説明

押出機よりの排出溶融樹脂の搬送方法及び装置

【課題】本発明は、ダイバータから落下して切断した切断片を水路水槽の水中のスクリュコンベアで冷却しつつ安全に貯留水槽に搬送することを目的とする。
【解決手段】本発明による押出機よりの排出溶融樹脂の搬送方法及び装置は、ダイバータバルブ(1)の排出口において切断装置(2)により切断片(1B)に切断され水路水槽(5)の一端(5a)に落下した排出樹脂材料が、水路水槽(5)の一端(5a)から貯留水槽(8)へ水中のスクリュコンベア(6)により搬送される方法と構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機よりの排出溶融樹脂の搬送方法及び装置に関し、特に、ダイバータバルブからの排出溶融樹脂を水中のスクリュコンベアで安全に搬送するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、合成反応により製造された合成樹脂材料は、材料の改質および均質化、後工程の成形装置における取扱いを容易にする等の目的で、先端に大容量の造粒装置である水中切断装置が連結された大型のスクリュ式押出機により溶融混練され、造粒されている。このようなスクリュ式押出機では、その先端すなわちスクリュ式押出機と水中切断装置との間に、通常、ダイバータバルブが設けられている。
【0003】
このダイバータバルブは、スクリュ式押出機により溶融混練された合成樹脂材料を造粒装置へ流動させるか、外部へ排出させるかの切換えを行う機器である。すなわち、大型のスクリュ式押出機において、溶融混練された合成樹脂材料の物性あるいは性状が定常状態に安定しない運転開始時、連続運転中に樹脂材料のグレードあるいは種類が変更された後の物性および品質が安定するまでの間、すなわち、造粒されても品質不良で製品価値がない場合、あるいは水中切断装置等の関連機器の一時的な停止時等により下流へ供給できない場合、溶融混練された合成樹脂材料は水中切断装置へ供給されず、ダイバータバルブから外部へ排出される。排出される高温で溶融状態の合成樹脂材料は、丁度搗きたての餅状で連続的に垂れ下がって排出され、そのままでは、ダイバータバルブ下方の床上に堆積する。
【0004】
このように排出される合成樹脂材料について、小片に切断して落下させ、その後の取扱いを容易にする方法および装置が提案されている。すなわち、特許文献1に示される方法および装置では、ダイバータバルブの排出口に沿って回転往復動する緊張状態の細線が排出口を横断することにより、排出口いっぱいに充満した状態で連続的に排出される合成樹脂材料を、小片に切断して落下させている。
【0005】
また、特許文献2に示される方法および装置では、ダイバータバルブに2個の排出口を形成し、ダイバータバルブのそれぞれの排出口を個別に開口すると共に、そのうちの少なくとも1個の排出口の少なくとも一部を常時開口するように配置した2個の穴を形成された開閉板を、ダイバータバルブの排出口を横断して直線的に往復動させることにより、それぞれの排出口から連続的に排出される合成樹脂材料を、小片に切断して落下させている。
【0006】
このようにして切断された小片の合成樹脂材料は、ダイバータバルブ下方の床上に落下した後必要に応じて散水により冷却され、作業者によりかぎ棒等を使用して作業車両あるいはベルトコンベアに乗せて搬送されている。また、小片の合成樹脂材料は、長い水路状の一端をダイバータバルブの排出口の下方に配置した水槽に落下した後、作業者によりかぎ棒等を使用して水槽中を移動し、搬送されている。
【0007】
【特許文献1】特開平9−109225号公報
【特許文献2】特開2003−340905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の排出樹脂材料の搬送方法は以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。すなわち、ダイバータバルブから排出される合成樹脂材料すなわち排出樹脂材料は高温の溶融状態であり、熱容量が大きくて僅かな散水等では冷却されず、作業者に火傷等の障害が起こる危険性がある。また、この種のスクリュ式押出機は大型で大容量化されており、排出量が膨大であり、搬送作業は作業者に多大の負担を強いている。すなわち、切断後の高温の排出溶融樹脂を人手で取扱うことは極めて危険であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による押出機よりの排出溶融樹脂の搬送方法は、ダイバータバルブの排出口に切断装置を設け、前記切断装置の下方にスクリュコンベアを水中に有する水路水槽を配置し、前記水路水槽の下流に水を張った貯留水槽を配置し、前記ダイバータバルブから排出された排出溶融樹脂を前記切断装置で切断して切断片とし、この切断片を前記スクリュコンベアで前記貯留水槽に搬送する方法であり、また、本発明による押出機よりの排出溶融樹脂の搬送装置は、ダイバータバブルの排出口に切断装置が設けられ、前記切断装置の下方にスクリュコンベアを水中に有する水路水槽が配置され、前記水路水槽の下流に水を張った貯留水槽が配置され、前記ダイバータバルブから排出された排出溶融樹脂が前記切断装置で切断片に切断されて前記スクリュコンベアで前記貯留水槽に搬送するようにした構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明による押出機よりの排出溶融樹脂の搬送方法及び装置は以上のように構成されていたため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、切断片に切断された排出溶融樹脂が、水を張った水路水槽のスクリュコンベアにより搬送されることにより、高温の排出樹脂材料が冷却され固形化されながら水中あるいは水面に浮遊した状態で機械的に順次輸送される。その結果、高温の排出樹脂材料を、作業者を必要とせず、単純な装置により容易に、熱による傷害の危険性が無く安全に、輸送することが可能になった。さらには、作業者の搬送作業用の作業スペースが不要になり安全となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、ダイバータバルブからの排出溶融樹脂を水中のスクリュコンベアで安全に搬送するようにした押出機よりの排出溶融樹脂の搬送方法及び装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0012】
以下、図面と共に本発明による押出機よりの排出溶融樹脂の搬送方法及び装置の好適な実施の形態について説明する。図1において、符号1で示すものはダイバータバルブであり、このダイバータバルブ1は図示しないスクリュ式押出機の先端に連結して設けられている。前記ダイバータバルブ1は、押出機と下流の図示しない水中切断装置とを正常運転時に連通し、異常時等に遮断する切換弁であり、遮断の際は排出口から外部へ開放されるように構成されている。このダイバータバルブ1の通常下端面に形成されている排出口1aには、切断装置2が連結されている。このダイバータバルブ1の排出口1aおよび切断装置2の下方の床1A上には、キャスター5aを設けて移動可能に構成された水路水槽5が配置され、この水路水槽5の一端5bがダイバータバルブ1の排出口1aの下方に位置し、水路水槽5の他端5cは、ダイバータバルブ1の下方から離れて配置される貯留水槽8に連結されている。
【0013】
前記切断装置2にはその下面側縁に一端が支持された案内板3が設けられ、この案内板3の他端すなわち下方の先端縁が前記水路水槽5の一端5bの水槽内へ向っている。この案内板3の一端には冷却水配管4が連結され、案内板3の一端部において案内板3の表面に散水可能に構成されている。前記水路水槽5の内部の水中には、その全長にほぼ等しい長さのスクリュコンベア(コイル式を含む)6が配置され、駆動軸5dが一端5bの壁面を貫通して突出し、駆動装置(電動機)7に連結されている。
【0014】
前述の構成において、排出溶融樹脂の搬送が以下のように行われる。すなわち、合成樹脂材料の排出に先立ち、まず、押出機の正状運転時は撤去されている水路水槽5を適宜の位置、すなわち一端5bがダイバータバルブ1の排出口1aの下方に位置すると共に案内板3の下方の先端縁が一端5bの水路水槽5内に位置するように配置する。また、貯留水槽8を適宜の位置に配置し、水路水槽5の他端5cを連結する。次に、水路水槽5および貯留水槽8に注水して適宜の量の水を張り、駆動装置7を起動してスクリュコンベア6を回転駆動し、冷却水配管4の先端から水4aを散水する。
【0015】
以上の状態で、ダイバータバルブ1を排出状態に切換えると、押出機において溶融混練された合成樹脂材料が、押出機の先端から押出され、ダイバータバルブ1の排出口1aへ流動し、搗きたての餅状の高温溶融状態で排出溶融樹脂が排出される。この排出溶融樹脂は切断装置2により、小片の切断片1Bに切断されて水4aとともに冷却されながら水路水槽5内へ落下する。この水路水槽5の一端5bへ流下した切断片1Bは、水中あるいは水面に浮遊した状態でスクリュコンベア6の搬送作用によって機械的に、冷却されながら順次他端5c方向へ搬送され、貯留水槽8に到る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による押出機よりの排出溶融樹脂の搬送方法及び装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0017】
1 ダイバータバルブ
1a 排出口
1A 床
1B 切断片
2 切断装置
3 案内板
4 冷却水配管
5 水路水槽
5b 一端
5c 他端
6 スクリュコンベア
7 駆動装置
8 貯留水槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイバータバルブ(1)の排出口に切断装置(2)を設け、前記切断装置(2)の下方にスクリュコンベア(6)を水中に有する水路水槽(5)を配置し、前記水路水槽(5)の下流に水を張った貯留水槽(8)を配置し、前記ダイバータバルブ(1)から排出された排出溶融樹脂を前記切断装置(2)で切断して切断片(1B)とし、この切断片(1B)を前記スクリュコンベア(6)で前記貯留水槽(8)に搬送することを特徴とする押出機よりの排出溶融樹脂の搬送方法。
【請求項2】
ダイバータバルブ(1)の排出口に切断装置(2)が設けられ、前記切断装置(2)の下方にスクリュコンベア(6)を水中に有する水路水槽(5)が配置され、前記水路水槽(5)の下流に水を張った貯留水槽(8)が配置され、前記ダイバータバルブ(1)から排出された排出溶融樹脂が前記切断装置(2)で切断片(1B)に切断されて前記スクリュコンベア(6)で前記貯留水槽(8)に搬送するように構成したことを特徴とする押出機よりの排出溶融樹脂の搬送装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−181949(P2007−181949A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−584(P2006−584)
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】