説明

抗血小板薬と腸溶性コーティング酸阻害剤とを含む経口剤形

本開示は、抗血小板薬と腸溶性コーティング酸阻害剤とを含む経口剤形、並びに抗血小板薬及び腸溶性コーティング酸阻害剤を用いて対象を治療する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、すべての目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれている2007年4月4日出願の米国非仮特許出願シリアル番号第11/696,554号、2006年6月9日出願の米国仮特許出願シリアル番号第60/812,326号、及び2006年4月4日出願の米国仮特許出願シリアル番号第60/789,543号の連続部分である。
【0002】
(本発明の分野)
本教示は、抗血小板薬及び酸阻害剤の同時投与、並びに抗血小板薬に関連する胃腸障害を予防又は軽減するための抗血小板薬と酸阻害剤との組み合わせを含有する経口剤形に関する。さらに、本教示は、抗血小板薬と腸溶性コーティング酸阻害剤とを含む単位剤形に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
血栓性障害は、血管の血流を局部的に遮断し、又は血流を下流で妨げるよう脱離かつ塞栓形成する血栓の形成を特徴とする。血栓性障害は、先進国における死亡の主要因である。血小板凝集を低下させ、血栓形成を阻害する抗血小板薬は、血栓性障害の治療及び予防に有益であることが示されている。
【0004】
現在、広く利用可能な多くの抗血小板薬が存在するが、たいていの抗血小板薬物には副作用が伴う。例えば、アスピリン及びクロピドグレルなどの抗血小板薬の投与は、潰瘍及び胃腸出血などの胃腸障害と関連づけられてきた。加えて、クロピドグレルなどの抗血小板薬の投与により、潰瘍誘発刺激の潰瘍誘発効果をより受けやすくなる患者もいる。これらの胃腸障害の発症に寄与する大きな要因は、胃及び上位小腸における酸の存在であると思われる。潰瘍及び胃腸出血に関連する機序は、完全に把握されていないが、例えば、ストレス、アルコール刺激、ヘリコバクター・ピロリ感染症及びアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬の副作用を含む潰瘍の多くの原因がある。長期的な抗血小板薬治療を必要とする患者は、胃腸障害により当該治療法を中断し、又は受け入れなくなることもあり、その結果、患者は有益な抗血小板薬治療法を阻まれる。抗血小板薬の使用と関連した胃腸障害を軽減又は解消するための経口医薬組み合わせ製剤が必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
(発明の要旨)
本開示は、「活性体」と呼ばれる活性成分として抗血小板薬と酸阻害剤との組み合わせを含む経口剤形に関する。いくつかの実施態様において、経口剤形は、アデノシン二リン酸アンタゴニストと酸阻害剤との組み合わせを含む。経口剤形は、プロトンポンプ阻害剤、H2遮断薬、及びアルカリ化剤を含むが、それらに限定されない種々の酸阻害剤を含んでもよい。いくつかの実施態様において、経口剤形及び/又は活性体は、少なくとも部分的に腸溶性コーティングされている。
【0006】
いくつかの実施態様において、経口剤形は、クロピドグレル又はプラスグレルと酸阻害剤との組み合わせを含む。より具体的な実施態様において、経口剤形は、クロピドグレル又はプラスグレルとプロトンポンプ阻害剤との組み合わせを含む。さらに別の具体的な実施態様において、経口剤形は、クロピドグレル又はプラスグレルと、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、及びパントプラゾールから選択される構成要素であるプロトンポンプ阻害剤との組み合わせを含む。さらに別の具体的な実施態様において、経口剤形は、クロピドグレル又はプラスグレルとオメプラゾールとの組み合わせを含む。さらに別の具体的な実施態様において、経口剤形は、単一の単位である。さらに別の具体的な実施態様において、経口剤形は、2つの単位である。
【0007】
いくつかの実施態様において、経口剤形は、酸阻害剤と組み合わせた、アスピリンとクロピドグレル又はプラスグレルとの組み合わせを含む。より具体的な実施態様において、経口剤形は、アスピリン、クロピドグレル、又はプラスグレルとプロトンポンプ阻害剤とを含む。さらに別の具体的な実施態様において、経口剤形は、クロピドグレル又はプラスグレルと、アスピリン並びにオメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、及びパントプラゾールから選択される構成要素であるプロトンポンプ阻害剤との組み合わせを含む。さらに別の具体的な実施態様において、経口剤形は、クロピドグレル又はプラスグレルとアスピリン及びオメプラゾールとの組み合わせを含む。前記経口剤形におけるアスピリンの用量は、血小板に対するその効果に応じて選択することができる。
【0008】
経口剤形を、硬質殻カプセル剤及び軟質殻カプセル剤を含むカプセル剤;胃内崩壊錠剤、経口投与可能錠剤、発泡性錠剤及び放出改質錠剤を含む錠剤;顆粒剤;液剤;懸濁剤;散剤;ゲル剤;経口投与可能なフィルム剤;並びに当技術分野で公知の他の製剤として調剤することができる。いくつかの実施態様において、経口剤形には、腸溶性コーティングを含む。いくつかの実施態様において、腸溶性コーティングは、(例えば、顆粒剤へのコーティングにおいて)酸阻害剤を包囲して、酸阻害剤を経口剤形における抗血小板薬から隔離する。他の実施態様において、腸溶性コーティングは、経口剤形における抗血小板薬を包囲する。さらに他の実施態様において、腸溶性コーティングは、経口剤形における酸阻害剤及び抗血小板薬の両方を包囲する。いくつかの実施態様において、腸溶性コーティングは、酸阻害剤の本質的にすべてを包囲する。他の実施態様において、腸溶性コーティングは、抗血小板薬の本質的にすべてを包囲する。さらに他の実施態様において、腸溶性コーティングは、経口剤形における酸阻害剤及び抗血小板薬の両方の本質的にすべてを包囲する。他の実施態様において、経口剤形は、腸溶性コーティングを含まない。他の実施態様において、経口剤形は、腸溶性コーティングが実質的にない。
【0009】
また、本発明は、本明細書に記載されている経口剤形を用いて抗血小板治療法と関連した副作用から胃腸管を保護する方法に関する。また、本発明は、抗血小板薬及び酸阻害剤を同時投与することによる抗血小板治療法と関連した副作用から胃腸管を保護する方法に関する。本教示のこれらの特徴及び他の特徴は、本明細書に示される。
【0010】
一態様において、血小板凝集を阻害するための有効量の抗血小板薬と該抗血小板薬と関連した胃腸障害を発症させる危険性を低下させるための有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単位剤形を、抗血小板薬を必要としかつ胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を有さない患者に経口投与することを含む、該患者を治療する方法が本明細書に提供され、ここで、プロトンポンプ阻害剤は、(a)プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料;と(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある。
【0011】
別の態様において、抗血小板薬を必要としかつ胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を有さない患者に、血小板凝集を阻害するための有効量の抗血小板薬と、胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を発症させる危険性を低下させるための有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単位剤形を経口投与することを含む、該患者を治療する方法が本明細書に提供され、ここで、プロトンポンプ阻害剤は、(a)プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料;と(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある。
【0012】
別の態様において、血小板凝集を阻害するための非ステロイド性抗炎症薬を受けており、かつ胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を有さない患者に、血小板凝集を阻害するための有効量の抗血小板薬と、該抗血小板薬と関連した胃腸障害を発症させる危険性を低下させるための有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単位剤形を経口投与することを含む、該患者を治療する方法が本明細書に提供され、ここで、プロトンポンプ阻害剤は、(a)プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料;と(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある。
【0013】
別の態様において、血小板凝集を阻害するための非ステロイド性抗炎症薬を受けており、かつ胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を有さない患者に、血小板凝集を阻害するための有効量の抗血小板薬と、胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を発症させる危険性を低下させるための有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単位剤形を該患者に経口投与することを含む、該患者を治療する方法が本明細書に提供され、ここで、プロトンポンプ阻害剤は、(a)プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料;と(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある。
【0014】
別の態様において、抗血小板薬とプロトンポンプ阻害剤とを含む経口単位剤形が本明細書に提供され、ここで、剤形は、非ステロイド性抗炎症薬を含まず、かつここで、プロトンポンプ阻害剤は、(a)プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料;と(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】CGT-2168(■)又は市販のPrilosec(商標)(●)のオメプラゾール成分の溶解。図は、経時(x軸)的に溶解したオメプラゾールの百分率(y軸)を示す。溶解データは、検討したあらゆる時点においてPrilosec(商標)とCGT-2168の間に統計的な有意差を示す。
【0016】
【図2】臨床治験CG103:CGT-2168(○)又はPrilosec(商標)(●)を用いた治療後のオメプラゾールの血漿レベル。Tmaxの差は、Prilosec(商標)がCGT-2168のオメプラゾール成分よりも早期に吸収されたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で使用されるように、「a」、「an」、及び「the」という単数形には、別段の明確な文脈上の記載がない限り、複数の参照を含む。例えば、「活性成分」に対する参照には、単一の活性成分及び、組み合わせにおける2つ以上の異なる活性成分を含む。本教示が、本明細書に開示される具体的な剤形、担体、又はその類似物に限定されず、該剤形など自体が変動し得ることは理解されるべきである。
【0018】
(定義)
本明細書で使用される場合、下記の用語は、下記の意味を有する:
【0019】
句「酸阻害剤」は、胃酸分泌を阻害でき又は減少できる薬剤を意味し、胃酸の減少又は中和を含む。用語「酸阻害剤」には、可逆的プロトンポンプ阻害剤及び不可逆的プロトンポンプ阻害剤を含むプロトンポンプ阻害剤、H2遮断薬、並びにアルカリ化剤を含むが、それらに限定されない。
【0020】
句「アルカリ化剤」又は「アルカリ材料」は、対象に経口投与した後に、対象の胃内のpHを上昇させる制酸薬を含む医薬として許容し得る賦形剤を意味する。
【0021】
薬剤又は薬理学的に活性のある成分の用語「有効量」又は「治療有効量」という用語は、非毒性だが、所望の効果を提供するのに十分な量の薬剤(drug)又は薬剤(agent)を指す。本開示の経口剤形において、組み合わせの1つの活性体の「有効量」は、組み合わせの他の活性体と併用する場合に、所望の効果を提供するのに有効である該1つの活性体の量である。「有効」な量は、個体の齢及び全体的な状態、特定の活性成分(active agent)又は活性成分(active agents)に応じて対象毎に異なるであろうし、任意の個々の事例における適切な「有効」量は、慣例の実験を用いて当業者が決定してもよい。抗血小板薬(例えばクロピドグレル)又はアスピリンについては、治療有効量は、(例えば、クロピドグレルによって生じる減少と類似する範囲まで)患者におけるアテローム血栓性事象を軽減するのに十分な量である。プロトンポンプ阻害剤(PPI)については、治療有効量は、公知のPPI、例えばオメプラゾールに対して治療的に有用であると考えられる量、典型的には、患者集団にわたり、胃酸分泌量をPPIの最大効果で少なくとも平均で20%減少させるのに十分な量である。
【0022】
句「抗血小板薬」は、血小板の活性化、凝集及び/又は接着を阻害する、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)以外の任意の化合物を指し、活性を有する化合物のすべての医薬として許容し得る塩、プロドラッグ、例えばエステル、及び水和物を含む溶媒和物形態を含むことを意図し、1つ以上のキラル中心を有する化合物がラセミ体、ラセミ混合物、及び個々のジアステレオマー又は鏡像異性体として生じることができ、すべての該異性体形態及びそれらの混合物が含まれ、あらゆる結晶性多形体、共晶体、及び非晶形が含まれるよう意図される。
【0023】
句「医薬として許容し得る」は、医学的判断の範囲内で、例えば、過度の毒性、刺激及びアレルギー応答等の望ましくない生物学的効果を引き起こすことなくヒトにおける使用に好適である成分又は化合物を意味する。
【0024】
句「経口剤形」は、口腔を介して対象に投与される任意の医薬組成物を意味し、1つ以上の抗血小板薬及び1つ以上の酸阻害剤が、任意に1つ以上の追加的な薬剤と併用して同時に投与される。典型的な経口剤形としては、錠剤、カプセル剤、フィルム剤、散剤、サシェ剤、顆粒剤、液剤、固形剤、懸濁剤、又は同時投与のために一緒に包装された2つ以上の異なる単位(例えば、異なる活性体を含む顆粒剤、錠剤及び/又はカプセル剤)並びに当技術分野で公知の他の製剤が挙げられる。経口剤形は、1個、2個、3個、4個、5個又は6個単位であることができる。経口剤形が多数の単位を有する場合、単位のすべてが単一の包装(例えば、ボトル又はブリスターパックなどの他の形態の包装)に含められる。経口剤形が単一の単位である場合、単一の包装にあってもよいし、そうでなくてもよい。好ましい実施態様において、経口剤形は、1単位、2単位又は3単位である。特に好ましい実施態様において、経口剤形は、1単位である。
【0025】
句「単位」は、本明細書で用いられる場合、経口剤形を含む摂取されるべき離散した物体の数を指す。いくつかの実施態様において、経口剤形には、1つのカプセル内に含まれた抗血小板薬と酸阻害剤とを含む。これは、カプセルの内部に活性成分の多数の離散した顆粒剤が含まれるか否かにかかわらず、単一の単位である。例えば、いくつかの実施態様において、経口剤形には、抗血小板薬、酸阻害剤、及び任意に1つのカプセル剤内に含まれたアスピリンを含む。これも単一の単位である。いくつかの実施態様において、経口剤形は、1つのカプセル剤に抗血小板薬とアスピリンとを含み、第二のカプセル剤に酸阻害剤を含む。これも2つのカプセル剤又は錠剤などの2単位の経口剤形であるので、該単位は、単一の包装に含まれる。このように、用語「単位」は、患者が摂取する物体を指すのであって、物体の内部構成成分を指すのではない。
【0026】
句「活性成分」、「治療成分」、「活性体」又は「活性成分」は、標的とする障害、疾患又は容態を治療するのに有効であり得る化学物質を意味する。
【0027】
句「治療有効量」は、標的とする障害、疾患又は容態を治療するのに有効な抗血小板薬又は酸阻害剤などの治療成分の十分な量を意味する。
【0028】
用語「基体」は、経口剤形におけるビーズ、粒子、顆粒、及びペレット等の医薬として許容し得る粒子状材料を意味する。
【0029】
「実質的にない」という用語は、本明細書で用いられる場合、組成物が意図する任意の既知の目的のために、その物質を全く含まない、又はその物質の治療有効量未満の量を含む組成物を指す。
【0030】
用語「本質的にすべて」は、本明細書で用いられる場合、組成物の成分の少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも98%、及び少なくとも99%から選択される成分が、記載される特性を有する組成物を指す。例えば、組成物における酸阻害剤の「本質的にすべて」が腸溶性コーティングされている場合、組成物の酸阻害剤分子の少なくとも90%、又は少なくとも93%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%が腸溶性コートの内部に含まれる。
【0031】
「胃腸障害」という用語は、本明細書で用いられる場合、対象/患者の胃腸系を冒す容態を指す。胃腸障害の例としては、限定するものではないが、過剰の酸の存在及び/又は分泌、胃出血、潰瘍前病変、並びに胃潰瘍及び十二指腸潰瘍を含む消化性潰瘍、出血消化性潰瘍、ストレス性潰瘍、吻合部潰瘍、難治性潰瘍、食道潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ等の細菌誘発性潰瘍、真菌誘発性潰瘍、ウイルス誘発性潰瘍等の潰瘍が挙げられる。
【0032】
本明細書において特定の化合物の量、例えば20mgのオメプラゾール又は75mgのクロピドグレルがその具体的な塩、溶媒和物、水和物、又はプロドラッグに対する参照がなくとも、記載される場合はいつでも、与えられる量は、分子自体すなわちその遊離塩基又は遊離酸を指すはずであり、その対応する塩、溶媒和物、水和物、又はプロドラッグを指すはずではない。
【0033】
(I.経口剤形)
本開示は、血小板凝集を阻害し、凝血カスケードが活性化される血栓形成促進性状態及び血栓性状態から生じる疾患を治療し、心臓血管疾患の危険性を低下させ、及び抗血小板薬と関連した胃腸障害を軽減するための経口剤形及びその使用を提供する。
【0034】
本明細書に提供される経口剤形は、経口投与に好適な任意の形態で投与することができる。剤形は、抗血小板薬と酸阻害剤との組み合わせを含む。典型的な実施態様において、経口剤形は、抗血小板薬である第一の活性成分の治療有効量と、酸阻害剤である第二の活性成分の治療有効量とを含む。典型的な実施態様において、経口剤形は、アスピリンを含まない。典型的な実施態様において、経口剤形は、アスピリンが実質的にない。別の典型的な実施態様において、経口剤形は、非アスピリンNSAIDを含まない。別の典型的な実施態様において、経口剤形は、非アスピリンNSAIDが実質的にない。さらなる典型的な実施態様において、経口剤形は、治療有効量の第三の活性成分をさらに含まない。さらなる典型的な実施態様において、経口剤形は、単一の単位である。さらなる実施態様において、経口剤形は、2単位であり、ここで、第一の単位が前記抗血小板薬を含み、第二の単位が前記酸阻害剤を含む。
【0035】
(I.a)抗血小板薬)
血小板凝集阻害剤様活性を有する任意の化合物は、本発明の経口剤形に使用することができる。本発明の経口剤形に使用してもよい抗血小板薬の非限定的な例としては、アデノシン二リン酸(ADP)アンタゴニスト又はP2Y12アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、アデノシン再取り込み阻害剤、ビタミンKアンタゴニスト、ヘパリン、ヘパリン類似体、直接的トロンビン阻害剤、糖タンパク質IIB/IIIA阻害剤、抗凝血酵素、並びにそれらの医薬として許容し得る塩、異性体、鏡像異性体、非晶質形を含む多形体結晶形、溶媒和物、水和物、共晶体、錯体、活性代謝物質、活性誘導体、及び改質体、プロドラッグ等が挙げられる。実施例の節を除いて、抗血小板薬又は具体的な抗血小板薬化合物、例えば、クロピドグレルに対する本明細書における参照は、薬剤(agent)若しくは薬剤(drug)自体及び先の文において記載したような薬剤(agent)若しくは薬剤(drug)の活性形態を包含する。本明細書で用いられる場合、用語「抗血小板薬」は、アスピリンNSAID及び非アスピリンNSAIDを含まない。
【0036】
ADPアンタゴニスト又はP2Y12アンタゴニストは、血小板細胞膜上のADP受容体を遮断する。このP2Y12受容体は、血小板凝集、すなわちフィブリンによる血小板の架橋において重要である。この受容体の遮断は、糖タンパク質IIb/IIIa経路の活性化を遮断することによって血小板凝集を阻害する。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、ADPアンタゴニスト又はP2Y12アンタゴニストである。別の典型的な実施態様において、抗血小板薬は、チエノピリジンである。別の典型的な実施態様において、ADPアンタゴニスト又はP2Y12アンタゴニストは、チエノピリジンである。
【0037】
別の典型的な実施態様において、ADPアンタゴニスト又はP2Y12アンタゴニストは、スルフィンピラゾン、チクロピジン、クロピドグレル、プラスグレル、R-99224(Sankyoが提供するプラスグレルの活性代謝物質)、R-1381727、R-125690(Lilly)、C-1330-7、C-50547(Millennium Pharmaceuticals)、INS-48821、INS-48824、INS-446056、INS-46060、INS-49162、INS-49266、INS-50589(Inspire Pharmaceuticals)及びSch-572423(Schering Plough)から選択される構成要素である。別の典型的な実施態様において、ADPアンタゴニスト又はP2Y12アンタゴニストは、塩酸チクロピジン(TICLID(商標))である。別の典型的な実施態様において、ADPアンタゴニスト又はP2Y12アンタゴニストは、スルフィンピラゾン、チクロピジン、AZD6140、クロピドグレル、プラスグレル、及びそれらの混合物から選択される構成要素である。別の典型的な実施態様において、ADPアンタゴニスト又はP2Y12アンタゴニストは、クロピドグレルである。別の典型的な実施態様において、クロピドグレルの治療有効量は、約50mgから約100mgである。別の典型的な実施態様において、クロピドグレルの治療有効量は、約65mgから約80mgである。別の典型的な実施態様において、ADPアンタゴニスト又はP2Y12アンタゴニストは、重硫酸クロピドグレル(PLAVIX(商標))、硫酸水素クロピドグレル、臭化水素酸クロピドグレル、メシル酸クロピドグレル、カングレロル四ナトリウム(AR-09931 MX)、ARL67085、AR-C66096、AR-C126532及びAZD-6140(AstraZeneca)から選択される構成要素である。別の典型的な実施態様において、ADPアンタゴニスト又はP2Y12アンタゴニストは、プラスグレルである。別の典型的な実施態様において、プラスグレルの治療有効量は、約1mgから約20mgである。別の典型的な実施態様において、クロピドグレルの治療有効量は、約4mgから約11mgである。別の典型的な実施態様において、ADPアンタゴニスト又はP2Y12アンタゴニストは、クロピドグレル、チクロピジン、スルフィナピラゾン、AZD6140、プラスグレル、及びそれらの混合物から選択される構成要素である。
【0038】
ある実施態様において、抗血小板薬は、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形体、共晶体、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグである。別の実施態様において、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形体、共晶体、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグは、散剤である。
【0039】
ある実施態様において、抗血小板薬は、硫酸水素クロピドグレルである。一実施態様において、硫酸水素クロピドグレルは、そのすべての内容が全体として参照により本明細書で組み込まれている米国特許第4,847,265号に開示された結晶形1である。結晶形1は、米国特許第4,847,265号に記載されたように得てもよい(実施例1参照)。一実施態様において、硫酸水素クロピドグレルは、そのすべての内容が全体として参照により本明細書で組み込まれている米国特許第6,429,210号に開示された結晶形2である。結晶形2は、米国特許第6,429,210号に記載されたように得てもよい(実施例1A参照)。さらなる実施態様において、硫酸水素クロピドグレルは、結晶形1と結晶形2との混合物である。一実施態様において、硫酸水素クロピドグレルは、50重量%未満、25重量%、10重量%、5重量%、1重量%の結晶形2を含む結晶形1である。一実施態様において、硫酸水素クロピドグレルは、50重量%未満、25重量%、10重量%、5重量%、1重量%の結晶形1を含む結晶形2である。
【0040】
ある実施態様において、抗血小板薬は、ベシル酸クロピドグレルである。ベシル酸クロピドグレルは、そのすべての内容が全体として参照により本明細書で組み込まれている米国特許出願第2005/0203122号に記載されたように得ることができる。
【0041】
PDE阻害剤は、酵素ホスホジエステラーゼ(PDE)の5種のサブタイプのうちの1種以上を遮断し、それぞれのPDEサブタイプによる細胞内の第二のメッセンジャー、環状アデノシン一リン酸(cAMP)、及び環状グアノシン一リン酸(cGMP)の不活性化を防止する薬剤である。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、PDE阻害剤である。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、選択的cAMP PDE阻害剤である。典型的な実施態様において、PDE阻害剤はシロスタゾル(Pletal(商標))である。
【0042】
アデノシン再取り込み阻害剤は、血小板、赤血球細胞、及び内皮細胞へのアデノシンの細胞的再取り込みを防止して、アデノシンの高い細胞外濃度をもたらす。これらの化合物は、血小板凝集を阻害し、血管拡張を生じさせる。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、アデノシン再取り込み阻害剤である。典型的な実施態様において、アデノシン再取り込み阻害剤は、ジピリダモール(Persantine(商標))である。
【0043】
血栓症(血管において不適切な凝血)を停止させるためにビタミンK阻害剤が人に与えられる。これは、罹患しやすい人における深在静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、及び脳卒中の一次的及び二次的な予防に有用である。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、ビタミンK阻害剤である。典型的な実施態様において、ビタミンK阻害剤は、アセノクマロール、クロリンジオン、ジクマロール(Dicoumarol)、ジフェナジオン、エチルビスクムアセタート、フェンプロクモン、フェニンジオン、チオクロマロール及びワーファリンから選択される構成要素である。
【0044】
ヘパリンは、通常はブタの腸から作られる生体物質である。ヘパリンは、トロンビンが血液を凝固させないようにする抗トロンビンIIIを活性化することによって機能する。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、ヘパリン又はヘパリンのプロドラッグである。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、ヘパリン類似体又はヘパリン類似体のプロドラッグである。典型的な実施態様において、ヘパリン類似体は、抗トロンビンIII、ベミパリン、ダルテパリン、ダナパロイド、エノキサパリン、フォンダパリヌクス(皮下)、ナドロパリン、パルナパリン、レビパリン、スロデキシド及びチンザパリンから選択される構成要素である。
【0045】
直接的なトロンビン阻害剤(DTI)は、酵素トロンビンを直接阻害することによって抗凝血薬として作用する(凝血を遅延させる)医薬類である。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、DTIである。別の典型的な実施態様において、DTIは一価である。別の典型的な実施態様において、DTIは二価である。典型的な実施態様において、DTIは、ヒルジン、ビバルリジン(IV)、レピルジン、デシルジン、アルガトロバン(IV)、ダビガトラン、ダビガトランエテキシラート(経口製剤)、メラガトラン、キシメラガトラン(経口製剤であるが肝臓合併症)及びそれらのプロドラッグから選択される構成要素である。
【0046】
糖タンパク質IIB/IIA阻害剤は、血小板の表面上のGpIIb/IIIa受容体を阻害することによって、したがって、血小板凝集及び血栓形成を防止することによって機能する。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、糖タンパク質IIB/IIIA阻害剤である。典型的な実施態様において、糖タンパク質IIB/IIA阻害剤は、アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、及びそれらのプロドラッグから選択される構成要素である。これらの薬剤は、専ら静脈内投与されるので、糖タンパク質IIB/IIA阻害剤のプロドラッグは、経口投与に有用である。
【0047】
また、抗凝血酵素を本発明に使用することもできる。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、経口投与に好適な形の抗凝血酵素である。別の典型的な実施態様において、抗凝血酵素は、アルテプラーゼ、アンクロド、アニストレプラーゼ、ブリナーゼ、ドロトレコギンアルファ、フィブリノリシン、プロテインC、レテプラーゼ、サルプラーゼ、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ、ウロキナーゼから選択される構成要素である。
【0048】
典型的な実施態様において、抗血小板薬は、アロキシプリン、ベラプロスト、カルバサラートカルシウム、クロリクロメン、デフィブロチド、ジタゾール、エポプロステノール、インドブフェン、イロプロスト、ピコタミド、リバロキサバン(経口FXa阻害剤)トレプロスチニル、トリフルサル、又はそれらのプロドラッグから選択される構成要素である。
【0049】
(I.b)酸阻害剤)
酸阻害剤様活性を有する任意の化合物は、本発明の経口剤形における酸阻害剤として使用することができる。本発明の経口剤形に使用してもよい酸阻害剤の非限定的な例としては、プロトンポンプ阻害剤、H2遮断薬及びアルカリ化剤が挙げられる。
【0050】
典型的な実施態様において、酸阻害剤は、可逆的プロトンポンプ阻害剤及び不可逆的プロトンポンプ阻害剤の両方を含むプロトンポンプ阻害剤活性を有する。プロトンポンプ阻害剤の好適な非限定的な例としては、それらの医薬として許容し得る塩、異性体、鏡像異性体、誘導体、プロドラッグ、結晶多形体、非晶質改質体、溶媒和物及び水和物、共晶体、錯体並びにそれらの組み合わせも含めて、オメプラゾール(Prilosec(商標))、エソメプラゾール(Nexium(商標))、ランソプラゾール(Prevacid(商標))、レミノプラゾール、ラベプラゾール(Aciphex(商標))、パントプラゾール(Protonix(商標))、ヒドロキシオメプラゾール、パリプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペリプラゾール、ランソプラゾール、テナトプラゾール(ベナトプラゾール)、イラプラゾール、プロオメプラゾール、IY-81149、AZD-8065、ヒドロキシランソプラゾールが挙げられる。実施例の節を除いて、酸阻害剤又は具体的な酸阻害剤化合物、例えばオメプラゾールに対する本明細書での参照は、薬剤若しくは薬物自体、及び先の文に記載したような薬剤(agent)又は薬剤(drug)の活性形態を包含する。
【0051】
別の典型的な実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール、ラベパゾール、パントプラゾール、エソメプラゾール、及びランソプラゾールから選択される構成要素である。別の典型的な実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール及びエソメプラゾールから選択される構成要素である。別の典型的な実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール及びエソメプラゾールから選択される構成要素であり、前記第二の成分の治療有効量は、約10mgから約80mgである。別の典型的な実施態様において、オメプラゾールの治療有効量は、約10mgから約80mgであり、エソメプラゾールの治療有効量は、約10mgから約40mgである。
【0052】
ある実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、共晶体、プロドラッグ、又は多形体である。
【0053】
ある実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、そのすべての内容が全体として参照により本明細書で組み込まれている米国特許第6,150,380号に開示されたようなオメプラゾールA型である。A型は、米国特許第6,150,380号に記載されたように得られ得る(実施例1参照)。一実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、米国特許第6,150,380号に開示されたオメプラゾールB型である。B型は、米国特許第6,150,380号に記載されたように得られ得る(実施例2参照)。さらなる実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾールのA型とB型との混合物である。一実施態様において、オメプラゾールA型は、50重量%未満、25重量%、10重量%、5重量%、1重量%のオメプラゾールB型を含む。一実施態様において、オメプラゾールB型は、50重量%未満、25重量%、10重量%、5重量%、1重量%のA型を含む。
【0054】
ある実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、そのすべての内容が全体として参照により本明細書で組み込まれている米国特許第4,738,974号に記載されたリチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、チタン、テトラアルキルアンモニウム、及びグアニジニウム塩などだがそれらに限定されないオメプラゾール塩である。
【0055】
一実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、その両方の内容が全体として参照により本明細書で組み込まれている米国特許第4,738,974号及び第6,207,188号に記載されたようなオメプラゾールナトリウムである。一実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾールA型である。A型は、米国特許第6,207,188号に記載されたように得られ得る(実施例3参照)。一実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾールB型である。B型は、米国特許第6,207,188号に記載されたように得られ得る(実施例1参照)。さらなる実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾールナトリウムであり、ここで、オメプラゾールナトリウムはA型とB型との混合物である。一実施態様において、オメプラゾールナトリウムA型は、50重量%未満、25重量%、10重量%、5重量%、1重量%のオメプラゾールナトリウムB型を含む。一実施態様において、オメプラゾールナトリウムB型は、50重量%未満、25重量%、10重量%、5重量%、1重量%のA型を含む。
【0056】
先に記載した化合物に加えて、酸阻害剤は、胃酸分泌の原因である酵素H+/K+ ATPアーゼに可逆的に結合する化合物、所謂「可逆的プロトンポンプ阻害剤」を含んでもよい。好適な非限定例としては、それらの医薬として許容し得る塩、異性体、鏡像異性体、多形体、溶媒和物、水和物、非晶質改質体、共晶体、誘導体、並びにそれらの組み合わせも含めて、Sch-28080(Schering Plough);Sch-32651(Schering Plough)、AZD-0865、AR-H047108、CS-526、プマプラゾール、レバプラザン(WO 1998018784;US 6,252,076;US 5,990,311、及びUS 5,750,531参照)ソラプラザン(W09605177及びW09605199)、H-335/25(AstraZeneca)、及びSK&F-96067(GlaxoSmithKline)並びに例えば文献米国特許第4,833,149号、米国特許第5,041,442号、米国特許第4,464,372号、米国特許第6,132,768号に開示されている可逆的プロトンポンプ阻害剤が挙げられる。
【0057】
酸阻害剤の追加的で好適な非限定例としては、それらの医薬として許容し得る塩、異性体、鏡像異性体、多形体、非晶質改質体、共晶体、溶媒和物、水和物、誘導体、並びにそれらの組み合わせも含めて、SK&F-95601、SK&F-96067、及びSK&F-97574(GlaxoSinithKline)、NC-I300及びNC-1300-B(Nippon Chemiphar);Hoe-73I(サビプラゾール)(Sanofi-Aventis);IY-81149(Ilaprazole);H-405/02(AstraZeneca);CS-526、及びR-I05266(Novartis;Sankyo;Ube);TY-I1345、又はネパプラゾールナトリウム(Toa Eiyo);BY-841(Altana Pharma)、及びTU-199(TAP;Takeda)が挙げられる。
【0058】
酸阻害剤は、H2遮断薬又はH2アンタゴニスト活性を有する任意の化合物を含んでもよい。好適な非限定例としては、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ファモチジン、ロキサチジン並びにそれらの医薬として許容し得る塩、異性体、多形体、非晶質改質体、共晶体、誘導体、プロドラッグ、鏡像異性体、溶媒和物、水和物、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
また、経口剤形の酸阻害剤は、アルカリ化活性を有する任意の化合物を含んでもよい。本開示のアルカリ化剤は、酸性水溶液のpHを上昇させ、例えば、制酸薬並びに他の医薬として許容し得る有機塩基及び無機塩基、有機強酸及び無機強酸の塩、有機弱酸及び無機弱酸の塩、並びに緩衝剤を含む。
【0060】
アルカリ化剤の好適な非限定例は、例えば、水溶液において約pH7を超えるpHを有する塩基性化合物であり、金属塩、例えば、炭酸アルミニウム(Basajel)、ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどのアルミニウム塩;炭酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウム塩;炭酸カルシウムなどのカルシウム塩;重炭酸カルシウム及び重炭酸ナトリウムなどの重炭酸塩;一塩基性リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、二塩基性リン酸ナトリウム、三塩基性リン酸ナトリウム(TSP)、二塩基性リン酸カリウム、三塩基性リン酸カリウムなどのリン酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化ナトリウム、中級水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物;酸化マグネシウムなどの金属酸化物;N-メチルグルカミン;アルギニン及びその塩;ヒドロタルサイト(Talcid);次サリチル酸ビスマス(PeptoBismol)などのビスマス塩;マガルドラート;シメチコン(Pepsil);モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)などのアミン;並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0061】
本明細書における酸阻害剤、異なる酸阻害剤類、例えば、タンパク質ポンプ阻害剤、及び当該類に含まれる具体的な化合物に対する参照は、阻害剤、阻害剤類及び化合物、並びにそれらの医薬として許容し得る塩、異性体、鏡像異性体、非晶質形を含む多形体結晶形、溶媒和物、水和物、共晶体、錯体、活性代謝物質、活性誘導体及び改質体、並びにプロドラッグ等を包含する。本明細書における酸阻害剤、又は具体的な酸阻害剤、例えばオメプラゾールに対する参照は、薬剤若しくは薬物自体、及び先の文に記載したような薬剤(agent)若しくは薬剤(drug)の活性形態を包含する。
【0062】
(I.c)抗血小板薬と酸阻害剤との具体的な組み合わせ)
典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のアデノシン二リン酸アンタゴニストと治療有効量の不可逆的プロトンポンプ阻害剤とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のアデノシン二リン酸アンタゴニストと治療有効量の可逆的プロトンポンプ阻害剤とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のアデノシン二リン酸アンタゴニストと治療有効量のH2遮断薬とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のアデノシン二リン酸アンタゴニストと治療有効量のアルカリ化剤とを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、本段落に記載の単一の単位経口剤形はさらに、アスピリンを含む。別の典型的な実施態様において、本段落に記載の単一の単位経口剤形はさらに、治療有効量のアスピリンを含む。別の典型的な実施態様において、本段落に記載の単一の単位経口剤形はさらに、非アスピリンNSAIDを含む。別の典型的な実施態様において、本段落に記載の単一の単位経口剤形はさらに、治療有効量の非アスピリンNSAIDを含む。
【0063】
(I.c1)アデノシンニリン酸阻害剤とプロトンポンプ阻害剤との具体的な組み合わせ)
典型的な実施態様において、本発明は、クロピドグレル、プラスグレル、及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素と治療有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、本発明は、クロピドグレル、プラスグレル、及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素と治療有効量の不可逆的プロトンポンプ阻害剤とを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、本発明は、クロピドグレル、プラスグレル、及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素と治療有効量の可逆的プロトンポンプ阻害剤を含む単一の単位経口剤形を提供する。さらなる典型的な実施態様において、本発明は、クロピドグレル、プラスグレル、及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素と治療有効量のH2遮断薬とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、クロピドグレル、プラスグレル、及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素と治療有効量のアルカリ化剤を含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、本段落に記載の単一の単位経口剤形はさらに、アスピリンを含む。別の典型的な実施態様において、本段落に記載の単一の単位経口剤形はさらに、治療有効量のアスピリンを含む。別の典型的な実施態様において、本段落に記載の単一の単位経口剤形はさらに、非アスピリンNSAIDを含む。別の典型的な実施態様において、本段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0064】
一実施態様において、本発明は、抗血小板薬が、クロピドグレル、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形体、共晶体、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグである剤形を提供する。
【0065】
(I.c2)抗血小板薬と具体的なプロトンポンプ阻害剤との具体的な組み合わせ)
典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量の抗血小板薬と治療有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、プロトンポンプ阻害剤はオメプラゾールである。別の典型的な実施態様において、オメプラゾールは、約10mgから約40mgの量で存在する。別の典型的な実施態様において、オメプラゾールは、約20mgの量で存在する。典型的な実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、エソメプラゾールである。別の典型的な実施態様において、エソメプラゾールは、約10mgから約40mgの量で存在する。別の典型的な実施態様において、エソメプラゾールは、約20mgの量で存在する。典型的な実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、ランソプラゾールである。別の典型的な実施態様において、ランソプラゾールは、約15mgから約60mgの量で存在する。別の典型的な実施態様において、ランソプラゾールは、約15mgから約30mgの量で存在する。典型的な実施態様において、プロトンポンプ阻害剤はラベプラゾールである。別の典型的な実施態様において、ラベプラゾールは、約10mgから約60mgの量で存在する。別の典型的な実施態様において、ラベプラゾールは、約20mgの量で存在する。典型的な実施態様において、プロトンポンプ阻害剤は、パントプラゾールである。別の典型的な実施態様において、パントプラゾールは、約10mgから約40mgの量で存在する。別の典型的な実施態様において、パントプラゾールは、約20mgから約40mgの量で存在する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンの治療有効量をさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0066】
一実施態様において、ある剤形が本明細書に提供され、ここで、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール又はその医薬として許容され得る塩、鏡像異性体、共晶体、プロドラッグ、若しくは多形である。
【0067】
(I.c3)クロピドグレル又はプラスグレルとプロトンポンプ阻害剤との具体的な組み合わせ)
典型的な実施態様において、本発明は、クロピドグレル、プラスグレル及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素と、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、レミノプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、パリプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペリプラゾール、ランソプラゾール及びテナトプラゾール(ベナトプラゾール)、及びそれらの混合物から選択される治療有効量のプロトンポンプ阻害剤(「PPI」)とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のクロピドグレルと治療有効量の上記のPPIの1種以上とを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のプラスグレルと治療有効量の上記のPPIの1種以上とを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0068】
典型的な実施態様において、本発明は、クロピドグレル、プラスグレル及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素と、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、レミノプラゾール及びそれらの混合物から選択される治療有効量のPPIとを含む単一の単位剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、クロピドグレルの治療有効量並びにオメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、レミノプラゾール及びそれらの混合物から選択される治療有効量のPPIを含む単一の単位剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のプラスグレルとオメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、レミノプラゾール及びそれらの混合物から選択される治療有効量のPPIとを含む単一の単位剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0069】
典型的な実施態様において、本発明は、クロピドグレル、プラスグレル及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素と、オメプラゾール、エソメプラゾール及びそれらの混合物から選択される治療有効量のPPIとを含む単一の単位剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のクロピドグレルとオメプラゾール、エソメプラゾール及びそれらの混合物から選択される治療有効量のPPIとを含む単一の単位剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のクロピドグレルと治療有効量のオメプラゾールとを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のプラスグレルとオメプラゾールから選択される治療有効量のPPIとを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のクロピドグレルと治療有効量のエソメプラゾールとを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のプラスグレルとエソメプラゾールから選択される治療有効量のPPIとを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0070】
典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のクロピドグレルとオメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約50mgから約100mgのクロピドグレル及び約10mgから約40mgのオメプラゾールを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約50mgから約100mgのクロピドグレル及び約10mgから約40mgのエソメプラゾールを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約50mgから約100mgのクロピドグレル及び約15mgから約30mgのランソプラゾールを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約50mgから約100mgのクロピドグレル及び約10mgから約60mgのラベプラゾールを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約50mgから約100mgのクロピドグレル及び約10mgから約40mgのパントプラゾールを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形におけるクロピドグレルの量は、約65mgから約80mgである。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0071】
典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量プラスグレルとオメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約1mgから約20mgのプラスグレル及び約10mgから約40mgのオメプラゾールを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約1mgから約20mgのプラスグレル及び約10mgから約40mgのエソメプラゾールを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約1mgから約20mgのプラスグレル及び約15mgから約30mgのランソプラゾールを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約1mgから約20mgのプラスグレル及び約10mgから約60mgのラベプラゾールを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約1mgから約20mgのプラスグレル及び約10mgから約40mgのパントプラゾールを含む単一の単位経口剤形を提供する。この段落に記載の単一の単位経口剤形におけるプラスグレルの量は、約4mgから約11mgである。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0072】
一実施態様において、剤形が本明細書で提供され、ここで、抗血小板薬は、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、共晶体、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグであり、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、共晶体、プロドラッグ、若しくは多形である。
【0073】
(I.c4)抗血小板薬と特異的H2阻害剤との具体的な組み合わせ)
典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量の抗血小板薬と治療有効量のH2遮断薬とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、H2遮断薬は、シメチジンである。別の典型的な実施態様において、シメチジンは、約300mgから約800mgの量で存在する。典型的な実施態様において、H2遮断薬は、ファモチジンである。別の典型的な実施態様において、ファモチジンは、約20mgから約80mgの量で存在する。別の典型的な実施態様において、ファモチジンは、約40mgの量で存在する。典型的な実施態様において、H2遮断薬は、ニザチジンである。別の典型的な実施態様において、ニザチジンは、約150mgから約450mgの量で存在する。別の典型的な実施態様において、ニザチジンは、約300mgの量で存在する。典型的な実施態様において、H2遮断薬は、ラニチジンである。別の典型的な実施態様において、ラニチジンは、約150mgから約450mgの量で存在する。別の典型的な実施態様において、ラニチジンは、約300mgの量で存在する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0074】
(I.c5)クロピドグレル又はプラスグレルとH2遮断薬との具体的な組み合わせ)
典型的な実施態様において、本発明は、クロピドグレル、プラスグレル及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素と、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ファモチジン、ロキサチジン及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素とを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0075】
典型的な実施態様において、本発明は、クロピドグレル、プラスグレル及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素と、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ファモチジン、ロキサチジン及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のクロピドグレルと、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ファモチジン、ロキサチジン及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のプラスグレルとラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ファモチジン、ロキサチジン及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素とを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0076】
典型的な実施態様において、本発明は、クロピドグレル、プラスグレル及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素と、ラニチジン、シメチジン及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のクロピドグレルとラニチジン、シメチジン及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のプラスグレルと、ラニチジン、シメチジン及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素とを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0077】
典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のクロピドグレルと、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ファモチジン、ロキサチジン及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約50mgから約100mgのクロピドグレル及び約300mgから約800mgのシメチジンを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約50mgから約100mgのクロピドグレルと約20mgから約80mgのファモチジンとを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約50mgから約100mgのクロピドグレルと約150mgから約300mgのニザチジンとを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約50mgから約100mgのクロピドグレル及び約150mgから約300mgのラニチジンを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0078】
典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のプラスグレルと、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ファモチジン、ロキサチジン及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約1mgから約20mgのプラスグレル及び約300mgから約800mgのシメチジンを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約1mgから約20mgのプラスグレルと約20mgから約80mgのファモチジンとを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約1mgから約20mgのプラスグレル及び約150mgから約300mgのニザチジンを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、約1mgから約20mgのプラスグレル及び約150mgから約300mgのラニチジンを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0079】
(I.c6)ホスホジエステラーゼ阻害剤と酸阻害剤との具体的な組み合わせ)
典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤と治療有効量の酸阻害剤とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤と治療有効量の不可逆的プロトンポンプ阻害剤とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤と治療有効量の可逆的プロトンポンプ阻害剤とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤と治療有効量のH2遮断薬とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤と治療有効量のアルカリ化剤とを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0080】
(I.c7)アデノシン再取込み阻害剤と酸阻害剤との具体的な組み合わせ)
典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のアデノシン再取り込み阻害剤と治療有効量の不可逆的プロトンポンプ阻害剤とを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のアデノシン再取り込み阻害剤と、治療有効量の可逆的プロトンポンプ阻害剤との組み合わせを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のアデノシン再取込み阻害剤と、治療有効量のH2遮断薬との組み合わせを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のアデノシン再取り込み阻害剤と、治療有効量のアルカリ化剤との組み合わせを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0081】
(I.c8)ジピリダモールと酸阻害剤との具体的な組み合わせ)
典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のジピリダモールと、治療有効量の不可逆的プロトンポンプ阻害剤との組み合わせを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のジピリダモールと、治療有効量の可逆的プロトンポンプ阻害剤との組み合わせを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のジピリダモールと、治療有効量のH2遮断薬との組み合わせを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のジピリダモールと、治療有効量のアルカリ化剤との組み合わせを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0082】
(I.c9)ジピリダモールと特定の酸阻害剤との具体的な組み合わせ)
典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のジピリダモールと、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、レミノプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、パリプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペリプラゾール、ランソプラゾール及びテナトプラゾール(ベナトプラゾール)、及びそれらの混合物から選択される治療有効量のPPIとの組み合わせを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のジピリダモールと、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、レミノプラゾール及びそれらの混合物から選択される治療有効量のPPIとの組み合わせを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のジピリダモールと、オメプラゾール、エソメプラゾール及びそれらの混合物から選択される治療有効量のPPIとの組み合わせを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のジピリダモールと、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ファモチジン、ロキサチジン及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素との組み合わせを含む単一の単位経口剤形を提供する。典型的な実施態様において、本発明は、治療有効量のジピリダモールと、ラニチジン、シメチジン及びそれらの混合物から選択される治療有効量の構成要素との組み合わせを含む単一の単位経口剤形を提供する。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、アスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量のアスピリンをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、非アスピリンNSAIDをさらに含む。別の典型的な実施態様において、この段落に記載の単一の単位経口剤形は、治療有効量の非アスピリンNSAIDをさらに含む。
【0083】
(I.d)追加的な構成要素)
本明細書に記載されている経口剤形に追加的な構成要素を含めることができる。典型的な実施態様において、追加的な構成要素は、第三の活性成分である。別の典型的な実施態様において、経口剤形は、第三の活性成分の治療有効量をさらに含む。別の典型的な実施態様において、経口剤形は、第四の活性成分の治療有効量をさらに含まない。典型的な実施態様において、追加的な構成要素は、医薬として許容し得る賦形剤である。
【0084】
(I.d1)アスピリン又は非アスピリンNSAID)
いくつかの実施態様において、経口剤形は、抗血小板薬、酸阻害剤及びアスピリンを含む。アスピリン又はアセチルサリチル酸(アセトサル)は、(軽度の疼痛及び痛みに対する)鎮痛薬、(熱に対する)解熱薬及び抗炎症薬としてしばしば使用されるサリチル酸塩のファミリーの薬物である。それは、抗血小板薬(「血液希釈」)効果もあり、心臓発作及び癌を予防するために長期的に低用量で使用される。本明細書に記載されている経口剤形のいくつかについて記載されたアスピリンは、腸溶性コーティングされてもよいし、されなくてもよい。
【0085】
他の実施態様において、該剤形は、抗血小板薬、酸阻害剤及び非アスピリンNSAIDを含む。NSAID活性を有する好適な化合物としては、非選択的COX阻害剤、選択的COX-2阻害剤、選択的COX-1阻害剤及びCOX-LOX阻害剤、並びにそれらの医薬として許容し得る塩、異性体、鏡像異性体、溶媒和物、水和物、非晶質形を含む多形体結晶形、共晶体、誘導体、プロドラッグが挙げられるが、それらに限定されない。
【0086】
典型的な非アスピリンNSAIDとしては、それらの医薬として許容し得る塩、異性体、鏡像異性体、誘導体、プロドラッグ、結晶多形体、非晶質変態、共晶体、溶媒和物、水和物及びそれらの組み合わせを含めて、セレコキシブ(Celebrex(商標));ロフェコキシブ(Vioxx(商標))、エトリコキシブ(Arcoxia(商標))、メロキシカム(Mobic(商標))、バルデコキシブ、ジクロフェナック(Voltaren(商標)、Cataflam(商標))、エトドラック(Lodine(商標))、スリンダック(Clinori(商標))、アスピリン、アルクロフェナック、フェンクロフェナック、ジフルニサル(Dolobid(商標))、ベノリラート、ホスホサル、アセチルサリチル酸、ナトリウムアセチルサリチル酸、カルシウムアセチルサリチル酸及びサリチル酸ナトリウムを含むサリチル酸;イブプロフェン(Motrin)、ケトプロフェン、カルプロフェン、フェンブフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、スプロフェン、トリアプロフェン酸、フェノプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、フルフェナミック、メフェナミック、メクロフェナミック、ニフルミック、サルサラート、ロルメリン、フェンチアザック、チロミソール、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、アパゾン、フェプラゾン、スドキシカム、イソキシカム、テノキシカム、ピロキシカム(Feldene(商標))、インドメタシン(Indocin(商標))、ナブメトン(Relafen(商標))、ナプロキセン(Naprosyn(商標))、トルメチン、ルミラコキシブ、パレコキシブ、リコフェロン(ML3000)が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に記載されている経口剤形のいくつかについて記載された非NSAIDアスピリンは、腸溶性コーティングされてもよいし、されなくてもよい。
【0087】
一実施態様において、該剤形は、非アスピリンNSAIDを含まない。別の実施態様において、該剤形は、アスピリンを含まない。なおも別の実施態様において、該剤形は、治療有効量の第三の薬剤を含まない。
【0088】
さらなる実施態様において、該剤形は、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬を含まない。
【0089】
(I.d2)賦形剤)
本明細書に記載されている経口剤形を、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、緩衝剤、可塑剤、希釈剤、コーティング剤、例えば腸溶性コーティング剤、顔料又は着色剤、流動化剤、滑沢剤、サブコーティング材料等を含む医薬として許容し得る賦形剤を使用して従来の技術によって調製することができる。一般的な結合剤としては、デンプン、アルファ化デンプン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びPVP(例えばポビドンK29〜32)等が挙げられる。充填剤としては、ラクトース、微結晶セルロース、マンニトール及びリン酸水素カルシウム等が挙げられる。潤滑剤としては、ポリエチレングリコール(例えばPEG 6000)、ヒマシ油、水素添加ヒマシ油、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸及び滑石等が挙げられる。経口製剤の溶解及び分散を制御するための崩壊剤としては、加工デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスポビドン又はクロスカルメロースナトリウム等が挙げられる。乳化剤及び湿潤剤としては、イオン性及び非イオン性並びに天然又は合成由来の様々な界面活性剤、例えば、リン脂質、ポリソルベート、レシチン、オキシプロピレンポリマー、ポリエチレングリコール、ツウィーン、プルロニック及びラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。例として、医薬グレードの糖をオメプラゾールペレット剤又は顆粒剤の核に使用し;二塩基性リン酸ナトリウムを緩衝剤及び希釈剤として使用し;炭酸カルシウムをアルカリ材料及びサブコーティングのための打ち粉又は粉末として使用し;ラウリル硫酸ナトリウムを界面活性剤として使用し;ヒプロメロースを結合剤又はコーティング剤として使用し;メタクリル酸共重合体を腸溶性コーティング剤として使用し;フタル酸ジエチルを可塑剤として使用し;滑石を潤滑剤/滑剤として使用し;二酸化チタンを顔料又は着色剤として使用し;デンプンを崩壊剤又は核として使用し;コロイド状シリカを流動化剤又は滑剤として使用することができる。
【0090】
上記の活性体及び許容可能な賦形剤に加えて、種々の添加剤を本発明の経口剤形に含めることができる。これらの添加剤としては、医薬として許容し得る香料、甘味料、安定剤、防腐剤、抗菌剤、流動助剤、着色剤、酸化防止剤、湿潤剤、界面活性剤、乳化剤、流出阻害剤及び当業者に知られている他の賦形剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0091】
甘味料又は香料は、存在する場合は好ましくは、経口剤形の全重量に対して約0.1〜約80重量%の量で存在する。好適な甘味料又は香料は、当技術分野で周知である。典型的な甘味料としては、デキストロース、ポリデキストロース、マンニトール、サッカリン、ソルビトール、スクロース、アスパルテーム、アセスルファムK又はキシリトールが挙げられるが、それらに限定されない。
【0092】
経口剤形は、医薬として許容し得る着色剤、水溶性染料又は顔料を任意に含有する。典型的な着色剤としては、合成酸化鉄、例えばFD&Cレッド及びFD&Cブルー等が挙げられる。経口剤形は、滑石を含むが、それに限定されない医薬として許容し得る乳白剤を任意に含有する。
【0093】
(I.d3)経口剤形)
種々の経口剤形が本明細書に開示されており、当業者に理解されるであろう。代表的な製剤技術は、なかでも、各々の内容が全体として参照により本明細書に組み込まれているRemington:The Science and Practice of Pharmacy第21版、Mack Publishing Co., Easton. PA(2006)及びHandbook of Pharmaceutical Excipients第3版、Kibbe. A.H.編、Washington DC、American Pharmaceutical Association(2000)において、又はPharmaceutical Dosage Forms−Tablets、Lieberman、Herbert A.、Lachman、Leonら編、Marcel Dekker Inc.(1998)において教示されている。本発明の典型的な経口剤形としては、固形剤、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、フィルム剤及び当技術分野で公知の他の製剤を挙げることができる。経口剤形の各々は、腸溶性コーティングを任意に含むことができる。経口剤形を単一の単位又は複数単位で提供することができる。経口剤形を小包、ボトル、ブリスター、サシェ、及び他の種類の容器で提供することができ、適宜、防湿のための乾燥剤を伴うことができる。用量を測定するためのデバイスで経口剤形を提供することもできる。
【0094】
いくつかの実施態様において、経口剤形は、抗血小板薬と酸阻害剤との組合せを含む錠剤である。
【0095】
具体的な実施態様において、経口剤形は、約1mgから約1000mgの抗血小板薬を含む。別の典型的な実施態様において、経口剤形は、約5mgから100mgの抗血小板薬を含む。別の典型的な実施態様において、経口剤形は、約50〜100mgのクロピドグレル又は約1〜20mgのプラスグレルを含む。別の典型的な実施態様において、経口剤形は、カプセル又は錠剤である。
【0096】
PPI、例えばオメプラゾールの投与量は、抗血小板薬の有害な副作用を低減させるその有益な効果を提供するのに十分な、その一方で抗血小板薬の効能を低減させる潜在的な効果を最小限にするのに十分なレベルの慎重なバランスによって決定される。例えば、クロピドグレルは、約4を超えるpHにおいて、生物学的利用能及び/又は効能を低下させ得る溶解性の低下をもたらすことが公知である。本明細書に記載されているオメプラゾールの投与量、例えば40mg以上までの投与量では、オメプラゾールの作用は、クロピドグレルの生物学的利用能及び効能を実質的に低下させるほど上位胃腸管内のpHレベルを上昇させないことが判っている。10mgを超える、例えば40mg以上まで、好ましくは15から40mg、より好ましくは20から30〜40mgのPPI(オメプラゾール)の投与量は、抗血小板薬の効能に実質的な悪影響を及ぼすことなく、その有害な副作用を低減させる有益な効果を与えることが判っている。さらに、オメプラゾール又は他のプロトンポンプ阻害剤及びクロピドグレル又はプラスグレルの両方が肝臓チトクロムP450によって代謝され、このクロピドグレル又はプラスグレルの代謝は、ADP誘発血小板凝集に対する阻害効果を有する活性代謝物質の形成に必要である。高用量のオメプラゾールをクロピドグレルと同時投与すると、この代謝したがってクロピドグレル又はプラスグレルの効能を防げる可能性がある。抗血小板阻害剤の使用に伴う胃腸副作用を防止又は低減させるためのオメプラゾールの用量の選択には、その効能の低下を回避するためのこれらの要因が考慮されなければならない。
【0097】
具体的な実施態様において、経口剤形は、約1mgから1000mgの酸阻害剤を含む。別の典型的な実施態様において経口剤形は、約5mgから150mg、10mgから80mg、15mgから60mg又は20mgから40mgの酸阻害剤を含む。別の典型的な実施態様において、経口剤形は、少なくとも約10から約80mg、好ましくは約10から約40mg以上、好ましくは少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60mgを含む。好ましい範囲は、10から40mg以上、好ましくは15から35又は40;あるいは20から30mgである。オメプラゾール、エソメプラゾール又はランソプラゾールの有用な用量は、10、15、20、25、30、35又は40mgあるいはその間の量である。別の典型的な実施態様において、経口剤形は、約15〜30mgのオメプラゾール、エソメプラゾール又はランソプラゾールを含む。別の典型的な実施態様において、経口剤形は、カプセル又は錠剤である。
【0098】
具体的な実施態様において、経口剤形は、約1mgから500mgの抗血小板薬及び約1mgから約500mgの酸阻害剤を含む単一の単位経口剤形である。別の典型的な実施態様において、単一の単位経口剤形は、約5mgから100mgの抗血小板薬及び約5mgから150mgの酸阻害剤を含む。別の典型的な実施態様において、単一の単位経口剤形は、約50〜100mgのクロピドグレル又は約1〜20mgのプラスグレルを含み、先述の量のオメプラゾール、エソメプラゾール又はランソプラゾールを含む。別の典型的な実施態様において、単一の単位経口剤形は、カプセル又は錠剤である。
【0099】
具体的な実施態様において、錠剤は、微結晶セルロース、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、潤滑剤及び崩壊剤を含むが、それに限定されない賦形剤とともに造粒された約10〜80mg、好ましくは約15〜40mgのオメプラゾール及び約50〜100mgのクロピドグレル又は約1〜20mgのプラスグレルを含む。
【0100】
具体的な実施態様において、錠剤は、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム若しくはグリコール酸デンプンナトリウムなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、コロイド状シリカなどの流動助剤を含むが、それらに限定されない賦形剤とともに造粒された約50〜100mgのクロピドグレル又は約1〜20mgのプラスグレル及び約10〜20mgのファモチジン又は50〜200mgのラニチジンなどのH2遮断薬を含む。
【0101】
酸阻害剤及びNSAIDなどの他の活性体を含む組合性医薬組成物が当該技術分野で知られている(例えば、米国特許第6,926.907号;同第6,599,529号;同第6,365,184号;同第6,869,615号;同第6,184,220号;同第6.284,269号、同第6,682,747号;同第6,613,354号及び同第6,740,340号参照)。活性体及び賦形剤を圧縮して錠剤にすることができる。いくつかの実施態様において、錠剤は、1つ以上の腸溶性コーティング及び/又は腸溶性コーティングされた活性体を含むことができる。経口剤形、組み合わせ医薬及び/又は腸溶性コーティングを有する種々の錠剤製剤が当技術分野で公知である(例えば、米国特許第6,613,354号及び同第6,740,340号参照)。
【0102】
ある実施態様において、抗血小板薬とプロトンポンプ阻害剤とを含む経口単位剤形が本明細書で提供され、ここで、剤形は、非ステロイド性抗炎症薬を含まず、かつプロトンポンプ阻害剤は、(a)プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料;と(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある。
【0103】
一実施態様において、剤形は、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形体、共晶体、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグを20〜200mgの量で含む。一実施態様において、剤形は、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形体、共晶体、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグを20〜300mgの量で含む。一実施態様において、剤形は、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形体、共晶体、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグを約75mgの量で含む。一実施態様において、剤形は、硫酸水素クロピドグレルを約98mgの量で含む。
【0104】
一実施態様において、剤形は、オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、共晶体、プロドラッグ、若しくは多形体を約10〜100mgの量で含む。一実施態様において、剤形は、オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、共晶体、プロドラッグ、若しくは多形体を約10〜200mgの量で含む。一実施態様において、剤形は、オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、共晶体、プロドラッグ、若しくは多形体を約20mgの量で含む。
【0105】
一実施態様において、剤形は、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形体、共晶体、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグを20〜200mgの量で、かつオメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、共晶体、プロドラッグ、若しくは多形体を約10〜100mgの量で含む。一実施態様において、剤形は、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形体、共晶体、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグを20〜300mgの量で、かつオメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、共晶体、プロドラッグ、若しくは多形体を約10〜200mgの量で含む。一実施態様において、剤形は、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形体、共晶体、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグを約75mgの量で、かつオメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、共晶体、プロドラッグ、若しくは多形体を約20mgの量で含む。
【0106】
(顆粒剤)
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されている経口剤形における活性成分の1種以上は、顆粒剤、ペレット剤又はビーズ剤に配置及び/又は包埋される。これらの顆粒剤は、選択された割合の1種以上の活性成分を含有することができ、その質量の残りは、不活性成分からなる。これらの不活性成分の例としては、糖、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、メタクリル酸共重合体、酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒプロメロースが挙げられるが、それらに限定されない。
【0107】
顆粒剤の重量を構成する活性成分の重量%は、薬剤充填量として知られる。経口剤形における活性成分の薬物充填量は平均である。ある顆粒剤は、活性成分をほとんど又は全く含んでいなくてもよく、他の顆粒剤は、記載の百分率よりも多くの量を含んでいてもよい。物理的により小さな経口剤形が望ましい限りにおいて、薬剤充填量を増加させる必要があるであろう。より多量の薬物充填量によって、経口剤形の物理的大きさを小さくすることが可能である。
【0108】
別の典型的な実施態様において、酸阻害剤は、プロトンポンプ阻害剤であり、プロトンポンプ阻害剤は、顆粒剤の内部及び/又は顆粒剤上に存在する。さらに別の典型的な実施態様において、酸阻害剤は、プロトンポンプ阻害剤であり、プロトンポンプ阻害剤は、顆粒剤の内部及び/又は顆粒剤上に存在し、顆粒剤は、腸溶性コーティングを有する。典型的な実施態様において、本明細書に記載されている経口剤形における顆粒剤の内部及び/又は顆粒剤上の活性成分の薬物充填量は、約1%から約50%である。別の典型的な実施態様において、活性成分は、酸阻害剤であり、その薬物充填量は、約5%から約25%である。さらに別の典型的な実施態様において、酸阻害剤の薬物充填量は、約6%から約15%である。さらに別の典型的な実施態様において、酸阻害剤の薬物充填量は、約7%から約13%である。さらに別の典型的な実施態様において、酸阻害剤の薬物充填量は、約8%から約12%である。さらに別の典型的な実施態様において、酸阻害剤は、プロトンポンプ阻害剤であり、プロトンポンプ阻害剤は、顆粒剤の内部及び/又は顆粒剤上に存在し、顆粒剤の内部及び/又は顆粒剤上に存在するプロトンポンプ阻害剤の重量は、顆粒剤の全重量の約7パーセントから約13パーセントである。
【0109】
(腸溶性コーティング)
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されている経口剤形における1つ以上の活性成分を腸溶性コーティングする。他の実施態様において、本明細書に記載されている経口剤形の1つ以上の単位を腸溶性コーティングする。別の典型的な実施態様において、前記プロトンポンプ阻害剤の本質的にすべてを腸溶性コーティングする。当技術分野で周知であるように、プロトンポンプ阻害剤などのいくつかの活性成分は、酸に敏感又は不安定であり、酸性媒体中で劣化及び/又は変質しやすい。プロトンポンプ阻害剤の劣化をアルカリ性化合物との混合で安定させることができる。この抗分泌性化合物類は、また、水分、熱、有機溶媒、及びある程度では光に影響される。プロトンポンプ阻害剤の安定性に関して、経口固形剤形では、それらを酸性の胃液と接触させないようにすることが好ましい。pHがほぼ中性であり、医薬を迅速に吸収することのできる胃腸管の部分に活性物質を本来の形で移動させるのが好ましい。酸性媒体中でのプロトンポンプ阻害剤の劣化に対処する製剤が、例えば、米国特許第4,786,505号;同第5,817,338号;同第5,798,120号及び同第6,551,621号に記載されており、それらの特許に記載の製剤の各々を本発明による1つ以上の抗血小板薬を含むように改質することができる。一般に、腸溶性材料は、胃などの酸環境では不溶性であるが、小腸などのほぼ中性の環境では可溶性である。コーティングされた材料は、腸溶性特性を有するため、実質的に溶解されずに胃を通過することができ、活性体は、腸管の下位部で放出され得る。いくつかの実施態様において、腸溶性コーティングは、5から7.5のpHで溶解する。
【0110】
いくつかの実施態様において、経口剤形は、経口剤形に組み込まれる前に腸溶性コーティングされた顆粒剤を含む。いくつかの実施態様において、顆粒剤は、PPI、例えばオメプラゾールなどの酸阻害剤を含有する。いくつかの実施態様において、酸阻害剤は腸溶性コーティングされ、抗血小板薬は腸溶性コーティングされない。他の実施態様において、抗血小板薬は腸溶性コーティングされ、酸阻害剤は腸溶性コーティングされない。他の実施態様において、腸溶性コーティングは、酸阻害剤及び抗血小板薬の両方、並びに経口剤形の任意の他の構成要素を被覆する。他の実施態様において、第一の腸溶性コーティングが酸阻害剤を被覆し、第二の腸溶性コーティングが抗血小板薬を被覆する。いくつかの実施態様において、抗血小板薬は、腸溶性コーティングされた多粒子単位の形をとり、酸阻害剤は、顆粒、あるいは腸溶性コーティング層状単位又は放出制御層が積層された単位などの放出改質処方単位の形をとる。別の実施態様において、酸阻害剤は、腸溶性コーティングされた多粒子単位の形をとり、抗血小板薬は、顆粒、あるいは腸溶性コーティング層状単位又は放出制御層が積層された単位などの放出改質処方単位の形をとる。多粒子単位の例は、ペレット剤、顆粒剤又はビーズ剤である。
【0111】
種々の腸溶性材料が、当技術分野で公知であり、そのいくつかが市販されている。本発明に使用される典型的な腸溶性コーティングは、当業者に公知の任意の腸溶性材料であり得る(例えば、米国特許第6,855,702号及び同第6,605,300号参照)。腸溶性材料は、腸溶性特性を有するポリマーを通常含む。好適な非限定例としては、メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸/アクリル酸メチル/メタクリル酸メチル共重合体などのメタクリル酸共重合体、シェラック、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸-コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トリメリット酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸-フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタルビニル又はこれらの化合物の混合物あるいは他の好適な腸溶性材料が挙げられる。
【0112】
いくつかの実施態様において、標準的なコーティング技術を用いて腸溶性コーティング層を塗布する。噴霧又は成層などの当技術分野で公知の種々の方法を用いて腸溶性コーティングを塗布する(例えば、米国特許第4,287,221号及び同第6,605,300参照)。腸溶性コーティングの厚さは、コーティング材料の性質及び経口剤形成分の放出の所望の遅れ時間又は遅延に基づいて設計される。好適なコーティング技術を用いて、腸溶性コーティングを経口剤形又はコーティングの外面に塗布することができる。腸溶性コーティング層材料を水に又はコーティングに好適な有機溶媒に分散又は溶解させることができる。
【0113】
いくつかの実施態様において、腸溶性コーティングは、腸溶性コーティング層の可撓性などの所望の機械特性を得るための有効量の医薬として許容し得る可塑剤を含有する。該可塑剤は、例えば、限定することなく、トリアセチン、クエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸ジブチル、セチルアルコール、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、ポリソルベート又は他の可塑剤である。可塑剤の量は、特定の状況に応じて最適化される。可塑剤の量は、好ましくは、腸溶性コーティングポリマーの10重量%を超え、好ましくは15〜50重量%、より好ましくは20〜50重量%である。分散剤、着色剤、顔料、粘着防止剤などの添加剤を腸溶性コーティング層に含めることができる。他の構成要素を添加して、膜厚又は不透明性を高め、酸性の胃液の剤形への拡散を低下させることができる。
【0114】
上記のように、PPIは酸に敏感である。一定の実施態様において、メタクリル酸共重合体などの腸溶性コーティング材料は、PPIの劣化を引き起こすのに十分に酸性である。これを回避するために、例えば、ヒプロメロースで構成されたサブコーティング又は中間バリアー及び/又は米国特許第4,738,974号に開示されているような炭酸カルシウム若しくは二塩基性リン酸ナトリウムなどの塩基性緩衝又はアルカリ性試薬をPPIに使用することができる。
【0115】
当業者に理解されるように、腸溶性コーティングされた経口剤形にオーバーコーティングを例えば保護層及び香料等として塗布することができる。好適なオーバーコーティング材料としては、糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられるが、それらに限定されない。可塑剤、着色剤、顔料、充填剤、粘着防止剤及び耐電防止剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン、滑石及び他の添加剤などの添加剤をオーバーコーティング層に含めることもできる。
【0116】
本明細書に提示されている腸溶性コーティングされた経口剤形からいくつかの利点が導かれる。例えば、腸溶性コーティングは、活性体、例えばプロトンポンプ阻害剤を胃内での酸劣化から保護する。加えて、経口剤形の個々の活性成分に腸溶性コーティングする必要がないため、製造コストを有意に引き下げ、生産性を向上させることができる。また、プロトンポンプ阻害剤の個々の単位に腸溶性コーティングを行い、保護腸溶性コーティングの保全性を損なわないように、腸溶性コーティングされたプロトンポンプ阻害剤を他の成分と処方する必要がない。よって、胃腸の副作用を最小限に抑えながら、腸溶性コーティングされた剤形で抗血小板薬又はアスピリンを送達することができる。
【0117】
一実施態様において、腸溶性コーティング製剤は、コア材料と外側の腸溶性コーティングとを含む。さらなる実施態様において、腸溶性コーティング製剤は、1つの中間バリアーによって分離されたコア材料と外側の腸溶性コーティングとを含む。
【0118】
一実施態様において、コア材料は、プロトンポンプ阻害剤と、アルカリ材料と、結合剤とを含む層でコーティングされた不活性核を含む。一実施態様において、アルカリ材料は、水酸化ナトリウムであり、結合剤は、HPMC E-5などのヒプロメロースである(R. Rowe, P. Sheskey, S. Owenの文献(「医薬賦形剤のハンドブック第5版(Handbook of Pharmaceutical Excipients, Fifth Edition)」, Pharmaceutical Press, 2006, p. 346-349)参照)。
【0119】
一実施態様において、中間バリアーは結合剤を含む。一実施態様において、結合剤は、HPMC E-5などのヒプロメロースである。
【0120】
一実施態様において、外側の腸溶性コーティングは、腸溶性材料、可塑剤、及び界面活性剤を含む。一実施態様において、腸溶性材料は、Eudragit L30D55などのポリ(メタクリル酸、エチルアクリラート)の1:1共重合体である(R. Rowe, P. Sheskey, S. Owenの文献(「医薬賦形剤のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Excipients, Fifth Edition)」, Pharmaceutical Press, 2006, p. 553-560)参照)。別の実施態様において、可塑剤は、フタル酸ジエチルである。さらなる実施態様において、界面活性剤はポリソルベート80である(R. Rowe, P. Sheskey, S. Owenの文献(「医薬賦形剤のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Excipients, Fifth Edition)」, Pharmaceutical Press, 2006, p. 580-584)参照)。
【0121】
(カプセル剤)
典型的な実施態様において、本明細書に記載されている経口剤形を経口投与可能なカプセル剤、例えば硬質若しくは軟質ゼラチンカプセル剤、又は当技術分野で公知のHPMCカプセル剤などの他のカプセル化剤形として提供することができる。カプセル壁は、例として限定することなく、ゼラチン、カラゲニン、多糖類(例えば、寒天、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ペクチン、デンプン等又はそれらの混合物)を含む、製薬業界で従来使用されている種々の材料のいずれかを含むことができる。好適な硬質ゼラチンカプセル剤は、Capsugelによって供給される。好適なHPMCカプセル剤は、Shinogiによって供給される。
【0122】
経口投与可能なカプセル剤は、1つ以上の活性成分の基体、懸濁液、又は水溶液を含むことができる。例えば、室温まで冷却されるとカプセル内で凝固する蝋状の及び/又は脂質ベースの製剤において活性成分の粉末、加温溶液又は懸濁液を硬質ゼラチンカプセルに充填することができる。油及び/又は脂質及び/又はPEG若しくはプロピレングリコールなどの溶媒において軟質ゲルカプセルに抗血小板薬及び酸阻害剤の溶液若しくは懸濁液を充填することができる。
【0123】
抗血小板薬及び酸阻害剤を乾燥混合し、カプセルに充填することができる。カプセルは、望ましい場合、形状及び柔軟性を付与するためのグリセリン、トリアセチン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、クエン酸塩、及びフタル酸塩などの可塑剤を含むことができる。
【0124】
いくつかの実施態様において、経口投与可能なカプセル剤は、腸溶性コーティングを含む。いくつかの実施態様において、活性体又は顆粒などの活性体含有基体は、カプセルに充填される前に腸溶性コーティングされる。いくつかの実施態様において、酸阻害剤は、腸溶性コーティングされた多粒子単位の形をとり、抗血小板薬は、顆粒の形、あるいは腸溶性コーティング層状単位又は放出制御層が積層された単位などの放出改質処方単位の形をとる。
【0125】
具体的な実施態様において、カプセル剤は、約10〜80mg、好ましくは約15〜30mgのオメプラゾール、エソメプラゾール又はランソプラゾール及び約50〜100mgのクロピドグレル又は1〜20mgのプラスグレルを含み、アクリル共重合体又は酢酸フタル酸セルロースを含むが、それらに限定されないフィルム形成ポリマー及び可塑剤がカプセル剤にコーティングされる。
【0126】
具体的な実施態様において、カプセル剤は、約10〜80mgのオメプラゾール、エソメプラゾール又はランソプラゾール及び約50〜100mgのクロピドグレル又は1〜20mgのプラスグレルを、大豆油、オリーブ油、トウモロコシ油、又はGelucires(商標)などの脂質由来の賦形剤を含むが、それらに限定されない油系マトリックス中に含む。
【0127】
一実施態様において、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形体、共晶体、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグ、及びオメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、共晶体、プロドラッグ、若しくは多形体は、カプセル内に配備される。
【0128】
(従来の錠剤)
本明細書に記載されている経口剤形は、従来の圧縮錠剤の形であってもよい(「レミントンの医薬の科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」. Mack Publishing参照)。典型的な実施態様において、抗血小板薬と酸阻害剤を互いに均質に混合し、従来の錠剤に圧縮することができる。
【0129】
錠剤化剤形は、腸溶性コーティング酸阻害剤を含むことができ、抗血小板薬は、圧縮錠剤の活性成分の残りを構成する。好ましくは、腸溶性コーティング酸阻害剤は、活性体の錠剤への圧縮がその耐酸性に有意に影響しないような特性を有する(例えば、米国特許第6,613,354号参照)。これにより、カプセルに必要とされる濃度より高いコーティング中可塑剤濃度が必要とされ、圧縮性のために他の錠剤化賦形剤の巧妙な選択が必要とされる。
【0130】
あるいは、抗血小板薬と酸阻害剤を互いに均質に混合し、従来の錠剤に圧縮し、錠剤全体に腸溶性コーティングすることができる(例えば、米国特許第6,926,907号参照)。この構成において、錠剤は、適切な賦形剤、及び所望により溶解を促進させるための薬剤、潤滑剤、充填剤等とともに必要な投与量の酸阻害剤及び抗血小板薬を含有する。ここで、錠剤全体が腸溶性コーティングされて、PPIを保護することができる。
【0131】
(多層錠剤)
別の好適な剤形は、多層錠剤である(例えば、米国特許第6,926,907号及び同第6,132,768号参照)。多層錠剤において、第一の構成要素を1つの層に圧縮し、第二の構成要素を多層錠剤の第二の層として順次追加することができる。所望により、1つ以上のサブコーティング又はバリアーコーティングを、第二の層の前、又は腸溶性コーティングを追加する前に追加することができる(例えば、米国特許第6,926,907号参照)。
【0132】
具体的な実施態様において、多層錠剤は、適切な賦形剤、溶解を促進させるための薬剤、潤滑剤、充填剤等と所望により組み合わせた酸阻害剤、好ましくはオメプラゾールを含有する1つの部分を含む。錠剤の第2の部分は、他の賦形剤、溶解剤、潤滑剤、充填剤等と所望により組み合わせた抗血小板薬、好ましくはクロピドグレル又はプラスグレルを含む。いくつかの実施態様において、酸阻害剤に腸溶性コーティングすることができる。あるいは、多層錠剤の層、又は錠剤全体に腸溶性コーティングすることができる。
【0133】
いくつかの実施態様において、多層錠剤は、錠剤のコアに抗血小板薬を含み、酸阻害剤がそのコアを被覆する。いくつかの実施態様において、クロピドグレル又はプラスグレルは、錠剤のコアに存在し、酸阻害剤がそのコアを被覆する。いくつかの実施態様において、酸阻害剤は、腸溶性コーティング顆粒剤であり得る。あるいは、いくつかの実施態様において、多層錠剤は、錠剤のコアに抗血小板薬を含み、酸阻害剤がそのコアを被覆し、錠剤全体が腸溶性コーティングされる。腸溶性コーティング錠剤の例については、例えば、米国特許第6,926,907号を参照されたい。いくつかの実施態様において、クロピドグレル又はプラスグレルは、錠剤のコアに存在し、オメプラゾールがそのコアを被覆し、錠剤全体が腸溶性コーティングされる。
【0134】
あるいは、多層錠剤は、酸阻害剤を錠剤の核に含み、抗血小板薬がそのコアを被覆する。いくつかの実施態様において、クロピドグレル又はプラスグレルは、錠剤のコアを被覆する。いくつかの実施態様において、多層錠剤は、腸溶性コーティング酸阻害剤を錠剤のコアに含み、抗血小板薬がそのコアを被覆する。いくつかの実施態様において、腸溶性コーティング酸阻害剤は、オメプラゾールである。あるいは、いくつかの実施態様において、多層錠剤は、錠剤のコアに酸阻害剤を含み、腸溶性コーティングがそのコアを被覆し、抗血小板薬が腸溶性コーティングを被覆する。あるいは、いくつかの実施態様において、多層錠剤は、酸阻害剤を錠剤のコアに含み、抗血小板薬がそのコアを被覆し、錠剤全体が腸溶性コーティングされる。
【0135】
(放出制御)
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されている経口剤形は、1つ以上の放出制御薬を使用して1つ以上の活性体を放出制御する。様々な放出制御医薬組成物が、当技術分野で公知である(例えば、米国特許第6,861,072号;同第6,599,539号及び同第6,905,708号参照)。「放出制御」という用語は、予め選択された速度又は所望の速度における活性体の放出を指すことを意図する。この速度は、用途に応じて異なる。望ましい速度は、高速放出特性又は即時放出特性並びに遅延放出、持続放出又は順次放出を含む。初期放出の後に活性体のより低量の持続放出が続くといったような放出パターンの組み合わせが具体的に企図される。
【0136】
酸阻害剤に腸溶性コーティングし、抗血小板薬を長時間放出させる製剤を与えるポリマーマトリックスなどのポリマーの膨潤又は浸食マトリックスに抗血小板薬を含めるさらなる別法が例示されている(例えば、米国特許第6,613,354号参照)。典型的な実施態様において、ゲル化マトリックスにおける抗血小板薬は、クロピドグレル又はプラスグレルである。別の典型的な実施態様において、ゲル化マトリックスにおける抗血小板薬は、クロピドグレル又はプラスグレルであり、酸阻害剤は、オメプラゾール、エソメプラゾール又はランソプラゾールである。
【0137】
(発泡剤)
さらに、活性成分を発泡性剤形に含めることができる(例えば、米国特許第6,964,978号参照)。1つ以上の発泡剤を崩壊剤として、及び/又は本発明の組成物の官能特性を向上させるために使用することができる。1つ以上の発泡剤は、剤形の崩壊を促進するために本発明の組成物に存在する場合、好ましくは、組成物に対して約30重量%から約75重量%、好ましくは約45重量%から約70重量%、例えば約60重量%の総量で存在する。
【0138】
いくつかの実施態様において、剤形の崩壊を促進するのに有効な量より小さい量で剤形に存在する発泡剤は、水性媒体における活性体の分散を向上させる。理論に縛られることなく、発泡剤は、胃腸管において剤形からの活性体の分散を加速させることによって、吸収及び治療効果の迅速な立ち上がりをさらに増強させるのに効果的であり得る。発泡剤は、崩壊を増強させるのでなく、胃腸内分散を促進させるために本発明の剤形に存在する場合に、組成物に対して好ましくは約1重量%から約20重量%、より好ましくは約2.5重量%から約15重量%、さらにより好ましくは約5重量%から約10重量%の量で存在する。
【0139】
発泡剤は、一緒に又は個々に作用して、水と接触すると気体を発生する1つ以上の化合物を含む薬剤である。発生する気体は、一般には酸素又は二酸化炭素である。好ましい発泡剤は、水の存在下で反応して、二酸化炭素ガスを発生する酸及び塩基を含む。好ましくは、塩基は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩又は重炭酸塩を含み、酸は、脂肪族カルボン酸を含む。
【0140】
本発明に有用な発泡剤の構成要素としての好適な塩基の非限定例としては、炭酸塩(例えば炭酸カルシウム)、重炭酸塩(例えば重炭酸ナトリウム)、セスキ炭酸塩及びそれらの混合物が挙げられる。
【0141】
本発明に有用な発泡剤の構成要素としての好適な酸の非限定例としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、該酸の酸無水物、該酸の酸塩及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0142】
具体的な実施態様において、発泡投与物は、約50〜100mgのクロピドグレル又は約1〜20mgのプラスグレル及び約10〜80mg、好ましくは約15〜40mgの腸溶性コーティングされたオメプラゾール、エソメプラゾール又はランソプラゾール顆粒剤を含む。発泡化合物としては、重炭酸ナトリウム及びクエン酸が挙げられるが、それらに限定されない。錠剤の他の構成要素は、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムが挙げられるが、それらに限定されない。
【0143】
(経口投与可能錠剤)
経口投与可能錠剤を単一の単位若しくは多単位経口剤形として、又は多単位経口剤形の一部として使用することができる。典型的な実施態様において、単一の単位経口投与可能錠剤は、抗血小板薬及び酸阻害剤を含むことができる(例えば、米国特許第6,723,348号;同第6,692,771号;同第6,365,182号;同第6,221,392号;同第6,899,899号;及び同第7,008,640号参照)。いくつかの実施態様において、経口投与可能錠剤は、抗血小板薬、酸阻害剤及びゲル形成水溶性ポリマーを含む。さらなる医薬として許容し得る賦形剤としては、活性体の溶解又は吸収を向上させるための重炭酸ナトリウムなどの界面活性剤が挙げられるが、それらに限定されない。具体的な実施態様において、経口投与可能錠剤は、約50〜100mgのクロピドグレル又は約1〜20mgのプラスグレル及び約10〜80mg、好ましくは約15〜30mgの腸溶性コーティングされたオメプラゾール顆粒剤を含む。
【0144】
(咀嚼錠)
典型的な実施態様において、本明細書に記載されている経口剤形は、咀嚼錠であり得る。咀嚼錠は、製剤にマンニトールなどの多量の香味物質を通常含有し、当技術分野で知られている(例えば、米国特許第7,014,862号及び同第7,008,640号参照)。具体的な実施態様において、咀嚼錠は、約50〜100mgのクロピドグレル又は約1〜20mgのプラスグレル及び約10〜80mg、好ましくは約15〜30mgの酸阻害剤を含む。
【0145】
(経口投与可能フィルム剤)
典型的な実施態様において、本明細書に記載されている経口剤形は、経口投与可能フィルム剤の形をとることができる。フィルム剤中の活性成分の量は、フィルム剤の種類、厚さ及びフィルム剤の表面積に依存することが具体的に考えられる。
【0146】
本明細書に記載されている経口投与可能フィルム剤は、単一フィルム層又は多フィルム層を含むことができると考えられる。例えば、第一の活性体並びに第一のフィルムに積層できる第二の活性体を含む第二のフィルムを含む経口投与可能フィルム剤を形成することが望ましい。フィルムの1つ以上が、改質した放出特性を製剤に付与することができる。
【0147】
いくつかの実施態様において、経口投与可能フィルム剤は、抗血小板薬及びプロトンポンプ阻害剤を含む。他の実施態様において、経口投与可能フィルム剤は、抗血小板薬及びH2遮断薬を含む。さらに他の実施態様において、経口投与可能フィルム剤は、抗血小板薬及び可逆的プロトンポンプ阻害剤を含む。
【0148】
経口投与可能フィルム剤及び該フィルム剤の製造方法は、当技術分野で周知である。例えば、米国特許第4,136,145号;同第4,713,243号;同第5,166,233号;同第5,700,478号;同第5,800,832号、同第5,948,430号;同第6,419,903号;同第6,177,096号;同第6,284,264号;同第6,596,298号;同第6,656,493号;同第6,709,671号;同第6,824,829号;同第6,923,981号並びに米国特許出願公開第US2001/0046511号;同第US2001/0022964号;同第US2002/0131990号;同第US2003/0107149号;同第US2004/0151756号;同第US2004/0241242号;同第US2004/0247649号;同第US2004/0258896号;同第US2005/0184427号;同第US2005/0196358号;同第US 2005/0075432号及び同第US2005/0037055号を参照されたい。
【0149】
経口投与可能フィルム剤を例えば米国特許第6,709,671号に記載されているように調製することができる。ポリアルコール、界面活性剤、可塑剤、及び水溶性又は水分散性ポリマーを除く考えられ得る他の成分を、それらと適合性を有する十分量の溶媒に溶解させる。適合性を有する溶媒の例としては、水、アルコール又はそれらの混合物が挙げられる。透明な溶液が形成された後に、水分散性ポリマー又は水分散性ポリマーの混合物を撹拌しながらゆっくりと添加し、透明かつ均一の溶液が形成されるまで必要に応じて加熱した後に、活性体及び香料を添加する。溶液を好適な担体材料にコーティングし、乾燥させて、フィルムを形成する。
【0150】
いくつかの実施態様において、経口投与可能フィルム剤を米国特許出願第2005/0184427号に記載されているように調製することができる。手短に述べると、所望の構成要素を組み合わせて、ポリマー、水及び活性体又は要望に応じて他の構成要素を含む多成分マトリックスを形成し、該組み合わせを多成分マトリックスの押し出し成形、コーティング、延展、鋳造又は延伸などの当技術分野で公知の任意の方法によってシート又はフィルムに成形する。多層フィルムが望まれる場合は、同一又は異なる組成の構成要素の2つ以上の組み合わせを同時押し出し成形することによって形成することができる。既に形成されたフィルム層に構成要素の組み合わせをコーティング、延展又は鋳造することによって多層フィルムを形成することができる。
【0151】
上記のように、所望の活性体をフィルム形成溶液と混合して、所望の経口投与可能フィルム剤を形成することができる。活性体をともに不溶性固体粒子の形で及び/又は可溶性活性体としてフィルム形成溶液に均一に分散させることができる。いくつかの実施態様において、抗血小板薬及び腸溶性コーティングプロトンポンプ阻害剤顆粒剤をフィルム形成溶液に添加する。他の実施態様において、クロピドグレル粉末又はプラスグレル粉末及び腸溶性コーティングされたオメプラゾール顆粒、エソメプラゾール顆粒又はランソプラゾール顆粒をフィルム形成溶液に添加する。
【0152】
いくつかの実施態様において、抗血小板薬を腸溶性コーティングプロトンポンプ阻害剤顆粒剤とともに顆粒剤の形でフィルム形成ポリマー溶液に添加することができる。いくつかの実施態様において、クロピドグレル又はプラスグレルを、腸溶性コーティングされたオメプラゾール顆粒、エソメプラゾール顆粒又はランソプラゾール顆粒とともに顆粒剤の形でフィルム形成ポリマー溶液に添加することができる。
【0153】
いくつかの実施態様において、抗血小板薬及び/又は酸阻害剤を、フィルムがコーティングされた固体粒子でなく、溶液又は懸濁液のような液体の形でフィルム形成混合物に組み込むことができる。これは、腸溶性コーティングを必要としない可逆的プロトンポンプ阻害剤などの酸阻害剤に特に有用である。
【0154】
経口投与可能フィルム剤は、一般的には、1つ以上のポリマー並びに要望に応じて充填剤を含む。フィルム形成ポリマーは、当技術分野で周知である。例えば、米国特許出願第11/092217号を参照されたい。一般に、ポリマーは、水溶性、水不溶性、水膨潤性又はそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施態様において、ポリマーは、セルロース又はセルロース誘導体を含むことができる。水溶性ポリマーの好適な非限定例としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸プルランナトリウム、ポリエチレングリコール、アカシアゴム、アラビアゴム、キサンタンゴム、トラガカントゴム、グアーゴム、ポリアクリル酸、メチルメタクリラート共重合体、カルボキシビニル共重合体、デンプン及びそれらの組み合わせが挙げられる。水不溶性ポリマーの好適な非限定例としては、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタラートエチルセルロース、フタラート及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0155】
また、1つ以上の腸溶性コーティング医薬剤を有する経口投与可能フィルム剤も本明細書に提示される。腸溶性コーティング医薬剤及び該薬剤の製造方法は、当技術分野で周知であり;例えば、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれている以下の参考文献:米国特許第4,786,505号;同第6,013,281号;同第6,365,184号;同第6,296,876号;同第6,780,435号;及び同第6,926,907号を参照されたい。いくつかの実施態様において、経口投与可能フィルム剤は、抗血小板薬及び酸阻害剤を含む。典型的な実施態様において、酸阻害剤は、腸溶性コーティングされる。いくつかの実施態様において、酸阻害剤を基体の表面にコーティングし、腸溶性コーティングを上塗りすることができる。
【0156】
経口投与可能フィルム剤における腸溶性コーティング活性体の濃度は、口の中のざらつきのような不快な感触を生じさせることなく治療便益に好適なものである必要がある。経口投与可能フィルム剤における腸溶性コーティング活性体の量は、活性体の種類に依存し、通常は約0.01から約20%、さらには30%(w/w)程度であり、所望の効果を達成するために必要に応じてより多くなり得る。
【0157】
いくつかの実施態様において、経口投与可能フィルム剤は、抗血小板薬及び酸阻害剤を含み、活性体の1つ以上が、微粒子の基体の表面にコーティングされる。いくつかの実施態様において、経口投与可能フィルム剤は、抗血小板薬及び酸阻害剤を含み、活性体の1つ以上が微粒子の基体の表面にコーティングされ、酸阻害剤は、腸溶性コーティングされない。腸溶性コーティングを必要としない酸阻害剤、例えば可逆的プロトンポンプ阻害剤又はH2遮断薬にこの実施態様を使用することができる。具体的な実施態様において、経口投与可能フィルム剤は、抗血小板薬及び可逆的プロトンポンプ阻害剤を含み、可逆的プロトンポンプ阻害剤は、微粒子の基体の表面にコーティングされ、可逆的プロトンポンプ阻害剤は、腸溶性コーティングされない。
【0158】
別の実施態様において、経口投与可能フィルム剤は、抗血小板薬と酸阻害剤との組合せを含み、酸阻害剤は、腸溶性コーティングされる。腸溶性コーティングできるプロトンポンプ阻害剤の好適な非限定例としては、オメプラゾール(Prilosec(商標))、エソメプラゾール(Nexium(商標))、ランソプラゾール(Prevacid(商標))、レミノプラゾール、ラベプラゾール(Aciphex(商標))及びパントプラゾレム(Protonix(商標))並びにそれらの医薬として許容し得る塩、多形体結晶形、異性体、非晶質変態、共晶体、誘導体、プロドラッグ、鏡像異性体及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0159】
具体的な実施態様において、経口投与可能フィルム剤は、クロピドグレル又はプラスグレルと、腸溶性コーティングされたオメプラゾール、エソメプラゾール又はランソプラゾールとを含む。
【0160】
いくつかの実施態様において、経口投与可能フィルム剤は、1つ以上の放出制御薬を使用して1つ以上の活性体を放出制御する。経口投与可能フィルム剤におけるポリマーを1つ以上の医薬成分の放出制御のための薬剤に選択することができる。いくつかの実施態様において、フィルムから経時的に放出される1つ以上の医薬成分を組み込む実質的に水不溶性のフィルムを設けることによって、放出制御を達成することができる。いくつかの実施態様において、種々の異なる水溶性又は水不溶性ポリマーを使用することができ、該ポリマーは、生分解性ポリマーの組み合わせを所望により含むことができる。
【0161】
いくつかの実施態様において、本発明に採用される1つ以上の活性成分を制御放出の形でフィルム剤に組み込むことができる。例えば、活性成分にエチルセルロース又はポリメタクリラートなどのポリマーをコーティングすることができる。
【0162】
本発明のフィルム剤に組み込むことができる追加的な構成要素としては、限定することなく、着色剤、香料、芳香剤、洗口剤構成要素、防腐剤、甘味料、ビタミン、酸化防止剤及びそれらの組み合わせが挙げられる。追加的な構成要素としては、限定することなく、混合物内の構成要素を隔離するための界面活性剤及び可塑剤;ポリアルコール;並びに構成要素の分散の維持に役立つことができるペクチン、カラゲナン(carageenin)及びゼラチンなどの熱硬化性ゲルが挙げられる。クエン酸又は他の好適な薬剤を添加して、唾液生成を刺激し、口腔におけるフィルムの迅速な溶解を促進し、及び/又は腸溶性コーティングされたプロトンポンプ阻害剤のための酸性環境を提供することができる。
【0163】
いくつかの実施態様において、溶解フィルムを口腔に接着させることによって、経口剤形の活性成分、例えば抗血小板薬及び酸阻害剤を放出することができる。いくつかの実施態様において、溶解フィルムを口腔に接着することによって、口腔において活性成分の一部を局部的に放出することができる。例えば、本発明は、抗血小板薬と腸溶性コーティングプロトンポンプ阻害剤とを含む溶解フィルムであって、抗血小板薬が口腔内に放出され、腸溶性コーティングプロトンポンプ阻害剤が口腔内で不溶性を維持し、そのまま嚥下される溶解フィルムを提供する。
【0164】
任意に、経口投与可能フィルム製剤は、可塑剤、界面活性剤、着色剤、甘味料、香料、香味向上剤及び/又は口腔への適用を目的とした製剤の味を改質するのに広く使用される他の賦形剤の組み合わせを含有することができる。
【0165】
本明細書に提示されている経口投与可能フィルム剤は、広範な量の活性成分を収容することができる。当業者に理解されるように、フィルム剤に組み込まれる活性体の量は、一部に、フィルム剤の種類、ポリマー、表面積、及びフィルム剤の厚さに依存する。いくつかの実施態様において、フィルム剤に対する活性体の量は、約0.01から約50%(w/w)であるが、所望の効果を達成するために必要に応じてより多い量であり得る。
【0166】
(個別単位における活性成分)
いくつかの実施態様において、本発明は、抗血小板薬の治療有効量の単位及び酸阻害剤の治療有効量の個別単位を含む包装物を含む。いくつかの実施態様において、1つ以上の抗血小板薬及び酸阻害剤が同時投与のために同一の経口剤形又は包装若しくは容器において個別単位で提供される包装で経口剤形を提供することができる。好適には、抗血小板薬及び抗酸化剤の各々に対する単位は、錠剤、カプセル剤、フィルム剤、散剤、顆粒剤、液剤、固形剤、懸濁剤又は他の許容し得る経口剤形であり得る。例えば、該単位の1つは、酸阻害剤を含有せずに抗血小板薬を含有することができ、包装における該単位の別の単位は、抗血小板薬を含有せずに酸阻害剤を含有することができる。具体例において、重硫酸クロピドグレル又はプラスグレルの錠剤、及び腸溶性コーティングされたオメプラゾール、エソメプラゾール又はランソプラゾール顆粒のカプセルを同時投与のために同一のブリスターパックに入れることができる。これらの組み合わせを、例えば、種々の構成要素の2つ以上の剤形が同時投与のために同一の調剤単位で提供される一緒に収縮包装されたキット、ブリスターパック、小束又はボトルなどの包装で提供することができる。
【0167】
いくつかの実施態様において、ブリスターパックの1つ以上のシートが1つ以上の抗血小板薬の剤形を含み、ブリスターパックの1つ以上のシートが酸阻害剤の剤形を含むキットが提供される。いくつかの実施態様において、該キットは、ブリスターパックの複数のシートを含み、各シートは、1つ以上の抗血小板薬の剤形を含む少なくとも1つのブリスターパック及び酸阻害剤の剤形を含む少なくとも1つのブリスターパックを含む。抗血小板薬及び酸阻害剤の各々に対する剤形は、錠剤、カプセル剤、フィルム剤、散剤、顆粒剤、液剤、固形剤、懸濁剤及び別の許容し得る経口剤形からなる群から選択される。
【0168】
経口剤形を密封された気密包装材及び耐湿性包装材で包装して、活性体を環境への曝露、並びに環境との相互作用に起因する酸化、加水分解、揮発から保護することができる。包装された経口剤形は、意図する治療に応じて典型的に処方された医薬の充填供給物を含有することができる。特定の治療に応じた規定の投薬又は治療、例えば3〜90日の供給に従って一連の単位投与物を一緒に包装することができる。
【0169】
本明細書に提示されている経口剤形からいくつかの利点が導かれる。例えば、経口投与可能錠剤、咀嚼性錠剤及び経口フィルムストリップ製剤を、水を使用せずに投与することができる。水を必要としないこれらの薬物投与方法は、また、移動社会に特に好適である。本明細書に提示されている経口剤形は、小児、高齢者などの医薬を嚥下するのが困難な対象にとって、かつ獣医用途において特に魅力的である。例えば、舌下剤形からの吸収は一般に速く、最初の通過代謝を回避するので、錠剤及びフィルム剤を含む舌下部に配置される剤形は、腸溶性コーティングされていない酸阻害剤に好適である。
【0170】
加えて、本明細書に提示されている経口剤形は、正確な投与量を与える。例えば、経口フィルムストリップ製剤において、フィルム剤のサイズ及び本来のポリマー/水又はポリマー/溶媒の組み合わせにおける活性体の濃度によって投与量を決定することができる。
【0171】
(経口剤形の日用量)
本明細書に提示されている経口剤形は、治療有効量の抗血小板薬及び酸阻害剤を含むことができる。他の医薬品と同様に、本発明の医薬組成物の全日用量は、患者の担当医によって決定されることが理解されるであろう。特定の患者に対する具体的な治療有効投与量は、治療される傷害及び障害の重症度;採用される具体的な化合物の活性;採用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、総合的健康状態、性別及び食事;採用される具体的な化合物の投与時間、投与経路及び排泄速度;治療の持続時間;採用される具体的な化合物と併用又は同時投与される薬物;並びに医薬技術分野の当業者に公知の他の要因を含む種々の要因に依存するであろう。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要な量より少ない量で化合物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは、十分に当業者の技量に含まれる。
【0172】
当業者は、経口剤形における活性成分の量を調整し、あるいは当技術分野で周知の標準的な技術に基づいて患者に投与することができる。剤形は、抗血小板薬及び酸阻害剤についての従来の投与量までの投与量及びそれを超える投与量で投与することができる。抗血小板薬及び酸阻害剤投与についての包括的な指針が当技術分野で公知である。
【0173】
好適な投与量は、一部に、選択される活性体の効果及び治療される状態に依存する。一般に、対象に投与される活性体の日治療有効量は、典型的には体重1kg当たり約0.1から約100mgの範囲である。活性体の日治療有効量を達成するために、経口剤形を一日当たり1回、2回、3回又は4回以上投与することができる。
【0174】
2つ以上の活性体及び任意に追加的な活性成分及び/又は医薬として許容し得る賦形剤を単一の単位経口剤形に組み込むと、患者の服薬遵守が向上することになる。例えば、患者が複数の薬剤を1日に1回又は数回服用しなければならない場合は、患者の服薬遵守が低下し、治療の失敗に至る。患者の服薬遵守の向上は、薬物を毎日数回投与しなければならない場合に、より重要になり得る。
【0175】
いくつかの実施態様において、各剤形は、約0.1〜200mgの酸阻害剤及び約0.1〜1000mgの抗血小板薬を含むことになる。好ましくは、各剤形は、約10〜80mgの酸阻害剤及び約5〜500mgの抗血小板薬、より好ましくは約10〜40mgの酸阻害剤及び約50〜100mgの抗血小板薬をそれぞれ含むことになる。
【0176】
具体的な実施態様において、経口剤形は、クロピドグレルを含む。いくつかの実施態様において、剤形は、約20〜200mgのクロピドグレルを含むことになる。好ましくは、剤形は、約40〜100mgのクロピドグレル、より好ましくは約25、50又は75mgのクロピドグレルを含むことになる。
【0177】
具体的な実施態様において、経口剤形は、プラスグレルを含む。いくつかの実施態様において、剤形は、約1〜20mgのプラスグレルを含むことになる。好ましくは、剤形は、約4〜11mgのプラスグレル、より好ましくは約5又は10mgのプラスグレルを含むことになる。
【0178】
いくつかの実施態様において、経口剤形は、オメプラゾールを含む。いくつかの実施態様において、剤形は、約10〜100mgのオメプラゾールを含むことになる。好ましくは、剤形は、約10〜80mg、好ましくは約15〜30mgのオメプラゾール、より好ましくは約10、20、30、40又は50mgのオメプラゾールを含むことになる。特定の有力な活性成分の好適な好ましい投与量としては、エソメプラゾール(約20から約40mg)、スルフィンピラゾール(約100から約200mg)又はファモチジン(約10、約20又は約40mg)等が挙げられる。
【0179】
(II.使用方法)
対象における血小板凝集を阻害する、及び/又は胃腸障害を治療、軽減及び/又は予防する方法であって、1つ以上の抗血小板薬及び1つ以上の酸阻害剤の治療有効量を単一のパッケージで単一の単位又は複数の単位として経口投与することを含む方法を本明細書に提示する。また、対象における血小板凝集を阻害する、及び/又は胃腸障害を治療、軽減及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載の経口剤形を対象に経口投与することを含む方法を本明細書に提示する。典型的な実施態様において、対象は、そうでなければ、血小板凝集及び/又は胃腸障害の治療を必要としない。
【0180】
また、対象を治療する方法であって、1つ以上の抗血小板薬及び1つ以上の酸阻害剤並びに所望により1つ以上の追加的な医薬剤を単一のパッケージで単一の単位又は複数の単位として対象に経口投与することを含む方法を本明細書に提示する。「同時投与」という用語は、1つ以上の抗血小板薬、1つ以上の酸阻害剤及び所望により1つ以上の追加的な医薬剤を、それらの効果がほぼ同時に現れる、又は実質的に重複するようにほぼ同時に又は接近した順序で投与することを指す。具体的な時間は求められないが、同時投与は、60、30、15、10、5又は1分未満以内であり得る。
【0181】
そうでなければ該治療を必要としない対象における胃腸障害を阻害する方法であって、治療有効量の1つ以上の抗血小板薬及び1つ以上の酸阻害剤を含む経口剤形を投与することを含む方法を本明細書に提示する。
【0182】
また、1つ以上の抗血小板薬及び1つ以上の酸阻害剤を対象に経口同時投与することを含む対象を治療する方法であって、抗血小板薬及び酸阻害剤が個別の単位で提供される方法を本明細書に提示する。いくつかの実施態様において、個別の単位を同一の包装又は容器で提供する。経口剤形が、同一の包装又は容器において個別の単位で1つ以上の抗血小板薬及び1つ以上の酸阻害剤として提供される実施態様において、経口剤形を、それらの効果がほぼ同時に現れる、又は実質的に重複するようにほぼ同時に又は接近した順序で対象に同時投与する。例えば、対象は、包装を開封し、個々の単位を口腔に入れることによって、同一の包装において個別単位で提供される抗血小板薬及び酸阻害剤を含む経口剤形を同時投与することができる。いくつかの実施態様において、対象は、包装を開封し、個々の単位を口腔にほぼ同時に入れることによって、同一の包装において個別単位で提供される抗血小板薬及び酸阻害剤を含む経口剤形を同時投与することができる。いくつかの実施態様において、対象は、包装を開封し、個々の単位を口腔に60、30、15、10、5又は1分未満以内に入れることによって、同一の包装において個別単位で提供される抗血小板薬及び酸阻害剤を含む経口剤形を同時投与することができる。
【0183】
本明細書に記載の方法は、1つ以上の抗血小板薬、1つ以上の酸阻害剤及び1つ以上の追加的な活性成分を対象に投与することを含むことができる。該方法は、抗血小板薬、酸阻害剤、及び追加的な活性成分を単一剤形で投与すること、並びに抗血小板薬、阻害剤、及び追加的な活性成分を個別の単位で複数単位の経口剤形の一部として同時投与すること及び/又は組み合わせて投与することを含むことを理解すべきである。いくつかの実施態様において、追加的な活性成分はアスピリンである。別の典型的な実施態様において、追加的な活性成分は非アスピリンNSAIDである。NSAID活性を有する好適な化合物が本明細書に記載されている。具体的な実施態様において、該方法は、クロピドグレル又はプラスグレル、オメプラゾール、エソメプラゾール又はランソプラゾール及びアスピリンを単一のパッケージで単一の単位又は複数の単位として対象に投与することを含む。
【0184】
本明細書に記載されている経口製剤及び方法を使用して、抗血小板薬及び/又は酸阻害剤が指示されるほぼすべての生理的障害を治療、予防又はその危険性を低減させることができる。本明細書に記載されている方法及び製剤を、患者を含むヒト、イヌ、ネコ、フェレット及び鳥類を限定することなく含むコンパニオン動物、ウシ、ブタ及びヒツジを限定することなく含む食用動物、サル及び他の霊長類などの動物園の動物、並びに類似の他の動物種を限定することなく含む、それを必要とする任意の対象に投与することができる。
【0185】
本明細書に提示されている方法及び製剤は、抗血小板薬が典型的に指示される障害について、それを必要とする対象に投与することができる。概して、本明細書に提示されている製剤は、抗血小板治療、又は血小板凝集の阻害等が必要なときにいつでも使用することができる。例えば、本明細書に提示されている製剤を使用して、血栓及び血栓塞栓を治療、予防又はその形成の危険性を低減させることができるため、血栓閉塞及び再閉塞を治療、予防又はその危険性を低減させることができる。本明細書に提示されている方法及び製剤を、粥腫切除、血管形成、冠状動脈バイパス手術又は心臓弁交換などの急性的介入の後の血小板性血栓症、血栓塞栓症及び再閉塞の発症を予防又はその危険性を低減させるために用いることができる。血栓溶解治療の最中及び後に、血小板性血栓症、血栓塞栓症及び再閉塞の発生を予防又はその危険性を低減させるために、併用療法を用いることもできる。血管は、粥状硬化の病態生理プロセスによって慢性的損傷を被り得るので、本明細書で提供される製剤を用いて粥状硬化の患者を治療して、閉塞性血栓形成を予防又はその危険性を低減させることもできる。
【0186】
本明細書に提示されている製剤及び方法を用いて、初回心筋梗塞又は後発心筋梗塞の危険性を有する人における当該事象を治療、予防又はその危険性を低減させるとともに、再狭窄の危険性を有する人における再狭窄を予防又はその危険性を低減させることもできる。加えて、本明細書に提示されている製剤及び方法は、急性脳血管虚血事象(例えば、初回血栓性卒中若しくは続発血栓性卒中又は一過性虚血発作)の発症を治療、予防又はその危険性を低減させるために使用することができる。
【0187】
本明細書に提示されている製剤及び方法を用いて、胃腸障害又は将来のその再発を治療、予防又はその危険性を低減し、胃腸障害の重症度、持続時間及び/又は症状を軽減することができる。胃腸障害は、当技術分野における任意のものであり、NSAIDなどの抗血小板薬に関連する胃腸障害を含む。胃腸障害としては、限定することなく、胃潰瘍及び十二指腸潰瘍を含む消化性潰瘍、出血消化性潰瘍、ストレス性潰瘍、吻合部潰瘍、難治性潰瘍、食道潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ等の細菌誘発性潰瘍、真菌誘発性潰瘍及びウイルス誘発性潰瘍等の潰瘍が挙げられる。
【0188】
上記のように、胃腸障害の発症に寄与する主たる要因は、胃及び上位小腸における酸の存在である。したがって、抗血小板薬と酸阻害剤の組み合わせを含む剤形を対象に投与すると、対象における胃腸障害の発症に寄与する主たる要因を抑えることができる。概して、該方法は、抗血小板薬の治療有効量と酸阻害剤の組み合わせを含む剤形を対象に経口投与することを含む。同様に、1つ以上の抗血小板薬及び1つ以上の酸阻害剤を経口同時投与すると、対象における胃腸障害の発症に寄与する主たる要因を減らすことができる。該方法は、1つ以上の抗血小板薬及び1つ以上の酸阻害剤を対象に経口同時投与することを含む。
【0189】
いくつかの実施態様において、患者は、出血及び/又は潰瘍などの胃腸障害を有さない。該実施態様において、患者は、胃腸障害を有さないと医師によって診断され、治療有効量の抗血小板薬と酸阻害剤との組み合わせを含む剤形が経口投与される。あるいは、いくつかの実施態様において、患者は、出血及び/又は潰瘍などの胃腸障害を有する。該実施態様において、患者は、胃腸障害を有すると診断され、治療有効量の抗血小板薬と酸阻害剤との組み合わせを含む剤形が経口投与される。具体的な実施態様において、潰瘍、出血の発症若しくは進行の低減及び/又は潰瘍若しくは真性潰瘍前病変を治癒する対象の能力の向上を目的として、経口剤形を投与する。
【0190】
いくつかの実施態様において、対象は、胃腸障害を有すると診断され、単一の包装における単一の単位又は複数単位として、治療有効量の抗血小板薬と酸阻害剤との組合せが経口投与される。具体的な実施態様において、潰瘍、出血の発症若しくは進行の低減及び/又は潰瘍若しくは真性潰瘍前病変を治癒する対象の能力の向上を目的として、抗血小板薬及び酸阻害剤を同時投与する。
【0191】
また、対象におけるNSAID治療に関連する胃腸障害を治療、予防又はその危険性を低減させるための方法を提供する。例えば、NSAIDの投与は、影響されやすい個体において、胃腸障害、例えば潰瘍及び浸食の発生をもたらし得る。これらの病変の発生に寄与する主たる要因は、患者の胃及び上位小腸における酸の存在である(例えば、Drug Safety 21:503〜512 (1999);Aliment. Pharmacol. Ther. 12:135〜140 (1998);Am. J. Med. 104(3A):67S〜74S (1998);Clin. Ther. 17:1 159〜1173 (1995)参照)。該方法は、単一の包装における単一の単位又は複数の単位として、治療有効量の抗血小板薬と酸阻害剤との組み合わせを対象に経口投与することを含む。
【0192】
本明細書に提示されている製剤及び方法は、抗血小板薬による連続治療等において、抗血小板薬に関連する胃腸障害を最小限に抑える、又は回避するのに有利である。製剤を1日1回から数回投与することができる。該方法を1日1回から数回実施することができる。活性物質の1日投与量は変動し、患者の個々の必要条件、活性体の特性、投与形態又は障害などの種々の要因に依存することになる。
【0193】
いくつかの実施態様において、経口剤形は、クロピドグレル又はプラスグレルとオメプラゾール、エソメプラゾール又はランソプラゾールとの組合せを含み、PLAVIX(商標)(重硫酸クロピドグレル)による治療が適切である患者に投与され得る。具体的な実施態様において、経口剤形は、クロピドグレル又はプラスグレルとオメプラゾール、エソメプラゾール又はランソプラゾールとの組合せを含み、最近の心筋梗塞(MI)、最近の脳卒中又は定着末梢動脈疾患を含む血栓事象を抑えるためにPLAVIX(商標)による治療が指示される患者における胃腸事象の発生を抑え、(致命的又はそうでない)新たな虚血性脳卒中、(致命的又はそうでない)新たなMI及び他の血管死の複合終点速度を低下させるために患者に投与され得る。医学的に管理すべき患者及び(ステントを使用する、又は使用しない)皮下冠状動脈介入又はCABGで管理すべき患者を含む冠状動脈症候群(不安定アンギナ/非Q波MI)の患者に対しては、PLAVIX(商標)は、心臓血管死、MI又は脳卒中の複合終点速度並びに心臓血管死、MI、脳卒中又は難治性虚血の複合終点速度を低下させることが示された。
【0194】
いくつかの実施態様において、該方法は、単一の包装における単一の単位又は複数の単位として、クロピドグレル又はプラスグレルとオメプラゾール、エソメプラゾール又はランソプラゾールとの組み合わせを対象に経口投与することを含む。一般に、クロピドグレル及びオメプラゾールの経口同時投与は、PLAVIX(商標)(重硫酸クロピドグレル)による治療が適切である患者に適する。具体的な実施態様において、該方法は、単一の包装における単一の単位又は複数の単位として、クロピドグレル及びオメプラゾールを患者に経口投与して、最近の心筋梗塞(MI)、最近の卒中又は定着末梢動脈疾患を含む血栓事象を抑えるためにPLAVIX(商標)による治療が指示される患者における胃腸事象の発症を低下させ、(致命的又はそうでない)新たな虚血性脳卒中、(致命的又はそうでない)新たなMI及び他の血管死の複合終点速度を低下させることを含む。医学的に管理すべき患者及び(ステントを使用する、又は使用しない)皮下冠状動脈介入又はCABGで管理すべき患者を含む冠状動脈症候群(不安定アンギナ/非Q波MI)の患者に対しては、PLAVIX(商標)は、心臓血管死、MI又は脳卒中の複合終点速度並びに心臓血管死、MI、脳卒中又は難治性虚血の複合終点速度を低下させることが示された。
【0195】
別の典型的な実施態様において、本発明は、患者における抗血小板薬に関連する胃腸障害の重症度、持続時間及び/又は症状を軽減する方法であって、抗血小板薬である治療有効量の第一の活性成分、及び酸阻害剤である治療有効量の第二の活性成分を含む経口剤形を前記患者に経口投与することを含む方法を提供する。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、クロピドグレルであり、酸阻害剤は、オメプラゾール、エソメプラゾール及びランソプラゾールから選択される構成要素である。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、プラスグレルであり、酸阻害剤は、オメプラゾール、エソメプラゾール及びランソプラゾールから選択される構成要素である。
【0196】
別の典型的な実施態様において、本発明は、患者における抗血小板薬に関連する胃腸障害を予防する、あるいはその重症度、持続時間及び/又は症状を軽減する方法であって、抗血小板薬である治療有効量の第一の活性成分、酸阻害剤である治療有効量の第二の活性成分、及びアスピリンである第三の活性成分を含む経口剤形を前記患者に経口的に同時投与することを含む。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、クロピドグレルであり、酸阻害剤は、オメプラゾール、エソメプラゾール及びランソプラゾールから選択される構成要素である。典型的な実施態様において、抗血小板薬は、プラスグレルであり、酸阻害剤は、オメプラゾール、エソメプラゾール及びランソプラゾールから選択される構成要素である。
【0197】
一態様において、血小板凝集を阻害するための有効量の抗血小板薬と、該抗血小板薬と関連した胃腸障害を発症する危険性を低減させるための有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単位剤形を、抗血小板薬を必要とし、かつ胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を有しない患者に経口投与することを含む、該患者を治療する方法が本明細書に提供され、ここで、プロトンポンプ阻害剤は、(a)プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料;と(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある。
【0198】
別の態様において、血小板凝集を阻害するための有効量の抗血小板薬と、胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を発症する危険性を低減させるための有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単位剤形を、抗血小板薬を必要とし、かつ胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を有さない患者に経口投与することを含む、該患者を治療する方法が本明細書に提供され、ここで、プロトンポンプ阻害剤は、(a)プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料;と(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある。
【0199】
別の態様において、血小板凝集を阻害するための有効量の抗血小板薬と、該抗血小板薬と関連した胃腸障害を発症させる危険性を低減させるための有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単位剤形を、非ステロイド性抗炎症薬を受容して血小板凝集を阻害し、かつ胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を有さない患者に経口投与することを含む、該患者を治療する方法が本明細書に提供され、ここで、プロトンポンプ阻害剤は、プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料;と(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある。
【0200】
別の態様において、血小板凝集を阻害するための有効量の抗血小板薬と、胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を発症させる危険性を低減させるための有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単位剤形を、非ステロイド性抗炎症薬を受容して血小板凝集を阻害し、かつ胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を有さない患者に経口投与することを含む、該患者を治療する方法が本明細書に提供され、ここで、プロトンポンプ阻害剤は、プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料;と(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある。
【0201】
本発明の具体的な実施態様の先述の内容は、例示及び説明を目的として提示されたものである。該内容は、網羅的であること、又は本発明を開示の厳密な形に限定することを意図するものでなく、上記教示に鑑み、明らかに多くの修正及び変更が可能である。本発明の原理及びその実用的用途を最も良く説明することによって、他の当業者が、考えられる特定の使用に適するように種々の修正を加えて本発明及び種々の実施態様を最良に利用することを可能にするために、実施態様を選択し、かつ記載した。本発明の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物によって規定されることを意図する。
【0202】
本明細書に参照されているすべての特許、特許出願、刊行物、及び参考文献は、それぞれの刊行物又は特許出願が具体的かつ個別に参照により本明細書に組み込まれているように示されているように、同等に参照により明確に組み込まれている。
【実施例】
【0203】
本教示の態様を、いかなる場合も本教示の範囲を限定するものと見なされるべきではない以下の実施例に鑑みてさらに理解することができる。
【0204】
この実施例の節に限っては、特に指定がなければ、抗血小板薬及び酸阻害剤の説明は、それらの医薬として許容し得る塩、非晶質形を含む多形体結晶形、溶媒和物、水和物、共晶体、錯体、活性代謝物質、活性誘導体、変態又はプロドラッグを包括しない。例えば、この実施例の節における「クロピドグレル」は、対応する塩を含めずに分子そのものを指すのに対して、「重硫酸クロピドグレル」は、抗血小板薬クロピドグレル及びその重硫酸塩を指す。
【0205】
(実施例1)
(チエノピリジン抗血小板薬の合成)
(a)経口剤形のためのクロピドグレルの合成)
クロピドグレルを米国特許第4,529,596号に記載されているように合成することができる。1当量の2-クロロ-オルトクロロフェニル酢酸メチル及び1当量の炭酸カリウムを、1当量の4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジンを200mLのジメチルホルムアミドに含む溶液に添加する。次いで、溶液を90℃で4時間加熱する。反応混合物を室温に冷却し、無機塩を濾過し、溶媒を蒸発させる。残渣を水に吸収させ、次いでエチルエーテルで抽出する。エーテル抽出物を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて、黄色の油を得て、それをその塩酸塩によって精製する。白色結晶:融点=130〜140℃(酢酸エチル、イソプロパノール)。収率:45%。
【0206】
該方法によって鏡像異性体を生成し、それらを米国特許第4,847,265号に記載の方法に従って分離することができる。
【0207】
(b)経口剤形のためのプラスグレルの合成)
プラスグレル(2-アセトキシ-5-(α-シクロプロピルカルボニル-2-フルオロベンジル)-4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジン)を米国特許第6,693,115号に記載の方法に従って製造することができる。1つの製造法を以下に記載する:
【0208】
2-アセトキシ-5-(α-シクロプロピルカルボニル-2-フルオロベンジル)-4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジン
(a)シクロプロピル2-フルオロベンジルケトン
マグネシウム粉末(7.2g)を無水ジエチルエーテル(60ml)に含めた懸濁物に対して、臭化2-フルオロベンジル(30ml)をジエチルエーテル(30ml)に溶解させた溶液を添加し、次いで混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を、シアン化シクロプロピル(18.2mL)のジエチルエーテル(120mL)溶液に100分間にわたって一滴ずつ添加した。室温で30分間撹拌した後、撹拌した混合物を還流下で1時間加熱した。反応後、反応混合物を酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水溶液の間で分離させた。酢酸エチル層を水、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で連続的に洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで減圧下で蒸発させた。残渣を、トルエンを溶離剤として使用するシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、黄色の液体として所望の生成物(溶媒を含めて23g)を得た。
【化1】

【0209】
(b)5-(α-シクロプロピルカルボニル-2-フルオロベンジル)-2-オキソ-2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]ピリジン
パート(a)で得られたシクロプロピル2-フルオロベンジルケトン(8.7g)を四塩化炭素(80ml)に含めた溶液に対して、N-ブロモスクシンイミド(9.6g)及び過酸化ベンゾイル(0.5g)を添加し、次いで混合物を還流下で6時間加熱した。反応後、トルエンを反応混合物に添加し、得られた固体を濾別した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、トルエンを溶離剤として使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、黄色の油として臭化α-シクロプロピルカルボニル-2-フルオロベンジル(8.5g)を得た。
【0210】
以上で得られた臭化α-シクロプロピルカルボニル-2-フルオロベンジ(6.0g)をジメチルホルムアミド(20mL)に溶解させた溶液に対して、EP 192535(特開昭61-246186号)に記載の方法に従って調製した塩酸2-オキソ-2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]ピリジン(4.8g)及び重炭酸カリウム(7.0g)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した後、反応混合物を酢酸エチルと水の間で分離させた。酢酸エチル層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。トルエン/酢酸エチル=3/1を溶離剤として使用するシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーよって残渣を精製した後に、生成物をジイソプロピルエーテルから結晶して、淡褐色の結晶として所望の生成物(2.6g、収率35%)を得た。
【化2】

【0211】
(c)2-アセトキシ-5-(α-シクロプロピルカルボニル-2-フルオロベンジル)-4,5,6,7-テトラヒドロチエニル[3,2-c]ピリジン
パート(b)で得られた5-(α-シクロプロピルカルボニル-2-フルオロベンジル)-2-オキソ-2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]ピリジン(2.6g)をジメチルホルムアミド(10ml)と無水酢酸(5ml)との混合物に溶解させ、氷浴で冷却した溶液に対して、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散物、0.35g)を添加し、次いで混合物を同一温度で30分間撹拌し、次いで室温で3時間撹拌した。反応後、混合物を酢酸エチルで抽出し、抽出物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。トルエン/酢酸エチル=3/1を溶離剤として使用するシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーによって残渣を精製した後、生成物をジイソプロピルエーテルから結晶して、白色結晶として表題の化合物(1.88g、収率65%)を得た。
【化3】

【0212】
(実施例2)
(酸剤の製造)
いくつかのプロトタイプカプセル製剤を製造した。それらを以下の表に示す。
【表1】

【0213】
(実施例3)
クロピドグレル/オメプラゾールカプセル剤(75mgのクロピドグレル/40mgのオメプラゾール)
クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセル剤の構成要素を表1に示す。
【表2】

【0214】
クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセル剤の不活性構成要素を分析法に従って試験し、それらの薬局方に掲載された規格を順守した。
【0215】
クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルの製造に使用したすべての不活性成分は、公定書にあり、FDAの不活性成分ガイド(IIG)に記載されている。以下の表2は、(1日当たり1回投与される)クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセル剤中の各成分の量及びIIGに掲載されている経口製剤中のその成分の最大量を示す。すべての賦形剤は、IIGに掲載されている量を十分に下回っている。
【表3】

【0216】
マンニトール粉末は、SPI Polymer(デラウェア州New Castle)によって供給された。微結晶セルロースは、FMC BioPolymer(アイルランドWallingstown、Cork)によって供給された。ヒドロキシプロピルセルロースEPは、Hercules、Aqualon Division(バージニア州Hopewell)によって供給された。ポリエチレングリコール6000は、Clariant Corporation、Detergents(ノースカロライナ州Mt. Holly)によって供給された。水素化ヒマシ油は、Cognis Deutschland Gmbh(ドイツDusseldorf)によって供給された。本発明に使用したカプセルは、Capsugel(サウスカロライナ州Greenwood)製の#00 White Opaque Capsuleであった。
【0217】
(定量的組成)
クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルの定量的組成を表3に示す。
【表4】

【0218】
(クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルの特性決定/開発)
主に、市販の重硫酸クロピドグレル製剤に含まれる不活性構成要素に基づいて賦形剤を選択した。12週間の公式の薬物賦形剤試験を、重硫酸クロピドグレル、単一の賦形剤及び腸溶性コーティングオメプラゾールペレット8.5%の混合物を使用して行った。市販の製剤に使用される賦形剤に加えて、広く使用されているいくつかの賦形剤の試験も行った。応力条件は、40℃/75%相対湿度であり、開始時及び1、2、4、6、8及び12週目に試料の試験を行った。また、応力試料が破壊されるかどうかについてのみ試験するために、試料を25℃/60%相対湿度で保管した。重硫酸クロピドグレル及び腸溶性コーティングオメプラゾールペレット8.5%をそれぞれ単独で、及び組み合わせて、同一条件下で保管し、対照として使用した。
【0219】
いくつかのプロトタイプ製剤を手動式のゼラチンカプセル充填法のために開発した。表4は、重硫酸クロピドグレル混和物及びクロピドグレル/オメプラゾールカプセルのプロトタイプ製剤の概要を示す。
【0220】
以下の製剤は、カプセル中に2つの成分、すなわちクロピドグレル(75mg)及び腸溶性コーティングペレット(10mg、20mg、40mg)をペレット中充填率8.5%で含むカプセル剤についてである。
【表5】

【0221】
統一性については、以下の賦形剤の相対量をすべてのプロトタイプ製剤にわたって固定した;微結晶セルロース:12.0%、ヒドロキシプロピルセルロース:4.0%、ポリエチレングリコール6000:3.0%及び水素化ヒマシ油:1.0%。製剤は、充填剤マンニトールの量及びオメプラゾールペレット8.5%の量のみ異なっていた。
【0222】
材料の充填容量がサイズ00のゼラチンカプセルの容量を超えたので、重硫酸クロピドグレル及びオメプラゾールペレット8.5%(いずれも100%未満)の有効性に基づいて、クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルの製剤を表7に記載の製剤に合わせて調整した。75/40製剤におけるマンニトールの量の102.0mgから62.0mgまでの減少をプロトタイプ製剤に用いた範囲によって一括した。
【0223】
(実施例4)
(クロピドグレル/オメプラゾールカプセル(75mgクロピドグレル/40mgオメプラゾール)の製造及び包装手順)
この節では、クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルの製造法を説明する。
【0224】
(クロピドグレル混和物)
以下の成分、すなわち重硫酸クロピドグレル、マンニトール粉末USP/EP、微結晶セルロースNF(PH 102)、ヒドロキシプロピルセルロースEP、ポリエチレングリコール6000及び水素化ヒマシ油をバッチに分配する前に#20メッシュふるいに通した。
【0225】
使用される重硫酸クロピドグレルのロットの効力が100%未満である場合は、重硫酸クロピドグレルの量をバッチ記録毎に分配する前に効力に合わせて調整する。バッチに加えられた余剰量の重硫酸クロピドグレルを算出し、同重量のマンニトールを除去して、200gの粉末混和物充填量を維持する。
【0226】
材料を以下の順序で4-qt Vシェル型混和機に負荷し、25rpmで10分間混和する:重硫酸クロピドグレル、マンニトール粉末USP/EP、微結晶セルロースNF(PH 102)、ヒドロキシプロピルセルロースEP及びポリエチレングリコール6000。10分間の前混和をした後に、水素化ヒマシ油を添加し、材料を25rpmでさらに3分間混合する。最終混和物を、二重ポリエチレンバッグで裏打ちされた容器内に放出する。
【0227】
(カプセル充填)
使用するオメプラゾールペレット8.5%のロットの効力が100%未満である場合は、オメプラゾールペレット8.5%の量をバッチ記録毎に分配する前に効力に合わせて調整する。秤量し、各ゼラチンカプセルに負荷するオメプラゾールペレット8.5%の効力調整量を算出する。
【0228】
1つの空のサイズ00ゼラチンカプセル剤の平均重量は、無作為に選択された100個のカプセル剤を秤量することによって求められる。個々の充填カプセル剤(及び30個の充填カプセル剤)の理論的総量は、1つの空カプセルの平均重量+オメプラゾールペレット8.5%の効力調整重量とクロピドグレル混和物0.200gを加算することによって算出される(30個の充填カプセルについてすべて30を乗じる)。充填カプセル限界量を算出し(1又は30個のカプセルの総充填量の±3%)、カプセル封入記録に記録する。個々の充填カプセル重量の相対標準偏差は、5.0%以下である。
【0229】
AL-90自動カプセル負荷装置を使用して、空のゼラチンカプセルをMF-30手動カプセル充填機のカプセル保持プレートに装填する。オメプラゾールペレット8.5%(±1%)の効力調整量を手操作で秤量し、各ゼラチンカプセルに移す。一旦、カプセル保持トレー内のすべての300個のカプセルをオメプラゾールペレット8.5%で充填すると、クロピドグレル混和物は、すべてのカプセルに対して均一に分布する(注:混和物を容積によりオメプラゾールペレット装填カプセルに充填する)。
【0230】
一旦カプセル封入すると、充填カプセルをMF-30マニュアルカプセル充填機からポリエチレンで裏打ちされたプラスチック保持容器に放出する。300個の充填カプセルの各トレーから、無作為に選択した30個のカプセルを個々の重量チェックのためにサンプリングする。1個以上のカプセルが個別重量変動試験に不合格である場合は、カプセルのトレー全体に対して100%重量チェックを実施する。
【0231】
(実施例5)
(経口剤形の分析法)
クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルを試験する上で以下の4つの分析法及び2つのUSP法を用いた。
【0232】
(オメプラゾールペレット及びクロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルにおけるオメプラゾールペレットの腸溶剤安定性の測定)
オメプラゾールペレット及びクロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルにおけるオメプラゾールペレットの腸溶剤安定性の試験を行った。クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルにおけるオメプラゾールペレットを溶解媒体0.1N HClに2時間接触させた。280nmにおける紫外線検出による逆相液体クロマトグラフィーを用いて、残留するオメプラゾールの定量を行った。クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルにおいて溶解するオメプラゾールは10%を超えないと判断された。
【0233】
(クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルにおけるクロピドグレル及びオメプラゾールの溶解アッセイ)
クロピドグレル/オメプラゾール75/40からの重硫酸クロピドグレル及びオメプラゾールの溶解プロファイルを、USP装置1を使用して測定した。溶解媒体としては、重硫酸クロピドグレルに対して0.1N HClを使用した後、オメプラゾールに対して0.05M硫酸緩衝剤を使用した。10、15、30、45及び60分で重硫酸クロピドグレル及びオメプラゾールの両方についての試料を採取した。重硫酸クロピドグレルに対して220nmにおける紫外線検出、そしてオメプラゾールに対して280nmにおける紫外線検出による逆相液体クロマトグラフィーを用いて定量を行った。
【0234】
(クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルにおける重硫酸クロピドグレルの同定並びに重硫酸クロピドグレル及び関連物質の決定)
クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルにおける重硫酸クロピドグレルの含有量、重硫酸クロピドグレルの同定及び重硫酸クロピドグレルの関連物質の決定の測定を行った。重硫酸クロピドグレル及び関連物質を調製済みの希釈液に抽出した。220nmにおける紫外線検出による逆相液体クロマトグラフィーを用いて定量を行った。試料製剤における主ピークの保持時間は、標準製剤における保持時間に対応する。
【0235】
(クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルにおけるオメプラゾールの同定並びにオメプラゾール及び関連物質の決定)
クロピドグレル/オメプラゾール75/40カプセルにおけるオメプラゾールの含有量、オメプラゾールの同定及びオメプラゾールの関連物質の決定の測定を行った。オメプラゾール及び関連物質を調製済みの希釈液に抽出した。280nmにおける紫外線検出による逆相液体クロマトグラフィーを用いて定量を行った。試料製剤における主ピークの保持時間は、標準製剤における保持時間に対応する。
【0236】
(実施例6)
(クロピドグレル/オメプラゾールカプセルに対する賦形剤適合性試験報告)
この試験の目的は、賦形剤適合性プロトコルVAL 1790による75/10、75/20及び75/40mgのクロピドグレル/オメプラゾールカプセルの製剤についての活性医薬成分(API)、重硫酸クロピドグレル及びオメプラゾール腸溶性コーティングペレットに対する有望な賦形剤の評価を行うことであった。
【0237】
異なる温度及び湿度条件における賦形剤の機能に応じてそれぞれ異なる割合の指定賦形剤の各々に対する両方のAPIの適合性を開発作業によって調査した。
【0238】
重硫酸クロピドグレル効力回復、薬物関連不純物の%(w/w)及び物理的外観について試料の評価を行った。オメプラゾールは、恐らく、腸溶性コーティングによって保護されており、賦形剤との相互作用に影響されないため、それらの試料では、ECペレットにおけるオメプラゾールの効力の評価を行わなかった。
【0239】
選択した賦形剤を賦形剤の機能に応じて異なる比でAPIと混合した(表5)。加えて、純粋のAPI及び賦形剤の試料を調製し、それぞれ基準及び対照として提供した。すべての試料を透明ガラスバイアルに入れ、プラスチックキャップをネジ留めし、以下の保管条件で保管した。
・40℃/75%相対湿度
・25℃/60%相対湿度
・5℃/雰囲気相対湿度
【表6】

【0240】
表6に従って、HPLCにより、物理的外観、薬剤(重硫酸クロピドグレル)回収率(%)及び薬物関連物質/分解生成物(存在する場合)について試料の試験を行った。
【表7】

A=実施した試験
B=40℃/75%相対湿度での試験結果が、許容臨界に合致しない場合の試験
C=任意の試験
【0241】
試料毎の物理的外観、重硫酸クロピドグレルの回収率(%)及び関連物質の割合(%(w/w))の評価を行った。各混合物の物理的外観の結果を表7に示す。回収された重硫酸クロピドグレルの割合(%)を表8に要約する。
【表8】

T:ペレットをともなったオフホワイト色の粉末
V:白色のペレットをともなったオフホワイト色の粉末
W:オフホワイト色のペレットをともなったオフホワイト色の粉末
X:ペレットをともなわないオフホワイト色の粉末
Y:ペレット及び殻をともなったオフホワイト色の粉末
Z:灰色のペレットをともなった粘着性のある白色の粉末
S:青色のペレットをともなったオフホワイト色の粉末
R:灰色のペレットをともなったオフホワイト色の粉末
Q:褐色のペレットをともなったオフホワイト色の粉末
P:灰色のペレットをともなった帯褐色の粘着性のある粉末
O:粘着性のある褐色のペレットをともなったオフホワイト色の粉末
N:青色ペレットをともなった帯褐色の粘着性のある粉末
M:灰色のペレットをともなった淡黄色の粉末
L:オフホワイト色のペレットをともなった明褐色の粘着性のある粉末
K:淡黄色の凝集塊
J:オフホワイト色のペレットをともなった粘着性のある白色の粉末
I:白色のペレット及びオフホワイト色の粉末をともなったカプセル殻
H:帯黄色のペレット及びオフホワイト色の粉末をともなったカプセル殻
【表9】

【0242】
表7及び表8に要約された結果によれば、重硫酸クロピドグレル及びオメプラゾールECペレットとの不適合性の程度が最も大きい賦形剤は、クロスカルメロースナトリウムであった。オメプラゾールECペレットと重硫酸クロピドグレルとクロスカルメロースナトリウムとを1.00:0.40:0.20の比で混合すると、重硫酸クロピドグレルの回収率(%)が、40℃/75%相対湿度で8週間保管した後に、92.6%から85.3%まで着実に低下した。同じ試料について、薬剤関連不純物の割合も最大値の10.42%(w/w)であった。これは、試料中の重硫酸クロピドグレルの大規模な分解を示唆していた。クロスカルメロースナトリウムは、さらに8週間後に試験が行われず、重硫酸クロピドグレル及びオメプラゾールECペレットと適合性がないと思われた。
【0243】
オメプラゾールECペレットと重硫酸クロピドグレルとマンニトールとを1.00:0.40:1.20の比で混合した。40℃/75%相対湿度で12週間保管した後の重硫酸クロピドグレルの回収率(%)は、93.5%であった。この結果は、重硫酸クロピドグレルがわずかに分解したことを示唆するものであった。同じ時点及び保管条件における同じ試料の薬物関連不純物の量(2.77%(w/w))もわずかに分解したことを示唆するものであった。この分解は、たいてい、重硫酸クロピドグレルそのものの分解物であることが公知であるHPLCクロマトグラムにおける0.66の保持時間で認められた。同じ試料におけるマンニトールの量は、カプセル製剤に認められるであろう量の3倍であった。この理由により、マンニトールは、クロピドグレル/オメプラゾールカプセル製剤における不適合性賦形剤として懸念されるものではなかった。
【0244】
ヒドロキシプロピルセルロースは、また、関連不純物の全量が緩慢かつ着実に増加し、最終的な最大値が12週間目において40℃/75%相対湿度で3.75%(w/w)に達した。不純物のバルクは、HPLCクロマトグラムにおける相対的な保持時間が0.66であり、これも重硫酸クロピドグレルの固有分解物であることが公知であった。重硫酸クロピドグレルの回収率(%)は、40℃/75%相対湿度で12週間まで許容し得、その回収率(%)は93.1%であった。この値は、質量平衡の観点から、同じ時点及び保管条件で同じ試料に認められたより多量の分解生成物に関連づけられた。試料製剤におけるヒドロキシプロピルセルロースの量は、カプセル製剤に認められるであろう量の5倍を超え、試料に施される条件は、苛酷であると考えられた(40℃/75%相対湿度)。したがって、クロピドグレル/オメプラゾールカプセルの製剤においてヒドロキシプロピルセルロースを考慮した。
【0245】
ポビドンK29-32を含有する試料は、40℃/75% RHで6週間目において、試料調製時の試料の起こり得る汚染により、関連物質の異常な回収率(%)及び量(%(w/w))を示し、それぞれ77.6%及び12.32%(w/w)であった。残留時点の試料は、不適合性を示した。この理由により、この賦形剤は、製剤のための有望な賦形剤と見なされた。
【0246】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース混合物の初期の試料を試験したときに低回収率(%)の重硫酸クロピドグレルが得られた。1、2及び4週間目に、試料は許容し得る重硫酸クロピドグレルの回収率(%)を示したため、これは分析誤差によるものと考えられた。40℃/75%相対湿度において8週間目に重硫酸クロピドグレルの回収率(%)(91.1%)の顕著な低下が認められた。これは、関連不純物の%(w/w)が0.85%(w/w)の初期値と比較してより高く(1.37%)なっていたことにも関連づけることができた。40℃/75%相対湿度において12週間目に、重硫酸クロピドグレルの回収率及び関連物質の両方が増加し、良好であることが認められた。その薬物関連不純物の%(w/w)の主な原因は、HPLCクロマトグラムにおける0.66付近の相対的保持時間にあると認められた。先述のように、この不純物は、恐らく重硫酸クロピドグレルそのものの分解物であった。
【0247】
他の賦形剤は、40℃/75%相対湿度で12週間保管しても重硫酸クロピドグレルの回収率(%)が大きな低下を示さなかった。それらは、いずれも少量%(w/w)の薬剤関連不純物/分解生成物を含んでいた。クロスカルメロースナトリウムを除くすべての賦形剤が、重硫酸クロピドグレル及びオメプラゾールECペレットと不適合であると見なされた。したがって、それらをクロピドグレル/オメプラゾールカプセル製剤に使用することが可能であった。
【0248】
この試験から導かれた結果によれば、以下の賦形剤は、重硫酸クロピドグレル及びオメプラゾール腸溶性コーティングペレットと適合性を有すると見なされ、クロピドグレル/オメプラゾールカプセル製剤の開発に使用され得る。
・マンニトール
・微結晶セルロース
・ヒドロキシプロピルセルロース
・ポリエチレングリコール6000
・水素化ヒマシ油
・ポビドンK29-32
・ラクトース316 Fast Flo(一水和物)
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース
・白色/白色不透明カプセル
【0249】
(実施例7)
(硬質ゼラチンカプセル-クロピドグレル顆粒及び腸溶性コーティングオメプラゾール顆粒)
本実施例は、クロピドグレル顆粒及び腸溶性コーティングオメプラゾール顆粒を有するカプセル経口剤形の実施態様を実証するものである(表1)。7〜10%のオメプラゾール及び賦形剤を含有する腸溶性コーティングオメプラゾール顆粒は、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、微結晶セルロース、クロスポビドン及び二リン酸水素二ナトリウムを含むことができるが、それらに限定されない。腸溶性コーティングは、それらの顆粒に5〜20重量%堆積され、メタクリル酸共重合体、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニルを含むことができるが、それらに限定されない。クロピドグレル顆粒は、微結晶セルロース、マンニトール、アルファ化デンプン、PEG6000及び水素化ヒマシ油を含むことができるが、それらに限定されない。腸溶性コーティングオメプラゾール顆粒をクロピドグレル顆粒と混合し、硬質ゼラチンカプセル又はHPMCカプセルに充填する。
【表10】

【0250】
(実施例8)
(硬質ゼラチンカプセル−250mgチクロピジン及び10mgファモチジン)
本実施例は、チクロピジン顆粒及びファモチジン顆粒を含むカプセル経口剤形の実施態様を示すものである(表10)。
【0251】
チクロピジンHClを微結晶セルロース、クエン酸、ステアリン酸マグネシウム、クロスカルメロースナトリウム及びポビドンとともに粒状化する。ファモチジンを微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、マンニトール、ステアリン酸マグネシウムとともに粒状化する。チクロピジンHCl顆粒及びファモチジン顆粒を混和し、硬質ゼラチン又はHPMCカプセルに充填する。
【0252】
あるいは、チクロピジンHCl及びファモチジンを微結晶セルロース、クエン酸、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン及びステアリン酸マグネシウムとともに粒状化して、共通の顆粒とする。それらの顆粒を硬質ゼラチン又はHPMCカプセルのいずれかに充填する。
【表11】

【0253】
(実施例9)
(硬質ゼラチンカプセル-スルフィンピラゾン100mg及び腸溶性コーティングオメプラゾール顆粒20mg)
本実施例は、スルフィンピラゾン顆粒及び腸溶性コーティングオメプラゾール顆粒を含むカプセル経口剤形の実施態様を示すものである(表11)。
【0254】
腸溶性コーティングオメプラゾール顆粒を実施例1に記載のように調製する。スルフィンピラゾンをラクトース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム及びコロイド状シリカとともに粒状化する。スルフィンピラゾン顆粒を腸溶性コーティング顆粒と混和し、硬質ゼラチンカプセル又はHPMCカプセルのいずれかに充填する。
【表12】

【0255】
(実施例10)
(硬質ゼラチンカプセル-スルフィンピラゾン100mg及び腸溶性コーティングランソプラゾール顆粒15又は30mg)
本実施例は、スルフィンピラゾン顆粒及び腸溶性コーティングランソプラゾール顆粒を含むカプセル経口剤形の実施態様を実証するものである(表12)。
【0256】
スルフィンピラゾール顆粒を実施例9に記載されているように調製する。ランソプラゾールを炭酸マグネシウム、デンプン、ラクトース及びスクロースとともに粒状化する。顆粒にクエン酸トリエチルで可塑化されたメタクリル酸共重合体で腸溶性コーティングする。腸溶性コーティングランソプラゾール顆粒をスルフィンピラゾン顆粒と混和し、硬質ゼラチン又はHPMCカプセルのいずれかに充填する。
【表13】

【0257】
(実施例11)
(硬質ゼラチンカプセル-クロピドグレル75mg及び腸溶性コーティングエソメプラゾール20mg又は40mg)
本実施例は、重硫酸クロピドグレル及び腸溶性コーティングエソメプラゾールを含むカプセル経口剤形の実施態様を示すものである。
【0258】
クロピドグレル顆粒を実施例1又は7に記載されているように調製する。エソメプラゾールを微結晶セルロース、クロスポビドン及びナトリウムステアリルフマラートとともに粒子化する。それらの顆粒にクエン酸トリエチルで可塑化されたメタクリル酸共重合体で腸溶性コーティングする。腸溶性コーティングエソメプラゾール顆粒をクロピドグレル顆粒と混和し、硬質ゼラチン又はHPMCカプセルのいずれかに充填する。
【表14】

【0259】
(実施例12)
(硬質ゼラチンカプセル-クロピドグレル75mg及びラニチジン75mg又は150mg)
本実施例は、クロピドグレル及びラニチジンHClを含むカプセル経口剤形の実施態様を示すものである。
【0260】
ラニチジンHClを微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムとともに粒状化する。これらの顆粒を、実施例1又は7に従って調製されたクロピドグレル顆粒と混和し、硬質ゼラチン又はHPMCカプセルのいずれかに充填する。
【0261】
あるいは、重硫酸クロピドグレル及びラニチジンHClを微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及び水素化ヒマシ油とともに粒状化して、共通の顆粒とする。それらの顆粒を硬質ゼラチン又はHPMCカプセルのいずれかに充填する。
【表15】

【0262】
(実施例13)
(腸溶性コーティングカプセル製剤)
酸易動性プロトンポンプ阻害剤を腸溶性コーティングすることなく、実施例7、9、10及び11に記載されている製剤を調製することができ、カプセルに15%増量するように腸溶性コーティングする。2つの異なる活性体の顆粒を硬質ゼラチンカプセル又はHPMCカプセルのいずれかに充填する。メタクリル酸共重合体又はポリ酢酸フタル酸ビニルあるいは他の腸溶性ポリマーを使用して、カプセルを腸溶性コーティングする。フィルムコーティングは、着色剤及び他の一般的な添加剤を含有することができる。
【0263】
(実施例14)
(非腸溶性コーティング錠剤製剤)
実施例8及び12に記載の製剤を錠剤として調製することができる。実施例に記載されている活性成分の粒状化に続いて、個々の活性体の顆粒を混和し、分級し、0.5重量%のステアリン酸マグネシウムで潤滑させ、圧縮して従来の胃内崩壊錠剤とする。5%増量するように錠剤をヒドロキシプロピルメチルセルロースでフィルムコーティングし、トリアセチンで可塑化し、乳白剤及び着色剤として二酸化チタン及び/又は滑石も含有させる。フィルムは、必要に応じて味覚マスキングを提供することができる。
【0264】
(実施例15)
(腸溶性コーティング錠剤製剤)
酸易動性プロトンポンプ阻害剤を含有する、実施例7、9、10及び11に記載の製剤を腸溶性コーティング錠剤として調製することができる。プロトンポンプ阻害剤顆粒を腸溶性コーティングすることなく、個々の活性体の顆粒を実施例に記載されているように調製する。2つの活性体の顆粒を混和し、分級し、潤滑させ、圧縮して錠剤とし、メタクリル酸共重合体又はポリ酢酸フタル酸ビニルあるいは他の腸溶性ポリマーを使用して、錠剤を10〜15%増量するように腸溶性コーティングする。フィルムコーティングは、着色剤、乳白剤及び他の一般的な添加剤を含有することができる。
【0265】
(実施例16)
(咀嚼可能錠剤)
本実施例は、重硫酸クロピドグレル及びファモチジンを含む咀嚼可能錠剤経口剤形の実施態様を示すものである(表15)。
【0266】
クロピドグレル(75mg)及びファモチジン(10mg)をマンニトール、マルトデキストリン、アスパルテーム、クエン酸、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム並びに香料及び着色剤とともに粒状化する。それらの顆粒を圧縮して咀嚼可能錠剤とする。
【0267】
製剤の酸阻害効果をさらに向上させるために、pH制御剤を顆粒に添加することができる。クロピドグレル(75mg)、ファモチジン(10mg)、炭酸カルシウム(500mg)及び水酸化マグネシウム(100mg)をマンニトール及び/又はラクトース、ステアリン酸マグネシウム、香料、糖並びに着色剤とともに粒状化し、圧縮して咀嚼可能錠剤とする。
【表16】

【0268】
(実施例17)
(a)クロピドグレル構成要素における錠剤用賦形剤:
フィルムコーティングされた、又はされていない97.875mgの重硫酸クロピドグレル、微結晶セルロース、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール6000、1%の水素化ヒマシ油
【0269】
(b)オメプラゾール構成要素のための賦形剤:
ポリビニルピロリドン、ヒプロメロース、ポリエチレングリコール6000、ポリソルベート80、モノステアリン酸グリセリル又はスクロース、次いでメタクリル酸、クエン酸トリエチル、ステアリルフマル酸ナトリウム、並びに微結晶セルロース、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、滑石、ステアリン酸マグネシウムにおける混和物からの錠剤。
【0270】
クロピドグレル及びオメプラゾールを組み合わせて錠剤とし、腸溶性コーティングなどのバリアーがそれら2つの活性成分を隔てるのであれば、錠剤の個別の部分で上記賦形剤の1種以上をクロピドグレル及び/又はオメプラゾールと混合する。
【0271】
(実施例18)
本実施例は、75mgのクロピドグレル及び20mgのオメプラゾールを有するCGT-2168カプセルを得るための手順を説明する。
【0272】
(A)腸溶性コーティングオメプラゾールペレットを得るための手順)
腸溶性コーティングオメプラゾールペレットを3工程手順で調製する:
1.基体ペレットへの薬剤の層状化
2.オメプラゾール含有ペレットのバリアーコーティング
3.腸溶性コーティング
【0273】
(1.薬剤の層状化)
流体化ベッドコーティング装置において、ポリマー結合剤を含有する塩基性溶液から(デンプン及び糖でできた)基剤ペレットへとオメプラゾールを層状化する。オムプラゾール(omperazole)層を有する基体ペレットをコーティング機器において乾燥させる。
【0274】
乾燥したペレットを流体ベッドコーティング装置から取り出し、ふるいにかけて、任意の破砕した粒子又は凝集物を除去する。ふるいにかけたペレットを、制御された室温で保管する。
【0275】
(2.バリアーコーティング)
オメプラゾール負荷ペレットを流体ベッドコーティング装置において水性HPMC E-5バリアーコートでコーティングした後、腸溶性コーティングする。バリアー溶液のpHは、オムペラゾール(omperazole)の分解を回避するよう制御される。
【0276】
HPMC溶液を枯渇させると、ペレットをコーティング機器において所定の水分含有量に乾燥させる。
【0277】
乾燥したバリアーコーティングペレットを流体ベッドコーティング装置から取り出し、ふるいにかけて、すべての破砕した粒子又は凝集物を除去する。ふるいにかけたペレットを、制御された室温で保管する。
【0278】
(腸溶性コーティング)
腸溶性コーティング懸濁液は、メタクリル酸共重合体、可塑剤、界面活性剤、及び乳白剤を含有する。コーティング懸濁液のpHは制御されている。
【0279】
バリアーコーティングペレットを流体ベッドコーティング装置に負荷し、腸溶性コーティングする。一旦、腸溶性フィルム形成剤がすべてペレットに祈られると、流体ベッドコーティング装置において、あらかじめ規定された水分含有量にペレットを乾燥させる。乾燥したペレットをふるいにかけて、すべての破砕した粒子又は凝集したペレットを除去する。分級したペレットをポリバッグで裏打ちされたHDPEドラムに包装し、制御された室温で保管する。
【0280】
薬剤コーティング段階における量は、固定された量である。バリアー及び腸溶性コーティング段階における量は固定されておらず、必要とされるコーティング量に達するまで先の段階の出力に基づいて算出される。
【0281】
(B)CGT-2168カプセルを得るための手順(75mgクロピドグレル及び20mgオムプラゾール(omprazole))
1)クロピドグレル混和
以下の成分を#20メッシュふるいにかけた後、バッチに分配する:硫酸水素クロピドグレル、マンニトール粉末USP/EP、微結晶セルロースNF(PH102)、ヒドロキシプロピルセルロースEP、ポリエチレングリコール6000、及び水素化ヒマシ油。
【0282】
材料を以下の順序でComilに負荷し、所定の時間混和して、必要とされる混和物均一度を得る。最終的な混和物は、二重ポリエチレンバッグで裏打ちされた容器に放出される。
【0283】
2)カプセル充填
1つの空のサイズ0ゼラチンカプセルの平均重量は、無作為に選択された100個のカプセルを秤量することによって求められる。個々の充填カプセル剤の理論的総量は、1つの空カプセルの平均重量+オメプラゾールペレット8.5%の重量とクロピドグレル混和物の0.173gを加算することによって算出される(30個の充填カプセルについてすべて30を乗じる)。充填カプセル限界量を算出し、カプセル封入記録に記録する。個々の充填カプセル重量の相対標準偏差は、5.0%以下である。
【0284】
2段階充填のできる封入装置に、空のゼラチンカプセルに装填する。封入装置は、重量をモニターし、重量によってカプセルを充填する。オメプラゾールペレットの充填重量は、標的重量の95〜105%に制御される。カプセルが適切な量のオメプラゾールを含有すると、該カプセルは、重量によるクロピドグレル混和物で充填し戻される。カプセルの総重量は、標的の95〜105%に制御される。また、カプセル重量のチェックも手操作で実施される。
【0285】
一旦封入されると、充填されたカプセルは、ポリエチレンで裏打ちされたプラスチック保持容器に放出される。カプセルは、乾燥材及び誘導物の密封された不透明な白色のHDPEボトルに包装される。
【表17】

【0286】
75mgの硫酸水素クロピドグレル及び40mgのオメプラゾールを含有するカプセル剤は、類似の手順を介して得ることができる。
【0287】
(実施例19)
本実施例は、市販のPlavix(商標)と比較してCGT-2168製剤におけるオメプラゾール構成要素の溶解特性を研究する。
【0288】
本研究の目的は、生体関連性のある溶解媒体における2つの異なる源(AstraZeneca及びCGT-2168製剤に用いられるペレット)に由来する腸溶性コーティングオメプラゾールペレットの分解挙動を研究することである。
【0289】
本研究で用いられる試料は、下記のとおりであった:
−Prilosec(商標)遅延放出カプセル(ロット:U2837;AstraZeneca)
−オメプラゾールペレット8.5%(Murli Krishna Pharma Pvt.Ltd(「MKPPL」);ロット178289、実施例18参照)。
【0290】
同じオメプラゾール濃度が両方の試料について維持されるよう(40mg/カプセル)、MKPPLに由来する試料を封入した(空のカプセル;ロット:179246、Pantheon Inc.より供給)。USP溶解槽、装置3を本研究に用いた。供給状態模倣腸液(Phares、ロット:PHA 5 0704 011)をpH7.0に調整し、溶解媒体として用いた。各試料を三重に評価した(各試料につき合計6個の複製物)。媒体を2、5、10、15、20、及び30分後にサンプリングし、溶解液におけるオメプラゾールの百分率について評価した。次に、溶解試料をHPLC-UVによって分析した。結果を表18及び図1に報告する。
【0291】
本実施例は、中性pH環境においてPrilosec(商標)(●)が非常に迅速に溶解するのに対し、CGT-2168におけるオメプラゾールペレット(■)の溶解は、有意により低いままであることを示している(表17及び図1参照)。結果として、CGT-2168のオメプラゾール構成要素は、Prilosec(商標)よりも遅延した放出を提供する。溶解データは、検討したあらゆる時点において、Priolosec(商標)とCGT-2168のオメプラゾール構成要素の間で統計的有意差を示す。
【表18】

【0292】
(実施例20)
本実施例は、Plavix(商標)(クロピドグレル、75mg)とPrilosec(商標)遅延放出カプセル(オメプラゾール、20mg及び40mg)の間の薬物動態的(PK)及び薬力学的(PD)相互作用を研究する。
【0293】
CG101は、市販のPlavix(クロピドグレル、75mg)錠剤及びPrilosec(商標)遅延放出カプセル(オメプラゾール、20mg及び40mg)を用いて実施する予備パイロット研究であった。研究上の組み合わせ製剤CGT-2168は投与されなかった。この非盲検のパイロット研究において、20mg及び40mgの用量レベルにおけるPlavix(商標)とPrilosec(商標)の間の薬物動態的(PK)及び薬力学的(PD)相互作用についての可能性を19名の志願対象において探索した。2名の対象は、早期に途絶し、評価のための完全なデータを有さなかった。薬力学的効果を評価するために、Bornらの文献(J. Physiol. 1963 Aug; 168: 178-95)の方法を用いて、血小板凝集を測定した。
【0294】
初期の2方向クロスオーバー投薬期を完了した17名の対象のうち、クロピドグレル親及びクロピドグレルカルボン酸に対する曝露の割合及び程度は、Plavix(商標)及びPrilosec(商標)20mgの同時投与によって変化しなかった。第三の投薬期をその後に完了した14名の対象については、クロピドグレルカルボン酸に対する曝露の割合及び程度は、Plavix(商標)及びPrilosec(商標)40mgの同時投与によって変化しなかったが、クロピドグレル親薬剤曝露における統計的に有意な増大が観察された。これらの結果は、Plavix(商標)からその活性代謝産物へのチトクロムP450を介した変換が、代謝の競合的阻害により、Prilosec(商標)40mgの存在下で低減したという仮説と一致するかもしれない。
【0295】
Prilosec(商標)(オメプラゾール、20mg)の統計的に有意な効果は、Plavix(商標)(クロピドグレル、75mg)による血小板凝集のADP誘発性阻害に関して検出されなかったが、血小板凝集阻害効果の低下は、Prilosec(商標)(オメプラゾール、40mg)を用いて観察された。Plavix(商標)による出血時間の延長は、Prilosec(商標)20mg又は40mgの同時投与によって変化しなかった。
【0296】
本実施例は、Plavix(商標)(クロピドグレル、75mg)及びPrilosec(商標)(オメプラゾール、40mg)の薬物動態的及び薬力学的相互作用を示している。
【0297】
(実施例21)
本実施例は、個々に所定の単一のPlavix(商標)(クロピドグレル、75mg)及びPrilosec(商標)(オメプラゾール、40mg)に対する所定のCGT-2168(クロピドグレル75mg、及びオメプラゾール40mg)の生物関連性を研究した。本実施例はさらに、市販のPlavix(商標)の同時投与と比較した、CGT-2168製剤のインビボでのオメプラゾール放出特性を探索した(臨床治験CG103)。
【0298】
CG103は、個々に所定のPlavix(商標)(クロピドグレル、75mg)及びPrilosec(商標)(オメプラゾール、40mg)に対するCGT2168(クロピドグレル75mg、及びオメプラゾール40mg)の生物関連性に関する第1相の非盲検無作為単回用量クロスオーバー研究であった。主要な終点は、ノンパラメトリックなPK測定であった。37名の健常な志願者は、試験品用量間に1週間の休薬期間を設けて、3方法、3期間のクロスオーバースケジュールに従って、無作為に割り当てられた順序で各検査品を服用した。
【0299】
試験した3つの分析物(クロピドグレル親、クロピドグレルカルボン酸、及びオメプラゾール親)についての幾何平均(SD)、比に関する自然対数変換幾何学的平均及び90%信頼区間を、表18における処理群によって示す。薬物動態的データは、CGT-2168(クロピドグレル75mg、及びオメプラゾール40mg)と、参照により列挙された製品Plavix(商標)及びPrilosec(商標)の間の生物関連性と一致している。
【表19】

【0300】
表19は、クロピドグレル(Plavix(商標)及びCGT-2168)、及びオメプラゾール(Prilosec(商標)及びCGT-2168)について観察されたTmaxを列挙する。CGT-2168(○)又はPrilosec(商標)(●)による処理後のオメプラゾールの観察された血漿レベルを図2に示す。CGT-2168のオメプラゾールは、Prilosec(商標)のオメプラゾールよりも0.5時間後に吸収される。オメプラゾールのCmax及び曲線下面積は、Prilosec(商標)及びCGT-2168について類似しているが、吸収の相対的なタイミングに明確な差があった。
【表20】

【0301】
本発見は、CGT-2168におけるオメプラゾール製剤が、Prilosec(商標)よりも遅延した放出を有することを示した溶解データ(実施例19参照)と一致している。対照的に、クロピドグレルは迅速に吸収され、CGT-2168製剤とともに代謝される。これら2つの製品の吸収についての生物学的利用率の時間における分離は、該2つの製品間の代謝的競合についての可能性を低めたのかもしれない。
【0302】
安全性の問題は、研究CG103において同定されなかった。
【0303】
本実施例は、CGT-2168の製剤が、市販のPlavix(商標)及びPrilosec(商標)と比較して、クロピドグレル及びオメプラゾールのTmax中央値を分離する特定の遅延放出特性を有し、従って、薬物動態的及び薬力学的相互作用の可能性を最小化することを、実験19における溶解データと一致して示している。
【0304】
本明細書に記載されている実施例及び実施態様は、例示のみを目的としていること、及びそれに関する様々な修正又は変更も当業者に示唆され、本出願の主旨及び範囲並びに添付の請求項の範囲に含まれることが理解される。本明細書に参照されているすべての文献、特許及び特許出願は、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗血小板薬を必要としかつ胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を有さない患者を治療する方法であって、該患者に、血小板凝集を阻害するための有効量の抗血小板薬と、該抗血小板薬と関連した胃腸障害の発症の危険性を低下させるための有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単位剤形を経口投与することを含み、ここで、該プロトンポンプ阻害剤が、(a)該プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料と;(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある、前記方法。
【請求項2】
抗血小板薬を必要としかつ胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を有さない患者を治療する方法であって、該患者に、血小板凝集を阻害するための有効量の抗血小板薬と、胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状の発症の危険性を低下させるための有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単位剤形を経口投与することを含み、ここで、該プロトンポンプ阻害剤が、(a)該プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料と;(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある、前記方法。
【請求項3】
血小板凝集を阻害するために非ステロイド性抗炎症薬を受けているところであり、かつ胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を有さない患者を治療する方法であって、該患者に、血小板凝集を阻害するための有効量の抗血小板薬と、該抗血小板薬と関連した胃腸障害を発症させる危険性を低下させるための有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単位剤形を経口投与することを含み、ここで、該プロトンポンプ阻害剤が、(a)該プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料と;(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある、前記方法。
【請求項4】
血小板凝集を阻害するために非ステロイド性抗炎症薬を受けているところであり、かつ胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状を有さない患者を治療する方法であって、該患者に、血小板凝集を阻害するための有効量の抗血小板薬と、胃腸出血又は胃腸潰瘍の症状の発症の危険性を低下させるための有効量のプロトンポンプ阻害剤とを含む単位剤形を経口投与することを含み、ここで、該プロトンポンプ阻害剤が、(a)該プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料と;(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある、前記方法。
【請求項5】
前記コア材料が、前記プロトンポンプ阻害剤と、アルカリ材料と、結合剤とを含む層でコーティングした不活性核を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記外側の腸溶性コーティングが、腸溶材料、可塑剤、及び界面活性剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記抗血小板薬が、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグである、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグが散剤である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形である、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記抗血小板薬が、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグであり、かつ前記プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形である、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグ、及びオメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形が、カプセル内に配備されている、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグが、約20〜200mgの量で存在する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグが、約75mgの量で存在する、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形が、約10〜100mgの量で存在する、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形が、約20mgの量で存在する、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグが、20〜200mgの量で存在し、かつ前記オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、又は多形が、約10〜100mgの量で存在する、請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記腸溶性コーティング製剤が、1つの中間バリアーによって分離されたコア材料と外側の腸溶性コーティングとを含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
前記コア材料が、前記プロトンポンプ阻害剤と、アルカリ材料と、結合剤とを含む層でコーティングされた不活性核を含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記中間バリアーが結合剤を含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記外側の腸溶性コーティングが、腸溶材料、可塑剤、及び界面活性剤を含む、請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記抗血小板薬が、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグである、請求項17記載の方法。
【請求項22】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグが散剤である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形である、請求項17記載の方法。
【請求項24】
前記抗血小板薬が、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグであり、かつ前記プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形である、請求項17記載の方法。
【請求項25】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグ、及びオメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形が、カプセル内に配備されている、請求項17記載の方法。
【請求項26】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグが、約20〜200mgの量で存在する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグが、約75mgの量で存在する、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形が、約10〜100mgの量で存在する、請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形が、約20mgの量で存在する、請求項25記載の方法。
【請求項30】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグが、20〜200mgの量で存在し、かつ前記オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形が、約10〜100mgの量で存在する、請求項25記載の方法。
【請求項31】
前記単位剤形がさらに、非ステロイド性抗炎症薬を含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項32】
前記非ステロイド性抗炎症薬がアスピリンである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記非ステロイド性抗炎症薬がアスピリンである、請求項3又は4記載の方法。
【請求項34】
抗血小板薬とプロトンポンプ阻害剤とを含む経口単位剤形であって、該剤形が、非ステロイド性抗炎症薬を含まず、かつ該プロトンポンプ阻害剤が、(a)前記プロトンポンプ阻害剤を含むコア材料と;(b)外側の腸溶性コーティングとを含む腸溶性コーティング製剤の内部にある、前記剤形。
【請求項35】
前記コア材料が、前記プロトンポンプ阻害剤と、アルカリ材料と、結合剤とを含む層でコーティングされた不活性核を含む、請求項34記載の剤形。
【請求項36】
前記外側の腸溶性コーティングが、腸溶材料、可塑剤、及び界面活性剤を含む、請求項34記載の剤形。
【請求項37】
前記抗血小板薬が、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグである、請求項34記載の剤形。
【請求項38】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグが、散剤である、請求項37記載の剤形。
【請求項39】
前記プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形である、請求項34記載の剤形。
【請求項40】
前記抗血小板薬が、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグであり、かつ前記プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形である、請求項34記載の剤形。
【請求項41】
前記腸溶性コーティング製剤が、1つの中間バリアーによって分離されたコア材料と外側の腸溶性コーティングとを含む、請求項34記載の剤形。
【請求項42】
前記コア材料が、前記プロトンポンプ阻害剤と、アルカリ材料と、結合剤とを含む層でコーティングされた不活性核を含む、請求項41記載の剤形。
【請求項43】
前記中間バリアーが、結合剤を含む、請求項41記載の剤形。
【請求項44】
前記外側の腸溶性コーティングが、腸溶材料、可塑剤、及び界面活性剤を含む、請求項41記載の剤形。
【請求項45】
前記抗血小板薬が、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグである、請求項41記載の剤形。
【請求項46】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグが、散剤である、請求項45記載の剤形。
【請求項47】
前記プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形である、請求項41記載の剤形。
【請求項48】
前記抗血小板薬が、クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグであり、かつ前記プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形である、請求項41記載の剤形。
【請求項49】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形、及びオメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形が、カプセル内に配備されている、請求項40又は48記載の剤形。
【請求項50】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグが、20〜200mgの量で存在する、請求項49記載の剤形。
【請求項51】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグが、約75mgの量で存在する、請求項49記載の剤形。
【請求項52】
前記オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形が、約10〜100mgの量で存在する、請求項49記載の剤形。
【請求項53】
前記オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形が、約20mgの量で存在する、請求項49記載の剤形。
【請求項54】
前記クロピドグレル又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形、水和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグが、20〜200mgの量で存在し、かつ前記オメプラゾール又はその医薬として許容し得る塩、鏡像異性体、プロドラッグ、若しくは多形が、約10〜100mgの量で存在する、請求項49記載の剤形。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−505884(P2012−505884A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532093(P2011−532093)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/005671
【国際公開番号】WO2010/047756
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(510084529)ケージー アクキュイシチオン エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】