説明

抵抗性高血圧症の治療に使用するオメガ−3脂肪酸

オメガ−3脂肪酸を含む組成物であって、抵抗性高血圧症の治療に、抵抗性高血圧症に罹患している患者の血圧の低下に、および/または抵抗性高血圧症に罹患している患者の血圧の制御に有用な組成物を提供する。該組成物はまた、抵抗性高血圧症に罹患している対象群の患者の抵抗性高血圧症を治療する方法であって、その対象群の血圧が対照群と比べて統計学的に有意な量だけ減少させる方法にも有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は2006年7月21日付け出願の米国仮出願第60/832156号の優先権を主張するものであり、その内容を出典明示により本願明細書の一部とする。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、オメガ−3脂肪酸を含む組成物であって、抵抗性高血圧症の治療に有用な組成物に関する。本発明はまた、該組成物より製造される医薬製剤、かかる製剤の製法および該製剤を用いて抵抗性高血圧症を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高血圧は心臓活動を亢進させる危険な状態であり、アテローム性動脈硬化症の原因となる。高血圧は、アメリカ人の第一および第三の主な死亡原因である、心臓病および発作の危険性を増加させる。高血圧はまた、鬱血性心不全、腎臓病および失明などの他の症状をもたらしうる。
【0004】
国立衛生研究所によれば、140/90mmHg(収縮期/拡張期)以上の血圧レベルは「高い」と考えられている。65歳以上の約3分の2の人は高血圧症である。多くの人の場合、血圧レベルの減少は、体重の減少、食事性ナトリウムの減少、運動、アルコール消費の緩和、および禁煙などの生活様式を変えることで達成されうる。しかしながら、人によっては、生活様式の変更は適当ではなく、またはそれに固執するものではなく、あるいはさらなる干渉を必要とする。これらの患者には、薬物治療が処方される。
【0005】
現在、血圧を降下させるための多数の薬物が市販されている。しかしながら、高血圧の人の3分の2以上は、一の薬物で制御することができず、異なる種類より選択される2種またはそれ以上の高血圧剤を必要とする。低血圧を目標とするか、あるいは実質的に高い血圧の高血圧患者においては、3種またはそれ以上の高血圧剤が使用されうる。単一の薬剤の使用では目標の血圧レベルを達成するのに不適切である場合、例えば血圧が収縮期の目標よりも20mmHg以上高い場合、あるいは拡張期の目標よりも10mmHg以上高い場合、少なくとも第2の高血圧薬の使用が提言される。
【0006】
特に持続型の高血圧症が抵抗性高血圧症である。共同米国委員会の高血圧症の予防、検出、評価および治療に対する第7回報告(通常、「JNC7」として公知)(2004年8月に米国心臓、肺および血液協会により出版された)は、抵抗性高血圧症を、「利尿剤を含む、3種の薬物の適切な投与計画を完全に実行する患者にて目標とする血圧を達成できない疾患」として定義されている。
【0007】
オメガ−3脂肪酸は、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)を阻害し、ペロキソマールおよびミトコンドリアベータ酸化を刺激することで血清トリグリセリドを減少させることが知られている。魚油(一般にフィッシュオイルとも言う)は、2種のオメガ−3脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の優れた供給源であり、脂質代謝を制御することが判明した。オメガ−3−脂肪酸は心血管疾患、特に軽度の高血圧、高トリグリセリド血症の危険因子に対して、および凝固因子VIIホスホリピッド複合活性に対して効果的な作用を有することが判明した。さらには、オメガ−3脂肪酸は重度の副作用を引き起こすことなく、充分に許容されるようである。
【0008】
オメガ−3脂肪酸の一の形態が、登録商標(ロバザ(Lovaza))で市販されている、DHAおよびEPA含有の魚油から由来のオメガ−3長鎖ポリ不飽和脂肪酸の濃縮物である。かかる形態のオメガ−3脂肪酸は、例えば、米国特許第5502077号および第5698594号に記載されており、その内容を出典明示により本明細書の一部とする。これらの特許は、高血圧の治療における、オメガ−3脂肪酸のそのような濃縮形態の使用を開示する。
【0009】
複数の高血圧薬を用いて治療されている高血圧患者に対するオメガ−3脂肪酸を含む栄養補助製品の効果を測定するために、種々の研究がなされてきた。かかる研究の結果がまとめられている。
【0010】
Lungershausenら、J. Hypertension 1994、12:1041−1045は、利尿剤、ベータ−ブロッカーまたはその両方で治療される、高血圧症における血圧に対するオメガ−3脂肪酸補助製品の効果を評価した。ベータブロッカーだけ(n=29)、利尿剤だけ(n=3)またはベータブロッカーと利尿剤の混合(n=11)を摂取することで制御されている合併症を伴わない本態性高血圧症の43人の患者を、プラセボ(コーン油4g)または魚油(ロバザ(登録商標)4g、85%EPAおよびDHA含有)のいずれかを投与する交差実験に付した。参加者のすべては少なくとも1年間抗高血圧薬を服用しており、あらゆるケースで満足のいく制御が得られていた。前投薬のベースライン血圧レベルは、平均すると、最初にコーン油を摂取する群では172/103mmHgであり、最初にロバザ(登録商標)を摂取する群では173/103mmHgであった。該実験から、収縮期の血圧と拡張期の血圧はオメガ−3脂肪酸を補給する期間では、各群にて有意に低いことがわかる。
【0011】
Wingら、J. Hypertension 1990、8:339−343は、血圧が制御されている20人の処理高血圧患者における、魚油を含む栄養補助食品の血圧に対する効果を試験した。3種の高血圧薬を服用している患者の内、2人はベータブロッカー、利尿剤およびニフェジピンまたはプラゾシンであり、3人はACE阻害剤、利尿剤およびベータブロッカーまたはニフェジピンであった。患者にプラセボ(オリーブ油15g)または魚油(30%EPAおよびDHA含有のリピタック(Lipitac)(登録商標))のいずれかを交差実験にて投与した。患者の試験前平均血圧は144.7/84.5mmHgであった。該実験では魚油とオリーブ油での処理の2つのフェーズの間の血圧の違いを明らかにすることができなかった。
【0012】
Woodmanら、Am. J. Clin. Nutr. 2002、76:1007−1015は、精製したEPAまたは精製したDHAのいずれの処理が治療高血圧患者の血圧に対して差別的な効果があるかどうかを試験した。51人の患者を、4gの精製した(約96%)EPA、精製した(約92%)DHAまたはオリーブ油プラセボのいずれかを一日に一度、6週間投与する、単一アーム実験に付した。対象のうち24人は3種またはそれ以上の抗高血圧薬を用いた。平均べースライン血圧はオリーブ油群で135.9/73.0mmHgであった。群間のベースラインでの収縮期血圧または拡張期血圧にて有意な差はなかった。オリーブ油群における変化の比較において、EPAまたはDHA群のいずれにおいても収縮期血圧または拡張期血圧にて有意な変化はなかった。
【0013】
Baoら、Hypertension 1998、32:710−717は、体重過多の高血圧患者にて魚中心の食事および体重減少の血圧に対する効果を試験した。患者を4群:対照群;患者が毎日フィッシュミール(約3.65gのオメガ−3脂肪酸)を食する魚中心の食事の群;体重減少群;または魚の食事+体重減少の群の一つに無作為に分けた。対照群の16人の対象のうち2人、魚中心の食事の群の17人の対象のうち1人、体重減少群の16人の対象のうち1人、および魚中心の食事+体重減少の群の14人の対象のうち1人は3種またはそれ以上の抗高血圧薬を服用した。4群の平均ベースライン血圧は、対象群では135.9/75.4mmHgであり、魚中心の食事の群では132.1/75.2mmHgであり、体重減少群では137.6/78.3mmHgであり、魚中心の食事+体重減少の群では132.1/74.9mmHgであった。該実験にて、オメガ−3脂肪酸に富む魚の食事を毎日、肥満治療の高血圧対象の低脂肪、エネルギー制限の食事に組み入れることで血圧の減少に付加的な効果が得られることが判明した。
【0014】
Grayら、Pharmacother. 1996、16(2):295−300は、その血圧が抗高血圧薬で効果的に制御されていない19人の対象における、オメガ−3脂肪酸栄養補助食品の血圧制御に対する効果を試験した。対象は18gのニシン油(25%オメガ−3脂肪酸を含有する)または18gのコーン油プラセボのいずれかを摂取した。プラセボ群の対象はその平均ベースライン臥位血圧が151/93mmHgであり、魚油群では151/97mmHgであった。魚油を摂取した対象は治療が4週に達するまでに血圧が有意に減少したが、8週後はその減少はそれほど言うほどではなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Lungershausenら、J. Hypertension 1994、12:1041−1045
【非特許文献2】Wingら、J. Hypertension 1990、8:339−343
【非特許文献3】Woodmanら、Am. J. Clin. Nutr. 2002、76:1007−1015
【非特許文献4】Baoら、Hypertension 1998、32:710−717
【非特許文献5】Grayら、Pharmacother. 1996、16(2):295−300
【発明の概要】
【発明の解決すべき課題】
【0016】
上記した文献はいずれもオメガ−3脂肪酸が抵抗性高血圧症の治療に有用であることを開示するものではない。当該分野にて抵抗性高血圧症の治療に対する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、天然または合成のオメガ−3脂肪酸、および/またはその医薬上許容されるエステル、誘導体、コンジュゲート、先駆体もしくは塩、あるいはその混合物を含有する組成物を、抵抗性高血圧症の有効な治療剤として提供することで、当該分野にて満たされていない要求ならびに他の要求を満たすものである。
【0018】
本発明は、望ましくない副作用を最小にしつつ、抵抗性高血圧症の有効な医薬処理を提供するための、天然または合成のオメガ−3脂肪酸、および/またはその医薬上許容されるエステル、誘導体、コンジュゲート、先駆体もしくは塩、あるいはその混合物をも提供する。
【0019】
本発明の一の実施形態は、抵抗性高血圧症の対象の治療において、天然または合成のオメガ−3脂肪酸、および/またはその医薬上許容されるエステル、誘導体、コンジュゲート、先駆体もしくは塩、またはその混合物を利用する方法を提供する。
【0020】
本発明のもう一つ別の実施形態は、天然または合成のオメガ−3脂肪酸またはその医薬上許容されるエステル、誘導体、コンジュゲート、先駆体もしくは塩、あるいはその混合物の経口用製剤であって、抵抗性高血圧症の対象の治療に使用される製剤を提供する。
【0021】
本発明のもう一つ別の目的は、抵抗性高血圧症に罹患している患者の血圧を下げる方法であって、天然または合成のオメガ−3脂肪酸またはその医薬上許容されるエステル、誘導体、コンジュゲート、先駆体もしくは塩、あるいはその混合物を投与することを含む方法である。
【0022】
本発明のもう一つ別の目的は、抵抗性高血圧症に罹患している患者の血圧を制御する方法であって、天然または合成のオメガ−3脂肪酸またはその医薬上許容されるエステル、誘導体、コンジュゲート、先駆体もしくは塩、あるいはその混合物を投与することを含む方法である。
【0023】
本発明のもう一つ別の目的は、抵抗性高血圧症の治療用医薬を製造するための、天然または合成のオメガ−3脂肪酸またはその医薬上許容されるエステル、誘導体、コンジュゲート、先駆体もしくは塩、あるいはその混合物の使用である。
【0024】
本発明のもう一つ別の目的は、対象群における抵抗性高血圧症を治療する方法であって、天然または合成のオメガ−3脂肪酸またはその医薬上許容されるエステル、誘導体、コンジュゲート、先駆体もしくは塩、あるいはその混合物を投与することを含む方法である。
【0025】
本発明のもう一つ別の目的は、天然または合成のオメガ−3脂肪酸またはその医薬上許容されるエステル、誘導体、コンジュゲート、先駆体もしくは塩、あるいはその混合物を対象群に投与することを含む、当該群における抵抗性高血圧症を治療する方法であって、該対象群に投与した後、対象群の血圧を対照群と比較して統計学的に有意な程度にて減少させる方法である。
【0026】
本発明の他の新規な特徴および利点は、本発明の以下の試験あるいは本発明を実施することにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明はオメガ−3脂肪酸、その製造方法、その抵抗性高血圧症の治療における使用に関する。
【0028】
いくつかの好ましい実施形態において、オメガ−3脂肪酸は、米国特許第5502077号、第5656667号および第5698594号に記載されるように、ロバザ(登録商標)オメガ−3脂肪酸を含む。他の好ましい実施形態において、オメガ−3脂肪酸は、組成物の脂肪酸全含量と比べると、少なくとも40重量%の濃度で存在する。さらに別の好ましい実施形態において、オメガ−3脂肪酸は、組成物の脂肪酸全含量と比べると、少なくとも50重量%のEPAおよびDHAを含む。EPAおよびDHAは、EPA:DHAの重量比が99:1から1:99、好ましくは1:4から4:1、さらに好ましくは1:3から3:1、最も好ましくは1:2から2:1である。オメガ−3脂肪酸はまた、純粋なEPAまたは純粋なDHAであってもよい。
【0029】
本明細書中で用いる場合、「オメガ−3脂肪酸」なる語は、天然または合成のオメガ−3脂肪酸、またはその医薬上許容されるエステル、誘導体、コンジュゲート(例えば、Zalogaら、米国特許出願公開第2004/0254357号およびHorrobinら、米国特許第6245811号を参照のこと、その各々を出典明示により本明細書の一部とする)、先駆体もしくは塩、あるいはその混合物を包含する。オメガ−3脂肪酸油の例として、限定されるものではないが、オメガ−3ポリ不飽和長鎖脂肪酸、例えばエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびα−リノレン酸;モノ−、ジ−およびトリ−グリセリドなどのグリセロールとのオメガ−3脂肪酸のエステル;およびオメガ−3脂肪酸と一級、二級または三級アルコールとのエステル、例えば脂肪酸メチルエステルおよび脂肪酸エチルエステルが挙げられる。好ましいオメガ−3脂肪酸油は、EPAまたはDHAなどの長鎖脂肪酸、そのトリグリセリド、そのエチルエステルおよびそれらの混合物である。オメガ−3脂肪酸またはそのエステル、誘導体、コンジュゲート、先駆体、塩およびそれらの混合物は、その純粋な形態にて、あるいは魚油、好ましくは精製された魚油濃縮物などの油の成分として用いることができる。本発明の使用に適するオメガ−3脂肪酸の市販例として、インクロメガ(Incromega)F2250、F2628、E2251、F2573、TG2162、TG2779、TG2928、TG3525およびE5015(英国、Yorkshire、Croda International PLC)およびEPAX6000FA、EPAX5000TG、EPAX4510TG、EPAX2050TG、K85TG、K85EE、K80EEおよびEPAX7010EE(ノルウェー、Lysaker、Pronova Biocare a.s.)が挙げられる。
【0030】
もう一つ別の好ましい組成物は、オメガ−3脂肪酸を、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、さらにより好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%、それとも少なくとも90重量%の濃度にて配合するものを包含する。好ましくは、オメガ−3脂肪酸は、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、さらにより好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%、例えば約84重量%のEPAおよびDHAを含む。好ましくは、オメガ−3脂肪酸は約5ないし約100重量%、より好ましくは約25ないし約75重量%、さらにより好ましくは約40ないし約55重量%、および最も好ましくは約46重量%のEPAを含む。好ましくは、オメガ−3脂肪酸は約5ないし約100重量%、より好ましくは約25ないし約75重量%、さらにより好ましくは約30ないし約60重量%、および最も好ましくは約38重量%のDHAを含む。上記したすべての%は、特記しない限り、組成物中の脂肪酸全含量と比べた重量で示す。重量%は遊離酸またはエステルの形態を基礎とするが、たとえ本発明に従って他の形態が利用されていたとしても、オメガ−3脂肪酸のエチルエステルの形態を基礎とすることが好ましい。
【0031】
オメガ−3脂肪酸は約350mgないし約10g、より好ましくは約500mgないし約6g、および最も好ましくは約750mgないし約4gの量で存在しうる。この量は1個または複数の剤形、好ましくは1個の剤形に配合されていてもよい。オメガ−3脂肪酸組成物は、所望により、アルファトコフェロールなどの化学抗酸化剤、大豆油および一部硬化した食用油などの油、分別ココヤシ油、レシチンなどの潤滑剤、およびその混合物を含んでいてもよい。
【0032】
最も好ましい形態のオメガ−3脂肪酸は、ロバザ(登録商標)オメガ−3脂肪酸(K85EE、ノルウェ、Lysaker, Pronova Biocare A.S.)であり、以下の特性からなる(剤形当たり):
【表1】

【0033】
本発明の活性成分である、オメガ−3脂肪酸は、1種または複数の非活性医薬成分(本明細書中、「賦形剤」としても一般に知られている)と組み合わせて投与されてもよい。例えば、非活性成分は、活性成分を可溶化、懸濁化、増粘化、希釈化、エマルジョン化、安定化、保存化、保護化、着色化、フレーバー化および造形化し、使用について安全、便利で、そうでなければ許容しうる、適用可能で効果的な製剤にするのに役立つ。
【0034】
賦形剤は、プロピレングリコールモノカプリラート、グリセロールと長鎖脂肪酸のポリエチレングリコールエステルの混合物、ポリエトキシル化ヒマシ油、グリセロールエステル、オレイルマクロゴールグリセリド、プロピレングリコールモノラウラート、プロピレングリコールジカプリラート/ジカプラート、ポリエチレン−ポリプロピレングリコールコポリマーおよびポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートなどの界面活性剤、エタノール、グリセロール、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールなどの共溶媒、ならびにココヤシ、オリーブまたはサフラワー油などの油を包含する。界面活性剤、共溶媒、油またはそれらの組み合わせの使用は製薬分野にて周知であり、当業者が理解しうるように、いずれの適当な界面活性剤も本発明およびその実施形態と組み合わせて用いることができる。
【0035】
本発明の組成物および方法はさらに、高血圧症の治療に有用な1種または複数の付加的な化合物を一緒に投与することを含んでもよい。天然または合成のオメガ−3脂肪酸またはその医薬上許容されるエステル、誘導体、コンジュゲート、先駆体もしくは塩、あるいはその混合物、および1種または複数の付加的な化合物を含む単位剤形も、それらをその必要とする患者に投与する方法も包含される。
【0036】
これらの付加的な化合物は、1種または複数の、好ましくは2種またはそれ以上の、最も好ましくは3種またはそれ以上の異なる化合物であってもよく、その各々は、独立して、利尿剤、アルドステロン受容体遮断剤、ベータ遮断剤、アルファ−およびベータの併用遮断剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、カルシウムチャネル遮断剤、アルファ−1遮断剤、中枢アルファ−2アゴニスト、および直接作用性血管拡張剤の群より選択される。好ましくは、少なくとも1つの付加的な化合物は利尿剤である。さらに好ましくは、付加的な化合物は、利尿剤を含む、上記した少なくとも3種の異なる型の化合物を包含する。利尿剤を含む3種の異なる型の化合物を用いる既存の治療が、典型的には、抵抗性高血圧症の対象にて認められる。
【0037】
本発明によれば、将来に高血圧症の治療に承認される可能性のある未来のまたは既存の化合物にて見出されるかもしれない、上記した化合物と同様の化合物の使用も含まれる。
【0038】
オメガ−3脂肪酸を含む組成物は、ハードゼラチンカプセルなどのカプセル;錠剤;飲料に分散させうる散剤;液剤;またはソフトゲルカプセルの形態にて調製しうる。組成物はまた、注射または注入に適する液体を含有してもよい。しかし、投与用の本発明の組成物の製法は特定の剤形に限定されるものではない。さらには、該組成物は、他の固体経口剤形、他の液体経口剤形、およびいずれか適当な剤形を含む、どのような医薬上許容される剤形として調製されてもよい。供給されるなら、1種または複数の付加的な任意の賦形剤がオメガ−3脂肪酸との剤形中に供給されてもよく、都合のよい単位剤形を創薬することもできる。
【0039】
オメガ−3脂肪酸は、約0.1gないし約10g、より好ましくは約1gないし約6g、最も好ましくは約2gないし約4gの一日量にて、抵抗性高血圧症に罹患している患者に投与することができる。オメガ−3脂肪酸の一日用量は、1ないし10個の剤形にて、投与回数を好ましくは一日に1ないし4回、最も好ましくは1ないし2回で、一緒に投与することができる。投与は、単位用量のオメガ3−脂肪酸を提供する他の投与形態を用いてもよいが、好ましくは、経口投与である。該用量の投与は、好ましくは、血圧レベルを低下させるのに効果的であり、より好ましくは血圧の制御に効果的である。本発明による治療は収縮期血圧レベルを140mmHg以下に減少させ、および/または拡張期血圧レベルを90mmHg以下に減少させる。
【0040】
血圧レベルは、限定されるものではないが、臥位、座位、直立、立位または24時間自由行動下での血圧測定などの、当該該分野にて認識されているいずれの方法によっても測定することができる。
【0041】
本願明細書を通して、種々の特許および刊行物が引用されている。これらの特許および刊行物の開示をその出典明示により本明細書の一部とする。
【0042】
この開示が利益をもたらす関連する分野の当業者であれば、形態および機能において相当な修飾、変更および均等を思いつくであろうから、本発明はかかる修飾、変形および均等もその範囲に含むものである。
【0043】
本発明は今考えられる好ましい実施形態について記載されているが、それに限定されるものではない。それどころか、本発明は、上記した発明の詳細な説明の精神および範囲内にある種々の修飾および均等な変更をも含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗性高血圧症に罹患している患者におけるその治療法であって、
1種または複数のオメガ−3脂肪酸を含む組成物を用意し;
該組成物を患者に抵抗性高血圧症を治療するのに効果的な量にて投与することを含む、方法。
【請求項2】
抵抗性高血圧症に罹患している患者において、血圧を下げる方法であって、
1種または複数のオメガ−3脂肪酸を含む組成物を用意し;
該組成物を患者に血圧を下げるのに効果的な量にて投与することを含む、方法。
【請求項3】
処理が収縮期血圧を140mmHg以下に下げ、および/または拡張期血圧を90mmHg以下に下げる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
抵抗性高血圧症に罹患している患者において、血圧を制御する方法であって、
1種または複数のオメガ−3脂肪酸を含む組成物を用意し;
該組成物を患者に血圧を制御するのに効果的な量にて投与することを含む、方法。
【請求項5】
抵抗性高血圧症に罹患している患者にてその治療用医薬を製造するための1種または複数のオメガ3−脂肪酸の使用。
【請求項6】
抵抗性高血圧症に罹患している患者の対象群にて抵抗性高血圧症を治療する方法であって、
1種または複数のオメガ−3脂肪酸を含む組成物を用意し;
該組成物を対象群に該対象群の抵抗性高血圧症を治療するのに効果的な量にて投与することを含む、方法。
【請求項7】
抵抗性高血圧症に罹患している患者の対象群にて抵抗性高血圧症を治療する方法であって、
1種または複数のオメガ−3脂肪酸を含む組成物を用意し;
該組成物を対象群に投与することを含み、ここで該対象群に投与した後、対象群の血圧が対照群と比べて統計学的に有意な量まで低下しているところの、方法。
【請求項8】
1種または複数のオメガ−3脂肪酸がEPAおよびDHAを含む、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項9】
1種または複数のオメガ−3脂肪酸が、組成物の脂肪酸全含量と比べて、少なくとも40重量%の濃度にて存在する、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項10】
1種または複数のオメガ−3脂肪酸が、組成物の脂肪酸全含量と比べて、少なくとも80重量%の濃度にて存在する、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項11】
1種または複数のオメガ−3脂肪酸が、組成物の脂肪酸全含量と比べて、少なくとも50重量%のEPAおよびDHAを含む、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項12】
1種または複数のオメガ−3脂肪酸が、組成物の脂肪酸全含量と比べて、少なくとも80重量%のEPAおよびDHAを含む、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項13】
1種または複数のオメガ−3脂肪酸が、組成物の脂肪酸全含量と比べて、約40重量%ないし約55重量%のEPAを含む、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項14】
1種または複数のオメガ−3脂肪酸が、組成物の脂肪酸全含量と比べて、約30重量%ないし約60重量%のDHAを含む、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項15】
1種または複数のオメガ−3脂肪酸が、オメガ−3ポリ不飽和長鎖脂肪酸;オメガ−3脂肪酸のグリセロールとのエステル;およびオメガ−3脂肪酸の一級、二級または三級アルコールとのエステル;およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項16】
EPAおよびDHAが、EPA:DHAの重量比が1:2ないし2:1である、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項17】
組成物がさらに高血圧症の治療に有用な1種または複数の付加的な化合物を含む、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項18】
1種または複数の付加的な化合物が、各々、利尿剤、アルドステロン受容体遮断剤、ベータ遮断剤、アルファ−およびベータの併用遮断剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、カルシウムチャネル遮断剤、アルファ−1遮断剤、中枢アルファ−2アゴニスト、および直接作用性血管拡張剤からなる群より選択されるところの、請求項17記載の方法。
【請求項19】
1種または複数の付加的な化合物が、高血圧症の治療に有用な少なくとも3種の異なる型の付加的な化合物を含む、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
3種の型の付加的な化合物の少なくとも1つが利尿剤である、請求項19記載の方法。

【公表番号】特表2009−544702(P2009−544702A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521786(P2009−521786)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/016527
【国際公開番号】WO2008/011179
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(506219731)リライアント・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】RELIANT PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】