説明

抗酸化剤及びこれを含有する皮膚用化粧料、外用医薬品、飲食品

【課題】他の抗酸化性物質との複合化が容易であり、かつ、より高い抗酸化能を有する抗酸化剤を提供する。
【解決手段】金属ナノ粒子をシクロデキストリンで保護し、さらにビタミン及び/又はビタミン様作用物質をシクロデキストリンに包接させた複合体を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性酸素種を除去する抗酸化剤に関し、特に所定の構成成分からなる複合体を含有する抗酸化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な疾病の原因となっている活性酸素種を効率よく除去するために、抗酸化剤の開発が行われている。例えば、特許文献1には、金属のコロイド液を含有する抗酸化剤が記載されている。このコロイド液は白金族金属と金を組み合わせて含有することによって、金属の分散性を良好なものとしている。
また、特許文献2には白金コロイド液とコロイド保護剤を含有する化粧料が記載されている。この化粧料は長期間安定して一重項酸素除去能を示している。
【特許文献1】特開2005−179500号公報
【特許文献2】特開2005−139102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1、2に記載の抗酸化剤は、水への分散性は高いものの、抗酸化性を示す他の物質との複合化は困難であり、抗酸化能を向上させるには限界があった。
特に、疎水性を有するビタミン及び/又はビタミン様作用物質との複合化は特に困難であった。
【0004】
以上の課題に鑑み、より高い抗酸化能を有する抗酸化剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、金属ナノ粒子をシクロデキストリンで保護することにより、抗酸化性を示す他の物質との複合化が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には以下のものを提供する。
【0006】
金属ナノ粒子と、シクロデキストリンと、ビタミン及び/又はビタミン様作用物質と、からなる複合体を含有する抗酸化剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、抗酸化性能を有する金属ナノ粒子が、他の抗酸化性物質と容易に複合化することが可能となる。その結果、より高い抗酸化能を有する抗酸化剤を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明は、金属ナノ粒子と、その保護剤であるシクロデキストリンと、ビタミン及び/又はビタミン様作用物質と、からなる複合体を含有する抗酸化剤である。
なお、本発明における「抗酸化剤」とは、体内の活性酸素種を除去する働き(抗酸化能)を有するものをいい、「活性酸素種」とは、スーパーオキサイド、ヒドロキシラジカル、過酸化水素、一重項酸素、及びこれらと金属や脂肪との反応生成物等をいう。
【0009】
[金属ナノ粒子]
金属ナノ粒子としては、白金、金、銀、銅、パラジウム、鉄、ニッケル、ルテニウム、オスミウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくともいずれか一種の金属のナノ粒子が挙げられる。中でも優れた抗酸化能を奏する白金のナノ粒子であることが好ましい。
【0010】
上記金属ナノ粒子の平均粒子径は、1nm〜20nmであることが好ましく、1nm〜10nmであることがより好ましく、1nm〜5nmであることが特に好ましい。平均粒子径が小さくなる程、過酸化水素消去率が向上する傾向にあるため、より高い抗酸化能を奏することが可能となる。また、選択性が向上するという理由で金属ナノ粒子全体の90%以上が1nm〜10nmの平均粒子径を有していることが好ましい。
【0011】
金属ナノ粒子は、金属ナノコロイド液から得られる。金属ナノコロイド液を用いることにより、一度に大量の金属ナノ粒子を得ることができ、複合体を効率よく製造することが可能となる。
金属ナノコロイド液の製造方法としては、金属イオン溶液を水素ガス中又はリン等へ投じて還元反応を生じさせ、その後、燃焼により加熱して反応を促進させ、生成した金属微粒子を液体分散媒中に受入れ、還元終了後、界面活性剤を用いて金属ナノコロイド液を安定化させる処理を行う燃焼法や、化学反応を利用し、金属イオン溶液から金属酸化物や金属の沈殿を生成させた後、界面活性剤を添加して金属ナノコロイド液を得る沈殿法、アルコールを還元剤として還元反応を行うことにより金属ナノコロイド液を得るアルコール還元法、沸点の高いジオールを溶媒に用いて還元反応を行うポリオール還元法、クエン酸、リンゴ酸等を用いて金属イオンを還元するクエン酸還元法が挙げられる。また、金属塩を水に溶解させ、紫外線を照射して還元反応を行うことにより、金属ナノコロイド液を得る金属塩還元反応法が挙げられる。前記金属塩としては、塩化白金(IV)酸6水和物(HPtCl・6HO)、塩化パラジウム(II)ナトリウム(2NaCl・PdCl)等が挙げられる。その他、電気化学的方法、レーザーアビュレーション法、超音波法等が挙げられる。
【0012】
[保護剤]
本発明に係る複合体は、シクロデキストリンを含有する。シクロデキストリンは、水系溶媒への溶解度が非常に高いため、例えばコロイド液のような液体における、金属ナノ粒子の分散性を向上させるための保護剤として使用することが可能である。また、シクロデキストリンは金属ナノ粒子の粒径や構造を制御するだけではなく、抗酸化能のような新たな機能を付与することが可能である。そのため、シクロデキストリンを金属ナノコロイドの保護剤として用いることにより、金属ナノコロイドに抗酸化能を付与することが可能である。
【0013】
また、シクロデキストリンは疎水的な空洞を有するため、その中に様々な分子を包接することが可能である。そのため、特に疎水性のビタミン及び/又はビタミン様作用物質を包接して複合体を形成し、水系溶媒中で安定化させることが可能となる。ビタミン及び/又はビタミン様作用物質が抗酸化能を有することから、上記金属ナノコロイドを用いることにより、より高い抗酸化能を奏する抗酸化剤を提供することが可能となる。
【0014】
シクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリン等の天然のシクロデキストリン、グルコシル及びマルトシル等の分岐状のシクロデキストリン等が挙げられる。中でもビタミン及びビタミン様作用物質との包接錯体形成が容易という理由から、γ−シクロデキストリンを用いることが好ましい。
【0015】
また、シクロデキストリンと併せて、水溶性高分子や界面活性剤を含有していてもよい。水溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、シクロデキストリン、アミノペクチン、又はメチルセルロース等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて使用してもよい。ポリビニルピロリドンとしては、ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)であることが好ましい。ポリアクリル酸塩としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウムであることが好ましい。
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤を用いることが可能である。
【0016】
[ビタミン及び/又はビタミン様作用物質]
本発明に係る複合体は、ビタミン及び/又はビタミン様作用物質を含有する。ビタミンやビタミン様作用物質は、抗酸化能を有する。これらをシクロデキストリンの空洞内に包接させることにより、より高い抗酸化能を奏することが可能となる。
また、自身が疎水性を有するために、コロイド液に分散させることが困難なビタミン類であっても、シクロデキストリンに包接させることにより、容易に分散させることが可能となる。
【0017】
ビタミン及び/又はビタミン様作用物質としては、特に限定されるものではなく、疎水性を有するものや、親水性を有するもののどちらであってもよい。具体的には、ユビキノン類、スーパーオキシドジスムターゼ、ビタミンC、ビリルビン、グルタチオンペルオキシターゼ、ペルオキシターゼ、カラターゼ、リノール酸、ビタミンE、システイン、尿酸、α−カロチン、β−カロチン、フラボノイド、リボフラビン、リコピン、ルテイン、アセチルシステイン、アスタキサンチン、αリポ酸からなる群から選ばれる少なくともいずれか一種が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。中でも、より高い抗酸化能を示すことからユビキノン類を用いることが好ましい。ユビキノン類としては、コエンザイムQ6、コエンザイムQ7、コエンザイムQ8、コエンザイムQ9及びコエンザイムQ10が挙げられる。
【0018】
[複合体及びその製造方法]
本発明に係る複合体は、図1に示すように、上述の金属ナノ粒子に、ビタミン及び/又はビタミン様作用物質を包接したシクロデキストリンが配位した錯体である。
この複合体の製造方法としては、まず、上述の方法により金属ナノコロイド液を調製し、その後ビタミン及び/又はビタミン様作用物質を加えて撹拌混合することにより得られる。なお、シクロデキストリンは金属ナノコロイド液を調製する際、金属塩と同時に添加しておくことが好ましい。
【0019】
金属ナノ粒子に対するシクロデキストリンのモル比は、1〜100であることが好ましく、20〜60であることがより好ましい。また、金属ナノ粒子に対するビタミン及び/又はビタミン様作用物質のモル比は、1/100〜10であることが好ましく、1/20〜1であることがより好ましい。
【0020】
[抗酸化剤]
本発明に係る抗酸化剤は、上記の複合体を単独で、そのまま用いてもよいが、必要に応じてその他の添加剤を併せて添加してもよい。抗酸化剤中の複合体の濃度は、0.1モル%〜100モル%であることが好ましく、2モル%〜10モル%であることがより好ましい。
【0021】
必要に応じて添加される添加剤としては、皮膚用化粧料や外用医薬品の製剤に一般的に用いられる、水(精製水、温泉水、深層水等)、アルコール、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、可塑剤等が挙げられる。
【0022】
アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、グリセリン、1,3ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ソルビトール、トレハロース、マルトース等多価アルコール等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0023】
油剤としては、アボカド油、オリーブ油、ゴマ油、ツバキ油、月見草油、タートル油、マカデミアンナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、キリ油、ホホバ油、カカオ脂、ヤシ油、馬油、パーム油、パーム核油、牛脂、羊脂、豚脂、ラノリン、鯨ロウ、ミツロウ、カルナウバロウ、モクロウ、キャンデリラロウ、スクワラン等の動植物油及びその硬化油や、流動パラフィン、ワセリン等の鉱物油、トリパルミチン酸グリセリン等の合成トリグリセリンが挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0024】
界面活性剤としては、上述の陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤を用いることが可能である。
陰イオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、N−ミリストイルザルコシン酸ナトリウム等のN−アシルザルコシン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。
【0025】
また、非イオン界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ラウリン酸モノ又はジエタノールアミド、ミリスチン酸モノ又はジエタノールアミド等の脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0026】
両性イオン界面活性剤としては、N−ラウリルジアミノエチルグリシン、N−ミリスチルジアミノエチルグリシン等のN−アルキルジアミノエチルグリシン、N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウム等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムのようなジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化モノステアリルトリメチルアンモニウムのようなモノアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0027】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等)、サリチレート系紫外線吸収剤(フェニルサリチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤[(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾール及びその(共)重合体等]、アクリル系紫外線吸収剤[エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル−2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシベンジル)アクリレート等]が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0028】
可塑剤としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ―2―エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジノニル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、リン酸トリクレシル、アセチルクエン酸トリブチル等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0029】
[皮膚用化粧料や外用医薬品]
また、本発明に係る抗酸化剤は、皮膚用化粧料や外用医薬品へ添加することが可能である。
皮膚用化粧料や外用医薬品中の抗酸化剤配合量は特に限定されるものではない。例えば、0.01質量%〜20質量%であり、0.1質量%〜10質量%であることが好ましい。
【0030】
皮膚化粧料や外用医薬品の調製は、常法に従って行うことができる。また、上記の添加剤の他に、薬理活性成分や生理活性成分等皮膚に対して有用な効果を有する成分を含有することが可能である。例えば、ビタミン類、美白剤、抗シワ剤、消炎鎮痛剤、抗真菌剤、ステロイド剤、痩身剤、局所麻酔剤、鎮痒剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、角質軟化剤、保湿剤、収斂剤、他の抗酸化剤等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0031】
ビタミン類としては、レチノール、酢酸レチノール等のレチノール誘導体、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、ビタミンA油、ビタミンA脂肪酸エステル、d-δ-トコフェリルレチノエート、α-トコフェリルレチノエート、β-トコフェリルレチノエート等のビタミンA類;β−カロチン、α−カロチン、γ−カロチン、δ−カロチン、リコピン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、エキネノン等のプロビタミンA類;コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム等のビタミンE類、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類;ニコチン酸メチル、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類;アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ジパルミチン酸L−アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩、アスコルビン酸リン酸ナトリウム塩、アスコルビン酸グルコシド等のビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類;γ−オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’−リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類;シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D−パンテサイン、D−パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン、ビオチシン等のビオチン類;その他、カルニチン、フェルラ酸、α−リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
上記ビタミン類の配合量は、特に制限されないが、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができる。皮膚化粧料や外用医薬品全体として、通常0.1質量%〜30質量%、好ましくは0.5質量%〜25質量%、特に好ましくは1質量%〜20質量%である。
【0032】
美白剤としては、プラセンタ、アルブチン、システイン、エラグ酸、コウジ酸、フィチン酸、ルシノール、ハイドロキノン;イリス(アイリス)、アーモンド、アロエ、イチョウ、ウーロン茶、エイジツ、オウゴン、オウレン、オトギリソウ、オドリコソウ、海藻、カッコン、カミツレ、カンゾウ、クチナシ、クジン、コムギ、コメ、コメハイガ、オリザノール、コメヌカ、シソ、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、ダイズ、茶、テルミナリア、トウキ、トウキンセンカ、ハマメリス、ベニバナ、ボタンピ、ヨクイニン、トウキ、エノキ、カキ(Diospyros kaki)、チョウジ等の植物に由来する成分、エキス及び精油等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
上記美白剤の配合量は、特に制限されないが、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができる。皮膚化粧料や外用医薬品全体として、通常0.1質量%〜30質量%、好ましくは0.5質量%〜25質量%、特に好ましくは1質量%〜20質量%である。
【0033】
抗シワ剤としては、カイネチン、グリコール酸、アルジリン、アシル化グルコサミン、コラーゲン、ヒアルロン酸、アロエエキス、海藻エキス、マロニエエキス、ローズマリーエキス、ヤグルマソウエキス等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
上記抗シワ剤の配合量は、特に制限されないが、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができる。皮膚化粧料や外用医薬品全体として、通常0.1質量%〜30質量%、好ましくは0.5質量%〜25質量%、特に好ましくは1質量%〜20質量%である。
【0034】
消炎鎮痛剤としては、インドメタシン、フェルビナク、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アラントイン又はその誘導体、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ピロキシカム、ケトプロフェン等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
上記消炎鎮痛剤の配合量は、特に制限されないが、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができる。皮膚化粧料や外用医薬品全体として、通常0.1質量%〜30質量%、好ましくは0.5質量%〜25質量%、特に好ましくは1質量%〜20質量%である。
【0035】
抗真菌剤としては、塩酸テルビナフィン、硝酸スルコナゾール、クロトリマゾール、硝酸イソコナゾール、硝酸クロコナゾール、硝酸ナチコナゾール、硝酸ミコナゾール、硝酸エコナゾール、硝酸オキシコナゾール、ビホナゾール、チオコナゾール、ケトコナゾール、トルナフタート、トルシクラート、リラナフタート、シクロピロクスオラミン、エキサラミド、シッカニン、ウンデシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛、ピロールニトリン、塩酸ブテナフィン、塩酸アモロルフィン、塩酸ネチコナゾール等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
上記抗真菌剤の配合量は、特に制限されないが、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができる。皮膚化粧料や外用医薬品全体として、通常0.1質量%〜30質量%、好ましくは0.5質量%〜25質量%、特に好ましくは1質量%〜20質量%である。
【0036】
ステロイド剤としては、吉草酸酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酪酸ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酪酸クロベタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、プロピオン酸ベクロメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、アムシノニド、ハルシノニド、ジフルプレドナート等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
上記ステロイド剤の配合量は、特に制限されないが、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができる。皮膚化粧料や外用医薬品全体として、通常0.1質量%〜30質量%、好ましくは0.5質量%〜25質量%、特に好ましくは1質量%〜20質量%である。
【0037】
痩身剤としては、カフェイン、アミノフィリン、テオフィリン、オクストリフィリン、ダイフィリン、ジイソブチルアミノベンゾイルオキシプロピルテオフィリン、テオブロミン、ジプロフィリン、プロキシフィリン、ペントキシフィリン等のキサンチン類、カプサイシン等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
上記痩身剤の配合量は、特に制限されないが、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができる。皮膚化粧料や外用医薬品全体として、通常0.1質量%〜30質量%、好ましくは0.5質量%〜25質量%、特に好ましくは1質量%〜20質量%である。
【0038】
局所麻酔剤としては、リドカイン、塩酸リドカイン、ジブカイン、塩酸ジブカイン、アミノ安息香酸エチル、ユーカリ油、オイゲノール、カンフル、ハッカ油等が挙げられる。
また、鎮痒剤としては、クロタミトン、クロルフェニラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸、ノニル酸ワニリルアミド、メキタジン、カンフル、チモール、オイゲノール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、コンフリーエキス、シソエキス等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
抗菌剤としては、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化デカリニウム、トリクロサン、トリクロロカルバニリド等が挙げられ、抗ウイルス剤としては、アシクロビル、ペンシクロビル等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0039】
さらに、角質軟化剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、炭酸プロピレン、ヘキシルドデカノール、アラントイン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエタノールアミン、ジイソプロピルアジペート、エチルラウリレート、ラノリン、脂肪酸ジアルキロールアミド、尿素、イオウ、レゾルシン、フィチン酸、乳酸、乳酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
保湿剤としては、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ジグリセリントレハロース、ヒアルロン酸ナトリウム、ヘパリン類似物質、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサン等の高分子化合物、グリシン、アスパラギン酸、アルギニン等のアミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の天然保湿因子、カミツレエキス、アロエエキス、アロエベラエキス、ハマメリスエキス、ローズマリーエキス、タイムエキス、チャエキス、シソエキス等の植物抽出エキス等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0040】
収斂剤としては、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アルミニウムフェノールスルホン酸、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アルミニウムクロロヒドロオキシド等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
他の抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物(以下、エデト酸ナトリウムともいう)、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0041】
上記局所麻酔剤、鎮痒剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、角質軟化剤、保湿剤、収斂剤、他の抗酸化剤の配合量は、本発明の効果を奏すれば特に制限されないが、望ましくは薬事法上許容される上限配合量を限度に適宜選択使用することができる。具体的には、皮膚外用剤100質量部あたり、通常0.001質量部〜20質量部であり、0.001質量部〜10質量部であることが好ましく、0.001質量部〜5質量部であることがより好ましい。
【0042】
皮膚用化粧料や外用医薬品の製造方法は、上述のように特に限定されるものではなく、常法により製造する事が可能である。また、上記皮膚用化粧料や外用医薬品の使用量は特に制限されるものではないが、通常、一日数回、適量を皮膚等の外皮に塗布する等して用いることができる。
上記皮膚用化粧料や外用医薬品の形態については特に制限されるものではない。例えば、軟膏剤、クリーム剤、液剤(油状、ローション状、乳液状、エアゾール状を含む)、ゲル剤、貼付剤(パック状を含む)、固形剤等の剤型が挙げられる。
【0043】
[飲食品]
また、本発明に係る抗酸化剤は、飲食品へ添加することが可能である。
飲食品中の抗酸化剤配合量は、特に限定されるものではない。例えば、0.01質量%〜20質量%であり、好ましくは0.1質量%〜10質量%である。
【0044】
飲食品の調製は、常法に従って行うことができる。また、上記の添加剤(例えば、水(精製水、温泉水、深層水等)、アルコール、油剤、ビタミン類、他の抗酸化剤等)の他に、甘味剤、保存料、香料、着色剤等を適宜添加することが可能である。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0045】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム等、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
保存料としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、デヒドロ酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、ツヤプリシン、エゴノキ抽出物、ペクチン分解物、ε−ポリリシン等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0046】
着色料としては、食用赤色106号、ムラサキイモ色素、クチナシ赤色素、食用赤色2号及びそのアルミニウムレーキ、食用赤色3号及びそのアルミニウムレーキ、食用赤色40号及びそのアルミニウムレーキ、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、エルダーベリー色素、シソ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ブドウ果汁色素、ベニコウジ色素、ボイセンベリー色素、アカネ色素、食用黄色5号及びそのアルミニウムレーキ、アナトー色素、コチニール色素、ラック色素、トウガラシ色素、食用黄色4号及びそのアルミニウムレーキ、ウコン色素、オレンジ色素、クチナシ黄色素、トウモロコシ色素、ニンジンカロテン、β−カロテン、ベニバナ黄色素、食用緑色3号及びそのアルミニウムレーキ、クロロフィリン、クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、食用青色1号及びそのアルミニウムレーキ、クチナシ青色素、スピルリナ色素、食用青色2号及びそのアルミニウムレーキ、カカオ色素、タマネギ色素、コウリャン色素、タマリンド色素、二酸化チタ等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0047】
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液−液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
【0048】
飲食品の形態は、特定保健用食品、特殊栄養食品、栄養補助食品、健康食品等に食品添加物として配合することができる。添加対象の食品としては、各種食品に可能である。飲料としては、特定保健用食品、特殊栄養食品、栄養補助食品としての飲料やその他の栄養飲料、健康飲料、各種の健康茶、その他の飲料等に配合できる。他の食品としては、菓子類、パン、麺類、大豆加工品、乳製品、卵加工品、練り製品、油脂、調味料等が挙げられる。
【実施例】
【0049】
[実施例1]
金属ナノ粒子として白金ナノ粒子を、シクロデキストリンとしてγ−シクロデキストリンを、ビタミン及び/又はビタミン様作用物質としてコエンザイムQ10を用いて下記の手順で複合体を製造した。
ヘキサクロロ白金酸(IV)六水和物0.86g(0.0198mmol)を水に溶解させ、1.66×10−2mol/Lのヘキサクロロ白金酸水溶液を作製した。シュレンク管中にγ−シクロデキストリン(以下、CyDとする)を1.027g(0.792mol)量り取り、これに水28.8mLを加え、30分撹拌することで完全に溶解させた。このγ−CyD水溶液に上記で作成したヘキサクロロ白金酸水溶液1.2mLを量り取り、30分混合した(この際のPt濃度0.66mmol/L)。この混合溶液が入ったシュレンク管を3回凍結脱気後に窒素を封入することで、シュレンク管内の窒素置換を行った。さらに、この容器を25℃の水浴に浸し、500W超高圧水銀灯照射を用いて紫外線を1時間照射し、ヘキサクロロ白金酸を還元することで、γ−CyD保護Ptナノ粒子分散液を調製した。得られたγ−CyD保護Ptナノ粒子分散液を、ロータリーエバポレータを用いて溶媒留去し、精製した。
【0050】
次いで、得られたγ−CyD保護Ptナノ粒子を水に溶解させ、1mmol/Lのγ−CyD保護Ptナノ粒子分散液を作成した。これにコエンザイムQ10の粉末を0.052mg添加し、10分間混合することで、複合体を作成した。透過型電子顕微鏡観察によるこの複合体の平均粒子径は、2.8nm、標準偏差は0.8nmであった。
【0051】
[実施例2]
γ−CyD水溶液に上記で作成したヘキサクロロ白金酸水溶液1.2mLを量り取り、30分混合した(この際のPt濃度0.66mmol/L)後にエタノールを加え、容器内の窒素置換を行い、湯浴に浸して1時間加熱還流してγ−CyD保護Ptナノ粒子分散液を得た以外は実施例1と同様の方法で複合体を製造した。透過型電子顕微鏡観察によるこの複合体の平均粒子径は、4.2nm、標準偏差は1.8nmであった。
【0052】
これより、実施例1の方法により得られた複合体の方が、粒子径が小さい粒子を製造することが可能であることが分かった。
【0053】
[比較例1,2]
比較として、実施例1に記載の方法で製造したγ−CyD保護Ptナノ粒子、及びコエンザイムQ10の粉末を用いた。
【0054】
[活性酸素種除去能の検討1]
活性酸素種として、スーパーオキシドアニオンラジカルを用いた。具体的な手順は以下の通りである。
まずヒポキサンチン(HXN)/キサンチンオキシダーゼ(XOD)系でスーパーオキシドアニオンラジカル(O)を発生させた。ここで、「ヒポキサンチン(HXN)/キサンチンオキシダーゼ(XOD)系」とは、以下のような手順で調製されたものをいう。まず5.5mMヒポキサンチン50μLが添加された200mMのリン酸バッファー液(pH7.5)50μLと、5,5−ジメチル−1−ピロリン−N−オキシド15μLと、を混合した混合液に水を加え、全体で100μLとなるよう調製する。次いでキサンチンオキシダーゼ0.2mLが添加された200mMのリン酸バッファー液(pH7.5)50μLを添加して混合する。
【0055】
上記手順により調製されたヒポキサンチン(HXN)/キサンチンオキシダーゼ(XOD)系に、実施例1及び比較例1の粒子を除去剤として所定量添加し、除去剤で失活しきれなかったOを5,5−ジメチル−1−ピロリン−N−オキシド(以下DMPOとする)で捕捉した。それにより、生成したDMPO−OOHのラジカルを電子スピン共鳴測定(以下、ESRとする)により検出した。
このとき、Mnマーカー(図2でいう333/mT付近のピーク)のESRピーク強度を基準にしてDMPO−OOHピーク強度からDMPO−OOH量を定量した(図2でいう333/mT付近のピーク)。
また、その値を実施例1に係る複合体の添加量でプロットした。これを図3に示す。図中、複合体の添加量が0μMのデータは比較例1を添加した際のデータであり、添加量が150,330,500,660μMのデータは実施例1を添加した際のデータである。
【0056】
[活性酸素種除去能の検討2]
活性酸素種として、過酸化水素を用いた。具体的な手順は以下の通りである。
まず、実施例1及び比較例1,2の粒子それぞれ3.1mgに、水をそれぞれ0.06mL添加する。そこに30mMに調製した過酸化水素水を添加して混合し、上記と同様の手順で紫外可視吸収スペクトル測定を行った。その結果を図4に示す。これより本発明に係る複合体は、優れた活性酸素種除去能を有していることが示された。
【0057】
[活性酸素種除去能の検討3]
実施例1において、金属ナノ粒子に対するコエンザイムQ10の量を、等量、1/2等量、1/10等量、1/20等量と変化させて複合体を製造し、過酸化水素除去能の検討を行った。その結果を表1に示す。これよりコエンザイムQ10の量にかかわらず、ほぼ同等の活性炭素除去能を奏することが示された。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る複合体の概念図である。
【図2】スーパーオキシドアニオンラジカルの消去能を示す図である。
【図3】スーパーオキシドアニオンラジカルの消去能を示す図である。
【図4】過酸化水素の消去能を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ナノ粒子と、シクロデキストリンと、ビタミン及び/又はビタミン様作用物質と、からなる複合体を含有する抗酸化剤。
【請求項2】
前記金属ナノ粒子は、白金、金、銀、銅、パラジウム、鉄、ニッケル、ルテニウム、オスミウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくともいずれか一種の金属のである請求項1に記載の抗酸化剤。
【請求項3】
前記ビタミン及び/又はビタミン様作用物質は、ユビキノン類、スーパーオキシドジスムターゼ、ビタミンC、ビリルビン、グルタチオンペルオキシターゼ、ペルオキシターゼ、カラターゼ、リノール酸、ビタミンE、システイン、尿酸、α−カロチン、β−カロチン、フラボノイド、リボフラビン、リコピン、ルテイン、アセチルシステイン、アスタキサンチン、αリポ酸からなる群から選ばれる少なくともいずれか一種である請求項1又は2に記載の抗酸化剤。
【請求項4】
前記金属ナノ粒子の金属ナノ粒子の平均粒子径は、1nm〜20nmである請求項1から3いずれかに記載の抗酸化剤。
【請求項5】
請求項1から4いずれかに記載の抗酸化剤を含有する皮膚用化粧料。
【請求項6】
請求項1から4いずれかに記載の抗酸化剤を含有する外用医薬品。
【請求項7】
請求項1から4いずれかに記載の抗酸化剤を含有する飲食品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−156440(P2008−156440A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345643(P2006−345643)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年8月30日に社団法人日本化学会が発行した刊行物である「第59回コロイドおよび界面化学討論会・講演要旨集」380頁(P058)にて発表。
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【出願人】(506300730)アプト株式会社 (5)
【Fターム(参考)】