説明

指示入力装置、複写機、電子機器および重ね板作成方法

【課題】 タッチパネル式の指示入力装置において、使用可能なメニューを制限する。
【解決手段】 1以上のメニュー項目を配置したメニュー画像を表示し、メニュー項目のいずれかが接触されたことを検知することによって当該メニュー項目の指定を表す情報を入力する機能を備えたタッチパネルと、各々の所定の位置に開口部が設けられ、タッチパネル上に載置される1以上の重ね板と、重ね板の各々に対応するとともに、各重ね板の開口部に対応する位置にメニュー項目が配置されたメニュー画像を表す画像データを記憶するメニュー記憶手段と、タッチパネル上に載置された重ね板の種別を判別する重ね板判別手段と、重ね板判別手段にて判別された種別に対応する画像データをメニュー記憶手段から読み出し、画像データに基づいてメニュー画像をタッチパネルに表示するメニュー表示手段とを有する指示入力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル式の指示入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、鉄道乗車券の自動販売機、銀行の現金自動預払機などにおいては、タッチパネル式の指示入力装置を備えたものが普及している。このタッチパネルは、複数のメニュー項目を含むメニュー画像を表示する液晶表示パネル等を備え、いずれかのメニュー項目がユーザの指先等で接触されたことを検知することによってそのメニュー項目が指定されたことを表す情報を入力する機能を備えている。また、メニューに階層構造を持たせ、選択された項目の下層メニューを表示させることによって、入力項目を細分化し、多機能化を実現している。
【0003】
しかしながら、上記のようなタッチパネルの操作においては、ユーザがメニュー画像を視認してその内容を認識することが必要となる。従って、タッチパネルに表示されたメニュー画像を視認することができない視覚障害者は、このタッチパネルを操作することができない。このような問題を解決するために、例えば特許文献1に開示された発明が提案されている。この発明では、メニュー画像に含まれる項目と重なる位置に、その項目の意味を表す点字文字を形成した透明な弾性体カバーを有している。このようにすれば、視覚または触覚によってメニュー項目の内容を認識することができるため、視覚障害者と非障害者の両者が操作可能なタッチパネルを提供することができるようになる。
【特許文献1】特開2001−290416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タッチパネル式の指示入力装置において、使用可能なメニュー項目を制限するための手段に対するニーズが存在する。以下、複写機の場合を例として説明する。オフィスに設置された複写機は様々なユーザによって使用される。例えば、そのオフィスの従業員、外部からの来訪者、複写機の保守管理を担当するサービスマンなど様々な種類のユーザが存在する。そして、ユーザの種類に応じて、使用可能な機能を制限することが必要となる場合がある。例えば、サービスマンは複写機のすべての機能の点検をすることが要求されるから、保守管理においてはすべての機能を使用可能とすることが必要となる。一方、一般のユーザにとっては、例えば、複写機の点検用の機能は必要がない。また、外部からの来訪者に対して使用可能な機能を制限したいという場合がある。例えば、高コストのカラーコピーや高解像度のコピーを使用禁止とすることが挙げられる。特許文献1で開示されている技術では、このような要求に応えることができない。
【0005】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、タッチパネル式の指示入力装置において、使用可能なメニューを制限することのできる技術の提供を目的とする。また、本発明は、タッチパネル式の指示入力装置を視覚障害者が利用可能とすることのできる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明は、1以上のメニュー項目を配置したメニュー画像を表示し、該メニュー項目のいずれかが接触されたことを検知することによって当該メニュー項目の指定を表す情報を入力する機能を備えたタッチパネルと、各々の所定の位置に開口部が設けられ、前記タッチパネル上に載置される1以上の重ね板と、前記重ね板の各々に対応するとともに、各重ね板の開口部に対応する位置にメニュー項目が配置されたメニュー画像を表す画像データを記憶するメニュー記憶手段と、前記タッチパネル上に載置された重ね板の種別を判別する重ね板判別手段と、前記重ね板判別手段にて判別された種別に対応する画像データを前記メニュー記憶手段から読み出し、該画像データに基づいてメニュー画像を前記タッチパネルに表示するメニュー表示手段とを有することを特徴とする指示入力装置を提供する。
本発明によれば、タッチパネル上に重ね板が載置されると、載置された重ね板の種別が判別される。そして、判別された種別に対応する画像データが読み出され、該画像データに基づいてメニュー画像がタッチパネルに表示される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、タッチパネル式の指示入力装置において、使用可能なメニューを制限することができる。また、本発明によれば、タッチパネル式の指示入力装置を視覚障害者が利用可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。ここでは複写機の例を用いて説明する。
<構成>
図1は、本発明の実施形態における複写機1のハードウェア構成を示す図である。複写機1は、原稿を読み取って複製物を作成する複写機能を有している。
複写機1は、CPU(Central Processing Unit)44、ROM(Read Only Memory)45、RAM(Random Access Memory)46等からなる制御部4を有し、ROM45に格納されているOS(Operating System)プログラムをCPU44が実行することによって複写機1各部の制御を行う。
【0009】
記憶部5は、ハードディスク装置等の不揮発性メモリである。記憶部5には、原稿の読取、画像出力等の手順を記述したプログラムが記憶されている。
指示入力部41は、テンキー、スタートボタン等からなるキーボード40、液晶パネルからなるタッチパネル39を備えており、複写機1に対する指示をユーザが入力することができる。
タッチパネル39は、1以上のメニュー項目を配置したメニュー画像を表示し、メニュー項目のいずれかがユーザの指先等によって接触されたことを検知するセンサを有している。そして、メニュー項目への接触がセンサによって検知されることによって、メニュー項目の指定を表す情報がRAM46に書き込まれるようになっている。
【0010】
ユーザが入力する指示とは、例えば、原稿の読み取り解像度の指定、原稿の種類の指定、原稿の読み取りを開始することの指示などである。また、タッチパネル39には、複写機1の状態に関する情報を表示することができ、原稿の読み取り及び画像出力の処理中であることを示す情報、複写処理が完了したことを示す情報などが表示される。指定されたメニュー項目は表示が白黒反転し、指定されたメニュー項目をユーザが目視確認できるようになっている。また、複写の部数の数値がテンキーによって入力されると、その数値が表示されるようになっている。
【0011】
図2は、タッチパネル39に表示されたメニュー画像の一例である。同図は、複写機1のスキャン設定メニューの例であり、解像度と原稿種類を指定できるようになっている。なお、原稿種類のメニューは、原稿種類に応じた画像読取及び画像形成を複写機1に行わせるためのメニューである。例えば、「文字文書」の場合には、エッジを強調した画像形成が行われ、「写真」の場合には、階調性を重視した画像形成が行われる。
【0012】
図3は、複写機1のタッチパネル39上に載置して用いられる重ね板55の例を示す図である。重ね板55は、例えば、アクリル、プラスチック、金属(例えばアルミニウム)等の材質からなる薄板である。重ね板55には、重ね板55をタッチパネル39上に載置した際に各メニュー項目に対応する位置に開口部56が形成されている。開口部56の輪郭は対応するメニュー項目の輪郭と一致していることが好ましい。重ね板55の厚さは、人間が指先で触れたときに指先の触覚によって開口部56の輪郭を明確に判別できる程度の厚さ、例えば1〜2ミリメートル程度が好ましい。
【0013】
指示入力部41は複写機1の筐体頂面に設けられており、タッチパネル39の表面が筐体頂面よりも例えば1〜2ミリメートル程度窪んだ位置に位置するように設けられている。すなわち、タッチパネル39は筐体頂面において凹部を形成している。重ね板55の輪郭はこの凹部の輪郭より若干小さめになっており、この凹部に重ね板55を容易に嵌め合わせたり取り外したりできるようになっている。
各開口部56の近傍表面(同図の例では開口部56の上縁部)には、該当するメニュー項目の内容を表す点字文字が形成されている。また、重ね板55の表面(同図の例では重ね板55上縁部)には、その重ね板55の種別(この場合、「スキャン設定」)を表す点字文字が形成されている。
【0014】
本実施形態では、重ね板55の右上隅に電気的な接点57が設けられている。また、タッチパネル39における重ね板55の接点57に重なる位置にも電気的な接点391が設けられている。この例では、タッチパネル39側の接点391は4個設けられており、重ね板55側には最大4個の接点57を設けることができるようになっている。すなわち、重ね板55側の接点57の配置は16種類が可能であり、接点が1つもない場合を除いて15種類の重ね板55を判別することができる。
【0015】
給紙トレイ9には画像を形成するためのシート10が収容される。ユーザが指示入力部41により画像形成の指示を入力すると、給紙ローラ33が回転駆動され、給紙トレイ9からシート10を1枚ずつ送り出す。給紙トレイ9から送り出されたシート10はローラ対34、35、37によって搬送路36に沿って搬送される。
【0016】
画像入力部12は、原稿を光学的に読み取って画像データを生成するスキャナ装置である。プラテンガラス2上に載置された原稿に対して光源13により光が照射され、この反射光が光学系3によって処理される。反射光は、ミラー14、15、16を介して受光部17で受光される。そして、画像処理部18が反射光を電気信号に変換し、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色からなる画像データを生成する。
【0017】
画像形成部6は、画像形成エンジン7Y、7M、7C、7K、転写ベルト8等からなる。
画像形成エンジン7Y、7M、7C、7Kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する。各画像形成エンジンの構成は共通であるから、ここでは画像形成エンジン7Yについてのみ説明する。
画像形成エンジン7Yは、静電潜像が形成される像担持体としての感光体ドラム20Yの周囲に、帯電装置21Y、露光装置19Y、現像装置22Y、クリーナ24Y等を設けて構成されている。
【0018】
帯電装置21Yは、矢印Aの方向に回転駆動される感光体ドラム20Yの表面を所定の電位に帯電させる。
露光装置19Yは、所定の電位に帯電した感光体ドラム20Yに対して、画像データに基づいた露光用ビームLBを照射するROS(Raster Output Scanner)である。露光装置19Yは、図示しない半導体レーザーから画像データに基づいてレーザー光を出射し、このレーザー光を偏向走査することにより感光体ドラム20Yの表面に静電潜像を形成する。感光体ドラム20Yの表面では、レーザー光が照射された部分の電位が、感光体ドラム20Yの有する光導電性により所定のレベルまで減少する。このように、感光体ドラム20Yの表面電位が変化することにより、感光体ドラム20Yの表面には画像データにもとづいた静電潜像が形成される。
【0019】
現像装置22Yは、感光体ドラム20Y表面に形成された静電潜像を顕像化する装置である。トナータンク23Yからはトナー(帯電色材)が供給され、感光体ドラム20Yの帯電極性と同極性に帯電したトナーによって静電潜像を反転現像することによってトナー像を得る。
転写ベルト8は、ローラ26、27、28、29に張架されており、矢印Bの方向に循環駆動される。感光体ドラム20Yはその下方に位置する転写ベルト8と圧接しており、上記のようにして形成されたトナー像が転写ベルト8に転写される。
クリーナ24Yは、感光体ドラム20Yに残存したトナーを除去する装置である。
【0020】
以上が画像形成エンジン7Yの構成である。画像形成エンジン7M、7C、7Kにおいても各色に対応したトナー像が形成され、転写ベルト8に重ねて転写される。なお、これ以降、画像形成エンジン7Y、7M、7C、7Kを区別する必要のない場合には、単に画像形成エンジン7と称する。他の構成要素についても同様に、Y、M、C、Kの別を区別する必要のない場合には、Y、M、C、Kの表記を省略するものとする。
【0021】
給紙トレイ9から搬送路36上に送り出されたシート10は、転写ベルト8と転写ローラ30とが形成するニップ部に進入し、転写ベルト8に圧接される。この圧接力および静電吸引力によってトナー像がシート10の表面に転写される。
トナー像が転写されたシート10は、ローラ対31によって定着装置11に導かれる。定着装置11においては、シート10に対して加圧および加熱が施され、トナー像がシート10に定着される。このようにして画像形成が行われたシート10は、排紙トレイ32に排出される。
以上が、複写機1のハードウェア構成である。
【0022】
次に、複写機1の機能構成について説明する。図4は、複写機1の機能構成を表す図である。CPU44が記憶部5に記憶されているプログラムを実行することによってこれらの機能が実現される。
メニュー記憶手段101は、メニュー画像データを記憶する。このメニュー画像は、重ね板55の各々に対応するものが予め作成され、重ね板55の種別と対応付けられて記憶部5に記憶されている。また、このメニュー画像は、各重ね板55の開口部56に対応する位置にメニュー項目が配置された画像を表すものである。
【0023】
重ね板判別手段102は、タッチパネル39上に載置された重ね板55の種別を判別する。具体的には、記憶部5には接点56の配置と重ね板55の種別とが対応付けられて記憶されている。タッチパネル39側の接点391と重ね板55側の接点56との間で通電することによって接点56の配置が認識され、これに対応する重ね板55の種別が記憶部5から読み出される。
メニュー表示手段103は、重ね板判別手段102にて判別された種別に対応する画像データを記憶部5から読み出し、この画像データに基づいてメニュー画像をタッチパネル39に表示する。
【0024】
処理内容記憶手段104は、重ね板55の各々に対応する処理内容を表す処理内容データを重ね板55の種別と対応付けて記憶部5に記憶させる。処理実行手段105は、重ね板55の種別に対応する処理内容データを記憶部5から読み出し、この処理内容データに基づいて処理を実行する。ここで、処理内容およびその実行の態様としては以下に示す例が挙げられる。
(1)重ね板の種別に対応するメニュー画像におけるメニュー項目の指定を促す内容の音声を発する。例えば、図2の例においては、「スキャン設定を行います。解像度と原稿種類を指定してください。」というメッセージを音声出力する。
(2)タッチパネル39にて指定されたメニュー項目の内容を表す音声を発する。例えば、図2の例において解像度200dpiが指定された場合、「解像度200dpiが指定されました。」というメッセージを音声出力する。
(3)複写機が画像読取及び画像形成を行うのに要する設定が完了した後、指定されたメニュー項目を読み上げ、スタートキーの押下を促す音声を発する。例えば、「解像度、200dpi、原稿種類、文字文書が指定されました。この設定でよろしければスタートキーを押してください。」というメッセージを音声出力する。
上記の音声出力はあくまでも一例であり、重ね板55の種別に対応して実行される処理内容はいかなるものでもよい。
【0025】
<動作>
次に、複写機1の動作について説明する。図5は複写機1の動作のフローを示す図である。なお、複写機1はCPU44が記憶部5に記憶されているプログラムを読み出して実行することによって動作するから、以下の説明においては動作の主体をCPU44とする。ここで、複写機1には既に電源が投入され、CPU44がプログラムを実行中であるものとする。また、プラテンガラス2上にはユーザによって原稿が載置され、タッチパネル39上にはユーザによって所望の重ね板55が載置されているものとする。なお、ユーザが視覚障害者の場合には、重ね板55の表面に形成されている点字文字を読み取ることによってユーザが所望の重ね板55を選択し、タッチパネル39上に載置する。
【0026】
まず、ステップA01では、CPU44は、重ね板判別手段102を用いて、タッチパネル39上に載置された重ね板55の種別を判別する。図2の例においては、重ね板55の種別は「スキャン設定」である。
次に、ステップA02では、CPU44は、ステップA01で判別された重ね板55の種別に対応する画像データを記憶部5から読み出し、この画像データに基づいてメニュー画像をタッチパネル39に表示させる。
次に、ステップA03では、CPU44は、処理実行手段を用いて、音声によるガイダンスを行う。例えば、図2の例においては、「スキャン設定を行います。解像度と原稿種類を指定してください。」というメッセージを音声出力する。
次に、ステップA04では、CPU44は、ユーザがタッチパネル39を用いて入力した指示を受け付け、指定されたメニュー項目を表す音声(確認音声)を発する。例えば「解像度200dpiが指定されました。」というメッセージを音声出力する。
【0027】
次に、ステップA05では、CPU44は、他の設定が必要か否かを判定し、他の設定が必要な場合(ステップA05:YES)には、ステップA03に戻り、その旨音声にてガイダンスする。例えば、「原稿種類を指定してください。」というメッセージを音声出力する。一方、他の設定が必要でない場合(ステップA05:NO)には、ステップA06に進み、指定されたメニュー項目を読み上げ、スタートキーの押下を促す音声を発する。例えば、「解像度、200dpi、原稿種類、文字文書が指定されました。この設定でよろしければスタートキーを押してください。」というメッセージを音声出力する。
そして、ステップA07では、CPU44は、ステートキーが押下されたか否かを判定し、押下された場合(ステップA07:YES)には、ステップA08に進み、指定されたメニュー項目に基づいて画像読取及び画像形成の処理を行う。
以上が本発明に係る複写機1の動作である。
【0028】
以上説明したとおり、本発明によれば、タッチパネル式の指示入力装置において、使用可能なメニューを制限することができる。具体的には、ユーザの種類に応じてメニュー画像および重ね板を作成することによって、ユーザの種類に応じて使用可能なメニューを制限することができる。例えば、複写機の保守管理を担当するサービスマンはすべてのメニュー項目を使用可能とするメニュー画像および重ね板を用いる。一方、一般のユーザは複写機の保守管理用のメニュー項目を除いたメニュー画像および重ね板を用いる。外部からの来訪者はカラーコピーや高解像度のコピーのメニュー項目を除いたメニュー画像および重ね板を用いる。
また、本発明によれば、重ね板の種別を表す点字文字、開口部に対応するメニュー項目の内容を表す点字文字が重ね板に形成されているから、タッチパネル式の指示入力装置を視覚障害者が利用可能とすることができる。
【0029】
<変形例>
以上説明した形態に限らず、本発明は種々の形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形した形態でも実施可能である。
上述の実施形態においては、重ね板判別手段102として電気的な接点を用いる例を示したが、例えば、重ね板55にRFID(Radio Frequency Identification)タグを取り付け、指示入力部41にタグリーダを設けるようにしてもよい。そして、RFIDタグに重ね板55の種別を表すデータを予め書き込んでおく。このような構成とすることによって、重ね板55がタッチパネル39上に載置された際に、タグリーダによってデータを読み取ることによって重ね板55の種別を判別することができる。
【0030】
また、重ね板判別手段102として、バーコードを用いるようにしてもよい。この場合、重ね板55の裏面に重ね板55の種別を表すバーコードを形成しておき、タッチパネル39にはバーコードを光学的に読み取る読み取り機能を備えておく。あるいは、上記のバーコードを複写機1の画像入力部12を用いて読み取るようにしてもよい。また、バーコードの代わりに、数列、記号列、文字列など、いかなる識別手段を用いてもよい。
【0031】
上述の実施形態においては、複写機の例を用いて説明したが、ファクシミリ装置、鉄道乗車券等の自動販売機、銀行等の現金自動預払機、省庁等における証明書の自動発行装置など、タッチパネルを用いて指示入力を行う電子機器であれば、いかなるものに対しても本発明は適用できる。
【0032】
複数の重ね板55を蝶番を用いて連結してもよい。また、複数の重ね板55を円盤上に配置し、いずれかの重ね板55がタッチパネル39に重なるようにこの円盤をタッチパネル39近傍に回転可能に設けてもよい。このようにすれば、重ね板55の選択が容易になる。また、複数の重ね板55が散逸することを防ぐことができる。
【0033】
本発明においては、メニュー画像を表す画像データを用いて、重ね板55を作成することも可能である。具体的には、以下に示す手順によるデータ処理をコンピュータ装置等を用いて行うことによって重ね板55作成用の数値データを作成する。
まず、コンピュータ装置は、1以上のメニュー項目について、前記メニュー項目の位置および形状を示すデータとともに前記メニュー項目を配置したメニュー画像を表す画像データの入力を受け付ける。次に、コンピュータ装置は、入力された画像データからメニュー画像の輪郭を表すデータと、メニュー項目の位置および形状を表すデータとを取得する。そして、コンピュータ装置は、取得されたデータに基づいて、メニュー画像の輪郭と同一の実寸の輪郭を示すデータを生成するとともに、メニュー項目の位置と同一の位置にメニュー項目の形状と同一の形状を有する開口部の実寸を示すデータを生成し、これらの生成したデータを出力する。
このようにして生成されたデータを公知のNC(Numerical Control)加工装置に入力することによって重ね板55を作成する。重ね板55の材料として金属等、切削に適する材料を用いる場合には切削により加工する。重ね板55の材料としてプラスチック等を用いる場合には、射出成形により作成する。
【0034】
また、重ね板55の作成においては、開口部56の形成とともに、重ね板55の表面に重ね板55の種別を表す点字文字を形成し、重ね板55の開口部56の近傍表面に開口部56に対応するメニュー項目の内容を表す点字文字を形成することが好ましい。ここで、メニュー画像の画像データは、メニュー画像の種別を表すデータを含んでいる。上記のコンピュータ装置は、この画像データから、メニュー画像の種別を表すデータを取得し、このデータに基づいて、開口部56の近傍表面に当該開口部56に対応するメニュー項目の内容を表す点字文字を形成するためのデータを作成し、メニュー画像の輪郭の実寸を示すデータおよび開口部56の実寸を示すデータとともに出力する。
このようにして生成されたデータをNC加工装置に入力することによって、重ね板55の表面に重ね板55の種別を表す点字文字を形成し、重ね板55の開口部56の近傍表面に開口部56に対応するメニュー項目の内容を表す点字文字を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る複写機1のハードウェア構成を示す図である。
【図2】タッチパネル39に表示されたメニュー画像の一例である。
【図3】重ね板55の例を示す図である。
【図4】複写機1の機能構成を表す図である。
【図5】複写機1の動作のフローを示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1…複写機、2…プラテンガラス、44…CPU、45…ROM、46…RAM、5…記憶部、6…画像形成部、7Y、7M、7C、7K…画像形成エンジン、8…転写ベルト、9…給紙トレイ、10…シート、12…画像入力部、13…光源、14、15、16…ミラー、17…受光部、18…画像処理部、41…指示入力部、40…キーボード、39…タッチパネル、55…重ね板、56…開口部、57…接点、391…接点、101…メニュー記憶手段、102…重ね板判別手段、103…メニュー表示手段、104…処理内容記憶手段、105…処理実行手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のメニュー項目を配置したメニュー画像を表示し、該メニュー項目のいずれかが接触されたことを検知することによって当該メニュー項目の指定を表す情報を入力する機能を備えたタッチパネルと、
各々の所定の位置に開口部が設けられ、前記タッチパネル上に載置される1以上の重ね板と、
前記重ね板の各々に対応するとともに、各重ね板の開口部に対応する位置にメニュー項目が配置されたメニュー画像を表す画像データを記憶するメニュー記憶手段と、
前記タッチパネル上に載置された重ね板の種別を判別する重ね板判別手段と、
前記重ね板判別手段にて判別された種別に対応する画像データを前記メニュー記憶手段から読み出し、該画像データに基づいてメニュー画像を前記タッチパネルに表示するメニュー表示手段と
を有することを特徴とする指示入力装置。
【請求項2】
前記重ね板の表面には、該重ね板の種別を表す点字文字が形成され、
前記重ね板の開口部の近傍表面には、該開口部に対応するメニュー項目の内容を表す点字文字が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の指示入力装置。
【請求項3】
前記重ね板の各々に対応する処理内容を表す処理内容データを該重ね板の種別と対応付けて記憶する処理内容記憶手段と、
前記判別手段にて判別された種別に対応する処理内容データを前記処理内容記憶手段から読み出し、該処理内容データに基づいて処理を実行する処理実行手段と
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の指示入力装置。
【請求項4】
前記処理内容は、前記重ね板判別手段にて判別された種別に対応するメニュー画像におけるメニュー項目の指定を促す内容の音声を発する処理であることを特徴とする請求項3に記載の指示入力装置。
【請求項5】
前記処理内容は、前記タッチパネルにて指定されたメニュー項目の内容を表す音声を発する処理であることを特徴とする請求項3に記載の指示入力装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の指示入力装置と、
原稿を読み取って、該原稿の画像を表す画像データを生成する画像読取手段と、
前記指示入力装置により指定されたメニュー項目に従って前記画像データに対して所定の処理を施す画像処理手段と、
前記画像処理手段で処理を施された画像データに基づいて画像を形成する画像形成手段と
を有することを特徴とする複写機。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載の指示入力装置と、
前記指示入力装置により指定されたメニュー項目に従って所定の処理を行う処理実行手段と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項8】
1以上のメニュー項目について、前記メニュー項目の位置および形状を示すデータとともに前記メニュー項目を配置したメニュー画像を表す画像データの入力を受け付ける第1のステップと、
前記第1のステップにおいて入力された前記画像データから該メニュー画像の輪郭を表すデータと、該メニュー項目の位置および形状を表すデータとを取得する第2のステップと、
前記第2のステップで取得されたデータに基づいて、前記輪郭と同一の実寸の輪郭を示すデータを生成するとともに、前記位置と同一の位置に前記形状と同一の形状を有する開口部の実寸を示すデータを生成し、これらの生成したデータを出力する第3のステップと
を有する重ね板作成方法。
【請求項9】
前記画像データは、前記メニュー画像の種別を表すデータを含み、
前記第2のステップは前記画像データから、前記メニュー画像の種別を表すデータをも取得し、
前記第3のステップは、前記第2のステップで取得された種別を表すデータに基づいて、前記開口部の近傍表面に該開口部に対応するメニュー項目の内容を表す点字文字を形成するためのデータを作成し、前記輪郭を示すデータおよび前記開口部の実寸を示すデータとともに出力する
ことを特徴とする請求項8に記載の重ね板作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−87033(P2007−87033A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274108(P2005−274108)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】