説明

押出機の原料供給制御方法及び装置

【課題】本発明は、無機材料用定量供給フィーダとサイドフィーダとの間に流量調整装置を設け、サイドフィーダに供給される無機材料の供給量を一定とし、過剰供給による押出機の損傷を防止することを目的とする。
【解決手段】本発明による押出機の原料供給制御方法及び装置は、流量調整手段(20)からサイドフィーダ(7)への無機材料(8)の供給量は、予め設定された設定供給量(A)とし、無機材料用定量供給フィーダ(9)から流量調整手段(20)へ供給される無機材料(8)の供給量が設定供給量(A)を超えた場合でも、設定供給量(A)の無機材料(8)がサイドフィーダ(7)から押出機(1)内へ供給される方法及び構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機の原料供給制御方法及び装置に関し、特に、押出機内へサイドフィーダを介してガラスファイバ等の無機材料を供給する場合、流量調整手段を用いて流量を制御することにより、押出機内への無機材料の過剰供給状態を防ぎ、押出機側の損傷等を避けるための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の押出機の原料供給制御方法及び装置としては、その構成を示す特許文献等を開示していないが、図2に示すように、本出願人が製作販売している構成を挙げることができる。
一般に、合成装置により生産された合成樹脂原料は、合成樹脂としての特性の均質化及び改質、あるいは添加材料を加えての機能特性付与のために、多くの場合、スクリュ式二軸混練押出機により加工処理されている。
このスクリュ式混練機は、長尺筒形状のシリンダと、このシリンダ内に回転自在に挿入された2本のスクリュとにより構成され、上流から下流へ向けて順次、少なくとも、輸送部、混練部、ゲート部及び吐出部を有している。
【0003】
前述のように構成されるスクリュ式二軸混練押出機においては、駆動装置により各スクリュが回転駆動された状態で、上流側から原料が供給され、回転するスクリュにより溶融混練され、下流側のダイスから図示しないストランドカッタなどのペレット造粒装置へ供給されて樹脂ペレットに加工される。
【0004】
前述の原料樹脂を二軸混練押出機により混練する場合、図2に示されるように、複数台の定量供給フィーダを用いる多種原料を安定供給する方法が一般的に採用されている。
すなわち、図2において符号1で示されるものは、前述の二軸混練型の押出機であり、この押出機1の上流側に設けられたホッパ口2には、複数の定量供給フィーダ3,4,5からの主原料及び添加材料が供給されるように構成されている。
【0005】
また、前記押出機1の前記ホッパ口2よりも下流側の側部供給口6には、サイドフィーダ7が設けられ、このサイドフィーダ7の上方には、ガラスファイバ等の無機材料8を供給するための無機材料用定量供給フィーダ9が配設されている。
前記押出機1、各定量供給フィーダ3,4,5,9、サイドフィーダ7の各動作は、制御器10に設定されたプログラムによって自動的に制御されるように構成されている。
【0006】
従って、前述の図2の構成において、前記制御器10のプログラム制御が開始されると、前記押出機1の駆動が開始され、押出機1全体の温度が所定の温度となるようにヒートアップが行われる。
前記押出機1のヒートアップが完了した状態で、前記各定量供給フィーダ3,4,5,9の供給動作が開始され、各定量供給フィーダ3,4,5からの主原料及び添加材料がホッパ口2に供給されると共に無機材料8がサイドフィーダ7に供給され、押出機1内で溶融混練されて下流側に送られる。
【0007】
前記押出機1内で溶融混練された溶融樹脂が側部供給口6に到達する状態となると、無機材料用定量供給フィーダ9から送られた無機材料8がサイドフィーダ7から押出機1のバレル内に押込み供給されることにより、粉末状の無機材料8が溶融樹脂内に添加されて混練され、ダイス11から、図示しないストランドカッタ装置へストランドとして供給される。
尚、前述の各定量供給フィーダ3,4,5,9には、ロードセル等の重量測定センサ(図示せず)が組み込まれ、供給量の安定制御が行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の押出機の原料供給制御方法及び装置は、以上のように構成されているため、次のような課題が存在していた。
すなわち、各定量供給フィーダは、ロードセル等の重量測定センサを組み込んで供給量の安定制御を行っているが、何らかの原因により、重量測定センサの不具合となり、極端な原料の過剰供給となることも考えられる。
従って、例えば、ガラスファイバ等の無機材料が押出機内へ過剰供給された場合、押出機の先端のダイス側へ無機材料が固まってダイスが詰まり、押出機の駆動装置に対して過トルクを発生させることになり、この過剰供給状態が長く継続されると、押出機のスクリュの損傷等に到る恐れも考えられていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による押出機の原料供給制御方法は、押出機の上流側に設けられたホッパ口に主原料及び添加材料を供給するための複数の定量供給フィーダと、前記押出機の側部に設けられ前記押出機内に無機材料を供給するためのサイドフィーダと、前記サイドフィーダに前記無機材料を供給するための無機材料用定量供給フィーダと、前記無機材料用定量供給フィーダと前記サイドフィーダとの間に設けられた流量調整手段と、前記押出機、前記各定量供給フィーダ、前記無機材料用定量供給フィーダ及び前記流量調整手段の各動作を制御するための制御器と、を用い、前記流量調整手段から前記サイドフィーダへの前記無機材料の供給量は、予め設定された設定供給量とし、前記無機材料用定量供給フィーダから前記流量調整手段へ供給される前記無機材料の供給量が前記設定供給量を超えた場合でも前記設定供給量の無機材料が前記流量調整手段から前記サイドフィーダを介して前記押出機内へ供給される方法であり、また、前記設定供給量は、前記流量調整手段の吐出能力に等しく、前記吐出能力は前記制御器により制御できる方法であり、また、本発明による押出機の原料供給制御装置は、押出機の上流側に設けられたホッパ口に主原料及び添加材料を供給するための複数の定量供給フィーダと、前記押出機の側部に設けられ前記押出機内に無機材料を供給するためのサイドフィーダと、前記サイドフィーダに前記無機材料を供給するための無機材料用定量供給フィーダと、前記無機材料用定量供給フィーダと前記サイドフィーダとの間に設けられた流量調整手段と、前記押出機、前記各定量供給フィーダ、前記無機材料用定量供給フィーダ及び前記流量調整手段の各動作を制御するための制御器と、を備え、前記流量調整手段から前記サイドフィーダへの前記無機材料の供給量は、予め設定された設定供給量とし、前記無機材料用定量供給フィーダから前記流量調整手段へ供給される前記無機材料の供給量が前記設定供給量を超えた場合でも、前記設定供給量の無機材料が前記流量調整手段から前記サイドフィーダを介して前記押出機内へ供給される構成であり、また、前記設定供給量は、前記流量調整手段の吐出能力に等しく、前記吐出能力は前記制御器により制御できる構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明による押出機の原料供給制御方法及び装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、無機材料用定量供給フィーダとサイドフィーダとの間に流量調整手段が設けられているため、無機材料用定量供給フィーダからの無機材料の吐出量が大きく変動した場合でも、流量調整手段からサイドフィーダに供給される無機材料の供給量は、予め設定された設定供給量であるため、従来のように過剰供給状態となるような供給量にはならないように制御され、無機材料の配合比率が極端に大きく変動する状態を避けることができ、押出機の危険な運転状況を回避し、押出機の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、押出機内へサイドフィーダを介してガラスファイバ等の無機材料を供給する場合、流量調整手段を用いて流量を制御することにより、押出機内への無機材料の過剰供給状態を防ぎ、押出機側の損傷等を避けるようにした押出機の原料供給制御方法及び装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0012】
以下、図面と共に本発明による押出機の原料供給制御方法及び装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分については同一符号を用いて説明する。
図1において符号1で示されるものは、二軸混練型の押出機であり、この押出機1の上流側に設けられたホッパ口2には、複数の定量供給フィーダ3,4,5からの主原料及び添加材料が供給されるように構成されている。
【0013】
また、前記押出機1の前記ホッパ口2よりも下流側の側部供給口6には、サイドフィーダ7が設けられ、このサイドフィーダ7の上方には、ガラスファイバ等の無機材料8を供給するための無機材料用定量供給フィーダ9が配設されている。
【0014】
前記サイドフィーダ7と無機材料用定量供給フィーダ9との間には、ロータリーバルブ等のような構成からなる流量調整手段20が設けられ、この流量調整手段20にはレベルセンサ21が設けられている。
前記押出機1の駆動装置1A、前記各定量供給フィーダ3,4,5、前記無機材料用定量供給フィーダ9、前記流量調整手段20及び前記サイドフィーダ7は、予め動作がプログラムされた制御器10によって制御されるように構成されている。
尚、前記流量調整手段20及びサイドフィーダ7は、動作調整回路を介して各定量供給フィーダ3,4,5,9よりも遅れて作動するように構成されている。
【0015】
次に、動作について述べる。まず、前述の構成において、押出機1のバレルが予熱され、所定の設定温度に達した状態下で、前記駆動装置1Aが駆動されると共に前記各定量供給フィーダ3,4,5から主原料及び添加材料が押出機1のホッパ口2に供給され、図示しないスクリュによって溶融混練されて下流側へ搬送されると共に、前記無機材料用定量フィーダ9から無機材料8が流量調整手段20に供給される。
【0016】
前述の溶融混練状態で、溶融樹脂が側部供給口6に到達する前に、前記流量調整手段20に供給されている無機材料8が一定量だけサイドフィーダ7に送られると共に側部供給口6を経て押出機1のバレル内に供給される。
【0017】
前記バレル内に供給された無機材料8は、前記溶融樹脂と混練されて前記ダイス11へ送られ、このダイス11からストランドとして図示しないストランドカッタ装置へ供給されてペレットに切断される。
【0018】
前記流量調整手段20は、無機材料8の供給能力に応じて前記制御器10により前記流量調整手段20の吐出能力を制御することができ、前記制御器10は、前記各定量供給フィーダ3,4,5,9の各原料の供給量設定及び前期押出機1、サイドフィーダ7、流量調整手段20の各回転速度を前記プログラム制御により調整することができる。
【0019】
従って、一例として、前記流量調整手段20の吐出能力を、無機材料8のサイドフィーダ7への予め設定された設定供給量(A)の150%程度に設定し、前期無機材料用定量供給フィーダ9から流量調整手段20に対して瞬間的に150%を超えるような過剰供給が発生した場合でも、前記サイドフィーダ7への供給量が前記設定供給量(A)に制限されるように制御されているため、前記サイドフィーダ7を介して押出機1のバレル内へ供給される無機材料8の過剰供給を防止し、押出機1の危険な運転状況を防止することができる。
【0020】
尚、前記設定供給量(A)は、前記流量調整手段の吐出能力に等しく、前記吐出能力は前記制御器10により制御されていると共に、前記流量調整手段20の上流側、すなわち、ホッパ20aには前記流量調整手段20により制限された無機材料8の溜まりを検知するためのレベルセンサ21が設けられ、前記流量調整手段20側に対する無機材料の過剰供給警報を前記レベルセンサ21の出力を用いて発報することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による押出機の原料供給制御方法および装置を示す構成図である。
【図2】従来の原料供給制御方法及び装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0022】
1 押出機
A 設定供給量
1A 駆動装置
2 ホッパ口
3 定量供給フィーダ
4 定量供給フィーダ
5 定量供給フィーダ
6 側部供給口
7 サイドフィーダ
10 制御器
11 ダイス
20 流量調整手段
20a ホッパ
21 レベルセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機(1)の上流側に設けられたホッパ口(2)に主原料及び添加材料を供給するための複数の定量供給フィーダ(3,4,5)と、前記押出機(1)の側部に設けられ前記押出機(1)内に無機材料(8)を供給するためのサイドフィーダ(7)と、前記サイドフィーダ(7)に前記無機材料(8)を供給するための無機材料用定量供給フィーダ(9)と、前記無機材料用定量供給フィーダ(9)と前記サイドフィーダ(7)との間に設けられた流量調整手段(20)と、前記押出機(1)、前記各定量供給フィーダ(3,4,5)、前記無機材料用定量供給フィーダ(9)及び前記流量調整手段(20)の各動作を制御するための制御器(10)と、を用い、
前記流量調整手段(20)から前記サイドフィーダ(7)への前記無機材料(8)の供給量は、予め設定された設定供給量(A)とし、前記無機材料用定量供給フィーダ(9)から前記流量調整手段(20)へ供給される前記無機材料(8)の供給量が前記設定供給量(A)を超えた場合でも前記設定供給量(A)の無機材料(8)が前記流量調整手段(20)から前記サイドフィーダ(7)を介して前記押出機(1)内へ供給されることを特徴とする押出機の原料供給制御方法。
【請求項2】
前記設定供給量(A)は、前記流量調整手段(20)の吐出能力に等しく、前記吐出能力は前記制御器(10)により制御できることを特徴とする請求項1記載の押出機の原料供給制御方法。
【請求項3】
押出機(1)の上流側に設けられたホッパ口(2)に主原料及び添加材料を供給するための複数の定量供給フィーダ(3,4,5)と、前記押出機(1)の側部に設けられ前記押出機(1)内に無機材料(8)を供給するためのサイドフィーダ(7)と、前記サイドフィーダ(7)に前記無機材料(8)を供給するための無機材料用定量供給フィーダ(9)と、前記無機材料用定量供給フィーダ(9)と前記サイドフィーダ(7)との間に設けられた流量調整手段(20)と、前記押出機(1)、前記各定量供給フィーダ(3,4,5)、前記無機材料用定量供給フィーダ(9)及び前記流量調整手段(20)の各動作を制御するための制御器(10)と、を備え、
前記流量調整手段(20)から前記サイドフィーダ(7)への前記無機材料(8)の供給量は、予め設定された設定供給量(A)とし、前記無機材料用定量供給フィーダ(9)から前記流量調整手段(20)へ供給される前記無機材料(8)の供給量が前記設定供給量(A)を超えた場合でも、前記設定供給量(A)の無機材料(8)が前記流量調整手段(20)から前記サイドフィーダ(7)を介して前記押出機(1)内へ供給されることを特徴とする押出機の原料供給制御装置。
【請求項4】
前記設定供給量(A)は、前記流量調整手段(20)の吐出能力に等しく、前記吐出能力は前記制御器(10)により制御できることを特徴とする請求項3記載の押出機の原料供給制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−23223(P2009−23223A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188609(P2007−188609)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】