存在させて反応させることで実施可能である。この反応を好適には高温で実施する。
【0133】
がR5a4aN−を表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物の調製は、Rがハロ、例えばブロモなどである式(Ia)または(Ib)で表される化合物とR5a4aNHを適切な触媒、例えばトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムなど、適切な配位子、例えば2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニルなど、適切な塩基、例えばナトリウムt−ブトキサドなどおよび適切な溶媒、例えばトルエンなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0134】
が−C=N−OR11を表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物の調製は、Rがホルミルである式(Ia)または(Ib)で表される化合物と塩酸ヒドロキシルアミンまたは塩酸C1−6アルコキシルアミンを適切な溶媒、例えばピリジンなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0135】
が−CH−NHを表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物の調製は、Rがホルミルである式(Ia)または(Ib)で表される化合物に還元をH、適切な触媒、例えば炭に担持されているパラジウムなど、および適切な溶媒、例えばNH/アルコール、例えばNH/メタノールなどの存在下で受けさせることで実施可能である。Rが−CH−NHを表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物からRが−CH−N(C1−6アルキル)を表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物を生じさせる変換はそれを適切なアルデヒドまたはケトン反応体、例えばパラホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒドなどとシアノホウ水素化ナトリウム、酢酸および適切な溶媒、例えばアセトニトリルなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0136】
がR5a4aN−CH−を表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物の調製は、Rがホルミルである式(Ia)または(Ib)で表される化合物と式R5a4aN−Hで表される適切な反応体を適切な還元剤、例えばBHCNなど、適切な溶媒、例えばアセトニトリルおよびテトラヒドロフランなど、および適切な酸、例えば酢酸などの存在下で反応させることで実施可能である。
【0137】
がアミノを表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物の調製は、Rがカルボキシルである式(Ia)または(Ib)で表される化合物と適切なアジ化物、例えばジフェニルホスホリルアジド(DPPA)などおよび適切な塩基、例えばトリエチルアミンなどを適切な溶媒、例えばトルエンなど中で反応させることで実施可能である。その得た生成物にCurtius反応を受けさせ、そしてトリメチルシリルエタノールを添加することでカルバメート中間体を生じさせる。次の段階で、その中間体と臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB)を適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなど中で反応させることでアミノ誘導体を得る。
【0138】
がアミノカルボニル、モノもしくはジ(アルキル)アミノカルボニルまたはR5a4aN−C(=O)−を表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物の調製は、Rがカルボキシルである式(Ia)または(Ib)で表される化合物の反応を適切なアミン、適切なカップリング剤、例えばヒドロキシベンゾトリアゾールなど、適切な活性化用反応体、例えば1,1’−カルボニルジイミダゾールまたはN,N’−ジシクロヘキシル
カルボジイミドまたは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドなど、適切な塩基、例えばトリエチルアミンなど、および適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランおよび塩化メチレンなどを用いて起こさせることで実施可能である。
【0139】
がアリールカルボニルを表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物の調製は、1番目の段階(a)でRがハロ、例えばブロモなどである式(Ia)または(Ib)で表される化合物と適切なアリールアルデヒドをnBuLiおよび適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの存在下で反応させることで実施可能である。この反応を好適には低温、例えば−70℃などで実施する。次の段階(b)では、段階(a)で得た生成物に酸化を適切な酸化剤、例えば酸化マンガンなどを用いて適切な溶媒、例えば塩化メチレンなどの存在下で受けさせる。
【0140】
およびRがアルキルカルボニルで置換されている環部分を表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物の調製は、その環部分が置換されていない相当する化合物と適切なアシルクロライド、例えば塩化アセチルなどを適切な塩基、例えばトリエチルアミンなど、および適切な溶媒、例えば塩化メチレンなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0141】
およびRが置換されていない環部分を表す式(Ia)または(Ib)で表される化合物の調製は、その環部分がアリールアルキルで置換されている相当する化合物と蟻酸アンモニウムを適切な触媒、例えば炭に担持されているパラジウムなどおよび適切な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノールなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0142】
がメトキシを表す式(Ia)で表される化合物からRが水素でありそしてRがオキソである相当する式(Ib)で表される化合物を生じさせる変換は、それに加水分解を適切な酸、例えば塩酸などおよび適切な溶媒、例えばジオキサンなどの存在下で受けさせることで実施可能である。
【0143】
とRがこれらが結合している窒素と一緒になって1,1−ジオキサイド−チオモルホリニルを形成している式(Ia)または(Ib)で表される化合物の調製は、相当するチオモルホリン誘導体を適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることで実施可能である。適切な無機過酸化物には、例えば過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムなどが含まれ、適切な有機過酸化物には、ペルオキシ酸、例えば過安息香酸またはハロ置換過安息香酸、例えば3−クロロ過安息香酸など、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸など、アルキルヒドロパーオキサイド、例えばt−ブチルヒドロパーオキサイドなどが含まれ得る。適切な溶媒は、例えば水、低級アルコール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエンなど、ケトン、例えば2−ブタノンなど、ハロゲン置換炭化水素、例えばジクロロメタンなど、そしてそのような溶媒の混合物である。
【0144】
また、式(Ia)または(Ib)で表される化合物を適切な第四級化剤、例えば場合により置換されていてもよいC1−6アルキルハライド、アリールC1−6アルキルハライド、C1−6アルキルカルボニルハライド、アリールカルボニルハライド、Het1−6アルキルハライドまたはHetカルボニルハライド、例えばヨウ化メチルまたはヨウ化ベンジルなどと適切な溶媒、例えばアセトンなどの存在下で反応させることで第四級アミンに変化させることも可能であり、ここで、Hetは、フラニルまたはチエニル、またはベンゾフラニルまたはベンゾチエニルから選択される二環式複素環を表し、各単環式および二環式複素環は場合により各置換基がハロ、C1−6アルキルおよびアリールから成る群より独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい。前
記第四級アミンは下記の式
【0145】
【化16】

【0146】
[式中、R10はC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、アリールC1−6アルキル、アリールカルボニル、Het1−6アルキルまたはHetカルボニルを表し、そしてAは製薬学的に許容される対イオン、例えばヨウ化物などを表す]
で表される。
【0147】
この上および以下に示す反応における反応生成物は反応媒体から単離可能でありかつ必要ならばさらなる精製を当該技術分野で一般に公知の方法、例えば抽出、結晶化およびクロマトグラフィーなどに従って実施してもよいことは明らかである。更に、反応生成物が2種以上の鏡像異性体形態で存在する場合には公知技術、特に調製用クロマトグラフィー、例えば調製用HPLC、キラルクロマトグラフィーなどを用いてそれらの混合からそれを単離してもよいことも明らかである。また、超臨界流クロ(SCF)を用いることでも個々のジアステレオ異性体または個々の鏡像異性体を得ることができる。
【0148】
が水素である式(IIa)で表される中間体または式(IIb)で表される中間体[これらの中間体を式(IIa−1)、(IIa−2)、(IIa−3)、(IIa−4)または(IIb−1)で表す]の調製は、下記の反応スキーム(2):
【0149】
【化17】

【0150】
[あらゆる変項は式(Ia)で定義した通りである]
に従って実施可能である。反応スキーム(2)は、適切に置換されているアミンと塩化3−フェニル−2−プロペノイルを適切な塩基、例えばピリジンまたはトリエチルアミンなどおよび反応に不活性な適切な溶媒、例えば塩化メチレンまたは二塩化エチレンなどの存在下で反応させる段階(a)を包含する。この反応は便利に低温、例えば5℃などで実施可能である。次の段階(b)では、段階(a)で得た付加体をAlClおよびクロロベンゼンの存在下で環化させる。次の段階(c)では段階(b)で得た生成物を塩化ホスホリル(POCl)と反応させる。この反応は便利に室温から還流温度の範囲の温度で実施可能である。次の段階(d−1)では、段階(c)で得た中間体化合物とO−C1−6アルキルを適切な溶媒、例えばHO−C1−6アルキルなどの存在下で反応させることで特定のR基を導入するが、Rは例えばC1−6アルキルオキシ基などである。また、段階(c)で得た中間体をS=C(NHと適切な溶媒、例えばアルコール、例えばエタノールなどまたはアルコール/水の混合物などの存在下で場合により適切な塩基、例えばKOHなどを存在させて反応[段階(d−2)を参照]させた後にC1−6アルキル−Iと適切な塩基、例えばKCOなどおよび適切な溶媒、例えば2−プロパノンなどの存在下で反応[段階(e)を参照]させることでRが例えばC1−6アルキルチオ基などである中間体に変化させることも可能である。また、段階(c)で得た中間体をNH(R2a)(アルキル)の適切な塩と適切な塩基、例えば炭酸カリウムなどおよび適切な溶媒、例えばアセトニトリルなどの存在下で反応[段階(d−3)]させることでRが−N(R2a)(アルキル)でありかつR2aが水素またはアルキルである中間体に変
化させることも可能である。また、段階(c)で得た中間体を場合によりC1−6アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシC1−6アルキルOHとNaHおよび適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの存在下で反応[段階(d−4)]させることでRが場合によりC1−6アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキルオキシC1−6アルキルオキシである(このRをR2bで表す)中間体に変化させることも可能である。
【0151】
式(IIb)、特に(IIb−1)または(IIb−2)で表される中間体の調製は以下の反応スキーム(3)に従って実施可能である。
【0152】
【化18】

【0153】
反応スキーム(3)は、キノリン部分[スキーム2の段階(c)を参照]を適切な酸、例えば塩酸などと反応させることでキノリノン部分に変化させる段階(a)を包含する。次の段階(b)では、段階(a)で得た中間体と適切なアルキル化剤、例えばヨウ化アルキル、例えばヨウ化メチルなどを適切な塩基、例えばNaOHまたはベンジルトリエチルアンモニウムクロライドなど、適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの存在下で反応させることでR置換基を導入する。
【0154】
とRが一緒になって基−CH=CH−N=を形成している式(IIb)で表される中間体[この中間体を式(IIb−3)で表す]の調製は下記の反応スキーム(4)に従って実施可能である。
【0155】
【化19】

【0156】
反応スキーム(4)は、前記中間体をNH−CH−CH(OCHと反応させる段階(a)を包含する。次の段階(b)では、酢酸との反応を適切な溶媒、例えばキシレンなどの存在下で起こさせることで縮合イミダゾリル部分を生じさせる。
【0157】
式(III)で表される中間体は、商業的に入手可能であるか或は当該技術分野で一般に公知の通常の反応手順に従って調製可能な化合物である。例えば、式(III)で表さ
れる中間体の調製は以下の反応スキーム(5)に従って実施可能である:
【0158】
【化20】

【0159】
反応スキーム(5)は、R、特に適切に置換されているアリール、より特別にはナフチルまたは適切に置換されているフェニルと適切なアシルクロライド、例えば塩化3−クロロプロピオニルまたは塩化4−クロロブチリルなどをフリーデルクラフツ反応で適切なルイス酸、例えばAlCl、FeCl、SnCl、TiClまたはZnClなどおよび反応に不活性な適切な溶媒、例えば塩化メチレンまたは二塩化エチレンなどの存在下で反応させる段階(a)を包含する。この反応は便利に室温から還流温度の範囲の温度で実施可能である。次の段階(b)では、段階(a)で得た中間体を第一級もしくは第二級アミン(HNR)と反応させることでアミノ基(−NR)を導入する。
【0160】
式(III)で表される中間体の調製をまた下記の反応スキーム(6)に従って実施することも可能である:
【0161】
【化21】

【0162】
反応スキーム(6)は、R−C(=O)−H、例えば適切に置換されているアリールカルボキサルデヒド、より特別には適切に置換されているフェニルもしくはナフチルカルボキサルデヒドなどと適切な中間体化合物、例えば1−ブロモ−4−クロロブタンなどをグリニヤール試薬および適切な溶媒、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの存在下で反応させる段階(a)を包含する。この反応は便利に低温、例えば5℃などで実施可能である。次の段階(b)では、酸化をJones試薬の存在下の適切な溶媒、例えばアセトンなど中で実施する。次の段階(c)では、段階(b)で得た中間体化合物と第一級もしくは第二級アミンHNRを適切な溶媒、例えばアセトニトリルなどおよび適切な塩基、例えばKCOなどの存在下で反応させることでアミノ基(−NR)を導入する。
【0163】
別法として、式(III)で表される中間体の調製を下記の反応スキーム(7)に従って実施することも可能である:
【0164】
【化22】

【0165】
反応スキーム(7)は、例えば適切な酸とNH(CH)(OCH)を1,1’−カルボニルジイミダゾールおよび適切な溶媒、例えばCHClなどの存在下で反応させる段階(a)を包含する。次の段階(b)では、段階(a)で得た生成物と適切なグリニヤール試薬、例えば4−クロロブチルマグネシウムブロマイドなどを適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの存在下で反応させる。次の段階(c)では、段階(b)で得た中間体と第一級もしくは第二級アミンHNRを適切な溶媒、例えばアセトニトリルなどおよび適切な塩基、例えばKCOなどの存在下で反応させることでアミノ基(−NR)を導入する。
【0166】
別法として、qが1である式(III)で表される中間体[この中間体を式(III−a)で表す]の調製を下記の反応スキーム(8)に従って実施することも可能である:
【0167】
【化23】

【0168】
反応スキーム(8)は、Rの適切なアセチル誘導体、例えばアセチルシクロヘキサンなどとパラホルムアルデヒドと適切な第一級もしくは第二級アミンHNR(好適には塩形態)を適切な酸、例えば塩酸などおよび適切な溶媒、例えばアルコール、例えばエタノールなどの存在下で反応させる段階を包含する。
【0169】
がR3a’−CH−CH−[これはRがアルキル、アリールアルキル、アリール−O−アルキル、アリール−アルキル−O−アルキル、Het−アルキル、Het−O−アルキルまたはHet−アルキル−O−アルキルを表しそしてR3a’がRと同じであるが、分子の残りと結合しているアルキル鎖中の炭素原子数が2少ない式(III)で表される中間体の場合に可能である]を表しそしてqが1を表す式(III)で表される中間体[この中間体を式(III−b)で表す]の調製は下記の反応スキーム(9)に従って実施可能である:
【0170】
【化24】

【0171】
反応スキーム(9)は、適切なアルデヒドとアセトンを適切な塩基、例えば水酸化ナト
リウムなどの存在下で反応させる段階(a)を包含する。次の段階(b)では、段階(a)で得た生成物と第一級もしくは第二級アミンHNRをCH(=O)、適切な酸、例えば塩酸などおよび適切な溶媒、例えばアルコール、例えばエタノールなどの存在下で反応させる。次の段階(c)では、段階(b)で得た生成物に水添(H)を適切な触媒、例えば炭に担持されているパラジウムなどおよび適切な溶媒、例えば水およびアルコール、例えばエタノールなどの存在下で受けさせる。
【0172】
がハロで置換されているフェニルを表す式(III)で表される中間体からRがアリールで置換されているフェニルを表す式(III)で表される中間体を生じさせる変換はそれとアリールホウ素酸を適切な塩基、例えば燐酸カリウムなど、適切な触媒、例えば酢酸パラジウムなどおよび適切な配位子、例えば2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルなどの存在下の適切な溶媒、例えばトルエンなど中で反応させることで実施可能である。
【0173】
また、Rがハロで置換されているフェニルを表す式(III)で表される中間体からRがC2−6アルケニル(これは場合によりフェニルで置換されていてもよい)で置換されているフェニルを表す式(III)で表される中間体を生じさせる変換もそれと適切なC2−6アルケン、例えばスチレンなどを適切な塩基、例えばトリエチルアミンなど、適切な触媒、例えば酢酸パラジウムなどおよび適切な配位子、例えばトリ−o−トリルホスフィンなどの存在下の適切な溶媒、例えばDMFなど中で反応させることで実施可能である。
【0174】
この上に示した反応スキームにおいて適切なアミンHNRが置換2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチルを表す場合、前記アミンの調製は下記の反応スキーム(10)に従って実施可能である:
【0175】
【化25】

【0176】
反応スキーム(10)は、Pが例えばt−ブチルオキシカルボニルなどを表す適切に保護されている2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチルとWが適切な脱離基、例えばハロ、例えばブロモなどを表しそしてR’が導入すべき置換基を表す式W−R’で表される適切な反応体を適切な塩基、例えばKCO、NaHCOまたはトリエチルアミンなど、適切な相移動反応体、例えば塩化テトラ−n−ブチルアンモニウムなど、適切な溶媒、例えばアセトニトリルなどおよび場合により反応速度を速める目的でKIの存在下で反応させる段階を包含する。次の段階(b)では、適切な酸、例えばトリフルオロ酢酸などとの反応を適切な溶媒、例えば塩化メチレンなどの存在下で起こさせることで前記保護基を除去する。
【0177】
式(IV−a)で表される中間体の調製は以下の反応スキーム(11)に従って実施可能である:
【0178】
【化26】

【0179】
反応スキーム(11)では、式(II−a)で表される中間体と式(V)で表される中間体(これの合成に関してはスキーム5、6および7を参照)をn−BuLiの存在下の適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどおよび適切な塩基、例えばジイソプロピルアミンなど中で反応させる。撹拌を行うと反応速度が速くなり得る。この反応は便利に−20から−70℃の範囲の温度で実施可能である。
【0180】
式(IV−b)で表される中間体の調製も相当して実施可能である。
【0181】
以下の実施例に本発明を例示するが、それに限定するものでない。
【実施例】
【0182】
実験部分
いくつかの化合物または中間体では、それらが有する立体中心炭素原子1個または2個以上の絶対的立体化学配置も二重結合の所の配置も実験で測定しなかった。そのような場合、実際の立体化学配置を更に言及しない時には1番目に単離した立体化学異性体形態物を「A」と表示しそして2番目を「B」と表示する。しかしながら、当業者は当該技術分野で公知の方法、例えばX線回折などを用いて前記「A」および「B」異性体形態物を明らかに特徴づけることができるであろう。いくつかのケースで、特定のジアステレオ異性体(例えば鏡像異性体)として示す最終的化合物もしくは中間体を別の最終的化合物/中間体に変化させる時には、後者に前者からの立体化学的配置(A、B)の表示を引き継がせることもあり得る。
【0183】
本明細書では以降「THF」はテトラヒドロフランを意味する。
【0184】
A.中間体化合物の製造
(実施例A1)
a.中間体1の製造
【0185】
【化27】

【0186】
6−ブロモ−2−クロロキノリン(11.56g、0.048モル)とCHOH中30%のナトリウムメトキサイド(45.4ml、0.238モル)をCHOH(159ml)に入れることで生じさせた溶液を80℃で16時間撹拌した。その混合物を冷却した後、氷水の中に注ぎ出した。その有機層にEtOAcを用いた抽出を受けさせ、それを
食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。収量:中間体1を11.38g(99%)。
【0187】
(実施例A2)
a−1.中間体2aおよび2bの製造
【0188】
【化28】

【0189】
AlCl(0.172モル)をCHCl(100ml)に入れることで生じさせた0℃の溶液に塩化5−クロロペンタノイル(0.156モル)を滴下した。ナフタレン(0.156モル)をCHCl(100ml)に入れることで生じさせた溶液を滴下した。その混合物を室温にして2時間撹拌し、氷の上に注ぎ出した後、CHClを用いた抽出を実施した。その有機層をHOで洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(39.2g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/シクロヘキサンを40/60;20−45μm)で精製した。2種類の画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:中間体2a(5−クロロ−1−(1−ナフチル)ペンタン−1−オンを20gおよび中間体2b(5−クロロ−1−(2−ナフチル)ペンタン−1−オンを12g。
a−2.中間体4の製造
【0190】
【化29】

【0191】
中間体4[77972−86−2]の調製を中間体2a(A2.a−1)と同じプロトコルに従って実施した。
a−3.中間体5の製造
【0192】
【化30】

【0193】
中間体5の調製を中間体2(A2.a−1)と同じプロトコルに従って実施した。
b−1.中間体3の製造
【0194】
【化31】

【0195】
中間体2a(0.0203モル)とN−メチルメタンアミン(0.0243モル)とKCO(0.0486モル)をCHCN(100ml)に入れることで生じさせた混合物を80℃で2時間撹拌した。次に、追加的量のN−メチルメタンアミン(1.2当量)およびKCO(3.4g)を加えた。その混合物を80℃で一晩撹拌し、氷の上に注ぎ出した後、CHClを用いた抽出を実施した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(5.31g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOHを95/5/0.1;35−70μm)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:中間体3を3.16g(この種類の中間体の一般的合成手順がまたWO2004/011436にも報告されている)。
b−2.中間体6の製造
【0196】
【化32】

【0197】
中間体6[77252−96−1]の調製を中間体4を用いて出発する以外は中間体3(A2.b−1)と同じプロトコルに従って実施した。
b−3.中間体7の製造
【0198】
【化33】

【0199】
中間体7の調製を中間体5を用いて出発する以外は中間体3(A2.b−1)と同じプロトコルに従って実施した。
【0200】
B.最終的化合物の製造
(実施例B1)
化合物1の製造
【0201】
【化34】

【0202】
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(1.16ml、0.0068モル)をTHF(25ml)に入れることで生じさせた−20℃の溶液にN流下でヘキサン中2.5MのnBuLi(3ml、0.0074モル)をゆっくり加えた。その混合物を−20℃で30分間撹拌した後、−70℃に冷却した。中間体1(1.48g、0.0062モル)をTHF(19ml)に入れることで生じさせた溶液をゆっくり加えた。その混合物を−70℃で2時間撹拌した。中間体6(1.5g、0.0062モル)をTHF(19ml)に入れることで生じさせた溶液をゆっくり加えた。その混合物を−70℃で3時間撹拌し、加水分解を−40℃で水を用いて起こさせた後、EtOAcを用いた抽出を実施した。その有機層を分離し、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(SiO 15−40μm、溶離剤:CHCl/CHOH:98/2から90/10)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:化合物1を0.61g(20%)。
【0203】
化合物2の調製を中間体1および中間体3を用いて出発して化合物1と同じプロトコルに従って実施した。収率:21%。
【0204】
化合物3の調製を中間体1および中間体7を用いて出発して化合物1と同じプロトコルに従って実施した。収率:24%。
【0205】
(実施例B2)
化合物4の製造
【0206】
【化35】

【0207】
化合物1(0.2g、0.00040モル)とフェニルホウ素酸(0.073g、0.00063モル)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.046g、0.00004モル)を1,2−ジメトキシエタン(1.5ml)とCHOH(1ml)と2MのNaCO溶液(0.3ml)に入れることで生じさせた溶液をマイクロ波下120℃で10分間撹拌した。次に、その混合物を室温に冷却し、水の中に注ぎ出した後、CHClを用いた抽出を実施した。その有機層を一緒にしてMgSOで乾燥させ、濾過した後、濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(SiO 15−40μm、溶離剤:CHCl/CHOH:98/2から90/10)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。生成物をジエチルエーテルから結晶化させた。収量:化合物4を0.053g(28%)。
【0208】
化合物5の調製を化合物2およびフェニルホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:46%。
【0209】
化合物6の調製を化合物3およびフェニルホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:56%。
【0210】
化合物7の調製を化合物1および2−メトキシフェニルホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:26%。
【0211】
化合物8の調製を化合物2および2−メトキシフェニルホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:34%。
【0212】
化合物9の調製を化合物3および2−メトキシフェニルホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:90%。
【0213】
化合物10の調製を化合物1および3−フラニルホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:45%。
【0214】
化合物11の調製を化合物2および3−フラニルホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:100%。
【0215】
化合物12の調製を化合物3および3−フラニルホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:42%。
【0216】
化合物13の調製を化合物1および2−チエニルホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:43%。
【0217】
化合物14の調製を化合物2および2−チエニルホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:39%。
【0218】
化合物15の調製を化合物3および2−チエニルホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:24%。
【0219】
化合物16の調製を化合物1および(3−ピリジニル)ホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:41%。
【0220】
化合物17の調製を化合物2および(3−ピリジニル)ホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:37%。
【0221】
化合物18の調製を化合物3および(3−ピリジニル)ホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:50%。
【0222】
化合物19の調製を化合物1および2−ベンゾフラニル−ホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:72%。
【0223】
化合物20の調製を化合物3および2−ベンゾフラニル−ホウ素酸を用いて出発して化合物4と同じプロトコルに従って実施した。収率:49%。
【0224】
表1に、前記手順の中の1つ(実施例番号)に従って調製した本発明に従う式(Ia)で表される化合物を示す。
【0225】
【表1】

【0226】
C.分析方法
LCMS
LCMS(液クロ質量分析)を用いていくつかの化合物の質量を記録した。使用した方法を以下に記述する。
【0227】
一般的手順
脱気装置付き複式ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン、UV検出器および以下に示す個々の方法で指定する如きカラムが備わっているAgilent 1100シリーズ液クロを用いてHPLC測定を実施した。前記カラムから出る流れを分割してMSスペクトロメーターに送った。このMS検出器にはエレクトロスプレーイオン化源が備わっていた。毛細管の電圧を3kVにし、四極子の温度を100℃に維持しかつ脱溶媒和の温度を300℃にした。窒素をネブライザーガスとして用いた。データの取得をAgilent Chemstationデータシステムを用いて実施した。
【0228】
方法1
前記一般的手順に加えて、YMC−Pack ODS−AQ C18カラム(4.6x50mm)を用いた逆相HPLCを流量を2.6ml/分にして実施した。水が95%でアセトニトリルが5%から7.30分かけてアセトニトリルが95%にする勾配を用いて流しそして1.20分間保持した。100から1000まで走査することで質量スペクトルを取得した。注入体積を10μlにした。カラムの温度を35℃にした。
【0229】
方法2
前記一般的手順に加えて、YMC−Pack ODS−AQ C18カラム(4.6x50mm)を用いた逆相HPLCを流量を2.6ml/分にして実施した。水が88%でアセトニトリルが12%から3.40分かけてアセトニトリルが88%にする勾配を用いて流しそして1.20分間保持した。100から1000まで走査することで質量スペクトルを取得した。注入体積を10μlにした。カラムの温度を35℃にした。
【0230】
ある化合物がLCMS方法で異なるピークを示す異性体混合物の場合にはLCMS表に主成分の滞留時間のみを示す。
【0231】
【表2】

【0232】
D.薬理学的実施例
D.1.ヒト型結核菌に対抗する化合物を試験するインビトロ方法
底が平らなプラスチック製の無菌の96穴ミクロタイタープレートを100μlのMiddlebrook(1x)ブロス培地で満たした。その後、化合物の原液(10x最終的試験濃度)を25μlの体積で縦列2の一連の重複穴に加えることでそれらが細菌増殖に対して示す効果を評価した。特注のロボットシステム(Zymark Corp.、Hopkinton、MA)を用いて前記ミクロタイタープレートの中の縦列2から11の中で一連の5倍希釈液を直接作成した。高疎水性化合物によるピペット誤差を最小限にする目的でピペットの先端を3回希釈毎に変えた。各ミクロタイタープレートに接種材料有り(縦列1)および無し(縦列12)の未処置対照サンプルを含めた。縦列12を除いて、横列AからHにMiddlebrook(1x)ブロス培地に入れたヒト型結核菌(H37RV菌株)を体積が100μlになるように穴1個当たり約5000CFUの量で加えた。接種材料を入れていないブロス培地を同じ体積で縦列12の横列AからHに加えた。これらの培養物のインキュベーションを湿った雰囲気下37℃で7日間実施した(開放空気バルブおよび連続換気が備わっているインキュベーター)。インキュベーションを終了する1日前、即ち接種してから6日後にレザズリン(1:5)を20μlの体積で全ての穴に加えた後、プレートを37℃で更に24時間インキュベートした。7日目に細菌の増殖を蛍光測定で量化した。
【0233】
蛍光の読み取りをコンピューター制御蛍光計(Spectramax Gemini EM、Molecular Devices)を530nmの励起波長および590nmの発光波長で用いて実施した。当該化合物が達成した増殖阻害パーセントを標準的方法に従って計算しそしてIC90(μg/ml)[これは細菌の増殖を90%阻害する濃度を定義するものである]として表すことができる。
【0234】
D.2.化合物がM.スメグマチス(Smegmatis)ATCC607菌株に対抗する抗菌活性を示すか否かを試験するインビトロ方法
底が平らなプラスチック製の無菌の96穴ミクロタイタープレートをBSAを0.25%補充しておいた180μlの無菌の脱イオン水で満たした。その後、化合物の原液(7.8x最終的試験濃度)を45μlの体積で縦列2の一連の重複穴に加えることでそれらが細菌増殖に対して示す効果を評価した。特注のロボットシステム(Zymark Corp.、Hopkinton、MA)を用いて前記ミクロタイタープレートの中の縦列2から11の中で一連の5倍希釈液(180μl中45μl)を直接作成した。高疎水性化合物によるピペット誤差を最小限にする目的でピペットの先端を3回希釈毎に変えた。各ミクロタイタープレートに接種材料有り(縦列1)および無し(縦列12)の未処置対照サンプルを含めた。縦列12を除いて、横列AからHに2.8xのMueller−Hintonブロス培地に入れた細菌接種材料を体積が100μlになるように穴1個当たり約250CFUの量で加えた。接種材料を入れていないブロス培地を同じ体積で縦列12の横列AからHに加えた。これらの培養物のインキュベーションをCOが5%の湿った雰囲気下37℃で48時間実施した(開放空気バルブおよび連続換気が備わっているインキュベーター)。インキュベーション終了時、即ち接種してから2日後に細菌の増殖を蛍光測定で量化した。従って、Alamar Blue(10x)を全ての穴に20μlの体積で加えた後、プレートのインキュベーションを50℃で更に2時間実施した。
【0235】
蛍光の読み取りをコンピューター制御蛍光計(Cytofluor、Biosearch)を530nmの励起波長および590nmの発光波長(増幅率30)で用いて実施した。当該化合物が達成した増殖阻害パーセントを標準的方法に従って計算してIC90(μg/ml)[これは細菌の増殖を90%阻害する濃度を定義するものである]として表した。表3を参照。
【0236】
D.3.化合物がミクロバクテリウム属以外のいろいろな菌株に対抗する抗菌活性を示すか否かを試験するインビトロ方法
感受性試験用細菌懸濁液の調製
この試験で用いる細菌を無菌の脱イオン水に入れた100mlのMueller−Hintonブロス(Becton Dickinson−カタログ番号275730)を入れておいたフラスコ内で振とうを37℃で行いながら一晩増殖させた。原液(0.5ml/管)を使用時まで−70℃で貯蔵した。ミクロタイタープレートを用いて細菌の滴定を実施することでTCID50を検出したが、TCID50は、インキュベートした培養物の中の50%が細菌増殖をもたらす希釈度に相当する。
【0237】
感受性試験では一般にTCID50が約100の接種材料濃度を用いた。
【0238】
抗菌感受性試験:IC90の測定
ミクロタイタープレート検定
底が平らなプラスチック製の無菌の96穴ミクロタイタープレートをBSAを0.25%補充しておいた180μlの無菌の脱イオン水で満たした。その後、化合物の原液(7.8x最終的試験濃度)を45μlの体積で縦列2に加えた。前記ミクロタイタープレートの中の縦列2から縦列11の中で一連の5倍希釈液(180μl中45μl)を直接作成した。各ミクロタイタープレートに接種材料有り(縦列1)および無し(縦列12)の未処置対照サンプルを含めた。縦列12を除き、細菌の種類に応じて横列AからHに2.8xのMueller−Hintonブロス培地に入れた細菌接種材料(TCID50が100)を体積が100μlになるように穴1個当たり約10から60CFUの量で加えた。接種材料を入れていないブロス培地を同じ体積で縦列12の横列AからHに加えた。これらの培養物のインキュベーションを通常の大気圧下37℃で24時間実施した(開放空気バルブおよび連続換気が備わっているインキュベーター)。インキュベーション終了時、即ち接種してから1日後に細菌の増殖を蛍光測定で量化した。従って、接種してから3時間後にレザズリン(0.6mg/ml)を20μlの体積で全ての穴に加えた後、プレートの再インキュベーションを一晩実施した。色が青色から桃色に変化することは細菌が増殖したことを示す。蛍光の読み取りをコンピューター制御蛍光計(Cytofluor Biosearch)を530nmの励起波長および590nmの発光波長で用いて実施した。当該化合物が達成した増殖阻害パーセントを標準的方法に従って計算した。IC90(μg/mlで表す)は細菌の増殖を90%阻害する濃度であると定義する。結果を表3に示す。
【0239】
寒天希釈方法
標準的寒天希釈方法をNCCLS標準Clinical laboratory
standard institute.2005.Methods for dilution Antimicrobial susceptibility tests
for bacteria that grows Aerobically:approved standard−第6版]に従って実施することでMIC99値(細菌増殖の99%阻害を得るための最小限濃度)を測定することができ、ここでは、使用する培地にMueller−Hinton寒天を含める。
【0240】
時間・殺菌検定
ブロス微希釈方法Zurenko,G.E.他、In vitro activities of U−100592 and U−100766、novel oxazolidinone antibacterial agents.Antimicrob.Agents Chemother.40、839−845(1996)]を用いた時間・殺菌検定で当該化合物が示す殺菌もしくは静菌活性を測定した。黄色ブドウ球菌およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に関する時間・殺菌検定では、黄色ブドウ球菌およびMRSAの出発接種材料をMuller Hintonブロス1ml当たり10CFUにする。抗菌性化合物をMIC(即ちミクロタイタープレート検定を用いて測定した時のIC90)の0.1から10倍の濃度になるように用いる。培養増殖対照を抗菌剤を入れない穴で構成させる。微生物と試験化合物を入れたプレートを37℃でインキュベートする。インキュベーションを0、4、24および48時間行った後にサンプルを取り出して、無菌PBSを用いて一連の希釈(10−1から10−6)を行いそしてMueller Hinton寒天を用いた平板培養(200μl)を実施することで生存数を測定する。前記プレートを37℃で24時間インキュベートした後、コロニーの数を測定する。1ml当たりのlog10CFUを時間と対比させてプロットすることで殺菌曲線を作成することができる。一般に、1ml当たりのCFU値が未処置接種材料に比べて3−log10低下したならば抗菌効果があると定義する。一連の希釈を行いそして平板培養で用いた希釈率が最も高い希釈液中のコロニー数を数えることで当該薬剤の残余で起こり得る影響を取り除く。
【0241】
細胞内ATP濃度の測定
細胞内の総ATP濃度の変化を分析(ATP bioluminescence Ki
t、Rocheを使用)する目的で、黄色ブドウ球菌(ATCC29213)原液の培養物を100mlのMueller Hintonフラスコに入れて増殖させそして振とう器(300rpm)−インキュベーター内でインキュベーションを37℃で24時間行うことで検定を実施する。OD405nmを測定した後、CFU/mlを計算する。その培養物を1x10CFU/ml(ATP測定の最終濃度:穴1個当たり1x10CFU/100μl)になるように希釈した後、試験化合物をMIC(即ちミクロタイタープレート検定を用いて測定した時のIC90)の0.1から10倍の濃度になるように加える。それらの管を300rpmにおいて37℃で0、30および60分間インキュベートする。スナップ−キャップ管に入っている細菌懸濁液を0.6ml用いて、新しい2mlのエッペンドルフ管に加える。細胞溶解用試薬(Rocheキット)を0.6ml加え、最大速度で渦巻き撹拌した後、インキュベーションを室温で5分間実施する。冷却を氷上で実施する。照度計(インジェクター付きLuminoskan Ascent Labsystems)を30℃に温める。1つの縦列(=6個の穴)を100μlの同じサンプルで満たす。前記インジェクター装置を用いて各穴にルシフェラーゼ試薬を100μl加える。発光の測定を1秒間実施する。
【0242】
【表3】

【0243】
STA 29213は黄色ブドウ球菌(ATCC29213)を意味し、SPN 63
05は肺炎連鎖球菌(ATCC6305)を意味し、MSM 607はM.スメグマチス(ATCC607)を意味し、ATCCはAmerican type tissue cultureを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体化学異性体形態物のいずれも包含する式(Ia)または(Ib)
【化1】

[式中、
pは、1、2、3または4に相当する整数であり、
qは、ゼロ、1、2、3または4に相当する整数であり、
は、水素、シアノ、ホルミル、カルボキシル、ハロ、アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、−C=N−OR11、アミノ、モノもしくはジ(アルキル)アミノ、アミノアルキル、モノもしくはジ(アルキル)アミノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アミノカルボニル、モノもしくはジ(アルキル)アミノカルボニル、アリールアルキル、アリールカルボニル、R5a4aNアルキル、ジ(アリール)アルキル、アリール、R5a4aN−、R5a4aN−C(=O)−またはHetであり、
は、水素、アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルチオ、モノもしくはジ(アルキル)アミノ、ピロリジノまたは式
【化2】

で表される基であり、かつYはCH、O、S、NHまたはN−アルキルであり、
は、アルキル、アリールアルキル、アリール−O−アルキル、アリール−アルキル−O−アルキル、アリール、アリール−アリール、Het、Het−アルキル、Het−O−アルキル、Het−アルキル−O−アルキルまたは
【化3】

であり、
およびRは、各々独立して、水素、アルキル、アルキルオキシアルキル、アリールアルキル、Het−アルキル、モノもしくはジアルキルアミノアルキル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、Het、アリールまたは−C(=NH)−NHであるか、或は
とRがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、4−チオモルホリノ、1,1−ジオキサイド−チオモルホリニル、アゼチジニル、2,3−ジヒドロイソインドール−1−イル、チアゾリジン−3−イル
、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、ヘキサヒドロ−1H−アゼピニル、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから成る群より選択される基を形成しておりかつ各基は場合により各置換基がアルキル、ハロアルキル、アルキルカルボニル、ハロ、アリールアルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アミノ、モノもしくはジアルキルアミノ、アミノアルキル、モノもしくはジアルキルアミノアルキル、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アリール、ピリジル、ピリミジニル、場合によりアルキルで置換されていてもよいピペリジニルまたは場合によりアリールアルキルで置換されていてもよいピロリジニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
4aとR5aがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、4−チオモルホリノ、2,3−ジヒドロイソインドール−1−イル、チアゾリジン−3−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、ヘキサヒドロ−1H−アゼピニル、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから成る群より選択される基を形成しておりかつ各基は場合により各置換基がアルキル、ハロアルキル、ハロ、アリールアルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アミノ、モノもしくはジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アリール、ピリジルまたはピリミジニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、ハロ、アルキル、アリールまたはHetであり、
は、水素またはアルキルであり、
は、オキソであるか、或は
とRが一緒になって基−CH=CH−N=を形成しており、
11は、水素またはアルキルであり、
アリールは、各々が場合により各置換基がヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノもしくはジアルキルアミノ、アルキル、場合によりフェニルで置換されていてもよいC2−6アルケニル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モルホリニルまたはモノもしくはジアルキルアミノカルボニルから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、アセナフチルまたはテトラヒドロナフチルから選択される同素環であり、
Hetは、N−フェノキシピペリジニル、ピペリジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニルから選択される単環式複素環、またはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニルまたはベンゾ[1,3]ジオキソリルから選択される二環式複素環であり、各単環式および二環式複素環は場合により各置換基がハロ、ヒドロキシ、アルキルまたはアルキルオキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい]
で表される化合物、これのN−オキサイド、製薬学的に許容される塩または溶媒和物。
【請求項2】
がアルキル、アリールアルキル、アリール−O−アルキル、アリール−アルキル−O−アルキル、アリール、Het、Het−アルキル、Het−O−アルキル、Het−
アルキル−O−アルキルまたは
【化4】

であり、
およびRが各々独立して水素、アルキル、アルキルオキシアルキル、アリールアルキル、Het−アルキル、モノもしくはジアルキルアミノアルキル、Het、アリールまたは−C(=NH)−NHであるか、或は
とRがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、4−チオモルホリノ、2,3−ジヒドロイソインドール−1−イル、チアゾリジン−3−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、ヘキサヒドロ−1H−アゼピニル、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから成る群より選択される基を形成しておりかつ各基が場合により各置換基がアルキル、ハロアルキル、アルキルカルボニル、ハロ、アリールアルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アミノ、モノもしくはジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アリール、ピリジル、ピリミジニル、ピペリジニルまたは場合によりアリールアルキルで置換されていてもよいピロリジニルから独立して選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
アリールが各々が場合により各置換基がヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノもしくはジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モルホリニルまたはモノもしくはジアルキルアミノカルボニルから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、アセナフチルまたはテトラヒドロナフチルから選択される同素環である、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
アルキルがC1−6アルキルを表す請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
がハロ、Hetまたはアリールである前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
がハロである請求項4記載の化合物。
【請求項6】
pが1に相当する前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
がC1−6アルキルオキシである前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
がアリールである前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
qが2、3または4に相当する前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
およびRがC1−6アルキルを表す前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
が水素である前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
式(Ia)で表される化合物である前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
がハロであり、RがC1−6アルキルオキシであり、Rがアリールであり、RおよびRがC1−6アルキルであり、Rが水素であり、qが2、3または4であり、そしてpが1である請求項12記載の化合物。
【請求項14】
薬剤として用いるための前請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
ミクロバクテリウム感染を包含する細菌感染を治療する薬剤として用いるための請求項1から13のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
製薬学的に許容される担体および請求項1から13のいずれか1項記載の化合物を有効成分として治療的に有効な量で含有して成る製薬学的組成物。
【請求項17】
細菌感染治療用薬剤を製造するための請求項1から13のいずれか1項記載化合物の使用。
【請求項18】
前記細菌感染がグラム陽性細菌による感染である請求項17記載の使用。
【請求項19】
前記グラム陽性細菌が肺炎連鎖球菌である請求項17記載の使用。
【請求項20】
前記グラム陽性細菌が黄色ブドウ球菌である請求項17記載の使用。
【請求項21】
請求項1記載化合物の製造方法であって、
式(IIa)または(IIb)で表される中間体と式(III)で表される中間体を以下の反応スキーム:
【化5】

[あらゆる変項は請求項1で定義する通りである]
に従ってnBuLiを用いて適切な塩基と適切な溶媒の混合物中で反応させるか、
または必要ならば、式(Ia)または(Ib)で表される化合物を当該技術分野で公知の変換に従って互いに変化させ、そして更に必要ならば、式(Ia)または(Ib)で表される化合物を酸で処理することで治療的に有効な無毒の酸付加塩に変化させるか或は塩基
で処理することで治療的に有効な無毒の塩基付加塩に変化させるか、或は逆に、酸付加塩形態物をアルカリで処理することで遊離塩基に変化させるか、或は塩基付加塩を酸で処理することで遊離酸に変化させ、そして必要ならば、それらの立体化学異性体形態物、第四級アミンまたはN−オキサイド形態物を調製する、
ことを特徴とする方法。
【請求項22】
(a)請求項1から13のいずれか1項記載の化合物および(b)他の1種以上の抗菌薬の組み合わせ物。
【請求項23】
(a)請求項1から13のいずれか1項記載の化合物および(b)他の1種以上の抗菌薬を、細菌感染の治療で同時、個別または逐次的に用いるための組み合わせ製剤として含有する、製品。

【公表番号】特表2010−511671(P2010−511671A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539741(P2009−539741)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063316
【国際公開番号】WO2008/068270
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】