説明

持続性蛍光体

長寿命の蛍光体組成物並びにこの組成物を製造及び使用する方法が提供される。より具体的には、一実施形態では、蛍光体は式Ax-y-zAl2-m-n-o-p4:Euy,REz,Bm,Znn,Coo,Scpを有する物質からなる。この式で、AはBa、Sr、Ca、又はこれらの金属の組合せであり、xは約0.75〜1.3であり、yは約0.0005〜0.1であり、zは約0.0005〜0.1であり、mは約0.0005〜0.30であり、nは約0.0005〜0.10であり、oは約0〜0.01であり、pは約0〜0.05である。REはDy、Nd、又はこれらの組合せである。別の実施形態では、上記配合物からなる持続性蛍光体を製造する方法が提供される。他の実施形態は、特に玩具、非常設備、衣料品、及びインストルメントパネルでの使用を含む、かかる蛍光体の用途を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、一般に、長い減衰期間を有する持続性蛍光体に関する。より具体的には、本発明は、アルカリ土類金属及び2種のランタノイド金属を含有する蛍光体組成物、並びにかかる蛍光体を製造及び使用するための技術を提供する。
【背景技術】
【0002】
蛍光体は、電磁スペクトルの一部分で放射エネルギーを吸収し、電磁スペクトルの別の部分でエネルギーを放出する発光物質である。1つの重要なクラスの蛍光体には、蛍光放出のために「活性化剤」といわれる小量の他の元素が添加された、非常に高い化学的純度で制御された組成の結晶性無機化合物がある。活性化剤と無機化合物の適切な組合せによって、これらの結晶性蛍光体の発光の色を調節することができる。最も有用な周知の蛍光体は、可視範囲外の電磁エネルギーによる励起に応答して電磁スペクトルの可視部分で放射線を放出する。水銀蒸気放電ランプでは、励起された水銀により放出された紫外(UV)放射線を可視光に変換するために周知の蛍光体が使われている。その他の蛍光体は、光電子増倍管に有用な電子により、又は撮像系に使用されるシンチレーターのようにX線により励起された際に可視光を放出することができる。
【0003】
蛍光体の1つの重要な性質は減衰時間、例えば、励起が取り去られた後蛍光体が光の放出を止めるまでにかかる時間である。殆どの蛍光体組成物は極めて短い減衰時間を有しており、蓄えられたエネルギーの殆どが励起が終わった後数秒以内、又は数分の一秒以内に光として放出される。これらの蛍光体は連続的な励起が存在する照明型用途で有用である可能性がある。しかし、多くの用途で、励起が終わった後長時間光を放出し続ける燐光性物質があれば価値があるであろう。このニーズを満たすためにZnS組成に基づく蛍光体が開発されたが、これらの物質は低い安定性、質の悪い色、及び比較的短い減衰時間を含めて多くの問題をもっている。
【0004】
過去において、短い減衰時間は放射性の発光性塗料の使用によって克服された。放射性の発光性塗料は燐光性の結晶性顔料と混合された放射能源からなる。1900年代初期に始まった最古の物質は、放射能源としてラジウムを使用することを基礎としていた。これらの塗料はまた、高エネルギーの放射能を可視光に変換するシンチレーター物質として硫化亜鉛(ZnS)を含有していた。これらの系は永久に作動する(powered)発光系であり、日光その他の照明源でチャージする必要がないという利点を有していた。しかし、この系は多くの制限を有しており、そのため1970年代後半までにその使用は劇的に低減又は停止されるに至った。具体的には、関与する放射性物質の大部分は極めて毒性であり、これらの製造者とユーザーの両方を多大な放射能線量に暴露させた。比較的長い減衰時間を有する低毒性の物質を提供しようとして、より新しい燐光性物質が開発された。しかし、これらの物質には数時間を超える減衰時間を有するものは殆どない。すなわち、チャージした際に、これらの物質は光源を取り去った後二、三時間の間目に見えるほどに輝き、その後もはや見ることができないまでに減衰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第99/50372号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、以前の燐光性物質と比較して低い毒性をもちつつ、数時間の減衰時間を有する新しい燐光性物質に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の一実施形態では、一般式Ax-y-zAl2-m-n-o-p4:Euy,REz,Bm,Znn,Coo,Scpを有する蛍光体からなる物質が提供される。式中、AはBa、Sr、Ca、又はこれらの金属の組合せであり、xは約0.75〜1.3であり、yは約0.0005〜0.1であり、zは約0.0005〜0.1であり、mは約0.0005〜0.30であり、nは約0.0005〜0.10であり、oは約0〜0.01であり、pは約0〜0.05であり、REはDy、Nd、又はこれらの組合せである。
【0008】
別の実施形態では、蛍光体を含有する構造体を有する製造品が提供される。この蛍光体は一般式Ax-y-zAl2-m-n-o-p4:Euy,REz,Bm,Znn,Coo,Scpを有する。式中、AはBa、Sr、Ca、又はこれらの金属の組合せであり、xは約0.75〜1.3であり、yは約0.0005〜0.1であり、zは約0.0005〜0.1であり、mは約0.0005〜0.30であり、nは約0.0005〜0.10であり、oは約0〜0.01であり、pは約0〜0.05であり、REはDy、Nd、又はこれらの組合せである。様々な態様では、蛍光体を含有する構造体は、特に限定されないが、安全装置の一部、玩具、入力装置、標識、非常口指示器、インストルメントパネルコントロール、電気スイッチ、ブレーカースイッチ、家具の一部、通信装置、腕時計の文字盤、腕時計文字盤の数字、時計文字盤、時計文字盤の数字、台所用品の一部、家庭用品、ラベル、車のダッシュボードコントロール、段板、衣料品、ランプ、武器照準器、及びディスプレイである。
【0009】
さらに別の実施形態では、蛍光体を製造する方法が提供される。この方法は、ある量のユウロピウム、ネオジム又はジスプロシウムの少なくとも1種であるRE、並びにBa、Sr、及びCaからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属の酸素含有化合物を提供し、これらの酸素含有化合物を共に混合して混合物を形成し、次いでこの混合物を還元性雰囲気下約900〜約1700℃の温度で、混合物を蛍光体に変換するのに充分な時間の間焼成することを含んでいる。この蛍光体は一般式Ax-y-zAl2-m-n-o-p4:Euy,REz,Bm,Znn,Coo,Scpを有する。式中、AはBa、Sr、Ca、又はこれらの金属の組合せであり、xは約0.75〜1.3であり、yは約0.0005〜0.1であり、zは約0.0005〜0.1であり、mは約0.0005〜0.30であり、nは約0.0005〜0.10であり、oは約0〜0.01であり、pは約0〜0.05であり、REはDy、Nd、又はこれらの組合せである。
【0010】
さらに別の実施形態では、酸化物系蛍光体のナノスケールの粒子を製造する方法が提供される。この方法は、第1のミクロエマルジョンを形成し、第2のミクロエマルジョンを形成し、第1及び第2のミクロエマルジョンを混合して溶液を形成し、この溶液から前駆体粒子を単離し、この前駆体粒子から酸化物系蛍光体のナノスケールの粒子を形成することを含んでいる。この酸化物系蛍光体は一般式Ax-y-zAl2-m-n-o-p4:Euy,REz,Bm,Znn,Coo,Scpを有する。式中、AはBa、Sr、Ca、又はこれらの金属の組合せであり、xは約0.75〜1.3であり、yは約0.0005〜0.1であり、zは約0.0005〜0.1であり、mは約0.0005〜0.30であり、nは約0.0005〜0.10であり、oは約0〜0.01であり、pは約0〜0.05であり、REはDy、Nd、又はこれらの組合せである。
【0011】
別の実施形態では、酸化物系蛍光体のナノスケールの粒子を製造する方法が提供される。この方法は、有機金属溶液を形成し、第1のミクロエマルジョンを形成することを含んでいる。この有機金属溶液を加熱し、第1のミクロエマルジョンにゆっくり添加して第2のミクロエマルジョンを形成する。前駆体粒子を第2のミクロエマルジョン溶液から単離し、これを使用して酸化物系蛍光体のナノスケールの粒子を形成する。この酸化物系蛍光体は一般式Ax-y-zAl2-m-n-o-p4:Euy,REz,Bm,Znn,Coo,Scpを有する。式中、AはBa、Sr、Ca、又はこれらの金属の組合せであり、xは約0.75〜1.3であり、yは約0.0005〜0.1であり、zは約0.0005〜0.1であり、mは約0.0005〜0.30であり、nは約0.0005〜0.10であり、oは約0〜0.01であり、pは約0〜0.05であり、REはDy、Nd、又はこれらの組合せである。
【0012】
本技術の上記及び他の特徴、局面、及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読めばより良好に理解されるであろう。図面を通じて、類似の符号は類似の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本技術の実施形態に係る青色持続性蛍光体の励起及び発光スペクトルのグラフ表示である。
【図2】図2は、本技術の実施形態に係る緑色持続性蛍光体の励起及び発光スペクトルのグラフ表示である。
【図3】図3は、典型的な短寿命蛍光体組成物の代表的な減衰曲線のグラフ表示である。
【図4】図4は、典型的な持続性蛍光体組成物の代表的な減衰曲線の同様なグラフ表示である。
【図5】図5は、本技術の実施形態に係る持続性蛍光体組成物の代表的な減衰曲線のグラフ表示である。
【図6】図6は、本技術の実施形態に係る持続性蛍光体粒子が埋め込まれた模範的な製造品の横断面図である。
【図7】図7は、本技術の実施形態に係る持続性蛍光体粒子を含有する積層フィルムを有する模範的な物品の断面図である。
【図8】図8は、本技術の実施形態に従って粒子の周りにポリマーコーティングを形成するための重合反応の開始のための吸着部位を有する蛍光体粒子の概略図である。
【図9】図9は、本技術の実施形態に従ってポリマーによりコートされた蛍光体粒子の概略図である。
【図10】図10は、本技術の実施形態に係る蛍光体の製造プロセスのブロック図である。
【図11】図11は、本技術の実施形態に係る酸化物系ナノスケール蛍光体粒子の製造プロセスのブロック図である。
【図12】図12は、本技術の実施形態に係る酸化物系ナノスケール蛍光体粒子の別の製造プロセスブロック図である。
【図13】図13は、本技術の実施形態に係る持続性蛍光体粒子が埋め込まれ得る、ノブ及びフェースプレートを有する自動車用ラジオの模範的なフェースプレートパネルの正面図である。
【図14】図14は、本技術の実施形態に係る持続性蛍光体で装飾し得る小児用玩具を図解する。
【図15】図15は、本技術の実施形態に係る持続性蛍光体粒子を含有し得るか又は埋め込まれた持続性蛍光体粒子を含有する取り付けられたステッカーを有し得るヘルメットを図解する。
【図16】図16は、本技術の実施形態に係る埋め込まれた持続性蛍光体粒子を含有し得る非常用出口標識を示す。
【図17】図17は、材料自体の中に、又は衣料品に取り付けられた文字の中に本技術の実施形態に係る持続性蛍光体粒子を含有し得る衣料品を示す。
【図18】図18は、本技術の実施形態に係る持続性蛍光体の埋め込まれた粒子を含有し得る「EXIT」標識が取り付けられたドアの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
I.概観
本技術は、ユウロピウム、ジスプロシウム、及びネオジムのようなランタノイド金属の組合せの添加により活性化された第13族金属酸化物と組み合わせてアルカリ土類酸化物を含む蛍光体を提供する。例えば、本技術の実施形態に包含される蛍光体は一般式Ax-y-zAl2-m-n-o-p4:Euy,Dyz,Bm,Znn,Coo,Scpを有し得る。ここで、AはBa、Sr、Ca、又はこれらの金属の組合せであり、xは約0.75〜1.3であり、yは約0.0005〜0.1であり、zは約0.0005〜0.1である。さらに、mは約0.0005〜0.30であり、nは約0.0005〜0.10であり、oは約0〜0.01であり、pは約0〜0.05である。この配合に従って製造された蛍光体は緑色発光及び他の型の蛍光体より長い持続性を有し得る。
【0015】
また、本技術に従って製造された蛍光体は一般式Ax-y-zAl2-m-n-o-p4:Euy,Ndz,m,Znn,Coo,Scpを有し得る。ここで、AはBa、Sr、Ca、又はこれらの金属の組合せであり、xは約0.75〜1.3であり、yは約0.0005〜0.1であり、zは約0.0005〜0.1である。さらに、mは約0.0005〜0.30であり、nは約0.0005〜0.10であり、oは約0〜0.01であり、pは約0〜0.05である。この配合に従って製造された蛍光体は青色発光及び他の型の蛍光体より長い持続性を有し得る。
【0016】
本技術の蛍光体は標準的な焼成技術を用いて約1〜5ミクロン、又はそれ以上の粒子に製造することができる。また、エマルション技術を用いてナノスケールの粒子を製造することもできる。
II.発光特性及び持続性
本技術の一実施形態に係る青色持続性蛍光体の励起及び発光スペクトル10、12を図1に示す。この図から、励起スペクトル10のピークがおよそ340nmであることが分かる。これにより、この領域に強度を有する日光又は蛍光灯のような光源からの光が蛍光体にエネルギーをチャージすることが可能となる。蛍光体がチャージされると、エネルギーは活性化部位に移され、そこで、励起された状態のイオンにより、これらのイオンが光子の放出によってそのエネルギーを失うまで長時間保持される。現在のところ考えられる実施形態では、放出光12のスペクトルは、スペクトルの青色領域である約450ナノメートルにピークを有し得る。
【0017】
別の実施形態に係る緑色持続性蛍光体の励起スペクトル14及び発光スペクトル16を図2に示す。この実施形態では、吸光14と発光16の双方が、青色持続性蛍光体の励起10及び発光12と比較してより高い波長にシフトし得る。例えば、放出光16は約525nmにピークを有し得、この発光が緑色に見える。
【0018】
本技術に従って製造された蛍光体の持続性は以前の蛍光体より長くなり得る。例えば、図3は、秒の時間尺度を用いてシミュレートした典型的な蛍光体の減衰曲線を示す。減衰曲線は減衰時間、例えば、励起を取り去った後に蛍光体が光の放出を止めるまでにかかる時間を示す。この図から、チャージされた蛍光体のエネルギーのほぼ全てが励起を止めた後ほんの数秒以内に失われ得ることが分かる。これと比較して、図4は、典型的な持続性蛍光体のシミュレートした減衰曲線である。この図から分かるように、持続性蛍光体の場合、エネルギー保持率は、典型的な蛍光体の場合よりずっと高くなり得、二、三時間後もかなりの量の発光強度18が残っている。このより長い減衰時間はある種の用途には充分であるが、エネルギーの殆どは数時間以内に失われ得る(すなわち、放出光の強度が感知できるほどでなくなる)ので他の用途には充分ではない。
【0019】
図3と4に示した発光減衰曲線と対照的に、図5は本技術の実施形態に係る蛍光体のシミュレートされた減衰曲線である。この減衰曲線から分かるように、図4を参照して論じたのと同等の時間20でずっと多くのエネルギーが保持され得、蛍光体はチャージ用の照明が取り去られた後も8時間以上もの長い間持続する。減衰に使用される目盛は通例対数であり、従って、8時間での発光強度の値は初期強度と比べて極めて弱いことに留意されたい。しかし、残留強度は依然として全体的に暗い環境においてヒトの目でまだ見られる程充分に強い可能性がある。
III.マトリックス物質内に蛍光体粒子を埋め込む
本技術の持続性蛍光体は、照明用のエネルギー源をもたない位置で長期の光を必要とする多くの用途に使用できる。本技術の実施形態では、図6に示されているように、プラスチックマトリックス22は持続性蛍光体24の埋め込まれた粒子を含有し得る。他の実施形態では、蛍光体粒子24は、図7に示されているように、構造体の本体28に取り付けられたフィルム又は表面層26のプラスチックマトリックス22中に組み込むことができる。これらの実施形態のいずれにおいても、蛍光体粒子24のマトリックス22又は表面層26への組み込みは通常のプラスチック加工処理技術を用いて実施することができる。かかる技術としては、圧縮成形、射出成形、シート成形、フィルムブローイング、その他プラスチックマトリックス中に乾燥粉末を組み込むことができるあらゆるプラスチック加工処理技術を挙げることができよう。当業者には認識されるように、これらの技術で使用されるプラスチックマトリックス物質は、薄い層を通しての光の移動を可能にするのに充分な透明性を有するいかなる熱可塑性物質でもよく、例えば、特に限定されないが、特にポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、及びポリプロピレンがある。また、特にシリコン室温加硫(RTV)コンパウンド及びエポキシのようなコンパウンドを始めとする熱硬化性物質もプラスチックマトリックスとして使用し得る。これらの実施形態では、蛍光体は、蛍光体を2つの反応体部分の1つと混合することによって熱硬化性樹脂中に組み込まれる。さらに、マトリックス22はプラスチックである必要はない。当業者には認識されるように、本技術の蛍光体はガラス又はセラミックマトリックス中に組み込むこともできる。
IV.蛍光体粒子とマトリックス物質との相溶化
蛍光体の粒子はマトリックス22との相溶性を欠き、加工処理中に凝集に至ることがある。この影響は以下の述べるナノスケールの粒子のような小さめの粒子の場合殊に深刻になり得る。双方の型の蛍光体粒子について、この影響は、マトリックス22に混入する前に粒子24をコートすることによって低くすることができる。コーティングは、小分子リガンド又はポリマー性リガンドを含み得る。模範的な小分子リガンドとしては、オクチルアミン、オレイン酸、トリオクチルホスフィンオキシド、又はトリアルコキシシランを挙げることができる。当業者には、ここに挙げたものに加えて、又はその代わりに他の小分子リガンドを使用してもよいことが理解されよう。粒子24はまたポリマー性リガンドでコートしてもよく、これは粒子24の表面から合成してもよいし、又はナノスケールの粒子24の表面に添加してもよい。
【0020】
図8は、粒子24の表面からポリマー鎖を成長させることにより粒子24をコートする一例を図解する。この図で、粒子24は重合開始化合物の添加により官能化されて粒子24上に重合開始部位30を形成する。特定の実施形態では、かかる重合開始化合物としては、特にアミン、カルボン酸、又はアルコキシシランを挙げることができる。当業者には、ここに挙げたものに加えて、又はその代わりに他の重合開始化合物が機能し得ることが認識されよう。粒子24が開始化合物で官能化されたら、モノマーを溶液に添加してポリマー性又はオリゴマー性の鎖32を開始部位30から成長させることができる。粒子24の回りに形成されるシェル34の最終的な大きさは開始部位30の数及び溶液に添加されるモノマーの量に依存する。当業者には、これらのパラメーターが所望の結果に合わせて調節し得ることが認識されよう。
【0021】
図9は、粒子24をポリマー36でコートする一例を図解する。この場合、ポリマー鎖は、粒子と相互作用するように選択することができ、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーが包含し得る。この場合、1つのモノマー鎖は粒子24と相互作用するように選択することができ、他のものはマトリックス22と相互作用するように選択することができる。特定の実施形態では、ポリマーコーティングは、特にアミン、カルボン酸、及びアルコキシシランのような基を含み得る。当業者には、その他の官能基も効果的であることが認識されよう。
V.蛍光体粒子を製造する
本技術の持続性蛍光体は、前駆体粉末の混合物を還元性雰囲気下で焼成するといったような様々な方法で製造することができる。また、持続性蛍光体は、エマルションを用いて粒径を制御することによりナノスケールの粒子として製造することができる。
【0022】
A.前駆体粉末の焼成
複数の実施形態では、持続性蛍光体は、図10のブロック38に示してあるように、上に示した配合に従ってユウロピウム、ネオジム又はジスプロシウム、アルカリ土類金属、1種以上の第13族元素の酸素含有化合物及び他の金属の酸素含有化合物の粉末を混合した後、その混合物を還元性雰囲気下で焼成することによって製造することができる。酸素含有化合物は酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、カルボン酸塩、及びこれらの化合物の組合せである。カルボン酸塩を含有する実施形態では、使用されるカルボン酸塩はギ酸塩、エタン酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、及びペンタン酸塩のように1〜5個の炭素原子を有し得る。
【0023】
他の実施形態では、蛍光体を製造するための出発材料の混合物は、ブロック40に示してあるように、フラックスも含み得る。フラックスとしては、例えば、ホウ酸、四ホウ酸リチウム、炭酸リチウム、水素ホウ酸塩、アルカリホウ水素酸塩、又はこれらの化合物の混合物のような物質を挙げることができる。
【0024】
酸素を含有する化合物は、ブロック42に示してあるように、任意の適当な機械的方法によって一緒に混合することができる。複数の実施形態では、かかる方法は、高速ブレンダー、ボールミル又はリボンブレンダーで粉末を撹拌又はブレンドすることを含み得る。当業者には認識されるように、多くの他の技術を使用して、粉末の充分にブレンドされた混合物を製造することができる。混合物が湿ってする場合には、焼成する前に先ず乾燥してもよい。乾燥は、周囲雰囲気で、又は真空下で行うことができる。
【0025】
酸化物粉末の混合物は、ブロック44に示してあるように、還元性雰囲気中約900〜約1700℃の範囲の温度で混合物を蛍光体に変換するのに充分な時間焼成し得る。複数の実施形態では、温度は約1000〜約1400℃の範囲とすることができる。焼成は、バッチ又は連続プロセスで、好ましくは撹拌又は混合しながら行って良好な気固接触を促進し得る。必要とされる焼成時間は、焼成される酸化物混合物の量、固体と雰囲気の気体との接触の度合、及び混合物を焼成又は加熱する間の混合の程度に応じて約1分〜10時間の範囲とし得る。混合物は急速に最終的な温度にして保つことができ、又は混合物を約10〜約200℃/分のようなより遅い速度で最終的な温度まで加熱することができる。複数の実施形態では、温度は約10〜約100℃/分の速度で最終的な温度に上げる。
【0026】
焼成は、例えば、水素、一酸化炭素、アンモニアのような化合物、又はこれらの化合物と窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンのような不活性気体との混合物を含み得る還元性雰囲気下で行う。一実施形態では、水素と約0.5〜約10体積パーセントの量の水素を含有する窒素の混合物を還元性気体として使用できる。別の実施形態では、還元性気体は、焼成チャンバー内で残留酸素と存在する炭素粒子との反応によってその場で生成した一酸化炭素であってもよい。さらに別の実施形態では、還元性雰囲気はアンモニア又はヒドラジンの分解によって生成する。
【0027】
焼成した蛍光体は、ブロック46に示されているように、ミルで粉砕してより小さい粒子を形成すると共に凝集体を破壊し得る。最終的な蛍光体は、次いでブロック48に示されているように、マトリックス中に混入して最終的な生成物を形成することができる。さらにより小さい粒子24が必要な場合には、ミクロエマルジョンを使用してナノスケールの粒子を生成することができる。かかるナノスケールの蛍光体粒子は大きさが約900〜100nm、又はそれ以下である。
【0028】
B.エマルションを使用して蛍光体のナノスケールの粒子を生成する
ミクロエマルジョンでは、油中水のように、溶媒の微細に分散した液滴が別の不混和性の溶媒中に懸濁している。液滴は、2つの非相溶性溶媒間の界面エネルギーを下げる界面活性剤のような両親媒性分子の添加により安定化されている。両親媒性分子の量は、液滴の大きさ、従って、得られる粒子の大きさを調節し得る。油中水構成の場合、水の液滴は通例ナノメートル範囲の大きさであり、最終的な粒子を形成するための反応器として使用し得る。
【0029】
図11は、金属酸化物蛍光体のナノスケールの粒子24の形成のためのゾル−ゲル系ミクロエマルジョンプロセスのブロック図である。この手順では、ブロック54に示されているように、界面活性剤56を有機又は水性溶媒に溶解させることにより形成された溶液と水性ゾル溶液52を混ぜ合わせることによって第1のミクロエマルジョン50を形成する。一般に、溶媒は有機でよい。
【0030】
この手順において、水性ゾル溶液52を形成するには、ブロック60に示されているように、最初に1種以上のアルミニウム化合物、金属塩、及び/又は有機金属化合物58をアルコールに溶解させる。次に、酸水溶液62をアルコール溶液に加えてアルミニウム化合物を部分的に加水分解してゾル溶液52を形成する。酸化アルミニウムマトリックスを有する実施形態では、例えば、トリエチルアルミニウム又は金属(テトラエチルアルミニウム)を始めとするアルミニウム含有化合物が使用でき、ここで金属はランタノイド、第1族金属、第2族金属、第3族金属、第6族金属、第12族金属、第13族金属、第14族金属、及び第15族金属からなる群から選択される少なくとも1種の金属陰イオンからなる。
【0031】
選択される金属塩は所望の最終的な金属酸化物に依存する。一実施形態では、金属塩はEu(NO32、Nd(NO33、Zn(NO32、及びCo(NO33である。当業者には、各独立した蛍光体で適当な前駆体塩の選択が必要であることが認識されよう。
【0032】
第1のミクロエマルジョン50の第2の成分は界面活性剤56を、一般に有機である溶液54に溶解させることによって形成される。一実施形態では、界面活性剤はICI AmericasからIgepal(登録商標)CO−520として入手可能なポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルである。当業者には認識されるように、特に芳香族エトキシレート、ICI AmericasからBrij(登録商標)として入手可能なポリエチレングリコールドデシルエーテル、ICI AmericasからTween(登録商標)として入手可能なソルビタン−脂肪酸エステル界面活性剤、ICI AmericasからSpan(登録商標)として入手可能なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、又はアルキルフェノールのような界面活性剤を始めとして多くの界面活性剤を使用することができる。一実施形態では、有機溶媒はn−ヘキサンである。当業者には、アルキル又はアリール溶媒を含めて多くの他の有機溶媒を使用できることが認識されよう。
【0033】
第2のミクロエマルジョン64は、ブロック68に示されているように、界面活性剤66を溶媒に溶解させることによって形成される。溶媒は一般に有機でよい。ブロック68で形成された溶液に水性塩基70の溶液を加えて第2のミクロエマルジョン64を形成する。模範的な実施の際、界面活性剤はICI AmericasからIgepal(登録商標)CO−520として入手可能なポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルでよい。しかし、上で述べたように、本開示の範囲内で多くの他の界面活性剤を使用することができる。模範的な実施の際には、n−ヘキサンを溶媒として使用する。当業者には認識されるように、アルキル又はアリール溶媒を含めて多くの他の有機溶媒を使用できる。本技術の特定の実施形態の場合、水性塩基は水酸化アンモニウムである。当業者には理解されるように、本開示の範囲内で他の塩基水溶液を使用できる。
【0034】
ブロック72に示されているように、第1のミクロエマルジョン50と第2のミクロエマルジョン64を混ぜ合わせて、蛍光体の金属酸化物前駆体を含有するゾル−ゲルのナノスケールの液滴を含有する別のミクロエマルジョンを形成する。このゾル−ゲル物質の粒子は、ブロック74に示されているように、混ぜ合わせたミクロエマルジョンから単離し得る。模範的な実施の際、この単離は凍結乾燥によって行うことができる。当業者には認識されるように、粒子を単離するには、特に加圧ろ過及び遠心分離を含めて他の技術も使用できる。単離後、粒子を焼成して、最終的な金属酸化物蛍光体のナノスケールの粒子を形成することができる。この焼成は通例、制御された雰囲気下900〜1400℃で1分〜10時間の間行う。当業者には認識されるように、焼成に必要とされる正確な条件は粒径及び選択した材料に依存する。
【0035】
図12は、幾つかの実施形態に係る金属酸化物系蛍光体の形成のための別の手順のブロック図である。この手順では、ブロック78に示されているように、1種以上のアルミニウム化合物と1種以上の有機金属塩76を有機溶媒に溶解させて金属溶液80を形成する。複数の実施形態では、アルミニウム化合物は、上で図11に関連して述べたように、トリエチルアルミニウム、又は金属(テトラエチルアルミニウム)である。選択される金属塩は所望の最終的な金属酸化物に依存する。一実施形態では、有機金属塩としては、ユウロピウム、ネオジム、ジスプロシウム、亜鉛、コバルト、及び/又はホウ素化合物のヘキサン酸塩又はカルボン酸塩がある。当業者には認識されるように、上で述べたような他の金属酸化物蛍光体もこのプロセスを用いて製造し得るが、異なる金属塩を選択する必要がある。
【0036】
次に、ブロック84に示されているように、界面活性剤82を有機溶媒に溶解させる。この溶液に水86を加えてミクロエマルジョン88を形成する。一実施形態では、界面活性剤はICI AmericasからIgepal(登録商標)CO−520として入手可能なポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルである。当業者には認識されるように、特に、芳香族エトキシレート、ICI AmericasからBrij(登録商標)として入手可能なポリエチレングリコールドデシルエーテル、ICI AmericasからTween(登録商標)として入手可能なソルビタン−脂肪酸エステル界面活性剤、ICI AmericasからSpan(登録商標)として入手可能なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、又はアルキルフェノールのような界面活性剤を含めて多くの界面活性剤が使用できる。一実施形態では、有機溶媒はn−ヘキサンである。当業者には、アルキル又はアリール溶媒を含めて多くの他の有機溶媒が使用できることが認識されよう。
【0037】
金属溶液80は加熱し、参照番号90で示されているように、ミクロエマルジョン88にゆっくり加えて、金属酸化物前駆体を含有するゾル−ゲル粒子を形成することができる。ブロック92に示されているように、これらの粒子は、例えば凍結乾燥などによりミクロエマルジョンから単離することができる。当業者には認識されるように、粒子を単離するには、例えば、加圧ろ過及び遠心分離を始めとする他の技術も使用できる。単離後、粒子を焼成して、金属酸化物蛍光体の最終的なナノスケールの粒子を形成することができる。この焼成は通例、制御された雰囲気下900〜1400℃で1分〜10時間の間行われる。当業者には、焼成に必要とされる正確な条件が粒径及び選択された材料に依存することが認識されよう。
VI.蛍光体の具体的な用途
本技術の蛍光体粒子24は微光用途に使用される数多くの製品に組み込むことができる。例えば、図13は、カーラジオのフロントフェースプレート94を示す。複数の実施形態では、蛍光体はフェースプレート94、又はフェースプレート94に取り付けた制御器96に組み込むことができよう。
【0038】
加えて、本技術の蛍光体は低い毒性のため玩具その他の商品又は消費物資のような用途が可能になる。図14は、様々な装飾100が外部に取り付けられた小児の玩具98を示す。複数の実施形態では、持続性蛍光体は玩具98の構造体中、又は外部に設けられた装飾100中に組み込むことができる。
【0039】
さらに、本技術の蛍光体は長い持続性のため非常設備用途に有用となる。図15はヘルメット102を示す。複数の実施形態では、蛍光体はヘルメット102の本体中、又はヘルメット102の側面に設けられたステッカー若しくはディーキャル104中に組み込むことができる。図16は非常口標識106を示す。複数の実施形態では、持続性蛍光体は標識106中、又は標識106上の文字108中に組み込むことができる。図17は文字112の入った衣料品110を図示する。複数の実施形態では、持続性蛍光体は衣料品40の繊維中、又は文字112中に組み込むことができる。図18において、ドア114は、この例では「EXIT」という単語のスペルの文字116が付いている。複数の実施形態では、文字116は、組み込まれた蛍光体からの輝きが目に見える場合、常に見えるように着色することも、微光条件でのみ見えるように透明にすることもできよう。
【0040】
上記の応用例は本技術の実施形態のほんの数例であり、本発明をこれらの用途に限定するものではない。当業者には、長寿命の持続性蛍光体が上に述べたものだけでなく非常に多くの用途に有用である可能性があることが認識されよう。
【0041】
本明細書では本発明の幾つかの特徴のみを例示し説明して来たが、当業者には多くの修正及び変更が明らかであろう。従って、特許請求の範囲は本発明の真の思想の範囲内に入るものとしてかかる修正と変更の全てを包含するものと了解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Ax-y-zAl2-m-n-o-p4:Euy,REz,Bm,Znn,Coo,Scpからなる蛍光体を含んでなる物質。
式中、AはBa、Sr、Ca、又はこれらの金属の組合せであり、
xは約0.75〜1.3であり、
yは約0.0005〜0.1であり、
zは約0.0005〜0.1であり、
mは約0.0005〜0.30であり、
nは約0.0005〜0.10であり、
oは約0〜0.01であり、
pは約0〜0.05であり、
REはDy、Nd、又はこれらの組合せである。
【請求項2】
蛍光体が式:Ca0.932Eu0.005Nd0.03Al24Co0.005を有する、請求項1記載の物質。
【請求項3】
蛍光体が式Sr0.9595Eu0.01Dy0.03Al1.89Sc0.010.14Co0.005を有する、請求項1記載の物質。
【請求項4】
ユウロピウム、ネオジム又はジスプロシウムの少なくとも1種であるRE、並びにBa、Sr、Ca、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属の一定量の酸素含有化合物を準備し、
酸素含有化合物を一緒に混合して混合物を形成し、その後
約900〜約1700℃の温度で還元性雰囲気下、混合物を一般式Ax-y-zAl2-m-n-o-p4:Euy,REz,Bm,Znn,Coo,Scpからなる蛍光体に変換するのに充分な時間の間、混合物を焼成する
ことを含んでなる、蛍光体の製造方法。
式中、AはBa、Sr、Ca、又はこれらの金属の組合せであり、
xは約0.75〜1.3であり、
yは約0.0005〜0.1であり、
zは約0.0005〜0.1であり、
mは約0.0005〜0.30であり、
nは約0.0005〜0.10であり、
oは約0〜0.01であり、
pは約0〜0.05であり、
REはDy、Nd、又はこれらの組合せである。
【請求項5】
酸素含有化合物が酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、カルボン酸塩、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
構造体、及び
一般式Ax-y-zAl2-m-n-o-p4:Euy,REz,Bm,Znn,Coo,Scpからなる蛍光体
を含んでなる蛍光体を含有する製造品。
式中、AはBa、Sr、Ca、又はこれらの金属の組合せであり、
xは約0.75〜1.3であり、
yは約0.0005〜0.1であり、
zは約0.0005〜0.1であり、
mは約0.0005〜0.30であり、
nは約0.0005〜0.10であり、
oは約0〜0.01であり、
pは約0〜0.05であり、
REはDy、Nd、又はこれらの組合せである。
【請求項7】
構造体が、安全装置、玩具、入力装置、標識、非常口指示器、インストルメントパネルコントロール、電気スイッチ、ブレーカースイッチ、家具、通信装置、腕時計文字盤、腕時計文字盤上の数字、時計文字盤、時計文字盤上の数字、台所用品、家庭用品、ラベル、車のダッシュボードコントロール、段板、衣料品、ランプ、武器照準器、及びディスプレイからなる群から選択される、請求項6記載の製造品。
【請求項8】
蛍光体が構造体の物質中に組み込まれている、請求項6記載の製造品。
【請求項9】
蛍光体が構造体に取り付けたフィルム中に組み込まれている、請求項6記載の製造品。
【請求項10】
蛍光体が構造体に適用された塗料組成物中に組み込まれている、請求項6記載の製造品。
【請求項11】
構造体が、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリプロピレン、及びこれらの組合せからなる群から選択される熱可塑性マトリックスからなる、請求項6記載の製造品。
【請求項12】
構造体が、シリコーンRTV樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、フェノール−ホルムアルデヒド 樹脂、メラミン、及びこれらの組合せからなる群から選択される熱硬化性プラスチックマトリックスからなる、請求項6記載の製造品。
【請求項13】
構造体がガラス、セラミック、又はこれらの組合せからなる、請求項6記載の製造品。
【請求項14】
酸化物系蛍光体のナノスケールの粒子を製造する方法であって、
第1のミクロエマルジョンを形成し、
第2のミクロエマルジョンを形成し、
第1及び第2のミクロエマルジョンを混合して溶液を形成し、
前駆体粒子を溶液から単離し、
前駆体粒子から酸化物系蛍光体のナノスケールの粒子を形成する
ことを含む方法。
ここで、酸化物系蛍光体は一般式Ax-y-zAl2-m-n-o-p4:Euy,REz,Bm,Znn,Coo,Scpからなり、式中
AはBa、Sr、Ca、又はこれらの金属の組合せであり、
xは約0.75〜1.3であり、
yは約0.0005〜0.1であり、
zは約0.0005〜0.1であり、
mは約0.0005〜0.30であり、
nは約0.0005〜0.10であり、
oは約0〜0.01であり、
pは約0〜0.05であり、
REはDy、Nd、又はこれらの組合せである。
【請求項15】
前駆体粒子から酸化物系蛍光体のナノスケールの粒子を形成することが、前駆体粒子を焼成することからなる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
酸化物系蛍光体が、式Ca0.932Eu0.005Nd0.03Al24Co0.005、Sr0.9595Eu0.01Dy0.03Al1.89Sc0.010.14Co0.005、又はこれらの組合せを有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】
酸化物系蛍光体のナノスケールの粒子が約50〜900nmの大きさである、請求項14記載の方法。
【請求項18】
酸化物系蛍光体のナノスケールの粒子を製造する方法であって、
有機金属溶液を形成し、
第1のミクロエマルジョンを形成し、
有機金属溶液を加熱し、有機金属溶液を第1のミクロエマルジョンにゆっくり添加して第2のミクロエマルジョンを形成し、
前駆体粒子を第2のミクロエマルジョン溶液から単離し、
前駆体粒子から酸化物系蛍光体のナノスケールの粒子を形成する
ことを含む方法。
ここで、酸化物系蛍光体は一般式Ax-y-zAl2-m-n-o-p4:Euy,REz,Bm,Znn,Coo,Scpからなり、式中、
AはBa、Sr、Ca、又はこれらの金属の組合せであり、
xは約0.75〜1.3であり、
yは約0.0005〜0.1であり、
zは約0.0005〜0.1であり、
mは約0.0005〜0.30であり、
nは約0.0005〜0.10であり、
oは約0〜0.01であり、
pは約0〜0.05であり、
REはDy、Nd、又はこれらの組合せである。
【請求項19】
前駆体粒子から酸化物系蛍光体のナノスケールの粒子を形成することが、前駆体粒子を焼成することからなる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
酸化物系蛍光体が、一般式Ca0.932Eu0.005Nd0.03Al24Co0.005、Sr0.9595Eu0.01Dy0.03Al1.89Sc0.010.14Co0.005、又はこれらの組合せを有する少なくとも1種の蛍光体からなる、請求項18記載の方法。
【請求項21】
酸化物系蛍光体のナノスケールの粒子が約100〜900nmの大きさである、請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2011−506684(P2011−506684A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538066(P2010−538066)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/085677
【国際公開番号】WO2009/076202
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】