抗酸化剤または活性酸素消去剤、およびそれを配合した香粧品用香料組成物、化粧料
【課題】安全性が高く、また抗酸化作用が高く、さらに生体内に発生する活性酸素を消去する作用を十分に有し、香粧品用香料組成物や化粧料への適用性の良好な新規抗酸化剤、活性酸素消去剤を提供すること。
【解決手段】化学式
で表される化合物。
【解決手段】化学式
で表される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、優れた抗酸化能または活性酸素消去能を有する天然物由来の新規化合物について、当該新規化合物を有効成分とする抗酸化剤または活性酸素消去剤、およびそれらが配合された香粧品用香料組成物、化粧料に関する。
【背景技術】
【０００２】
老化した皮膚では過酸化脂質が増大し、柔軟性、弾力性を失い、皮膚のしわが増大し、乾燥して滑らかさのない荒れ肌症状が認められている。これらの皮膚症状が現れる原因物質の一つとして、大気中の酸素が紫外線や酵素等の影響を受けて生成するいわゆる活性酸素が考えられている。この活性酸素は、呼吸によって体内に入る酸素によっても、さらには喫煙、ストレス、怒り、不安、恐怖などの激しい感情、暴飲・暴食などでも発生すると言われている。
【０００３】
活性酸素には、フリーラジカルであるスーパーオキシドやヒドロキシラジカルといったものと、非ラジカルである一重項酸素や過酸化水素といったものがある。この活性酸素は、必要以上に体内外に存在すると、正常な細胞、細胞膜そしてＤＮＡにも作用し破壊する。また脂質をも酸化するため過酸化脂質を生成する。これにより、アトピー症状の悪化、白内障、中風、心筋梗塞、発ガンなど様々な疾病をも誘発する。生体に対しては、コラーゲン線維の架橋、ヒアルロン酸の断片化、ＤＮＡ螺旋の部分開裂、連鎖的ラジカルの発生による組織の損傷等の悪影響を及ぼし、その結果として皮膚のしわや弾力消失、脱毛といった生体の老化を促進するといわれている。
【０００４】
従って活性酸素の生成を抑制することは、皮膚の老化を改善したり予防したりする点で、皮膚や生体内の組織等を正常に保つためにも非常に重要なことである。これは老化防止皮膚化粧料に求められる重要な要素である。そのため、従来生体内に発生した活性酸素を消去する作用のある物質の探索が広く行われてきた。
【０００５】
この様な作用を有する物質として従来用いられてきたものとしては、天然由来のものでは脂溶性のトコフェロール（ビタミンＥ）、水溶性のアスコルビン酸（ビタミンＣ）、合成化合物ではＢＨＴ（ブチルヒドロキシトルエン）、ＢＨＡ（ブチルヒドロキシアニソール）等が挙げられる。また、植物抽出物の中にも抗酸化効果を有するものがあり、化粧料に配合して皮膚の老化を防止しようとする試みがなされてきた。（例えば、特許文献１〜４参照。）
【特許文献１】特開２００３−１２８５６９号公報
【特許文献２】特開２００２− ９７１５１号公報
【特許文献３】特開２００２−２０５９３３号公報
【特許文献４】特開２００３−３２１３３７号公報
【０００６】
しかしながら、各種の植物抽出物は安全性の面において懸念されるものもあり、また活性酸素消去能が十分ではなかったり、化粧料等の皮膚外用剤の基剤中に配合した場合、有効な効果を得るにはかなりの高濃度を配合しなければならず、製剤に好ましくない臭いを付与してしまったりする場合があるなど、作用効果や安定性の面ですべてを満足できるものが少ないのが現状であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
上記事情において、安全性が高く、また抗酸化作用が高く、さらに生体内に発生する活性酸素を消去する作用を十分に有し、化粧料への適用性の良好な新規抗酸化剤、活性酸素消去剤が求められていた。
【０００８】
そこで、本発明の目的とするところは、抗酸化効果または活性酸素消去効果に優れた新規抗酸化剤または新規活性酸素消去剤、あるいはそれらが配合された香粧品用香料組成物、化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
そこで、本発明者等は上記事情に鑑み鋭意研究した結果、下記化学式で表される化合物が優れた抗酸化効果または活性酸素消去効果を有することを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明は、下記化学式
【００１０】
【化１】
で表される化合物２−ｈｙｄｒｏｘｙ−３，５，５−ｔｒｉｍｅｔｈｙｌ−２−ｃｙｃｌｏｈｅｘｅｎｏｎｅ（以下、本発明の化合物ともいう）を有効成分とする抗酸化剤または活性酸素消去剤である。また本発明は、前記の抗酸化剤または活性酸素消去剤が配合された香粧品用香料組成物である。さらに本発明は、前記の抗酸化剤または活性酸素消去剤が配合された、あるいは前記香粧品用香料組成物が配合された化粧料である。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の化合物は優れた抗酸化効果、活性酸素消去効果を有する。本発明の抗酸化剤または活性酸素消去剤は植物抽出物から単離されたものであって安全性が高く、非常に優れた抗酸化効果・活性酸素消去効果を発揮する。従って、酸化や活性酸素が関与する生体の各種問題を予防または低減するのに有用である。また、前記抗酸化剤または活性酸素消去剤を配合した本発明の香粧品用香料組成物は、安全性や抗酸化効果、活性酸素消去効果などに加え、バラエティの広い魅力的な香りを発現できる優れたものである。更に、前記抗酸化剤、活性酸素消去剤または香粧品用香料組成物を配合した本発明の化粧料は、従来の抗酸化剤の使用量を大幅に削減できる。また各種原料の酸化を防止して品質の劣化を抑制すると共に、優れた活性酸素消去効果を有する。従って、肌に適用した場合には肌荒れを防止し、肌のつや、はり、明るさを保ち、しわを改善する等、いわゆる皮膚老化防止効果に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
本発明の化合物は、アヤメ属植物であるサフランの花全体もしくは雌しべの抽出物から分離・精製することにより単離することができる。また、合成品としても入手することができる。本発明の化合物の抽出方法は、例えばサフランの花全体の抽出物を各種の溶媒、即ち液化ガス（液体炭酸、液化プロパン、液化ブタン等）、水、炭素数１〜５の低級アルコール類（メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等）、含水低級ア
ルコール類、炭素数１〜５の低級アルコールと炭素数１〜５の脂肪酸とのエステル類（酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等）、ケトン類（アセトン、メチルエチルケトン等）、前記エステル類およびケトン類の含水物、ハロゲン化炭化水素類（クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等）、エーテル類（メチルエーテル、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等）、炭化水素類（石油エーテル、ヘキサン等）あるいは前記溶媒の混合物で抽出して得た抽出液を、酸、アルカリ処理、カラムクロマトグラフィー、蒸留、濃縮等により得ることができる。
【００１３】
本発明の化合物を含有するＣｒｏｃｕｓ ｓａｔｉｖｕｓ Ｌ．は、サフランと俗称され、その抽出物は独特のメディシナル（薬品的）な臭気を有する。そのため、Ｃｒｏｃｕｓ ｓａｔｉｖｕｓ Ｌ．の抽出物等の使用に際しては、そのメディシナル臭が原因となり最終製品に好ましくない臭気特徴を与えるため、化粧料等においてもその使用が不可能であるか、もしくは大きな阻害要因となっていた。従って配合するにも少量とする必要があったり、そもそもＣｒｏｃｕｓ ｓａｔｉｖｕｓ Ｌ．の抽出物は、本発明の化合物に比較してその効果が高くないことから、期待する抗酸化能や活性酸素消去能は得られなかった。
【００１４】
それに対し、本発明の化合物はほとんど香りを有しておらず、かつ抗酸化効果や活性酸素消去効果が著しく高いため、上記問題を全く生じなく、本発明の目的を達成することが可能となる。
【００１５】
本発明の化合物を産業上利用するためには、必ずしも不純物が全く含まれない状態に精製する必要はなく、本発明の抗酸化剤中または活性酸素消去剤中において本発明化合物を０．００００１質量％（以下、単に％と表現する）以上含有されていればよい。
【００１６】
本発明の香粧品用香料組成物中への抗酸化剤または活性酸素消去剤の配合量は、香粧品用香料組成物の使用目的、種類などにより異なるが、本発明化合物の含有量として香粧品用香料組成物中に０．０００１〜２０％であり、好ましくは０．００１〜５％である。この範囲であれば、期待する抗酸化効果や活性酸素消去効果を得るとことができ、また臭いや安全性の面でも好ましい。
【００１７】
本発明の香粧品用香料組成物は、有効な抗酸化効果を有すると共に、バラエティの広い魅力的な香りを発現することが可能となる。本発明の香粧品用香料組成物中へは、本発明の抗酸化剤、活性酸素消去剤以外に、公知の香料素材や溶剤が用いられる。例えばリモネン、カリオフィレン、ピネンなどの各種炭化水素類；アセトアルデヒド、α−シンナミックアルデヒド、シトラ−ルなどの各種アルデヒド類；マルト−ル、ベンジルアセトン、ダマセノンなどの各種ケトン類；ブタノ−ル、ベンジルアルコ−ル、リナロ−ルなどの各種アルコ−ル類；ゲラニルエチルエ−テル、ロ−ズオキサイド、フルフラ−ルなどの各種エ−テル・オキサイド類；エチルアセテ−ト、ベンジルアセテ−ト、リナリルアセテ−トなどの各種エステル類；γ−デカラクトン、クマリン、スクラレオライドなどの各種ラクトン類；インド−ル、２−イソプロピル−４−メチルチアゾ−ル、フェニルアセトニトリルなどの各種ヘテロ化合物類；ジャスミンアブソリュ−ト、シダ−ウッドオイル、オリスコンクリ−トなどの各種天然素材類が挙げられる。使用する溶剤としては、例えばエタノ−ル、ジプロピレングリコ−ル（ＤＰＧともいう）、ベンジルベンゾエ−ト、水、トリアセチン、トリエチルシトレ−トなどが挙げられる。
【００１８】
本発明の抗酸化剤または活性酸素消去剤、あるいは本発明の香粧品用香料組成物を化粧料へ配合する場合、その配合量は、化粧料の使用目的、種類などにより異なるが、本発明化合物の含有量として０．００００１〜２０％、更には０．０００１〜５％が好ましい。この範囲であれば、期待する抗酸化効果や活性酸素消去効果を得るとことができ、また臭
いや安全性の面でも好ましい。
【００１９】
本発明の化粧料には、油脂、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、その他の油性原料、グリセリン等の多価アルコール、界面活性剤、増粘剤等の通常用いられている成分が使用され、これら公知の化粧料用素材と本発明の抗酸化剤、活性酸素消去剤または香粧品用香料組成物を用いて通常の製造法で得ることが出来る。また、必要に応じて公知の酸化防止剤（ビタミンＣ、ビタミンＥ等）、活性酸素消去剤等を併用してもよい。
【００２０】
また化粧料の剤型も任意であり、例えば溶液系、可溶化系、乳化系、エアゾール等がある。更に、化粧料の用途も任意であり、例えば化粧水、乳液、クリーム、パック等のフェイシャル化粧料やファンデーション、口紅、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料、芳香化粧料、シャンプー等の洗髪用化粧料、毛髪仕上げ用化粧料、ボディー化粧料、口腔用化粧料、入浴化粧料等がある。本発明の化粧料は抗酸化性が高いので、従来の化粧料に添加されていた抗酸化剤の添加を大幅に削減することが出来る。従って、敏感肌の一部の化粧料使用者における合成抗酸化剤の配合に起因する刺激感の低減も可能である。また、本発明のスキンローションや入浴剤は、肌荒れを防止し、肌のつや、はり、明るさを保ち、しわを改善する効果に優れるので、皮膚老化防止用の化粧料として用いるとより良い効果が期待できる。
【実施例】
【００２１】
以下、本発明の化合物等について、単離例、試験例および実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【００２２】
（単離）
Ｃｒｏｃｕｓ ｓａｔｉｖｕｓ Ｌ．の乾燥した雌しべ１００グラムをエチルアルコール１リットルに室温で浸漬して花香成分および抗酸化成分を移行させた後、雌しべを除いた。次に、溶媒を留去して抽出物１０グラムを得た。この抽出物はメディシナル臭を有していた。
次に上記抽出物１０グラムを、ｎ−ヘキサン／酢酸エチル＝１：１（Ｖ／Ｖ）〜酢酸エチル／メタノール＝１：１（Ｖ／Ｖ）の移動相を用いて常法に従いシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、精製することにより、当該化合物２−ｈｙｄｒｏｘｙ−３，５，５−ｔｒｉｍｅｔｈｙｌ−２−ｃｙｃｌｏｈｅｘｅｎｏｎｅを得た。この臭いは、仄かに甘く弱いスパイシー調の香りを有していた。
ＭＳスペクトルデータは以下である。
【００２３】
（精製品）
ＭＳ（ｍ／ｚ）：１５４（Ｍ＋）、１５４,７０，９８，１３９，５５，１１１，４１，８３
【００２４】
（試験例１：活性酸素消去効果試験（ＤＰＰＨ法））
活性酸素を消去する効果を測定する方法は各種あるが、今回は有機ラジカルである１，１−ジフェニル−２−ピクリルヒドラジル（ＤＰＰＨ）消去能を測定した。方法は以下に示す通りである。即ち、９６ウェルマイクロプレートに１００ｍｍｏｌ／Ｌトリス緩衝液（ｐＨ７．５、和光純薬）を８０μｌ、９９．５％メタノール（純正化学）にて濃度調製した各試料溶液を２０μｌ、９９．５％メタノール（純正化学）にて濃度調製した０．５ｍｍｏｌ／Ｌ ＤＰＰＨ(和光純薬)を１００μｌ加えた後攪拌し、遮光の状態で室温で２０分間インキュベートした。その後、分光光度計（Ｍｕｌｔｉ−Ｓｐｅｃｔｒｏｐｈｔｏｍｅｔｅｒ Ｖｉｅｎｔ ＸＳ／大日本住友ファーマ）にて５１７ｎｍの吸光度Ａを測定した。一方、ＤＰＰＨを加えないもの（ブランク）とサンプルを加えないもの（コントロ
ール）で同様の操作を行い、得られた吸光度（それぞれＢとＣ）を測定し、活性酸素消去率（％）を得た。
【００２５】
（ＩＣ５０計算式）
活性酸素消去率（％）＝｛１−（Ａ−Ｂ）／Ｃ｝×１００
（但し、Ａ：サンプルの吸光度、Ｂ：ブランクの吸光度、Ｃ：コントロールの吸光度）
【００２６】
同様に表１に示す各試料を用い試験を行った。横軸に濃度、縦軸に活性酸素消去率をプロットしたグラフを作成し、このグラフから活性酸素を５０％抑制する濃度(以後、ＩＣ５０と表す。)を求めた。
【００２７】
結果を表１に示す。
活性酸素消去効果試験（ＤＰＰＨ法）とＩＣ５０の結果
【００２８】
【表１】
【００２９】
上記の結果から、本発明の抗酸化剤または活性酸素消去剤は、汎用されている天然系抗酸化剤であるＤＬ−α−トコフェロールや香料の中でも高い抗酸化性を有すると言われているローズマリーオイルアブソリュートと同程度の優れた抗酸化能を有することがわかる。
【００３０】
処方例１（香料処方例１、香料比較例１）
本発明の抗酸化剤（活性酸素消去剤でもある）を配合して、下記処方のハーブ系調合香料を作製した。
【００３１】
【表２】
得られた香料組成物である香料処方例1は、本発明の抗酸化剤を添加しても香りのバランスを崩すことなく、従来のハーブ系調合香料組成物である香料比較例1と同様に優れた匂い特性を有している。
【００３２】
処方例２（香料処方例２、香料比較例２）
本発明の抗酸化剤（活性酸素消去剤でもある）を配合して、下記処方のフローラル系調合香料を作製した。
【００３３】
【表３】
得られた香料組成物である香料処方例２は、抗酸化剤を添加しても香りのバランスを崩すことなく、従来のフローラル系調合香料組成物である香料比較例２と同様に優れた匂い特性を有している。
【００３４】
実施例３〜５及び比較例３〜５（スキンローション）
表４記載の組成のスキンローションを、下記方法に従い調製した。
（スキンローションの調製法）
水相、アルコール相を各々均一に溶解し、そして水相とアルコール相とを混合攪拌分散し可溶化を行い、次いで容器に充填する。使用時には内容物を均一に振盪分散して使用する。
【００３５】
【表４】
【００３６】
上記で調製したスキンローションを用いて使用試験を行い、皮膚老化防止効果を調べた。試験方法は下記に示す通りである。
【００３７】
（試験方法）
６０名の女性被験者の顔面を左右に分け、一方に上記の実施例３〜５、他方に実施例３に対しては比較例３のスキンローション、実施例４に対しては比較例４のスキンローション、そして実施例５に対しては比較例５のスキンローションを毎日２回以上塗布してもらい、２ヵ月後それぞれの比較例を基準として下記の判定基準により各評価項目について評点を出してもらい、評点の合計値により評価した。被験者を１群２０名の３群に分け、実施例３〜５の各スキンローション３種を各群に割り当て試験を行った。その結果を表５に示す。
【００３８】
（判定基準）
＋３：比較例３〜５よりも実施例３〜５の方が非常によい
＋２：比較例３〜５よりも実施例３〜５の方がかなりよい
＋１：比較例３〜５よりも実施例３〜５の方がややよい
０：差がない
−１：比較例３〜５の方が実施例３〜５よりもややよい
−２：比較例３〜５の方が実施例３〜５よりもかなりよい
−３：比較例３〜５の方が実施例３〜５よりも非常によい
【００３９】
【表５】
【００４０】
表５より明らかなように、本発明の抗酸化剤、活性酸素消去剤または香粧品用香料組成物を有効成分として含有するスキンローションは、肌荒れを防止し、肌のつや、はり、明るさを保ち、しわを改善する効果に優れ、皮膚老化防止用化粧料として用いることができる。
【００４１】
実施例６〜８及び比較例６：入浴剤
下記組成の入浴剤を、常法に従い調製した。尚、この入浴剤は使用時に約３０００倍に希釈される。
【００４２】
【表６】
【００４３】
上記入浴剤を６０名の被験者全員に三週間毎日の入浴時に比較例６の入浴剤を使用させた。その後、被験者を１群２０名の３群に分け、各群に実施例６〜８を割り当て、比較例６に引き続き実施例６〜８の各入浴剤を使用させた。そして、比較例６を基準として下記の判定基準により各評価項目について評点を出してもらい、評点の合計値により評価した。
【００４４】
（判定基準）
＋３：比較例６よりも実施例６〜８の方が改善され非常によい
＋２：比較例６よりも実施例６〜８の方がかなり改善された
＋１：比較例６よりも実施例６〜８の方がやや改善された
０：差がない
−１：比較例６の方が実施例６〜８よりもややよい
−２：比較例６の方が実施例６〜８よりもかなりよい
−３：比較例６の方が実施例６〜８よりも非常によい
【００４５】
【表７】
【００４６】
表７より明らかなように、本発明の抗酸化剤、活性酸素消去剤または香粧品用香料組成物を有効成分として含有する入浴剤は、肌荒れを防止し、肌のつや、はり、明るさを保ち、しわを改善する効果に優れ、皮膚老化防止用入浴剤として用いることができる。尚、前記実施例に係るスキンローション及び入浴剤による発赤や乾燥等の異常は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【００４７】
本発明の化合物は抗酸化剤、活性酸素消去剤の有効成分として有用である。また本発明の抗酸化剤、活性酸素消去剤は、植物抽出物から単離されたものであって安全性が高く、非常に優れた抗酸化効果、活性酸素消去効果を発揮する。従って酸化や活性酸素が関与するあらゆる分野、例えば化粧料等に好適に用いることが出来る。また、本発明の香粧品用香料組成物は安全性や抗酸化効果、活性酸素消去効果などに加え、バラエティの広い魅力的な香りを発現するような優れたものであるので、化粧料等に好適に用いることが出来る。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、優れた抗酸化能または活性酸素消去能を有する天然物由来の新規化合物について、当該新規化合物を有効成分とする抗酸化剤または活性酸素消去剤、およびそれらが配合された香粧品用香料組成物、化粧料に関する。
【背景技術】
【０００２】
老化した皮膚では過酸化脂質が増大し、柔軟性、弾力性を失い、皮膚のしわが増大し、乾燥して滑らかさのない荒れ肌症状が認められている。これらの皮膚症状が現れる原因物質の一つとして、大気中の酸素が紫外線や酵素等の影響を受けて生成するいわゆる活性酸素が考えられている。この活性酸素は、呼吸によって体内に入る酸素によっても、さらには喫煙、ストレス、怒り、不安、恐怖などの激しい感情、暴飲・暴食などでも発生すると言われている。
【０００３】
活性酸素には、フリーラジカルであるスーパーオキシドやヒドロキシラジカルといったものと、非ラジカルである一重項酸素や過酸化水素といったものがある。この活性酸素は、必要以上に体内外に存在すると、正常な細胞、細胞膜そしてＤＮＡにも作用し破壊する。また脂質をも酸化するため過酸化脂質を生成する。これにより、アトピー症状の悪化、白内障、中風、心筋梗塞、発ガンなど様々な疾病をも誘発する。生体に対しては、コラーゲン線維の架橋、ヒアルロン酸の断片化、ＤＮＡ螺旋の部分開裂、連鎖的ラジカルの発生による組織の損傷等の悪影響を及ぼし、その結果として皮膚のしわや弾力消失、脱毛といった生体の老化を促進するといわれている。
【０００４】
従って活性酸素の生成を抑制することは、皮膚の老化を改善したり予防したりする点で、皮膚や生体内の組織等を正常に保つためにも非常に重要なことである。これは老化防止皮膚化粧料に求められる重要な要素である。そのため、従来生体内に発生した活性酸素を消去する作用のある物質の探索が広く行われてきた。
【０００５】
この様な作用を有する物質として従来用いられてきたものとしては、天然由来のものでは脂溶性のトコフェロール（ビタミンＥ）、水溶性のアスコルビン酸（ビタミンＣ）、合成化合物ではＢＨＴ（ブチルヒドロキシトルエン）、ＢＨＡ（ブチルヒドロキシアニソール）等が挙げられる。また、植物抽出物の中にも抗酸化効果を有するものがあり、化粧料に配合して皮膚の老化を防止しようとする試みがなされてきた。（例えば、特許文献１〜４参照。）
【特許文献１】特開２００３−１２８５６９号公報
【特許文献２】特開２００２− ９７１５１号公報
【特許文献３】特開２００２−２０５９３３号公報
【特許文献４】特開２００３−３２１３３７号公報
【０００６】
しかしながら、各種の植物抽出物は安全性の面において懸念されるものもあり、また活性酸素消去能が十分ではなかったり、化粧料等の皮膚外用剤の基剤中に配合した場合、有効な効果を得るにはかなりの高濃度を配合しなければならず、製剤に好ましくない臭いを付与してしまったりする場合があるなど、作用効果や安定性の面ですべてを満足できるものが少ないのが現状であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
上記事情において、安全性が高く、また抗酸化作用が高く、さらに生体内に発生する活性酸素を消去する作用を十分に有し、化粧料への適用性の良好な新規抗酸化剤、活性酸素消去剤が求められていた。
【０００８】
そこで、本発明の目的とするところは、抗酸化効果または活性酸素消去効果に優れた新規抗酸化剤または新規活性酸素消去剤、あるいはそれらが配合された香粧品用香料組成物、化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
そこで、本発明者等は上記事情に鑑み鋭意研究した結果、下記化学式で表される化合物が優れた抗酸化効果または活性酸素消去効果を有することを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明は、下記化学式
【００１０】
【化１】
で表される化合物２−ｈｙｄｒｏｘｙ−３，５，５−ｔｒｉｍｅｔｈｙｌ−２−ｃｙｃｌｏｈｅｘｅｎｏｎｅ（以下、本発明の化合物ともいう）を有効成分とする抗酸化剤または活性酸素消去剤である。また本発明は、前記の抗酸化剤または活性酸素消去剤が配合された香粧品用香料組成物である。さらに本発明は、前記の抗酸化剤または活性酸素消去剤が配合された、あるいは前記香粧品用香料組成物が配合された化粧料である。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の化合物は優れた抗酸化効果、活性酸素消去効果を有する。本発明の抗酸化剤または活性酸素消去剤は植物抽出物から単離されたものであって安全性が高く、非常に優れた抗酸化効果・活性酸素消去効果を発揮する。従って、酸化や活性酸素が関与する生体の各種問題を予防または低減するのに有用である。また、前記抗酸化剤または活性酸素消去剤を配合した本発明の香粧品用香料組成物は、安全性や抗酸化効果、活性酸素消去効果などに加え、バラエティの広い魅力的な香りを発現できる優れたものである。更に、前記抗酸化剤、活性酸素消去剤または香粧品用香料組成物を配合した本発明の化粧料は、従来の抗酸化剤の使用量を大幅に削減できる。また各種原料の酸化を防止して品質の劣化を抑制すると共に、優れた活性酸素消去効果を有する。従って、肌に適用した場合には肌荒れを防止し、肌のつや、はり、明るさを保ち、しわを改善する等、いわゆる皮膚老化防止効果に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
本発明の化合物は、アヤメ属植物であるサフランの花全体もしくは雌しべの抽出物から分離・精製することにより単離することができる。また、合成品としても入手することができる。本発明の化合物の抽出方法は、例えばサフランの花全体の抽出物を各種の溶媒、即ち液化ガス（液体炭酸、液化プロパン、液化ブタン等）、水、炭素数１〜５の低級アルコール類（メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等）、含水低級ア
ルコール類、炭素数１〜５の低級アルコールと炭素数１〜５の脂肪酸とのエステル類（酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等）、ケトン類（アセトン、メチルエチルケトン等）、前記エステル類およびケトン類の含水物、ハロゲン化炭化水素類（クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等）、エーテル類（メチルエーテル、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等）、炭化水素類（石油エーテル、ヘキサン等）あるいは前記溶媒の混合物で抽出して得た抽出液を、酸、アルカリ処理、カラムクロマトグラフィー、蒸留、濃縮等により得ることができる。
【００１３】
本発明の化合物を含有するＣｒｏｃｕｓ ｓａｔｉｖｕｓ Ｌ．は、サフランと俗称され、その抽出物は独特のメディシナル（薬品的）な臭気を有する。そのため、Ｃｒｏｃｕｓ ｓａｔｉｖｕｓ Ｌ．の抽出物等の使用に際しては、そのメディシナル臭が原因となり最終製品に好ましくない臭気特徴を与えるため、化粧料等においてもその使用が不可能であるか、もしくは大きな阻害要因となっていた。従って配合するにも少量とする必要があったり、そもそもＣｒｏｃｕｓ ｓａｔｉｖｕｓ Ｌ．の抽出物は、本発明の化合物に比較してその効果が高くないことから、期待する抗酸化能や活性酸素消去能は得られなかった。
【００１４】
それに対し、本発明の化合物はほとんど香りを有しておらず、かつ抗酸化効果や活性酸素消去効果が著しく高いため、上記問題を全く生じなく、本発明の目的を達成することが可能となる。
【００１５】
本発明の化合物を産業上利用するためには、必ずしも不純物が全く含まれない状態に精製する必要はなく、本発明の抗酸化剤中または活性酸素消去剤中において本発明化合物を０．００００１質量％（以下、単に％と表現する）以上含有されていればよい。
【００１６】
本発明の香粧品用香料組成物中への抗酸化剤または活性酸素消去剤の配合量は、香粧品用香料組成物の使用目的、種類などにより異なるが、本発明化合物の含有量として香粧品用香料組成物中に０．０００１〜２０％であり、好ましくは０．００１〜５％である。この範囲であれば、期待する抗酸化効果や活性酸素消去効果を得るとことができ、また臭いや安全性の面でも好ましい。
【００１７】
本発明の香粧品用香料組成物は、有効な抗酸化効果を有すると共に、バラエティの広い魅力的な香りを発現することが可能となる。本発明の香粧品用香料組成物中へは、本発明の抗酸化剤、活性酸素消去剤以外に、公知の香料素材や溶剤が用いられる。例えばリモネン、カリオフィレン、ピネンなどの各種炭化水素類；アセトアルデヒド、α−シンナミックアルデヒド、シトラ−ルなどの各種アルデヒド類；マルト−ル、ベンジルアセトン、ダマセノンなどの各種ケトン類；ブタノ−ル、ベンジルアルコ−ル、リナロ−ルなどの各種アルコ−ル類；ゲラニルエチルエ−テル、ロ−ズオキサイド、フルフラ−ルなどの各種エ−テル・オキサイド類；エチルアセテ−ト、ベンジルアセテ−ト、リナリルアセテ−トなどの各種エステル類；γ−デカラクトン、クマリン、スクラレオライドなどの各種ラクトン類；インド−ル、２−イソプロピル−４−メチルチアゾ−ル、フェニルアセトニトリルなどの各種ヘテロ化合物類；ジャスミンアブソリュ−ト、シダ−ウッドオイル、オリスコンクリ−トなどの各種天然素材類が挙げられる。使用する溶剤としては、例えばエタノ−ル、ジプロピレングリコ−ル（ＤＰＧともいう）、ベンジルベンゾエ−ト、水、トリアセチン、トリエチルシトレ−トなどが挙げられる。
【００１８】
本発明の抗酸化剤または活性酸素消去剤、あるいは本発明の香粧品用香料組成物を化粧料へ配合する場合、その配合量は、化粧料の使用目的、種類などにより異なるが、本発明化合物の含有量として０．００００１〜２０％、更には０．０００１〜５％が好ましい。この範囲であれば、期待する抗酸化効果や活性酸素消去効果を得るとことができ、また臭
いや安全性の面でも好ましい。
【００１９】
本発明の化粧料には、油脂、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、その他の油性原料、グリセリン等の多価アルコール、界面活性剤、増粘剤等の通常用いられている成分が使用され、これら公知の化粧料用素材と本発明の抗酸化剤、活性酸素消去剤または香粧品用香料組成物を用いて通常の製造法で得ることが出来る。また、必要に応じて公知の酸化防止剤（ビタミンＣ、ビタミンＥ等）、活性酸素消去剤等を併用してもよい。
【００２０】
また化粧料の剤型も任意であり、例えば溶液系、可溶化系、乳化系、エアゾール等がある。更に、化粧料の用途も任意であり、例えば化粧水、乳液、クリーム、パック等のフェイシャル化粧料やファンデーション、口紅、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料、芳香化粧料、シャンプー等の洗髪用化粧料、毛髪仕上げ用化粧料、ボディー化粧料、口腔用化粧料、入浴化粧料等がある。本発明の化粧料は抗酸化性が高いので、従来の化粧料に添加されていた抗酸化剤の添加を大幅に削減することが出来る。従って、敏感肌の一部の化粧料使用者における合成抗酸化剤の配合に起因する刺激感の低減も可能である。また、本発明のスキンローションや入浴剤は、肌荒れを防止し、肌のつや、はり、明るさを保ち、しわを改善する効果に優れるので、皮膚老化防止用の化粧料として用いるとより良い効果が期待できる。
【実施例】
【００２１】
以下、本発明の化合物等について、単離例、試験例および実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【００２２】
（単離）
Ｃｒｏｃｕｓ ｓａｔｉｖｕｓ Ｌ．の乾燥した雌しべ１００グラムをエチルアルコール１リットルに室温で浸漬して花香成分および抗酸化成分を移行させた後、雌しべを除いた。次に、溶媒を留去して抽出物１０グラムを得た。この抽出物はメディシナル臭を有していた。
次に上記抽出物１０グラムを、ｎ−ヘキサン／酢酸エチル＝１：１（Ｖ／Ｖ）〜酢酸エチル／メタノール＝１：１（Ｖ／Ｖ）の移動相を用いて常法に従いシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、精製することにより、当該化合物２−ｈｙｄｒｏｘｙ−３，５，５−ｔｒｉｍｅｔｈｙｌ−２−ｃｙｃｌｏｈｅｘｅｎｏｎｅを得た。この臭いは、仄かに甘く弱いスパイシー調の香りを有していた。
ＭＳスペクトルデータは以下である。
【００２３】
（精製品）
ＭＳ（ｍ／ｚ）：１５４（Ｍ＋）、１５４,７０，９８，１３９，５５，１１１，４１，８３
【００２４】
（試験例１：活性酸素消去効果試験（ＤＰＰＨ法））
活性酸素を消去する効果を測定する方法は各種あるが、今回は有機ラジカルである１，１−ジフェニル−２−ピクリルヒドラジル（ＤＰＰＨ）消去能を測定した。方法は以下に示す通りである。即ち、９６ウェルマイクロプレートに１００ｍｍｏｌ／Ｌトリス緩衝液（ｐＨ７．５、和光純薬）を８０μｌ、９９．５％メタノール（純正化学）にて濃度調製した各試料溶液を２０μｌ、９９．５％メタノール（純正化学）にて濃度調製した０．５ｍｍｏｌ／Ｌ ＤＰＰＨ(和光純薬)を１００μｌ加えた後攪拌し、遮光の状態で室温で２０分間インキュベートした。その後、分光光度計（Ｍｕｌｔｉ−Ｓｐｅｃｔｒｏｐｈｔｏｍｅｔｅｒ Ｖｉｅｎｔ ＸＳ／大日本住友ファーマ）にて５１７ｎｍの吸光度Ａを測定した。一方、ＤＰＰＨを加えないもの（ブランク）とサンプルを加えないもの（コントロ
ール）で同様の操作を行い、得られた吸光度（それぞれＢとＣ）を測定し、活性酸素消去率（％）を得た。
【００２５】
（ＩＣ５０計算式）
活性酸素消去率（％）＝｛１−（Ａ−Ｂ）／Ｃ｝×１００
（但し、Ａ：サンプルの吸光度、Ｂ：ブランクの吸光度、Ｃ：コントロールの吸光度）
【００２６】
同様に表１に示す各試料を用い試験を行った。横軸に濃度、縦軸に活性酸素消去率をプロットしたグラフを作成し、このグラフから活性酸素を５０％抑制する濃度(以後、ＩＣ５０と表す。)を求めた。
【００２７】
結果を表１に示す。
活性酸素消去効果試験（ＤＰＰＨ法）とＩＣ５０の結果
【００２８】
【表１】
【００２９】
上記の結果から、本発明の抗酸化剤または活性酸素消去剤は、汎用されている天然系抗酸化剤であるＤＬ−α−トコフェロールや香料の中でも高い抗酸化性を有すると言われているローズマリーオイルアブソリュートと同程度の優れた抗酸化能を有することがわかる。
【００３０】
処方例１（香料処方例１、香料比較例１）
本発明の抗酸化剤（活性酸素消去剤でもある）を配合して、下記処方のハーブ系調合香料を作製した。
【００３１】
【表２】
得られた香料組成物である香料処方例1は、本発明の抗酸化剤を添加しても香りのバランスを崩すことなく、従来のハーブ系調合香料組成物である香料比較例1と同様に優れた匂い特性を有している。
【００３２】
処方例２（香料処方例２、香料比較例２）
本発明の抗酸化剤（活性酸素消去剤でもある）を配合して、下記処方のフローラル系調合香料を作製した。
【００３３】
【表３】
得られた香料組成物である香料処方例２は、抗酸化剤を添加しても香りのバランスを崩すことなく、従来のフローラル系調合香料組成物である香料比較例２と同様に優れた匂い特性を有している。
【００３４】
実施例３〜５及び比較例３〜５（スキンローション）
表４記載の組成のスキンローションを、下記方法に従い調製した。
（スキンローションの調製法）
水相、アルコール相を各々均一に溶解し、そして水相とアルコール相とを混合攪拌分散し可溶化を行い、次いで容器に充填する。使用時には内容物を均一に振盪分散して使用する。
【００３５】
【表４】
【００３６】
上記で調製したスキンローションを用いて使用試験を行い、皮膚老化防止効果を調べた。試験方法は下記に示す通りである。
【００３７】
（試験方法）
６０名の女性被験者の顔面を左右に分け、一方に上記の実施例３〜５、他方に実施例３に対しては比較例３のスキンローション、実施例４に対しては比較例４のスキンローション、そして実施例５に対しては比較例５のスキンローションを毎日２回以上塗布してもらい、２ヵ月後それぞれの比較例を基準として下記の判定基準により各評価項目について評点を出してもらい、評点の合計値により評価した。被験者を１群２０名の３群に分け、実施例３〜５の各スキンローション３種を各群に割り当て試験を行った。その結果を表５に示す。
【００３８】
（判定基準）
＋３：比較例３〜５よりも実施例３〜５の方が非常によい
＋２：比較例３〜５よりも実施例３〜５の方がかなりよい
＋１：比較例３〜５よりも実施例３〜５の方がややよい
０：差がない
−１：比較例３〜５の方が実施例３〜５よりもややよい
−２：比較例３〜５の方が実施例３〜５よりもかなりよい
−３：比較例３〜５の方が実施例３〜５よりも非常によい
【００３９】
【表５】
【００４０】
表５より明らかなように、本発明の抗酸化剤、活性酸素消去剤または香粧品用香料組成物を有効成分として含有するスキンローションは、肌荒れを防止し、肌のつや、はり、明るさを保ち、しわを改善する効果に優れ、皮膚老化防止用化粧料として用いることができる。
【００４１】
実施例６〜８及び比較例６：入浴剤
下記組成の入浴剤を、常法に従い調製した。尚、この入浴剤は使用時に約３０００倍に希釈される。
【００４２】
【表６】
【００４３】
上記入浴剤を６０名の被験者全員に三週間毎日の入浴時に比較例６の入浴剤を使用させた。その後、被験者を１群２０名の３群に分け、各群に実施例６〜８を割り当て、比較例６に引き続き実施例６〜８の各入浴剤を使用させた。そして、比較例６を基準として下記の判定基準により各評価項目について評点を出してもらい、評点の合計値により評価した。
【００４４】
（判定基準）
＋３：比較例６よりも実施例６〜８の方が改善され非常によい
＋２：比較例６よりも実施例６〜８の方がかなり改善された
＋１：比較例６よりも実施例６〜８の方がやや改善された
０：差がない
−１：比較例６の方が実施例６〜８よりもややよい
−２：比較例６の方が実施例６〜８よりもかなりよい
−３：比較例６の方が実施例６〜８よりも非常によい
【００４５】
【表７】
【００４６】
表７より明らかなように、本発明の抗酸化剤、活性酸素消去剤または香粧品用香料組成物を有効成分として含有する入浴剤は、肌荒れを防止し、肌のつや、はり、明るさを保ち、しわを改善する効果に優れ、皮膚老化防止用入浴剤として用いることができる。尚、前記実施例に係るスキンローション及び入浴剤による発赤や乾燥等の異常は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【００４７】
本発明の化合物は抗酸化剤、活性酸素消去剤の有効成分として有用である。また本発明の抗酸化剤、活性酸素消去剤は、植物抽出物から単離されたものであって安全性が高く、非常に優れた抗酸化効果、活性酸素消去効果を発揮する。従って酸化や活性酸素が関与するあらゆる分野、例えば化粧料等に好適に用いることが出来る。また、本発明の香粧品用香料組成物は安全性や抗酸化効果、活性酸素消去効果などに加え、バラエティの広い魅力的な香りを発現するような優れたものであるので、化粧料等に好適に用いることが出来る。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
下記化学式
【化１】
で表される化合物２−ｈｙｄｒｏｘｙ−３，５，５−ｔｒｉｍｅｔｈｙｌ−２−ｃｙｃｌｏｈｅｘｅｎｏｎｅを有効成分とする抗酸化剤または活性酸素消去剤。
【請求項２】
請求項１記載の抗酸化剤または活性酸素消去剤が配合された香粧品用香料組成物。
【請求項３】
請求項１記載の抗酸化剤または活性酸素消去剤、あるいは請求項２記載の香粧品用香料組成物が配合された化粧料。
【請求項４】
請求項１記載の抗酸化剤または活性酸素消去剤、あるいは請求項２記載の香粧品用香料組成物が配合された皮膚老化防止用化粧料。
【請求項１】
下記化学式
【化１】
で表される化合物２−ｈｙｄｒｏｘｙ−３，５，５−ｔｒｉｍｅｔｈｙｌ−２−ｃｙｃｌｏｈｅｘｅｎｏｎｅを有効成分とする抗酸化剤または活性酸素消去剤。
【請求項２】
請求項１記載の抗酸化剤または活性酸素消去剤が配合された香粧品用香料組成物。
【請求項３】
請求項１記載の抗酸化剤または活性酸素消去剤、あるいは請求項２記載の香粧品用香料組成物が配合された化粧料。
【請求項４】
請求項１記載の抗酸化剤または活性酸素消去剤、あるいは請求項２記載の香粧品用香料組成物が配合された皮膚老化防止用化粧料。
【公開番号】特開２００９−２２７７７５（Ｐ２００９−２２７７７５Ａ）
【公開日】平成２１年１０月８日（２００９．１０．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−７３５０５（Ｐ２００８−７３５０５）
【出願日】平成２０年３月２１日（２００８．３．２１）
【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第１項適用申請有り 刊行物名 ：日本薬学会第１２８年会 要旨集２ 発行年月日：平成２０年３月５日 発行者名 ：日本薬学会第１２８年会組織委員会 第１１２ページ 右下欄
【出願人】（５０４１８０２０６）株式会社カネボウ化粧品 (125)
【出願人】（０００２０１７３３）曽田香料株式会社 (56)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１０月８日（２００９．１０．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年３月２１日（２００８．３．２１）
【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第１項適用申請有り 刊行物名 ：日本薬学会第１２８年会 要旨集２ 発行年月日：平成２０年３月５日 発行者名 ：日本薬学会第１２８年会組織委員会 第１１２ページ 右下欄
【出願人】（５０４１８０２０６）株式会社カネボウ化粧品 (125)
【出願人】（０００２０１７３３）曽田香料株式会社 (56)
【Ｆターム（参考）】
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