説明

抗血管新生薬

式:(I)(化学構造を挿入)又は(II)(化学構造を挿入)[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]の化合物の有効量を投与することにより、望ましくない血管新生によって特徴付けられる哺乳動物疾患又は状態を治療するための組成物及び方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常細胞分裂を特徴とする疾患状態を治療すること、異常血管新生を特徴とする疾患状態を治療すること、又はこれらの事象の組合せを特徴とする疾患状態を治療することに関する。より詳細には、本発明は、2−メトキシエストラジオール(2ME)の類似体ならびに異常細胞分裂及び/又は異常なもしくは望ましくない血管新生を特徴とする疾患に対するそれらの作用に関する。
【0002】
(本発明の技術背景)
血管新生は、組織又は器官内への新しい血管の創出である。正常な生理的条件下では、ヒト及び動物は非常に特定の限られた状況でのみ血管新生を受ける。例えば血管新生は、通常、創傷治癒、胎児及び胚発生、ならびに黄体、子宮内膜及び胎盤の形成において認められる。
【0003】
血管新生は、血管新生刺激因子と阻害因子の高度に調節されたシステムを通して制御される。ある種の疾患状態では血管新生の制御が変化することが認められており、多くの場合、疾患に結びつく病的損傷が血管新生調節不全に関連する。制御された血管新生と制御されない血管新生はどちらも同様に進行すると考えられている。基底膜に取り囲まれた内皮細胞と血管周囲細胞が毛細血管を形成する。血管新生は、内皮細胞と白血球によって放出される酵素による基底膜の侵食から始まる。血管の管腔の内側を覆う内皮細胞が、次に、基底膜を通って突出する。血管新生刺激因子は、内皮細胞が侵食された基底膜を通って移動するのを誘導する。移動細胞は親血管から離れて「新芽」を形成し、そこで内皮細胞は有糸分裂を受けて増殖する。内皮新芽は互いに融合してループ状毛細血管を形成し、新しい血管を創造する。
【0004】
多くの疾患状態、腫瘍転移及び内皮細胞による異常増殖において、持続的な血管新生調節不全が起こる。血管新生調節不全が存在する様々な病理疾患状態が、血管新生依存性又は血管新生関連疾患として分類されてきた。
【0005】
血管新生に依存する疾患の一例は、眼血管新生疾患である。この疾患は、網膜又は角膜などの眼構造への新生血管の侵入によって特徴付けられる。これは失明の最も一般的な原因であり、約20の眼疾患に関与する。加齢性黄斑変性では、付随する視覚の問題が、網膜色素上皮層の下の線維血管組織の増殖を伴うブルーフ膜の欠損を通した脈絡膜毛細血管の内殖によって引き起こされる。血管新生損傷はまた、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障、及び水晶体後線維増殖症に結びつく。角膜血管新生に関連する他の疾患は、流行性角結膜炎、ビタミンA欠損症、コンタクトレンズ過剰着用、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、及び翼状片乾性角膜炎を含むが、これらに限定されない。望ましくない血管新生に関連する他の疾患は、シェーグレン症候群、しゅさ性座瘡、フリクテン症(phylectenulosis)、梅毒、ミコバクテリア感染、脂質変性、化学的熱傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純疱疹感染、帯状疱疹感染、原生動物感染、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁角質溶解、慢性関節リウマチ、全身性狼瘡、多発性動脈炎、外傷、ヴェーゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーヴンズ-ジョンソン病、類天疱瘡、及び放射状角膜切開を含む。
【0006】
血管新生に関連する疾患は、網膜/脈絡膜新生血管形成、糖尿病性網膜症、黄斑変性、鎌状赤血球貧血、サルコイドーシス、梅毒、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頚動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、ミコバクテリア感染、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎又は脈絡膜炎を引き起こす感染、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、視神経乳頭小窩、シュタルガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラスマ症、外傷及びレーザー後合併症を含むが、これらに限定されない。他の眼関連疾患は、ルベオーシス(虹彩及び角の血管新生)に関連する疾患、及び全ての形態の増殖性硝子体網膜症を含む、線維血管又は線維組織の異常増殖によって引き起こされる疾患を含むが、これらに限定されない。
【0007】
もう1つの血管新生関連疾患は慢性関節リウマチである。関節の滑膜内層の血管は血管新生を受ける。新しい血管網を形成することに加えて、内皮細胞は、パンヌス増殖及び軟骨破壊へと導く因子及び反応性酸素種を放出する。血管新生はまた、変形性関節症においても役割を果たし得る。血管新生関連因子による軟骨細胞の活性化は、関節の破壊に寄与する。より後期には、血管新生因子は新しい骨成長を促進する。軟骨破壊を予防する治療的介入処置は、疾患の進行を停止させ、関節炎に罹患している人々に救済を与え得る。
【0008】
慢性炎症も病的血管新生を含むと考えられる。潰瘍性大腸炎及びクローン病などの疾患は、炎症組織への新生血管の内殖を伴う組織学的変化を示す。南米で認められる細菌感染、バルトネラ症は、血管内皮細胞の増殖によって特徴付けられる慢性段階をもたらし得る。血管新生に関連するもう1つの病理学的役割は、アテローム性動脈硬化症において認められる。血管の管腔内で形成されるプラークは、血管新生刺激活性を有することが示された。
【0009】
腫瘍増殖が血管新生依存性であるという仮説は、1971年に初めて提議された。(Folkman,New Eng.J.Med.,285:1182−86(1971))。簡潔に言うと、この仮説は、「ひとたび腫瘍「取得(take)」が起これば、腫瘍細胞個体群のあらゆる増加の前に、腫瘍上に集まる新しい毛細血管の増加が先行するに違いない」と言明する。腫瘍「取得」は、現在、数立方ミリメートルの容積を占め、数百万細胞を超えない腫瘍細胞の個体群が既存の宿主微小血管上で生存することができる、腫瘍増殖の前血管期(prevascular phase)を示すと理解されている。この段階を超える腫瘍容積の拡大は新しい毛細血管の誘導を必要とする。例えばマウスにおける初期前血管期の肺微小転移巣は、組織切片に関する高倍率顕微鏡による以外は検出不能である。
【0010】
この概念を裏付ける間接的証拠の例は:
(1)マウスにおいて皮下透明チェンバーに移植した腫瘍の増殖速度は、血管新生までは緩やかで線形であるが、血管新生後は急速でほとんど指数的である。(Algire,etal.,J.Nat.Cancer Inst.,6:73−85(1945))。
【0011】
(2)血管が増殖していない単離した灌流器官において増殖する腫瘍は1−2mmに限定されるが、それらをマウスに移植して血管新生されたときにはこの容積の>1000倍に急速に増殖する。(Folkman,et al.,Annals of Surgery,164:491−502(1966))。
【0012】
(3)無血管角膜における腫瘍増殖は緩やかに線形速度で進行するが、血管新生後は指数増殖に切り替わる。(Gimbrone,Jr.,et al.,J.Nat.Cancer Inst.,52:421−27(1974))。
【0013】
(4)ウサギ眼の前眼房の水溶液に懸濁した腫瘍は、生育可能で、無血管であり、大きさは<1mmのままである。ひとたびそれらを虹彩血管床に移植すると、血管新生されて急速に増殖し、2週間以内に元の容積の16,000倍に達する。(Gimbrone, Jr.,et al.,J.Exp.Med.,136:261−76)。
【0014】
(5)腫瘍をニワトリ胚絨毛尿膜に移植したとき、>72時間の無血管期の間は緩やかに増殖するが、0.93+0.29mmの平均直径を超えない。血管新生の開始後24時間以内に急速な腫瘍増殖が起こり、7日目までにこれらの血管新生化腫瘍は8.0+2.5mmの平均直径に達する。(Knighton,British J.Cancer,35:347−56(1977))。
【0015】
(6)ウサギ肝における転移の血管円柱(vascular casts)は転移の大きさの不均一性を明らかにするが、血管新生が存在する大きさに関しては比較的均一なカットオフポイントを示す。腫瘍は一般に直径1mmまでは無血管であるが、この直径を越える血管新生される。(Lien,et al.,Surgery,68:334−40(1970))。
【0016】
(7)膵島のβ細胞に癌腫を発現するトランスジェニックマウスでは、前血管増殖性膵島は<1mmの大きさに限定される。6−7週齢では、膵島の4−10%が血管新生され、これらの膵島から前血管膵島の容積の1000倍以上の大きな血管新生化腫瘍が生じる。(Folkman,et al.,Nature,339:58−61(1989))。
【0017】
(8)VEGF(血管内皮増殖因子)に対する特異抗体は、微小血管密度を低下させ、それらの血管新生の唯一のメディエイタとしてVEGFに頼る3つのヒト腫瘍の増殖の「有意の又は劇的な」阻害を引き起こす(ヌードマウスにおいて)。前記抗体はインビトロでは腫瘍細胞の増殖を阻害しない。(Kim,et al.,Nature,362:841−44(1993))。
【0018】
(9)抗bFGFモノクローナル抗体は、その血管新生の唯一のメディエイタとしてbFGFの分泌に依存するマウス腫瘍の増殖の70%阻害を生じさせる。前記抗体はインビトロでは腫瘍細胞の増殖を阻害しない。(Hori,et al.,Cancer Res.,51:6180−84(1991))。
【0019】
(10)bFGFの腹腔内注射は、腫瘍内の毛細血管内皮細胞の増殖を刺激することによって原発腫瘍の増殖とその転移を増強する。腫瘍細胞自体はbFGFについての受容体を持たず、bFGFは、インビトロでは腫瘍細胞のマイトジェンではない。(Gross,et al.,Proc.Am.Assoc.Cancer Res.,31:79(1990))。
【0020】
(11)特異的血管新生阻害因子(AGM−1470)はインビボで腫瘍増殖及び転移を阻害するが、インビトロで腫瘍細胞増殖を阻害する上でははるかに活性が低い。腫瘍細胞増殖阻害するよりも4指数低い濃度で血管内皮細胞増殖を半最大に阻害する。(Ingber,et al.,Nature,48:555−57(1990))。腫瘍増殖が血管新生依存性であることの間接的な臨床証拠も存在する。
【0021】
(12)硝子体に転移するヒト網膜芽細胞腫は、それらが成育可能であり、H−チミジンを組み込むという事実にもかかわらず、1mm未満に限定される無血管球状へと発育する(摘出眼から取り出してインビトロで分析したとき)。
【0022】
(13)卵巣がんは小さな無血管白色種子(1−3mm)として腹膜に転移する。これらの移植片は、それらの1又はそれ以上が血管新生されるまではほとんどそれ以上増殖しない。
【0023】
(14)乳癌(Weidner,et al.,New Eng.J.Med.,324:1−8(1991);Weidner,et al.,J Nat.Cancer Inst.,84:1875−87(1992))及び前立腺癌(Weidner,et al.,Am.J.Pathol.,143(2):401−09(1993))における血管新生の強度は、将来の転移の危険度と高度に相関する。
【0024】
(15)ヒト皮膚黒色腫からの転移は、血管新生以前にはまれである。血管新生の開始は病巣の厚さ増大及び転移の危険度上昇を導く。(Srivastava,et al.,Am.J.Pathol.,133:419−23(1988))。
【0025】
(16)膀胱癌では、血管新生タンパク質、bFGFの尿レベルが疾患の状態及び程度についての細胞診よりも感受性の高い指標である。(Nguyen,et al.,J.Nat.Cancer Inst.,85:241−42(1993))。
【0026】
それ故、血管新生が癌の転移において重要な役割を果たすことは明らかである。この血管新生作用を抑制又は排除することができれば、腫瘍は、たとえ存在しても、増殖しない。疾患状態において、血管新生の防止は新しい微小血管系の侵入によって引き起こされる損傷を回避することができる。血管新生過程の制御を対象とする療法は、これらの疾患の排除又は軽減を導き得る。
【0027】
血管新生は、固形腫瘍及び血管由来腫瘍を含む、多くの異なる種類の癌に結びついてきた。血管新生が関連する固形腫瘍は、横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、神経芽細胞腫、及び骨肉腫を含むが、これらに限定されない。血管新生はまた、白血病、通常は貧血を伴って、白血球の抑制不能の増殖が起こる骨髄の様々な急性又は慢性腫瘍性疾患、血液凝固障害、及びリンパ節、肝臓及び脾臓の腫脹などの、血液由来の腫瘍にも関連する。血管新生は、白血病腫瘍及び多発性骨髄腫疾患を引き起こす骨髄の異常において役割を果たすと考えられる。
【0028】
小児期の最も頻度の高い血管新生疾患の1つは血管腫である。血管腫は、新たに形成される血管から成る腫瘍である。ほとんどの場合腫瘍は良性であり、介入処置なしで後退する。より重症の症例では、腫瘍は大きな海綿状及び浸潤性形態へと進行し、臨床合併症を作り出す。血管腫の全身性形態である血管腫症は、高い死亡率を有する。現在使用されている治療薬では治療することができない抗療性血管腫が存在する。
【0029】
血管新生はまた、オースラー‐ウェーバー‐ランデュ病、又は遺伝性出血性毛細血管拡張症などの遺伝性疾患において認められる損傷の原因でもある。これは、血管又はリンパ管の腫瘍である、多数の小さな血管腫によって特徴付けられる遺伝病である。血管腫は、しばしばエピタキシス(鼻出血)又は胃腸出血を伴い、また時として肺又は肝動静脈瘻を伴って、皮膚及び粘膜において認められる。
【0030】
必要とされるのは、それ故、血管新生を阻害することができる組成物及び方法である。同様に求められるのは、特に腫瘍において、血管の不必要な増殖を阻害することができる組成物及び方法である。
【0031】
血管新生はまた、生殖及び創傷治癒などの正常な生理的過程にも関与する。血管新生は、排卵において及び受精後の胞胚の着床においても重要な工程である。血管新生の防止は、無月経を誘導するため、排卵をブロックするため、または胞胚による着床を防ぐために使用することができる。
【0032】
創傷治癒において、過剰な修復又は線維増殖は外科手術の有害な副作用であり得、血管新生によって引き起こされる又は増悪されることがある。癒着は手術の頻繁な合併症であり、小腸閉塞などの問題を導く。
【0033】
いくつかの化合物が血管新生を阻害するために使用されてきた。Taylorら(Nature,297:307(1982))は、血管新生を阻害するためにプロタミンを使用した。プロタミンの毒性は治療薬としてのその実際的使用を制限する。Folkmanら(Science,221:719(1983)、及び米国特許第5,001,116号及び同第4,994,443号)は、血管新生を制御するためのヘパリン及びステロイドの使用を開示した。糖質コルチコイド及び鉱質コルチコイド活性を持たない、テトラヒドロコルチゾールなどのステロイドは、血管新生阻害因子であることが認められた。
【0034】
ウシ硝子体液からの4kDa糖タンパク質及び軟骨由来因子などの、動物において内因的に認められる他の因子が、血管新生を阻害するために使用されてきた。インターフェロンなどの細胞因子は血管新生を阻害する。例えばインターフェロンα又はヒトインターフェロンβは、ヒト腫瘍細胞によって刺激したマウス真皮において腫瘍誘導性血管新生を阻害することが示された。インターフェロンβはまた、同種異系脾細胞によって誘導される血管新生の強力な阻害因子でもある。(Sidky,et al.,Cancer Res., 47:5155−61(1987))。ヒト組換えインターフェロン(α/A)は、血管新生誘導性疾患である肺血管腫症の治療において使用され、成功を収めたと報告された。(White,et al.,New Eng.J.Med.,320:1197−1200(1989))。
【0035】
血管新生を阻害するために使用されてきた他の物質は、アスコルビン酸エーテル及び関連化合物を含む(日本特許公開公報第58−13号(1978))。硫酸化多糖DS4152も血管新生を阻害する(日本特許公開公報第63−119500号)。さらなる抗血管新生化合物は、Angiostatin(登録商標)(米国特許第5,639,725号;同第5,792,845号;同第5,885,795号;同第5,733,876号;同第5,776,704号;同第5,837,682号;同第5,861,372号及び同第5,854,221号)及びEndostatin(米国特許第5,854,205号)を含む。
【0036】
血管新生を阻害することが示されたもう1つの化合物はサリドマイドである。(D’Amato,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,90:4082−85 (1994))。サリドマイドは、慢性関節リウマチ(Gutierrez−Rodriguez,Arthritis Rheum.,27(10):1118−21(1984); Gutierrez−Rodriguez,et al.,J.Rheumatol.,16(2):158−63(1989))及びベーチェット病(Handley,et al.,Br.J.Dermatol.,127 Suppl,40:67−8(1992);Gunzler,Med.Hypotheses,30(2):105−9(1989))などの多くの疾患を治療するために成功裏に使用されてきた催眠鎮静薬である。
【0037】
サリドマイドは成人では副作用はごくわずかであるが、強力な催奇形物質である。それ故、妊娠可能年齢の女性におけるその使用に関しては懸念がある。ごくわずかとはいえ、治療薬としてのサリドマイドの好ましさを制限する多くの副作用が存在する。そのような副作用の1つは嗜眠状態である。多くの治療試験において、患者が嗜眠状態となり、正常に機能することが困難であったため、サリドマイドの初期用量を低減しなければならなかった。サリドマイドの使用を制限するもう1つの副作用は、個人が四肢の麻痺及び機能障害に陥る、末梢神経障害である。
【0038】
したがって、容易に投与され、血管新生を阻害することができる改善された方法及び組成物が求められている。加えて、必要とされるのは、生じる望ましくない副作用を最小限にとどめる安全で有効な治療法である。
【0039】
2−メトキシエストラジオールはエストラジオール(E2)の内因性代謝産物である。これは経口投与したとき、ほとんど毒性を伴わずに抗腫瘍及び抗増殖作用を示す。インビトロデータは、2−メトキシエストラジオールがその抗増殖活性に関してエストロゲン受容体に関係せず、エストロゲン依存性MCF−7細胞増殖によって検定したとき、広範囲の濃度にわたってエストロゲン様ではないことを示唆する。しかし、デメチラーゼなどの代謝酵素の存在は、インビボ及びインビトロで、この化合物を、いくつかのアプローチによってエストロゲン様であることが示された2−ヒドロキシエストラジオールなどの生成物へと代謝し得る。必要なのは、エストラジオール誘導体又は2−メトキシエストラジオールの生体への利用性を改善し、及びエストロゲン様2−メトキシエストラジオール代謝産物の形成を低減するための手段である。他の形態の代謝は、17−ヒドロキシ官能基の対応するケトンへの変換を含む。抱合(グルクロン酸抱合又は硫酸化のいずれか)は、ステロイドの代謝のもう1つの主要な形態である。同じく必要であるのは、エストラジオール誘導体又は2−メトキシエストラジオールを、エストロゲン誘導体への変換、代謝抱合及び/又はエストロンへの変換を防ぐように修飾するための手段である。
【0040】
(本発明の概要)
本発明は、異常有糸分裂及び/又は異常血管新生によって特徴付けられる疾患を治療する上で有効な、2−メトキシエストラジオールのある種の類似体を提供する。詳細には、本発明は、その2、3及び17位で修飾された2−メトキシエストラジオールの類似体に関する。細胞増殖を阻害する一般式I及びII(以下に示す)の中の化合物が好ましい。血管新生を阻害する一般式I及びIIの中の化合物も好ましい。好ましい組成物はまた、エストロゲン受容体結合の変化(上昇又は低下)、又は改善された吸収、輸送(例えば血液−脳関門及び細胞膜を通して)、生物学的安定性、又は低い毒性を示し得る。本発明はまた、特許請求の範囲の一般式によって表わされる、本発明の方法において有用な化合物を提供する。
【0041】
ここで定義するような、望ましくない細胞分裂によって特徴付けられる哺乳動物疾患は、内皮細胞の過剰又は異常刺激(例えばアテローム性動脈硬化症)、固形腫瘍及び腫瘍転移、良性腫瘍、例えば血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、及び化膿性肉芽腫、血管機能不全、異常創傷治癒、炎症性及び免疫性疾患、ベーチェット病、痛風又は痛風性関節炎、慢性関節リウマチに付随する異常血管新生、乾癬などの皮膚疾患、糖尿病性網膜症、及び未熟児網膜症(水晶体後線維増殖症)、黄斑変性、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障及びオースラー‐ウェーバー症候群(オースラー‐ウェーバー‐ランデュ病)などの他の眼血管新生疾患を含むが、これらに限定されない。他の望ましくない血管新生は、排卵及び胞胚の着床を含む正常過程を包含する。従って、上述した組成物は、排卵及び胞胚の着床をブロックするため又は月経をブロックする(無月経を誘発する)ために使用することができる。
【0042】
内因性エストロゲン活性を持たないエストラジオールの内在性代謝産物、2−メトキシエストラジオール(2ME)は、様々な腫瘍及び非腫瘍細胞系においてアポトーシスを誘導する強力な抗増殖性物質であることが知られている。経口投与したとき、ほとんど又は全く毒性を伴わずに抗腫瘍及び抗血管新生作用を示す。現在2MEは、PANZEM(登録商標)の名称でいくつかの臨床試験下にある。
【0043】
2MEの生物活性を保持するが、低い代謝率を有すると考えられる一連の新規化合物が製造された。これらの類似体の大半は17位にヒドロキシル部分を持たず、2−メトキシエストロンに代謝することができないか又はその位置で抱合することができない。これらの17位類似体は、HUVEC及び腫瘍細胞における抗増殖活性を保持する。エトキシ又はプロピニル基などの他の成分による2−メトキシ基の置換は抗増殖活性を保持するが、これらの官能基は、脱メチル化されず、エストロゲン様2−ヒドロキシル誘導体を生成することができない。また、2−メトキシエストロンへの変換及び/又は2−メトキシエストラジオール(又は代謝産物)と他の分子との抱合及び生じる化合物の排出の間の喪失を防ぐために、2−メトキシエストラジオールの3位及び17位の化学的性質を変化させるための組成物及び方法も開示されている。
【0044】
本発明の他の特徴及び利点は、その好ましい実施形態の以下の詳細の説明から明らかである。
【0045】
(本発明の詳細な説明)
以下で述べるように、本発明に基づく有用な化合物は、抗有糸分裂、抗血管新生及び/又は抗腫瘍特性を示す新規2−メトキシエストラジオール誘導体を含む。本発明の好ましい化合物は、2、3又は17位で又は2、3及び17位の組合せで修飾された2−メトキシエストラジオール誘導体である。好ましい化合物は、一般式I又はII:
【化1】

【0046】
[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)、>C(H)−CH、>C=CH、>C=CHCH(シス又はトランス)、>C=O、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル又は>C(H)−O−スルファメートから選択される]
の化合物である。アルキルは、ここでは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖と定義される。本発明に従った好ましい種を以下で述べる。
【0047】
本発明の選択的に開示する実施形態では、本発明に従った化合物は、Rが−OCHであり;及びZが、>C(H)、>C(H)−CH、>C=CH、>C=CHCH(シス又はトランス)、>C=O、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル又は>C(H)−O−スルファメートから選択される、式Iの化合物である。
【0048】
本発明のもう1つの選択的に開示する実施形態では、本発明による化合物は、Rが−OCHCHであり;及びZが、>C(H)、>C(H)−CH、>C=CH、>C=CHCH(シス又はトランス)、>C=O、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル又は>C(H)−O−スルファメートから選択される、式Iの化合物である。
【0049】
本発明の選択的に開示するさらなる実施形態では、本発明による化合物は、Rが−CCCHであり;及びZが、>C(H)、>C(H)−CH、>C=CH、>C=CHCH(シス又はトランス)、>C=O、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル又は>C(H)−O−スルファメートから選択される、式Iの化合物である。
【0050】
立体異性体が可能である場合の各々において、R及びS立体異性体の両方、並びに立体異性体のいかなる混合物も考慮される。
【0051】
本発明のさらにもう1つの選択的に開示する実施形態では、本発明による化合物は、Rが−OCHである、式IIの化合物である。
【0052】
本発明のもう1つの選択的に開示する実施形態では、本発明による化合物は、Rが−OCHCHである、式IIの化合物である。
【0053】
本発明の選択的に開示するさらなる実施形態では、本発明による化合物は、Rが−CCCHである、式IIの化合物である。
【0054】
当業者は、本発明が、上述した性質を有する、特許請求の範囲に示す式の中の他の化合物に及ぶことを認識する。これらの性質は、以下で及び文献中他の場所で詳述されるアッセイを用いて各々の試験化合物に関して測定することができる。
【0055】
理論に縛られるのは望むところではないが、2−メトキシエストロン(2ME)は、エストロンがエストラジオールから形成されるのと同じ酵素経路を通して形成されると考えられる。理論に縛られるのは望むところではないが、さらに、エストラジオールに関するこの反応の原因となる酵素は、NADP+を補因子として利用する17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β−HSD)であると考えられる(Han et al.,J.Biol.Chem.275:2,1105−1111(2000))。この酵素ファミリーの4つの成員、1型、2型、3型及び4型の各々が異なる活性を有する。17β−HSD 1型は還元反応(エストロンをエストラジオールに)を触媒し、17β−HSD 2型は酸化反応(エストラジオールをエストロンに)を触媒し、3型は4−アンドロステンジオンをテストステロンに触媒すると思われる。また、付加的な代謝非活性化経路は、2−メトキシエストラジオール又は2−メトキシエストロンと、硫酸塩又はグルクロン酸などの分子との抱合、及びその後の排出を介して除去されると考えられる。本発明では、これらの代謝経路が起こるのを防ぐために2−メトキシエストラジオール及びその誘導体の3位及び17位を修飾し得る。
【0056】
エストラジオール(E)及びエチニル−Eなどの経口送達されるステロイドは、胃腸管を通過する間及び肝臓での初回通過代謝によって集中的に代謝されることは広く知られている。迅速な非活性化及び排出を導く2つの主要代謝経路は広く検討されており、すなわちエストロンを形成するEのD環17位のヒドロキシ基における酸化、ならびに/あるいはA環の3位及びD環の17位のヒドロキシルにおける硫酸塩及び/又はグルクロン酸塩との抱合である。
【0057】
2ME類似体の構造−活性関係(「SAR」)を決定するためにいくつかの試験が実施されている(D’Amato,R.J.;Lin,C.M.;Flynn,E.;Folkman,J.;Hamel,E.「微小管阻害因子、2−メトキシエストラジオール及びタキソールによるマウスでの血管新生と乳癌の抑制」、Cancer Res.1997,57,81−86;Cushman,M.;He,M.−H.;Katzenellenbogen,J.A.;Lin,C.M.;Hamel,E.「コルヒチン結合部位に結合することによってチューブリンの重合を阻害するエストラジオールの内因性哺乳動物代謝産物、2−メトキシエストラジオールの類似体の合成、抗チューブリン及び抗有糸分裂活性、及び細胞毒性」、J.Med.Chem.1995,38,2041−2049;Wang,Z.;Yang,D.;Mohanakrishnan,A.K.;Fanwick,P.E.;Nampoothiri,P.;Hamel,E.;Cushman,M.「チューブリンの重合及び微小管の安定性を調節するB環ホモログ化エストラジオール類似体の合成」、J.Med.Chem.,2000,43,2419−2429;Cushman,et.al.,J.Med.Chem.(1997)40,2323−2334.;Wang et al.,Synthetic Comm 1998,28,4431;Cushman et al.,J.Med.Chem.2002,45,4748;Miller,T.A.;Bulman,A.L.;Thomson,C.D.;Garst,M.E.;Macdonald,T.L.,「官能基化エストラトロピノンの合成と評価:チューブリン重合の強力な阻害因子」、Biooorg & Med.Chem.Letters 1997,7,1851−1856.;Miller et al.,J.Med.Chem.1997,7,1851.)が、その代謝経路を低減する又は停止させるための試験は行われていない。
【0058】
本発明の好ましい実施形態では、2−メトキシエストラジオール及びその誘導体を2位、3位及び17位又はそれらの組合せで修飾する。
【0059】
(インビトロでの抗増殖活性)
2MEが細胞増殖に影響を及ぼす過程は不明のままであるが、多くの試験が様々な作用機構及び細胞標的と関係付けてきた。2MEが誘導する様々なタンパク質のレベル及び活性の変化は、細胞周期の進行に関わっていた。これらは、DNAの複製と修復の補因子、例えば増殖細胞核抗原(PCNA)(Klauber,N.,Parangi,S.,Flynn,E.,Hamel,E. and D’Amato,R.J.(1997),「微小管阻害因子、2−メトキシエストラジオール及びタキソールによるマウスでの血管新生と乳癌の抑制」、Cancer Research 57,81−86;Lottering,M−L.,de Kock,M.,Viljoen,T.C.,Grobler,C.J.S. and Seegers,J.C.(1996)「17β−エストラジオール代謝産物はMCF−7細胞周期の一部の調節因子に影響を及ぼす」、Cancer Letters 110,181−186);細胞分裂周期キナーゼ及び調節因子、例えばp34cdc2及びサイクリンB(Lottering et al.(1996);Attalla,H.,Makela,T.P.,Adlercreutz,H.and Andersson,L.C. (1996)「2−メトキシエストラジオールはチューブリンを解重合することなく有糸分裂において細胞を停止させる」、Biochemical and Biophysical Research Communications 228,467−473;Zoubine,M.N.,Weston,A.P.,Johnson,D.C.,Campbell,D.R.and Banerjee,S.K.(1999)「エストロゲン応答性MCF−7細胞における2−メトキシエストラジオール誘導の増殖抑制及び致死性はp34cdc2及びサイクリンB1発現の下方調節によって仲介されると考えられる」、Int J Oncol 15,639−646);転写因子調節因子、例えばSAPK/JNK (Yue,T−L.,Wang,X.,Louden,C.S.,Gupta,L.S.,Pillarisetti,K.,Gu,J−L.,Hart,T.K.,Lysko,P.G. and Feuerstein,G.Z.(1997)「内因性エストロゲン代謝産物、2−メトキシエストラジオールは内皮細胞におけるアポトーシスを誘導し、血管新生を阻害する:ストレス活性化プロテインキナーゼシグナル伝達経路及びfas発現に関する役割の可能性」、Molecular Pharmacology 51,951−962;Attalla,H.,Westberg,J.A.,Anderson,L.C.,Aldercreutz,H.and Makela,T.P.(1998)「2−メトキシエストラジオールが誘導するbcl−2のリン酸化:JNK/SAPK活性化からの脱共役」、Biochem and Biophys Res Commun 247,616−619);及び細胞停止及びアポトーシスの調節因子、例えばチューブリン(D’Amato,R.J.,Lin,C.M.,Flynn,E.,Folkman,J.and Hamel,E.(1994)「2−メトキシエストラジオール及び内因性哺乳動物代謝産物は、コルヒチン部位で相互作用することによってチューブリンの重合を阻害する」、Proc. Natl.Acad.Sci.USA 91,3964−3968;Hamel,E.,Lin,C.M.,Flynn,E.and D’Amato,R.J.(1996)「2−メトキシエストラジオール及び内因性哺乳動物代謝産物と解重合されたチューブリン及びチューブリン重合体との相互作用」、Biochemistry 35,1304−1310)、p2lWAF1/CIP1(Mukhopadhyay,T.and Roth,J.A. (1997)「メトキシエストラジオールによる、野生型p53活性化後のヒト肺癌細胞におけるアポトーシスの誘導」、Oncogene 14,379−384)、bcl−2及びFAS(Yue et al.(1997);Attalla et al.(1998))、及びp53(Kataoka,M.,Schumacher,G.,Cristiano,R.J.,Atkinson,E.N.,Roth,J.A.and Mukhopadhyay,T.(1998)「全身性導入遺伝子送達と結合した、腫瘍抑制導入遺伝子産物を上昇させる物質は、インビボで転移性肺癌の増殖を阻害する」、Cancer Res 58,4761−4765;Mukhopadhyay et al.(1997);Seegers,J.C.,Lottering,M−L.,Grobler C.J.S.,van Papendorp,D.H.,Habbersett,R.C.,Shou,Y.and Lehnert B.E.(1997)「哺乳動物代謝産物、2−メトキシエストラジオールは、形質転換細胞ではp53レベル及びアポトーシス誘導に影響を及ぼすが、正常細胞では影響を及ぼさない」、J.Steroid Biochem.Molec.Biol.62,253−267)を含む。cAMPのレベルへの作用、カルモジュリン活性及びタンパク質リン酸化も互いに関連すると考えられる。最近、2MEが、ヒト内皮及び腫瘍細胞系において細胞死受容体5及びカスパーゼ8を上方調節することが示された(LaVallee TM,Zhan XH,Johnson MS,Herbstritt CJ,Swartz G,Williams MS,Hembrough WA,Green SJ,Pribluda VS「2−メトキシエストラジオールは外因性経路の活性化を通して細胞死受容体5を上方調節し、アポトーシスを誘導する」、Cancer Res. (2003)63#2:468−75)。加えて、2ME2は、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)1及びSOD2と相互作用し、それらの酵素活性を阻害することが示された(Huang,P.,Feng,L.,Oldham,E.A.,Keating,M.J.,and Plunkett,W.2000.「癌細胞の選択死滅のための標的としてのスーパーオキシドジスムターゼ」、Nature.407:390−5.)。上述した細胞標的は全て、相互に、活発に分裂している細胞における2MEの阻害作用だけに必ずしも限定されるわけではない。
【0060】
性ホルモン結合グロブリン(「SHBG」)に対する2MEの高い親和性結合は、エストラジオール及び5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールによるシグナル伝達が2MEによって阻害された、前立腺癌のイヌモデルにおけるその効果と機構的に関連付けられてきた(Ding,V.D.,Moller,D.E.,Feeney,W.P.,Didolkar,V.,Nakhla,A.M.,Rhodes,L.,Rosner,W.and Smith,R.G.「性ホルモン結合グロブリンは新規伝達経路を通して前立腺アンドロゲン受容体作用を仲介する」、Endocrinology 139,213−218(1998))。
【0061】
上述したより関連性のある機構が、The New Angiotherapy,Tai−Ping Fan and Robert Auerbach eds.,Human Press Publisherの中のVictor S.Pribluda,Theresa M.LaVallee及びShawn J.Green、「2−メトキシエストラジオール:新規内因性化学療法剤及び抗血管新生剤」において広汎に論じられている。
【0062】
これらの作用機構及び細胞増殖の阻害に関するアッセイは当技術分野において周知である。例えばチューブリン重合活性への作用によって仲介される抗有糸分裂活性は、インビトロでのチューブリン重合及び微小管重合を阻害するエストラジオール誘導体の能力を試験することによって評価できる。微小管重合は、電子温度制御装置を備えたGilford自記分光光度計(250型又は2400S型)において追跡することができる。反応混合物は、典型的には1.0Mグルタミン酸一ナトリウム塩(pH6.6)、1.0mg/ml(10μM)チューブリン、1.0mM MgCl、4%(v/v)ジメチルスルホキシド及び試験する組成物20−75μMを含む。この反応混合物を37℃で15分間インキュベートし、その後氷上で冷却する。2.5mM GTP 10μlの添加後、反応混合物を0℃のキュベットに移し、基線値を確立する。ゼロの時点で、分光光度計の温度制御装置を37℃に設定する。350nmでの混濁度上昇によって微小管重合を評価する。あるいは、その開示が参照してここに組み込まれる、米国特許第5,504,074号、同第5,661,143号及び同第5,892,069号の実施例2に述べられているように透過型電子顕微鏡によって微小管重合の阻害を追跡することができる。
【0063】
他のそのようなアッセイは、組織培養プレート中の細胞の計数あるいは代謝アッセイ又は標識(放射化学的、例えばH−チミジン、又は蛍光標識)又は免疫反応性(BrdU)ヌクレオチドのDNAへの組み込みを通した細胞数の評価を含む。加えて、血管新生活性は、内皮細胞移動、内皮細胞細管形成又はラット大動脈輪などの生体外のモデルにおける血管外殖を通して評価し得る。
【0064】
(適応症)
本発明は、異常細胞分裂及び/又は異常血管新生によって特徴付けられる任意の疾患を治療するために使用できる。そのような疾患は、内皮細胞の異常刺激(例えばアテローム性動脈硬化症);固形腫瘍;白血病などの血液由来腫瘍;腫瘍転移;良性腫瘍、例えば血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ及び化膿性肉芽腫;血管機能不全;異常創傷治癒;炎症性及び免疫性疾患;ベーチェット病;痛風又は痛風性関節炎;慢性関節リウマチに付随する異常血管新生;乾癬などの皮膚疾患;糖尿病性網膜症、及び未熟児網膜症(水晶体後線維増殖症)、黄斑変性、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障及びオースラー‐ウェーバー症候群(オースラー‐ウェーバー‐ランデュ病)などの他の眼血管新生疾患を含むが、これらに限定されない。
【0065】
他の望ましくない血管新生は、排卵及び胞胚の着床を含む正常過程を包含する。上述した組成物は、胚着床のために必要な子宮血管新生を低減する又は妨げることにより、避妊薬として使用することができる。そこで、本発明は、胚着床を妨げるのに十分な量の式I又はIIを女性に投与するとき、有効な避妊法を提供する。避妊法の1つの態様では、胚着床をブロックするのに十分な量の式I又はIIを、性交の前後及び受精が起こる前又は起こった後に投与し、それによって妊娠調節の有効な方法、おそらく「モーニングアフター(事後避妊)」法を提供する。この理論に縛られるのは望むところではないが、子宮内膜の血管新生の阻害は未分化胚芽細胞の着床を妨げると考えられる。卵管の粘膜の血管新生の同様の阻害は未分化胚芽細胞の着床を妨げ、卵管妊娠の発生を予防する。上述した組成物はまた、排卵をブロックするため又は月経をブロックする(無月経を誘発する)ために使用することができる。
【0066】
血管新生に関連する疾患は、本発明に従って治療することができる。そのような疾患は、眼血管新生疾患、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障及び水晶体後線維増殖症、流行性角結膜炎、ビタミンA欠損症、コンタクトレンズ過剰着用、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、翼状片乾性角膜炎、シェーグレン症候群、しゅさ性座瘡、フリクテン症、梅毒、ミコバクテリア感染、脂質変性、化学的熱傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純疱疹感染、帯状疱疹感染、原生動物感染、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁角質溶解、外傷、慢性関節リウマチ、全身性狼瘡、多発性動脈炎、ヴェーゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーヴンズ-ジョンソン病、類天疱瘡、放射状角膜切開、および角膜移植拒絶反応を含むが、これらに限定されない。
【0067】
血管新生に関連する他の疾患は、本発明に従って治療することができる。そのような疾患は、鎌状赤血球貧血、類肉腫、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頚動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、ライム病、全身性エリテマトーデス、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎又は脈絡膜炎を引き起こす感染、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、視神経乳頭小窩、シュタルガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラスマ症及びレーザー後合併症を含むが、これらに限定されない。他の疾患は、ルベオーシス(虹彩及び角の血管新生)に関連する疾患、及び糖尿病に関連するか否かに関わらず、全ての形態の増殖性硝子体網膜症を含む線維血管又は線維組織の異常増殖によって引き起こされる疾患を含むが、これらに限定されない。
【0068】
本発明はまた、横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、神経芽細胞腫及び骨肉腫のいずれか1つ又はそれらの組合せを含むが、これらに限定されない、血管新生依存性癌を治療するためにも使用し得る。本発明によって治療可能な他の血管新生依存性癌は、乳癌、前立腺癌、腎細胞癌、脳腫瘍、卵巣癌、結腸癌、膀胱癌、膵癌、胃癌、食道癌、皮膚黒色腫、肝癌、小細胞及び非小細胞肺癌、精巣癌、腎癌、膀胱癌、子宮頸癌、リンパ腫、上皮小体癌、陰茎癌、直腸癌、小腸癌、甲状腺癌、子宮癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、唇癌、口腔癌、皮膚癌、白血病又は多発性骨髄腫を含むが、これらに限定されない。
【0069】
上述したように、本発明に従って治療できるもう1つの疾患は慢性関節リウマチである。関節の滑膜内層の血管は血管新生を受けると考えられる。新しい血管網を形成することに加えて、内皮細胞は、パンヌス増殖及び軟骨破壊へと導く因子及び反応性酸素種を放出する。血管新生に関与する因子は、慢性関節リウマチの慢性的炎症状態に積極的に寄与し、その維持を助けると考えられる。
【0070】
本発明に従って治療することができる他の疾患は、遺伝性出血性毛細血管拡張症、変形性関節症、慢性炎症、クローン病、潰瘍性大腸炎、バルトネラ症、炎症性又は免疫仲介性腸疾患及び後天性免疫不全症候群である。
【0071】
本発明は、眼血管新生疾患、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖症、流行性角結膜炎、コンタクトレンズ過剰着用、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、翼状片乾性角膜炎、近視、慢性網膜剥離、視神経乳頭小窩、テリエン辺縁変性、過粘稠度症候群、慢性ブドウ膜炎、慢性硝子体炎、推定眼ヒストプラスマ症、網膜炎、脈絡膜炎、増殖性硝子体網膜症、強膜炎、イールズ病、ベスト病、トラコーマ、又はレーザー後合併症を含むがこれらに限定されない、ヒト又は動物における眼状態を治療するために使用することができる。
【0072】
本発明は、慢性関節リウマチ、変形性関節症、潰瘍性大腸炎、クローン病、モーレン潰瘍、関節炎、サルコイドーシス、炎症性又は免疫介在性腸疾患、全身性狼瘡、ヴェーゲナー症候群、スティーヴンズ-ジョンソン病、ベーチェット病、類天疱瘡、ライム病、喘息又は後天性免疫不全症候群を含むがこれらに限定されない、ヒト又は動物における炎症性又は免疫介在性疾患を治療するために使用できる。
【0073】
本発明は、梅毒、細菌感染、ミコバクテリア感染、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純疱疹感染、帯状疱疹感染、原生動物感染、バルトネラ感染症、又はトキソプラスマ症を含むがこれらに限定されない、ヒト又は動物における感染性疾患を治療するために使用できる。
【0074】
本発明は、静脈閉塞、動脈閉塞、頚動脈閉塞性疾患、多発性動脈炎、アテローム性動脈硬化症、オースラー‐ウェーバー‐ランデュ病、鎌状赤血球貧血、白血病、骨髄の急性又は慢性腫瘍性疾患、血管腫、遺伝性出血性毛細血管拡張症、骨髄の疾患、貧血、血液凝固障害、あるいはリンパ節、肝臓又は脾臓の腫脹を含むがこれらに限定されない、ヒト又は動物における血液又は血管疾患を治療するために使用できる。本発明はまた、多発性骨髄腫及び骨髄形成異常症候群を含むがこれらに限定されない、骨髄の慢性腫瘍性疾患を治療するためにも使用できる。
【0075】
本発明は、異常創傷治癒、しゅさ性座瘡、皮膚の化学的熱傷、皮膚炎又は乾癬を含むがこれらに限定されない、ヒト又は動物における皮膚状態を治療するために使用できる。
【0076】
加えて、本発明は、様々な閉経後症候群、骨粗しょう症、心臓血管疾患、心筋血管新生、プラーク血管新生、血友病性関節、血管線維腫、創傷肉芽化、腸癒着、強皮症、過形成性瘢痕、すなわちケロイドを治療するために使用することができる。それらはまた、ネコ引っ掻き病及びヘリコバクターピロリ性潰瘍などの、病的結果としての血管新生を有する疾患の治療においても有用である。本発明はまた、アルツハイマー病を治療するため、発作の発生率を低下させるため、及び事前のエストロゲン置換療法の代替法として使用することができる。本発明の化合物は、エストロゲン様及び非エストロゲン様生化学経路によって作用することができる。
【0077】
加えて、本発明の化合物は子宮内膜症を治療するために使用できる。子宮内膜症は子宮内膜細胞の異常増殖である;子宮の内層を覆う前記細胞は、月経過程で毎月流出される。不規則な子宮内膜細胞は、下腹部の盲嚢、直腸膣中隔、胃、卵管、卵巣及び膀胱などの領域に位置し得る。月経の間、正常な子宮内層は剥がれ落ち、膣を通って排泄されるが、移植された子宮内膜組織は身体から出て行く手段を持たない。その代わりに子宮内膜組織と細胞はその位置する場所で癒着し、増殖する。その結果は、内出血、炎症及び瘢痕化である。子宮内膜瘢痕化の深刻な影響の1つは不妊症である。子宮内膜増殖は一般に悪性又は癌性ではない。その他の合併症の中でも特に、増殖は子宮内膜を断裂することがあり、子宮内膜症を下腹部の新しい領域へと拡大し得る。子宮内膜症は進行性疾患である。増殖及び病巣は、最初は透明な小胞として認められ、その後赤くなり、最終的には7−10年の期間にわたって黒色病巣へと進行する。
【0078】
(薬剤)
また、薬剤又はプロドラッグが持続放出のために生分解性又は非生分解性高分子中に製剤されている、式I又はIIの化合物又は薬剤又はそのプロドラッグから成る移植片又は他の装置も本発明によって考慮される。非生分解性高分子は、高分子自体は分解せずに物理的又は機械的過程を通して制御された方法で薬剤を放出する。生分解性高分子は、体内の自然過程によって徐々に加水分解されるか又は溶解されるように設計され、混合薬剤又はプロドラッグの緩やかな放出を可能にする。薬剤又はプロドラッグは、高分子に化学的に結合するか又は混合することによって高分子中に組み込むことができる。生分解性及び非生分解性高分子及び薬剤を制御放出のために高分子中に組み込む方法は当業者に周知である。そのような高分子の例は、Brem et al.,J.Neurosurg 74:pp.441−446(1991)などの、多くの参考文献中に見出すことができる。これらの移植片又は装置は、送達を所望する付近、例えば腫瘍又は狭窄の部位に移植することができる。
【0079】
天然成分として体内で形成されないいかなる物質も、血栓形成又は痙攣による血管閉鎖などの極端な不慮の応答を惹起することがあるため、及び血管ステントの挿入行為による血管への損傷は血管表面に対して極端且つ過度に有害であり得るので、そのような事象に対して保護することが賢明である。再狭窄は、血管形成術又はステント処置などの治療が既に行われた同じ部位での動脈の再狭窄又は閉塞である。動脈に設置されたステント内で再狭窄が起こる場合は、専門的に「ステント内再狭窄」と呼ばれ、その結末は、最終的に血流をブロックし得る物質の蓄積によって引き起こされる動脈内の狭窄である。本発明の一部である化合物は、再狭窄を予防するために血管ステントを被覆するのに特に有用である。被覆物は、好ましくは本発明の化合物の緩やかな放出を可能にし、それによって再狭窄事象を予防する、生分解性又は非生分解性高分子である。
【0080】
本発明はまた、抱合プロドラッグ及びその使用に関する。より詳細には、本発明は、式I又はIIの化合物などのステロイド化合物の抱合体、及び癌などの血管新生増強又は細胞分裂加速に関連する状態、及び喘息及び慢性関節リウマチなどの炎症状態、及び乾癬を含む過増殖性皮膚疾患の予防又は治療におけるそのような抱合体の使用に関する。本発明はまた、本発明のプロドラッグを含む組成物及び前記プロドラッグを合成する方法に関する。
【0081】
1つの態様では、本発明は、生物活性調節剤に抱合した、エストラジオール化合物、好ましくは式I又はIIの化合物の抱合プロドラッグを提供する。
【0082】
あるいは、本発明の従った抱合プロドラッグは、ペプチド部分に抱合した式I又はIIの化合物を含む。
【0083】
式I又はIIの化合物などのエストラジオール化合物の疾患依存性活性化プロドラッグへの組み込みは、この抗癌及び抗炎症薬の効力及び選択性の有意の改善を可能にする。
【0084】
本発明の化合物に加えて、本発明の医薬組成物はまた、上記で言及した1又はそれ以上の疾患状態を治療する上で価値のある1又はそれ以上の薬理学的物質も同時に含み得るか又は同時投与(同時に又は連続的に)し得る。
【0085】
当業者は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 17版などの標準テキスト参照することにより、どのようにして製剤を作製すべきか及びこれらをどのようにして投与し得るかを決定することができる。
【0086】
本発明のさらなる態様では、血管新生又は細胞分裂加速もしくは炎症に関連する状態の予防又は治療のための薬剤を製造するための、本発明に従った式I又はIIの化合物又はそのプロドラッグの使用が提供される。
【0087】
本発明のさらなる態様では、製薬上許容される担体、希釈剤又は賦形剤と共に、本発明に従った式I又はIIの化合物又はそのプロドラッグを含有する医薬組成物が提供される。
【0088】
前記医薬組成物は、血管新生又は細胞分裂加速又は炎症に関連する状態の予防又は治療のために使用し得る。
【0089】
本発明のさらなる態様では、血管新生又は加速された又は高い量の細胞分裂肥大増殖又は炎症に関連する状態の予防又は治療の方法が提供され、前記方法は、ここで述べた様に、そのような予防又は治療を必要とする患者に本発明に従った式I又はIIの化合物又はそのプロドラッグの有効量を投与することを含む。前記状態の予防又は治療は、前記状態の改善を含むことが了解されるべきである。
【0090】
「有効量」とは、治療上又は予防上有効な量を意味する。そのような量は、治療する状態、投与経路及び他の関連因子を考慮に入れて、当業者によって容易に決定され得る。そのような当業者は、適切な用量、投与方式及び頻度を容易に決定することができる。
【0091】
式I又はIIの化合物の製薬上許容される塩は、例えば遊離塩基と酸から、従来の方法で製造され得る。式I又はIIのインビボ加水分解性エステル、アミド及びカルバメートは従来の方法で製造され得る。
【0092】
(投与)
上述した組成物は、公知の手法を用いて生理的に許容される製剤として提供することができ、これらの製剤は標準的な経路によって投与することができる。一般に、配合剤は局所、経口、直腸又は非経口(例えば静脈内、皮下又は筋肉内)経路によって投与し得る。加えて、配合剤は、持続放出を可能にする高分子中に組み込んでもよく、前記高分子を、送達を所望する付近、例えば腫瘍部位又は眼内又は眼の近くに移植する。組成物の用量は、治療する状態、使用する特定誘導体、及び患者の体重及び状態などの他の臨床因子、及び化合物の投与経路に依存する。しかし、ヒトへの経口投与に関しては、0.01−100mg/kg/日、特に0.01−20mg/kg/日の用量が一般に好ましい。
【0093】
本発明に従った製剤は、錠剤、カプセル、ロゼンジ、カシェ剤、溶液、懸濁液、乳剤、粉末、エアロゾル、坐薬、スプレー、香錠、軟膏、クリーム、ペースト、泡、ゲル、タンポン、膣坐薬、顆粒、ボーラス、うがい薬、又は経皮パッチの形態で投与することができる。
【0094】
製剤は、経口、直腸、鼻、吸入、局所(皮膚、経皮、口腔及び舌下を含む)、膣、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、眼内、気管内及び硬膜外を含む)又は吸入投与に適するものを含む。製剤は、好都合には単位投与形態で提示され、従来の製薬手法によって製造され得る。そのような手法は、有効成分と製薬担体又は賦形剤を結合する工程を含む。一般に、製剤は、有効成分を液体担体又は微細分割固体担体又はその両方と均一且つ密接に結合すること、及びその後、必要に応じて、製品を成形することによって製造される。
【0095】
経口投与に適する本発明の製剤は、各々があらかじめ定められた量の有効成分を含有するカプセル、カシェ剤又は錠剤などの個別単位として;粉末又は顆粒として;水性液体又は非水性液体中の溶液又は懸濁液として;又は水中油型乳剤又は油中水型乳剤等として、提示され得る。
【0096】
錠剤は、場合により1又はそれ以上の補助成分と共に、圧縮又は成形することによって作られ得る。圧縮錠剤は、適切な機械で、場合により結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、界面活性剤又は分散剤と混合した、粉末又は顆粒などの自由流動形態の有効成分を圧縮することによって製造され得る。成形錠剤は、適切な機械で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することによって作られ得る。錠剤は、場合により被覆するか又は割線を入れてもよく、組成物の中の有効成分の緩やかな又は制御された放出を提供するように製剤され得る。
【0097】
口腔内の局所投与に適する製剤は、風味をつけた基剤、通常はスクロースとアカシア又はトラガカント中に成分を含有するロゼンジ;ゼラチンとグリセリン、又はスクロースとアカシアなどの不活性基剤中に有効成分を含有する香錠;及び適切な液体担体中に投与する成分を含有するうがい薬を含む。
【0098】
皮膚への局所投与に適する製剤は、製薬上許容される担体中に投与する成分を含有する軟膏、クリーム、ゲル及びペーストとして提示され得る。好ましい局所送達システムは、投与する成分を含有する経皮パッチである。
【0099】
直腸投与のための製剤は、例えばココアバター又はサリチル酸塩を含む適切な基剤を有する坐薬として提示され得る。
【0100】
担体が固体である、鼻投与に適する製剤は、嗅剤が摂取されるように、すなわち鼻の間近に保持された粉末の容器から鼻経路を通る迅速な吸入によって投与される、例えば20−500ミクロンの範囲の粒径を有する粗い粉末を含む。例えば鼻スプレー又は点鼻薬としての投与のための、担体が液体である適切な製剤は、有効成分の水性又は油性溶液を含む。
【0101】
膣投与に適する製剤は、有効成分に加えて、当技術分野において適切であることが知られる担体などの成分を含有する膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡又はスプレー製剤として提示され得る。
【0102】
吸入に適する製剤は、有効成分に加えて、当技術分野において適切であることが知られる担体などの成分を含有するミスト、微粉、粉末又はスプレー製剤として提示され得る。
【0103】
非経口投与に適する製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬及び製剤を意図する受容者の血液と等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性無菌注射溶液;及び懸濁化剤及び増粘剤を含有し得る水性及び非水性無菌懸濁液を含む。製剤は、単位用量又は多回用量容器、例えば密封アンプル及びバイアル中で提供することができ、使用の直前に、無菌液体担体、例えば注射用蒸留水を添加するだけでよい凍結乾燥状態で保存され得る。即時調製注射溶液及び懸濁液は、先に述べた種類の無菌粉末、顆粒及び錠剤から調製し得る。
【0104】
好ましい単位投与製剤は、投与成分の、ここで上記に言及したような1日量、1日サブ用量、又はその適宜分割量を含有するものである。
【0105】
上記で詳細に挙げた成分に加えて、本発明の製剤は、対象製剤の種類を考慮して当技術分野において慣例的な他の物質を含んでもよく、例えば経口投与に適するものは、香味料を含み得る。
【0106】
本発明は、式I又はIIの化合物を投与することにより、病的血管新生を特徴とする哺乳動物疾患を治療するための組成物及び方法を含む。2−メトキシエストラジオール及びその誘導体は、2位、3位及び17位で又はそれらの組合せで修飾されている。5個の結合を含む炭素原子などの、物理的に不可能な組合せは本発明では考慮されない。
【0107】
100%純粋な異性体は本発明によって考慮されるが、立体化学的異性体(α又はβ、あるいはR又はSと称される)は、当業者によって化学的に可能である場合、両者のいかなる比率の混合物であってもよい。また、Patani and Lavoie(“Bioisosterism:a rational approach in drug design”Chem.Rev.(1996)p.3147−3176)によって述べられており、当業者に周知であるような、古典的及び非古典的生物学的等価原子及び置換基による置換も本発明によって考慮される。そのような生物学的等価置換は、例えば=S又は=NHによる=Oの置換を含むが、これらに限定されない。
【0108】
(改善されたエストラジオール誘導体の合成)
本発明に従って使用される公知の化合物及び本発明に従った新規化合物の前駆物質は、例えばSigma Chemical Co.,Steraloids又はResearch Plusから購入することができる。本発明に従った他の化合物は、公的に入手可能な前駆物質から公知の方法に従って合成することができる。
【0109】
エストラジオールの2位は、米国特許第6,136,992号(2000)(参照してここに組み込まれる);Siya Ram et al.,2−アルコキシエストラジオール及びその誘導体(参照してここに組み込まれる);参照してここに組み込まれる、Cushman et al.,J.Med.Chem.(1995)38,2041−2049;Cushman,et.al.,J.Med.Chem.(1997)40,2323−2334;米国特許第6,448,419号(2002);Paaren et al.,Wang et al,Synthetic Comm 1998,28,4431,Cushman et al.,J.Med.Chem.1995,38,2041,Cushman et al.,J.Med.Chem.2002,45,4748)、又は他の公表文献に述べられているような、公知の方法に従って修飾することができる。
【0110】
本発明によって開示される一連の類似体についての合成経路をスキーム1−6に要約する。スキーム1−4は、三置換型類似体のための前駆物質として必要な一置換及び二置換鋳型の製造を示す。スキーム3及び5は、どのようにして鋳型から3−カルボキサミドを製造することができるかを示す。これらの合成経路はこのシリーズの類似体を製造するための1つの可能な方法であり、他の合成経路(合成工程の順序又は試薬を変更することを含む)も当業者には可能である。
【0111】
スキーム1では、市販されているか又は文献の方法によって容易に製造することができる、2−メトキシ、2−エトキシ又は2−プロピニル誘導体を、オペナウアー酸化を用いて酸化する。生じたケトンを、ウォルフ‐キッシュナー還元を用いて脱酸素化するか(Shapiro R.J.et al.,J.Org.Chem.1964,86,2825−2832)又はウィッティヒ反応を用いてオレフィン化することができる(Schow et al.,J.Org.Chem.1979,44,22;Krubner et al.,J.Org.Chem.1968,33,1715)。17−メチレン及び17−エチレンエストラン類似体は、接触還元(活性炭担持パラジウム、H)を用いてアルカンに還元することができる。
【0112】
特定の場合、所望生成物に達するために保護基の性質又は反応の順序を変更しなければならないことがあり得る。一般的合成スキームへのこれらの変更は、当業者には十分に理解される。例えば所望の2−官能基がプロピンであり、所望の17−官能基がアルキル基である場合、2−アルキンも還元されるので17−オレフィンに関して接触水素化を実施することはできない。スキーム2は、類似体18を製造するための合成経路を示す。この実施例では、エストロンから出発してスキーム1におけるように17−メチルを導入し、その後文献の方法(Cushman et al.,J.Med.Chem.2002,45,4748)を用いて2−プロピンを組み込む。
【0113】
スキーム3は、化合物33−38の製造を明示する。2−メトキシエストラジオールは、4−ニトロフェニルトリフルオロスルホネートを用いて選択的に3−トリフラート2−メトキシエストラ−17−オールに変換することができる(J.Org.Chem. 1999,64,178)。17−ヒドロキシは、塩化スルファモイルと水素化ナトリウム(Howarth et al.,J.Med.Chem.1994,37,219)又は2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(Coibanu et al.,J. Med.Chem.1999,42,2280)のいずれかでスルファメートに変換するか又はウィリアムソンエーテル合成を用いてアルキル化することができる。エーテル又はスルファメートは、次に、モレラ法(Morera procedure)(Tetrahedron Letters,1998,39,2835−2838)を用いてカルボキサミドに変換することができる。トリフラートは多用途の合成中間体であり、広い範囲の官能基を3位に組み込むために使用できる。カルボキサミドへの選択的経路はカルボン酸を利用することもでき(Shi et al.,Chem.& Biol.2001,8,501);その後、塩化チオニルとアンモニアガスでカルボキサミドに変換することができる(Tomas de,Paulis,et.al.,J.Med.Chem.1986, 29,61)。あるいは、アンモニアでカルボキサミドに変換できるエステルを使用することができる。ニトリル(Weissman et al.,J.Org.Chem.2005,70,1509)をアミドに変換することもできる(加水分解:NaOH及びH)。一般的に言えば、アリールハロゲン化物及びトリフラートは、ここで考慮するようなパラジウム触媒反応において交換可能である。
【0114】
スキーム4は、シャピロ反応を用いた2−メトキシ−1,3,5(10)16−エストラテトラエン−3−オールの製造のための1つの可能な経路を明らかにする。参照してここに組み込まれる、米国特許第5,783,571号参照。
【0115】
スキーム5は、トリフルオロメタンスルホン酸無水物とピリジンを用いて鋳型4−12、16、17、23及び39−41を対応するトリフラートに変換する1つの可能な経路を明らかにする(Echvarren et al.,J.Am.Chem.1987,109,5478)。これらのトリフラートは、上述したモレラ法を用いてそれぞれのカルボキサミドに変換することができる。ケトン54、55及び56は、スキーム6に示すような水素化ホウ素ナトリウムによる穏やかな還元によって17−ヒドロキシ類似体に変換できる。
【0116】
当業者には、これらの化合物を製造するために使用できる多数の選択的合成経路が存在する。上記で論じた合成経路を実施したが、これらの経路が当業者に使用可能唯一の実行可能経路というわけではない。これらの化合物は全てエストロン又はエストラジオールから製造でき、数多くの可能な反応の中でも特に、バートン脱酸素化、クレメンセン還元、テッベ反応及びアルコール脱水などの他の反応が、17−修飾を組み込むために使用できる。カルボキサミド及びエステルは、公知の化学的又は酵素的アミド化手法を用いて対応するカルボン酸から製造することができる。
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【0117】
(実験実施例)
代表的オッペナウアー酸化:2−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン(4)の製造
2−メトキシエストラジオール(スキーム1、化合物1)(10g、33.1mmol)を、25mLディーン‐スタークトラップ及び還流冷却器を備えた1L丸底フラスコに入れた。あらかじめ装置全体をアルゴン雰囲気下でフレーム乾燥しておいた。トルエン(400mL)を添加して出発物質を溶解した。アルミニウムイソプロポキシド(34.6g、169mmol)及びシクロヘキサノン(135mL、1.3mol)を添加し、反応混合物全体を還流で(145℃−150℃)20時間加熱した。反応混合物を室温に冷却した後、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(200mL)を添加した。有機物質をジクロロメタン(3×300mL)で抽出した。水性乳濁液を、乳濁液が分離するまで3N HCl(〜20mL)で酸性にし、水層を酢酸エチル(2×75mL)で抽出した。併合有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、回転減圧蒸発器を用いて凝縮した。真空蒸留によってシクロヘキサノン及びシクロヘキサノールを除去した。蒸留ポットが十分に冷却したとき、ヘキサンを添加し、2−メトキシエストロン(スキーム1、化合物4)を溶液から沈殿させた。生成物7.72g(25.7mmol、78%)を得た。
【化8】

【0118】
代表的ウォルフ‐キッシュナー還元:2−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(7)の製造
2−メトキシエストロン(スキーム1、化合物4)(450mg、1.5mmol)を、エチレングリコール(10mL)及びn−ブタノール(2mL)に懸濁した。ヒドラジン水和物(0.145mL、3mmol)を添加し、この混合物を130℃に1時間加熱した。反応物を70℃に冷却し、KOH(253mg、4.5mmol)を添加して、その後反応物を200℃で1時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、氷に注ぎ入れて、HCl(6N、6mL)を添加した。生じた固体をろ取した。固体をアセトンに溶解し、次にそれを蒸発させて、生成物(スキーム1、化合物7)(310mg、72%収率)を得た。
【化9】

【0119】
代表的ウィッティヒオレフィン化:17(20)−メチレンエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(10)の製造
カリウム−tert−アミレート(1.54M、トルエン、4.35mL、6.69mmol)(Schow et al.,J.Org.Chem.1979,44,3760におけるように製造)(カリウム−tert−ブトキシドは選択的塩基である)を、無水ベンゼン中の臭化メチルトリフェニルホスホニウム(2.39g、6.69mmol)の懸濁液に添加し、30分間還流した。温かいベンゼン(5mL)中の2−メトキシエストロン(スキーム1、化合物4)(300mg、1mmol)を添加し、この混合物を3時間還流した。反応物を室温に冷却し、水100mL中に注ぎ入れて、エーテル(2×100mL)で洗浄した。併合有機物を6M HCl(1×100mL)、NaHCO(飽和、1×100mL)、水(1×100mL)、及びブライン(1×100mL)で洗浄した。次に併合有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、回転減圧蒸発させて、半固体の黄色がかった油を得た。この生成物を、95:5のクロロホルム:メタノールを溶離液として用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。17(20)−メチレンエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(スキーム1、化合物10)220mg(0.738mmol、73%収率)を得た。
【化10】

【0120】
代表的シャピロ反応(スキーム4):
2−メトキシエストロンp−トルエンスルホニルヒドラゾンの製造
2−メトキシエストロン(スキーム4、化合物4)(1.011g、2.3mmol)及びp−トルエンスルホニルヒドラジド(775mg、4.17mmol)を、フレーム乾燥した50ml丸底フラスコ中の無水メタノール(10mL)に溶解した。この混合物を24時間還流し、その後内容物を50mlエーレンマイヤーフラスコに移して、室温に冷却した。減圧下で蒸発を除去して橙色がかった泡を得、それを、さらなる精製を行わずに使用した(1.5757g、定量的収率)。
【化11】

【0121】
2−メトキシ−1,3,5(10)16−エストラテトラエン−3−オール(39)の製造
2−メトキシエストロンp−トシルヒドラゾン(1.5757g、3.3mmol)を、フレーム乾燥した250mL丸底フラスコ中の無水テトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、−10℃に冷却した。この混合物を攪拌し、n−ブチルリチウム(5.3mL、ヘキサン中2.5M)を滴下した。この混合物を3日間にわたって室温に暖めた。氷(〜5g)を加え、次いで飽和塩化アンモニウム(〜50mL)を加えた。この混合物を250mL分液漏斗に移し、振とうして、分離した。水層をエーテル(50mL)で洗浄し、有機物を併合した。有機物を飽和重炭酸ナトリウム(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して、減圧下で溶媒を除去した。生じた固体をアセトン(〜10mL)に溶解し、溶媒を減圧下で2回除去した。結晶性2−メトキシ−1,3,5(10)16−エストラテトラエン−3−オール(スキーム4、化合物39)を得た(845mg、90%収率)。
【化12】

【0122】
トリフルオロメタンスルホン酸エステルの代表的製造:
2−メトキシ−17−オキソエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−イル(トリフルオロメチル)スルホネート(42)の製造
オーバーヘッド攪拌器、滴下漏斗及び窒素注入口を取り付けた2L三つ口丸底フラスコに、2−メトキシエストロン(スキーム5、化合物4)(35g、0.116mmol)、無水塩化メチレン(1300mL)及び無水ピリジン(330mL)を負荷し、氷水浴で外部から冷却した。次にトリフルオロメタンスルホン酸無水物(32.5mL、0.193mol)を1時間にわたって滴下し、その間温度を5℃以下に維持した。混合物をさらに1時間攪拌し、1N HCl(2L)に注ぎ入れた。有機層を除去して、水層をさらなる塩化メチレン(300mL)で抽出し、併合有機層を1N HCl(2L)で抽出した。水層を塩化メチレン(300mL)で抽出し、全併合有機層を1N HCl(1L)で洗って、この時点で水相のpHは酸性であった(pH試験紙)。有機層をブライン(1L)で洗浄し、硫酸ナトリウム(370g)で乾燥した。シリカゲル60(150g)の栓を通しての吸引ろ過及び濃縮によって褐色の泡(39.7g)を得、それを、シリカゲル60 550gを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、3:1のヘキサン/塩化メチレン(2L)、次いで塩化メチレン(4L)で溶出した。生成物を含む分画を濃縮し、2−メトキシ−17−オキソエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−イル(トリフルオロメチル)スルホネート(スキーム5、化合物42)36.05g(72%)を白色固体として得て、それを、さらなる精製を行わずに使用した。
【化13】

【0123】
2−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−イル(トリフルオロメチル)スルホネート(45)の製造
オーバーヘッド攪拌器、窒素注入口を備えるクライゼンアダプターと熱電対プローブ、及び隔壁を取り付けた2L三つ口丸底フラスコに、2−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(スキーム5、化合物7)(18g、62.84mmol)、無水ジクロロメタン(750mL)及びピリジン(170mL)を負荷した。生じた溶液を窒素下で攪拌し、氷水浴を用いて外部から冷却して、内部反応温度を2℃以下に維持しながらトリフルオロメタンスルホン酸無水物(16mL、94.26mmol)で1時間半にわたって処理した。生じた暗色混合物をさらに1時間攪拌し、この時点でTLC分析(ジクロロメタン)は、出発物質の完全な喪失と新しい上部Rスポットの形成を指示した。反応混合物を1N塩酸(2000mL)に注ぎ入れ、相を分配した。水相をジクロロメタン(2×300mL)で抽出し、併合有機層をブライン(200mL)で洗って、硫酸ナトリウム(500g)で乾燥し、ろ過して、濃縮乾固し、1:1ジクロロメタン−ヘキサンの混合物に溶解して、シリカゲル60(150g)の栓を通して吸引ろ過し、さらなる1000mLの同じ溶媒系で溶出した。無色ろ液を濃縮し、高圧(1トル)下に環境温度で恒量に乾燥した後、所望化合物(スキーム5、化合物45)24.3g(92%)を得た。この化合物を、さらなる精製を行わずに次の工程で使用した。
【化14】

【0124】
2−メトキシ−17−メチレンエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−イル(トリフルオロメチル)スルホネート(48)の製造
オーバーヘッド攪拌器、滴下漏斗、窒素注入口及び温度プローブを取り付けた3L三つ口丸底フラスコに、17(20)−メチレンエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(スキーム5、化合物10)(47.0g、0.158mol)、無水塩化メチレン(1.75L)及び無水ピリジン(450mL)を負荷し、次に氷水浴で外部から冷却した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(40.0mL、0.238mol)を1時間にわたって滴下し、その間温度を5℃以下に維持した。さらに4時間後、TLC分析は、出発物質の完全な変換(新しい上部Rスポット、塩化メチレン)を指示した。反応混合物を1N HCl(3L)に注ぎ入れた。有機層を除去し、水層を塩化メチレン(3×500mL)で抽出して、併合有機層を1N HCl(2L)で抽出した。水層を塩化メチレン(500mL)で抽出し、併合有機層を1N HCl(1L)で洗浄した。水層を塩化メチレン(500mL)で抽出し、この時点で水相のpHは酸性であった(pH試験紙)。併合有機層をブライン(1L)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。シリカゲル(305g)の栓を通しての吸引ろ過及び濃縮によって、トリフラート(スキーム5、化合物48)66.1g(97%)を黄色固体として得た。
【化15】

【0125】
2−メトキシ−3−トリフリック−1,3,5(10)16−エストラテトラエン(51)の製造
2−メトキシ−1,3,5(10)16−エストラテトラエン−3−オール(スキーム5、化合物39)(2.258g、8.89mmol)を無水ジクロロメタン(80mL)及び無水ピリジン(22mL、272mmol)に溶解し、0℃に冷却した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(12.6mL、74.6mmol)を滴下し、この混合物を、室温に温めながら18時間攪拌した。この混合物を水(200mL)に注ぎ入れ、ジクロロメタン(2×200mL)で洗浄した。有機物を2M HCl(2×200mL)、水(200mL)及びブライン(200mL)で洗浄した。有機物をNaSOで乾燥し、ろ過して、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をBiotage FLASH SiOカラム(99:1 ヘキサン:酢酸エチル)で精製した。2−メトキシ−3−トリフリック−1,3,5(10)16−エストラテトラエン(スキーム5、化合物51)3.195gを得た(7.68mmol、86%収率)。
【化16】

【0126】
代表的カルボキサミド化:
(Tetrahedron Lett 1998 39,2835−2838に基づく一般的手順)
2−メトキシ−17−オキソエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−カルボキサミド(54)の製造
オーバーヘッド攪拌器、還流冷却器、窒素注入口及び熱電対を供えた1L三つ口丸底フラスコに、2−メトキシ−17−オキソエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−イル(トリフルオロメチル)スルホネート(スキーム5、化合物42)(15g、34.7mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(1.54g、3.73mmol)、塩化パラジウム(II)(0.33g、1.9mmol)、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(31mL、150mmol)及び無水ジメチルホルムアミド(110mL)を負荷した。5分間攪拌しながら一酸化炭素を前記黄色溶液に通気した。反応物を一酸化炭素雰囲気下で(バルーン)110℃に加熱し、15時間攪拌した。この期間中に反応物は暗色になった。メタノール(25mL)で処理して反応を停止させ、10分間攪拌した。混合物を酢酸エチル(1L)に注ぎ入れ、2N硫酸(750mL)で洗浄した。水層を酢酸エチル(2×500mL)で抽出し、併合有機層を2N硫酸(250mL)及び飽和重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)で洗って、その後硫酸ナトリウム500gで乾燥した。この混合物を、シリカゲル60(67g)の床を通して吸引ろ過し、濃縮乾固して、粗生成物(11.2g、98%収率)を得た。この粗物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60 360g、塩化メチレン、次に1:5 酢酸エチル/塩化メチレンで溶出)によって精製した。純粋な分画(R=0.3、1:5 酢酸エチル/塩化メチレン、UV検出)を濃縮し、50℃の真空炉で乾燥して、残留溶媒を除去し、純粋な生成物(スキーム5、化合物54)(4.97g、44%収率)をオフホワイト色から淡黄色の固体として得た。
【化17】

【0127】
(2−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−イル)−3−カルボキサミド(57)の製造
オーバーヘッド攪拌器、熱電対プローブと一酸化炭素注入口を備えるクライゼンアダプター、及び真空注入口を取り付けた500mL丸底フラスコに、2−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−イル(トリフルオロメチル)スルホネート(スキーム5、化合物45)(24g、57.35mmol)、無水ジメチルホルムアミド(185mL)、塩化パラジウム(II)(0.500g、2.87mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(2.37g、5.74mmol)、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(48mL、229mmol)を負荷した。生じた黄色溶液を攪拌し、排気して、一酸化炭素(バルーン)を数回流し、その後12時間102℃に加熱した。さらなる塩化パラジウム(II)(0.500g)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(2.40g)、及びヘキサメチルジシラザン(30mL)を添加し、混合物を再排気して、一酸化炭素を負荷し、さらに12時間102℃で加熱した。メタノール(50mL)を添加し、数分後、暗色溶液を酢酸エチル(1000mL)と2N硫酸(1000mL)で分配した。水相を酢酸エチル(2×250mL)で抽出し、併合有機抽出物をさらなる硫酸(500mL)で洗って、水相を酢酸エチル(2×250mL)で逆抽出し、全併合暗色有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)で洗って、硫酸ナトリウム(400g)で乾燥した。シリカゲル60(136g)の栓を通しての吸引ろ過及び濃縮によって粗生成物19gを赤色ペーストとして得た。これを、シリカゲル430gを用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、10%酢酸エチル−ジクロロメタンで溶出した。生成物を含む分画を濃縮し、アセトン中にとって、再濃縮した(2×2000mL)。この黄色固体をn−ヘプタン(200mL)中で一晩スラリーにし、吸引ろ過によって単離した。残留溶媒を除去し、70℃、0.5トルの真空炉で3時間かけて恒量に乾燥して、(スキーム5、化合物57)5.07g(全体で28%)をオフホワイト色粉末として得た。
【化18】

【0128】
2−メトキシ−17−メチレンエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−カルボキサミド(60)の製造
オーバーヘッド攪拌器、熱電対及び窒素注入口を供えた250mL三つ口フラスコに、2−メトキシ−17−メチレンエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−イル(トリフルオロメチル)スルホネート(スキーム5、化合物48)(20.0g、46.5mmol)、塩化パラジウム(II)(0.41g、2.3mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(1.9g、4.6mmol)、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(38.8mL、186mmol)及び無水ジメチルホルムアミド(150mL)を負荷した。生じた橙色溶液を排気し、窒素を3回逆充填して、その後排気し、一酸化炭素を3回逆充填した。反応物を100℃に加温し、一酸化炭素雰囲気下で(バルーン)18時間攪拌して、この期間中に溶液は暗赤色になった。熱を除去し、メタノール(40mL)を添加して、10分間攪拌した。溶液を酢酸エチル(1L)に注ぎ入れ、2N HSO(1L)で抽出した。水層を酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。酢酸エチル抽出物の各々を2N HSO(500mL)で洗浄した。併合有機相を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(1L)で洗って、硫酸ナトリウム(500g)で乾燥した。この懸濁液を、シリカゲル60(102g)の床を通して吸引ろ過し、ろ液を濃縮乾固して、粗生成物(スキーム5,化合物60)16.02g(106%回収率)を得た。この粗生成物を、塩化メチレン(2L)、次に2%メタノール−塩化メチレン(4L)、次に4%メタノール−塩化メチレン(4L)で溶出するシリカゲル60(500g、フラッシュカラム)で精製した。クロマトグラフィーは全ての不純物を除去することができなかったので、生成物を含む分画を併合し、濃縮乾固して、塩化メチレン(2L)、次に1:5 酢酸エチル−塩化メチレンで溶出するシリカゲル60(500g、フラッシュカラム)で再精製した。純粋な分画(TLC、1:5 酢酸エチル/塩化メチレン、R=0.3、UV検出)を濃縮し、80℃の真空炉で乾燥して、(スキーム5、化合物60)12.3g(全体で81%)を明黄色固体として得た。塩化メチレンの除去によって(スキーム5、化合物60)11.36g(全体収率75%)を明黄色固体として得た。
【化19】

【0129】
2−メトキシ−1,3,5(10)16−エストラテトラエン−3−カルボキサミドの製造
2−メトキシ−3−トリフリック−1,3,5(10)16−エストラテトラエン(スキーム5、化合物51)(3.195g、7.68mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(25mL)に溶解した。次に塩化パラジウム(II)(68mg、0.384mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(316mg、0.768mmol)及び1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(6.65mL、30.72mmol)を添加し、COガスをこの溶液に5分間通気した。反応フラスコを還流冷却器に取り付け、COを満たしたバルーンを上部に取り付けた。黄色がかった混合物を100℃の油浴に入れ、18時間混合して、この期間中に反応物は赤味がかった紫色になった。反応フラスコを室温に冷却し、メタノール(3.5mL)を添加して、10分間攪拌した。混合物を酢酸エチル(300mL)に注ぎ入れ、HSO(2N、200mL)で洗浄した。水層を酢酸エチル(2×150mL)で洗い、併合有機層をHSO(2N、150mL)で洗浄した。有機物を飽和NaHCO(2×100mL)で洗い、NaSOで乾燥して、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をBiotage FLASH SiOカラム(1:1 ヘキサン:酢酸エチル)を用いて精製した。カラムから得た生成物をアセトンに溶解し、減圧下で溶媒を除去して、3−カルボキサミド−2−メトキシ−1,3,5(10)16−エストラテトラエン(スキーム5、化合物63)1.718g(5.52mmol、72%収率)を得た。
【化20】

【0130】
(実験データ)
以下の実施例は、以下の一般式:
【化21】

【0131】
[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)、>C(H)−CH、>C=CH、>C=CHCH(シス又はトランス)、>C=O、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル又は>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]
の化合物に関する。本発明において有用な前記属からの好ましい種は、表1に示す化合物を含むが、これらに限定されない。
【表1】

【0132】
上記表1に示す化合物に関して、アルキルは、1−10個の炭素を含む、飽和又は不飽和であり得る、線状、分枝及び/又は環状(又はそれらの組合せ)炭化水素鎖と定義される。
【0133】
表1からの前記化合物の各々は、抗有糸分裂特性、抗血管新生特性、抗腫瘍特性又はそれらの組合せを有することが認められる。
【0134】
(実施例1)
増殖の阻害及びエストロゲン性の測定としてインビトロで測定した抗腫瘍及び抗血管新生作用
細胞培養:ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)は、Clonetics(San Diego,CA)から入手し、MCF7細胞はDr.Dorraya El Ashry(University of Michigan)の好意により提供され、MDA−MB−231ヒト乳癌、PC3ヒト前立腺癌及びU87−MGヒト神経膠腫細胞系はATCCから入手した。HUVEC培養物を、牛脳抽出物(Clonetics)及び1X抗生物質−抗真菌薬(BioWhittaker,Walkersville,MD)を含むEGM中で5継代まで維持した。MDA−MB−231、PC3、U87−MG及びMCF−7細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(Hyclone Laboratories,Logan,UT)及び1X抗生物質−抗真菌薬を含むDMEM/F12(1:1)中に維持した。60継代から100継代までのMCF7細胞を使用した。
【0135】
増殖アッセイ:Coulter Z1細胞計数器(Coulter Corporation,Hialeah,FL)を用いた細胞計数によって又はDNA合成の評価によって増殖を測定した。各々の条件を3回ずつ実施し、実験を少なくとも2回反復した。類似体のエストロゲン性を測定するため、MCF7エストロゲン依存性増殖アッセイを実施した。細胞を24穴プレートに一晩接着させた後、細胞を10,000細胞/穴で完全培地に接種し、細胞計数によって接種密度を測定した。細胞をPBS(37℃)で洗い、2%チャコール−デキストラン処理ウシ胎児血清(Valley Biomedical,Winchester,VA)及び1X抗生物質−抗真菌薬を含むIMEM−フェノールレッド不含培地中において飢餓させた。飢餓の3日後、培地を2−3日ごとに交換しながら、細胞を漸増濃度の化合物で処理するか又は化合物なしで処理し、処理の7日後に計数した。添加した試験化合物だけが増殖を刺激することを確実にするため、飢餓期間中1回以下倍加した細胞培養物だけに関して実験を実施した。数値は2ME(1.00と定義する)に対するMCF7刺激指数(SI)として表わす。1.00以下の数値は低いエストロゲン性を指示する。エストラジオールを陽性対照として使用する。
【0136】
類似体の抗腫瘍及び抗血管新生活性を測定するため、Roche(Indianapolis,IN)からの5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BrdU)細胞増殖比色定量ELISAキットを製造者の指示に従って使用して、DNA合成の検出を評価することによって増殖アッセイを実施した。BrdUアッセイのために、細胞を96穴プレートに1,000細胞/穴(MDA−MB−231、抗腫瘍活性)又は3,000細胞/穴(HUVEC、抗血管新生活性)で接種し、一晩付着させて、その後化合物に48時間暴露した。IC50値は、細胞増殖が50%阻害される濃度である。結果を以下の表2に示す。
【表2】

【0137】
薬物動態(PK):PO Cmaxは、ラットにおける経口投与後に達成される薬剤の最大濃度であり、AUCは曲線下面積である。これらのパラメータは経口の生体への利用性の指標である。カセット投与アプローチを用いてPKパラメータを測定した。新規化学物質(NCE)の1群(通常3−6分子)をDMSO又はエタノールに溶解し、デキストリンポリマーの溶液で最終作業濃度(通常0.2−2mg/mL)に希釈した。留置カテーテルを設置した3匹のマウスの群に経口(5mg/kg)又は静脈内(1mg/kg)経路でNCEのカセットを投与した。2分から24時間までの9時点で血液を採取した。血漿を分離し、複製試料のアリコートを分析のためにプールした。有機溶媒(ほとんどの場合メタノール又はアセトニトリル)を加えて血漿タンパク質を沈殿させた。一部の類似体については、回収率を高めるために酸調節剤を沈殿混合物に添加した。沈殿したタンパク質を遠心分離によって除去し、LC−MS−MS質量分析計に取り付けたC18逆相カラムに上清を注入した。分析物を、有機調節剤の急速(5分)勾配によって部分的に分解した。分析物を、SRM(又はMS−MS)方式で、イオン化特性に依存して陽イオン又は陰イオンとして測定した。ブランク血漿に希釈した同じ分析物の濃度標準のセットに対する各々の分析物についてのピーク高又は面積の相関によって数量化を実施した。濃度対時間のデータをWinNonLinによって分析した。結果を以下の表3に示す。
【表3】

【0138】
ヒトミクロソームを用いたCYP450阻害及びIC50値の測定:CYP450酵素は多くの薬剤を代謝するので、CYP450阻害は同時投与に関する潜在的問題の測定を提供する。ミクロソームインキュベーション混合物(500μL)を、NADPH再生系(1mM NADPH、10mMグルコース−6−ホスフェート、1IUグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ)、プールしたヒト肝ミクロソーム(0.5mgタンパク質)及び7つの濃度の化合物と陽性対照阻害剤5μLを含むHEPES緩衝液(50mM HEPES、15mM MgCl、0.1mM EDTA、pH7.6)中で作製した(表4、5及び6参照)。
【表4】

【0139】
CYP1A2活性はフェナセチンO−脱エチル化によって、CYP2C9はトルブタミドメチル−ヒドロキシル化によって、CYP2C19はオメプラゾールヒドロキシル化によって、CYP2D6はブフラロール1’−ヒドロキシル化によって、及びCYP3Aはミダゾラムヒドロキシル化によって観測する。

【表5】

【0140】
化合物又は陽性対照阻害剤の添加後、この試料を37℃で約5分間プレインキュベートした。その後、P450基質カクテルを反応混合物に添加し、37℃で20分間インキュベートした。内部標準(IS)として5μMデキストロルファンを含むメタノール250μLの添加によって反応を終了させた。この試料を手短にボルテックスし、氷上に置いて、その後デブリを除去するために約12000×gで5分間遠心分離した。各々の試料からの上清をLC−MS/MS分析のために別々のバイアルに移した。タンデム型質量分析検出(LC−MS/MS)と逆相HPLCを用いて基質特異的代謝産物(対照試料に対して)の量を測定するための分析を実施した。各々の試料中で生産された特異的基質代謝産物(対照試料に対して)の量を測定するためにMicomass MetaboLynx及びQuanLynxソフトウエアバージョン3.5を用いてデータの分析を実施した。生じた結果を種々の濃度の試験化合物又は陽性阻害剤対照化合物に対してプロットし、Prism非線形ソフトウエアを用いてIC50値を算定した。結果を以下の表6に示す。
【表6】

【0141】
肝細胞インキュベーション:ラット及びヒト肝からの細胞を用いた代謝のインビトロ測定。ラット及びヒト肝細胞懸濁液(10細胞/mL無血清(H)CL15培地)を2つの濃度(1及び5μM)の各々の化合物と共にインキュベートした。原液をDMSO中で作製し、培地中で最終試験濃度にさらに希釈した。7−エトキシクマリン(7−EC)をP450についての陽性対照基質として含めた。0.1M 7−EC原液をDMSO中で作製し、最終アッセイ濃度は100μMであった。基質を添加して反応を開始させ、37℃でインキュベートして、0、60及び120分後にアセトニトリルの添加によって終了させた。陽性7−EC対照反応は、インキュベーションの60分後に過塩素酸又はZnSO及びBaOHで停止させた。反応混合物を遠心分離して細胞デブリを除去し、上清をHPLC/LC−MSによるその後の分析のために使用した。必要に応じて、上清を液体窒素中で瞬間凍結し、さらなる分析まで−70℃で保存した。7−ECからの生成物形成を分析するためにHPLCを使用した。タンデム型質量分析検出(LC−MS/MS)と逆相HPLCを用いて試験化合物の濃度を測定するための分析を実施した。親化合物の消失を経時的に測定するために試料を分析した。GraphPad Prismバージョン3.02ソフトウエアを使用して、時間に対する各々の濃度に関するデータに曲線を適合させることによって代謝の速度を評価した。結果を上記表6に示す。
【0142】
ここで言及する全ての公表文献は、それら全体が参照してここに組み込まれる。上記実施例は単に本発明の例証であり、本発明の範囲又は付属の特許請求の範囲を限定することを意図しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]
の化合物。
【請求項2】
前記化合物が、
【化2】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化合物:
【化3】

[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]
の血管新生阻害量をヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物において血管新生を阻害する方法。
【請求項4】
前記化合物の血管新生阻害量の投与が、血管新生の作用を阻害するためのヒト又は動物への1日量、1日サブ用量(subdose)、又はその適宜分割量による、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
投与する化合物の量が、約0.1−約300mg/kg/日である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
投与する化合物の量が、約0.5−約50mg/kg/日である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
投与する化合物の量が、約1−約10mg/kg/日である、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物の投与が、経口的、非経口的、経皮、局所、静脈内、皮下、筋肉内、皮内、眼、硬膜外、気管内、舌下、口腔、直腸、膣、鼻又は吸入である、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、液体担体、溶質、懸濁化剤、増粘剤、着香料、ゼラチン、グリセリン、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、界面活性剤、分散剤、生分解性ポリマー、又はそれらの何らかの組合せから選択される添加物を含む組成物中で投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、錠剤、カプセル、ロゼンジ、カシェ剤、溶液、懸濁液、乳剤、粉末、エアロゾル、坐薬、スプレー、香錠、軟膏、クリーム、ペースト、泡、ゲル、タンポン、膣坐薬、顆粒、ボーラス、うがい薬、又は経皮パッチの形態で投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記血管新生が糖尿病性網膜症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記血管新生が未熟児網膜症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記血管新生が角膜移植拒絶反応に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記血管新生が血管新生緑内障に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記血管新生が水晶体後線維増殖症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
前記血管新生が流行性角結膜炎に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項17】
前記血管新生がビタミンA欠損症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項18】
前記血管新生がコンタクトレンズ過剰着用に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項19】
前記血管新生がアトピー性角膜炎に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項20】
前記血管新生が上輪部角膜炎に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項21】
前記血管新生が翼状片乾性角膜炎に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項22】
前記血管新生がシューグレン症候群に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項23】
前記血管新生がしゅさ性座瘡に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項24】
前記血管新生がフリクテン症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項25】
前記血管新生が梅毒に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項26】
前記血管新生がミコバクテリア感染に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項27】
前記血管新生が脂質変性に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項28】
前記血管新生が化学的熱傷に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項29】
前記血管新生が細菌性潰瘍に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項30】
前記血管新生が真菌性潰瘍に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項31】
前記血管新生が単純疱疹感染に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項32】
前記血管新生が帯状疱疹感染に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項33】
前記血管新生が原生動物感染に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項34】
前記血管新生がカポジ肉腫に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項35】
前記血管新生がモーレン潰瘍に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項36】
前記血管新生がテリエン辺縁変性に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項37】
前記血管新生が辺縁角質溶解に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項38】
前記血管新生が外傷に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項39】
前記血管新生が慢性関節リウマチに関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項40】
前記血管新生が全身性狼瘡に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項41】
前記血管新生が多発性動脈炎に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項42】
前記血管新生がヴェーゲナーサルコイドーシスに関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項43】
前記血管新生が強膜炎に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項44】
前記血管新生がスティーヴンズ-ジョンソン病に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項45】
前記血管新生が放射状角膜切開に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項46】
前記血管新生が黄斑変性に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項47】
前記血管新生が鎌状赤血球貧血に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項48】
前記血管新生が類肉腫に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項49】
前記血管新生が弾性線維性仮性黄色腫に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項50】
前記血管新生がパジェット病に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項51】
前記血管新生が静脈閉塞に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項52】
前記血管新生が動脈閉塞に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項53】
前記血管新生が頚動脈閉塞性疾患に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項54】
前記血管新生が慢性ブドウ膜炎に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項55】
前記血管新生が慢性硝子体炎に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項56】
前記血管新生がライム病に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項57】
前記血管新生がイールズ病に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項58】
前記血管新生がベーチェット病に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項59】
前記血管新生が近視に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項60】
前記血管新生が視神経乳頭小窩に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項61】
前記血管新生がシュタルガルト病に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項62】
前記血管新生が扁平部炎に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項63】
前記血管新生が慢性網膜剥離に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項64】
前記血管新生が過粘稠度症候群に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項65】
前記血管新生がトキソプラスマ症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項66】
前記血管新生が外傷に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項67】
前記血管新生がレーザー後合併症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項68】
前記血管新生が線維性血管又は線維組織の異常増殖に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項69】
前記血管新生が増殖性硝子体網膜症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項70】
前記血管新生がオースラー‐ウェーバー‐ランデュ病に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項71】
前記血管新生が固形腫瘍に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項72】
前記血管新生が血液由来の腫瘍(blood−borne tumors)に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項73】
前記血管新生が白血病に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項74】
前記血管新生が腫瘍転移に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項75】
前記血管新生が良性腫瘍に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項76】
前記血管新生が血管腫に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項77】
前記血管新生が後天性免疫不全症候群に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項78】
前記血管新生が眼血管新生疾患に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項79】
前記血管新生が加齢性黄斑変性に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項80】
前記血管新生が変形性関節症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項81】
前記血管新生が、慢性炎症によって引き起こされる疾患に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項82】
前記血管新生がクローン病に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項83】
前記血管新生が潰瘍性大腸炎に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項84】
前記血管新生が横紋筋肉腫の腫瘍に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項85】
前記血管新生が網膜芽細胞腫の腫瘍に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項86】
前記血管新生がユーイング肉腫に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項87】
前記血管新生が神経芽細胞腫に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項88】
前記血管新生が骨肉腫に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項89】
前記血管新生が白血病に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項90】
前記血管新生が乾癬に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項91】
前記血管新生がアテローム性動脈硬化症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項92】
前記血管新生が類天疱瘡に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項93】
前記血管新生が、網膜炎又は脈絡膜炎を引き起こす感染に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項94】
前記血管新生が推定眼ヒストプラスマ症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項95】
前記血管新生がベスト病に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項96】
前記血管新生がバルトネラ症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項97】
前記血管新生が聴神経腫に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項98】
前記血管新生が神経線維腫に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項99】
前記血管新生がトラコーマに関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項100】
前記血管新生が化膿性肉芽腫に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項101】
前記血管新生が血管機能不全に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項102】
前記血管新生が異常創傷治癒に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項103】
前記血管新生が痛風又は痛風性関節炎に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項104】
前記血管新生が横紋筋肉腫に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項105】
前記血管新生が、血管新生依存性癌に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項106】
前記血管新生が、乳癌、前立腺癌、腎細胞癌、脳腫瘍、卵巣癌、結腸癌、膀胱癌、膵癌、胃癌、食道癌、皮膚黒色腫、肝癌、肺癌、精巣癌、腎癌、膀胱癌、子宮頸癌、リンパ腫、上皮小体癌、陰茎癌、直腸癌、小腸癌、甲状腺癌、子宮癌、ホジキンリンパ腫、唇及び口腔癌、皮膚癌、白血病又は多発性骨髄腫から選択される血管新生依存性癌に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項107】
前記血管新生が遺伝性出血性毛細血管拡張症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項108】
前記血管新生が閉経後症状に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項109】
前記血管新生が骨粗しょう症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項110】
前記血管新生が心臓血管疾患に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項111】
前記血管新生が心筋血管新生に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項112】
前記血管新生がプラーク新生血管形成に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項113】
前記血管新生が血友病性関節に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項114】
前記血管新生が血管線維腫に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項115】
前記血管新生が創傷肉芽化に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項116】
前記血管新生が腸癒着に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項117】
前記血管新生が強皮症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項118】
前記血管新生がケロイドに関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項119】
前記血管新生が子宮内膜症に関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項120】
前記化合物が、
【化4】

である、請求項3に記載の方法。
【請求項121】
式:
【化5】

[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]
を有する化合物の有効な血管新生依存性癌治療量を、血管新生依存性癌を有するヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物において血管新生依存性癌を治療する方法。
【請求項122】
前記血管新生依存性癌が、乳癌、前立腺癌、腎細胞癌、脳腫瘍、卵巣癌、結腸癌、膀胱癌、膵癌、胃癌、食道癌、皮膚黒色腫、肝癌、肺癌、精巣癌、腎癌、膀胱癌、子宮頸癌、リンパ腫、上皮小体癌、陰茎癌、直腸癌、小腸癌、甲状腺癌、子宮癌、ホジキンリンパ腫、唇癌、口腔癌、皮膚癌、白血病又は多発性骨髄腫である、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
式:
【化6】

[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]
を有する化合物の有効な眼治療量をヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物において眼状態を治療する方法。
【請求項124】
前記眼状態が、眼血管新生疾患、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖症、流行性角結膜炎、コンタクトレンズ過剰着用、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、翼状片乾性角膜炎、近視、慢性網膜剥離、視神経乳頭小窩、テリエン辺縁変性、過粘稠度症候群、慢性ブドウ膜炎、慢性硝子体炎、推定眼ヒストプラスマ症、網膜炎、脈絡膜炎、増殖性硝子体網膜症、強膜炎、イールズ病、ベスト病、トラコーマ、又はレーザー後合併症である、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
式:
【化7】

[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]
を有する化合物の有効な炎症性又は免疫介在性疾患治療量をヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物において炎症性又は免疫介在性疾患を治療する方法。
【請求項126】
前記炎症性又は免疫介在性疾患が、慢性関節リウマチ、変形性関節症、潰瘍性大腸炎、クローン病、モーレン潰瘍、関節炎、サルコイドーシス、炎症性又は免疫介在性腸疾患、全身性狼瘡、ヴェーゲナー症候群、スティーヴンズ-ジョンソン病、ベーチェット病、類天疱瘡、ライム病、喘息又は後天性免疫不全症候群である、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
式:
【化8】

[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]
を有する化合物の有効な感染症治療量をヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物において感染症を治療する方法。
【請求項128】
前記感染症が、梅毒、細菌感染、ミコバクテリア感染、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純疱疹感染、帯状疱疹感染、原生動物感染、バルトネラ感染症、又はトキソプラスマ症である、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
式:
【化9】

[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]
を有する化合物の有効な癌性疾患治療量をヒト又は動物に投与することを含み、前記癌性疾患が、横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、聴神経腫、神経線維腫、又は血管腫である、ヒト又は動物において癌性疾患を治療する方法。
【請求項130】
式:
【化10】

[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]
を有する化合物の有効な血液又は血管疾患治療量をヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物において血液又は血管疾患又は状態を治療する方法。
【請求項131】
前記血液又は血管疾患又は状態が、静脈閉塞、動脈閉塞、頚動脈閉塞性疾患、多発性動脈塩、アテローム性動脈硬化症、オースラー‐ウェーバー‐ランデュ病、鎌状赤血球貧血、白血病、骨髄の急性又は慢性腫瘍性疾患、血管腫、遺伝性出血性毛細血管拡張症、骨髄の疾患、貧血、再狭窄、血液凝固障害、あるいはリンパ節、肝臓又は脾臓の腫脹である、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記骨髄の急性又は慢性腫瘍性疾患が多発性骨髄腫である、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記骨髄の急性又は慢性腫瘍性疾患が骨髄形成異常症候群である、請求項131に記載の方法。
【請求項134】
式:
【化11】

[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]
を有する化合物の有効な皮膚状態治療量をヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物において皮膚状態を治療する方法。
【請求項135】
前記皮膚状態が、異常創傷治癒、しゅさ性座瘡、皮膚の化学的熱傷、又は乾癬である、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
式:
【化12】

[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]
を有する化合物の有効な血管新生依存性腫瘍治療量をヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物において血管新生依存性腫瘍を治療する方法。
【請求項137】
前記腫瘍が、血液由来腫瘍、固形腫瘍、良性腫瘍、又は癌性腫瘍である、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
式:
【化13】

[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]
を有する化合物の有効な子宮内膜症治療量をヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物において子宮内膜症を治療する方法。
【請求項139】
式:
【化14】

[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]
を有する化合物をヒト女性又は雌性動物に投与することを含む方法であって、前記化合物を、排卵をブロックする、胞胚の着床をブロックする又は月経をブロックする(無月経を誘発する)ために有効な量で投与する方法。
【請求項140】
(a)
【化15】

[式中、Rは、−OCH、−OCHCH又は−CCCHから選択され;及びZは、>C(H)−OH、>C(H)−O−アルキル、>C(H)−O−スルファメートから選択され、前記アルキルは、1−10個の炭素を含む線状、分枝及び/又は環状炭化水素鎖である]、及び
(b)製薬上許容される担体、賦形剤又は希釈剤
を含有する医薬製剤。
【請求項141】
前記化合物が、
【化16】

である、請求項140に記載の医薬製剤。

【公表番号】特表2007−529426(P2007−529426A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503101(P2007−503101)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/008384
【国際公開番号】WO2005/089256
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(500523928)エントレメッド インコーポレイテッド (8)
【出願人】(307020154)
【出願人】(307020176)
【Fターム(参考)】