説明

拡散ユニット、リソグラフィ装置、放射線ビームを均質化するための方法、デバイス製造方法およびそれにより製造したデバイス

【課題】マスクまたはウェハのような対象物を照射するために使用する放射線ビーム内で光線を拡散することができる拡散粒子を含む流体を有する拡散ユニットを備えるリソグラフィ装置を提供すること。
【解決手段】拡散粒子は、液体内の固体粒子であっても、気泡であってもよい。流体および拡散粒子は、拡散動作を改善するために、例えば、走査リソグラフィ装置で、放射線ビームに垂直に、または放射線ビームの走査方向に垂直に運動することができる。照射する放射線が拡散され均質化されるので、以降の照射が改善される。この装置はCCD等を製造する際に使用することができる。何故なら、人間の目で見た場合、この装置は、好適には、0.02%より優れた均質性を示すからである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡散ユニット、リソグラフィ装置、放射線ビームを均質化するための方法、デバイス製造方法およびそれにより製造したデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、基板の目標部分上に所望のパターンを投影する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造の際に使用することができる。このような状況において、マスクのようなパターニング機器を、ICの個々の層に対応する回路パターンを生成するために使用することができ、このパターンを放射線感光材料(レジスト)の層を有する基板(例えば、シリコン・ウェハ)上の目標部分(例えば、1つまたは数個のダイの一部を含む)上に画像形成することができる。一般的に、1つの基板は、順次露光される隣接する目標部分のネットワークを含む。周知のリソグラフィ装置は、目標部分上の全パターンを同時に露光することにより、各目標部分が照射されるステッパ、および所与の方向(「走査」方向)に放射線ビームを通してパターンを走査し、一方、この方向に平行にまたは逆平行に同期状態で基板を走査することにより各目標部分が照射されるスキャナを含む。
【0003】
リソグラフィ装置においては、その内部で使用する放射線ビームの輝度の均質性を高めることが重要である。通常、均一値で表される均質性を改善すると、リソグラフィ・プロセス中に得られる詳細および構造の品質をより一定なものにすることができる。この点に関して、均一性は、照射する対象物の表面の単位面積が受けるエネルギーの変動に関連する。もっと正確に言うと、均一性=(最大線量−最小線量)/(最大線量+最小線量)である。本明細書においては、線量は単位面積が受けるエネルギーの累積量である。これは全均一性、すなわち関連面積全体、または局所的均一性、すなわち関連面積の一部だけに関連する場合があることに留意されたい。好適には、均一性は、できるだけ低いことが好ましく、最適には0であることが好ましい。すなわち、均一性の低い値は優れた均一性に関連する。パターン化された放射線ビームを使用するリソグラフィの場合には、照射される対象物は少なくとも2つある。パターニング機器および基板である。基板はパターン化されたビームで照射されるので、照射は元来不均一なものであり、この場合、均一性の改善は、多くの場合、パターニング機器の照射に関連する。どの場合においても、できるだけ均一なビームで照射される対象物または表面を識別するのは容易である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周知のリソグラフィ装置の場合には、多くの場合、内蔵拡散ユニットを使用している。本明細書においては、拡散ユニットは、パターニング機器(例えば、マスク)のような照射される面に入射する前に、放射線ビームをもっと均質にするために、すなわちもっと均一にするために組立てられ、配置されているあるユニットに関連する。周知の拡散ユニットは静的なものである。このことは、周知の拡散ユニットは、放射線ビーム内の放射線の分布にある所定のまた一定の影響を与えることを意味する。理論上では、すなわち、放射線ビーム内の放射線の分布が極度に一定である場合には、非常に高い均一性を得ることができるが、周知の装置は、種々の原因により分布がほんの少し変化した場合、周知の拡散ユニットを使用した場合でも、新しい分布が前の分布より劣化する場合があるという欠点がある。すなわち、周知の装置は、いつでも所望の均一性を有する放射線ビームを供給するわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある態様によれば、本発明は、放射線の分布が一定でない場合でも、放射線ビームをもっと均一にするリソグラフィ装置を提供する。
【0006】
本発明のある実施形態によれば、リソグラフィ装置は、放射線ビームを供給するように構成されている照射システムと、パターニング機器を支持するように構成されている支持体と、放射線ビームをその断面のパターンでパターン化するように構成されているパターニング機器と、基板を保持するように構成されている基板テーブルと、基板の目標部分上にパターン化されたビームを投影するように構成されている投影システムと、放射線ビームを均質化するように構成されている拡散ユニットとを含む。拡散ユニットは、放射線ビームの光路内に位置していて流体本体を含み、流体は拡散粒子を含む。
【0007】
拡散粒子を含む流体本体を含む拡散ユニットを使用することにより、動的拡散装置ができる。この動的拡散装置の場合には、拡散粒子は流体内を運動することができ、それ故、種々の位置を占めることができ、そのためビーム内の放射線をもっと均一に拡散することができる。流体内においては、粒子は運動することができるが、硬い本体内では運動することができない。ある種の外部運動機構により粒子を運動させることはできないが、ブラウン運動と呼ばれる固有の運動が行われることに留意されたい。それ故、これにより、動的拡散ユニットを作ることができる。本明細書においては、動的という用語は、拡散粒子の拡散動作が、それ自身の運動により時間の経過と共に変化することを意味する。それ故、照射をもっと均質にすると、IC等のような後で照射される基板の品質を改善することができる。
【0008】
拡散ユニットは、放射線ビームの光路内に位置しているが、このことは放射線ビームの少なくとも一部は、拡散ユニットのある経路の長さ通過することを意味する。このことは、放射線ビームが拡散ユニットを通過すること、すなわち拡散ユニットを透過すること、または放射線ビームが拡散ユニット内に貫通し、その後で反射または後方へ反射することを意味する場合がある。
【0009】
放射線ビームが照射対象の表面または対象物を実際に照射する前に、拡散ユニットが、光路内の放射線が拡散により影響を受ける位置に位置していなければならない。それ故、拡散ユニットは、照射システムと基板、もっと一般的に言うと照射される対象物との間、特に照射システムと支持体との間に位置する。それ故、拡散動作は、それぞれ対象物またはパターニング機器の照射の前に行うことができる。実際には、好適には、照射システムとパターニング機器との間のある位置が好ましい。何故なら、拡散ユニットの拡散動作は、放射線ビーム内のパターンをぼかしたり不鮮明にするからである。しかし、照射する表面の位置に従って他の位置に置くこともできる。実際には、拡散ユニットは、放射線ビームおよび拡散ユニットの位置まで含むことができる任意の情報(例えば、パターン)を拡散する。本明細書で説明する拡散は、好適には、照射する表面上に放射線ビームが入射する角度ではなく、光線の位置で拡散を起こすことが好ましいので、好適には、拡散動作は、瞳の面内またはその近くで行う必要がある。
【0010】
この点に関して、「拡散粒子」という用語は、細粒または塵の如き粒子のような物理エンティティに関連するばかりでなく、気泡、流体と混合することができない液体の小滴とも関連し、実際には、反射、屈折または散乱により放射線を拡散することができるすべてのエンティティに関連する。このような流体の例としては、分子の大きさ程度に小さい微細な粒子が液体内を浮遊するコロイド状流体または懸濁液等がある。本当に触知できない物理粒子である「拡散粒子」の例としては、密度波または衝撃波、「真空泡」または渦または渦巻きがある。すなわち、「粒子」のコンセプトは、非常に広義に解釈すべきである。
【0011】
拡散粒子は、粒子上に入射する多くの放射線を吸収しない拡散動作を行う。放射線が吸収されると、放射線を再分布する代わりに、放射線の一部を除去することにより異なる機構で輝度分布が変化する。例えば、比較的大量の入射放射線を吸収する染料またはインクは、すなわち、例えば、0.5より高い吸収率を有する染料またはインクは拡散粒子として使用してはならない。効率をよくするためには、全体の輝度をできるだけ高く維持することが望ましい。それ故、拡散粒子は、入射放射線に対して0.5未満、好適には、0.2未満のような低い吸収率を有するものでなければならない。この吸収率は、例えば、それからなる対応する固体のような拡散粒子の材料の固有吸収率の値に関連する場合がある。別の方法としては、吸収率は、拡散粒子およびその上に入射する放射線により吸収される放射線の強度比であってもよい。後者の吸収率の値の定義はもっと曖昧である。何故なら、この吸収率は、拡散粒子のサイズ、形状等に依存しているからであるが、対応する固有の吸収率の値が、例えば、気泡、渦等の場合のように、容易に測定できない場合には有用な値になる。吸収の効果が拡散動作中に支配的にならないことが重要である。すべての吸収率の値は、実際にはほとんどの場合、しかし必ずそうであるというわけではないが、単色の紫外線である実際に使用する放射線に関連していなければならない。
【0012】
好適には、拡散粒子は、放射線ビームに対して拡散動作を行うための適当な位置に位置していなければならない。拡散粒子は、流体内に懸濁させることができる。拡散粒子は、均質に分布している必要はなく、例えば、流体の本体の底の方向に向けて濃度が高くなっている。拡散特性をもっとよく制御するために、拡散粒子は流体内に均質に分布している。別の方法としては、拡散粒子は、液体の表面上に浮遊していてもよい。この実施形態は、反射光学系の場合に特に役に立つ。何故なら、浮遊拡散粒子を含む流体の表面のところで光を反射することにより、拡散動作を達成することができるからである。しかし、透過性光学系の場合には、浮遊拡散粒子のこのような層も使用することができる。
【0013】
本明細書においては、「流体」という用語は、液体ばかりでなく、気体も含む。気体は、また、例えば、「煙」または「霧」の形をしている拡散粒子のキャリアとしての働きもする。制御し易いので流体としては液体を使用するのが好ましいが、本明細書全体を通して使用する流体という用語は他の流体も含む。
【0014】
本発明によるリソグラフィ装置の他の実施形態の場合には、リソグラフィ装置は走査タイプのもので、支持体および基板テーブルのうちの少なくとも一方を、放射線ビームに対して走査方向に移動させることができる。
【0015】
走査タイプのリソグラフィ装置の場合には、本発明による動的拡散ユニットは、周知の静的拡散ユニットより望ましい。すでに説明したように、走査タイプのリソグラフィ装置においては、照射される表面は多くの場合比較的狭い放射線ビームにより走査される。従来技術の静的拡散ユニットが照射される表面上の放射線ビーム内に局所的な不均質を生じる場合、表面上に明暗の線または縞ができる。本発明によるリソグラフィ装置は、対照的に、多くの場合望ましいランダムな不均質を生じる。何故なら、同じ大きさの局所的不均質であっても、縞に見えないし、または少なくとも遥かに縞の形には見えにくいからである。
【0016】
他の実施形態の場合には、流体は、照射システムの一部と基板との間、望ましくは特に、照射システムの第1のレンズ素子から照射システムの第2のレンズ素子およびパターニング機器のうちの一方へ延びる空間を満たしている。後者の実施形態の場合には、照射システムは、複数のレンズ素子を有する照射レンズを含んでいるものと考えられたい。流体本体は、2つのレンズ素子の間を延びることができ、別の方法としては、または追加的に、照射レンズのレンズ素子(通常は、最後のレンズ素子)とパターニング機器との間を延びることができる。この場合も、照射システムの第1の素子とパターニング機器の間のある位置は、パターニング機器と照射される対象物の間のある位置に位置することが望ましい。何故なら、そうでない場合には、拡散ユニットが放射線ビームのパターンをぼかしてしまうからである。さらに、例えば、パターンを非常に少しだけ拡散したい場合には、このような位置も使用することができる。
【0017】
ここで、「第1の」および「第2の」レンズ素子という用語は、照射システムまたは、そうしたい場合には、投影システムの複数のレンズ素子のうちの2つのランダムなレンズ素子に関連することを述べておきたい。しかし、照射システムまたは投影システムに入る場合、放射線ビームから見た第1のレンズ素子も「第1のレンズ素子」と呼ばれ、一方、放射線ビームから見た最後のレンズ素子は「最後のレンズ素子」と呼ばれる。前後関係から言って、今説明している実施形態のように、ランダムな第1の素子を意味しているのか、放射線ビームに対して第1の位置を有する第1の最も外側のレンズ素子を意味しているのかははっきり分かる。
【0018】
流体は、放射線ビームの断面エリアを少なくとも実質的に延びる。このようにして、流体およびその拡散粒子は、全放射線ビームに対して、そのため照射された全表面に対して拡散動作を確実に行う。流体は全放射線ビーム上を延びる必要はないが、部分的な延長を行うと輝度の問題が起こる。何故なら、放射線が拡散によりビームの一部から除去され、ビームの異なる部分に追加されるからである。
【0019】
ある走査方向を有する走査タイプのリソグラフィ装置の場合には、流体は少なくともビームの全長、すなわち走査方向に垂直な方向に延びることが望ましい。何故なら、流体および拡散粒子が、照射した全表面上にその拡散作用を行うからである。この場合もまた、流体は放射線ビームのほぼ全断面積上を延びることが望ましい。
【0020】
流体は、瞳の面が流体内に位置するように、2つの光学素子、特に第1および第2のレンズ素子の間に位置することができる。このことはレンズ・システム内の内部瞳の面に関係する。この位置により、拡散粒子の拡散動作を確実に放射線ビームの角度が影響を受ける好適な位置で行うことができる。しかし、他の位置も使用することができる。
【0021】
また、装置で2つ以上の流体本体を使用することもできる。このようなある実施形態は、照射レンズまたは投影レンズの最後のレンズ素子と接触している第1の流体本体、およびパターニング機器またはウェハのような照射される表面と接触している第2の流体本体を供給するためのものである。この場合、第1および第2の流体本体は、膜のような透明な隔壁により分離されている。この場合、異なる特性を有する異なる流体を使用することができる。例えば、第1の流体はレンズ素子を保護し、第2の流体は、レンズ素子として機能するために所望の光学的特性を有する。一方、流体本体の少なくとも一方は、本発明による拡散粒子を含むことができる。この二流体手段の詳細については、参照により本明細書に援用する欧州特許出願第03255377.8号を参照されたい。
【0022】
あるリソグラフィ装置は浸漬原理をベースとしていて、照射または露光される表面に最も近いレンズの光学素子は、所定の屈折率を有する流体内に浸漬している。適当な屈折率を有する流体を選択することにより、開口数のような種々のレンズ特性を改善するか、または設定することができる。すなわち、流体は、レンズの追加光学素子としての働きをする。通常、このことは投影システムの最後のレンズおよびウェハ基板に関連する。流体本体に対するこの同じ位置は、本発明により可能である。しかし、照射装置の最後のレンズとパターニング機器との間に流体本体を供給するほうがもっと望ましい。何故なら、多くの場合、パターニング機器に拡散したおよび均質化したビームを供給することが望ましいからである。本発明によるリソグラフィ装置においては、流体がさらに拡散ユニットとしての働きをするように、拡散粒子と一緒に流体を供給することができる。そうすることにより、追加構成要素の数を少なくすることができる。
【0023】
従来技術の浸漬システムの場合には、液体本体はできるだけ濁りがなく、できるだけ透明であることが重要であることに留意されたい。それ故、液体内の気泡、不純物等はできるだけ排除した。そのため、本発明による意図的に導入した拡散粒子による所望の拡散動作を使用することができない。しかし、すでに説明したように、本発明による拡散ユニットの浸漬流体の位置および流体本体の位置は異なる。浸漬流体は、ほとんどの場合、パターニング機器の後で基板の直前に位置しているが、拡散装置の流体本体は、好適には、パターニング機器の前に位置することが好ましい。これらの機能および位置は分離している。
【0024】
流体本体を含む拡散ユニットは、装置内の他の位置に設置することができる。他の実施形態の場合には、流体は2つの光学素子の間に位置する。これらの素子は平行であってもよいが、必ずしも平行でなくてもよい。このような素子は、どちらも、例えば、ガラスまたはクォーツのような透明な材料の面平行シートのような透過性のものであってもよい。
【0025】
別の方法としては、少なくとも一方の素子は反射性のものであってもよい。例えば、第1の素子は透明のものであってもよく、一方、第2の素子は反射性のものであってもよい。この場合、放射線ビームは、透明な素子を通して拡散ユニットに入り、第2の素子により反射され、第1の素子を通して再び拡散ユニットから出る。両方の素子は反射性のものであってもよい。何故なら、その場合、放射線ビームは内部反射により拡散ユニットを通過するからである。部分的透過性または部分的反射性素子または組合わせも使用することができる。
【0026】
光学素子は、空間内の流体を囲むことができる。空間のすべての側面を密封する必要はないが、流体をフラッシュ可能でなければならない。このような光学素子間に流体を封入すると、流体が装置の他の部分に影響を与えるのを阻止することができる。例えば、流体はシステムの残りの部分を汚染することはできないが、システムの残りの部分も流体を汚染することはできない。また、そうしたい場合には、流体を簡単に交換することもできる。この流体の交換は、例えば、平行な素子間の空間に流体をフラッシングすることにより、または単に流体と一緒に平行素子を除去することにより行うことができる。もちろん、完全な密封回路内に流体を供給することもできることに留意されたい。そうすることにより、他の方法で真空にした空間内で拡散ユニットを使用することができる。
【0027】
必ずしも、平行な光学素子を使用する必要はない。そうしたい場合には、光学素子は、レンズの形のような他の形をとることができるし、相互に対する向きを変えることもできる。しかし、素子が平行である場合には、流体が完全に満たされている場合、素子の間の形は、そこを通る放射線ビームに最小限度の影響しか与えない。平行な素子の数は2より大きくすることができるし、流体は3つ以上の光学素子間に位置することができる。
【0028】
流体および平行な光学素子のうちの少なくとも1つまたは投影レンズの光学素子の材料は、約0.2未満だけ異なる屈折率を有することができる。流体および流体と接触している光学素子の屈折率が一致する場合には、すなわち、関連屈折率の差をできるだけ小さく、特に約0.2未満、好適には約0にできる場合には、放射線ビームの光路に対する流体の影響はさらに低減する。しかし、もっと大きな屈折率の差も使用することができる。
【0029】
他の実施形態の場合には、リソグラフィ装置は、さらに、拡散粒子を運動させるように構成されている拡散粒子運動機構を含む。それ故、拡散粒子の拡散動作または動的挙動がさらに改善され、またもっと種々のおよび困難な状況下で結果としての照射の均質性を改善することができる。
【0030】
流体内の拡散粒子が、固有の拡散粒子の運動であるブラウン運動の影響を受けることに留意されたい。しかし、この自然の運動が不十分な場合がある。この運動および動的特性を強化するために小さな拡散粒子を使用することができる。別の方法としては、流体本体の流体を加熱するために流体ヒータを使用することができる。流体の温度が高いということは、拡散粒子のブラウン運動が活発であることを意味し、そのため放射線ビームがもっとよく均質化されることを意味する。
【0031】
拡散粒子運動機構は、電磁波または音波のラジエータを含むことができる。この波は拡散粒子と相互作用を行い、それを運動させる。電磁ラジエータは、また、電磁界(ダイポール引力、磁界、その組合わせ、およびすべての場合静電界または変化する電界を生じる電界)により拡散粒子を運動させることができる電磁界発生器を含むことができる。生成した電磁界の影響を強化するために、電荷を含む拡散粒子および/または磁気粒子を供給することが望ましい場合がある。
【0032】
電磁ラジエータの一例としては、拡散粒子に光パルスを供給することができるレーザのような光源がある。このようなパルスを吸収することにより、パルスの運動量は、関連する拡散粒子の運動を変化させる。照射された基板が影響を受けないような光学的放射を使用することが望ましい。何故なら、そうでないと、電磁ラジエータの放射線が所望の露光に影響を与える恐れがあるからである。
【0033】
他の拡散粒子運動機構は、流体に運動を与えるように構成されている流体ポンプを含む。制御することができる流体に与えられた運動は、流体内の拡散粒子を確実に運動させる。それ故、拡散粒子の拡散動作がさらに改善され、もっと異なる状況下でも結果としての照射が均質化する。もちろん、2つ以上のタイプの拡散粒子またはその運動を生成するために2つ以上の拡散粒子運動機構を供給することもできる。
【0034】
拡散粒子および/または流体に与えられる運動のタイプは種々様々である。例えば、運動は任意の所望の方向の直線運動であってもよく、振動であってもよく、または多くの方向にランダムなものであってもよく、渦であってもよく、その他の運動であってもよい。方向が放射線ビームの光軸に沿った方向であっても、拡散粒子の変化する位置は放射線ビームに拡散効果を有する。何故なら、拡散粒子が、例えばパターニング機器のような照射される表面から変化する方向に影響を与えるからである。しかし、流体の運動は、リソグラフィ装置の光軸に垂直である成分を有することができる。何故なら、運動する拡散粒子の影響が最も顕著であるからである。
【0035】
拡散粒子または流体の運動は、放射線ビーム、すなわち、放射線ビーム内の放射線の伝搬(平均)方向にほぼ垂直にすることができる。ダイポール放射線のようないくつかの場合に、光軸を拡散粒子または流体が運動するのが好ましい垂直方向とするともっと正確になる。このようにして、拡散粒子は、放射線ビームを通して最も迅速に移動し、それ故、最も大きな動的結果を与える。別の方法の場合には、リソグラフィ装置は走査方向を有し、拡散粒子流体の運動は走査方向にほぼ垂直になる。特に、走査タイプのリソグラフィ装置の場合には、拡散粒子または流体のほぼ垂直方向の運動は、照射される表面を走査する放射線ビームに対して、流体内の拡散粒子の望ましい動的挙動を確実に起こす。すなわち、放射線ビームの視点から見ると、拡散粒子のまたは流体の相対運動が走査放射線ビームの方向に垂直になった場合に、拡散動作は最も迅速に変化する。この点に関して、「ほぼ垂直な」という表現は、少なくとも45度、好適には少なくとも80度であることが好ましい流体の運動方向と走査方向との間の角度に関連する。しかし、例えば、構造上の制約がある場合には、運動方向は異なる方向であってもよい。
【0036】
動的拡散動作、すなわち拡散ユニットの動的挙動は照射されている対象物に対する、または放射線ビームが照射される対象物上を移動する相対的速度に対する拡散粒子の速度に依存する。多くの場合、対象物は固定ビームに対して移動することに留意されたい。一般的に、拡散粒子の速度が速いと、拡散動作が顕著になる。一般的に、拡散粒子の速度は流体の速度で決まる。それ故、流体に与えられる速度が速いと、拡散粒子の速度も速くなる。しかし、これは1対1に正確に対応しなくてもよい。
【0037】
拡散動作は、また、放射線ビームから見た場合、拡散粒子の濃度にも依存する。一般的に、拡散粒子の数が多いと、放射線の拡散も大きくなる。流体内の拡散粒子の濃度をもっと濃くすることにより、また濃度は同じでも流体の層をもっと厚くすることにより拡散粒子の数を多くすることができる。そうしたい場合には、流体内の拡散粒子の数および/または濃度を動的に調整することができる。
【0038】
流体は水を含むことができる。水は安価で、非常に安定していて、紫外線の影響下で193nmまたは248nmのような非常に短い波長にまで非常に透明であり、非常に純粋な形等で容易に入手することができる。しかし、この実施形態は、拡散ユニットで使用する流体のタイプに限定されると決して解釈すべきではない。ある状況下では、他の流体が望ましい場合がある。例としては、シリコーンのような種々のオイルおよび樹脂、並びにアルコールまたはハロゲン化炭化水素のような種々の有機流体がある。特に、過フッ化ポリエステルのような材料は、193nmまで使用することができる。
【0039】
拡散粒子は、大きくても200μm、好適には大きくても約5μm、より好適には大きくても200nm、最も好適には約10および約20nmの平均直径を有することができる。大きくても200μmの平均直径を有する拡散粒子は、特に画像面の焦点から十分離れている場合には、満足な結果を生じることができる。一般的に、拡散粒子が小さくなるとより均質になり、大きくても5μmの平均直径の場合、多くの場合結果は満足すべきものである。大きくても200nmの平均直径の場合には、拡散粒子はせいぜい回折限界の大きさになる。すなわち、一般的に、使用波長の約半分になる。この場合、拡散粒子の特定の詳細は、不明確になり、照射をさらに均一にすることができる。平均直径を約10nmから約20nmにすると、最も望ましい結果を得ることができると思われる。また、拡散粒子の好適な最小サイズは約5nmであると考えられているが、この最小サイズは粒子の特定のタイプにより異なる。水の分子自身は豊富に存在していても、必要なまたは所望の拡散動作を行わず、あまりに小さすぎると考えられていることに留意されたい。
【0040】
所望の寸法は、同様に拡散粒子の位置に依存する。特に、拡散粒子を含む流体が露光する基板のような照射する表面に接触している場合には、基板上の拡散粒子の画像形成を防止するために、基板上の構造の所望の臨界寸法より小さい拡散粒子の最大寸法を有することが望ましい。最大寸法は50nmとすることができる。
【0041】
別の方法としては、拡散粒子を含む流体が中間面内または瞳面内に位置している場合には、拡散粒子の寸法を上記50nmよりも遥かに大きくすることができる。何故なら、その画像は遥かにより不明確になるからである。最小寸法は0.5〜1μmの範囲内である。これにより、粒子の運動をもっと容易に制御することができる。
【0042】
他の実施形態の場合には、拡散粒子は、気泡および固体粒子のうちの少なくとも一方を含む。気泡は周知の形を有し、そのため光学的特性も周知である。固体粒子の形は、粒子毎に若干より大きく異なる場合があるが、例えば、結晶特性により、多くのもっと異なる形で入手することができる。さらに、気泡の光学的拡散動作は、大部分流体/気体境界のところの反射および/または回折に依存するが、一方、固体粒子の拡散動作は、大部分、その表面のところの反射および特定の材料の反射率に依存する。しかし、拡散粒子の寸法が小さくなると、拡散動作のこれらの特性への依存性はますます低減することに留意されたい。気泡および/または固体粒子のもう1つの利点は、これら気泡および粒子を流体内で任意の所望の方法で容易に分散させ、懸濁させ、または分布させることができることである。それ故、均質なコロイド状流体、懸濁液等を容易に入手することができる。しかし、例えば、流体等の局所濃度を変えることにより拡散を行う圧力波のような他のタイプの拡散粒子も使用することができる。
【0043】
流体内の拡散粒子の安定性については、可溶性を観察のための基準にすることができる。例えば、多くの気体、塩等の可溶性は、温度によるばかりでなく、物質間の絶対値として大きく変化する。しかし、このような挙動は一般的に周知であり、拡散粒子用の適当な材料をこのような基準に基づいて選択することができることを理解されたい。
【0044】
気体は、少なくとも空気、窒素または不活性ガスのうちの1つを含むことができる。これらの気体は容易に入手することができ、容易に取り扱うことができ、紫外線の影響下でも非常に安定である。しかし、原則として、任意のタイプの気体が適している。もちろん、気体はその拡散動作を行うことができる泡の形で存在していなければならない。
【0045】
他の実施形態の場合には、固体粒子は反射性または屈折性材料を含む。このような材料は、ガラス、クォーツ、金属、プラスチック等の粒子を含むことができる。原則として、非常に広い範囲の異なる材料を使用することができ、特定の状況および所望の特性に従って選択することができる。例えば、多くのガラスおよびクォーツは透明であり、多くの流体と大きく違わない屈折率を有する。これらの場合、拡散動作はゆっくりしたものである。逆に、金または類似の材料のような貴金属の小さな粒子は高い反射率を有し、もっと顕著な拡散動作を示す。すでに説明したように、拡散粒子としては、放射線ビームで使用する放射線に対して低い吸収率を有する材料を使用することが望ましいことに留意されたい。何故なら、そうでないと、拡散を通しての任意の所望の均質化動作が局所的な吸収により打ち消されるからである。すでに説明したように、吸収率の値は、材料の固体本体の固有の吸収率に関連していて、放射線ビームで使用する放射線に対して0.50未満でなければならないし、好適には、約0.20未満であることが好ましいが、値がもっと低ければもっとよい。それ故、染料の粒子、インクの粒子等が比較的高い吸収率を有している場合には使用してはならない。
【0046】
他の実施形態の場合には、拡散ユニットは、そのうちの少なくとも一方が流体であるいくつかの物質を含む少なくとも2つのコンテナに接続することができる。これにより、流体自身を変えることもできるし、流体の組成を変えることもできるし、流体内の拡散粒子の量またはタイプを変えることもできるし、これらを組み合わせることもできる。それ故、拡散動作をさらに動的に変えることができる。もちろん、コンテナの数には特に制限はなく、所望の柔軟性の程度に従って調整することができる。
【0047】
リソグラフィ装置の他の実施形態の場合には、拡散ユニットは、さらに、流体の拡散粒子の含有量を制御するように構成されている粒子コントローラを含む。粒子コントローラは、例えば、流体のすでに存在する量内への、流体内に溶かす粒子の量、または拡散粒子のある濃度を含む流体の量を決定するように構成されている制御弁に関連することができる。
【0048】
本発明の他の態様によれば、拡散ユニットは、本発明によるリソグラフィ装置で使用するために構成されている。このことは、液体の任意の本体に関連し、特にリソグラフィ装置での拡散により放射線を均質化するように構成されているこのような液体本体を含むコンテナに関連する。原則として、本発明によるリソグラフィ装置の拡散ユニットに関する上記詳細のすべては、拡散ユニット自身にも当てはまる。例としては、その中で流体を移動させるためのポンプを含む拡散ユニット、閉回路または流体用の空間を有する2つの平行な光学素子、種々のタイプの流体および拡散粒子等を含むコンテナがある。
【0049】
本発明の他の態様によれば、放射線ビームを均質化する方法は、放射線ビームを供給する段階と、拡散粒子を含み、放射線ビームの少なくとも一部が拡散ユニットの少なくとも一部を通過する位置に供給される流体の本体を供給する段階と、放射線ビームに対して流体を移動する段階とを含む。この方法の場合、上記効果を使用する。すなわち流体内で拡散粒子による放射線の均質化が行われる。
【0050】
この方法は、放射線ビームのもっと動的な均質化を行う。これは、拡散粒子が放射線ビームに対して移動する実施形態、特に走査タイプの照射で特に役に立つ。好適には、流体の移動方向は、走査方向にほぼ垂直であることが好ましい。
【0051】
この方法の他の実施形態の場合には、放射線ビーム内の所望の量の拡散を行うために、流体内の拡散粒子の含有量が制御される。流体内の拡散粒子の含有量を制御することにより、放射線ビーム内の拡散を所望のレベルに設定することができる。含有量の制御は、制御弁を操作するか、単に所望の量の粒子を追加することにより、または他の適当な方法により行うことができる。
【0052】
さらに、本発明は、放射線ビームを供給する段階と、放射線ビームをその断面のパターンでパターン化する段階と、基板の目標部分上にパターン化した放射線ビームを投影する段階とを含み、拡散粒子を含む流体本体が放射線ビームが横断することができる位置に供給されるデバイスを製造するための方法に関する。このデバイス製造方法の場合には、流体内の拡散粒子の拡散効果が使用される。すでに説明したように、この方法により、さらに均質化された放射線ビームによりもっと均一な照射を行うことができ、そのためよりよい品質のデバイスが提供される。
【0053】
パターニング機器および基板のうちの少なくとも一方が、放射線ビームに対して走査方向に移動する。流体および/または拡散粒子は、放射線ビームに対してまたは走査方向に対してほぼ垂直に移動することができる。これらの実施形態の結果は、上記リソグラフィ装置の対応する実施形態のそれに類似しているので、説明を簡単にするためにここでの説明は省略する。
【0054】
他の実施形態の場合には、デバイスは、電荷結合素子(CCD)またはCMOSデバイスを含む。このようなデバイスの表面にもっと明るいかまたはもっと暗い線または縞ができるのを避けることが望ましい。多くのCCDは光学的用途に使用され、人間の目がCCDが供給する信号を見るので均質性は非常に重要である。もっと正確に説明すると、目はレジストを通過するエネルギーのすぐ下のエネルギーでレジスト内に画像化された場合、例えば、1mmの範囲内の約0.02%照射内の局所的な不均質を識別することができる。すべてではないにしても、ほとんどの場合、現在周知のデバイス製造方法および装置の達成することができる均一性は0.5〜1%にしか過ぎない。広いエリア上の類似の0.02%の線量の拡散は、目で見ることができないことに留意されたい。すなわち、線量の局所派生物は、不均質性が目でみることができるかできないかに関連する要因である。この場合、小さいが非常に局所的な変化は目で見ることができ、大きいがもっと広い変化は目で見ることができない。ステッパ・タイプのリソグラフィ装置は、多くの場合、CCD用途に使用されてきた。ステッパは走査しない。そのため縞を形成しない。ステッパは静的拡散装置を備えることができ、縞がないので、局所的不均一をほとんど目で見ることができない。しかし、ステッパを使用した場合でも、本発明による動的拡散ユニットを使用すれば均質性が改善される。もっと寸法の大きなこのようなCCDのような次世代のCCDの場合には、ステッパ・タイプのリソグラフィ装置はもはや満足できるものではなく、視野の寸法がもっと大きいスキャナ・タイプのリソグラフィ装置の使用が必要になる。最終的なCCDの画像形成の品質に悪影響があると思われる縞がレジスト内にできるので、CCD用途にはスキャナは使用されなかった。走査タイプのリソグラフィ装置で本発明による拡散ユニットを使用すると、画像内の縞が抑制されるので、リソグラフィ装置がCCD用途に非常に適したものになる。
【0055】
本発明のリソグラフィ装置、拡散ユニットおよび方法は、均一性を改善し、CCD内またはCCD上の線および縞の存在を低減したり除去するのを助ける。しかし、これらの結果は、種々の他のタイプのIC等のようなリソグラフィにより製造されたすべてのデバイスに適用することができる。
【0056】
本発明の他の態様は、リソグラフィ内の拡散ユニットとして拡散粒子を含む液体の使用に関する。すなわち、このような液体の拡散ユニットとしての実際の使用は、上記のその関連する結果とともに本発明の一部である。特に、このような液体のより動的な拡散動作および入手可能な放射線ビームのより優れた均一性は望ましいものである。
【0057】
本明細書において、IC製造の際のリソグラフィ装置の使用について特に参照する場合があるが、本発明のリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁気領域メモリ用の案内および検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造のような他の用途にも使用することができることを理解されたい。このような別の用途の場合、本明細書で使用する「ウェハ」または「ダイ」という用語は、それぞれもっと一般的な用語である「基板」または「目標部分」と同義語であると見なすことができることを理解されたい。本明細書における基板は、例えば、トラック(通常、基板にレジストの層を塗布し、露光したレジストを現像するツール)または計測または検査ツールのような露光の前後で処理することができる。適用できる場合には、本明細書の開示を、上記および他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板を、例えば、多層ICを形成するために2回以上処理することができる。そのため、本明細書で使用する基板という用語は、1つまたは複数の処理層をすでに含んでいる基板を意味する場合もある。
【0058】
本明細書で使用する「放射線」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射線(例えば、365、248、193、157または126nmの波長を有する)、およびイオン・ビームまたは電子ビームのような粒子ビームを含むすべてのタイプの電磁放射線を含む。
【0059】
本明細書で使用する「パターニング機器」という用語は、基板の目標部分でパターンを形成するためのような放射線ビームにあるパターンの断面の形を与えるために使用することができる機器を意味するものとして広く解釈すべきである。放射線ビームに与えられたパターンの形は、基板の目標部分に所望のパターンと正確に対応しない場合があることに留意されたい。通常、放射線ビームに与えられたパターンの形は、集積回路のような目標部分に形成中のデバイス内の特定の機能層に対応する。
【0060】
パターニング機器は透過性のものであっても反射性のものであってもよい。パターニング機器の例としては、マスク、プログラマブル・ミラー・アレイおよびプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいては周知のもので、2進、交互位相シフト、および減衰位相シフト、並びに種々のハイブリッド・マスク・タイプのようなマスク・タイプを含む。プログラマブル・ミラー・アレイの一例は、小さなミラーのマトリックス配置を使用する。各ミラーは、異なる方向に入射放射線ビームを反射するように個々に傾斜することができる。それにより、反射ビームはパターン化される。パターニング機器の各例の場合、支持構造は、例えば、必要に応じて固定または移動することができ、また例えば、投影システムに対してパターニング機器を所望の位置に確実に位置させることができるフレームまたはテーブルであってもよい。本明細書で使用する「レチクル」または「マスク」という用語は、もっと一般的な用語である「パターニング機器」と同義語であると見なすことができる。
【0061】
本明細書で使用する「投影システム」という用語は、例えば、使用する露光放射線用にまたは浸漬流体の使用または真空の使用のような他の要因のために適している屈折光学システム、反射光学システム、および反射屈折光学システムを含む種々のタイプの投影システムを含むものとして広く解釈すべきである。本明細書で使用する「レンズ」という用語は、もっと一般的な用語である「投影システム」と同義語であると見なすことができる。
【0062】
照明システムは、また、放射線ビームをある方向に向けたり、成形したり、または制御するための屈折、反射および反射屈折光学構成要素を含む、種々のタイプの光学構成要素を含むことができ、このような構成要素は、また以下に説明するように、単に「レンズ」と総称する場合もある。
【0063】
リソグラフィ装置は、1つまたは2つ(二重ステージ)またはもっと多くの基板テーブル(および/または2つ以上のマスク・テーブル)を有するタイプであってもよい。このような「多重ステージ」機械の場合には、追加のテーブルを並列に使用することができ、または準備工程を、1つまたは複数の他のテーブルを露光に使用しながら、1つまたは複数のテーブル上で実行することができる。
【0064】
リソグラフィ装置は、また、投影システムの最終素子と基板との間の空間を満たすために、例えば、水のような屈折率が比較的高い液体に基板が浸漬されるタイプのものであってもよい。浸漬液体は、例えば、マスクと投影システムの第1の素子との間のようなリソグラフィ装置内の他の空間にも使用することができる。浸漬技術は、投影システムの開口数を増大するための当業者にとって周知の技術である。
【0065】
対応する参照符号が対応する部材を示す添付の図面を参照しながら、以下に本発明の実施例について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【実施例】
【0066】
図1を参照すると、本発明によるリソグラフィ装置は、放射線ビームPB(例えば、紫外線)を供給するように構成されている照射システム(照明装置)ILを含む。支持体(例えば、マスク・テーブル)MTは、パターニング機器(例えば、マスク)MAをサポートし、投影システムPLに対してパターニング機器を正確に位置決めする第1の位置決め機器PMに接続している。拡散ユニットDUは、投影システムと支持体MTの間に位置するが、装置内の他の場所に設置することもできる。基板テーブル(例えば、ウェハ・テーブル)WTは、基板(例えば、レジストで被覆されたウェハ)Wを保持し、投影システムPLに対して基板を正確に位置決めする第2の位置決め機器PWに接続している。投影システム(例えば、屈折投影レンズ)PLは、パターニング機器MAにより放射線ビームPBに与えられたパターンを基板Wの目標部分C(例えば、1つまたは複数のダイを含む)上に画像形成する。
【0067】
本明細書に説明するように、この装置は透過タイプのものである。別の方法としては、この装置は、反射タイプのものであってもよい。その場合、その表面上に拡散粒子が浮遊している流体を使用することができる。
【0068】
拡散ユニットDUは、拡散粒子を含む液体本体を含む。拡散ユニットDUは、照明装置ILから放射線を受光し、放射線を均質化し、それによりその均一性を改善する。均質化された放射線は、放射線ビームPBとしてパターニング機器MAに供給される。
【0069】
照明装置ILは、放射線源SOから放射線を受光する。この放射線源およびリソグラフィ装置は、例えば、放射線源がエキシマ・レーザの場合のように、別々のエンティティであってもよい。このような場合、放射線源は、リソグラフィ装置の一部を形成するものとは見なされず、放射ビームは、例えば、適当な方向づけミラーおよび/またはビーム・エクスパンダを含むビーム供給システムBDの助けを借りて、放射線源SOから照明装置ILに通過する。他の場合、放射線源は、例えば、放射線源が水銀ランプである場合のように、装置の一部であってもよい。放射線源SOと照明装置ILは、必要な場合には、ビーム供給システムBDと一緒に放射システムと呼ぶ場合もある。
【0070】
照明装置ILは、ビームの角度輝度分布を調整するために調整機器AMを含むことができる。通常、照明装置の瞳面内の輝度分布の少なくとも外部および/または内部半径範囲(通常、それぞれシグマ・アウタおよびシグマ・インナと呼ばれる)を調整することができる。さらに、照明装置ILは、通常、インテグレータINおよびコンデンサCOのような種々の他の構成要素を含む。照明装置は、その断面内に所望の均一性と輝度分布を有する調整された放射線ビームPBを供給する。
【0071】
放射線ビームPBは、マスク・テーブルMTにより保持されているマスクMA上に入射する。マスクMAを横切った後で、放射線ビームPBは、投影システムPLを通過し、基板Wの目標部分C上にビームの焦点を結ぶ。第2の位置決め機器PWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス)の助けを借りて、ビームPBの経路内の異なる目標部分Cに位置決めするために基板テーブルWTを正確に移動することができる。同様に、第1の位置決め機器PMおよび他の位置センサ(例えば、図1に明示されていない他の干渉計機器)を、例えば、マスク・ライブラリから機械的検索を行った後で、または走査中、ビームPBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めするために使用することができる。通常、オブジェクト・テーブルMTおよびWTは、位置決め機器PMおよびPWの一部を形成するロング・ストローク・モジュール(粗位置決め)およびショート・ストローク・モジュール(微細位置決め)の助けを借りて移動することができる。しかし、スキャナとは反対のステッパの場合には、マスク・テーブルMTを、ショート・ストローク・アクチュエータだけに接続することもできるし、または固定することもできる。マスクMAおよび基板Wは、マスク整合マークM1、M2および基板整合マークP1、P2により整合することができる。
【0072】
図の装置は、下記の好適なモードで使用することができる。
1.ステップ・モードの場合には、マスク・テーブルMTおよび基板テーブルWTは本質的に固定されていて、一方、放射線ビームに与えられた全パターンが、同時に(すなわち、1回の静的露光で)目標部分C上に投影される。基板テーブルWTは、次に、Xおよび/またはY方向に動かされ、そのため異なる目標部分Cを露光することができる。ステップ・モードの場合には、露光フィールドの最大サイズにより1回の静的露光で画像形成される目標部分Cのサイズが制限される。
2.走査モードの場合、マスク・テーブルMTおよび基板テーブルWTは同期状態で走査され、一方、放射線ビームに与えられたパターンが、目標部分C上に投影される(すなわち、1回の動的露光)。マスク・テーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、拡大(縮小)および投影システムPLの画像の逆特性により決まる。走査モードの場合には、露光フィールドの最大サイズにより、1回の動的露光の際の目標部分の走査方向でない方向の幅が制限され、一方、走査運動の長さにより、目標部分の走査方向の高さが決まる。
3.他のモードの場合、マスク・テーブルMTは、プログラマブル・パターニング機器を保持する本質的に固定状態に維持され、基板テーブルWTは、放射線ビームに与えられたパターンが目標部分C上に投影されている間に移動または走査される。このモードの場合、通常、パルス放射線源が使用され、プログラマブル・パターニング機器が、基板テーブルWTの各運動の後で、または走査中の連続放射パルスの間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上記タイプのプログラマブル・ミラー・アレイのようなプログラマブル・パターニング機器を使用し、マスクを使用しないリソグラフィに容易に適用することができる。
【0073】
上記の使用モードの組合わせおよび/または変更したもの、または全然異なる使用モードを使用することもできる。
【0074】
図2の(a)を参照すると、走査タイプのリソグラフィ装置で使用することができる放射線ビームPBの断面は引き延ばすことができる。多くの可能な例のうちのただ1つとして寸法をX×Y=26×6mmにすることができる。言うまでもないことだが、任意の他の寸法も同様に使用することができる。
【0075】
図2の(b)は、図2の(a)のビームPBの可能な統合輝度プロファイルの略図である。このグラフは任意の単位でこの輝度を示す。原則として、すでに説明したように、均一性は、位置の関数としての累積された受光エネルギー線量の変化に関連する。しかし、均一性は、また輝度が時間の関数としてそれほど変化せず、各位置が同じ時間の間照射される場合には、位置の関数としての瞬間的な輝度に関連する。何故なら、その場合、実際の線量は輝度に照射時間を掛けたものに等しいからである。ステッパ・タイプの照射の場合には、照射フィールド内のサンプリングした位置すべてに対する均一性=(最大線量−最小線量)/最大線量により測定した均一性は、照射したフィールド全体の値である。走査タイプの照射の場合には、線量は、通常、X方向の均一性の値を計算する前に、Yすなわち走査方向に沿って積分される。結果としての値は積分スリット均一性と呼ばれる。
【0076】
図2の(b)のグラフは、グラフの中心の少し左のところに1つのはっきり見えるピークを含むY方向に積分した輝度のはっきりと見えるいくつかの「ノイズ」状の変動を含む。このピークは、もっと正のX値の方向に非常に急峻な下向きの勾配を有する。実際には、例えば、レーザが放射線源である場合であって、レーザ・モードのうちの1つが一時的に優勢になるか、光学系のどこかに若干の変形がある場合にこのようなプロファイルができる。もちろん、他の輝度プロファイルも使用することができるが、本発明を理解するには、1つのギザギザだけを見れば十分である。その影響については図3の(a)および図3の(b)を参照しながら説明する。
【0077】
図2の(b)も、本発明によるリソグラフィ装置の放射線ビームの瞬間的輝度プロファイルを示す。しかし、本発明による拡散ユニットの動的特性によれば、輝度プロファイル(すなわち、図2の(b)のグラフ)は時間の経過とともに変化することに留意されたい。すなわち、ピークの位置が時間の経過とともに変化する。さらに、輝度プロファイル全体も時間の経過とともに変化する。例えば、1つまたは複数の新しいピークが発生するし、または複数のピークが消滅する。これが、本発明による装置および方法で使用する拡散ユニットの液体本体内の拡散粒子の位置の変化によるこの動的挙動である。
【0078】
図3の(a)は、従来技術のリソグラフィ装置で、図2の(a)、(b)による放射線ビームにより照射されている基板Wの目標部分Cの略平面図である。Lは、平均より大きな線量を受光している縞または線である。
【0079】
図3の(a)の目標部分Cは、Y方向に表面を横切る図2の(a)による放射線ビームPBの走査により照射されている。図3の(a)の従来技術の場合には、拡散ユニットの均一性の修正、それ故入手した画像の均一性の修正は、時間の経過中一定であるので、均一性のあるピークのズレは、図3の(a)に示すように線または縞Lになる。人間の目はこのような構造に非常に敏感であり、例えば、ビデオ・カメラ等で使用するCCDにおいては、0.02%以上の縞状の不均一性は目立つし、そのため避けなければならない。
【0080】
図3の(b)は、比較のためにその均一性のプロファイル内に類似のピークを有するが、本発明によるその動的特性により、ピークの位置が放射線ビームの長さX内で時間の経過と共に変化する放射線ビーム(図示せず)により照射されている目標部分C’の平面図である。
【0081】
図3の(b)の場合には、これを小さなエリアP’により示す。この場合も、比較のために、均一性プロファイル内のピークの位置は不連続的に変化するものと見なされる。もちろん、実際には、この変化は、例えば、非常に波動の多い線になるランプ照明のように連続している場合もある。実際には、本発明による拡散ユニットの真の動的特性は、さらに、このような線またはエリアP’の相対輝度になり、目標部分C’の表面上で変化し、均一性がさらに改善される。
【0082】
図3の(b)を見れば分かるように、拡散ユニットの動的挙動に対するランダム・パターンによるエリアP’の分布により確実に線は目立たなくなり、または完全に見えなくなる。すなわち、局所的均一性の値に関連する人間の目が見る均一性、および均一性の絶対値としての均一性は、本発明の方法による装置による照明により改善される。均一性は常に均一性が測定される視野に関連していることに留意されたい。それ故、絶対的な均一性または全体的な均一性は、完全な照明視野に関連し、一方、局所的な均一性は照明視野の一部に関連する。この定義によれば、局所的な均一性は、多くの場合、絶対的または全体的な均一性より優れているが、サンプリングした輝度を加重するか、または局所的な均一性の位置の派生を決定すれば、異なる画像ができる場合がある。
【0083】
図4は、本発明による拡散ユニットを含むリソグラフィ装置の一部の第1の実施例の略図である。照射システムは、最後のレンズ素子42を含む照射レンズ40を含む。コンテナ44は拡散粒子48を含む流体46を含む。
【0084】
放射線50の光線は散乱して散乱光線52になる。この場合、拡散粒子の影響を示すために、「光線」という用語は、全放射線ビームの「鉛筆状」の部分と解釈すべきである。次に、全放射線ビームは、そのうちのいくつかが拡散粒子による影響を受け、ほかのものは影響を受けない多数の光線からなるものと見なすことができる。
【0085】
照射レンズ40は、ほとんどの場合、多くのレンズ素子を含む複合システムである。ある種の光学系の場合には、最後のレンズ素子42は、多くの場合、その光学的特性に適合するように選択される流体内に浸漬している。この例の場合には、コンテナ44は、最後のレンズ素子42と接触する流体46を保持する。
【0086】
照射レンズ40は、本発明の目的のための多数の光線50からなると見なすことができる放射線ビーム(図示せず)を放射する。
【0087】
このような放射線の光線50が拡散粒子48に当たると、光線は回折、散乱、反射等を行い、回折光線(ビーム)52になる。その光路上で他の拡散粒子48に入射する他の光線にもこのことは当てはまる。実際には、これは、照射レンズ40を透過した放射線は、この場合はマスク・テーブル56上のマスク54である照射対象の対象物の表面に入射する前に拡散することを意味する。透過した放射線の拡散範囲は、拡散粒子48の数、サイズ等、流体46の速度等により異なる。拡散粒子のこの数は、最後のレンズ42とマスク54の間の距離を長くすることにより増大することができるが、多くの場合この距離は流体46の屈折率に依存し、必要に応じて変えることはできない。しかし、場合によっては、異なる屈折率を有する流体46を選択することができる。
【0088】
ほとんどのリソグラフィ装置の場合のように、照射レンズおよびマスク54を含むマスク・テーブル56の位置は相互に変えることができる。
【0089】
上記実施例の場合には、流体は照射レンズとマスクとの間に位置する。このことは、別の方法としてまたは追加的に、投影レンズとウェハとの間の拡散粒子を含む流体本体として実施することができる。照射レンズは、照明源とパターニング機器との間のレンズであり、投影レンズはパターニング機器とウェハのような基板との間のレンズであることを理解されたい。しかし、照射レンズの位置は、好適には、投影レンズの上に位置することが好ましく、拡散動作は、また、放射線ビーム内のパターン情報の一部を破壊する。
【0090】
図では、コンテナ44は、流体46およびマスク54を含むマスク・テーブル56を含む。しかし、コンテナをマスク54の周囲の流体漏れを起こさないリム、縁部等にすることもできる。このようなリムの高さは、この場合は、マスク54の表面および最後のレンズ素子42の出口表面である所望の表面間に流体を含むのに十分な高さでなければならない。これにより、使用する流体46の量を制限するばかりでなく、マスク・テーブル56の動きを自由に制御することができる。一方、大量の流体46は、最後のレンズ素子42とマスク54の間の流体46、それ故、拡散粒子の運動を容易に制御することができるという利点を有する。しかし、本発明の目的のためには、ブラウン運動等のような自然発生運動だけで十分である。この場合、流体46用の特定の運動機構は必要ない。ブラウン運動を促進し、またはすべて拡散粒子を運動させる流体内の対流を起すことができる局所的な温度差等を形成するために、流体を加熱するヒータを設置することができる。
【0091】
この図には示していない他の拡散粒子運動機構は、パルス・レーザ源、音波発生器、変化する電磁界を含む電磁界を生成するためのプレート、移動することができる磁石を含む磁石等を含む。
【0092】
拡散粒子48の数を変化させなければならない場合には、その必要な量を流体46に追加することもできるし、または拡散粒子48と一緒に流体46を除去および/または補充することもできる。通常、拡散動作に対する流体46のタイプの重要性は低いことに留意されたい。何故なら、多くの場合、流体は拡散粒子48のキャリアにしか過ぎないからである。しかし、例えば、密度の変動、渦等が拡散粒子としての働きをしている場合には、その特性に応じて流体のタイプを選択しなければならない。ある役割を有する他の特性としては、吸収およびそれ故、流体の透過、紫外線安定性等がある。
【0093】
拡散粒子48のタイプは、望ましい基準により選択することができる。一般的に、拡散粒子の平均直径はパラメータと見なすことができる。何故なら、この平均直径が多かれ少なかれ拡散動作を決定するからである。この直径は上記基準により選択することができる。さらに、拡散粒子の数は、放射線ビームの均一性プロファイルの知識およびその所望の修正に基づいて選択することができる。放射線の波長、特に放射線の波長の半分より小さい平均直径を有する大部分の拡散粒子の場合には、材料のタイプまたは拡散粒子の特定の形は、拡散粒子が放射線の優れた吸収体である場合を除いて関連性は低い。少なくとも1つの方向の放射線の波長よりかなり長い拡散粒子48は、その特定の形により異なる影響を放射線の光線50に与えることができる。例えば、拡散粒子48の反射性材料の場合には、光線50を反射することができ、均一性プロファイルはさらに個々の変動を起こす。場合によっては、この方が望ましい場合がある。
【0094】
さらに、拡散粒子48が気泡である場合には、液体46内での気体の可溶性が液体46を選択する際の基準になる。より詳細に説明すると、多くの小さな気泡を発生するには、多くの場合、高い可溶性は望ましくない。一方、ある温度での高い可溶性は、放射線ビームの付近の流体46の温度を変化させることにより、所望の量の泡を発生する1つの方法となり、そのため可溶性が低減し、泡が形成される。そうしたい場合には、これを比較的局所的なプロセスとすることができる。
【0095】
図5は、本発明による拡散ユニットを含むリソグラフィ装置の他の実施例の略図である。チューブ58は、それぞれ、そこを通しておよびその間を流体46が矢印Aの方向に流れることができる2つの平行なプレート60a、60bに接続することができる。
【0096】
第1のコンテナ62、第2のコンテナ66および第3のコンテナ70は、それぞれ、第1の供給送り装置64、第2の供給送り装置68および第3の供給送り装置72により制御ユニット74に接続することができる。
【0097】
第1のコンテナ62は第1の流体を含むことができ、一方、第2のコンテナ66は第1の拡散粒子48を含むことができる。第3のコンテナ70は、第2の流体、第2のタイプの拡散粒子、または例えばその混合物を含むことができる。種々の物質の他の分布も可能であることを理解されたい。
【0098】
第1の流体は、任意の所望の少なくとも部分的に透明な液体または流動物質を含むことができる。多くの場合、水は望ましい候補であるが、種々の他の液体も使用することができる。種々の他の液体の例としては、多くのオイル、樹脂、有機流体等がある。移動流体の場合には、流体の安定性の重要性が低いことに留意されたい。何故なら、この流体は、放射線の影響下で流体が十分に安定な時間により選択することができる流速により回復するからである。
【0099】
第2のコンテナ66は、拡散粒子を含むことができる。拡散粒子は、小さな固体粒子、または流体と混合しない他の流体、流体内で気泡を形成するための気体等を含むことができる。上記2つの場合の後者の場合には、第2のコンテナ66の含有物は、拡散粒子はまだ分離していないで、流体内で粒子を形成するための物質であることに留意されたい。天然の水は所望の数の泡を形成するための十分な量の気体をすでに含んでいる。
【0100】
第1のコンテナ62は、拡散粒子をすでに含んでいる流体を含むことができるし、一方、第2のコンテナ66も、拡散粒子をすでに含んでいる流体を含むことができるが、その濃度は異なる。同様に、第3のコンテナ70は、第2または第3の流体、同じまたは異なる材料の拡散粒子、またはその混合物等を含むことができる。
【0101】
コンテナの数は3つ以外の数でもよく、例えば、1、2、4等であってもよい。第1から第3の供給送り装置64、68、72は、制御できるように閉鎖することができ、また直接チューブ58または制御ユニット74内に開くことができる。コンピュータまたは他のプログラマブル・デバイスを含むことができる制御ユニット74は、チューブ58内へのおよびプレート60a、60b間内への混合流内への流体および/または拡散粒子の流れを制御するのに使用することができる。制御ユニット74は、例えば、流体のタイプ、または拡散粒子、またはその比率を選択することができる。それに対して、制御ユニット74および/または供給送り装置64、68、72は、制御可能な弁等を含むことができる。
【0102】
図5の左側に示すように、チューブ58から放出された流体は、閉回路を形成するためにコンテナ62、66、70のうちの1つに、または制御ユニット74に、または任意の他の方法で接続することができる。このような閉回路は、流体が喪失しないという利点、およびこの拡散ユニットを過酷な雰囲気、真空等内で使用することができるという利点を有する。さらに、未知の物質および粒子により流体が汚染させるリスクは非常に少なく、流体の特性をよりよく制御することができる。
【0103】
さらに、制御ユニット74は、チューブ58を通してまたプレート60a、60b間に流体46を移動するための運動機構(図示せず)を含むことができる。運動機構は、ポンプ、ピストン等を含むことができる。運動は、直線的なものであっても、振動であっても、不規則なもの等であってもよい。液体の流れの流速、流れの方向、および他の特性は、所望の拡散動作に従って選択することができる。
【0104】
プレート60a、60bは、入口開口部および出口開口部を有する凹部等を形成するように接続することができる。プレート60a、60bは、光学的放射の光線50に対して透明でなければならない任意の適当な材料から作ることができるが、好適には、放射線の影響およびその可能な摩耗性拡散粒子を含む流体の影響下で十分安定なものであることが好ましい。もちろん、プレート60a、60bおよび/または拡散ユニット全体を交換することができる。適当な材料としては、低い屈折率を有し、非常に短い波長まで放射線に対して高い透過係数を有し、高い磨耗抵抗を有するクォーツがある。他の材料としては種々のタイプのガラス、サファイア、フルオロポリマー、CaF2等がある。
【0105】
多くの実施例を図示し、説明してきたが、これらの実施例は本発明を制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明のある実施例によるリソグラフィ装置の略図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ本発明による方法で使用する放射線ビームの断面および輝度プロファイルである。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ本発明による拡散ユニットを使用しなかった場合および使用した場合の、図2の(a)、(b)によるビームによる照射の結果である。
【図4】本発明による拡散ユニットを有するリソグラフィ装置の実施例である。
【図5】本発明による拡散ユニットを有するリソグラフィ装置の実施例である。
【符号の説明】
【0107】
PB 放射線ビーム
IL 照射システム
MT 支持体
MA パターニング機器
PL 投影システム
PM 第1の位置決め機器
DU 拡散ユニット
WT 基板テーブル
W 基板
PW 第2の位置決め機器
C 目標部分
SO 放射線源
BD ビーム供給システム
AM 調整機器
IN インテグレータ
CO コンデンサ
IF 位置センサ
M1,M2 マスク整合マーク
P1,P2 基板整合マーク
40 照射レンズ
42 最後のレンズ素子
44 コンテナ
46 流体
48 拡散粒子
50 放射線
52 散乱光線
54 マスク
56 マスク・テーブル
58 チューブ
60a,60b プレート
62 第1のコンテナ
64 第1の供給送り装置
66 第2のコンテナ
68 第2の供給送り装置
70 第3のコンテナ
72 第3の供給送り装置
74 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置であって、
放射線ビームを調整するように構成されている照射システムと、
前記放射線ビームをその断面のパターンでパターン化するように構成されているパターニング機器を支持するように構成されている支持体と、
基板を保持するように構成されている基板テーブルと、
前記基板の目標部分上に前記パターン化したビームを投影するように構成されている投影システムと、
前記放射線ビームを均質化するように構成され、前記放射線ビームの光路内に位置し、拡散粒子を含む流体本体を備える拡散ユニットとを備えるリソグラフィ装置。
【請求項2】
前記流体が、前記照射システムの一部と前記パターニング機器の間を延びる空間を満たしている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
前記流体が、前記照射システムの第1のレンズ素子から前記照射システムの第2のレンズ素子のうちの1つおよび前記パターニング機器へ延びる空間を満たしている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
前記放射線ビームの瞳の面が前記流体内に位置するように、前記流体が位置する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
前記流体が、前記放射線ビームの少なくともほぼ断面上を延びる、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
前記流体が2つの光学素子間に位置する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項7】
前記2つの光学素子が平行である、請求項6に記載のリソグラフィ装置。
【請求項8】
前記流体および前記光学素子の少なくとも1つの材料または前記投影システムの光学素子が、0.2未満だけ異なる屈折率を有する、請求項6に記載のリソグラフィ装置。
【請求項9】
前記拡散粒子を移動するように構成されている拡散粒子運動機構をさらに備える、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記拡散粒子運動機構がポンプを備える、請求項9に記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
前記流体の運動が、前記リソグラフィ装置の光軸に垂直な分力を有する、請求項9に記載のリソグラフィ装置。
【請求項12】
前記リソグラフィ装置がある走査方向を有し、前記流体の運動が前記走査方向にほぼ垂直である、請求項9に記載のリソグラフィ装置。
【請求項13】
前記流体が水を含む、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項14】
前記拡散粒子が、大きくても200μmの平均直径を有する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項15】
前記拡散粒子が、大きくても200nmの平均直径を有する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項16】
前記拡散粒子が、少なくとも5nmの直径を有する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項17】
前記拡散粒子が、10〜20nmの平均直径を有する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項18】
前記拡散粒子が、気泡および固体粒子のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項19】
前記気体が、空気、窒素および不活性ガスのうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載のリソグラフィ装置。
【請求項20】
前記固体粒子が、反射性または屈折性材料を含む、請求項18に記載のリソグラフィ装置。
【請求項21】
前記拡散ユニットを、少なくとも一方が流体である異なる物質を含む少なくとも2つのコンテナに接続することができる、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項22】
前記流体の拡散粒子含有量を制御するように構成されている制御ユニットをさらに備える、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項23】
前記リソグラフィ装置の放射線ビームを均質化するためのリソグラフィ装置で使用するための拡散ユニットであって、
そこを通過する放射線ビーム内の輝度ピークを低減する拡散粒子を含む流体本体を備える拡散ユニット。
【請求項24】
前記拡散粒子を運動させるように構成されている拡散粒子運動機構をさらに備える、請求項23に記載の拡散ユニット。
【請求項25】
前記拡散粒子運動機構がポンプを備える、請求項24に記載のリソグラフィ装置。
【請求項26】
前記流体が水を含む、請求項23に記載の拡散ユニット。
【請求項27】
前記拡散粒子が、大きくても200μmの平均直径を有する、請求項23に記載の拡散ユニット。
【請求項28】
前記拡散粒子が、大きくても200nmの平均直径を有する、請求項23に記載の拡散ユニット。
【請求項29】
前記拡散粒子が、少なくとも5nmの直径を有する、請求項23に記載の拡散ユニット。
【請求項30】
前記拡散粒子が、10〜20nmの平均直径を有する、請求項23に記載の拡散ユニット。
【請求項31】
前記拡散粒子が、気泡および固体粒子のうちの少なくとも一方を含む、請求項23に記載の拡散ユニット。
【請求項32】
前記気体が、空気、窒素および不活性ガスのうちの少なくとも1つを含む、請求項31に記載の拡散ユニット。
【請求項33】
前記固体粒子が反射性または屈折性材料を含む、請求項23に記載の拡散ユニット。
【請求項34】
前記拡散ユニットを、少なくとも一方が流体である異なる物質を含む少なくとも2つのコンテナに接続することができる、請求項23に記載の拡散ユニット。
【請求項35】
前記流体の拡散粒子含有量を制御するように構成されている制御ユニットをさらに備える、請求項23に記載の拡散ユニット。
【請求項36】
放射線ビームを均質化するための方法であって、
放射線ビームを供給する段階と、
拡散粒子を含み、前記放射線ビームの少なくとも一部が流体本体の少なくとも一部を通過する位置に位置する流体本体を供給する段階とを含む方法。
【請求項37】
前記拡散粒子が、前記放射線ビームに対して運動する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記拡散粒子が、前記放射線ビームの方向にほぼ垂直に運動する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記放射線ビーム内の所望の拡散量に従って前記流体内の拡散粒子の含有量を制御する段階をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
デバイス製造方法であって、
放射線ビームを供給する段階と、
前記放射線ビームをその断面のパターンでパターン化する段階と、
前記基板の目標部分上に前記パターン化した放射線ビームを投影し、前記放射線ビームを拡散粒子を含む流体を通過させることにより均質化する段階とを含む方法。
【請求項41】
前記拡散粒子が、前記放射線ビームに対して運動する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記流体が、前記放射線ビームに対して運動する、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
請求項40に記載の方法により製造されたデバイス。
【請求項44】
前記デバイスが、電荷結合素子またはCMOSデバイスを備える、請求項43に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−32963(P2006−32963A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−204220(P2005−204220)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(504151804)エイエスエムエル ネザランドズ ベスローテン フエンノートシャップ (1,856)
【Fターム(参考)】