説明

挟み込み検出装置

【課題】異物の挟み込みを確実に検知することができる挟み込み検出装置を得る。
【解決手段】保持部材34の内周面34Aには、感圧センサ18に向けて凸状の内周突起部110が設けられている。保持部材34が異物により弾性変形した場合に、局部的に感圧センサ18を押圧して変形させることができるため、広い範囲で感圧センサ18を押圧する場合と比較して、挟み込みを検出する検出荷重を低くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア等の可動部が異物を挟み込んだか否かを検出するための挟み込み検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のスライドドアを閉じた時に、スライドドアとボディとの間に異物が挟み込まれたか否かを検出する挟み込み検出装置が記載されている。
【0003】
詳細には、挟み込み検出装置は、スライドドアに取り付けられる取付部材と、取付部材から一体的に設けられる弾性部材で形成された筒状の保持部材と、保持部材の内部に配置されるセンサを備えている。
【0004】
そして、スライドドアとボディとの間に異物が挟み込まれると、保持部材が異物に押されて変形する。この変形により保持部材の内部に配置されたセンサが挟み込みを検出するようになっている。
【0005】
ここで、保持部材の硬度は低く設定されている。このため、スライドドアとボディとの間に異物が挟み込まれると保持部材が簡単に変形し、容易にセンサが異物の挟み込みを検知できるようになっている。
【特許文献1】特開平11−222036公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、挟み込まれた異物が大きい場合は、保持部材が全体的に緩やかに変形するため、センサが異物の挟み込みを検知しないことが考えられる。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、異物の挟み込みを確実に検知することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る挟み込み検出装置は、可動部が固定部に接近移動した際に、前記可動部と前記固定部とによる異物の挟み込みを検出する挟み込み検出装置であって、前記可動部及び前記固定部の少なくとも一方に取り付けられる取付部材と、前記取付部材に支持され前記可動部と前記固定部の間に配置されると共に、弾性部材で形成された筒形状の保持部材と、を備えるプロテクタ部材と、前記保持部材の内部に配置され、付与された押圧力に基づき前記可動部と前記固定部とによる異物の挟み込みを検出する感圧センサと、前記保持部材の内周面に設けられると共に、前記感圧センサに向けて凸状の内周突起部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、プロテクタ部材の取付部材が、可動部及び固定部の少なくとも一方に取り付けられている。また、弾性部材で形成された筒状の保持部材が、取付部材に支持されて可動部と固定部の間に配置されている。
【0010】
さらに、付与された押圧力に基づき可動部と固定部とによる異物の挟み込みを検出する感圧センサが、保持部材の内部に配置されている。
【0011】
ここで、保持部材の内周面には、感圧センサに向けて凸状の内周突起部が設けられている。そして、可動部と固定部の間に異物が挟み込まれた場合は、保持部材が異物に押圧され、保持部材の内周面に設けられた内周突起部が感圧センサを局部的に押圧する。
【0012】
このように、内周突起部を設けることで、感圧センサを局部的に押圧することで局部的に感圧センサを変形させることができる。このため、広い範囲で感圧センサを押圧する場合と比較して、挟み込みを検出する検出荷重を低くすることができる。
【0013】
本発明の請求項2に係る挟み込み検出装置は、請求項1に記載において、前記内周突起部の硬度は、前記保持部材の硬度より高いことを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、可動部と固定部の間に異物が挟み込まれた場合は、保持部材が異物に押圧され、保持部材の内周面に設けられた内周突起部が感圧センサを押圧する。ここで、内周突起部の硬度は保持部材の硬度より高いため、内周突起部の変形が抑制される。
【0015】
このように、内周突起部の硬度を高くして内周突起部の変形を抑制することで、感圧センサを効果的に変形させ、感圧センサの応答性を向上させることができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る挟み込み検出装置は、請求項1又は2に記載において、前記保持部材の外周面には、凸状の外周突起部が設けられることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、可動部と固定部の間に異物が挟み込まれた場合は、保持部材が異物に押圧され、保持部材の内周面に設けられた内周突起部が感圧センサを押圧する。ここで、保持部材の外周面には、凸状の外周突起部が設けられている。このため、可動部と固定部の間に挟み込まれた異物が小さい場合でも、異物が外周突起部を押圧し、保持部材を局部的に変形させることで、感圧センサが異物の挟み込みを検出する。
【0018】
このように、保持部材の外周面に外周突起部を設けることで、異物が小さい場合でも挟み込みを検出することができる。
【0019】
本発明の請求項4に係る挟み込み検出装置は、請求項1〜3何れか1項に記載において、前記内周突起部は、前記保持部材の長手方向に沿って螺旋状に形成されることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、内周突起部は、保持部材の長手方向に沿って螺旋状に形成されている。このように螺旋状に形成することで押し出し成形によって容易に内周突起部を成形することができる。
【0021】
本発明の請求項5に係る挟み込み検出装置は、請求項4に記載において、前記内周突起部は、一の方向へ向って右旋回して螺旋状に延び、前記感圧センサは、前記保持部材の長手方向に沿って一の方向へ向って左旋回して螺旋状に延びる少なくとも1対の対向電極を備えることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、内周突起部は、一の方向へ向って右旋回して螺旋状に延びる。さらに、感圧センサには、保持部材の長手方向に沿って一の方向へ向って左旋回して螺旋状に延びる少なくとも1対の対向電極が設けられている。
【0023】
このように、内周突起部と対向電極が、互いに逆方向に向って螺旋状に延びることで、内部突起と対向電極が網目状に配置され、感圧センサは長手方向に沿ったどの位置でも外力を確実に検知することができる。
【0024】
本発明の請求項6に係る挟み込み検出装置は、請求項5に記載において、前記対向電極の螺旋ピッチと前記内周突起部の螺旋ピッチが同じであることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、対向電極の螺旋ピッチと内周突起部の螺旋ピッチが同じである。
【0026】
このように、ピッチを同じにすることで、長手方向に沿って対向電極と内周突起部の網目の位置関係が一様となり、長手方向に沿って感圧センサの検知精度を均等にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本実施の第1実施形態に係る挟み込み検出装置10について図1〜図9に基づいて説明する。
【0028】
(全体構成)
図8に示されるように、挟み込み検出装置10はセンサ部材16を含んで構成されている。
【0029】
図4に示されるように、センサ部材16は検出部を構成する感圧センサ18を備えている。感圧センサ18は、ゴムや軟質の合成樹脂材等、絶縁性を有する弾性材によって長尺で且つ長手方向に対して直交する方向に切った断面が略円形に形成された外皮部20を備えている。この外皮部20には断面十字形状の十字孔22が外皮部20の長手方向に沿って連続して形成されている。
【0030】
図3に示されるように、十字孔22は外皮部20の長手方向に沿って外皮部20の中心周りに螺旋状に形成されており、このため、十字孔22の四方の端部(十文字の各端部)も外皮部20の長手方向に沿って螺旋形状に変位している。
【0031】
また、外皮部20の内部には、各々が電極としての4本の電極線24、26、28、30が設けられている。これらの電極線24〜30の各々は、銅線等の導電性細線を縒り合わせることにより可撓性を有する長尺紐状に形成され、且つ、導電性ゴムを被覆することで形成されている。これらの電極線24〜30は十字孔22の中央近傍で十字孔22を介して互いに離間し且つ十字孔22に沿って螺旋状に配置され、十字孔22の内周部へ一体的に固着されている。このため、外皮部20が弾性変形することで電極線24〜30は撓み、特に、十字孔22が潰れる程度に外皮部20が弾性変形すれば、電極線24又は電極線28が電極線26又は電極線30と接触して導通する。また、外皮部20が復元すれば電極線24〜30も復元する。なお、電極線24〜30が延びる螺旋方向については後述する。
【0032】
また、図4に示されるように、センサ部材16は外皮部20と共にセンサ部材16を構成するプロテタク部材32を備えている。プロテタク部材32は感圧センサ18と共に検出部を構成する筒形状の保持部材34を備えている。
【0033】
保持部材34の内周面34Aの径寸法は、外皮部20の外径寸法より一回り大きくされており、保持部材34と外皮部20の間には若干の隙間が設けられている。さらに、この保持部材34は、全体が柔軟なスポンジ状に形成されており、外部から押圧されると容易に弾性変形して、この押圧力を内側の外皮部20に伝えるようになっている。なお、保持部材34については詳細を後述する。
【0034】
さらに、保持部材34の一端には、保持部材34の硬度より高い硬度のソリッドゴムで形成された取付部材40が保持部材34と連続して形成されている。取付部材40は基部及び変位抑制片としての取付基部42を備えている。取付基部42は長手方向に沿って板状に形成されており、取付基部42の幅方向(図4に示す矢印A方向)両端からは保持部材34とは反対側へ向けて脚部としての取付脚部44が形成されている。これにより、取付部材40の断面形状は全体的に保持部材34とは反対側へ向けて開口した凹形状となっている。そして、両取付脚部44の間は挿込溝46とされている。また、各取付脚部44の挿込溝46側の面からは挿込溝46の開口幅方向中央側へ向けて挟持爪48が突出して形成されている。
【0035】
さらに、取付部材40の内部には剛性が高い金属にて形成された芯金50がインサートされている。芯金50は取付基部42と共に変位抑制片を構成する芯金基部52を備えている。
【0036】
図6の(B)に示されるように、芯金基部52は長手方向、幅方向、及び厚さ方向の各々が取付基部42の長手方向、幅方向、及び厚さ方向に沿った長尺平板状に形成されている。この芯金基部52は取付基部42の内部に埋設されている。また、芯金基部52の幅方向一端部からは取付基部42に対する取付脚部44の延出方向と同じ方向へ向けて複数の芯金脚部54が延出されている。
【0037】
さらに、これらの芯金脚部54は、長手方向が芯金基部52の厚さ方向に沿い、幅方向が芯金基部52の長手方向に沿った平板状に形成されており、芯金基部52の長手方向に沿った互いに間隔が各々の幅寸法よりも充分に短い状態で断続的に形成されている。また、芯金基部52の幅方向一端部と同様に芯金基部52の幅方向他端部からも複数の芯金脚部54が延出されている。芯金基部52の幅方向一端部から延出された芯金脚部54は取付基部42の幅方向一端部から形成された取付脚部44に埋設されており、芯金基部52の幅方向他端部から延出された芯金脚部54は取付基部42の幅方向他端部から形成された取付脚部44に埋設されている。
【0038】
一方、図6(A)に示されるように、保持部材34の長手方向中間部における所定位置で、取付部材40が切除されている。保持部材34の長手方向に沿った取付部材40の切除範囲は、1枚の芯金脚部54、又は、保持部材34の長手方向に沿って互いに隣り合う複数枚の芯金脚部54に対応しており、この切除部分では、取付部材40のみならず芯金50も切除されている。
【0039】
また、保持部材34の長手方向及び保持部材34に対する取付部材40の形成方向の双方に対して直交した方向を向く側の保持部材34の外周部には、各々が体積変化許容部を構成する複数の凹部56が保持部材34の長手方向に沿って所定間隔毎に断続的に形成されている。これらの凹部56は、保持部材34の外周部にて開口しており、これらの凹部56が形成された部分では、保持部材34が薄肉となっている。
【0040】
一方、センサ部材16は、感圧センサ18の長手方向両端から電極線24〜30が引き出される。
【0041】
図7の回路図に示されるように、感圧センサ18の一端側では、電極線24と電極線28とが互いに接続されており、電極線26と電極線30とが互いに接続される。一方、感圧センサ18の他端側では、電極線26と電極線28とが抵抗62を介して互いに接続される。また、電極線24は感圧センサ18の他端側でバッテリー64に接続され、電極線30は感圧センサ18の他端側でアースされている。
【0042】
すなわち、挟み込み検出装置10は、電極線24、電極線28、抵抗62、電極線26、電極線30が直列に接続された構成を備えている。外皮部20(図4参照)が弾性変形することで、電極線24又は電極線28と電極線26又は電極線30とが互いに接触すると、この接触部分で短絡して、電流は抵抗62を介さずに流れる。このため、挟み込み検出装置10を流れる電流の電流値が変化する。挟み込み検出装置10を流れる電流の電流値は、電極線30の他端側に接続された電流検出素子66が検出するようになっている。
【0043】
図8に示されるように、電流検出素子66は制御手段としてのECU68に接続されており、電流検出素子66から出力された電流検出信号がECU68に入力される。
【0044】
一方、ECU68はバックドアスイッチ70に接続されており、バックドアスイッチ70から出力された操作信号がECU68に入力される。ECU68はドライバ72を介して駆動手段としてのバックドアモータ74に電気的に接続されている。ドライバ72はバッテリー64に接続されており、ECU68から出力された制御信号に基づきバックドアモータ74に対する通電を制御している。
【0045】
バックドアモータ74は、例えば、図9に示される車体14のルーフパネル76と、ルーフパネル76の下方に設けられたルーフヘッドライニング(図示省略)との間に収容されている。
【0046】
また、バックドアモータ74は、その出力軸がギヤ等の減速手段並びに連結ギヤ等の連結手段(何れも図示省略)を介して可動部としてのバックドアパネル78へ機械的に連結されており、正転駆動することで固定部の開口としてのリヤゲート80を開放する方向へバックドアパネル78を回動させ、逆転駆動することでリヤゲート80を閉塞する方向へバックドアパネル78を回動させる構成となっている。
【0047】
さらに、図8に示されるように、車体14のフロアパネル82(図9参照)の後端近傍には、クローザアッセンブリを構成する駆動手段としてのクローザモータ84が配置されている。クローザモータ84はドライバ86を介してECU68に接続されていると共に、バッテリー64に接続されており、ECU68から出力された制御信号に基づきクローザモータ84に対する通電を制御している。また、クローザアッセンブリはクローザモータ84のほかに一対のジャンクション88、90を備えている。
【0048】
図9に示されるように、ジャンクション88はバックドアパネル78に設けられており、ジャンクション90はフロアパネル82に設けられている。
【0049】
バックドアモータ74(図8参照)の駆動力でリヤゲート80を全閉する直前の状態までバックドアパネル78がリヤゲート80を閉止する方向へ回動すると、ジャンクション88がジャンクション90に接触して導通する。ジャンクション88とジャンクション90とが導通したとECU68が判定すると、ECU68はドライバ72に対して出力する制御信号によりバッテリー64を停止させると共に、ドライバ86に対して出力する制御信号によってクローザモータ84を駆動させ、クローザモータ84の駆動力でリヤゲート80を全閉する位置までバックドアパネル78を回動させ、更に、ラッチ等のロック手段を作動させてリヤゲート80を全閉した状態でバックドアパネル78をロックする。
【0050】
一方、図5に示されるように、上記のバックドアパネル78は、バックドアパネル78がリヤゲート80(図9参照)を閉止した状態で相対的に車両室内側に位置するインナパネル92と、インナパネル92よりも後方側(車両外側)に位置するアウタパネル94とを含めて構成されており、インナパネル92の外周部に沿ってアウタパネル94の外周部近傍を折り曲げて形成したヘム部96によりインナパネル92の外周部近傍を挟み付けることで、インナパネル92とアウタパネル94とが一体とされている。
【0051】
さらに、インナパネル92のアウタパネル94とは反対側では、ヘム部96に沿って支持ブラケット98が設けられている。支持ブラケット98は平板部100を備えている。平板部100はヘム部96に沿って長手とされた平板状に形成されており、ボルトやビス、リベット等の締結手段や溶接等によってインナパネル92に一体的に固定されている。平板部100のヘム部96側の端部からは平板状の支持部102が屈曲されて立設されている。図4に示されるように、この支持部102は先端が取付基部42に突き当たるまで取付部材40の内側に入り込んでおり、挟持爪48に弾性的に挟持されている。
【0052】
(保持部の構成)
ここで、センサ部材16に設けられたプロテタク部材32の保持部材34等について説明する。
【0053】
図1に示されるように、保持部材34の内周面34Aには、感圧センサ18に向けて凸状の内周突起部110が設けられている。この内周突起部110は、図2に示されるように、保持部材34の長手方向に沿って一の方向に向って右旋回して螺旋状に延びて形成されている。そしてこの内周突起部110の螺旋ピッチは、図1に示されるようにP1とされている。
【0054】
一方、図3に示されるように、感圧センサ18に設けられた電極線24〜30は、前述したように、保持部材34の長手方向に沿って螺旋状に延びて配置されている。ここで、電極線24〜30は、保持部材34の長手方向に沿って一の方向に向って左旋回して螺旋状に延びて配置されている。つまり、内周突起部110と逆方向に向って旋回して螺旋状に延びるように電極線24〜30は配置されている。また、対向する電極線24と電極線28の螺旋ピッチは、図1に示されるように保持部材34の内周面34Aに形成された内周突起部110の螺旋ピッチP1と同一(長さ)のP2とされている。ここで、同一とは、螺旋ピッチP1と螺旋ピッチP2との差が±3mm以下であることを言う。
【0055】
なお、図示は省略するが、対向する電極線26と電極線30の螺旋ピッチもP2とされている。
【0056】
(作用・効果)
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0057】
図9に示されるように、バックドアパネル78が車体14の上方へ回動してリヤゲート80を開放した状態で、図8に示されるバックドアスイッチ70を閉操作すると、ECU68がドライバ72を操作してバックドアモータ74を逆転駆動させ、これにより、バックドアパネル78が車体14の下方(図9に示す矢印B方向)へ向けて回動する。
【0058】
次いで、バックドアパネル78がリヤゲート80を全閉する直前の状態まで回動すると、ECU68はドライバ72を操作してバックドアモータ74を停止させると共に、ドライバ86を操作してクローザモータ84を駆動させる。クローザモータ84はその駆動力でバックドアパネル78を全閉位置まで回動させ、更に、ラッチ等のロック手段を作動させて全閉状態でバックドアパネル78をロックする。
【0059】
このようにして、バックドアスイッチ70の操作のみでバックドアパネル78の閉操作を行なうことができるため、例えば、バックドアパネル78を閉操作する際に無理にバックドアパネル78に手を掛けたりする必要がなく、容易にバックドアパネル78の閉操作を行なえる。
【0060】
ところで、図9に示されるように、リヤゲート80を開放した状態で、リヤゲート80の内周縁に対応した部分、すなわち、車体14の側壁の後端や、ランプハウスの上面並びに車幅方向内側面、更には、フロアパネル82の後端等において、車体14の内外方向に異物が跨ぐように位置している場合に、リヤゲート80を閉じるようにバックドアパネル78が回動(閉移動)させると、バックドアパネル78の外周縁(すなわち、ヘム部96の先端)に異物に当接する。したがって、このままバックドアパネル78が異物を押圧して、リヤゲート80の内周縁部に異物を押し当てると異物の挟み込みが生じる。
【0061】
ここで、上記のように、バックドアパネル78の外周縁(すなわち、ヘム部96の先端)に異物に当接すると、センサ部材16の保持部材34が異物に当接し、バックドアパネル78の閉移動(回動)に伴い保持部材34が異物を車体14室内側に押圧する。保持部材34が異物を押圧すると、このときの押圧力に応じた異物からの押圧反力が保持部材34に付与され、この押圧反力により保持部材34が弾性変形する。
【0062】
この保持部材34の弾性変形によって保持部材34内の外皮部20が弾性変形し、外皮部20の内部に設けられた電極線24又は電極線28が電極線26又は電極線30と接触して短絡する。この場合、電流は抵抗62を介さずに流れるため、電極線24〜30を含めて構成される電気回路を流れる電流の電流値が変化する。
【0063】
この電流値の変化は電流検出素子66により検出され、電流値の変化を検出した電流検出素子66からはECU68に対して検出信号(電気信号)が出力される。この検出信号が入力されたECU68は、外皮部20が変形した、すなわち、異物の挟み込みが生じたと判定してドライバ72、86を操作し、バックドアモータ74及びクローザモータ84を正転駆動(すなわち、バックドアパネル78を上昇させる方向へ駆動)させる。これにより、バックドアパネル78による異物の挟み込みが解消される。
【0064】
ここで、前述したように、感圧センサ18を保持する円筒状の保持部材34の内周面には、一の方向へ向って右旋回して螺旋状に延び内周突起部110が設けられている。さらに、感圧センサ18に備えられる電極線24〜30は、一の方向へ向って左旋回して螺旋状に延びるように配置されている。また、内周突起部110の螺旋ピッチP1と対向する電極線24と電極線28及び電極線26と電極線30の螺旋ピッチP2は同一とされている。
【0065】
このように、内周面34Aに内周突起部110を設けることで、保持部材34が異物により弾性変形した場合に、局部的に感圧センサ18を押圧して変形させることができるため、広い範囲で感圧センサ18を押圧する場合と比較して、挟み込みを検出する検出荷重を低くすることができる。
【0066】
また、円筒状の保持部材34の内周面34Aに設けられた内周突起部110は、保持部材34の長手方向に沿って螺旋状に形成されているため、内周突起部110を押し出し成形によって容易に成形することができる。
【0067】
また、内周突起部110と電極線24〜30は、互いに逆方向に向って旋回して螺旋状に延びるように配置されているため、内周突起部110と電極線24〜30が網目状に配置され、感圧センサ18は長手方向に沿ったどの位置でも外力を確実に検知することができる。
【0068】
また、螺旋状に設けられた対向電極(電極線24と電極線28及び電極線26と電極線30)の螺旋ピッチP2と螺旋状に設けられた内周突起部110の螺旋ピッチP1が同一であるため、長手方向に沿って対向電極と内周突起部110の網目の位置関係が一様となり、感圧センサ18の検知精度を均等にすることができる。
【0069】
次に本発明の第2実施形態に係る挟み込み検出装置120について図10に従って説明する。
【0070】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図10に示されるように、この第2実施形態では第1実施形態と違い、内周突起部122の硬度は、保持部材34の硬度より高くされている。
【0072】
つまり、内周突起部122は保持部材34より硬い。保持部材34が異物に押圧されて内周突起部122が感圧センサ18を押圧する場合に、内周突起部122の変形が抑制されるため、感圧センサ18を効果的に変形させることができ、これにより、感圧センサ18の応答性を向上させることができる。
【0073】
次に本発明の第3実施形態に係る挟み込み検出装置130について図11、図12に従って説明する。
【0074】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0075】
図11に示されるように、この第3実施形態では第1実施形態と違い、保持部材34の外周面34Bには、外部(外側)に向けて凸状の外周突起部132が設けられている。 詳細には、図12に示されるように、外周突起部132は、螺旋状に延びるように形成されており、保持部材34の長手方向に沿って一様に形成されている。
【0076】
このため、バックドアパネル78とリヤゲート80の間に挟み込まれた異物が小さい場合でも、異物が外周突起部132を押圧し、保持部材34を局部的に変形させることで、感圧センサ18が異物の挟み込みを検出する。
【0077】
このように、保持部材34の外周面に外周突起部132を設けることで、小さな異物に対しても挟み込みを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態に係る挟み込み検出装置に備えられた保持部材を長手方向に切断した断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る挟み込み検出装置に備えられた保持部材の斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る挟み込み検出装置に備えられた感圧センサの斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る挟み込み検出装置に備えられたセンサ部材の斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る挟み込み検出装置に備えられたセンサ部材がバックドアパネルに取り付けられた状態を示した斜視図である。
【図6】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る挟み込み検出装置に備えられたセンサ部材のコーナー部を示した斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る挟み込み検出装置に備えられた感圧センサの構成を示す回路図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る挟み込み検出装置の制御ブロック図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る挟み込み検出装置に備えられた車両の斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る挟み込み検出装置に備えられた保持部材を長手方向に切断した断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る挟み込み検出装置に備えられた保持部材を長手方向に切断した断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る挟み込み検出装置に備えられたセンサ部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
10・・・挟み込み検出装置、18・・・感圧センサ、24・・・電極線(電極)、26・・・電極線(電極)、28・・・電極線(電極)、30・・・電極線(電極)、32・・・プロテタク部材、34・・・保持部材、40・・・取付部材、78・・・バックドアパネル(可動部)、80・・・リヤゲート(固定部)、110・・・内周突起部、122・・・内周突起部、132・・・外周突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部が固定部に接近移動した際に、前記可動部と前記固定部とによる異物の挟み込みを検出する挟み込み検出装置であって、
前記可動部及び前記固定部の少なくとも一方に取り付けられる取付部材と、前記取付部材に支持され前記可動部と前記固定部の間に配置されると共に、弾性部材で形成された筒形状の保持部材と、を備えるプロテクタ部材と、
前記保持部材の内部に配置され、付与された押圧力に基づき前記可動部と前記固定部とによる異物の挟み込みを検出する感圧センサと、
前記保持部材の内周面に設けられると共に、前記感圧センサに向けて凸状の内周突起部と、
を備えることを特徴とする挟み込み検出装置。
【請求項2】
前記内周突起部の硬度は、前記保持部材の硬度より高いことを特徴とする請求項1に記載の挟み込み検出装置。
【請求項3】
前記保持部材の外周面には、凸状の外周突起部が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の挟み込み検出装置。
【請求項4】
前記内周突起部は、前記保持部材の長手方向に沿って螺旋状に形成されることを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載の挟み込み検出装置。
【請求項5】
前記内周突起部は、一の方向へ向って右旋回して螺旋状に延び、
前記感圧センサは、前記保持部材の長手方向に沿って一の方向へ向って左旋回して螺旋状に延びる少なくとも1対の対向電極を備えることを特徴とする請求項4に記載の挟み込み検出装置。
【請求項6】
前記対向電極の螺旋ピッチと前記内周突起部の螺旋ピッチが同じであることを特徴とする請求項5に記載の挟み込み検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−146644(P2009−146644A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320767(P2007−320767)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】