説明

抗酸化作用を有する加圧熱水処理物

【課題】
クマザサを原料とする優れた抗酸化活性を有する抗酸化性物質を提供すること。
【解決手段】
クマザサを温度150〜300℃および圧力0.5〜15MPaの加圧熱水で抽出することによって得られる抗酸化性物質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クマザサを加圧熱水で抽出することによって得られる抗酸化性物質に関する。
【背景技術】
【0002】
クマザサ(Sasa veitchii)は、イネ科クマザサ属に属する大型のササであり、ササ餅、チマキ、ササ鮨などのように、米飯や餅をクマザサの葉で包むと保存性が増すというクマザサの防腐作用が利用されてきた。また、クマザサ抽出エキスに抗ストレス活性や抗炎症性活性等があることが報告されるなど近年その機能性が注目されている(非特許文献1参照)。
【0003】
このクマザサなどのササを抽出物として利用するため様々な抽出方法が検討されており、例えば、ササの葉及び稈を110℃〜130℃の加圧熱水抽出処理と、150℃〜200℃の飽和水蒸気による加圧熱処理とを組み合わせた効率良くエキスを抽出する製法が特許文献1に開示されている。
【0004】
また、竹・笹類を二酸化炭素または二酸化炭素と有機溶剤との混合溶剤を用いて超臨界抽出することによって抗菌性物質を得られることが特許文献2に開示されている。
【0005】
一方、植物の抽出方法として、近年高温高圧下で抽出処理する技術が利用されており、例えば、麦わらやもみ殻を140〜230℃の飽和蒸気圧の1.0〜3.0倍の圧力の加圧熱水を接触させ、ラジカル消去活性能を有する糖質系食品が得られることが特許文献3に開示されている。
【0006】
さらに、大麦を158〜225℃、5〜25kg/cm2Gで高温高圧処理することによって、血圧降下作用などの生理活性を有するエキスが得られることが特許文献4に開示されている。
【0007】
しかしながら、クマザサを特定条件の加圧熱水で抽出することによって優れた抗酸化活性を有する抗酸化性物質が得られることはこれまで知られていなかった。
【0008】
【特許文献1】特開平11−199502号公報
【特許文献2】特開2004−359628号公報
【特許文献3】特開2005−21111号公報
【特許文献4】特開2002−371002号公報
【非特許文献1】“Food Function”,2006年,vol2,p54−57
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記技術背景に鑑みなされたものであり、クマザサを原料として高い抗酸化作用を有する抗酸化性物質を提供することがその課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、クマザサを特定条件の加圧熱水で抽出することによって、優れた抗酸化活性を有する抗酸化性物質を得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、クマザサを150〜300℃の温度および0.5〜15MPaの圧力の加圧熱水で抽出することによって得られる抗酸化性物質である。
【0012】
また本発明は、上記抗酸化性物質を含有する飲食品又は化粧料である。
【0013】
さらに本発明は、上記抗酸化性物質を有効成分として含有する肝障害治療剤である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、極めて優れた抗酸化活性を有する抗酸化性物質を得ることができ、この抗酸化性物質は、天然の植物由来であるため、安全性が高いものである。
【0015】
したがって、本発明の抗酸化性物質は、飲食品や化粧料に配合し、それらの品質の劣化を抑制したり、これらを摂取あるいは適用することによって、抗酸化効果を得ることができる。
【0016】
また、本発明の抗酸化性物質は、肝障害の治療または予防剤として利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の抗酸化性物質は、クマザサを原料とし、これを高温高圧の加圧熱水と接触させることにより抽出物として得られるものである。
【0018】
本発明において原料として用いるクマザサは、クマイザサ(Sasa senanensis)、チシマザサ(Sasa kurilensis)とも呼ばれ、イネ科クマザサ属に属する植物である。このクマザサは、採取したそのままの状態で使用してもよいが、必要により、あらかじめ乾燥し、さらに細断ないし粉砕した状態のものを用いることが好ましい。また、このクマザサの部位としては特に限定されるものではなく、例えば、葉、茎あるいはこれらの混合物を用いることができる。
【0019】
上記クマザサを加圧熱水による抽出処理に供する。この加圧熱水の温度は、150〜300℃の範囲であり、好ましくは、240〜300℃の範囲である。この範囲であれば、得られる抗酸化性物質の収率が良好であり、さらに、抗酸化性物質の抗酸化活性が高いものとなるため好ましい。得られる抗酸化性物質の抗酸化活性は、加圧熱水の温度が高い方が高くなる傾向にある。
【0020】
また上記加圧熱水の圧力は、0.5〜15MPaの範囲であり、好ましくは3〜12MPa、さらに好ましくは9〜11MPaの範囲である。この範囲であれば、得られる抗酸化性物質の収率が良好であり、さらに、抗酸化性物質の抗酸化活性が高いものとなるため好ましい。
【0021】
上記温度および圧力の加圧熱水による処理時間は、加圧熱水の温度および圧力等に応じて適宜設定することができ特に限定されるものではないが、好ましくは2〜15分間、さらに好ましくは、4〜10分間である。この範囲であれば、抗酸化性物質の抗酸化活性が高いものとなるため好ましい。
【0022】
上記温度および圧力の範囲の加圧熱水と上記クマザサを接触させる。この加圧熱水とクマザサを接触させる方法としては特に限定はされないが、例えば、クマザサの乾燥粉末に、上記範囲の温度および圧力に調整した加圧熱水を連続的に通水して接触させる方法や、予めクマザサの乾燥粉末を水中に分散させてスラリーとし、このスラリーを上記範囲の温度および圧力まで昇温・加圧する方法などが挙げられる。
【0023】
このようにして得られたクマザサの加圧熱水処理物は、必要に応じ、常法に従って固液分離して、抽出液と抽出残渣とに分離することができる。この抽出液は、そのまま液状物として用いても良いが、必要に応じて、公知の手段により濃縮・精製しても良く、更に凍結乾燥等の手段により乾燥させた粉末状として、本発明の抗酸化性物質とすることができる。
【0024】
また、上記抽出残渣をさらに水で抽出して得られる抽出液も本発明の抗酸化性物質とすることができる。上記加圧熱水による抽出液と混合し、濃縮・精製することによってさらに高い抗酸化活性を有する抗酸化性物質を得ることができる。
【0025】
このようにして得られる抗酸化性物質は、優れた抗酸化性、例えば、1,000SOD単位/g以上、好ましくは、10,000SOD単位/g以上のスーパーオキシド消去活性を有するものであり、化粧品、健康食品、医薬等として使用可能なものである。
【0026】
この抗酸化性物質を用いて化粧品を製造するには、その剤型に応じた公知の化粧品担体に適当量の抗酸化性物質を加え、製剤化すればよい。また、健康食品とするには、本発明抗酸化性物質を適当な食品素材に加えて食品とすればよい。更に、医薬とする場合は、本発明抗酸化性物質を適当な医薬品担体と混合し、粉剤、錠剤、カプセル剤等の経口製剤や、注射剤、輸液剤、軟膏剤、坐剤等の非経口製剤とすれば良い。
【実施例】
【0027】
次に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0028】
実 施 例 1
クマザサ加圧熱水処理物の調製(1):
熱水流通式反応装置によるクマザサの加圧熱水処理(条件:通水速度10mL/min、温度/圧力 100℃/0.5MPa、158℃/1.0MPa、196℃/2.1MPa、245℃/4.3MPa、277℃/8.0MPa)を行った。用いた装置を図1に示す。クマザサ粗粉砕物(平均5mm角)約4gを28mL容量の反応器にセットし、孔径20ミクロンの焼結フィルターでキャップした後、設定温度に加熱された油浴中に設置されたパイプ内を、高圧ポンプで水を通過させることにより調整した加圧熱水を反応器に連続的に通水し、流出液のBrixが0になるまで抽出を行った。加圧熱水の温度が100、158、196、245、277℃におけるそれぞれの流出液を採取し、エバポレーターで濃縮後、凍結乾燥してクマザサ加圧熱水処理物を得た。
【0029】
原料のクマザサ粗粉砕物に対する、上記残渣および抽出物の乾燥物換算の重量の割合を、それぞれ残査収率(WI)及び抽出物収率(WS)として求めた。また、ガス化により失われる割合をガスロス(G・L)として下記式により求めた。その結果を図2に示す。
G・L(%)=100−WI−WS
【0030】
図2の結果から、加圧熱水の温度が160℃付近以上になると残渣収率(WI)の減少と同時に抽出物収率(WS)の顕著な増加が認められた。
【0031】
試 験 例 1
スーパーオキシド消去活性の測定(1):
実施例1で得られたクマザサ加圧熱水処理物のスーパーオキシド消去活性を測定した。スーパーオキシド消去活性は、ヒポキサンチン−キサンチン系で発生させたスーパーオキシドに対する消去能を、5,5−ジメチル−1−ピロリン−N−オキシド(DMPO)を用いたスピントラップ法によって捕捉した。
【0032】
試験管に100μLのA混液(92mMDMPO溶液(LABOTECH社製)200μL、2mMヒポキサンチン溶液(SIGMA社製)1mL、5.5mMジエチレントリアミン五酢酸溶液(DTPA;SIGMA社製)800μLの混合液)を採取し、さらにウシ赤血球由来スーパーオキシドディスムターゼ溶液(SOD;EC1.15.1.1,SIGMA社製)50μL、測定サンプル50μLおよびキサンチンオキシダーゼ溶液(XOD;EC1.1.3.22,Roche社製)50μLを加え混合した。DMPOは蒸留水を用いて調製し、他の試薬は100mM PBS(pH7.4)を用いて調製した。XOD溶液添加後、ラジカルバイオセンサJES−FR80(日本電子株式会社製)によりESRスペクトルを測定した。この結果を図3に示す。
【0033】
図3の結果から、加圧熱水の温度が200℃付近からスーパーオキシド消去活性が顕著な増大を示し、特に277℃の加圧熱水処理物は、100℃のものと比較してスーパーオキシド消去活性が約16倍高くなっていることが分かった。
【0034】
実 施 例 2
クマザサ加圧熱水処理物の調製(2):
回分式反応装置による、クマザサの加圧熱水処理を行った。用いた装置を図4に示す。クマザサ粗粉砕物(平均5mm角)約5gと蒸留水30mLをステンレス製反応器(内径19.3mm、外径25.4mm、長さ150mm)にセットし、スエッジロック製キャップで密栓後、系内の空気をバルブを通して窒素ガスで置換し、初圧0.2MPaの窒素ガス圧をかけてバルブを閉じ系内を密閉した。その後、280℃に加熱した塩浴中に反応装置をセットし、120回/minで反応装置を水平方向に振とうさせながら加圧熱水処理を行った。
【0035】
10分後に反応装置を塩浴から取り出し、水浴に移して急冷し、反応を終結させた。反応装置内のガスをゆっくり抜き蒸留水を使って内容物をビーカーに洗い出した。水洗いした内容物を孔径40μのガラスフィルターで濾過し、濾過残渣を十分水洗いして水可溶性画分を得て、これをエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥して加圧熱水処理物を得た。水不溶の濾過残渣はエタノールで十分洗浄し、同様に固液分離してエタノール抽出画分およびエタノール不溶残渣画分を得た。それぞれの収率は、水溶性抽出画分:19.0%、エタノール抽出画分:19.7%、エタノール不溶残渣画分:35.5%であった。この条件でのガス・ロスは25.8%であった。
【0036】
試 験 例 2
スーパーオキシド消去活性の測定(2):
実施例2で得られたクマザサ加圧熱水処理物のうち、水溶性画分およびエタノール抽出画分、エタノール不溶残渣画分について、試験例1と同様の方法によりスーパーオキシド消去活性を測定した。
【0037】
エタノール不溶残渣画分およびエタノール抽出画分のスーパーオキシド消去活性は、それぞれ100(SOD単位/g)および3,454(SOD単位/g)であった。一方、加圧熱水水溶性画分は、38,925(SOD単位/g)のスーパーオキシド活性を示した。この結果よりスーパーオキシド消去活性の大部分が水可溶性画分に存在することが分かった。
【0038】
実 施 例 3
クマザサ加圧熱水処理物の調製(3):
スラリー流通式反応装置を用い、水熱処理(条件:スラリー供給速度45mL/min、圧力10±0.4MPa、反応管出口温度285±1℃)を行った。用いた装置を図5に示す。本装置は、水槽、原料のスラリー貯槽、スラリーの沈殿を防ぐためのスラリー循環ポンプ、スラリーを圧送するためのピストン式スラリーポンプ、ステンレス製パイプをコイル状に巻いた反応管、反応管を加熱するための塩浴、冷却器、水熱処理されたスラリーを受けるためのスロップタンク、サンプリングを行うための処理試料受器、系内の圧力を一定に保つための保圧弁よりなる。290℃に加熱した塩浴を用意し、保圧弁を10MPaになるように調整して系内を窒素で加圧した。次に100メッシュ以下に粉砕されたクマザサ微粉末1kgと蒸留水9kgをよく攪拌し、スラリー貯槽にセットした。三方バルブ1をピストン式スラリーポンプと水槽が導通するように水槽側に回した後、循環ポンプを作動させ、常時スラリーを循環させた。三方バルブ2をスロップタンク側に回し、ピストン式スラリーポンプを作動させ、水槽側より水を供給してスロップタンク側に水を導入させながら塩浴を反応管が十分浸かるよう上昇させ、反応器を加熱した。
【0039】
反応管出口側に挿入された熱電対が示す加圧熱水の温度が一定になったら三方バルブ1をスラリー貯槽側に回し、原料スラリーの供給を開始した。水熱処理スラリーを10分間スロップタンク側に流し、定常状態を確認し、三方バルブ2を処理試料受器側に回し、水熱処理スラリーのサンプリングを開始した。クマザサの連続水熱処理を行うため、系内の圧力を一定に保つための保圧弁を閉にし、圧力が設定圧の10MPaより0.4MPa上昇した時点でバルブ3を半開して受器内の水熱処理スラリーを一部排出し、圧力が9.6MPaまで低下した時点でバルブ3を閉め、圧力が10.4MPaに回復した後、この操作を繰り返すことにより水熱処理スラリーの連続的抜き出しを行った。得られた試料を遠心分離(6000×g)で固液分離し、水溶性抽出物を回収した。得られた水溶液はエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥して218gの加圧熱水処理物を得た。
【0040】
試 験 例 3
スーパーオキシド消去活性の測定(3):
実施例3で得られたクマザサ加圧熱水処理物について試験例1と同様にしてスーパーオキシド消去活性を測定した。その結果、23,251(SOD単位/g)のスーパーオキシド消去活性が認められた。
【0041】
試 験 例 4
DPPHラジカル消去活性の測定:
試験管に実施例3で得られたクマザサ加圧熱水処理物の試料溶液100μLおよび240μM DPPH(1,1−Diphenyl−2−picrylhydrazyl;ナカライテスク社)溶液100μLを採取し、混合した。DPPHはエタノール(ナカライテスク社)を用いて調製し、試料溶液は、50%メタノール溶液(和光純薬株式会社製)を用いて調製した。DPPH溶液添加後、ラジカルバイオセンサJES−FR80(日本電子株式会社製)によりESRスペクトルを測定した。その結果、321μmol/g(トロロックス相当量)のDPPHラジカル消去活性が認められた。
【0042】
試 験 例 5
D−ガラクトサミン誘発肝障害モデルラットに対する作用:
体重103〜128gの6週齢SD系雄性ラット(6匹/群;日本チャールス・リバー株式会社)を用いてモデルを作製した。飼育は室温23〜25℃、湿度53〜59%、12時間毎の照明サイクル(AM7:00点灯 PM7:00消灯)の環境で行い、飼料および水は自由摂取させた。
【0043】
実施例3で得たクマザサ加圧熱水処理物を3日間経口投与(1日当り100mg/kg)した。4日目に350mg/kgの塩酸D−ガラクトサミン(和光純薬株式会社)を腹腔内投与して肝障害を誘発した。D−ガラクトサミン投与24時間後にエーテル麻酔下で大動脈より採血した後、遠心分離(3000rpm、10分間、4℃)して得られた血漿中の乳酸脱水素酵素(LDH)を測定した。LDHの測定はWroblewski La Due法の試薬を用いた自動分析装置(7170、日立製作所製)で測定した。なお、被検物質投与群は、0.5w/v%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液(関東化学株式会社製)を媒体としてクマザサ加圧熱水処理物を投与し、対照群には、媒体のみを投与した。この結果を図6に示す。図6から明らかなように、本発明のクマザサ加圧熱水処理物は、D−ガラクトサミン誘発肝障害モデルラットに対し、肝障害を予防する作用を有することが認められた。
【0044】
試 験 例 6
4週間反復経口投与毒性試験:
実験動物として体重110〜150gの6週齢SD系雄性ラット(6匹/群;日本チャールス・リバー株式会社)を用いた。飼育は室温24℃、湿度55%、12時間毎の照明サイクル(AM7:00点灯 PM7:00消灯)の環境で行い、飼料および水は自由摂取させた。実施例3で得た加圧熱水処理物の投与群は、0.5w/v%カルボキシメチルセルロースナトリウム(ナカライテスク社)溶液を媒体として用いて行った。対照群は媒体のみを投与した。1,000 mg/kgの加圧熱水処理物を4週間連続経口投与した結果、体重増加や血液生化学的検査に異常は認められなかった。
【0045】
試 験 例 7
総ポリフェノールの定量:
総ポリフェノールの定量は、フォリン−デニス法を用いた。試験管に、実施例3で得られた加圧熱水処理物の試料溶液200μL、蒸留水3.2mLおよびフォリン−デニス試薬(SIGMA社)400μLを採取し、混和後、飽和炭酸ナトリウム溶液(関東化学株式会社)400μLを加えた。各試薬溶液は蒸留水を用いて調製した。30分放置後、分光光度計Ubest−55(日本分光株式会社)により770nmの吸光度を測定した。その結果、加圧熱水処理物には10.3g/100g(没食子酸相当量)の総ポリフェノール含量が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の抗酸化性物質は、優れた抗酸化活性を有するとともに、天然の植物由来の成分であるため、安全性も高いものである。従って、これを飲食品や化粧品等に用いることによって、それらの品質の劣化を抑制し、保存性を高めることができる。また、本発明の抗酸化性物質を含有する飲食品を摂取したり、本発明抗酸化性物質を含有する化粧品を適用することによって、抗酸化作用を得ることができるものである。
【0047】
また、本発明の抗酸化性物質を有効成分とする抗酸化剤は、医薬等として利用することも可能である。すなわち、活性酸素の過剰を原因とする疾患に対する治療薬として有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例1において加圧熱水処理に用いた熱水流通式反応装置を示す図である。
【図2】実施例1において、加圧熱水の温度による抽出物の収率を示す図である。
【図3】実施例1において得られた加圧熱水処理物のスーパーオキシド消去活性を示す図である。
【図4】実施例2において加圧熱水処理に用いた回分式反応装置を示す図である。
【図5】実施例3において加圧熱水処理に用いたスラリー流通式反応装置を示す図である。
【図6】試験例5において各群の血中の乳酸脱水素酵素量を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クマザサを、150〜300℃の温度および0.5〜15MPaの圧力の加圧熱水で抽出することによって得られる抗酸化性物質。
【請求項2】
加圧熱水の温度が240〜300℃である請求項1記載の抗酸化性物質。
【請求項3】
加圧熱水の圧力が3〜12MPaである請求項1又は2記載の抗酸化性物質。
【請求項4】
スーパーオキシド消去活性が1,000SOD単位/g以上のものである請求項1ないし3の何れかの項記載の抗酸化性物質。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れかの項記載の抗酸化性物質を含有する飲食品。
【請求項6】
請求項1ないし4の何れかの項記載の抗酸化性物質を含有する化粧料。
【請求項7】
請求項1ないし4の何れかの項記載の抗酸化性物質を有効成分として含有する抗酸化剤。
【請求項8】
請求項1ないし4の何れかの項記載の抗酸化性物質を有効成分として含有する肝障害治療剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−291275(P2007−291275A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122370(P2006−122370)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(500206227)株式会社 ハクジュ・ライフサイエンス (3)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】