説明

持続性低電力ビーコンを備えるセンサー装置

第一の装置を提供する段階を含む方法が開示され、該第一の装置は、第一の装置が受けた刺激を感知するように構成されたセンサーと、センサーから受信したデータを処理してそれにより処理済センサーデータを得るように構成されたコントローラーと、処理済データを第一の装置から第二の装置に無線で送信するように構成されたトランスミッターと、少なくともコントローラーおよびトランスミッターに電力を供給するように構成されたバッテリーとを含む。第一の装置は、処理済データを得て第二の装置に送信するためにセンサー、コントローラー、およびトランスミッターが少なくとも時々使用される第一の動作モードで、作動する。バッテリーが低電力状態にあると判定されると、第一の装置は、処理済センサーデータを得て第二の装置に送信するためにセンサー、コントローラー、およびトランスミッターが使用されることはないがバッテリーの低電力状態を示す信号を第一の装置が第二の装置に少なくとも時々送信する第二の動作モードで、作動する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本出願は概して、リモートセンサー装置の電力管理に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
いくつかのリモートセンサー装置は、リモート装置が低電力状態である時期を示す信号を主要装置に伝達することが可能である。このような信号を受信すると、主要装置はそのユーザーにリモート装置が低電力状態であることを警告することができ、したがってユーザーは、リモート装置の電力が実際に切れる前にリモート装置のバッテリーを再充電するか交換することができる。このようなシステムの一例としては、無線マウスまたは無線キーボードのような無線ユーザー入力(UI)装置を用いるコンピューターがある。このようなUI装置が低電力状態である場合には、低電力状態を示す信号がコンピューターのプロセッサーに伝達され、次にコンピューターがユーザーに対しこのことを警告するメッセージを表示する。この後にユーザーが即座にバッテリーを交換または再充電できないと、リモート装置は完全に電力がなくなるまで普通に動作を継続する。このような時には、リモート装置は、その意図される機能が実行不能になるだけでなく、動作不能になった理由を主要装置に知らせることも不可能となる。
【発明の概要】
【0003】
概要
本発明の一つの局面によると、本方法は第一の装置の使用を伴い、該第一の装置は、第一の装置が受けた刺激を感知するように構成されたセンサーと、センサーから受信したデータを処理してそれにより処理済センサーデータを得るように構成されたコントローラーと、処理済データを第一の装置から第二の装置に無線で送信するように構成されたトランスミッターと、少なくともコントローラーおよびトランスミッターに電力を供給するように構成されたバッテリーとを含む。第一の装置は、処理済データを得て第二の装置に送信するためにセンサー、コントローラー、およびトランスミッターが少なくとも時々使用される、第一の動作モードで作動する。バッテリーが低電力状態にあると判定されると、第一の装置は、処理済センサーデータを得て第二の装置に送信するためにセンサー、コントローラー、およびトランスミッターが使用されることはないがバッテリーの低電力状態を示す信号を第一の装置が第二の装置に少なくとも時々送信する、第二の動作モードで作動する。
【0004】
別の局面によると、本機器(apparatus)は、センサー、コントローラー、トランスミッター、およびバッテリーを含む。センサーは、機器が受けた刺激を感知するように構成されている。コントローラーは、センサーから受信したデータを処理してそれにより処理済センサーデータを得るように構成されている。トランスミッターは、機器からの処理済センサーデータを別の装置に無線で送信するように構成されている。バッテリーは、少なくともコントローラーおよびトランスミッターに電力を供給するように構成されている。機器は、バッテリーが低電力状態でないと判定されると第一の動作モードで作動し、バッテリーが低電力状態であると判定されると第二の動作モードで作動するように、構成されている。第一の動作モードでは、処理済データを得て他方の装置に送信するためにセンサー、コントローラー、およびトランスミッターが少なくとも時々使用される。第二の動作モードでは、センサー、コントローラー、およびトランスミッターが処理済センサーデータを得て他方の装置に送信することはないが、機器が、バッテリーの低電力状態を示す信号を他方の装置に少なくとも時々送信する。
【0005】
別の局面によると、本方法は第一の装置の使用を伴い、第一の装置は、第一の装置が受けた刺激を感知するように構成されたセンサーと、センサーから受信したデータを処理してそれにより処理済センサーデータを得るように構成されたコントローラーと、処理済データを第一の装置から第二の装置に無線で送信するように構成されたトランスミッターと、第二の装置から第一の装置に無線で送信されたデータを受信するように構成された受信機と、少なくともコントローラー、トランスミッター、および受信機に電力を供給するように構成されたバッテリーとを含む。第一の装置は、処理済データを得て第二の装置に送信するためにセンサー、コントローラー、およびトランスミッターが少なくとも時々使用されかつ第二の装置から無線で送信されたデータを受信するために受信機が少なくとも時々使用される、第一の動作モードで作動する。バッテリーが低電力状態であると決定されると、第一の装置は、第二の装置から無線で送信されるデータを受信するために受信機が使用されることはないがバッテリーの低電力状態を示す信号を第二の装置に送信するためにトランスミッターが少なくとも時々使用される、第二の動作モードで作動する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】リモートセンサー機器の例示的態様のブロック図である。
【図2】図1に示すコントローラーが実行し得るルーチンの実施例を示すフローチャートである。
【図3】図1に示すコントローラーが実行し得るルーチンの実施例を示すフローチャートである。
【図4】図1に示すコントローラーが実行し得るルーチンの実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
いくつかの態様では、リモートセンサー装置の「低電力」状態が検出されると、実質的にその電力消費速度を低下させるためにリモート装置の動作モードが変更されうる。その後、リモート装置を、限定された機能群のみ実施可能とすることができかつ、その機能性低下にも拘らず長時間にわたり「低電力」信号を主要装置に送信し続けることができる。ある態様では、その「低電力」動作モード中にそれが実施する唯一の機能が、その「低電力」状態について主要装置に知らせる信号を主要装置に送信することであるように、リモート装置を構成してもよい。いくつかの態様では、バッテリーが間もなく「低電力」状態になる時期を決定するためにバッテリーの容量または利用量をさらに監視してもよく、このような状態であることを示す信号が送られ、それによって、ユーザーに、バッテリーが「残り少なくなっておりすぐに交換する必要あり」と警告するか、或いは同様のメッセージまたは表示を与えることができる。万一ユーザーが「低電力」状態に実際に至る前にバッテリーを交換できなかった場合、装置は単に作動停止するのではなく、その電力消費を実質的に減じるように動作モードを変更し、バッテリーの「低電力」状態をユーザーに知らせ続ける。従って、電力が切れたらすべての動作を停止する従来技術のリモートセンサー装置と異なり、本明細書にて開示されたような装置のユーザーは、リモート装置の電力が切れたために、或いはその他の何らかの理由、例えばリモート装置の1個もしくは複数の構成要素の不具合または受信装置の1個もしくは複数の構成要素の不具合のために、リモート装置を含むシステムが動作停止したのかが分からないままになることはない。
【0008】
図1は、本発明のある態様と関連して用いられ得るリモートセンサー装置100の一つの実施例のブロック図である。図示のように、装置100はコントローラー102、センサー104、バッテリー106、メモリー108、トランスミッター110、アンテナ112、およびバッテリー監視ユニット114を含み得る。ほぼ図1に示されるように構成されたリモートセンサー装置100は、いくつかの様式のうちのいずれかで構成され得、かついくつかの目的のうちのいずれかのために使用することが可能であり、本発明は、いかなる特定の型の装置またはその使用にも限定されない。ある態様では、例えば、リモートセンサー装置100は、歩いたり走ったりそれ以外の方法で足で移動している間の人の活動を監視するために靴の表面または内部に取り付けられるかそれ以外の方法で人に支持される、携帯型装置を含んでもよい。このような装置の例は、例えば米国特許第6,611,789号; 第6,305,221号; 第6,301,964号; 第6,298,413号; 第6,032,108号; 第6,018,705号; 第5,955,667号; 第4,578,769号;および第4,371,945号に開示されており、その各々の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。あるいは、リモートセンサー装置100は、例えばコンピューター用の無線マウスもしくは無線キーボード、または、1つもしくは複数の刺激を感知可能でありかつ感知した刺激に関するデータを無線通信リンクを介して別の装置に通信可能である他の任意の装置を含んでもよい。
【0009】
センサー104は、外部刺激を感知することが可能である任意の装置を含んでもよく、本発明はいずれの特定の型のセンサーの使用にも限定されない。これは例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,336,365号に開示されたもののような加速度計を含んでもよく、或いは、米国特許第6,611,789号;第6,305,221号;第6,301,964号;第6,298,413号;第6,032,108号;第6,018,705号;第5,955,667号;第4,578,769号;および第4,371,945号に開示されたセンサーのいずれかを含んでもよい。またはこれは、ほんの数例として、別の型の加速度計、振動センサー、温度センサー、湿度センサー、光センサー、音声検出器(audio detector)、電界または磁界センサーなどを含んでもよい。同じ型の任意の数のセンサー、または異なる型のセンサーの任意の組み合わせを、種々の態様で用いることができる。センサー104は、信号をコントローラー102に供給する前に例えば米国特許第6,336,365号に開示されたもののような加速度計などのトランスデューサーにより発生した信号を調節するように配置された特定の信号処理エレメント、例えば1個または複数の増幅器、緩衝器、フィルター等を更に含んでもよいことが理解されるべきである。
【0010】
コントローラー102は、例えばセンサー104からデータを受信して処理することができる1個または複数のプロセッサーを含んでよい。任意の型や数のコントローラーを用いてもよく、本発明は、いずれの特定の型や構成のコントローラーの使用にも限定されない。図1に示すように、コントローラー102は、コントローラー102がアクセスしたデータおよび指示を蓄積してコントローラー102が種々のルーチンを実行することを可能にさせうる、関連メモリー108を備えていてもよい。メモリー108はコントローラー102と別個にまたは一体に組み入れてよい。本発明のある態様と関連してコントローラー102により実行され得るルーチンの実施例を、以下に図2から図4を参照して説明する。
【0011】
トランスミッター110および関連アンテナ112は、多数の形態のうちの任意の形態を取ってよく、かつ例えば、処理済データをセンサーから別の装置、例えば腕時計、携帯音楽プレーヤー、コンピューターなどに無線で送信するのに用いることができる。いくつかの態様では、入ってくる無線信号を受信するために装置100内で受信機(図示せず)を更に用いてもよいし、または無線信号の送受信の両方が可能なトランシーバを代わりに使用してもよい。
【0012】
バッテリー106は、リモート装置100の全構成要素に電力を供給することに関与し得る。これは多くの形態のうちのいずれの形態をとってもよく、本発明はいかなる特有の型または構成のバッテリーの使用にも限定されない。バッテリーの特定の型およびエネルギー容量は当面の用途に基づき選択され得る。足で移動中のユーザーの動作パラメーターを監視するために使用される、靴に取り付けたリモートセンサー装置に電力供給するためにバッテリーを使用する態様では、バッテリーは、例えば、200mAhの容量を有するCR2032リチウムコイン電池であってよい。
【0013】
バッテリー監視ユニット114は、バッテリー106の残存容量を監視できる任意の公知の装置又は回路を含み得る。このような装置およびそれらが用いる技術は当技術分野では十分に理解されており、よって本明細書では説明しない。以下でより詳細に述べるように、いくつかの態様では、バッテリーの状態を直接監視することによってではなく、むしろ装置100の構成要素の累積電力消費の監視または推測に基づいて、バッテリー106の「低電力」状態が判定される。従って、少なくともいくつかの態様では、図示したもののようなバッテリー監視ユニット114は必要ではない。
【0014】
図2は、図1に示したコントローラー102が実行しうるルーチン200の実施例を図解している。上で述べたように、ルーチン200用の指示は、例えばコントローラー102に対応付けたメモリー108に記憶され得る。図示したように、ルーチン200はコントローラーが「初期化される」ステップ202から始まりうる。このような初期化は、例えば新しいバッテリー106を装置100に設置するときに、ユーザーのコマンドに応じて又は何らかの他の機構によって、起こり得る。
【0015】
初期化後、ルーチン200はステップ204および206に進み、ここで、1個または複数のセンサーとコントローラーを「アクティブ」モードにして、これらのデータ蓄積機能および処理機能を実行可能にする。いくつかの態様では、例えば加速度計およびプロセッサーが、足で移動中のユーザーが取った歩みに関するデータの能動的な蓄積および解析を開始することを可能にする。しかしながらある態様においては、ステップ204は、トランスデューサー自身の起動に加えてまたはその代わりに、トランスデューサー(図示せず)に対応する1個または複数の信号処理エレメント、例えば増幅器、緩衝器、フィルターなどの起動を含み得ることを認識されたい。いくつかの態様では、それ自身は電力を消費しないセンサーを用いてもよく、かつしたがってそのような態様ではステップ204を省略できることも、さらに理解されたい。
【0016】
センサー104(必要ならば)およびコントローラー102を「起動した」後、ルーチン200はステップ208に進み、ここで、センサーが蓄積したデータを適切な様式で処理することができる。以下でより詳細に述べるように、ステップ208と関連して、センサー104からの処理済データを、装置100のトランスミッター110およびアンテナ112を介して無線で別の装置に送信することができる。
【0017】
ステップ210で、ルーチン200は次に、何らかの新しいデータがセンサー104により蓄積されているかどうかを判定する。このような判定には、例えばセンサー104が特定の期間(例えば数秒間)よりも長く信号またはデータの発生を停止したかどうかの評価が必要であり得る。センサーがデータの蓄積を停止したと判定されたら、ルーチン200はステップ212および214に進み、ここで、電力保存目的のために1個または複数のセンサーおよびコントローラーが「アクティブ」モードから外れて「スリープ」モードになる。上に述べたように、センサー104が「アクティブ」となるのに電力が必要でない態様では、ステップ212は省略され得る。
【0018】
装置100を「スリープ」モードにした後、装置が「ウェイクアップ(wake up)」して能動的なデータの処理と蓄積を再開すべきであると判定されるまで、ルーチン200はステップ216で待つ。ウェイクアップするかどうかおよびその時期の決定は、例えば「スタート」ボタンを押すなどのユーザーの入力に応えたセンサー104(またはその内部に含まれるトランスデューサー)の動作に関する出力を監視することによって、或いは他の任意の機構によって、行われ得る。人の足での移動を監視するためにセンサーを用いる態様では、「ウェイクアップ」の決定216は、例えばトランスデューサーの出力を監視するための低電力コンパレータ(図示せず)を用いることにより行われ得る。したがって電力を消費しない加速度計、例えば米国特許第6,336,365号に開示された加速度計をトランスデューサーとして用いる態様では、「スリープ」モードの装置100の電力消費はこのようなコンパレータの電力消費のみに実質的に限定される。このような自動「ウェイクアップ」機能に加えて、装置100は追加的または代替的に、装置100を「ウェイクアップ」させるために操作されうる1個または複数のユーザー入力装置、例えばスイッチまたは押しボタンを含み得ることを理解されたい。更に、装置100を「スリープ」モードにさせるか、更なるユーザー入力が与えられるまで自動「ウェイクアップ」機能でさえもオフになるように装置の電源を完全に切らせるよう操作できる、1個または複数のユーザー入力装置を、追加的または代替的に提供してもよい。
【0019】
再び図2を参照すると、ステップ210(上述)で新しいデータがセンサー104によって蓄積されていると判定された場合、ルーチン200はステップ218に進み、ここで、例えばバッテリー106の容量が特定レベルより下まで消耗しているかどうかを判定することによってバッテリー106が「低電力」状態であるかどうかを判定する。バッテリーが「低電力」状態でないと判定されたら、ルーチン200はステップ208に戻り、ここでセンサーデータの蓄積および処理を続ける。しかし、バッテリー106が「低電力」状態であると決定されたら、ルーチン200はステップ220に進み、ここで装置は「寿命維持モード」(図4を参照して以下でより詳細に論じる)となる。代替の態様では、ルーチン200の他の時点で追加的または代替的にステップ218を実行してもよく、新しいセンサーデータが蓄積されているかどうかの判定直後にこれを実施することは重要ではない。例えば、いくつかの態様では、ステップ206の直後および/またはステップ208とステップ210の間に、追加的または代替的にステップ218を実施してもよい。
【0020】
バッテリー106が「低電力」状態であるかどうかの判定はいくつかの方法のいずれかで行われうり、本発明はそのような判定を行ういずれの特定の技術または機構にも限定されない。いくつかの態様では、バッテリー106の残存容量はバッテリー監視ユニット114によって直接測定され得る。バッテリー監視ユニットが用い得る容量監視技術は当技術分野において周知であり、よってこれ以上詳しくは説明しない。したがってバッテリー106が「低電力」状態であるかどうかの判定は、測定された残存容量が特定の閾値を下回るかどうかを評価することにより行われ得る。他の態様では、コントローラー102または他のいくつかの装置が追加的または代替的に装置100内の種々の構成要素の累積電力消費を追跡すること、或いは、種々のモードでの累積使用時間に基づいてこのような消費を予想することが可能であって、かつ従って、バッテリー106が「低電力」状態であるかどうかの判定は、新しいバッテリー設置以来の測定された全電力使用量が特定の閾値を上回るかどうかを評価することにより行われ得る。
【0021】
「低電力」判定がどのようになされるとしても、所望の動作目的が達成されうるように、装置100がその「動作モード」にある第一の期間と装置100がその「寿命維持モード」にある第二の後続の期間との間でバッテリー106の全電力容量を配分する閾値レベルを設定する。例として、装置100が「寿命維持ビーコン」を装置の主要機能が停止した後2年間にわたり1時間に1回送信できることが望ましい場合、閾値レベルはそれに応じて設定され得る。バッテリー106の全容量の内「寿命維持」のために使用されるべき部分は、例えば「寿命維持ビーコン」の所望の合計数に各ビーコン送信で消費される電力を乗ずることによって計算可能である。バッテリーの全容量の配分もまた、当然ながら、その「動作モード」での装置100の所望の寿命を考慮する。
【0022】
上述の「低電力」状態に到達したかどうかの判定に加えて、バッテリーが間もなく「低電力」状態になる時期を決定するために、バッテリーの容量または使用量をさらに監視可能であることを認識されたい。これは、例えば「低電力」状態を監視するのに使用されるのと同じ技術を用いるが僅かにより高いまたはより低い閾値を使うことによって、達成され得る。このような決定がなされると、バッテリー106が残り少なくなり交換が必要であることを主要装置に知らせる信号を、トランスミッター110およびアンテナ112を介して送ることが可能である。このような信号の結果としてユーザーに提供されるメッセージまたは指示は、低電力ビーコンに応じて提供されるのと同じであっても、異なるメッセージであってもよい。例えば、バッテリーが「低電力」状態に近づいていることを示す信号に応じて、バッテリーが「残り少なくなっている」ことをユーザーに知らせるメッセージを表示することが可能であり、他方、「低電力」状態に既に到達していることを示す信号に応じて、バッテリーが「切れている」ことをメッセージによりユーザーに知らせることが可能である。
【0023】
図3は、例えば個人の動きを監視するために1個または複数の加速度計を用いることにより、足で移動している個人の行動を感知する装置により用い得るルーチン208(図2)の図解実施例を示す。図示した図解実施例では、ルーチン208はステップ302から始まり、ここで、個人の「足の接触時間」、即ち、個人が各歩みをなすときの個人の足が地表面にある間の時間量を、センサー104の出力を調査することによって測定する。測定した足の接触時間に基づいて、ルーチン208では次に、歩調、移動距離、速さなどのような動作パラメータを計算し(ステップ304)、続いてそのような情報をトランスミッター110およびアンテナ112を介して別の装置に送信する(ステップ306)。当然ながら図3に示したルーチン208は、センサーデータの累積、処理、および別の装置への送信のために用いられ得るルーチンの一例に過ぎない。本発明の種々の態様と関連して用いられ得る追加的または代替的なルーチンの他の例は、上述した米国特許第6,611,789号;第6,305,221号;第6,301,964号;第6,298,413号;第6,032,108号;第6,018,705号;第5,955,667号;第4,578,769号;および第4,371,945号に開示されている。米国特許第7,187,924号で開示されたものまたは他の任意の適切なプロトコルのような無線送信プロトコルを用いて、装置100と他方の装置の間でデータおよび/またはコマンドを伝達することが可能である。いくつかの態様では、図3に説明したもののようなルーチン208は装置100がその「動作モード」にあるときのみ実行され、かつこれは例えば、約2ミリアンペアの電流を装置100の種々の構成要素へ供給することをバッテリー106に要求し得る。
【0024】
図4は、装置100を「寿命維持モード」(図2のステップ200)にした場合に用いうるルーチンの図解実施例を示している。図示した実施例では、装置100による電力消費が可能な唯一の活動とは、「寿命維持ビーコン」、例えば装置の電力が切れたことを示す信号を、少なくとも時々送信することである。このような「寿命維持」ルーチンは例えば、約6マイクロアンペアの電流を装置100の種々の構成要素に供給することをバッテリー106に要求し得る。しかしながら代替的に、「寿命維持ビーコン」の送信を超えたいくつかの追加的活動レベルが許可され得るように装置100を構成してもよいことを認識されたい。もっとも重要なことは、装置100が「寿命維持モード」に入ると特定の電力消費活動が停止するように装置100の様式(modality)が何らかの方法で変更されるということである。いくつかの態様では、装置100がその「寿命維持モード」になると、その電力消費を更に最小化できるように装置100が用いる無線送信プロトコルの様式も変更され得る。例えば、装置100がその「動作モード」にあるときに双方向無線送信プロトコルを用いて装置100と別の装置の間でデータを無線通信する態様では、装置100は、一方向無線送信プロトコルに切り替えて、例えば、「寿命維持モード」に入ると「寿命維持ビーコン」の送信のみは許可するが入ってくるメッセージの受信は許可しないことによって、更に電力を節約できる。
【0025】
図4の実施例では、ルーチン220はまず、センサー104が蓄積したデータの処理ならびにトランスミッター110およびアンテナ112を介した処理済センサーデータの送信をコントローラー102が停止させるように、センサー104および/またはプロセッサー102を動作停止させる(de-activating)(ステップ402および404)ことを要する。図示した実施例では、装置100が送信目的のために「ウェイクアップ」状態になる度に寿命維持ビーコンを送信するのに必要な範囲を除いて、コントローラー102を動作停止させてもよい。上に述べたように、いくつかの態様では、動作停止させる必要のないセンサー104を用いることが可能であり、ステップ402はそのような環境では用いる必要がない。
【0026】
「ウェイクアップ」ステップ408では例えば、用いるセンサーの型およびその使用に依る期間で、1分間に1回、10分間に1回、1時間に1回などでウェイクアップすることが必要であり得る。追加的または代替的に、ステップ408は、外部刺激を感知すること、例えば、ユーザーがおそらく装置の使用を試みていることを示す運きを感知することを伴い得る。いくつかの態様では、例えば、加速度計の出力を監視して、信号がある閾値を超えるかどうかを判定し得る。このようなある態様では、「寿命維持モード」での電力消費は、米国特許第6,336,365号に開示されたものなどの加速度計の出力を閾値電圧と比較する低電力コンパレータの出力の直後に、全体的または部分的にウェイクアップの決定にバイアスをかけることによって、大幅に制限され得る。
【0027】
ステップ408は追加的または代替的に、例えば機構の起動後に装置にビーコンを送信させ得るか、あるいは単に機構が起動された後ある期間にわたり感知した刺激に応じておよび/または定期的に(上述のように)装置を「ウェイクアップ」させる、ユーザー入力機構、例えば押しボタンの操作を含み得る。いくつかの態様では、別の装置がリモート装置100との通信を試みているかどうかおよびその時期を決定するために低電力受信機を追加的または代替的に用いることができ、かつ、そのような通信の試みを検知し次第「寿命維持ビーコン」を送信することができる。上述の技術の任意の組合せを用いることも可能である。例えば装置は、押しボタンを押した後または装置100が動いていると判定された後の期間にわたって1分間に1回メッセージを送るのを試みることが可能である。
【0028】
本発明のいくつかの態様を詳細に説明したが、当業者は種々の変更および改善を容易に想起するであろう。そのような変更および改善は本発明の趣旨および範囲内にあることが意図されている。従って、先の説明は例示目的のためのみであり、限定を意図したものではない。本発明は、以下の特許請求の範囲およびその等価物によって規定されたようにのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 第一の装置が受けた刺激を感知するように構成されたセンサーと、センサーから受信したデータを処理してそれにより処理済センサーデータを得るように構成されたコントローラーと、処理済データを第一の装置から第二の装置に無線で送信するように構成されたトランスミッターと、少なくともコントローラーおよびトランスミッターに電力を供給するように構成されたバッテリーとを含む第一の装置を提供する段階;
(b) 処理されたデータを得て第二の装置に送信するためにセンサー、コントローラー、およびトランスミッターが少なくとも時々使用される第一の動作モードで、第一の装置を作動させる段階;
(c) バッテリーが低電力状態であるかどうかを判定する段階;ならびに
(d) バッテリーが低電力状態であると判定されると、処理済センサーデータを得て第二の装置に送信するためにセンサー、コントローラー、およびトランスミッターが使用されることはないがバッテリーの低電力状態を示す信号を第一の装置が第二の装置に少なくとも時々送信する第二の動作モードで、第一の装置を作動させる段階
を含む、方法。
【請求項2】
段階(c)が、バッテリーの残存容量が特定値を下回るかどうかを判定することによってバッテリーが低電力状態であるかどうかを判定することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
段階(c)が、第一の装置がバッテリーから特定量を上回る電力を消費したかどうかを判定することによってバッテリーが低電力状態であるかどうかを判定することを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
第一の装置が足で移動中の人に運ばれている間に段階(b)〜(d)が第一の装置で実行される、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
段階(b)が、
第一の装置のユーザーの動作パラメータをセンサーから受信した信号に基づき計算すること、および、
計算済動作パラメータを示すデータを第一の装置から第二の装置へ送信すること
を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
段階(d)が、バッテリーの低電力状態を示す信号を第二の装置に定期的に送信することを含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
段階(d)が、トランスデューサーが検出した刺激に応じてバッテリーの低電力状態を示す信号を第二の装置に送信することを含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
段階(d)が、ユーザー入力に応じてバッテリーの低電力状態を示す信号を第二の装置に送信することを含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
(e) バッテリーが低電力状態に近づいている時期を決定する段階;および
(f) バッテリーが低電力状態に近づいていることを示す信号を第二の装置に送信する段階
を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
機器が受けた刺激を感知するように構成されたセンサーと、
センサーから受信したデータを処理してそれにより処理済センサーデータを得るように構成されたコントローラーと、
処理済センサーデータを機器から別の装置に無線で送信するように構成されたトランスミッターと、
少なくともコントローラーおよびトランスミッターに電力を供給するように構成されたバッテリーと
を含む、
バッテリーが低電力状態でないと判定されると第一の動作モードで作動しバッテリーが低電力状態であると判定されると第二の動作モードで作動するように構成され、かつ、第一の動作モードでは、処理済センサーデータを得て他方の装置に送信するためにセンサー、コントローラー、およびトランスミッターを少なくとも時々使用し、第二の動作モードでは、センサー、コントローラー、およびトランスミッターは処理済センサーデータを得ることも他方の装置に送信することもないが、バッテリーの低電力状態を示す信号を機器が他方の装置に少なくとも時々送信する、機器。
【請求項11】
バッテリーが低電力状態であるかどうかを判定する手段を更に含む、請求項10記載の機器。
【請求項12】
コントローラーが、機器が第一の動作モードにある間に機器のユーザーの動作パラメータを決定するが機器が第二の動作モードにある間は決定しないように構成されている、請求項10または11記載の機器。
【請求項13】
第二の動作モードにあるとき、バッテリーの低電力状態を示す信号を他方の装置に定期的に送信するように構成されている、請求項10〜12のいずれか一項記載の機器。
【請求項14】
第二の動作モードにあるとき、トランスデューサーが検出した刺激に応じてバッテリーの低電力状態を示す信号を他方の装置に送信するように構成されている、請求項10〜13のいずれか一項記載の機器。
【請求項15】
第二の動作モードにあるとき、ユーザー入力に応じてバッテリーの低電力状態を示す信号を他方の装置に送信するように構成されている、請求項10〜14のいずれか一項記載の機器。
【請求項16】
バッテリーが低電力状態に近づいている時期を決定する手段;および
バッテリーが低電力状態に近づいていることを示す信号を第二の装置に送信する手段
を更に含む、請求項10〜15のいずれか一項記載の機器。
【請求項17】
(a) 第一の装置が受けた刺激を感知するように構成されたセンサーと、センサーから受信したデータを処理してそれにより処理済センサーデータを得るように構成されたコントローラーと、処理済データを第一の装置から第二の装置に無線で送信するように構成されたトランスミッターと、第二の装置から第一の装置に無線で送信されたデータを受信するように構成された受信機と、少なくともコントローラー、トランスミッター、および受信機に電力を供給するように構成されたバッテリーとを含む第一の装置を提供する段階;
(b) 処理済データを得て第二の装置に送信するためにセンサー、コントローラー、およびトランスミッターが少なくとも時々使用されかつ第二の装置から無線で送信されたデータを受信するために受信機が少なくとも時々使用される第一の動作モードで、第一の装置を作動させる段階;
(c) バッテリーが低電力状態にあるかどうかを判定する段階;および
(d) バッテリーが低電力状態にあると判定されると、第二の装置から無線で送信されたデータを受信するために受信機が使用されることはないがバッテリーの低電力状態を示す信号を第二の装置に送信するためにトランスミッターが少なくとも時々使用される第二の動作モードで、第一の装置を作動させる段階
を含む、方法。
【請求項18】
段階(c)が、バッテリーの残存容量が特定値を下回るかどうかを判定することによってバッテリーが低電力状態にあるかどうかを判定することを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
段階(c)が、第一の装置がバッテリーから特定量を上回る電力を消費したかどうかを判定することによってバッテリーが低電力状態にあるかどうかを判定することを含む、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
トランスミッターおよび受信機の両方としてトランシーバを使用する、請求項17〜19のいずれか一項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−505186(P2010−505186A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530409(P2009−530409)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/020813
【国際公開番号】WO2008/042198
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】