説明

押出ダイヘッド

【課題】押出成形を長時間連続して行うにあたり、その吐出口にメヤニが発生するのを抑止することができる押出ダイヘッドの提供を目的とする。
【解決手段】押出機によって溶融混練された樹脂材料が押し出される吐出口3が形成されたシェル2に、吐出口3の周縁に沿ってその周りを囲んで配設される開口部7が形成された板状のシェルチップ6を着脱可能に取り付けるとともに、少なくともシェルチップ6に形成された開口部7の内周に沿って、非粘着性のコーティングを施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機の先端部に取り付けられて、溶融状態の樹脂材料を一定の断面形状で押し出すための押出ダイヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
押出成形にあっては、通常、押出機の先端部に取り付けられた押出ダイヘッド内の樹脂流路を通して、押出機によって溶融混練された樹脂材料を押し出すことにより、一定の断面形状を有する成形品を連続的に成形するが、この際、成形を長時間続けると、押出ダイヘッドの吐出口に、劣化した樹脂が付着してしまうことが知られている(従来の押出ダイヘッドの一例の概略を示す図5参照)。このような付着物は、一般にはメヤニと称され、押出ダイヘッドの吐出口にメヤニが付着したまま成形を続けると、成形品にメヤニが混入して、その品質を低下させてしまったり、メヤニの痕跡(ダイライン)が成形品の表面に筋状に形成されて外観を損ねてしまったりするという問題がある。
このため、定められた時間ごとに成形作業を中止して、押出ダイヘッドを分解・清掃してメヤニを除去するという煩雑な作業が必要となるばかりか、その都度、生産ラインを停止しなければならず、メヤニの除去作業が生産性を低下させる要因にもなっていた。
【0003】
従来、このようなメヤニ対策として種々の技術が提案されており、例えば、特許文献1では、ダイプレートにノズルピースを交換可能に取り付けておき、ノズルピースごとメヤニを取り除くようにして、メヤニの除去に要する手間やコストの低減を図っている。また、特許文献2では、内面にテーパー部を有する筒形の部材をダイリップ部に取り付けて、ダイリップ部に発生したメヤニがテーパー部に付着し、押出の力によってダイリップ部からテーパー部に転移するようにしてメヤニを除去するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−52403号公報
【特許文献2】特開2005−111803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、メヤニの除去に要する手間やコストを低減することができるものの、ノズルピースを交換する際に生産ラインを停止しなければならず、生産性を改善するまでには至らなかった。また、特許文献2に開示された技術では、例えば、ブロー成形に用いられる筒状のパリソンなどを押出成形する際には、かかるパリソンの内側に発生するメヤニを除去することができないというように、いずれの技術においても満足できる結果は得られていない。
【0006】
メヤニの発生メカニズムは複雑であり、その全貌は完全には解明されていないが、本発明者らは、押出ダイヘッドの吐出口に付着した樹脂が、経持的に劣化しながら徐々に堆積してメヤニとなっていくことに鑑みて鋭意検討を重ねたところ、押出ダイヘッドの吐出口に樹脂が付着し難くすることでメヤニの発生を抑止できると考え、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、押出成形を長時間連続して行うにあたり、その吐出口にメヤニが発生するのを抑止することができる押出ダイヘッドの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る押出ダイヘッドは、押出機の先端部に取り付けられる押出ダイヘッドであって、前記押出機によって溶融混練された樹脂材料が押し出される吐出口が形成されたシェルを備え、前記吐出口の周縁に沿って前記吐出口を囲んで配設される開口部が形成された板状のシェルチップが、前記シェルに着脱可能に取り付けられているとともに、少なくとも前記シェルチップに形成された開口部の内周に沿って、非粘着性のコーティングを施した構成としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の押出ダイヘッドによれば、その吐出口におけるメヤニの発生を完全に又は長期にわたって抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る押出ダイヘッドの第一実施形態の概略を示す要部断面図である。
【図2】本発明に係る押出ダイヘッドの第一実施形態の要部拡大断面図である。
【図3】図1に示す押出ダイヘッドの吐出口付近を図中下方からみた概略平面図である。
【図4】本発明に係る押出ダイヘッドの第二実施形態の概略を示す要部断面図である。
【図5】従来の押出ダイヘッドの一例の概略を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る押出ダイヘッドの好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
[第一実施形態]
まず、本発明に係る押出ダイヘッドの第一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における押出ダイヘッドの吐出口を中心に、その要部の概略を示す断面図である。また、図2は、図1中一点鎖線で囲む部分を示す要部拡大断面図であり、図3は、図1に示す押出ダイヘッドの吐出口付近を図中下方からみた概略平面図である。
なお、これらの図において、各部の寸法は必要に応じて誇張して描写している(後述する図4,図5においても同様)。
【0012】
本実施形態の押出ダイヘッド1は、吐出口3を形成するシェル2と、シェル2に形成された吐出口3との間に所定の空隙を隔ててシェル2内に設置したコア4とを備えている。これにより、押出ダイヘッド1は、図示しない押出機の先端部に取り付けられて、押出機によって溶融混練された樹脂材料が、シェル2とコア4との間に形成された樹脂流路5を経て、環状に開口する吐出口3から中空状に押し出されるようになっている。
【0013】
図1に示す例にあっては、吐出口3の開口側(図中、シェル2の下面側)に、板状のシェルチップ6がシェル2に対して着脱可能に取り付けられている。そして、このシェルチップ6には、シェル2に形成された吐出口3の周縁に沿って、当該吐出口3を囲んで配設される開口部7が形成されているとともに(図3参照)、非粘着性のコーティングが施されている。
なお、特に図示しないが、シェルチップ6をシェル2に対して着脱可能に取り付けるには、装置運転時にシェルチップ6が脱落することがないように、ボルト締めなどの適宜手段によって取り付けるようにすればよい。
【0014】
シェルチップ6に施す非粘着性のコーティングとしては、吐出口3から押し出される樹脂が付着し難いものであれば特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などのフッ素系樹脂を単独で、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)などの耐熱性に優れた他の樹脂成分を配合してなる焼成塗膜を例示することができるが、特に、耐摩耗性が良好で、傷付きによる影響が製品に転写されにくいという理由から、PFAとPEEKとを配合してなるPFA−PEEK複合塗膜が好ましい。
このような焼成塗膜は、上記樹脂成分とともに必要に応じて各種の添加剤が加えられた分散液を、必要に応じて下地処理を施した金属母材に塗工した後に、所定の温度で焼成することによって30〜130μm程度の厚みで形成することができる。
【0015】
本実施形態の押出ダイヘッド1は、このようなシェルチップ6を吐出口3の開口側に取り付けて、吐出口3の周縁に沿ってその周りを囲むように、非粘着性のコーティングが施されたシェルチップ6の開口部7を配設させることにより、押出ダイヘッド1から押し出される樹脂が吐出口3に付着し難くなるようにしている。これによって、メヤニの原因と考えられる劣化した樹脂が吐出口3に蓄積されないようにして、メヤニの発生を完全に又は長期にわたって抑止できるようにしている。
【0016】
さらに、シェル2に対してシェルチップ6を着脱可能に取り付けておくことで、装置のメンテナンス時や、樹脂の入れ換え時など、必要に応じて押出ダイヘッド1を清掃する際にシェルチップ6を取り外せるので、その作業が容易になる。シェル2から取り外したシェルチップ6を、清掃済みのシェルチップ6や、新しいシェルチップ6と交換するようにしておけば、清掃作業をより短時間で終了させることも可能になる。
【0017】
シェルチップ6に施す非粘着性のコーティングは、少なくともシェルチップ6に形成した開口部7の内周に沿って施されていればよい。ただし、コーティングが経時的に剥がれてしまうのを防止する上で、シェル2への取り付け面、すなわち、シェル2と対向する面にも回り込むようにしてコーティングを施しておくのが好ましく、コーティング作業を容易にするという観点からは、シェルチップ6の全面に非粘着性コーティングを施してもよい。
なお、図1に示す例にあっては、シェルチップ6の全面に非粘着性コーティングを施している。
【0018】
また、シェルチップ6に形成する開口部7の口径φBは、吐出口3から押し出される樹脂の流れを妨げないように、当該吐出口3の口径φA以上(φA≦φB)となるようにするのが好ましい。
ただし、シェルチップ6に形成された開口部7の内周縁と吐出口3の周縁とが離れすぎてしまうと、吐出口3に樹脂が付着し難くなるようにするという所期の目的を達成できなくなってしまう傾向にある。このような不具合を避けるために、シェル2に形成された吐出口3の口径φAと、シェルチップ6に形成された開口部7の口径φBとの間には、φB≦φA+0.2mmなる関係が成り立つようにするのが好ましく、開口部7の口径φBを吐出口3の口径φAよりも若干大きめとなるようにして、初期の目的を達成できる範囲で両者の寸法を適宜調整するのが好ましい。
【0019】
また、シェルチップ6の開口部7側には、図1に示すように、樹脂の押し出し方向に沿って拡径するテーパー部8を設けておくことができる。このようにすることで、吐出口3から押し出されてきた樹脂が、シェルチップ6の開口部7により付着し難くなる。その結果、劣化した樹脂の堆積をより有効に回避して、メヤニの発生をより効果的に抑止することができる。
このとき、シェルチップ6のシェル2への取り付け面、すなわち、シェル2に対向する面に対するテーパー部8の傾斜角度θaは20゜以下とするのが好ましい。このような角度とすることで、より効果的にシェルチップ6への樹脂の付着を抑えることができる。
【0020】
また、このようなテーパー部8をシェルチップ6の開口部7側に設けるにあたり、開口部7の内周縁が鋭利なエッジ状となっていると、押し出された樹脂の表面に筋状の痕跡が形成されてしまうおそれがある。このような不具合を未然に防止するためには、開口部7の内周を、樹脂の押し出し方向に平行な厚みTaが0.1〜0.5mmの内側面9とするのが好ましい(図2参照)。さらに、このような厚みの内側面9を開口部7の内周に形成することで、開口部7の内周に沿って非粘着性のコーティングを施すのが容易になる。
なお、かかる内側面9の厚みTaが上記範囲の上限を超えても同様の効果が得られるが、シェルチップ6が必要以上に厚くなってしまわないようにするとともに、コーティングを施す部分を少なくするという観点から、当該内側面9の厚みTaの上限を設定した。
【0021】
一方、本実施形態にあっては、シェル2とともに吐出口3を形成するコア4に対しても、同様の非粘着性のコーティングが施されたコアチップ10を着脱可能に取り付けており、これによって、押出ダイヘッド1から押し出される樹脂がコア4側にも付着し難くなるようにして、コア4側におけるメヤニの発生を抑止している。
【0022】
コア4に対してコアチップ10を着脱可能に取り付けるにあたり、図1に示す例では、コア4の先端面を覆う板状のコアチップ10を取り付けてある。
特に図示しないが、コアチップ10をコアに4対して着脱可能に取り付けるに際しても、シェルチップ6について説明したのと同様に、ボルト締めなどの適宜手段によって取り付けるようにすればよい。
【0023】
また、コア4に対してコアチップ10を着脱可能に取り付けておくことで、必要に応じて押出ダイヘッド1を清掃する際にコアチップ10取り外せるため、その作業が容易になり、コア4から取り外したコアチップ10を、清掃済みのコアチップ10や、新しいコアチップ10と交換するようにしておけば、清掃作業をより短時間で終了させることも可能になるのも、シェルチップ6について説明したのと同様である。
【0024】
コアチップ10に施す非粘着性のコーティングは、少なくともコアチップ10の外周に沿って施されていればよい。このとき、シェルチップ6にコーティングを施すのと同様に、コーティングが経時的に剥がれてしまうのを防止する上で、コア4への取り付け面、すなわち、コア4と対向する面にも回り込むようにしてコーティングを施しておくのが好ましく、コーティング作業を容易にするという観点からは、コアチップ10の全面に非粘着性コーティングを施してもよい。
なお、図1に示す例にあっては、コアチップ10の全面に非粘着性のコーティングを施している。
【0025】
また、コアチップ10の外径φDは、吐出口3から押し出される樹脂の流れを妨げないように、コア4の先端面の外径φC以下(φD≦φC)となるように、その大きさを設定するのが好ましい。
この場合も、コアチップ10の外周縁とコア4の先端面の周縁とが離れすぎてしまわないように、コアチップ10の外径φDと、コア4の先端面の外径φCとの間には、φC≦φD+0.2mmなる関係が成り立つようにするのが好ましく、コアチップ10の外径φDが、コア4の先端面の外径φCよりも若干小さめとなるように、両者の寸法を適宜調整するのが好ましい。
【0026】
また、コアチップ10の外周側には、図1に示すように、樹脂の押し出し方向に沿って縮径するテーパー部11を設けておくことができる。このようにすることで、吐出口3から押し出されてきた樹脂が、コアチップ10により付着し難くなる。その結果、劣化した樹脂の堆積をより有効に回避して、メヤニの発生をより効果的に抑止することができる。
このとき、コアチップ10のコア4への取り付け面、すなわち、コア4に対向する面に対するテーパー部11の傾斜角度θbは20゜以下とするのが好ましく、このような角度とすることで、より効果的にコアチップ10への樹脂の付着を抑えることができるのも、シェルチップ6について説明したのと同様である。
【0027】
さらに、このようなテーパー部11をコアチップ10の外周側に設けるにあたり、押し出された樹脂の表面に筋状の痕跡が形成されてしまうおそれがあるという不具合を未然に防止するために、コアチップ10の外周を、樹脂の押し出し方向に平行な厚みTbが0.1〜0.5mmの外側面12とするのが好ましく(図2参照)、このような厚みTbの外側面12を形成することで、コアチップ10の外周に沿って非粘着性のコーティングを施すのが容易になるのも、シェルチップ6について説明したのと同様である。コアチップ10が必要以上に厚くなってしまわないようにするとともに、コーティングを施す部分を少なくすという観点から、当該外側面の厚みTbの上限を設定したのも、シェルチップ6について説明したのと同様である。
【0028】
[第二実施形態]
次に、本発明に係る押出ダイヘッドの第二実施形態について説明する。
図4は、本実施形態における押出ダイヘッドの吐出口を中心に、その要部の概略を示す断面図である。
【0029】
前述した第一実施形態では、コア4に対してコアチップ10を着脱可能に取り付けるようにするとともに、コアチップ10に非貼着性のコーティングを施したが、本実施形態にあっては、コア4に対して非粘着性のコーティングを直に施している点で、前述した第一実施形態と相違する。
【0030】
図4に示す例では、コア先端部4aを基部4bから分離可能として、分離されるコア先端部4aの全面に非貼着性のコーティングを施している。コア先端部4aは、特に図示しないが、ボルト締めなどの適宜手段によって基部4bに固定される。
【0031】
コア4に対して非粘着性のコーティングを直に施す場合、少なくともコア4の先端エッジ部4cに沿って施されていればよい。ただし、コーティングが経時的に剥がれてしまうのを防止する上で、コア先端部4aを基部4bから分離できるようにし、分離されたコア先端部4aにおける先端エッジ部4cから側面にかけてコーティングを施すとともに、基部4bと対向する面にも回り込むようにしてコーティングを施しておくのが好ましい。さらに、コーティング作業を容易にするという観点からは、図4に示す例のように、コア先端部4aの全面に非粘着性のコーティングを施すのが好ましい。
【0032】
本実施形態が前述した第一実施形態と異なるのは、以上の点であり、それ以外は同様の構成を備えているので、他の構成についての詳細な説明は省略する。
【実施例】
【0033】
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0034】
従来の押出ダイヘッドの概略を図5に示すが、このような押出ダイヘッド100を用いて、ポリオレフィン系樹脂などの樹脂材料を用いて筒状のパリソンを連続的に押出成形すると、60〜90分毎にメヤニ101を除去するために生産ラインを停止しなければならなかった。
なお、図5は、従来の押出ダイヘッドの一例において、その吐出口を中心とする要部の概略を示す断面図である。また、図1に示す押出ダイヘッド1と共通する構成については同じ符号で示して説明を省略する。
【0035】
図5に示す従来の押出ダイヘッドを、図1に示す例のように改良した。具体的には、非粘着性のコーティングが全面に施されたシェルチップ6を吐出口3の開口側に取り付けて、吐出口3の周縁に沿ってその周りを囲むように、シェルチップ6の開口部7を配設させた。一方、コア4の先端面を覆うように、非粘着性のコーティングが全面に施されたコアチップ10を取り付けた。非粘着性のコーティングとしては、PFA−PEEK複合塗膜を平均厚さ100μmで焼成した。
このような押出ダイヘッド1を用いて、従来と同じ条件で筒状のパリソンを連続的に押出成形した。成形開始から720分経過した後に吐出口を観察したところ、メヤニの発生は認められなかった。
【0036】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0037】
例えば、前述した実施形態では、シェル2に形成された吐出口3との間に所定の空隙を隔ててシェル2内に設置したコア4を備え、溶融樹脂が中空状に押し出されるようにした例を示したが、本発明は、このようなものには限定されない。コア4を省略するなどして、溶融樹脂が中実状に押し出されるようにした押出ダイヘッドとすることもできる。この場合も、前述したようなシェルチップ6をシェル2に対して着脱可能に取り付けるようにすればよい。
【0038】
また、本発明は、従来の押出ダイヘッドに、前述したような非粘着性のコーティングを施したシェルチップ6やコアチップ10を着脱可能に取り付けたり、コア4に対して非粘着性のコーティングを施したりすることができるように適宜改良を加えるだけで適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明は、押出機の先端に取り付けられて、溶融状態の樹脂材料を押し出すための押出ダイヘッドに適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 押出ダイヘッド
2 シェル
3 吐出口
4 コア
6 シェルチップ
7 開口部
8 テーパー部
9 内側面
10 コアチップ
11 テーパー部
12 外側面
φA シェルに形成された前記吐出口の口径
φB シェルチップに形成された前記開口部の口径
φC コアの先端面の外径
φD コアチップの外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機の先端部に取り付けられる押出ダイヘッドであって、
前記押出機によって溶融混練された樹脂材料が押し出される吐出口が形成されたシェルを備え、
前記吐出口の周縁に沿って前記吐出口を囲んで配設される開口部が形成された板状のシェルチップが、前記シェルに着脱可能に取り付けられているとともに、
少なくとも前記シェルチップに形成された開口部の内周に沿って、非粘着性のコーティングを施したことを特徴とする押出ダイヘッド。
【請求項2】
前記シェルチップの開口部側に、樹脂の押し出し方向に沿って拡径するテーパー部を設けた請求項1に記載の押出ダイヘッド。
【請求項3】
前記シェルチップの前記シェルへの取り付け面に対する前記テーパー部の傾斜角度が20゜以下である請求項2に記載の押出ダイヘッド。
【請求項4】
前記シェルチップの開口部の内周を、樹脂の押し出し方向に平行な厚み0.1〜0.5mmの内側面とした請求項1〜3のいずれか一項に記載の押出ダイヘッド。
【請求項5】
前記シェルに形成された前記吐出口の口径φAと、前記シェルチップに形成された前記開口部の口径φBとの間に、
φA ≦ φB
なる関係が成り立つ請求項1〜4のいずれか一項に記載の押出ダイヘッド。
【請求項6】
前記シェルに形成された前記吐出口の口径φAと、前記シェルチップに形成された前記開口部の口径φBとの間に、
φB ≦ φA + 0.2mm
なる関係が成り立つ請求項5に記載の押出ダイヘッド。
【請求項7】
前記押出機によって溶融混練された樹脂材料が中空状に押し出されるように、前記シェルに形成された前記吐出口との間に所定の空隙を隔てて前記シェル内に設置したコアを備え、
前記コアの先端面を覆う板状のコアチップを着脱可能在に取り付けるとともに、
少なくとも前記コアチップの外周に沿って、非粘着性のコーティングを施したこと請求項1〜6のいずれか一項に記載の押出ダイヘッド。
【請求項8】
前記コアチップの外周側に、樹脂の押し出し方向に沿って縮径するテーパー部を設けた請求項7に記載の押出ダイヘッド。
【請求項9】
前記コアチップの前記コアへの取り付け面に対する前記テーパー部の傾斜角度が20゜以下である請求項8に記載の押出ダイヘッド。
【請求項10】
前記コアチップの外周を、樹脂の押し出し方向に平行な厚み0.1〜0.5mmの外側面とした請求項7〜9のいずれか一項に記載の押出ダイヘッド。
【請求項11】
前記コアの先端面の外径φCと、前記コアチップの外径φDとの間に、
φD ≦ φC
なる関係が成り立つ請求項7〜10のいずれか一項に記載の押出ダイヘッド。
【請求項12】
前記コアの先端面の外径φCと、前記コアチップの外径φDとの間に、
φC ≦ φD + 0.2mm
なる関係が成り立つ請求項11に記載の押出ダイヘッド。
【請求項13】
前記押出機によって溶融混練された樹脂材料が中空状に押し出されるように、前記シェルに形成された前記吐出口との間に所定の空隙を隔てて前記シェル内に設置したコアを備え、
少なくとも前記コアの先端エッジ部に沿って非粘着性のコーティングを施した請求項1〜6のいずれか一項に記載の押出ダイヘッド。
【請求項14】
前記非粘着性のコーティングが、フッ素系樹脂を含む焼成塗膜である請求項1〜13に記載の押出ダイヘッド。
【請求項15】
前記フッ素系樹脂を含む焼成塗膜が、PFA−PEEK複合塗膜である請求項14に記載の押出ダイヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−25079(P2012−25079A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167215(P2010−167215)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】